説明

射出成形機及び射出成形方法

【課題】各モータの駆動パターンを顧客ニーズ等に合わせて設定すること。
【解決手段】本発明は、成形サイクルを構成する複数の成形工程のうち、電動モータの駆動により実現される少なくとも2つの工程に対して、第1のモードと、前記第1のモードより消費電力が小さい第2のモードとを選択的に設定可能なモード設定手段と、モード設定手段におけるモードの設定状態に応じて、第1のモードが設定された成形工程では、第1の駆動パターンに基づいて該成形工程に対応して設けられる電動モータを制御し、第2のモードが設定された成形工程では、第1の駆動パターンより消費電力が小さい第2の駆動パターンに基づいて該成形工程に対応して設けられる電動モータを制御する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形工程が電動モータの駆動により実現される射出成形機及び射出成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機における射出成形は、典型的には、金型を閉じる型閉工程と、金型を締め付ける型締め工程と、金型のスプルにノズルを押しつけるノズルタッチ工程と、シリンダ内のスクリュを前進させて、スクリュ前方に溜まった溶融材料を金型キャビティ内に射出する射出工程と、その後、気泡、ヒケの発生を抑制するために保持圧力をしばらくかける保圧工程と、金型キャビティ内に充填された溶融材料が冷却されて固まるまでの間の時間に次のサイクルのために、スクリュを回転させて、樹脂を溶融しながらシリンダの前方にため込む可塑化/計量工程と、固化された成形品を金型から取り出すために、金型を開く型開工程と、成形品を金型に設けられた突出しピンによって押し出す成形品突出し工程とからなる。
【0003】
電動式射出成形機において使用される電力は、樹脂を溶融するために加熱シリンダの周囲に設けられるヒータ用電力を除けば、そのほとんどが電動モータに使用される。電動式射出成形機に組み込まれるモータには、射出用のモータ、スクリュ回転用のモータ、型開閉用のモータ、エジェクタ用のモータ等、様々な電動モータがある。
【0004】
従来、使用されるモータの消費電力を低減するために、射出成形機に組み込まれたモータへの入力を制御する制御方法が知られている。この制御方法では、該モータの出力を、所定の設定時間だけ保持すべき設定値を設定し、該設定値を時間の経過に従って減少させる削減比率を設定し、該削減比率に基づいて設定パターンを生成し、該設定パターンに従って前記モータへの入力を制御する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4266224号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般的に、成形品の良品条件は、顧客のニーズや成形品の属性(特性等)、価格等に応じて、ある程度の幅が生じる。例えば、非常に高い品質を求められる商品もあれば、ある程度の品質を備えつつ価格が安いことが求められる商品もある。従って、電動式射出成形機に組み込まれるモータの駆動パターンが、安全側の良品条件で設定される場合、ある程度の品質を備えつつ価格が安いことが求められる商品に対しては、過剰品質となりえ、消費電力の観点からコスト低減の障害となる。他方、電動式射出成形機に組み込まれるモータの駆動パターンが、最低レベルの良品条件で設定される場合、非常に高い品質を求められる商品に対しては、消費電力の観点からはコストダウンが可能となりうるものの、不良率が高くなり却ってコストアップを招く虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、各モータの駆動パターンを顧客ニーズ等に合わせて設定することができる射出成形機及び射出成形方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一局面によれば、成形サイクルを構成する複数の成形工程のうち、電動モータの駆動により実現される少なくとも2つの工程に対して、第1のモードと、前記第1のモードより消費電力が小さい第2のモードとを選択的に設定可能なモード設定手段と、
前記モード設定手段におけるモードの設定状態に応じて、前記第1のモードが設定された成形工程では、第1の駆動パターンに基づいて、該成形工程に対応して設けられる電動モータを制御し、前記第2のモードが設定された成形工程では、前記第1の駆動パターンより消費電力が小さい第2の駆動パターンに基づいて、該成形工程に対応して設けられる電動モータを制御する制御手段とを備えることを特徴とする、射出成形機が提供される。
【0009】
