説明

封着材料

【課題】ガラス粉末とビーズの適合性を改良することにより、封着工程で封着材料が流動不良を引き起こす事態を防止する。
【解決手段】本発明の封着材料は、少なくともガラス粉末とビーズとを含む封着材料において、ビーズの平均粒子径D50が35〜270μmであり、ガラス粉末が、ガラス組成として、モル%で、Bi 25〜60%、B 15〜40%、ZnO 1〜39%を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封着材料に関し、特にプラズマディスプレイパネル(以下、PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(以下、FED)、蛍光表示管(以下、VFD)等の平面表示装置の封着に好適な封着材料に関する。
【背景技術】
【0002】
封着材料は、PDPの製造工程において、以下の熱処理工程を経る。まずPDPの背面ガラス基板の外周縁部にビークル内に分散された封着材料を塗布した後、仮焼成を行い、高温でビークル成分を熱分解又は焼却する。仮焼成工程は、ビークルに使用される樹脂が完全に熱分解する温度条件、例えば350〜500℃程度で行われる。次に、封着工程でPDPの前面ガラス基板と背面ガラス基板を封着する。封着工程は、封着材料が軟化変形する温度条件、例えば450〜500℃程度で行われる。最後に、排気管を通してPDP内部を真空排気した後、希ガスを必要量注入して排気管を封止する。この真空排気工程は420〜480℃程度で行われる。
【0003】
上記のように作製されたPDPでは、所望の特性を得るためにガラス基板間の間隙寸法を厳密に規制する必要がある。
【0004】
詳細に説明すると、表示領域におけるガラス基板間の間隙寸法は、隔壁等の高さ寸法により規定される。しかし、ガラス基板の周縁部では、隔壁等が形成されていないため、表示エリアの間隙寸法より小さくなる場合がある。この場合、ガラス基板の周縁部が湾曲して、PDPの画質を低下させる虞が生じる。なお、この現象は、熱処理工程(特に封着工程と真空排気工程)で、軟化し得る状態の封着層が大気圧等の力を受けることで生じると考えられている。
【0005】
このような事態を防止するため、特許文献1〜3には、表示エリアの間隙寸法に相当するビーズを封着材料中に添加する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−236896号公報
【特許文献2】特開2003−36794号公報
【特許文献3】特開2003−217464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の通り、PDPは、仮焼成工程、封着工程、真空排気工程を経て、製造される。これらの熱処理工程の中で、封着工程は、最も高温の熱処理工程である。近年、PDPの製造効率を高めるために、封着工程の熱処理温度を上昇、例えば500℃以上に上昇させる検討が進められている。
【0008】
しかし、従来のガラス粉末は、高温域、例えば500℃以上の温度域で、ビーズ成分と反応して、その反応によりガラスが失透し易くなる。封着工程でガラス粉末が失透すると、封着材料が軟化流動し難くなり、結果として、封着強度の低下や気密リーク等が発生し易くなる。
【0009】
そこで、本発明は、ガラス粉末とビーズの適合性を改良することにより、封着工程で封着材料が流動不良を引き起こす事態を防止することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、鋭意努力の結果、ビーズの形状、ガラス粉末のガラス組成を所定範囲に規制することにより、上記技術的課題を解決できることを見出し、本発明として、提案するものである。すなわち、本発明の封着材料は、少なくともガラス粉末とビーズとを含む封着材料において、ビーズの平均粒子径D50が35〜270μmであり、ガラス粉末が、ガラス組成として、モル%で、Bi 25〜60%、B 15〜40%、ZnO 1〜39%を含有することを特徴とする。ここで、「ビーズ」は、真球形状のガラスに限定されるものではなく、重心を通る最も短い径を最も長い径で割った値が0.7以上(望ましくは0.8以上、特に0.9以上)のものを指す。「平均粒子径D50」は、レーザ回折法で測定した値を指し、レーザ回折法で測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して50%である粒径を表す。
