説明

導電ベゼルを備えたハンドヘルド電子デバイスのためのアンテナ

【課題】小型で高性能のハンドヘルド電子デバイスを提供する。
【解決手段】ハンドヘルド電子デバイス筐体の周辺部を囲む導電ベゼルに電気的に接続された接地板54−2にスロット70を形成し、同軸ケーブル56A−2より給電してスロットアンテナを構成する。1または複数のアンテナ共振素子54−1Aを、スロット70の上方に形成することができる。また、スロット70をブリッジングする電子スイッチを用いて、スロット70の周囲長を変更し、通信帯域を調整することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、無線通信回路に関し、特に、導電ベゼルを備えたハンドヘルド電子デバイスのための無線通信回路に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンドヘルド電子デバイスが、ますます普及している。ハンドヘルドデバイスの例としては、ハンドヘルドコンピュータ、携帯電話、メディアプレーヤ、および、この種の複数のデバイスの機能を備えるハイブリッドデバイスが挙げられる。
【0003】
1つには移動できるという性質のため、ハンドヘルド電子デバイスには、しばしば無線通信機能が設けられる。ハンドヘルド電子デバイスは、無線通信を用いて無線基地局と通信してよい。例えば、携帯電話は、850MHz、900MHz、1800MHz、および、1900MHz(例えば、主要な移動通信用グローバルシステムすなわちGSM携帯電話帯域)の携帯電話帯域を用いて通信してよい。ハンドヘルド電子デバイスは、他の種類の通信リンクを用いてもよい。例えば、ハンドヘルド電子デバイスは、2.4GHzのWiFi(登録商標)(IEEE 802.11)帯域および2.4GHzのBluetooth(登録商標)帯域を用いて通信してもよい。2170MHz帯域(一般に、UMTSすなわちユニバーサル移動通信システム)の3Gデータ通信帯域などのデータサービス帯域でも、通信が可能である。
【0004】
スモールフォームファクタ無線デバイスへの消費者の需要を満足させるために、製造業者は、これらのデバイスに用いられる部品のサイズを縮小するため絶えず努力している。例えば、製造業者は、ハンドヘルド電子デバイスに用いられるアンテナの小型化を試みてきた。
【0005】
典型的なアンテナは、回路基板上に金属層をパターニングすることによって加工されてもよいし、箔押し処理を用いて薄い金属シートから形成されてもよい。多くのデバイスは、板状逆Fアンテナ(PIFA)を用いている。板状逆Fアンテナは、接地板の上方に板状の共振素子を配置することによって形成される。これらの技術を用いて、小型ハンドヘルドデバイスの狭い領域内に収まるアンテナを作ることができる。しかしながら、従来のハンドヘルド電子デバイスでは、小型アンテナを収容するために設計で妥協している。これら設計の妥協としては、例えば、接地板からのアンテナの高さ、アンテナ効率、および、アンテナ帯域幅に関連したものが挙げられる。さらに、ハンドヘルドデバイスに用いることのできる金属の量と金属部品の配置には、しばしば制約がある。これらの制約は、デバイスの動作およびデバイスの外見に悪影響を与えうる。
【0006】
従って、ハンドヘルド電子デバイス用のアンテナを改良することができれば望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一実施形態によると、無線通信回路を備えたハンドヘルド電子デバイスが提供される。ハンドヘルド電子デバイスは、携帯電話、音楽プレーヤ、または、ハンドヘルドコンピュータの機能を有してよい。無線通信回路は、1または複数のアンテナを有してよい。アンテナは、データ通信帯域および携帯電話通信帯域での無線通信をサポートするために用いられてよい。
【0008】
ハンドヘルド電子デバイスは、筐体を有してよい。筐体の前面は、ディスプレイを有してよい。ディスプレイは、液晶ダイオード(LCD)ディスプレイまたはその他の適切なディスプレイであってよい。ディスプレイにタッチセンサを組み込んで、ディスプレイをタッチセンサ式にしてもよい。
【0009】
ディスプレイを筐体に取り付けるために、ベゼルを用いてよい。ベゼルは、筐体の前面の周辺部を囲み、筐体に対してディスプレイを保持する。ベゼルと筐体の間に、ガスケットが挿入されてよい。
【0010】
ベゼルは、ステンレス綱またはその他の適切な導電材料から形成されてよい。筐体内の接地板素子が、アンテナの接地として機能してよい。接地板およびベゼルは、スロットを有してよい。スロットは、スロットアンテナまたはハイブリッドアンテナを形成するために用いられてよい。ハイブリッドアンテナ構成では、板状逆Fアンテナ共振素子など、1または複数のアンテナ共振素子が、スロットの上方に配置されてよい。ベゼルは、接地素子と電気的に接続されてよい。ベゼルは、スロットを囲みつつ、アンテナに対応してよい。これにより、ベゼルが、構造的な支持を提供し、ハンドヘルド電子デバイスの外観および耐久性を高めることが可能になる。ベゼルがスロットを囲んでも、スロットの上方に形成されたアンテナ共振素子の正常な動作は阻害されない。
【0011】
スロットは、ハンドヘルド電子デバイスの中央、または、ハンドヘルド電子デバイスの一端に配置されてよい。スロットをブリッジングするスイッチを開位置および閉位置で切り換えることにより、スロットの周囲長を調節して、アンテナを同調させてよい。
【0012】
添付の図面と、以下で行う好ましい実施形態の詳細な説明から、本発明のさらなる特徴、性質、および、様々な利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に従って、アンテナを備えたハンドヘルド電子デバイスの一例を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態に従って、アンテナを備えたハンドヘルド電子デバイスの一例を示す説明図。
【図3A】本発明の一実施形態に従って、アンテナを備えたハンドヘルド電子デバイスの一例を示す断面図。
【図3B】本発明の一実施形態に従って、それぞれの伝送線路によって対応するアンテナ共振素子に接続された2つの高周波トランシーバを備えるハンドヘルド電子デバイスの一例を示す部分概略上面図。
【図4】本発明の一実施形態に従って、板状逆Fアンテナ(PIFA)の一例を示す斜視図。
【図5】本発明の一実施形態に従って、図4に示したタイプの板状逆Fアンテナの一例を示す断面図。
【図6】本発明の一実施形態に従って、図4および5に示したタイプのアンテナについて、定在波比(SWR)の値を、動作周波数の関数としてプロットしたアンテナ性能の一例を示すグラフ。
【図7】本発明の一実施形態に従って、アンテナの共振素子の下方に位置するアンテナの接地板の一部を除去してスロットを形成した板状逆Fアンテナの一例を示す斜視図。
【図8】本発明の一実施形態に従って、スロットアンテナ(PIFA)の一例を示す上面図。
【図9】本発明の一実施形態に従って、図8に示したタイプのアンテナについて、定在波比(SWR)の値を、動作周波数の関数としてプロットしたアンテナ性能の一例を示すグラフ。
【図10】本発明の一実施形態に従って、板状逆Fアンテナとスロットアンテナを組み合わせて形成されたハイブリッドPIFA/スロットアンテナの一例において、2本の同軸ケーブル給電によってアンテナが給電されている様子を示す斜視図。
【図11】本発明の一実施形態に従って、ハイブリッドPIFA/スロットアンテナおよびストリップアンテナを備えたハンドヘルドデバイスについて、アンテナの定在波比(SWR)の値を、動作周波数の関数としてプロットした無線カバレッジの一例を示すグラフ。
【図12】本発明の一実施形態に従って、2つのハンドヘルド電子デバイス用アンテナの内の一方が、2つのハンドヘルド電子デバイス用アンテナの内の他方との干渉を低減するよう機能するアイソレーション素子を有するハンドヘルド電子デバイス用アンテナ構成の一例を示す斜視図。
【図13】本発明の一実施形態に従って、導電ベゼルを備えたハンドヘルド電子デバイスの一例を示す分解斜視図。
【図14】本発明の一実施形態に従って、導電ベゼルを備えたハンドヘルド電子デバイスの一例を示す断面図。
【図15】本発明の一実施形態に従って、導電ベゼルを備えたハンドヘルド電子デバイスの一例を示す概略内部斜視図。
【図16】本発明の一実施形態に従って、導電ベゼルを備えたハンドヘルド電子デバイスで利用可能なスロットアンテナの一例を示す斜視図。
【図17】本発明の一実施形態に従って、導電ベゼルを備えたハンドヘルド電子デバイスで利用可能なハイブリッドアンテナの一例を示す斜視図。
【図18】本発明の一実施形態に従って、スロットが接地板の内側部分に配置され、導電ベゼルが接地板の周囲を囲むハンドヘルド電子デバイス用スロットアンテナの一例を示す斜視図。
【図19】本発明の一実施形態に従って、スロットが接地板の内側部分に配置され、導電ベゼルが接地板の周囲を囲むハンドヘルド電子デバイス用ハイブリッドアンテナの一例を示す斜視図。
【図20】本発明の一実施形態に従って、スロットが蛇行経路を有し、導電ベゼルが接地板の周囲を囲むハンドヘルド電子デバイス用スロットアンテナの一例を示す上面図。
【図21】本発明の一実施形態に従って、スロットが蛇行する境界を有し、導電ベゼルが接地板の周囲を囲むハンドヘルド電子デバイス用スロットアンテナの一例を示す上面図。
【図22】本発明の一実施形態に従って、スロットを選択的に短くすることでスロットアンテナの同調を可能にするスイッチによってスロットがブリッジングされているハンドヘルド電子デバイス用スロットアンテナ構造の一例を示す上面図。
【図23】本発明の一実施形態に従って、スロットの一部を選択的にブリッジングすることによって、図22に示したタイプの同調可能なアンテナの共振ピークが調節される様子を示すアンテナ性能のグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、一般に、無線通信技術に関し、特に、無線電子デバイスおよび無線電子デバイス用のアンテナに関する。
【0015】
アンテナは、広帯域幅および高利得を示すスモールフォームファクタ・アンテナであってよい。本発明の一実施形態によると、アンテナは、無線電子デバイスの導電ベゼルに適応するよう構成される。ベゼルは、アンテナの一部として機能してよい。例えば、ベゼルは、アンテナの接地の一部を形成してよい。ベゼルは、さらに、無線電子デバイスに構造上の強度を提供するなど、機械的な機能を有してもよい。一例として本明細書に記載した適切な一構成では、ベゼルは、液晶ダイオード(LCD)ディスプレイまたはその他のディスプレイを、無線電子デバイス表面に保持してよい。
【0016】
