説明

導電性粘着テープ

【課題】感温前における導電性および接着性、感温後における導電性の消失性を両立させた導電性粘着テープを提供する。
【解決手段】導電性粘着テープ10は、アクリル系粘着剤20と、導電性フィラー30と、加熱発泡剤40とを含有する。アクリル系粘着剤20としてアクリル系ポリマーが好適に用いられる。複数の導電性フィラー30が互いに電気的に接続することにより、感温前においては、導電性粘着テープ10の一方の主表面から他方の主表面に連通する導電パスが形成されている。加熱発泡剤40は加熱による発泡する加熱型発泡剤である。加熱発泡剤40の発泡前に形成されていた導電性フィラー30間の電気的な接続が、発泡した加熱発泡剤40によって途切れ、導電性粘着テープ10の一方の主表面から他方の主表面に連通するような導電パスが消失する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性粘着テープに関する。より具体的には、感温により導電性が消失する導電性粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パソコンや各種電気製品において、導電性および接着性を必要とされる箇所に導電性粘着テープが使用されている。この種の導電性粘着テープのさらなる高機能化の一つとして、感温により導電性を低下させる特性を持たせた導電性粘着テープが開発されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−109428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
導電性粘着テープに求められる特性としては、感温前においては、ステンレスやアルミ等の金属材料などの被着体への接合時において十分な接着力を発揮させることや、被着体間を電気的に接続するのに十分な導電性を示すことが挙げられる。一方、感温後においては、被着体間を絶縁するために導電性粘着テープの導電性が確実に消失する必要がある。ところが、従来の導電性粘着テープでは、感温前の導電性および接着性、感温後の導電性の低下あるいは消失といった特性を両立させることが十分とは言えなかった。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、感温(加熱)前における導電性および接着性、感温(加熱)後における導電性の消失性を兼ね備えた導電性粘着テープの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、導電性粘着テープである。当該導電性粘着テープは、アクリル系粘着剤と、導電性フィラーと、加熱発泡剤と、を含有し、加熱(感温)により導電性が消失することを特徴とする。
【0007】
上記態様の導電性粘着テープにおいて、加熱発泡剤が熱膨張性微小球であってもよい。アクリル系粘着剤を構成するポリマーが光重合性であってもよい。被着体となるSUS304に接着後、23℃で30分経過した後の180°剥離方向に引張速度300mm/分で剥離したときの粘着力が5N/20mm以上であってもよい。
【0008】
なお、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の導電性粘着テープによれば、感温前における導電性および接着性、感温後における導電性の消失性を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態に係る導電性粘着テープの構成を模式的に示す概略断面図である。
【図2】130℃の雰囲気下で5分間放置した後の導電性粘着テープを模式的に示す概略断面図である。
【図3】導電性粘着テープの導電性評価方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
図1は、実施の形態に係る導電性粘着テープ10の構成を模式的に示す概略断面図である。導電性粘着テープ10は、アクリル系粘着剤20と、導電性フィラー30と、加熱発泡剤40とを含有する。導電性粘着テープ10は、常温では導電性を示し、加熱(以下、「感温」ともいう)により導電性が消失する特性を有する。ここで、「加熱により導電性が消失すること」とは、導電性粘着テープを130℃の雰囲気下で5分間放置した後、導電性試験により抵抗値の値が確認されないことをいう。
【0013】
<アクリル系粘着剤>
アクリル系粘着剤20としてアクリル系ポリマーが好適に用いられる。当該アクリル系ポリマーは、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー単位として50重量%以上含有する。前記アクリル系ポリマーは、炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。アクリル系ポリマーは、重合開始剤とともに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合(好ましくは、光重合・UV重合)させることにより得ることができる。
【0014】
炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、アクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して50重量%以上99.9重量%以下、好ましくは、60重量%以上95重量%以下、さらに70重量%以上93重量%以下であることが好ましい。
【0015】
炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等の(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステル、好ましくは(メタ)アクリル酸C2−14アルキルエステル、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸C2−10アルキルエステル等が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとはアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルをいい、「(メタ)・・・」は全て同様の意味である。
【0016】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の(メタ)アクリル酸エステルとしては、たとえば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルや、フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、テルペン化合物誘導体アルコールから得られる(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0017】
なお、アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性、架橋性等の改質を目的として、必要に応じて、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な、他のモノマー成分(共重合性モノマー)を含んでいてもよい。従って、アクリル系ポリマーは、主成分としての、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共に、共重合性モノマーを含んでいてもよい。共重合性モノマーとしては、極性基を有するモノマーを好適に使用することができる。
【0018】
共重合性モノマーの具体的な例としてはアクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等の水酸基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(N−置換)アミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシヘキサメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルへキシルイタコンイミド、N−シクロへキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−(メタ)アクリロイル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルモルホリン等の窒素含有複素環系モノマー;N−ビニルカルボン酸アミド類;N−ビニルカプロラクタム等のラクタム系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノアクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等の複素環、ハロゲン原子、ケイ素原子等を有するアクリル酸エステル系モノマー;イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー、チオグリコール酸;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等のオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテル等のビニルエーテル類;塩化ビニル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のイミド基含有モノマー;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有モノマー;フッ素原子含有(メタ)アクリレート;ケイ素原子含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、これらの共重合性モノマーは1種又は2種以上使用できる。
【0019】
アクリル系ポリマーが、主成分としての(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共に共重合性モノマーを含有する場合、カルボキシル基含有モノマーを好適に使用することができる。その中でも、アクリル酸を好適に使用することができる。共重合性モノマーの使用量としては、特に制限されないが、通常、前記アクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して、共重合性モノマーを0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜15重量%含有することができる。
【0020】
また金属材料などの被着体に対し、高い耐腐食性が求められる場合には、共重合モノマーとして、骨格中に窒素原子を有するビニル系モノマーを好適に使用することができる。そのなかでも、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドモノマー、N−ビニル環状アミドを好適に使用することができる。共重合性モノマーの使用量としては、特に制限されないが、通常、前記アクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して、共重合性モノマーを0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは1〜15質量%含有することができる。
【0021】
共重合性モノマーを0.1重量%以上含有することで、アクリル系粘着テープの凝集力の低下を防ぎ、高いせん断力を得ることができる。また、共重合性モノマーの含有量を30重量%以下とすることで、凝集力が高くなり過ぎることを防ぎ、常温(25℃)でのタック感を向上させることができる。
