説明

導電性銀分散体およびその用途

導電性インク、導電性フィラーおよび/または導電性コーティングの製造に用いるために、大きさ、モルホロジーおよびサイズ分布の特性が制御され、予め決められた銀粒子が、例えばゼラチンのようなキャリア媒体中にハロゲン化銀粒子の分散体を形成し、該分散体を処理してハロゲン化銀粒子を所望の銀粒子に変換することによって提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は銀分散体および導電性材料としてのその用途に関し、特に導電性インク、導電性トラック並びにこのような導電性インクおよび導電性トラックを用いた電子回路板および電子機器とそれらの製造方法とに関する。本発明は特にこのような銀分散体の調製に関係し、それによってこのような銀分散体の導電性、粒子サイズ、サイズ分布、形態および他の特性を有利に制御することができる。
【背景技術】
【0002】
画像形成、照明、ディスプレイおよび電子工業では、消費者の要求を満足させるために、そして生産競争に刺激されて、電子製品は益々耐久性で、薄く、軽くかつ低コストであることを必要とするであろう。携帯電話、ラップトップコンピュータなどの携帯用電子機器およびディスプレイに消費者が一層多くのものを要求する成長市場では、伝統的なフラットパネルディスプレイおよび電子製品の剛直な圧迫感を除くために、フレキシブルなディスプレイおよび電子回路が潜在力を有している。ディスプレイおよび電子回路における目標は、成就可能な必要電力を有する、薄く、軽くかつフレキシブルな機器およびディスプレイを最小コストで製造することである。
【0003】
印刷工業における最近の進展は、RFIDタグ、印刷回路、光電池用のバックプレーン構造体およびディスプレイ装置の形成並びに電子機器の製造において電子回路に対して潜在的用途を有する、機能性インク、特に導電性インクに増加された焦点が向けられてきた。基材に導電性インクを塗布するために印刷方法を使用することは、多量にかつ低コストで電子部品を製造するために導電性トラックを印刷することができるフレキシブル基材を使用することの可能性をさらに促進する。
【0004】
インクに用いることができる導電性粒子の分散体は、数あるなかで、伝統的な電子工学方法に比較して比較的少量の導電性材料を用いて必要な電導度を達成するためになくてはならない、銅、銀被覆銅、銀、白金および金を含む高導電性粒子またはフレークの混合物を含む。特に、銀粒子またはフレークは導電性インク、導電性接着剤並びにプラスチックおよび塗布可能導電体用RF/EM遮蔽添加剤中で有用である。
【0005】
フレキシブルまたは剛直な基材に塗布される導電性インクおよび塗布可能導電体に銀分散体を利用する幾つかの方法が知られている。
米国特許第6,379,745B号明細書は、温度感応性基材に塗布し、硬化して、(剛直なガラス強化エポキシ積層体およびフレキシブル回路用ポリイミドフィルムを含む)基材が耐えられる温度で高電気伝導度の線(traces)を形成するための印刷可能な組成物を開示する。当該組成物は、スクリーン印刷、ステンシル、グラビア印刷、インプレッション印刷、オフセット印刷およびインクジェット印刷を含むどのような慣用の印刷技術によっても塗布することができる。記載された組成物は金属粉混合物および反応性有機媒体を含む。金属粉混合物は、少なくとも2種の金属粉、即ち過半数の直径が約5μmで、直径対厚さ比が10以上である金属フレーク、およびどのような大きさにも凝集していない約10nm未満の平均直径を有するコロイド状または半コロイド状の金属粉末の混合物である。金属は通常銅または銀である。反応性有機媒体は、対応する金属に容易に分解可能な如何なる有機金属化合物、例えば金属石鹸類からなることができる。
【0006】
米国特許第6,797,772B号明細書は、電気特性を長期間保持する硬化された電気伝導性エラストマーを生産する、貯蔵安定性の銀充填オルガノシロキサン組成物に関する。当該組成物は、細かく分割された銀粒子を当該硬化性オルガノシロキサン組成物の他の成分と配合する前に、当該銀粒子をオルガノシロキサン化合物で処理することによって、電気伝導性シリコンゴム組成物の貧硬化性並びに硬化されたシリコンエラストマーと銀粒子間の減衰する付着性および親和性のような従来技術の問題を克服する。得られる導電性シリコンゴム組成物は、1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有するポリオルガノシロキサン、各分子中に少なくとも2つの珪素原子に結合した水素を有するオルガノハイドロジェンシロキサン、細かく分割された銀粒子および組成物の硬化を促進するための白金含有ハイドロシレーション触媒を含む。
【0007】
米国特許第6,322,620B号明細書は、スルーホール相互連結または類似の電子用途に使用するためのスクリーン印刷可能な熱硬化性導電性インクを開示する。当該熱硬化性導電性インクは、エポキシ樹脂、架橋剤と触媒、有機溶媒および約50〜90重量%の、特に銀フレークを除いた銀、銅、銀被覆銅のような電気伝導性材料の混合物を有する熱硬化性樹脂系を含む。当該熱硬化性導電性インクは、高電気伝導性を有し、一旦硬化されれば、短時間は高温に安定であり、良好な付着強度および良好な溶剤耐性を有すると報告された。
【0008】
米国特許第6,558,746B号明細書は、数ある中でパソコンおよび携帯電話のような電子機器の電磁遮蔽(EMI遮蔽)用の電気伝導性コーティングを製造するためのコーティング組成物に関し、当該組成物は1種以上の導電性顔料、(メタ)アクリレートおよびシリル化不飽和モノマーに基礎を置く水に分散可能なコポリマーである有機バインダーおよび水性溶媒を含む。優れた接着強度、機械的耐性および溶剤耐性を有する導電性コーティングを得ることができる。好ましい導電性顔料は銀フレークおよび銅フレークである。
【0009】
国際公開第03/068874号パンフレットは包装上などのRFIDタグのグラビアまたはフレキソグラフ印刷用の導電性インクを開示し、当該導電性インクは、カルボン酸または無水の機能性芳香族ビニルポリマーと、粒子状またはフレーク状材料であることができる電気伝導性材料、特に少なくとも5:1のアスペクト比を有する導電性フレーク材料とを含む。導電性粒子材料は、アンチモニー錫酸化物もしくはインジウム錫酸化物のような導電性金属酸化物、または銀、アルミニウムもしくは銅のような金属であることができる。また、インクは、通常グラファイト、炭素繊維、アンチモニーもしくはインジウム錫酸化物で被覆されたマイカ、または少なくとも5:1、好ましくは10:1〜50:1のアスペクト比を有する銀、銅もしくはアルミニウムフレークのような金属フレークである導電性フレーク材料を含むことが好ましい。
【0010】
米国特許第6,517,931B号明細書は、多層セラミックコンデンサー(MLC)デバイスの製造における導電性銀インクの使用方法を開示する。当該銀インクは、通常、最大1μmの平均粒子サイズを有する高純度の銀粉末、チタン酸バリウム系材料のような阻害剤、および樹脂(例えば、エチルセルロース)と溶媒(例えば、トルエン/エタノール混合物)との混合物からなるビヒクルを少なくとも含有する。米国特許第6,517,931B号明細書によれば、インクは、レジストリを形成するために重ねられ、圧力下で積層され、その後焼成されてMLCデバイスを形成する絶縁性グリーンテープ上に所望のパターンにスクリーン印刷される。
【0011】
国際公開第97/48257号パンフレットは、抵抗器、コンデンサーおよび特に、慣用の銅クラッド回路板の代替品として複雑さの程度が低い回路を有する回路板のような各種電気部品の製造において、基材上への電気伝導性インクのリソグラフ印刷を開示する。国際公開第97/48257号パンフレットによれば、好ましい電気伝導性インクは、アルキド樹脂のような有機樹脂中に懸濁された約1μmの金属銀(例えば約80重量%)を含む。当該インクは、光沢アート紙、ボンド紙、または半合成もしくは合成紙のような基材にリソグラフ印刷によって約5μmの層で塗布される。十分な機械および電気特性が当該導電性インクによって達成される。非常に小さなインクレイダウンに調節するために、インクは高電気伝導性を示さなければならないことが示唆される。
【0012】
従来技術の銀分散体による特有の問題は、必要な電導度を達成するために、基材に塗布するに必要な銀の量を含み、基材および他の構成要素の総コストがフレキシブル電子機器分野で減少するときに、それが使用を思い止まらせる程高額なコストになるかも知れないことであろう。他のこのような問題は、特に導電性インクを印刷することによって、高解像度導電性トラックを達成することの困難性を含み、そのことは、電子機器の製造において、複雑さの程度が低い回路などに導電性インクの利用を制限する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
電導度、解像度、粘ちゅう度およびコストの見地から、意図された実用性の特定の要求を満足させるために、高度に制御された粒子サイズ、形状およびサイズ分布を有する銀粒子分散体を提供することが望ましい。
粒子のサイズ、形態およびサイズ分布を正確に制御して、それらの要求を満足させることができる、銀粒子または銀粉末分散体の製造方法を提供することが望ましい。
さらに、銀の比較的低いレイダウンで、従って減少されたコストで、改良された電導度を有し、改良された解像度を提供することが可能な、銀粒子を含む導電性インクを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第一の態様によれば、導電性を賦与するために銀粒子を単独でまたは他の導電性材料と組み合わせて含む、導電性インク、導電性フィラーおよび/または導電性コーティングを製造する方法が提供され、当該方法は、キャリア媒体中にハロゲン化銀粒子の分散体を用意する工程、該ハロゲン化銀粒子を銀粒子に変換し、キャリア媒体中に銀粒子の分散体を形成するようにハロゲン化銀粒子の分散体を処理する工程、およびキャリア媒体中の銀粒子分散体をさらに処理して、導電性インク、導電性フィラーおよび/または導電性コーティングを形成する工程を含んでなる。
【0015】
本発明の第二の態様では、上記方法によって得られる導電性インク、導電性フィラーまたは導電性コーティングが提供される。
【0016】
本発明の第三の態様では、インクジェット印刷用導電性インクが提供され、該導電性インクは立方体または平板状の形態の銀粒子を有する銀粒子分散体を含んでなり、該分散体は変動係数が最大0.5のサイズ分布を有する。
