小直径流体流通孔を有する積層造形品およびその製造方法
【解決手段】 本発明では、積層造形法を利用して、当該積層造形工程中に製造される少なくとも1つの小直径流体流通孔(6)を有する造形品(2)を製造する。本発明は、また、少なくとも1つの小直径流体流通孔(6)を含む造形品(2)も含み、当該造形品(2)および当該小直径流通孔(6)は、積層造形法により同時に製造される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小直径流体流通孔を少なくとも1つ具備した積層造形品に関する。より具体的には、本発明は、このような造形品であって、積層造形工程中にこのような流通孔が少なくとも1つ製造される造形品に関する。また、本発明は、このような造形品を製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
多くの造形品は、当該造形品またはその一部の内部に流体が流入および/または外部へ流出できるようにする小直径の流体流通孔を含む。例えば、発泡ポリスチレン(略称EPS)などの膨張したポリマービーズから物品を製造するための金型は、その内部に蒸気を流通させることにより、前記ポリマービーズをさらに膨張させ互いに結合させるため、複数の小直径流体流通孔を含む。射出成形金型は、射出工程中に、閉じ込められた空気の当該金型からの流出を可能にする小直径流体流通孔を含む。プラスチックシートの熱成形などに使用される真空成形ツールは、当該ツールの表面に対して成形される前記プラスチックシートと前記ツールとの間で真空に引くための小直径流体流通孔を具備する。また、衝撃吸収などに使用される流体調整装置も、小直径流体流通孔を少なくとも1つ具備する。開ループ熱交換器または閉ループ熱交換器のいずれかを使用する熱交換器も、小直径流体流通孔を具備する場合がある。
【0003】
現在、1つまたは複数の小直径流体流通孔を製造するには、何らかの機械的、電気的、光学的、または化学的手段による穿孔や掘削など、何らかのタイプの穿孔工程を造形品に施すことが必要である。EPSビーズ金型の場合、流通孔の製造には、約0.16cm〜約0.64cmの段付き穴を掘削し、スロット付き端面を有する円筒型ハードウェアをこれらの穴に適合させ、金型面を機械加工して、前記ハードウェアが確実に前記金型面と同一平面に重なるようにすることが必要となる。あるいは、このような流通孔を、レーザー掘削後に金型面を手作業で浄化して、レーザー掘削工程によるばりおよび他の凹凸を除去することによって製造する場合もある。また、このような流通孔は、放電加工、化学エッチング、または化学的掘削によっても製造可能である。
【0004】
このような流通孔製造工程は、コスト高で時間がかかる。さらに、その工程では、流通孔の配置は、流通孔製造用ツールによってアクセス可能な領域に制限されている。通常であればアクセス不能な領域に流通孔が必要な場合は、所望の領域をアクセス可能するために造形品を切断し、取り外した部分に1つまたは複数の流通孔を製造し、次に、取り外した領域を造形品に再び一体化することが必要になる。
【0005】
先行技術の別の欠点は、使用する穿孔技術と、個々の小直径流体流通孔を配置する表面部分へのアクセスの容易さにより、造形品面に対する小直径流体流通孔の配向が制限されるということである。表面形状が、湾曲あるいは複雑な場合、若しくはアクセスが制限されている場合、小直径流体流通孔は最適でない配向を有する可能性が高い。レーザー掘削または化学掘削などの技術が使われる場合、小直径流体流通孔の配向は、通常、造形品面に対し略垂直に限定される。
【0006】
そのため、小直径流体流通孔を少なくとも1つ含んだ造形品を製造する方法が必要とされており、この方法により、1つまたは複数の流通孔を製造するための穿孔技術に付随した問題とコストとを回避するものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一目的は、先行技術固有の1若しくはそれ以上の欠点を回避する、少なくとも1つの小直径流体流通孔を具備した造形品の製造方法を提供することである。この目的を達するため、本発明では、積層造形法を利用して、少なくとも1つの小直径流体流通孔を有する造形品を製造し、1つまたは複数の前記流通孔を前記積層造形工程中に製造するものである。
【0008】
本明細書および添付の請求項における用語「積層造形法」は、有用な3次元の造形品が結果として得られ、前記造形品の形状を1層ずつ順次成形する工程を含む任意の工程を指す。また、積層造形法は、少数の特定造形品の製造に層ごとの構築工程が採用される場合、当該技術分野で「ラピッドプロトタイピング法」としても知られている。この積層造形法は、前記造形品の物理的および/または機械的な特性を強化する1若しくはそれ以上の成形後処理を含む場合がある。好適な積層造形法は、3次元転写(Three−Dimensional Printing、略称「3DP」)法および粉末焼結積層造形(Selective Laser Sintering、略称「SLS」)法を含む。前記3DP法の例は、Sachsの2000年3月14日発行済み米国特許第6,036,777号公報などに見られる。前記SLS法の例は、Bourellらの1991年12月31日発行済み米国特許第5,076,869号公報などに見られる。本発明に係る積層造形法は、金属か、ポリマーか、セラミックか、複合材料から成る造形品の製造に使用できる。
【0009】
本明細書および添付の請求項における用語「小直径」は、約0.25cmまたはそれ未満の直径を指す。本発明に関しては、この小直径流体流通孔は約0.02cm〜約0.25cmのサイズ範囲の直径を有することが好ましい。
【0010】
先行技術と対照的に、本発明は、前記造形品を切断および再組み立てすることなく、1つまたは複数の前記小直径流体流通孔をそれらが最も必要とされる場所に配置する自由を、前記造形品の設計者に与える。また、本発明により、前記造形品の設計者が1つまたは複数の前記流通孔の配向と複数の流通孔の配置密度の双方を最適化することも可能になる。例えば、本発明では、設計者がEPSビーズ金型の流通孔を当該金型の開口部の方向と平行に配向できるため、成形されたEPS部品の取り外しが容易になり、また流通孔内へ押し出されるEPS材料により流通孔が詰まる可能性を低減することが可能になる。また、本発明により、設計者は、大量の通気が必要な領域内で流通孔の配置密度を高くしつつ、比較的通気が必要でない領域では流通孔の配置密度を低くすることもできる。さらに、本発明が提供する柔軟性により、設計者は、コンピュータで実行されるアルゴリズムを使用して流通孔の設計と配置とアレイ密度とを最適化できるようになる。前記アルゴリズムを含むコンピュータプログラムは、前記流通孔を前記造形品に組み込む電子ファイルさえも作成でき、設計基準の選択後は、ほとんど、またはまったく人間が介入することなく、当該造形品の転写が可能になる。
