説明

封止半導体およびその製造方法

【課題】本発明の課題は、離型フィルムが低温度域で予備加熱される場合であっても封止樹脂(前駆体)を比較的容易に所望の形状に成形することができると共に、封止半導体を容易に脱型することができる封止半導体の製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明に係る封止半導体の製造方法は、離型フィルム設置工程、封止樹脂等注入工程、半導体浸漬工程および封止樹脂等固化工程を備える。離型フィルム設置工程では、型300の凹部(キャビティ)310に、ポリオレフィンを主成分とするクッション層220を有する離型フィルム200が沿わせられる。封止樹脂等注入工程では、離型フィルムが沿わせられた凹部(以下「離型凹部」という)311に封止樹脂等400が注入される。半導体浸漬工程では、離型凹部内の封止樹脂等中に半導体120が浸漬される。封止樹脂等固化工程では、半導体が封止樹脂等に浸漬された状態で、封止樹脂等が固化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止半導体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「支持体上に実装された発光素子、例えば、LEDチップを硬化性シリコーン組成物により封止すること」が提案されている(例えば、特開2010−245477号公報等参照)。このように発光素子を樹脂封止する方法としては、例えば、「支持体上に実装された発光素子の配置に対応する凹状キャビティを有する型に、非常に薄い離型フィルムを被覆し、次いで、凹状キャビティに硬化性シリコーン組成物を充填した後、発光素子を実装した支持体を型に圧接して、硬化性シリコーン組成物を硬化する方法」が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−245477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従前の方法には、「離型フィルムが低温度域(100℃未満の温度域)で予備加熱されると、離型フィルムが十分に金型に追従することができない」という問題がある。すなわち、従前の方法では、低温度域において樹脂封止が行われる場合、離型フィルムを型の凹部(キャビティ)に沿わせにくく、封止樹脂(前駆体)を所望の形状に成形しにくい。
【0005】
本発明の課題は、低温度域で樹脂封止が行われる場合であっても封止樹脂(前駆体)を比較的容易に所望の形状に成形することができると共に、封止半導体を容易に脱型することができる封止半導体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)
本発明の一局面に係る封止半導体の製造方法は、離型フィルム設置工程、封止樹脂等注入工程、半導体浸漬工程および封止樹脂等固化工程を備える。離型フィルム設置工程では、型の凹部に離型フィルムが沿わせられる。なお、この離型フィルムは、クッション層および離型層を有する。クッション層は、ポリオレフィンを主成分とする。離型層は、クッション層の少なくとも片側に設けられる。封止樹脂等注入工程では、離型フィルムが沿わせられた凹部(以下「離型凹部」という)に封止樹脂または封止樹脂前駆体が注入される。半導体浸漬工程では、離型凹部内の封止樹脂中または封止樹脂前駆体中に半導体が浸漬される。封止樹脂等固化工程では、半導体が封止樹脂または封止樹脂前駆体に浸漬された状態で、封止樹脂または封止樹脂前駆体が固化される。
【0007】
この封止半導体の製造方法では、離型フィルム設置工程において、クッション層付きの離型フィルムが、型の凹部に沿わせられる。このため、この封止半導体の製造方法では、封止された半導体を容易に脱型することができる。
【0008】
また、通常、ポリオレフィンを主成分とするクッション層付きの離型フィルムは、低温度域で予備加熱される場合、フッ素樹脂フィルム等の単層フィルムに比べて十分に柔らかくなる。このため、この封止半導体の製造方法では、離型フィルム設置工程において離型フィルムが低温度域で予備加熱される場合であっても、離型フィルムを比較的容易に型の凹部に沿わせることができる。
【0009】
したがって、この封止半導体の製造方法では、低温度域で樹脂封止が行われる場合であっても封止樹脂(前駆体)を比較的容易に所望の形状に成形することができると共に、封止半導体を容易に脱型することができる。
【0010】
(2)
上述(1)の封止半導体の製造方法において、離型フィルムは、120℃における貯蔵弾性率が10.0MPa以上120.0MPa以下であることが好ましい。
【0011】
120℃における離型フィルムの貯蔵弾性率がこの範囲内であれば、封止半導体の製造方法の離型フィルム設置工程において、離型フィルムを容易に型の凹部に沿わせることができるからである。
【0012】
(3)
上述(1)または(2)の封止半導体の製造方法において、離型フィルムは、30℃における貯蔵弾性率が100.0MPa以上800.0MPa以下であることが好ましい。
【0013】
30℃における離型フィルムの貯蔵弾性率がこの範囲内であれば、封止半導体の製造方法の離型フィルム設置工程において、低温度域においても離型フィルムを容易に型の凹部に沿わせることができるからである。
【0014】
(4)
本発明の他の局面に係る封止半導体は、上述(1)から(3)のいずれかに係る封止半導体の製造方法により得られる。
【0015】
(5)
上述(1)から(3)のいずれかに係る封止半導体の製造方法において、封止半導体は、封止光半導体であるのが好ましい。
【0016】
(6)