【0017】
本発明の第四の態様では、リソグラフ印刷用導電性インクが提供され、該導電性インクは、最大寸法が最大10μmで、アスペクト比が少なくとも5:1の平板状形態の銀粒子を有する銀粒子分散体を含んでなる。
【0018】
本発明の第五の態様では、最大寸法が最大10μmで、アスペクト比が少なくとも5:1の平板状形態の銀粒子の分散体を含んでなる導電性フィラーが提供される。
【0019】
本発明の第六の態様では、最大寸法が最大10μmで、アスペクト比が少なくとも5:1の平板状形態の銀粒子の分散体を含んでなる導電性コーティングが提供される。
【0020】
本発明の第七の態様では、導電性インク、導電性フィラーおよび/または導電性コーティングの製造として、または製造中に用いるための銀分散体を製造する方法が提供され、該方法は、キャリア媒体中にハロゲン化銀粒子の分散体を用意する工程、および該ハロゲン化銀粒子を銀粒子に変換し、キャリア媒体中に銀粒子の分散体を形成するようにハロゲン化銀粒子の分散体を処理する工程を含んでなり、該方法は、下記の特徴の1つ以上を有する銀粒子分散体によって特徴づけられる。
A)塗膜電導度が最大1000Ω/□の抵抗率で表され、
B)少なくとも50%が少なくとも3:1のアスペクト比を有する平板状の銀粒子であり、および
C)粒子サイズ分布が最大0.4の変動係数を有する。
【0021】
本発明の第八の態様では、導電性インク、導電性フィラーおよび/または導電性コーティングの製造として、または製造中に用いるための銀粒子分散体が提供され、該銀粒子分散体は、形成されたインク、フィラーおよび/またはコーティングに、1000Ω/□未満の抵抗率によって表される電導度を賦与することができる濃度でキャリア媒体中に分散された銀粒子を含んでなり、該銀粒子は平板状形態と少なくとも3:1のアスペクト比とを有し、および/または該銀分散体は変動係数が最大0.5の銀粒子サイズ分布を有する。
【0022】
本発明の第九の態様では、導電性トラックの所望のパターンで基材に上記に定義されたような銀粒子分散体を適用する工程を含んでなる電子回路の製造方法が提供される。
【0023】
本発明の第十の態様では、ハロゲン化銀粒子を銀粒子に変換して、銀粒子分散体を形成するように、ハロゲン化銀粒子分散体を処理すること、およびその銀粒子分散体から導電性インク、導電性フィラーまたは導電性コーティングを形成することによる、導電性インク、導電性フィラーおよび/または導電性コーティングの製造でのハロゲン化銀粒子の使用が提供される。
【0024】
本発明の第十一の態様では、ハロゲン化銀粒子分散体を銀粒子分散体に変換するように、ハロゲン化銀粒子分散体を処理することによって、銀粒子分散体中の銀粒子の大きさ、サイズ分布および/または形態それぞれを制御するための、変換ハロゲン化銀粒子分散体の製造におけるハロゲン化銀粒子の大きさ、サイズ分布および/または形態を制御する因子の使用が提供される。
【0025】
本発明の第十二の態様では、ハロゲン化銀粒子がカブリ工程および現像工程を受けるように、ハロゲン化銀粒子の処理によって形成された銀粒子の形態を制御するために、カブらせハロゲン化銀の物理現像および化学現像のそれぞれの程度を制御する因子の使用が提供される。
【発明の効果】
【0026】
本発明による銀分散体および導電性材料の製造方法は、所望の効用、物性およびコスト重視によって特別に調製された銀分散体を可能にする。当該方法は、例えば、銀の最小レイダウンで導電性インクの電導度を最大にするための要求に従って、粒子の大きさ、サイズ分布、寸法および形態をきっちりと制御するために用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の方法はキャリア媒体中の銀分散体を製造することを含み、当該方法は、とりわけ電子、ディスプレイおよび印刷工業で一般的に使用するための各種の部品の製造に利用することができる。例えば、本発明に従って調製された銀分散体は、携帯電話やラップトップコンピュータのような各種電子機器においてRFシールドに用いるための導電性フィラーとして、および例えば回路板または光電池のバックプレートにおいて導電性の層または導電性トラックを形成するために支持体上に銀分散体を塗布することができる塗布可能な導電体として、回路板基材または他の電子デバイス上に導電性トラックを印刷するのに用いるための導電性インクを調製するのに利用することができる。
【0028】
本発明によれば、ハロゲン化銀粒子分散体をキャリア媒体中に供給し、ハロゲン化銀粒子を銀粒子に変換するように処理し、キャリア媒体中に銀粒子分散体を形成する。その後、後述するように、銀粒子分散体は、銀分散体を導電性インクもしくは導電性フィラーとして利用するために、または導電性コーティングを形成するために、1以上のさらなる工程を受けることができる。
【0029】
利用されるキャリア媒体は、ハロゲン化銀粒子が分散体を形成すことができ、ハロゲン化銀を銀粒子に変換することが可能であれば、どのような適当なキャリアであってもよい。キャリア媒体は銀イオンとハロゲンイオンからハロゲン化銀粒子を沈殿させるのに適切であることが好ましい。通常、写真技術で用いられる、写真用ハロゲン化銀乳液が形成されるキャリア媒体であれば、どのようなキャリア媒体であってもよい。例えば、適当なキャリア媒体は、例えばゼラチン(例えば、畜牛の骨もしくは皮ゼラチンのようなアルカリ処理ゼラチン、または豚皮のゼラチンのような酸処理ゼラチン)、アルブミン、グアール、キサンタン、アカシアおよびキトサン並びにそれらの誘導体のような天然の親水性コロイドまたはゴム質、機能性蛋白質、機能性ゴムおよびでん粉、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スルホン化ポリエステル、ポリビニルオキサゾリンおよびポリビニルメチルオキサゾリンのようなセルロースエーテル類、エステル類およびそれらの誘導体、ポリオキシド類、ポリエーテル類、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリルアミドポリマー類およびポリビニルピロリドンを含むn−ビニルアミド類、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルラクタム類、ポリビニルアセタール類、例えば置換および無置換のポリヒドロキシメタアクリレート類のようなアルキルおよびスルホアルキルアクリレート類並びにメタアクリレート類のポリマー、加水分解されたポリビニルアセテート類、ポリアミド類、例えば置換および無置換のポリヒドロキシアルキルメタアクリルアミド類、並びにポリアルケンオキシド置換基を任意に有するポリメタアクリレート類およびポリメタアクリルアミド類のようなメタアクリルアミドコポリマー類、ラテックスコポリマー、ポリエチレングリコール類、ポリグリシドール類および/または上記のいずれかのものの組み合わせの1つ以上を含むことができる。適切なキャリア媒体は、例えばポリビニルアルコール、部分加水分解ポリ(ビニルアセテート−コ−ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリ1−ビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリ2−アクリルアミド−2−メタンスルホン酸およびポリアクリルアミドを含むがこれらに限定されない水溶性ポリマーまたはコポリマーのような親水性コロイド、またはこれらのポリマー類と疎水性モノマー類とのコポリマー類を含むが、ゼラチンまたは例えばアセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、酸化ゼラチンもしくはジアミン誘導化ゼラチンのような変性ゼラチンがさらに好ましい。ゼラチンは、ライム処理ゼラチンのように塩基処理することができ、または酸処理オセインゼラチンのように酸処理することができる。さらに好ましくは、キャリア媒体はゼラチンである。
【0030】
ハロゲン化銀はどのようなハロゲン化銀でもよいし、ハロゲン化銀類の組み合わせであってもよい。ハロゲン化銀分散体は塩化銀、臭化銀およびヨウ化銀の1つ以上を含むことができるが、塩化銀を単独でまたは臭化銀および/またはヨウ化銀との組み合わせで含むことが好ましい。さらに好ましくは、ハロゲン化銀分散体は、少なくとも50%の塩化銀を、より好ましくは少なくとも80%の塩化銀を、一層好ましくは、例えば95%〜98%のように、少なくとも90%の塩化銀を、もっと好ましくは少なくとも99.5%の塩化銀を含み、特に好ましくは本質的に塩化銀からなり、最も好ましくは100%塩化銀からなる。
【0031】
本発明によれば、ハロゲン化銀粒子を銀粒子に変換するように、好ましくはゼラチンであるキャリア媒体中に供給されたハロゲン化銀分散体を処理する。この変換は、ハロゲン化銀を銀に変換するのに適当な方法であればどのような方法によっても行なうことができるが、粒子のほとんど大部分を比較的短時間で、けれども銀粒子の大きさと形態の制御を相当な程度まで行なうことができるような制御された方法で変換することができる高効率な方法によって行なうことが好ましい。
【0032】
通常、ハロゲン化銀粒子の銀粒子への変換は2段階の工程からなる。最初は、ハロゲン化銀粒子をカブらせて、ハロゲン化銀分子の幾らかが銀原子に還元されたハロゲン化銀粒子を生成する。二番目は、ハロゲン化銀粒子を銀粒子へ変換するために現像剤組成物を用いてカブった粒子を現像する。
【0033】
ハロゲン化銀粒子をカブらす工程は、数多くある適当な方法のいずれによっても行なうことができる。例えば、ハロゲン化銀粒子を1種以上の還元剤で処理すること、ハロゲン化銀粒子が感応する放射線にハロゲン化銀粒子を曝すこと、ハロゲン化銀分散体のpHを調整することおよび/またはハロゲン化銀分散体に銀イオンまたは銀イオン源を混合することによってハロゲン化銀粒子をカブらすことができる。
ハロゲン化銀粒子をカブらすのに用いる適当な還元剤は、例えば、塩化第一錫およびDMAB(ジメチルボラン)を含む。
【0034】
放射線源に曝すことによってハロゲン化銀粒子をカブらす場合、粒子が感応する波長の光源を用いることが好ましい。このカブリ方法は分光増感されたハロゲン化銀粒子を利用することによってさらに効率よくすることができる。写真用ハロゲン化銀乳剤において一般的な適当な分光増感方法であれば、どのような方法でも用いることができる。適切なこのような分光増感方法は、例えば、Research Disclosure, Item 37038, 1995年2月, Section I〜Vに記載されている。
