説明

対象物特定システム、対象物特定装置、制御方法、及びプログラム

【課題】赤外線撮影手段が撮影した画像に基づいて対象物を特定すること。
【解決手段】対象物に設けられる赤外線放射体であって、赤外線放射量が異なる複数の領域を表面に有する赤外線放射体と、赤外線撮影手段300と電気的に接続された対象物特定装置110とを備え、対象物特定装置110は、赤外線撮影手段300が撮影した画像によって示される赤外線放射量の分布に、所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれているか否かを判定する判定部114と、所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれていると判定部114が判定した場合に、当該赤外線放射量の組合せのように赤外線を放射する複数の領域を表面に有する赤外線放射体が設けられている対象物を特定する対象物特定部115とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物特定システム、対象物特定装置、制御方法、及びプログラムに関する。特に本発明は、赤外線撮影手段が撮影した画像に基づいて対象物を特定する対象物特定システム、赤外線撮影手段と電気的に接続された対象物特定装置、対象物特定装置を制御する制御方法、並びに対象物特定装置用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線カメラ等の赤外線撮影手段は、物体から放射される赤外線を撮影し、検知した赤外線の放射量の分布を画像化する。例えば、赤外線撮影手段は、温度が低いところほど輝度が弱く、温度が高いところほど輝度が強くなるように処理した画像を出力する。すなわち、ユーザは、赤外線撮影手段から出力される画像を参照することによって、周辺と温度差がある物体や発光している物体があれば、その存在を容易に識別することができる。
【0003】
しかしながら、赤外線撮影手段から出力される画像は、その撮影領域ある物体から放射されている赤外線の放射量や、赤外線を放射している熱源や光源の範囲を示しているに過ぎない。したがって、ユーザにとっては、赤外線撮影手段から出力される画像を参照しても、撮影領域にある物体を具体的に特定することは困難となる。例えば、特定の対象物を見分けようとする場合、ユーザは、その対象物の形状や温度等の把握している情報に基づいて画像によって示されている赤外線放射量の分布を参照する。ところが、その対象物の温度と周辺の温度との差小さい場合、画像において対象物とその周辺との輝度に差が表れ難くなり、ユーザは、容易に対象物を特定することができない。また、その対象物の形状を把握し難い向きから対向して撮影している場合、ユーザは、対象物の特徴的な形状を識別することができず、同じく容易に対象物を特定することができない。
【0004】
このような問題に鑑みてなされた技術としては、撮影しようとする物体自体から放射される赤外光を受けて、画像として現し、またその画像から目標を抽出する装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この装置は、撮影しているものの輝度の時間的変化量を検出し、それを基に二値化しているので、複雑な輝度分布の背景の中においても移動する物体のみを目標として抽出することを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−303485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の赤外線撮影装置は、デジタル画像更新毎に前画像との角画素毎の輝度の比較を行うことによって輝度変化量を検出し、その輝度変化量のヒストグラムを算出して、このヒストグラムに応じてしきい値を設定し二値化して目標を検出する。しかしながら、特許文献1に記載の方法は、例えば、動いている対象物の温度とその周囲の温度との差が常に小さいような場合、精確にその対象物を特定することは困難である。また、特許文献1に記載の方法は、対象物の形状を把握し難い向きから対向して撮影している場合、何らかの物体が移動していることは把握できたとしても、その形状を基に対象物を具体的に特定することは困難である。
【0007】
そこで本発明は、上記の課題を解決することのできる対象物特定システム、対象物特定装置、制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によると、赤外線撮影手段が撮影した画像に基づいて対象物を特定する対象物特定システムであって、対象物に設けられる赤外線放射体であって、赤外線放射量が異なる複数の領域を表面に有する赤外線放射体と、赤外線撮影手段と電気的に接続された対象物特定装置とを備え、対象物特定装置は、赤外線撮影手段が撮影した画像によって示される赤外線放射量の分布に、所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれているか否かを判定する判定部と、所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれていると判定部が判定した場合に、当該赤外線放射量の組合せのように赤外線を放射する複数の領域を表面に有する赤外線放射体が設けられている対象物を特定する対象物特定部とを有する。
【0009】
本発明の第2の形態によると、赤外線撮影手段と電気的に接続された対象物特定装置であって、赤外線撮影手段が撮影した画像によって示される赤外線放射量の分布に、所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれているか否かを判定する判定部と、所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれていると判定部が判定した場合に、当該赤外線放射量の組合せのように赤外線を放射する複数の領域を表面に有する赤外線放射体が設けられている対象物を特定する対象物特定部とを備える。
【0010】
本発明の第3の形態によると、赤外線撮影手段と電気的に接続された対象物特定装置を制御する制御方法であって、赤外線撮影手段が撮影した画像によって示される赤外線放射量の分布に、所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれているか否かを判定する判定段階と、所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれていると判定段階において判定された場合に、当該赤外線放射量の組合せのように赤外線を放射する複数の領域を表面に有する赤外線放射体が設けられている対象物を特定する対象物特定段階とを備える。
【0011】
本発明の第4の形態によると、赤外線撮影手段と電気的に接続された対象物特定装置用のプログラムであって、対象物特定装置を、赤外線撮影手段が撮影した画像によって示される赤外線放射量の分布に、所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれているか否かを判定する判定部、所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれていると判定部が判定した場合に、当該赤外線放射量の組合せのように赤外線を放射する複数の領域を表面に有する赤外線放射体が設けられている対象物を特定する対象物特定部として機能させる。