本発明のその他の一局面によれば、成形サイクルを構成する複数の成形工程のうち、電動モータの駆動により実現される少なくとも2つの工程に対して、第1のモードと、前記第1のモードより消費電力が小さい第2のモードとを選択的に設定するモード設定段階と、
前記モード設定段階におけるモードの設定状態に応じて、前記第1のモードが設定された成形工程では、第1の駆動パターンに基づいて、該成形工程に対応して設けられる電動モータを制御し、前記第2のモードが設定された成形工程では、前記第1の駆動パターンより消費電力が小さい第2の駆動パターンに基づいて、該成形工程に対応して設けられる電動モータを制御する制御段階とを含むことを特徴とする、射出成形方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各モータの駆動パターンを顧客ニーズ等に合わせて設定することができる射出成形機及び射出成形方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例による射出成形機1の要部構成を示す図である。
【図2】省電力モード用の駆動パターンと通常モード用の駆動パターンの組み合わせの一例を示す図である
【図3】省電力モード用の駆動パターンと通常モード用の駆動パターンの組み合わせのその他の一例を示す。
【図4】本実施例のコントローラ26により実現される射出成形方法の一例の主要処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0013】
図1は、本発明の一実施例による射出成形機1の要部構成を示す図である。射出成形機1は、本例では電動式射出成形機であり、射出用のサーボモータ11を備える。射出用のサーボモータ11の回転はボールネジ12に伝えられる。ボールネジ12の回転により前後進するナット13はプレッシャプレート14に固定されている。プレッシャプレート14は、ベースフレーム(図示せず)に固定されたガイドバー15、16に沿って移動可能である。プレッシャプレート14の前後進運動は、ベアリング17、ロードセル18、射出軸19を介してスクリュ20に伝えられる。スクリュ20は、加熱シリンダ21内に回転可能に、しかも軸方向に移動可能に配置されている。加熱シリンダ21におけるスクリュ20の後部には、樹脂供給用のホッパ22が設けられている。射出軸19には、ベルトやプーリ等の連結部材23を介してスクリュ回転用のサーボモータ24の回転運動が伝達される。すなわち、スクリュ回転用のサーボモータ24により射出軸19が回転駆動されることにより、スクリュ20が回転する。
【0014】
可塑化/計量工程においては、加熱シリンダ21の中をスクリュ20が回転しながら後退することにより、スクリュ20の前部、すなわち加熱シリンダ21のノズル21−1側に溶融樹脂が貯えられる。射出工程においては、スクリュ20の前方に貯えられた溶融樹脂を金型内に充填し、加圧することにより成形が行われる。この時、樹脂を押す力がロードセル18により反力として検出される。つまり、スクリュ前部における樹脂圧力が検出される。検出された圧力は、ロードセル増幅器25により増幅され、制御手段として機能するコントローラ26(制御装置)に入力される。また、保圧工程では、金型内に充填した樹脂が所定の圧力に保たれる。
【0015】
プレッシャプレート14には、スクリュ20の移動量を検出するための位置検出器27が取り付けられている。位置検出器27の検出信号は増幅器28により増幅されてコントローラ26に入力される。この検出信号は、スクリュ20の移動速度を検出するためにも使用されてもよい。
【0016】
サーボモータ11、24にはそれぞれ、回転数を検出するためのエンコーダ31、32が備えられている。エンコーダ31、32で検出された回転数はそれぞれコントローラ26に入力される。
【0017】
サーボモータ42は、型開閉用のサーボモータであり、サーボモータ44は、成形品突出し(エジェクタ)用のサーボモータである。サーボモータ42は、例えばトグルリンク(図示せず)を駆動して型開閉を実現する。また、サーボモータ44は、例えばボールネジ機構を介してエジェクタロッド(図示せず)を移動させることで成形品突出しを実現する。サーボモータ42、44にはそれぞれ、回転数を検出するためのエンコーダ43、45が備えられている。エンコーダ43、45で検出された回転数はそれぞれコントローラ26に入力される。
【0018】
コントローラ26は、マイクロコンピュータを中心に構成されており、例えば、CPU、制御プログラム等を格納するROM、演算結果等を格納する読書き可能なRAM、タイマ、カウンタ、入力インターフェイス、及び出力インターフェイス等を有する。
