説明

小型RFIDタグ

絶縁基板内に凹部又は溝を形成することを含むRFIDタグの作製技術。導電配線は溝内に形成され、RFIDタグ用の誘導コイルを形成する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国仮出願番号61/170,836、発明の名称「小型RFIDタグ」、出願日2009年4月20日に対して35U.S.C.119の下で優先権を主張し、前記出願の内容は、全て記述されているように本明細書内に組み込まれる。
【0002】
高周波識別(RFID)トランスポンダ(タグ)は、一般に、様々な在庫制御、セキュリティ及び他の目的のために、RFID基地局(RFID読み取り器)と共に動作する。一般に、物品は関連するタグを備え、例えば、容器は上又は内側に配置されたタグを備え、物品は、基地局によって確立された「読み取り領域」に持ち込まれる。RFID基地局は、受信RFIDタグによって変調される問い合わせRF信号を送信する。例えば、RFID基地局は、所定の(搬送)周波数で連続波(CW)電磁波妨害波を生成し、この妨害波を介して基地局に戻される通信データに対応するように、妨害波はRFIDタグによって変調される。変調された妨害波すなわち信号は、搬送周波数より低い、データ速度と呼ばれる速度で、情報を通信できる。RFIDタグは、RFIDタグ内に格納された信号情報を伝えるために、RF信号を変調し、その後、変調された応答RF信号を基地局に送信する。
【0003】
RFIDタグは、自己のRF送信器を含む能動型であっても、送信器を有していない受動型であってもよい。受動型のRFIDタグ、つまり、変調後方散乱に基づいて問い合わせRFID基地局への戻りリンクを提供するタグは、バッテリ等の自己の電源を含んでいてもよく、あるいは、問い合わせRF信号を整流することによって動作電力を得る「電磁界駆動」であってもよい。バッテリ駆動及び電磁界駆動のタグはどちらも、最小のRF電磁界強度読み取り要件、すなわち読み取り閾値を備えているが、一般に、電磁界駆動の受動型RFIDタグの範囲は、RFID読み取り器から供給される放射電力の量によって制限され、自己の電源を備えているRFIDタグの範囲は、全通信リンクの信号対雑音レベルによって制限される。問い合わせ信号が、電磁界駆動の受動型RFIDタグに電力を提供しなければならないので、電磁界駆動の受動型RFIDタグの読み取り閾値は一般に、能動型RFIDタグ用のものより実質的に高い。しかし、電磁界駆動の受動型タグは、自己の電源を含んでいないので、能動型RFIDタグより実質的に安価であり、バッテリが切れて「停止する」ことがないので、電磁界駆動の受動型RFIDタグは、長期的には能動型のRFIDタグより信頼性が高くなり得る。
【0004】
電磁界駆動の受動型RFIDタグは、コスト、信頼性、及び環境上の利点を備えているが、電磁界駆動の受動型RFIDタグの十分な動作には障害がある可能性がある。特に、問い合わせ信号を介して、基地局から電磁界駆動の受動型RFIDタグに十分な電力を送出することは難しい可能性がある。基地局が信号に与えることができる電力の量は、例えば、信号周波数及び電力に関する連邦通信委員会(FCC)による規制等、いくつかの要素によって制限される。その結果、小型、軽量、低コスト、使い捨て可能で、問い合わせ基地局から受信する信号エネルギの実質的な部分を効率的に利用するRFIDタグを提供することは、非常に有利となるであろう。
【0005】
このような背景の下で、本明細書に記述される小型RFIDタグが発明される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、RFIDタグ用の誘導コイルの製造方法であって、導電配線のパターンを含む誘導コイルの製造方法が開示されている。前記方法は、対向表面によって画定された所定の厚さを有する電気絶縁基板を提供すること、前記電気絶縁基板の対向表面の少なくとも一方に凹部を形成し、前記凹部が、前記電気絶縁基板の厚さより小さい制御された深さまで到達し、前記凹部が、前記誘導コイルの導電配線の所望のパターンに対応して、前記電気絶縁基板の表面上にパターンを形成すること、前記凹部内に導電材料を堆積させることを含む。
【0007】
前記凹部は、レーザ除去、熱エンボス加工、及び成型の少なくとも1つを用いて形成される。前記凹部内に導電材料を堆積させることは、前記凹部を形成した前記電気絶縁基板の実質的に全面に導電材料を堆積させること、前記誘導コイルの導電配線のパターンの外側の基板表面から導電材料を除去することを含んでもよい。前記凹部内に導電材料を堆積させることは、前記凹部内に導電領域を形成すること、前記導電領域内に導電材料を堆積させることを含んでもよい。前記凹部内に導電材料を堆積させることは、前記凹部を形成した前記電気絶縁基板の実質的に全面にベース層を堆積させること、前記凹部の外側の基板表面から前記ベース層を除去すること、前記凹部内の前記ベース層上に導電材料を堆積させることを含んでもよい。前記RFIDタグ上に形成される前記誘導コイルは、螺旋パターンに形成されてもよい。
【0008】
RFIDタグ用の誘導コイルであって、導電配線のパターンを含む誘導コイルも開示されている。誘導コイルは、対向表面によって画定された所定の厚さを有する電気絶縁基板と、前記電気絶縁基板の対向表面の少なくとも一方にある1つ以上の凹部と、前記1つ以上の凹部内に実質的に配置された導電材料とを含み、前記凹部は、前記電気絶縁基板の厚さより小さい制御された深さまで到達し、前記凹部は、前記誘導コイルの導電配線の所望のパターンに対応して、前記電気絶縁基板の表面上にパターンを形成し、導電材料は、前記誘導コイルの導電配線のパターンを形成する。
【0009】
誘導コイルは、螺旋パターンに形成されてもよい。
RFIDタグが取り付けられた物品も開示されている。物品と、第1の次元において比較的薄く、第2及び第3の直交次元において比較的厚いRFIDタグであって、前記物品に取り付けられているRFIDタグとを備える。前記RFIDタグは、前記第1の次元に沿って所定の厚さを有し、前記厚さが、対向表面によって画定されている電気絶縁基板と、前記電気絶縁基板の対向表面の少なくとも一方にある1つ以上の凹部と、前記1つ以上の凹部内に実質的に配置された導電材料とを含み、前記凹部は、前記電気絶縁基板の厚さより小さい制御された深さまで到達し、前記凹部は、前記RFIDタグ上の前記誘導コイルの導電配線の所望のパターンに対応して、前記電気絶縁基板の表面上にパターンを形成し、前記導電材料は、誘導コイルの導電配線のパターンを形成する。