【0011】
本発明の封着材料は、上記のようにガラス粉末のガラス組成が規制されている。このようにすれば、封着工程でビーズ成分がガラス粉末中に溶出しても、ガラス粉末の熱的安定性(耐失透性)が低下し難くなり、結果として、封着工程で封着材料が軟化流動し易くなる。また、このようにすれば、封着材料の軟化点が低下し易くなるため、ガラス基板同士の封着強度を高め易くなる。
【0012】
また、本発明の封着材料は、ビーズの平均粒子径D50が35〜270μmに規制されている。ビーズの平均粒子径D50を35μm以上に規制すれば、ガラス基板間の間隙寸法を均一化し易くなると共に、封着工程でビーズ成分がガラス粉末中に溶出し難くなる。一方、ビーズの平均粒子径D50を270μm以下に規制すれば、PDP等の薄型化を推進しつつ、ガラス基板等にクラックが発生する事態を防止し易くなる。
【0013】
第二に、本発明の封着材料は、ビーズの含有量が0.01〜3質量%であることが好ましい。
【0014】
第三に、本発明の封着材料は、ビーズが500℃30分間の熱処理で軟化変形しないことが好ましい。このようにすれば、封着工程の熱処理温度が高温化しても、ガラス基板間の間隙寸法を均一化し易くなる。ここで、「500℃30分間の熱処理で軟化変形しない」とは、500℃30分間の熱処理前後において、ビーズの寸法変化が±5%以内であることを指す。
【0015】
第四に、本発明の封着材料は、更に耐火性フィラーを含むことが好ましい。
【0016】
第五に、本発明の封着材料は、PDPの封着に用いることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】マクロ型DTA装置で測定したときの封着材料の軟化点を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の封着材料において、ビーズの平均粒子径D50は35〜270μm、好ましくは50〜200μmであり、より好ましくは80〜150μmである。ビーズの平均粒子径D50が大き過ぎると、PDP等の薄型化を図り難くなると共に、ビーズがガラス基板の厚み方向に重なり合うと、ガラス基板等にクラックが発生する虞がある。一方、ビーズの平均粒子径D50が小さ過ぎると、ガラス基板間の間隙寸法を均一化し難くなると共に、封着工程でビーズ成分がガラス粉末中に溶出し易くなり、結果として、封着材料の熱的安定性を低下させる虞が生じる。
【0019】
本発明の封着材料において、ガラス粉末が、ガラス組成として、モル%で、Bi 25〜60%、B 15〜40%、ZnO 1〜39%を含有する。上記のように、ガラス粉末のガラス組成範囲を限定した理由を下記に示す。
【0020】
Biは、軟化点を低下させるための主要成分であり、その含有量は25〜60%、30〜55%、特に36〜50%が好ましい。Biの含有量が少な過ぎると、軟化点が高くなり過ぎて、軟化流動性が低下し易くなる。一方、Biの含有量が多過ぎると、封着工程でガラスがビーズ成分と反応して、失透し易くなり、この失透に起因して、軟化流動性が低下し易くなる。
【0021】
は、ガラス形成成分として必須の成分であり、その含有量は15〜40%、15〜33%、特に18〜28%が好ましい。Bの含有量が少な過ぎると、ガラスネットワークが形成され難くなるため、熱処理時にガラスが失透し易くなる。一方、Bの含有量が多過ぎると、ガラスの粘性が高くなり過ぎて、軟化流動性が低下し易くなる。
【0022】
ZnOは、熱的安定性を高める成分であり、その含有量は1〜39%、5〜30%、10〜25%、特に13〜25%が好ましい。その含有量が少な過ぎる、或いは多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、熱的安定性が低下し易くなる。
【0023】
上記成分以外にも、例えば、以下の成分を添加してもよい。
【0024】
SrOは、熱的安定性を高める成分であり、その含有量は0〜20%、特に0〜15%が好ましい。SrOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆に熱的安定性が低下し易くなる。
【0025】
BaOは、熱的安定性を高める成分であり、その含有量は0〜20%、特に3〜12%が好ましい。BaOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆に熱的安定性が低下し易くなる。
【0026】
