説明

小型基地局および制御方法

【課題】小型基地局に用意されたスピーカから音声を出力することができるようにする。
【解決手段】特別番号を入力する操作が移動機Aにおいて行われたことがアプリケーションサーバ8により検出された場合、アプリケーションサーバ8からフェムトセル基地局1に対して制御コマンドが送信される。フェムトセル基地局1においては、制御コマンドに従って、例えば発話音声をスピーカ4から出力するための設定が行われる。移動機Aと移動機Bの間でセッションが確立されている状態で移動機Aから送信された移動機Bを送信先とする音声データは、移動機Bに送信されることなく、フェムトセル基地局1によりデコードされ、移動機Aのユーザの音声がスピーカ4から出力される。本発明はフェムトセル基地局に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型基地局および制御方法に関し、特に、小型基地局側に用意されたスピーカから音声を出力することができるようにした小型基地局および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年販売されている携帯電話機の多くにはハンズフリー機能が搭載されている。
【0003】
通話中にハンズフリー機能をオンにした場合、通話相手の音声が携帯電話機の背面にあるスピーカなどより出力される。また、発した音声が、感度が切り替えられたマイクロフォンにより集音され、通話相手の携帯電話機に送信される。ユーザは、携帯電話機を手に取ることなく、他の作業を行いながらでも通話を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−136864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、家庭内、オフィス内など、半径数十メートルの狭い範囲を通信範囲としてカバーする「フェムトセル」が注目されている。
【0006】
「フェムトセル」は、そのような狭い範囲をカバーする程度のレベルの電波を出力する基地局であるフェムトセル基地局を、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデムなどの、構内に設置されているブロードバンド回線の宅内装置に接続することによって構築される。
【0007】
不特定多数の公衆向けのものであって半径数百メートルから数キロメートルの広いセルである「マクロセル」とは異なり、「フェムトセル」はフェムトセル基地局が設置された家屋の住人などの限られたユーザに対して通信サービスを提供するものである。
【0008】
例えば、屋外にいるユーザが、マクロセルに在圏している状態の携帯電話機を使って音声通話を行った場合、その音声データはマクロセルをカバーするマクロセル基地局から無線アクセスネットワークおよびコアネットワークを介して通信相手の携帯電話機に送信される。
【0009】
一方、屋内にいるユーザが、フェムトセルに在圏している状態の携帯電話機を使って音声通話を行った場合、その音声データはフェムトセル基地局からモデムに出力され、ブロードバンド回線、コアネットワークなどを介して通信相手の携帯電話機に送信される。
【0010】
仮に、フェムトセルに在圏している状態の携帯電話機から所定の操作を行ってハンズフリー機能をオンにした場合に、自分が聞いている音声や自分が発した音声が、携帯電話機のスピーカではなく、フェムトセル基地局のスピーカから出力されるとすれば、様々な活用方法が考えられ、便利である。
【0011】
例えば、フェムトセルが構築された店舗において、一人の使用者が複数の従業者に呼びかけることを考える。この場合、使用者が従業者の誰かに電話をかけ、フェムトセル基地局のハンズフリー機能をオンにすれば、使用者の音声がフェムトセル基地局のスピーカから大きな音量で出力されることになり、電話をかけた従業者に対してだけでなく、複数の従業者に対して一度に呼びかけることが可能になる。
【0012】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、小型基地局側に用意されたスピーカから音声を出力することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の小型基地局は、音声をスピーカから出力することを指示するコマンドを受信するコマンド受信手段と、自身が管理するセルに在圏している第1の移動機と第2の移動機との間で、セッションを管理するサーバを介して音声接続が確立されている状態において、前記第1の移動機から送信されてきた前記第2の移動機を送信先とする第1の音声データと、前記第2の移動機から送信されてきた前記第1の移動機を送信先とする第2の音声データとを受信する音声データ受信手段と、前記音声データ受信手段により受信された前記第1の音声データおよび前記第2の音声データのうちいずれか一方を音声として前記スピーカから出力させる出力制御手段とを備える。
【0014】
前記出力制御手段により前記スピーカから出力されなかった前記第1の音声データまたは前記第2の音声データを送信先の移動機に送信する音声データ送信手段をさらに設けることができる。
【0015】
前記コマンド受信手段には、特別番号の入力が前記第1の移動機において行われたことを検出したアプリケーションサーバから送信されてきた前記コマンドを受信させることができる。
【0016】
前記コマンド受信手段には、前記第1の音声データおよび前記第2の音声データの送受信に用いられる無線通信と異なる方式による無線通信によって前記第1の移動機から送信されてきた前記コマンドを受信させることができる。
【0017】
本発明の第1の小型基地局の制御方法は、音声をスピーカから出力することを指示するコマンドを受信し、自身が管理するセルに在圏している第1の移動機と第2の移動機との間で、セッションを管理するサーバを介して音声接続が確立されている状態において、前記第1の移動機から送信されてきた前記第2の移動機を送信先とする第1の音声データと、前記第2の移動機から送信されてきた前記第1の移動機を送信先とする第2の音声データとを受信し、受信した前記第1の音声データおよび前記第2の音声データのうちいずれか一方を音声として前記スピーカから出力させるステップを含む。