【0011】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの小直径流体流通孔を含む造形品を提供することであり、その場合、当該造形品および1つまたは複数の当該小直径流通孔は、積層造形法により同時に製造される。
【0012】
本発明により製造される造形品は、特に消失模型鋳造法における型、飲料用カップ、クリスマス装飾品、梱包材、救命具、および断熱材として使用するためのEPS成形発泡造形品の製造に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この項では、現時点で好適な本発明の実施形態のいくつかを、本発明を実施する上で当業者に十分な程度詳細に説明する。ただし、本明細書で説明する現在好適な実施形態の数が限定されているからといって、添付の請求項に記載の本発明の範囲が限定されることは一切ないことを理解すべきである。
【0014】
例示を明瞭および簡潔にするため、現時点で好適な実施形態の説明はEPSビーズ金型の製造に関する説明のみに限定し、使用する積層造形法は3DP法とする。当業者であれば、本発明が、1若しくはそれ以上の小直径流体流通孔を有する任意タイプの造形品を製造する工程を含み、前記小直径流体流通孔は、当該造形品の層ごとの構築中、当該造形品内に1若しくはそれ以上の小直径流体流通孔を含める上で、適用可能な任意の積層造形法におけるサイズおよび材料能力の範囲内であることが理解できるであろう。
【0015】
従来のEPSビーズ成形法では、2部分品から成り閉じたEPSビーズ金型内に部分的に発泡したEPSビーズを充填する。次に、EPSビーズ金型を取り囲むチャンバ内へ蒸気を導入する。前記蒸気がこのEPSビーズ金型に設けられた複数の小直径流体流通孔を通じて流通すると、部分的に発泡したEPSビーズに含まれるペンタンなどの発泡剤が当該ビーズをさらに発泡させ、次に、これらビーズはEPSビーズ金型により画成された形状内で互いに融着する。この蒸気工程の完了後、EPSビーズ金型を取り囲むチャンバを真空にする、および/またはEPSビーズ金型の外面に水を噴霧することにより成形品を冷却する。次に、このEPSビーズ金型を開き、成形された部品を取り外す。従来のEPSビーズ成形法は、Bishopの1995年10月3日発行済み米国特許第5,454,703号公報に説明されている。
【0016】
前記EPSビーズ金型内に蒸気を流通させる流通孔の直径は、ビーズが流通孔を閉塞することを防ぐため、またビーズが流通孔を通じて金型の空洞内から流出するのを防ぐため、部分的に発泡したEPSビーズのサイズより小さくなければならない。通常、部分的に発泡したEPSビーズの直径は約0.05cmである。一部はこの小サイズのため、また他方はEPSビーズ金型の空洞内に充填された部分的に発泡した全EPSビーズが蒸気と接触する必要があるため、EPSビーズ金型の表面にできる限り多くの小直径流体流通孔を配置することが望ましい。しかし、EPSビーズ金型の成形面の複雑な領域または凹部の領域には穿孔ツールが届き難いという問題があるため、従来のEPSビーズ金型製造技術では流通孔配置の最適化が困難である。
【0017】
本発明の一態様によれば、3DP法などの積層造形法によるEPSビーズ金型部品の製造中に、複数の小直径流体流通孔をEPSビーズ金型の各部分に組み込む場合がある。
【0018】
この3DP法は、インクジェット印刷に概念的に類似している。ただし、3DP法では、インクの代わりに最上層である粉末床に結合剤を溶着する。この結合剤は、製造される造形品における3次元電子表現の2次元スライスに従って粉末層に転写される。このように、造形品全体が成形されるまで順次、層を転写していく。前記粉末は、金属か、セラミックか、ポリマーか、複合材料を含有する可能性がある。前記結合剤は、ポリマーおよび炭水化物の少なくとも一方を含有可能性がある。適切な結合剤の例は、Bourellらの1991年12月31日発行済み米国特許第5,076,869号公報,およびLiuらの2003年7月1日発行済み米国特許第6,585,930号公報に挙げられている。
【0019】
転写された前記造形品は、通常、粉末の充填密度に応じて約30体積パーセントから60を超える体積パーセントまでの粉末と、約10体積パーセントの結合剤とから成り、残りは空隙空間となる。この段階において、転写された造形品はやや脆弱である。そのため、転写された造形品の物理的および/または機械的な特性を強化するよう、転写後処理を実施する場合がある。通常、このような転写後処理には、転写された造形品を熱処理して前記結合剤を溶浸材に置き換え、次にこの溶浸材が硬化または固化することにより、望ましい物理特性および機械特性を有する高密度の造形品を製造する工程が含まれる。溶浸工程を使用する場合は、溶浸により小直径流体流通孔が閉塞しないようにする必要がある。本発明に従い製造した造形品の流通孔を溶浸材が閉塞するのを防止するには、積層造形品内に成形された冷却剤流路の溶浸材による閉塞を防止することに関して、Sachsらが1998年7月7日発行済みの米国特許第5,775,402号公報で説明している技術を使用することが可能である。
【0020】
積層造形法に使用する造形品の3次元電子表現は、通常、コンピュータ支援設計(Computer−Aided Design、略称「CAD」)ソフトウェアを使って作成する。3次元電子表現のCADファイルは、通常、当分野で光造形(stereolithography、別称「ステレオリソグラフィ」)ファイル形式、標準三角パッチ言語(standard triangle language、略称「STL」)ファイル形式、あるいはSTL形式として公知の別のファイル形式に変換される。次に、このSTL形式ファイルは適切なスライスプログラムにより処理され、前記造形品の3次元電子表現を、造形品の2次元スライスとして表現したSTL形式ファイルへと変換する電子ファイルが生成される。前記スライスの厚さは、通常、約0.008cm〜約0.03cmの範囲であるが、製造する造形品の設計基準と使用する積層造形法によって、この範囲と実質的に異なる場合もある。これら種々の電子ファイルを製造するための適切なプログラムは、当業者には周知のものである。
【0021】
以下、2部分品EPSビーズ金型のうちの1部分品の製造について、本発明の一態様の実施例として説明する。本明細書において、EPSビーズ金型の各部分品は別個の造形品と見なされ、第2の部分品は第1の部分品と別個または同時に製造する場合がある。