【0022】
また、アクリル系ポリマーには、形成する導電性粘着テープの凝集力を調整するために必要に応じて多官能性モノマーを含有してもよい。
【0023】
多官能性モノマーとしては、たとえば、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。多官能(メタ)アクリレートは、単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
多官能性モノマーの使用量としては、その分子量や官能基数等により異なるが、アクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して、0.01〜3.0重量%、好ましくは0.02〜2.0重量%であり、さらに好ましくは0.03〜1.0重量%となるように添加する。
【0025】
多官能性モノマーの使用量が、アクリル系ポリマー調製するためのモノマー成分全量に対して3.0重量%を超えると、たとえば、粘着剤層の凝集力が高くなりすぎ、接着力が低下したりする場合等がある。一方、0.01重量%未満であると、たとえば、粘着剤層の凝集力が低下する場合等がある。
【0026】
<重合開始剤>
アクリル系ポリマーの調製に際して、各種の重合開始剤(熱重合開始剤、光重合開始剤)を使用することができる。中でも本発明においては、光重合開始剤(光開始剤)を用いた紫外線による重合反応を利用して、アクリル系ポリマーを調整することが好ましい。光重合開始剤を用いることで重合時間を短くすることができ、かつ、感温前に後述する加熱発泡剤を発泡させることなく導電性粘着テープを形成することができるといった利点が得られる。光重合開始剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0027】
光重合開始剤としては、特に制限されず、たとえば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等を用いることができる。
【0028】
具体的には、ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、たとえば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン[BASF社製、商品名:イルガキュア651]、アニソールメチルエーテル等が挙げられる。;アセトフェノン系光重合開始剤としては、たとえば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[BASF社製、商品名:イルガキュア184]、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン[BASF社製、商品名:イルガキュア2959]、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン[BASF社製、商品名:ダロキュアー1173]、メトキシアセトフェノン等が挙げられる。;α−ケトール系光重合開始剤としては、たとえば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等が挙げられる。;芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、たとえば、2−ナフタレンスルホニルクロライド等が挙げられる。;光活性オキシム系光重合開始剤としては、たとえば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシム等が挙げられる。
【0029】
また、ベンゾイン系光重合開始剤には、たとえば、ベンゾイン等が含まれる。ベンジル系光重合開始剤には、たとえば、ベンジル等が含まれる。;ベンゾフェノン系光重合開始剤には、たとえば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が含まれる。;ケタール系光重合開始剤には、たとえば、ベンジルジメチルケタール等が含まれる。;チオキサントン系光重合開始剤には、たとえば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン等が含まれる。
【0030】
アシルフォスフィン系光重合開始剤としては、たとえば、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−n−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(1−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−t−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)シクロヘキシルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)オクチルホスフィンオキシド、ビス(2−メトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2−メトキシベンゾイル)(1−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエトキシベンゾイル)(1−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジブトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)(2,4−ジペントキシフェニル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)ベンジルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2−フェニルプロピルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2−フェニルエチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)ベンジルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2−フェニルプロピルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)一2一フェニルエチルホスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイルベンジルブチルホスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイルベンジルオクチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジイソプロピルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2−メチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−4−メチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジエチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,3,5,6−テトラメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジ−n−ブトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)イソブチルホスフィンオキシド、2,6−ジメチトキシベンゾイル−2,4,6−トリメチルベンゾイル−n一ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジブトキシフェニルホスフィンオキシド、1,10−ビス[ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド]デカン、トリ(2−メチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、などが挙げられる。
【0031】
これらの中でも特に、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド[BASF社製、商品名:イルガキュア819]、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジ−n−ブトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド[BASF社製、商品名:ルシリンTPO]、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドが好ましい。
【0032】
光重合開始剤の使用量としては、特に制限されないが、たとえば、アクリル系ポリマーを調製するモノマー成分100質量部に対して0.01〜5質量部、好ましくは0.05〜3質量部、さらに好ましくは0.08〜2質量部の範囲内の量で配合される。
【0033】
ここで、光重合開始剤の使用量が、0.01質量部より少ないと、重合反応が不十分になる場合がある。光重合開始剤の使用量が、5質量部を超えると、光重合開始剤が紫外線を吸収することにより、紫外線が粘着剤層内部まで届かず、重合率の低下を招くおそれがある。生成するポリマーの分子量が小さくなることによって、形成される粘着剤層の凝集力が低くなり、粘着剤層をフィルムから剥離する際に、粘着剤層の一部がフィルムに残り、フィルムの再利用ができなくなる場合がある。なお、光重合性開始剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0034】
凝集力を調整するには、前記した多官能性モノマー以外に架橋剤を用いることも可能である。架橋剤は通常用いる架橋剤を使用する事ができ、たとえば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、シラン系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等を挙げることができる。特に、好適には、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤を使用することができる。
【0035】
具体的には、イソシアネート系架橋剤の例としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートおよびこれらのトリメチロールプロパン等のポリオールとのアダクト体を挙げることができる。
【0036】
エポキシ系架橋剤としては、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミンおよび1,3-ビス(N,N'-ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0037】
本実施の形態において、アクリル系ポリマーは、前記モノマー成分と重合開始剤を配合した混合物に紫外線(UV)を照射させて、モノマーを一部重合させた部分重合物(アクリル系ポリマーシロップ)として調製することができる。アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、たとえば100000〜5000000である。
【0038】
<導電性フィラー>