【0018】
本発明の第2の小型基地局は、音声をスピーカから出力することを指示するコマンドを受信するコマンド受信手段と、自身が管理するセルに在圏している第1の移動機と、当該セルに在圏していない第2の移動機との間で、セッションを管理するサーバを介して音声接続が確立されている状態において、前記第2の移動機から送信されてきた前記第1の移動機を送信先とする音声データを受信する音声データ受信手段と、前記音声データ受信手段により受信された音声データを音声として前記スピーカから出力させる出力制御手段とを備える。
【0019】
前記コマンド受信手段には、特別番号の入力が前記第1の移動機において行われたことを検出したアプリケーションサーバから送信されてきた前記コマンドを受信させることができる。
【0020】
前記コマンド受信手段には、音声データの送受信に用いられる無線通信とは異なる方式による無線通信によって前記第1の移動機から送信されてきた前記コマンドを受信させることができる。
【0021】
本発明の第2の小型基地局の制御方法は、音声をスピーカから出力することを指示するコマンドを受信し、自身が管理するセルに在圏している第1の移動機と、当該セルに在圏していない第2の移動機との間で、セッションを管理するサーバを介して音声接続が確立されている状態において、前記第2の移動機から送信されてきた前記第1の移動機を送信先とする音声データを受信し、受信した音声データを音声として前記スピーカから出力させるステップを含む。
【0022】
本発明の第1の小型基地局または小型基地局の制御方法においては、音声をスピーカから出力することを指示するコマンドが受信され、自身が管理するセルに在圏している第1の移動機と第2の移動機との間で、セッションを管理するサーバを介して音声接続が確立されている状態において、前記第1の移動機から送信されてきた前記第2の移動機を送信先とする第1の音声データと、前記第2の移動機から送信されてきた前記第1の移動機を送信先とする第2の音声データとが受信される。また、受信された前記第1の音声データおよび前記第2の音声データのうちいずれか一方が音声として前記スピーカから出力される。
【0023】
本発明の第2の小型基地局または小型基地局の制御方法においては、音声をスピーカから出力することを指示するコマンドが受信され、自身が管理するセルに在圏している第1の移動機と、当該セルに在圏していない第2の移動機との間で、セッションを管理するサーバを介して音声接続が確立されている状態において、前記第2の移動機から送信されてきた前記第1の移動機を送信先とする音声データが受信される。また、受信された音声データが音声として前記スピーカから出力される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、小型基地局側に用意されたスピーカから音声を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
【図2】フェムトセル基地局を制御する通信システムの処理について説明するシーケンス図である。
【図3】発話音声をスピーカから出力する通信システムの処理について説明するシーケンス図である。
【図4】受話音声をスピーカから出力する通信システムの処理について説明するシーケンス図である。
【図5】図1のフェムトセル基地局の構成例を示すブロック図である。
【図6】フェムトセル基地局を制御する通信システムの他の処理について説明するシーケンス図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
【図8】受話音声をスピーカから出力する図7の通信システムの処理について説明するシーケンス図である。
【図9】図7のフェムトセル基地局の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1の実施の形態>
[通信システムの構成例]
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
【0027】
図1の例においては、家屋やオフィスビルなどの構内にフェムトセル基地局1が設置されており、フェムトセル基地局1によりフェムトセルFが形成されている。フェムトセルFは、公衆網を構成するマクロセルより狭い、半径数メートル、数十メートルなどのフェムトセル基地局1が設置されている構内の範囲をカバーするセルである。
【0028】
フェムトセル基地局1にはLAN(Local Area Network)ケーブル2を介してモデム3が接続されている。モデム3は、ADSL回線や光ファイバ回線などよりなるブロードバンド回線5の宅内装置である。フェムトセル基地局1にモデム機能が搭載されている場合、フェムトセル基地局1がブロードバンド回線5に直接接続されるようにしてもよい。
【0029】
フェムトセル基地局1は、LANケーブル2、モデム3、およびブロードバンド回線5を介してインターネットなどよりなるネットワーク6に接続され、フェムトセルFに在圏している移動機が行う音声データなどの通信を中継する。
【0030】
図1の例においては、携帯電話機である移動機Aと移動機BがフェムトセルFに在圏している。移動機Aと移動機Bは、例えばCDMA(Code Division Multiple Access)方式に従って、音声データなどの各種のデータの送受信をそのとき在圏しているセルを管理する基地局との間で行う。
【0031】
図1に示すように、フェムトセル基地局1にはスピーカ4が接続されている。スピーカ4は、フェムトセル基地局1に内蔵されているスピーカであってもよいし、図1に示すようにケーブルを介して接続される外部のスピーカであってもよい。
【0032】
フェムトセル基地局1は、後に詳述するように、アプリケーションサーバ8による制御に従って、通話中の音声をスピーカ4から出力させる。フェムトセル基地局1には、音声データをデコードしてスピーカから音声を出力する、移動機と同様の機能が搭載されている。
【0033】
また、図1の例においては、フェムトセル基地局1側から見てブロードバンド回線5の先には、ネットワーク6を介してCSCF(Call Session Control Function)7とアプリケーションサーバ8が接続されている。図1にはCSCFが1つ示されているが、複数のCSCFとメディアゲートウエイなどによってIMS(IP Multimedia Subsystem)によるコアネットワークが構築される。