【0022】
まず、前記金型部分品の3次元電子表現をCADファイルとして作成し、次に、STL形式ファイルに変換する。次に、造形品が有するべき小直径流体流通孔のアレイの3次元電子表現のCADファイルを作成する。次に、この流通孔アレイのCADファイルを、STL形式のファイルに変換する。
【0023】
当業者であれば、前記造形品および流通孔の各CADファイルを製造する際は、製造工程中に起こりうる収縮など、いかなる寸法変更も考慮できるよう、前記造形品および流通孔の寸法を調整しなければならないことが理解できるであろう。例えば、特定造形品の3DP法による製造中に収縮に対する補正を行う場合は、最終的に0.046cmの直径を有すべき流通孔を直径0.071cmで転写するよう設計しうる。
【0024】
これら2つのSTL形式ファイルを比較し、個々の流通孔が造形品内で確実に望ましい位置になるようにする。このSTLファイルには任意の望ましい補正または修正を施してもよい。次に、前記2つのSTL形式ファイルを、前記流通孔の3次元表現を前記造形品の3次元表現から減算処理する2項減算など、ブール演算を実行する適切なソフトウェアプログラムを使って組み合わせる。このようなプログラムの例としては、Magics RPソフトウェアがある(ベルギー、ルーバン(Leuven)のMaterialise NV社から入手可能)。また、その結果得られた電子表現にも、望ましくない領域から流通孔を除去するといった所望の修正または補正を施すことができる。
【0025】
このファイル組み合わせ工程の結果、望ましい小直径流体流通孔アレイを含む造形品の3次元電子ファイルが得られる。本明細書ではこのような電子ファイルを「流通孔付き造形品3Dファイル」(3−D vented−article file)と呼ぶ。次に従来のスライスプログラムを使い、この流通孔付き造形品3Dファイルを、2次元スライスとして表現された当該造形品を有する電子ファイルに変換する。本明細書ではこのような電子ファイルを「流通孔付き造形品2Dスライスファイル」(vented article 2−D slice file)と呼ぶ。この流通孔付き造形品2Dスライスファイルに誤りがないかチェックし、また望ましい任意の補正または修正を施すことが可能である。次に、この流通孔付き造形品の2Dスライスファイルが3DP法用の機器で使用されて、当該造形品の転写バージョンが作成されたのち、この転写バージョンは、物理的および/または機械的な特性を改善するためさらに処理される。このような3DP法用の機器の例としてはProMetal(登録商標)Model RTS 300 ユニットがあり、これはExtrude Hone Corporation社(米国、Irwin,PA 15642)から入手可能である。
【0026】
上記の項で開示した、前記1つまたは複数の望ましい小直径流体流通孔を含む造形品の電子表現を作成する方法であって、前記造形品を層ごとに製造する際に積層造形工程機器で使用可能な方法は、このような電子表現を作成する多数の方法のうちの単なる1方法であることが理解されるものである。実際に使用される特定方法は設計者の判断によって決定され、前記造形品の複雑度およびサイズ、前記造形品が有する小直径流体流通孔のサイズおよび数、利用可能なコンピュータ処理設備、1つまたは複数の電子ファイル処理に利用できる計算時間といった要因に依存する。例えば、単純な造形品が小直径流体流通孔を1つだけ具備する場合は、この造形品の3次元電子表現を含む初期CADファイルに前記流通孔を含めると作業を迅速化することができる。他の場合は、前記流通孔アレイおよび造形品のSTLファイルを組み合わせる前に、相互比較する工程のみを排除することが望ましい場合もある。一部の積層造形工程ではスライス工程は利用者にとって透過的であり、その場合、利用者がオブジェクトの3次元表現のCADファイルまたはSTLファイルを処理機器に入力するだけで、前記造形品を層ごとに構築するための2次元スライス生成に必要な追加演算が前記機器により自動的に実行されることが、当業者であれば理解できるであろう。その場合でも、このような工程での前記スライス演算は実行される。積層造形工程機器において利用可能な、1つまたは複数の小直径流体流通孔を有する造形品の電子表現の作成における実施可能な変形形態は、すべて本発明の意図の範囲内であることを理解すべきである。
【0027】
本発明において、設計者は、コンピュータで実行されるアルゴリズムを使用して流通孔の設計と配置とアレイ密度を最適化することができる。このアルゴリズムを含むコンピュータプログラムは、上記の方法などで前記流通孔を前記造形品に組み込むための電子ファイルを作成する際にも使用することもできる。また、前記プログラムにより造形品を転写することも可能である。このように、本発明のこの態様によって、設計者は、設計基準を選択後、ほとんど、またはまったく介入することなく、設計基準から造形品転写までのすべてを行えるようになる。このようなアルゴリズムおよびそれに関連して実行するソフトウェアの設計は、流体力学と造形品設計と機械自動化とコンピュータプログラミングの原理を総合すれば当業者の理解しうる範囲内である。
【0028】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの小直径流体流通孔を含む造形品を提供することであり、その場合、当該造形品および1つまたは複数の当該流通孔は、積層造形法により同時に製造される。このような造形品の例としては(これに限定はされないが)、EPSビーズ金型およびその一部、流通孔付き射出成形金型、真空成形ツール、熱伝導装置、衝撃吸収などに使用される流体調整装置などがある。
【0029】
当業者であれば、本発明の意図の範囲内である造形品は他の方法で製造された小直径流体流通孔を有する造形品と区別可能であることが理解できるであろう。例えば、一部のケースでは、このような造形品は、他のいかなる製造手段によっても実現不可能な1つまたは複数の流通孔の配置および配向により区別することが可能である。これは、先行技術による流通孔の配置および配向が穿孔ツールのアクセスの容易さにより制限されているのに対し、本発明では流通孔を造形品のいかなる場所にも配置可能で、また、いかなる方向にも配向できるためである。本発明に従って製造した造形品は個々の流通孔の壁の質感によっても区別が可能である。これは、穿孔手段で製造された流通孔の壁は、使用された流通孔成形方法の痕跡を呈するのに対し、本発明に従い作成された流通孔の壁は、造形品製造で使用される層ごとの構築工程に特徴的な質感を呈するためである。
