説明

小さい材料厚みの金属箔を有する排気ガス処理装置

少なくとも1つのハウジング(2)およびハニカム構造体(3) を有する排気ガス処理装置(1)である。ハニカム構造体(3)は、ハニカム構造体(3)の両端面(5)間を延びて、最大でも50マイクロメートルの材料厚み(8)を有する少なくとも部分的に構造金属箔(6、7)で形成されたダクト(4)を有する。金属箔(6、7)の少なくとも一部は、少なくとも端面(5)の領域において所定の幅(10)のひだ(9)によって設計される。そしてさらに、金属箔(6、7)は、このひだ(9)の領域(11)における溶接継ぎ目(12)でそれ自体に溶接される。本発明は、適切な溶接プロセスを使用するこの種の排気ガス処理装置を生産する方法も提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのハウジングおよびハニカム構造体を有し、ハニカム構造体は、ハニカム構造体の端面間を延びるチャネルを有し、チャネルは、最大でも50マイクロメートルの材料厚みを有する少なくとも部分的に構造金属箔で形成されている、排気ガス処理装置に関する。この種の排気ガス処理装置は、移動内燃機関(例えば乗用自動車)の排気システムにおける触媒基板本体として、特に用いられる。
【背景技術】
【0002】
この種の排気ガス処理装置は、火花点火式またはディーゼルエンジンの排気システムにおける高温かつ動的な負荷をしばしば受ける。熱負荷は、排気ガスの温度変動および、触媒を有する排気ガスの触媒的に誘発される変換プロセスが原因で、特に現れる。例えば、温度ピークは800℃まで達する。さらにまた、第1にエンジンの内燃プロセスが原因で、第2に自動車の振動が原因で発生する動的な圧力変動が、考慮されなければならない。排気ガス処理装置が、内燃機関の近くに配置される場合、特に内燃機関と接触して配置される場合、両タイプの負荷は、程度を増加させて発生する。ここでは、さらにより高い温度およびより強い圧力衝撃が、ハニカム構造体に作用し得る。
【0003】
この種の排気ガス処理装置のためのまさにこれらの周囲条件は、特に薄い困難な金属箔を使用する状態を作り出す。端面の領域において、特に、排気ガスがハニカム構造体に入り込む地点の領域において、発生する負荷は、金属箔の破壊におそらくつながることができる。国際公開WO97/15393号は、補強構造を有するシートメタル層から成るハニカム体をすでに開示した。ここでは、ハニカム体の耐久性を高めるために、シートメタル層の面側(face−side)の端部領域で、ひだ(fold)が形成されることが提案される。前記ひだの領域の結果、シートメタル層の厚みは、有意に増加しているハニカム体の質量なしで2倍になる。このことの目的は、シートメタル層の強化を提供することである。そうすると、端部領域は、それらの振る舞いの観点から、従来の、より厚いシートメタル層に対応する。
【0004】
前記文書に記述される補強構造を有するハニカム体の設計が、たとえ用途を広げるためでも改良を得ることを可能にする場合であっても、金属箔の材料疲労のための特定の負荷の下で、端部側の領域において発生することを、それにもかかわらず可能にする。さらにまた、金属箔の座屈および/またはチャネルの阻害が、シートメタル層の非対称なまたは多様に曲がった配列の場合に特に、発生する可能性のあることが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO97/15393号
【発明の概要】
【0006】
これを出発点として、本発明の目的は、先行技術に関して強調される課題を少なくとも部分的に解決することである。ハニカム構造体の極度の負荷の下で、増加した耐久性を有する排気ガス処理装置を特徴づけることは、特に探求される。同様に、排気ガス処理装置は、小さい重量、および定義された熱的振る舞い、によって特徴づけられなければならない。さらにまた、前記タイプの排気ガス処理装置を生産する方法を特徴づけることが、探求される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的は、請求項1の特徴を有する排気ガス処理装置、および請求項10の特徴に従って排気ガス処理装置を生産する方法、によって達成される。本発明の有利な実施形態は、それぞれ従属する請求項において特徴づけられる。請求項において個々に特徴づけられる特徴が、任意の所望の技術的に意味のある方法と互いに組み合わせられてもよく、そして、本発明の別の実施形態を形成してもよい点に留意する必要がある。説明は、図に関連して特に、本発明のさらなる設計異型を特徴づける。