【0034】
CSCF7は、交換機としての機能を有するSIP(Session Initiation Protocol)サーバであり、移動機間の音声通話を制御する。CSCF7は、例えば、フェムトセルFに在圏している移動機Bを発呼先として、同じフェムトセルFに在圏している移動機Aから音声通話の発呼要求があった場合、図示せぬHSS(Home Subscriber Server)に登録されている位置情報などを参照した後、接続要求をフェムトセル基地局1に送信する。
【0035】
また、CSCF7は、ネットワーク6を介して接続されるアプリケーションサーバ8に、フェムトセル基地局1に対する各種の制御を行わせる。
【0036】
アプリケーションサーバ8は、フェムトセルFに在圏している移動機において発話音声や受話音声をスピーカ4から出力することを指示する操作が行われた場合、それを検出し、発話音声や受話音声をスピーカ4から出力することを指示するコマンドを出力する。
【0037】
ここで、発話音声は、音声をスピーカ4から出力することを指示したユーザを基準とすると、その基準のユーザが通話相手のユーザに向けて発した音声である。受話音声は、音声をスピーカ4から出力することを指示した基準のユーザが聞くことになる、通話相手のユーザが発した音声となる。
【0038】
アプリケーションサーバ8から出力されたコマンドは、ネットワーク6、ブロードバンド回線5を介してモデム3により受信され、LANケーブル2を介してフェムトセル基地局1に転送される。アプリケーションサーバ8から出力されたコマンドを受信したフェムトセル基地局1においては、発話音声や受話音声をスピーカ4から出力させることが行われる。
【0039】
[通信システムの処理]
ここで、図1の通信システムにおいて行われる処理について説明する。
【0040】
はじめに、図2のシーケンスを参照して、発話音声または受話音声をスピーカ4から出力するようにフェムトセル基地局1を制御する一連の処理について説明する。
【0041】
ここでは、移動機AのユーザであるユーザAが移動機BのユーザであるユーザBに電話をかけ、発話音声または受話音声をスピーカ4から出力することをユーザAが指示する場合について説明する。発話音声はユーザAが発した音声となり、受話音声はユーザAが聞くことになる、ユーザBが発した音声となる。
【0042】
ステップS31において、移動機Aは、テンキーに対するユーザAの操作を検出し、特別番号に対する発呼要求を送信する。すなわち、この例においては、発話音声または受話音声をスピーカ4から出力することを指示するユーザAは、予め登録されている「#1」などの特別番号を入力し、発呼操作を行う必要がある。特別番号は、例えば、固定電話用の電話番号(0ABJ番号)、「050」で始まるIP電話用の電話番号、警察(110)や消防(119)といった特殊なサービス用の「1XY」形式の電話番号、および国際電話(010)や携帯電話(090、080)などの他の電話網に接続する際に用いられる「0A0」形式の電話番号以外の、数字や「#」、「*」より構成される所定の桁数の番号である。
【0043】
移動機Aから送信された発呼要求は、ステップS21においてフェムトセル基地局1により受信され、LANケーブル2を介してモデム3に転送された後、ブロードバンド回線5、ネットワーク6を介して、ステップS11においてCSCF7により受信される。CSCF7により受信された発呼要求は、ネットワーク6を介してアプリケーションサーバ8に送信される。アプリケーションサーバ8に対して送信された発呼要求には、移動機Aの識別情報や、IPアドレスなどのフェムトセル基地局1の識別情報も含まれている。
【0044】
ステップS1において、アプリケーションサーバ8は、CSCF7から送信されてきた発呼要求を受信し、ステップS2において、移動機Aにおいて特別番号を入力する操作が行われたことを検出する。
【0045】
ステップS3において、アプリケーションサーバ8は、セカンドダイヤルの入力を案内する情報を送信する。アプリケーションサーバ8から送信された情報は、ネットワーク6を介してステップS12においてCSCF7により受信される。CSCF7により受信され、出力された情報はネットワーク6、ブロードバンド回線5を介してモデム3により受信され、LANケーブル2を介してフェムトセル基地局1に転送される。
【0046】
ステップS22において、フェムトセル基地局1は、モデム3から転送されてきた情報を受信し、受信した情報を移動機Aに送信する。アプリケーションサーバ8から送信された情報には、セカンドダイヤルの入力を案内するアナウンスの音声データの他に、送信先を移動機Aとすることを表す情報なども含まれている。
【0047】
ステップS32において、移動機Aはフェムトセル基地局1から送信されてきた情報を受信し、音声データを再生することによって、セカンドダイヤルの入力をユーザAに促す。例えば、「電話をかける相手の電話番号を入力してください」などのアナウンスが移動機Aのスピーカから出力される。ユーザAは、このアナウンスを聞くことに応じて、移動機Bの電話番号を入力することになる。
【0048】
移動機Bの電話番号が入力された場合、ステップS33において、移動機Aは移動機Bに対する発呼要求を送信する。
【0049】
移動機Bに対する発呼要求は、上述した特別番号に対する発呼要求と同様に、ステップS23においてフェムトセル基地局1により受信され、CSCF7に送信される。
【0050】
ステップS13において、CSCF7は、移動機Bに対する発呼要求を受信し、ステップS14に進み、セカンドダイヤルが入力されたことを表す情報を送信して、アプリケーションサーバ8にその旨を通知する。
【0051】
ステップS4において、アプリケーションサーバ8は、CSCF7から送信された情報を受信し、ステップS5において、発話音声または受話音声をスピーカ4から出力することを指示する制御コマンドを送信する。アプリケーションサーバ8から送信された制御コマンドは、ネットワーク6とブロードバンド回線5を介してモデム3により受信され、LANケーブル2を介してフェムトセル基地局1に転送される。
