説明

封鎖構造、現像装置、清掃装置、および画像形成装置

【課題】 液状で塗布されて硬化する液状材料を部材間の隙間に挟み込むことによる歪みが回避された封鎖構造、この封鎖構造を有する現像装置、および、この封鎖構造を有す清掃装置を提供する。
【解決手段】
第1部材と、前記第1部材上に線状に液状で塗布されて凝固した液状材料と、前記液状材料を前記第1部材との間に挟んでいる、該第1部材との隙間が該液状材料で封鎖された第2部材とを備え、前記第1部材および前記第2部材のうち少なくとも一方は、前記液状材料の塗布開始部分および塗布終了部分の少なくとも一方が入り込む孔または溝が設けられたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封鎖構造、現像装置、清掃装置、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の構成部材を結合したカートリッジについて、構成部材間に液状エラストマを塗布しておくことで、部材間からの収容物の流出を防ぐ構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−211740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化する液状材料を部材間の隙間に挟み込むことによる歪みが回避された封鎖構造、この封鎖構造を有する現像装置、この封鎖構造を有する清掃装置、および、この封鎖構造を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る封鎖構造は、
第1部材と、
上記第1部材上に線状に液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化する液状材料と、
上記液状材料を上記第1部材との間に挟んでいる、この第1部材との隙間がこの液状材料で封鎖された第2部材とを備え、
上記第1部材は、上記液状材料の塗布開始部分および塗布終了部分の少なくとも一方が入り込む、この液状材料の線の端に近づくほど深くなる溝が設けられたものであることを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る封鎖構造は、
上記液状材料が、上記第1部材に対して相対的に移動する、塗布開始および塗布終了の少なくとも一方ではこの第1部材に対して相対的に停止するノズルから吐出されながら塗布されたものであることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る封鎖構造は、
上記第1部材は、上記溝として、上記液状材料の線の端に近づくほど深くなるが幅は一定の溝が設けられたものであることを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る封鎖構造は、
上記第1部材は、上記溝として、上記液状材料の線の端に近づくほど幅広の溝が設けられたものであることを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る封鎖構造は、
第1部材と、
上記第1部材上に線状に液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化する液状材料と、
上記液状材料を上記第1部材との間に挟んでいる、この第1部材との隙間がこの液状材料で封鎖された第2部材とを備え、
上記第2部材は、上記液状材料の塗布開始部分および塗布終了部分の少なくとも一方が入り込む孔が設けられたものであることを特徴とする。
【0010】
請求項6に係る封鎖構造は、
上記液状材料が、上記第1部材に対して相対的に移動する、塗布開始および塗布終了の少なくとも一方ではこの第1部材に対して相対的に停止するノズルから吐出されながら塗布されたものであることを特徴とする。
【0011】
請求項7に係る封鎖構造は、
上記第2部材は、上記孔として、上記液状材料の線の端に近づくほど幅広の孔が設けられたものであることを特徴とする。
【0012】
請求項8に係る現像装置は、
請求項1から7のうちいずれか1項記載の封鎖構造を有する、トナーを含んだ現像剤を内部に収容してこのトナーで現像を行う、この封鎖構造でこのトナーの漏出が防止されていることを特徴とする。
【0013】