【0008】
本発明による排気ガス処理装置は、少なくとも1つのハウジングおよび1つのハニカム構造体を有する。ハニカム構造体は、チャネルを有し、チャネルは、ハニカム構造体の両端面間を延びて、そして、少なくとも部分的に構造金属箔で形成されていて、構造金属箔は、最大でも50マイクロメートルの材料厚みを有する。金属箔の少なくとも一部は、1つの端面の領域において、所定の幅のひだによって形成され、そしてさらに、金属箔のそれ自体に対する溶接ジョイントは、前記ひだの領域において形成される。
【0009】
ハニカム構造体に関して、100〜800cpsi(平方インチ当たりのセル)のチャンネル密度で、特に、100〜400cpsiの範囲のチャンネル密度で、形成されることが好ましい点に留意する必要がある。ここでは、チャネルは、ハニカム構造体の1つの端面から反対側の端面まで実質的に直線に、かつ互いに平行に、延びることが好ましい。そうすると、金属箔は、小さい流れ抵抗を生成する。このようにして、ハニカム構造体を通して流れる排気ガスに対するハニカム構造体全体の圧力損失は、小さく保持されることができ、そして、これもまた、金属箔の減少した動的な負荷に特に結びつく。ハニカム構造体にとって、少なくとも部分的に滑らかで、かつ部分的に構造的な金属箔で形成されることは、基本的には可能である。しかし、1つの実施形態は、ハニカム構造体を構成するために、滑らかなまたは構造的ないずれかの金属箔の使用が好ましい。構造として、特に波形(波状)が使用される。所定の量の排気ガス処理装置におけるハニカム構造体の大きい表面積を実現するために、そして、排気ガス処理装置全体の小さい重量を確実にするために、最大でも50マイクロメートルの材料厚みを有する金属箔の使用が提案される。応用は、最大でも30マイクロメートルまたは、最大でも20マイクロメートルの材料厚みを有する金属箔が使用されることが、特に好ましい。
【0010】
端面の領域において、所定の幅のひだは、金属箔で、好ましくはすべてが金属箔で、形成される。ひだは、互いに支える(bear)ように、過剰に曲げられるか(bent over)または過剰に折り畳まれる(folded over)金属箔の特に部分的な区分(section)である。その結果、ひだは、金属箔自体の材料によって形成されて、したがって、前記金属箔を有する1つの部分において形成される。ここでは、滑らかな金属箔のみならず、むしろ構造金属箔もまた、2つの端面のうちの1つの少なくとも近くに、この種のひだを有する点に留意する必要がある。すべての金属箔が、1つの端面で、または両方の端面でさえ、ひだが形成されていることは、特に好ましい。溶接ジョイントは、前記ひだの領域に設けられる。前記溶接ジョイントによって、金属箔の過剰に折り畳まれるかまたは過剰に曲げられる部分的な区分は、同じ金属箔の他の部分に固定される。ここでは、固定は、広域に設けられることが好ましい。ここでは、溶接ジョイントは、金属箔自体の特性の変化が最も小さい可能な範囲であるように、形成される。ここでは、溶接ジョイントは、インパルス溶接プロセスを用いて発生されることが、特に好ましい。これは、特に有利であると見なされる実施形態と関連して、さらに以下で述べられる。
【0011】
溶接ジョイントは、端面の領域における改良されたおよび有意な剛性を有する金属箔を提供する。そしてそれは、極度の熱的なおよび動的な負荷の下でさえ、この種の排気ガス処理装置の使用を許容する。材料の、および薄板箔の、望まれない構造変換が、この種の薄い金属箔のろう付けの間にすでに発生するものとこれまで仮定されてきたのに対して、対応する溶接ジョイントが、ひだを安定させて、したがって、使用の間、この種の金属箔の耐久性におけるさらなる相当な改良を許容するということが、ここで初めて発見された。
【0012】
排気ガス処理装置の一実施形態において、溶接ジョイントは、金属箔に沿って、ひだの幅およびひだの範囲に亘って(over)延長することが提案される。このことは、溶接ジョイントが、金属箔自体に対して、ひだの接触面全体に亘って形成されることを特に意味する。これにより、ひだによって形成されている有意なキャビティを防止することもまた、特に探求される。そしてそれは、隣接する金属箔の接触、およびその連結接続、したがってハニカム構造体の均一構造、を特に妨げる。さらにまた、金属箔の機械的な振る舞いが、端面の近くの範囲全体を通じて一定であるということが、このようにして確実にされることもできる。「幅」に関して、これが、チャネルの方向または端面に垂直な方向において、端面から実質的に始まって(proceed)決定されなければならない点に留意する必要がある。金属箔の「範囲」は、例えば、端面の平面において決定されて、端面上の金属箔のプロファイルに実質的に追従する。溶接ジョイント自体にとって、不連続を有することもまた明らかに可能である。そしてそれは、例えば計測されたインパルス溶接プロセスの間、現れてもよい。箔の柔軟性は、このようにして確実に影響を与えられることができる。