【0019】
コントローラ26は、複数の各工程に応じた電流(トルク)指令をサーボモータ11,24,42,44に送る。例えば、コントローラ26は、サーボモータ24の回転数を制御して可塑化/計量工程を実現する。また、コントローラ26は、サーボモータ11の回転数を制御して射出工程及び保圧工程を実現する。同様に、コントローラ26は、サーボモータ42の回転数を制御して型開工程及び型閉工程を実現する。コントローラ26は、サーボモータ44の回転数を制御して成形品突出し工程を実現する。
【0020】
入力装置35は、型開閉工程、保圧工程、可塑化/計量工程及び成形品突出し工程のそれぞれに対して、2つのモードをユーザが選択的に設定可能な入力部を備える。2つのモードは、通常モードと、通常モードより消費電力が小さい省電力モードである。従って、ユーザは、入力装置35を介して、型開閉工程、保圧工程、可塑化/計量工程及び成形品突出し工程のそれぞれに対して、通常モードか省電力モードかを選択的に設定することができる。例えば、ユーザは、入力装置35を介して、型開閉工程、保圧工程、可塑化/計量工程について通常モードに設定し、成形品突出し工程については省電力モードに設定することができる。また、例えば、ユーザは、入力装置35を介して、保圧工程、可塑化/計量工程について通常モードに設定し、型開閉工程及び成形品突出し工程については省電力モードに設定することができる。尚、入力装置35を介してモードの設定(選択)は、例えばタッチパネルや操作ボタンのようなユーザインターフェースを介して実現されてよい。
【0021】
尚、ユーザが入力装置35を介して特段のモードを指定していない場合は、デフォルト設定として通常モードが設定されてよい。このモード設定は、典型的には、量産開始前の試行段階で実行される。但し、モード設定(モードの変更)は、量産中に実行されてもよい。
【0022】
コントローラ26には、不揮発性のメモリ50が接続される。メモリ50は、コントローラ26の外部に設けられてもよいし、コントローラ26に内蔵されてもよい。メモリ50には、サーボモータ11,24,42,44のそれぞれに対して、通常モード用の駆動パターンと、省電力モード用の駆動パターンが記憶される。これらの駆動パターンは、予め射出成形機1のメーカー(設計者)により用意されてものであってよい。或いは、サーボモータ11,24,42,44のそれぞれに対して、入力装置35を通してオペレータによりあらかじめ設定された各種設定値に応じて所定のアルゴリズムにより自動的に生成されてもよい。或いは、サーボモータ11,24,42,44のそれぞれに対して、通常モード用の駆動パターンが、予め射出成形機1のメーカー(設計者)により用意されてよく、省電力モード用の駆動パターンが、通常モード用の駆動パターンに基づいて所定のアルゴリズムにより自動的に生成されてもよい。尚、各種駆動パターンがメーカー(設計者)により予め生成され事後的に生成(追加等)されない構成では、メモリ50に代えて、コントローラ26内のROMが使用されればよい。
【0023】
省電力モード用の駆動パターンは、通常モード用の駆動パターンよりも消費電力が小さくなるような駆動パターンであれば、後述するパターンを含め、任意のパターンであってよい。
【0024】
図2は、省電力モード用の駆動パターンと通常モード用の駆動パターンの組み合わせの一例を示す。ここでは、保圧工程で用いられる省電力モード用の駆動パターンと通常モード用の駆動パターンの組み合わせ、即ち、サーボモータ11に対する省電力モード用の駆動パターンと通常モード用の駆動パターンの組み合わせについて説明する。図2において、斜線を施した部分が省電力モードによる電力削減部分に相当する。
【0025】
図2(A)は圧力のみを操作してモータの仕事量を削減する方法を示している。入力装置35により保圧工程に対して省電力モードが設定されると、コントローラ26(制御装置)は、設定時間Tが経過する間に設定圧力がPからPaに低下するような圧力設定パターンを生成し又はメモリ50から同圧力設定パターンを読み出し、当該圧力設定パターンに従ってサーボモータ31に電力が供給されるようにサーボモータ11のドライバを制御する。他方、入力装置35により保圧工程に対して通常モードが設定されると、コントローラ26(制御装置)は、設定時間Tが経過する全期間に亘って設定圧力がPを維持するような圧力設定パターンを生成し又はメモリ50から同圧力設定パターンを読み出し、当該圧力設定パターンに従ってサーボモータ31に電力が供給されるようにサーボモータ11のドライバを制御する。
【0026】