請求項9に係る清掃装置は、
請求項1から7のうちいずれか1項記載の封鎖構造を有する、被清掃体の表面の付着物を除去して内部に収容する、この封鎖構造でこの付着物の漏出が防止されていることを特徴とする。
【0014】
請求項10に係る画像形成装置は、
本体と、
上記本体に対して着脱される、請求項1から7のうちいずれか1項記載の封鎖構造を有する着脱部材とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る封鎖構造によれば、液状材料を挟み込む際の反力が均一になる。
【0016】
請求項2および請求項6に係る封鎖構造によれば、第1部材の端部に余分なスペースを設けなくて済む。
【0017】
請求項3、請求項4、および請求項7に係る封鎖構造によれば、反力を均一にする設計が容易になる。
【0018】
請求項5に係る封鎖構造によれば、液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化する液状材料を部材間の隙間に挟み込むことによる歪みが回避される。
【0019】
請求項8に係る現像装置によれば、トナーによる装置外の汚損等を回避できる。
【0020】
請求項9に係る清掃装置によれば、付着物による装置外の汚損等を回避できる。
【0021】
請求項10に係る画像形成装置によれば、画像形成に係る材料等による装置内の汚損等を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来例である画像形成装置の概略断面図である。
【図2】クリーニング装置の一部の正面図である。
【図3】ブレードを支持した状態のブレード支持板を示す図である。
【図4】クリーニング枠体を示す図である。
【図5】クリーニング装置の組付方法の流れを示す図である。
【図6】クリーニング枠体の狭められた入口を示す図である。
【図7】クリーニング枠体の保持部に感光体ドラムが組み付けられた様子を示す図である。
【図8】感光体ドラムが組み付けられたクリーニング装置の断面図である。
【図9】上述の溝部が設けられたクリーニング枠体の外観斜視図である。
【図10】図9に示される溝部の寸法を示す図である。
【図11】図1に示される現像器の分解斜視図である。
【図12】現像剤収容槽とその蓋の構造を概念的に示す断面図である。
【図13】現像剤収容槽の蓋受部の一部を示す図である。
【図14】蓋を示す図である。
【図15】現像剤収容槽に蓋が固定された様子を示す図である。
【図16】蓋に設けられた溝部の、図15のパート(b)に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0024】
図1は、従来例である画像形成装置の概略断面図である。
【0025】
図1に示す画像形成装置1では、帯電ロール11により所定の電荷が付与された、矢印Aの向きに回転する感光体ドラム10の表面に、外部から送信されてきた画像データに基づいて露光器12で生成した露光光が照射されることで静電潜像が形成され、矢印Cの向きに回転する現像ロール131を有する現像器13に収容されたトナーでこの静電潜像が現像される。この現像により得られた現像像は、不図示の用紙カセットから引き出され、矢印Bの向きに搬送されてきた記録用紙上に、矢印Dの向きに回転する転写ロール14によって転写され、定着器15により定着されることにより記録用紙上に画像形成が行われる。この画像形成装置1は、本発明の画像形成装置の一実施形態である。尚、この画像形成装置1は、モノクロ画像専用機である。
【0026】
また、図1には、感光体ドラム10の、記録用紙への現像像の転写を終えた部分に接触し、感光体ドラム10の表面に付着した付着物を除去するクリーニング装置2が示されている。
【0027】
図2は、クリーニング装置の一部の正面図である。
【0028】
図2には、図1に示されるクリーニング装置2を現像器13側から感光体ドラム10越しに見た場合の、このクリーニング装置2の端部が示されている。クリーニング装置2は左右対称であるので、以下では、ここに示す端部についてのみ説明する。
【0029】
クリーニング装置2は、クリーニング枠体21、ブレード22、ブレード支持板23、フィルム部材24、およびフェルト部材25を備えている。
【0030】
