説明

小型の広角レンズおよびこれを備えたカメラ

【課題】小さなF値と広角および高性能を維持しながら、テレセントリック性が高く、より小型化が図られたレンズを得る。
【解決手段】小型の広角レンズ1は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3とを配列してなる。第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3それぞれが、1枚の負レンズと1枚の正レンズを含む。第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の少なくともいずれか一方が、1面の非球面を含む。小型の広角レンズ1は、焦点距離、最大像高、絞りから最も像側の面までの光軸上の距離、バックフォーカス、最も物体側の面から最も像側の面までの光軸上の距離、F値に関する所定の条件式を満足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型の広角レンズおよびこれを備えたカメラに関し、より詳しくは、デジタルカメラに好適に使用可能な小型の広角レンズ、および該小型の広角レンズを備えたカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンパクトデジタルカメラ用のレンズでは、バックフォーカスが短く、カメラに搭載したときに携帯時のカメラのサイズを小さくできることが求められており、またレンズ径が小さいことも重要とされている。このようなデジタルカメラ用のレンズとして、例えば下記特許文献1、2に記載のものが知られている。特許文献1には、物体側から順に、負レンズ群、正レンズ群が配置された構成よりなり、F値が2であり、35mm銀塩フィルムカメラに換算した焦点距離が28mm相当となるレンズ系が記載されている。特許文献2には、概略的には物体側から順に、負レンズ群、正レンズ群が配置された構成よりなり、F値が4程度のレンズ系が記載されている。
【0003】
なお、上記特許文献1、2に記載のものは、焦点距離が固定された単焦点レンズ系であるが、焦点距離が可変のズームレンズ系で小型化を図ったものとしては、例えば下記特許文献3に記載のものがある。特許文献3には、物体側から順に、正レンズ群、正レンズ群、負レンズ群が配置された構成よりなり、各レンズ群がそれぞれ負レンズと正レンズを含み、広角端におけるF値が5.7のレンズ系が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−113248号公報
【特許文献2】特開2008−40033号公報
【特許文献3】特開平8−179215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
デジタルカメラ用のレンズは一般に、像面に配置される撮像素子へ入射する光線の像面に対する角度が垂直に近いものが好まれる。そのためには、レンズ系の絞り位置は撮像素子から離れた位置にあることが好ましい。ただし、このようなレンズ系は、レンズ系の最も物体側の面から撮像素子までの光軸方向の長さが長くなる傾向があり、カメラの小型化の障害となっていた。
【0006】
従来では、撮影しない非使用時にはレンズをカメラボディ内に沈胴させ、撮影時にはレンズをカメラボディから繰り出す沈胴式を採用することで、携帯時のカメラのサイズを小さくしてきた。しかしながら、沈胴式のカメラは、レンズが沈胴している状態からレンズを繰り出して使用可能な状態に移行するまでに時間がかかり、また、レンズの繰出・沈胴動作のためにバッテリーを消費するという不都合があった。そのため、沈胴式を用いることなく携帯時と撮影時の両方においてコンパクトなカメラを構成可能なまでに小型化が進められたレンズ系が要望されていた。その一方で、近年の使用者の要望を満たす程度に広角で、F値が小さく、高性能であることも要望されていた。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、小さなF値と広角および高性能を維持しながら、テレセントリック性が高く、より小型化が図られたレンズ、および該レンズを備えたカメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点にかかる小型の広角レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群とを配列してなり、第1レンズ群が、1枚の負レンズと1枚の正レンズを含み、第2レンズ群が、1枚の負レンズと1枚の正レンズを含み、第3レンズ群が、1枚の負レンズと1枚の正レンズを含み、第2レンズ群と第3レンズ群の少なくともいずれか一方が、1面の非球面を含み、下記条件式(1)〜(3)を満足するように構成されたことを特徴とするものである。
1<f/Y<2……(1)
0.7<(SS+BF)/(DD+BF)<0.95……(2)
3.4<Fno×(DD+BF)/Y<8……(3)
ただし、
f:全系の焦点距離
Y:像面における最大像高
SS:絞りから最も像側の面までの光軸上の距離
BF:バックフォーカス(空気換算長)
DD:最も物体側の面から最も像側の面までの光軸上の距離
Fno:開放F値
【0009】
なお、最大像高は例えば、この小型の広角レンズがカメラ等の装置に適用される際にその像面に配置されるフィルムや撮像素子の撮像面の寸法に基づき決めることができる。例えば、撮像面が矩形の場合には、その対角長の1/2を最大像高Yとして考えることができる。
【0010】