【0012】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、赤外線撮影手段が撮影した画像によって対象物を特定するにあたり、対象物の温度とその周囲の温度との差が小さいような場合や、対象物の形状を把握し難い向きから対向して撮影している場合でも、その対象物を具体的に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態に係る対象物特定システム100の利用環境の一例を示す図である。
【図2】目標板120の形状の一例を示す図である。
【図3】オペレーション端末110のブロック構成の一例を示す図である。
【図4】オペレーション端末110の動作フローの一例を示す図である。
【図5】赤外線放射体情報格納部111が格納しているデータの一例をテーブル形式で示す図である。
【図6】対象物情報格納部112が格納しているデータの一例をテーブル形式で示す図である。
【図7】オペレーション端末110のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
図1は、一実施形態に係る対象物特定システム100の利用環境の一例を示す。対象物特定システム100は、オペレーション端末110、及び複数の目標板120a、b、c、・・・(以下、目標板120と総称する。)を備える。オペレーション端末110は、移動体210に搭載されている。同様に、目標板120a、b、c、・・・は、移動体220a、b、c、・・・(以下、移動体220と総称する。)にそれぞれ搭載されている。また、本実施形態においては、オペレーション端末110も目標板120も搭載されていない複数の移動体230a、b、c、・・・(以下、移動体230と総称する。)が存在していると仮定する。そして、移動体230の外観は、移動体220の外観と一致又は類似しているものと仮定する。なお、移動体210、移動体220、及び移動体230は、装輪車両、装軌車両、及び航空機を含む。また、移動体220は、この発明における対象物の一例であってよい。
【0017】
オペレーション端末110は、所望の対象物を特定するための処理を行う端末である。オペレーション端末110には、赤外線カメラ300が有線ケーブル若しくは無線によって外部に接続されているか、又は一体的に設けられている。赤外線カメラ300は、放射される赤外線を撮影し、検知した赤外線の放射量の分布を画像化する装置である。また、オペレーション端末110には、ディスプレイ400が有線ケーブル若しくは無線によって外部に接続されているか、又は一体的に設けられている。ディスプレイ400は、オペレーション端末110から出力される情報を表示する装置である。なお、オペレーション端末110は、この発明における対象物特定装置の一例であってよい。オペレーション端末110は、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯情報端末、及び携帯電話機を含む。また、赤外線カメラ300は、この発明における赤外線撮像手段の一例であってよい。
【0018】
目標板120aは、所望の対象物を特定するための目印となる板状体である。目標板120aの表面は、中心部分の領域121aとその周辺を取り囲む領域122aとが異なる温度となるように発熱する。そして、目標板120aには、電力ケーブルによって温度設定装置500aが接続されている。温度設定装置500aは、目標板120aの領域121a及び122aの発熱温度をそれぞれ設定するとともに、設定した温度となるよう目標板120aに電気エネルギーを供給する。なお、目標板120aは、この発明における赤外線放射体の一例であってよい。また、目標板120aは、その片面の表面が発熱してよいし、両面の表面が発熱してもよい。
【0019】
なお、目標板120a以外の目標板120b、c、・・・も、目標板120aが有する構成要素と同じ構成要素を有する。以後の説明では、目標板120aが有する構成要素がいずれの目標板120の構成要素であるかを区別する場合には、各構成要素を有する目標板120と同じ添え字(a、b、c)を各構成要素の末尾に付して区別する。例えば、領域121a、領域122b、及び温度設定装置500cは、それぞれ目標板120a、目標板120b、及び目標板120cの構成要素であることを示す。
【0020】
また、以後の説明において、添え字が付されていない構成要素の機能及び動作は、同じ符号が付されたいずれの構成要素の機能及び動作を示す。例えば、領域121で説明された機能及び動作は、サービス提供要求受付部132a、サービス提供要求受付部132b、サービス提供要求受付部132c、・・・の機能及び動作を示す。
【0021】
例えば、外観によっては見分けの付き難い移動体220及び移動体230が、広大な土地においてそれぞれ走行しているものとする。そして、移動体210の搭乗者が、移動体220及び移動体230を目視にて個別に特定することができないほど離れた位置から各移動体220を個別に特定しようとしているものとする。
【0022】
このような状況において、移動体220の搭乗者は、移動体210の搭乗者に自機を識別してもらうとともに、自機の位置や移動速度を特定してもらうにあたり、目標板120を発熱させる。目標板を発熱させるにあたり、移動体220の搭乗者は、温度設定装置500を起動させる。温度設定装置500は、搭乗者に起動操作されることによって、目標板120へ電力を供給する。目標板120は、温度設定装置500から電力の供給を受けると、領域121及び領域122が異なる温度となるように発熱する。
【0023】
移動体210の搭乗者は、各移動体220を個別に特定するにあたり、赤外線カメラ300によって、移動体220が走行しているであろう方角の撮影を開始する。赤外線カメラ300は、視野内に存在している物体から放射される赤外線を撮影すると、検知した赤外線の放射量の分布を画像化し、オペレーション端末110に出力する。
【0024】
オペレーション端末110は、赤外線カメラ300から入力を受け付けた画像に基づいて、各移動体220の特定を行う。具体的には、オペレーション端末110は、各移動体220にどのような目標板120が搭載されているのかを示す情報を予め記憶している。また、オペレーション端末110は、各目標板120に関する情報として、目標板120の大きさや、目標板120の表面の領域121及び領域122から放射される赤外線の放射量を予め記憶している。そして、オペレーション端末110は、これら記憶している情報と、入力を受け付けた画像によって示される赤外線の放射量の分布とに基づいて、移動体220を個別に特定するとともに、その位置や移動速度等を特定する。そして、オペレーション端末110は、入力を受け付けた画像、並びに特定した移動体220の位置や移動速度を示すデータをディスプレイ400に出力する。ディスプレイ400は、オペレーション端末110から入力を受け付けたデータによって示される情報を表示する。
【0025】
なお、本実施形態では、説明が煩雑になることを防ぐ目的として、対象物特定システム100が一のオペレーション端末110を備える構成について説明したが、対象物特定システム100は複数のオペレーション端末110を備えてよい。
【0026】