ブレード22は、先端221が接触する感光体ドラム10の表面に付着した付着物を除去するゴム製のものである。
【0031】
ブレード支持板23は、ブレード22を支持する金属製の板材であり、留めネジ230によりクリーニング枠体21に固定されている。
【0032】
クリーニング枠体21は、感光体ドラム10の表面から除去した付着物を収容する凹部空間を有し、この凹部空間の入口210a(図4参照)の周縁の一部に、ブレード22を支持するブレード支持板23がネジ止めされる本体部210、および、感光体ドラム10の両端を回転自在に保持する保持部211を備えている。尚、本体部210には、ブレード支持板23の位置決めに使用するボス2101に加え、このクリーニング枠体21を画像形成装置1における所定位置に配備するための位置決めに使用するボス2102も備えられている。また、詳しくは後述するが、ブレード22を支持したブレード支持板23のクリーニング枠体21へのネジ留めは、クリーニング枠体21の入口210aの周縁に塗布された、硬化する液状材料の一例である熱可塑性エラストマで構成されるシール材20(図6参照)を挟み込みながら行われ、これにより、凹部空間に収容した付着物がクリーニング枠体21やブレード支持板23との隙間から漏れないようにされている。
【0033】
フェルト部材25は、フェルト層251と弾性層252(図7参照)との2層からなり、弾性層252は、クリーニング枠体21の保持部211に保持された状態の感光体ドラム10により僅かに押し潰される厚みにされている。これにより、フェルト層251は感光体ドラム10に密着し、感光体ドラム10の回転方向に垂直な方向への付着物の漏れが防止されている。
【0034】
また、このフェルト部材25には、クリーニング枠体21の入口210aの中央に向かって突出した突出部250が備えられている。図2には、突出部250の側面と、フェルト部材25の、突出部250以外の部分のブレード側の側面とがブレード22の角に添わされている様子が示されている。これにより、付着物の、ブレード22の角を辿る漏出が防止されている。尚、ここでは、感光体ドラム10との接触部分にフェルト層251を用いたが、感光体ドラム10との接触によっても感光体ドラム10の回転を妨げない、摩擦係数が小さい材料であればフェルト材以外の材料を使用してもかまわない。
【0035】
フィルム部材24は、ポリウレタン製のシート状のものであり、クリーニング枠体21の保持部211に保持された状態の感光体ドラム10に先端241が接触することで、ブレード22の反対側からの付着物の漏れが防止されている。
【0036】
図3は、ブレードを支持した状態のブレード支持板を示す図である。
【0037】
図3には、クリーニング装置2のクリーニング枠体21にネジ留めされる前の、ブレード22を支持した状態のブレード支持板23が示されており、ここには、クリーニング枠体21にネジ留めされた状態では、クリーニング枠体21と対向する側の面を上に向けた状態で示されている。尚、図3には、図2に示す留めネジ230が貫通する孔23aと、クリーニング枠体21のボス2101が貫通する孔23bが設けられている様子が示されている。
【0038】
図4は、クリーニング枠体を示す図である。
【0039】
図4には、ブレード支持板23、フェルト部材25、およびフィルム部材24が本体部210に取りつけられる前の状態のクリーニング枠体21が示されており、ここには、付着物を収容する凹部空間の入口210aが露出した様子が示されている。尚、図4では、凹部空間の入口210aの周縁を形成する各周縁部分に符号Aから符号Dまでが付されているが、これは、以下に行う説明の便宜のために付されたものであり、クリーニング枠体21に実際に付されているわけではない。また、周縁部分A、周縁部分B、および周縁部分Cは、同一面上に存在するのに対し、この周縁部分Dは、その面と交わる面上に存在する。
【0040】
ここで、クリーニング装置2の組付方法について図4〜図8を参照しながら簡単に説明する。
【0041】
図5は、クリーニング装置の組付方法の流れを示す図である。
【0042】
図5には、ステップS1として、液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化して部材間の隙間を塞ぐシール材20が、図4に示すクリーニング枠体21の開口210aの周縁を形成する周縁部分A、周縁部分B、および周縁部分Cに塗布される。
