導波管構造
【課題】 導波管構造、特に光バイオセンサとしての使用に適する導波管構造を提供する。
【解決手段】 新しい単一点漏れ導波管構造、及び粒子の検出のための光学センサとしてのその使用法。導波管構造は、粒子の容積の大部分をエバネッセント場の内部に配置するために、センサ表面からのエバネッセント場の拡張と流れるシステムの大部分の溶液中の粒子との重複を増すように製造される。エバネッセント場の粒子との重複を増大し、モード伝播を流れの方向に沿って数ミリメートルだけ許すことにより、単一流れチャンネルにおける複数粒子の検出に対する有効な呼びかけ信号手法がもたらされる。
【解決手段】 新しい単一点漏れ導波管構造、及び粒子の検出のための光学センサとしてのその使用法。導波管構造は、粒子の容積の大部分をエバネッセント場の内部に配置するために、センサ表面からのエバネッセント場の拡張と流れるシステムの大部分の溶液中の粒子との重複を増すように製造される。エバネッセント場の粒子との重複を増大し、モード伝播を流れの方向に沿って数ミリメートルだけ許すことにより、単一流れチャンネルにおける複数粒子の検出に対する有効な呼びかけ信号手法がもたらされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導波管構造に関し、限定はしないが、特に光バイオセンサとしての使用に適する導波管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
抗生物質抵抗性バクテリアの患者数の最近の増加とエスカレートした細菌戦又はテロリズムの危険性により、民間及び軍事環境の両面から病原体の存在の迅速かつ費用効果のよい判断の必要性が強調されている。光センサは、生物サンプルに付随する光学特性の変化による環境のリアルタイムモニタリングを可能にする点で病原体を検出するための優れた方法を提供する。
一般的に、光センサは、構造内に存在する光学モードに付随するエバネッセント波が、生物サンプルを含む感知層の中に延びる層状の光導波管構造に基づいている。例えば、病原体との相互作用又は結合によるサンプルの屈折率の変化は、容易に検出することができるモードの光学特性の変化をもたらす。光導波管構造は、バクテリア、ウイルス、及び水中の毒素のような病原体を検出するために使用されている。
【0003】
1つのそのような光エバネッセントセンサは、表面プラズモン共振(SPR)の現象を使用する。ここで、センサは、上面が金又は銀の薄い金属層でコーティングされて、生物サンプルを含む感知層が金属層上に配置された誘電プリズムを含む。内部全反射に対する臨界角度を超える角度で誘電プリズムの上面に入射する光は、検出器によってモニタされる。1つ又は複数のある一定の「共振」角度において、入射光は、結合して金属層における電子雲の振動になり、プリズムと金属層のインタフェースで伝播する。反射光の量の低下は、検出器で検出される。表面光学モードは、感知層内に延びて生物化学サンプルの屈折率の変化に感応するエバネッセント場を発生する。サンプルに結合する病原体は、共振が励起される角度の変化により検出器において検出される。
【0004】
表面プラズモン共振に基づく光センサの感度は、一般的に、入射光が共振を励起することになる角度の範囲が小さいという点で制限されている。生化学サンプルの屈折率の比較的大きな変化に対する要件が、エバネッセント場の感知層内への拡張が弱いことによってその度合いを増す粒子の検出に関しては、この問題は特に深刻である。表面プラズモン共振に基づく光センサの更なる欠点は、それらが偏光を必要とすることである。
【0005】
国際特許出願番号WO99/44042に説明された弱い感度の問題に対する1つの手法は、「漏れ」導波管構造を含む光センサに依存している。基本的な「漏れ」導波管構造は、それが透明基板を被覆する薄い金属層上に配置された感知層を含む点で、表面プラズモン共振構造に類似している。しかし、層の屈折率は、基板の上面に入射する光が完全に内部反射せず、感知層内を伝播する光学モードに(及び光学モードから)金属層を通して結合されるように選択される。
【0006】
WO99/44042は、他のいくつかの漏れ導波管構造を説明している。1つの構造(共振光導波管、ROW)は、スペーサ層上に配置されてそれによって基板から分離された高屈折率層に設けられた感知層を含む。共振ミラー構造と同様のこの構造では、基板の上面に入射する光は、スペーサ層のエバネッセント場を通じて、高屈折率の層に支持される光学モードに結合される。光学モードは、それ自体、感知層の中に延びる関連エバネッセント場を有する。更に別の構造(共振防止反射光導波管、ARROW)は、高屈折率の層と感知層の間に付加的なスペーサ層を含む。各層の屈折率と厚さは、漏れ導波管モードにおける伝播光の反射を建設的干渉によって最大化し、その損失を破壊的干渉によって最小化するように選択される。
【0007】
WO99/44042の漏れ導波管構造は、感知層の大部分の中心にある光学モード(「バルク」光学モード)を支持するので、それらが表面モードの支持に基づく導波管よりも高い感度を提供することが理解されるであろう。WO99/44042の導波管構造の更なる利点は、それらがサンプルの屈折率の大きな変化に対して、反射光の強度の一時的低下ではなく容易に観測されるピークを提供することができることである。
【0008】
粒子状病原体の検出の感度の改善は、粒子の光学モードとの相互作用により散乱又は放射された光の試験によって得ることができる。国際特許出願番号WO01/42768は、光の散乱又は放射によって粒子を検出するための表面プラズモン共振の使用法を説明している。この技術の感度は、感知層におけるエバネッセント場の拡張が小さく(約100から250nm)、従って、バクテリアのような粒子(直径が約1ミクロン)の大部分の小さな部分だけに重なるという事実によって制限されている。更に、散乱又は放射された光の強度が、感知層で指数的に減少するエバネッセント場の強度に比例するために、場の拡張の弱さは、感知層と金属とのインタフェースから離れた粒子が検出されない場合があることを意味する。
【0009】
WO99/44042の漏れ導波管センサはまた、光の散乱により、病原体を検出するその機能が制限されている。特に、細孔のサイズは、それらが光を散乱させるのを防ぎ、従って直径が20nmよりも小さい粒子だけを受け入れることができるように制限されるべきである。その結果、この方法を用いてバクテリアやいくつかのウイルスのようなより大きな粒子を検知することはできない。
本発明は、一般的に、エバネッセント場がより広い範囲まで感知層に浸透し、大部分の粒子の少なくとも主要な部分に重なる導波管センサを提供することによりこれらの問題を克服することを目的とする。本発明は、感知層に隣接する低屈折率の層において支持された漏れ導波管光学モードが、感知層におけるエバネッセント場の浸透の深さを増大することができるという認識に基づいている。
【0010】
【特許文献1】国際特許出願番号WO99/44042
【特許文献2】国際特許出願番号WO01/42768
【発明の開示】
【0011】
本発明は、従って、第2の層上に配置された媒体の感知層を含む導波管構造を提供するものであり、第2の層は、第2の層と屈折率が異なる第3の層上に配置され、そこでは構造が第2の層における大部分の光学モードを支持することができ、媒体は、感知層の光学特性の変化をもたらすターゲット粒子を捕捉するようになっており、第2の層の厚み及び/又は屈折率は、光学モードの感知層内への浸透深さを制御して粒子の少なくとも主要な部分と重なるように選択される。
【0012】
屈折率と第2の層の厚さの選択は、第3の層の屈折率を調整し、光学モードと感知層におけるそのエバネッセント場の浸透深さとを改善することは、当業者によって理解されるであろう。一般的に、エバネッセント場の浸透の範囲は、厚さの減少と第2の層の屈折率の低下に伴って増加する。第2の層の屈折率は、第3の層の屈折率よりも低い方が好ましい。
第2の層はまた、感知層におけるエバネッセント場の伝播の範囲を増すように作用する。感知層におけるモードの伝播は、数mmに達する可能性があり、表面プラズモン共振及び共振ミラー導波管で得ることができる数ミクロンよりも遙かに高い。従って、第2の層も導波管構造に基づくセンサの検出区域を増すことは明白であろう。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、第2の層は、結晶又はゾルゲル形態のシリカを含む。しかし、第2の層は、代替的に、アガロース・ゲル、いくつかのフッ素化ポリマー、又はポリ−2−ヒドロキシエチルメチルアクリラート(Hydrogel(登録商標)))のようなポリアクリラートなどの光学モードを支持することができる他の材料を含むことができる。
