説明

導電性ポリマーを有する導電性電極層の光パターン形成

基板上に配置された導電性ポリマーに電極パターンを生成する方法を開示する。この方法は、基板上に導電性ポリマーを含有する層を適用し、導電率増強剤を含有するプリント組成物を用いて前記層上にパターンをプリントして、該プリント組成物と接触した領域の低効率を10分の1以下に減少させる工程を含む。当該方法を実施するための処方および薄膜要素も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパターニングされた透明電極アレイを製造することに関する。
【0002】
一般的に本発明は、透明な二次元及び三次元薄膜電極要素のパターニングに関し、そして具体的には、支持体と光パターン形成可能な導電性層とを含む導電性薄膜要素を光パターン形成することに関する。より具体的には、本発明は、高分子バインダーと、導電性ポリマー粒子と、光硬化可能なマイクロカプセル内に封入された光放出可能な導電率増強改質剤又は導電率低下改質剤とを含有する導電性層に関し、そして二次元及び三次元電極アレイを提供するというような目的で、このような光パターン形成可能な薄膜配合物を使用することに関する。
【背景技術】
【0003】
金属酸化物、例えばインジウム錫酸化物(ITO)、アンチモンドープ型酸化錫、及び錫酸カドミウム(カドミウム錫酸化物)の透明導電性層(TCL)が、電気光学ディスプレイデバイス、例えば液晶ディスプレイデバイス(LCD)、エレクトロルミネッセントディスプレイデバイス、フォトセル、ソリッドステート画像センサー又はエレクトロクロミックウィンドウの製造において共通に使用される。
【0004】
フラットパネルディスプレイのようなデバイスは典型的には、透明電極としてインジウム錫酸化物(ITO)層を備えた基板を含有する。ITOの塗被は、真空スパッタリング法によって行われる。この真空スパッタリング法は、最大250℃の高い基板温度の条件を伴い、従ってガラス基板が一般に使用される。製作法のコストが高く、そして無機ITO層並びにガラス基板の脆弱性に起因してこのような電極の可撓性が低いことにより、潜在的な用途の範囲が限られる。結果として、有機材料だけから成るデバイスを形成することに対する関心が高まっている。このようなデバイスは、フレキシブル基板としてプラスチック樹脂を含み、そして電極として有機導電性ポリマー層を含む。このようなプラスチック電子装置は、新しい特性を有する低廉なコストのデバイスを可能にする。
【0005】
(スパッタリングのようなバッチ法と比較して)連続的なホッパー塗布法又はローラー塗布法によって、可撓性プラスチック基板に導電性ポリマー層を設けることができ、その結果得られる有機電極は、より可撓性を有し、より低コストの、そしてより軽量の電子デバイスのロールツーロール製作を可能にする。
【0006】
本来的に導電性のポリマーが、これらの導電性により、種々の業界から最近注目を集めている。これらのポリマーの多くは高い色調を有しており、TCL用途にあまり適してはいないものの、これらの本来的に導電性のポリマーのうちのいくつか、例えば置換型又は無置換型のピロール含有ポリマー(米国特許第5,665,498号及び同第5,674,654号の各明細書に述べられている)、置換型又は無置換型のチオフェン含有ポリマー(米国特許第5,300,575号、同第5,312,681号、同第5,354,613号、同第5,370,981号、同第5,372,924号、同第5,391,472号、同第5,403,467号、同第5,443,944号、同第5,575,898号、同第4,987,042号、及び同第4,731,408号の各明細書に述べられている)、置換型又は無置換型のアニリン含有ポリマー(米国特許第5,716,550号、同第5,093,439号、及び同第5,070,189号の各明細書に述べられている)は透明であり、そして少なくとも、中程度の被覆率で薄層として塗被されるときには、許容可能な範囲で着色される。これらのポリマーは、イオン伝導性に代わるその導電性のために、低湿度でも導電する。
【0007】
欧州特許出願公開第440 957号明細書には、ドーピング剤としてのポリアニオンの存在において酸化重合を行うことにより、水性混合物中のポリチオフェンを製造する方法が記載されている。欧州特許出願公開第686 662号明細書には、ポリチオフェンの塗被溶液中に、ジ-又はポリヒドロキシ及び/又は炭酸、アミド又はラクタム基を含有する化合物を添加することにより、水性塗被溶液から塗被された、ポリチオフェンの高導電性層を形成できることが開示されている。有機導電性ポリマーの塗被済層を、種々異なる方法を用いてパターニングして電極アレイを形成することができる。国際公開第97/18944号パンフレット及び同第5,976,274号パンフレットに記載された公知の湿式エッチングマイクロリソグラフィ技法の場合、有機導電性ポリマーの塗被済層の上側に、ポジ型又はネガ型フォトレジストが取り付けられ、そしてフォトレジストをUV線に選択的に当て、フォトレジストを現像し、導電性ポリマー層をエッチングし、そして最後に、現像されていないフォトレジストを剥ぎ取る工程後に、パターニングされた層が得られる。米国特許第5,561,030号明細書においては、同様の方法を用いてパターンを形成するが、ただしこの場合、パターンが、まだ導電性ではないプレポリマー連続層として形成される点、そしてマスクを洗い流したあと、残ったプレポリマーが酸化により導電性にされる点において異なっている。コンベンショナルなリソグラフ技法に関与するこのような方法は、多くの工程を伴い、そして有害な化学物質の使用を必要とするので、厄介である。
【0008】
欧州特許出願公開第615 256号明細書に記載された、基板上に導電性ポリマーのパターンを生成する方法は、3,4-エチレンジオキシチオフェンモノマーと酸化剤とベースとを含有する組成物を塗被して乾燥させ;乾燥させた層を、マスクを通してUV線に当て;次いで加熱することを伴う。UVに当てられた塗膜領域は、非導電性ポリマーを含み、UVに当てられていない領域は導電性ポリマーを含む。この方法に従う導電性ポリマーパターンの形成は、別個のフォトレジスト層の塗被及びパターニングを必要としない。
【0009】
米国特許第6,045,977号明細書には、フォトベースジェネレーターを含有する導電性ポリアニリン層をパターニングする方法が記載されている。このような層をUVに当てることにより、照射された領域内の導電性を低減するベースが生成される。
【0010】
欧州特許出願公開第1 054 414号明細書には、ClO-、BrO-、MnO4-、Cr2O7-2、S2O8-2、及びH2O2から成る群から選択された酸化体を含有する印刷溶液を使用して、導電性ポリマー層上に電極パターンを印刷することにより、前記導電性ポリマー層をパターニングする方法が記載されている。酸化体溶液に暴露された導電性層の領域は非導電性にさせられる。
【0011】
リサーチディスクロージャ(Research Disclosure), 1998年11月、第1473頁(開示番号41548)には、選択された領域がレーザー照射によって基板から除去されるフォトアブレーションを含む、導電性ポリマーにおける種々のパターン形成方法が記載されている。このようなフォトアブレーション法は、便利な乾式のワンステップ法であるが、しかし、破壊屑の発生が湿式の清浄化工程を必要とすることがあり、そしてレーザーデバイスの光学系及び機械系を汚染するおそれがある。電極パターンを形成するために導電性ポリマーの除去を伴う従来の方法はまた、パターニングされた表面の導電性領域と非導電性領域との間に光学濃度の差を誘発し、このことは回避されるべきである。
【0012】
レーザーによって像様加熱することにより有機導電性ポリマー層をパターニングする方法は、欧州特許出願公開第1 079 397号明細書に開示されている。その方法は、層をほとんどアブレート又は破壊することなしに、抵抗率を約10分の1〜1000分の1に減少させる。