また、本実施形態では、所望対象物が移動体220である構成について説明したが、所望対象物は、建物等の非移動体であってよい。その場合、所望対象物に備えられる目標板120は、常に発熱するようにしてよい。
【0027】
また、本実施形態では、オペレーション端末110及びディスプレイ400が移動体210に搭載されている構成について説明したが、オペレーション端末110及びディスプレイ400は、移動体210に搭載されていなくてよい。その場合、赤外線カメラ300は、出力する画像を無線通信によってオペレーション端末110に送信する。
【0028】
また、本実施形態では、赤外線放射体が目標板120のような板状体である構成について説明したが、赤外線放射体は、立体形状であってよい。その場合、赤外線放射体の形状は、いずれの方向から平面視しても同じ形状となるようにする。また、赤外線を放射する領域は、目標板120の表面の全面に設けられてよいし、表面の一部に設けられてもよい。
【0029】
また、本実施形態では、目標板120の領域121と領域122とが異なる温度となるように発熱する構成について説明したが、領域121と領域122からそれぞれ放射される赤外線の放射量が異なるような構成であれば、その他の構成であってよい。例えば、目標板120は、領域121と領域122からそれぞれ異なる放射量の赤外線が放射されるように冷却される構成としてよい。また、目標板120は、領域121と領域122からそれぞれ異なる放射量の赤外線が放射されるように発光する構成としてよい。また、目標板120は、領域121と領域122からそれぞれ異なる放射量の赤外線が放射されるように赤外線を遮蔽する加工が成されていてよい。その場合、目標板120の領域121と領域122とは、同じ温度であってよい。
【0030】
図2は、目標板120の形状の一例を示す。図2(a)〜(d)に示す目標板120の形状は、それぞれ、正方形、長方形、円形、星形となっている。そして、その中心部分の領域121は、それぞれ外形と同じ、正方形、長方形、円形、星形となっている。そして、各目標板120には、領域121の周囲を取り囲むようにして領域122が形成されている。また、図2(e)に示す目標板120は、外形の形状と領域121の形状とが相違している。また、図2(f)に示す目標板120は、領域121が中心部分ではなく、表面を左右に分割した一方の領域となっており、他方の領域が領域122となっている。また、図2(g)に示す目標板120は、領域121、122とは異なる領域123を有している。領域123の温度は、少なくとも領域123に接している領域122の温度と相違していればよく、領域121の温度と同じであってもよい。
【0031】
図3は、オペレーション端末110のブロック構成の一例を示す。オペレーション端末110は、赤外線放射体情報格納部111、対象物情報格納部112、画像入力受付部113、判定部114、対象物特定部115、相対角度算出部116、距離算出部117、移動速度算出部118、及び情報出力部119を有する。以下に、各構成要素の機能及び動作を説明する。
【0032】
赤外線放射体情報格納部111は、目標板120を識別する情報と、目標板の表面の複数の領域からそれぞれ放射される赤外線放射量の組合せを示す情報と、目標板120の大きさを示す情報と、目標板120の形状を示す情報とを対応付けて格納する。
【0033】
対象物情報格納部112は、移動体220を識別する情報と、移動体220に設けられている目標板120を識別する情報とを対応付けて格納する。
【0034】
画像入力受付部113は、赤外線カメラ300から出力された画像データの入力を受け付ける。具体的には、画像入力受付部113は、赤外線カメラ300から出力されたフレーム毎の画像データの入力を受け付けると、受け付けた画像データを判定部114、相対角度算出部116、距離算出部117、及び情報出力部119に送る。
【0035】
判定部114は、画像入力受付部113が入力を受け付けた画像によって示される赤外線放射量の分布に、所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれているか否かを判定する。具体的には、判定部114は、画像データを画像入力受付部113から受け取る。そして、判定部114は、受け取った画像データと、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報とに基づいて、所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれているか否かを判定する。そして、判定部114は、一致する組合せの分布が含まれていると判定した場合、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報のうち、一致すると判定した赤外線放射量の組合せを示す情報を特定するデータを対象物特定部115に送る。
【0036】
対象物特定部115は、移動体220を特定する。具体的には、対象物特定部115は、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報のうち、一致すると判定された赤外線放射量の組合せを示す情報を特定するデータを判定部114から受け取る。そして、対象物特定部115は、受け取ったデータと、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報と、対象物情報格納部112が格納している情報とに基づいて、移動体220を特定する。そして、対象物特定部115は、特定した移動体220を示すデータと、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報のうち、その移動体220に設けられている目標板120を識別する情報を特定するデータと、画像データによって示される赤外線放射量の分布のうち、その移動体220に設けられている目標板120から放射されている赤外線の放射量の分布を示す画素領域を特定するデータとを相対角度算出部116に送る。また、対象物特定部115は、特定した移動体220を示すデータと、画像データによって示される赤外線放射量の分布のうち、その移動体220に設けられている目標板120から放射されている赤外線の放射量の分布を示す画素領域を特定するデータとを情報出力部119に送る。
【0037】
相対角度算出部116は、赤外線カメラ300の撮影方向に対する移動体220の相対的な角度を算出する。具体的には、相対角度算出部116は、画像データを画像入力受付部113から受け取る。また、相対角度算出部116は、移動体220を示すデータと、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報のうち、その移動体220に設けられている目標板120を識別する情報を特定するデータと、画像データによって示される赤外線放射量の分布のうち、その移動体220に設けられている目標板120から放射されている赤外線の放射量の分布を示す画素領域を特定するデータとを対象物特定部115から受け取る。そして、相対角度算出部116は、赤外線カメラ300の撮影方向に対する移動体220の相対的な角度を算出する。そして、相対角度算出部116は、相対的な角度を算出した対象の移動体220を示すデータと、算出した相対的な角度を示すデータと、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報のうち、その移動体220に設けられている目標板120を識別する情報を特定するデータと、画像データによって示される赤外線放射量の分布のうち、その移動体220に設けられている目標板120から放射されている赤外線の放射量の分布を示す画素領域を特定するデータとを距離算出部117に送る。また、相対角度算出部116は、相対的な角度を算出した対象の移動体220を示すデータと、算出した相対的な角度を示すデータとを情報出力部119に送る。