本発明の他の局面に係る封止光半導体は、上述(5)の封止半導体の製造方法により得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る予備光デバイスの側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る光半導体の封止方法の離型フィルム設置工程における予備光デバイス、離型フィルムおよび金型の配置関係を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る光半導体の封止方法の離型フィルム設置工程において金型の凹部に離型フィルムが沿わせられた状態を示す図である。なお、本図において、予備光デバイスおよび離型フィルムは側面図で表され、金型は縦断面図で表されている。
【図4】本発明の実施の形態に係る光半導体の封止方法の封止樹脂等注入工程において離型フィルムに覆われた金型に封止樹脂等を注入した状態を示す図である。なお、本図において、予備光デバイスおよび離型フィルムは側面図で表され、金型および封止樹脂等は縦断面図で表されている。
【図5】本発明の実施の形態に係る光半導体の封止方法の光半導体浸漬工程において金型に対して予備光デバイスが圧接された状態を示す図である。なお、本図において、予備光デバイスおよび離型フィルムは側面図で表され、金型および封止樹脂等は縦断面図で表されている。
【図6】本発明の実施の形態に係る光半導体の封止方法の封止樹脂等固化工程において封止樹脂等が固化された状態を示す図である。なお、本図において、光デバイスおよび離型フィルムは側面図で表され、金型および固化封止樹脂は縦断面図で表されている。
【図7】本発明の実施の形態に係る光デバイスの側面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る離型フィルムの縦断面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る離型フィルムの製造装置の一例を示す図である。
【図10】変形例に係る離型フィルムの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<光半導体の封止方法>
本発明の実施の形態に係る光半導体の封止方法(封止光半導体の製造方法)は、離型フィルム設置工程、封止樹脂等注入工程、光半導体浸漬工程および封止樹脂等固化工程を有する。
【0019】
なお、本実施の形態において、封止対象となる光半導体としては、例えば、発光ダイオード(LED)チップなどが挙げられる。本実施の形態において、光半導体120は、図1に示されるように、支持体110の上に実装されている。また、支持体110には回路(図示せず)が形成されており、その回路にはボンディングワイヤ130を介して光半導体120が電気接続されている。なお、以下、このようなデバイス100を「予備光デバイス」と称する。
【0020】
上述のLEDチップとしては、液相成長法、MOCVD法等の方法により基板上に窒化インジウム(InN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、セレン化亜鉛(ZnSe)、炭化ケイ素(SiC)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、ヒ化ガリウムアルミニウム(GaAlAs)、窒化ガリウムアルミニウム(GaAlN)、リン化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaP)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaN)等の半導体が発光層として形成されたものが好ましい。また、支持体110としては、セラミックス基板、シリコン基板、金属基板、ポリイミド樹脂・エポキシ樹脂・BTレジン等の有機樹脂基板が挙げられる。ボンディングワイヤ130としては、金線あるいはアルミニウム線などが挙げられる。なお、支持体110には、回路の外部リード等が設けられてもよい。
【0021】
以下、各工程について詳述する。
(1)離型フィルム設置工程
離型フィルム設置工程では、図2および図3に示されるように、金型300の凹部(キャビティ)310に離型フィルム200が沿わせられる。なお、この離型フィルム200については、後に詳述する。本工程では、離型フィルム200が金型300を覆った後にエア吸引装置(図示せず)により空気孔320を介して金型300の凹部310内の空気が吸引される。その結果、離型フィルム200が金型300の凹部310に沿うことになる。なお、封止樹脂等固化工程完了後は、空気孔320を通じて凹部310に空気が供給されることにより、離型フィルム200が金型300から剥がされると共に、光デバイス101(後述)が脱型される。
【0022】
(2)封止樹脂等注入工程
封止樹脂等注入工程では、図3および図4に示されるように、離型フィルム200が沿わせられた凹部(以下「離型凹部」という)311に封止樹脂または封止樹脂前駆体(以下、これらをまとめて「封止樹脂等」と称する)400が注入される。なお、封止樹脂前駆体としては、硬化性シリコーン組成物および硬化性エポキシ組成物などが挙げられる。
【0023】
(3)光半導体浸漬工程
光半導体浸漬工程では、図5に示されるように、光半導体120およびボンディングワイヤ130が金型300の離型凹部311に対向するように予備光デバイス100が金型300に被せられ、金型300に対して予備光デバイス100が圧接される。その結果、離型凹部311内の封止樹脂等400中に光半導体120およびボンディングワイヤ130が浸漬される。
【0024】
(4)封止樹脂等固化工程
封止樹脂等固化工程では、図6および図7に示されるように、光半導体120およびボンディングワイヤ130が封止樹脂等400に浸漬された状態で、封止樹脂等400が固化され、光デバイス101が作製される。なお、本工程において、封止樹脂等400が熱可塑性樹脂である場合、封止樹脂等400は、冷却されることにより固化される。一方、封止樹脂等400が硬化性樹脂の前駆体である場合、封止樹脂等400は、加熱硬化または活性エネルギー線硬化により固化される。なお、以下、固化された封止樹脂等400を「固化封止樹脂」と称し、符号401を付する(図6および図7参照)。
【0025】