無線電子デバイスは、ポータブル電子デバイスであってよく、ラップトップコンピュータ、または、ウルトラポータブルとも呼ばれる小型ポータブルコンピュータなどが含まれる。ポータブル電子デバイスは、もう少し小型のデバイスでもあってもよい。より小型のポータブル電子デバイスの例としては、うで時計デバイス、ペンダントデバイス、ヘッドホンおよびイヤホン型デバイス、ならびに、その他の装着可能な小型デバイスが挙げられる。
【0017】
好適な一構成では、ポータブル電子デバイスは、ハンドヘルド電子デバイスである。ハンドヘルド電子デバイスでは空間が極めて貴重であるため、かかるデバイスでは特に、高性能小型アンテナが有用である。ハンドヘルド電子デバイスでは、ベゼルを利用する利点もある。例えば、ハンドヘルド電子デバイスの周囲を囲むステンレス鋼ベゼルは、デバイスの剛性を増大させる、ディスプレイ用のガラスまたはプラスチックのフェースプレートを所定の位置に保持する、視覚的に訴えるデザイン要素として機能することでデバイスの美的な魅力を向上させる、および、保護構造として機能する(例えば、ハンドヘルド電子デバイスをうっかり落とした場合に、プラスチックまたはガラス製のディスプレイなど、潜在的に壊れやすい部品が損傷することを防ぐ)など、いくつかの有効な機能を提供しうる。従って、本明細書では全般的にハンドヘルドデバイスの利用を一例として記載しているが、必要に応じて、任意の適切な電子デバイスが本発明のアンテナおよびベゼルと共に用いられてよい。
【0018】
ハンドヘルドデバイスは、例えば、携帯電話、無線通信機能を備えたメディアプレーヤ、ハンドヘルドコンピュータ(携帯情報端末とも呼ばれる)、リモートコントローラ、全地球測位システム(GPS)デバイス、および、ハンドヘルドゲーム機であってよい。ハンドヘルドデバイスは、複数の従来のデバイスの機能を併せ持つハイブリッドデバイスでもあってよい。ハイブリッドハンドヘルドデバイスの例としては、メディアプレーヤ機能を備えた携帯電話、無線通信機能を備えたゲーム機、ゲームおよび電子メール機能を備えた携帯電話、ならびに、電子メールの受信、移動電話機能、および、ウエブブラウジング機能をサポートするハンドヘルドデバイスなどが挙げられる。これらは、例示に過ぎない。
【0019】
本発明の一実施形態に従ったハンドヘルド電子デバイスの一例を、図1に示す。デバイス10は、任意の好適なポータブルまたはハンドヘルド電子デバイスであってよい。
【0020】
デバイス10は、筐体12を有してよい。デバイス10は、無線通信を行うための1または複数のアンテナを備えてよい。本明細書では時々、1つのアンテナを含むデバイス10の実施形態、および、2つのアンテナを含むデバイス10の実施形態を例として用いる。
【0021】
デバイス10は、1または複数の通信帯域で通信を行ってよい。例えば、2つのアンテナを備えたデバイス10において、2つのアンテナの内の第1のアンテナが、1または複数の周波数帯域で携帯電話通信を行うために用いられてよく、2つのアンテナの内の第2のアンテナが、別個の通信帯域でデータ通信を行うために用いられてよい。一例として本明細書に記載した適切な一構成では、第2のアンテナは、2.4GHz(例えば、WiFiおよび/またはBluetooth周波数)の通信帯域でデータ通信を行うよう構成される。複数のアンテナを備えた構成では、それらのアンテナは、2つのアンテナが互いに比較的近接して動作できるように、干渉を低減するよう設計されてよい。
【0022】
筐体12(ケースとも呼ぶ)は、プラスチック、ガラス、セラミック、金属、または、その他の適切な材料、もしくは、これらの材料の組み合わせなど、任意の適切な材料で形成されてよい。場合によっては、筐体12に近接して配置された導電アンテナ素子の動作を妨害しないように、筐体12または筐体12の部分が、誘電体またはその他の低導電性材料から形成されてもよい。他の例として、筐体12または筐体12の部分は、複数の金属要素から形成されてもよい。筐体12が金属要素から形成された場合に、それらの金属要素の内の1または複数が、デバイス10のアンテナの一部として用いられてもよい。例えば、デバイス10の接地板素子を大きくするために、筐体12の金属部分が、デバイス10の内部接地板に短絡されてよい。
【0023】
筐体12は、ベゼル14を有してよい。ベゼル14は、導電性材料から形成されてよい。導電性材料は、金属(例えば、元素金属または合金など)またはその他の適切な導電性材料であってよい。一例として本明細書に記載する適切な一構成では、ベゼル14は、ステンレス鋼から形成されてよい。ステンレス鋼は、光沢のある魅力的な外見を有するよう製造可能であり、構造的に強く、容易に腐食しない。必要に応じて、他の構造を用いて、ベゼル14を形成してもよい。例えば、ベゼル14は、光沢のある金属コーティングで被覆されたプラスチックまたはその他の適切な材料から形成されてもよい。本明細書では、ベゼル14がステンレス鋼などの導電性金属で形成された構成を、しばしば一例として記載する。
【0024】
ベゼル14は、ディスプレイまたは平面を備えた他のデバイスを、デバイス10の所定の位置に保持するよう機能しうる。図1に示すように、例えば、ベゼル14は、筐体12にディスプレイ16を取り付けることによってディスプレイ16を所定の位置に保持するために用いられてよい。デバイス10は、表と裏に平面を有してよい。図によると、図1の例では、ディスプレイ16は、デバイス10の平坦な前面の一部として形成されている。前面の周辺部は、ベゼル14などのベゼルによって囲まれてよい。必要に応じて、背面の周辺部が、ベゼルによって囲まれてもよい(例えば、表と裏の両方にディスプレイを備えたデバイスにおいて)。
【0025】
ディスプレイ16は、液晶ダイオード(LCD)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)、または、その他の任意の適切なディスプレイであってよい。ディスプレイ16の最外面は、1または複数のプラスチックおよびガラスの層で形成され得る。必要に応じて、タッチスクリーン機能が、ディスプレイ16に組み込まれてもよいし、別個のタッチパッドデバイスを用いて提供されてもよい。ディスプレイ16にタッチスクリーンを組み込んでディスプレイ16をタッチセンサ式にすることの利点は、このような構成によって空間を節約すると共に視覚的な乱雑さを低減することができる点である。
【0026】
典型的な一構成において、ベゼル14は、ベゼル14を筐体12に固定すると共にベゼル14をデバイス10の筐体12およびその他の導電素子に電気的に接続するために用いられる突起部(例えば、ネジ山付および/またはネジ山なしのネジ穴を組み込まれた突起部)を有してよい。筐体およびその他の導電素子は、ハンドヘルド電子デバイスにおいてアンテナのための接地板を形成する。ガスケット(例えば、シリコーンまたはその他の柔軟な材料から形成されたOリング、ポリエステル薄膜ガスケットなど)が、ベゼル14の下側とディスプレイ16の最外面との間に配置されてよい。ガスケットは、ガスケットを設けない場合にディスプレイ16のガラスまたはプラスチックのカバーに応力をもたらす局所的な圧力点からの圧力を軽減する助けとなりうる。また、ガスケットは、デバイス10の内側部分を視覚的に隠すことにも役立ちうる。
【0027】
ディスプレイ16のための保持構造として機能することに加えて、ベゼル14は、デバイス10の剛性フレームとして機能してよい。これにより、ベゼル14は、デバイス10の構造上の完全性を高めうる。例えば、ベゼル14は、ベゼルを用いない場合に比べて、長さ方向に沿ったデバイス10の剛性を高めうる。ベゼル14は、デバイス10の外見を向上するために用いられてもよい。ベゼル14がデバイス10の表面の周辺部(例えば、デバイス10の前面の周辺部)に形成された図1のような構成において、ベゼル14は、ディスプレイ16の損傷防止(例えば、デバイス10を落とした時にディスプレイ16を衝撃から守るなど)に役立ちうる。
【0028】
ディスプレイスクリーン16(例えば、タッチスクリーン)は、ハンドヘルド電子デバイス10で用いることのできる入出力デバイスの一例にすぎない。必要に応じて、ハンドヘルド電子デバイス10は、他の入出力デバイスを有してもよい。例えば、ハンドヘルド電子デバイス10は、ボタン19などのユーザ入力制御デバイスと、ポート20および1または複数の入出力ジャック(例えば、オーディオおよび/またはビデオ用)などの入出力構成要素を有してもよい。ディスプレイスクリーン16は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、または、1または複数の異なるディスプレイ技術を用いた複数のディスプレイであってよい。図1の例では、図に示すように、ディスプレイスクリーン16は、ハンドヘルド電子デバイス10の前面に設置されているが、ディスプレイスクリーン16は、必要に応じて、ハンドヘルド電子デバイス10の背面、デバイス10の側面、ヒンジ(一例)によってデバイス10の本体部分に取り付けられたデバイス10の跳ね上げ部に取り付けられてもよいし、また、その他の任意の適切な構成で設置されてもよい。図1のベゼル14のようなベゼルは、ディスプレイ16または平面を有するその他の任意のデバイスを、これらの配置のいずれかで筐体12に設置するために用いられてよい。
【0029】
ハンドヘルドデバイス10のユーザは、ボタン19およびタッチスクリーン16などのユーザ入力インターフェースデバイスを用いて入力コマンドを供給してよい。ハンドヘルド電子デバイス10に適切なユーザ入力インターフェースデバイスとしては、ボタン(例えば、英数字キー、電源オン−オフ、電源オン、電源オフ、および、その他の特別なボタンなど)、タッチパッド、ポインティングスティック、または、その他のカーソル制御デバイス、音声コマンドを供給するためのマイク、もしくは、デバイス10を制御するためのその他の任意の適切なインターフェースが挙げられる。図によると、図1の例のハンドヘルド電子デバイス10の上面に形成されているが、ボタン(ボタン19など)およびその他のユーザ入力インターフェースデバイスは、一般に、ハンドヘルド電子デバイス10の任意の適切な部分に形成されてよい。例えば、ボタン(ボタン19など)またはその他のユーザインターフェースコントロールは、ハンドヘルド電子デバイス10の側面に形成されてもよい。ボタンおよびその他のユーザインターフェースコントロールは、デバイス10の上面、背面、または、その他の部分に配置されてもよい。必要に応じて、デバイス10は、遠隔制御されてもよい(例えば、赤外線遠隔制御、Bluetooth遠隔制御などの高周波遠隔制御、などを用いて)。
【0030】