【0013】
上に示したように、当業者は、多種多様の導電性TCL組成物を開示している。しかし、パターニングされた導電性TCL構造に対する重要な要求が、未だに当業者において存在している。優れた電極性能を提供するのに加えて、TCL層はまた、高度に透明でなければならず、パターニング可能でなければならず、湿度変化の影響に抵抗しなければならず、そして妥当なコストで製造可能でなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目標は、種々様々な商業的ニーズを従来技術よりも効果的に満たすように改善された、導電性のパターニング可能な、好ましくはウェブ塗被可能な薄膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の光パターン形成可能な要素は、導電性高分子領域を使用して調製される薄膜の使用と、フォトドーピング画像形成法とを組み合わせて、メモリ及びディスプレイ用途において当業者に知られているような二次元又は三次元電極アレイを生成する。好適な化学線露光を用いて、所望のフォトドーピング度及び導電率を提供することにより、薄膜電極をパターニングすることができる。
【0016】
導電性基板上にパターンを形成する要素であって、該要素は支持体を含み、該支持体上には、1つ又は2つ以上の光パターン形成可能な導電性層が配置されており、各層は:
a)コロイド状の導電性ポリマー粒子と;
b)該導電性ポリマー粒子と反応するように連携された導電率増強改質剤又は導電率低下改質剤を含有する、光硬化可能なマイクロカプセル封入型の粒子と;随意選択的に
c)高分子バインダーと
を含んで成る。
【0017】
このようなフォトドーピングされた薄膜の導電率は、膜の配合、層厚、ドーパントの選択、フォトドーピング度及び当業者には容易に明らかな他の因子に応じて変化することができる。フォトドーパント領域は、導電性領域に「近接して」位置している。本明細書中に使用される「近接して」という用語は、2つの領域が互いに反応するように関連しているか、又は少なくとも、2つの連続又は連接する層内に存在して、導電性ポリマーの所要の像様フォトドーピングレベルを実現できるようになっていることを意味する。
【0018】
また、導電性基板上にパターンを形成する方法であって、該方法が:
a)導電率増強改質剤又は導電率低下改質剤を含有するマイクロカプセル封入型の光硬化可能粒子と、随意選択の高分子バインダーとを含む第1基板に、化学線による像様露光を施し;
b)該露光済の第1基板を、コロイド状の導電性ポリマー粒子を含む第2基板と接触させ;
c)緊密に接触している該2つの基板に、均一な破裂力を加えて、該破裂力によって、該第1基板内のマイクロカプセルから、該導電性の第2基板へ、導電率改質剤を放出させて転移させることにより、該導電率改質剤の転移が発生する領域内の抵抗率が10倍以上増大するか、又は10分の1以下に減少し;そして随意選択的に、
d)該導電性基板を加熱して、形成された導電性パターンを定着させる
工程を含む、導電性基板上にパターンを形成する方法も開示する。
【0019】
別の方法は、
a)導電率増強改質剤又は導電率低下改質剤を含有するマイクロカプセル封入型の光硬化可能粒子と、随意選択の高分子バインダーとを含む第1基板に、化学線による像様露光を施し;
b)該露光済の第1基板を、コロイド状の導電性ポリマー粒子を含む第2基板と接触させ;
c)緊密に接触している該2つの基板に、均一な破裂力を加えて、該破裂力によって、該第1基板内のマイクロカプセルから、該導電性の第2基板へ、該導電率改質剤を放出させて転移させることにより、該導電率改質剤の転移が発生する領域内の抵抗率が10倍以上増大するか、又は10分の1以下に減少し;そして随意選択的に、
d)該導電性基板を加熱して、形成された導電性パターンを定着させる
ことを伴う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
光パターン形成可能な電極層(マイクロカプセルを含む)は、化学線による像様露光後に、圧力現像によってパターニングされる。化学線に当てられると機械強度が変化(増大)するマイクロカプセルは、圧力形成によって破裂させられ、これと同時に、マイクロカプセル内に封入された導電率改質剤材料及びその他の物質が流出し(露光レベルに応じて種々の量まで)、ドーピングが発生する。導電率改質剤材料は、導電性ポリマー材料に移動してこれと反応し、導電率の変化、すなわち増強又は低下が生じ、これと同時に電極パターンが形成される。
【0021】
本発明のカプセル封入型導電率改質剤は、導電性領域を含有する層に隣接する層内に組み込むか、又は導電性領域と反応するように関連させることができる。二次元又は三次元電極パターンは、本発明の像様露光済電極要素に均一な圧力を加えることにより、形成される。
【0022】
典型的な光硬化可能な組成物は、遊離基付加重合可能な又は架橋可能な化合物、及び、化学線を吸収し、そして重合可能又は架橋可能な化合物の遊離基重合又は架橋を開始する遊離基を生成することができるイオン性色素/反応性対イオンの錯体を含む。
【0023】
カプセル封入されるのは、自動酸化剤を含有する感光性の遊離基付加重合可能な組成物であって、自動酸化剤は重合反応速度を高めるための共開始剤として機能し、重合反応は、化学線を吸収することによりトリガされる。
【0024】
米国特許第4,399,209号明細書及び同第4,840,866号明細書に記載された画像形成法において、感光性モノマー組成物は、光開始剤及び画像形成剤と一緒にカプセル封入される。画像形成シートを露光することにより、マイクロカプセルの内相が硬化され、これらのマイクロカプセルは、物理的破裂に対して抵抗性にされる。従って、硬質(露光済)マイクロカプセル及び軟質(未露光)マイクロカプセルの像様パターンとして、潜像が形成される。画像は、画像形成要素を加圧ローラセットに通すことにより、物理的に現像される。軟質カプセルだけが破裂し、そしてモノマー中に溶解された画像形成剤を受理体シートに提供する。その結果生じるのは、元の画像の直接ポジ型である。マイクロカプセル封入型アクリレート系における最初の検出可能な画像濃度損失を生成するのに必要な露光が、光酸化効率の関数であることが判っている。
【0025】
米国特許第5,320,982号明細書によれば、具体的なマイクロカプセル封入型の光硬化可能な組成物は、マイクロカプセルが随意選択的にN,N-ジアルキルアニリンとの組み合わせでジスルフィドを内部に有する内相を含有すると、極めて望ましいフィルム感度及び貯蔵寿命を有することになる。このような組成物は、遊離基付加重合可能な又は架橋可能な化合物、化学線を吸収して前記重合可能又は架橋可能な化合物の遊離基重合又は架橋を開始する遊離基を生成することができるイオン性色素/反応性対イオンの錯体、及び、遊離基連鎖伝搬において酸素を消費することができる自動酸化剤として少なくとも部分的に機能する芳香族ジスルフィドを含む。
【0026】
マイクロカプセルは、任意の周知のカプセル封入技法、例えばコアセルベーション、界面重合、油中の1種又は2種のモノマーの重合などを用いて生成することができる。好適な壁形成剤は当業者に知られており、Kovacs他の米国特許第4,840,866号明細書に言及されている。
【0027】