【0038】
距離算出部117は、移動体220までの距離を算出する。具体的には、距離算出部117は、画像データを画像入力受付部113から受け取る。また、距離算出部117は、移動体220を示すデータと、その移動体220との相対的な角度を示すデータと、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報のうち、その移動体220に設けられている目標板120を識別する情報を特定するデータと、画像データによって示される赤外線放射量の分布のうち、その移動体220に設けられている目標板120から放射されている赤外線の放射量の分布を示す画素領域を特定するデータとを相対角度算出部116から受け取る。そして、距離算出部117は、移動体220までの距離を算出する。そして、距離算出部117は、距離を算出した対象の移動体220を示すデータと、算出した距離を示すデータと、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報のうち、その移動体220に設けられている目標板120を識別する情報を特定するデータとを移動速度算出部117に送る。また、距離算出部117は、距離を算出した対象の移動体220を示すデータと、算出した距離を示すデータとを情報出力部119に送る。
【0039】
移動速度算出部118は、移動体220の移動速度を算出する。具体的には、移動速度算出部118は、画像データを画像入力受付部113から受け取る。また、移動速度算出部118は、移動体220を示すデータと、距離を示すデータと、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報のうち、その移動体220に設けられている目標板120を識別する情報を特定するデータとを距離算出部117から受け取る。そして、移動速度算出部118は、移動体220の移動速度を算出する。そして、移動速度算出部118は、移動速度を算出した対象の移動体220を示すデータと、算出した移動速度を示すデータとを情報出力部119に送る。
【0040】
情報出力部119は、各種情報を示すデータをディスプレイ400に出力する。具体的には、情報出力部119は、移動体220を示すデータと、画像データによって示される赤外線放射量の分布のうち、その移動体220に設けられている目標板120から放射されている赤外線の放射量の分布を示す画素領域を特定するデータとを対象物特定部115から受け取る。また、情報出力部119は、移動体220を示すデータと、その移動体220との相対的な角度を示すデータとを相対角度算出部116から受け取る。また、情報出力部119は、移動体220を示すデータと、その移動体220との距離を示すデータとを距離算出部117から受け取る。また、情報出力部119は、移動体220を示すデータと、その移動体220の移動速度を示すデータとを移動速度算出部118から受け取る。そして、情報出力部119は、これらデータによって示される各種情報をディスプレイ400に出力する。
【0041】
図4は、オペレーション端末110の動作フローの一例を示す。まず、オペレーション端末110の画像入力受付部113は、画像の入力を受け付ける(S101)。具体的には、赤外線カメラ300は、撮影方向に存在している物体から放射される赤外線を撮影し、検知した赤外線の放射量の分布を画像化している。そして、赤外線カメラ300は、画像化したデータをフレーム毎に順次出力している。画像入力受付部113は、順次出力された画像データを順次入力することになる。
【0042】
そして、オペレーション端末110の判定部114は、画像入力受付部113が入力を受け付けた画像データによって示される赤外線放射量の分布に、所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれているか否かを判定する(S102)。具体的には、判定部114は、画像データによって示される赤外線放射量の分布に、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報によって示される赤外線放射量の組合せと一致する組合せの分布が含まれているか否かを判定する。
【0043】
そして、所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれていると判定部114が判定した場合(S102:Yes)、オペレーション端末110の対象物特定部115は、その赤外線放射量の組合せのように赤外線を放射する複数の領域を表面に有する目標板120が設けられている移動体220を特定する(S103)。具体的には、対象物特定部115は、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報のうち、判定部114が一致していると判定した赤外線放射量の組合せを示す情報に対応付けられている目標板120を識別する情報を特定する。そして、対象物特定部115は、対象物情報格納部112が格納している情報のうち、特定した目標板120を識別する情報に対応付けられている情報によって識別される移動体を、特定すべき移動体220とする。
【0044】
そして、オペレーション端末110の相対角度算出部116は、画像入力受付部113が入力を受け付けた画像に含まれている所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布を示す画素領域の形状及びその大きさと、対象物特定部115が特定した移動体220に設けられている目標板120の形状及びその大きさとに基づいて、赤外線カメラ300の撮影方向に対する移動体220の相対的な角度を算出する(S104)。具体的には、相対角度算出部116は、画像データによって示される赤外線放射量の分布のうち、特定された移動体220に設けられている目標板120から放射されている赤外線の放射量の分布を示す画素領域の形状及びその大きさと、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報のうち、対象物特定部115が特定した移動体220に設けられている目標板120を識別する情報に対応付けられている情報によって示される目標板120の形状及びその大きさとに基づいて、赤外線カメラ300の撮影方向に対する移動体220の相対的な角度を算出する。
【0045】