【0035】
銀イオンは、例えば、ハロゲン化銀粒子の沈降中に銀イオンの過剰量を添加することまたはハロゲン化銀分散体中に適当な銀イオン源を混合することによって、ハロゲン化銀乳剤をカブらせるために用いることができる。
【0036】
ハロゲン化銀粒子の分散体のpHを上げることによってハロゲン化銀粒子をカブらせる場合、pHを少なくとも9に、通常9〜14に、好ましくは約12に上げることが望ましい。少なくとも多少のカブリを起こさせるに十分な短期間の間pHをこのレベルに維持すること、またはより長い期間保って粒子の広く行き渡ったカブリの発生を確実にすることが任意にできる。
通常、水酸化ナトリウム溶液のような塩基をハロゲン化銀分散体に添加することによってpHを上げる。
【0037】
カブらされたハロゲン化銀粒子を現像する工程は、適当な現像方法であればどのような方法からもなることができる。現像剤組成物は、カブらされたハロゲン化銀粒子を銀粒子に変換させることが可能な成分を含む。通常、現像工程は、カブらされたハロゲン化銀粒子を現像剤組成物で処理すること、または非活性の現像剤組成物を活性化させることを含む。適当なこのような現像剤組成物は、写真(カラーまたは白黒)の現像処理で用いるために知られた現像剤を含み、例えば、アスコルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、ハイドロキノンおよびそれらの誘導体の1種以上を含むことが好ましい。好ましい現像剤組成物は、アスコルビン酸、アスコルビン酸の糖誘導体、これらの酸およびそれらの塩の立体異性体、ジアステレオマー、前駆体を含み、望ましくはアスコルビン酸自体を含む。
【0038】
非活性の現像剤組成物(または組み込まれた現像剤)は、一旦活性化されると、カブらされたハロゲン化銀粒子を銀粒子に変換させることが可能な現像剤組成物である。適当なこのような非活性の現像剤組成物は、例えば、溶液中で7未満のpHに保たれたアスコルビン酸を含む。このような非活性の現像剤組成物は組成物のpHを上げることによって活性化することができる。
【0039】
現像の着手時には、再び高いpHに戻す前に、粒子分散体のpHが一時的に低くなる(例えば9未満のpHに)ことがよくある。例えば高速現像を維持するために(特にある最小pHで活性化する非活性現像剤組成物を用いる場合)、特に現像の最初の数分間、分散体を例えば水酸化ナトリウムのような塩基で処理し、その低下に対抗し、その低下を制限し、分散体のpHを維持しまたは上げることが任意にできる。
【0040】
一つの好ましい態様では、ハロゲン化銀粒子を処理するカブリおよび現像工程は、事実上、pHを上げることによって活性化することができる非活性現像剤組成物を含むハロゲン化銀分散体のpHを上げることからなる単一工程である。ハロゲン化銀分散体のpHを上げる工程は、ハロゲン化銀粒子をカブらせる効果と現像剤組成物を活性化する効果とを有する。
【0041】
現像剤組成物は、任意的に、現像助剤または現像促進剤をさらに含む。適当なこのような現像助剤は、欧州特許出願公開第0758646号および第0528480号明細書並びに米国特許第4,753,869号明細書に開示されており、例えば、メチル−p−アミノフェノール硫酸塩およびフェニル−3−ピロゾリドン類のようなアミノフェノール類または1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4’−ジメチル−3−ピラゾリドンおよび1−フェニル−4−メチル−4’−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン(HMMP)のようなフェニドン類を含む。好ましい現像助剤はHMMPである。フェニル−3−ピロゾリドンまたはフェニドン現像助剤、特にHMMPは、アスコルビン酸、アスコルビン酸の糖誘導体、立体異性体、ジアステレオマー、これらの酸の前駆体およびそれらの塩のような現像剤と一緒の場合特に効用がある。現像助剤は、仮形態の銀粒子を形成するためにハロゲン化銀粒子の物理現像を望む場合、特に有用であろう。仮形態の銀粒子によって、元のハロゲン化銀粒子の形態を大部分残している銀粒子を意味する。
【0042】
ハロゲン化銀粒子の銀粒子への変換または現像は物理現像の特徴および/または化学現像の特徴から構成することができる。主として物理現像である現像は仮形態の銀粒子を生じる傾向があり、一方化学現像は銀粒子の形態に変化(ハロゲン化銀粒子と比較して)を生じる。
【0043】
また、ハロゲン化銀粒子の物理現像を助成し、それによってこの方法によって形成された銀粒子の大きさおよび形態を許容を超えて制御するために、現像剤組成物は定着剤を含むことが任意にできる。現像剤組成物中の定着剤の使用は、ハロゲン化銀粒子分散体のpHを上げることによってハロゲン化銀粒子をカブらせた場合に、得られる銀粒子の形態を制御するのに特に有効である。適当な定着剤であればどのような定着剤も使用することができるが、亜硫酸ナトリウムを用いることが好ましい。
【0044】
定着剤は、カブらされたハロゲン化銀分散体に添加する前の現像剤組成物中に混合しておくことができ、または、非活性の(または組み込まれた)現像剤組成物がハロゲン化銀分散体中に存在するならば、現像剤組成物の活性化時(例えばアスコルビン酸含有ハロゲン化銀分散体のpHを上げる時)にハロゲン化銀分散体に添加することによって混合することができる。
【0045】
銀粒子分散体の調製に含まれる各工程において適当な手段を選ぶことによって、本発明に従って形成される銀粒子分散体中の銀粒子の特性を好ましく制御することができる。例えば、形成される銀粒子の形態、分散体中に形成される粒子の大きさおよびサイズ分布、および分散体の電導度を制御することができる。
【0046】
供給されるハロゲン化銀粒子の形態を制御することおよび/またはハロゲン化銀粒子から銀粒子への変換を制御することによって、大きさ、形態およびサイズ分布を制御することができる。
【0047】
形成された分散体中の銀粒子の形態を制御するために、例えば平板状銀粒子(または銀の小板状粒子)のような大きな皿状粒子を生成するために、既に所望の形態有する、即ち大きな皿状または平板状構造のハロゲン化銀粒子を有するハロゲン化銀分散体を供給することができる。その後、変換方法を選択して、粒子の大きさおよび形を上述したように変更または維持することができる。
【0048】
上述したように、形成される銀粒子の形態を制御する別の態様はハロゲン化銀粒子の銀粒子への変換を制御することである。好ましくは、例えば、銀粒子中にハロゲン化銀粒子の形態を大部分維持するために(仮形態の銀粒子を形成するために)、元のハロゲン化銀粒子の大きさと形態を単に制御することによって、銀粒子の大きさと形態の制御を行なうことができるように、銀粒子を形成するための現像においてハロゲン化銀粒子の形態の変化を最小にする。
従って、化学現像よりもむしろ、対応するハロゲン化銀粒子にほとんど仮形態の銀粒子が形成される物理現像に有利な条件が好ましい。
【0049】
特に、より物理現像傾向である高塩化物ハロゲン化銀粒子、好ましくは100%塩化銀粒子を利用すること、アスコルビン酸またはその誘導体が現像剤である場合は特に、HMMPのような現像助剤を利用すること、およびハロゲン化銀粒子をカブらせるpHを用いている場合には特に、亜硫酸ナトリウムのような定着剤を用いて、物理現像を助成することが好ましい。これらの物理現像が好む条件、即ち、高塩化物ハロゲン化銀粒子、現像助剤および定着剤は個々にまたは好ましくは組み合わせて用いることができ、最も好ましくはこれらの条件の全てを採用する。
【0050】
従って、本発明の方法は、銀粒子が求められる効用によって銀粒子を所望の大きさおよび形に制御するために用いることができる。記載された変動要因を変化させて、銀粒子を例えば、T−粒子、立方体、繊維またはロッドの形で形成することができる。T−粒子、立方体またはロッドは、ハロゲン化銀粒子の形成を制御して所望の形態を有するハロゲン化銀粒子を生成させ、その後ハロゲン化銀粒子の変換を制御してその形態の変化を最小にすることによって形成することが好ましい。繊維およびある程度のロッドは、ハロゲン化銀粒子の形成を制御して所望の寸法で結晶成長を助成し、そしてハロゲン化銀粒子の銀粒子への変換を制御して、例えば化学現像を助成する条件を利用して、粒子のさらなる寸法伸長が起こり、繊維および/またはロッドを形成させることによって、形成することができる。
【0051】
上述のファクター(および下記のファクター)は、ハロゲン化銀粒子から銀粒子を形成するときの物理および化学現像のそれぞれの程度を制御するために、および/または銀粒子の大きさ、サイズ分布および/または形態を制御するために、個々にまたは好ましくは組み合わせて有効である。
【0052】
好ましくは、本発明に従った方法において、キャリア媒体中のハロゲン化銀粒子分散体の用意は、キャリア媒体中にハロゲン化銀粒子分散体を、好ましくは銀イオン(例えば硝酸銀から)およびハロゲンイオンからハロゲン化銀粒子を沈殿させることによって生成させることからなる。
【0053】
本明細書に記載されたハロゲン化銀分散体での使用に適当な材料についての以下の説明において、Research Disclosure, 1994年9月, Item 36544, (Kenneth Mason Publications, Ltd., Dudley Annex, 12a North Street, Hampshire P010 7DQ, 英国, によって刊行)(以後、「Research Disclosure」と言う)を引用する。Research Disclosureの内容は、その中で引用された特許および刊行物を含めて、引用によって本明細書に組み込まれ、以後引用されるセクションは、Research Disclosureのセクションである。
【0054】
適当なハロゲン化銀分散体(写真技術ではハロゲン化銀乳剤と言う)およびその調製は、セクションI〜Vに記載されている。本発明に有効と思われる、化学および分光増感剤、カブリ防止剤および塗布助剤などの他の添加剤もまたResearch Disclosureに記載されている。
【0055】