【0052】
制御コマンドには、発話音声をスピーカ4から出力することを指示する情報と、受話音声をスピーカ4から出力することを指示する情報のうちの少なくともいずれかの情報が含まれる。発話音声をスピーカ4から出力することを指示する情報が制御コマンドに含まれる場合の処理については図3のシーケンスを参照して後述する。また、受話音声をスピーカ4から出力することを指示する情報が制御コマンドに含まれる場合の処理については図4のシーケンスを参照して後述する。
【0053】
ステップS24において、フェムトセル基地局1は、アプリケーションサーバ8から送信されてきた制御コマンドを受信し、フラグに所定の値を設定するなどして、発話音声または受話音声をスピーカ4から出力するための設定を行う。
【0054】
ステップS15において、CSCF7は、着呼信号を送信することによって移動機Bを呼び出す。CSCF7から送信された信号は、ステップS25においてフェムトセル基地局1により受信され、呼び出し先の移動機である移動機Bに送信される。
【0055】
ステップS41において、移動機Bは着呼信号を受信し、着信音をスピーカ(移動機Bの内蔵スピーカ)から出力するなどして、着信があったことをユーザBに通知する。
【0056】
通話ボタンが押されるなどしてユーザBにより応答操作が行われた場合、ステップS42において、移動機Bは応答信号を送信する。移動機Bから送信された応答信号はステップS26においてフェムトセル基地局1により受信され、CSCF7に送信される。
【0057】
ステップS16において、CSCF7は応答信号を受信し、移動機Aと移動機Bの間のセッションを確立する。これにより、音声データの送受信を移動機Aと移動機Bの間でCSCF7を介して行うことが可能になる。
【0058】
なお、発話音声をスピーカ4から出力するのか、または、受話音声をスピーカ4から出力するのかが、特別番号の入力後などの所定のタイミングでユーザAにより指定されるようにしてもよい。
【0059】
次に、図3のシーケンスを参照して、発話音声をスピーカ4から出力する処理について説明する。
【0060】
制御コマンドを受信した後、フェムトセル基地局1においては、発話音声、すなわちユーザAの音声をスピーカ4から出力するための設定が行われている。図3においてはアプリケーションサーバ8の処理の図示を省略している。制御コマンドを送信した後、アプリケーションサーバ8においてはフェムトセル基地局1等に対する処理が行われない。図4以降においてもアプリケーションサーバ8の処理の図示を省略している。
【0061】
ユーザAにより発話が行われた場合、ステップS71において、移動機Aは、マイクロフォンにより集音した音声をエンコードし、音声データを送信する。移動機Aから送信されたユーザAの音声データはステップS61においてフェムトセル基地局1により受信され、CSCF7に送信される。
【0062】
ステップS51において、CSCF7はユーザAの音声データを受信し、ステップS52に進み、移動機Bを送信先として、ユーザAの音声データをフェムトセル基地局1に送信する。
【0063】
ステップS62において、フェムトセル基地局1は、CSCF7から送信されてきたユーザAの音声データを受信し、ステップS63に進み、受信した音声データを移動機Bに送信することなく、自らデコードすることによってユーザAの音声をスピーカ4から出力させる。発話音声をスピーカ4から出力するための設定が行われているため、移動機Bを送信先として送信されてきたユーザAの音声データに基づく音声の出力はフェムトセル基地局1において行われる。
【0064】
これにより、フェムトセル基地局1の近くにいてユーザAからの着信に応答したユーザBは、スピーカ4から出力されたユーザAの音声を聞くことができる。このようにしてユーザAの音声データがフェムトセル基地局1から移動機Bに送信されない場合、ユーザBは、移動機Bをマイクロフォン代わりに使ってユーザAと通話を行うことになる。
【0065】
一方、ユーザBにより発話が行われた場合、ステップS81において、移動機Bは、マイクロフォンにより集音した音声をエンコードし、音声データを送信する。移動機Bから送信されたユーザBの音声データはステップS64においてフェムトセル基地局1により受信され、CSCF7に送信される。
【0066】
ステップS53において、CSCF7はユーザBの音声データを受信し、ステップS54に進み、移動機Aを送信先として、ユーザBの音声データをフェムトセル基地局1に送信する。
【0067】
ステップS65において、フェムトセル基地局1は、CSCF7から送信されてきたユーザBの音声データを受信し、移動機Aに送信する。このように、デコードしない音声データは、CSCF7により送信先として指定された移動機にフェムトセル基地局1から送信される。
【0068】
ステップS72において、移動機AはユーザBの音声データを受信し、ステップS73に進み、受信した音声データをデコードすることによって、ユーザBの音声をスピーカから出力させる。ユーザAは、移動機を使った通常の通話と同じ形で(移動機Aのマイクロフォンに音声を入力し、移動機Aのスピーカからの音声を聞く形で)、ユーザBと通話を行うことになる。
【0069】
発話音声をスピーカ4から出力する処理は以上のようにして行われる。なお、図3に示す各ステップの処理の順番は、どの移動機から音声データが送信されたかに応じて適宜変更される。図4以降においても同様である。
【0070】
以上の処理により、フェムトセル基地局1の近くにいるユーザBはユーザAの発話の内容をスピーカ4から出力される音声によって確認することができる。スピーカ4の出力音量が、移動機Bに搭載されているスピーカの出力音量より大きい場合、ユーザBだけでなく、フェムトセル基地局1の周りにいる人もユーザAの発話の内容を確認することができる。
【0071】
例えば、図1のフェムトセルFが店舗内に形成されており、使用者であるユーザAが、ユーザBを含む、店舗にいる従業者全員に呼びかける場合を想定する。ユーザAは、自分が持っている移動機Aを使って特別番号に電話をかけ、セカンドダイヤルとして移動機Bの電話番号を入力することによって、スピーカ4から出力される自分の音声によって、従業者全員に呼びかけることが可能になる。