なお、BFは、レンズ系における最も像側の面から像面までの光軸上の距離の空気換算長である。ここでいう「レンズ系」には屈折力を有しない光学部材は含まないことにする。例えば、最も像側のレンズと像面との間にフィルタやカバーガラス等の平行平面板が挿入されている場合は、この平行平面板を除去し、除去に伴う像面位置の変動を考慮してBFを算出することとする。
【0011】
なお、上記のSS、BF、DDにおける「面」とは、レンズ面を意味し、例えば平行平面板等の屈折力を有しない光学部材の面は含まないものとする。
【0012】
本発明の第1の観点にかかる小型の広角レンズにおいては、第3レンズ群の最も像側には正レンズが配置され、該正レンズの物体側直前には物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズが配置されていることが好ましい。なお、「正レンズの物体側直前には負メニスカスレンズが配置されている」とは、正レンズの物体側に負メニスカスが配置されており、この正レンズと負メニスカスレンズの間には何も光学部材が配置されていない状態を意味する。
【0013】
第3レンズ群が、最も像側に配置された正レンズと、該正レンズの物体側直前に配置されて物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズを有する場合は、下記条件式(4)、(5)を満足するように構成されていることが好ましい。
1.75<Nd3n……(4)
1.8<Nd3p……(5)
ただし、
Nd3n:第3レンズ群の負メニスカスレンズのd線に対する屈折率
Nd3p:第3レンズ群の最も像側の正レンズのd線に対する屈折率
【0014】
また、本発明の第1の観点にかかる小型の広角レンズにおいては、第2レンズ群が、両凹レンズと両凸レンズとが物体側からこの順に接合された接合レンズを含むことが好ましい。
【0015】
第2レンズ群が、上記接合レンズを有する場合は、下記条件式(6)、(7)を満足するように構成されていることが好ましい。
1.7>Nd2n……(6)
1.8<Nd2p……(7)
ただし、
Nd2n:第2レンズ群の両凹レンズのd線に対する屈折率
Nd2p:第2レンズ群の両凸レンズのd線に対する屈折率
【0016】
第2レンズ群が上記接合レンズを含み、第3レンズ群の最も像側には正レンズが配置されている場合は、下記条件式(8)を満足するように構成されていることが好ましい。
1.8<Ndp……(8)
ただし、
Ndp:第1レンズ群中の正レンズのうちd線に対する屈折率が最も高い正レンズと、第2レンズ群の両凸レンズと、第3レンズ群の最も像側の正レンズのd線に対する屈折率の平均値
【0017】
また、本発明の第1の観点にかかる小型の広角レンズにおいては、無限遠物体から近距離物体へのフォーカス調整は、第1レンズ群および第2レンズ群を一体的に物体側に移動させることにより行うように構成されていることが好ましい。
【0018】
その際に、下記条件式(9)を満足するように構成されていることが好ましい。
0.6<fG12/f<0.9……(9)
ただし、
fG12:第1レンズ群と第2レンズ群の合成焦点距離
【0019】
また、本発明の第1の観点にかかる小型の広角レンズにおいては、第3レンズ群が、2枚のレンズから構成されるようにしてもよい。
【0020】
本発明の第1の観点にかかる小型の広角レンズにおいては、第2レンズ群は、物体側から順に、正メニスカスレンズと、負レンズおよび正レンズを接合した接合レンズと、非球面レンズとを配列してなることが好ましい。
【0021】
本発明の第1の観点にかかる小型の広角レンズにおいては、第1レンズ群は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと、物体側に凸面を向けた正レンズとを配列してなることが好ましい。その際に、第1レンズ群の負メニスカスレンズと正レンズとが接合されていることが好ましい。
【0022】
本発明の第2の観点にかかる小型の広角レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群とを配列してなり、第1レンズ群が、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズおよび物体側に凸面を向けた正レンズを物体側からこの順に接合した接合レンズからなり、第2レンズ群が、物体側から順に、正メニスカスレンズと、両凹レンズおよび両凸レンズを物体側からこの順に接合した接合レンズと、非球面レンズとを配列してなり、第3レンズ群が、物体側から順に、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズと、正レンズとを配列してなることを特徴とするものである。
【0023】
なお、上記の本発明の第1および第2の小型の広角レンズ、およびその好ましい態様における、レンズの屈折力の符号、形状は、当該レンズが非球面レンズの場合は、近軸領域で考えるものとする。
【0024】
本発明のカメラは、上記記載の本発明の第1または第2の小型の広角レンズを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明の第1の小型の広角レンズによれば、物体側から順に、正、正、負のレンズ群配置とし、絞り位置を物体側よりに設定し、各レンズ群が含むレンズの構成を好適に設定し、非球面を含み、所定の条件式を満足するように構成しているため、小さなF値と広角および高性能を維持しながら、テレセントリック性が高く、より小型化が図られたレンズ系を実現することができる。
