説明

射出成形用金型およびこれを用いた射出成形方法

【課題】成形品をスムーズに取り出すことができる射出成形用金型およびこれを用いた射出成形方法を提供すること。
【解決手段】固定型20および該固定型20に離間接近する可動型30のうち少なくとも固定型20の固定側型板24aが、一般式:MnGen−1N(ただし、Xは、Cu,ZnおよびGaの一種または二種以上であり、nは、0≦n≦1の範囲にある。)で表される負膨張材料により形成される射出成形用金型とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形用金型およびこれを用いた射出成形方法に関し、更に詳しくは、温度下降に伴い体積が増加(温度上昇に伴い体積が減少)する負膨張材料を用いた射出成形用金型およびこれを用いた射出成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、射出成形において、射出成形用金型(以下単に金型と言うこともある。)のキャビティ内で形成された成形品を取り出す方法としては様々なものがある。一般的には、固定側および可動型が型開された後に、エジェクタピンを作動させて成形品を金型外に突き出す手法が採用される(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このエジェクタピンは、エジェクタプレートを介して、可動型のキャビティに対して進退動可能に設けられる。よって、成形品固化後、型開された際に、成形品は可動型に残留するようにしなければならない。つまり、固定型における成形品の離型抵抗を極力小さくするため、固定型のキャビティには、可動型に向かって拡開した抜き勾配を設けることが必須となる。
【0004】
一方、成形品の取り出し工程では、前述したように、成形品はエジェクタピンに直接突き出される。特に卓上レベルの小型射出成形機の金型は、100mm角程度の大きさであり、冷却配管等との干渉を避けるため、エジェクタピンを太くしたり、本数を増やしたりするのには制限がある。したがって、少数の細いピンで突き出さざるを得ず、エジェクタピン一本当たりの成形品の単位面積にかかる圧力は高くなる。その結果、成形品表面には、必然的にエジェクタピンによる凹状の痕跡が残ってしまう。よって、可動型のキャビティにも、固定型より離型抵抗が小さくならない範囲で成形品の抜き勾配が形成されており、エジェクタピンによる大きな突き出し圧が成形品に負荷されないよう設計されている。
【0005】
【特許文献1】特開平5−84788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この抜き勾配の形成は、一般的に放電加工等によりなされるが、金型に微小な傾斜角を高精度に形成しなければならないため、金型の加工コストが増加する。特に、金型が小さいほど抜き勾配の加工が難しくなるため、その傾向は顕著になり、金型の加工コストが大きく嵩んでしまう。また、成形品の形状によっては、抜き勾配を形成することができないことがある。
【0007】
このような金型の場合、連続成形時に成形品が固定型に残存してしまう取り出し不良により、金型が破損してしまうおそれが高い。また、可動型における成形品の取り出しの際の離型抵抗が大きくなり、成形品に残るエジェクタピンの痕跡が深くなってしまう等の問題もある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、金型の加工性に優れ、かつ成形品の取り出し工程が円滑であり、エジェクタピンによる成形品の外観不良を防止可能な射出成形用金型およびこれを用いた射出成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係る射出成形用金型は、固定型と、成形品を金型外に排出するためのエジェクタ機構部が設けられた可動型とから構成される射出成形用金型において、前記固定型が負膨張材料により形成されていることを要旨とするものである。この負膨張材料は、温度の上昇に伴い、収縮して体積が小さくなり、冷却した際には、再び膨張して元に戻る性質を持つ。
【0010】
この場合、前記可動型が前記固定型と同種の負膨張材料により形成されていれば好適である。
【0011】
また、上記射出成形用金型において、前記固定型および/または前記可動型のキャビティに抜き勾配が設けられていないことが好ましい。
【0012】
また、前記エジェクタ機構部に設けられ前記可動型内を摺動するエジェクタピンが前記可動型と同種の負膨張材料により形成されていることが好ましい。
【0013】
また、前記負膨張材料が一般式:MnGen−1N(ただし、Xは、Cu,ZnおよびGaの一種または二種以上であり、nは、0≦n≦1の範囲にある。)で表されるマンガン窒化物であることが好ましい。