マイクロカプセルを形成する好ましい様式において、モノマー(例えばトリメチロールプロパントリアシレート、TMPTA)を、シアン色形成剤(Hilton Davis HD-5430)及びカチオン性色素/ホウ酸アニオン錯体(例えば1,1'-ジヘキシル-3,3,3',3'-テトラメチルインドジカルボシアニントリフェニル-n-ブチルボレート)と混合し、これにより「モノマー混合物」を形成する。ジスルフィドは、モノマー混合物中に直接的に溶解することができ、或いは所望の場合には、随意選択の相互溶剤の存在において、付加的な量のモノマーと予混合し、そしてモノマー混合物中に組み込む。別個の容器内で、水性混合物を適切な増粘剤で調製し、そして水性混合物のpHを好適なレベルに調節する。このような水性混合物にモノマー混合物を添加する一方、これら両方をタービンインペラーで混合して乳化が生じるようにする。乳化中、混合物を加熱し、そして尿素、ホルムアルデヒド(37%)、及びレゾルシノールの水溶液を硫酸アンモニウムとともに、所定のインターバルを置いて添加することにより、内相をカプセル封入する。所望の壁厚が得られるまで加熱を持続し、そして硬化後、20% NaOH溶液を使用してpHを約9に調節する。乾燥亜硫酸水素ナトリウムを添加し、そしてマイクロカプセルの分散体を室温まで冷却する。Gottschalk他の米国特許第4,842,980号明細書に、より詳細な説明が見いだされる。所望の場合には、壁は尿素の代わりにメラミンで形成することもできる。
【0028】
チオール出発材料に酸化カップリング反応を施すことにより、米国特許第5,230,982号明細書に記載されたジスルフィドをコンベンショナルに合成することができる。このような合成の例は、Yoneda他「A New Hydrogen-Abstracting Reaction with Diethyl Azodicarboxylate」, Journal of the American Chemical Society, 88:10, 1966; Mukaiyama他「A Convenient Method for the Preparation of Unsymmetrical Disulfides by the Use of Diethyl Azodicarboxylate」, Tetrahedron Letters, 56, 第5907-5908頁, 1968に示される。カップリング反応は、チオール出発材料と強電子受容剤とを反応させることにより行うことができる。ジエチルアゾジカルボキシレートは好ましい電子受容剤である。
【0029】
ジスルフィドは、例えばFloyd D. Stewart及びRoger A. Mathes,による「Synthesis of Derivatives of 4,5-dimethyl-2-mercaptothiazole」J. Org. Chem 14,(1949)に記載されているような置換型2-メルカプトベンゾチアゾールからコンベンショナルに調製される。好適な2-メルカプトベンゾチアゾール誘導体は、所望のハロゲン化スルフェニルと単結合される第1芳香族スルフィド遊離基を提供する。ハロゲン化スルフェニルもまた、Englebert Kuhleによる「One Hundred Years of Sulfenic Acid Chemistry IIb. Substitution and Cyclization of Sulfenzyl Halides」Synthesis(1970)に開示された合成において記載されているように、コンベンショナルに調製される。特に好ましいのは、2-メルカプトベンゾキサゾール(MBO)、6-エトキシ-2-メルカプトベンゾチアゾール(EMBT)及び置換型メルカプトテトラゾールのジスルフィドである。
【0030】
ジスルフィド自動酸化剤に加えて、光開始剤組成物は吸収剤を含む。吸収剤は、化学線を吸収して遊離基を発生させる化合物であるか、又は、輻射線を吸収して共開始剤と反応することにより、遊離基を発生させる化合物である。吸収は、化合物のスペクトル感受性に依存する。
【0031】
吸収剤は、吸収剤としてコンベンショナルに使用されるか、又は吸収剤として有用であることが当業者に知られている化合物を含む。これらの吸収剤は、(i)イオン性色素錯体、具体的にはカチオン性色素-ホウ酸塩化合物;(ii)アリールベンゾフェノン、例えば4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、4,4'-ジクロロベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンズアントロン、9-フルオレノン;(iii)キサントン、例えばキサントン、2-メチルキサントン、2-ドデシルキサントン、など;(iv)チオキサントン、例えばチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-ドデシルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、など;(v)ケトクマリン、例えば3-シナモイル-7-ジエチルアミノクマリン;(vi)キノン、例えばフェナントレンキノン;及び(vii)2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパノン-1のような化合物を含む。
【0032】
これらの吸収剤の間で好ましいのは、チオキサントン、フェナントラキノン、モルホリノ化合物、及びケトクマリンである(本発明において有用なケトクマリンの例は、Adair他の米国特許第4,713,312号明細書に開示されている)。
【0033】
感光性材料のための特に好ましい吸収剤は、イオン性色素錯体である。これらの錯体は、一時的な衝突によって発生した遭遇性錯体、エクシプレックス、又はいくつかの光硬化可能な組成物中で遭遇し得る接触イオン対とは対照的に、安定的な非遷移性化合物である。イオン性色素錯体の例は、米国特許第4,772,541号明細書に記載されている。
【0034】
特に有用なイオン性色素錯体は、カチオン性色素-ホウ酸アニオン化合物である。カチオン性色素-ホウ酸アニオン化合物の具体的な例は、米国特許第4,772,541号明細書に示されている。有用な色素がホウ酸アニオンと一緒に、光被還元性であるがしかし暗安定的な錯体を形成し、そしてカチオン性メチン、ポリメチン、トリアリールメタン、インドリン、チアジン、キサンテン、オキサジン及びアクリジン色素であることが可能である。より具体的には、色素は、カチオン性シアニン、カルボシアニン、ヘミシアニン、ローダミン及びアゾメチン色素であってよい。カチオン性であることに加えて、色素は、錯体を中和又は感受性減少するような、又は錯体の暗安定性を悪化させるような基を含有するべきではない。有用なカチオン性色素の具体例はMethylene Blue、Safranine O、及びMalachite Greenである。具体的に好ましいホウ酸アニオンは、トリフェニル-ブチルボレート、トリフェニルベンジルボレート、トリフェニルセクトイルボレート、トリフェニルネオペンチルボレート、及びトリアニシルブチルボレートである。なぜならば、これらはトリアリールボラン及びアルキル又はアラルキル基に容易に解離するからである。他方において、テトラブチルボレートアニオンは、どうしても良く作業しない。なぜならば、テトラブチルボレート基は安定的でなく、また電子の逆電子移動において、色素から戻された電子を容易に受容し、そして効率的に解離することがないからである。同様に、テトラフェニルボレートアニオンは極めて乏しい。なぜならば、フェニル基は容易には形成されないからである。
【0035】
前述の化合物に加えて、光開始剤組成物中に、(ジアルキルアニリンの性質に応じて)共開始剤又は共酸化体としてN,N-ジアルキルアニリン化合物を含むことが望ましい場合もある。本発明において有用なN,N-ジアルキルアニリンの代表例は、4-シアノ-N,N-ジメチルアニリン、4-アセチル-N,N-ジメチルアニリン、4-ブロモ-N,N-ジメチルアニリン、エチル4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンゾエート、3-クロロ-N,N-ジメチルアニリン、4-クロロ-N,N,N-ジメチルアニリン、3-エトキシ-N,N-ジメチルアニリン、4-フルオロ-N,N-ジメチルアニリン、4-メチル-N,N-ジメチルアニリン、4-エトキシ-N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチルチオアニシジン、4-アミノ-N,N-ジメチルアニリン、3-ヒドロキシ-N,N-ジメチルアニリン、N,N,N',N'-テトラメチル-1,4-ジアニリン、4-アセトアミド-N,N-ジメチルアニリンなどである。