ハンドヘルドデバイス10は、バスコネクタ20、オーディオおよびビデオジャックなど、デバイス10が外部要素と接続することを可能にするポートを有してよい。典型的なポートとしては、デバイス10内部のバッテリを再充電するため、または、直流(DC)電源でデバイス10を作動させるための電源ジャック、パーソナルコンピュータまたは周辺機器などの外部要素とデータをやり取りするためのデータポート、もしくは、ヘッドホン、モニタ、または、その他の外部オーディオ−ビデオ装置などを駆動するためのAVジャックが挙げられる。これらのデバイスの一部またはすべての機能およびハンドヘルド電子デバイス10の内部回路は、タッチスクリーンディスプレイ16などの入力インターフェースデバイスを用いて制御されてよい。
【0031】
ディスプレイ16およびその他のユーザ入力インターフェースデバイスなどの構成要素は、(図1の例に示すように)デバイス10の前面の利用可能な表面領域の大部分を占める場合もあるし、デバイスの10の前面の狭い部分しか占めない場合もある。ディスプレイ16などの電子部品は、しばしば、(例えば、高周波を遮蔽するため)大量の金属を含むため、一般に、デバイス10において、これらの構成要素のアンテナ素子に対する位置を考慮することが好ましい。デバイスのアンテナ素子および電子部品の位置を適切に選択すると、ハンドヘルド電子デバイス10のアンテナは電子部品に妨害されることなく適切に機能することが可能になる。
【0032】
適切な一構成において、デバイス10のアンテナは、デバイス10の下端部18、ポート20の近傍に位置する。筐体12およびデバイス10の下部にアンテナを配置することの利点は、デバイス10をユーザの頭に向かって保持する場合(例えば、携帯電話のようにハンドヘルドデバイスのマイクに向かって話しつつスピーカから聞く場合など)に、頭からアンテナを離すことができる点である。これにより、ユーザの近傍で放射される高周波放射の量が低減されるため、近接効果が最小限に抑えられる。
【0033】
一例としてハンドヘルド電子デバイスの一実施形態の概略図を図2に示す。ハンドヘルドデバイス10は、携帯電話、メディアプレーヤ機能を備えた携帯電話、ハンドヘルドコンピュータ、リモコン、ゲーム機、全地球測位システム(GPS)デバイス、かかるデバイスを組み合わせたもの、または、その他の任意の適切なポータブル電子デバイスであってよい。
【0034】
図2に示すように、ハンドヘルドデバイス10は、記憶装置34を備えてよい。記憶装置34は、ハードディスクドライブ記憶装置、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリまたはその他の電気的にプログラム可能な読み出し専用メモリ)、揮発性メモリ(例えば、蓄電式スタティックまたはダイナミック・ランダムアクセスメモリ)など、1または複数の異なるタイプの記憶装置を含んでよい。
【0035】
処理回路36は、デバイス10の動作を制御するために用いられてよい。処理回路36は、マイクロプロセッサおよびその他の適切な集積回路などのプロセッサに基づいていてよい。適切な一構成において、処理回路36および記憶装置34は、インターネット閲覧アプリケーション、ボイスオーバーインターネットプロトコル(VOIP)電話アプリケーション、電子メールアプリケーション、メディア再生アプリケーション、オペレーティングシステム機能など、デバイス10上のソフトウエアを実行するために用いられる。処理回路36および記憶装置34は、適切な通信プロトコルの実装に用いられてよい。処理回路36および記憶装置34を用いて実装できる通信プロトコルとしては、インターネットプロトコル、無線ローカルエリアネットワークプロトコル(例えば、WiFi(登録商標)とも呼ばれるIEEE802.11プロトコル、Bluetooth(登録商標)プロトコルのようなその他の短距離無線通信リンクのためのプロトコル)が挙げられる。
【0036】
入出デバイス38は、デバイス10にデータを供給することを可能にするため、および、デバイス10から外部デバイスにデータを提供することを可能にするために用いられてよい。ディスプレイスクリーン16、ボタン19、および、ポート20が、入出力デバイス38の例である。
【0037】
入出力デバイス38は、ボタン、タッチスクリーン、ジョイスティック、クリックホイール、スクロールホイール、タッチパッド、キーパッド、キーボード、マイク、カメラなどのユーザ入出力デバイス40を含みうる。ユーザは、ユーザ入力デバイス40を通してコマンドを供給することによって、デバイス10の動作を制御することができる。ディスプレイおよびオーディオデバイス42は、液晶ディスプレイ(LCD)スクリーンまたはその他のスクリーン、発光ダイオード(LED)、および、視覚情報およびステータスデータを提示するその他の構成要素を含んでよい。ディスプレイおよびオーディオデバイス42は、さらに、スピーカおよび音声を出すためのその他のデバイスなど、オーディオ装置を含んでよい。ディスプレイおよびオーディオデバイス42は、外部ヘッドホンおよびモニタ用のジャックおよびその他のコネクタなど、オーディオ−ビデオ・インターフェース装置を含んでよい。
【0038】
無線通信デバイス44は、1または複数の集積回路、電力増幅回路、受動RF素子、1または複数のアンテナ、および、RF無線信号を処理するためのその他の回路から形成された高周波(RF)トランシーバ回路などの通信回路を備えてよい。無線信号は、光を用いて(例えば、赤外線通信を用いて)送信されてもよい。
【0039】
デバイス10は、パス50によって示すように、アクセサリ46および計算装置48などの外部デバイスと通信できる。パス50は、有線および無線パスを含んでよい。アクセサリ46は、ヘッドホン(例えば、無線セルラーヘッドセットまたはオーディオヘッドホンなど)およびオーディオ−ビデオ装置(例えば、無線スピーカ、ゲームコントローラ、または、オーディオおよびビデオコンテンツを受信して再生するその他の装置など)を含んでよい。
【0040】
計算装置48は、任意の適切なコンピュータであってよい。適切な一構成において、計算装置48は、関連する無線アクセスポイント(ルータ)、または、デバイス10と無線接続を確立する内部または外部無線カードを有するコンピュータである。コンピュータは、サーバ(例えば、インターネットサーバなど)、インターネットアクセスを行うまたは行わないローカルエリアネットワークコンピュータ、ユーザの所有するパーソナルコンピュータ、ピアデバイス(例えば、別のハンドヘルド電子デバイス10など)、または、任意の他の適切な計算装置であってよい。
【0041】
デバイス10のアンテナおよび無線通信デバイスは、任意の適切な無線通信帯域での通信をサポートしてよい。例えば、無線通信デバイス44は、850MHz、900MHz、1800MHz、および1900MHzの携帯電話帯域などの通信周波数帯域、ならびに、2170MHz帯域の3Gデータ通信帯域(一般に、UMTSすなわちユニバーサル移動通信システムと呼ばれる)、2.4GHzおよび5.0GHzのWiFi(登録商標)(IEEE 802.11)帯域、2.4GHzのBluetooth(登録商標)帯域、および、1550MHzの全地球測位システム(GPS)帯域などのデータサービス帯域をカバーするために用いられてよい。これらは、デバイス44が動作しうる通信帯域の例示にすぎない。将来的には、新たな無線サービスが利用可能になるにつれて、さらなるローカルおよびリモート通信帯域が設けられると予測される。無線デバイス44は、対象となる任意の既存または新規のサービスをカバーするために、任意の適切な1または複数の帯域で動作するよう構成されてよい。デバイス10は、対象となるすべての通信帯域での無線カバレッジを提供するために、1つのアンテナ、2つのアンテナ、または、3以上のアンテナを用いてよい。
【0042】
一例としてハンドヘルド電子デバイスの断面図を図3Aに示す。図3Aの例において、デバイス10は、導電部分12−1およびプラスチック部分12−2で形成された筐体を有する。導電部分12−1は、任意の適切な導電体であってよい。適切な一構成において、部分12−1は、型打ちした304ステンレス鋼などの金属から形成される。ステンレス鋼は、高い導電性を有し、魅力的な外観を有するように高光沢仕上げに磨くことができる。必要に応じて、アルミニウム、マグネシウム、チタン、これらの金属の合金、および、その他の金属など、他の金属を部分12−1に用いてもよい。図1に示すように、ディスプレイ16は、デバイス10の前面に形成されてよい。ディスプレイ16を収容するために、筐体部12−1(図3Aにおいてケースの下側部分)は、ベゼル14によって囲まれた切り取り部を有してよい。
【0043】
図3Aに示した実施形態において、筐体部12−2は、誘電体から形成されてよい。筐体部12−2に誘電体を用いることの利点は、デバイス10のアンテナ54のアンテナ共振素子54−1Aおよび54−1Bなど、1または複数のアンテナ共振素子が、筐体12の金属側壁からの干渉を受けずに動作できるようにする点である。適切な一構成において、筐体部12−2は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体をベースとしたプラスチック(ABSプラスチックとも呼ばれる)から形成されたプラスチックキャップである。これらは、デバイス10の筐体材料の例示に過ぎない。例えば、デバイス10の筐体は、実質的に、プラスチックまたはその他の誘電体から、実質的に、金属またはその他の導電体から、もしくは、任意の他の適切な材料または材料の組み合わせから形成されてよい。
【0044】
構成要素52などの構成要素は、デバイス10内の1または複数の回路基板上に実装されてよい。典型的な構成要素52としては、集積回路、LCDスクリーン、および、ユーザ入力インターフェースボタンが挙げられる。デバイス10は、さらに、通例、バッテリを備えており、バッテリは、(一例として)筐体12の背面に沿って取り付けられてよい。トランシーバ回路52Aおよび52Bなど、1または複数のトランシーバ回路が、デバイス10の1または複数の回路基板に実装されてよい。2つのアンテナ共振素子および2つのトランシーバを備えたデバイス10の構成では、各トランシーバは、2つのアンテナ共振素子の内の対応する素子を通して高周波信号を送信するために用いられてよく、2つのアンテナ共振素子の内の対応する素子を通して高周波信号を受信するために用いられてよい。共通の接地が、2つのアンテナ共振素子のそれぞれに用いられてよい。
【0045】
構成の一例では、トランシーバ52Aは、携帯電話の高周波信号を送受信するために用いられてよく、トランシーバ52Bは、2170MHz帯域の3Gデータ通信帯域(一般に、UMTSすなわちユニバーサル移動通信システムと呼ばれる)、2.4GHzおよび5.0GHzのWiFi(登録商標)(IEEE 802.11)帯域、2.4GHzのBluetooth(登録商標)帯域、または、1550MHzの全地球測位システム(GPS)帯域などの通信帯域で信号を送信するために用いられてよい。
【0046】