【0013】
さらにまた、ひだの幅にとって、2〜10ミリメートルの範囲にあることは、有利であるとみなされる。この幅は、4〜8ミリメートルの範囲にあることが、特に好ましい。この幅がより小さく選択される場合、溶接ジョイントの構成の間、問題が現れることができる。さらにまた、ひだの均一の構成を確実にすることは、それから可能でなくてもよい。ひだが比較的大きい幅をもって提供される場合、全幅を超える溶接ジョイントの均一の構成は困難である。さらにまた、排気ガス処理装置の重量も、ひだのより大きな幅にともなって増加することを考慮に入れられなければならない。
【0014】
金属箔の少なくとも一部が、ひだの外側で孔を有することも提案される。この孔は、ひだとひだとの間に、または、ひだと端面との間に、金属箔のエリアの40%以上、または60%以上でさえ、特に占めてもよい。このようにして、第1に、排気ガス処理装置の重量がさらに減少することは、可能であり、そして第2に、排気ガスの流れの完全な混合が排気ガス処理装置の内部において行われることは、このようにして提供されることもできる。前記流れ交換の結果、特に乱れた流れが、排気ガス処理装置の内部において実現されて、その結果として、特に、金属箔に適用される触媒との排気ガスの接触が改善される。ここでは、孔は、少なくとも2平方ミリメートル、または少なくとも1平方センチメートル、または少なくとも3平方センチメートルのサイズを特に有してもよい。
【0015】
前記箔上に、チャネルの内部にいずれの場合も特に突き出る、突出している案内面が形成されてもよい。前記案内面は、排気ガス処理装置を通る排気ガスの流れを偏向させるのに特に役立つ。案内面は、孔に隣接してもよく、および/または孔の反対側に形成されてもよい。
【0016】
さらにまた、ハウジングにとって、ハニカム構造体に向かう多数の局部的な凹みを有することは、有利であるとみなされる。これは、ハウジングが、例えば、円筒形、楕円形、または同様の基本的な形状を有するが、しかしハウジングが、多数の局部的な凹みとともに形成されている、ことを特に意味する。凹みは、丸の、および/または多角形の、ベース・エリアを有してもよい。前記局部的な凹みは、例えば、少なくとも2平方センチメートル、適切な場合少なくとも最低5平方センチメートルでさえ、のベース・エリアを有する。前記局部的な凹みの結果、ハニカム構造体との接触領域は減少する。そこにおいて、ハニカム構造体は、環境からより効果的に熱的に切り離される。さらにまた、ハウジングのこの種の設計は、強化に結びつく。そうすると、ここでは、小さいハウジング厚み(例えば、1ミリメートル未満または0.5ミリメートル未満のハウジング厚み)を使用することは、特に可能である。この効果は、排気ガス処理装置が、さらにより小さい重量で形成され得る結果をも有する。
【0017】
ハウジングが多層設計であることは、加えて、または代わりに、可能である。これは、複数の薄いケーシング箔が提供される(互いに同心に配置される)ことを、例えば意味する。適切な場合、外側への熱の(放射による)消散を防止するために、内側ケーシング箔と外側ケーシング箔との間に、絶縁手段が提供されてもよい。
【0018】
排気ガス処理装置の一実施形態によれば、ひだを有する金属箔に隣接して形成される構造金属箔は、ひだを有する前記金属箔の材料厚みと適合する構造高さで形成される。これは、構造金属箔の構造高さが、ひだから生じる隣接した金属箔の増加した材料厚みを補償する、すなわちそれに応じてより小さいかより大きい構造高さを有する、ことを特に意味する。換言すれば、これは、構造金属箔が、チャネル方向における様々な構造高さを有することを特に意味する。
【0019】
