説明

導電性ボールの搭載方法および搭載装置

【課題】所定のパターンで導電性ボールを被配列体に搭載するための改良された搭載方法および搭載装置を提供する。
【解決手段】導電性を有するボールBを被配列体の一面に所定のパターンで搭載する搭載方法において、一方の面および前記一方の面に対する他方の面と、前記パターンに対応し配置され、一方の面および他方の面に開口しボールBが挿通可能な位置決め開口部221とを備えた整列部材22を整列部材22の他方の面が被配列体の一面に対する状態に位置合わせをする第1のステップと、軸芯をほぼ揃えた状態で配設された導電性を有する複数の線状部材271を備え、整列部材22の一方の面に供給されたボールBに対し線状部材271が略水平な姿勢で当接可能な状態に配設された振込具27を整列部材22の一方の面に対し相対的に水平移動し、位置決め開口部221を通して前記被配列体の一面にボールを載置する第2のステップを含む搭載方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品または電子部品の製造するために使用される部材など被配列体に所定のパターンで整列された状態となるように導電性を有するボールを搭載するための搭載方法および搭載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
導電性を有するボール(以下導電性ボールと称する。)が所定のパターンで整列された状態となるように搭載される被配列体の一例として、例えばBGA(Ball Grid Allay)タイプやFC(Frip−Chip)タイプなどエリアアレイ型の突起状接続バンプを有する半導体装置、基板またはそれらのパッケージなど電子部品がある。
【0003】
近年、携帯端末機器やノート型パソコンの高速化と高機能化、及び軽量化、小型化と薄型化が進むにつれ、それらに内蔵される電子部品に対しては、その小型化、薄型化と多端子化という相反する性能が要求されている。その要求に応ずるものとして、上記エリアアレイ型の電子部品が採用されている。
【0004】
例えば半田や銅など導電材を用いて接続バンプを形成する方法としては、導電材を含んだペーストを電子部品の電極に印刷するペースト方式、導電性ボールを電極に搭載する導電性ボール方式、導電材をメッキや蒸着する膜付け方式などがある。多端子化のため電極の配列は高密度化し、それに伴い接続バンプの大きさも小型化する傾向にある。小型の接続バンプを形成する場合には、接続バンプの整列精度や生産性の面で有利な導電性ボール方式が採用される場合が多い。
【0005】
従来の導電性ボール方式によれば、前記接続バンプは、ソルダーペーストやフラックスなど粘着性を有する接続助剤を電極に印刷する印刷工程と、接続助剤が印刷された電極に導電性ボールを搭載する搭載工程と、その導電性ボールを加熱するなどして接続バンプを形成するバンプ形成工程を経て形成される。
【0006】
前記搭載工程において導電性ボールを電極に搭載する方式の一つとして、例えば特開2001−223234号公報(特許文献1)に記載されているように、負圧を利用した吸着ヘッドで半田ボールを吸着し、電極上へ移送して搭載する吸着方式がある。しかしながら吸着方式では、吸着ヘッドの吸着力で導電性ボールが変形する可能性がある。また、吸着ヘッドの先端に付着したフラックスに導電性ボールが粘着し、吸着力を解除しても吸着ヘッドから分離されず搭載不良が生じる可能性もある。さらに、吸着時に空気中を移動した導電性ボールが静電気を帯び、該静電気で凝集した導電性ボールの集合体が電極に搭載されたり、或いは余剰の導電性ボール(余剰ボール或いはエクストラボールと通称される。)が電極以外のワークの表面に付着するという場合がある。これらの問題は、特に導電性ボールの径小化に伴い顕著をなってきている。
【0007】
別の搭載方式として、電極のパターンに対応した貫通孔状の位置決め開口部が形成された整列部材である平板状のマスクを用い、マスク上に供給された導電性ボールを移動させて位置決め開口部に装入し(この動作を「振込み」という。)、位置決め開口部を通して電極上に搭載する、いわゆる振込方式がある。この振込方式の一例が、特開2002−171054号公報(特許文献2)、特開平9−162533号公報(特許文献3)、特開2001−267731号公報(特許文献4)および特開平10−126046号公報(特許文献5)などに開示されている。
【0008】
特許文献2に記載された搭載装置は、「ワーク表面の複数箇所に塗布されたフラックス上に、はんだボールを搭載するためのはんだボールの搭載装置において、前記ワークを覆うように配置され、複数の前記フラックスに対応する位置に前記はんだボールが通過可能な複数のボール保持穴を有するマスクと、前記ワークとマスクとを傾斜させる傾斜機構と、傾斜状態の前記マスク表面上を上方から下方に移動しようとする複数の前記はんだボールの移動速度を規制しながら前記はんだボールを前記マスク表面で移動させて前記はんだボールを前記位置決め開口部に落とし込んでいく規制部材と、を備え」たものであり、落下する導電性ボールを規制部材で受け、適切な速度で移動させることで位置決め開口部に確実に装入することができる、と説明されている。
【0009】
特許文献3に記載された搭載装置は、「はんだ供給ヘッドの底部がはんだ供給対象物に当接された状態において、はんだ供給ヘッドの底部の内面上をはんだ供給手段を摺動させて、当該はんだ供給ヘッド内に予め供給されている多数の球状はんだを底部の内面上を移動させることにより、各はんだ供給孔をそれぞれ介して、はんだ供給対象物の各はんだ供給位置にそれぞれ球状はんだを供給するようにした」もので、はんだ供給手段である振込具として除電ブラシを用い、立設した除電ブラシの先端を摺動させることではんだ供給対象物の各はんだ供給位置にそれぞれ導電性ボールを確実に供給することができる、と説明されている。
【0010】
特許文献4に記載された搭載方法は、「電子部品上の複数の電極部分の各々に選択的に粘着膜を形成する粘着膜形成工程と、該粘着膜形成工程で形成された粘着膜の各々の上に接合材を整列させて供給する接合材整列供給工程と、該接合材整列供給工程で供給した接合材を溶融して電極部分と接合する接合工程とを有する」ものであり、整列部材であるボール整列マスクをウェハ上に配置し、ボール整列マスクの上にはんだボールを供給し、振込具である整列スキージで該はんだボールを移動させて粘着膜が形成された電極の上に搭載するものである。
【0011】
特許文献5に記載された搭載装置は、「基板上に形成されたパターン上に微小なはんだボールを搭載するボール・グリッド・アレイの製造装置において、前記基板を保持する保持台を設け、前記基板のパターンに対応するはんだボールの導入孔を形成したマスクを前記基板の上部に設け、このマスクと基板の間にスペーサを設け、マスクの上面を水平移動可能なようにブレードを設け、マスクの上面に自由状態のはんだボールを置き、これに柔軟性のあるブレードを水平移動させることによってはんだボールを一つずつマスクの導入孔に落とし込み、余分なはんだボールをかき取りながらはんだボールをマスクの一方へ集めて必要部分にのみはんだボールを搭載する」ものである。
【0012】
この振込方式では、導電性ボールは重力の作用で搭載されるので、上記吸着方式で生じた問題が解消されるという利点がある。また、導電性ボールが帯電した場合でも、位置決め開口部の大きさの規制により団子状態となった導電性ボールの集合体は電極に搭載されず、電子部品において電極以外の部分はマスクで遮蔽されているので余剰ボールが不要な部分に付着する恐れが少ないという利点がある。
【0013】
【特許文献1】特開2001−223234号公報
【特許文献2】特開2002−171054号公報
【特許文献3】特開平9−162533号公報
【特許文献4】特開2001−267731号公報
【特許文献5】特開平10−126046号公報
【0014】
今後、電子部品の更なる多端子化、小型化の要求が想定される。その場合には、接続バンプの数は膨大となるため狭ピッチ化、高密度化され、導電性ボールは100μm以下の径小のものが使用されることとなる。導電性ボールの径小化に伴い下記の問題が生じる。
【0015】
振込方式において、導電性ボールが径小になると位置決め開口部への充填率が低下し、そのため一部の電極に導電性ボールが搭載されず搭載率が低下する可能性がある。ここで、搭載率とは、(所定の搭載されるべき位置に搭載された導電性ボールの数/所定の搭載されるべき位置の数)で定める式で求められたものと定義する。具体的に言えば、例えば被配列体が複数の電極を有する基板の場合の搭載率とは、(電極に搭載された導電性ボールの数/電極の数)で定められる。
【0016】
導電性ボールが径大で質量が大きい場合には、位置決め開口部に装入された導電性ボールは、その自重で勢いよく落下してフラックスに衝突し、フラックスとよく粘着した状態で電極上に載置される。径大な導電性ボールとフラックスの接触する面積は大きい。したがって、フラックスでよく粘着され保持された導電性ボールは、多少の外力が作用しても電極上から離脱することが少ない。
【0017】
しかしながら、導電性ボールが径小で質量が小さい場合には、位置決め開口部へ装入された導電性ボールが落下してフラックスに衝突する時の勢いが小さくなる。また、フラックスとの接触面積も小さくなる。その結果、フラックスによる導電性ボールの粘着力が小さくなり僅かな外力が作用した場合でも導電性ボールは電極上から離脱しやすくなる。例えば振込具として柔軟性のあるスキージを用いた場合には、導電性ボールは、該スキージで一旦位置決め開口部に振込まれるが、スキージの先端部が一部の位置決め開口部に入り込み、導電性ボールを先端部で掻き出して電極から離脱させる。そのため、導電性ボールの搭載率の低下を招来させる。
【0018】
導電性ボールは径小化に伴い粉体のような振舞いを示すようになる。そのため、慣性力(重力)の支配が相対的に小さくなる。例えば、通常、電子部品などの生産は大気中で行われるため、整列部材として使用されるマスクには、静電気を帯びたり水分が付着したりする部分が生じる。導電性ボールが径大で質量が大きい場合には、慣性力(重力)が支配的である。導電性ボールをスキージでマスク上を移動する場合或いは導電性ボールを位置決め開口部に装入した場合に、移動する導電性ボールは十分な慣性力(重力)を有している。したがって、上記のようにマスクに部分的に生じた静電気または水分により吸着されることが少ない。
【0019】
導電性ボールが径小化しその質量が小さくなった場合には、慣性力(重力)に比べて静電気や水分による吸着力の大きさが大きくなる場合がある。したがって、位置決め開口部おいて該吸着力で導電性ボールが吸着されると電極上に載置されず、その結果、搭載率の低下が生じる。また、マスク表面に導電性ボールが吸着されると、スキージによる1回の振込操作では導電性ボールの搭載率が低くなる。その結果、複数回の振込操作を行う必要が余儀なくされるが、複数回の振込操作は、一旦位置決め開口部に充填された導電性ボールをスキージの先端部で掻き出してしまうという上述した現象を助長させる。そのために、搭載率を改善することが困難となる。加えて、マスクに吸着された導電性ボールがその状態で残留することがある。マスクに吸着された導電性ボールは、マスクを電子部品から取外す時にマスクから離脱して電子部品に付着し、導体回路を短絡させる原因となる。