【0043】
次に、ステップS2として、ブレード22を支持するブレード支持板23がクリーニング枠体21にネジ留めされて固定される。この段階で、入口210aの周縁のうちの、周縁部分A、および、周縁部分Bと周縁部分Cの各一部が、ブレード22を支持するブレード支持板23に覆われた状態となり、入口210aは、図4に示される状態と比べ狭められた状態となる。
【0044】
図6は、クリーニング枠体の狭められた入口を示す図である。尚、図6では、入口210aの縁のうち、部材に覆われて見えない部分の縁については1点差線で示され、周縁部分に塗布されたシール材20のうち、部材に覆われて見えない部分のシール材20については点線で示されている。
【0045】
図6には、ブレード22等に覆われてせばめられた入口210aの他、入口210aの周縁を構成する、周縁部分A、周縁部分B、および周縁部分Cに塗布されているシール材20のうち、ブレード22を支持するブレード支持板23に覆われている部分のシール材20が、ブレード22を支持するブレード支持板23のクリーニング枠体21への固定により押し潰されて拡がっている様子が示されている。図5に戻って説明を続ける。
【0046】
次に、ステップS3として、フェルト部材25がフェルト貼付面2103(図4参照)に貼り付けられる。さらに、ステップS4として、周縁部分Dへフィルム部材24が貼り付けられる。ここでは、フィルム部材24の下部が、不図示の両面テープによって周縁部分Dに貼り付けられる。さらに、ステップS5として、クリーニング枠体21の保持部211に感光体ドラム10が組み付けられる。
【0047】
図7は、クリーニング枠体の保持部に感光体ドラムが組み付けられた様子を示す図である。尚、図7では、煩雑さを避けるためにフィルム部材24の図示は省略されている。
【0048】
図7には、周縁部分Bを図6中の矢印Xの方向に見た状態が示されており、ここには、フェルト部材25が両面テープ26によってフェルト貼付面2103に貼り付けられている様子が示されている。前述したように、クリーニング枠体21の保持部211に感光体ドラム10が組み付けられる際にはフェルト部材25の弾性層252は多少圧縮されるため、フェルト層251は感光体ドラム10に密着する。また、この時、周縁部分Bに塗布されているシール材20も両面テープ26と周縁部分Bとの間で圧縮される。また、図7には、図2において説明した、フェルト部材25の凸部250が、フェルト貼付面2103よりも入口210aの中央側に突出している様子が示されている。
【0049】
図8は、感光体ドラムが組み付けられたクリーニング装置の断面図である。
【0050】
図8には、図7中の一点鎖線で示す断面を矢印Yの方向に見た状態が示されており、周縁部分Dに両面テープ26によって貼り付けられているフィルム部材24の先端241がフェルト部材25側に巻き込まれている様子が示されている。
【0051】
また、図8には、斜線で示されるシール材20が、クリーニング枠体21と、このクリーニング枠体21に固定され、あるいは貼り付けられた部材との間を隙間なく塞いでいる様子が示されている。このクリーニング装置2は、感光体ドラム10の摩耗等などにより画質の低下が発生した場合にユーザの手で交換できるようにカートリッジ化されている。このクリーニング装置2は、本発明にいう着脱部材の一例に相当する。
【0052】
以上が、クリーニング装置2の組付方法の大まかな流れである。
【0053】
ところで、液状で塗布された後に硬化するシール材20の、図4に示される周縁部分A、B、およびCへの塗布を、開閉弁の開閉を制御してノズル先端301(図9参照)からの一定の吐出速度(mm/s)でのシール材20の吐出開始と吐出停止を制御するノズル部300(図9参照)、クリーニング枠体21を所定の姿勢で保持するクリーニング枠体保持台、ノズル部300にシール材20を供給するシール材供給部、ノズル部300に開閉弁の開放又は閉鎖を指示する指示部、および、ノズル部300を保持し、入力された3次元座標値に応じて、このノズル部300を移動させる移動アームを備えた自動シール材塗布システムに、ノズル先端301のホームポジションの3次元座標位置、各周縁部分についての塗布開始点、塗布終了点のホームポジションに対する相対的な3次元座標位置、および、各点間の相対的な3次元座標位置は登録したものを使用して行うことが考えられる。