【0010】
前記RFIDタグ上に形成される前記誘導コイルは、少なくとも2μHのインダクタンスを有してもよい。前記RFIDタグ上に形成される前記誘導コイルの前記導電配線は、約10μm以下の高さを有してもよい。前記RFIDタグ上に形成される前記誘導コイルの前記導電配線は、約20μm以下の幅を有してもよい。前記RFIDタグ上に形成される前記誘導コイルは、螺旋パターンに形成されてもよい。物品は物品の内部にある空隙を備え、前記空隙内に収容することによって、前記RFIDタグを前記物品に取り付けてもよい。空隙内にRFIDタグを収容することは、前記RFIDタグ上にプラスチックを外側成型することによって実現されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】例示的なRFIDシステムの一実施形態の概略ブロック図である。
【図2A】図1に示したRFIDシステム等のRFIDシステムと共に使用するための、RFIDタグを備えた2つの器具を示す図である。
【図2B】図1に示したRFIDシステム等のRFIDシステムと共に使用するための、RFIDタグを備えた2つの器具を示す図である。
【図3】小型RFIDタグ内に含まれる誘導コイルの一実施形態を示す図である。
【図4】印刷回路基板の製造方法の第1の実施形態の処理ステップの概略図である。
【図5】印刷回路基板の製造方法の第2の実施形態の処理ステップの概略図である。
【図6】印刷回路基板の製造方法の第3の実施形態の処理ステップの概略図である。
【図7】印刷回路基板の製造方法の一実施形態で用いられる光学システムの概略図である。
【図8】印刷回路基板の製造方法のステップの極めて簡略化された概略図である。
【図9】印刷回路基板の製造方法のステップの極めて簡略化された概略図である。
【図10】印刷回路基板の製造方法のステップの極めて簡略化された概略図である。
【図11】印刷回路基板の製造方法のステップの極めて簡略化された概略図である。
【図12】印刷回路基板の製造方法のステップの極めて簡略化された概略図である。
【図13】印刷回路基板の製造方法のステップの極めて簡略化された概略図である。
【図14】印刷回路基板の製造方法のステップの極めて簡略化された概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は様々な修正形態及び代替形態を許すことができるが、それらの具体的な実施形態は、一例として図面に示されており、本明細書で詳しく説明される。しかし、開示された特定の形態に本発明を限定するものではなく、むしろ、本発明は、本発明の範囲及び技術思想にある全ての修正形態、等価形態、及び代替形態を含むと理解されるべきである。
【0013】
本明細書に開示されている実施形態は、医療製品、使い捨て製品、消費財等を含むが、それらに限定されない様々な器具内に取り付け又は一体化される小型RFIDを提供するためのシステム及び関連の方法に関する。RFIDタグは、実質的により小さな面積であってもよく、サイズ及び/又は重量を考慮すべき用途では有利となりうる。更に、RFIDタグに関連したコストは、材料要件によって、及び改善され簡略化された製造方法によって、比較的低くなる可能性がある。RFIDタグの構成及び動作に関するより具体的な詳細は、以降に説明する。
【0014】
図1は、RFIDタグ読み取り器12とRFIDタグ14を含むRFIDシステム10の概略ブロック図を示している。RFIDタグ読み取り器12は、直列に接続されているインダクタ18と容量20を含む同調回路16を備えている。RFIDタグ読み取り器12は、同調回路16を介して連続波(CW)RF電力を生成する。このCW−RF電力は、RFIDタグ14の並列共振回路アンテナ22への交流電流作用によって電磁的に結合される。並列共振回路アンテナ22は、インダクタ26と容量24を含み、インダクタ26及び容量24の一方又は両方は、RFIDタグ14内に一体化されうる。CW−RF電磁力は、参照番号28によって一般に表されている。RFIDタグ14は、電力変換器又は整流回路を含んでもよく、電力変換器又は整流回路は、CW−RF電磁力28の一部を、RFIDタグ14の論理回路(例えば、集積回路)が使用する直流電力に変換する。RFIDタグ14は、メモリ、変調回路、又は、例えば、1つ以上の集積回路内に実装される任意の他の適切な回路を含んでもよい。
【0015】
RFIDタグ14の並列共振回路アンテナ22が、RFIDタグ読み取り器12の同調回路16の近傍にあるとき、並列共振回路アンテナ22にてAC電圧が発生する。並列共振回路アンテナ22で発生したAC電圧は整流され、整流電圧が、RFIDタグ14の論理回路を起動できるほどに十分大きくなると、RFIDタグ14が起動され、RFIDタグ読み取り器12の入力RF搬送信号28を変調することによって、格納されたデータの送信を開始する。一例として、RFIDタグ14は、振幅変調を用いて、RFIDタグ読み取り器12に信号を送信する。RFIDタグ読み取り器12は、変調信号を検出し、変調信号を、RFIDタグ14からの情報を表すオン/オフパルスの検出されたシリアルデータのワードビットストリームに変換する。この点では、RFIDタグ読み取り器12は、RFIDタグ14に関連する器具を識別するために、データを復号化できる。図1に示したRFIDシステム10は、説明のために提供されたものであって、他の構成を用いるRFIDシステムも同様に使用できると理解されるべきである。
【0016】
図2Aと2Bは、注射器40と瓶42を各々示している。注射器40と瓶42は、RFIDタグ(つまり、注射器40上のRFIDタグ44と瓶42上のRFIDタグ46)を各々備えている。一例として、各RFIDタグ44、46は、情報格納用の書き込み/読み出しメモリと、RFIDタグ読み取り器との通信用の内蔵アンテナとを含む。注射器40と瓶42の各々に取り付けたRFIDタグ44、46は、内部に含まれる製品に関連した情報を格納している。例えば、RFIDタグ44、46内の情報は、医療製品に関連したシリアル番号及び/又は全米医薬品コード(NDC)等の製品情報、製品名、製造者名、ロット番号、及び/又は使用期限を含む。