【0020】
図20(a)に示すように、電極71や導体パターンと電子部品7の膨張率の差、製造条件などに起因する板厚方向における不可避の反り、板厚のバラツキなどの変形を電子部品7は有している。電子部品7の上にマスク92を配置すると、電子部品7とマスク92の間に空隙が生じこととなる。導電性ボールBよりその空隙が大きい場合には、位置決め開口部921に装入された導電性ボールBは空隙から漏れ電極71に載置されず、その結果、搭載率の低下が生じる。漏れた導電性ボールBは余剰ボールとなり、導体パターンを短絡させる原因となる。また、漏れた導電性ボールBは電極71の外周部に付着する場合もあり、複数の導電性ボールBが連結してブリッジを形成する原因となる。
【0021】
電子部品の上にマスクを位置決めした時に電極に塗布されたフラックスが位置決め開口部の内壁に付着する場合がある。位置決め開口部に装入された導電性ボールが内壁に付着したフラックスに捕捉され、その結果、搭載率の低下が生じる。また、フラックスがマスクに付着し、電子部品からマスクを分離できなくなる場合もある。
【0022】
振込方式においては、電極の数より多い導電性ボールをマスクの上面に供給し、振込操作を行い、位置決め開口部に充填されない余分な導電性ボールを回収する。回収した導電性ボールは次の振込操作にそのまま使用する場合が多い。振込操作を行っている間に導電性ボールにフラックスが付着することがある。フラックスが付着した導電性ボールは、位置決め開口部に円滑に装入されず、その結果、搭載率が低下する。フラックスに係る問題は、マスクや導電性ボールをクリーニングすれば解消されることもあるが、製造コストが高くなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、所定のパターンで導電性ボールを被配列体に搭載するための改良された搭載方法および搭載装置を提供することを目的としている。本発明は、被配列体における導電性ボールの搭載率を改善することができる導電性ボールの搭載方法および搭載装置を提供することをその目的の一つにしている。本発明は、余剰ボールが被配列体に付着し難い搭載方法および搭載装置を提供することをその目的の一つにしている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、導電性を有するボールを所定のパターンで被配列体の一面に搭載する搭載方法及び搭載装置を提供するものである。
なお、Sn又はCu、Au、Ag、W、Ni、Mo、Alなど金属を主体とした導電性ボールは本発明に含まれる。また、ポリプロピレン又はポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、酢酸セルロース、ポリエステル系などの樹脂を主体としたボールの表面に半田などの導電性金属をコーティングした導電性ボールは本発明に含まれる。
半導体装置(チップ)、基板、それらのパッケージ、その他の電子部品など接続バンプとして導電性ボールが採用される電子部品は本発明の被配列体に含まれる。また、電子部品に接続バンプを形成するための部材、例えば導電性ボールを電子部品に搭載するため該導電性ボールが配置される部材も本発明で言う被配列体に含まれる。
本発明において、導電性ボールが搭載される被配列体の面の性状は特に限定されず、平面または曲面、凹凸面などが対象とされる。
【0025】
本発明における一つの発明は、導電性を有するボールを被配列体の一面に所定のパターンで搭載する搭載方法において、一方の面および前記一方の面に対する他方の面と、前記パターンに対応し配置され、前記一方の面および前記他方の面に開口し前記ボールが挿通可能な位置決め開口部とを備えた整列部材を前記整列部材の他方の面が前記被配列体の一面に対する状態に位置合わせをする第1のステップと、軸芯をほぼ揃えた状態で配設された導電性を有する複数の線状部材を備え、前記整列部材の一方の面に供給された前記ボールに対し前記線状部材が略水平な姿勢で当接可能な状態に配設された振込具を前記整列部材の一方の面に対し相対的に水平移動し、前記位置決め開口部を通して前記被配列体の一面にボールを載置する第2のステップを含む搭載方法である。
【0026】
この発明によれば、整列部材は、一方の面およびその一方の面に対する他方の面と、上記パターンに対応し配置され、一方の面および他方の面に開口しボールが挿通可能な位置決め開口部とを備えた整列部材をその他方の面が被配列体の一面に対する状態に位置合わせされる。そのように位置合わせされた整列部材に対し、軸芯をほぼ揃えた状態で配設された2本以上の線状部材を備え、整列部材の一方の面に供給されたボールに対し線状部材が略水平な姿勢で当接可能な状態に配設された振込具は、整列部材の一方の面に対し相対的に水平移動される。ボールは、振込具が水平移動することにより線状部材に捕捉され移動し、位置決め開口部に装入される。その一方で、振込具の線状部材は、整列部材の一方の面に対しその軸芯が平行な姿勢を保ち水平移動される。したがって、該線状部材は位置決め開口部に入り込み難く、位置決め開口部に装入され一旦被配列体に載置されたボールは該線状部材で掻き出されることが少ない。また、線状部材は導電性を備えているので、移送中に帯電したボールは除電され、被配列体や線状部材へのボールの付着が防止され、余剰ボールの生成が抑制される。更にまた、線状部材は撥水性を備えていてもよく、線状部材の表面に付着した水分によるボールの付着が防止され、余剰ボールの生成が抑制される。
【0027】
上記発明において、前記搭載方法は、前記第2のステップにおいて整列部材を被配列体の一面側へ吸引するステップを含めば好ましい。この発明によれば、一方の面およびその一方の面に対する他方の面と、上記パターンに対応し配置され、一方の面および他方の面に開口しボールが挿通可能な位置決め開口部とを備えた整列部材は、その他方の面が被配列体の一面に対する状態に位置合わせされ、被配列体の一面側へ吸引され、その結果、整列部材の他方の面は被配列体の一面に密着した状態となる。その状態において、整列部材の一方の面にボールを供給し、位置決め開口部を通して被配列体の一面にボールを載置する。整列部材と被配列体は密着した状態にあるのでボールは、整列部材から漏れることなく載置された位置が保持される。
【0028】
上記発明において、前記搭載方法は、前記被配列体の一面には粘着力の低い仮固定膜が形成され、前記第2のステップの後に前記仮固定膜の粘着力を高める第3のステップとを含めば好ましい。この発明によれば、ボールは、粘着力の低い仮固定膜が形成された被配列体の一面に仮固定膜を介した状態でボールを載置される。ボールが載置されるまでの仮固定膜の粘着力は低いので、整列部材やボール自体に仮固定膜が付着する機会が少ない。載置されたボールは、粘着力が高められた仮固定膜により被配列体に仮固定される。したがって、仮固定されたボールは、外力が作用しても簡単に被配列体から離脱することが少ない。
【0029】
上記発明において、前記搭載方法は、前記第1のステップの前に前記被配列体の一面に粘着力の低い仮固定膜を形成するステップと、前記第2のステップの後に仮固定膜の粘着力を高める第3のステップを含めば好ましい。この発明によれば、被配列体の一面には粘着力の低い仮固定膜が形成される。ボールは、粘着力の低い仮固定膜が形成された被配列体の一面に仮固定膜を介した状態でボールを載置される。ボールが載置されるまでの仮固定膜の粘着力は低いので、ボールを載置するための整列部材(例えばマスクや吸着ヘッド)やボール自体に仮固定膜が付着する機会が少ない。また、載置されたボールは、粘着力が高められた仮固定膜により被配列体に仮固定される。したがって、仮固定されたボールは、外力が作用しても簡単に被配列体から離脱することが少ない。
【0030】
本発明における一つの発明は、導電性を有するボールを被配列体の一面に所定のパターンで搭載する搭載装置において、一方の面および前記一方の面に対する他方の面と、前記パターンに対応し配置され、前記一方の面および前記他方の面に開口し前記ボールが挿通可能な位置決め開口部とを備えた整列部材と、軸芯をほぼ揃えた状態で配設された導電性を有する複数の線状部材を備えた振込具とを備え、少なくとも前記ボールを搭載する時には、前記整列部材は、前記整列部材の他方の面が前記被配列体の一面に対する状態に位置決めされ、前記振込具は、前記整列部材の一方の面に供給された前記ボールに対し前記線状部材が略水平な姿勢で当接可能な状態に配設され、前記整列部材の一方の面に対し相対的に水平移動される搭載装置である。
【0031】
この発明によれば、少なくともボールを搭載する時には、一方の面およびその一方の面に対する他方の面と、上記パターンに対応し配置され、一方の面および他方の面に開口しボールが挿通可能な位置決め開口部とを備えた整列部材を、その他方の面が被配列体の一面に対する状態に位置決めする。整列部材の一方の面に供給されたボールに対し線状部材が略水平な姿勢で当接可能な状態に配設され、軸芯をほぼ揃えた状態で配設された2本以上の線状部材を備えた振込具を、整列部材の一方の面に対し相対的に水平移動する。ボールは、振込具が水平移動することにより線状部材に捕捉され移動し、位置決め開口部に装入される。その一方で、振込具の線状部材は、整列部材の一方の面に対しその軸芯が平行な姿勢を保ち水平移動される。したがって、該線状部材は位置決め開口部に入り込み難く、位置決め開口部に装入され一旦被配列体に載置されたボールは該線状部材で掻き出されることが少ない。また、線状部材は導電性を備えているので、移送中に帯電したボールは除電され、被配列体や線状部材へのボールの付着が防止され、余剰ボールの生成が抑制される。更にまた、線状部材は撥水性を備えていてもよく、線状部材の表面に付着した水分によるボールの付着が防止され、余剰ボールの生成が抑制される。
【0032】
上記発明において、前記搭載装置は、前記整列部材の他方の面が被配列体の一面に対する状態に位置合わせされた時、被配列体の一面から整列部材の一方の面までの距離tが、ボールの直径dに対し0.8≦t/d≦1.4となる厚みを有し、前記位置決め開口部は、整列部材の一方の面から他方の面の方向に広がる第1テーパ孔部を有し、第1テーパ孔部における一方の面側の辺縁部稜線は、被配列体の一面に載置されたボールの中心より一方の面側に偏位している整列部材を有することが好ましい。この発明によれば、整列部材は、その他方の面が被配列体の一面に対する状態に位置合わせされた時、被配列体の一面から整列部材の一方の面までの距離tが、ボールの直径dに対し0.8≦t/d≦1.4となる厚みを有しているので、位置決め開口部に複数個のボールが装入されない。また、位置決め開口部は、整列部材の一方の面から他方の面の方向に広がる第1テーパ孔部を有し、第1テーパ孔部における一方の面側の辺縁部稜線は、被配列体の一面に載置されたボールの中心より一方の面側に偏位している。したがって、位置決め開口部に装入され被配列体の一面に載置されたボールに外力が作用した場合でも、一旦載置されたボールは第1テーパ孔部の側壁で拘束され被配列体から離脱し難い。