【0014】
さらに、上記射出成形用金型は、小型成形品に使用する100mm角以下の大きさの金型であればよい。
【0015】
また、上記課題を解決するために本発明に係る射出成形方法は、上記射出成形用金型を用いて連続的に射出成形を行うことを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る射出成形用金型によれば、固定型が負膨張材料により形成されているため、キャビティ内に射出された溶融樹脂が冷却されるに従い、固定型が膨張してそのキャビティの容積が広がる。したがって、型開時には固定型における成形品の離型抵抗が小さくなり、成形品を確実にエジェクタ機構部が設けられた可動型に残留させることができる。しかも、固定型のキャビティに抜き勾配を設ける必要もないため、金型加工コストを大幅に低減することができる。
【0017】
この場合、可動型も固定型と同種の負膨張材料で形成されていれば、可動型に残留した成形品の離型抵抗が可動型のキャビティの膨張により小さくなるため、成形品を金型外に排出する際に、エジェクタ機構部から成形品に負荷される圧力を小さくすることができ、成形品の外観品質向上につながる。
【0018】
また、上記固定型および/または可動型には抜き勾配が設けられていないため、金型加工コストを大幅に低減することができる。
【0019】
また、上記エジェクタ機構部に設けられるエジェクタピンも可動型と同様の負膨張材料で形成されていれば、可動型の収縮・膨張に伴いエジェクタピンが摺動するピン孔も収縮・膨張するが、エジェクタピンも可動型と同比率で収縮・膨張する。そのため、エジェクタピンとピン孔との摺動が、金型の温度変化により妨げられることがなくなる。
【0020】
また、一般式:MnGen−1N(ただし、Xは、Cu,ZnおよびGaの一種または二種以上であり、nは、0≦n≦1の範囲にある。)で表されるマンガン窒化物で形成された射出成形用金型であれば、負膨張性を有し、かつ高い機械的強度および熱伝導性を有した射出成形用金型とすることができる。
【0021】
さらに、上記射出成形用金型が小型成形品に使用する100mm角以下の大きさの金型であれば、従来の小型射出成形用金型で成形される成形品のように、エジェクタピンの痕跡が深く残ってしまうことがなく、外観品質に優れた成形品を成形することができる小型の射出成形用金型とすることができる。
【0022】
また、本発明に係る射出成形方法によれば、成形品冷却工程で膨張する金型を使用しており、成形品取り出し工程において、成形品が固定型に残存してしまう取り出し不良や、エジェクタピンの突き出し痕による成形品の外観不良等を防止する。そのため、製造コストを大幅に低減し、かつ製品品質を大幅に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図1〜3は、本発明の第一実施形態に係る樹脂成形品Mを成形するための射出成形用金型10aの断面図である。ここで、図1は、この射出成形用金型10aを構成する固定型20と可動型30が突き合わされた状態を示した断面図、図2は可動型30が固定型20より離間した断面図、図3は成形品Mが金型10aから突き出された状態を説明するための断面図である。
【0025】
固定型20は、図示されない射出成形機の原料供給側に固定して取り付けられ、主として、固定側取付板22および固定側型板24aとで構成される。
【0026】
固定側取付板22は、射出成形機と固定側型板24aを連結する板状の金属部材である。その中央には、射出成形機への固定型20の取り付け(センター合わせ)を容易にするために、ロケートリング23が突出して配設されている。固定型20取付時には、このロケートリング23が形成する開口23aに射出成形機の原料供給ノズルが嵌合される。
【0027】
固定側型板24aは、固定型20の本体を構成する主要部分である。この固定側型板24aと上記固定側取付板22の中央には、原料である溶融樹脂の供給路となる原料供給路26が形成されている。この原料供給路26は、摩耗した場合の交換を容易にするため、別部材に形成し、この別部材を固定側取付板22および固定側型板24aに嵌め込むように構成してもよい。
【0028】
また、固定側型板24aには、金型10aのキャビティ15の一部を構成する固定側キャビティ15aが形成されている。さらに、固定側型板24aのやや外寄りの位置には、ガイドピンブシュ29が嵌入されている。このガイドピンブシュ29は、閉型時には、固定型20および可動型30の突き合わせ位置を合わせるため、後述する可動型30に設けられるガイドピン38と係合する。
【0029】