CuO+Fe(CuOとFeの合量)は、熱的安定性を高める成分であり、その含有量は0〜25%、0.01〜12%、特に0.1〜10%が好ましい。Bi−B−ZnO系ガラスの軟化点を下げるためには、ガラス組成中にBiを多量に導入する必要があるが、Biの含有量を増加させると、封着工程でガラス粉末がビーズ成分と反応して、失透し易くなり、この失透に起因して軟化流動性が低下し易くなる。特に、Biの含有量が30%以上になると、その傾向が顕著になる。この対策として、CuO+Feを適量添加すれば、Biの含有量が30%以上であっても、ガラスの失透を効果的に抑制することができる。なお、CuO+Feの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆に熱的安定性が低下し易くなる。
【0027】
CuOは、熱的安定性を高める成分であり、その含有量は0〜22%、特に0.1〜10%が好ましい。CuOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆に熱的安定性が低下し易くなる。
【0028】
Feは、熱的安定性を高める成分であり、その含有量は0〜10%、0.1〜8%、特に0.3〜5%が好ましい。Feの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆に熱的安定性が低下し易くなる。
【0029】
Sbは、熱的安定性を高める成分であり、その含有量は0〜5%、特に0.1〜2%が好ましい。Sbの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆に熱的安定性が低下し易くなる。
【0030】
CeOは、熱的安定性を高める成分であり、その含有量は0〜5%、特に0.1〜2%が好ましい。CeOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆に熱的安定性が低下し易くなる。
【0031】
SiOは、耐水性を高める成分であるが、軟化点を上昇させる作用を有する。このため、SiOの含有量は0〜5%、0〜2%、特に0〜1%が好ましい。また、SiOの含有量が多過ぎると、熱処理時にガラスが失透し易くなることに加えて、軟化点が高くなり過ぎて、軟化流動性が低下し易くなる。
【0032】
Alは、耐水性を高める成分であり、その含有量は0〜5%、特に0〜2%が好ましい。Alの含有量が多過ぎると、軟化点が不当に上昇する虞がある。
【0033】
本発明の封着材料において、ガラス粉末は、環境的観点から、ガラス組成中に実質的にPbOを含まない、つまりPbOの含有量が1000ppm(質量)以下であることが好ましい。
【0034】
本発明の封着材料において、ガラス粉末の平均粒子径D50は15μm未満、0.5〜10μm、特に1〜5μmが好ましい。ガラス粉末の平均粒子径D50が小さい程、ガラス粉末の軟化点が低下する。
【0035】
本発明の封着材料において、ビーズは封着工程で軟化変形しない材料が好ましい。具体的には、500℃30分間、550℃30分間、580℃30分間、590℃30分間、特に600℃30分間の熱処理で軟化変形しないことが好ましい。
【0036】
本発明の封着材料において、ビーズの含有量(添加量)は0.01〜3質量%、0.03〜0.5質量%、特に0.04〜0.15質量%が好ましい。ビーズの含有量が少な過ぎると、基板間の間隙寸法を均一化し難くなり、基板の周縁部の湾曲を抑制し難くなる。一方、ビーズの含有量が多過ぎると、ビーズ同士が隣接し易くなり、その間に形成された空洞により、気密リークが発生する虞が生じる。
【0037】
本発明の封着材料において、ビーズの熱膨張係数は60〜90×10−7/℃、68〜90×10−7/℃、特に80〜88×10−7/℃が好ましい。このようにすれば、封着層に不当な応力が残存する事態を防止し易くなる。ここで、「熱膨張係数」は、30〜300℃の温度範囲で測定した平均値を指す。
【0038】
本発明の封着材料において、種々のビーズが利用可能であり、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸亜鉛、コーディエライト、ジルコン、リン酸ニオビウム、ホウ珪酸ガラス、ソーダ石灰ガラスが利用可能である。特に、機械的強度の観点から、アルミナ、ジルコニアが好ましい。また、ガラス粉末との適合性の観点から、ホウ珪酸ガラス、ソーダ石灰ガラスが好ましい。
【0039】