【0033】
上記発明において、前記搭載装置は、整列部材の他方の面が被配列体の一面に位置合わせされた状態において被配列体を介し整列部材に相対して配設され整列部材を吸引する吸引部とを有していることが好ましい。この発明によれば、一方の面およびその一方の面に対する他方の面と、上記パターンに対応し配置され、一方の面および他方の面に開口しボールが挿通可能な位置決め開口部とを備えた整列部材を、その他方の面が被配列体の一面に位置合わせする。この状態において、整列部材を吸引する吸引部は、前記被配列体を介し前記整列部材に相対して配設されている。したがって、整列部材は、該吸引部により被配列体の一面側へ吸引され、被配列体と密着した状態となる。その状態において、整列部材の一方の面にボールを供給し、位置決め開口部を通して被配列体の一面にボールを載置する。整列部材と被配列体は密着した状態にあるのでボールは、整列部材から漏れることなく載置された位置が保持される。
【0034】
上記発明において、前記搭載装置は、一面に形成された粘着力の低い仮固定膜を有する被配列体と、仮固定膜の粘着力を高める仮固定膜変質部とを有していることが好ましい。この発明によれば、ボールは、搭載部で、一面に形成された粘着力の低い仮固定膜を有する被配列体の該一面に仮固定膜を介した状態で載置される。該仮固定膜は、仮固定膜変質部で粘着力が高められる。したがって、載置されたボールは、その粘着力で仮固定される。
【0035】
上記発明において、前記搭載装置は、粘着力が低い仮固定膜を被配列体の一面に形成する仮固定膜形成部と、仮固定膜の粘着力を高める仮固定膜変質部とを有していることが好ましい。この発明によれば、被配列体の一面に、仮固定膜形成部で、粘着力の低い仮固定膜が形成される。ボールは、搭載部で、仮固定膜を介した状態でボールを被配列体の一面に載置される。該仮固定膜は、仮固定膜変質部で粘着力が高められる。したがって、載置されたボールは、その粘着力で仮固定される。
【発明の効果】
【0036】
以下で詳細に述べるように、上記本発明によれば、所定のパターンで導電性ボールを被配列体に搭載するための改良された搭載方法および搭載装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明について説明する。
【0038】
1.第1の実施態様
本発明の一例である第1態様について図1〜14を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1態様に係る搭載装置1aの概念図である。図2は、図1の搭載装置1の搭載部2の側面図である。図3は、図1の搭載装置1で導電性ボールBが搭載される基板7の構造を示す図である。図4は、図2の搭載部2の整列部材22を示す図である。図5は、図4の整列部材22の変形例28を示す図である。図6は、図4および図5の整列部材22、28の部分拡大断面図である。図7は、図4の整列部材22の別の変形例22a〜22cを示す図である。図8は、図5の整列部材28の変形例28´を示す図である。図9は、図2の搭載部2の振込具27と整列部材22を示す斜視図である。図10は、図9の振込具27の変形例27a〜27eを示す図である。図11は、図9のa−a断面図であって振込具27の部分拡大断面図である。図12は、図2の搭載部2の振込具27と整列部材22を示す平面図である。図13は、図1の搭載装置1の動作を説明する図である。図14は、図9の振込具27の動作を説明する図である。
【0039】
図1に示すように、第1態様の搭載装置1aは、被配列体である基板に半田ボールを整列させて搭載する搭載部2を有している。
【0040】
図3に示すように、基板7は、例えばマザーボードなど外部装置に接続される接続バンプ72b(72)がエリアアレイ状に一方面(下面)に突設されるとともに、半導体素子8に接続される接続バンプ72a(72)がエリアアレイ状に他方面(上面)に突設されている。この基板8の上面に半導体素子8がフリップチップボンディングされパッケージが形成される。
【0041】
基板7は、薄板状の基体73と、基体73の上面側に前記接続バンプ72aが突設されるパッド状の電極71a(71)と、下面側に前記接続バンプ72bが突設されるパッド状の電極71b(71)を有している。基体73の表面及び内部には再配線のため導体パターンが形成されている。基体73としては、周知の樹脂製又はセラミック製の基体、或いはそれらが積層された基体などが必要に応じ選択される。
【0042】
図2に示すように、搭載部2は、基板7の電極71上に半田ボールBを整列させる整列部材であるマスク22と、前記基板7に位置決めされたマスク22の上面を図示しない移動手段で水平移動され半田ボールBを振込む振込具27とを備えている。
【0043】
第1態様の搭載部2は、自動化に適するように、電極71を上方に向け水平に基板7の姿勢を保持するホルダ21と、前記ホルダ21を昇降自在とし、所定の高さに基板7を位置決めするホルダ昇降手段29と、前記マスク22を水平に支持するとともに水平方向に移動させ前記所定の高さに位置決めされた基板7に前記マスク22を位置決めするマスク水平移動手段23と、前記マスク22の上面に半田ボールBを供給するボール供給手段24と、余った半田ボールBをマスク22の上面から除去するボール除去手段26を備えている。
【0044】
上記ホルダ21またはホルダ昇降手段29、マスク水平移動手段23、ボール供給手段24、ボール除去手段26は、コストや品質などの要求に応じ適宜選択されうるものである。例えば、基板7はテーブルに単に載置されるものでもよい。基板7やマスク22の位置決めは人手で行ってもよい。半田ボールBの供給や除去は人手で行ってもよい。
【0045】
以下、マスク22および振込具27、ホルダ21、ホルダ昇降手段29、マスク水平移動手段23、ボール供給手段24、ボール除去手段26の順に、その構成を詳細に説明する。
【0046】
1−1.マスク
マスク22は、上面(一方の面)222および上面に対する下面(他方の面)223と、前記配列パターンに対応し、半田ボールBが挿通可能で上面222と下面223に開口した位置決め開口部221とを備えている。
【0047】
マスク22は、図4(b)に示す突起部224を有し、その下面223が基板7と接触しないような構造や、突起部224がなく、その下面223が基板7と接触するような構造をとることができる。いずれの構造であっても、マスク22は、その下面223を電極71に位置決めした時、電極71の上面711からマスク22の上面222までの距離tが、半田ボールBの直径dに対し0.8≦t/d≦1.4となる厚さを有するように形成することが好ましい。すなわち、t/dが0.8未満となるマスク22の厚みの場合には、マスク22の上面222に対し半田ボールBの頂部が露出しすぎるため一度位置決め開口部221に充填された半田ボールBが該位置決め開口部221から抜け出やすく、t/dが1.4より大きい場合は、位置決め開口部221に複数個の半田ボールBが充填されやすい。
【0048】
位置決め開口部221は、上面から下面に向かい広がる第1テーパ孔部2211を有している。第1テーパ孔部51の上側の辺縁部2211aの稜線2211bは、電極71の上面771に搭載された半田ボール3の中心より上側に偏位されたものとすることが好ましい。すなわち、位置決め開口部221へ振り込まれた時、ほとんどの半田ボールBは位置決め開口部221の一方側の壁面に寄せられている。第1テーパ孔部2211を有する位置決め開口部221によれば、半田ボールBは、その上半球が第1テーパ孔部2211の上側辺縁部2211aに接触し、該辺縁部2211aで上から押え付けられた状態となるので、例えば振動など外力が作用した場合でも位置決め開口部221から抜け出難い。また、マスク22を上方に取り外す時、半田ボールBが前記壁面に接触したままであっても、壁面はボールBから離れる方向に移動するので、半田ボールBが、マスク22に引きずられて電極71から持ち去られる機会が少なくなる。
【0049】
第1テーパ孔部2211の形状は、略円錐台形状とすればよい。第1テーパ孔部221を略円錐台形状とすればその側壁には角部がなく、半田ボールBは、角部で阻害されずに位置決め開口部221へより円滑に装入される。
【0050】
さらに、図6(a)に示すように、第1テーパ孔部2211の上側開口端2211cの直径D1は、半田ボールBを容易に通過させるためには大きい方がよいが、大きくしすぎると電極71に搭載された半田ボールBの位置のバラツキが大きくなるだけでなく、位置決め開口部221の上部に余分な半田ボールBが停滞し易くなり、マスク22の取り外し時に停滞した半田ボールBが基板7の上へ落下し、電極71に搭載された半田ボールBを弾き飛ばし搭載率を低下させる恐れがあるため、1.2〜1.4d程度とするとよい。さらに加えて、前記第1テーパ孔部221の下側開口端2211dの直径は、マスク22の強度が許す範囲で大きくする方がよい。すなわち、下側開口端2211dを大きくするほど、第1テーパ孔部51の側壁の傾きが大となり、半田ボールBをより上部から押さえることができ、半田ボールBを一層抜け出にくくすることができる。しかし、マスク22を取り外す時に半田ボールBが電極71から離れてしまわないよう、半田ボールBを搭載位置のバラツキの許容範囲をbとすると(b+d)以下にすることが好ましい。
【0051】
マスク22は、特に、上記説明のみに限定されることはない。例えば、図7(a)に示すマスク22aのように、上面222aが下面223に対しやや斜めに形成されたものであってもよい。さらに、同図(b)に示すマスク22bのように、位置決め開口部221bは、第1テーパ孔部2211の上部に同軸に円柱孔部2212を設けたものであってもよい。加えて、同図(c)に示すマスク22cのように、位置決め開口部221cは、第1テーパ孔部2211の下部に同軸に円柱孔部2213を設けたものであってもよい。
【0052】
さらに、別の例のマスクについて説明する。
図5に示すように、マスク28は、大略つづみ形状の位置決め開口部281を備えている。位置決め開口部281は、前記第1テーパ孔部2211と基本的に同様な第1テーパ孔部2811を有するとともに、第1テーパ孔部2811と同軸にマスク6の上面61に形成され下面283から上面282の方向に広がる第2テーパ孔部2812を有している。位置決め開口部281によれば、マスク28の上面に供給された半田ボールBは第2テーパ孔部2812で導びかれ、位置決め開口部281へ半田ボールBはより円滑に装入される。なお、第2テーパ孔部2812の下側辺縁部2812aの稜線2812b、または第1テーパ孔部2811の上側辺縁部2811aの稜線2811b(この例においては稜線2811bと2812bは同一である。)を面取り状あるいはR形状とすれば、半田ボールBはより円滑に導入され有効である。