そして、オペレーション端末110の距離算出部117は、赤外線カメラ300の瞬時視野と、画像入力受付部113が入力を受け付けた画像に含まれている所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布を示す画素領域の大きさと、対象物特定部115が特定した対象物に設けられている目標板120の大きさとに基づいて、その目標板120までの距離を算出する(S105)。具体的には、距離算出部117は、相対角度算出部116が算出した角度と、赤外線カメラ300の瞬時視野と、画像データによって示される赤外線放射量の分布のうち、移動体220に設けられている目標板120から放射されている赤外線の放射量の分布を示す画素領域の大きさと、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報のうち、対象物特定部115が特定した移動体220に設けられている目標板120を識別する情報に対応付けられている情報によって示される目標板120の大きさとに基づいて、対象物特定部115が特定した移動体220までの距離を算出する。
【0046】
そして、オペレーション端末110の移動速度算出部118は、画像入力受付部113が入力を受け付けた画像に含まれている所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布を示す画素領域の大きさの時間変位に基づいて、対象物特定部115が特定した移動体220の移動速度を算出する(S106)。具体的には、移動速度算出部118は、距離算出部117が算出した距離の時間変位に基づいて、その対象の移動体220の移動速度を算出する。換言すれば、移動速度算出部118は、赤外線カメラ300のフレーム毎の画像に含まれている所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布を示す画素領域の大きさの変位に基づいて、対象物特定部115が特定した移動体220の移動速度を算出する。なお、赤外線カメラ300を搭載している移動体210が移動している場合、移動速度算出部118は、赤外線カメラ300を搭載している移動体210の移動速度に対する移動体220の移動速度の相対速度を算出することになる。また、赤外線カメラ300を搭載している移動体210が移動していない場合、移動速度算出部118は、移動体220の移動速度の絶対速度を算出することになる。
【0047】
そして、オペレーション端末110の情報出力部119は、各種情報を示すデータをディスプレイ400に出力する(S119)。具体的には、情報出力部119は、画像データによって示される赤外線放射量の分布のうち、特定された移動体220に設けられている目標板120から放射されている赤外線の放射量の分布を示す画素領域を特定し得る情報とともに、その移動体220との相対角度を示す情報と、その移動体220までの距離を示す情報と、その移動体220の移動速度を示す情報とがディスプレイ400に表示されるよう構成されたデータをディスプレイ400に出力する。なお、所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれていないと判定部114が判定した場合(S102:Yes)、情報出力部119は、画像データによって示される赤外線放射量分布のみを示す情報がディスプレイ400に表示されるよう構成されたデータをディスプレイ400に出力する。
【0048】
図5は、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報の一例をテーブル形式で示す。赤外線放射体情報格納部111は、目標板120のID(identifier)、各領域の温度、目標板120の縦長、目標板120の横長、及び目標板120の外形を対応付けて格納している。なお、目標板120のIDは、この発明における赤外線放射体を識別する情報の一例である。また、各領域の温度の組合せは、この発明における赤外線放射体の表面の複数の領域からそれぞれ放射される赤外線放射量の組合せを示す情報の一例である。また、目標板120の縦長、及び目標板120の横長は、この発明における赤外線放射体の大きさを示す情報の一例である。また、目標板120の形状は、この発明における赤外線放射体の形状を示す情報の一例である。
【0049】
目標板120のIDは、移動体220に設けられている各目標板120を一意に識別するための識別符号であってよい。なお、目標板120のIDは、ユーザによって決定された文字列であってよいし、対象物特定システム100を構築する事業者によって決定された文字列であってもよい。また、目標板120のIDは、その文字列の読み自体に意味があってよいし、意味がなくてもよい。
【0050】
各領域の温度は、各領域の表面の温度を示す値であってよい。なお、各領域の温度は、各領域が発熱する温度であってよいし、各領域が冷却されたときの温度であってもよい。また、各領域の温度は、全ての領域の温度が異なる温度であってよいし、隣接している領域同士の温度が異なっていれば、隣接していない領域同士の温度は同じ温度であってもよい。
【0051】
目標板120の縦長は、目標板120を正面視したときの垂直方向の最上の点から最下の点までの長さを示す値であってよい。また、目標板120の横長は、目標板120を正面視したときの水平方向の最左の点から最右の点までの長さを示す値であってよい。なお、目標板120の縦長の値と横長の値とは、同じ値であってよいし、異なる値であってもよい。例えば、目標板120の外形が正方形や真円の場合、目標板120の縦長の値と横長の値とは、同じ値となる。
【0052】
目標板120の外形は、目標板120を正面視したときの外観の形状を示す情報であってよい。なお、目標板120を正面視したときの外観の形状としては、正方形、長方形、真円、星形といった様々な形状が考えられる。また、目標板120を正面視したときの外観の形状を示す情報は、その形状を英語又は日本語によって示してよいし、その形状を一意に識別し得る識別符号によって示してもよい。
【0053】
判定部114は、画像データによって示される赤外線放射量の分布に、赤外線放射体情報格納部111が格納している各領域の温度から所定の関数に基づいて算出される赤外線放射量の組合せと一致する組合せの分布が含まれているか否かを判定する。そして、判定部114は、一致する組合せの分布が含まれていると判定した場合、その赤外線放射体情報格納部111が格納している情報のうち、一致すると判定した赤外線放射量の組合せを示す情報を特定するデータとして、各領域の温度の組合せを示す情報を特定するデータを対象物特定部115に送る。
【0054】
対象物特定部115は、各領域の温度の組合せを示す情報を特定するデータを判定部114から受け取ると、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報のうち、受け取ったデータによって示される情報と対応付けられている目標板120のIDを特定する。例えば、対象物特定部115は、領域121の温度が「10℃」で領域122の温度が「20℃」の組合せを示す情報を特定するデータを判定部114から受け取った場合、ID「T001」の目標板120を特定する。
【0055】