【0036】
より好ましいN,N-ジメチルアニリンの例は、下記基:メチルエチル、イソプロピル、t-ブチル、3,4-テトラメチレン、フェニル、トリフルオロメチル、アセチル、エトキシカルボニル、カルボキシ、カルボキシレート、トリメチルシリルメチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメチルゲルマニル、トリエチルゲルマニル、トリメチルスタニル、トリエチルスタニル、n-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、フェノキシ、ヒドロキシ、アセチルオキシ、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピル-チオ、チオ-(メルカプト-)、アセチルチオ、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードによってオルト、メタ又はパラ位置で置換されたジアルキルアニリンである。共開始剤として有用なN,N-ジアルキルアニリンの例は、エチル-p-(ジメチルアミノ)ベンゾエート(EPD)、2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)-ベンゾエート、及びエチルo-(ジメチルアミノ)-ベンゾエートである。オルト位置で1つ又は2つのアルキル基と置換されたN,N-ジアルキルアニリンがしばしば良好な自動酸化剤である。共酸化体として典型的に有用なN,N-ジアルキルアニリンの例は、2,6-ジイソプロピル-N,N-ジメチルアニリン、2,6-ジエチル-N,N-ジメチルアニリン、N,N,2,4,6-ペンタメチルアニリン及びp-t-ブチル-N,N-ジメチルアニリンである。
【0037】
米国特許第5,230,982号明細書によれば、ジスルフィドは、カチオン性色素/アニオン性ホウ酸吸収剤及びN,N-ジエチルアニリンとの組み合わせにおいて、具体的には、オルト位置で1つ又は2つのアルキル基と置換されたN,N-ジメチルアニリンとの組み合わせにおいて使用されると、特に良好な自動酸化体として作用する。カチオン性色素-アニオン性ホウ酸吸収剤と関連してチオール-アニリン共酸化剤を使用することが提案されているが、しかし60℃を上回る温度でホウ酸アニオンが枯渇することによって問題が生じる。チオール基の酸性水素の存在が、炭素-ホウ素結合を攻撃することによって、ホウ酸イオンと望ましくなく反応するという仮説が立てられる。このことは、遊離基を発生させるために利用可能なホウ酸アニオン量を枯渇させる。結果として、光開始剤組成物の効率は著しく低減される。自動酸化剤として単純なチオールの代わりにジスルフィド化合物を使用することによって、単一のチオールと連携する酸性水素原子が排除される。従って、ジスルフィド化合物はホウ酸アニオンを攻撃することはなく、そのようなものとして、遊離基を発生させるために利用可能なホウ酸塩の量は枯渇しない。このように、自動酸化剤としてジスルフィド化合物を使用することにより、光開始剤化合物の効率を最大化することができる。
【0038】
光開始剤組成物は、化学線による露光時に組成物を硬化させるのに十分な量で、より好ましくは、低いフィルム感度を提供するのに十分な量で光硬化可能な組成物中に組み込まれる。典型的な組成物は、遊離基重合可能又は架橋可能な化合物100部当たり最大約1部の吸収剤、より好ましくは遊離基重合可能又は架橋可能な化合物100部当たり約0.5〜1.5部の吸収剤を含有する。比は、当業者に明らかなように、選択された化合物、吸収剤の減衰係数などに依存する。
【0039】
米国特許第5,230,982号明細書による光開始剤系は、重合可能なモノマーを基準として、約1.0〜12重量%のジスルフィドを含有することができる。N,N-ジアルキルアニリンが存在する場合には、これは、重合可能なモノマーを基準として、約1.0〜6重量%の量で使用され、ジスルフィドは、モノマー量を基準として、約0.5〜12重量%の量で使用される。光開始剤組成物は、実質的にいずれの遊離基重合可能な材料との組み合わせでも使用することができる。本発明において有用な遊離基重合可能又は架橋可能な材料の最も典型的な例は、エチレン系不飽和型化合物であり、より具体的には、ポリエチレン系不飽和型化合物である。これらの化合物は、1つ又は2つ以上のエチレン系不飽和型基、例えばビニル又はアリル基を有するモノマー、及び末端基又はペンダント基にエチレン不飽和を有するポリマーの双方を含む。このような化合物は当業者によく知られており、多価アルコール、例えばトリメチロールプロパン、及びペンタエリトリトールなどのアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル;及びアクリレート又はメタクリレートを末端基とするエポキシ樹脂、アクリレート又はメタクリレートを末端基とするポリエステルなどを含む。代表例は、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロペントリアクリレート(TMPTA)、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリトリトールヒドロキシペンタクリレート(DPHPA)、ヘキサンジオール-1,6-ジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレートを含む。
【0040】
このことに縛られたくはないが、光重合可能なモノマーと関連してジスルフィド化合物を使用することは、モノマーを化学線に当てると、より高度に架橋されより高い分子量のポリマーを提供すると考えられる。アニリン又はチオール自動酸化剤を利用する従来の系の場合、化合物は酸素スキャベンジ機能を極めて良好に果たすものの、重合化学反応の効率を低くする傾向がある。アニリン又はチオールが使用されると、これらが連鎖移動剤として機能するという仮説が立てられる。結果として、生成されるポリマーの分子量は比較的低く、物理的完全性の低減を示す。ポリマーが画像形成剤と一緒にカプセル封入されている態様の場合、ポリマーの完全性の低減は、カプセルをより軟質にし、そして加圧時に、不所望の画像形成剤をマイクロカプセルから滲出させるおそれがある。これと比較して、自動酸化剤としてジスルフィド化合物を使用すると、より高度に架橋された、より高い分子量のポリマーが得られ、そしてこれと同時に、より硬質のカプセルが形成されると考えられる。
【0041】
本発明によれば、二次元又は三次元電極アレイ製造方法において使用するためのパターニング可能な薄膜要素は、支持体と、光パターン形成可能な薄膜構造とから成っており、この薄膜構造は、導電性ポリマー粒子と、親水性又は疎水性の塗膜形成バインダー中に分散されたフォトドーピング用組成物とを含む。本発明の薄膜要素は、1つ又は2つ以上の光パターン形成可能な層を含有することができ、このような層は、極めて種々多様な支持体のうちのいずれかに塗被することができる。好適な塗膜形成バインダー中に分散された導電性ポリマー-フォトドーピング用組成物の組み合わせを使用することにより、支持体並びに上層に強力に付着する、パターニング可能な薄い高導電性透明層の調製が可能になる。本発明の導電性層によって提供される導電率は、相対湿度から独立しており、水溶液に暴露した後でも持続する。本発明は、導電性ポリマー(A)と、光硬化可能なマイクロカプセル封入型の組成物中にカプセル封入された導電率改質剤(B)と、高分子バインダーとの溶液混合物を提供する。本発明の好ましい態様は、導電性ポリマー(A)と、光硬化可能なマイクロカプセル封入型の組成物中にカプセル封入された導電率改質剤(B)と、親水性高分子バインダーとの水性混合物を提供する。