また、固化封止樹脂401は、支持体110および光半導体120に接着していることが好ましい。この固化封止樹脂401は、透明な樹脂であってもよいし、蛍光体等を含有した樹脂であってもよい。また、この固化封止樹脂401の形状は、特に限定されず、一般的には、凸レンズ状、円すい台状、四角すい台状であるが、凸レンズ状であることが好ましい。
【0026】
(5)その他の工程
なお、本実施の形態では、封止樹脂等固化工程の後工程として切断工程が設けられてもかまわない。切断工程では、ダイシングソー、レーザー等によって支持体110が切断または破断されることによって、光デバイス101から複数個の光デバイスが製造される。
【0027】
<離型フィルムの詳細>
本発明の実施の形態に係る離型フィルム200は、図8に示されるように、主に、離型層210およびクッション層220から構成される。なお、本実施の形態において、離型フィルム200の厚みは25〜300μmであるのが好ましい。
【0028】
以下、これらの層それぞれについて詳述する。
<離型フィルムの構成層の詳細>
1.離型層
離型層210は、封止樹脂等400および固化封止樹脂401に対して良好な離型性を有する樹脂(以下、「離型層形成樹脂」と称する)から形成される。そのような離型層形成樹脂としては、例えば、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)(以下「TPX(登録商標)樹脂」と称する)を主成分とする樹脂、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂(以下「SPS樹脂」と称する)を主成分とする樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂を主成分とする樹脂、ポリエーテルエステルブロック共重合体を主成分とする樹脂が挙げられる。なお、本実施の形態において、離型層210の厚みは5μm以上であるのが好ましく、10μm以上であるのがより好ましい。以下、各離型層形成樹脂につき詳述する。
【0029】
(1)TPX樹脂を主成分とする樹脂
TPX樹脂を主成分とする樹脂には、TPX樹脂が90重量%以上含有されているのが好ましく、95重量%以上含有されているのが好ましい。なお、離型層210はTPX樹脂のみから形成されてもかまわない。なお、TPX樹脂は、三井化学(株)から商品名TPX(登録商標)として市販されている。
【0030】
(2)SPS樹脂を主成分とする樹脂
SPS樹脂を主成分とする樹脂は、出光興産(株)から商品名ザレック(登録商標)(XAREC(登録商標))として市販されている。離型層形成樹脂におけるSPS樹脂の含有率は、70重量%以上90重量%以下であるが、85重量%以上90重量%以下であるのが好ましい。
【0031】
SPS樹脂とは、シンジオタクチック構造、すなわち炭素−炭素シグマ結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体規則構造を有する樹脂である。
【0032】
なお、このようなSPS樹脂としては、例えば、特開2000−038461号公報に示されるように、ラセミダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、若しくはラセミペンタッドで30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(アリールスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)、これらの水素化重合体およびこれらの混合物、あるいはこれらを主成分とする共重合体などが挙げられる。
【0033】
ポリ(アルキルスチレン)としては、例えば、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(イソプロピルスチレン)、ポリ(t−ブチルスチレン)等が挙げられる。
【0034】
ポリ(アリールスチレン)としては、例えば、ポリ(フェニルスチレン)、ポリ(ビニルナフタレン)、ポリ(ビニルスチレン)等が挙げられる。
【0035】
ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、例えば、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フルオロスチレン)等が挙げられる。
【0036】
ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)としては、例えば、ポリ(クロロメチルスチレン)等が挙げられる。
【0037】
ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)等が挙げられる。
【0038】
なお、上述のうち、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−t−プチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)、水素化ポリスチレン及びこれらの構造単位を含む共重合体が特に好ましい。
【0039】
なお、かかる場合、離型層形成樹脂の結晶化度は、示差走査熱量計(DSC)による測定において14.0%以上30.0%未満であるのが好ましい。離型層形成樹脂の結晶化度が上述の通りであると、従来の離型フィルムよりも良好な型追従性を得ることができるからである。
【0040】
(3)ポリブチレンテレフタレート樹脂を主成分とする樹脂
ポリブチレンテレフタレートを主成分とする樹脂には、ポリブチレンテレフタレートが90重量%以上含有されているのが好ましく、95重量%以上含有されているのが好ましい。なお、離型層210はポリブチレンテレフタレートのみから形成されてもかまわない。
【0041】
(4)ポリエーテルエステルブロック共重合体を主成分とする樹脂