【0017】
代替的に又は追加的に、RFIDタグ44、46内の情報は、データベース内の1つ以上の登録に一意的に関連付けられた製品識別子を含んでいてもよく、データベースにアクセスして、製品に関連した情報を獲得してもよい。RFIDタグ44、46内の情報は、医療製品の量及び/又は濃度を識別する投薬情報、及び/又は医療製品を受け取ろうとする患者を識別する患者識別子を含んでもよい。他の選択的情報は、投与要件、使用指示、及び/又は可能性のあるアレルギ反応又は他の製品と当該製品との有害な相互作用等の製品警告を含んでもよい。情報は、製造者によって、及び/又は関連した製品の受け取り及び/又は搬送を行う施設によって、RFIDタグ44、46内に書き込まれてもよい。RFIDタグ44、46内の情報の一部又は全ては、使用者が情報を視覚的に読み取れるように、RFIDタグ44、46の外面に印刷されていてもよい。
【0018】
各RFIDタグ44、46は、薄く、可撓性を有するように作製され、注射器40や瓶42等の器具への取り付けを可能にし、RFIDタグ44、46が、器具の使用を妨げないようにできる。追加的に、RFIDタグ44、46は、器具の材料(例えば、プラスチック)内に一体化することもできる。例えば、RFIDタグ44、46は、RFIDタグを被覆するようにプラスチックを外側成型することによって、又は器具の空隙内にRFIDタグをカプセル化することによって、一体化される。
【0019】
図3は、一実施形態によるRFIDタグ50の概略平面図を示している。RFIDタグ50は、絶縁基板52の表面上に配置されている誘導コイル54を含む。誘導コイル54は、図1に示した共振回路22等の、RFIDタグ50の共振回路の構成部品であってもよい。基板52は、例えば、PET、マイラ、紙、プラスチック、カプトン、ポリイミド等から、又はそれらの任意の組み合わせから作製される。この例では、誘導コイル54は、内端と外端の2つの端部を有する螺旋コイルである。一般に、RFIDタグ50の論理回路(図示せず)は、コイル54の内側に配置される。接続パッド56は、1つ以上の集積回路等のRFIDタグ50の回路に、誘導コイル54の各端部を接続するために用いられる。1つ以上の集積回路は、任意の適切な処理及び材料(例えば、シリコンIC)を用いて製造される。
【0020】
図のように、コイル54は、互いに実質的に90゜の角度で配置された複数の直線部分を含んでもよい。更に、誘導コイル54は、「四角形螺旋」の形状に示されているが、他の構成も想定される(例えば、長方形螺旋、円形螺旋、六角形螺旋、他の螺旋、又は他の構成)。
【0021】
誘導コイル54は、導電材料から形成され、例えば、銅及びアルミニウム等の金属、メッキ金属、導電性の有機及び無機材料等を含んでもよい。
所望の性能を実現するために、誘導コイル54は、十分な量のインダクタンス(例えば、数μH以上)を有する。更に、誘導コイル54内の損失が、RFIDタグ50の性能を低下させないように、誘導コイル54の抵抗は比較的低いことが望ましい。追加的に、RFIDタグ50は、比較的小さな面積(例えば、5mm×5mm四方以下)を有し、器具の所望の用途を妨げることなく、器具に取り付け又は一体化され、より少ない材料のみ必要とされないので、RFIDタグのコストは比較的低くなる。
【0022】
十分大きなインダクタンス値を提供するために、誘導コイル54は、十分な面積を被覆する螺旋配線を含む。比較的小さな設置面積を有する設計では、コイル54はより多くの巻数を必要とし、従って、より小さな面積に適合するように比較的細い導電配線が必要となる。上記のように、誘導コイル54の損失は配線の抵抗に依存するので、低い抵抗値を実現するには、比較的厚い配線が必要とされる。例えば、誘導コイル54の配線の高さは約10μmであってもよく、配線の幅は約20μmであってもよい。
【0023】
上記の設計目標及び機能を実現するために、ベース基板52の内側に刻設された溝内に誘導コイル54の導電配線を埋め込むことによって特徴付けられる製造処理が提供される。刻設された溝構造又は基板は、ポリイミド、PC、PET、PEN、LCP又は他の適切な材料等のポリマー上に実現される。溝を刻設するために用いられる処理は、レーザ除去、熱エンボス加工、成型、又は他の適切な処理であってもよい。
【0024】
熱エンボス加工は基本的に、材料の温度をそのガラス転移温度の直上まで上昇させることによって軟化させた材料(例えば、ポリマー)内にパターンを刻印することである。材料内にパターンを形成するために用いられるスタンプは、シリコンからの微細機械加工、リソグラフィ、コンピュータ数値制御(CNC)器具(大きな形状を作製するため)を用いる機械加工等を含む様々な方法で作製される。ポリカーボネート及びPMMAを含む、様々なポリマーは、μmスケール(以下)のサイズの形状で良好に熱エンボス加工される。この技術は、溝を刻設するために用いられる。この方式の利点は、ポリマーの広範囲の特性を利用する能力、及びμm未満の形状を有する部品を経済的に大量生産する可能性を含む。
【0025】
本明細書に記述されるRFIDタグは、使い捨て可能な器具がRFIDタグ読み取り器と共に用いられる新しい用途を可能にする。本実施形態のRFIDタグは小型であるので、薬品のガラス瓶、電気化学試験ストリップ、チューブセット等の様々な使い捨て可能な器具内にRFIDタグを組み込むことができる。使い捨て可能な器具へのRFIDシステムの一体化は、用途の制限、ブランド保護、使用期限等の必須の情報の交換、危険からの保護、及び他の有用な用途等の新しい用途を可能にする。
【0026】
図4〜図14及び図4〜図14に関連する以降の説明は、図3に示したRFID誘導コイル54等の、RFID誘導コイルの製造に用いられる様々な方法に関する。この方法は、比較的小さなサイズで、高性能を提供し、比較的低コストであるRFIDタグの製造を可能にする。
【0027】