本発明の好ましい実施形態では、導波管構造は、第2の層と第3の層の間に配置された高反射率の第4の吸収層を含む。第4の層は、第3の層の上面に設けられた薄い金属層又はコーティングを含むことができる(その場合、構造は「メタル−クラッド」漏れ導波管、すなわち、MCLWと説明される)。適切な金属は、アルミニウム、タンタル、ジルコニウム、チタン、又はクロムを含む。代替的に、第4の層は、結晶性染料材料の薄い層又はコーティングを含むことができる(その場合、構造は「ダイ−クラッド」漏れ導波管、すなわち、DCLWと説明される)。
【0014】
第4の層を含むことは、それが第2の層における光学モードの伝播を更に促進し、感知層におけるエバネッセント波の浸透深さを増すという点で有利である。従って、第4の層も同様に導波管構造の感度を改善する。更に、導波管モードが励起されない時は、(すなわち、それは、光が導波管の中に結合されない「共振オフ」モードにある)、ほとんど全ての入射光学エネルギは、熱の形で層上に堆積する。従って、共振時に、MCLW又はDCLWの反射率に鋭いピークがあり、検出器での共振モードの検出を比較的容易にする。
【0015】
サイズが1から10ミクロンのバクテリアの検出の改善をもたらす第2の層の適切な屈折率nは、nが1.33から1.45の範囲であり、第2の層の適切な厚さは、200nmから1000nmの範囲である。好ましくは、第2の層の屈折率と厚さは、エバネッセント場の浸透深さが、検出される粒子全体と重なるように選択される。
本発明の一実施形態では、第2の層は、厚さ300nmのシリカゾルを含み、厚さ8.5nmのチタンを含む第4の層は、少なくとも1.5ミクロンのエバネッセント場の浸透深さ与え、「Bacillus globigii(BG)」胞子(〜1ミクロン)と完全に重ねるのに適している。
【0016】
導波管構造の第3の層、すなわち、「基板」層は、一般的に、ガラス、「Perspex(登録商標)」、水晶、又は適切なポリマーのような光透過材料を含み、光を構造の第2の層の中に及びそこから結合するための手段に付随することができる。好ましくは、基板層は、通常の顕微鏡スライドを含む。
本発明の導波管構造は、最終ユーザによって適応させることができる「チップ」として作ることができる。チップは、通常の顕微鏡スライドを薄い金属又は染料の層でコーティングし、続いてシリカ層をスピンコーティング又は真空堆積することによって準備することができる。金属又は染料の層の厚さは製造時に固定されることになるが、本発明は、シリカ層又はシリカゾル層の厚さをチップのその後の処理によって決めることができることを想定している。特に、チップは、例えばシリカ層の全体又は一部分をエッチングして望ましい厚さを与えることにより、1つ又はそれ以上の粒子の検出に適応させることができる。勿論、これらの状況においては、チップは、関連する可能性のある最も大きな粒子の検出に適するシリカ又はシリカゾル層の厚さに製造されることになる。シリカ又はシリカゾル層の最終厚さは、最終ユーザとチップ上の感知層の配置とによって判断することができる。
【0017】
感知層は、当業技術で公知の化学結合基との標準的な反応によってチップ上に化学的に堆積した抗体層又はコーティングを含むことができる。抗体層又はコーティングは、連続的又は部分的とすることができ、特に、各々が検出される異なる粒子に特定の異なる抗体のいくつかの連続的又は部分的アレイを含むことができる。本発明の一実施形態では、「Bacillus globigii」抗体層又はコーティングは、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、グルタルアルデヒド、及び抗体へのチップの連続露出によって付着される。
【0018】
本発明の感知層は、代替的又はそれに加えて、チップの上面に接触する流体層を含むことができることが認められるであろう。半無限の流体層は、検出される粒子を包含することになる。また、検出される粒子に特定的な抗体以外の化学又は生化学的エンティティを感知層において使用することができることも認められるであろう。
本発明の一態様では、第2の層上に配置された媒体から成る感知層を有する導波管構造を含み、第2の層は、第2の層と屈折率が異なる第3の層上に配置され、そこでは構造が、第2の層における大部分の光学モードを支持することができ、媒体は、感知層の光学特性の変化をもたらすターゲット粒子を捕捉するようになっており、第2の層の厚み及び/又は屈折率は、感知層内の光学モードの浸透深さを制御して目標粒子の少なくとも主要な部分と重なるように選択され、光学供給装置、光学供給装置からの光を光学モードに結合するための手段、及び感知層内、感知層における、又は感知層に隣接する粒子によって散乱又は放射された光を検出するための手段を更に含む光学センサが提供される。
【0019】
検出手段は、一般的に電荷結合素子(CCD)撮像装置を含む。検出手段は、感知層と撮像装置の間に配置された撮像レンズに付随することができる。好ましくは、撮像レンズは、2つの色消しレンズを含み、CCD撮像装置と共にピクセル当たり約4ミクロンの解像度を提供する。
検出手段は、粒子から散乱又は放射された光を検出するためにチップの上面の上方に配置される。放射光は、蛍光によるものとすることができるが、燐光を使用してもよい。勿論、放射光が検出されるためには、粒子は、最初に適切にラベル付けされるべきであり、そうでなければ、自然放射体でなければならない。
入射光の波長は、粒子による光の放射を支持するだけでなく、感知層におけるエバネッセント場の浸透深さを最適化するように選択され、第3の層の上面での光の入射の好都合な角度をもたらすことになる。
【0020】
光学供給装置は、一般的に干渉光の供給装置を含む。蛍光が検出される場合は、光学供給装置は、488nmの光を提供するアルゴンレーザを含むことができる。散乱光を取り除く適切なフィルタは、CCD撮像装置の前に配置される。散乱光が検出される場合は、フィルタを放射光のいずれをも除去するものと交換することができ、又は635nmの波長で光を供給する半導体レーザを含む光学供給装置を使用することができる。
光学センサは、導波管構造から結合された光をモニタすることによって光学モードの特性の変化を検出するための手段を更に含むことができる。共振点における反射光の振幅のピークは鮮明であるが、第2の検出器は、第1の検出器ができるようには個々の粒子を検出することができず、入射光を適切な共振角度に維持する目的のためだけに提供されている。
【0021】
本発明の第2の態様では、(i)ターゲット粒子に光学センサを露出し、(ii)検出手段において粒子から散乱又は放射された光を検出する段階を含む粒子を検出する方法が提供される。
本発明の更に別の態様は、第2の層上に配置された媒体から成る感知層を含む導波管構造の使用法を提供し、第2の層は、第2の層と屈折率が異なる第3の層上に配置され、そこでは構造は、第2の層における大部分の光学モードを支持することができ、媒体は、感知層の光学特性の変化をもたらすターゲット粒子を捕捉するようになっており、第2の層の厚み及び/又は屈折率は、粒子を検出する方法において、感知層内への光学モードの浸透深さを制御して粒子の少なくとも主要な部分と重なるように選択される。
【0022】
本発明は、散乱又は放射光の収集に基づく技術を提供し、これがエバネッセント場の粒子との重複の確率及び範囲を増すことによって表面プラズモン共振と共振ミラー技術を改善することは当業者には明白であろう。事実、本発明は、濃度が107胞子/ミリリットルでの「Bacillus globigii」の検出を可能にし、これは、従来技術(典型的に109胞子/ミリリットル)に対して2桁のマグニチュードの改善である。本発明の他の利点は、表面プラズモン共振技術と異なり、平面偏光光を使用する必要がなく、遙かに小さな入射角度を使用するという事実を含む。更に、本発明のいくつかの実施形態の導波管構造は、室温で製造することができ、製造がより廉価であり、使い捨てにすることができる。
ここで、本発明をいくつかの実施形態と以下の図面に関連して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
ここで図1を参照すると、異なる屈折率n1とn2を有する媒体12のインタフェースに、光学的に密度が高い媒体内の内部全反射に対する臨界角度θcよりも大きい角度で光11が入射する場所ではどこでも、それは、運動量とエネルギの保存によってエバネッセント場13を発生する。エバネッセント場又は波13は、次の式で示される曲線で表される強度で光学的に密度が低い媒体内でインタフェース12と平行に伝播する。
Iev=I0exp(−z/dp)