ポリエーテルエステルブロック共重合体を主成分とする樹脂には、ポリエーテルエステルブロック共重合体が90重量%以上含有されているのが好ましく、95重量%以上含有されているのが好ましい。なお、離型層210はポリエーテルエステルブロック共重合体のみから形成されてもかまわない。
【0042】
ポリエーテルエステルブロック共重合体は、ポリエーテルセグメントと、ポリエステルセグメントとから主に構成される。なお、ポリエーテルセグメントとポリエステルセグメントとの重量比は、80:20から90:10の範囲内であるのが好ましい。また、ポリエーテルセグメントの構成単位は主にオキシブチレン単位であるのが好ましく、ポリエステルセグメントの構成単位は主に下記化学式(I)に示されるエステル単位であるのが好ましい。なお、このようなポリエーテルエステルブロック共重合体は、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)から商品名ノバデュラン(登録商標)5505S、5510Sとして市販されている。
【化1】

【0043】
(4)TPX樹脂、SPS樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルエステルブロック共重合体以外の樹脂
離型層形成樹脂を構成するTPX樹脂、SPS樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルエステルブロック共重合体以外の樹脂としては、例えば、エラストマー樹脂や、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等が挙げられる。なお、これらの樹脂は単独で、または、二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
なお、エラストマー樹脂としては、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ネオプレン、ポリスルフィドゴム、チオコールゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SEB)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIR)、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、またはエチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、直鎖状低密度ポリエチレン系エラストマー等のオレフィン系ゴム、もしくはブタジエン−アクリロニトリル−スチレン−コアシェルゴム(ABS)、メチルメタアクリレート−ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(MBS)、メチルメタアクリレート−ブチルアクリレート−スチレン−コアシェルゴム(MAS)、オクチルアクリレート−ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(MABS)、アルキルアクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン−コアシェルゴム(AABS)、ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(SBR)、メチルメタアクリレート−ブチルアクリレート−シロキサン等のシロキサン含有コアシェルゴム等のコアシェルタイプの粒子状弾性体、またはこれらを変性したゴム等が挙げられる。
【0045】
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、直鎖状高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ポリブテン、1,2−ポリブタジエン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、環状ポリオレフィン及びこれらの共重合体(例えば、エチレン−メタアクリル酸メチル共重合体等)等が挙げられる。
【0046】
ポリスチレン系樹脂としては、例えば、アタクチックポリスチレン、アイソタクチックポリスチレン、高耐衝撃ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、スチレン−メタアクリル酸共重合体、スチレン−メタアクリル酸・アルキルエステル共重合体、スチレン−メタアクリル酸・グリシジルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸・アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−フマル酸共重合体等が挙げられる。
【0047】
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0048】
ポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロン(登録商標)6、ナイロン(登録商標)6,6等が挙げられる。
【0049】
(3)その他
離型性形成樹脂には、各種の添加剤、例えば、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、核剤、帯電防止剤、プロセスオイル、可塑剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、顔料等が配合されてもかまわない。
【0050】
なお、アンチブロッキング剤としては、以下のような無機粒子または有機粒子が挙げられる。無機粒子としては、IA族、IIA族、IVA族、VIA族、VIIA族、VIIIA族、IB族、IIB族、IIIB族、IVB族元素の酸化物、水酸化物、硫化物、窒素化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、燐酸塩、亜燐酸塩、有機カルボン酸塩、珪酸塩、チタン酸塩、硼酸塩およびそれらの含水化合物、並びにそれらを中心とする複合化合物および天然鉱物粒子が挙げられる。
