説明

導電性ローラ

【課題】 電子写真方式の画像形成装置用ローラにおいて、導電性シャフト周りに設けられた弾性層とその外周に設けられた被覆層からなる導電性ローラが他部材と接触する際に、短時間で接触した部分の凹みを解消し、かつトナーへのストレスを軽減することが可能な低硬度低圧縮歪みの導電性ローラの要望されていた。
【解決の手段】金属支持部材外周面上に形成された、(A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する有機重合体と、(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)イオン導電剤を必須とする弾性層と、被覆層より構成される導電性ローラにおいて、厚さ150μmのブレードを線圧40g/cmで導電性ローラ表面に押し当てた状態で、40℃、95%RHの環境に28日間放置後、導電性ローラ表面に生じた歪み量が2μm以下である導電性ローラにより前記課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ、これらの複合OA機器等の電子写真方式を利用した画像形成装置に組み込まれる導電性ローラの技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前記技術分野におけるローラは、電子写真方式の帯電ローラ、現像ローラ及び定着ローラ等の用途で使用されており、それぞれの用途に対して、要求特性は異なっている。例えば、非磁性一成分接触現像方式で使用される現像ローラにおいては、環境に対する依存性が少ないこと、トナーの離型性に優れていること等の特性が必要とされている。これらの要求を満たすために、少なくとも1つのアルケニル基を含有するオキシアルキレン系重合体、少なくとも2つのヒドロシリル基を持つ化合物及びヒドロシリル化触媒からなる硬化性組成物を弾性層とし、ウレタン、ナイロン等の樹脂を表面層とするローラが開示されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このようなローラの中でも特に、接触方式に採用されるローラにおいては、他部材と接触してローラ表面が変形することから、変形回復力の高い、即ち低圧縮歪みの物性を持つゴム材料が求められている(特に長時間接触した状態で停止していた後の変形回復力が問題となることがある)。ローラ表面の変形が回復しなければ、凹んだ部分に多くのトナーが入り込むため、変形した部分の画像濃度が濃くなる。
【0004】
また、非磁性方式では静電力でトナーを搬送する必要があるため、ローラには導電性が求められる。導電性が十分でない場合は、画像形成に必要なトナーが帯電されず白抜け等の問題が生じる。ローラに導電性を付与する方法としては、一般的に導電性カーボンブラックを配合する方法が用いられている。導電性カーボンブラックは、カーボンブラックの補強効果もあり、導電性ローラの硬度が高くなることにより、トナーへのストレスが大きくなり、画像不良が問題となる。さらに、弾性層中の導電性カーボンブラックが占める割合が大きくなるため、弾性特性、すなわち、圧縮歪みも悪くなる傾向が見られる。
【特許文献1】特開平7−333915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる実状を鑑みてなされたものであり、電子写真方式に組み込まれるローラに必要な導電性と、長時間他部材と接触する導電性ローラに必要な低歪み低硬度を実現する導電性ローラを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決するために、鋭意研究を重ね、金属支持部材、該支持部材外周面上に形成された、(A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する有機重合体と、(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)イオン導電剤、を必須成分とする弾性層、および、その外周面上に形成される、少なくとも1層以上からなる被覆層より構成される導電性ローラにおいて、厚さ150μmのブレードを線圧40g/cmで導電性ローラ表面に押し当てた状態で、40℃、95%RHの環境に28日間放置後、導電性ローラ表面に生じた歪み量が2μm以下であることを特徴とする導電性ローラを用いて、電子写真方式に組み込まれるローラに必要な十分な導電性と、長時間他部材と接触する導電性ローラに必要な低歪み低硬度を実現することを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、金属支持部材、該支持部材外周面上に形成された、(A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する有機重合体と、(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)イオン導電剤、を必須成分とする弾性層、および、その外周面上に形成される、少なくとも1層以上からなる被覆層より構成される導電性ローラにおいて、厚さ150μmのブレードを線圧40g/cmで導電性ローラ表面に押し当てた状態で、40℃、95%RHの環境に28日間放置後、導電性ローラ表面に生じた歪み量が2μm以下であることを特徴とするものである。
【0008】
1つの実施形態では、導電性ローラのASKER−C硬度が20〜60°の範囲であることが好ましい。
【0009】