さらにまた、少なくとも金属箔にとって、ひだの領域においてのみ互いにろう付け接続を有することは、有利であるともみなされる。前記ろう付け接続は、特に、高温ろう付け接続、および/または、真空ろう付け接続である。ろう付け接続は、排気システムで発生している熱負荷に耐えること、すなわち、破壊されることなく、800℃の温度さえまたは1000℃にさえ耐えること、が特に可能である。この点で、ろう付け接続により、隣接する金属箔のひだに好ましくは接続されている1つの金属箔のひだに関しては、前記ろう付け接続が、ひだの領域における広域上のみおよび/または局部的に形成されることが、ここでは提案される。
【0020】
この点について、ろう付け接続を形成するために、領域における金属箔の少なくとも1%および最大でも20%の内側接触点は、有利であるとみなされる。一般に構造金属箔および滑らかな金属箔が互いを支えるという事実のために、複数の「内側接触点」(金属箔どうし間の接触点)は、金属箔どうし間に形成される。そして、内側接触点は、ろう付け接続を提供するために基本的には利用できる。しかしながらここでは、前記内側接触点の小さい割合のみが、ろう付け接続のために使用されることが提案される。換言すれば、これは、例えば、多数の内側接触点が、金属箔の範囲の方向において形成されることを意味する。しかし、範囲の方向において、繰り返し少なくとも5つの内側接触点または少なくとも10の内側接触点さえ、ろう付け接続のために使用されない。この種のろう付け接続(予め定められた内側接触点に高度に焦点をしぼる方法で導かれる)を形成するために、接着剤および/またはろう付け材料を適用するための印刷プロセス(インクジェットプロセス)が、特に使用される。
【0021】
この種の排気ガス処理装置が、自動車の密結合(close−coupled)の使用に提供される場合は、しかしながら、ろう付け接続は、端部側から2〜4ミリメートル離れたところに形成されることが提案される。ろう付け接続は、したがって、ハニカム構造体の内部に僅かに戻される。ここでは、端面は、ろう付け接続のための熱的保護を提供するのに役立つ。そうすると、これらの極度の周囲条件の下でさえ、ろう付け接続は、特に耐久性のある設計からなるものである。
【0022】
本発明のさらに別の態様では、少なくとも1つのハウジングおよび1つのハニカム構造体を有し、ハニカム構造体は、ハニカム構造体の両端面間を延びるチャネルを有する、排気ガス処理装置を生産するための方法が提案され、この場合、方法は、少なくとも次のステップを含む:
a)最大でも50マイクロメートルの材料厚みを有する、滑らかな金属箔および/または少なくとも部分的に構造金属箔を提供するステップ、
b)金属箔の端縁部から始まる所定の幅を有するひだを形成するステップ、
c)ひだの領域において、金属箔どうしの溶接ジョイントを形成するステップ、
d)ハニカム構造体を形成するために金属箔を配置するステップ、
e)ハニカム構造体をハウジングに挿入するステップ、および、
f)少なくとも、金属箔間または、金属箔およびハウジング間のろう付け接続を形成するステップ。
【0023】
ここで提案される方法は、排気ガス処理装置の上記の実施形態のうちの1つを生産するために特に適している。
【0024】
ステップb)に関して、ひだは、少なくとも部分的に構造金属箔を構成する前および/または後に形成されてもよい点に留意する必要がある。ひだが金属箔の一端縁部のみで作成されることは、基本的には可能である。しかし、反対側のひだが、両方の端縁部で同時におよび/または別々の時間に形成されることも可能である。ここでは、ひだのアラインメントは、同方向(すなわち例えば、両方とも上向き)でも、または逆方向(一方は上向きで他方は下向き)でもよい。
【0025】
ステップc)に関して、ここでは、溶接ジョイントの形成が、ひだの全幅および/または全範囲をカバーする場所をとる点に特に留意する必要がある。ここでは、溶接接続がジュール抵抗加熱のために広域上に形成される電気抵抗溶接プロセス(抵抗溶接)が、特に使用される。
【0026】
このようにして準備される金属箔は、それから、例えば層にされおよび/または重ねられることができて、それから、巻かれおよび/または丸められることができて、そして、ハニカム構造体(ステップd)を形成するために接続されることができる。前記ハニカム構造体は、それから、ステップe)において、ハウジングに、完全におよび/または少なくとも部分的に挿入される。媒体をろう付けすることは、ステップe)の前および/または後で、ハニカム構造体および/またはハウジングに供給されてもよい。そこにおいて、適切な場合、その後のろう付け接続のための所望の場所で、それに先だって接着剤が提供される。
【0027】