導電性フィラー30の材料は、導電性を有する物質であれば特に制限されず、たとえば、金属類、酸化物、導電性高分子等が挙げられる。導電性フィラー30は、無機化合物、有機化合物のいずれであってもよい。導電性フィラー30として、以下に述べる材料を単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0039】
導電性フィラー30用の金属類としては、たとえば、銅、銀、金、白金、鉄、ニッケル、アルミニウム、パラジウム、カドミウム、クロム、マンガン、スズ、鉛、亜鉛、ビスマス、インジウム等の金属や、これらの金属による合金(たとえば、スズ−亜鉛合金、銀−スズ−亜鉛合金、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−鉄合金、銅−マンガン−ニッケル合金、ニッケル−マンガン−鉄合金、銅−ニッケル合金等)などが挙げられる。導電性フィラー30用の酸化物としては、たとえば、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウムスズなどが挙げられる。
【0040】
また、導電性フィラー30用の導電性高分子としては、たとえば、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセンなどが挙げられる。
【0041】
図1に示すように、導電性粘着テープ10に含まれる複数の導電性フィラー30が互いに電気的に接続することにより、感温前においては、導電性粘着テープ10の一方の主表面から他方の主表面に連通する導電パスが形成されている。なお、図1では、導電性フィラー30の形態が針状であるが、導電性フィラー30の形態はこれに限られず、球状、フレーク状などでもよい。
【0042】
導電性フィラーの添加量としては、感温前に導電性が確保できる量であればよく、特に限定するものではないが、たとえばアクリル系ポリマー100質量部あたり、導電性フィラーを5〜200質量部、好ましくは10〜100質量部、最も好ましくは20〜80質量部添加することが好ましい。
【0043】
<加熱発泡剤>
加熱発泡剤40は、加熱することにより発泡または膨張する加熱型発泡剤であれば特に制限されず、慣用乃至公知の発泡剤を用いることができる。具体的には、加熱発泡剤40としては、たとえば、低沸点液体又は気体(たとえば、三塩化フッ化メタン等のクロロフルオロカーボン類;プロパン、ブタン、ヘキサン、ベンゼン等の炭化水素類;メチルエーテル、エチルエーテル等のエーテル類;アセトン等のケトン類など)や、熱分解によりガスが生じる物質(たとえば、炭酸アンモニウム等の無機化合物;アゾジカルボンアミド等のアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;N,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;テレフタルアジド等のアジド化合物など)などが挙げられる。発泡剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0044】
特に、加熱発泡剤40として、熱膨張性微小球(マイクロカプセル)を好適に用いることができる。マイクロカプセル化されている加熱発泡剤40を用いることにより、導電性消失性を安定して発現させることができる。
【0045】
熱膨張性微小球としては、公知の熱膨張性微小球から適宜選択することができる。熱膨張性微小球としては、たとえば、イソブタン、プロパン、ペンタンなどの加熱により容易にガス化して膨張する物質を、弾性を有する殻内に内包させた微小球であればよい。前記殻は、熱溶融性物質や熱膨張により破壊する物質で形成される場合が多い。前記殻を形成する物質として、たとえば、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホンなどが挙げられる。熱膨張性微小球は、慣用の方法、たとえば、コアセルベーション法、界面重合法などにより製造できる。なお、熱膨張性微小球には、たとえば、松本油脂製薬株式会社製の商品名「マツモトマイクロスフェア」シリーズ(たとえば、商品名「マツモトマイクロスフェアF80SD」など)などの市販品もある。
【0046】
熱膨張性微小球としては、体積膨張率が5倍以上(なかでも7倍以上、特に10倍以上)となるまで破裂しない適度な強度を有する熱膨張性微小球が好ましい。
【0047】
加熱発泡剤40(特に熱膨張性微小球)の配合量は、その種類、導電性粘着テープ10の膨張倍率、導電性粘着テープ10に含まれる導電性フィラー30の量などに応じて適宜設定しうるが、一般には、アクリル系粘着剤20(ベースポリマー)100質量部に対して、たとえば10〜200質量部、好ましくは20〜150質量部、さらに好ましくは25〜100質量部である。
【0048】
熱膨張性微小球の粒径(粒子径)は、導電性粘着テープ10の厚みなどに応じて適宜選択することができる。熱膨張性微小球の平均粒子径としては、たとえば、1〜30μm程度の範囲から選択することができる。
【0049】
なお、熱膨張性微小球の粒径の調整は、熱膨張性微小球の生成過程で行われていてもよく、生成後、分級などの手段により行われてもよい。
【0050】
加熱発泡剤40の発泡開始温度は、特に制限されず、導電性を消失させる温度に応じて適宜選択することができ、たとえば、110〜200℃、好ましくは120〜190℃、さらに好ましくは130〜180℃程度の範囲から選択することができる。
【0051】
なお、加熱発泡剤40は絶縁性を有することが望ましい。加熱発泡剤40が絶縁性を有することにより、加熱発泡剤40が膨張したときに導電性粘着テープ10の一方の主表面から他方の主表面に通電が生じることを抑制することができる。
【0052】