【0026】
本発明の第2の小型の広角レンズによれば、物体側から順に、正、正、負のレンズ群配置とし、絞り位置を物体側よりに設定し、各レンズ群におけるレンズの枚数、形状、屈折力の詳細構成を好適に設定しているため、小さなF値と広角および高性能を維持しながら、テレセントリック性が高く、より小型化が図られたレンズ系を実現することができる。
【0027】
本発明のカメラによれば、上記本発明の第1または第2の小型の広角レンズを備えたものであるため、広い画角で良好な像を得ることができ、携帯時だけでなく撮影時もコンパクトな構成が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1および第2の実施形態にかかる小型の広角レンズのレンズ構成と光路を示す断面図
【図2】本発明の実施例1の小型の広角レンズのレンズ構成と光路を示す断面図
【図3】本発明の実施例2の小型の広角レンズのレンズ構成と光路を示す断面図
【図4】本発明の実施例3の小型の広角レンズのレンズ構成と光路を示す断面図
【図5】本発明の実施例4の小型の広角レンズのレンズ構成と光路を示す断面図
【図6】本発明の実施例5の小型の広角レンズのレンズ構成と光路を示す断面図
【図7】図7(A)〜図7(D)は本発明の実施例1の小型の広角レンズの各収差図
【図8】図8(A)〜図8(D)は本発明の実施例2の小型の広角レンズの各収差図
【図9】図9(A)〜図9(D)は本発明の実施例3の小型の広角レンズの各収差図
【図10】図10(A)〜図10(D)は本発明の実施例4の小型の広角レンズの各収差図
【図11】図11(A)〜図11(D)は本発明の実施例5の小型の広角レンズの各収差図
【図12】本発明の実施形態にかかるカメラの構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態にかかる小型の広角レンズ1の構成を示す断面図であり、後述の実施例1に対応している。図1においては、左側が物体側、右側が像側であり、無限遠の距離にある物点からの軸上光束2、最大画角の軸外光束3も合わせて示している。
【0030】
本発明の第1の実施形態にかかる小型の広角レンズ1は、基本構成として、光軸Zに沿って、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3とが配列されてなる。第1レンズ群G1は、1枚の負レンズと1枚の正レンズを含み、第2レンズ群G2は、1枚の負レンズと1枚の正レンズを含み、第3レンズ群G3は、1枚の負レンズと1枚の正レンズを含み、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3の少なくともいずれか一方が、1面の非球面を含むように構成されている。
【0031】
なお、図1に示す開口絞りStは必ずしも大きさや形状を表すものではなく、光軸Z上の位置を示すものである。また、この小型の広角レンズ1をカメラに適用する際には、カメラ側の構成に応じて、カバーガラスや、各種フィルタを設けることが好ましく、図1では、これらを想定した平行平板状の光学部材PPを最も像側のレンズと像面Simとの間に配置した例を示している。
【0032】
この小型の広角レンズ1は、物体側から順に、正、正、負の屈折力をもつレンズ群配置したテレフォトタイプとすることで、コンパクトなレンズ系を実現している。そして、開口絞りStを物体側よりに配置することで、開口絞りStからの像面Simまでの距離を長くとることができ、像面Simに入射する光線の像面Simに対する角度を垂直に近くすることができる。
【0033】
第1レンズ群G1〜第3レンズ群G3それぞれが、正レンズと負レンズを含むように構成することで、各レンズ群内における収差補正のバランスがとりやすくなる。開口絞りStより像側の第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の少なくともいずれか一方に非球面を配置することで、球面収差を良好に補正して小さなF値を達成しながら、軸外光線が像面Simに入射するときの像面Simに対する角度を垂直に近づけることがより容易になる。
【0034】
また、この本発明の第1の実施形態にかかる小型の広角レンズ1は、基本構成として、下記条件式(1)〜(3)を満足するように構成されている。
1<f/Y<2……(1)
0.7<(SS+BF)/(DD+BF)<0.95……(2)
3.4<Fno×(DD+BF)/Y<8……(3)
ただし、
f:全系の焦点距離
Y:像面Simにおける最大像高
SS:開口St絞りから最も像側の面までの光軸上の距離
BF:バックフォーカス(空気換算長)
DD:最も物体側の面から最も像側の面までの光軸上の距離
Fno:開放F値
【0035】
条件式(1)は、レンズ系の全長と画面サイズに関する式である。条件式(1)の下限を下回ると、焦点距離が短くなることで広角となり、像面湾曲の補正が困難となる。条件式(1)の上限を上回ると、焦点距離が長くなり、像面Simまでの距離を含めて考えたレンズ系の全長が長くなる。条件式(1)の上限を満たす場合は、レンズ系の全長を短くすることができ、例えば、沈胴式を採用しなくても携帯時と撮影時の両方においてコンパクトなカメラを構成可能になる。あるいは、条件式(1)の上限を満たす場合は、従来の沈胴式のカメラよりもさらに小型で携帯性の高い沈胴式のカメラを構成可能になる。
【0036】