【0054】
ところが、この自動シール材塗布システムを使用して周縁部分に沿ってシール材20を塗布する場合には、シール材20が塗布されるクリーニング枠体21の形状の制約上、これらノズル先端301を含めたノズル部300を、各周縁部分において、塗布開始点からシール材を一定の吐出速度で吐出しながら巡航速度に到達するまで等加速度で速度を上げながら移動(以下では、この区間を加速区間と称する。)させた後、次は塗布終了点の手前の等加速度での減速を開始する地点まで等速で移動(以下では、この区間を巡航区間と称する。)させ、さらに、ノズル先端301がこの等加速度での減速を開始する地点に到達したら、そこからは等加速度で減速しながら塗布終了地点到着時には速度ゼロになるように移動(以下では、この区間を減速区間と称する。)させる必要がある。この様にノズル先端301が加速および減速を繰り返すものであると、各周縁部分の各部位のシール材塗布量は、これら加速区間および減速区間では巡航区間よりも多くなる。そうなると、シール材20が塗布されたクリーニング枠体21に、ブレード22を支持した支持プレート23を固定する際に、シール材20の多寡により、クリーニング装置2が歪み、これによりシール性の低下やブレード、および感光体ドラムに偏摩耗が発生するおそれがある。
【0055】
そこで、本願発明者は、図4に示されるクリーニング枠体21に溝部が追加されたクリーニング枠体31のこの溝部にシール材20の余剰分を収容することで、シール性に悪影響が出ないようにしている。以下では、この溝部について詳細に説明する。
【0056】
図9は、上述の溝部が設けられたクリーニング枠体の外観斜視図である。
【0057】
図9に示されるクリーニング枠体31には、周縁部分Cと周縁部分Aの境目、および、周縁部分Aと周縁部分Bの境目に第1溝部310aと第2溝部310bが設けられている。
【0058】
また、図9には、シール材20をクリーニング枠体31に塗布するノズル先端301の軌道が点線で示されており、まず、周縁部分Cに対し、周縁部分A側の塗布始点C1から周縁部分D側の塗布終了点C2へノズル先端301が点線C’に沿って移動し、次に周縁部分Aに対し、周縁部分C側の塗布開始点A1から周縁部分B側の塗布終了点A2へノズル先端301が点線A’に沿って移動する。さらに、周縁部分Bに対し、周縁部分A側の塗布開始点B1から周縁部分D側の塗布終了点B2へノズル先端301が点線B’に沿って移動する。この様な場合に、これら第1溝部310aおよび第2溝部310bが設けられていないと、各周縁部分の加速区間と減速区間に対応して各周縁部分の端部に塗布されたシール材20のうちの余剰分は、ブレード22を支持した支持プレート23をクリーニング枠体21に固定する際の反力を増大させクリーニング装置を歪ませることとなる。これに対し、図9に示されるクリーニング枠体31では、部材間のシールに必要なシール材は確保した上で余剰なシール材20をこれら第1溝部310aおよび第2溝部310bに収容することでブレード22を支持した支持プレート23をクリーニング枠体31に固定する際の反力を増大させないようにしている。
【0059】
尚、図9には、周縁部分B、Cについては、ノズル先端301の塗布開始点B1、C1から始まる加速区間に対応した第2溝部310bは設けられているものの、ノズルの塗布終了点B2、C2の手前の減速区間に対応した溝部は設けられていない。これは、終了点側は、もともと多くの部材が集まる箇所であるために隙間が多く、この隙間にシール材20の余剰分を収容できるからである。また、第1溝部310aおよび第2溝部310bについては、反力を均一にする設計が容易となるように、幅は一定で周縁部分の端部に行くほど溝深さは深くなっている。このクリーニング枠体31が、本発明にいう第1部材の一例であり、これら第1溝部310aおよび第2溝部310bが、本発明にいう溝部の一例に相当する。また、ブレード22とこのブレード22を支持した支持プレート23とを併せたものが、本発明にいう第2の部材の一例に相当する。
【0060】
図10は、図9に示される溝部の寸法を示す図である。
【0061】