図2は、130℃の雰囲気下で5分間放置した後の導電性粘着テープ10を模式的に示す断面図である。加熱により加熱発泡剤40の外殻が軟化するとともに、加熱発泡剤40に内包されたガスが気化し、加熱発泡剤40の内圧が上昇する。加熱発泡剤40の内圧と加熱発泡剤40の外殻の張力がつり合うことで発泡形状が保持される。これにより、図2に示すように、加熱発泡剤40の発泡前に形成されていた導電性フィラー30間の電気的な接続(図1参照)が、発泡した加熱発泡剤40によって途切れ、導電性粘着テープ10の一方の主表面から他方の主表面に連通するような導電パスが消失する。すなわち、加熱により発泡した加熱発泡剤40によって導電性粘着テープ10の導電性が消失する。
【0053】
また、導電性粘着テープ10の両主表面において、加熱発泡剤40の熱膨張にアクリル系粘着剤20が追従することによって、微細な凹凸形状が発現する。これにより、導電性粘着テープ10と被着体との接着力が低下し、導電性粘着テープ10を被着体から容易に剥がすことができる。また、導電性粘着テープ10と被着体との間に空気の層が生じるため、導電性粘着テープ10を挟持する被着体間の導通をより確実に遮断することができる。
【0054】
以上説明した導電性粘着テープ10は感温により電流を切断するヒューズとして好適に用いることができる。より具体的には、各種の機械や記録媒体(たとえば、ハードディスク等)などの電流が流れると共に発熱する装置(「電流発熱装置」と称する場合がある)における電流経路に本実施の形態の導電性粘着テープ10をヒューズとして用いることができる。これによれば、電流値は高くなっていなくても、電流発熱装置の使用に伴って発熱して電流発熱装置の温度が高くなると、導電性粘着テープ10の導電性が消失することで、導電性粘着テープ10の一方の主表面から他方の主表面に流れる電流が切断される。この結果、電流発熱装置の稼働を停止させ、温度が高くなることによる電流発熱装置の損傷を防止することができる。上述したように、導電性粘着テープ10の導電性が消失する温度は、加熱発泡剤の発泡開始温度を調節することによって変えることができる。したがって、導電性粘着テープ10を用いる電流発熱装置が損傷する温度に応じて、導電性粘着テープ10の導電性が消失する温度を設定することにより、電流発熱装置が熱により損傷することをより適切に抑制することができる。
【0055】
また、本実施の形態の導電性粘着テープ10では、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを用いることで、感温前においては、ステンレスやアルミ等の金属材料などの被着体への接合時において十分な接着力を発揮する。また、ベースポリマーとなるアクリル系ポリマーが光重合性である場合、導電性粘着テープ10が感温する前に、加熱発泡剤40が膨張することが抑制されている。このため、感温前における導電性粘着テープ10の導電性および接着性と、感温による導電性粘着テープ10の導電性の消失性とを両立させることができる。
【実施例】
【0056】
以下に、実施例に基づいて本実施の形態をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0057】
表1に、実施例1、2、比較例1〜3に係る導電性粘着テープの層構成および成分を示す。
【0058】
【表1】

表1中の略語は以下の化合物を示す。
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
AA:アクリル酸
NVP:N−ビニル−2−ピロリドン
HEAA:N−ヒドロキシエチルアクリルアミド
Ni粉:NOVAMET社製、粒度分布(μm)d10 5.3,d50 11,d90 29
Expancel 461DU40(商品名):アクゾノーベル社製、熱膨張性微小球
TMPTA:トリメチロールプロパン トリアクリレート
イルガキュア651(商品名):BASF社製、光重合開始剤
【0059】
(アクリル系ポリマーシロップ1(2EHA/AA=90/10)の調製)
2−エチルヘキシルアクリレート(90質量部)およびアクリル酸(10質量部)から構成されるモノマー混合物に、TMPTA(0.2質量部)と光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」BASF社製、0.05質量部)と、導電性フィラーとしてのNi粉(NOVAMET社製、粒度分布(μm)d10 5.3,d50 11,d90 29、40質量部)と、加熱発泡剤としてのExpancel 461DU40(アクゾノーベル社製、20質量部)を配合した後、粘度(BH粘度計、No.5ローター、10rpm、測定温度:30℃)が15Pa・sになるまで紫外線を照射し、一部が重合した組成物(アクリル系粘着剤としてのアクリル系ポリマーシロップ1)を得た。
【0060】
(アクリル系ポリマーシロップ2(2EHA/NVP/HEAA=70/26/4)の調製)
2−エチルヘキシルアクリレート(70質量部)、N−ビニル−2−ピロリドン(日本触媒社製、26質量部)およびN−ヒドロキシエチルアクリルアミド(興人社製、4質量部)から構成されるモノマー混合物に、TMPTA(0.1質量部)と光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」BASF社製、0.05質量部)と、導電性フィラーとしてのNi粉(NOVAMET社製、粒度分布(μm)d10 5.3,d50 11,d90 29、40質量部)と、加熱発泡剤としてのExpancel 461DU40(アクゾノーベル社製、20質量部)を配合した後、粘度(BH粘度計、No.5ローター、10rpm、測定温度:30℃)が15Pa・sになるまで紫外線を照射し、一部が重合した組成物(アクリル系粘着剤としてのアクリル系ポリマーシロップ2)を得た。
【0061】
(実施例1)