【0030】
小直径流体流通孔を含む造形品であって、当該造形品および当該流通孔が積層造形法により同時に製造される造形品の例を図1に示す。この図に示した造形品は、デモンストレーション用単気筒エンジンの先端のための消失模型の型を製造するのに使用されるEPSビーズ金型の下半分である。金型半分2は複雑な金型表面4を有し、転写段階では長さ28.2cm、幅23.1cm、厚さ5.8cmである。前記金型半分2は、数百個の小直径流体流通孔6を含んでいる。前記流通孔6の各孔は、それぞれ円筒型で丸い断面を伴い、幅は0.09cmである。これらの流通孔6は、すべてこのEPSビーズ金型の開口部方向8、すなわちZ方向と平行に配向されている。前記金型表面4の曲線は複雑であるため、一部の前記流通孔4は金型表面4の終端部で細長くなる。転写されたこの金型半分2は、−170メッシュ/+325メッシュの粒子サイズを有するグレード420のステンレス鋼粉末および転写結合剤を使った3DP法で製造されたものである。前記転写結合剤は、ProMetal(登録商標)SBC−1で、Extrude Hone Corporation社(米国、Irwin,PA 15642)から入手可能な炭水化物/アクリル結合剤である。
【0031】
次に、物理的および機械的な特性を強化するため、前記転写された造形品は、90重量パーセントの銅と、10重量パーセントのスズ青銅合金で溶浸された。この溶浸工程中、溶浸材を転写された造形品に流入させる溶浸材源より前記転写された造形品を高くして、溶浸の毛管力と前記溶浸材の静的出口圧力とで平衡をとるよう制御することにより、前記溶浸材が実質的に前記流通孔内へ流入することを阻止した。この高さ制御技術により、前記流通孔6が前記溶浸材で閉塞され、小形化されることなく、前記造形品を完全に溶浸することが可能になった。この高さ制御技術の代わりに、またはそれに加え、前記溶浸材によって、前記流通孔が閉塞され、小形化されることを防止するための別の技術は、前記流通孔6の内面が溶浸材により多少狭まることを想定して、前記流通孔6を大型化することである。
【0032】
前記金型表面4の望ましい表面仕上げの製造には、比較的少量の表面仕上げ作業のみを必要とした。
【0033】
本明細書に示し説明した本発明の実施形態は少数であるが、当業者であれば、以下の請求項に説明されている本発明の精神および要旨を逸脱しない範囲で、多数の変更および修正が可能であることが自明である。本明細書で言及した米国特許はすべて、言及によりその全体を本明細書に組み込むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明の特徴および利点の重要性は、添付の図面を参照することでより理解されるであろう。ただし、これらの図面は例示目的のみで意図されたものであり、本発明を限定する定義として意図されたものではないことを理解すべきである。
【図1】図1は、本発明に従って製造された流通孔を含むEPSビーズ金型の半分の斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、小直径流体流通孔を少なくとも1つ具備した積層造形品に関する。より具体的には、本発明は、このような造形品であって、積層造形工程中にこのような流通孔が少なくとも1つ製造される造形品に関する。また、本発明は、このような造形品を製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
多くの造形品は、当該造形品またはその一部の内部に流体が流入および/または外部へ流出できるようにする小直径の流体流通孔を含む。例えば、発泡ポリスチレン(略称EPS)などの膨張したポリマービーズから物品を製造するための金型は、その内部に蒸気を流通させることにより、前記ポリマービーズをさらに膨張させ互いに結合させるため、複数の小直径流体流通孔を含む。射出成形金型は、射出工程中に、閉じ込められた空気の当該金型からの流出を可能にする小直径流体流通孔を含む。プラスチックシートの熱成形などに使用される真空成形ツールは、当該ツールの表面に対して成形される前記プラスチックシートと前記ツールとの間で真空に引くための小直径流体流通孔を具備する。また、衝撃吸収などに使用される流体調整装置も、小直径流体流通孔を少なくとも1つ具備する。開ループ熱交換器または閉ループ熱交換器のいずれかを使用する熱交換器も、小直径流体流通孔を具備する場合がある。
【0003】
現在、1つまたは複数の小直径流体流通孔を製造するには、何らかの機械的、電気的、光学的、または化学的手段による穿孔や掘削など、何らかのタイプの穿孔工程を造形品に施すことが必要である。EPSビーズ金型の場合、流通孔の製造には、約0.16cm〜約0.64cmの段付き穴を掘削し、スロット付き端面を有する円筒型ハードウェアをこれらの穴に適合させ、金型面を機械加工して、前記ハードウェアが確実に前記金型面と同一平面に重なるようにすることが必要となる。あるいは、このような流通孔を、レーザー掘削後に金型面を手作業で浄化して、レーザー掘削工程によるばりおよび他の凹凸を除去することによって製造する場合もある。また、このような流通孔は、放電加工、化学エッチング、または化学的掘削によっても製造可能である。
【0004】
このような流通孔製造工程は、コスト高で時間がかかる。さらに、その工程では、流通孔の配置は、流通孔製造用ツールによってアクセス可能な領域に制限されている。通常であればアクセス不能な領域に流通孔が必要な場合は、所望の領域をアクセス可能するために造形品を切断し、取り外した部分に1つまたは複数の流通孔を製造し、次に、取り外した領域を造形品に再び一体化することが必要になる。
【0005】
先行技術の別の欠点は、使用する穿孔技術と、個々の小直径流体流通孔を配置する表面部分へのアクセスの容易さにより、造形品面に対する小直径流体流通孔の配向が制限されるということである。表面形状が、湾曲あるいは複雑な場合、若しくはアクセスが制限されている場合、小直径流体流通孔は最適でない配向を有する可能性が高い。レーザー掘削または化学掘削などの技術が使われる場合、小直径流体流通孔の配向は、通常、造形品面に対し略垂直に限定される。
【0006】
そのため、小直径流体流通孔を少なくとも1つ含んだ造形品を製造する方法が必要とされており、この方法により、1つまたは複数の流通孔を製造するための穿孔技術に付随した問題とコストとを回避するものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一目的は、先行技術固有の1若しくはそれ以上の欠点を回避する、少なくとも1つの小直径流体流通孔を具備した造形品の製造方法を提供することである。この目的を達するため、本発明では、積層造形法を利用して、少なくとも1つの小直径流体流通孔を有する造形品を製造し、1つまたは複数の前記流通孔を前記積層造形工程中に製造するものである。