【0053】
第1および第2テーパ孔部2811、2812の形状は、略円錐台形状とすればよい。第1および第2テーパ孔部2811、2812を略円錐台形状とすればその側壁には角部がなく、半田ボールBは、角部で阻害されずに位置決め開口部281へより円滑に装入される。
【0054】
図6(b)に示すように、第2テーパ孔部2812の上側開口端2812cの直径D1は、半田ボールBの直径に対し1.2〜1.4d程度とするとよい。前記第1テーパ孔部2811の下側開口端2811dの直径は、半田ボールBを搭載位置のバラツキの許容範囲をbとすると(b+d)以下にすることが好ましい。その理由は、上記したマスク22の場合と同じである。
【0055】
このマスク28によれば、前記マスク22の場合よりも半田ボールBの搭載位置のバラツキを小さくすることができる。図6(a)に示すように、マスク22の場合には、その位置決め開口部281の第1テーパ孔部2811の上側開口端2811cは、半田ボールBを円滑に装入できる大きさD1で形成されている。位置決め開口部281の第1のテーパ孔部2811は下側に広がる孔である。したがって、半田ボールBの平面方向の位置は、最も狭小な上側開口端2811cで規制されることとなる。その結果、半田ボールBは、上部開口端2811cの大きさD1に応じたバラツキで電極71に載置されることとなる。
【0056】
その一方、マスク28の場合でも、図6(b)に示すように、その位置決め開口部281の第2テーパ孔部2812の上部開口端2812cは半田ボールBを円滑に装入できる大きさD1で形成されているものの、第2テーパ孔部2812は下側に向かい縮まる孔である。この位置決め開口部281においては、下側開口端2812d(本例においては第1テーパ孔部2811の上側開口端2811cと同一である。)の大きさD2が最も狭小となり、したがって、半田ボールBの平面方向の位置は下側開口端2812dで規制されることとなる。もって、例えば下側開口端2812dの大きさD2を半田ボールBが通過できる程度にその直径より僅かに大きくしておくことで、半田ボールBの搭載位置のバラツキを極めて小さくすることが可能となる。
【0057】
位置決め開口部281の形状は、特に上記説明に限定されることはない。例えば図8に示すマスク28´のように、位置決め開口部281´は、第1および第2テーパ孔部2811、2812の間にそれらと同軸に円柱孔部2813を設けたものであってもよい。
【0058】
マスク22、28は一種の治具で繰返して使用されるものであり、金属板、樹脂板、積層品、成膜品などの板状の基材が使用される。位置決め開口部221、281は、正確な形状と寸法で形成しなければならないため、その基材にレーザ加工やエッチング加工などで形成することが望ましい。また、素材としてニッケルなどを用いマスク22、28を電鋳加工で製造すれば、同時に位置決め開口部221、281も形成されるので望ましい。
【0059】
さらに、マスク28は、基材としてエッチングバリア層を備えた積層板を使用することが望ましい。この積層板は、中間層がエッチングバリア層である基材であり、例えば第1層がニッケル合金、第2層である中間層がチタン合金、第3層が第1層と同じニッケル合金からなるエッチャントの異なる層が積層されたものである。この積層板によれば、第1層及び第3層に位置決め開口部が形成可能なパターンのレジスト膜を形成し、エッチングを施す。この時、中間層はエッチングバリア層であるのでエッチングでは除去されない。次に、中間層を除去するエッチングを施す。この時、第1層及び第3層は除去されない。この積層板によれば、マスク28の位置決め開口部281のような略つづみ状の貫通孔が精度よく形成される。
【0060】
1−2.振込具
振込具27は、図9に示すように、軸芯をほぼ揃えた状態で配設された2本以上の線状部材271を備えている。振込具27は、少なくとも半田ボールBが搭載される際には、マスク22の上面に供給された半田ボールBに対して線状部材271がほぼ水平な姿勢で当接可能な状態に配設されるととも、マスク22の上面に対し相対的に水平移動される。
【0061】
符号272で示す一対の保持部材は、その間で、線状部材271を湾曲した腹部を有する形状に保たせるものである。ここで腹部とは、保持部材272で保持されていない部分、具体的には、図10(a)において符号Fで示すように、半田ボールBに当接するほぼ直線状をなす部分のことである。
【0062】
保持部材272の間で張設された線状部材271の形状は、保持部材272の間隔や向きなどを調整することで適宜に調整することができる。すなわち、半田ボールBの搭載範囲が小さな場合には、腹部の長さは短くてもよいので、図10(a)、(b)に示すように略弓形状或いは略コの字形状、略U字形状とすればよい。搭載範囲の広い場合には、長い腹部が必要となるため、図10(c)に示すように略直線状とすればよいし、図10(d)示すように、線状部材271の剛性を上げるため複数の線状部材271を配置してもよい。また、図10(e)に示すように、線状部材271は、その片端で保持部材272に保持されてもよい。
【0063】
振込具27は、人手により或いは機械的な移動機構(一軸テーブルやシリンダなど)で水平移動される。また、マスク22の上面に対して垂直方向にも振込具27を移動可能にし位置決めできるようすれば、往復動作で半田ボールBを移送する場合には都合がよく特に自動化のためには好適である。
【0064】
振込具27についてさらに詳細に説明する。
図11に示すように、振込具27は、その複数本の線状部材271が密接状態になるように移動方向(紙面において水平方向)及び上下方向に密設されている。具体的には、図示するように幾本かの線状部材271同士を結束して密に保持部材272に固定されている。線状部材271は個々には剛性が低いが、このように線状部材271を密設することにより全体的には剛性を有することとなる。したがって、複数本が密設された線状部材271によれば、マスク22に多数個投入される半田ボールBを全体で捕捉できるとともに、捕捉した半田ボールBを通じて反力を受けても変形し難くなる。
【0065】
線状部材271は、移送中に帯電した半田ボールBを除電し基板7や線状部材271への付着を防止するため、金属またはカーボンなど導電性のある素材を有していれば好ましい。また、線状部材271の表面に付着した水分による半田ボールBの付着を防止するため、線状部材271は、例えば少なくとも表面にフッ素処理などがされ撥水性を付与されていることが好ましい。
【0066】
線状部材271は、種々の断面形状のものを選択することができるが、入手の容易さの点では略円形状のものを採用することが工業生産上望ましい。線状部材271の断面を略円形状とする場合には、半田ボールBよりその直径を小さくすれば、マスク271の上面に供給された半田ボールBに当接した後に線状部材271が半田ボールBに乗り上げ難いので好ましい。
【0067】
水平移動する時の線状部材271の平面視の姿勢は、特に限定されることはないが、図12に示すように、線状部材271の移動方向に対し線状部材271が傾斜した状態で移動した場合には、線状部材271の腹部側面に沿い半田ボールBが移動して腹部端から漏れてしまう恐れがある。したがって、線状部材271の移動方向と線状部材271の軸芯の交差角度θは45度〜135度の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは、交差角度θを90度前後とし、線状部材271を、その軸芯に対しほぼ直交する方向に移動させればよい。また、線状部材271をマスク22の上面に当接させながら振込具27を水平移動させれば、線状部材271とマスク22の隙間から半田ボールBが漏れマスク22に残留することがないので好ましい。
【0068】
前記線状部材271を、例えば軟質の樹脂やゴム、紙、金属などを主体とした柔軟性のある素材で形成すれば、半田ボールBの変形を防止しつつ移送できるので望ましい。さらに、線状部材271に柔軟性がある場合には、図14に示すように、ある線状部材271が変形しその隙間から半田ボールBが漏れた場合でも、漏れた半田ボールBは後方に隣接する別の線状部材271で捕捉される。したがって、位置決め開口部221に挿入されなかった残余の半田ボールBは後方に漏れることなく、線状部材271に捕捉された状態で例えばマスク22の所定位置まで移動される。この残余の半田ボールBを適宜な方法で回収すれば、半田ボールBがマスク22に残留する恐れが少なくなる。なお、線状部材271は、保持部材272の間で柔軟な状態で保持されていてもよい。
【0069】
さらに、前記線状部材271を、所定の腰の強さ、すなわち弾性を有する樹脂やゴム、金属などを主体とした素材で形成し、線状部材271をマスク22の上面に押付けた状態に配設すれば、位置決め開口部221の上方まで移送された半田ボールBには重力に加え、弾性変形した線状部材271の反力による下向きの力も作用する。重力に加えその反力が作用した半田ボールBは位置決め開口部221へより円滑に確実に装入される。
【0070】
1−3.ホルダ
ホルダ21は、図2に示すように、ホルダ21の左方に立設した壁部213と、基板7を装着自在にした挿着凹部212と、前記挿着凹部212の底面に開口した開口部211aと外部に開口した開口部211bと、前記開口部211aと211bを連通する流体通路211と、前記開口部211bにおいて流体通路211に連結し負圧を発生する負圧発生手段を備えている。挿着凹部212に基板7を装着した後に負圧発生手段で負圧を発生すれば、挿着凹部212の底面に基板7が密着する。したがって、基板7の姿勢は常に水平に保持される。
【0071】
1−4.ホルダ昇降手段
基板7を装着する前のホルダ21の初期の位置は、図2(b)に示すように紙面において下方の位置とする。ホルダ昇降手段29は、基板7がホルダ21に装着された後、初期位置からホルダ21を所定の高さまで上昇させる。基板7は、半田ボールBを搭載するための図2(a)に示す搭載位置に位置決めされる。ホルダ昇降手段29は、基板7に半田ボールBが搭載された後にホルダ21を初期位置まで下降させ、基板7からマスク22を取外す。
【0072】
1−5.マスク水平移動手段
マスク22の初期位置は、図2(b)に示すように紙面において右方の位置をとする。マスク移送手段23は、基板7が搭載位置に位置決めされた後に初期位置からマスク22を左方に移動させる。マスク22は、図2(a)に示すように、その左側端面が壁部213の右側面に当接して停止する。マスク22は、図4(a)に示すように、その位置決め開口部221が電極71に対応するように基板7に対して位置決めされる。マスク水平移動手段23は、基板7に半田ボールBが搭載されホルダ21が下降した後に初期位置へ戻される。