相対角度算出部116は、画像データによって示される赤外線放射量の分布のうち、特定された移動体220に設けられている目標板120から放射されている赤外線の放射量の分布を示す画素領域の形状及びその大きさと、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報のうち、対象物特定部115が特定した移動体220に設けられている目標板120を識別する情報に対応付けられている情報によって示される目標板120の形状及びその大きさとに基づいて、赤外線カメラ300の撮影方向に対する移動体220の相対的な角度を算出する。例えば、対象物特定部115は、ID「T001」の目標板120を特定したとする。その場合、相対角度算出部116は、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報に基づいて、このID「T001」の目標板120は、縦長「0.5m」、横長「0.5m」の「正方形」の外形であると特定する。そして、画像におけるこの目標板120から放出されている赤外線の放出量の分布を示す画素領域が縦5画素、横5画素の正方形であれば、この目標板120は、赤外線カメラ300の撮影方向に対して正対する位置に存在していることになる。即ち、相対角度算出部116は、この目標板120との相対角度を、水平方向「0°」、鉛直方向「0℃」と算出する。また、画像におけるこの目標板120から放出されている赤外線の放出量の分布を示す画素領域が縦5画素、横2.5画素の長方形であれば、この目標板120は、赤外線カメラ300の撮影方向に対して水平方向にズレた位置に存在していることになる。即ち、相対角度算出部116は、この目標板120との相対角度を、水平方向に何度ズレているのかを所定の関数によって算出するとともに、鉛直方向「0℃」と算出する。また、画像におけるこの目標板120から放出されている赤外線の放出量の分布を示す画素領域が縦2.5画素、横5画素の長方形であれば、この目標板120は、赤外線カメラ300の撮影方向に対して鉛直方向にズレた位置に存在していることになる。即ち、相対角度算出部116は、この目標板120との相対角度を、鉛直方向に何度ズレているのかを所定の関数によって算出するとともに、水平方向「0℃」と算出する。また、画像におけるこの目標板120から放出されている赤外線の放出量の分布を示す画素領域が縦3画素、横2.5画素の平行四辺形であれば、この目標板120は、赤外線カメラ300の撮影方向に対して水平方向及び鉛直方向にそれぞれズレた位置に存在していることになる。即ち、相対角度算出部116は、この目標板120との相対角度を、水平方向及び鉛直方向にそれぞれ何度ズレているのかを所定の関数によって算出する。
【0056】
距離算出部117は、相対角度算出部116が算出した角度と、赤外線カメラ300の瞬時視野と、画像データによって示される赤外線放射量の分布のうち、移動体220に設けられている目標板120から放射されている赤外線の放射量の分布を示す画素領域の大きさと、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報のうち、対象物特定部115が特定した移動体220に設けられている目標板120を識別する情報に対応付けられている情報によって示される目標板120の大きさとに基づいて、対象物特定部115が特定した移動体220までの距離を算出する。例えば、対象物特定部115は、ID「T001」の目標板120を特定したとする。また、赤外線カメラ300の瞬時視野は、0.1mradであるとする。また、画像におけるこの目標板120から放出されている赤外線の放出量の分布を示す画素領域が縦5画素、横5画素の正方形であるとする。このような場合、ID「T001」の目標板120の実際の大きさが縦長「0.5m」、横長「0.5m」であることから、距離算出部117は、この目標板120までの距離を「1000m」と算出する。同様に、画像におけるこの目標板120から放出されている赤外線の放出量の分布を示す画素領域が縦50画素、横50画素の正方形であれば、距離算出部117は、この目標板120までの距離を「100m」と算出する。同様に、画像におけるこの目標板120から放出されている赤外線の放出量の分布を示す画素領域が縦100画素、横100画素の正方形であれば、距離算出部117は、この目標板120までの距離を「50m」と算出する。なお、移動速度算出部118は、距離算出部117が算出した値の時間変位に基づいて、目標板120の移動速度を算出する。
【0057】
図6は、対象物情報格納部112が格納している情報の一例をテーブル形式で示す。対象物情報格納部112は、移動体220のID、及び目標板120のIDを対応付けて格納している。なお、移動体220のIDは、この発明における対象物を識別する情報の一例である。また、目標板120のIDは、この発明における赤外線放射体を識別する情報の一例である。なお、目標板120のIDは、赤外線放射体情報格納部111が格納している目標板120のIDと同じである。
【0058】
移動体220のIDは、目標板120が設けられている各移動体220を一意に識別するための識別符号であってよい。なお、移動体220のIDは、ユーザによって決定された文字列であってよいし、対象物特定システム100を構築する事業者によって決定された文字列であってもよい。また、移動体220のIDは、その文字列の読み自体に意味があってよいし、意味がなくてもよい。
【0059】
対象物特定部115は、対象物情報格納部112が格納している情報のうち、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報に基づいて目標板120を識別する情報を特定した後、その情報に対応付けられている情報によって識別される移動体を、特定すべき移動体220とする。例えば、対象物特定部115は、赤外線放射体情報格納部111が格納している情報のうち、ID「T001」の目標板120を特定した場合、対象物情報格納部112が格納している情報に基づいて、この目標板120のID「T001」に対応付けられているID「M001」の移動体を特定すべき移動体220とする。
【0060】
以上説明したように、対象物特定システム100においては、特定したい所望の移動体220に対し、表面の複数の領域からそれぞれ異なる放射量の赤外線が放射される目標板120を設ける。そして、対象物特定システム100においては、赤外線カメラ300によって撮影して得られた画像によって示される赤外線放射量の分布の中に、所定の赤外線放射量の組合せを示す分布が含まれているか否かを判定する。そして、対象物特定システム100においては、所定の赤外線放射量の組合せを示す分布が含まれている場合、その組合せのように赤外線を放射している目標板120を特定するとともに、その目標板120が設けられている移動体220を特定する。そして、対象物特定システム100においては、画像における目標板120の赤外線放射量の組合せを示す分布の大きさや形状、並びにその時間変位に基づいて、移動体220との相対角度、移動体220までの距離、及び移動体220の移動速度を算出する。このように、対象物特定システム100においては、赤外線カメラ300撮影した画像によって対象物を特定するにあたり、移動体220の温度とその周囲の温度との差が小さいような場合や、移動体220の形状を把握し難い向きから対向して撮影している場合でも、移動体220を具体的に特定することができるだけでなく、移動体220との相対角度や移動体220までの距離、移動体220の移動速度を算出することができる。
【0061】