ここで、I0は、反射点におけるエバネッセント波の強度、zは、波の反射点からの距離、dpは、光学的に密度が低い媒体における波の浸透深さである。
波の浸透深さdpは、入射光の波長λと角度θiの関数であり、次の関係で支配される。
【0024】
【数1】
【0025】
ここで図2を参照すると、「漏れ」導波管構造は、ある一定の1つ又は複数の角度θiで入射光の全てが反射しないように、媒体の屈折率n1とn2が「一致する」類似の構成に基づいている。内部全反射は、この時点で「妨げられ」、エバネッセント場を生成することなく、光学的により密度が高い媒体から光学的により密度が低い媒体に光の一部分が結合される。
光学的により密度が低い媒体がより低い屈折率n3の更に別の媒体に接触する場合、結合された光は、2つの媒体間のインタフェース14における全反射によって戻されることになる。従って、光の一部分だけが再度光学的に密度がより高い媒体に結合されるために、光学モード15は、光学的に密度がより低い媒体内を伝播することは明らかであろう。光学モード15は、屈折率のより低い媒体を伝播する関連するエバネッセント場13を含むことが更に認められるであろう。
【0026】
光学モード15とそれに関連するエバネッセント場13は、屈折率がより低い媒体の屈折率の変化を感知することができ、隣接の粒子17によって光16の散乱又は放射を励起することができる。散乱又は放射光の強度がエバンッセント場の強度に依存するために、エバネッセント場13の浸透深さがより大きければ、粒子17がより強く照明されることは明白であろう。
ここで図3を参照すると、本発明による漏れ導波管構造は、1mmのガラス基板層21(n=1.5)をコーティングするチタン20の薄膜(8.5nm)上に設けられた300nmのシリカゾル層19(n=1.43)の上面を有する全体的に18で示されているチップを含む。シリカゾル層19の厚さと屈折率は、685nm又は488nmの入射光の波長で単一の鋭く誘導された光学モード15を支持し、エバネッセント場の浸透深さ(約1.5−2.0ミクロン)を最適化するように選択される。
【0027】
感知層22は、解析される生化学サンプルの層を含むことができる。代替的又はそれに加えて、感知層22は、10%の3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTS)に3時間浸漬し、エタノールで洗浄し、110℃で2時間乾燥することによりチップ18のシリカゾル層19上に堆積した抗体層を含むことができる。チップ18は、次に、5%グルタルアルデヒド水溶液に30分間浸漬し、続いて10ミリモルのリン酸塩バッファ(pH7.4)中で濃度が300マイクログラム/ミリリットルの適切な抗体溶液に30分間露出することにより、「Bacillus globigii」を検出するために活性化される。最後に、チップ18上の未反応の部位は、5ミリグラム/ミリリットルのウシ血清アルブミン(BSA)水溶液にフローセル内でチップ18を露出することによってブロックされる。
【0028】
図4は、関連のエバネッセント場13を含むチップ18のシリカゾル層19中に支持された光学モードを示すものである。図に見ることができるように、モード15は、単一の鋭く誘導されたモードであり、エバネッセント場13の浸透深さは、感知層22において粒子と重なるように延びている。
ここで図5を参照すると、チップ18の上面と結合バクテリアの間の距離を関数とする導波管の反射率の変化は、一般的に使用されるSPRと共振ミラー構造の反射率の変化と比較される。図に見ることができるように、導波管構造の反射率の変化は、SPR及び共振ミラー構造と比較してMCLW構造の場合が遙かに大きく、エバネッセント場13のより大きな拡張とバクテリアのような大きな粒子19のより良好な検出とを示唆している。
【0029】
ここで図6を参照すると、蛍光による粒子19の検出に適する光学センサ23は、10mWの出力で放射波長が488nmの空冷アルゴンイオンレーザ24(162LGL、「Laser Graphics、GmbH」、ドイツ)を含む。488±5nmフィルタ25(「Glen Spectra」、英国)がレーザの前に取り付けられ、異なる波長で不要な放射を除去する。光は、「BK7」プリズム26に導かれ、そこで、ミラー27を調整することにより一部分がチップ18に結合される。
【0030】
チップ18は、内径が約15mmで吸入ポートが直径に関して対向している「Perspex(登録商標)」フローセル(図示しない)に付随するか又はその内部に配置される。蠕動ポンプ(MINIPLUS−3、MP4、カナダ)が、解析される粒子を含む流体を50マイクロリットル/分の速度でフローセルに吸い上げる。ポンプとチップ18は、漏れ波のモードの伝播方向が流体の流れる方向と反対になるように配置される。
【0031】
エバネッセント場13との相互作用によって粒子17から放射された光16は、1インチモノクロ前進走査1024(H)×1024(V)ライン間転送CCD撮像装置を含む超高解像度デジタルカメラ28(PULNIX(登録商標)−1001、米国)によって収集される。放射フィルタ29は、放射光から散乱光を濾過するために(505nm長通過フィルタ、Comar、英国)、又は散乱光から放射光を濾過するために(488nm用干渉帯域通過フィルタ、Comar、英国)チップ上方に設けられる。特定の粒子19の蛍光の強度は、粒子の値が所定の閾値を超えるその粒子に属する全てのピクセルの加算によって計算される。
【0032】
チップによって反射される光の部分は、第2の検出器(図示しない)で収集され、この検出器は、入射光を共振角度に維持するためにチップの反射率をモニタするのに使用することができる。図7は、約63°の入射角度で起きる図3の導波管構造の反射率のピークを示すものである。
ラテックスビーズ、酵母菌、及び「Bacillus globigii」胞子を含むいくつかの粒子に関して、散乱及び蛍光の観察が図6のセンサを使用して実施された。
【0033】
図8(a)は、MCLWチップの背景画像を示す。図に見ることができるように、MCLWチップは、光の散乱の原因になり粒子の検出を混乱させる可能性がある凹部又はスクラッチのような有意な欠陥が何もない平滑な表面を有する。MCLWチップ18の平滑な表面は、試験画像から背景画像を差し引く必要がないという点で特に有利である。
図8(b)と(c)は、それぞれ完全流れ及び停止/開始流れのモードにおいて濃度が109ビーズ/ミリリットルで直径が1.09ミクロンのラテックスビーズから観測された光の散乱を示すものである。図に見ることができるように、ビーズからの光の散乱は、停止/開始流れのモードにおいて改善され、粒子が感知層上に下向きに沈殿するのでそれらのエバネッセント場の重複がより大きくなることを示唆している。
【0034】
図9(a)と(b)は、それぞれ、図8の場合と同じ濃度と条件での100%蛍光色素でラベル付けされた5ミクロンのラテックスビーズ(Sigma、英国)から得られた蛍光と散乱画像を示すものである。しかし、蛍光色素の場合は、レーザは10mWの出力で作動し、散乱の場合は、レーザは、カメラの前に配置された簡単な青色フィルタを使用して4mWの出力で作動する。
図10(a)から(d)は、10mWの出力における100%と10%の蛍光色素でラベル付けされた2.5ミクロンのラテックスビーズ(Sigma、英国)に対する散乱と蛍光の観察を比較する画像を示すものである。図(b)と(d)から見ることができるように、ビーズからの散乱画像はほぼ同じであるが、蛍光画像(図(a)と(c))は著しく異なるという事実は、画像の種類の間の低レベルの漏話干渉を示唆している。
【0035】
図11(a)と(b)は、それぞれ、ラベル付けされた酵母菌の蛍光及び散乱画像を示すものである。酵母菌「Saccharomyces cerevisiae」(UMIST、英国)は、遺伝子的に修正されて、DNA損傷の修復中にユクオリア・ビクトリアから得られるGFP、すなわち緑色蛍光タンパク質を発現し、490nmのピーク励起波長と517nmのピーク放射波長を有する。この細胞は、公知のDNA損傷化合物であるメチルメタンスルフォン酸塩に露出することにより、GFPを発現するように活性化された。図に見ることができるように、蛍光画像は、10mWの出力でも散乱画像に対して劣るものであり、GFPの酵母菌の生成するレベルだけが検出されることを示唆している。図11(a)の10(a)との更なる比較は、高レベルの蛍光を発現する酵母菌の比率が2.5%よりも少ないことを示唆している。更に、得られたイーストの画像は、それらが細胞サイクルの段階に応じて、3から8ミクロンの間でサイズを変えることを示唆している。図11(b)の図10(b)との比較は、光の散乱による酵母菌の検出が、ラテックスビーズの検出よりも同様に困難であることを明白に示している。これは、ラテックスビーズの屈折率が酵母菌の屈折率よりも高く、従ってより強く光を散乱するという事実に起因するものと考えられる。