さらに、固定側型板24aは、温度上昇に伴いその体積が収縮する負膨張材料にて形成されている。具体的には、一般式:MnGen−1N(ただし、Xは、Cu,ZnおよびGaの一種または二種以上であり、nは、0≦n≦1の範囲にある。)で表されるマンガン窒化物である。この物質の線膨張率はX元素と、Ge元素の混合比によって異なるが、その比率を変えることで、約0〜−25(μm/℃)の範囲で線膨張率を変化させることができる。
【0030】
また、この物質は、温度が上昇すると共に連続的に体積が小さくなり、均一な負膨張性を有するため、温度変化を繰り返しても機械的欠陥や、歪みが入りにくい。さらに、射出成形用金型として十分な機械的強度を有し、金型の冷却、加熱に必要な高い熱伝導性を有する。以下、この負膨張材料を用いた場合の成形品寸法へ与える影響について検討する。
【0031】
従来の一般的な金型には、SKD11の様な熱膨張する一般的な金属が用いられる。例えば、長さ60mm×幅10mm×厚さ3mmの成形品をPBT(ポリブチレンテレフタレート)により、金型設定温度を80℃にして成形を行う場合について、金型にSKD11と線膨張係数が−25(μm/℃)の上記負膨張材料を用いた場合の成形品寸法を比較した結果を表1に示す。なお、この条件の場合、表1に示すように、キャビティにおける金型表面温度は、溶融樹脂が流入してきたときに約115℃、成形品取り出し時には約75℃となる。
【0032】
【表1】

【0033】
表1に示すように、負膨張材料により形成された金型の場合、SKD11で形成されたものと比較し、幅方向で0.015mm、長さ方向で0.088mmの寸法差が発生する。一般的に、射出成形用金型の抜き勾配は、1°に形成される。例えば、上記成形品の厚み(3mm)方向をキャビティの深さ方向とすると、SKD11の金型に1°の勾配を形成した場合、金型の突き合わせ面では0.104mmキャビティが広がることになる。つまり、負膨張材料を用いた金型により形成された成形品の寸法差は、一般的な金型材料(SKD11)に1°の抜き勾配を設けた場合とほとんど変わらないといえる。したがって、従来と比較し、この負膨張材料を金型10aに用いることによって、成形品の寸法精度に影響が出ることはほとんどない。
【0034】
このように構成される固定型20に対して、可動型30は、射出成形機に搭載された油圧シリンダ等を駆動源として固定型20に離間・接近可能に取り付けられる。この可動型30は、主として、可動側取付板32、可動側型板34、可動側型板受板40、スペーサブロック42およびエジェクト機構部44とから構成される。
【0035】
可動側取付板32は、射出成形機に可動型30を取り付けるための金属板であり、射出成形機の動力を受け、可動型30全体を固定型20に対して進退動作させる。その中央には、後述するエジェクタロッド60が挿通可能に形成されたエジェクタホール32aが形成されている。
【0036】
可動側型板34は、可動型30の本体を構成する主要部分であり、固定側型板24aと同様に、可動側キャビティ15bが形成されている。また、やや外寄りには、型閉時に、固定側型板24aに設けられたガイドピンブシュ29に係合するガイドピン38が配設されている。
【0037】
可動側型板受板40は、可動側型板34をスペーサブロック42と連結するための部材である。図示されるように、可動側型板受板40には、後述するリターンピン50のガイド孔を形成するリターンピンブシュ41が嵌合されている。
【0038】
スペーサブロック42は、可動側型板34および可動側型板受板40を可動側取付板32と連結すると同時に、エジェクタ機構部44を配置するための空間42aを形成するための部材である。
【0039】
この空間42aに配設されるエジェクタ機構部44は、キャビティ15内で成形された成形品を金型外に突き出すための機構を備えており、エジェクタピン46、エジェクタプレート48、リターンピン50およびリターンスプリング52から構成される。
【0040】
エジェクタピン46は、成形品を金型外に突き出すため部材であり、その先端部が可動側キャビティ15bに臨んで設けられる。このエジェクタピン46は、その頭部が上エジェクタプレート48aおよび下エジェクタプレート48bに挾持されて支持されると共に、可動側型板34に形成されたガイド孔46aに摺動可能に取り付けられている。よって、エジェクタプレート46の進退動作に伴い、エジェクタピン46も可動側キャビティ15bに対して進退動作する。
【0041】
また、上エジェクタプレート48aには、エジェクタプレート48のガイド軸となるリターンピン50が立設されている。リターンピン50は、前述のリターンピンブシュ41をガイドとして、エジェクタプレート48を金型10aの開閉方向と平行に進退動作させる。このリターンピン50には、リターンスプリング52が挿通されており、エジェクタプレート48は、可動側取付板32方向に常に付勢されている。