本発明の封着材料は、ガラス粉末とビーズ以外に、更に耐火性フィラーを含むことが好ましい。このようにすれば、封着材料の熱膨張係数を低下できると共に、封着材料の機械的強度を高めることができる。ガラス粉末と耐火性フィラーの混合割合は、体積%で40〜100%:0〜60%、40〜99.9%:0.1〜60%、45〜90%:10〜55%、50〜80%:20〜50%、50〜70%:30〜50%、特に50〜65%:35〜50%が好ましい。耐火性フィラーの含有量が多過ぎると、ガラス粉末の割合が相対的に少なくなり、封着強度が低下し易くなる。なお、耐火性フィラーの含有量が0.1体積%未満であると、耐火性フィラーによる効果を享受し難くなる。
【0040】
耐火性フィラーとして、ジルコン、ジルコニア、酸化錫、石英、β−スポジュメン、コーディエライト、ムライト、石英ガラス、β−ユークリプタイト、β−石英、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、NbZr(PO等の[AB(MO]の基本構造をもつ化合物、
A:Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cu、Ni、Mn等
B:Zr、Ti、Sn、Nb、Al、Sc、Y等
M:P、Si、W、Mo等
若しくはこれらの固溶体が使用可能である。
【0041】
本発明の封着材料において、軟化点は450℃以下、430℃以下、特に410℃以下が好ましい。軟化点が450℃より高いと、封着工程で封着材料が軟化流動し難くなる。軟化点の下限は特に限定されないが、ガラス粉末の熱的安定性を考慮すれば、軟化点を340℃以上、特に360℃超に規制することが好ましい。ここで、「軟化点」とは、大気雰囲気下において、マクロ型示差熱分析(DTA)装置で測定した値を指し、DTAは室温から測定を開始し、昇温速度は10℃/分とする。なお、マクロ型DTA装置で測定した軟化点は、図1に示す第四屈曲点の温度(Ts)を指す。
【0042】
本発明の封着材料は、粉末状態で使用に供してもよいが、ビークルと均一に混練し、ペースト化すると取り扱い易くなり、好ましい。ビークルは、通常、溶媒と樹脂を含む。樹脂は、ペーストの粘性を調整する目的で添加される。また、必要に応じて、界面活性剤、増粘剤等を添加することもできる。作製されたペーストは、ディスペンサーやスクリーン印刷機等の塗布機を用いて、ガラス基板等の表面に塗布される。
【0043】
樹脂としては、アクリル酸エステル(アクリル樹脂)、エチルセルロース、ポリエチレングリコール誘導体、ニトロセルロース、ポリメチルスチレン、ポリエチレンカーボネート、メタクリル酸エステル等が使用可能である。特に、アクリル酸エステル、ニトロセルロースは、熱分解性が良好であるため、好ましい。
【0044】
溶媒としては、N、N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、α−ターピネオール、高級アルコール、γ−ブチルラクトン(γ−BL)、テトラリン、ブチルカルビトールアセテート、酢酸エチル、酢酸イソアミル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、トルエン、3−メトキシ−3−メチルブタノール、水、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン等が使用可能である。特に、α−ターピネオールは、高粘性であり、樹脂等の溶解性も良好であるため、好ましい。
【0045】
本発明に係るビーズは、種々の方法で作製可能である。例えば、(1)原料バッチの微粉砕物を高温の雰囲気中を通過させることにより、原料バッチを溶融し、表面張力で球状化させた後、急冷する方法、(2)原料バッチを球状になるように造粒した後、得られた造粒物に対して微粉末を添加して、焼成する方法を例示することができる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例は単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
【0047】
表1、2は、本発明の実施例(試料No.1〜11)及び比較例(試料No.12〜14)を示している。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