上述したように、例えば塩化銀、塩化臭化銀、塩化臭化ヨウ化銀、臭化銀、臭化ヨウ化銀または塩化ヨウ化銀のようなハロゲン化銀のどのような組み合わせも用いることができる。組成物が混合ハロゲン化物を含む場合は、少ない成分は結晶形成中または形成後任意の増感工程中に添加することができる。ハロゲン化銀粒子の形状は、得られる銀粒子が求められる個々の効用に対する必要または要求に応じて、立方体、擬立方体、8面体、14面体または平板状であることができる。粒子は、例えば熟成雰囲気、還元雰囲気または酸化雰囲気のような適当な雰囲気であればどのような雰囲気の中でも、要求された分散体を形成するために沈殿させることができる。
【0056】
異なったハロゲン化物比率および形態の調製に関する特定の文献は、欧州特許出願公開第1321812号、米国特許第3,618,622号、米国特許第4,269,927号、米国特許第4,414,306号、米国特許第4,400,463号、米国特許第4,713,323号、米国特許第4,804,621号、米国特許第4,738,398号、米国特許第4,952,491号、米国特許第4,493,508号、米国特許第4,820,624号、米国特許第5,264,337号、米国特許第5,275,930号、米国特許第5,320,938号、米国特許第5,550,013号、欧州特許出願公開第0718679号、米国特許第5,726,005号および米国特許第5,736,310号明細書であり、これらの開示は引用によって本明細書に組み込まれる。
【0057】
分散体(または乳剤)へのハロゲン化銀粒子の沈殿反応は、少なくとも粒子成長中はペプタイザーを通常含有する水性分散媒体中で、銀イオンおよびハロゲンイオンの存在下で行なわれる。粒子構造および特性は、沈殿反応の温度、pHおよび分散媒体中の銀およびハロゲンイオンの相対比率の制御によって選択することができる。写真用ハロゲン化銀乳剤の調製では、沈殿反応は、カブリを避けるために、当量点(銀およびハロゲンイオンの活性が等しい点)のハロゲン化物側で通常行なわれる。本発明の目的のためには、沈殿反応は当量点またはハロゲン側もしくは銀側のどちらかで行なうことができる。これらの基本的パラメーターの取り扱いは、写真用乳剤の沈殿の説明を含む引用文献によって説明され、さらに米国特許第4,497,895号、米国特許第4,728,603号、米国特許第4,755,456号、米国特許第4,847,190号、米国特許第5,017,468号、米国特許第5,166,045号、欧州特許出願公開第0328042号および欧州特許出願公開第0531799号明細書によって説明される。本発明の一つの態様では、沈殿反応は、形成されたハロゲン化銀粒子にカブリを生成させるために、当量点の銀側で行なうことができる。
【0058】
還元剤は、米国特許第5,061,164号、米国特許第5,079,138号、欧州特許出願公開第0434012号、米国特許第5,185,241号、欧州特許出願公開第0369491号、欧州特許出願公開第0371338号、欧州特許出願公開第0435270号、欧州特許出願公開第0435355号および欧州特許出願公開第0438791号明細書に説明されているように、沈殿反応中分散媒体に添加して、ハロゲン化銀粒子の感度を増加するために用いることができる。逆に、酸化剤は、特開昭56−167393号公報、特開昭59−195232号公報、欧州特許出願公開第0144990号明細書および欧州特許出願公開第0166347号明細書に説明されているように、沈殿反応中に添加され、分散媒体(ゼラチン)の前処理に用いることができ、またはハロゲン化銀粒子形成後、ハロゲン化銀のカブリ傾向を減少させるため、または残りの熟成を最小限にするために、分散体中に添加することができる。米国特許第3,206,313号、米国特許第3,327,322号、米国特許第3,761,276号、米国特許第4,035,185号および米国特許第4,504,570号明細書に説明されているように、化学増感された核粒子はシェルの堆積のためのホストとして働くことができる。
【0059】
例えばカブリ防止剤、化学増感剤および分光増感色素のような、ハロゲン化銀粒子表面に吸着し、従って沈殿反応中または沈殿反応後に1つ以上のハロゲン化銀粒子の表面からの粒子成長を制御または抑制するために、または形態に対する現像の影響を制御するために用いることができる添加物を沈殿反応中または沈殿反応後にハロゲン化銀分散体に添加することができる。
【0060】
分光増感色素存在下での沈殿反応は、米国特許第4,183,756号、米国特許第4,225,666号、米国特許第4,683,193号、米国特許第4,828,972号、米国特許第4,912,017号、米国特許第4,983,508号、米国特許第4,996,140号、米国特許第5,077,190号、米国特許第5,141,845号、米国特許第5,153,116号、欧州特許出願公開第0287100号明細書および欧州特許出願公開第0301508号明細書に説明されている。非色素付加物は米国特許第4,705,747号、米国特許第4,868,102号、米国特許第5,015,563号、米国特許第5,045,444号、米国特許第5,070,008号および欧州特許出願公開第0392092号明細書に説明されている。水溶性二硫化物は米国特許第5,418,127号明細書に説明されている。
【0061】
この目的のための効果的な化学増感剤は、硫黄、硫黄プラス金または金単独の増感剤を含む。一般的な金増感剤は、塩化金酸塩、第一金ジチオ硫酸塩、水性コロイド状硫化金、または第一金ビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート)テトラフルオロホウ酸塩(例えば米国特許第5,049,485号明細書参照)である。硫黄増感剤はチオ硫酸塩、チオシアン酸塩、N,N’−カルボチオイル−ビス(N−メチルグリシン)または1,3−ジカルボキシメチル−1,3−ジメチル−2−チオ尿素ナトリウム塩を含む。
【0062】
上述したように、本発明では、平板状銀粒子分散体を形成するために、平板状ハロゲン化銀粒子分散体を用いることができる。特別に意図された平板状粒子分散体は、全投影面積の50%より多くの粒子が、0.5μm未満、好ましくは0.3μm未満の厚さと25よりも大きな(好ましくは100よりも大きな)平均平板性(T)とを有する平板状粒子によって占められるものである。ここで、用語「平板性」は、写真用ハロゲン化銀乳剤の技術分野で用いられ、T=ECD/t2 として認識される用法である。なお、ECDは平板状粒子のμm単位での平均等価円直径であり、tは平板状粒子のμm単位での平均厚さである。
【0063】
写真用乳剤の有用な平均HCDは最大約10μmおよび実用時に実現可能な小さい範囲であることができる。平板状粒子の厚さは最低約0.02μmの範囲であることができる。しかしながら、さらに薄い平板状粒子の厚さが目論まれている。例えば、米国特許第4,672,027号明細書中でDaubendiek等は、厚さが0.017μmの平板状粒子のヨウ素3モル%の臭化ヨウ化銀乳剤を報告している。超薄平板状粒子の高塩化物乳剤が米国特許第5,217,858号明細書中でMaskaskyによって開示されている。
【0064】
上記したように、特定の厚さ未満の平板状粒子が、分散体の全粒子投影面積の少なくとも50%を占める。高平板性の利点を最大化するために、通常、上述の厚さ基準を満足する平板状粒子が、分散体の全粒子投影面積に対して、便宜的に達成可能な最も高い比率で占めることが好ましい。例えば、好ましい平板状粒子分散体では、上述の厚さ基準を満足する平板状粒子が全粒子投影面積の少なくとも70%を占める。さらに好ましい平板状粒子分散体では、上記厚さ基準を満足する平板状粒子が全粒子投影面積の少なくとも90%を占める。
【0065】
適当な平板状粒子乳剤は、例えば以下に挙げるような各種の一般的な教示:Research Disclosure, Item 22534, 1983年1月,(Kenneth Mason Publications, Ltd., Emsworth, Hampshire P010 7DD, 英国, によって刊行)、米国特許第4,439,520号、米国特許第4,414,310号、米国特許第4,433,048号、米国特許第4,643,966号、米国特許第4,647,528号、米国特許第4,665,012号、米国特許第4,672,027号、米国特許第4,678,745号、米国特許第4,693,964号、米国特許第4,713,320号、米国特許第4,722,886号、米国特許第4,755,456号、米国特許第4,775,617号、米国特許第4,797,354号、米国特許第4,801,522号、米国特許第4,806,461号、米国特許第4,835,095号、米国特許第4,853,322号、米国特許第4,914,014号、米国特許第4,962,015号、米国特許第4,985,350号、米国特許第5,061,069号および米国特許第5,061,616号明細書の中から選択することができる。
【0066】
ハロゲン化銀分散体は表面感応性、即ちハロゲン化銀粒子の表面で最初にカブることが好ましい。
ハロゲン化銀粒子分散体および/または銀粒子分散体に含ませることができる他の成分は、核形成剤、電子伝達剤、現像促進剤および界面活性剤を含むことができる。
【0067】
核形成剤、電子伝達剤および現像促進剤は、現像速度(現像それ自体の制御形態である)および/または現像での形態変化によって、ハロゲン化銀粒子の銀粒子への現像を制御するために、例えばハロゲン化銀粒子中または粒子上のある位置で優先的に起こる現像を助成し、粒子の他の位置で優先的な現像を妨げるために、有用に用いることができる。
【0068】
適当な核形成剤、電子伝達剤および現像促進剤は、例えば、英国特許出願公開第2097140号、英国特許出願公開第2131188号、米国特許第4,859,578号および米国特許第4,912,025号明細書に記載されたものを含み、これらの開示は引用することによって本明細書に組み込まれる。
【0069】
銀粒子分散体中の銀濃度は、キャリア媒体およびハロゲン化銀粒子から銀粒子が形成される方法によって変化するであろう。ゼラチン中のハロゲン化銀粒子から銀粒子を形成する場合、特に導電性コーティングとしてコーティングに使用するために、またはキャリア媒体の除去を促進するために、ゼラチンに対する銀の比率は、銀1モル当たり60g以下が好ましく、さらに好ましくは40g以下であり、特に好ましくは20g以下である。
【0070】