デバイス10の回路基板は、任意の適切な材料から形成されてよい。構成の一例において、デバイス10には、多層プリント回路基板が備えられる。それらの層の内の少なくとも1つは、接地板54−2などの接地板を形成する導電体の大きい平面領域を有してよい。典型的な例では、接地板54−2は、筐体12およびデバイス10の略長方形の形状と同じ形で、筐体12の長方形の水平寸法に適合する長方形である。接地板54−2は、必要に応じて導電性の筐体部12−1と電気的に接続されてよい。接地板54−2は、アンテナ54の近傍にスロットの形状の開口部を有してよい。開口部は、プリント回路基板、バッテリ、集積回路、および、接地板を構成するその他の導電性構成要素の形状および相対的配置によって形成されてよく、および/または、これらの接地板構成要素の形状およびベゼル14に対する相対的配置によって形成されてよい。例えば、接地板54−2は、共振素子54−1Bおよび54−1Aなどの共振素子の下方の領域53にスロット(例えば、プリント回路基板のスロットなど)を有してよい。長方形のスロット(または、その他の適切な形状の開口部)が、ベゼル14と接地板54−2との間の空間に形成されてもよい。スロットは、任意の適切な形状を有してよい。スロット形状の例としては、長方形、正方形、楕円形、直線および曲線の両方を有する形状などが挙げられる。
【0047】
多層プリント回路基板に適切な回路基板材料としては、フェノール樹脂含浸紙、エポキシ樹脂を含浸したグラスファイバマット(FR−4とも呼ばれる)などのグラスファイバ強化樹脂、プラスチック、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリイミド、および、セラミックが挙げられる。FR−4などの材料から加工された回路基板は、一般に入手可能であり、高価ではなく、複数の金属層(例えば、4層)を備えるよう加工できる。ポリイミドなどの柔軟な回路基板材料を用いて形成される、いわゆるフレックス回路を、デバイス10に用いてもよい。例えば、フレックス回路は、アンテナ54のアンテナ共振素子を形成するために用いてよい。
【0048】
図3Aの構成例に示すように、接地板素子54−2およびアンテナ共振素子54−1Aは、デバイス10の第1のアンテナを形成してよい。接地板素子54−2およびアンテナ共振素子54−1Bは、デバイス10の第2のアンテナを形成してよい。これら2つのアンテナは、複数の共振素子を有するマルチバンドアンテナを形成する。必要に応じて、他のアンテナ構造を設けてもよい。例えば、さらなる共振素子を用いて、所望の重複する周波数帯域(すなわち、これらのアンテナ54の内の1つが動作する帯域)での利得を増大させてもよいし、所望の別の周波数帯域(すなわち、アンテナ54の範囲外の帯域)でのカバレッジを提供してもよい。
【0049】
ベゼル14は、導電性材料から形成されてよく、接地板素子54−2などの接地素子の近傍でデバイス10に取り付けられてよい。ベゼル14は、アンテナ接地(例えば、接地板素子54−2など)に電気的に接続されてよい。ベゼル14は、アンテナ接地に接続されると、接地の一部を形成することで、アンテナ54の一部として機能する。
【0050】
ベゼル14、接地板素子54−2、および、共振素子54−1Aおよび54−1Bなどの共振素子を形成するために、任意の適切な導電性材料を用いてよい。適切な導電性アンテナ材料の例として、(例えば、ベゼル14については)銅、真鍮、銀、金、および、ステンレス鋼などの金属が挙げられる。必要に応じて、金属以外の導電体を用いてもよい。アンテナ54の平面導電素子は、一般的に薄い(例えば、約0.2mm)。
【0051】
トランシーバ回路52Aおよび52B(すなわち、図2のトランシーバ回路44)は、1または複数の集積回路および関連する個別の構成要素(例えば、フィルタリング構成要素など)の形態で提供されてよい。これらのトランシーバ回路は、1または複数のトランスミッタ集積回路、1または複数のレシーバ集積回路、スイッチング回路、増幅器などを備えてよい。トランシーバ回路52Aおよび52Bは、同時に動作してよい(例えば、一方が送信する間に他方が受信する、両方が同時に送信する、または、両方が同時に受信することができる)。
【0052】
各トランシーバは、送受信される高周波信号を搬送するための同軸ケーブルまたはその他の伝送線路をそれぞれ有してよい。図3Aの例に示すように、伝送線路56A(例えば、同軸ケーブル)を用いて、トランシーバ52Aおよびアンテナ共振素子54−1Aを相互接続してよく、伝送線路56B(例えば、同軸ケーブル)を用いて、トランシーバ52Bおよびアンテナ共振素子54−1Bを相互接続してよい。このタイプの構成において、トランシーバ52Bは、共振素子54−1Bおよび接地板54−2で形成されたアンテナを介してWiFi伝送を行ってよく、一方、トランシーバ52Aは、共振素子54−1Aおよび接地板54−2で形成されたアンテナを介して携帯電話伝送を行ってよい。
【0053】
本発明の一実施形態に従ったデバイス10の一例の上面図を図3Bに示す。図3Bに示すように、トランシーバ52Aおよびトランシーバ52Bなどのトランシーバ回路は、それぞれ、伝送線路56Aおよび56Bを介して、アンテナ共振素子54−1Aおよび54−1Bと相互接続されてよい。接地板54−2は、実質的に長方形の形状を有してよく(すなわち、接地板54−2の水平寸法が、デバイス10の水平寸法と一致してよい)、少なくとも1つのスロット(例えば、アンテナ共振素子の下のスロット)を備えてよい。接地板素子54−2は、1または複数のプリント回路基板の導体、導電性の筐体部(例えば、図3Aの筐体部12−1)、ディスプレイ16、バッテリなどの導電性構成要素、または、任意のその他の適切な導電構造から形成されてよい。ベゼル14は、接地板54−2に電気的に接続されてよく、従って、アンテナ接地板の一部を形成するとみなしてもよい。
【0054】
共振素子54−1Aおよび54−1Bなどのアンテナ共振素子と接地板54−2とは、任意の適切な形状で形成されてよい。一構成例では、アンテナ54の一方(すなわち、共振素子54−1Aから形成されるアンテナ)は、少なくとも部分的に板状逆Fアンテナ(PIFA)構造に基づいており、他方のアンテナ(すなわち、共振素子54−1Bから形成されるアンテナ)は、平面ストリップ構成に基づいている。本明細書では、この実施形態を一例として記載しているが、必要に応じて、任意の他の適切な形状を、共振素子54−1Aおよび54−1Bに用いてもよい。
【0055】
PIFA構造の一例を、図4に示す。図4に示すように、PIFA構造54は、接地板部分54−2および平面共振素子部分54−1Aを有してよい。アンテナは、正信号および接地信号を用いて給電される。正信号が供給されるアンテナの部分は、アンテナの正端子または給電端子と呼ばれる。この端子は、アンテナの信号端子または中心導体端子とも呼ばれる。接地信号が供給されるアンテナの部分は、アンテナの接地、アンテナの接地端子、アンテナの接地板、などと呼んでもよい。図4のアンテナ54では、給電導体58を用いて、信号端子60からアンテナ共振素子54−1Aに正アンテナ信号を送る。接地端子62は、接地板54−2に短絡され、アンテナの接地を形成している。
【0056】
図4のアンテナ54などのPIFAアンテナにおける接地板の寸法は、一般に、デバイス10の筐体12で許容される最大サイズに一致するようなサイズである。アンテナ接地板54−2は、水平寸法68における幅Wと、水平寸法66における長さLとを有する長方形の形状であってよい。寸法66におけるアンテナ54の長さは、その動作周波数に影響する。寸法68および66は、縦横寸法とも呼ばれる。共振素子54−1Aは、通例、垂直寸法64に沿って接地板54−2の上方に数ミリメートル離間される。寸法64におけるアンテナ54のサイズは、アンテナ54の高さHとも呼ばれる。
【0057】
図4のPIFAアンテナ54の断面図を図5に示す。図5に示すように、高周波信号は、信号端子60および接地端子62を用いて、(送信時には)アンテナ54に供給されてよく、(受信時には)アンテナ54で受信されてよい。典型的な一構成では、同軸導体またはその他の伝送線路は、ポイント60に電気接続された中心導体と、ポイント62に電気接続された接地導体とを有する。
【0058】
図4および5に示したアンテナ54に代表されるタイプのアンテナについて、予測される性能を図6のグラフに示す。定在波比(SWR)の予測値が、周波数の関数としてプロットされている。図4および5のアンテナ54の性能は、実線63で示されている。図に示すように、周波数f1でSWR値が減少しており、これは、周波数f1を中心とする周波数帯域でアンテナが良好に機能することを示している。PIFAアンテナ54は、周波数f2などの高調波周波数でも動作する。周波数f2は、PIFAアンテナ54の第2高調波周波数(すなわち、f2=2f1)を表す。アンテナ54の寸法は、周波数f1およびf2が、所望の通信帯域に合うように、選択されてよい。周波数f1(および高調波周波数2f1)は、寸法66におけるアンテナ54の長さLと関連している(Lは、周波数f1の波長の4分の1にほぼ等しい)。
【0059】
一部の構成では、寸法64における図4および5のアンテナ54の高さHは、共振素子54−1Aおよび接地板54−2の間の近接場結合の量によって制限されうる。特定のアンテナ帯域幅および利得について、性能に悪影響を与えることなく、高さHを減少させることができない場合がある。すべての他の変数が等しい場合に、高さHを短くすると、一般に、アンテナ54の帯域幅および利得が低減される。
【0060】
図7に示すように、アンテナ共振素子54−1Aの下方にスロットの形態で誘電領域70を導入することによって、最小限の帯域幅および利得の制限を満たしつつ、PIFAアンテナの最小垂直寸法を短くすることができる。スロット70は、空気、プラスチック、または、任意の他の適切な誘電体で満たされてよく、接地板54−2の切り取り部分すなわち除去部分に相当する。除去領域すなわち開口された領域70は、接地板54−2の1または複数の穴から形成されてよい。これらの穴は、スロットまたは開口部とも呼ばれ、正方形、円形、楕円形、多角形などであってよく、接地板54−2の近傍の隣接する導電構造に延びていてもよい。図7に示した適切な一構成では、除去領域70は、長方形スロットを形成している。その他の形状のスロットまたは穴(楕円、蛇行形状、曲線または直線の辺を持つ形状など)が形成されてもよい。
【0061】
接地板54−2のスロットは、任意の適切なサイズであってよい。例えば、スロットは、図3Bの上面図のように見た時に、共振素子54−1Aおよび54−2の最も外側の長方形の輪郭よりも若干小さくてよい。典型的な共振素子の水平寸法は、約0.5cmから10cmである。
【0062】