図2(B)は時間のみを制御してモータの仕事量を削減する方法を示している。入力装置35により、保圧工程に対して省電力モードが設定されると、コントローラ26(制御装置)は、時刻T1から時刻Tに向けて圧力の降下する圧力設定パターンを生成し又はメモリ50から同圧力設定パターンを読み出し、当該圧力設定パターンに従ってサーボモータ31に電力が供給されるようにサーボモータ11のドライバを制御する。他方、入力装置35により、保圧工程に対して通常モードが設定されると、コントローラ26(制御装置)は、時刻T1から時刻Tまで期間を含む全保圧期間に亘って圧力が一定に維持される圧力設定パターンを生成し又はメモリ50から同圧力設定パターンを読み出し、当該圧力設定パターンに従ってサーボモータ31に電力が供給されるようにサーボモータ11のドライバを制御する。
【0027】
尚、図2(A)に示す消費電力削減方法(圧力の操作)と図2(B)に示す消費電力削減方法(時間の操作)とを組み合わせた省電力パターンが使用されてもよい。また、省電力モード用の駆動パターンは、通常モード用の駆動パターンよりも保圧用の設定圧力の最大値(図2の例では、P)が小さいパターンであってもよい。
【0028】
図3は、省電力モード用の駆動パターンと通常モード用の駆動パターンの組み合わせのその他の一例を示す。ここでは、可塑化/計量工程で用いられる省電力モード用の駆動パターンと通常モード用の駆動パターンの組み合わせ、即ち、サーボモータ24に対する省電力モード用の駆動パターンと通常モード用の駆動パターンの組み合わせについて説明する。図3(A)が通常モード用の駆動パターンを示し、図3(B)が省電力モード用の駆動パターンを示す。
【0029】
通常モード用の駆動パターンは、図3(A)に示すように、可塑化/計量工程の開始時から終了時までの全期間に亘ってスクリュ20の回転速度が所定の設定速度V1となるような駆動パターンであってよい。省電力モード用の駆動パターンは、図3(B)に示すように、可塑化/計量工程の開始時においてスクリュ20の回転速度がゼロから徐々に所定の設定速度V1まで上昇し、可塑化/計量工程の終了時においてスクリュ20の回転速度が所定の設定速度V1からゼロに徐々に下降するパターンであってよい。この場合、通常モード時と省電力モード時とでスクリュ20の同一の回転量を実現するためには、省電力モードの方がトータルの駆動時間が長くなるが、省電力モード用のパターンは、通常モード用の駆動パターンにおける急峻な立ち上がりと立ち下がりに起因した電力損失が無い分だけ省電力効果が得られる。尚、その他の例として、省電力モード用の駆動パターンは、通常モード用の駆動パターンよりも設定速度V1が小さいパターンであってもよい。
【0030】
尚、ここでは、図2及び図3を参照して保圧工程及び可塑化/計量工程で用いられる省電力モード用の駆動パターンと通常モード用の駆動パターンの組み合わせを説明したが、他の工程(型開閉工程や成形品突出し工程)に対しても、同様の考え方に基づく各駆動パターンが利用されてもよい。
【0031】
図4は、本実施例のコントローラ26により実現される射出成形方法の一例の主要処理の流れを示すフローチャートである。
【0032】
ステップ400では、コントローラ26は、ユーザにより入力装置35を介して設定されたモード設定状態を読み込む。本例では、コントローラ26は、上述の如く、型開閉工程、保圧工程、可塑化/計量工程及び成形品突出し工程のそれぞれに対するモード設定状態を読み込む。
【0033】
ステップ402では、コントローラ26は、次に実施する工程(現に実行開始しようとしている工程)が対象工程であるか否か、即ち、型開閉工程、保圧工程、可塑化/計量工程及び成形品突出し工程のいずれかであるか否かを判定する。次に実施する工程が対象工程である場合は、ステップ402に進む。他方、次に実施する工程が対象工程以外の工程(例えば型締め工程)である場合は、コントローラ26は、当該工程を通常の態様で実行する(ステップ403)。
【0034】
ステップ404では、コントローラ26は、対象工程に対して通常モードが設定されているか若しくは省電力モードが設定されているかを判定する。尚、この判定には、上記ステップ400のモード設定状態の判断結果が利用される。対象工程に通常モードが設定されている場合は、ステップ406に進み、対象工程に省電力モードが設定されている場合は、ステップ408に進む。
【0035】
ステップ406では、上記ステップ404で判断した対象工程において、通常モード用の駆動パターンに基づいて、当該対象工程で使用するサーボモータ11,24,42若しくは44を制御する。
【0036】
ステップ408では、上記ステップ404で判断した対象工程において、省電力モード用の駆動パターンに基づいて、当該対象工程で使用するサーボモータ11,24,42若しくは44を制御する。