図10には、クリーニング枠体31の上面図が示されており、ここには、長さがL1で幅がW1であり、周縁部分Aの端部側で深さが最深のD1である第1溝部310aと、長さがL2で幅がW2であり、周縁部分Bの端部側で深さが最深のD2である第2溝部310bが示されている。各溝部の形状については、シール材20の余剰分が各周縁部分の端部にいくほど多くなることに合わせて、各周縁部分の端部に行くほど深くなっている。
【0062】
図10に示される周縁部分Aの第1溝部310aの寸法について説明する。
【0063】
図9に示されるノズル先端301の加速度をG(mm/s)、ノズル先端301からのシール材20の吐出速度をV(mm/s)、ノズル部300の巡航速度をvcとし、第1溝部310aの長さL1は加速・減速区間長と同じ長さとしていることで、長さL1=vc/2Gとなる。また、ノズル先端301が巡航区間を移動中に周縁部分Aに塗布されるシール材20の断面形状は半円形であり、第1溝部310aの幅W1を、ノズル先端301が巡航区間を移動中に周縁部分Aに塗布されたシール材20の塗布幅と同じにしていることで、この半円形の断面積はS(mm)=V/vcであることから、幅W1=2√(2V/πvc)となる。また、加速区間又は減速区間に対応して周縁部分Aに塗布されるシール材20の総量はV×vc/G(mm)、そのうち加速区間又は減速区間のシール用として必要な量、すなわち断面積がS(mm)=V/vcの半円形のシール材20を確保するのに必要な量はV×vc/2G(mm)であることから、これらの差分が第1溝部310aに収容されればよい。したがって、溝部深さのうちの最深部での深さはD1=√(πV/2vc)となる。
【0064】
一方、図10に示される周縁部分B、Cの第2溝部310bの寸法については、周縁部分B、Cでも加速度Gとし、周縁部分B、Cにおける巡航速度vc’(mm/s)を周縁部分Aにおける巡航速度vc(mm/s)の半分とすると、長さL2=L1/4、幅W2=√2×W1、溝部深さのうちの最深部D2=√2×D1となる。
【0065】
上述の寸法を有する第1溝部310aおよび第2溝部310bが設けられたクリーニング枠体31を使用するクリーニング装置では、ブレード22を支持した支持プレート23とクリーニング枠体31との間で余剰となるシール材20が予め備えられているこれら第1溝部310aおよび第2溝部310bに収容されることから、余剰分を挟み込むことによる歪みの発生が確実に防止され、収容する付着物の漏出を防止するためのシール性も確保される。このクリーニング枠体31を使用して、図5に示される組立てが行われたクリーニング装置が、本発明の封鎖構造の第1実施形態であり、本発明の清掃装置の一実施形態でもある。
【0066】
次に、図1に示される、本発明の封鎖構造の第2実施形態でもある、本発明の現像装置の第1実施形態について説明する。
【0067】
図11は、図1に示される現像器の分解斜視図である。
【0068】
図11には、現像ロール131と、現像剤を収容する現像剤収容槽132と、現像剤を撹拌して搬送するための撹拌搬送部材133とを備える現像器13の組付けにおいて、現像材収容槽132に蓋134が未だ固定される前の状態が示されている。また、図11には、現像剤収容槽132の内部を2つの部屋に分ける仕切板1321が示されている。
【0069】
図12は、現像剤収容槽とその蓋の構造を概念的に示す断面図である。
【0070】
図12には、蓋134が固定された状態の現像剤収容槽132の断面図が示されており、蓋134は、蓋134の周縁部1341を受け止める蓋受部1322にシール材20(図12では不図示)が塗布され、さらに、蓋134の4隅が現像剤収容槽132に対してネジ留め(図12では不図示)されて固定される。これにより、蓋134と現像材収容槽132の隙間はシール材20により封鎖され、外部への現像剤の漏出が防止されている。この現像器13は、トナーが無くなった場合にユーザの手で交換できるようにカートリッジ化されている。この現像器13が、本発明にいう着脱部材の一例に相当する。
【0071】
以下、シール材20を蓋134との間に挟み込んだ現像剤収容槽132の歪みを抑える工夫について説明する。
【0072】
図13は、現像剤収容槽の蓋受部の一部を示す図である。
【0073】
図13(a)には、シール材20が塗布された蓋受部1322の一部の上面図が示され、図13(b)には、シール材20が塗布された蓋受部1322の図13(a)に示される部分のA―A断面を矢印方向に見た状態が示されている。