条件式(2)は、レンズ全系に対する開口絞りStの位置に関する式である。条件式(2)の下限を下回ると、開口絞りStの位置が像面Simに近づきすぎ、このレンズ系をカメラに搭載したときに像面Simに配置される撮像素子へ入射する光線の入射角(入射光線と像面Simの法線とのなす角)が大きくなり、撮像素子に光が取り込まれにくくなる。条件式(2)の上限を上回ると、開口絞りStより物体側のレンズスペースが少なくなり、瞳下側の光線に起因する収差の補正が困難となる。なお、ここでいう瞳下側の光線とは、例えば図1の軸外光束3においては主光線4より下側で下側最外光線5までに含まれる光線のことである。
【0037】
条件式(3)は、レンズの全長とF値に関する式である。条件式(3)の下限を下回ると、レンズ系の全長に対してF値が小さくなりすぎ、球面収差などの収差補正が困難となる。条件式(3)の上限を上回ると、レンズ系の全長がF値に対して長くなりすぎ、小型化が図れない、またはF値の小さな光学系を実現できない。レンズ系の全長を短くすることができれば、例えば、沈胴式を採用しなくても携帯時と撮影時の両方においてコンパクトなカメラを構成可能になり、あるいは、従来の沈胴式のカメラよりもさらに小型で携帯性の高い沈胴式のカメラを構成可能になる。
【0038】
本発明の第1の実施形態にかかる小型の広角レンズ1は、上記基本構成に加え、さらに以下に述べる構成を有することが好ましい。なお、好ましい態様としては、以下のいずれか1つの構成を有するものでもよく、あるいは任意の複数の構成の組合せを有するものでもよい。
【0039】
第1レンズ群G1は、図1に示すように、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズであるレンズL1と、物体側に凸面を向けた正レンズであるレンズL2とを含むことが好ましい。小型化のためには、第1レンズ群G1はこれら2枚のレンズのみからなることが好ましい。レンズL2は例えば、正メニスカスレンズとすることができ、正メニスカスレンズとした場合は、両凸レンズとした場合に比べ、レンズ系の全長をより短くすることができる。また、第1レンズ群G1のレンズL1とレンズL2とは接合されていることが好ましく、接合レンズとした場合には、接合しない場合に比べてレンズ系の全長の小型化に貢献できる。
【0040】
第2レンズ群G2は、両凹レンズと両凸レンズとが物体側からこの順に接合された接合レンズを含むことが好ましい。接合レンズを含むことで、色収差の補正が容易になるとともに、2枚のレンズを接合することで接合しない場合に比べてレンズ系の全長の小型化に貢献できる。
【0041】
第3レンズ群G3においては、図1に示すように、最も像側には正レンズであるレンズL8が配置され、該正レンズの物体側直前には物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズであるレンズL7が配置されていることが好ましい。かかる構成によれば、画角の大きな軸外光線を負メニスカスレンズで光軸Zから離れる方向に屈折させた後、正レンズで収束させて像面Simに入射する角度が像面Simに対して垂直に近くなるようにすることが容易になる。第3レンズ群G3の最も像側に配置される正レンズは、平凸レンズでもよく、メニスカスレンズでもよく、両凸レンズでもよい。
【0042】
なお、レンズ系の小型化のためには、レンズ枚数は極力少ないことが好ましく、第3レンズ群G3は、1枚の負レンズと1枚の正レンズからなる2枚構成とすることが好ましい。
【0043】
第2レンズ群G2の上記接合レンズと第3レンズ群G3の負メニスカスレンズとの間には、非球面レンズが配置されていることが好ましい。良好な収差補正のためには、レンズ系が非球面レンズを含むことが好ましいが、その位置は適切に設定する必要がある。非球面レンズを上記接合レンズの物体側に配置すると、非球面レンズを第2レンズ群G2の上記接合レンズと第3レンズ群G3の負メニスカスレンズとの間に配置した場合に比べて、像面湾曲の良好な補正が難しくなる。非球面レンズを、第3レンズ群G3の負メニスカスレンズの像側に配置すると、非球面レンズを第2レンズ群G2の上記接合レンズと第3レンズ群G3の負メニスカスレンズとの間に配置した場合に比べて、球面収差の良好な補正が難しくなる。
【0044】
例えば、第2レンズ群G2は、図1に示すように、物体側から順に、正メニスカスレンズであるレンズL3と、負レンズであるレンズL4および正レンズであるレンズL5を接合した接合レンズと、非球面レンズであるレンズL6とが配列されてなる3群4枚構成とすることができる。第2レンズ群G2をこのように構成することで、球面収差、像面湾曲をバランス良く補正することが可能となる。
【0045】
なお、後述の実施例に例示するように、第2レンズ群G2を、物体側から順に、正メニスカスレンズであるレンズL3と、負レンズであるレンズL4および正レンズであるレンズL5を接合した接合レンズとが配列されてなる2群3枚構成とし、第3レンズ群G3を、物体側から順に、非球面レンズであるレンズL6と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズであるレンズL7と、正レンズであるレンズL8とが配列されてなる3群3枚構成とすることも可能である。このようにした場合は、第2レンズ群G2を上記3群4枚構成とした場合に比べて、フォーカス調整を第1レンズ群G1および第2レンズ群G2を移動させるフロントフォーカス式で行うときに、駆動機構の負担をより小さくでき、装置の小型化に有利となる。
【0046】