【0036】
「Bacillus globigii」胞子(CAMR、英国)へのセンサの露出は、チップの表面に亘って移動する分散光の区域としてその胞子を明らかにした。胞子がチップの表面近くで移動するように見える場合は、それらは、恐らく抗体によって補足されて瞬間的に停止した時に時々観測された。そのような挙動は、センサが抗体ではなくBSAを含む表面でコーティングされた時には観測されなかった。ここでもまた、停止/開始流れモードは、胞子をチップ上へ沈殿させているように見え、そこでは、画像は、より明るくより明確に形成された。図12は、107胞子/ミリリットルの濃度による1時間の「Bacillus globigii」胞子へのチップの露出後に得られた散乱画像を示すものである。MCLWセンサの応答は、適度な検出に対して109胞子/ミリリットルの「Bacillus globigii」の濃度を一般的に必要とするSPRセンサに比較して良好であることが認められるであろう。
【0037】
散乱強度は、胞子がSPRセンサに露出された時の散乱強度と比較された。結果は、表1に要約されている。表に見ることができるように、MCLWチップからの散乱の強度は、SPRチップからの散乱の強度の約3倍の強さである。実験結果の標準偏差は、エバネッセント場の浸透深さがより大きく、粒子との重複の確率がより高いにも関わらずそれらがチップ表面から長い距離で同じく検出可能であるから、MCLWチップの場合により高くなっている。
【0038】
【表1】
【0039】
これらの結果は、光の散乱又は放射に基づいて、粒子を検出することができ、現在使用される他のセンサよりも感度の良いMCLWセンサが開発されたことを示すものである。このセンサは、センサ表面からサンプル内へのエバネッセント場の浸透深さとモードの伝播の範囲とを増大し、従って、粒子の検出に対する有効な呼びかけ信号をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】光の内部全反射が起きる媒体のインタフェースにおけるエバンッセント場の生成を例証する図である。
【図2】「漏れ」導波管構造の概略図である。
【図3】本発明の一実施形態による漏れ導波管構造の断面図である。
【図4】図3の実施形態による導波管構造において支持された光学モードを示すグラフである。
【図5】図2の実施形態とSPR及び共振ミラー導波管構造とに対する感知層におけるエバネッセント場の相対的な範囲を示すグラフである。
【図6】本発明による光学センサの概略図である。
【図7】図6の光学センサの反射率のピークを示すグラフである。
【図8(a)】ラテックスビーズにチップを露出する前と露出中の光の散乱を示す図である。
【図8(b)】ラテックスビーズにチップを露出する前と露出中の光の散乱を示す図である。
【図8(c)】ラテックスビーズにチップを露出する前と露出中の光の散乱を示す図である。
【図9(a)】異なる光学供給装置に対してチップを蛍光色素でラベル付けされた5ミクロンのラテックスビーズに露出中の蛍光及び光の散乱を示す図である。
【図9(b)】異なる光学供給装置に対してチップを蛍光色素でラベル付けされた5ミクロンのラテックスビーズに露出中の蛍光及び光の散乱を示す図である。
【図10(a)】チップを10%の蛍光色素でラベル付けされた5ミクロンのラテックスビーズに露出中の蛍光を示す図である。
【図10(b)】チップを10%の蛍光色素でラベル付けされた5ミクロンのラテックスビーズに露出中の蛍光を示す図である。
【図10(c)】チップを100%の蛍光色素でラベル付けされた5ミクロンのラテックスビーズに露出中の蛍光を示す図である。
【図10(d)】チップを100%の蛍光色素でラベル付けされた5ミクロンのラテックスビーズに露出中の蛍光を示す図である。
【図11(a)】タンパク質GFPを発現する酵母菌にチップを露出中の蛍光を示す図である。
【図11(b)】タンパク質GFPを発現する酵母菌にチップを露出中の蛍光を示す図である。
【図12】抗体がコーティングされたチップに捕捉されたBG胞子からの光の散乱を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
11 入射光
13 エバネッセント場
14 媒体間のインタフェース
15 光学モード
n1、n2、n3 媒体の屈折率
【技術分野】
【0001】
本発明は、導波管構造に関し、限定はしないが、特に光バイオセンサとしての使用に適する導波管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
抗生物質抵抗性バクテリアの患者数の最近の増加とエスカレートした細菌戦又はテロリズムの危険性により、民間及び軍事環境の両面から病原体の存在の迅速かつ費用効果のよい判断の必要性が強調されている。光センサは、生物サンプルに付随する光学特性の変化による環境のリアルタイムモニタリングを可能にする点で病原体を検出するための優れた方法を提供する。
一般的に、光センサは、構造内に存在する光学モードに付随するエバネッセント波が、生物サンプルを含む感知層の中に延びる層状の光導波管構造に基づいている。例えば、病原体との相互作用又は結合によるサンプルの屈折率の変化は、容易に検出することができるモードの光学特性の変化をもたらす。光導波管構造は、バクテリア、ウイルス、及び水中の毒素のような病原体を検出するために使用されている。
【0003】
1つのそのような光エバネッセントセンサは、表面プラズモン共振(SPR)の現象を使用する。ここで、センサは、上面が金又は銀の薄い金属層でコーティングされて、生物サンプルを含む感知層が金属層上に配置された誘電プリズムを含む。内部全反射に対する臨界角度を超える角度で誘電プリズムの上面に入射する光は、検出器によってモニタされる。1つ又は複数のある一定の「共振」角度において、入射光は、結合して金属層における電子雲の振動になり、プリズムと金属層のインタフェースで伝播する。反射光の量の低下は、検出器で検出される。表面光学モードは、感知層内に延びて生物化学サンプルの屈折率の変化に感応するエバネッセント場を発生する。サンプルに結合する病原体は、共振が励起される角度の変化により検出器において検出される。
【0004】
表面プラズモン共振に基づく光センサの感度は、一般的に、入射光が共振を励起することになる角度の範囲が小さいという点で制限されている。生化学サンプルの屈折率の比較的大きな変化に対する要件が、エバネッセント場の感知層内への拡張が弱いことによってその度合いを増す粒子の検出に関しては、この問題は特に深刻である。表面プラズモン共振に基づく光センサの更なる欠点は、それらが偏光を必要とすることである。
【0005】
国際特許出願番号WO99/44042に説明された弱い感度の問題に対する1つの手法は、「漏れ」導波管構造を含む光センサに依存している。基本的な「漏れ」導波管構造は、それが透明基板を被覆する薄い金属層上に配置された感知層を含む点で、表面プラズモン共振構造に類似している。しかし、層の屈折率は、基板の上面に入射する光が完全に内部反射せず、感知層内を伝播する光学モードに(及び光学モードから)金属層を通して結合されるように選択される。
【0006】
WO99/44042は、他のいくつかの漏れ導波管構造を説明している。1つの構造(共振光導波管、ROW)は、スペーサ層上に配置されてそれによって基板から分離された高屈折率層に設けられた感知層を含む。共振ミラー構造と同様のこの構造では、基板の上面に入射する光は、スペーサ層のエバネッセント場を通じて、高屈折率の層に支持される光学モードに結合される。光学モードは、それ自体、感知層の中に延びる関連エバネッセント場を有する。更に別の構造(共振防止反射光導波管、ARROW)は、高屈折率の層と感知層の間に付加的なスペーサ層を含む。各層の屈折率と厚さは、漏れ導波管モードにおける伝播光の反射を建設的干渉によって最大化し、その損失を破壊的干渉によって最小化するように選択される。
【0007】
WO99/44042の漏れ導波管構造は、感知層の大部分の中心にある光学モード(「バルク」光学モード)を支持するので、それらが表面モードの支持に基づく導波管よりも高い感度を提供することが理解されるであろう。WO99/44042の導波管構造の更なる利点は、それらがサンプルの屈折率の大きな変化に対して、反射光の強度の一時的低下ではなく容易に観測されるピークを提供することができることである。
【0008】