【0042】
このように構成されるエジェクタ機構部44の駆動機構について、以下説明する。
【0043】
図2に示されるように、成形品固化後、型開時には、エジェクタプレート48は、リターンスプリング52により付勢され、可動側取付板32と接触している。この後、図3に示されるように、射出成形機に設けられているエジェクタロッド60が前進し、エジェクタプレート48を可動側キャビティ15b側に前進させる。すると、このエジェクタプレート48に取り付けられたエジェクタピン46が可動側キャビティ15b内に突出して、成形品Mを可動側キャビティ15bの外に突き出す。
【0044】
成形品Mを突き出した後、エジェクタロッド60が後退すると、エジェクタプレート48は、リターンスプリング52の付勢力を受け、図2に示した元の位置まで後退する。そして、再び固定型20および可動型30が型閉され、次の射出成形が行われる。
【0045】
次に、このように構成される金型10aを使用した場合の成形品取り出し工程を図4〜6を参照して説明する。図4〜6は、この取り出し工程を説明するためのキャビティ15付近における金型断面の概略図である。
【0046】
まず、原料供給路26を通じてキャビティ15内に溶融樹脂が供給される。すると、その溶融樹脂温度により、金型10aの温度が上昇する。負膨張材料で形成された固定側型板24aは収縮し、固定側キャビティ15aは、図の点線で示される位置から、実線で示される位置まで小さくなる。成形品Mは、固定側キャビティ15aが収縮した状態で形成される(図4)。
【0047】
原料供給後、成形品Mが冷却される間に、固定側型板24aの温度が下がる。この温度下降に伴い、固定側型板24aが膨張し、固定側キャビティ15aが大きくなる(図5)。
【0048】
この状態で、固定型20および可動型30が型開されるため、冷却されて拡大した固定側キャビティ15aにおける成形品Mの離型抵抗は非常に小さく、成形品Mは可動型30に確実に残存する(図6)。つまり、成形品Mが固定型20に残ってしまったり、その一部が分断されて、固定型20に残ってしまうといった取り出し不良を防止することができる。
【0049】
次に、本発明の第二実施形態に係る射出成形用金型10bについて説明する。この金型10bは、固定側型板24aに加え、可動側型板34aが負膨張材料で形成されている点で第一実施形態と異なる。また、可動型30には、先端がZ形状に形成されたスプルロックピン70による公知のスプルロック機構が設けられ、成形品Mが必ず可動型30に残留するよう構成されている。なお、その他の構成部品については、第一実施形態と同様であるため、第一実施形態と同じ番号を付し、その説明を省略する。
【0050】
このような金型10bによれば、図7(a)に示されるように、原料である溶融樹脂の供給後、成形品Mが冷却されている間に、固定側型板24aおよび可動側型板34aが膨張し、固定側キャビティ15aおよび、可動側キャビティ15bが拡大する。よって、型開時の固定型20および可動型30の双方における離型抵抗は非常に小さくなる。つまり、上記第一実施形態に係る金型10aと同様に、固定型20の離型抵抗により、型開時に成形品Mの一部が分断されて、固定型20に残留してしまうといった不具合を防止することができる。
【0051】
それに加え、図7(b)に示されるように、エジェクタピン46で成形品Mが突き出しされる際にも、可動型30の離型抵抗が小さいため、エジェクタピン46によって成形品Mに負荷される突き出し圧を小さくすることができる。よって、エジェクタピン46の突き出し痕による成形品Mの外観不良等を防止することができる。
【0052】
また、この射出成形用金型10bにおいて、エジェクタピン46(スプルロックピン70を含む。)は、可動側型板34と同じ収縮率を有する負膨張材料で形成するとよい。このようにすることで、金型10bの温度変化に伴い、エジェクタピン46のガイド孔46aが膨張・収縮すると、エジェクタピン46が同じ割合で膨張・収縮するため、ガイド孔46aにおけるエジェクタピン46の摺動性を維持することができる。
【0053】
なお、このように構成される第一実施形態および第二実施形態における金型10a,10bにおいて、キャビティ15を入れ子により構成するようにしてもよい。つまり、キャビティ15が形成された入れ子を負膨張材料で形成し、この入れ子を固定側型板および可動側型板に固定する構成としても、同様の効果が期待できる。
【0054】
このように、本発明の第一実施形態に係る射出成形用金型10aによれば、固定型20の固定側型板24aが負膨張材料で形成されているため、キャビティ15内に射出された溶融樹脂が冷却されるに従い、固定側キャビティ15aの容積が広がる。したがって、型開時の固定側キャビティ15aにおける成形品Mの離型抵抗が小さくなるため、成形品Mが固定型20に残存してしまう等の取り出し不良の発生を防止することができる。また、固定側キャビティ15aに抜き勾配を設ける必要もないため、金型の加工コスト、特に、抜き勾配を形成するのが困難である小型の金型の加工コストを大幅に低減することができる。