【0008】
本明細書および添付の請求項における用語「積層造形法」は、有用な3次元の造形品が結果として得られ、前記造形品の形状を1層ずつ順次成形する工程を含む任意の工程を指す。また、積層造形法は、少数の特定造形品の製造に層ごとの構築工程が採用される場合、当該技術分野で「ラピッドプロトタイピング法」としても知られている。この積層造形法は、前記造形品の物理的および/または機械的な特性を強化する1若しくはそれ以上の成形後処理を含む場合がある。好適な積層造形法は、3次元転写(Three−Dimensional Printing、略称「3DP」)法および粉末焼結積層造形(Selective Laser Sintering、略称「SLS」)法を含む。前記3DP法の例は、Sachsの2000年3月14日発行済み米国特許第6,036,777号公報などに見られる。前記SLS法の例は、Bourellらの1991年12月31日発行済み米国特許第5,076,869号公報などに見られる。本発明に係る積層造形法は、金属か、ポリマーか、セラミックか、複合材料から成る造形品の製造に使用できる。
【0009】
本明細書および添付の請求項における用語「小直径」は、約0.25cmまたはそれ未満の直径を指す。本発明に関しては、この小直径流体流通孔は約0.02cm〜約0.25cmのサイズ範囲の直径を有することが好ましい。
【0010】
先行技術と対照的に、本発明は、前記造形品を切断および再組み立てすることなく、1つまたは複数の前記小直径流体流通孔をそれらが最も必要とされる場所に配置する自由を、前記造形品の設計者に与える。また、本発明により、前記造形品の設計者が1つまたは複数の前記流通孔の配向と複数の流通孔の配置密度の双方を最適化することも可能になる。例えば、本発明では、設計者がEPSビーズ金型の流通孔を当該金型の開口部の方向と平行に配向できるため、成形されたEPS部品の取り外しが容易になり、また流通孔内へ押し出されるEPS材料により流通孔が詰まる可能性を低減することが可能になる。また、本発明により、設計者は、大量の通気が必要な領域内で流通孔の配置密度を高くしつつ、比較的通気が必要でない領域では流通孔の配置密度を低くすることもできる。さらに、本発明が提供する柔軟性により、設計者は、コンピュータで実行されるアルゴリズムを使用して流通孔の設計と配置とアレイ密度とを最適化できるようになる。前記アルゴリズムを含むコンピュータプログラムは、前記流通孔を前記造形品に組み込む電子ファイルさえも作成でき、設計基準の選択後は、ほとんど、またはまったく人間が介入することなく、当該造形品の転写が可能になる。
【0011】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの小直径流体流通孔を含む造形品を提供することであり、その場合、当該造形品および1つまたは複数の当該小直径流通孔は、積層造形法により同時に製造される。
【0012】
本発明により製造される造形品は、特に消失模型鋳造法における型、飲料用カップ、クリスマス装飾品、梱包材、救命具、および断熱材として使用するためのEPS成形発泡造形品の製造に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この項では、現時点で好適な本発明の実施形態のいくつかを、本発明を実施する上で当業者に十分な程度詳細に説明する。ただし、本明細書で説明する現在好適な実施形態の数が限定されているからといって、添付の請求項に記載の本発明の範囲が限定されることは一切ないことを理解すべきである。
【0014】
例示を明瞭および簡潔にするため、現時点で好適な実施形態の説明はEPSビーズ金型の製造に関する説明のみに限定し、使用する積層造形法は3DP法とする。当業者であれば、本発明が、1若しくはそれ以上の小直径流体流通孔を有する任意タイプの造形品を製造する工程を含み、前記小直径流体流通孔は、当該造形品の層ごとの構築中、当該造形品内に1若しくはそれ以上の小直径流体流通孔を含める上で、適用可能な任意の積層造形法におけるサイズおよび材料能力の範囲内であることが理解できるであろう。
【0015】
従来のEPSビーズ成形法では、2部分品から成り閉じたEPSビーズ金型内に部分的に発泡したEPSビーズを充填する。次に、EPSビーズ金型を取り囲むチャンバ内へ蒸気を導入する。前記蒸気がこのEPSビーズ金型に設けられた複数の小直径流体流通孔を通じて流通すると、部分的に発泡したEPSビーズに含まれるペンタンなどの発泡剤が当該ビーズをさらに発泡させ、次に、これらビーズはEPSビーズ金型により画成された形状内で互いに融着する。この蒸気工程の完了後、EPSビーズ金型を取り囲むチャンバを真空にする、および/またはEPSビーズ金型の外面に水を噴霧することにより成形品を冷却する。次に、このEPSビーズ金型を開き、成形された部品を取り外す。従来のEPSビーズ成形法は、Bishopの1995年10月3日発行済み米国特許第5,454,703号公報に説明されている。
【0016】
前記EPSビーズ金型内に蒸気を流通させる流通孔の直径は、ビーズが流通孔を閉塞することを防ぐため、またビーズが流通孔を通じて金型の空洞内から流出するのを防ぐため、部分的に発泡したEPSビーズのサイズより小さくなければならない。通常、部分的に発泡したEPSビーズの直径は約0.05cmである。一部はこの小サイズのため、また他方はEPSビーズ金型の空洞内に充填された部分的に発泡した全EPSビーズが蒸気と接触する必要があるため、EPSビーズ金型の表面にできる限り多くの小直径流体流通孔を配置することが望ましい。しかし、EPSビーズ金型の成形面の複雑な領域または凹部の領域には穿孔ツールが届き難いという問題があるため、従来のEPSビーズ金型製造技術では流通孔配置の最適化が困難である。
【0017】
本発明の一態様によれば、3DP法などの積層造形法によるEPSビーズ金型部品の製造中に、複数の小直径流体流通孔をEPSビーズ金型の各部分に組み込む場合がある。
【0018】
この3DP法は、インクジェット印刷に概念的に類似している。ただし、3DP法では、インクの代わりに最上層である粉末床に結合剤を溶着する。この結合剤は、製造される造形品における3次元電子表現の2次元スライスに従って粉末層に転写される。このように、造形品全体が成形されるまで順次、層を転写していく。前記粉末は、金属か、セラミックか、ポリマーか、複合材料を含有する可能性がある。前記結合剤は、ポリマーおよび炭水化物の少なくとも一方を含有可能性がある。適切な結合剤の例は、Bourellらの1991年12月31日発行済み米国特許第5,076,869号公報,およびLiuらの2003年7月1日発行済み米国特許第6,585,930号公報に挙げられている。