図7は、オペレーション端末110をコンピュータ等の電子情報処理装置で構成した場合のハードウェア構成の一例を示す。オペレーション端末110は、CPU(Central Processing Unit)周辺部と、入出力部と、レガシー入出力部とを備える。CPU周辺部は、ホスト・コントローラ901により相互に接続されるCPU902、RAM(Random Access Memory)903、グラフィック・コントローラ904、及び表示装置905を有する。入出力部は、入出力コントローラ906によりホスト・コントローラ901に接続される通信インターフェイス907、ハードディスクドライブ908、及びCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ909を有する。レガシー入出力部は、入出力コントローラ906に接続されるROM(Read Only Memory)910、フレキシブルディスク・ドライブ911、及び入出力チップ912を有する。
【0062】
ホスト・コントローラ901は、RAM903と、高い転送レートでRAM903をアクセスするCPU902、及びグラフィック・コントローラ904とを接続する。CPU902は、ROM910、及びRAM903に格納されたプログラムに基づいて動作して、各部の制御をする。グラフィック・コントローラ904は、CPU902等がRAM903内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得して、表示装置905上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ904は、CPU902等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0063】
入出力コントローラ906は、ホスト・コントローラ901と、比較的高速な入出力装置であるハードディスクドライブ908、通信インターフェイス907、CD−ROMドライブ909を接続する。ハードディスクドライブ908は、CPU902が使用するプログラム、及びデータを格納する。通信インターフェイス907は、ネットワーク通信装置991に接続してプログラムまたはデータを送受信する。CD−ROMドライブ909は、CD−ROM992からプログラムまたはデータを読み取り、RAM903を介してハードディスクドライブ908、及び通信インターフェイス907に提供する。
【0064】
入出力コントローラ906には、ROM910と、フレキシブルディスク・ドライブ911、及び入出力チップ912の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM910は、オペレーション端末110が起動時に実行するブート・プログラム、あるいはオペレーション端末110のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ911は、フレキシブルディスク993からプログラムまたはデータを読み取り、RAM903を介してハードディスクドライブ908、及び通信インターフェイス907に提供する。入出力チップ912は、フレキシブルディスク・ドライブ911、あるいはパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を接続する。
【0065】
CPU902が実行するプログラムは、フレキシブルディスク993、CD−ROM992、またはIC(Integrated Circuit)カード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。記録媒体に格納されたプログラムは圧縮されていても非圧縮であってもよい。プログラムは、記録媒体からハードディスクドライブ908にインストールされ、RAM903に読み出されてCPU902により実行される。CPU902により実行されるプログラムは、オペレーション端末110を、図1から図6に関連して説明した赤外線放射体情報格納部111、対象物情報格納部112、画像入力受付部113、判定部114、対象物特定部115、相対角度算出部116、距離算出部117、及び情報出力部118として機能させる。
【0066】
以上に示したプログラムは、外部の記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、フレキシブルディスク993、CD−ROM992の他に、DVD(Digital Versatile Disk)またはPD(Phase Disk)等の光学記録媒体、MD(MiniDisk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークあるいはインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスクまたはRAM等の記憶媒体を記録媒体として使用して、ネットワークを介したプログラムとして提供してもよい。
【0067】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0068】
100 対象物特定システム
110 オペレーション端末
111 赤外線放射体情報格納部
112 対象物情報格納部
113 画像入力受付部
114 判定部
115 対象物特定部
116 相対角度算出部
117 距離算出部
118 移動速度算出部
119 情報出力部
120 目標板
121 領域
122 領域
123 領域
210 移動体
220 移動体
230 移動体
300 赤外線カメラ
400 ディスプレイ
500 温度設定装置
901 ホスト・コントローラ
902 CPU
903 RAM
904 グラフィック・コントローラ
905 表示装置
906 入出力コントローラ
907 通信インターフェイス
908 ハードディスクドライブ
909 CD−ROMドライブ
910 ROM
911 フレキシブルディスク・ドライブ
912 入出力チップ
991 ネットワーク通信装置
992 CD−ROM
993 フレキシブルディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線撮影手段が撮影した画像に基づいて対象物を特定する対象物特定システムであって、
前記対象物に設けられる赤外線放射体であって、赤外線放射量が異なる複数の領域を表面に有する赤外線放射体と、前記赤外線撮影手段と電気的に接続された対象物特定装置とを備え、
前記対象物特定装置は、
前記赤外線撮影手段が撮影した画像によって示される赤外線放射量の分布に、所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれているか否かを判定する判定部と、
所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれていると前記判定部が判定した場合に、当該赤外線放射量の組合せのように赤外線を放射する複数の領域を表面に有する赤外線放射体が設けられている前記対象物を特定する対象物特定部と
を有する対象物特定システム。
【請求項2】
前記対象物特定装置は、
前記赤外線放射体を識別する情報と、当該赤外線放射体の表面の複数の領域からそれぞれ放射される赤外線放射量の組合せを示す情報とを対応付けて格納する赤外線放射体情報格納部と、
前記対象物を識別する情報と、当該対象物に設けられている前記赤外線放射体を識別する情報とを対応付けて格納する対象物情報格納部と
を更に有し、
前記判定部は、前記画像によって示される赤外線放射量の分布に、前記赤外線放射体情報格納部が格納している情報によって示される赤外線放射量の組合せと一致する組合せの分布が含まれているか否かを判定し、