1つの実施形態では、(A)成分の重合体中、ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基が分子末端に含有されてなることが好ましい。
【0010】
1つの実施形態では、前記(A)成分の有機重合体がオキシアルキレン系重合体であることが好ましい。
【0011】
1つの実施形態では、前記(D)成分の有機リチウム塩であることが好ましい。
【0012】
1つの実施形態では、前記弾性層中に、(E)非導電性粒子を添加することが好ましい。
【0013】
1つの実施形態では、前記被覆層がウレタン結合を有する化合物からなることが好ましい。
【0014】
1つの実施形態では、前記弾性層表面にプライマー処理した後、被覆層を形成することが好ましい。
【0015】
1つの実施形態では、前記導電性ローラが非磁性一成分接触現像方式の現像ローラとして使用されることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の導電性ローラを用いれば、電子写真方式に組み込まれるローラに必要な十分な導電性と、低硬度かつ低圧縮歪みという全ての特性を満足することが可能となり、例えば、非磁性一成分接触現像方式において、トナーの帯電不足による白抜け、他部材と長時間接触した際に生じる凹みによる画像不良、及び、硬度が低いことによるトナーへのストレスを改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の導電性ローラを模式的に表した図である。本発明の導電性ローラは、金属支持部材1上に弾性層2が形成され、さらに弾性層2の上に表面層3が形成されている。
【0019】
本発明の導電性ローラの金属支持部材としては、直径が1mm〜20mm程度であり、ステンレス鋼、鉄にメッキを施したものあるいはアルミニウムシャフト、円筒形状のアルミニウム素管を機械加工により仕上げたドラムや、ステンレス板を円筒形状に曲げて作製しこれらのつなぎ部分をレーザ加工により溶接したシームレスロールとしたものを例として挙げることができる。金属支持部材に要求される機能は、導電性弾性層および表面層を支持し所定の形状を維持することであり、旋盤加工・研磨加工等の機械加工及び引き抜き加工・絞り加工などの賦形加工により、容易に加工できる材料であれば、その材質や加工方法に制限を受けるものではない。
【0020】
次に本発明の弾性層について説明する。弾性層は(A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する有機重合体と、(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)イオン導電剤を必須成分とするものである。
【0021】
本発明の(A)成分の、分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する有機重合体のアルケニル基とは、ヒドロシリル化反応に対して活性のある炭素−炭素2重結合を含む基であれば特に制限されるものではない。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環式不飽和炭化水素基、メタクリル基等が挙げられる。好適には、下記一般式(1)、
2C=C(R1)−CH2− (1)
(式中、R1は水素原子またはメチル基)で示されるアルケニル基が、硬化性に優れる点で特に好ましい。また、(A)成分は、上記ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を重合体末端に導入されていることが望ましい。このようにアルケニル基が重合体末端にあるときは、最終的に形成される硬化物の有効網目鎖量が多くなり、高強度のゴム状硬化物が得られやすくなるなどの点から好ましい。
【0022】
また、(A)成分の主鎖は任意の重合体から選ぶことができ、特に制限されるものではない。例えば、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ポリオキシアルキレン、ポリシロキサン、ポリスルフィドなどが挙げられる。特に、オキシアルキレン単位からなる重合体は、硬化前に低粘度であるため扱いやすく、また、弾性ローラの用途で使用する場合、硬化物が特に柔軟な構造を持つため、肉厚を薄くしても十分にその弾性効果を発揮するという点で、好ましい。
【0023】
また、本発明の導電性ローラの弾性層を構成する(A)成分として使用される前記オキシアルキレン系重合体とは、主鎖を構成する単位のうち30%以上、好ましくは50%以上がオキシアルキレン単位からなる重合体をいい、オキシアルキレン単位以外に含有される単位としては、重合体製造時の出発物質として使用される、活性水素を2個以上有する化合物、たとえば、エチレングリコール、ビスフェノール系化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどからの単位が挙げられる。なお、オキシアルキレン単位は、一種類である必要はなく、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどからなる共重合体(グラフト重合体も含む)であってもよい。電気特性の環境安定性において、主鎖骨格として比較的吸水性の低いオキシプロピレン単位、またはオキシブチレン単位からなる重合体であることが好ましく、コスト面を考慮すると、オキシプロピレン単位からなる重合体が、特に好ましい。
【0024】