【0042】
これらの水性配合物は、基板に薄い層として塗布することができ、そして乾燥させることにより、光パターン形成可能な薄膜電極要素に変換することができる。
【0043】
好ましい導電性ポリマー(A)は、ポリピロール/ポリ(スチレンスルホン酸)、3,4-ジアルコキシ置換型ポリピロールスチレンスルホネート、及び3,4-ジアルコキシ置換型ポリチオフェンスチレンスルホネートを含む。特に好ましい導電性ポリマーは、式(I):
【0044】
【化1】

【0045】
のポリチオフェンであり、上記式中、nは5〜1000であり、そしてR1及びR2はそれぞれ独立して、水素又は炭素原子数1〜4の置換型又は無置換型アルキル基であり、或いは一緒になって、置換型又は無置換型基、又は置換型又は無置換型の1,2-シクロヘキシレン基である。
【0046】
本発明の導電率増強ドーパント(B-1)は:
(a)下記式II:
(OH)n−R−(COX)m
II
(上記式中、m及びnは独立して1〜20の整数であり、Rは炭素原子数2〜20のアルキレン基、当該アリーレン鎖内炭素原子数6〜14のアリーレン基、ピラン基又はフラン基であり、そしてXは、-OH又は-NYZであり、Y及びZは独立して水素又はアルキル基である)によって表されるか;又は
(b)糖、糖誘導体、ポリアルキレングリコール、又はグリセロール化合物であるか;又は
(c)N-メチルピロリドン、ピロリドン、カプロラクタム、N-メチルカプロラクタム、又はN-オクチルピロリドンから成る群から選択される。
【0047】
ラクタム基を含有する好適な有機化合物の例は、N-メチルピロリドン、ピロリドン、カプロラクタム、N-メチルカプロラクタム、又はN-オクチルピロリドンである。好ましい基Rは、フラン構造又はピラン構造から誘導される。
【0048】
特に好ましい有機化合物(B-1)は:糖及び糖誘導体、例えばスクロース、グルコース、フルクトース、ラクトース;糖アルコール、例えばソルビトール、マンニトール;フラン誘導体、例えば2-フランカルボン酸、3-フランカルボン酸;アルコール、例えばエチレングリコール、グリセロール、ジ-又はトリエチレングリコールである。
【0049】
本発明の導電率低下ドーパント(B-2)は、ClO-、BrO-、MnO4-、Cr2O7-2、S2O8-2、及びH2O2から成る群から選択された酸化体を含む。酸化体ドーパントに暴露された導電性層の領域は非導電性にされる。
【0050】
本明細書による上記光パターン形成可能な薄膜配合物を調製する方法は、1種又は2種以上の導電性高分子材料の安定的な水性コロイド分散体を調製することを含む。このようなコロイド分散体は、1種以上の光硬化可能なマイクロカプセル封入型ドーパント分散体、1種又は2種以上の高分子塗膜形成バインダー、増粘剤、及びその他の添加剤と組み合わされ、そして光パターン形成可能な薄膜要素内に組み込まれる。
【0051】
導電性ポリマー粒子は、水性塗被用組成物から塗被することができる。ポリマーは導電性ポリマー、例えば置換型又は無置換型のピロール含有ポリマー(米国特許第5,665,498号及び同第5,674,654号の各明細書に述べられている)、置換型又は無置換型のチオフェン含有ポリマー(米国特許第5,300,575号、同第5,312,681号、同第5,354,613号、同第5,370,981号、同第5,372,924号、同第5,391,472号、同第5,403,467号、同第5,443,944号、同第5,575,898号、同第4,987,042号、及び同第4,731,408号の各明細書に述べられている)、及び置換型又は無置換型のアニリン含有ポリマー(米国特許第5,716,550号、同第5,093,439号、及び同第5,070,189号の各明細書に述べられている)のうちのいずれか、又は組み合わせから選択することができる。
【0052】
導電性ポリマーは、有機溶剤又は水又はこれらの混合物中に可溶性又は分散可能であってよい。環境上の理由から、水性系が好ましい。これらの導電性ポリマー中に使用されるポリアニオンは、高分子カルボン酸、例えばポリアクリル酸、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(マレイン酸)、及び高分子スルホン酸、例えばポリスチレンスルホン酸及びポリビニルスルホン酸のアニオンを含み、高分子スルホン酸が本発明における使用にとって好ましい。これらのポリカルボン酸及びポリスルホン酸は、他の重合可能なモノマー、例えばアクリル酸とスチレンとのエステルと共重合されたビニルカルボン酸モノマー及びビニルスルホン酸モノマーから形成されたコポリマーであってもよい。ポリアニオンを提供するポリ酸の分子量は、好ましくは1,000〜2,000,000であり、より好ましくは2,000〜500,000である。ポリ酸及びこれらのアルカリ塩は、例えばポリスチレンスルホン酸及びポリアクリル酸として一般に入手可能であり、或いは周知の方法を用いて製造することもできる。導電性ポリマー及びポリアニオンを形成するために必要となる遊離酸の代わりに、ポリ酸のアルカリ塩と適量のモノ酸との混合物を使用することもできる。
【0053】
好ましい導電性ポリマーは、ポリピロール/ポリ(スチレンスルホン酸)、3,4-ジアルコキシ置換型ポリピロールスチレンスルホネート、及び3,4-ジアルコキシ置換型ポリチオフェンスチレンスルホネートを含む。
【0054】
マイクロカプセル封入型感光性組成物を採用する光硬化可能な画像形成系は、米国特許第4,399,209号、同第4,416,966号、同第4,440,846号、同第4,766,050号、同第5,783,353号、及び同第5,916,727号の各明細書を含む種々の特許の主題である。例えば米国特許第4,740,809号明細書に開示されている画像形成デバイス(プリンターとも呼ばれる)の場合、感光性記録媒体を横切って複数の色のための光源から光をガイドすることにより、露光が生じる。米国特許第4,992,822号明細書に開示された画像形成デバイスは、感光性記録媒体内の同じ画素を繰り返し露光するために、ポリゴンミラーを介して複数の色を生成することができる。米国特許第5,893,662号明細書に開示された画像印刷用デバイスの場合、デバイスはコンピュータベイ内に組み込むことができる。米国特許第4,648,699号明細書に記載された現像技法は、ニップローラー対の代わりに、感光性記録媒体に対して相対運動する点接触球体を採用する。
【0055】
最も典型的な態様の場合、光硬化可能な組成物は、ポリエチレン系不飽和型化合物及び光開始剤を含む光重合可能な組成物であり、パターン形成剤と一緒にカプセル封入される。化学線で露光することにより、マイクロカプセルの内相が硬化される。次いで上述のように、露光に続いて、加圧ローラー対の間のニップにシートを通すことにより、シートの形態の画像形成媒体に均一な破裂力を加えることができる。
【0056】
電極パターンを形成する際に、本発明の導電性ポリマーの導電率を増強又は低下させる導電率改質剤、及び光開始剤を、マイクロカプセルの内相中にカプセル封入し、導電性ポリマー分散体及びバインダーの溶液と混合することにより、パターニング可能な電極要素の製作のための塗被用配合物が調製される。
【0057】
導電性ポリマー粒子と光硬化可能なマイクロカプセル封入型の導電率改質剤との組み合わせは、種々の光パターン形成可能な配合物中でバインダーなしで使用することができるが、好ましくはこれらは1種又は2種以上の親水性高分子塗膜形成バインダー中に分散される。このような態様の場合、導電性ポリマーの体積分率は好ましくは、ポリマー粒子/バインダー分散体の重量の約5〜95%である。好ましくは、ポリマー粒子の重量%は、約10〜約90%である。約5重量%を著しく下回るポリマー粒子を使用すると、有用な表面導電率レベルが提供されなくなる。ポリマー粒子と塗膜形成ポリマーバインダーの最適な容積比は、ポリマーの電気的特性、バインダーのタイプ、導電率改質剤のタイプ、及び特定の薄膜電極材料の導電率要件に応じて変化する。パターニング可能な電極要素内で導電性ポリマーと一緒に使用されるように特定の導電率改質剤を選択することは、本発明によってもたらされる利益にとって有利である。導電率改質剤と導電性ポリマーとの組み合わせを最適化することにより、最大又は最小の導電率レベルを提供することができる。