【0055】
さらに、本発明の第二実施形態に係る射出成形用金型10bによれば、可動型30の可動側型板34aも同様に負膨張材料で形成されているため、成形品Mに負荷されるエジェクタピン46による突き出し圧を小さくすることができる。よって、成形品Mに残るエジェクタピン46の痕跡が目立たなくなり、成形品Mの外観品質向上させることができる。また、上記第一実施形態と同様に、固定側キャビティ15aおよび可動側キャビティ15bに抜き勾配を設ける必要がないため、金型加工コストを大幅に低減することができる。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0057】
例えば、上記実施形態では、樹脂成形に係る射出成形用金型であることを説明したが、ダイカスト等の金属製品の射出成形用金型にも本発明の技術思想は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第一実施形態に係る射出成形用金型の型閉時の断面図である。
【図2】図1に示した射出成形用金型の型開時の断面図である。
【図3】図1に示した射出成形用金型おいて成形された成形品突き出し時の断面図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る射出成形用金型のキャビティに原料である溶融樹脂が射出された状態を説明するための金型断面の概略図である。
【図5】図4に示した射出成形用金型に射出された溶融樹脂が冷却固化した時のキャビティの状態を説明するための金型断面の概略図である。
【図6】図5に示した射出成形用金型の型開時の状態を説明するための金型断面の概略図である。
【図7】本発明の第二実施形態に係る射出成形用金型における成形品取り出し工程を説明するための金型断面の概略図であり、(a)は成形品突き出し前の状態を示し、(b)は成形品突き出し後の状態を示す。
【符号の説明】
【0059】
10a 射出成形用金型(第一実施形態)
10b 射出成形用金型(第二実施形態)
15 キャビティ
15a 固定側キャビティ
15b 可動側キャビティ
20 固定型
24a 固定側型板
30 可動型
34 可動側型板
34a 可動側型板(負膨張性有)
46 エジェクタピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定型と、成形品を金型外に排出するためのエジェクタ機構部が設けられた可動型とから構成される射出成形用金型において、前記固定型が負膨張材料により形成されていることを特徴とする射出成形用金型。
【請求項2】
前記可動型が前記固定型と同種の負膨張材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の射出成形用金型。
【請求項3】
前記固定型および/または前記可動型のキャビティに抜き勾配が設けられていないことを特徴とする請求項1または2に記載の射出成形用金型。
【請求項4】
前記エジェクタ機構部に設けられ前記可動型内を摺動するエジェクタピンが前記可動型と同種の負膨張材料により形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の射出成形用金型。
【請求項5】
前記負膨張材料が一般式:MnGen−1N(ただし、Xは、Cu,ZnおよびGaの一種または二種以上であり、nは、0≦n≦1の範囲にある。)で表されるマンガン窒化物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の射出成形用金型。
【請求項6】
小型成形品に使用する100mm角以下の大きさの金型であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の射出成形用金型。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の射出成形用金型を用いて連続的に射出成形を行うことを特徴とする射出成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−221671(P2008−221671A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−64441(P2007−64441)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】