図4a〜図4gは、本発明の方法の第1の実施形態のステップを示す概略図である。図4aによると、開始材料は、電気絶縁薄膜、つまり、例えば、ポリイミド等の誘電体材料からなる基板101である。薄膜101の厚さは、約10〜約80μmの範囲であってもよい。図4bに示した、第1の処理ステップでは、対応するマスクを透過し、薄膜101の上面に入射されるパルス又は連続エキシマレーザビームを用いたレーザ除去によって、凹部102、103、104、105が薄膜101内に形成される。凹部103、104、105は、印刷回路基板上に形成される導電体構造の所望の場所に対応し、凹部102は、次のステップ(図4c)で貫通孔102aが形成される場所に形成される。
【0028】
凹部103、104、105の深さは、薄膜101上に入射されるレーザエネルギの全量を制御することによって制御される。このエネルギは、例えば、薄膜上に作用するレーザパルス数の適切な制御によって、又は連続レーザビームで薄膜が照射される全時間を制御することによって調整される。凹部102、103、104、105は一般に、約1〜20μmの深さを有する。導電体構造及び孔が形成される場所だけにレーザビームが薄膜101上で作用するように、導電体構造103及び104と孔102aの所望のパターンに対応して透明部分を備えているマスクが、薄膜101の上面に重ね合わせられ、同様のマスクが凹部105用に薄膜の下面に重ね合わせられる。従って、導電体構造の所望のパターンに対応して薄膜101内に線のパターンが形成される。
【0029】
図4cに示した次のステップでは、レーザ除去によって、薄膜101内に所望の貫通孔102aが形成される。この目的のために、孔に対応する場所だけに、レーザビームに対して透明な部分を備えているマスクを介して、孔が形成される場所に、エキシマレーザで薄膜101が再び照射される。貫通孔102aの一般的な直径は、約20〜約50μmの範囲である。
【0030】
次に、酸素プラズマ又は水性媒体のいずれかを用いることによって、レーザ除去処理からの任意の残留物を除去し、薄膜101が洗浄される。
図4dによる次のステップでは、貫通孔102aの内壁と同様に、薄膜101の上面と底面及び凹部103、104、105の実質的に全ての領域に金属膜が形成される。この金属膜形成ステップは、スパッタもしくは陽極又は陰極アーク蒸着等の物理蒸着(PVD)によって行われる。PVD処理の結果として、約200nmの厚さの金属層107が、薄膜101の表面上に堆積される。一般に、金属層107は銅を含むが、銀等の他の金属を用いることもできる。薄膜101へのPVD層107の接着性を向上させるために、誘電体基板101上にPVD層を堆積させるか、PVD処理を加える前に、ニッケル、クロム、パラジウム、又は銀等の接着層を堆積させることができる。代替的に、図4dの金属堆積ステップの前に、プラズマ内で誘電体基板101を活性化させることもできる。
【0031】
その後、化学金属堆積又は電解処理(電気メッキ)のいずれかによって、PVD層107上に追加の金属層108(例えば、銅)を堆積させる。実施例によると、得られる層108(図4eに示した)の厚さは、約10〜40μmの範囲である。この例では、層108の厚さは、凹部102、103、104、105の深さと実質的に等しい。
【0032】
次のステップでは、薄膜101上の最終的な印刷回路では導電体構造が望まれない領域から金属(例えば、銅)が除去される。この所望の導電体構造の外側の金属の除去は、研削、研磨、又は切削等の機械的処理ステップによって行われる。得られる構造は、図4fに示されている。従って、凹部103、104及び105内の導電領域109、110及び111によって、及び貫通孔102a内に示されるように、導電体構造が望まれる場所のみに金属が残される。その後、絶縁薄膜101を電気化学的に研磨するか、又は短時間だけ化学的にエッチングし、表面の凹凸を補償し、十分に安全な処理を確実にする。
【0033】
次に、このようにして作製された二層印刷回路の上面と底面に、電気絶縁誘電体薄膜又は層112と113を各々積層する。結果は、図4gに示されている。例えば、部品を実装するために、電気的にアクセスしなければならない印刷回路の場所では、誘電体薄膜112と113の一方又は両方に開口部が形成される。このような開口部を形成するために、適切なマスクを使って、レーザ除去処理を行い、開口部が形成される薄膜112と113の場所だけに、レーザビームが作用する。
【0034】
多層印刷回路を作製するには、図4fのステップによって示されているように、余分な金属の機械的除去(研削)の後、基板101上に形成した印刷回路の両面に誘電体薄膜112と113が積層され、上記の処理が繰り返される。非貫通孔を形成することもでき、非貫通孔は、貫通孔と同様に、下部の層へのアクセスを提供する。
【0035】
上記の処理では、貫通孔102aと凹部103、104、105は、図4bと4cに示されているように、2つのステップで形成される。それらのステップに対する代替形態として、単一のステップで除去を行うこともできる。この実施形態では、切り替えマスクを用いて、凹部が必要な深さを有するまで、凹部103、104、105の場所と、孔102aの場所で、レーザ除去による薄膜101の処理が行われる。次に、マスクを変更し、薄膜101を貫通する所望の通路が形成されるまで、孔102aだけ更に除去が行われる。
【0036】
以降では、図4a〜図4gと関連して説明したものに対する代替実施形態を、図5a〜図5fを参照しながら説明する。処理は、電気絶縁誘電体薄膜120で始まり、図5aに示したように、薄膜120の両面に、薄膜120とは異なる材料の電気絶縁誘電体薄膜121と122を積層する。図5bに示した第1のステップでは、導電体構造124、125、126、及び貫通孔が望まれる場所の凹部123の所望のパターンが、レーザ除去によって薄膜121と122内に形成される。図5cに示した次のステップでは、レーザ除去によって貫通孔123aが形成される。薄膜121と122は、薄膜120の材料より容易に除去されうる材料からなり、例えば、薄膜121と122は、基板又は薄膜120の絶縁体よりかなり低い蒸発温度を有する絶縁体からなる。その方法では、凹部124、125、126の深さは正確に制御されうる。凹部124、125、126の深さは、薄膜121と122の厚さと実質的に等しい。次に、物理蒸着によって、複合構造の上下の露出面全体に金属膜を形成し、図5dに示したように金属層127を形成する。