【0051】
このような無機粒子の具体的な例としては、フッ化リチウム、ホウ砂(ホウ酸ナトリウム含水塩)等のIA族元素化合物;炭酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、酸化マグネシウム(マグネシア)、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、フッ化マグネシウム、チタン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム含水塩(タルク)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、硫酸カルシウム(石膏)、酢酸カルシウム、テレフタル酸カルシウム、水酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、フッ化カルシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、炭酸バリウム、リン酸バリウム、硫酸バリウム、亜硫酸バリウム等のIIA族元素化合物;二酸化チタン(チタニア)、一酸化チタン、窒化チタン、二酸化ジルコニウム(ジルコニア)、一酸化ジルコニウム等のIVA族元素化合物;二酸化モリブデン、三酸化モリブデン、硫化モリブデン等のVIA族元素化合物;塩化マンガン、酢酸マンガン等のVIIA族元素化合物;塩化コバルト、酢酸コバルト等のVIII族元素化合物;ヨウ化第一銅等のIB族元素化合物;酸化亜鉛、酢酸亜鉛等のIIB族元素化合物;酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化アルミニウム、フッ化アルミニウム、アルミナシリケート(ケイ酸アルミナ、カオリン、カオリナイト)等のIIIB族元素化合物;酸化ケイ素(シリカ、シリカゲル)、石墨、カーボン、グラファイト、ガラス等のIVB族元素化合物;カーナル石、カイナイト、雲母(マイカ、キンウンモ)、バイロース鉱等の天然鉱物の粒子が挙げられる。
【0052】
有機粒子としては、フッ素樹脂、メラミン系樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、アクリル系レジンシリコーン及びそれらの架橋体が挙げられる。
【0053】
上述の無機粒子や有機粒子の平均粒径は0.1〜10μmであるのが好ましく、添加量は0.01〜15重量%であるのが好ましい。
【0054】
なお、これらのアンチブロッキング剤は単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0055】
酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、2−[(1−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートなどが挙げられる。なお、これらの酸化防止剤は単独で、または、二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
核剤としては、アルミニウムジ(p−t−ブチルベンゾエート)等のカルボン酸の金属塩、メチレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェノール)アシッドホスフェートナトリウム等のリン酸の金属塩、タルク、フタロシアニン誘導体等が挙げられる。なお、これらの核剤は単独で、または、二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0057】
可塑剤としては、ポリエチレングリコール、ポリアミドオリゴマー、エチレンビスステアロアマイド、フタル酸エステル、ポリスチレンオリゴマー、ポリエチレンワックス、シリコーンオイル等が挙げられる。なお、これらの可塑剤は、単独で、または、二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0058】
離型剤としては、ポリエチレンワックス、シリコーンオイル、長鎖カルボン酸、長鎖カルボン酸金属塩等が挙げられる。なお、これらの離型剤は単独で、または、二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0059】
プロセスオイルとしては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマ系オイル等が挙げられる。なお、これらの中でもn−d−M法で算出されるパラフィン(直鎖)に関わる炭素数の全炭素数に対する百分率が60%Cp以上のパラフィン系オイルが好ましい。
【0060】
プロセスオイルの粘度は、40℃での動粘度が15〜600csであるのが好ましく、15〜500csであるのがさらに好ましい。また、プロセスオイルの添加量は、離型性形成樹脂100重量部に対して0.01〜1.5重量部であるのが好ましく、0.05〜1.4重量部であるのがより好ましく、0.1〜1.3重量部であるのがさらに好ましい。なお、これらのプロセスオイルは、単独で、または、二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0061】
2.クッション層