【0073】
1−6.ボール供給手段
ボール供給手段24は、マスク22の右側端の上方に配置され、半田ボールを供給する供給口241を有し、電極71の個数より多い半田ボールBを定量秤量し、マスク22の上面に供給する。
【0074】
1−7.ボール除去手段
ボール除去手段26は、マスク22の左側端に配設され半田ボールBを吸引する吸引口261を有し、マスク22の上面に残ったボールを吸引除去する。
【0075】
1−8.搭載装置1の動作
搭載部2を含む搭載装置1aの動作について説明する。
【0076】
1)マスクを位置合わせするステップ(第1のステップ)
図13(a)に示すように、基板7に対しマスク22を位置合わせする。このとき、平面方向においてはマスク22の位置決め開口部221が基板7の電極71に対応し、垂直方向においてはマスク22の下面が基板7の上面に対し所定の位置関係となるようマスク22を位置合わせする。図13(a)の場合には、マスク22の下面が電極71の上面に接触するようにマスク22を位置合わせしているが、例えば電極71にフラックスなどが塗布されている場合には、フラックスがマスク22に付着しないようにマスク22の下面が基板7に対し所定の間隔で隔てられるように位置合わせしてもよい。
【0077】
2)半田ボールを搭載するステップ(第2のステップ)
電極71の個数以上の半田ボールBをボール供給手段24でマスク12の上面に供給する。マスク22の上面に供給された半田ボールBに対し線状部材271が略水平な姿勢で当接するように配設された振込具27をマスク22の上面に対し相対的に水平移動する。
【0078】
そうすると、図14に示すように、半田ボールBは、マスク22の上面に対し略水平な状態で移動する線状部材271の腹部で捕捉され、位置決め開口部221の上方まで移動され、位置決め開口部221に装入され、図13(b)に示すように電極71に載置される。ここで、線状部材271は、位置決め開口部221より十分大きなその腹部がマスク22の上面に対し平行な状態で水平移動するので、位置決め開口部221の規制により位置決め開口部221に入りこむことがない。したがって、位置決め開口部221に既に挿入された半田ボールBが線状部材271で掻き出され、電極71から離脱する恐れが少ない。また、半田ボールBは、その中心より上側に偏位された辺縁部稜線2211bを有する第1テーパ孔部2211を有する位置決め開口部221に装入され、第1テーパ孔部2211の側壁で移動が拘束されている。したがって、位置決め開口部221に線状部材271が入りこんだ場合でも、位置決め開口部221に装入された半田ボールBが簡単に掻き出されて電極71から離脱する恐れが少ない。
【0079】
残余の半田ボールBをボール除去手段26の側に振込具27で移動させ、ボール除去手段26で除去する。ここで、図14に示すように、ある線状部材271が変形しその隙間から半田ボールBが漏れた場合でも、漏れた半田ボールBは後方に隣接する別の線状部材271で捕捉される。したがって、位置決め開口部221に装入されなかった残余の半田ボールBは後方に漏れることなく、線状部材271に捕捉された状態でボール除去手段26まで移動されることとなる。
【0080】
3)マスクを基板から取外すステップ
図13(c)に示すように、ホルダ昇降手段29を下降させ基板7からマスク22を取外す。
【0081】
このようにして半田ボールBが搭載された基板7をリフローすれば、図13(d)に示すように接続バンプ72が形成される。
【0082】
2.第2の実施態様
本発明の一例である第2態様について図1および図15〜17を参照しながら説明する。
図1は、第2態様に係る搭載装置1bの概念図である。図15は、図1の搭載装置1bの搭載部3の側面図である。図16は、図15の搭載部2の振込具27および整列部材22、磁気発生器314を示す斜視図である。図17は、図15の磁気発生器314の変形例314a〜314fを示す図である。なお、図において、第1態様の搭載装置1aと実質的に同様な構成ついては同一の符号を付し、その構造や動作の詳細な説明を省略する。(以下説明する他の態様でも同様とする。)
【0083】
図1に示すように、第2態様の搭載装置1bは、被配列体である基板に半田ボールを整列させて搭載する搭載部3を有している。
【0084】
図15に示すように、第2態様の搭載部3は第1態様の搭載部2と基本的には同一の構成であり、基板7の電極71上に半田ボールBを整列させる整列部材であるマスク22と、前記基板7に位置決めされたマスク22の上面を図示しない移動手段で水平移動され半田ボールBを振込む振込具27´と、自動化に適するように、電極71を上方に向け水平に基板7の姿勢を保持するホルダ31と、前記ホルダ31を昇降自在とし、所定の高さに基板7を位置決めするホルダ昇降手段29と、前記マスク22を水平に支持するとともに水平方向に移動させ前記所定の高さに位置決めされた基板7に前記マスク22を位置決めするマスク水平移動手段23と、前記マスク22の上面に半田ボールBを供給するボール供給手段24と、余った半田ボールBをマスク22の上面から除去するボール除去手段26を備えている。
【0085】
この第2態様の搭載部3において、第1態様の搭載部2と異なる点は、磁性ステンレスのような軟磁性材からなる線状部材271´を備えた振込具27´と、ホルダ31に組込まれた磁気発生器314を有することである。以下、磁気発生器314について詳しく説明する。なお、磁気発生器314は、自動化に適するようホルダ31に組込んであるが単独に使用したり、基板7を載置する別の部材に組込んで使用することもできる。
【0086】
2−1.磁気発生器
磁気発生器314は、図16に示すように、基板7に対し平面的に対応するように配設された略平板状の永久磁石である。振込具27に対する磁気発生器314の上面(一面)は一定の極(例えば正(N)極)に着磁されている。なお、磁気発生器314は、基板7に密着した状態で配設されてもよく、その発生する磁力を線状部材271´に適量作用させるため基板7に対し適当な間隙で配設されてもよい。このように配置された磁気発生器314は、マスク22の上面を水平移動する線状部材271´を発生する磁力で下方に引付ける。
【0087】
磁気発生器として、図17(a)、(b)で示す磁気発生器314a、314bを選択することもできる。この磁気発生器314a、314bは、複数の磁区を有し、隣接した磁区は異なる極性に配された磁気発生器を具現するため、略立方体状または略直方体状、略円板状の複数個の永久磁石81、82を有し、隣接する永久磁石81、82が異なる極性となるように全体として略平板状に並設したものである。この磁気発生器314a、314bによれば、永久磁石40から生ずる磁力線の間隔が短くなり、線状部材11はより強く均等に下側へ引付けられる。
【0088】
このような磁気発生器314a、314bを適用する場合には、図示するように、線状部材271´は、永久磁石81、82の極性の並びの方向に対しその軸芯が略平行な状態となるように配設することが望ましい。このように線状部材271´を配設すれば、線状部材271´は、各永久磁石81、82から生じる磁力線にたいし常にほぼ平行にあるいはほぼ直角にマスク22の上面を水平移動する。したがって、磁気発生器314a、314bから生じる磁力線の密度差による線状部材271´の変形が抑制される。
【0089】
磁気発生器として、図17(c)で示す磁気発生器314cを選択することもできる。この磁気発生器314cは、複数の磁区を有し、隣接した磁区は異なる極性に配されるとともに各磁区は一列に配されている磁気発生器を具現するため、例えば略角柱形状の複数個の永久磁石83を有し、隣接する永久磁石83が異なる極性となるようにその短手の側面を密着させて略平板状に並べ配したものである。
【0090】
この磁気発生器31cは、前記磁気発生器314a、314bに対し次のように改善されている。すなわち、磁気発生器314aの場合で説明すると、図17(a)で示すように、磁気発生器314aは、図において符号811、812で示す2つの方向の磁区の境界を有している。例えば、図示するように線状部材271´を配設した場合、線状部材271´の軸芯と平行な境界811では線状部材271´と交わる磁力線が生じている。水平移動する線状部材271´が境界811の上方を通過する時、線状部材271´は、境界部811に隣接した永久磁石81、82の方向へ引っ張られる。その結果、図において符号dで示すように線状部材271´が変形する。そのように線状部材271´が変形すると、半田ボールBが変形部から漏れたり、変形部では半田ボール7が位置決め開口部221へ円滑に装入されないという現象が生じやすい。
【0091】
その一方で、図17(c)に示すように、磁力発生手段314cは、図において符号832で示すように一方向のみの磁区の境界832を有する。したがって、図示するように線状部材271´を配設すれば、境界832で生じている磁力線は線状部材271´の軸芯に対し平行となり、線状部材271´と交わることがない。したがって、線状部材271´には変形が生じることがない。
【0092】
磁気発生器として、図17(e)、(f)に示す磁気発生器314e、314fを選択することもできる。この磁気発生器314e、314fは、前記磁気発生器314cにおいて、同一の極性の永久磁石85、86を一方向に並設して磁区を形成したものである。このような形態にすれば、磁気発生器314cのように長い永久磁石83を準備する必要もなく、磁気発生器314e、314fを低コストで製造できるので好ましい。
【0093】
磁気発生器として、図17(d)に示す磁気発生器314dを選択することもできる。この磁気発生器314dは、磁区を電磁石84で構成したものであり、電磁石84に印加する電流の大きさにより磁力を自在に制御可能となる。したがって、半田ボールBや基板7の大きさにより線状部材271´の長さや太さが変更された場合でも容易に対応可能となる。
【0094】
上記説明では永久磁石や電磁石を複数個用いて磁気発生器314a〜fの磁区を構成したが、複数の磁区を有するように一枚の磁石を区分したものであってもよい。
【0095】
上記構成の磁気発生器314を備えた搭載部3によれば、磁気発生器314が生じる磁力により下向きに引付けられた線状部材271´はマスク22の上面に腹部が押付けられた状態となる。その状態で線状部材271´を水平移動させる。線状部材271´は半田ボールBを捕捉し、位置決め開口部221の上方まで移動させる。線状部材271´の腹部には磁力による下向きの押圧力が作用している。したがって、その押圧力が半田ボールBに作用し、半田ボールBは位置決め開口部221に円滑に挿入される。マスク22の上面の粗さなどの状態に係らず磁力により生じる線状部材271´の押圧力は一定に維持される。したがって、線状部材271´が移動方向に乱されてスプリングバック的な動きを起こす恐れが少なく、半田ボールBは安定して位置決め開口部221に装入される。
【0096】
2−3.第1及び第2態様の実施例について説明する。