【0037】
その後、図5eに示したように、蒸着層127上に電気メッキすることによって、追加の金属層128を堆積させる。次に、図5fに従って、研削、研磨又は切削によって、図5eに示した金属膜を形成した薄膜構造の上下の面を機械的に処理し、凹部124、125、126及び孔123a内の所望の場所に金属(銅)のみを残す。本実施形態では、レーザ除去は、第1の実施形態と同様の装置、つまり、所望の導電体構造及び孔に対応するパターンを備えたマスクを用いて行われる。本発明の実施形態は、薄膜又は基板120の誘電体材料内に必要な深さを形成するために、エキシマレーザと同じくらい正確には制御できないレーザを用いて、レーザ除去処理を行うことができるという利点を備えている。その理由は、深さが層121と122の厚さによって主に決定され、層121と122は基板120より容易に除去されるためである。
【0038】
ここで、図6a〜図6dを参照しながら、本発明の方法の第3の実施形態を説明する。図6aによると、処理は、薄膜又は基板130の上下の面に積層した異なる電気絶縁誘電体薄膜131と132を備えている電気絶縁誘電体薄膜130で始まる。この実施形態の特徴は、基板130が、レーザビームによって照射されると、電気絶縁体から導電体に変化する物質を含むことである。レーザ誘導導電性を有する物質の例は、有機ポリマーのポリ(ビス−エチルチオ−アセチレン)及びポリ(ビス−アルキルチオ−アセチレン)である。上記の種類の材料は、アール. バウマン(R.Baumann)らの「レーザ照射後のポリ(ビス−アルキルチオ−アセチレン)層の局所的導電性」、Synthetic Metals(1993),3643〜3648ページに記述されている。誘電体薄膜131と132は、薄膜130のレーザ誘導導電性を有していない。
【0039】
図6bに示した第1のステップでは、凹部134、135、136が、導電体構造が配置される薄膜131と132内にレーザ除去によって形成され、同時に、凹部133が、貫通孔が望まれる場所にレーザ除去によって、積層された薄膜131と132内に形成される。構造134、135及び136と凹部133が配置される薄膜131と132の部分をレーザビームが除去し、基板130上に入射すると、そのように照射された基板の部分は導電性になる。次のステップでは、図6cに従って、レーザ除去によって貫通孔133aが形成される。次に、無電解メッキによって凹部134、135、136に金属(例えば、銅)を充填し、図6dに示した構造を形成する。この実施形態の利点の1つは、余分な材料の除去が必要とされないことである。金属は、レーザによって照射された場所134、135、136にのみ堆積される。更に、ほとんど又は全く廃棄物が生成されず、この方法は環境的に望ましいものになる。無電解メッキの代替形態として、構造134、135、136等の全ての構造が、メッキ用の電気接触線を介して接続されている場合、電気メッキによって銅を形成することもできる。
【0040】
上記の全ての処理は、単に上記の処理ステップを繰り返すことによって、多層印刷回路基板の作製に用いられることも理解される。
本発明の実施形態では、誘電体基板内に所望の凹部を形成するためのレーザ除去用に用いられるマスクは、例えば、位相マスクであってもよい。このような位相マスクは、水晶基板を含み、その水晶基板上に複数の誘電体層が設けられる。誘電体層は、基板の貫通孔に対応するマスクの場所から除去される。基板の凹部に対応するマスクの場所から、誘電体層の一部だけが除去される。このような位相マスクは、単一の処理ステップで、導電体構造の孔と凹部を形成できるという利点を備えている。位相マスクに対する代替形態として、基板上にレーザビームを直接「書き込む」、又は適応光学系を用いることのいずれかによって、マスクなしでレーザ除去を行うことができる。基板上への直接書き込みは、例えば、ミラー又は屈折素子のシステムを用いることで、レーザビームを偏向させること、又は静止ビームに対して基板を移動させること、のいずれかによって実現される。
【0041】
ここで、図7を参照しながら上記の適応光学系を説明するが、図7では、レーザ除去によって基板140が処理されている。エキシマレーザ141によって放射されたレーザビーム142は、均一化器143によって広く空間的に均一なビーム144に変換され、微小レンズの二次元アレイ145上に入射する。微小レンズアレイ145は、単一基板から製造され、数千個(一般に約1万個)の個々のレンズを含む。一実施例によると、レンズアレイ145の各レンズは、約100μmの外径を有する。微小レンズアレイ145は、入射ビーム144からビーム146a、146b、146c等の複数の別個のビームを生成する。ビーム146a、146b、146cは各々、適応反射体147の対応するミラー要素147a、147b、147c上に入射する。適応反射体147の各ミラー要素は、別個の圧電駆動部によって個別に調整される。反射体147のミラー要素の対応する制御によって、微小レンズアレイ145からのビームは、基板140上の所望の場所に導かれる。従って、基板内の凹部と孔の所望のパターンが、レーザ除去によって形成される。レーザビーム照射のエネルギ密度の適切な制御によって、孔及び導電体構造が同時に形成されうる。適応反射体147のミラー要素は、レーザ照射中、ミラー要素と関連した圧電駆動部によって移動され、導電体構造の所望のパターンを形成できる。ミラー要素の上記の圧電駆動部の代替形態として、ガルバノメータ駆動部を用いることもできる。
【0042】
任意の既に説明した本発明の処理の実施形態と共に、図7に関連して記述した適応光学系をレーザ除去用の光学系として用いることもできると理解される。
誘電体基板の材料は、例えば、ポリイミドであるが、エポキシ樹脂、シアネート−エステル、ポリエステル、ポリフェニルサルファイド、ポリテトラフルオロエチレン、ビスマレイミドトリアジン等の他の材料を用いることもできる。基板は、別個のカットシートの形態で処理することも、プラスチック材料を巻き付けたリールから処理することもできる。本発明の一実施形態の誘電体基板は薄膜であるが、本発明はそれには限定されず、例えば、誘電体キャリア基板等の誘電体材料の別の形態を用いることもできる。