クッション層220は、本実施の形態において、ポリプロピレンまたはエチレン−メタアクリル酸メチル共重合体を主成分とする樹脂(以下「クッション層形成樹脂」と称する)から形成される。なお、クッション層形成樹脂は、ポリプロピレンまたはエチレン−メタアクリル酸メチル共重合体のみから形成されてもかまわない。また、このクッション層形成樹脂には、離型層210との接着性を良好にする目的で、上述の離型層形成樹脂中の主成分樹脂(TPX樹脂、SPS樹脂、ポリエーテルエステルブロック共重合体)が添加されてもかまわない。このクッション層形成樹脂には、加熱時における流れ出しを防止する目的で、ポリオレフィン系樹脂を添加してもかまわない。なお、ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、直鎖状高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ポリブテン、1,2−ポリブタジエン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、環状ポリオレフィン及びこれらの共重合体等が挙げられる。
本実施の形態において、離型層210とクッション層220との接着性が良好でない場合、それらの層の間にアンカー層やプライマー層(接着層)を介在させてもかまわない。
【0062】
なお、このクッション層形成樹脂には、必要に応じて、本発明の趣旨を損ねない範囲で、その他、上述のエラストマー樹脂や添加剤が配合されてもかまわない。
【0063】
<離型フィルムの製造方法>
本実施の形態に係る離型フィルム200は、共押出法や押出ラミネート法等の方法で製造することができる。
【0064】
共押出法では、フィードブロック、マルチマニホールドダイを使用して離型層210とクッション層220とを同時に押し出すことにより離型フィルム200を製造する。なお、共押出法では、ダイス510を通過した融解物Mは、図9に示されるように、第1ロール530に誘導されると共にタッチロール520によって第1ロール530に固定化され、第1ロール530から脱離するまでの間に第1ロール530により冷却され、離型フィルム200となる。その後、その離型フィルム200は、第2ロール540によりフィルム送り方向(図9の矢印参照)下流側に送られ、最終的に巻取ロール(図示せず)に巻き取られる。なお、このとき、第1ロール530の温度は30〜100℃であるのが好ましく、タッチロール520の温度は30〜100℃であるのが好ましく、第1ロール530に対する第2ロール540の周速比は0.990〜0.998であるのが好ましい。
【0065】
押出しラミネート法では、押出機シリンダーの温度を200〜300℃に設定して離型層210を押出し、その離型層210をクッション層220と合流させることにより離型層210とクッション層220とを積層して離型フィルム200を製造する。なお、押出しラミネート法では、ダイス510を通過した離型層形成樹脂の融解物Mは、図9に示されるように、第1ロール530に誘導されると共にタッチロール520によって第1ロール530に固定化され、第1ロール530から脱離するまでの間に第1ロール530により冷却されて離型層フィルムFとなる。その後、その離型層フィルムFは、第2ロール540によりフィルム送り方向(図9の矢印参照)下流側に送られる。そして、フィルム送り方向下流側に送られた離型層フィルムFに、クッション層形成樹脂の溶融物(図示せず)が合流させられて離型層フィルムFと一体化され、離型フィルム200が製造される。なお、このようにして製造された離型フィルム200は、さらにフィルム送り方向下流側に設けられる巻取ロール(図示せず)に巻き取られる。なお、このときも、第1ロール530の温度は30〜100℃であるのが好ましく、タッチロール520の温度は30〜100℃であるのが好ましく、第1ロール530に対する第2ロール540の周速比は0.990〜0.998であるのが好ましい。
【0066】
なお、必要に応じて、上述のようにして得られた離型フィルム200の離型層210中のTPX樹脂、SPS樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルエステルブロック共重合体の結晶化度を公知の熱処理装置により調節してもかまわない。例えば、テンター装置を使用し乾燥機の中にて離型フィルム200を熱固定する方法や熱処理ロールを使用して50〜220℃近辺で熱処理を行えばよい。
【0067】
<変形例>
先の実施の形態では、クッション層220の片側にのみ離型層210が設けられる離型フィルム200が紹介されたが、図10に示されるように、クッション層220の両側に離型層210a,210bが設けられる離型フィルム200Aも本発明の一実施の形態に含まれる。なお、以下、符号210aの離型層を「第1離型層」と称し、符号210bの離型層を「第2離型層」と称する。
【0068】
第1離型層210aは、先の実施の形態に係る離型層210と同一の構造を有する。その一方、第2離型層210bは、第1離型層210aと同一の構造を有していてもよいし、第1離型層210aと異なる構造を有していてもよい。後者の場合、第2離型層210bとクッション層220と接着力が低下するおそれがあるが、そのような場合には、第2離型層210bとクッション層220との間にアンカー層やプライマー層(接着層)を介在させてもよい。
【0069】
<実施例>
以下、実施例を示して本発明をより詳細に説明する。
【実施例1】
【0070】
1.離型フィルムの製造
(1)離型層の原料
離型層の原料として、TPX樹脂(三井化学(株)社製のTPX(登録商標)MX002)を用いた。
【0071】
(2)クッション層の原料
クッション層の原料として、エチレン−メタアクリル酸メチル共重合体(メタアクリル酸メチル誘導単位含有量:5重量%)(住友化学(株)製のアクリフト(登録商標)WD106)(以下「EMMA」と称する)を用いた。
【0072】
(3)離型フィルムの作製
共押出法を利用して、クッション層の表裏に同一の離型層を有する離型フィルム(図10参照)を作製した。
【0073】
なお、具体的には、マルチマニホールドダイを使用してTPX樹脂、EMMAおよびTPX樹脂 を同時に押し出して離型フィルムを作製した。なお、このときの第1ロール530の温度は30℃であり、タッチロール520の温度は30℃であり、第1ロール530に対する第2ロール540の周速比は0.990であった。
【0074】
この離型フィルムの離型層の厚みは表裏共に15μmであり、クッション層の厚みは20μmであった。