レンズL3は、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズでもよく、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズでもよいが、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズとした方がより小型化に貢献できる。レンズL6の近軸領域における形状は、物体側に凸面を向けた形状であることが好ましく、例えば、物体側に凸面を向けた正メニスカス形状、両凸形状、物体側に凸面を向けた負メニスカス形状のいずれかとすることができる。
【0047】
第3レンズ群G3が、最も像側に配置された正レンズと、該正レンズの物体側直前に配置されて物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズを有する場合は、これらのレンズに関して下記条件式(4)、(5)を満足することが好ましい。条件式(4)または(5)を満足しない場合は、ペッツバール和の制御が難しくなり、像面湾曲の補正が困難となる。
1.75<Nd3n……(4)
1.8<Nd3p……(5)
ただし、
Nd3n:第3レンズ群G3の負メニスカスレンズのd線に対する屈折率
Nd3p:第3レンズ群G3の最も像側の正レンズのd線に対する屈折率
【0048】
第2レンズ群G2が、両凹レンズと両凸レンズとが物体側からこの順に接合された接合レンズを含む場合は、これらのレンズに関して下記条件式(6)、(7)を満足することが好ましい。条件式(6)および(7)を満足することで、像面湾曲と球面収差の良好な補正を両立させることができる。
1.7>Nd2n……(6)
1.8<Nd2p……(7)
ただし、
Nd2n:第2レンズ群G2の両凹レンズのd線に対する屈折率
Nd2p:第2レンズ群G2の両凸レンズのd線に対する屈折率
【0049】
また、第2レンズ群G2が接合レンズの構成要素となる両凸レンズを含み、第3レンズ群G3の最も像側には正レンズが配置されている場合は、これらのレンズと、第1レンズ群G1中の正レンズのうちd線に対する屈折率が最も高い正レンズとに関して、下記条件式(8)を満足することが好ましい。
1.8<Ndp……(8)
ただし、
Ndp:第1レンズ群G1中の正レンズのうちd線に対する屈折率が最も高い正レンズと、第2レンズ群G2の両凸レンズと、第3レンズ群G3の最も像側の正レンズのd線に対する屈折率の平均値
【0050】
条件式(8)を満足しない場合は、ペッツバール和の制御が難しくなる。条件式(8)を満足しない状態で像面湾曲を良好に補正しようとすると、レンズ系の全長を伸ばす必要が生じ、小型化に不利となる。
【0051】
また、この小型の広角レンズ1におけるフォーカス調整は、第1レンズ群G1および第2レンズ群G2を移動させるフロントフォーカス式で行うことができる。より詳しくは、無限遠物体から近距離物体へのフォーカス調整を行うときに、第1レンズ群G1および第2レンズ群G2を一体的に物体側に移動させることにより行うように構成することができる。この小型の広角レンズ1では、開口絞りStが物体側よりに位置しているため、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2のレンズ径が小さく比較的軽量である。上記フロントフォーカス式を採用することで、レンズ群全体を移動させる方式や、レンズ径が大きく重量の大きい像側のレンズ群を移動させるリアフォーカス方式に比べて、駆動機構の負担を小さくでき、装置の小型化に有利となる。
【0052】
第1レンズ群G1および第2レンズ群G2を移動させてフォーカス調整を行うように構成した場合は、下記条件式(9)を満足することが好ましい。
0.6<fG12/f<0.9……(9)
ただし、
fG12:第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の合成焦点距離
【0053】
条件式(9)の下限を下回ると、フォーカス時の収差変動が大きくなる。条件式(9)の上限を上回ると、フォーカス調整時のレンズ群の移動量が大きくなり、レンズ系の小型化に不利となる。
【0054】
さらに良好な性能を得るためには、下記条件式(1−1)〜(9−1)のいずれか1つ、または任意の組合せを満足することが好ましい。条件式(1−1)〜(9−1)それぞれで用いている記号は、前述の条件式(1)〜(9)それぞれにおいて定義したものである。条件式(1−1)〜(9−1)それぞれを満足することにより、条件式(1)〜(9)それぞれを満足した場合に得られる効果をさらに高めることができる。
1.25<f/Y<2……(1−1)
0.8<(SS+BF)/(DD+BF)<0.9……(2−1)
4.5<Fno×(DD+BF)/Y<6.7……(3−1)
1.8<Nd3n……(4−1)
1.85<Nd3p……(5−1)
1.65>Nd2n……(6−1)
1.85<Nd2p……(7−1)
1.85<Ndp……(8−1)
0.7<fG12/f<0.85……(9−1)
【0055】
次に、本発明の第2の実施形態にかかる小型の広角レンズについて説明する。図1に示した小型の広角レンズ1は、本発明の第2の実施形態にかかる小型の広角レンズ1の構成例でもある。
【0056】