スロット70を設けることで、共振素子54−1Aと接地板54−2との間の近接場電磁結合が減少し、与えられた帯域幅および利得の制限を満たしつつ、スロットを設けない場合よりも垂直寸法64における高さHを小さくすることが可能になる。例えば、高さHは、1〜5mm、2〜5mm、2〜4mm、1〜3mm、1〜4mm、または、1〜10mmの範囲であってよく、10mm、4mm、3mm、または、2mmより短くてもよく、もしくは、任意の他の適切な範囲の接地板素子54−2からの高さであってもよい。
【0063】
必要に応じて、スロット70を含む接地板54−2の部分は、スロットアンテナを形成するために用いられてよい。スロットアンテナ構造は、デバイス10のアンテナを形成するために単体で用いられてもよいし、1または複数の共振素子と連結して、ハイブリッドアンテナ54を形成するために用いられてもよい。例えば、1または複数のPIFA共振素子をスロットアンテナ構造と組み合わせて、ハイブリッドアンテナを形成してもよい。PIFA動作特性およびスロットアンテナ動作特性の両方を示すようにアンテナ54を作動させることによって、アンテナの性能を向上させることができる。
【0064】
スロットアンテナの一例の上面図を図8に示す。図8のアンテナ72は、通例、紙面を貫く方向において薄い(すなわち、アンテナ72は、平面状であり、その平面が紙面上に存在する)。スロット70は、アンテナ導体76の中央に形成されてよい。ケーブル56Aなどの同軸ケーブルまたはその他の伝送線路が、アンテナ72に給電するために用いられてよい。図8の例において、アンテナ72は、同軸ケーブル56Aの中心導体82が信号端子80(すなわち、アンテナ72の正端子すなわち給電端子)と接続され、かつ、ケーブル56Aの接地導体を形成する同軸ケーブル56Aの外部編組導体が接地端子78と接続されるように給電される。
【0065】
図8の構成でアンテナ72が給電される場合、アンテナの性能は、図9のグラフで与えられる。図9に示すように、アンテナ72は、中心周波数f2を中心とする周波数帯域で動作する。中心周波数f2は、スロット70の寸法によって決定される。スロット70は、寸法Xの2倍と寸法Yの2倍との和に等しい内周囲長P(すなわち、P=2X+2Y)を有する。中心周波数f2では、内周囲長Pは1波長と等しくなる。
【0066】
中央周波数f2は、周囲長Pを適切に選択することによって調整できるため、図8のスロットアンテナは、図9のグラフの周波数f2が、図6のグラフの周波数f2と一致するように構成可能である。スロット70がPIFA構造と組み合わされたこのタイプのアンテナ設計では、スロット70の存在により、周波数f2でアンテナの利得が増大される。周波数f2の近傍で、スロット70を用いて性能を向上させた結果、図6に点線79で示したアンテナ性能が得られる。
【0067】
必要に応じて、周囲長Pは、周波数f2とは異なる(すなわち、帯域外の)周波数で共振するよう選択されてもよい。この場合、スロット70の存在によって、共振周波数f2でアンテナ性能が向上することがない。それでも、スロット70の領域から導電性材料を除去することで、共振素子54−1Aなどの共振素子と接地板54−2との間の近接場電磁結合が減少し、与えられた帯域幅および利得の制限を満たしつつ、スロットを設けない場合よりも垂直寸法64における高さHを小さくすることが可能になる。
【0068】
端子80および78の位置は、インピーダンス整合のために選択されてよい。必要に応じて、スロット70の角のうちの1つの角の周りに設けられた端子84および86などの端子を用いて、アンテナ72に給電してもよい。この場合、端子84および86の間の距離は、アンテナ72のインピーダンスを適切に調節するよう選択されてよい。図8に示した構成では、一例として、端子84および86は、それぞれ、スロットアンテナ信号端子およびスロットアンテナ接地端子として構成されている。必要に応じて、端子84は、接地端子として用いることも可能であり、端子86は、信号端子として用いることも可能である。スロット70は、通常、空気で満たされているが、一般に、任意の適切な誘電体で満たされてよい。
【0069】
共振素子54−1AなどのPIFAタイプの共振素子とスロット70を組み合わせて用いることによって、ハイブリッドPIFA/スロットアンテナが形成される(本明細書ではハイブリッドアンテナとも呼ぶ)。ハンドヘルド電子デバイス10は、必要に応じて、このタイプ(例えば、携帯電話通信用)のPIFA/スロットハイブリッドアンテナおよび(例えば、WiFi/Bluetooth通信用の)ストリップアンテナを有してよい。
【0070】
共振素子54−1A、スロット70、および、接地板54−2によって形成されたハイブリッドPIFA/スロットアンテナが、2本の同軸ケーブル(または、その他の伝送線路)を用いて給電される構成の一例を図10に示す。図10に示すようにアンテナが給電される場合、アンテナのPIFA部分およびスロットアンテナ部分の両方がアクティブである。結果として、図10のアンテナ54は、ハイブリッドPIFA/スロットモードで動作する。同軸ケーブル56A−1および56A−2は、それぞれ、内部導体82−1および82−2を有する。同軸ケーブル56A−1および56A−2は、さらに、導電性の外部編組接地導体をそれぞれ有する。同軸ケーブル56A−1の外部編組導体は、接地端子88で接地板54−2に電気的に短絡される。ケーブル56A−2の接地部は、接地端子92で接地板54−2に短絡される。同軸ケーブル56A−1および56A−2からの信号接続は、それぞれ、信号端子90および94でなされる。
【0071】
図10の構成では、別個の2組のアンテナ端子が用いられている。同軸ケーブル56A−1は、接地端子88および信号端子90を用いてハイブリッドPIFA/スロットアンテナのPIFA部分に給電し、同軸ケーブル56A−2は、接地端子92および信号端子94を用いてハイブリッドPIFA/スロットアンテナのスロットアンテナ部分に給電する。従って、アンテナ端子の各組が、ハイブリッドPIFA/スロットアンテナのための別個の給電部として動作する。信号端子90および接地端子88は、アンテナのPIFA部分のためのアンテナ端子として機能し、信号端子94および接地端子92は、アンテナ54のスロット部分のためのアンテナ給電点として機能する。これら2つの独立したアンテナ給電により、アンテナは、PIFAおよびスロットの特性両方を同時に用いて機能することが可能になる。必要に応じて、給電の方向性は変更可能である。例えば、同軸ケーブル56A−2は、ポイント94を接地端子、ポイント92を信号端子として用いて、スロット70に接続されてもよいし、スロット70の周囲に沿った他のポイントに位置する接地および信号端子を用いて、スロット70に接続されてもよい。
【0072】
伝送線56A−1および56A−2などの複数の伝送線路がハイブリッドPIFA/スロットアンテナに用いられる場合、各伝送線路は、それぞれのトランシーバ回路(例えば、図3Aおよび3Bのトランシーバ回路52Aなど、2つの対応するトランシーバ回路)と関連していてよい。
【0073】
ハンドヘルドデバイス10で動作する際に、図3Bの共振素子54−1Aと、接地板54−2において素子54−1Aの下方に配置された対応するスロットとから形成されたハイブリッドPIFA/スロットアンテナは、850および900MHzと1800および1900MHz(または、その他の適切な周波数帯域)のGSM携帯電話帯域をカバーするために利用可能であり、ストリップアンテナ(または、その他の適切なアンテナ構造)は、周波数fnを中心とするさらなる帯域(または、別の適切な1または複数の周波数帯域)をカバーするために利用可能である。ストリップアンテナまたは共振素子54−1Bから形成されたその他のアンテナ構造のサイズを調節することにより、周波数fnは、所望の任意の適切な周波数帯域(例えば、Bluetooth/WiFi用の2.4GHz、UMTS用の2170MHz、または、GPS用の1550MHz)と一致するように制御されてよい。
【0074】
2つのアンテナ(例えば、共振素子54−1Aおよびそれに対応するスロットから形成されたハイブリッドPIFA/スロットアンテナトと、共振素子54−2から形成されたアンテナ)を用いた時のデバイス10の無線性能を表すグラフを図11に示す。図11の例において、ハイブリッドPIFA/スロットアンテナのPIFA動作特性は、850/900MHzおよび1800/1900MHzのGSM携帯電話帯域をカバーするために用いられており、ハイブリッドPIFA/スロットアンテナのスロットアンテナ動作特性は、1800/1900MHz帯域にさらなる利得および帯域幅を提供するために用いられており、共振素子54−1Bから形成されたアンテナは、fnを中心とする周波数帯域(例えば、Bluetooth/WiFi用の2.4GHz、UMTS用の2170MHz、または、GPS用の1550MHz)をカバーするために用いられる。この構成は、4つの携帯電話帯域およびデータ帯域のカバレッジを提供する。
【0075】
必要に応じて、共振素子54−1Aおよびスロット70から形成されたハイブリッドPIFA/スロットアンテナは、単一の同軸ケーブルまたはその他のかかる伝送線路を用いて給電されてよい。単一の伝送線路を用いて、ハイブリッドPIFA/スロットアンテナのPIFA部分およびスロット部分の両方に対して同時に給電し、共振素子54−1Bから形成されたストリップアンテナを用いて、デバイス10にさらなる周波数カバレッジを提供する構成の一例を図12に示す。接地板54−2は、(一例として)金属から形成されてよい。接地板54−2の縁部96は、(一例として)接地板54−2の金属を上方に折り曲げることによって形成されてよい。筐体12に挿入されると(図3A)、縁部96は、金属筐体部分12−1の側壁内に収まってよく、ベゼル14との電気的接触を形成してよい。必要に応じて、接地板54−2は、プリント回路基板の1または複数の金属層、金属ホイル、筐体12の部分、ディスプレイ16の部分、または、その他の適切な導電構造を用いて形成されてもよい。
【0076】
図12の実施形態において、共振素子54−1Bは、導電ブランチ122および導電ブランチ120から形成されたL字形の導電ストリップを有する。ブランチ120および122は、誘電性の支持構造102によって支持された金属から形成されてよい。適切な一構成において、図12の共振素子構造は、(例えば、接着剤によって)支持構造102に付着されたフレックス回路パターンとして形成される。
【0077】
同軸ケーブル56Bまたはその他の適切な伝送線路は、接地端子132に接続された接地導体と、信号端子124に接続された信号導体とを有する。アンテナへの伝送線路を取り付けるために、任意の適切な機構を用いてよい。図12の例において、同軸ケーブル56Bの外部編組接地導体は、金属タブ130を用いて接地端子132に接続される。金属タブ130は、(例えば、導電性接着剤を用いて)筐体の部分12−1に短絡されてよい。伝送線路の接続構造126は、例えば、小型UFL同軸コネクタであってよい。コネクタ126の接地は、端子132に短絡されてよく、コネクタ126の中心導体は、導電経路124に短絡されてよい。