【0019】
転写された前記造形品は、通常、粉末の充填密度に応じて約30体積パーセントから60を超える体積パーセントまでの粉末と、約10体積パーセントの結合剤とから成り、残りは空隙空間となる。この段階において、転写された造形品はやや脆弱である。そのため、転写された造形品の物理的および/または機械的な特性を強化するよう、転写後処理を実施する場合がある。通常、このような転写後処理には、転写された造形品を熱処理して前記結合剤を溶浸材に置き換え、次にこの溶浸材が硬化または固化することにより、望ましい物理特性および機械特性を有する高密度の造形品を製造する工程が含まれる。溶浸工程を使用する場合は、溶浸により小直径流体流通孔が閉塞しないようにする必要がある。本発明に従い製造した造形品の流通孔を溶浸材が閉塞するのを防止するには、積層造形品内に成形された冷却剤流路の溶浸材による閉塞を防止することに関して、Sachsらが1998年7月7日発行済みの米国特許第5,775,402号公報で説明している技術を使用することが可能である。
【0020】
積層造形法に使用する造形品の3次元電子表現は、通常、コンピュータ支援設計(Computer−Aided Design、略称「CAD」)ソフトウェアを使って作成する。3次元電子表現のCADファイルは、通常、当分野で光造形(stereolithography、別称「ステレオリソグラフィ」)ファイル形式、標準三角パッチ言語(standard triangle language、略称「STL」)ファイル形式、あるいはSTL形式として公知の別のファイル形式に変換される。次に、このSTL形式ファイルは適切なスライスプログラムにより処理され、前記造形品の3次元電子表現を、造形品の2次元スライスとして表現したSTL形式ファイルへと変換する電子ファイルが生成される。前記スライスの厚さは、通常、約0.008cm〜約0.03cmの範囲であるが、製造する造形品の設計基準と使用する積層造形法によって、この範囲と実質的に異なる場合もある。これら種々の電子ファイルを製造するための適切なプログラムは、当業者には周知のものである。
【0021】
以下、2部分品EPSビーズ金型のうちの1部分品の製造について、本発明の一態様の実施例として説明する。本明細書において、EPSビーズ金型の各部分品は別個の造形品と見なされ、第2の部分品は第1の部分品と別個または同時に製造する場合がある。
【0022】
まず、前記金型部分品の3次元電子表現をCADファイルとして作成し、次に、STL形式ファイルに変換する。次に、造形品が有するべき小直径流体流通孔のアレイの3次元電子表現のCADファイルを作成する。次に、この流通孔アレイのCADファイルを、STL形式のファイルに変換する。
【0023】
当業者であれば、前記造形品および流通孔の各CADファイルを製造する際は、製造工程中に起こりうる収縮など、いかなる寸法変更も考慮できるよう、前記造形品および流通孔の寸法を調整しなければならないことが理解できるであろう。例えば、特定造形品の3DP法による製造中に収縮に対する補正を行う場合は、最終的に0.046cmの直径を有すべき流通孔を直径0.071cmで転写するよう設計しうる。
【0024】
これら2つのSTL形式ファイルを比較し、個々の流通孔が造形品内で確実に望ましい位置になるようにする。このSTLファイルには任意の望ましい補正または修正を施してもよい。次に、前記2つのSTL形式ファイルを、前記流通孔の3次元表現を前記造形品の3次元表現から減算処理する2項減算など、ブール演算を実行する適切なソフトウェアプログラムを使って組み合わせる。このようなプログラムの例としては、Magics RPソフトウェアがある(ベルギー、ルーバン(Leuven)のMaterialise NV社から入手可能)。また、その結果得られた電子表現にも、望ましくない領域から流通孔を除去するといった所望の修正または補正を施すことができる。
【0025】
このファイル組み合わせ工程の結果、望ましい小直径流体流通孔アレイを含む造形品の3次元電子ファイルが得られる。本明細書ではこのような電子ファイルを「流通孔付き造形品3Dファイル」(3−D vented−article file)と呼ぶ。次に従来のスライスプログラムを使い、この流通孔付き造形品3Dファイルを、2次元スライスとして表現された当該造形品を有する電子ファイルに変換する。本明細書ではこのような電子ファイルを「流通孔付き造形品2Dスライスファイル」(vented article 2−D slice file)と呼ぶ。この流通孔付き造形品2Dスライスファイルに誤りがないかチェックし、また望ましい任意の補正または修正を施すことが可能である。次に、この流通孔付き造形品の2Dスライスファイルが3DP法用の機器で使用されて、当該造形品の転写バージョンが作成されたのち、この転写バージョンは、物理的および/または機械的な特性を改善するためさらに処理される。このような3DP法用の機器の例としてはProMetal(登録商標)Model RTS 300 ユニットがあり、これはExtrude Hone Corporation社(米国、Irwin,PA 15642)から入手可能である。
【0026】
上記の項で開示した、前記1つまたは複数の望ましい小直径流体流通孔を含む造形品の電子表現を作成する方法であって、前記造形品を層ごとに製造する際に積層造形工程機器で使用可能な方法は、このような電子表現を作成する多数の方法のうちの単なる1方法であることが理解されるものである。実際に使用される特定方法は設計者の判断によって決定され、前記造形品の複雑度およびサイズ、前記造形品が有する小直径流体流通孔のサイズおよび数、利用可能なコンピュータ処理設備、1つまたは複数の電子ファイル処理に利用できる計算時間といった要因に依存する。例えば、単純な造形品が小直径流体流通孔を1つだけ具備する場合は、この造形品の3次元電子表現を含む初期CADファイルに前記流通孔を含めると作業を迅速化することができる。他の場合は、前記流通孔アレイおよび造形品のSTLファイルを組み合わせる前に、相互比較する工程のみを排除することが望ましい場合もある。一部の積層造形工程ではスライス工程は利用者にとって透過的であり、その場合、利用者がオブジェクトの3次元表現のCADファイルまたはSTLファイルを処理機器に入力するだけで、前記造形品を層ごとに構築するための2次元スライス生成に必要な追加演算が前記機器により自動的に実行されることが、当業者であれば理解できるであろう。その場合でも、このような工程での前記スライス演算は実行される。積層造形工程機器において利用可能な、1つまたは複数の小直径流体流通孔を有する造形品の電子表現の作成における実施可能な変形形態は、すべて本発明の意図の範囲内であることを理解すべきである。