ステップf)において、このようにして準備されるハニカム体は、ろう付け材料によって熱的に処理される。特に、ろう付け炉に挿入される。そこでは、排気ガス処理装置は、所定の圧力および温度プロファイルとともに、所定の時間間隔に亘るろう付け材料の使用を通じて、密着的に接続される。前記ろう付けプロセスはまた、真空または、保護ガス雰囲気において、実行されてもよい。
【0028】
この点について、溶接ジョイントが、インパルス溶接によってステップc)において作成されることが、特に好ましいとみなされる。ここでは、特に次のプロセスが使用される:溶接プロセスの名称:ロール・シーム溶接パルス幅:非オーバーラップ溶接点送り速度:毎分0.5〜10メートル電極接触圧力:1センチメートル当たり500〜1500ニュートン[N/cm]
【0029】
排気ガス処理装置は、移動内燃機関(例えば乗用自動車のディーゼルまたは火花点火エンジン)の排気システムにおける触媒基板本体として、好ましくは用いられる。小さい重量および高い負荷可能性(loadability)という理由で、前記排気ガス処理装置は、特にスポーツ乗物用に好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明およびその技術分野は、図面に基づいて以下にさらに詳細に説明される。図面は、本発明の特に好適な設計異型を示す点に留意する必要がある。それはしかしながら、本発明を制限することを意図しない。
【図1】図1は、排気ガス処理装置の端面図である。
【図2】図2は、ひだを有する構造金属箔の図である。
【図3】図3は、薄い壁のハウジングを有する排気ガス処理装置による縦断面図である。
【図4】図4は、図3からのハウジングによる横断面図である。
【図5】図5は、自動車用の排気システムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、円筒形ハウジング2およびその内部に配置されるハニカム構造体3を有する排気ガス処理装置1の端面図を概略的に示す。ハニカム構造体3は、滑らかな金属箔(smooth metal foil)6および、S字状になる構造金属箔(structured metal foil)7とともに、形成される。前記金属箔6、7は、この場合、端面5(図面の平面)に対して垂直になるチャネル4を形成する。隣接する滑らかな金属箔6と構造金属箔7とは、繰り返し互いに接触する。そうすると、金属箔間の多数の内側接触点18が形成される。また、ここでは、概略的に図示される局部的なろう付け接続17が形成され、それは、少数の内側接触点18のみで提供される。
【0032】
図2は、(軽く)構造金属箔7を示す。図2は一定の比率で描画されない点に、留意すべきである。これは、範囲13、幅10、および/またはチャネル方向23における金属箔の長さに対する、構造高さ16の比率に特に関係がある。図示された孔14の個数およびサイズも、一定の比率である必要はない。
【0033】
いずれにしても、構造金属箔7から、構造24が波形(波状)の方法で形成されるということを知ることができる。ここでは、実質的に一貫した構造高さ16が、範囲13の方向に形成される。このことは、しかしながら、命令的に必要ではない。いずれの場合においても、2つの反対側の端面5に関して、同じアラインメント(この場合は上側のみに向かう)を有する1つのひだ(fold)9は、提供される。ひだ9は、過剰に曲げられているかまたは過剰に折り畳まれている端縁部22に隣接して構造金属箔7の部分的な区分によって形成されて、金属箔の表面に対して敷設される。このようにして、ひだ9は、特に、4〜8ミリメートルの幅で形成される。ひだ9を構造金属箔7に取り付けるために、溶接ジョイント(welded joint)12は、ひだ9の領域における広い区域上に形成される。これは、特に、それ以外は例えば多くても30マイクロメートルの非常に小さい材料厚み8が、ひだ9の領域において補強されて、溶接ジョイント12によってさらに堅くされる、という効果を有する。
【0034】
その後、点状のろう付け接続17(同様にここで示される)は、いくつかの構造極値(すなわち波ピークおよび波底)で形成される。
【0035】
多数の(比較的大きい)孔14が、ひだ9とひだ9との間の領域に設けられることも可能である。この孔14はまた、隣接する複数のチャネル内に構造金属箔7を通して気体交換ができるようにするために、適切な場合、構造幅(すなわち、少なくとも1つの波ピークおよび/または1つの波底をカバーする)よりも大きい。
【0036】