上記のようなポリオキシアルキレン系重合体の分子量としては、数平均分子量(GPC法、ポリスチレン換算)で500〜50,000であることが、その取扱やすさ、硬化後のゴム弾性の点で好ましい。数平均分子量が500未満の場合、この硬化性組成物を硬化させた場合に充分な機械的特性(ゴム硬度、伸び率)などが得られにくくなる。一方、数平均分子量が50,000以上の場合、分子中に含まれるアルケニル基1個あたりの分子量が大きくなったり、立体障害で反応性が落ちたりするため、硬化が不充分になることが多く、また、粘度が高くなりすぎて加工性が悪くなる傾向にある。
【0025】
次に、前記(B)成分である硬化剤は、分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物であれば良いが、分子中に含まれるヒドロシリル基の数が多すぎると、硬化後も多量のヒドロシリル基硬化物中に残存しやすくなり、ボイドやクラックの原因となるため、その数を50個以下に調整するのが好ましく、更には、硬化物のゴム弾性の制御や貯蔵安定性を良好にする観点からは、2〜30個に調整することがより好ましい。尚、本発明において、ヒドロシリル基を1個有するとは、Siに結合するHを1個有することを意味する。よって、SiH2の場合にはヒドロシリル基を2個有することになるが、Siに結合するHは異なるSiに結合する方が、硬化性とゴム弾性の点から好ましい。
【0026】
このような硬化剤の分子量は、成形品の加工性を良好にする観点からは、数平均分子量(Mn)で30,000以下に調整するのが好ましく、更に、上記ベースポリマーとの反応性や相溶性を良好にする観点からはMnで300〜10,000に調整するのがより好ましい。
【0027】
また、以上の硬化剤は、ベースポリマーの凝集力が硬化剤の凝集力に比べて大きいことを考慮すると、相溶性の点でフェニル基含有変性体を有することが重要であり、入手のし易さの点ではスチレン変性体が好適であり、貯蔵安定性の観点からはα−メチルスチレン変性体が好適である。
【0028】
(C)成分であるヒドロシリル化触媒については、特に制限はなく、任意のものが使用できる。具体的に例示すれば、塩化白金酸、白金の単体、アルミナ、シリカ、カ−ボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;白金ービニルシロキサン錯体{例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)m、Pt〔(MeViSiO)4m};白金−ホスフィン錯体{例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34};白金−ホスファイト錯体{例えば、Pt〔P(OPh)34、Pt〔P(OBu)34(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは整数を表す)、Pt(acac)2、また、Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラ−ト触媒も挙げられる。
【0029】
白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33、RhCl3、Rh/Al23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4、等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)2等が好ましい。触媒量としては特に制限はないが、(A)成分中のアルケニル基1molに対して10-1〜10-8molの範囲で用いるのがよい。ヒドロシリル化反応を十分に進行させるには、10-2〜10-6molの範囲で用いるのがさらに好ましい。また、ヒドロシリル化触媒は、一般に高価で腐食性であり、また、水素ガスを大量に発生して硬化物が発泡してしまう場合があるので10-1モル以上用いない方がよい。
【0030】
次に、(D)成分のイオン導電剤について説明する。イオン導電剤としては、イオン伝導機構で導電性を発現できる材料であれば、特に限定するはない。例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、過塩素酸ナトリウムなどの無機ハロゲン化物、第4級アンモニウム塩、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基などを有する有機化合物もしくは重合体、ポリオキシエチレンを含有する化合物、または高分子化合物などの帯電防止剤といった化合物などがあげられる。好適には、(C)成分のヒドロシリル化触媒を失活させない材料が用いられる。さらに、体積抵抗率で108Ω・cm以下の導電性を得るためには、有機リチウム塩であることが好ましく、例えば、CF3CO2Li、CF3SO3Li、(CF3SO2)2NLi、C6H5SO3Liなどが挙げられる。
【0031】
(E)成分の非導電性粒子とは、主に(A)〜(D)成分の機械強度、破断伸びの物性を上げるために用いられる。機械強度、破断伸びの小さい脆いゴム材料では、例えば、ローラ弾性層を金型内で成形した後、金型からローラを離型する際に弾性層の割れやちぎれなどが発生し、成形上問題となる場合があり、非導電性粒子は必要に応じて添加することが好ましい。添加量は任意に設定することができるが、非導電性粒子を添加することで、硬度上昇、圧縮歪みの悪化につながり、トナーへのストレス、ローラ表面の変形回復力の低下による画像を劣化させることになるため、被覆層を設けた導電性ローラの歪み量が2μm以下、ASKER−C硬度が20〜60°になる範囲で添加量を決定することが好ましい。1分間当りの印刷枚数を増やすために、ローラ回転速度を上げると、トナーへのストレスも大きくなるため、ASKER−C硬度は20〜50°とすることがさらに好ましい。