上述したアクリル系ポリマーシロップ1をロールコーターにて片面剥離処理された厚さ38μmのポリエステルフィルム(ポリエステル製剥離ライナー)の剥離処理された面上に厚さ50μmとなるように塗布した。次いで、塗布されたアクリル系ポリマーシロップ1の他方の面に、別のポリエステル製剥離ライナーの剥離処理された面を貼り合わせた。次いで、照度5mW/cmのブラックライトランプにて3分間両面から紫外線照射を行った。このようにして厚さ50μmの単層の粘着剤層からなる実施例1の導電性粘着テープを得た。
【0062】
(実施例2)
上述したアクリル系ポリマーシロップ2をロールコーターにて片面剥離処理された厚さ38μmのポリエステルフィルム(ポリエステル製剥離ライナー)の剥離処理された面上に厚さ50μmとなるように塗布した。次いで、塗布されたアクリル系ポリマーシロップ2の他方の面に、別のポリエステル製剥離ライナーの剥離処理された面を貼り合わせた。次いで、照度5mW/cmのブラックライトランプにて3分間両面から紫外線照射を行った。このようにして厚さ50μmの単層の粘着剤層からなる実施例2の導電性粘着テープを得た。
【0063】
(比較例1)
比較例1の導電性粘着テープは、粘着剤層に加熱発泡剤を添加していないことを除き、実施例1の導電性粘着テープと同様である。
【0064】
(比較例2)
比較例2の導電性粘着テープは、粘着剤層に加熱発泡剤を添加していないことを除き、実施例2の導電性粘着テープと同様である。
【0065】
(比較例3)
比較例3の粘着テープは、粘着剤層に導電性フィラーを添加していないことを除き、実施例1の導電性粘着テープと同様である。
【0066】
(粘着力評価)
被着体としてSUS304BA板を用意した。SUS板を予め、超音波洗浄(エタノール/トルエン混合溶媒)後、表面をエタノールで洗浄し、30分以上放置した。各実施例および各比較例の導電性粘着テープの一方の主表面に厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET基材)を裏打ちし、幅20mm,長さ75mmに切断して導電性粘着テープの試験片を作成した。一方、導電性粘着テープの他方の主表面をSUS304BA板に貼付し、2kgローラー1往復で圧着させた後、室温環境(23℃)下で30分放置した。この後、引張試験機を用いて180°剥離方向に引張速度300mm/分にて、導電性粘着テープを剥離することによりSUS304BA板に対する初期の粘着力(単位:N/20mm)を測定した。粘着力の評価結果を表2に示す。表2に示すように、実施例1、2の導電性粘着テープでは、SUS304BA板に接着後、23℃で30分経過した後の180°剥離方向に引張速度300mm/分で剥離したときの粘着力が5N/20mm以上であり、感温前における常態接着力が優れていることが確認された。
【0067】
【表2】

【0068】
(導電性評価方法)
図3は、導電性粘着テープの導電性評価方法を示す概略図である。導電性粘着テープの導電性評価に際し、まず、導電性評価用のAl箔100、Al箔102を用意する。Al箔100、Al箔102のサイズはともに幅25mm,長さ75mmである。
【0069】
汎用両面テープ101を用いてAl箔100を厚さ1.8mmのガラス板104に貼り合わせる。続いて、Al箔102の長手方向がAl箔100の長手方向と交差するように、導電性粘着テープ10を用いてAl箔102をガラス板104およびAl箔100に貼り合わせる。
【0070】
実施例1、2、比較例1、2の導電性粘着テープ10および比較例3の粘着テープ10について、接着から30分経過後、室温(23℃)で3日間経過後、130℃で5分間加熱後のAl箔100とAl箔102との間の導通を評価した。Al箔100とAl箔102とが重畳する領域(以下、重畳領域という)以外のAl箔100の上面と、重畳領域以外のAl箔102の上面にそれぞれテスターの電極を接触させ、抵抗値が確認された場合(導通が確認された場合)を○、抵抗値が確認されない場合(絶縁が確認された場合)を×とした。表2にその結果を示す。
【0071】
実施例1、2では、30分経過後、室温(23℃)で3日間経過後では、導通が確認されたが、130℃で5分間加熱後では導通が認められず、Al箔100とAl箔102とが絶縁されることが確認された。
【0072】
比較例1、2では、30分経過後、室温で3日間経過後、130℃で5分間加熱後のいずれの場合であっても導通が確認された。また、比較例3は、いずれの条件下でも導通が得られなかった。
【符号の説明】
【0073】
10 導電性粘着テープ、20 アクリル系粘着剤、30 導電性フィラー、40 加熱発泡剤、100,102 Al箔、104 ガラス板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系粘着剤と、
導電性フィラーと、
加熱発泡剤と、
を含有し、加熱により導電性が消失することを特徴とする導電性粘着テープ。
【請求項2】
前記加熱発泡剤が熱膨張性微小球である請求項1に記載の導電性粘着テープ。
【請求項3】
前記アクリル系粘着剤を構成するポリマーが光重合性である請求項1または2に記載の導電性粘着テープ。
【請求項4】
被着体となるSUS304に接着後、23℃で30分経過した後の180°剥離方向に引張速度300mm/分で剥離したときの粘着力が5N/20mm以上である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の導電性粘着テープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−14734(P2013−14734A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150364(P2011−150364)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】