図3は、排気ガス処理装置1による縦断面(長手方向断面)を示し、実質的にハウジング2のみが図示されている。排気ガス処理装置1のためのろう付けパターンが、ここでは特に図示される。例えば図3の左側に、ひだを有する領域11が図示され、そこでは、排気が、流れ方向29の理由でまず影響を与える。前記領域11では、金属箔の互いの(そして、適切な場合ハウジング2も)ろう付け接続17がまた形成される。前記領域11は、この場合、それぞれの端面5から、特に2〜4ミリメートルの間隔21だけ、後退される。ひだ9およびろう付け接続を有する領域11は、同様に、反対側の端面5(すなわち排気ガスが出てくるところ)で形成される。そこでは、領域11は、より狭くて、端面5に直接隣接する。ろう付け接続17を有する追加的なストリップが、前記2つの領域11、11のほぼ中間に、そして、ハウジング2の中間に、設けられる。このストリップは、例えば、ハウジング2の内部における金属箔の固定のみの役目をしてもよい。前記ろう付け用ストリップは、任意の所望の幅のものでよく、例えば、排気ガス処理装置1の密結合の配置(close−coupled arrangement)の場合には、ハウジング2の全長に亘って延長することさえしてもよい。
【0037】
ハウジング2は、ハニカム構造体の方に向かう多数の局部的な凹み15が形成されている。ここでは、少数のみが概略的に図示される。それらは、特に、ハウジング2の内面全体に亘って互いに隣接して設けられる。凹みは、ハウジング2自体の材料(ハウジング領域の変形)で形成されているので、前記凹みは、外側から見られることも可能である。ここでは、局部的な凹み15は、六角形のベース・エリアを有する。そこにおいて、例えば、暗い陰影のついた領域のみが、ハニカム構造体との接触面を形成する。局部的な凹み15の形状を示すために、断面(section)IV〜IVが図4に概略的に示される。
【0038】
したがって、図4は、ハウジング2を通る断面を示す。そこにおいて、ハウジング2は、比較的小さいハウジング厚み25(例えば1ミリメートルよりも相当小さい範囲)で形成されている。例えばエンボス・プロセスまたは同様の変形プロセスによって、局部的な凹み15は、ハウジング2の前記壁内に形成される。ここでは、前記凹み15は、例えば、ハウジング2の内側領域における、少なくとも2ミリメートルの、または少なくとも5ミリメートルの、または少なくとも1センチメートルの、深さ26に達するまで、ハウジング厚み25の何倍も延びる。
【0039】
図5は、自動車20の排気システムの設計を、一例として、原理的に、概略的に示す。内燃機関19(例えばディーゼルまたは火花点火エンジン)において発生される排気は、排気ライン27を介して、1つ以上の排気ガス処理装置1に供給される。ここでは、排気ガスは、流れ方向29に、好ましくは複数の排気ガス処理装置1を通して流れる。そこにおいて、これらは、適切な場合、排気ガスから取り除かれるべき汚染物質に関して、別々の変換および/または保管機能を生じさせるために、別々のコーティング28が形成されている。図5はまた、排気ガス処理装置1が、密結合位置(close−coupled position)、すなわち、例えば、特に高温および動的な負荷が発生する、内燃機関19と直接接触する位置(または、前記内燃機関に隣接しているマニホルド内)、に設置されてもよいことを概略的に示す。さらにまた、排気ガス処理装置1は、自動車20の車体下部領域に配置されることも可能である。そこでは、前記排気ガス処理装置は、外部環境条件にも曝され、そして、通常は、比較的低温および小さい動的な負荷も発生する。
【符号の説明】
【0040】
1…排気ガス処理装置
2…ハウジング
3…ハニカム構造体
4…チャネル
5…端面
6…滑らかな金属箔
7…構造金属箔
8…材料厚み
9…ひだ
10…幅
11…領域
12…溶接ジョイント
13…範囲
14…孔
15…凹み
16…構造高さ
17…ろう付け接続
18…内側接触点
19…エンジン
20…自動車
21…間隔
22…端縁部
23…チャネル方向
24…構造
25…ハウジング厚み
26…深さ
27…排気ライン
28…コーティング
29…流れ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのハウジング(2)および少なくとも1つのハニカム構造体(3)を有する排気ガス処理装置(1)であって、前記ハニカム構造体(3)は、当該ハニカム構造体(3)の両端面(5)間を延びるチャネル(4)を有し、前記チャネルは、少なくとも部分的に構造金属箔(6、7)で形成されていて、前記構造金属箔は、最大でも50マイクロメートルの材料厚み(8)を有しており、前記金属箔(6、7)の少なくとも一部は、少なくとも一方の端面(5)の領域において、所定の幅(10)のひだ(9)によって形成され、そしてさらに、前記金属箔(6、7)のそれ自体に対する溶接ジョイント(12)は、前記ひだ(9)の領域(11)に形成される、排気ガス処理装置(1)。