【0058】
本発明による導電性のパターニング可能な薄膜層において有用な高分子塗膜バインダーの一例としては、水溶性又は水分散性の親水性ポリマー、ゼラチン、ゼラチン誘導体、無水マレイン酸コポリマー、セルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、ジアセチルセルロース、及びトリアセチルセルロース)、合成親水性ポリマー(例えばポリビニルアルコール、ポリ-N-ビニルピロリドン、アクリル酸コポリマー、ポリアクリルアミド、これらの誘導体及び部分加水分解生成物、ビニルポリマー及びコポリマー、例えばポリビニルアセテート及びポリアクリレート酸エステル)、上記ポリマーの誘導体、及び画像形成の当業者には容易に明らかな他の親水性合成樹脂が挙げられる。他の好適なバインダーは、エチレン系不飽和型の重合可能モノマー、例えばアクリル酸を含むアクリレート、メタクリル酸を含むメタクリレート、アクリルアミド及びメタクリルアミド、イタコン酸及びその半エステル及びジエステル、置換型スチレンを含むスチレン、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル、ビニルアセテート、ビニルエーテル、ハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン、及びオレフィンから調製された付加型のホモポリマー及びインターポリマーの水性エマルジョン、及びポリウレタン又はポリエステルイオノマーの水性分散体を含む。本発明の実施においては、ゼラチン及びゼラチン誘導体が好ましいバインダーである。
【0059】
本発明の方法によって光パターン形成可能な薄膜の分散体及び塗膜を調製するのに有用な溶剤の一例としては、水、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、及びイソプロパノール)、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン)、エステル、例えばメチルアセテート及びエチルアセテート、グリコールエーテル、例えばメチルセルソルブ、エチルセルソルブ)、及びこれらの溶剤のうちのいずれかの混合物が挙げられる。好ましい溶剤は水、アルコール及びアセトンを含む。
【0060】
バインダー及び溶剤に加えて、当業者によく知られたその他の成分を、本発明において使用される光パターン形成可能な薄膜内に含むこともできる。このような添加物の一例としては、艶消し剤、界面活性剤又は塗被助剤、寸法安定性を改善するためのポリマーラティス、増粘剤又は粘度改質剤、硬膜剤又は架橋剤、可溶性静電防止剤、可溶性及び/又は固形粒子色素、滑剤、及び当業者に容易に明らかな種々のその他のコンベンショナルな添加剤が挙げられる。
【0061】
導電性ポリマー粒子、導電率改質剤を含有する光硬化可能なマイクロカプセル封入型粒子、高分子バインダー、及び添加剤から成るコロイド分散体は、可撓性又は剛性の支持体に塗布することができる。可撓性支持体は本発明の好ましい態様である。典型的な可撓性フィルム支持体が好ましく、その一例としては、セルロースニトレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、ポリ(ビニルアセタール)、ポリ(カーボネート)、ポリ(スチレン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート)、及びフィルム支持体の調製時に使用されるイソフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸又は4,4-ビフェニルジカルボン酸の一部を内部に含むポリ(エチレンナフタレート);ポリエステル{他のグリコール、例えばシクロヘキサンジメタノール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールが採用される)、米国特許第5,138,024号明細書(参考のため本明細書中に引用する)に記載されたイオノマー(例えば5-ナトリウムスルホ-1,3-イソフタル酸の形の二価酸の一部を使用して調製されたポリエステルイオノマー、又は同様のイオン含有モノマー)、ポリカーボネート、及び上記ポリマーのブレンド又はラミネートが挙げられる。好ましい写真フィルム支持体は、セルロースアセテート、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)であり、最も好ましくは2,6-ナフタレンジカルボン酸又はこれらの誘導体から調製されるポリ(エチレンナフタレート)である。
【0062】
好適な支持体は、用途に応じて透明又は不透明であってよい。透明フィルム支持体は、無色であるか、或いは色素又は顔料を添加することによって着色することができる。フィルム支持体は、コロナ放電、グロー放電、UV照射、火炎処理、eビーム処理、又はジクロロ-及びトリクロロ酢酸、フェノール誘導体、例えばレゾルシノール及びp-クロロ-m-クレゾールを含む接着力促進剤による処理、溶剤洗浄を含む種々の方法によって表面処理することができ、又は、接着力促進プライマー、又はポリマー、例えば塩化ビニリデン含有コポリマー、ブタジエン系コポリマー、グリシジルアクリレート又はメタクリレート含有コポリマー、無水マレイン酸含有コポリマー、縮合ポリマー、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、及びこれらの混合物及びブレンドを含有する中間層を、フィルム支持体にオーバーコートすることができる。他の好適な不透明な、又は反射性の支持体は、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びエチレン-ブチレンコポリマーをコーティング又はラミネートされた紙を含むポリマーコート紙、合成紙、及び顔料含有ポリエステルである。これらの支持体材料のうち、セルローストリアセテート、ポリ(エチレンテレフタレート)、及び2,6-ナフタレンジカルボン酸又はこれらの誘導体から調製されるポリ(エチレンナフタレート)が好ましい。
【0063】
支持体の厚さは特に重要ではない。本発明の材料に一般に好適な支持体の厚さは、0.50〜10ミル(50 μm〜254 μm)である。
【0064】
導電性ポリマーと、光硬化可能なマイクロカプセル封入型の導電率改質剤と、高分子バインダーとを含有する配合物は、適切なレベルの随意選択の分散助剤、コロイド安定剤、又は高分子共バインダーの存在において、種々の機械的な撹拌法、混合法、均質化法又はブレンド法のいずれかによって調製することができる。好適な導電性ポリマー粒子の安定的なコロイド分散体を、商業的に入手することができ、例えばBayer Corporationによって提供されるチオフェン含有ポリマーの安定化分散体をBaytron Pとして入手することができる。
【0065】
導電性ポリマー粒子と、光硬化可能なマイクロカプセル封入型の導電率改質剤と、バインダーと、添加剤とを含有する分散体を含む配合物は、よく知られた種々の塗被法のいずれかによって、上述の支持体に塗布することができる。手による塗被技法は、塗被用ロッド又はナイフ又はドクターブレードを使用することを含む。機械による塗被技法は、エアドクター塗布、リバースロール塗布、グラビア塗布、カーテン塗布、ビード塗布、スライドホッパー塗布、押出し塗布、スピンコーティング塗布など、及び当業者によく知られた他の塗布法を含む。
【0066】