【0097】
1)実施例1
以下の条件で、第1態様の搭載装置1aで半田ボールBを5枚の基板7に搭載した。
マスク22はSUS430製で、その厚みは80μmとした。マスク22は、基板7の電極71に対応して10200個の位置決め開口部221が25mm□の範囲に形成されたものを使用し、位置決め開口部221の直径は90μmとした。振込具17の線状部材271は、直径がφ75μmの略円形状断面を有し、位置決め開口部221の範囲を包含する長さの腹部を有するものを使用した。半田ボールBは、Snを主体とした直径が80μmのもので、マスク22の上面に12000個づつ投入した。線状部材271としては、サンダロン(商標名、旭化成製)を使用した。以上の条件は、以下説明する実施例2および比較例とも基本的には同一とした。
【0098】
2)実施例2
第2態様の搭載装置1bで半田ボールBを5枚の基板7に搭載した。なお、線状部材11としては、フェライト系磁性ステンレスであるSUS430を使用した。
【0099】
3)比較例
第1態様の搭載装置1aに、尖鋭部のある刷毛状の線状部材を備えた振込具を組み込み、マスク22の上面に対し略垂直に線状部材を配設し、尖鋭部をマスク22に接触させた状態で線状部材を水平移動させて半田ボールBを搭載した。
【0100】
実施例1及び2、比較例の、半田ボールBの未充填率および残留率を表1に示す。ここで残留率とは、(マスク22に残留した半田ボールBの個数/投入した半田ボールの個数)で定義されるものである。
【0101】
【表1】

【0102】
3.第3の実施態様
本発明の一例である第3態様について図1および図18〜20を参照しながら説明する。
図1は、第3態様に係る搭載装置1cの概念図である。図18は、図1の搭載装置1cの搭載部4の側面図である。図19は、図18のホルダ41の断面図である。図20は、図18のホルダ41および基板7、マスク22のみを示す拡大側面図である。
【0103】
図1に示すように、第3態様の搭載装置1cは、被配列体である基板7に半田ボールを整列させて搭載する搭載部4を有している。
【0104】
図18に示すように、第3態様の搭載部4は第1態様の搭載部2と基本的には同一の構成であり、基板7の電極71上に半田ボールBを整列させる整列部材であるマスク22´と、前記基板7に位置決めされたマスク22´の上面を図示しない移動手段で水平移動され半田ボールBを振込む振込具27と、自動化に適するように、電極71を上方に向け水平に基板7の姿勢を保持するホルダ41と、前記ホルダ41を昇降自在とし、所定の高さに基板7を位置決めするホルダ昇降手段29と、前記マスク22´を水平に支持するとともに水平方向に移動させ前記所定の高さに位置決めされた基板7に前記マスク22を位置決めするマスク水平移動手段23と、前記マスク22´の上面に半田ボールBを供給するボール供給手段24と、余った半田ボールBをマスク22´の上面から除去するボール除去手段26を備えている。
【0105】
この第3態様の搭載部4において、第1態様の搭載部2と異なる点は、マスク22´が磁性ステンレスなどからなる軟磁性部を有することとと、磁力によりマスク22を下方に吸引し、マスク22´の下面を基板7の上面に密着させる吸引部がホルダ41に組込まれていることである。以下、吸引部について詳しく説明する。なお、吸引部は、自動化に適するようホルダ41に組込んであるが、単独に使用したり、基板7を載置する別の部材に組込んで使用することもできる。
【0106】
3−1.吸引部
本態様の吸引部は、図19(a)に示すように、ホルダ41に内蔵された磁力を発生する磁気発生器411である。磁気発生器411は、基板7の上方に位置合わせされたマスク22に対し基板7を介して相対するように配設されている。磁気発生器411には、磁気発生器411へ給電する給電制御回路412が連結されている。
【0107】
吸引部としては、図19(b)に示す静電気力発生器413を選択することもできる。静電気力発生器413は、前記磁気発生器411と同様にホルダ41に組込まれている。静電気発生器413には、電圧を印加する印圧制御回路が接続されている。印圧制御手段により正極または負極に印圧された静電気力発生器413は、マスク22を印圧された極性と逆の極性に帯電させて下方に吸引し、基板7に密着させる。この場合のマスク22は、軟磁性部を含む必要はない。それよりも、マスク22の基体としては、帯電しやすいものを選択することが望ましい。例えばその基体としては、誘電率が4〜12と比較的誘電率が高く、電気抵抗率が10〜1012Ωcm程度の導電性を有する絶縁材料、具体的にはポリミイド樹脂、フェノール樹脂、ケイ素樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、ウレタンエラストマー、クロロプレンゴム、二トリルゴムおよびこれらの混合物や、それらに適宜カーボンブラックを配合したものを選択するとよい。
【0108】
吸引部としては、図19(c)に示す真空吸引器415を選択することもできる。真空吸引器415は、基板7が装着される部分以外のホルダ41の上面に開口した上面開口部416と、側面に開口した側面開口部418と、上面開口部416と418を連結しテーブル11の内部に画成された流体通路417と、側面開口部418に連結された真空発生手段を有している。該真空吸引器415によれば、真空発生手段により負圧を発生し、ホルダ41に載置されたマスク22を上面開口部416で下方に吸引し、基板7に密着させる。この場合のマスク22も軟磁性部を含む必要はなく、マスク22の基体としては種々のものが選択される。
【0109】
3−2.搭載装置1cの動作
第3態様の搭載装置1cの動作について説明する。
【0110】
1)マスクを位置合わせするステップ(第1のステップ)
基板7に対しマスク22´を位置合わせする。
【0111】
2)マスクを吸引するステップ
図20(b)に示すように、給電制御回路から給電された磁気発生器411で生じた磁力により基板7の上方に載置されたマスク22´を全体的に下方へ吸引する。その結果、マスク22´は、その下面が基板7の上面に倣い均一に密着する。したがって、基板7に変形がある場合でも、基板7とマスク22´の間に大きな空隙が生ずることがない。
【0112】
3)半田ボールを搭載するステップ(第2のステップ)
電極71の個数以上の半田ボールBをボール供給手段24でマスク22´の上面に供給する。マスク22´の上面に供給された半田ボールBに対し線状部材271が略水平な姿勢で当接するように配設された振込具27をマスク22´の上面に対し相対的に水平移動する。半田ボールBは、振込具27で移動され位置決め開口部221へ装入される。ここで、マスク22´は基板7に密着している。したがって、位置決め開口部221を通して電極71に載置された半田ボールBは位置決め開口部221から漏れることがない。
【0113】
4)マスクを基板から取外すステップ
ホルダ昇降手段29を下降させ基板7からマスク22´を取外す。
【0114】
4.第4の実施態様
本発明の一例である第4態様について図21〜23を参照しながら説明する。なお、第4態様の搭載装置1dは第1態様の搭載装置1aと基本的に同じものである。
図21は、第4態様の搭載装置1dのマスク22及び基板7、仮固定膜Fのみの部分拡大断面図である。図22は、第4態様の搭載装置1dの動作を説明する図である。図23は、図22の仮固定膜変質部25の変形例を示す図である。
【0115】
この第4態様の搭載装置1dにおいて、第1態様の搭載装置1aと異なる点は、図21(a)に示すように、少なくとも上面に粘着力の低い仮固定膜Fが形成された電極71を有する基板7を準備し、仮固定膜Fを介した状態で該電極71に半田ボールBを載置し、仮固定膜Fの粘着力を仮固定膜変質部で高め、仮固定膜Fの粘着力で電極71に半田ボールBを仮固定する点にある。なお、仮固定膜Fは、図21(a)に示すように基板7の上面全体を覆うように形成してもよいし、図21(b)に示すように電極71の上面のみに選択的に形成してもよい。以下、仮固定膜および仮固定膜変質部について詳しく説明する。
【0116】
4−1.仮固定膜
仮固定膜Fは、図13で説明しマスクを取外すステップ以降において、基板7に載置された半田ボールBに多少の外力が作用した場合でも半田ボールBが簡単に動かないよう半田ボールBを電極71に粘着力で仮固定するものである。しかしながら、基板7にマスク22を位置合わせする第1のステップから半田ボールBを搭載する第2のステップにおいては、マスク22や半田ボールBに仮固定膜Fが付着しないように仮固定膜Fの粘着力は低い状態であることが要望される。
【0117】
このような仮固定膜Fは、例えば、ある条件下では固化されて粘着力が低くなり、別の条件下では液化(ここで液化とは、ゲル化又はペースト化を含む。)されて粘着力が高くなる材料(以下その材料を仮固定材と称する。)を選択することで具現される。選択される第1種の仮固定材としては、例えばポリプロピレン又はポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、酢酸セルロース、ポリエステルのいずれかから選択される樹脂または紙などの有機材料、或いはHgまたはGa、In、Snなどの金属材料を主体としたものが選択される。第1種の仮固定材によれば、例えば仮固定材を蒸着して基板7に成膜し、低粘着性の仮固定膜Fが形成される。或いは、適当な溶媒(水や油、各種のアルコールやメタノールなど)に仮固定材を混合し、その混合物を基板7に塗布し、乾燥して溶媒を除くことにより低粘着性の仮固定膜Fが形成される。なお、このようにして形成される仮固定膜Fは、半田ボールBが接触する表面が固化されて粘着力が低ければよい。
【0118】
選択される第2種の仮固定材として、液体(例えば水または油類、各種のアルコールやメタノールなど有機溶剤)或いはその液体を溶媒として含む液状の混合物を選択することができる。第2種の仮固定材によれば、仮固定材の温度をその融点以下にすれば仮固定材は固化された状態となり、低粘着性の仮固定膜Fが形成される。このようにして形成される仮固定膜Fは、半田ボールBが接触する表面が固化されて粘着力が低ければよい。
【0119】
第2種の仮固定材としては、融点が大気圧で−100℃以上、好ましくは室温の範囲(−10℃〜50℃)のものを選択すれば、仮固定材を固化するプロセスを低コストで実現できるので望ましい。また、沸点が半田ボールBの融点未満のもの、例えばドデシルアルコール(融点24℃、沸点154℃)やテトラデカノール(融点38℃、沸点289℃)、ブチルアルコール(融点25.4℃、沸点83℃)を選択すれば、半田ボールBをリフローして接続バンプを形成する際、同時に仮固定膜Fは気化する。したがって、洗浄工程を通して仮固定膜Fを除去する必要がないので望ましい。
【0120】
仮固定材は、半田ボールBをリフローする工程の前に仮固定膜Fを除去する手間を省く為に、半田ボールBより低い融点を有していれば望ましい。
【0121】