さらに、銀粒子の大きさ、形状およびサイズ分布は、所望の効用および銀粒子を扱うために用いられる装置の制限に依存して、過度の制限を含まずに、本発明の方法によって制御できるとはいえ、銀粒子形態の各種特徴を以下のように制御することが好ましい。大きい寸法が最大10μm、例えば0.1〜10μmの範囲、さらに好ましくは0.25〜5μmの範囲であることが好ましい。上述したように粒子形状を制御できるとはいえ、平板状形態を有する銀粒子を供給することが有益であり、それらは、例えば平板状[100]粒子(おおよそ長方形)、平板状[111]粒子(おおよそ六角形)またはそれらの混合物であることができる。平板状[100]および[111]銀粒子によって、平板状[100]および[111]ハロゲン化銀粒子から仮形態方法で形成された、または平板状[100]および[111]ハロゲン化銀粒子に類似の形態を有する銀粒子を意味する。平板状銀粒子は少なくとも3:1のアスペクト比を有することが好ましく、さらに好ましくは少なくとも5:1、特に好ましくは10:1〜50:1の範囲である。また、本発明に従った平板状銀粒子は最大5μmの厚さが好ましく、さらに好ましくは最大0.2μmであり、それによって、各種用途に用いた場合、粒子間の相当なオーバーラップを助成する。
【0071】
本発明特有の利点は、粒子サイズを選り分ける不体裁な粒子フィルターを開発する必要なしに、立方体、平板状または他の形態で形成された銀粒子のサイズ分布を制御することができることである。例えば、大きな粒子によってインクジェットヘッドが詰まるリスクを最小化しつつ、できる限り大きな銀粒子をインクジェット印刷の導電性インクとして用いる(それによって最大の導電性を提供する)ことを可能にするために、銀粒子の形成をあるパラメーター内に制御することが有益である。本発明に従ってそれを達成する最も魅力的な方法は、狭いサイズ分布のハロゲン化銀粒子を生成し、物理現像または擬似形態変換に最も好都合な条件を利用してそれらを銀粒子に変換することである。
【0072】
本発明に従って、銀粒子分散体を変動係数(COV)が最大0.5のサイズ分布を持つように制御することが好ましく、さらに好ましくは最大0.4であり、より好ましくは最大0.25であり、特に好ましくは最大0.2であり、最も好ましくは最大0.15である。理想的な環境では、0.1のCOVがもっとも好ましいことが予知される。
【0073】
COVは、分布状態の属性であり、標準偏差を平均値で割る(そして時々百分率で表される)ことによって計算することができる。サイズ分布のCOVは、この場合、それらの体積に従って、粒子の相対的総数に基づいている。これに関し、COVは粒子のサイズのみならず体積の変動と考えられ、低COVはサイズおよび形状の均一性を達成する。
【0074】
本発明の銀粒子の種々の可能な好ましい物理的特性は、銀粒子が求められる実用性に依存して、個々にまたは好ましくは組み合わせで適切おなることができるが、以下に説明する異なった態様に広げることもできる。
【0075】
本発明の一つの態様では、導電性銀分散体は、導電性層状コーティングを生成する層状形式で、または導電性パターン化コーティングを生成するパターン化形式で、基材にコーティングするための塗布可能な導電体として利用できる。このような導電性コーティングの用途は、例えば印刷回路板または電子ディスプレイ機器のような電子機器のための導電性バックプレート、携帯電話およびラップトップコンピュータのような機器のためのラジオ周波数(RF)または電磁シールド、および印刷回路板またはフレキシブル印刷回路の電気回路を含む。
【0076】
導電性コーティングを形成するための銀粒子分散体はキャリア材料としてポリマーバインダー材料を含むことができ、適当なこのようなバインダー材料は適当なキャリア材料として上記に言及したようなポリマーバインダーを含む。好ましくは、導電性層状コーティングまたは導電性パターン化コーティングを形成する目的のために、分散体は、特にゼラチンまたは類似のポリマーバインダーを用いた場合、一旦基材上で乾燥すればコーティングを硬化させる硬化剤を含む。適当なこのような硬化剤は写真材料で一般的なものであり、上記引用のResearch Disclosureに記載されている。
【0077】
また、キャリア媒体は、優れた接着強度、機械的耐性および溶剤耐性を有するコーティングを乾燥によって提供するために、好ましくは水性媒体中で、例えば米国特許第6,558,746号明細書に記載されたような部分的にシリル化された(メタ)アクリレートコポリマーを含むか、さらに好ましくは当該(メタ)アクリレートコポリマーから必須的に構成される。一般的なシリル化コモノマーは、例えば、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよびビニルトリメトキシシランを含む。コポリマーはシリル化の程度が0.05〜50%であり、水に容易に分散することが好ましい。一般的なコポリマーは、例えば、45%のメチルメタクリレート、50%のn−ブチルアクリレートおよび5%のメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランから構成される。
【0078】
導電性コーティングの形成に用いられる銀分散体は、例えば銀フレーク粉末、銅フレーク粉末、金属処理無機フレーク顔料および例えばフッ化物ドープ錫酸化物またはインジウム/錫酸化物のような導電性無機酸化物の粉末のような他の導電性顔料を任意的に含む。
銀粒子分散体に任意に混合することができるさらなる付加物は湿潤剤、脱泡剤、定着剤、架橋剤および所望のそれらの組み合わせを含む。
【0079】
この態様に従った銀粒子分散体は、2.5〜10%のキャリア媒体、25〜75%の銀粒子並びに任意の付加的導電性顔料、13〜72.5%の水、0〜3%のさらなる付加物および0〜0.5%の有機溶剤を含む組成物を有することが好ましくい。
【0080】
銀粒子分散体が導電性コーティングとして用いられる、本発明のこの態様に従って用いられる銀粒子の形態は、どのような形状、例えば平板状、立方体、繊維、ロッドであることができ、どのような大きさおよびサイズ分布であることもできる。けれども、層状およびパターン化された導電性コーティングの両者のために、平板状銀粒子を用いることが好ましい。層状導電性コーティングのためには、改良された導電性と薄層材料を提供できることが必ず有益である。パターン化された導電性コーティングのために、特に導電性トラックとしての使用のために、所望の導電性トラックパターンに沿った平板状銀粒子の整列は、より大きな導電性銀粒子を有することおよびこのような粒子がお互いに効率的に接触し、オーバーラップして、比較的低い銀レイダウンで、接触従って電導性を改良することができることによって、改良された導電性の提供が可能であると信じられる。
【0081】
この態様に従った好ましい平板状銀粒子のアスペクト比は少なくとも3:1が好ましく、さらに好ましくは少なくとも5:1であり、最も好ましくは10:1〜50:1の範囲である。平板状銀粒子は大きい方の寸法が0.1〜10μmであることがより好ましく、0.25〜5μmであることがさらに好ましい。平板状銀粒子は厚さが最大0.5μmであることがより好ましく、最大0.05μmであることがさらに好ましい。
【0082】
導電性層状コーティングの形成において、銀分散体はどのような適当な方法、例えばスプレイ、基材を分散体の浴に浸漬することまたはビードコーティング、カーテンコーティングを含むロールツーロールコーティングによってでも基材に塗布することができる。
【0083】
この態様の好ましい形態では、導電性銀分散体は、例えば基材上に導電性トラックを提供するパターン化された導電性コーティングとして利用することができる。導電性銀分散体のパターンを生成するために、分散体はパターンが形成される方法で基材上に塗布することができる。例えば、導電性銀分散体のパターン化されたコーティングは、連続性の個々のコーティングに向けられた我々の審査中の特許出願で、国際特許出願第PCT/GB2004/002591号明細書に記載された方法を利用することによって生成することができる。例えば導電性トラックを形成するためにパターン化された方法で銀分散体を塗布することができるこの態様のこの好ましい形態に依れば、銀分散体を塗布する基材は、フレキシブル基材が好ましく、所望のパターンに対応して親液性(親溶媒性)および疎液性(疎溶媒製)領域を定める表面パターンを生成するように処理され、選ばれたキャリア媒体中の銀分散体のコーティングの適用によって、分散体は疎液性領域から親液性領域に後退し、所望のパターンに対応したパターン化された導電性トラックを生成する。
【0084】
別の態様では、銀分散体は導電性インクとして利用することができる。導電性インクは、例えばインクジェット、フレキソグラフ、リソグラフ、グラビア、凹版およびスクリーン印刷の1種以上であればどのような印刷にも適したインクであることができる。導電性インクは、例えば、電子機器の組み立て、印刷回路板の導電性トラック、半導体、スルーホール相互連結器、多層セラミックコンデンサー、導電性テープ、フレキシブル電子機器、RFIDタグアンテナ、表示技術用のコンタクトアレイ、生物学および電気化学センサー用の電極およびスマートテキスタイルなどを含むどのような適当な導電性インク用途にも好適であろう。
【0085】
電子機器における導電性トラック形成およびほとんどの他の導電性インク用途での使用のためには、平板状銀粒子を利用することが好ましい。平板状銀粒子による改良された導電性は、より少ない粒子間接続および、平板状銀粒子は多少は重なる傾向があるので、良好かつ効果的な粒子間接続から起こると信じられる。
【0086】
好ましいインク組成物はある程度印刷方法および用途に依存する。
例えば、例えば電子回路のリソグラフ印刷で使用するための導電性インクは、平均粒子サイズが1〜10μm、好ましくは4〜6μmの平板状銀粒子を含むことが好ましい。平板状銀粒子のアスペクト比は少なくとも3:1であることが好ましく、さらに好ましくは5:1であり、最も好ましくは10:1〜50:1の範囲である。平板状銀粒子は厚さは最大0.5μmであることができ、最大0.05μmであることがより好ましい。任意的に、このような導電性インクは、粒子間接続を改良するために、1種以上の同じまたは異なった形態、例えば立方体のより小さな銀粒子をさらに含むことができる。平板状粒子は、低レイダウンの銀による高導電性が魅力的なリソグラフ印刷に対して特に有益である。