粒子状病原体の検出の感度の改善は、粒子の光学モードとの相互作用により散乱又は放射された光の試験によって得ることができる。国際特許出願番号WO01/42768は、光の散乱又は放射によって粒子を検出するための表面プラズモン共振の使用法を説明している。この技術の感度は、感知層におけるエバネッセント場の拡張が小さく(約100から250nm)、従って、バクテリアのような粒子(直径が約1ミクロン)の大部分の小さな部分だけに重なるという事実によって制限されている。更に、散乱又は放射された光の強度が、感知層で指数的に減少するエバネッセント場の強度に比例するために、場の拡張の弱さは、感知層と金属とのインタフェースから離れた粒子が検出されない場合があることを意味する。
【0009】
WO99/44042の漏れ導波管センサはまた、光の散乱により、病原体を検出するその機能が制限されている。特に、細孔のサイズは、それらが光を散乱させるのを防ぎ、従って直径が20nmよりも小さい粒子だけを受け入れることができるように制限されるべきである。その結果、この方法を用いてバクテリアやいくつかのウイルスのようなより大きな粒子を検知することはできない。
本発明は、一般的に、エバネッセント場がより広い範囲まで感知層に浸透し、大部分の粒子の少なくとも主要な部分に重なる導波管センサを提供することによりこれらの問題を克服することを目的とする。本発明は、感知層に隣接する低屈折率の層において支持された漏れ導波管光学モードが、感知層におけるエバネッセント場の浸透の深さを増大することができるという認識に基づいている。
【0010】
【特許文献1】国際特許出願番号WO99/44042
【特許文献2】国際特許出願番号WO01/42768
【発明の開示】
【0011】
本発明は、従って、第2の層上に配置された媒体の感知層を含む導波管構造を提供するものであり、第2の層は、第2の層と屈折率が異なる第3の層上に配置され、そこでは構造が第2の層における大部分の光学モードを支持することができ、媒体は、感知層の光学特性の変化をもたらすターゲット粒子を捕捉するようになっており、第2の層の厚み及び/又は屈折率は、光学モードの感知層内への浸透深さを制御して粒子の少なくとも主要な部分と重なるように選択される。
【0012】
屈折率と第2の層の厚さの選択は、第3の層の屈折率を調整し、光学モードと感知層におけるそのエバネッセント場の浸透深さとを改善することは、当業者によって理解されるであろう。一般的に、エバネッセント場の浸透の範囲は、厚さの減少と第2の層の屈折率の低下に伴って増加する。第2の層の屈折率は、第3の層の屈折率よりも低い方が好ましい。
第2の層はまた、感知層におけるエバネッセント場の伝播の範囲を増すように作用する。感知層におけるモードの伝播は、数mmに達する可能性があり、表面プラズモン共振及び共振ミラー導波管で得ることができる数ミクロンよりも遙かに高い。従って、第2の層も導波管構造に基づくセンサの検出区域を増すことは明白であろう。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、第2の層は、結晶又はゾルゲル形態のシリカを含む。しかし、第2の層は、代替的に、アガロース・ゲル、いくつかのフッ素化ポリマー、又はポリ−2−ヒドロキシエチルメチルアクリラート(Hydrogel(登録商標)))のようなポリアクリラートなどの光学モードを支持することができる他の材料を含むことができる。
本発明の好ましい実施形態では、導波管構造は、第2の層と第3の層の間に配置された高反射率の第4の吸収層を含む。第4の層は、第3の層の上面に設けられた薄い金属層又はコーティングを含むことができる(その場合、構造は「メタル−クラッド」漏れ導波管、すなわち、MCLWと説明される)。適切な金属は、アルミニウム、タンタル、ジルコニウム、チタン、又はクロムを含む。代替的に、第4の層は、結晶性染料材料の薄い層又はコーティングを含むことができる(その場合、構造は「ダイ−クラッド」漏れ導波管、すなわち、DCLWと説明される)。
【0014】
第4の層を含むことは、それが第2の層における光学モードの伝播を更に促進し、感知層におけるエバネッセント波の浸透深さを増すという点で有利である。従って、第4の層も同様に導波管構造の感度を改善する。更に、導波管モードが励起されない時は、(すなわち、それは、光が導波管の中に結合されない「共振オフ」モードにある)、ほとんど全ての入射光学エネルギは、熱の形で層上に堆積する。従って、共振時に、MCLW又はDCLWの反射率に鋭いピークがあり、検出器での共振モードの検出を比較的容易にする。
【0015】
サイズが1から10ミクロンのバクテリアの検出の改善をもたらす第2の層の適切な屈折率nは、nが1.33から1.45の範囲であり、第2の層の適切な厚さは、200nmから1000nmの範囲である。好ましくは、第2の層の屈折率と厚さは、エバネッセント場の浸透深さが、検出される粒子全体と重なるように選択される。
本発明の一実施形態では、第2の層は、厚さ300nmのシリカゾルを含み、厚さ8.5nmのチタンを含む第4の層は、少なくとも1.5ミクロンのエバネッセント場の浸透深さ与え、「Bacillus globigii(BG)」胞子(〜1ミクロン)と完全に重ねるのに適している。
【0016】
導波管構造の第3の層、すなわち、「基板」層は、一般的に、ガラス、「Perspex(登録商標)」、水晶、又は適切なポリマーのような光透過材料を含み、光を構造の第2の層の中に及びそこから結合するための手段に付随することができる。好ましくは、基板層は、通常の顕微鏡スライドを含む。
本発明の導波管構造は、最終ユーザによって適応させることができる「チップ」として作ることができる。チップは、通常の顕微鏡スライドを薄い金属又は染料の層でコーティングし、続いてシリカ層をスピンコーティング又は真空堆積することによって準備することができる。金属又は染料の層の厚さは製造時に固定されることになるが、本発明は、シリカ層又はシリカゾル層の厚さをチップのその後の処理によって決めることができることを想定している。特に、チップは、例えばシリカ層の全体又は一部分をエッチングして望ましい厚さを与えることにより、1つ又はそれ以上の粒子の検出に適応させることができる。勿論、これらの状況においては、チップは、関連する可能性のある最も大きな粒子の検出に適するシリカ又はシリカゾル層の厚さに製造されることになる。シリカ又はシリカゾル層の最終厚さは、最終ユーザとチップ上の感知層の配置とによって判断することができる。
【0017】
感知層は、当業技術で公知の化学結合基との標準的な反応によってチップ上に化学的に堆積した抗体層又はコーティングを含むことができる。抗体層又はコーティングは、連続的又は部分的とすることができ、特に、各々が検出される異なる粒子に特定の異なる抗体のいくつかの連続的又は部分的アレイを含むことができる。本発明の一実施形態では、「Bacillus globigii」抗体層又はコーティングは、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、グルタルアルデヒド、及び抗体へのチップの連続露出によって付着される。
【0018】
本発明の感知層は、代替的又はそれに加えて、チップの上面に接触する流体層を含むことができることが認められるであろう。半無限の流体層は、検出される粒子を包含することになる。また、検出される粒子に特定的な抗体以外の化学又は生化学的エンティティを感知層において使用することができることも認められるであろう。
本発明の一態様では、第2の層上に配置された媒体から成る感知層を有する導波管構造を含み、第2の層は、第2の層と屈折率が異なる第3の層上に配置され、そこでは構造が、第2の層における大部分の光学モードを支持することができ、媒体は、感知層の光学特性の変化をもたらすターゲット粒子を捕捉するようになっており、第2の層の厚み及び/又は屈折率は、感知層内の光学モードの浸透深さを制御して目標粒子の少なくとも主要な部分と重なるように選択され、光学供給装置、光学供給装置からの光を光学モードに結合するための手段、及び感知層内、感知層における、又は感知層に隣接する粒子によって散乱又は放射された光を検出するための手段を更に含む光学センサが提供される。
【0019】
検出手段は、一般的に電荷結合素子(CCD)撮像装置を含む。検出手段は、感知層と撮像装置の間に配置された撮像レンズに付随することができる。好ましくは、撮像レンズは、2つの色消しレンズを含み、CCD撮像装置と共にピクセル当たり約4ミクロンの解像度を提供する。
検出手段は、粒子から散乱又は放射された光を検出するためにチップの上面の上方に配置される。放射光は、蛍光によるものとすることができるが、燐光を使用してもよい。勿論、放射光が検出されるためには、粒子は、最初に適切にラベル付けされるべきであり、そうでなければ、自然放射体でなければならない。