【0032】
非導電性粒子とは、導電性を付与しない粒子であれば、特に限定されるものではなく、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレーなどが挙げられる。非導電性粒子と限定するのは、通常補強剤と使用されるのが、カーボンブラック等の電子導電性粒子であり、これらを併用すると、イオン導電による抵抗コントロールが難しくなるため好ましくない。
【0033】
本発明では必要に応じて、各種充填剤、各種機能付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、溶剤を適宜添加してよい。
【0034】
本発明の硬化性組成物には貯蔵安定性を改良する目的で、貯蔵安定性改良剤を使用することができる。この貯蔵安定性改良剤としては、本発明の(B)成分の保存安定剤として知られている通常の安定剤であり、所期の目的を達成するものであればよく、特に限定されるものではない。具体的には、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等を好適に用いることができる。さらに具体的には、2−ベンゾチアゾリルサルファイド、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルアセチレンダイカルボキシレート、ジエチルアセチレンダイカルボキシレート、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンE、2−(4−モルフォジニルジチオ)ベンゾチアゾール、3−メチル−1−ブテン−3−オール、アセチレン性不飽和基含有オルガノシロキサン、エチレン性不飽和基含有オルガノシロキサン、アセチレンアルコール、3−メチル−1−ブチル−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート、ジエチルフマレート、ジエチルマレエート、ジメチルマレエート、2−ペンテンニトリル、2,3−ジクロロプロペン等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0035】
本発明の導電性ローラの弾性層の形成方法は、特に限定されず、従来公知の各種ローラの成形方法を用いることができる。例えば、中心にSUS製などの導電性シャフトを設置した金型に、組成物を押出成形、プレス成形、射出成形、反応射出成形(RIM)、液状射出成形(LIM)、注型成形などの各種成形法により成形し、適切な温度および時間で加熱硬化させて、導電性シャフトの周りに導電性弾性層を成形する。ここで、本発明における導電性ローラの製造方法としては、弾性層を形成するための硬化性組成物が液状である場合、生産性、加工性の点で液状射出成形が好ましい。この場合、硬化性組成物は、半硬化させた後に、別途後硬化させるプロセスを設けて完全硬化させてもよい。
【0036】
前記弾性層は表面に粘着性が付与されていることが多いため、弾性層の外周面上に少なくとも1層の被覆層を設けること好ましい。該被覆層は、粘着性の少ない被覆層が好適に用いられる。
【0037】
被覆層の材料としては、特に制限はないが、他部材と接触しながら回転するローラに使用される場合は、耐磨耗性が必要であるため、耐磨耗性に優れるウレタン結合を有する化合物であることが好ましい。さらに、被覆層は適度な柔軟性を有する必要があり、この観点からはポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート骨格を有する樹脂を主な組成とするウレタン樹脂組成物からなることが好ましく、これらはポリエーテルウレタン、ポリエステルウレタン、ポリカーボネートウレタンのブレンド樹脂、あるいは1分子中にウレタン結合とポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリシロキサンからなる群において選ばれる少なくとも1つの骨格を有するウレタン樹脂組成物であってもよい。
【0038】
また、表面層を構成する樹脂組成物には抵抗調整、表面形状の調整あるいは導電性弾性層に対する接着性等の観点から、導電性付与剤、各種フィラー等の各種添加剤を必要に応じて添加してもよい。本発明の硬化性組成物からなる弾性層と被覆層との接着性をさらに向上させるために、弾性層表面にプライマー処理した後、被覆層を形成することが好ましい。本発明のプライマーは各種カップリング剤またはエポキシ化合物を含有する任意のプライマーを使用することができる。
【0039】
本発明の被覆層の形成方法としては特に制限はないが、導電性シャフトの周りに形成された弾性層の外周面上に、被覆層を構成する樹脂組成物をスプレー塗布、ディップ塗布、ロールコート等の方法を用いて所定の厚みに塗布し、所定の温度で乾燥、硬化させることにより、被覆層を形成することができる。具体的には、前記被覆層として使用される樹脂を溶剤に溶かして固形分を5〜20%にしてスプレーあるいはディップ塗布する方法が簡便である。使用する用材としては用いる被覆層の主成分である樹脂が相溶すれば特に制限はなく、具体的には、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、イソプロパノール、水等が例示される。特に、ウレタン樹脂を用いて被覆層を形成する場合、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが相溶性の観点から好ましい。