【0043】
図8a〜図14fの基板201は、高集積印刷回路基板用のベース材料からの断面を表している。高温に耐性のあるポリマーシートが、この種の印刷回路基板用の材料として通常用いられるが、説明する実施形態ではポリイミドシートが用いられている。図の基板は最初に、薄膜を安定化させるための支持フレーム(図示せず)に取り付けられ、個々の処理ステップをより容易に行えるようにする。支持部に取り付けた後、材料を、図8bに従って、以降の導電リード202、203、204、205に対応する場所で、基板から除去する。この材料の除去は、導電パターンの形成に影響を与え、パルスエキシマレーザを用いる除去によって行われる。貫通孔202aは、同様にエキシマレーザを用いて、以降のメッキ貫通孔に対応する場所で、追加の材料除去を行うことによって、図8cに従って形成される。
【0044】
除去に利用されるUV領域のパルスエキシマレーザは、導電配線及びメッキ貫通孔の所望の構造に対応するマスクを用いて構造化されるレーザビームを提供する。代替的に、処理は集束されたレーザ放射を用いて行われる。基板に対する集束されたレーザビームの移動は、自由に制御される。適応光学系は、レーザビームを偏向するために利用され、適応光学系は、レーザの様々な個別のビームを基板上に直接偏向させるための複数の位置合わせ可能な反射要素を備えている。
【0045】
残量の除去に続いて、薄い層206として図8dに示した、下地層を導入し、導電配線及び/又はメッキ貫通孔を形成する。明らかに、ベース層206は、基板201の表面、及び凹部202、203、204、205又は孔202aの壁上に導入されうる。既存の湿式処理、PVD/CVD処理又はレーザ支援堆積法を用いて、ベース層206を形成できる。
【0046】
その導入後、ベース層206は、図8eに従って、以降の導電配線及びメッキ貫通孔に対応していない基板201の領域から除去される。ベース層206のこの選択的除去は、逆の導電パターンの形成に対応し、パルスエキシマレーザを用いる除去によって行われる。
【0047】
ベース層206の選択的除去に続いて、導電配線及びメッキ貫通孔の以降の形成のために、図8fに従って金属層207を化学的に堆積させる。
図9a〜図9gに対して、及び図9fによって示されている変型形態に従って、ベース層206の選択的除去に続いて、以降の導電配線及びメッキ貫通孔に対応している領域に、薄い金属層207を化学的に堆積させる。金属207は、無電流堆積銅であってもよい。図9gに従って、印刷回路基板の作製用にガルバニック堆積金属209を用いて、導電配線とメッキ貫通孔が強化される。
【0048】
図10a〜図10gに従って表されている変型形態では、導電配線に対応する、領域202、203、204、205の除去に続いて、除去可能な被覆層210が導入される。次に、貫通孔に対応する領域202aの基板材料及び被覆層210の除去と、導電配線に対応する領域の被覆層210の除去を行う。このステップに続いて、ベース層206がまず導入される。明らかに、ベース層206は、被覆層の表面上、導電配線構造の底部上、及び基板の孔の壁上に導入される。このベース層206を形成するために、既存の湿式処理、PVD/CVD法又はレーザ支援堆積手順が用いられる。次に、いわゆるリフトオフ処理を用いて、被覆層210が除去される。図10fに示したように、被覆層210の除去は、以降の導電配線及びメッキ貫通孔の外側の領域から、ベース層206を除去すること同時に発生する。図10gに従って、以降の導電配線とメッキ貫通孔の形成用に、導電金属層207を化学的に堆積させる。リフトオフ処理は、化学的湿式処理を用いて、又は機械的除去手順によって行われる。
【0049】
図11a〜図11gに示した変型形態では、完全に被覆しているベース層206’は、例えば、レーザ放射等の電磁放射の支援により、所定の方法で構造化する。結合核211は、電磁放射の影響によって、以降の導電配線及びメッキ貫通孔の領域に遊離される。ベース層206’の非照射部は、図11fに示されているように、洗い落とされる。図11gに従って、以降の導電配線及びメッキ貫通孔の形成用に、導電金属層207が化学的又はガルバニック堆積される。
【0050】
図12a〜図12fに従って表された変型形態では、電磁放射によって、以降のメッキ貫通孔222aの領域が最初に除去される。次に、ベース層226が全面に形成される。非導電ベース層226の導入には、既存の湿式処理が利用されうる。次に、同様に既存の方法を用いて、剥離可能及び/又はレーザ除去可能な被覆層212が全面に形成される。電磁放射の支援で被覆層212内に形成された凹部222、223、224、225は、以降の導電配線に対応する。ベース層226は、凹部222、223、224、225に対応する領域の被覆層212の除去によって、図12eに従って遊離される。以降のステップでは、以降の導電配線及びメッキ貫通孔の領域に、導電材料227が選択的に堆積される。代替的に、露光及び現像によって、感光性誘電材料内に導電配線構造が形成される。
【0051】
図13a〜図13dに表された変型形態では、以降の導電配線202、203、204、205とメッキ貫通孔202aの領域は、電磁放射に曝される。この放射は、以降の導電配線202、203、204、205とメッキ貫通孔202aの領域に、化学的湿浴中に導電材料237の堆積を生じさせる。
【0052】
図14a〜図14fの変型形態では、図14dに示したステップの後、不要な領域のベース層206の除去は必要とされない。図14eは、平坦面が形成されるまで、化学的方法又はガルバニック法を用いて、ベース層206上に導電材料247を堆積させることを示している。導電材料247を含む層とベース層は、導電材料247が、導電配線202、203、204及び205と貫通孔202aだけに残るまで(図14f)、以降のエッチング処理で除去される。次に、凹部202、203、204、205内の導電材料247を、基板201の表面と共に洗い流す。