【0087】
インクジェット印刷のためには、用いられる銀粒子の大きさおよび形態は所望の用途などに依存するが、インクジェットプリントヘッドの寸法によって制限される。幾つかの用途のためには、大きな扁平な平板状粒子が有益であると思われるが、小さな開口のインクジェットヘッドを用いるインクジェット方法によって、このような粒子のレイダウンを達成することは困難であろう。従って、インクジェットヘッドのサイズに応じて粒子のサイズを、例えばより小さな平板状粒子(例えば大きい方の寸法が最大1μm)を選択することが導電性インクのために好ましい。しかし、立方体粒子を導電性インクジェットインクに利用することが好ましく、サイズは用途およびインクジェットヘッドの開口のサイズに応じて選択される。本発明の方法は、粒子のサイズ分布を精密に制御し、それによって用いることのできる銀粒子の平均サイズを大きくし、それによって電導度を大きくすることによって、インクジェットヘッドを詰まらせるリスクを増加させずに、インクジェット導電性インクに有利に用いることができる。サイズ分布は、上記に説明したようにハロゲン化銀粒子の物理現像を好むパラメーターを選択し、ハロゲン化銀粒子分散体の調製において、サイズ分布を制御するための確立した方法を用いることによって、制御することができる。この目的のために、本発明に従った銀粒子分散体の粒子サイズの変動係数は最大0.5であることが好ましく、さらに好ましくは最大0.25であり、特に好ましくは最大0.2以下である。
【0088】
導電性インクが用いられる電子回路の製造コストは一般に非常に高いが、改良された製造技術およびフレキシブル電子回路の大規模製造によってこのような機器のコストが下がりそうであることが予期される。この場合、現在比較的重要でない銀レイダウンのコストが重要になり、より低い銀レイダウンを有する改良された導電度を本発明の方法によって提供できることが重要な利点になるであろう。さらに、サイズ分布などの制御と結び付けられた、より低い銀レイダウンでの改良された電導度は、さらに複雑な機器および回路を、導電性インクを使用して、例えばインクジェット印刷を使用して作製することを可能にするであろう。
【0089】
導電性インクは適当なインク分散剤に銀粒子を分散することによって調製することができる。これは、他の材料と一緒に共分散したときに好適なインク分散剤を形成するキャリア媒体を用いるか、またはハロゲン化銀粒子を銀粒子に変換するキャリア媒体をインク分散剤に置換して、インク分散剤としての使用に好適なキャリア媒体中でハロゲン化銀粒子を銀粒子に変換することによって達成できる。任意的に、ハロゲン化銀粒子から銀粒子への調製は、インク分散剤としても有用なキャリア媒体中で行なうことができる。
【0090】
適当なインク分散剤は用途に依存するが、高沸点溶剤と2種以上の別々の成分または単一成分のバインダーを含む。導電性インクで使用するための他の成分は、例えば抗酸化剤、乾燥剤、粘着度減少剤、増粘剤、硬化剤および界面活性剤を含む。
【0091】
バインダーは、例えばリソグラフ印刷ではスチレン化アルキド樹脂を含めてアルキド樹脂を含有する炭化水素樹脂、フレキソグラフまたはグラビア印刷での使用のためには例えば国際特許出願公開03/068874号パンフレットに記載されているようなカルボン酸官能性または酸無水物官能性芳香族ビニルポリマー、熱硬化性導電性インクとしての使用のためには例えば米国特許第6,332,620号明細書に記載されているような、エポキシ樹脂、架橋剤および触媒からなる熱硬化性樹脂系であることができる。
【0092】
本発明に従った導電性インクの処方は、導電性インク技術では一般的なものであり、当業者の通常の能力内のものでることができる。
【0093】
別の態様では、銀分散体は導電性フィラー材料として利用することができる。銀分散体はポリマー材料の導電性フィラー材料として用いることができ、例えば電子エンクロージャ、コンピュータエンクロージャ、移動電話、携帯機器、ネットワークルータ、医療診断および分析装置、航空および自動車装置、導電性シート、航空密閉剤、導電性グリース、導電性接着剤およびエポキシ、異方性コネクターおよび異方性接着剤を含む用途群のための、例えばエラストマー、封止材、接着材、コーティング材、テープおよびEMIガスケットに電磁(EMI)およびラジオ周波数(RF)シールド、電導性および熱伝達能力を提供する。
【0094】
導電性フィラーとして用いるための本発明の銀粒子は、上記方法によって、要求に応じて制御されたどのような所望の大きさ、形態およびサイズ分布であることもできる。銀粒子は、導電性フィラーが求められる用途に依って、代わりのキャリア材料に再分散することができる。例えば、ポリオルガノシロキサンまたはオルガノハイドロジェンシロキサンのような有機シリコン化合物に分散することができ、その例は米国特許第6,797,772号明細書に見られる。
【0095】
導電性インクおよび/または導電性コーティングが塗布される基材は意図された用途に依存する。インクおよびコーティングは前コーティングされたまたはされていないどのような適当な基材にも塗布することができ、基材は剛直またはフレキシブルであることができるが好ましくはフレキシブルである。好適なこのような基材は、剛直な、ガラス強化エポキシラミネート、金属パッドおよび半導体部品、接着剤コートポリマー基材、ポリマー系印刷回路基板を含む印刷回路基板(PCB)基材、セラミック基材、ポリマーテープ(例えば多層セラミックデバイス用の絶縁グリーンテープ)、紙、光沢アート紙、ボンド紙、半合成紙(例えばポリエステル繊維)、合成紙(例えばPolyart(商標))、樹脂コート紙、ポリマー基材並びに複合材料を含む。ポリマー基材として使用するための好適なポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホンおよびそれらの混合物を含む。基材、特にポリマー基材は、基材表面へのインクの接着性を改良するために処理することができる。例えば、基材はポリマー接着層を塗布することができ、または表面を化学処理したり、コロナ処理したりすることができる。
【0096】
フレキシブル電子機器または部品の製造において基材上に塗布または印刷するために、支持体は速いロールツーロール塗布を助成するフレキシブルであることが好ましい。任意的に、本発明の好ましい態様に従って、支持体は多孔性基材であり、紙、合成紙、樹脂コート紙または多孔性ポリマー基材、例えばインクジェット紙であることができ、多孔性基材は支持基材の中へコーティング組成物またはインクを引き付けるという利点を有し、それによって銀粒子間の接触を改良し、電導性を増加する。
【0097】
以下に実施例および図を参照して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0098】
(実施例1)
240gの通常の骨ゼラチンおよび1.5mlのPLURONIC(商標)31R1(オキシラン、メチル−、ポリマー)を入れ、脱ミネラル水で6.9リットルにし、75℃に維持した反応容器に、制御された流量と3MAgNO3およびNaClのpAg条件との下でダブルジェット沈殿によって、100%AgCl立方体粒子の乳剤(分散体)を調製した。この溶液をKClによってpAg6.8に調整した。当初の2.5分間AgNO3溶液の流量は32ml/分であり、引き続いて25分間掛けて200ml/分に上げた。その後流量は4リットルのAgNO3溶液が消費されるまで200ml/分に維持した。得られた粒子は、電解粒子分析(electrolytic grain analysis)による測定で、エッジ長さが0.54μmで狭いサイズ分布(変動係数が0.22)であった。
【0099】
得られた乳剤/分散体をUF(膜による限外濾過)洗浄して、溶液の電導度が10mS未満、pAgが6.8およびpHが5.6になるまで不要反応副生物を除去した。銀1モル当量当たり20gの追加のゼラチンを洗浄工程後に添加した。
立方体塩化銀粒子分散体のSEM(走査電子顕微鏡)画像を分散体の希釈サンプルを使用して得た。画像を図1に示す。
【0100】
現像剤組成物(1リットル)を以下の如く調製した。
50.0g エリトルビン酸ナトリウム(現像剤)
3.0g HMMP(現像剤)
8.0g チオ硫酸ナトリウム(定着剤)
20g K2CO3(バッファー)
脱ミネラル水を900ml添加し、BAS−2013によってpHを11.5に調整し、脱ミネラル水を1000mlまで注ぎ足した。
【0101】
40℃に保持されたゼラチン中の塩化銀乳剤/分散体の一部(塩化銀2モルを含む)を水酸化ナトリウムで処理し、塩化銀粒子をカブらせるために乳剤のpHを12に調整した。カブった乳剤を、15リットルの現像剤組成物を容れ、40℃に保持された反応釜に直接添加し(急速に、約2秒間赤く発光)、プロップスターラーを用いて高速で撹拌した。反応釜の中身は2〜3秒で灰色になった。カブったハロゲン化銀粒子の現像の初期段階(約3分間)中、pHを水酸化ナトリウム溶液の注意深い添加によって10を超える値に維持し、その後10分間pHを11に戻し、調整した。得られた銀粒子を限外濾過装置によってUF洗浄し、20mS未満の溶液電導度まで濃縮した。得られた銀分散体の銀濃度をICP(誘導結合型プラズマ分光分析法)によって測定した結果、0.80Agモル/kgであった。
【0102】
形成された銀分散体の希釈サンプルのSEM画像を取得した。結果を図2に示す。図1および2の定性的比較に基づいて、銀粒子は仮形態(現像)プロセス(即ち、銀粒子は元の塩化銀粒子の形状をほとんど保っていた)によって形成されたことは明らかである。
【0103】
(実施例2)
ダブルジェット方法を用いて、1MAgNO3およびNaCl溶液でスタートし、制御されたpAg条件下78ml/分で、195gの酸化ゼラチンと4373gの脱ミネラル水を容れ、35℃およびpAg7.6に保たれた反応容器に1.6分間ポンピングして、100%AgCl平板状[100]粒子を沈殿させた。この時点で、2.25gのNaClと0.57gのKIを含有させ、9.285リットルにした35℃の溶液を反応容器に添加し、5分間維持した。この時点で、制御されたpAg条件下15ml/分で添加した4MAgNO3およびNaCl溶液を用いて、成長を続けた。温度を40分掛けて35℃から70℃に直線的に上げた。15分間流れを止め、さらに45分間再開し、この間に流量を15ml/分から42.3ml/分に直線的に増加した。この時点で8モルの銀が消費された。乳剤をさらに30分間70℃で放置した後、40℃に冷却し、洗浄した。