前記対象物特定部は、一致する組合せの分布が含まれていると前記判定部が判定した場合に、前記赤外線放射体情報格納部が格納している情報のうち、当該組合せを示す情報に対応付けられている前記赤外線放射体を識別する情報を特定し、前記対象物情報格納部が格納している情報のうち、当該特定した赤外線放射体を識別する情報に対応付けられている情報によって識別される対象物を、特定すべき対象物とする
請求項1に記載の対象物特定システム。
【請求項3】
前記対象物特定装置は、
前記赤外線撮影手段の瞬時視野と、前記画像に含まれている所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布を示す画素領域の大きさと、前記対象物特定部が特定した対象物に設けられている赤外線放射体の大きさとに基づいて、当該対象物までの距離を算出する距離算出部
を更に有する請求項1又は2に記載の対象物特定システム。
【請求項4】
前記赤外線放射体情報格納部は、前記赤外線放射体を識別する情報に、当該赤外線放射体の大きさを示す情報を更に対応付けて格納しており、
前記距離算出部は、前記赤外線撮影手段の瞬時視野と、前記画像に含まれている所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布を示す画素領域の大きさと、前記赤外線放射体情報格納部が格納している情報のうち、前記対象物特定部が特定した対象物に設けられている赤外線放射体を識別する情報に対応付けられている情報によって示される当該赤外線放射体の大きさとに基づいて、当該対象物までの距離を算出する
請求項3に記載の対象物特定システム。
【請求項5】
前記対象物特定装置は、
前記画像に含まれている所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布を示す画素領域の形状及びその大きさと、前記対象物特定部が特定した対象物に設けられている赤外線放射体の形状及びその大きさとに基づいて、前記赤外線撮影手段の撮影方向に対する前記対象物の相対的な角度を算出する相対角度算出部
を更に有し、
前記距離算出部は、前記相対角度算出部が算出した角度と、前記赤外線撮影手段の瞬時視野と、前記画像に含まれている所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布を示す画素領域の大きさと、前記対象物特定部が特定した対象物に設けられている赤外線放射体の大きさとに基づいて、当該対象物までの距離を算出する
請求項3又は4に記載の対象物特定システム。
【請求項6】
前記赤外線放射体情報格納部は、前記赤外線放射体を識別する情報に、当該赤外線放射体の形状を示す情報を更に対応付けて格納しており、
前記相対角度算出部は、前記画像に含まれている所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布を示す画素領域の形状及びその大きさと、前記赤外線放射体情報格納部が格納している情報のうち、前記対象物特定部が特定した対象物に設けられている赤外線放射体を識別する情報に対応付けられている情報によって示される当該赤外線放射体の形状及びその大きさとに基づいて、前記赤外線撮影手段の撮影方向に対する前記対象物の相対的な角度を算出する
請求項5に記載の対象物特定システム。
【請求項7】
前記対象物特定装置は、
前記画像に含まれている所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布を示す画素領域の大きさの時間変位に基づいて、前記対象物特定部が特定した対象物の移動速度を算出する移動速度算出部
を更に有する請求項1乃至5のいずれかに記載の対象物特定システム。
【請求項8】
前記移動速度算出部は、前記赤外線撮影手段のフレーム毎の前記画像に含まれている所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布を示す画素領域の大きさの変位に基づいて、前記対象物特定部が特定した対象物の移動速度を算出する請求項6に記載の対象物特定システム。
【請求項9】
前記赤外線撮影手段が移動している場合、前記移動速度算出部は、前記赤外線撮影手段の移動速度に対する前記対象物の移動速度の相対速度を算出する
請求項6又は7に記載の対象物特定システム。
【請求項10】
前記赤外線撮影手段が移動していない場合、前記移動速度算出部は、前記対象物の移動速度の絶対速度を算出する
請求項6又は7に記載の対象物特定システム。
【請求項11】
前記赤外線放射体は、前記各領域からそれぞれ異なる放射量の赤外線が放射されるように発熱する
請求項1乃至9のいずれかに記載の対象物特定システム。
【請求項12】
前記赤外線放射体は、前記各領域からそれぞれ異なる放射量の赤外線が放射されるように発光する
請求項1乃至9のいずれかに記載の対象物特定システム。
【請求項13】
前記赤外線放射体は、前記各領域からそれぞれ異なる放射量の赤外線が放射されるように赤外線を遮蔽する加工が成されている
請求項1乃至9のいずれかに記載の対象物特定システム。
【請求項14】
赤外線撮影手段と電気的に接続された対象物特定装置であって、
前記赤外線撮影手段が撮影した画像によって示される赤外線放射量の分布に、所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれているか否かを判定する判定部と、
所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれていると前記判定部が判定した場合に、当該赤外線放射量の組合せのように赤外線を放射する複数の領域を表面に有する赤外線放射体が設けられている対象物を特定する対象物特定部と
を備える対象物特定装置。
【請求項15】
赤外線撮影手段と電気的に接続された対象物特定装置を制御する制御方法であって、
前記赤外線撮影手段が撮影した画像によって示される赤外線放射量の分布に、所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれているか否かを判定する判定段階と、
所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれていると前記判定段階において判定された場合に、当該赤外線放射量の組合せのように赤外線を放射する複数の領域を表面に有する赤外線放射体が設けられている対象物を特定する対象物特定段階と
を備える制御方法。
【請求項16】
赤外線撮影手段と電気的に接続された対象物特定装置用のプログラムであって、前記対象物特定装置を、
前記赤外線撮影手段が撮影した画像によって示される赤外線放射量の分布に、所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれているか否かを判定する判定部、
所定の異なる赤外線放射量の組合せの分布が含まれていると前記判定部が判定した場合に、当該赤外線放射量の組合せのように赤外線を放射する複数の領域を表面に有する赤外線放射体が設けられている対象物を特定する対象物特定部
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−106904(P2011−106904A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260715(P2009−260715)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】