仮固定材は、フラックス成分を含有していることが望ましい。ここで、フラックス成分とは、半田ボールBをリフローする際に、1)半田ボールBと電極71の酸化を防止し、2)電極71の表面を清浄化する、濡れ性と還元性の作用の高い成分である。フラックス成分とは、例えばロジン(松脂)やロジンに類似した特性を有する添加材である。フラックス成分を含む仮固定材で形成された仮固定膜Fによれば、接続バンプと電極との接合不良の発生が抑制され、接続バンプの内部に空孔が生じることが抑制される。
【0122】
4−2.仮固定膜変質部
仮固定膜変質部は、熱的または機械的、化学的に仮固定膜Fを変質させ、その粘着力を高めるものであり、第4態様の搭載装置1dでは、搭載部2に組み込まれている。
【0123】
第4態様の仮固定膜変質部は、図23(a)に示す、位置決め開口部221に充填された半田ボールBの頂部に当接可能に配設され、少なくとも半田ボールBと接触している面が発熱する仮固定膜変質部25aである。この仮固定膜変質部25aは、例えば、ブロック状の基体の一面に平板状の発熱体を配置したものでよく、発熱体がマスク22に相対するようにマスク22の上方に昇降手段(例えばエアシリンダなど)で昇降自在に配設すればよい。
【0124】
仮固定膜変質部25aは、接触した半田ボールBを加熱する。その熱は、半田ボールBを介して半田ボールBが接触している領域近傍の仮固定膜Fを溶融させる。したがって、仮固定膜Fは溶融し(すなわち液化し)、仮固定膜Fの粘着力は高くなる。
【0125】
仮固定膜変質部25aの形態は、図示に限られることなく種々のものが選択される。例えば、図23(a)に示すように、半田ボールBの直径よりマスク22の厚みが薄い場合には、半田ボールBと接触する仮固定膜変質部25aの面251は平面状のものとすればよい。また、半田ボールBの直径よりマスク22が厚い場合には、位置決め開口部221に対応し位置決め開口部221に挿入可能な突起252を設けておけばよい。
【0126】
仮固定膜変質部として、図23(b)に示すように、電子ビーム(例えばレーザ)で個々に半田ボールBを加熱する仮固定膜変質部25bも選択される。
【0127】
仮固定膜変質部として、位置決め開口部221へ振込まれる前に予め半田ボールBを加熱する仮固定膜変質部も選択される。この仮固定膜変質部で加熱された半田ボールBを電極71に載置すれば、半田ボールBが接触した領域近傍の仮固定膜Fは溶融され、仮固定膜Fの粘着力は高くなる。
【0128】
仮固定膜変質部として、位置決め開口部221に充填された複数の半田ボールBを含む領域を加熱する仮固定膜変質部も選択される。この仮固定膜変質部は、例えば赤外線ヒータのようなもので構成される。なお、この仮固定膜変質部を選択する場合には、マスク22の下方の仮固定膜Fが加熱されて溶融しマスク22に付着しないように、マスク22としては、半田ボールBよりも熱伝導率が低い基体からなるものを選択することが望ましい。
【0129】
仮固定膜変質部として、図23(c)に示すように位置決め開口部221に充填された半田ボールBの頂部に当接可能に配設され、半田ボールBを所定の圧力で押圧する仮固定膜変質部25cも選択される。なお、仮固定膜変質部25cは、当接した半田ボールBを押圧する代わりに加振する構成としてもよい。仮固定膜変質部25cによれば、半田ボールBを介して伝えられた押圧力や振動により半田ボールBが接触した領域近傍の仮固定膜Fの粘着力は高くなる。この仮固定膜変質部25cは、表部が固化し内部は液状の仮固定膜Fの粘着力を高める場合に有効である。すなわち、仮固定膜変質部25cの作用する押圧力や振動で仮固定膜Fの表部が機械的に破壊され、内部の液体が露出して、仮固定膜Fの粘着力は高くなる。
【0130】
仮固定膜変質部として、仮固定膜Fを形成する仮固定材に応じて選定される仮固定膜Fの粘着力を高める成分を、位置決め開口部221へ振込まれる前の半田ボールBの外周面に塗布する仮固定膜変質部も選択される。この仮固定膜変質部によれば、仮固定膜Fの粘着力を高める成分が外周面に塗布された半田ボールBが電極71に載置され、半田ボールBが接触している領域近傍の仮固定膜Fの粘着力は高くなる。
【0131】
4−3.搭載装置1dの動作
上記搭載装置1dの動作について説明する。
【0132】
1)マスクを位置合わせするステップ(第1のステップ)
図22(a)に示すように、粘着力の低い仮固定膜Fが電極71の上面に形成されている基板7に対しマスク22を位置合わせする。
【0133】
2)半田ボールを搭載するステップ(第2のステップ)
マスク22の上面に半田ボールBを供給する。マスク22に供給された半田ボールBを振込具27で移動し、該半田ボールBを位置決め開口部221に振込む。半田ボールBは、仮固定膜Fを介した状態で電極71に載置される。なお、第4態様の搭載装置では、振込方式で半田ボールBを搭載しているが、次述する第5態様の搭載装置のように吸着方式で或いはその他の方式で搭載してもよい。
【0134】
3)半田ボールを仮固定するステップ(第3のステップ)
図22(b)に示すように、位置決め開口部221に振込まれた半田ボールBの頂部に仮固定膜変質部25aを当接し、半田ボールBを加熱する。半田ボールBを介して伝達された熱で、半田ボールBが接触している領域近傍の仮固定膜Fを溶融させ、粘着力を高める。仮固定膜Fの粘着力で半田ボールBを仮固定する。なお、半田ボールBを加熱する際に、半田ボールBを加圧したり加振したりすれば半田ボールBはより強く仮固定されるので望ましい。
【0135】
仮固定膜変質部25aを半田ボールBから離す。この後、溶融した仮固定膜Fは冷却され固化するが、一旦仮固定膜Fで仮固定された半田ボールBは多少の外力で離脱することはない。
【0136】
5.第5の実施態様
本発明の一例である第5態様について図1および図24、25を参照しながら説明する。
図1は、第5態様に係る搭載装置1eの概念図である。図24は、図1の搭載装置1eの搭載部5を示す図である。図25は、図1の搭載装置1eの動作を説明する図である。
【0137】
この第5態様の搭載装置1eにおいて、第1態様の搭載装置1aと異なる点は、上記第4態様の搭載装置1dと同様に、少なくとも上面に粘着力の低い仮固定膜が形成された電極を有する基板を準備する点、仮固定膜の粘着力を高める仮固定膜変質部を有する点、及び、図24に示すように、整列部材として吸着方式の吸着ヘッド51を有する点である。なお、仮固定膜および仮固定膜変質部については基本的に上記第4態様のものと同じであるので詳細な説明を省略する。
【0138】
5−1.搭載装置
図1に示すように、搭載装置1eは搭載部5を有している。
【0139】
5−2.搭載部
図24に示すように、搭載部5は、電極71のパターンに対応し導電性ボールBを着脱自在な位置決め吸着部511を備えた整列部材である吸着ヘッド51と、多数個の半田ボールBが貯溜された上部開口の容器52と、図示しない仮固定膜変質部とを備えている。
【0140】
吸着ヘッド51は、内部空間を有する函体状のものであり、その下面に電極71のパターンに対応し貫通孔状の位置決め吸着部511が形成されている。位置決め吸着部511は、半田ボールBを吸着可能なように半田ボールBの直径より小さく形成されている。吸着ヘッド51には、図示しない負圧発生手段が接続されている。該吸着ヘッド51によれば、負圧発生手段で負圧を発生することにより半田ボールBは位置決め吸着部511へ吸着され、負圧を切ることで半田ボールBは位置決め吸着部511から切り離される。吸着ヘッド51は、位置決め吸着部511に吸着された半田ボールBが電極71に対応するよう位置決めするため紙面において上下・左右・前後方向に図示しない移動手段で移動されるよう構成してある。
【0141】
5−3.搭載装置1eの動作
上記搭載装置1eの動作について説明する。
【0142】
1)吸着ヘッドを位置合わせするステップ(第1のステップ)
容器に貯溜された半田ボールBを位置決め吸着部211で吸着する。図25(a)に示すように、位置決め吸着部511に吸着された半田ボールBが電極71に対応するように吸着ヘッド51を位置決めする。
【0143】
2)半田ボールを搭載するステップ(第2のステップ)
位置決め吸着部511から半田ボール4を切り離し、粘着力の低い仮固定膜Fを介し電極71に搭載する。
【0144】
3)半田ボールを仮固定するステップ(第3のステップ)
図25(b)に示すように、仮固定膜変質部25aで仮固定膜Fを溶融し、仮固定膜Fの粘着力を高め、半田ボールBを仮固定する。
【0145】
6.第6の実施態様
本発明の一例である第6態様について図26〜図28を参照しながら説明する。
図26は、第6態様に係る搭載装置1´の概念図である。図27は、図26の搭載装置1´の仮固定膜形成部6を示す図である。図28は、図26の搭載装置1´の動作を説明する図である。
【0146】
搭載装置1´は、図26に示すように、第4態様の搭載装置1dの搭載部2と基本的には同じ仮固定膜変質部25を備えた搭載部2と、搭載部2の上流側に配設した仮固定膜形成部6を有している。仮固定膜形成部6と搭載部2の間における基板7の受け渡しは人手で行ってもよいが、図示するように仮固定膜形成部6と搭載部2の間に搬送部Cを設け、搬送部Cで機械的に受け渡しするようにしてもよい。
【0147】
6−1.仮固定膜形成部
仮固定膜形成部6は、粘着力の低い仮固定膜Fを電極71に形成するものである。仮固定膜Fは、上述した仮固定材を用いて形成される。仮固定膜Fの形成方法は、特に限定されないが、例えば、図27で例示する仮固定膜形成部6を用い形成される。
【0148】
図27で示す仮固定膜形成部6は、いずれも、前記第2種の仮固定材、すなわち元来粘着力が高い液状の仮固定材を電極71に塗布して配置し、配置された仮固定材を固化させて粘着力の低い仮固定膜Fを形成するものである。
【0149】
図26(a)に示す仮固定膜形成部6aは、先端部が接触した状態で基板7の上面を横動可能なスキージ61を備えている。仮固定膜形成部6aによれば、基板7の上面にペースト状の仮固定材Fを供給し、供給された仮固定材Fをスキージ61で塗り広げる。このとき、仮固定材fは、出来るだけ薄く均一に塗り広げられるとよい。塗布された仮固定材6aを加熱しまたは冷却して固化させる。その結果、粘着力の低い仮固定膜Fが形成される。
【0150】
図26(b)に示す仮固定膜形成部6bは、電極71に対応した貫通孔63を有する印刷マスク62と、先端部が接触した状態でマスク62の上面を横動可能なスキージ64を備えている。仮固定膜形成部6bによれば、貫通孔63と電極71が対応する状態に印刷マスク32を位置合わせし、マスク32の上面にペースト状の仮固定材fを供給する。供給された仮固定材fをスキージ64で塗り広げ、電極71に選択的に仮固定材fを印刷する。印刷された仮固定材fを加熱し又は冷却して固化させる。その結果、粘着力の低い仮固定膜Fが電極71に形成される。
【0151】