【0072】
また、図1のフェムトセルFが、ある家屋とその外側の庭先を含む範囲に形成されており、ユーザAが庭に、ユーザBを含む家族が家屋内にそれぞれいる場合を想定する。家屋が火事になりかけていることに庭にいるユーザAが気付いた場合、ユーザAは、自分が持っている移動機Aを使って特別番号に電話をかけ、セカンドダイヤルとして移動機Bの電話番号を入力することによって、スピーカ4から出力される自分の音声によって、家族全員に危険を知らせることが可能になる。スピーカ4からの発話音声の出力機能をこのような緊急情報の通知に利用することも可能である。
【0073】
次に、図4のシーケンスを参照して、受話音声をスピーカ4から出力する処理について説明する。
【0074】
制御コマンドを受信した後、フェムトセル基地局1においては、受話音声、すなわちユーザBの音声をスピーカ4から出力するための設定が行われている。
【0075】
ユーザAにより発話が行われた場合、ステップS111において、移動機Aは、マイクロフォンにより集音した音声をエンコードし、音声データを送信する。移動機Aから送信されたユーザAの音声データはステップS101においてフェムトセル基地局1により受信され、CSCF7に送信される。
【0076】
ステップS91において、CSCF7はユーザAの音声データを受信し、ステップS92に進み、移動機Bを送信先として、ユーザAの音声データをフェムトセル基地局1に送信する。
【0077】
ステップS102において、フェムトセル基地局1は、CSCF7から送信されてきたユーザAの音声データを受信し、移動機Bに送信する。受話音声をスピーカ4から出力するための設定が行われている場合、ユーザAの音声データはフェムトセル基地局1においてはデコードしない音声データであるから、送信先として指定された移動機Bに対してフェムトセル基地局1から送信される。
【0078】
ステップS121において、移動機BはユーザAの音声データを受信し、ステップS122に進み、受信した音声データをデコードすることによって、ユーザAの音声をスピーカ(移動機Bの内蔵スピーカ)から出力させる。ユーザBは、移動機を使った通常の通話と同じ形で、ユーザAと通話を行うことになる。
【0079】
一方、ユーザBにより発話が行われた場合、ステップS123において、移動機Bは、マイクロフォンにより集音した音声をエンコードし、音声データを送信する。移動機Bから送信されたユーザBの音声データはステップS103においてフェムトセル基地局1により受信され、CSCF7に送信される。
【0080】
ステップS93において、CSCF7はユーザBの音声データを受信し、ステップS94に進み、移動機Aを送信先として、ユーザBの音声データをフェムトセル基地局1に送信する。
【0081】
ステップS104において、フェムトセル基地局1は、CSCF7から送信されてきたユーザBの音声データを受信し、ステップS105に進み、受信した音声データを移動機Aに送信することなく、自らデコードすることによってユーザBの音声をスピーカ4から出力させる。受話音声をスピーカ4から出力するための設定が行われているため、移動機Aを送信先として送信されてきたユーザBの音声データに基づく音声の出力はフェムトセル基地局1において行われる。
【0082】
これにより、フェムトセル基地局1の近くにいて受話音声をスピーカ4から出力することを指示したユーザAは、スピーカ4から出力されたユーザBの音声を聞くことができる。このようにしてユーザBの音声データがフェムトセル基地局1から移動機Aに送信されない場合、ユーザAは、移動機Aをマイクロフォン代わりに使ってユーザBと通話を行うことになる。
【0083】
受話音声をスピーカ4から出力する処理は以上のようにして行われる。
【0084】
これにより、フェムトセル基地局1の近くにいるユーザAはユーザBの発話の内容をスピーカ4から出力される音声によって確認することができる。また、ユーザAだけでなく、フェムトセル基地局1の周りにいる人もユーザBの発話の内容を確認することができる。
【0085】
図1に示すようにして移動機Aと移動機BがフェムトセルFに在圏している場合、後述するように制御コマンドを移動機から直接送信することによって、発話音声または受話音声をスピーカ4から出力することを制御することができるようにしてもよい。
【0086】
[フェムトセル基地局1の構成例]
図5は、図1のフェムトセル基地局1の構成例を示すブロック図である。
【0087】
図5に示すように、フェムトセル基地局1は、ネットワーク通信部21、制御部22、無線通信部23、アンテナ24、および出力制御部25から構成される。制御部22にはコマンド受信部22Aが設けられ、ネットワーク通信部21には音声データ送信部21Aと音声データ受信部21Bが設けられる。無線通信部23には音声データ送信部23Aと音声データ受信部23Bが設けられる。
【0088】
ネットワーク通信部21はネットワークのインタフェースであり、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)などの所定のプロトコルに従って、LANケーブル2とモデム3を介して通信を行う。
【0089】
ネットワーク通信部21の音声データ送信部21Aは、無線通信部23から供給された、フェムトセルFに在圏している移動機からの音声データをモデム3に出力してCSCF7に送信させる。音声データ受信部21Bは、CSCF7から送信され、モデム3により受信された音声データを受信し、制御部22と無線通信部23に出力する。
【0090】
また、ネットワーク通信部21は、アプリケーションサーバ8から制御コマンドが送信されてきた場合、それを制御部22に出力する。
【0091】
制御部22はCPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)などよりなり、所定のプログラムを実行してフェムトセル基地局1の全体の動作を制御する。
【0092】
例えば、制御部22のコマンド受信部22Aは、アプリケーションサーバ8から送信されてきた制御コマンドを受信し、フラグに所定の値を設定するなどして、発話音声または受話音声をスピーカ4から出力するための設定を行う。また、コマンド受信部22Aは、制御コマンドに従って出力制御部25を制御し、音声をスピーカ4から出力させる。