ここで、被覆層の乾燥温度としては、70〜200℃が好ましい。乾燥温度が70℃より低いと乾燥が不十分になる場合があり、200℃より高いと、内層の弾性層の劣化を招く恐れがある。また、被覆層の厚さは、用いる材料、組成及び用途等により適切な値に設定するものであり、特に限定されないが、通常1〜100μmが好ましい。1μmより薄くなると耐磨耗性が低下し、長期間の耐久性が低下する傾向がある。また、100μmより厚いと、弾性層との線膨張率の差に起因して、しわが発生しやすくなる、または圧縮歪みが大きくなるなどの問題が発生する傾向がある。被覆層の厚みを調整するために、スプレー法、ディップ法等の方法を数回繰り返し、重ね塗りしてもよい。本発明においては、被覆層溶液の被膜製を改善するために、レベリング剤等の各種添加剤を必要に応じて添加してもよい。
【0040】
次に、本発明の歪み発生方法、歪み測定方法について、詳細に説明する。
<歪みの発生方法>
図2は歪み発生治具の模式図である。4−1は厚み150μm、長さ20cmのケイ素青銅製のブレードであり、0.5mmのSUS304の板4−2に取り付け、ブレードが12mm、SUS304の板からでるようにした。該SUS304の板は4−3の金属棒を支点に回転することができ、4−4に適当な重りを吊るすことでブレードを導電性ローラ表面に押し当てることができた。ブレードが20cmの幅で導電性ローラ表面に均一に接するように、上記金属棒と導電性ローラの金属支持部材が平行になる位置に設定した。ブレードは導電性ローラの頂点に均一に直線として当たるようにした。またブレードと導電性ローラの位置は、ブレードと導電性ローラの接点における、導電性ローラ外周円の接線方向の位置となるようにした。重りは、ブレードが導電性ローラ表面を線圧40g/cmで押さえつけることができるように調整した。上記、導電性ローラを取り付けた歪み発生治具を40℃、95%RHの環境に28日間放置した。
<歪み測定方法>
図3は歪み測定装置の概要図である。該装置はレーザスポットの形が楕円である反射型レーザ変位測定機5、ローラ固定部6、ローラ回転機構部7、ローラ軸方向駆動部8とで構成される。
【0041】
レーザスポットの形が楕円である反射型レーザ変位測定機としてはLK−035(キーエンス製)を用いた。また、導電性ローラの金属支持部材をローラ固定部で固定した。レーザ変位測定機と導電性ローラの位置はレーザ変位測定機のレーザスポットが導電性ローラの頂点に当たる位置、つまりレーザ変位測定機のレーザ発光部が、導電性ローラの金属支持部材の中心軸に対して鉛直方向に当たる位置に設定した。図4はローラ固定部を模式的に表した図である。6−1はベアリングであり、6−2は導電性ローラの金属支持部材である。金属支持部材をベアリングで4点固定した。ここで言う固定とは、導電性ローラの金属支持部材が上下左右には動かないが、回転可能な部品を金属支持部材に接触させることで、金属支持部材を回転させることを可能とさせることである。また導電性ローラをローラ回転機構部で回転させた。ローラ回転機構部としては連続的に回転させることが可能であるモータを用い、回転速度は1rpmに設定した。導電性ローラの金属支持部材の先端に取り付けたギアと、モータの回転軸先端に取り付けたギアを噛み合わせることで導電性ローラを回転させた。
【0042】
導電性ローラ表面の歪み量は、導電性ローラを回転させながらレーザ変位測定機で測定した導電性ローラ表面の変位の変化から算出した。レーザ変位測定機から出力されたデータをNR−2000(キーエンス製)内で128点平均し、10ms毎に測定データとして取り込んだ。歪み量は3点平均で求めた。測定点は、導電性ローラのブレード押し当て痕の中心点とその両端5cmの部分の3点であった。
【0043】
測定データからグラフの横軸に測定した時間、縦軸には測定値をプロットしたグラフを作成し、導電性ローラ表面の歪みを算出した。
【0044】
歪みの算出方法は被測定体の表面の状態によって様々であるが、表面粗さを持つ導電性ローラを測定した場合、上記測定データに表面粗さ成分が含まれるため、フーリエ変換を用い、ある一定周期の波を除いたり、移動平均または単純平均を実施したりして測定データのスムージング処理を行った。上記スムージング処理を行う際、表面粗さ成分の最大値と最小値の差が0.2μm以下にし、かつ、歪み量が最大となるように最適化を行った。
【実施例】
【0045】
以下に、本発明の非限定的な実施例について説明する。
【0046】
(実施例1)
アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名ACX003、鐘淵化学工業製;A成分に相当)100gに対して、ついで、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名CR100、鐘淵化学工業製;B成分に相当)を3.1g、ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有量3wt%、キシレン溶液;C成分に相当)を70μL、サンコノール0862−20R(有機リチウム塩含有化合物、三光化学工業製;D成分に相当)を1.0g、マレイン酸ジメチル35μLを均一混合し、硬化性組成物を得た。該硬化性組成物をBH形粘度計(トキメック製、ロータNo.6、4rpm)で測定した。次に、該硬化性組成物を真空脱泡撹拌装置(シーテック製)で90分間脱泡を行った。