【0078】
アンテナ54−1Bに給電する時に、端子132は、アンテナの接地端子を形成すると考えてよく、コネクタ126の中心導体および/または導電経路124は、アンテナの信号端子を形成すると考えてよい。寸法128に沿って導電経路124が導電ストリップ120に接触する位置は、インピーダンス整合のために調節されてよい。
【0079】
図12のハイブリッドPIFA/スロットアンテナの平面アンテナ共振素子54−1Aは、短いアーム98および長いアーム100を備えたF字形の構造を有してよい。アーム98および100の長さ、および、スロット70および接地板54−2などの他の構造の寸法は、デバイス10の周波数カバレッジおよびアンテナのアイソレーション特性を調整するために調節されてよい。例えば、接地板54−2の長さLは、共振素子54−1Aで形成されたハイブリッドPIFA/スロットアンテナのPIFA部分が、850/900MHzのGSM帯域で共振するよう構成されてよく、それにより、図11の周波数f1におけるカバレッジを提供する。アーム100の長さは、1800/1900MHzの帯域で共振するよう選択されてよく、それにより、PIFA/スロットアンテナが図11の周波数f2におけるカバレッジを提供する助けとなる。スロット70の周囲長は、1800/1900MHzの帯域で共振するよう構成されてよく、それにより、アーム100の共振を強化し、PIFA/スロットアンテナが図11の周波数f2におけるカバレッジを提供することをさらに援助する(すなわち、図6に示したように、周波数f2の近傍で実線63から点線79へ性能を向上させることによる)。必要に応じて、スロット70の周囲長は、1800/1900MHzの帯域から離れて(すなわち、帯域外で)共振するよう構成されてもよい。スロット70は、図12のPIFA構造なしに(すなわち、純粋なスロットアンテナとして)用いられてもよい。
【0080】
PIFA/スロット構成において、アーム98は、共振素子54−1Aから形成されたハイブリッドPIFA/スロットアンテナと共振素子54−1Bから形成されたL字形ストリップアンテナとの間の干渉を低減するアイソレーション素子として機能しうる。アーム98の寸法は、所望の周波数で最大のアイソレーションを導入するよう構成されてよく、かかるアイソレーションは、アームなしには実現しない。アーム98の寸法は、共振素子54−1Aから接地板54−2上に誘導される電流の操作を可能にすると考えられる。この操作により、共振素子54−1Bの信号領域および接地領域の周辺の誘導電流を最小化できる。これらの電流の最小化により、2つのアンテナ給電部の間の信号結合が低減しうる。この構成では、アーム98は、共振素子54−1Bから形成されたアンテナの給電部において(すなわち、経路122および124の近傍で)アーム100によって誘導される電流を最小化する周波数で共振するよう構成されてよい。
【0081】
さらに、アーム98は、素子54−1Aのための放射アームとして機能しうる。その共振は、スロット70およびアーム100によって規定されるものとは異なってよいが、素子54−1Aの帯域幅を増大させると共に、帯域内効率を改善しうる。通例、放射素子51−1Aの帯域幅の増大により、素子51−1Bからの周波数分離が減少し、アイソレーションに弊害をもたらす。しかし、アーム98によってアイソレーションを追加することで、この悪影響を排除し、さらに、アーム98を設けない場合の素子54−1Aおよび54−1Bの間のアイソレーションよりも著しい改善を実現できる。
【0082】
図12に示すように、共振素子54−1Aのアーム98および100と、共振素子54−1Bは、支持構造102(アンテナキャップとも呼ばれる)上に取り付けられてよい。支持構造102は、プラスチック(例えば、ABSプラスチックなど)またはその他の適切な誘電体から形成されてよい。構造102の表面は、平面でもよいし曲面でもよい。例えば、共振素子54−1Aおよび54−1Bは、支持構造102上に直接形成されてもよいし、支持構造102に取り付けられたフレックス回路基板など、別個の構造上に形成されてもよい。
【0083】
共振素子54−1Aおよび54−1Bは、任意の適切なアンテナ加工技術によって形成されてよい:例えば、導電性テープまたはその他の柔軟な構造の金属スタンピング、切断、エッチング、または、フライス加工;プラスチックまたはその他の適切な基板上にスパッタ蒸着された金属のエッチング;導電性スラリからの印刷(例えば、スクリーン印刷技術による);接着剤、ネジ、または、その他の適切な固定機構によって支持102に取り付けられたフレックス回路基板の一部を構成する銅などの金属のパターニング、などである。
【0084】
導電ストリップ104などの導電経路を用いて、端子106において共振素子54−1Aを接地板54−2に電気接続してよい。端子106でネジまたはその他の固定具を用いて、ストリップ104(ひいては共振素子54−1A)を接地板54−2の縁部96(ベゼル14)に対して電気的および機械的に接続してよい。また、ストリップ104およびかかるその他の構造など、アンテナにおける導電構造は、導電性接着剤を用いて互いに電気的に接続されてもよい。
【0085】
高周波信号を送受信するために、ケーブル56Aなどの同軸ケーブルおよびその他の伝送線路が、ハイブリッドPIFA/スロットアンテナに接続されてよい。同軸ケーブルまたはその他の伝送線路は、任意の適切な電気的および機械的な接続機構を用いてハイブリッドPIFA/スロットアンテナの構造に接続されてよい。図12の構成例に示すように、小型UFL同軸コネクタ110を用いて、同軸ケーブル56Aまたはその他の伝送線路をアンテナ導体112に接続してよい。同軸ケーブルの中心導体またはその他の伝送線路は、コネクタ110の中心コネクタ108に接続される。同軸ケーブルの外部編組接地導体は、ポイント115でコネクタ110を介して接地板54−2に電気的に接続される(必要に応じて、コネクタ110の上流の他の接続点で接地板54−2と短絡されてもよい)。接地板のこの部分でベゼル14にコネクタ110を接地するために、ブラケットを用いてよい。
【0086】
導体108は、アンテナ導体112に電気的に接続されてよい。導体112は、(例えば、共振素子54−1Aおよび54−1Bを含むフレックス回路の一部として)支持構造102の側壁表面上に形成された金属片(例えば、銅線)などの導電素子で形成されてよい。導体112は、共振素子54−1Aに対して(例えば、部分116で)直接的に電気接続されてもよいし、同調コンデンサ114またはその他の適切な電気部品を介して共振素子54−1Aに電気接続されてもよい。同調コンデンサ114のサイズは、アンテナ54を同調させ、アンテナ54がデバイス10の目的周波数帯域をカバーすることを保証するよう選択できる。
【0087】
スロット70は、図12の共振素子54−1Aの下方に位置してよい。中心導体108からの信号は、アンテナ導体112、任意に設けるコンデンサ114またはその他の同調部品、アンテナ導体117、および、アンテナ導体104で形成される導電経路を用いて、スロット70の近傍にある接地板54−2のポイント106に送られてよい。
【0088】
図12の構成によると、単一の同軸ケーブルまたはその他の伝送線路で、ハイブリッドPIFA/スロットアンテナのPIFA部分およびスロット部分の両方に同時に給電することが可能である。
【0089】
接地ポイント115は、接地板54−2のスロット70によって形成されたハイブリッドPIFA/スロットアンテナのスロットアンテナ部分のための接地端子として機能する。ポイント106は、ハイブリッドPIFA/スロットアンテナのスロットアンテナ部分のための信号端子として機能する。信号は、導電経路112、同調素子114、経路117、および、経路104によって形成された経路を介して、ポイント106に給電される。
【0090】
ハイブリッドPIFA/スロットアンテナのPIFA部分については、ポイント115がアンテナ接地として機能する。中心導体108、および、中心導体108の導体112への接続点は、PIFAのための信号端子として機能する。導体112は、給電導体として機能し、信号端子108からPIFA共振素子54−1Aへ信号を給電する。
【0091】
動作中、ハイブリッドPIFA/スロットアンテナのPIFA部分およびスロットアンテナ部分は共に、ハイブリッドPIFA/スロットアンテナの性能に寄与する。
【0092】
ハイブリッドPIFA/スロットアンテナのPIFA機能は、(図7の端子62と同様に)ポイント115をPIFA接地端子として利用し、(図7の端子60と同様に)同軸中心導体が導電構造112に接続するポイント108をPIFA信号端子として利用し、(図7の給電導体58と同様に)導電構造112をPIFA給電導体として利用することによって実現される。動作中、アンテナ導電体112は、図4および5において導体58が端子60から共振素子54−1Aに高周波信号を送るのと同様に、端子108から共振素子54−1Aに高周波信号を送るよう機能し、導電線104は、図4および5の接地部61と同様に、共振素子54−1Aを接地板54−2に終端させるよう機能する。
【0093】
ハイブリッドPIFA/スロットアンテナのスロットアンテナ機能は、(図8の端子86と同様に)接地ポイント115をスロットアンテナ接地端子として利用し、アンテナ導体112、同調素子114、アンテナ導体117、および、アンテナ導体104で形成される導電経路を、図8の導体82または図10の導体82−2として利用し、(図8の端子84と同様に)端子106をスロットアンテナ信号端子として利用することによって実現される。
【0094】
図10の構成例では、スロットアンテナ接地端子92およびPIFAアンテナ接地端子88が、接地板54−2における別個の位置に形成されてよいことが示されている。図12の構成では、単一の同軸ケーブルを用いて、ハイブリッドPIFA/スロットアンテナのPIFA部分およびスロット部分の両方に給電してよい。これは、端子115が、ハイブリッドアンテナのPIFA部分のためのPIFA接地端子、および、ハイブリッドアンテナのスロットアンテナ部分のためのスロットアンテナ接地端子の両方の機能を果たすからである。ハイブリッドアンテナのPIFA部分およびスロットアンテナ部分の接地端子が、共通の接地端子構造によって提供され、かつ、導電経路112、117、および、104が、PIFAおよびスロットアンテナ動作に必要なように、高周波信号を共振素子54−1Aおよび接地板54−2とやり取りするよう機能することから、ハイブリッドPIFA/スロットアンテナのPIFA部分およびスロット部分の両方を用いて送受信される高周波信号を、単一の伝送線路(例えば、同軸導体56Aなど)を用いて送受信することができる。
【0095】