【0074】
現像剤収容槽132と蓋134の組付けの際のシール材20の塗布においても、前述したようにノズルの減速区間に対応する箇所のシール材20の塗布量は、ノズルの巡航区間に対応する箇所のシール材20の塗布量よりも多くなる。しかしながら、蓋受部1322には前述したような溝部が設けられていない。このため、減速区間に対応する箇所に塗布されたシール材20は、図13に示されるような、断面形状が半円形で、かつ減速区間の終点に近づくほどその断面積が相似拡大していく半円錐台状のものとなる。尚、図13には、蓋受部1322の隅に、蓋134をネジ留めするためのネジ孔132aと、このネジ孔132aの周囲を形成する台座1320とが示されている。
【0075】
図14は、蓋を示す図である。
【0076】
図14のパート(a)には、図14のパート(b)に示される開孔134aのC−C断面を矢印方向に見た状態が示されている。
【0077】
図14には、蓋134の、上記減速区間に対応した位置に設けられている開孔134aが示されている。
【0078】
図14に示される開孔134aは、上述した半円錐台の形状に合わせた、減速区間の終点に近づくほど幅広で、かつ図14のパート(a)に示されるようなテーパー面1341が備えられている。この開孔134aが、本発明にいう孔の一例に相当する。尚、蓋134の角には、ネジ留め用の貫通孔134bが設けられている。
【0079】
図15は、現像剤収容槽に蓋が固定された様子を示す図である。
【0080】
図15のパート(a)には、蓋134が固定された現像剤収容槽132の上面図が示され、図15のパート(b)には、蓋134が固定された現像剤収容槽132の図15のパート(a)に示されるB−B断面を矢印方向に見た状態が示されている。
【0081】
図15には、蓋受部1322にシール材20が塗布された現像剤収容槽132に蓋134がネジ留めされたことで、蓋134に設けられた開孔134aにシール材20が進入した様子が示されている。このように、蓋134には、余剰なシール材20の逃げ道として開孔134aが設けられているために、これら蓋134および現像剤収容槽132に無理な力が掛かることがない。
【0082】
最後に、本発明の封鎖構造の第3実施形態でもある、本発明の現像装置の第2実施形態について説明する。
【0083】
上述の図11から図15において説明した実施形態と本実施形態との相違点は、図11から図15において説明した実施形態では、蓋134の端部に開孔134aが設けられて余剰なシール材20を逃がしているのに対し、本実施形態では、蓋側に溝部が設けられていて、余剰なシール材20がこの溝部に収容される点のみが相違する。以下では、この相違点について説明する。
【0084】
図16は、蓋に設けられた溝部の、図15のパート(b)に対応する断面図である。
【0085】
前述したように、ノズル先端の加減速度をG(mm/s)、ノズル先端からのシール材20の吐出速度をV(mm/s)、ノズル部の巡航速度vcとした場合、減速区間長(加速区間長)の長さL1=vc/2G、巡航区間における塗布幅w=2h=2√(V/πvc)、減速区間(加速区間)における塗布総量A=V×vc/Gであり、減速区間における塗布総量Aは、図16に示される、上面の半径h、下面の半径H、高さがL1の円錐台の半分の体積と同じであることから、H=√(10V/πvc)となる。この様な寸法の半円錐台のうち、蓋134と現像剤収容槽132とのシールに使用されるのは、図16に拡大されて示される半円錐台のうちの底面から高さhまでの白抜きの部分であり、その他斜線で示される部分が余剰分となる。蓋234には、この余剰分を収容する形状と大きさを有する溝部2341が設けられている。このように、蓋234には、余剰なシール材20を収容する溝部2341が設けられていることで、ブレード22を支持した支持プレート23をクリーニング枠体31に固定する際の反力を増大させないようにしている。
【0086】
尚、以上に説明した実施形態では、本発明をクリーニング装置又は現像器に適用した例を挙げて説明したが、本発明は、部材間の隙間を液状材料を挟み込むことで封鎖する装置であれば、これらに限らず適用できる。
【0087】
また、以上に説明した実施形態では、液状材料を吐出する側を塗布面に対し移動させる例を挙げて説明したが、本発明では、液状材料を吐出する側に対し塗布面を移動させてもよい。