光パターン形成可能な配合物は、具体的な画像形成要素タイプの特定の要件に応じて任意の好適な被覆率で、支持体に塗布することができる。例えば、光パターン形成可能な薄膜における好ましい導電性ポリマー粒子分散体の乾燥塗被重量は好ましくは、約0.002〜約0.5 g/m2の範囲にある。より好ましい乾燥被覆率は、約0.003〜約0.1 g/m2の範囲にある。
【0067】
本発明の方法によって形成された電極は典型的には、1 × 1010オーム/□未満、好ましくは1 × 107オーム/□未満、そしてより好ましくは1 × 104オーム/□未満の表面抵抗率(20%相対湿度及び20℃で)を示す。
【0068】
本明細書に記載された光パターン形成可能な電極要素は、具体的な用途の要件に応じて、種々の形態のいずれかで多層構造内に組み込むことができる。光パターン形成可能な薄膜電極要素は、支持体のいずれかの側又は両側に塗布することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に導電性パターンを形成する要素であって、該要素は支持体を含み、該支持体上には、1つ又は2つ以上の光パターン形成可能な導電性層が配置されており、
各光パターン形成可能な層が:
a)導電性ポリマー及び随意選択のバインダーと;
b)導電率増強改質剤又は導電率低下改質剤を含有するマイクロカプセル封入型の光硬化可能粒子と
を含み、該マイクロカプセル封入型の光硬化可能粒子が、該導電性ポリマーに極めて近接している。
【請求項2】
基板上に導電性パターンを形成する要素であって、該要素は支持体を含み、該支持体上には、
a)導電性ポリマー及び随意選択の高分子バインダーを含む1つ又は2つ以上の導電性層と;
b)1つ以上の光パターン形成可能な層と
が配置されており、
各光パターン形成可能な層が、導電率増強改質剤又は導電率低下改質剤を含有するマイクロカプセル封入型の光硬化可能粒子を含み、該光硬化可能層が、該導電性層に極めて近接している。
【請求項3】
二次元又は三次元電極アレイ製作法に使用するための、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項4】
さらに1つ又は2つ以上の非導電性補助層を含む、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項5】
該導電率改質剤が、自動酸化剤を含有する感光性の遊離基付加重合可能な組成物を含むカプセル内に含有されている、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項6】
該重合可能な組成物が、遊離基付加重合可能な化合物又は架橋可能な化合物;化学線を吸収することができる、イオン性色素と反応性対イオンとの錯体;及びジスルフィドを含む、請求項5に記載の要素。
【請求項7】
該カプセルの平均直径が0.1〜25ミクロンである、請求項5に記載の要素。
【請求項8】
該バインダーがゼラチン又は改質ゼラチンである、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項9】
該導電率増強改質剤が:
(a)下記式II:
(OH)n−R−(COX)m
II
(上記式中、m及びnは独立して1〜20の整数であり、Rは炭素原子数2〜20のアルキレン基、当該アリーレン鎖内炭素原子数6〜14のアリーレン基、ピラン基又はフラン基であり、そしてXは、-OH又は-NYZであり、Y及びZは独立して水素又はアルキル基である)によって表されるか;又は
(b)糖、糖誘導体、ポリアルキレングリコール、又はグリセロール化合物であるか;又は
(c)N-メチルピロリドン、ピロリドン、カプロラクタム、N-メチルカプロラクタム、又はN-オクチルピロリドンから成る群から選択される、
請求項1又は2に記載の要素。
【請求項10】
前記導電率増強改質剤が、N-メチルピロリドン、ピロリドン、カプロラクタム、N-メチルカプロラクタム、N-オクチルピロリドン、スクロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、糖アルコール、2-フランカルボン酸、3-フランカルボン酸、ソルビトール、グリコール、エチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、又はトリエチレングリコール、又はこれらの化合物のうちのいずれか2種又は3種以上の混合物である、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項11】
該導電率増強改質剤が、N-メチルピロリドン、ピロリドン、カプロラクタム、N-メチルカプロラクタム、又はN-オクチルピロリドンである、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項12】
該導電率増強改質剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、又はグリセロールである、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項13】
該導電率低下改質剤が、ClO-、BrO-、MnO4-、Cr2O7-2、S2O8-2、及びH2O2から成る群から選択された酸化体を含む、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項14】
該導電性ポリマー粒子が、ポリアニオンを有するカチオン形態で存在するポリチオフェンを含み、前記ポリチオフェンが、下記式I:
【化1】

(上記式中、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素又はC1-C4アルキル基を表し、或いは一緒になって、随意選択的に置換されたC1-C4アルキレン基又はシクロアルキレン基、好ましくはエチレン基、随意選択的にアルキル置換されたメチレン基、随意選択的にC1-C12アルキル-又はフェニル置換された1,2-エチレン基、1,3-プロピレン基、又は1,2-シクロヘキシレン基を表し、そしてnは5〜1000である)によって定義される反復単位を含む、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項15】
導電性ポリマーと、導電率増強改質剤又は導電率低下改質剤を含有するマイクロカプセル封入型の光硬化可能粒子と、随意選択の高分子バインダーとを含む基板上に導電性パターンを形成する方法であって、該方法は:
a)該要素に化学線による像様露光を施して、該化学線露光によって該マイクロカプセルの内相を硬化させ;
b)該露光済要素に均一な破裂力を加えて、該破裂力によって、硬化されていないマイクロカプセルから導電率改質剤を放出させることにより、該導電率改質剤によって接触させられた領域内の抵抗率が10倍以上増大するか、又は10分の1以下に減少し;そして随意選択的に、
c)該基板を加熱して、形成された導電性パターンを定着させる
工程を含んで成る。
【請求項16】
基板上に導電性パターンを形成する方法であって、該方法は:
a)導電率増強改質剤又は導電率低下改質剤を含有するマイクロカプセル封入型の光硬化可能粒子と、随意選択の高分子バインダーとを含む第1基板に、化学線による像様露光を施し、該化学線露光によって該マイクロカプセルの内相を硬化させ;
b)該露光済の第1基板を、導電性ポリマーを含む第2基板と接触させ;
c)緊密に接触している該2つの基板に、均一な破裂力を加えて、該破裂力によって、該第1基板内の硬化されていないマイクロカプセルから、該導電性の第2基板へ、該導電率改質剤を放出させて転移させることにより、該導電率改質剤の転移が発生する領域内の抵抗率が10倍以上増大するか、又は10分の1以下に減少し、そして随意選択的に、
d)該導電性基板を加熱して、形成された導電性パターンを定着させる
工程を含んで成る。
【請求項17】