入射光の波長は、粒子による光の放射を支持するだけでなく、感知層におけるエバネッセント場の浸透深さを最適化するように選択され、第3の層の上面での光の入射の好都合な角度をもたらすことになる。
【0020】
光学供給装置は、一般的に干渉光の供給装置を含む。蛍光が検出される場合は、光学供給装置は、488nmの光を提供するアルゴンレーザを含むことができる。散乱光を取り除く適切なフィルタは、CCD撮像装置の前に配置される。散乱光が検出される場合は、フィルタを放射光のいずれをも除去するものと交換することができ、又は635nmの波長で光を供給する半導体レーザを含む光学供給装置を使用することができる。
光学センサは、導波管構造から結合された光をモニタすることによって光学モードの特性の変化を検出するための手段を更に含むことができる。共振点における反射光の振幅のピークは鮮明であるが、第2の検出器は、第1の検出器ができるようには個々の粒子を検出することができず、入射光を適切な共振角度に維持する目的のためだけに提供されている。
【0021】
本発明の第2の態様では、(i)ターゲット粒子に光学センサを露出し、(ii)検出手段において粒子から散乱又は放射された光を検出する段階を含む粒子を検出する方法が提供される。
本発明の更に別の態様は、第2の層上に配置された媒体から成る感知層を含む導波管構造の使用法を提供し、第2の層は、第2の層と屈折率が異なる第3の層上に配置され、そこでは構造は、第2の層における大部分の光学モードを支持することができ、媒体は、感知層の光学特性の変化をもたらすターゲット粒子を捕捉するようになっており、第2の層の厚み及び/又は屈折率は、粒子を検出する方法において、感知層内への光学モードの浸透深さを制御して粒子の少なくとも主要な部分と重なるように選択される。
【0022】
本発明は、散乱又は放射光の収集に基づく技術を提供し、これがエバネッセント場の粒子との重複の確率及び範囲を増すことによって表面プラズモン共振と共振ミラー技術を改善することは当業者には明白であろう。事実、本発明は、濃度が107胞子/ミリリットルでの「Bacillus globigii」の検出を可能にし、これは、従来技術(典型的に109胞子/ミリリットル)に対して2桁のマグニチュードの改善である。本発明の他の利点は、表面プラズモン共振技術と異なり、平面偏光光を使用する必要がなく、遙かに小さな入射角度を使用するという事実を含む。更に、本発明のいくつかの実施形態の導波管構造は、室温で製造することができ、製造がより廉価であり、使い捨てにすることができる。
ここで、本発明をいくつかの実施形態と以下の図面に関連して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
ここで図1を参照すると、異なる屈折率n1とn2を有する媒体12のインタフェースに、光学的に密度が高い媒体内の内部全反射に対する臨界角度θcよりも大きい角度で光11が入射する場所ではどこでも、それは、運動量とエネルギの保存によってエバネッセント場13を発生する。エバネッセント場又は波13は、次の式で示される曲線で表される強度で光学的に密度が低い媒体内でインタフェース12と平行に伝播する。
Iev=I0exp(−z/dp)
ここで、I0は、反射点におけるエバネッセント波の強度、zは、波の反射点からの距離、dpは、光学的に密度が低い媒体における波の浸透深さである。
波の浸透深さdpは、入射光の波長λと角度θiの関数であり、次の関係で支配される。
【0024】
【数1】
【0025】
ここで図2を参照すると、「漏れ」導波管構造は、ある一定の1つ又は複数の角度θiで入射光の全てが反射しないように、媒体の屈折率n1とn2が「一致する」類似の構成に基づいている。内部全反射は、この時点で「妨げられ」、エバネッセント場を生成することなく、光学的により密度が高い媒体から光学的により密度が低い媒体に光の一部分が結合される。
光学的により密度が低い媒体がより低い屈折率n3の更に別の媒体に接触する場合、結合された光は、2つの媒体間のインタフェース14における全反射によって戻されることになる。従って、光の一部分だけが再度光学的に密度がより高い媒体に結合されるために、光学モード15は、光学的に密度がより低い媒体内を伝播することは明らかであろう。光学モード15は、屈折率のより低い媒体を伝播する関連するエバネッセント場13を含むことが更に認められるであろう。
【0026】
光学モード15とそれに関連するエバネッセント場13は、屈折率がより低い媒体の屈折率の変化を感知することができ、隣接の粒子17によって光16の散乱又は放射を励起することができる。散乱又は放射光の強度がエバンッセント場の強度に依存するために、エバネッセント場13の浸透深さがより大きければ、粒子17がより強く照明されることは明白であろう。
ここで図3を参照すると、本発明による漏れ導波管構造は、1mmのガラス基板層21(n=1.5)をコーティングするチタン20の薄膜(8.5nm)上に設けられた300nmのシリカゾル層19(n=1.43)の上面を有する全体的に18で示されているチップを含む。シリカゾル層19の厚さと屈折率は、685nm又は488nmの入射光の波長で単一の鋭く誘導された光学モード15を支持し、エバネッセント場の浸透深さ(約1.5−2.0ミクロン)を最適化するように選択される。
【0027】
感知層22は、解析される生化学サンプルの層を含むことができる。代替的又はそれに加えて、感知層22は、10%の3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTS)に3時間浸漬し、エタノールで洗浄し、110℃で2時間乾燥することによりチップ18のシリカゾル層19上に堆積した抗体層を含むことができる。チップ18は、次に、5%グルタルアルデヒド水溶液に30分間浸漬し、続いて10ミリモルのリン酸塩バッファ(pH7.4)中で濃度が300マイクログラム/ミリリットルの適切な抗体溶液に30分間露出することにより、「Bacillus globigii」を検出するために活性化される。最後に、チップ18上の未反応の部位は、5ミリグラム/ミリリットルのウシ血清アルブミン(BSA)水溶液にフローセル内でチップ18を露出することによってブロックされる。
【0028】
図4は、関連のエバネッセント場13を含むチップ18のシリカゾル層19中に支持された光学モードを示すものである。図に見ることができるように、モード15は、単一の鋭く誘導されたモードであり、エバネッセント場13の浸透深さは、感知層22において粒子と重なるように延びている。
ここで図5を参照すると、チップ18の上面と結合バクテリアの間の距離を関数とする導波管の反射率の変化は、一般的に使用されるSPRと共振ミラー構造の反射率の変化と比較される。図に見ることができるように、導波管構造の反射率の変化は、SPR及び共振ミラー構造と比較してMCLW構造の場合が遙かに大きく、エバネッセント場13のより大きな拡張とバクテリアのような大きな粒子19のより良好な検出とを示唆している。
【0029】
ここで図6を参照すると、蛍光による粒子19の検出に適する光学センサ23は、10mWの出力で放射波長が488nmの空冷アルゴンイオンレーザ24(162LGL、「Laser Graphics、GmbH」、ドイツ)を含む。488±5nmフィルタ25(「Glen Spectra」、英国)がレーザの前に取り付けられ、異なる波長で不要な放射を除去する。光は、「BK7」プリズム26に導かれ、そこで、ミラー27を調整することにより一部分がチップ18に結合される。
【0030】
チップ18は、内径が約15mmで吸入ポートが直径に関して対向している「Perspex(登録商標)」フローセル(図示しない)に付随するか又はその内部に配置される。蠕動ポンプ(MINIPLUS−3、MP4、カナダ)が、解析される粒子を含む流体を50マイクロリットル/分の速度でフローセルに吸い上げる。ポンプとチップ18は、漏れ波のモードの伝播方向が流体の流れる方向と反対になるように配置される。
【0031】
エバネッセント場13との相互作用によって粒子17から放射された光16は、1インチモノクロ前進走査1024(H)×1024(V)ライン間転送CCD撮像装置を含む超高解像度デジタルカメラ28(PULNIX(登録商標)−1001、米国)によって収集される。放射フィルタ29は、放射光から散乱光を濾過するために(505nm長通過フィルタ、Comar、英国)、又は散乱光から放射光を濾過するために(488nm用干渉帯域通過フィルタ、Comar、英国)チップ上方に設けられる。特定の粒子19の蛍光の強度は、粒子の値が所定の閾値を超えるその粒子に属する全てのピクセルの加算によって計算される。