【0027】
本発明において、設計者は、コンピュータで実行されるアルゴリズムを使用して流通孔の設計と配置とアレイ密度を最適化することができる。このアルゴリズムを含むコンピュータプログラムは、上記の方法などで前記流通孔を前記造形品に組み込むための電子ファイルを作成する際にも使用することもできる。また、前記プログラムにより造形品を転写することも可能である。このように、本発明のこの態様によって、設計者は、設計基準を選択後、ほとんど、またはまったく介入することなく、設計基準から造形品転写までのすべてを行えるようになる。このようなアルゴリズムおよびそれに関連して実行するソフトウェアの設計は、流体力学と造形品設計と機械自動化とコンピュータプログラミングの原理を総合すれば当業者の理解しうる範囲内である。
【0028】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの小直径流体流通孔を含む造形品を提供することであり、その場合、当該造形品および1つまたは複数の当該流通孔は、積層造形法により同時に製造される。このような造形品の例としては(これに限定はされないが)、EPSビーズ金型およびその一部、流通孔付き射出成形金型、真空成形ツール、熱伝導装置、衝撃吸収などに使用される流体調整装置などがある。
【0029】
当業者であれば、本発明の意図の範囲内である造形品は他の方法で製造された小直径流体流通孔を有する造形品と区別可能であることが理解できるであろう。例えば、一部のケースでは、このような造形品は、他のいかなる製造手段によっても実現不可能な1つまたは複数の流通孔の配置および配向により区別することが可能である。これは、先行技術による流通孔の配置および配向が穿孔ツールのアクセスの容易さにより制限されているのに対し、本発明では流通孔を造形品のいかなる場所にも配置可能で、また、いかなる方向にも配向できるためである。本発明に従って製造した造形品は個々の流通孔の壁の質感によっても区別が可能である。これは、穿孔手段で製造された流通孔の壁は、使用された流通孔成形方法の痕跡を呈するのに対し、本発明に従い作成された流通孔の壁は、造形品製造で使用される層ごとの構築工程に特徴的な質感を呈するためである。
【0030】
小直径流体流通孔を含む造形品であって、当該造形品および当該流通孔が積層造形法により同時に製造される造形品の例を図1に示す。この図に示した造形品は、デモンストレーション用単気筒エンジンの先端のための消失模型の型を製造するのに使用されるEPSビーズ金型の下半分である。金型半分2は複雑な金型表面4を有し、転写段階では長さ28.2cm、幅23.1cm、厚さ5.8cmである。前記金型半分2は、数百個の小直径流体流通孔6を含んでいる。前記流通孔6の各孔は、それぞれ円筒型で丸い断面を伴い、幅は0.09cmである。これらの流通孔6は、すべてこのEPSビーズ金型の開口部方向8、すなわちZ方向と平行に配向されている。前記金型表面4の曲線は複雑であるため、一部の前記流通孔4は金型表面4の終端部で細長くなる。転写されたこの金型半分2は、−170メッシュ/+325メッシュの粒子サイズを有するグレード420のステンレス鋼粉末および転写結合剤を使った3DP法で製造されたものである。前記転写結合剤は、ProMetal(登録商標)SBC−1で、Extrude Hone Corporation社(米国、Irwin,PA 15642)から入手可能な炭水化物/アクリル結合剤である。
【0031】
次に、物理的および機械的な特性を強化するため、前記転写された造形品は、90重量パーセントの銅と、10重量パーセントのスズ青銅合金で溶浸された。この溶浸工程中、溶浸材を転写された造形品に流入させる溶浸材源より前記転写された造形品を高くして、溶浸の毛管力と前記溶浸材の静的出口圧力とで平衡をとるよう制御することにより、前記溶浸材が実質的に前記流通孔内へ流入することを阻止した。この高さ制御技術により、前記流通孔6が前記溶浸材で閉塞され、小形化されることなく、前記造形品を完全に溶浸することが可能になった。この高さ制御技術の代わりに、またはそれに加え、前記溶浸材によって、前記流通孔が閉塞され、小形化されることを防止するための別の技術は、前記流通孔6の内面が溶浸材により多少狭まることを想定して、前記流通孔6を大型化することである。
【0032】
前記金型表面4の望ましい表面仕上げの製造には、比較的少量の表面仕上げ作業のみを必要とした。
【0033】
本明細書に示し説明した本発明の実施形態は少数であるが、当業者であれば、以下の請求項に説明されている本発明の精神および要旨を逸脱しない範囲で、多数の変更および修正が可能であることが自明である。本明細書で言及した米国特許はすべて、言及によりその全体を本明細書に組み込むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明の特徴および利点の重要性は、添付の図面を参照することでより理解されるであろう。ただし、これらの図面は例示目的のみで意図されたものであり、本発明を限定する定義として意図されたものではないことを理解すべきである。
【図1】図1は、本発明に従って製造された流通孔を含むEPSビーズ金型の半分の斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの小直径流体流通孔を有する造形品を製造するために、積層造形法を使用する方法であり、少なくとも1つの前記小直径流体流通孔は、前記積層造形法により前記造形品内に製造される方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、この方法は、さらに、
a)粉末層を提供する工程と、
b)前記粉末層の事前選択された領域で前記粉末を結合させることにより、前記造形品の層を転写する工程と
を有するものである。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、前記粉末は、金属と、セラミックと、ポリマーと、複合材料とからなる群から選択される少なくとも1つを含有するものである。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、少なくとも1つの前記小直径流体流通孔は、約0.02cm〜約0.25cm範囲の直径を有するものである。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