必要に応じて、ハイブリッドPIFA/スロットアンテナ動作をサポートする他のアンテナ構成を用いてもよい例えば、同調コンデンサ114の高周波同調機能は、1または複数のインダクタ、1または複数の抵抗器、直接短絡させる金属片、コンデンサ、または、これらの部品の組み合わせなど、他の適切な同調部品の回路網によって提供されてもよい。1または複数の同調回路網が、さらに、アンテナ構造における異なる位置でハイブリッドアンテナに接続されてもよい。これらの構成は、単一給電および複数給電の伝送線路構成と共に用いられてよい。
【0096】
さらに、ハイブリッドPIFA/スロットアンテナにおける信号端子および接地端子の位置は、図12に示したものと異なってもよい。例えば、端子115/108および端子106は、接続する導体112、117、および、104を適切に変更する限りは、図12に示した位置から移動してもよい。
【0097】
ハイブリッドPIFA/スロットアンテナのPIFA部分は、図12のアーム98および100のような1または複数のアームを有する実質的なF字形導電素子を用いて、または、その他の構成(例えば、直線、蛇行、曲線のアーム、90°または180°折り曲げたアーム、など)を用いて提供できる。共振素子54−1Bで形成されるストリップアンテナは、他の形状の導体から形成されてもよい。共振素子54−1Aおよび54−1Bのアームまたはその他の部分に対して、異なる形状を用いることは、アンテナ設計者が、アンテナ54の周波数応答を所望の動作周波数に調整し、アイソレーションを最大化する際に役立つ。共振素子54−1Aおよび54−1Bにおける構造のサイズは、必要に応じて調整されてよい(例えば、特定の動作帯域に対する利得および/または帯域幅を増減させるため、特定の周波数でのアイソレーションを向上させるため、など)。
【0098】
本発明の一実施形態に従ったハンドヘルド電子デバイス10の一例の分解斜視図を図13に示す。図13に示すように、ハンドヘルド電子デバイス10は、ディスプレイ16またはその他の平坦な部品を下側筐体部分12に固定するための導電ベゼル(導電ベゼル14など)を有してよい。ガスケット(ガスケット150など)が、ベゼル14とディスプレイ16の露出面との間に挿入されてよい。ガスケット150は、(例えば)シリコーンまたはその他の柔軟なプラスチックで形成されてよい。ガスケット150は、任意の適切な断面形状を有してよい。例えば、ガスケット150は、円形の断面を有してもよいし(すなわち、ガスケット150はO−リングであってよい)、長方形の断面などを有してもよい。ディスプレイ16は、1または複数の穴または切り取り部分を有してよい。例えば、ディスプレイ16は、下側筐体部分12上のボタン19を収容するための穴152を有してよい。
【0099】
必要に応じて、ディスプレイ16は、タッチセンサ式であってもよい。タッチセンサ式の構成では、ディスプレイ16は、ディスプレイスクリーン16の表示部分の下に取り付けられたタッチセンサ(タッチセンサ154)などを有してよい。下側筐体12は、ディスプレイとディスプレイ16に関連するタッチセンサ部品とを収容する凹部156を有してよい。アンテナ構造は、領域18のプラスチックのエンドキャップの裏側に収容されてよい。デバイス10の反対側に位置する領域158に、さらなる部品(例えば、スピーカなど)を収容してよい。
【0100】
ベゼル14は、任意の適切な技術を用いて筐体12に固定されてよい(例えば、留め具、スナップ、接着剤、溶接技術、これらの方法の組み合わせ、など)。図13に示すように、ベゼル14は、下方に延びる部分160を有してよい。部分160は、突起、レール、および、その他の突出形状をとってよい。部分160は、部分160の外周が凹部156の内周にかみ合うよう構成されてよい。部分160は、下側筐体部分12における対応するねじ穴164に合致するねじ穴162を有してよい。ネジまたはその他の留め具を用いて、ベゼル14を下側筐体部分156に取り付けてよい。ネジおよびその他の導電性取り付け構造(例えば、溶接、ワイヤなど)を用いて、デバイス10内の接地素子にベゼル14を電気的に接続してよい。組み立てが容易になるよう、下側筐体12の部分(すなわち、部分166など、ねじ穴を含む下側筐体12の部分)が、タブ、スナップ、または、その他の取り付け構造を有してもよい。組み立ての際、部分166は、ネジを用いてベゼル14に取り付けられてよい。部分166およびベゼル14を互いに対して取り付けた後に、部分166の取り付け構造を下側筐体部分12の係合構造に挿入することで、部分166、ベゼル14、ガスケット150、および、ディスプレイ16を下側筐体部分12に取り付けてよい。
【0101】
図13に示したタイプの構成をハンドヘルド電子デバイス10に用いる場合、デバイス10のアンテナ共振素子は、領域18内に収容されてよい。デバイス10の接地部品とベゼル14に対する領域18の位置を示したハンドヘルド電子デバイス10の一例の断面図を、図14に示す。図14に示すように、ベゼル14は、筐体12にディスプレイ16を取り付けるために用いられてよい。プリント回路基板、フレックス回路、集積回路、バッテリ、および、その他のデバイスなど、電子部品168が、デバイス10の部分170内に取り付けられてよい。部分170内の導電構造は、デバイス10の1または複数のアンテナのための接地として機能するよう、互いに電気的に接続されてよい。ベゼル14も、部分170に電気的に接続されてよい(例えば、溶接、金属ネジ、金属クリップ、隣接する金属部品の間での圧入接点、ワイヤなど)。
【0102】
これらの電気的接続の結果として、デバイス10のベゼル14および導電部分170は、図15に示すように構成されてよい。図15に示すように、導電部分170は、デバイス10のアンテナ接地板として機能しうる。ベゼル14の部分172は、開口部174を形成するように、接地部分170から外側に延びてよい。開口部174は、スロット70などの接地板開口部を有する1または複数のアンテナを収容できる。
【0103】
適切な一構成では、開口部174は、接地板のスロットまたは穴(例えば、図12のスロット70)を直接形成するようなサイズを有してよい。このタイプの構成では、開口部174の寸法は、スロット70の開口部の寸法と一致する。必要に応じて、開口部174は、その境界内に若干小さいスロット開口部を収容するのに十分な大きさを有してもよい。このタイプの構成では、スロット70の開口部は、回路基板の接地板における開口部またはその他の導電構造内の開口部として形成されてよい。従って、スロットは、開口部174よりも小さい領域を有する開口部を形成してよく、それにより、スロット70は開口部174内に完全に含まれる。別の構成では、スロット70は、開口部174との重複部分を有する。このタイプの構成では、スロット70の開口部の有効面積が小さくなり得、結果として形成されるアンテナ開口部は、スロットと開口部174との間の重複領域に限定される。
【0104】
図16は、アンテナ接地板54−2のスロット70に対するベゼル14の位置の一例を示す。図16において、ベゼル14の位置は点線で示されている。図16の例に示されるように、スロット70は、ハンドヘルド電子デバイスのスロットアンテナを形成するために用いられてよい。スロットアンテナは、図8を参照して説明したように動作しうる。領域172においてベゼル14が形成する開口部174(図15)内にスロット70を形成できるため、図16に点線で示した導電ベゼル14の位置によると、スロットアンテナを形成可能である。
【0105】
図17に示すように、ハンドヘルド電子デバイス10は、ハイブリッドアンテナを有してよい。ハイブリッドアンテナは、スロットアンテナと、PIFA共振構造などのさらなる共振構造とで形成されてよい。図17の例において、スロット70は、ハイブリッドアンテナのスロット部分を形成するために用いられ、PIFA共振素子176は、ハイブリッドアンテナのPIFA部分を形成する。ハイブリッドアンテナを形成可能なベゼル14の位置の一例を、一点鎖線14で示す。図17のハイブリッドアンテナのスロットは、(例えば、図12のスロット70に関連して説明したように)帯域内共振のために構成されてもよいし、帯域外の共振のために構成されてもよい(この場合、スロットは、周波数スペクトルにおいてアンテナでの送受信に用いられていない部分で共振する)。さらに、PIFA部分176は、図によると、スロット70の上方に位置する中実の共振素子を含んでいるが、スロット70の上方に1または複数の共振素子を設けてよく、これらの共振素子は、任意の所望の形状(例えば、直線アームまたは蛇行アーム、中実の長方形、ギャップを有する長方形など)であってよい。
【0106】
ベゼル14は、ハンドヘルド電子デバイス10の表面に沿って様々な位置に配置されたスロットを収容しうる。例えば、スロット70は、図18に示すように、接地板54−2の中央に配置されてよい。図18の例において、ハンドヘルド電子デバイスのベゼルは、点線14で示された場所に配置されてよい。この位置において、ベゼル14は、スロット70など、中央に配置されたスロットを収容しうる。
【0107】
中央配置は、ハイブリッドアンテナ構成で用いられてもよい。図19に示すように、例えば、スロット70および共振素子176が、接地板54−2内の中央位置に形成されてよい。このタイプの構成例において、ハンドヘルド電子デバイスのベゼルは、点線14で示されている場所に位置してよい。ベゼル14は、接地板54−2の外周の周りに配置されているため、中央に配置されたアンテナを収容するようにスロット70の周りに延びてもよい。
【0108】
外周に配置されたベゼルは、様々な形状のスロットに適合する。図20の例は、スロット70が蛇行経路を有してよいことを示している。このタイプの構成は、スロットアンテナまたはハイブリッドアンテナのスロット部分に比較的長い内周Pが求められる用途で用いられてよい。蛇行経路は、スロット70の内周囲長を増大させつつ、スロットの面積の増大を最小限に抑える。ベゼル14は、スロット70を収容するように一点鎖線14で示したように配置されてよく、必要に応じて、1または複数のハイブリッドアンテナを形成するために、スロット70の上方に共振素子を提供してもよい。
【0109】
図21は、別の構成例を示す。図21に示す構成において、スロット70は、蛇行する周囲178を有する。周囲178の長さは、同程度の面積を有する長方形スロットの周囲長よりも長い。従って、蛇行する周囲を用いることで、アンテナの動作周波数を調整するために特定の周囲長Pが求められる際に、スロットの面積を最小限に抑えられる利点が得られる。図21に示したタイプのスロットは、スロットアンテナに用いられてもよいし、ハイブリッドアンテナ(例えば、帯域内または帯域外スロットを備えたハイブリッドPIFA/スロットアンテナ)に用いられてもよい。
【0110】