【0032】
チップによって反射される光の部分は、第2の検出器(図示しない)で収集され、この検出器は、入射光を共振角度に維持するためにチップの反射率をモニタするのに使用することができる。図7は、約63°の入射角度で起きる図3の導波管構造の反射率のピークを示すものである。
ラテックスビーズ、酵母菌、及び「Bacillus globigii」胞子を含むいくつかの粒子に関して、散乱及び蛍光の観察が図6のセンサを使用して実施された。
【0033】
図8(a)は、MCLWチップの背景画像を示す。図に見ることができるように、MCLWチップは、光の散乱の原因になり粒子の検出を混乱させる可能性がある凹部又はスクラッチのような有意な欠陥が何もない平滑な表面を有する。MCLWチップ18の平滑な表面は、試験画像から背景画像を差し引く必要がないという点で特に有利である。
図8(b)と(c)は、それぞれ完全流れ及び停止/開始流れのモードにおいて濃度が109ビーズ/ミリリットルで直径が1.09ミクロンのラテックスビーズから観測された光の散乱を示すものである。図に見ることができるように、ビーズからの光の散乱は、停止/開始流れのモードにおいて改善され、粒子が感知層上に下向きに沈殿するのでそれらのエバネッセント場の重複がより大きくなることを示唆している。
【0034】
図9(a)と(b)は、それぞれ、図8の場合と同じ濃度と条件での100%蛍光色素でラベル付けされた5ミクロンのラテックスビーズ(Sigma、英国)から得られた蛍光と散乱画像を示すものである。しかし、蛍光色素の場合は、レーザは10mWの出力で作動し、散乱の場合は、レーザは、カメラの前に配置された簡単な青色フィルタを使用して4mWの出力で作動する。
図10(a)から(d)は、10mWの出力における100%と10%の蛍光色素でラベル付けされた2.5ミクロンのラテックスビーズ(Sigma、英国)に対する散乱と蛍光の観察を比較する画像を示すものである。図(b)と(d)から見ることができるように、ビーズからの散乱画像はほぼ同じであるが、蛍光画像(図(a)と(c))は著しく異なるという事実は、画像の種類の間の低レベルの漏話干渉を示唆している。
【0035】
図11(a)と(b)は、それぞれ、ラベル付けされた酵母菌の蛍光及び散乱画像を示すものである。酵母菌「Saccharomyces cerevisiae」(UMIST、英国)は、遺伝子的に修正されて、DNA損傷の修復中にユクオリア・ビクトリアから得られるGFP、すなわち緑色蛍光タンパク質を発現し、490nmのピーク励起波長と517nmのピーク放射波長を有する。この細胞は、公知のDNA損傷化合物であるメチルメタンスルフォン酸塩に露出することにより、GFPを発現するように活性化された。図に見ることができるように、蛍光画像は、10mWの出力でも散乱画像に対して劣るものであり、GFPの酵母菌の生成するレベルだけが検出されることを示唆している。図11(a)の10(a)との更なる比較は、高レベルの蛍光を発現する酵母菌の比率が2.5%よりも少ないことを示唆している。更に、得られたイーストの画像は、それらが細胞サイクルの段階に応じて、3から8ミクロンの間でサイズを変えることを示唆している。図11(b)の図10(b)との比較は、光の散乱による酵母菌の検出が、ラテックスビーズの検出よりも同様に困難であることを明白に示している。これは、ラテックスビーズの屈折率が酵母菌の屈折率よりも高く、従ってより強く光を散乱するという事実に起因するものと考えられる。
【0036】
「Bacillus globigii」胞子(CAMR、英国)へのセンサの露出は、チップの表面に亘って移動する分散光の区域としてその胞子を明らかにした。胞子がチップの表面近くで移動するように見える場合は、それらは、恐らく抗体によって補足されて瞬間的に停止した時に時々観測された。そのような挙動は、センサが抗体ではなくBSAを含む表面でコーティングされた時には観測されなかった。ここでもまた、停止/開始流れモードは、胞子をチップ上へ沈殿させているように見え、そこでは、画像は、より明るくより明確に形成された。図12は、107胞子/ミリリットルの濃度による1時間の「Bacillus globigii」胞子へのチップの露出後に得られた散乱画像を示すものである。MCLWセンサの応答は、適度な検出に対して109胞子/ミリリットルの「Bacillus globigii」の濃度を一般的に必要とするSPRセンサに比較して良好であることが認められるであろう。
【0037】
散乱強度は、胞子がSPRセンサに露出された時の散乱強度と比較された。結果は、表1に要約されている。表に見ることができるように、MCLWチップからの散乱の強度は、SPRチップからの散乱の強度の約3倍の強さである。実験結果の標準偏差は、エバネッセント場の浸透深さがより大きく、粒子との重複の確率がより高いにも関わらずそれらがチップ表面から長い距離で同じく検出可能であるから、MCLWチップの場合により高くなっている。
【0038】
【表1】
【0039】
これらの結果は、光の散乱又は放射に基づいて、粒子を検出することができ、現在使用される他のセンサよりも感度の良いMCLWセンサが開発されたことを示すものである。このセンサは、センサ表面からサンプル内へのエバネッセント場の浸透深さとモードの伝播の範囲とを増大し、従って、粒子の検出に対する有効な呼びかけ信号をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】光の内部全反射が起きる媒体のインタフェースにおけるエバンッセント場の生成を例証する図である。
【図2】「漏れ」導波管構造の概略図である。
【図3】本発明の一実施形態による漏れ導波管構造の断面図である。
【図4】図3の実施形態による導波管構造において支持された光学モードを示すグラフである。
【図5】図2の実施形態とSPR及び共振ミラー導波管構造とに対する感知層におけるエバネッセント場の相対的な範囲を示すグラフである。
【図6】本発明による光学センサの概略図である。
【図7】図6の光学センサの反射率のピークを示すグラフである。
【図8(a)】ラテックスビーズにチップを露出する前と露出中の光の散乱を示す図である。
【図8(b)】ラテックスビーズにチップを露出する前と露出中の光の散乱を示す図である。
【図8(c)】ラテックスビーズにチップを露出する前と露出中の光の散乱を示す図である。
【図9(a)】異なる光学供給装置に対してチップを蛍光色素でラベル付けされた5ミクロンのラテックスビーズに露出中の蛍光及び光の散乱を示す図である。
【図9(b)】異なる光学供給装置に対してチップを蛍光色素でラベル付けされた5ミクロンのラテックスビーズに露出中の蛍光及び光の散乱を示す図である。
【図10(a)】チップを10%の蛍光色素でラベル付けされた5ミクロンのラテックスビーズに露出中の蛍光を示す図である。
【図10(b)】チップを10%の蛍光色素でラベル付けされた5ミクロンのラテックスビーズに露出中の蛍光を示す図である。
【図10(c)】チップを100%の蛍光色素でラベル付けされた5ミクロンのラテックスビーズに露出中の蛍光を示す図である。
【図10(d)】チップを100%の蛍光色素でラベル付けされた5ミクロンのラテックスビーズに露出中の蛍光を示す図である。
【図11(a)】タンパク質GFPを発現する酵母菌にチップを露出中の蛍光を示す図である。
【図11(b)】タンパク質GFPを発現する酵母菌にチップを露出中の蛍光を示す図である。
【図12】抗体がコーティングされたチップに捕捉されたBG胞子からの光の散乱を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
11 入射光
13 エバネッセント場
14 媒体間のインタフェース
15 光学モード
n1、n2、n3 媒体の屈折率
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波管構造であって、
第2の層上に配置された媒体から成る感知層、
を含み、
前記第2の層は、該第2の層と屈折率が異なる第3の層上に配置され、そこでは、構造は、該第2の層における大部分の光学モードを支持することができ、
前記媒体は、前記感知層の光学特性の変化をもたらすターゲット粒子を捕捉するようになっており、
前記第2の層の厚み及び/又は屈折率は、前記感知層内への前記光学モードの浸透の深さを制御して前記粒子の少なくとも主要な部分に重なるように選択された、
ことを特徴とする構造。
【請求項2】
前記第2の層と第3の層の間に配置された高反射性の第4の層を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の導波管構造。