【0053】
この追加の製造方法は、基板のベース層上に選択的に生じる導電材料の導入と共に、例えば、レーザ除去を用いて、所望の導電配線の構造が機械的に決定されうるという実質的な利点を備えている。導電材料、例えば、銅の堆積速度は容易に制御され、導入した導電材料とベース層又は基板の各々の間に、平坦面が維持されうる。ベース層又は基板の、導電材料の表面処理は、もはや必要ではない。
【0054】
上記のように、本明細書に記述された実施形態による製造方法は、基板の凹部内への導電線路(配線)の導入を容易にする。この点では、RFIDタグ用の誘導コイル及び関連の配線を製造するための極めて微細で正確な導電体構造の簡単な転写が提供される。いったんRFID誘導コイル及び関連の配線が製造されると、それらは論理回路(例えば、シリコンIC)に結合され、RFIDタグを構成できる。
【0055】
とりわけ、本明細書に記述された製造方法は、パターン形成の高密度、高精度、極高解像度、薄膜技術の最も微細な導電形状のものに対応する解像度を備えた優れた再現性、導電線がベース材料内に刻設されていることによる優れた表面平坦性、高温耐性ベース材料(例えば、500℃より高いTg値を備えている)の使用可能性、コスト低減の可能性が高い極めて短い処理サイクル(1層当たり3〜6処理ステップ)という追加の利点を備えている。
【0056】
本明細書で記述した任意の方法を用いて、各々が、基板の両面にコイルを形成するために導電面を形成することを示している上記の基板とは対照的に、その片側のみに誘導コイルを備えた基板を提供できるということも指摘されるべきである。
【0057】
本発明は、図面及び上記の説明において詳しく例示し、説明してきたが、このような例示及び説明は、例示的なものと考えられ、特徴的に制限するものではない。例えば、上記のいくつかの実施形態は、他に記述した実施形態と組合せ可能であってもよく、及び/又は他の方法で配置することもできる(例えば、他の順序で処理要素を行うこともできる)。従って、いくつかの実施形態及びその変型形態を示し記述してきたが、本発明の技術思想にある全ての変更及び修正を保護することが望まれると理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電配線のパターンを含む、RFIDタグ用の誘導コイルの製造方法であって、
対向表面によって画定された所定の厚さを有する電気絶縁基板を提供すること、
前記電気絶縁基板の対向表面の少なくとも一方に凹部を形成することであって、前記凹部が、前記電気絶縁基板の厚さより小さい制御された深さまで到達し、前記凹部が、前記誘導コイルの導電配線の所望のパターンに対応して、前記電気絶縁基板の表面上にパターンを形成する、前記凹部を形成すること、
前記凹部内に導電材料を堆積させること
を含む方法。
【請求項2】
前記凹部が、レーザ除去、熱エンボス加工、及び成型の少なくとも1つを用いて形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記凹部内に導電材料を堆積させることが、
前記凹部を形成した前記電気絶縁基板の実質的に全面に導電材料を堆積させること、
前記誘導コイルの導電配線のパターンの外側の基板表面から導電材料を除去すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記凹部が、レーザ除去、熱エンボス加工、及び成型の少なくとも1つを用いて形成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記凹部内に導電材料を堆積させることが、
前記凹部内に導電領域を形成すること、
前記導電領域に導電材料を堆積させること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記凹部内に導電材料を堆積させることが、
前記凹部を形成した前記電気絶縁基板の実質的に全面にベース層を堆積させること、
前記凹部の外側の基板表面から前記ベース層を除去すること、
前記凹部内の前記ベース層上に導電材料を堆積させること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記RFIDタグ上に形成される前記誘導コイルが、螺旋パターンに形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
導電配線のパターンを含む、RFIDタグ用の誘導コイルであって、
対向表面によって画定された所定の厚さを有する電気絶縁基板と、
前記電気絶縁基板の対向表面の少なくとも一方にある1つ以上の凹部と、
前記1つ以上の凹部内に実質的に配置された導電材料とを備え、
前記凹部が、前記電気絶縁基板の厚さより小さい制御された深さまで到達し、前記凹部が、前記誘導コイルの導電配線の所望のパターンに対応して、前記電気絶縁基板の表面上にパターンを形成し、
導電材料が、前記誘導コイルの導電配線のパターンを形成する、誘導コイル。
【請求項9】
誘導コイルが螺旋パターンに形成されている、請求項8に記載の誘導コイル。
【請求項10】
RFIDタグが取り付けられた物品であって、
物品と、
第1の次元において比較的薄く、第2及び第3の直交次元において比較的厚いRFIDタグとを備え、前記RFIDタグが、前記物品に取り付けられ、前記RFIDタグが、
前記第1の次元に沿った所定の厚さを有し、前記厚さが、対向表面によって画定されている電気絶縁基板と、
前記電気絶縁基板の対向表面の少なくとも一方にある1つ以上の凹部と、
前記1つ以上の凹部内に実質的に配置された導電材料とを含み、
前記凹部が、前記電気絶縁基板の厚さより小さい制御された深さまで到達し、前記凹部が、前記RFIDタグ上の前記誘導コイルの導電配線の所望のパターンに対応して、前記電気絶縁基板の表面上にパターンを形成し、
前記導電材料が、前記誘導コイルの導電配線のパターンを形成する、物品。
【請求項11】
前記RFIDタグ上に形成される前記誘導コイルが、少なくとも2μHのインダクタンスを有する、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