次のようにして、表中に記載のガラス粉末を作製した。まず、表中に記載のガラス組成となるように各種酸化物、炭酸塩等の原料を調合したガラスバッチを準備し、これを白金坩堝に入れて1000〜1200℃で2時間溶融した。次に、水冷ローラーにより、溶融ガラスを薄片状に成形した。最後に、薄片状のガラスをボールミルにて粉砕後、目開き200メッシュの篩いを通過させて、平均粒子径D50が10μmのガラス粉末を得た。
【0051】
表中に記載のビーズ、ガラス粉末、及び耐火性フィラー粉末を表中に記載の割合で混合して、試料No.1〜14を作製した。なお、表中に記載のビーズは、重心を通る最も短い径を最も長い径で割った値が0.9以上であった。また、耐火性フィラー粉末の平均粒子径D50は10μmであった。表中の「CDR」は、コーディエライトを意味している。
【0052】
試料No.1〜14について、熱的安定性、及び気密性を評価した。その結果を表1、2に示す。
【0053】
次のようにして、熱的安定性を評価した。まず各試料の密度分の質量を秤量し、φ20mmの圧粉体を成型した。次に、この圧粉体を熱処理炉に投入して、500℃で30分間熱処理した。最後に、得られたボタンの表面を目視観察して、ボタンの表面に光沢があったものを「○」、光沢がなかったものを「×」として評価した。
【0054】
次のようにして、気密性を評価した。まず試料No.1〜14に対して、ビークル(酢酸エステルにニトロセルロースを添加したもの)を添加、混練して、ペーストを作製した。次に、このペーストを30mm×40mm×1.8mm厚のガラス基板(日本電気硝子株式会社製PP−8C)の外周縁部に沿うように、額縁状に塗布した。なお、膜厚が400μmになるようにペーストを塗布した。続いて、塗布したペーストを150℃で30分間乾燥した後、450℃で30分間熱処理した。更に、この焼成面の上に30mm×40mm×1.8mm厚のガラス基板(日本電気硝子株式会社製PP−8C)を被せた。次に、ガラス基板間を耐熱クリップで挟持した後、熱処理炉に投入して、500℃で30分間熱処理した。最後に、焼成後の封着層の断面を観察して、ガラス基板にクラックが発生していなかったものを「○」、クラックが発生していたものを「×」として評価した。
【0055】
表1、2から明らかなように、試料No.1〜11は、ビーズの形状、ガラス粉末のガラス組成が所定範囲に規制されているため、熱的安定性、及び気密性の評価が良好であった。一方、試料No.12は、ガラス粉末のガラス組成が所定範囲に規制されていないため、熱的安定性の評価が不良であった。試料No.13は、ビーズの平均粒子径D50が小さいことに起因して、ビーズ成分の溶出量が多くなったため、熱的安定性の評価が不良であった。試料No.14は、ビーズの平均粒子径D50が大きいため、気密性の評価が不良であった。なお、試料No.13は、ビーズの平均粒子径D50が小さいため、ガラス基板間の間隙寸法を均一化し難いと考えられる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともガラス粉末とビーズとを含む封着材料において、
ビーズの平均粒子径D50が35〜270μmであり、
ガラス粉末が、ガラス組成として、モル%で、Bi 25〜60%、B 15〜40%、ZnO 1〜39%を含有することを特徴とする封着材料。
【請求項2】
ビーズの含有量が0.01〜3質量%であることを特徴とする請求項1に記載の封着材料。
【請求項3】
ビーズが500℃30分間の熱処理で軟化変形しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の封着材料。
【請求項4】
更に耐火性フィラーを含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の封着材料。
【請求項5】
プラズマディスプレイパネルの封着に用いることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の封着材料。

【図1】
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【公開番号】特開2012−224514(P2012−224514A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93914(P2011−93914)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】