【0088】
さらに、以上に説明した実施形態では、本発明の現像器が、現像剤としてトナーなどの紛体を収容する現像剤収容槽を有するものである場合を例に挙げて説明したが、本発明の現像器は、本発明の封鎖構造で収容物を封鎖するものであれば、現像剤としてインクなどの液体を収容するインクタンクを有するものであってもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 画像形成装置
13 現像器
131 現像ロール
132 現像剤収容槽
1322 蓋受部
133 撹拌搬送部材
134、234 蓋
1341 テーパー面
134a 開孔
2 クリーニング装置
21、31 クリーニング枠体
22 ブレード
23 ブレード支持板
2341 溝部
310a 第1溝部
310b 第2溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材上に線状に液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化する液状材料と、
前記液状材料を前記第1部材との間に挟んでいる、該第1部材との隙間が該液状材料で封鎖された第2部材とを備え、
前記第1部材は、前記液状材料の塗布開始部分および塗布終了部分の少なくとも一方が入り込む、該液状材料の線の端に近づくほど深くなる溝が設けられたものであることを特徴とする封鎖構造。
【請求項2】
前記液状材料が、前記第1部材に対して相対的に移動する、塗布開始および塗布終了の少なくとも一方では該第1部材に対して相対的に停止するノズルから吐出されながら塗布されたものであることを特徴とする請求項1記載の封鎖構造。
【請求項3】
前記第1部材は、前記溝として、前記液状材料の線の端に近づくほど深くなるが幅は一定の溝が設けられたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の封鎖構造。
【請求項4】
前記第1部材は、前記溝として、前記液状材料の線の端に近づくほど幅広の溝が設けられたものであることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項記載の封鎖構造。
【請求項5】
第1部材と、
前記第1部材上に線状に液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化する液状材料と、
前記液状材料を前記第1部材との間に挟んでいる、該第1部材との隙間が該液状材料で封鎖された第2部材とを備え、
前記第2部材は、前記液状材料の塗布開始部分および塗布終了部分の少なくとも一方が入り込む孔が設けられたものであることを特徴とする封鎖構造。
【請求項6】
前記液状材料が、前記第1部材に対して相対的に移動する、塗布開始および塗布終了の少なくとも一方では該第1部材に対して相対的に停止するノズルから吐出されながら塗布されたものであることを特徴とする請求項5記載の封鎖構造。
【請求項7】
前記第2部材は、前記孔として、前記液状材料の線の端に近づくほど幅広の孔が設けられたものであることを特徴とする請求項5又は6記載の封鎖構造。
【請求項8】
請求項1から7のうちいずれか1項記載の封鎖構造を有する、トナーを含んだ現像剤を内部に収容して該トナーで現像を行う、該封鎖構造で該トナーの漏出が防止されていることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項1から7のうちいずれか1項記載の封鎖構造を有する、被清掃体の表面の付着物を除去して内部に収容する、該封鎖構造で該付着物の漏出が防止されていることを特徴とする清掃装置。
【請求項10】
本体と、
前記本体に対して着脱される、請求項1から7のうちいずれか1項記載の封鎖構造を有する着脱部材とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2010−224494(P2010−224494A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74694(P2009−74694)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】