この硬化性組成物を金型(内径16mm)内部に直径8mmのSUS製シャフトを配置した該金型に、射出圧4Mpaで注入し、金型を140℃の環境下で20分間静置して硬化させた。次に、MEKを150gに対して、カーボンブラック#3030B(三菱化学製)12gをビーズミルで混練した混合物に、ついで、ウレタン樹脂溶液(商品名ハイムレンY−258、大日精化工業製)を100g、DMFを300gに調整することにより被覆層塗布液を得た。前記塗布液をディッピング法により塗布し、140℃で5分間乾燥させた。同様の塗布操作を1回繰り返し、加えて160℃で90分の条件で乾燥させることにより、被覆層を設けた。次に、前記<歪み発生方法>により得られた導電性ローラを直ちにカラープリンター用カートリッジ(EP−85、キヤノン製)にセットし、LASER SHOT LBP−2510(キャノン製)に該カートリッジを組み込み、モノクロ、50%ハーフトーン画像を用いて、歪み由来の画像不良の度合いを相対的な評価を行った。さらに、<歪み測定方法>にて前記導電性ローラの歪みを測定した。導電性ローラ表面に表面粗さがあるため、下記の<歪み量算出方法>にて歪み量を算出した。
【0047】
同時に該導電性組成物を、テフロン(登録商標)シートを敷いたアルミの金型枠に充填した後、140℃、5分間加熱の条件でプレス成形し、約4mmの体積抵抗率評価用シート状硬化物を得た。このようにして得られたシートをハイレスタUP(三菱化学製)を用いて、100V印加での体積抵抗率を測定した。
【0048】
硬化性組成物の粘度、導電性ローラのASKER−C硬度、歪み量及び画像評価、弾性層の硬化性組成物より得られたシートの体積抵抗率を表1にまとめた。
<歪み量算出方法>
歪み測定装置を用いて得られた測定データを横軸に測定時間、縦軸に変位となるようにプロットした。プロットした図をフーリエ変換で1.5Hz以下の波を全て除去し、得られたデータを128点の移動平均でスムージング処理した。スムージング処理をして得られたデータを再び横軸に測定時間、縦軸に変位となるようにプロットし、歪み幅をローラ周の6%であると仮定し、歪み量を算出した。
(実施例2)
アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名ACX009、鐘淵化学工業製;A成分に相当)100gに対して、ついで、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名CR100、鐘淵化学工業製;B成分に相当)を2.8g、ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有量3wt%、キシレン溶液;C成分に相当)を65μL、サンコノール0862−20R(三光化学工業製;D成分に相当)を1.0g、マレイン酸ジメチル32μLを均一混合し、硬化性組成物を得た。該硬化性組成物を真空脱泡撹拌装置(シーテック製)で90分間脱泡を行った。この硬化性組成物を金型(内径16mm)内部に直径8mmのSUS製シャフトを配置した該金型に、射出圧4Mpaで注入し、金型を140℃の環境下で20分間静置して硬化させた。次に、実施例1と同様の方法により、被覆層を形成した。また、同時に該導電性組成物を、テフロン(登録商標)シートを敷いたアルミの金型枠に充填した後、140℃、5分間加熱の条件でプレス成形し、約4mmの体積抵抗率評価用シート状硬化物を得た。
【0049】
このようにして得られた導電性ローラを実施例1と同様の方法でASKER−C硬度、歪み量及び画像評価、弾性層の硬化性組成物より得られたシートの体積抵抗率を表1にまとめた。
(実施例3)
アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名ACX009、鐘淵化学工業製;A成分に相当)100gに対して、ついで、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名CR100、鐘淵化学工業製;B成分に相当)を2.8g、ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有量3wt%、キシレン溶液;C成分に相当)を65μL、ポリエチレングリコールラウリルエーテル(商品名ノニオンE−205、日本油脂製;D成分に相当)を5.0g、マレイン酸ジメチル32μLを均一混合し、硬化性組成物を得た。該硬化性組成物を真空脱泡撹拌装置(シーテック製)で90分間脱泡を行った。この硬化性組成物を金型(内径16mm)内部に直径8mmのSUS製シャフトを配置した該金型に、射出圧4Mpaで注入し、金型を140℃の環境下で20分間静置して硬化させた。次に、実施例1と同様の方法により、被覆層を形成した。また、同時に該導電性組成物を、テフロン(登録商標)シートを敷いたアルミの金型枠に充填した後、140℃、5分間加熱の条件でプレス成形し、約4mmの体積抵抗率評価用シート状硬化物を得た。
【0050】
このようにして得られた導電性ローラを実施例1と同様の方法でASKER−C硬度、歪み量及び画像評価、弾性層の硬化性組成物より得られたシートの体積抵抗率を表1にまとめた。
(実施例4)
アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名ACX009、鐘淵化学工業製;A成分に相当)100gに対して、炭酸カルシウム(商品名スノーライトS、丸尾カルシウム製;E成分に相当)25gを3本ロール(小平製作所製、隙間0.1mm、3回通し)で混練した混合物に、ついで、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名CR100、鐘淵化学工業製;B成分に相当)を2.8g、ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有量3wt%、キシレン溶液;C成分に相当)を65μL、サンコノール0862−20R(三光化学工業製;D成分に相当)を1.0g、マレイン酸ジメチル32μLを均一混合し、硬化性組成物を得た。該硬化性組成物を真空脱泡撹拌装置(シーテック製)で90分間脱泡を行った。この硬化性組成物を金型(内径16mm)内部に直径8mmのSUS製シャフトを配置した該金型に、射出圧4Mpaで注入し、金型を140℃の環境下で20分間静置して硬化させた。次に、実施例1と同様の方法により、被覆層を形成した。また、同時に該導電性組成物を、テフロン(登録商標)シートを敷いたアルミの金型枠に充填した後、140℃、5分間加熱の条件でプレス成形し、約4mmの体積抵抗率評価用シート状硬化物を得た。
【0051】
このようにして得られた導電性ローラを実施例1と同様の方法でASKER−C硬度、歪み量及び画像評価、弾性層の硬化性組成物より得られたシートの体積抵抗率を表1にまとめた。
(実施例5)
アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名ACX009、鐘淵化学工業製;A成分に相当)100gに対して、シリカ(商品名ニップシールSS−50A、日本シリカ製;E成分に相当)5gを3本ロール(小平製作所製、隙間0.1mm、3回通し)で混練した混合物に、ついで、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名CR100、鐘淵化学工業製;B成分に相当)を2.8g、ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有量3wt%、キシレン溶液;C成分に相当)を65μL、サンコノール0862−20R(三光化学工業製;D成分に相当)を1.0g、マレイン酸ジメチル32μLを均一混合し、硬化性組成物を得た。該硬化性組成物を真空脱泡撹拌装置(シーテック製)で90分間脱泡を行った。この硬化性組成物を金型(内径16mm)内部に直径8mmのSUS製シャフトを配置した該金型に、射出圧4Mpaで注入し、金型を140℃の環境下で20分間静置して硬化させた。次に、実施例1と同様の方法により、被覆層を形成した。また、同時に該導電性組成物を、テフロン(登録商標)シートを敷いたアルミの金型枠に充填した後、140℃、5分間加熱の条件でプレス成形し、約4mmの体積抵抗率評価用シート状硬化物を得た。
【0052】
このようにして得られた導電性ローラを実施例1と同様の方法でASKER−C硬度、歪み量及び画像評価、弾性層の硬化性組成物より得られたシートの体積抵抗率を表1にまとめた。
(比較例1)
アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名ACX003、鐘淵化学工業製;A成分に相当)100gに対して、カーボンブラック(商品名#3030B、三菱化学製)14gを3本ロール(小平製作所製、隙間0.1mm、3回通し)で混練した混合物に、ついで、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名CR100、鐘淵化学工業製;B成分に相当)を3.1g、ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有量3wt%、キシレン溶液;C成分に相当)を70μL、マレイン酸ジメチル35μLを均一混合し、硬化性組成物を得た。該硬化性組成物を真空脱泡撹拌装置(シーテック製)で90分間脱泡を行った。この硬化性組成物を金型(内径16mm)内部に直径8mmのSUS製シャフトを配置した該金型に、射出圧4Mpaで注入し、金型を140℃の環境下で20分間静置して硬化させた。次に、実施例1と同様の方法により、被覆層を形成した。また、同時に該導電性組成物を、テフロン(登録商標)シートを敷いたアルミの金型枠に充填した後、140℃、5分間加熱の条件でプレス成形し、約4mmの体積抵抗率評価用シート状硬化物を得た。
【0053】
このようにして得られた導電性ローラを実施例1と同様の方法でASKER−C硬度、歪み量及び画像評価、弾性層の硬化性組成物より得られたシートの体積抵抗率(印加電圧は10Vとした)を表1にまとめた。
(比較例2)
アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名ACX009、鐘淵化学工業製;A成分に相当)100gに対して、カーボンブラック(商品名#3030B、三菱化学製)14gを3本ロール(小平製作所製、隙間0.1mm、3回通し)で混練した混合物に、ついで、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名CR100、鐘淵化学工業製;B成分に相当)を2.8g、ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有量3wt%、キシレン溶液;C成分に相当)を65μL、マレイン酸ジメチル32μLを均一混合し、硬化性組成物を得た。該硬化性組成物を真空脱泡撹拌装置(シーテック製)で90分間脱泡を行った。この硬化性組成物を金型(内径16mm)内部に直径8mmのSUS製シャフトを配置した該金型に、射出圧4Mpaで注入し、金型を140℃の環境下で20分間静置して硬化させた。次に、実施例1と同様の方法により、被覆層を形成した。また、同時に該導電性組成物を、テフロン(登録商標)シートを敷いたアルミの金型枠に充填した後、140℃、5分間加熱の条件でプレス成形し、約4mmの体積抵抗率評価用シート状硬化物を得た。