【0075】
2.離型フィルムの評価
(1)離型フィルムの型追従性および成形品外観の評価
先ず、金型温度120℃の条件下、上述のようにして得られた離型フィルムを、16個の半球状凹部(半径3.5mm)を有する金型に被せ、空気吸引機を用いて700Torrで空気孔から半球状凹部中の空気を排出し、離型フィルムを半球状凹部に沿わせた(図2および図3参照)。そして、その約10秒後の離型フィルムの状態(型追従性)を目視にて確認した。なお、この確認において、離型フィルムが金型の凹部の表面積の80%以上に沿っていればA評価とし、離型フィルムが金型の凹部の表面積の60%以上に沿っていればB評価とし、離型フィルムが金型の凹部の表面積の60%未満にしか沿っていなければC評価とした。なお、本実施例に係る離型フィルムの型追従性はA評価であった(表1参照)。
【0076】
また、上述の状態で、離型フィルムに覆われた半球状凹部に硬化性シリコーン組成物を注入した後、金型に予備光デバイスを圧接しながら、その硬化性シリコーン組成物を120℃の温度下で5分間、熱硬化させた。そして、「硬化性シリコーン組成物の硬化物が半球状凹部に完全に転写したもの」をA評価とし、「同硬化物が半球状凹部の形状を完全に転写しきれなかったもの」及び「同硬化物に歪や欠損が発生したもの」をB評価とした。なお、本実施例に係る離型フィルムを用いて得られた硬化物(成形品)の外観はA評価であった(表1参照)。
【0077】
(2)離型フィルムの貯蔵弾性率
離型フィルムの貯蔵弾性率は、「セイコー電子(株)製DMS−210型」粘弾性測定装置を用いて測定された。具体的には、離型フィルムを幅4.0mm、長さ20.0mmに切り出して試験片を作製した後、その試験片をチャックに固定した。そして、その試験片を引っ張りながらその試験片の貯蔵弾性率を測定した。なお、30℃での貯蔵弾性率をXとして、測定結果を以下のようにA判定およびB判定で分類した。
A判定:100.0MPa≦X≦800.0MPa
B判定:X<100.0MPaまたは800.0MPa<X
また、120℃での貯蔵弾性率をYとして、測定結果を以下のようにA判定およびB判定で分類した。
A判定:10.0MPa≦Y≦120.0MPa
B判定:Y<10.0MPaまたは120.0MPa<Y
本実施例に係る離型フィルムの30℃における貯蔵弾性率はA判定であり、120℃における貯蔵弾性率はA判定であった(表1参照)。
【実施例2】
【0078】
クッション層の原料としてポリプロピレン(住友化学(株)製 ノーブレン FLX80E4)を用いた以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作製し、実施例1と同様にして離型フィルムの評価を行った。
【0079】
評価の結果、本実施例に係る離型フィルムの型追従性はB評価であり、成形品外観はA評価であった(表1参照)。また、本実施例に係る離型フィルムの30℃における貯蔵弾性率はA判定であり、同離型フィルムの120℃における貯蔵弾性率はA判定であった(表1参照)。
【実施例3】
【0080】
クッション層の原料としてポリプロピレン(住友化学(株)製 ノーブレンFLX80E4)70重量部とTPX樹脂(三井化学(株)社製のTPX(登録商標)MX002)30重量部の混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作製し、実施例1と同様にして離型フィルムの評価を行った。
【0081】
評価の結果、本実施例に係る離型フィルムの型追従性はB評価であり、成形品外観はA評価であった(表1参照)。また、本実施例に係る離型フィルムの30℃における貯蔵弾性率はA判定であり、同離型フィルムの120℃における貯蔵弾性率はA判定であった(表1参照)。
【実施例4】
【0082】
離型層の原料としてSPS樹脂(出光興産(株)社製のザレック(登録商標)S107)を用いた以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作製し、実施例1と同様にして離型フィルムの評価を行った。
【0083】
評価の結果、本実施例に係る離型フィルムの型追従性はA評価であり、成形品外観はA評価であった(表1参照)。また、本実施例に係る離型フィルムの30℃における貯蔵弾性率はA判定であり、同離型フィルムの120℃における貯蔵弾性率はA判定であった(表1参照)。
【実施例5】
【0084】
離型層の原料としてポリブチレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体(ポリブチレンテレフタレート構成単位/ポリテトラメチレングリコール構成単位 90重量部/10重量部)(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製のノバデュラン(登録商標)5505S)を用いた以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作製し、実施例1と同様にして離型フィルムの評価を行った。
【0085】
評価の結果、本実施例に係る離型フィルムの型追従性はA評価であり、成形品外観はA評価であった(表1参照)。また、本実施例に係る離型フィルムの30℃における貯蔵弾性率はA判定であり、同離型フィルムの120℃における貯蔵弾性率はA判定であった(表1参照)。
(比較例1)
【0086】
押出法を利用して、TPX樹脂の単層型離型フィルムを作製した。なお、この単層型離型フィルムの厚みは50μmであった。そして、実施例1と同様にしてこの単層型離型フィルムの評価を行った。
【0087】
評価の結果、本比較例に係る単層型離型フィルムの型追従性はC評価であり、成形品外観もB評価であった(表1参照)。また、本比較例に係る単層型離型フィルムの30℃における貯蔵弾性率はA判定であり、同単層型離型フィルムの120℃における貯蔵弾性率はB判定であった(表1参照)。
(比較例2)
【0088】
1.離型フィルムの製造
(1)離型層の原料