【0093】
コマンド受信部22Aは、発話音声をスピーカ4から出力する場合、発話音声をスピーカ4から出力することを指示したユーザAの通話相手であるユーザBが使う移動機Bを送信先としてCSCF7から送信され、ネットワーク通信部21において受信された音声データ(ユーザAの音声データ)を出力制御部25に出力し、デコードを行わせる。
【0094】
また、コマンド受信部22Aは、受話音声をスピーカ4から出力する場合、受話音声をスピーカ4から出力することを指示したユーザAが使う移動機Aを送信先としてCSCF7から送信され、ネットワーク通信部21において受信された音声データ(ユーザBの音声データ)を出力制御部25に出力し、デコードを行わせる。
【0095】
無線通信部23は、空中線電力が20mW以下などの所定の強度の電波をアンテナ24から出力し、W-CDMA、CDMA2000などの規格に従って、フェムトセルFに在圏している移動機と無線通信を行う。
【0096】
無線通信部23の音声データ送信部23Aは、ネットワーク通信部21から供給された音声データを送信先として指定された移動機に送信する。音声データ受信部23Bは、アンテナ24から供給された信号に基づいて受信した移動機からの音声データをネットワーク通信部21に出力する。
【0097】
出力制御部25は、制御部22による制御に従って音声データをデコードし、デコードして得られた信号に対応する音声をスピーカ4から出力させる。
【0098】
以上においては、特別番号を入力する操作が行われたことを検出し、セカンドダイヤルの入力を案内することがアプリケーションサーバ8により行われるものとしたが、この機能をフェムトセル基地局1に持たせることも可能である。
【0099】
ここで、図6のシーケンス図を参照して、アプリケーションサーバ8の機能と同様の機能をも有するフェムトセル基地局1を制御する一連の処理について説明する。
【0100】
図6の処理は、アプリケーションサーバ8の処理が行われない点を除いて、図2を参照して説明した処理と同様の処理である。重複する説明については適宜省略する。
【0101】
ステップS151において、移動機Aは、ユーザAの操作を検出し、特別番号に対する発呼要求を送信する。この特別番号に対する発呼要求が、発話音声または受話音声をスピーカ4から出力することを指示する制御コマンドとしての機能を有することになる。
【0102】
ステップS141において、フェムトセル基地局1は、移動機Aから送信された発呼要求を受信し、ステップS142において、特別番号を入力する操作が行われたことを検出する。特別番号を入力する操作が行われたことを検出した後、フェムトセル基地局1は、フラグに所定の値を設定するなどして、発話音声または受話音声をスピーカ4から出力するための設定を行う。
【0103】
ステップS143において、フェムトセル基地局1は、セカンドダイヤルの入力を案内する情報を移動機Aに送信する。フェムトセル基地局1から送信された情報には、セカンドダイヤルの入力を案内するアナウンスの音声データが含まれている。
【0104】
ステップS152において、移動機Aはフェムトセル基地局1から送信されてきた情報を受信し、音声データを再生することによって、セカンドダイヤルの入力をユーザAに促す。ユーザAは、アナウンスを聞くことに応じて、移動機Bの電話番号を入力することになる。
【0105】
移動機Bの電話番号が入力された場合、ステップS153において、移動機Aは移動機Bに対する発呼要求を送信する。
【0106】
ステップS144において、フェムトセル基地局1は、移動機Bに対する発呼要求を受信し、CSCF7に送信する。
【0107】
ステップS131において、CSCF7は、移動機Bに対する発呼要求を受信し、ステップS132に進み、着呼信号を送信することによって移動機Bを呼び出す。CSCF7から送信された信号は、ステップS145においてフェムトセル基地局1により受信され、呼び出し先の移動機である移動機Bに送信される。
【0108】
ステップS161において、移動機Bは着呼信号を受信し、着信音をスピーカ(移動機Bの内蔵スピーカ)から出力するなどして、着信があったことをユーザBに通知する。
【0109】
ユーザBにより応答操作が行われた場合、ステップS162において、移動機Bは応答信号を送信する。移動機Bから送信された応答信号はステップS146においてフェムトセル基地局1により受信され、CSCF7に送信される。
【0110】
ステップS133において、CSCF7は応答信号を受信し、移動機Aと移動機Bの間のセッションを確立する。これにより、音声データの送受信を移動機Aと移動機Bの間でCSCF7を介して行うことが可能になる。
【0111】
このように、特別番号を入力する操作が行われたことを検出し、セカンドダイヤルの入力を案内する機能をフェムトセル基地局1に持たせることも可能である。図6の処理によって発話音声または受話音声をスピーカ4から出力するための設定が行われた後、図3または図4を参照して説明した処理と同様の処理が行われる。
【0112】
<第2の実施の形態>
[通信システムの構成例]
図7は、本発明の他の実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
【0113】
図7に示す構成のうち、図1に示す構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。図1の例においては、移動機AはフェムトセルFに在圏しているが、移動機BはフェムトセルF以外の例えばマクロセルに在圏している。また、ネットワーク6にアプリケーションサーバ8が接続されていない。
【0114】
図7の通信システムにおいては、音声をスピーカ4から出力することを指示する制御コマンドが、フェムトセルFに在圏している移動機Aからフェムトセル基地局1に対して直接送信されるようになされている。
【0115】