【0054】
このようにして得られた導電性ローラを実施例1と同様の方法でASKER−C硬度、歪み量及び画像評価、弾性層の硬化性組成物より得られたシートの体積抵抗率(印加電圧は10Vとした)を表1にまとめた。
(比較例3)
アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名ACX009、鐘淵化学工業製;A成分に相当)100gに対して、シリカ(商品名ニップシールSS−50A、日本シリカ製;E成分に相当)15gを3本ロール(小平製作所製、隙間0.1mm、3回通し)で混練した混合物に、ついで、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名CR100、鐘淵化学工業製;B成分に相当)を2.8g、ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有量3wt%、キシレン溶液;C成分に相当)を65μL、サンコノール0862−20R(三光化学工業製;D成分に相当)を1.0g、マレイン酸ジメチル32μLを均一混合し、硬化性組成物を得た。該硬化性組成物を真空脱泡撹拌装置(シーテック製)で90分間脱泡を行った。この硬化性組成物を金型(内径16mm)内部に直径8mmのSUS製シャフトを配置した該金型に、射出圧4Mpaで注入し、金型を140℃の環境下で20分間静置して硬化させた。次に、実施例1と同様の方法により、被覆層を形成した。また、同時に該導電性組成物を、テフロン(登録商標)シートを敷いたアルミの金型枠に充填した後、140℃、5分間加熱の条件でプレス成形し、約4mmの体積抵抗率評価用シート状硬化物を得た。
【0055】
このようにして得られた導電性ローラを実施例1と同様の方法でASKER−C硬度、歪み量及び画像評価、弾性層の硬化性組成物より得られたシートの体積抵抗率を表1にまとめた。
【0056】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】導電性ローラを模式的に表した図
【図2】歪み発生治具の模式図
【図3】歪み測定装置の模式図
【図4】ローラ固定部の模式図
【符号の説明】
【0058】
1 支持部材
2 導電性弾性層
3 表面層
4−1 ケイ素青銅製のブレード
4−2 SUS304の板
4−3 金属棒
4−4 重り
5 反射型レーザ変位測定機
6 ローラ固定部
7 ローラ回転機構部
8 ローラ軸方向駆動部
6−1 ベアリング
6−2 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属支持部材、該支持部材外周面上に形成された(A)〜(D)成分を必須成分とする弾性層、および、その外周面上に形成される、少なくとも1層以上からなる被覆層より構成される導電性ローラにおいて、厚さ150μmのブレードを線圧40g/cmで導電性ローラ表面に押し当てた状態で、40℃、95%RHの環境に28日間放置後、導電性ローラ表面に生じた歪み量が2μm以下であることを特徴とする導電性ローラ。
(A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する有機重合体
(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物
(C)ヒドロシリル化触媒
(D)イオン導電剤
【請求項2】
前記導電性ローラのASKER−C硬度が20〜60°の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ローラ。
【請求項3】
前記(A)成分の重合体中、ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基が分子末端に含有されていることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の導電性ローラ。
【請求項4】
前記(A)成分の有機重合体がオキシアルキレン系重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性ローラ。
【請求項5】
前記(D)成分が有機リチウム塩であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性ローラ。
【請求項6】
前記被覆層がウレタン結合を有する化合物からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性ローラ。
【請求項7】
前記弾性層表面にプライマー処理した後、被覆層を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性ローラ。
【請求項8】
前記導電性ローラが非磁性一成分接触現像方式の現像ローラとして使用されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性ローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−30815(P2006−30815A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212386(P2004−212386)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】