【請求項3】
前記第3の層の屈折率は、前記第2の層よりも高いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導波管構造。
【請求項4】
前記第2の層の屈折率は、1.33から1.45の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の導波管構造。
【請求項5】
前記第2の層の厚さは、300nmから500nmの範囲であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の導波管構造。
【請求項6】
前記第2の層は、シリカ、アガロース・ゲル、フッ素化ポリマー、又はポリアクリラートを含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の導波管構造。
【請求項7】
前記第4の層は、金属又は固形染料材料を含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の導波管構造。
【請求項8】
前記金属は、ジルコニウム、クロム、アルミニウム、タンタル、又はチタンを含むことを特徴とする請求項2に従属する請求項のいずれか1項に記載の導波管構造。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかの1項に記載の導波管構造と、
光学供給装置と、
前記光学供給装置からの光を光学モードの中に結合するための手段と、
感知媒体中の粒子によって散乱又は放射された光を検出するための手段と、
を含むことを特徴とする光学センサ。
【請求項10】
前記導波管構造から結合された光の特性をモニタすることにより前記光学モードの特性の変化を検出するための手段を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の光学センサ。
【請求項11】
前記粒子は、直径が1から10ミクロンの範囲のバクテリアであることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の光学センサ。
【請求項12】
前記光学供給装置から放射された光の波長は、488nm又は635nmであることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の光学センサ。
【請求項13】
実質的に添付図面の図3から図12に関連して本明細書に説明され、かつ該図面によって示された導波管構造。
【請求項14】
実質的に添付図面の図5から図12に関連して本明細書に説明され、かつ該図面によって示された光学センサ。
【請求項1】
導波管構造であって、
第2の層上に配置された媒体から成る感知層、
を含み、
前記第2の層は、該第2の層と屈折率が異なる第3の層上に配置され、そこでは、構造は、該第2の層における大部分の光学モードを支持することができ、
前記媒体は、前記感知層の光学特性の変化をもたらすターゲット粒子を捕捉するようになっており、
前記第2の層の厚み及び/又は屈折率は、前記感知層内への前記光学モードの浸透の深さを制御して前記粒子の少なくとも主要な部分に重なるように選択された、
ことを特徴とする構造。
【請求項2】
前記第2の層と第3の層の間に配置された高反射性の第4の層を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の導波管構造。
【請求項3】
前記第3の層の屈折率は、前記第2の層よりも高いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導波管構造。
【請求項4】
前記第2の層の屈折率は、1.33から1.45の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の導波管構造。
【請求項5】
前記第2の層の厚さは、300nmから500nmの範囲であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の導波管構造。
【請求項6】
前記第2の層は、シリカ、アガロース・ゲル、フッ素化ポリマー、又はポリアクリラートを含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の導波管構造。
【請求項7】
前記第4の層は、金属又は固形染料材料を含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の導波管構造。
【請求項8】
前記金属は、ジルコニウム、クロム、アルミニウム、タンタル、又はチタンを含むことを特徴とする請求項2に従属する請求項のいずれか1項に記載の導波管構造。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかの1項に記載の導波管構造と、
光学供給装置と、
前記光学供給装置からの光を光学モードの中に結合するための手段と、
感知媒体中の粒子によって散乱又は放射された光を検出するための手段と、
を含むことを特徴とする光学センサ。
【請求項10】
前記導波管構造から結合された光の特性をモニタすることにより前記光学モードの特性の変化を検出するための手段を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の光学センサ。
【請求項11】
前記粒子は、直径が1から10ミクロンの範囲のバクテリアであることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の光学センサ。
【請求項12】
前記光学供給装置から放射された光の波長は、488nm又は635nmであることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の光学センサ。
【請求項13】
実質的に添付図面の図3から図12に関連して本明細書に説明され、かつ該図面によって示された導波管構造。
【請求項14】
実質的に添付図面の図5から図12に関連して本明細書に説明され、かつ該図面によって示された光学センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図8(c)】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図10(c)】
【図10(d)】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図8(c)】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図10(c)】
【図10(d)】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図12】
【公表番号】特表2006−502382(P2006−502382A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−540911(P2004−540911)
【出願日】平成14年10月7日(2002.10.7)
【国際出願番号】PCT/GB2002/004545
【国際公開番号】WO2004/031743
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(390040604)イギリス国 (58)
【氏名又は名称原語表記】THE SECRETARY OF STATE FOR DEFENCE IN HER BRITANNIC MAJESTY’S GOVERNMENT OF THE UNETED KINGDOM OF GREAT BRITAIN AND NORTHERN IRELAND
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成14年10月7日(2002.10.7)
【国際出願番号】PCT/GB2002/004545
【国際公開番号】WO2004/031743
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(390040604)イギリス国 (58)
【氏名又は名称原語表記】THE SECRETARY OF STATE FOR DEFENCE IN HER BRITANNIC MAJESTY’S GOVERNMENT OF THE UNETED KINGDOM OF GREAT BRITAIN AND NORTHERN IRELAND
【Fターム(参考)】
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