必要に応じて、スロット70の周囲長は、高周波スイッチを用いて調節されてもよい。このタイプのリアルタイム周囲長調節は、スロットアンテナまたはハイブリッドアンテナのスロットを調節するために用いられてよい。スロットの周囲長を調節することにより、それに比例して、スロットが共振する周波数が調節される。
【0111】
調節可能な周囲長を備えたスロットの一実施形態を図22に示す。ベゼル14は、スロット70を収容するように一点鎖線14で規定された経路に沿って配置されてよい。図22の例では、長方形の形状であるが、スロット70は、任意の適切な形状を有してよい(例えば、蛇行周囲および/または蛇行経路が用いられてもよい)。
【0112】
図22に示すように、スロット70は、スイッチ184によってブリッジングされてよい。スイッチ184は、p−i−nダイオードまたはその他の適切な制御可能な高周波電子部品から形成されてよい。スイッチ70の状態は、ハンドヘルド電子デバイス10のトランシーバに関連する制御回路によって供給される制御信号で制御されてよい。スイッチ184が開いている時、スロット70は周囲長P1を有する。スイッチ184が閉じている時には、スイッチ184を介してポイント180がポイント182に短絡される。これにより、スロット70の周囲長を効果的にP2まで減少させる。周囲長は、スロットのピーク共振周波数における1波長とほぼ等しい。P2はP1よりも短いため、スイッチ184が閉じている時には、スロットの共振周波数は増大する。一例として、スロット70(およびデバイス10の関連する1または複数のアンテナ)の共振周波数は、図23に示すように、スイッチ184が開位置から閉位置に切り換えられた時に、faからfbに変化してよい。スイッチ184が開いている時、スロット70の周囲長はP1であり、共振周波数のピークはfaである。スイッチ184が閉じている時、スロット70の周囲長はP2に減少するため、スロット70に関連する共振周波数のピークは、増大してfbになる。スロット70による同調機能は、デバイス10の1または複数のアンテナを同調させるために(例えば、対象となる異なる通信帯域の間でアンテナを同調させるために)用いられてよい。このタイプのスロット同調構成は、(例えば)スロットアンテナおよびハイブリッドアンテナに用いられてよい。
【0113】
以上の記載は、本発明の原理の例示に過ぎず、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって様々な変形がなされうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドヘルド電子デバイスであって、
周辺部を備える平面を有する筐体と、
前記筐体に取り付けられ、スロットを規定する部分を有する接地板素子と、
前記筐体の前記平面の前記周辺部を囲み、前記接地板素子の前記スロットを囲み、かつ、前記接地板素子と電気的に接続されている導電ベゼルと、
前記接地板素子および前記スロットから形成された少なくとも1つのアンテナと、
を備える、ハンドヘルド電子デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のハンドヘルド電子デバイスであって、前記ベゼルは、ステンレス鋼ベゼルを含む、ハンドヘルド電子デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のハンドヘルド電子デバイスであって、前記スロットは長方形スロットを含み、前記アンテナは、前記スロットの上方に配置されている少なくとも1つの共振素子を有するハイブリッドアンテナを含む、ハンドヘルド電子デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載のハンドヘルド電子デバイスであって、さらに、
前記スロットの上方に配置されている少なくとも1つのアンテナ共振素子を備え、
前記アンテナは、前記接地板素子、前記スロット、および、前記共振素子から形成されたハイブリッドアンテナを含む、ハンドヘルド電子デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載のハンドヘルド電子デバイスであって、前記スロットは長方形スロットを含み、前記ハンドヘルド電子デバイスは、さらに、前記スロットの上方に配置されている少なくとも2つのアンテナ共振素子を備える、ハンドヘルド電子デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載のハンドヘルド電子デバイスであって、さらに、
前記スロットをブリッジングするスイッチを備え、
前記スイッチは、前記スロットが第1の周囲長を有し前記アンテナが第1の周波数ピークで共振する開位置と、前記スロットが第2の周囲長を有し前記アンテナが前記第1の周波数ピークよりも周波数の高い第2の周波数ピークで共振する閉位置とを有する、ハンドヘルド電子デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載のハンドヘルド電子デバイスであって、さらに、前記ベゼルによって前記筐体に取り付けられた平面表示部を備える、ハンドヘルド電子デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載のハンドヘルド電子デバイスであって、前記スロットは長方形スロットを含み、
前記ハンドヘルド電子デバイスは、さらに、
平面を有し、前記ベゼルによって前記筐体に取り付けられた表示部と、
前記表示部と前記ベゼルとの間に挿入されたガスケットと、
前記スロットの上方に配置されている少なくとも2つのアンテナ共振素子と、
を備える、ハンドヘルド電子デバイス。
【請求項9】
ハンドヘルド電子デバイスであって、
周辺部および水平寸法を有する筐体と、
前記筐体の前記水平寸法と実質的に等しい水平寸法を有すると共に、スロットを規定する部分を有する実質的に長方形の接地板素子と、
前記筐体の前記周辺部を囲み、前記スロットを囲み、かつ、前記接地板素子と電気的に接続されている導電ベゼルと、
前記スロットの上方に配置され、前記接地板素子と共に第1のアンテナを形成する第1の共振素子と、
前記スロットの上方に配置され、前記接地板素子と共に第2のアンテナを形成する第2の共振素子と、
を備える、ハンドヘルド電子デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載のハンドヘルド電子デバイスであって、前記第1の共振素子は、
前記第2のアンテナと共通の周波数で共振し、前記第1および第2のアンテナが同時に動作する際に前記第2のアンテナおよび前記第1のアンテナの間の干渉を低減させるアイソレーション素子を備える、ハンドヘルド電子デバイス。
【請求項11】
請求項9に記載のハンドヘルド電子デバイスであって、前記第2の共振素子は、2.4GHz通信帯域で共振する導電ストリップを備える、ハンドヘルド電子デバイス。
【請求項12】
請求項9に記載のハンドヘルド電子デバイスであって、さらに、
第1のトランシーバ回路および第2のトランシーバ回路を備え、
前記第1のアンテナおよび前記第1のトランシーバ回路は、少なくとも850MHzおよび900MHzの携帯電話帯域を含む第1の通信周波数帯域と、少なくとも1800MHzおよび1900MHzの携帯電話帯域を含む第2の通信周波数帯域とで動作するよう構成され、
前記第2のアンテナ共振素子は、2.4GHz通信帯域で共振する導電ストリップを備え、
前記第1の共振素子は、
前記第2のアンテナと共通の周波数で共振し、前記第1および第2のアンテナが2.4GHz通信帯域で同時に動作する際に前記第2のアンテナおよび前記第1のアンテナの間の干渉を低減させるアイソレーション素子を備える、ハンドヘルド電子デバイス。
【請求項13】
請求項9に記載のハンドヘルド電子デバイスであって、さらに、
第1のトランシーバ回路および第2のトランシーバ回路を備え、
前記第1のアンテナおよび前記第1のトランシーバ回路は、少なくとも850MHzおよび900MHzの携帯電話帯域を含む第1の通信周波数帯域と、少なくとも1800MHzおよび1900MHzの携帯電話帯域を含む第2の通信周波数帯域とで動作するよう構成され、
前記第2のアンテナ共振素子は、2.4GHz通信帯域で共振する導電構造を備える、ハンドヘルド電子デバイス。
【請求項14】
請求項9に記載のハンドヘルド電子デバイスであって、前記スロットは長方形スロットを含み、前記ベゼルは金属ベゼルを含む、ハンドヘルド電子デバイス。
【請求項15】
請求項9に記載のハンドヘルド電子デバイスであって、前記スロットは長方形スロットを含み、前記アンテナは、前記スロットの上方に配置された少なくとも1つの共振素子を有するハイブリッドアンテナを含む、ハンドヘルド電子デバイス。
【請求項16】
請求項9に記載のハンドヘルド電子デバイスであって、さらに、
平面を有し、前記ベゼル内に受け入れられる表示部を備え、
前記ベゼルは、前記筐体に前記表示部を取り付ける、ハンドヘルド電子デバイス。
【請求項17】
請求項9に記載のハンドヘルド電子デバイスであって、さらに、前記スロットをブリッジングするスイッチを備える、ハンドヘルド電子デバイス。
【請求項18】
ハンドヘルド電子デバイスであって、
水平寸法を有する筐体と、
平面および周辺部を有する表示部と、
前記筐体の前記水平寸法と実質的に等しい水平寸法を有する実質的に長方形の接地板と、
前記表示部の前記周辺部を囲み、前記接地板と電気的に接続され、前記接地板との間に開口部が形成され、かつ、前記筐体に前記ディスプレイを取り付ける導電ベゼルと、
前記開口部の上方に配置され、前記接地板と共に前記ハンドヘルド電子デバイスのアンテナを形成する少なくとも1つのアンテナ共振素子と、
を備える、ハンドヘルド電子デバイス。
【請求項19】
請求項18に記載のハンドヘルド電子デバイスであって、さらに、前記ディスプレイおよび前記ベゼルの間に挿入されたガスケットを備える、ハンドヘルド電子デバイス。
【請求項20】
請求項18に記載のハンドヘルド電子デバイスであって、前記ベゼルは、ねじ穴を有する金属ベゼルを含み、
前記ハンドヘルド電子デバイスは、さらに、前記開口部の上方に配置されたさらなるアンテナ共振素子を備え、
前記さらなるアンテナ共振素子は、前記ハンドヘルド電子デバイスのためのさらなるアンテナを形成する、ハンドヘルド電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−48470(P2013−48470A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−233421(P2012−233421)
【出願日】平成24年10月23日(2012.10.23)
【分割の表示】特願2010−513283(P2010−513283)の分割
【原出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(503260918)アップル インコーポレイテッド (568)
【Fターム(参考)】