【0037】
ステップ410では、コントローラ26は、全工程が終了したか否かを判定する。全工程が終了した場合は、今回の成形プロセスを終了する。この場合、コントローラ26は、次の成形プロセスにために、ステップ402に戻ってもよいし、若しくは、モード設定状態の変更があった場合等には、再度ステップ400から開始してもよい。全工程が終了していない場合(例えば、保圧工程が終了した段階の場合)、次の工程のためにステップ402に進む。
【0038】
以上説明した本実施例の射出成形機1によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
【0039】
上述の如く、本実施例の射出成形機1によれば、型開閉工程、保圧工程、可塑化/計量工程及び成形品突出し工程の各工程に対して互いに独立して、通常モードと省電力モードのいずれかをユーザが選択的に設定することができる。これにより、多様な組み合わせ(この場合、2通りの組み合わせ)を実現することが可能であり、ユーザの多様なニーズに応えることができる。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0041】
例えば、上述した実施例では、通常モードと省電力モードの2つのモードが設定可能であるが、消費電力が互いに異なる3つ以上のモードが設定可能であってもよい。また、ある工程に対しては2つのモードが設定可能であり、ある工程に対して3つのモードが設定可能であるといった具合に、工程毎に設定可能なモードの数が異なってもよい。
【0042】
また、上述した実施例では、型開閉工程、保圧工程、可塑化/計量工程及び成形品突出し工程の4つの成形工程が、通常モードと省電力モードのいずれかをユーザが選択的に設定することができる成形工程であったが、通常モードと省電力モードのいずれかをユーザが選択的に設定することができる成形工程は、2つ以上の成形工程を含んでいればよい。また、通常モードと省電力モードのいずれかをユーザが選択的に設定することができる成形工程は、上述の成形工程以外の他の成形工程(型締工程や射出工程)を含んでもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 射出成形機
11 サーボモータ
12 ボールネジ
13 ナット
14 プレッシャプレート
15,16 ガイドバー
17 ベアリング
18 ロードセル
19 射出軸
20 スクリュ
21 加熱シリンダ
22 ホッパ
23 連結部材
24 サーボモータ
26 コントローラ
27 位置検出器
28 増幅器
31,32 エンコーダ
35 入力装置
42 サーボモータ
44 サーボモータ
43,45 エンコーダ
50 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形サイクルを構成する複数の成形工程のうち、電動モータの駆動により実現される少なくとも2つの工程に対して、第1のモードと、前記第1のモードより消費電力が小さい第2のモードとを選択的に設定可能なモード設定手段と、
前記モード設定手段におけるモードの設定状態に応じて、前記第1のモードが設定された成形工程では、第1の駆動パターンに基づいて、該成形工程に対応して設けられる電動モータを制御し、前記第2のモードが設定された成形工程では、前記第1の駆動パターンより消費電力が小さい第2の駆動パターンに基づいて、該成形工程に対応して設けられる電動モータを制御する制御手段とを備えることを特徴とする、射出成形機。
【請求項2】
成形サイクルを構成する複数の成形工程のうち、電動モータの駆動により実現される少なくとも2つの工程に対して、第1のモードと、前記第1のモードより消費電力が小さい第2のモードとを選択的に設定するモード設定段階と、
前記モード設定段階におけるモードの設定状態に応じて、前記第1のモードが設定された成形工程では、第1の駆動パターンに基づいて、該成形工程に対応して設けられる電動モータを制御し、前記第2のモードが設定された成形工程では、前記第1の駆動パターンより消費電力が小さい第2の駆動パターンに基づいて、該成形工程に対応して設けられる電動モータを制御する制御段階とを含むことを特徴とする、射出成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−183706(P2011−183706A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52327(P2010−52327)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】