本発明の第2の実施形態にかかる小型の広角レンズ1は、基本構成として、光軸Zに沿って、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3とが配列されてなり、第1レンズ群G1は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズおよび物体側に凸面を向けた正レンズを物体側からこの順に接合した接合レンズからなり、第2レンズ群G2は、物体側から順に、正メニスカスレンズと、両凹レンズおよび両凸レンズを物体側からこの順に接合した接合レンズと、非球面レンズとが配列されてなり、第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズと、正レンズとが配列されてなるように構成されている。
【0057】
第2の実施形態にかかる小型の広角レンズは、上述した第1の実施形態にかかる小型の広角レンズ、およびその好ましい態様と部分的に重複した構成を有するものであり、重複した構成の作用効果については、第1の実施形態において説明した通りであるのでここでは一部その説明を省略する。
【0058】
この第2の実施形態にかかる小型の広角レンズ1は、物体側から順に、正、正、負のレンズ群という屈折力配置により小型化に有利となり、開口絞りStを物体側よりに配置することにより像面Simへの光線の像面Simに対する角度を垂直に近づけることができる。また、各レンズ群が備えるレンズ構成を最適化し、レンズ枚数を極力抑えて小型化を図っている。
【0059】
特に、第2レンズ群G2を上記構成とすることで、小型化を図りながら、球面収差と像面湾曲をバランス良く補正し、色収差も良好に補正することができる。また、第3レンズ群G3を上記構成とすることで、小型に構成しながら、広角な光学系においても画角の大きな軸外光線が像面Simへ入射するときの像面Simに対する角度を垂直に近づけることができる。
【0060】
第2の実施形態にかかる小型の広角レンズにおいても、第1の実施形態にかかる小型の広角レンズの説明で述べた好ましい構成や可能な構成を採用することができる。例えば、第2の実施形態にかかる小型の広角レンズにおいても、第1の実施形態の説明で述べた条件式(1)〜(9)、(1−1)〜(9−1)のいずれか1つまたは任意の組合せを満足することが好ましい。また、第2の実施形態にかかる小型の広角レンズにおいても、フォーカス調整は第1レンズ群G1および第2レンズ群G2を移動させるフロントフォーカス式を採用可能であり、無限遠物体から近距離物体へのフォーカス調整を行うときに、第1レンズ群G1および第2レンズ群G2を一体的に物体側に移動させることにより行うように構成することができる。
【0061】
上述した第1および第2の実施形態にかかる小型の広角レンズは、焦点距離が固定された単焦点レンズとして使用可能であり、例えば、F値が2.0の大口径比で、全画角が60°程度の広い画角を有し、非常に小型に構成され、テレセントリック性が高く、高画質の画像を取得可能な高い光学性能を実現することができる。
【0062】
図12に、本発明の実施形態にかかるカメラの一例の斜視図を示す。図12に示すカメラ10は、コンパクトデジタルカメラであり、カメラボディ11の正面および内部には本発明の実施形態にかかる小型の広角レンズ12が設けられ、カメラボディ11の正面には被写体に閃光を発光するための閃光発光装置13が設けられ、カメラボディ11の上面にはシャッターボタン15と、電源ボタン16が設けられ、カメラボディ11の内部には撮像素子17が設けられている。撮像素子17は、小型の広角レンズ12により形成される光学像を撮像して電気信号に変換するものであり、例えば、CCDやCMOS等により構成される。
【0063】
上述したように、発明の実施形態にかかる小型の広角レンズ12は非常に小型化が図られているため、カメラ10は、沈胴式を採用しなくても携帯時と撮影時の両方においてコンパクトなカメラとすることができる。あるいは、沈胴式を採用した場合には、従来の沈胴式のカメラよりもさらに小型で携帯性の高いカメラとすることができる。
【0064】
次に、本発明の小型の広角レンズの数値実施例について説明する。実施例1〜実施例5の小型の広角レンズのレンズ断面図をそれぞれ図2〜図6に示す。図2〜図6においては、左側が物体側、右側が像側であり、無限遠の距離にある物点からの軸上光束、最大画角の軸外光束も合わせて示しているが、これらの光束の符号の図示は省略している。また、図2〜図6には、カバーガラスや各種フィルタを想定した平行平板状の光学部材PPも合わせて示している。なお、図2〜図6における開口絞りStは必ずしも大きさや形状を表すものではなく、光軸Z上の位置を示すものである。
【0065】
実施例1、2では、第1レンズ群G1がレンズL1、L2の2枚からなり、第2レンズ群G2がレンズL3〜L6の4枚からなり、第3レンズ群G3がレンズL7、L8の2枚からなる。実施例3〜5では、第1レンズ群G1がレンズL1、L2の2枚からなり、第2レンズ群G2がレンズL3〜L5の3枚からなり、第3レンズ群G3がレンズL6〜L8の3枚からなる。
【0066】
実施例1にかかる小型の広角レンズの基本レンズデータを表1に、非球面データを表2に示す。同様に、実施例2〜5にかかる小型の広角レンズの基本レンズデータ、非球面データをそれぞれ表4〜表10に示す。以下では表中の記号の意味について、実施例1のものを例にとり説明するが、実施例2〜5のものについても基本的に同様である。
【0067】
表1の基本レンズデータにおいて、Siの欄は最も物体側の構成要素の面を1番目として像側に向かうに従い順次増加するi番目(i=1、2、3、…)の面番号を示し、Riの欄はi番目の面の曲率半径を示し、Diの欄はi番目の面とi+1番目の面との光軸Z上の面間隔を示している。なお、曲率半径の符号は、面形状が物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負としている。