例えば、移動機Aと移動機Bの間でセッションが確立され、ユーザAとユーザBが通話を行っている最中にユーザAが所定の操作を行った場合、移動機Aからフェムトセル基地局1に対して、受話音声をスピーカ4から出力することを指示する制御コマンドが送信される。制御コマンドの送信は、音声データの送受信に用いられている電波を使って、または、音声データの送受信に用いられている電波とは異なる、ブルートゥース(商標)などの所定の規格の通信に用いられる電波を使って行われる。
【0116】
これにより、移動機Aのユーザは、ユーザBと通話を行っている最中でも、受話音声をスピーカ4から出力するように切り替えることができる。
【0117】
[通信システムの処理]
ここで、図8のシーケンスを参照して、受話音声をスピーカ4から出力する図7の通信システムの処理について説明する。
【0118】
図2を参照して説明したようにして移動機Aにより行われた発呼に移動機Bが応答することによって、または、移動機Bにより行われた発呼に移動機Aが応答することによって、移動機Aと移動機Bの間ではセッションが確立され、音声データの送受信が可能になっているものとする。
【0119】
ユーザAにより発話が行われた場合、ステップS221において、移動機Aは、マイクロフォンにより集音した音声をエンコードし、音声データを送信する。移動機Aから送信されたユーザAの音声データはステップS211においてフェムトセル基地局1により受信され、CSCF7に送信される。
【0120】
ステップS201において、CSCF7はユーザAの音声データを受信し、ステップS202に進み、移動機Bを送信先として、移動機Bが在圏しているマクロセルを管理するマクロセル基地局にユーザAの音声データを送信する。ユーザAの音声データを受信したマクロセル基地局においては、送信先の移動機である移動機BにユーザAの音声データを送信することが行われる。
【0121】
ステップS231において、移動機BはユーザAの音声データを受信し、ステップS232に進み、受信した音声データをデコードすることによって、ユーザAの音声をスピーカ(移動機Bの内蔵スピーカ)から出力させる。
【0122】
一方、ユーザBにより発話が行われた場合、ステップS233において、移動機Bは、マイクロフォンにより集音した音声をエンコードし、音声データを送信する。移動機Bから送信されたユーザBの音声データは、マクロセル基地局や無線アクセスネットワークなどを介してCSCF7に送信される。
【0123】
ステップS203において、CSCF7はユーザBの音声データを受信し、ステップS204に進み、移動機Aを送信先として、ユーザBの音声データをフェムトセル基地局1に送信する。
【0124】
ステップS212において、フェムトセル基地局1は、CSCF7から送信されてきたユーザBの音声データを受信し、移動機Aに送信する。
【0125】
ステップS222において、移動機AはユーザBの音声データを受信し、ステップS233に進み、受信した音声データをデコードすることによって、ユーザBの音声をスピーカ(移動機Aの内蔵スピーカ)から出力させる。
【0126】
このようにしてユーザAとユーザBの間で通話が行われている場合において、受話音声をスピーカ4から出力することを指示する操作が移動機Aにおいて行われたとき、ステップS224において、移動機Aは、受話音声をスピーカ4から出力することを指示する制御コマンドをフェムトセル基地局1に送信する。移動機Aはマルチタスクに対応した移動機であり、ブルートゥース通信によって制御コマンドを送信するなどの各種の処理を通話と並行して行うことが可能になっている。
【0127】
ステップS213において、フェムトセル基地局1は制御コマンドを受信し、フラグに所定の値を設定するなどして、受話音声をスピーカ4から出力するための設定を行う。
【0128】
この状態でユーザBにより発話が行われた場合、ステップS234において、移動機Bは、マイクロフォンにより集音した音声をエンコードし、音声データを送信する。移動機Bから送信されたユーザBの音声データは、マクロセル基地局や無線アクセスネットワークなどを介してCSCF7に送信される。
【0129】
ステップS205において、CSCF7はユーザBの音声データを受信し、ステップS206に進み、移動機Aを送信先として、ユーザBの音声データをフェムトセル基地局1に送信する。
【0130】
ステップS214において、フェムトセル基地局1はユーザBの音声データを受信し、ステップS215に進み、受信した音声データを移動機Aに送信することなく、自らデコードすることによって、ユーザBの音声をスピーカ4から出力させる。受話音声をスピーカ4から出力するための設定が行われているため、移動機Aを送信先として送信されてきたユーザBの音声データに基づく音声の出力はフェムトセル基地局1において行われる。
【0131】
これにより、フェムトセル基地局1の近くにいて受話音声をスピーカ4から出力することを指示したユーザAは、スピーカ4から出力されたユーザBの音声を聞くことができる。
【0132】
図7に示すようにして一方の移動機がフェムトセルFに在圏していない場合においても、上述したようにして特別番号を入力することによって、受話音声をスピーカ4から出力することを制御することができるようにしてもよい。この場合、特別番号の入力操作が移動機Aにおいて行われた場合、そのことがアプリケーションサーバにより検出され、受話音声をスピーカ4から出力することを指示する制御コマンドがアプリケーションサーバからフェムトセル基地局1に送信される。
【0133】
[フェムトセル基地局1の構成例]
図9は、図7のフェムトセル基地局1の構成例を示すブロック図である。
【0134】
図9に示す構成のうち、図5に示す構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。図9に示すフェムトセル基地局1の構成は、ブルートゥース通信部31とアンテナ32が追加して設けられている点で図5に示す構成と異なる。
【0135】
ブルートゥース通信部31は、アンテナ32から電波を送信し、またはアンテナ32において移動機Aからの電波を受信することによって、ブルートゥース規格に従って移動機Aとの間で無線通信を行う。
【0136】
ブルートゥース通信部31は、移動機Aから送信されてきた制御コマンドを制御部22に出力する。制御部22のコマンド受信部22Aにおいては、ブルートゥース通信部31から供給された制御コマンドが受信され、受信された制御コマンドに従って出力制御部25を制御し、受話音声をスピーカ4から出力させることが行われる。