【請求項2】
前記溶接ジョイント(12)は、前記金属箔(6、7)に沿って、前記ひだ(9)の前記幅(10)および前記ひだ(9)の範囲(13)に亘って延びる、請求項1に記載の排気ガス処理装置(1)。
【請求項3】
前記ひだ(9)の前記幅(10)は、2〜10ミリメートルの範囲にある、請求項1または2に記載の排気ガス処理装置(1)。
【請求項4】
前記金属箔(6、7)の少なくとも一部は、前記ひだ(9)の外側に孔(14)を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の排気ガス処理装置(1)。
【請求項5】
前記ハウジング(2)は、前記ハニカム構造体(3)に向かう多数の局部的な凹み(15)を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の排気ガス処理装置(1)。
【請求項6】
前記ひだ(9)を有する金属箔(6、7)に隣接して形成される構造金属箔(6、7)は、ひだ(9)を有する前記金属箔(6、7)の材料厚み(8)と適合する構造高さ(16)を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の排気ガス処理装置(1)。
【請求項7】
少なくとも前記金属箔(6、7)は、前記ひだ(9)を有する前記領域(11)にのみ、互いのろう付け接続(17)を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の排気ガス処理装置(1)。
【請求項8】
前記領域(11)における前記金属箔(6、7)の少なくとも1%および最大でも20%の内側接触点(18)は、ろう付け接続(17)を形成する、請求項7に記載の排気ガス処理装置(1)。
【請求項9】
自動車(20)における密結合的使用のための排気ガス処理装置であって、前記ろう付け接続(17)は、前記端面(5)から2〜4ミリメートルの間隔(21)で形成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の排気ガス処理装置(1)。
【請求項10】
少なくとも1つのハウジング(2)および少なくとも1つのハニカム構造体(3)を有し、前記ハニカム構造体(3)は、当該ハニカム構造体(3)の両端面(5)間を延びるチャネル(4)を有する、排気ガス処理装置(1)を生産するための方法であって、
a)最大でも50マイクロメートルの材料厚み(8)を有する、滑らかな金属箔および/または少なくとも部分的に構造金属箔(6、7)を提供するステップ、
b)前記金属箔(6、7)の端縁部(22)から始まる所定の幅(10)を有するひだ(9)を形成するステップ、
c)前記ひだ(9)の領域において、前記金属箔(6、7)どうしの溶接ジョイント(12)を形成するステップ、
d)ハニカム構造体(3)を形成するために前記金属箔(6、7)を配置するステップ、
e)前記ハニカム構造体(3)を前記ハウジング(2)に挿入するステップ、および、
f)少なくとも、前記金属箔(6、7)間または、前記金属箔(6、7)および前記ハウジング(2)間のろう付け接続(17)を形成するステップ、
を含む方法。
【請求項11】
ステップc)における前記溶接ジョイントは、インパルス溶接によって発生される、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−525852(P2011−525852A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515299(P2011−515299)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057166
【国際公開番号】WO2009/156276
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(500038927)エミテック ゲゼルシヤフト フユア エミツシオンス テクノロギー ミツト ベシユレンクテル ハフツング (156)
【Fターム(参考)】