【0068】
レンズデータにおいて、Ndjの欄は最も物体側のレンズを1番目として像側に向かうに従い順次増加するj番目(j=1、2、3、…)の光学要素のd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示し、νdjの欄はj番目の光学要素のd線に対するアッベ数を示している。なお、レンズデータには、開口絞りStと光学部材PPも含めて示しており、開口絞りStに相当する面の面番号の欄には、(開口絞り)という語句を合わせて記載している。
【0069】
表1の基本レンズデータでは、非球面の面番号に*印を付しており、非球面の曲率半径として近軸曲率半径の数値を示している。表2の非球面データには、非球面の面番号と、各非球面に関する非球面係数を示す。表2の非球面データの数値の「E−n」(n:整数)は「×10−n」を意味し、「E+n」は「×10」を意味する。なお、非球面係数は、以下の式(A)で表される非球面式における各係数K、Am(m=3、4、5、…20)の値である。ただし、式(A)におけるΣはmの項に関する和を意味する。
Zd=C・h/{1+(1−K・C・h1/2}+ΣAm・h … (A)
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸に垂直な平面に
下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸からのレンズ面までの距離)
C:近軸曲率
K、Am:非球面係数(m=3、4、5、…20)
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
【表4】

【0074】
【表5】

【0075】
【表6】

【0076】
【表7】

【0077】
【表8】

【0078】
【表9】

【0079】
【表10】

【0080】
上記実施例1〜5の小型の広角レンズの仕様、条件式に関係する値、条件式(1)〜(9)の対応値を表11に示す。表11において、fは全系の焦点距離、BFは最も像側の面から像面までの光軸上の距離(空気換算したバックフォーカス)、2ωは全画角、Fno.はF値である。また、DD、SS、Y、fG12は上記条件式において説明したものである。実施例1〜5全て条件式(1)〜(9)を満足している。
【0081】
【表11】

【0082】
上記表の各数値の単位としては、2ωについては「度」を用い、長さについては「mm」を用いている。しかし、これは一例であり、光学系は比例拡大または比例縮小しても使用可能なため、他の適当な単位を用いることもできる。また、上記表における数値は、所定の桁でまるめた数値である。
【0083】
上記実施例1〜5にかかる小型の広角レンズの各収差図をそれぞれ、図7(A)〜図7(D)、図8(A)〜図8(D)、図9(A)〜図9(D)、図10(A)〜図10(D)、図11(A)〜図11(D)、に示す。
【0084】
図7(A)、図7(B)、図7(C)、図7(D)それぞれは、実施例1にかかる小型の広角レンズの球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)、倍率色収差(倍率色収差)の収差図を示している。球面収差図のFno.はF値を意味し、その他の収差図のωは半画角を意味する。ディストーションの図は、全系の焦点距離f、画角φ(変数扱い、0≦φ≦ω)を用いて、理想像高をf×tan(φ)とし、それからのずれ量を示す。各収差図には、d線(波長587.56nm)を基準波長とした収差を示すが、球面収差図および倍率色収差図には、C線(波長656.27nm)、g線(波長435.8nm)についての収差も示す。図8(A)〜図8(D)、図9(A)〜図9(D)、図10(A)〜図10(D)、図11(A)〜図11(D)における図示方法も図7(A)〜図7(D)と同様である。
【0085】
以上、実施形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズの曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数、非球面係数の値は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得るものである。
【0086】
また、カメラの実施形態では、コンパクトデジタルカメラに適用した例について図を示して説明したが、本発明はこの用途に限定されるものではなく、例えば、ビデオカメラや、フィルムカメラ等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 小型の広角レンズ
2 軸上光束
3 軸外光束
4 主光線
5 下側最外光線
10 カメラ
11 カメラボディ
12 小型の広角レンズ
13 閃光発光装置
15 シャッターボタン
16 電源ボタン
17 撮像素子
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
L1〜L8 レンズ
Sim 像面
St 開口絞り
Z 光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群とを配列してなり、
前記第1レンズ群が、1枚の負レンズと1枚の正レンズを含み、
前記第2レンズ群が、1枚の負レンズと1枚の正レンズを含み、
前記第3レンズ群が、1枚の負レンズと1枚の正レンズを含み、