離型層の原料として、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(エチレン含有率:41重量%)(以下「ETFE」と称する)を用いた。
【0089】
(2)耐熱樹脂層の原料
耐熱樹脂層の原料として、ポリアミド−66(旭化成(株)製のレオナ1700S)(以下「PA−66」と称する)を用いた。
【0090】
(3)接着層の原料
離型層と耐熱樹脂層とを接着する接着層の原料として、ポリエステル系接着剤(PEs系AD)を用いた。
【0091】
(4)離型フィルムの作製
先ず、PA−66を300℃で溶融押出して膜厚30μmのポリアミドフィルムを作製した。次いで、このポリアミドフィルムの片面に、乾燥後の膜厚が1μmとなるようにポリエステル系接着剤を塗布して、ポリアミドフィルムの片面上に接着層を形成した。続いて、この接着層付きポリアミドフィルムを押出ラミネート装置に設置した。その後、離型層の膜厚が15μmとなるようにT型ダイのスリット幅を調整しながらETFEを320℃で溶融押出し、ETFEフィルムを作製した。そして、バックロールを用いてこのETFEフィルムを接着層付きポリアミドフィルムに130℃でラミネートして、離型フィルムを得た。
【0092】
2.離型フィルムの評価
実施例1と同様にして、本比較例に係る離型フィルムの評価を行った。
評価の結果、本比較例に係る離型フィルムの型追従性はC評価であり、成形品外観もB評価であった(表1参照)。また、本比較例に係る離型フィルムの30℃における貯蔵弾性率はB判定であり、同離型フィルムの120℃における貯蔵弾性率はB判定であった(表1参照)。
(比較例3)
【0093】
1.離型フィルムの製造
(1)離型層の原料
第1離型層の原料として、4−メチル−1−ペンテンとダイアレン168(三菱化学(株)製の炭素数16と18のα−オレフィンの混合物)との共重合体(ダイアレン168の含有量:1.5重量%)(以下「MP共重合体」と称する)を用いた。
【0094】
(2)耐熱樹脂層の原料
耐熱樹脂層の原料として、ポリアミド−66(旭化成(株)製のレオナ1700S)(以下「PA−66」と称する)を用いた。
【0095】
(3)接着層の原料
離型層と耐熱樹脂層とを接着する接着層の原料として、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)に無水マレイン酸をグラフトしたグラフト共重合体(以下「MA−g−MP共重合体」と称する)を用いた。
【0096】
(4)離型フィルムの作製
共押出法を利用して、耐熱樹脂層の表裏に同一の接着層および離型層を有する離型フィルムを作製した。
【0097】
なお、具体的には、フィードブロック、マルチマニホールドダイを使用してMP共重合体、MA−g−MP共重合体、PA−66、MA−g−MP共重合体およびMP共重合体を同時に押し出して離型フィルムを作製した。
【0098】
この離型フィルムの離型層の厚みは表裏共に15μmであり、接着層の厚みは表裏共に5μmであり、クッション層の厚みは25μmであった。
【0099】
2.離型フィルムの評価
実施例1と同様にして本比較例に係る離型フィルムの評価を行った。
評価の結果、本比較例に係る離型フィルムの型追従性はC評価であり、成形品外観もB評価であった(表1参照)。また、本比較例に係る離型フィルムの30℃における貯蔵弾性率はB判定であり、同離型フィルムの120℃における貯蔵弾性率はB判定であった(表1参照)。
【表1】

【符号の説明】
【0100】
100 予備光デバイス
101 光デバイス
110 支持体
120 光半導体(半導体)
130 ボンディングワイヤ
200 離型フィルム
200A 離型フィルム
210 離型層
210a 第1離型層
210b 第2離型層
220 クッション層
300 金型(型)
310 凹部
311 離型凹部
320 空気孔
400 封止樹脂等(封止樹脂または封止樹脂前駆体)
401 固化封止樹脂
510 ダイス
520 タッチロール
530 第1ロール
540 第2ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンを主成分とするクッション層と、前記クッション層の少なくとも片側に設けられる離型層とを有する離型フィルムを、型の凹部に沿わせる離型フィルム設置工程と、
前記離型フィルムが沿わせられた前記凹部(以下「離型凹部」という)に封止樹脂または封止樹脂前駆体を注入する封止樹脂等注入工程と、
前記離型凹部内の封止樹脂中または封止樹脂前駆体中に半導体を浸漬する半導体浸漬工程と、
半導体を前記封止樹脂または前記封止樹脂前駆体に浸漬させた状態で、前記封止樹脂または前記封止樹脂前駆体を固化させる封止樹脂等固化工程と
を備える、封止半導体の製造方法。
【請求項2】
前記離型フィルムは、120℃における貯蔵弾性率が10.0MPa以上120.0MPa以下である
請求項1に記載の封止半導体の製造方法。
【請求項3】
前記離型フィルムは、30℃における貯蔵弾性率が100.0MPa以上800.0MPa以下である
請求項1または2に記載の封止半導体の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の封止半導体の製造方法により得られる、封止半導体。
【請求項5】
前記封止半導体は、封止光半導体である
請求項1から3のいずれか1項に記載の封止半導体の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の封止半導体の製造方法により得られる、封止光半導体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−84949(P2013−84949A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−215828(P2012−215828)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】