【0104】
得られた乳剤/分散体をUF洗浄して、溶液の電導度が10mS未満、pAgが6.8およびpHが5.6になるまで不要反応副生物を除去した。銀1モル当量当たり20gの追加のゼラチンを洗浄工程後に添加した。
[100]平板状ハロゲン化銀粒子が形成されたことは得られたSEM画像から明らかである。SEM画像を図3に示す。
【0105】
現像剤組成物を以下の如く調製した。
50.0g エリトルビン酸ナトリウム(現像剤)
3.0g HMMP(現像剤)
8.0g チオ硫酸ナトリウム(定着剤)
20g K2CO3(バッファー)
脱ミネラル水を900ml添加し、BAS−2013によってpHを11.5に調整し、脱ミネラル水を1000mlまで注ぎ足した。
【0106】
40℃に保持されたゼラチン中の塩化銀乳剤/分散体の一部(塩化銀2モルを含む)を水酸化ナトリウムで処理し、塩化銀粒子をカブらせるために乳剤のpHを12に調整した。カブった乳剤を、15リットルの現像剤組成物を容れ、40℃に保持された反応釜に直接添加し(急速に、約2秒間赤く発光)、プロップスターラーを用いて高速で撹拌した。反応釜の中身は2〜3秒で灰色になった。最初の3分間pHを9.7に落とし、その後10分間pHを11に戻し、調整した。得られた銀粒子を限外濾過装置によってUF洗浄し、20mS未満の溶液電導度まで濃縮した。得られた銀分散体の銀濃度をICP(誘導カップルプラズマ分光)によって測定した結果、0.83Agモル/kgであった。
【0107】
図4は形成された銀粒子のSEM画像を示し、それは明瞭に平板状[100]銀粒子である。再び、図3に示された塩化銀粒子と比較することによって、銀粒子が元の塩化銀粒子の形状をほとんど保っていることが明白である。実施例1で製造された銀粒子(図2)と実施例2で製造された銀粒子(図4)を比較すれば、元の塩化銀粒子の大きさおよび形状を制御することによって、形成された銀粒子の大きさおよび形状を正確に制御できることが明らかである。さらに、非常に多様なサイズおよび形状特性を制御下に達成することができる。実施例1では、0.5μmと1μmの間(定性的)、測定値として0.54μmのエッジ長さを有する立方体銀粒子(図2)が形成されるが、一方実施例2では、3〜4μm(定性的)のより長いエッジ長さを有する[100]平板状銀粒子(図4)が形成される。
【0108】
(実施例3)
米国特許第5,176,991号明細書(C.G.Jones et.al.)の実施例1に記載された方法を、凝固物洗浄工程を除いて用い、100%AgCl平板状[111]粒子をアデニンの存在下で沈殿させた。
得られた乳剤/分散体をUF洗浄して、溶液の電導度が10mS未満、pAgが6.8およびpHが5.6になるまで不要反応副生物を除去した。
SEM画像(図5)は得られた大体六角形の[111]平板状塩化銀粒子のサンプルを示す。
【0109】
現像剤組成物を以下の如く調製した。
50.0g エリトルビン酸ナトリウム(現像剤)
3.0g HMMP(現像剤)
4.0g チオ硫酸ナトリウム(定着剤)
20g K2CO3(バッファー)
脱ミネラル水を900ml添加し、BAS−2013によってpHを11.5に調整し、脱ミネラル水を1000mlまで注ぎ足した。
【0110】
40℃に保持されたゼラチン中の塩化銀乳剤/分散体の一部(塩化銀0.07モルを含む)を水酸化ナトリウムで処理して乳剤のpHを12に調整し、塩化銀粒子をカブらせるために10分間pH12に保持した。現像中高pHを維持するために、240mlの現像剤組成物および70mlの水酸化ナトリウム100g/l溶液からなる組成物を40℃に維持し、塩化銀乳剤に添加した。pHを5分後に5.3に減少し、0.2mlのSurfonyl(商標)CT131界面活性剤を生じる銀粒子の分散を促進するために添加した。銀分散体を24時間放置し、表層の90%をデカンテーションした。
図6は形成された[111]平板状銀粒子のSEM画像を示す。図5との比較によって理解できるように、銀粒子は本発明の方法によって塩化銀粒子から仮形態的に還元されていた。
【0111】
(実施例4)
100%塩化銀平板状[100]粒子の乳剤(分散体)を上記実施例2に記載の方法に従って調製した。
現像剤組成物を以下の如く調製した。
50.0g エリトルビン酸ナトリウム(現像剤)
3.0g HMMP(現像剤)
4.0g チオ硫酸ナトリウム(定着剤)
20g K2CO3(バッファー)
脱ミネラル水を900ml添加し、BAS−2013によってpHを11.5に調整し、脱ミネラル水を1000mlまで注ぎ足した。
【0112】
40℃に保持されたゼラチン中の塩化銀乳剤/分散体の一部(塩化銀0.1モルを含む)を0.6MHCl中のSnCl2溶液(10g/l)0.2mlで処理し、塩化銀粒子をカブらせるために10分間保持した。現像中高pHを維持するために、240mlの現像溶液および70mlの水酸化ナトリウム100g/l溶液を40℃で乳剤に添加した。pHを5分後に5.3に減少し、0.2mlのSurfonyl(商標)CT131界面活性剤を生じる銀粒子の分散を促進するために添加した。その後、分散体を洗浄し、濃縮するために、銀分散体を数回遠心分離機にかけた。
図7は形成された銀粒子のSEM画像を示す。銀粒子は[100]平板状粒子としてはっきり認識でき、さらに元の塩化銀粒子の形状をほとんど保っていた(図3参照)。
【0113】
(実施例5)
実施例1〜4(それぞれ分散体1〜4)に従って調製した銀分散体のサンプルを、例えばEstar(商標)ポリエチレン基材のような各種の支持体および24μmと40μmのコーティングバーを使用するRK自動化バーコーターを用いて他の紙タイプに加えてインクジェット媒体に塗布した。多孔性インクジェット媒体は、コーティングバーがサンプルを横切る時に液体を吸収する基材故に、塗布される銀レイダウン(XRFを用いて測定)がより大きい。
31mmディスク間の抵抗率を各塗布サンプルについて測定した(測定は異なった軸を横切って4回行い、平均した)。各サンプルの銀レイダウンおよび抵抗率(Ω/□)を表1に示す。
【0114】
【表1】

「微多孔性IJ紙」はコダックの瞬間乾燥写真用インクジェット紙で、孔径が30nmの微多孔性アルミナ系レシーバーである。
「多孔性レシーバー」は多孔性紙上にPVAおよび界面活性剤で塗布された炭酸カルシウム粒子(平均直径0.7μm)を含む。
【0115】
この表は、一連の支持体に導電性コーティングを形成するために各種の銀分散体を使用することができることを明らかにしている。予想どおり、より多くの銀レイダウンがより良い電導度を与えることを示すことができる(コーティングBおよびC参照)。コーティングCおよびEの比較に基づいて、より大きく、より平坦な[100]平板状銀粒子は、同様のレイダウンで、立方体銀粒子より多孔性支持体により良い電導度を与えることが明らかである。
【0116】
(実施例6:フレキソ印刷)
上記実施例2で調製した銀分散体のサンプル60gを3000RPMの遠心分離機中で10分間40℃でスピンダウンすることによって、さらに濃縮した。表層の液体45gを除去して、約3.33Agモル/kgの材料を残した。当該サンプルを撹拌しながらソニーグローブを用いて5分間手動で再分散した。パターン化されたおよびパターン化されていない両方のロールを用いた。パターン化されたローラーに対する結果は材料がフレキソ印刷に用いることができることを示した。パターン化されていないローラーに対する結果は、下記の表2に詳細に示したように、XRFおよび抵抗率測定(31mmディスクを横切った)を載せた。幾つかの市販のフレキソインクと同様に、十分な導電性をもたらすために2以上のインクの層をレイダウンすることが必要であった。表2は、互いに積み重ねて2回および3回印刷の導電性を示す。
【0117】
【表2】

【0118】
(実施例7:インクジェット印刷)
実施例1の方法に従って調製した銀分散体を、71.8g/kgのエタンスルホン酸,2−(2−(2−(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシ)エトキシ)エトキシ)−,ナトリウム塩を含む2容量%の界面活性剤溶液で処理し、30℃で印刷直前に混合した。当該分散体を米国特許出願公開第2004/0110101号明細書に記載されているようなバルブジェット装置を用いて各種基材に噴出した。この方法を用いてブロック領域に加えてドット線の印刷を実地に試した。ブロック印刷された銀の銀レイダウンおよび導電性(31mmディスク間の抵抗率として)を各基材の一連のノズル径について測定した。結果を表3に呈示する。
【0119】
【表3】

結果は、本発明に従って製造された銀分散体のインクジェット印刷によって銀の導電層を製造できることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】塩化銀100%の立方体粒子の倍率5000倍でのSEM画像である。
【図2】図1の塩化銀粒子から形成された立法体銀粒子の倍率5000倍でのSEM画像である。
【図3】塩化銀100%の平板状[100]粒子の倍率10,000倍でのSEM画像である。
【図4】図3の塩化銀平板状[100]粒子から形成された平板状銀粒子の倍率10,000倍でのSEM画像である。
【図5】塩化銀100%の平板状[111]粒子の倍率10,000倍でのSEM画像である。
【図6】図5の塩化銀平板状[111]粒子から形成された平板状銀粒子の倍率10,000倍でのSEM画像である。
【図7】SnCl2によってカブらされている、図5の塩化銀平板状[100]粒子から形成された銀粒子の倍率5000倍でのSEM画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性インク、導電性フィラーおよび/または導電性コーティングの製造方法であって、導電性インク、導電性フィラーおよび/または導電性コーティングは、導電性を賦与するために銀粒子を単独でまたは他の導電性材料と組み合わせて含み、当該方法は下記の各工程を含んでなる。
キャリア媒体中にハロゲン化銀粒子の分散体を用意する工程、
該ハロゲン化銀粒子を銀粒子に転換し、キャリア媒体中に銀粒子の分散体を形成するようにハロゲン化銀粒子の分散体を処理する工程、および
キャリア媒体中の銀粒子分散体をさらに処理して、導電性インク、導電性フィラーおよび/または導電性コーティングを形成する工程。
【請求項2】