該導電率改質剤によって接触させられた領域内の抵抗率が、100倍以上増大するか、又は100分の1以下に減少する、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
該導電率改質剤によって接触させられた領域内の抵抗率が、1000倍以上増大するか、又は1000分の1以下に減少する、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項19】
該導電率改質剤が、
(a)下記式II:
(OH)n−R−(COX)m
II
(上記式中、m及びnは独立して1〜20の整数であり、Rは炭素原子数2〜20のアルキレン基、当該アリーレン鎖内炭素原子数6〜14のアリーレン基、ピラン基又はフラン基であり、そしてXは、-OH又は-NYZであり、Y及びZは独立して水素又はアルキル基である)によって表されるか;又は
(b)糖、糖誘導体、ポリアルキレングリコール、又はグリセロール化合物であるか;又は
(c)N-メチルピロリドン、ピロリドン、カプロラクタム、N-メチルカプロラクタム、又はN-オクチルピロリドンから成る群から選択される、
請求項15又は16に記載の方法。
【請求項20】
前記導電率増強改質剤が、N-メチルピロリドン、ピロリドン、カプロラクタム、N-メチルカプロラクタム、N-オクチルピロリドン、スクロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、糖アルコール、2-フランカルボン酸、3-フランカルボン酸、ソルビトール、グリコール、エチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、又はトリエチレングリコール、又はこれらの化合物のうちのいずれか2種又は3種以上の混合物である、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項21】
該導電率増強改質剤が、N-メチルピロリドン、ピロリドン、カプロラクタム、N-メチルカプロラクタム、又はN-オクチルピロリドンである、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項22】
該導電率増強改質剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、又はグリセロールである、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項23】
該導電率低下改質剤が、ClO-、BrO-、MnO4-、Cr2O7-2、S2O8-2、及びH2O2から成る群から選択された酸化体を含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項24】
n及びmが互いに独立して整数2〜8を意味する、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
該導電率増強化合物が、スクロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、2-フランカルボン酸、3-フランカルボン酸、エチレングリコール、グリセロール、ジ-又はトリエチレングリコールである、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項26】
該光硬化可能粒子中の導電率改質剤の濃度が、該光硬化可能粒子の重量を基準として0.01〜30wt %である、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項27】
該光硬化可能粒子中の導電率改質剤の濃度が、該光硬化可能粒子の重量を基準として0.5〜10wt %である、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項28】
該光硬化可能粒子中の導電率改質剤の濃度が、該光硬化可能粒子の重量を基準として0.5〜5wt %である、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項29】
該光硬化可能粒子の粒子サイズが、0.05ミクロン〜20ミクロンである、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項30】
該光硬化可能粒子の粒子サイズが、0.1ミクロン〜2.0ミクロンである、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項31】
該導電性ポリマーを含有する層が、乾燥塗被重量10〜1000 mg/m2の該導電性ポリマーを含有する、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項32】
該導電性ポリマーを含有する層が、乾燥塗被重量20〜500 mg/m2の該導電性ポリマーを含有する、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項33】
該導電性ポリマーが、置換型又は無置換型のピロール含有ポリマー、置換型又は無置換型のチオフェン含有ポリマー、又は置換型又は無置換型のアニリン含有ポリマーである、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項34】
該導電性ポリマーを含有する該層が:
a) 式Iに従うポリチオフェン
【化2】

(上記式中、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素又はC1-C4アルキル基を表し、或いは一緒になって、随意選択的に置換されたC1-C4アルキレン基又はシクロアルキレン基、好ましくはエチレン基、随意選択的にアルキル置換されたメチレン基、随意選択的にC1-C12アルキル-又はフェニル置換された1,2-エチレン基、1,3-プロピレン基、又は1,2-シクロヘキシレン基を表し、そしてnは5〜1000である);
b) ポリアニオン化合物;及び随意選択的に、
c) 塗膜形成高分子バインダー
を含有する混合物を含む、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項35】
該ポリアニオンが、高分子カルボン酸のアニオンである、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項36】
該ポリアニオンが、ポリアクリル酸、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(マレイン酸)、又は高分子スルホン酸である、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項37】
該ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸又はポリビニルスルホン酸である、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項38】
該塗膜形成高分子バインダーが、該導電性ポリマーを含有する該層の5〜95 wt%を含む、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項39】
該塗膜形成高分子バインダーがゼラチン又はゼラチン誘導体である、請求項1又は2に記載の要素。

【公表番号】特表2007−503698(P2007−503698A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524767(P2006−524767)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/027296
【国際公開番号】WO2005/021597
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】