図26(c)に示す仮固定膜形成部6cは、ペースト状の仮固定材fを下端から塗出するシリンジ状の塗布手段65を備えている。塗布手段65は、紙面において前後/左右/上下方向に基板7の上方を移動可能とされ、電極71に対し位置決め可能なように構成されている。仮固定膜形成部6cによれば、塗布手段65を電極71に位置決めし、電極71の上で仮固定材fを吐出し、塗布する。塗布された仮固定材fを加熱し又は冷却して固化させる。その結果、粘着力の低い仮固定膜Fが電極71に形成される。
【0152】
図26(d)に示す仮固定膜形成部6dは、液状の仮固定材fを下端から噴射する霧吹き状の塗布手段66を備えている。塗布手段66は、紙面において前後/左右/上下方向に基板7の上方を移動可能なように構成されている。仮固定膜形成部6dによれば、基板7の上方において塗布手段66を前後/左右方向に横動し、基板7の上面全体に仮固定材6aを噴射し、塗布する。塗布された仮固定材fを加熱し又は冷却して固化させる。その結果、粘着力の低い仮固定膜Fが電極71に形成される。
【0153】
6−2.搭載装置1´の動作
上記搭載装置1´の動作について説明する。
【0154】
1)仮固定膜を形成するステップ
粘着力の高い液状の仮固定材を基板7の上面に薄く塗布して配置し、配置された仮固定材を固化させて、図28(a)に示すように、粘着力の低い仮固定膜Fを電極71に形成する。
【0155】
2)マスクを位置合わせするステップ(第1のステップ)
図28(b)に示すように、電極71と位置決め開口部221が対応するように、基板7の上方にマスク22を位置合わせする。
【0156】
3)半田ボールを搭載するステップ(第2のステップ)
マスク22の上面に半田ボールBを供給し、振込具27で半田ボールBを移動させて位置決め開口部221に振込む。半田ボールBは、仮固定膜Fを介した状態で電極71に載置される。
【0157】
4)半田ボールを仮固定するステップ(第3のステップ)
図28(c)に示すように、仮固定膜変質部25aで仮固定膜Fを溶融し、仮固定膜Fの粘着力を回復し、半田ボールBを仮固定する。
【0158】
6−3.実施例
第4および第6態様の実施例を説明する。
【0159】
1)実施例1
一般に使用されるペースト状のロジン系のフラックスを仮固定材として使用した例を説明する。なお、フラックスとしては樹脂系或いは水溶性のものを用いてもよい。
【0160】
図27(a)に示すように、数μm〜数十μmの厚みで仮固定材fを基板7に塗布した。120℃の温風を30秒間吹き当てて仮固定材を加熱し、仮固定材fの溶媒成分を揮発させ、マスク22や半田ボールBに仮固定材fが付着しない程度に仮固定材fの表面を乾燥させ、図28(a)に示すように、粘着力の低い仮固定膜Fを形成した。
【0161】
図28(b)に示すように、位置決め開口部221が電極71に対応するようにマスク22を位置合わせし、半田ボールBを開口部221に振込んだ。図28(c)のように、仮固定材の融点以上の温度(60〜90℃)で発熱させた仮固定膜変質部25aを半田ボールBに瞬間的に接触させて仮固定膜Fを溶融させ、半田ボールBを仮固定した。
【0162】
2)実施例2
揮発性の高いIPAで希釈した液状のロジン系フラックスを仮固定材fとして使用した例を説明する。
【0163】
実施例1と同様にして仮固定膜Fを形成した。本実施例の仮固定材fによれば、IPAは揮発性が高いため仮固定材fがより早く乾燥し、仮固定膜Fを効率的に形成することができる。また、IPAは揮発し消失するので仮固定材中fのIPAの割合により仮固定膜6の膜厚を制御することができ、例えば薄い膜厚の仮固定膜Fが必要な場合にはその割合を大きくすればよい。
【0164】
その後、実施例1と同様に半田ボールBを仮固定した。
【0165】
3)実施例3
融点が24℃のドデシルアルコールを溶媒として希釈されたロジン系のフラックスを仮固定材fとして使用した例を説明する。この種の溶媒としては、ブチルアルコール(融点25℃)、テトラデシルアルコール(融点38℃)なども使用できる。
【0166】
実施例1と同様に上記仮固定材fを電極51に塗布し、仮固定材fを冷却し固化させて仮固定膜Fを形成した。仮固定材fがフラックスのみの場合には、その融点が−40℃程度と室温より低いため、通常の冷却方法では冷却し固化することは難しい。しかしながら、上記仮固定材fによれば、24℃で固化するドデシルアルコールで希釈されているので、ドデシルアルコールの融点以下に仮固定材を冷却すると、フラックスを内包する状態でドデシルアルコールが固化し、粘着力の低い仮固定膜が形成される。
【0167】
冷却を続けて仮固定膜Fの粘着力を維持しつつ、実施例1と同様に半田ボールBを位置決め開口部121に振込み、仮固定材fの融点以上の温度に発熱させた仮固定膜変質部25aを半田ボールBに瞬間的に接触させて仮固定膜Fを溶融させ、導電性ボール4を仮固定した。
【0168】
4)実施例4
上記ドデシルアルコールを仮固定材fとして使用した例を説明する。
【0169】
図27(d)に示す塗布手段66で仮固定材fを基板7の表面に塗布し、その融点以下に冷却し仮固定膜Fを形成する。この仮固定材によれば、その融点が室温の領域にあるので、固化状態の維持(すなわち冷却を維持すること)を比較的容易に行うことができるという利点がある。
【0170】
その後、実施例3と同様に半田ボール4を仮固定した。
【0171】
実施例1〜4のいずれにおいても、マスク22は、仮固定膜Fで基板7に付着することなく取外すことができた。取外されたマスク22や位置決め開口部221に付着した仮固定膜Fは確認されなかった。半田ボールBにも仮固定膜Fは付着しておらず、次の作業に洗浄することなく使用することができた。
【産業上の利用可能性】
【0172】
本発明は、上記で説明に限定されることなく、例えば医薬品や窯業などの分野において徴小な或いは不定形の粉体や粒体を基板に搭載する用途にも利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0173】
【図1】本発明の第1〜6態様に係る搭載装置の概念図である。
【図2】図1の第1態様の搭載装置の搭載部の側面図である。
【図3】図1の第1態様の搭載装置で導電性ボールが搭載される基板の構造を示す図である。
【図4】図2の搭載部の整列部材を示す図である。
【図5】図4の整列部材の変形例を示す図である。
【図6】図4および図5の整列部材の部分拡大断面図である。
【図7】図4の整列部材の別の変形例を示す図である。
【図8】図5の整列部材の変形例を示す図である。
【図9】図2の搭載部の振込具と整列部材を示す斜視図である。
【図10】図9の振込具の変形例を示す図である。
【図11】図9のa−a断面図であって振込具の部分拡大断面図である。
【図12】図2の搭載部の振込具と整列部材を示す平面図である。
【図13】図1の第1態様の搭載装置の動作を説明する図である。
【図14】図9の振込具の動作を説明する図である。
【図15】図1の第2態様の搭載装置の搭載部の側面図である。
【図16】図15の搭載部の振込具および整列部材、磁気発生器を示す斜視図である。
【図17】図15の磁気発生器の変形例を示す図である。
【図18】図1の第3態様の搭載装置の搭載部の側面図である。
【図19】図18のホルダの断面図である。
【図20】図18のホルダおよび基板、マスクの拡大側面図である。
【図21】図1の第4態様の搭載装置のマスク及び基板、仮固定膜の部分拡大断面図である。
【図22】図1の第4態様の搭載装置の動作を説明する図である。
【図23】図22の仮固定膜変質部の変形例を示す図である。
【図24】図1の第5態様の搭載装置の搭載部を示す図である。
【図25】図1の第5態様の搭載装置の動作を説明する図である。
【図26】本発明の第6態様に係る搭載装置の概念図である。
【図27】図26の搭載装置の仮固定膜形成部を示す図である。
【図28】図26の搭載装置の動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0174】
1 搭載装置
2 搭載部
21 ホルダ
22(28) マスク(整列部材)
23 マスク水平移動手段
24 ボール供給手段
26 ボール除去手段
27 振込具
29 ホルダ昇降手段
3 搭載部
31 ホルダ
4 搭載部
41 ホルダ
5 搭載部
51 吸着ヘッド(整列部材)
52 容器
6 仮固定膜形成部
7 基板
71 電極
8 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有するボールを被配列体の一面に所定のパターンで搭載する搭載方法において、
一方の面および前記一方の面に対する他方の面と、前記パターンに対応し配置され、前記一方の面および前記他方の面に開口し前記ボールが挿通可能な位置決め開口部とを備えた整列部材を前記整列部材の他方の面が前記被配列体の一面に対する状態に位置合わせをする第1のステップと、
軸芯をほぼ揃えた状態で配設された導電性を有する複数の線状部材を備え、前記整列部材の一方の面に供給された前記ボールに対し前記線状部材が略水平な姿勢で当接可能な状態に配設された振込具を前記整列部材の一方の面に対し相対的に水平移動し、前記位置決め開口部を通して前記被配列体の一面にボールを載置する第2のステップを含む搭載方法。
【請求項2】
前記線状部材は、導電性に代え撥水性を有する請求項1に記載の搭載方法。
【請求項3】
前記線状部材は、撥水性を有する請求項1に記載の搭載方法。
【請求項4】
導電性を有するボールを被配列体の一面に所定のパターンで搭載する搭載装置において、
一方の面および前記一方の面に対する他方の面と、前記パターンに対応し配置され、前記一方の面および前記他方の面に開口し前記ボールが挿通可能な位置決め開口部とを備えた整列部材と、
軸芯をほぼ揃えた状態で配設された導電性を有する複数の線状部材を備えた振込具とを備え、
少なくとも前記ボールを搭載する時には、
前記整列部材は、前記整列部材の他方の面が前記被配列体の一面に対する状態に位置決めされ、
前記振込具は、前記整列部材の一方の面に供給された前記ボールに対し前記線状部材が略水平な姿勢で当接可能な状態に配設され、前記整列部材の一方の面に対し相対的に水平移動される搭載装置。
【請求項5】
前記線状部材は、導電性に代え撥水性を有する請求項4に記載の搭載装置。
【請求項6】
前記線状部材は、撥水性を有する請求項4に記載の搭載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2006−140510(P2006−140510A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343598(P2005−343598)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【分割の表示】特願2004−62505(P2004−62505)の分割
【原出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【Fターム(参考)】