前記RFIDタグ上に形成される前記誘導コイルの前記導電配線が、約10μm以下の高さを有する、請求項10に記載の物品。
【請求項13】
前記RFIDタグ上に形成される前記誘導コイルの前記導電配線が、約20μm以下の幅を有する、請求項10に記載の物品。
【請求項14】
前記RFIDタグ上に形成される前記誘導コイルの前記導電配線が、約10μm以下の高さと、約20μm以下の幅を有する、請求項10に記載の物品。
【請求項15】
前記RFIDタグ上に形成される前記誘導コイルが、少なくとも2μHのインダクタンスを有する、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
前記RFIDタグ上に形成される前記誘導コイルが、螺旋パターンに形成されている、請求項10に記載の物品。
【請求項17】
物品が、物品の内部にある空隙を備え、前記RFIDタグが、前記空隙内に収容することによって物品に取り付けられている、請求項10に記載の物品。
【請求項18】
前記空隙内への前記RFIDタグの収容が、前記RFIDタグ上にプラスチックを外側成型することによって実現されている、請求項17に記載の物品。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図4f】
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【図4g】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【図5f】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図8d】
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【図8e】
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【図8f】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図9d】
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【図9e】
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【図9f】
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【図9g】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図10d】
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【図10e】
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【図10f】
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【図10g】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図11d】
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【図11e】
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【図11f】
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【図11g】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図12d】
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【図12e】
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【図12f】
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【図13a】
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【図13b】
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【図13c】
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【図13d】
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【図14a】
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【図14b】
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【図14c】
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【図14d】
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【図14e】
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【図14f】
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【公表番号】特表2012−524358(P2012−524358A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507327(P2012−507327)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/031785
【国際公開番号】WO2010/123925
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(508176957)フレクストロニクス エイピー エルエルシー (21)
【氏名又は名称原語表記】FLEXTRONICS AP,LLC
【Fターム(参考)】