前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の少なくともいずれか一方が、1面の非球面を含み、
下記条件式(1)〜(3)を満足するように構成されたことを特徴とする小型の広角レンズ。
1<f/Y<2……(1)
0.7<(SS+BF)/(DD+BF)<0.95……(2)
3.4<Fno×(DD+BF)/Y<8……(3)
ただし、
f:全系の焦点距離
Y:像面における最大像高
SS:前記絞りから最も像側の面までの光軸上の距離
BF:バックフォーカス(空気換算長)
DD:最も物体側の面から最も像側の面までの光軸上の距離
Fno:開放F値
【請求項2】
前記第3レンズ群の最も像側には正レンズが配置され、該正レンズの物体側直前には物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の小型の広角レンズ。
【請求項3】
前記第2レンズ群が、両凹レンズと両凸レンズとが物体側からこの順に接合された接合レンズを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の小型の広角レンズ。
【請求項4】
前記第2レンズ群の前記接合レンズと前記第3レンズ群の前記負メニスカスレンズとの間に、非球面レンズが配置されていることを特徴とする請求項3記載の小型の広角レンズ。
【請求項5】
下記条件式(4)、(5)を満足するように構成されていることを特徴とする請求項2から4のうちいずれか1項記載の小型の広角レンズ。
1.75<Nd3n……(4)
1.8<Nd3p……(5)
ただし、
Nd3n:前記第3レンズ群の前記負メニスカスレンズのd線に対する屈折率
Nd3p:前記第3レンズ群の最も像側の前記正レンズのd線に対する屈折率
【請求項6】
下記条件式(6)、(7)を満足するように構成されていることを特徴とする請求項3から5のうちいずれか1項記載の小型の広角レンズ。
1.7>Nd2n……(6)
1.8<Nd2p……(7)
ただし、
Nd2n:前記第2レンズ群の前記両凹レンズのd線に対する屈折率
Nd2p:前記第2レンズ群の前記両凸レンズのd線に対する屈折率
【請求項7】
下記条件式(8)を満足するように構成されていることを特徴とする請求項3から6のうちいずれか1項記載の小型の広角レンズ。
1.8<Ndp……(8)
ただし、
Ndp:前記第1レンズ群中の正レンズのうちd線に対する屈折率が最も高い正レンズと、前記第2レンズ群の前記両凸レンズと、前記第3レンズ群の最も像側の正レンズのd線に対する屈折率の平均値
【請求項8】
無限遠物体から近距離物体へのフォーカス調整は、前記第1レンズ群および前記第2レンズ群を一体的に物体側に移動させることにより行うように構成されていることを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項記載の小型の広角レンズ。
【請求項9】
下記条件式(9)を満足するように構成されていることを特徴とする請求項8記載の小型の広角レンズ。
0.6<fG12/f<0.9……(9)
ただし、
fG12:前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の合成焦点距離
【請求項10】
前記第3レンズ群が、2枚のレンズから構成されることを特徴とする請求項1から9のうちいずれか1項記載の小型の広角レンズ。
【請求項11】
前記第2レンズ群が、物体側から順に、正メニスカスレンズと、負レンズおよび正レンズを接合した接合レンズと、非球面レンズとを配列してなることを特徴とする請求項1から10のうちいずれか1項記載の小型の広角レンズ。
【請求項12】
前記第1レンズ群が、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと、物体側に凸面を向けた正レンズとを配列してなることを特徴とする請求項1から11のうちいずれか1項記載の小型の広角レンズ。
【請求項13】
前記第1レンズ群の前記負メニスカスレンズと前記正レンズとが接合されていることを特徴とする請求項12記載の小型の広角レンズ。
【請求項14】
物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群とを配列してなり、
前記第1レンズ群が、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズおよび物体側に凸面を向けた正レンズを物体側からこの順に接合した接合レンズからなり、
前記第2レンズ群が、物体側から順に、正メニスカスレンズと、両凹レンズおよび両凸レンズを物体側からこの順に接合した接合レンズと、非球面レンズとを配列してなり、
前記第3レンズ群が、物体側から順に、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズと、正レンズとを配列してなることを特徴とする小型の広角レンズ。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項記載の小型の広角レンズを備えたことを特徴とするカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−63676(P2012−63676A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209220(P2010−209220)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】