ハロゲン化銀粒子が塩化銀を含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ハロゲン化銀粒子が少なくとも90%の量で塩化銀を含んでなる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ハロゲン化銀粒子が少なくとも99.5%の量で塩化銀を含んでなる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
銀粒子の分散体が、1方向の寸法が0.03〜10μmの範囲である銀粒子を含んでなる請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
銀粒子の分散体が、1方向の寸法が0.25〜5μmの範囲である銀粒子を含んでなる請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
銀粒子が、ハロゲン化銀平板状粒子の形態に実質的に相当する形態を有する平板状粒子である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
平板状粒子が少なくとも3:1のアスペクト比を有する請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
平板状粒子が少なくとも5:1のアスペクト比を有する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
平板状粒子が10:1〜50:1のアスペクト比を有する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ハロゲン化銀粒子分散体の処理が、該ハロゲン化銀粒子をカブらせることおよび該カブらせたハロゲン化銀粒子を現像剤組成物によって還元させることを含んでなる請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ハロゲン化銀粒子のカブリが、還元剤によって処理すること、ハロゲン化銀粒子を該ハロゲン化銀粒子が感受性を有する放射線に曝すこと、ハロゲン化銀分散体のpHを調整すること、および/またはハロゲン化銀粒子分散体に銀イオンまたは銀イオン源を導入することである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
キャリア媒体がゼラチンである請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
銀粒子分散体のキャリア媒体を該キャリア媒体とは異なる第二のキャリア媒体で置換することをさらに含んでなる請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第二のキャリア媒体がインク分散剤としての使用に適している請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法を含んでなる導電性インクの製造方法。
【請求項18】
導電性インクがインクジェット、フレキソグラフ、リソグラフ、凹版、グラビアおよびスクリーン印刷の1種または2種以上に適している請求項17に記載の方法。
【請求項19】
導電性インクがインクジェット印刷に好適であり、さらなる処理工程がインクジェット印刷で用いるために銀粒子分散体を調製することを含んでなり、銀粒子分散体が1μmまでの最大寸法と立方体または平板状形態とを有する銀粒子を含んでなり、銀粒子分散体のサイズ分布が最大0.5の変動係数である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
導電性インクがリソグラフ印刷に好適であり、さらなる処理工程がリソグラフ印刷で用いるための銀粒子分散体を調製することを含んでなり、銀粒子分散体が10μmまでの最大寸法と少なくとも5:1のアスペクト比を有する平板状形態とを有する銀粒子を含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
導電性フィラーの製造方法であって、銀粒子分散体のさらなる処理が、銀分散体を導電性フィラーとして用いる範囲内の構成要素を製造する組成物と銀粒子分散体とを混合することを含んでなる請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
導電性コーティングの製造方法であって、銀粒子分散体のさらなる処理工程が、導電性コーティングを提供するに十分な銀粒子のレイダウンで銀粒子分散体を支持体上に塗布することを含んでなる請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
導電性コーティングが導電性トラックを規定するパターン化された導電性コーティングであり、銀粒子の導電性トラックが所望のパターンに従って形成されるように、銀粒子分散体を支持体基材に塗布する前に、支持体基材を処理して、導電性トラックの所望のパターンを定める親液性および疎液性領域を生成させる工程をさらに含んでなる請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる導電性インク、導電性フィラーまたは導電性コーティング。
【請求項25】
導電性インクが、立方体または平板状形態の銀粒子を有する銀粒子分散体を含んでなり、該分散体のサイズ分布が最大0.5の変動係数を有するインクジェット印刷用導電性インク。
【請求項26】
導電性インクが、10μmまでの最大寸法および少なくとも5:1のアスペクト比の平板状形態の銀粒子を有する銀粒子分散体を含んでなるリソグラフ印刷用導電性インク。
【請求項27】
10μmまでの最大寸法および少なくとも5:1のアスペクト比の平板状形態を有する銀粒子の分散体を含んでなる導電性フィラー。
【請求項28】
10μmまでの最大寸法および少なくとも5:1のアスペクト比の平板状形態を有する銀粒子の分散体を含んでなる導電性コーティング。
【請求項29】
導電性インク、導電性フィラーおよび/または導電性コーティングの製造として、または製造中に用いるための銀分散体の製造方法であって、当該方法は、下記の工程、
キャリア媒体中にハロゲン化銀粒子の分散体を提供する工程、および
該ハロゲン化銀粒子を銀粒子に変換し、キャリア媒体中に銀粒子の分散体を形成するようにハロゲン化銀粒子の分散体を処理する工程、
を含んでなり、
当該方法は、下記の特徴の1つ以上を有する銀粒子分散体によって特徴づけられる。
A)塗膜電導度が最大1000Ω/□の抵抗率で表され、
B)少なくとも50%が少なくとも3:1のアスペクト比を有する平板状の銀粒子であり、および
C)粒子のサイズ分布が最大0.4の変動係数を有する。
【請求項30】
請求項7〜11、15および16で規定された特性のいずれか一つによってさらに特徴づけられる請求項29に記載の方法。
【請求項31】
請求項2〜6および12〜14で規定された特性のいずれか一つによってさらに特徴づけられる請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
導電性インク、導電性フィラーおよび/または導電性コーティングの製造として、または製造中に用いるための銀粒子分散体であって、形成されたインク、フィラーおよび/またはコーティングに、1000Ω/□以下の抵抗率によって表される電導度を賦与することができる濃度でキャリア媒体中に分散された銀粒子を含んでなり、該銀粒子は平板状形態と少なくとも3:1のアスペクト比とを有し、および/または該銀分散体は変動係数が最大0.5の銀粒子サイズ分布を有する銀粒子分散体。
【請求項33】
導電性トラックの所望のパターンで基材に請求項32に記載の銀粒子分散体を適用する工程を含んでなる電子回路の製造方法。
【請求項34】
請求項24〜26のいずれか一項に記載の導電性インクを基材に適用することを含んでなる請求項33に記載の方法。
【請求項35】
請求項24または25に記載の導電性インクを基材にインクジェット印刷によって適用することを含んでなる請求項33に記載の方法。
【請求項36】
請求項26に記載の導電性インクを基材にリソグラフ印刷によって適用することを含んでなる請求項33に記載の方法。
【請求項37】
基材を処理して、形成される導電性トラックの所望のパターンを定める親液性および疎液性領域を生成させること、および該パターン化された基材に銀分散体を塗布して、銀粒子の導電性トラックを所望のパターンに従って形成することを含んでなる請求項33に記載の方法。
【請求項38】
銀分散体が連続的な別個の塗工によって塗布される請求項37に記載の方法。
【請求項39】
ハロゲン化銀粒子を銀粒子に変換して、銀粒子分散体を形成するように、ハロゲン化銀粒子分散体を処理すること、およびその銀粒子分散体から導電性インク、導電性フィラーまたは導電性コーティングを形成することによる、導電性インク、導電性フィラーおよび/または導電性コーティングの製造におけるハロゲン化銀粒子の使用。
【請求項40】
ハロゲン化銀粒子分散体を銀粒子分散体に変換するように、ハロゲン化銀粒子分散体を処理することによって、銀粒子分散体中の銀粒子の大きさ、サイズ分布および/または形態それぞれを制御するための、変換ハロゲン化銀粒子分散体の製造におけるハロゲン化銀粒子の大きさ、サイズ分布および/または形態を制御する因子の使用。
【請求項41】
ハロゲン化銀粒子分散体を銀粒子分散体に変換するように、ハロゲン化銀粒子分散体の処理を、化学現像よりも物理現像を容易にする条件下で行なう請求項40に記載の使用。
【請求項42】
ハロゲン化銀粒子がカブリ工程および現像工程を受けるように、ハロゲン化銀粒子の処理によって形成された銀粒子の形態を制御するために、カブらせたハロゲン化銀の物理現像および化学現像のそれぞれの程度を制御する因子の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−523246(P2008−523246A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544966(P2007−544966)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004310
【国際公開番号】WO2006/061557
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】