【0137】
<変形例>
以上においては、アプリケーションサーバ8から送信された制御コマンドに従って、または、フェムトセルFに在圏している移動機から直接送信された制御コマンドに従って、音声出力の切り替えが制御されるものとしたが、フェムトセル基地局1の筐体に設けられるボタンがユーザにより操作されることによって音声出力の切り替えが制御されるようにしてもよい。
【0138】
また、以上においては、発話音声と受話音声のうちのいずれかがスピーカ4から出力されるものとしたが、両方の音声がスピーカ4から出力されるようにしてもよい。
【0139】
さらに、フェムトセル基地局1においてデコードされない音声データだけが送信先の移動機に送信されるものとしたが、デコードされる音声データも、フェムトセル基地局1から送信先の移動機に送信されるようにしてもよい。例えばスピーカ4から受話音声を出力することを指示したユーザAは、スピーカ4から出力されるユーザBの音声と、移動機Aのスピーカから出力されるユーザBの音声を聞くことができることになる。
【0140】
さらに、フェムトセル基地局1に替えて、「ピコセル」、「マイクロセル」と呼ばれる小型セルを形成する基地局が設けられ、その基地局において音声出力の切り替えが制御されるようにしてもよい。小型基地局は、フェムトセル、ピコセル、マイクロセル等の小型セルを形成する基地局である。
【0141】
本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0142】
1 フェムトセル基地局, 3 モデム, 4 スピーカ, 7 CSCF, 8 アプリケーションサーバ, 21 ネットワーク通信部, 22 制御部, 23 無線通信部, 24 アンテナ, 25 音声出力制御部, 31 ブルートゥース通信部, 32 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声をスピーカから出力することを指示するコマンドを受信するコマンド受信手段と、
自身が管理するセルに在圏している第1の移動機と第2の移動機との間で、セッションを管理するサーバを介して音声接続が確立されている状態において、前記第1の移動機から送信されてきた前記第2の移動機を送信先とする第1の音声データと、前記第2の移動機から送信されてきた前記第1の移動機を送信先とする第2の音声データとを受信する音声データ受信手段と、
前記音声データ受信手段により受信された前記第1の音声データおよび前記第2の音声データのうちいずれか一方を音声として前記スピーカから出力させる出力制御手段と
を備える小型基地局。
【請求項2】
前記出力制御手段により前記スピーカから出力されなかった前記第1の音声データまたは前記第2の音声データを送信先の移動機に送信する音声データ送信手段をさらに備える
請求項1に記載の小型基地局。
【請求項3】
前記コマンド受信手段は、特別番号の入力が前記第1の移動機において行われたことを検出したアプリケーションサーバから送信されてきた前記コマンドを受信する
請求項1または2に記載の小型基地局。
【請求項4】
前記コマンド受信手段は、前記第1の音声データおよび前記第2の音声データの送受信に用いられる無線通信とは異なる方式による無線通信によって前記第1の移動機から送信されてきた前記コマンドを受信する
請求項1から3のいずれかに記載の小型基地局。
【請求項5】
音声をスピーカから出力することを指示するコマンドを受信し、
自身が管理するセルに在圏している第1の移動機と第2の移動機との間で、セッションを管理するサーバを介して音声接続が確立されている状態において、前記第1の移動機から送信されてきた前記第2の移動機を送信先とする第1の音声データと、前記第2の移動機から送信されてきた前記第1の移動機を送信先とする第2の音声データとを受信し、
受信した前記第1の音声データおよび前記第2の音声データのうちいずれか一方を音声として前記スピーカから出力させる
ステップを含む小型基地局の制御方法。
【請求項6】
音声をスピーカから出力することを指示するコマンドを受信するコマンド受信手段と、
自身が管理するセルに在圏している第1の移動機と、当該セルに在圏していない第2の移動機との間で、セッションを管理するサーバを介して音声接続が確立されている状態において、前記第2の移動機から送信されてきた前記第1の移動機を送信先とする音声データを受信する音声データ受信手段と、
前記音声データ受信手段により受信された音声データを音声として前記スピーカから出力させる出力制御手段と
を備える小型基地局。
【請求項7】
前記コマンド受信手段は、特別番号の入力が前記第1の移動機において行われたことを検出したアプリケーションサーバから送信されてきた前記コマンドを受信する
請求項6に記載の小型基地局。
【請求項8】
前記コマンド受信手段は、音声データの送受信に用いられる無線通信とは異なる方式による無線通信によって前記第1の移動機から送信されてきた前記コマンドを受信する
請求項6または7に記載の小型基地局。
【請求項9】
音声をスピーカから出力することを指示するコマンドを受信し、
自身が管理するセルに在圏している第1の移動機と、当該セルに在圏していない第2の移動機との間で、セッションを管理するサーバを介して音声接続が確立されている状態において、前記第2の移動機から送信されてきた前記第1の移動機を送信先とする音声データを受信し、
受信した音声データを音声として前記スピーカから出力させる
ステップを含む小型基地局の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−78012(P2011−78012A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229793(P2009−229793)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(501275178)ソフトバンクBB株式会社 (112)
【出願人】(501440684)ソフトバンクモバイル株式会社 (654)
【Fターム(参考)】