前記造形品内に配置された少なくとも1つの前記小直径流体流通孔を伴う前記造形品の表現を含む電子ファイルを作成する工程を有するものである。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、この方法は、さらに、
a)アルゴリズムを提供する工程と、
b)コンピュータで前記アルゴリズムを実行する工程であって、
i)少なくとも1つの前記小直径流体流通孔を設計する工程と、
ii)前記造形品内に少なくとも1つの前記小直径流体流通孔の位置を選択する工程と、
iii)前記造形品の表面の少なくとも一部について、複数の前記小直径流体流通孔用にアレイ密度を選択する工程と、
iv)少なくとも1つの前記小直径流体流通孔の電子表現を、前記造形品の電子表現に組み込む工程と、
v)層ごとに前記造形品を転写する工程
のうち少なくとも1つを行うため、コンピュータで前記アルゴリズムを実行する工程と
を有するものである。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
a)前記造形品の表現を含む第1電子ファイルを作成する工程であって、少なくとも1つの前記流体流通孔が前記造形品の前記表現において不在である工程と、
b)少なくとも1つの前記不在の小直径流体流通孔の表現を含む第2電子ファイルを作成する工程と、
c)前記第1電子ファイルを前記第2電子ファイルと組み合わせて、前記造形品内に配置された少なくとも1つの前記不在の小直径流体流通孔を伴う前記造形品の表現を含む第3の電子ファイルを作成する工程と
を有するものである。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記造形品はEPSビーズ金型のコンポーネントである。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、この方法は、さらに、
a)前記造形品を使用して型を製造する工程と、
b)消失模型鋳造法で前記型を使用する工程と
を有するものである。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、前記造形品は、射出成形金型と、真空成形ツールと、熱伝導装置と、流体調整装置からなる群から選択される少なくとも1つのコンポーネントである。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
EPSビーズ成形工程と、射出成形法と、真空成形法と、熱伝導装置と、流体調整装置からなる群から選択される少なくとも1つにおいて、前記造形品を使用する工程を有するものである。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
少なくとも1つの前記小直径流体流通孔を、当該小直径流体流通孔が終端する表面に対し、実質的に法線方向でない方向に配向する工程をさらに有する方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、前記造形品は複数の小直径流体流通孔を有し、また使用時において開口部の方向を有するマルチピース金型のコンポーネントであり、前記配向する工程は、前記開口部の方向と平行に配向された中心線を有するよう、少なくとも1つの前記複数の小直径流体流通孔を配向する工程を含むものである。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
前記造形品を溶浸材で溶浸する工程を有するものである。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記溶浸材は金属である。
【請求項16】
請求項15記載の方法において、前記溶浸材は青銅である。
【請求項17】
請求項1記載の方法において、前記積層造形法は3次元転写法である。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、この方法は、さらに、
a)金属粉末を含有する粉末層を提供する工程と、
b)前記粉末層上に結合剤を溶着して当該粉末層の事前選択された領域内の前記金属粉末を結合させることにより、前記造形品の層を転写する工程と
を含むものである。
【請求項19】
請求項1記載の方法において、前記結合剤は、ポリマーおよび炭水化物の少なくとも一方を含有するものである。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、前記金属粉末はステンレス鋼粉末を含有するものである。
【請求項21】
請求項17記載の方法において、この方法は、さらに、前記造形品を溶浸材で溶浸する工程を有するものである。
【請求項22】
請求項21記載の方法において、前記溶浸材は金属を含有するものである。
【請求項23】
請求項1記載の方法において、前記積層造形法は粉末焼結積層造形法である。
【請求項24】
請求項23記載の方法において、この方法は、さらに、
a)金属粉末および結合剤を含有する粉末層を提供する工程と、
b)レーザービームで前記粉末層をスキャンして、当該粉末層の事前選択された領域内で前記結合剤が前記金属粉末を結合させることにより、前記造形品の層を転写する工程と
を含むものである。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、前記金属粉末はステンレス鋼粉末である。
【請求項26】
請求項23記載の方法において、この方法は、さらに、
前記造形品を溶浸材で溶浸する工程を有するものである。
【請求項27】
請求項26記載の方法において、前記溶浸材は金属を含有する。
【請求項28】
請求項1記載の方法により製造される造形品。
【請求項29】
請求項2記載の方法により製造される造形品。
【請求項30】
請求項3記載の方法により製造される造形品。
【請求項31】
請求項4記載の方法により製造される造形品。
【請求項32】
請求項8記載の方法により製造される造形品。
【請求項33】
請求項10記載の方法により製造される造形品。
【請求項34】
請求項12記載の方法により製造される造形品。
【請求項35】
請求項13記載の方法により製造される造形品。
【請求項36】
請求項14記載の方法により製造される造形品。
【請求項1】
少なくとも1つの小直径流体流通孔を有する造形品を製造するために、積層造形法を使用する方法であり、少なくとも1つの前記小直径流体流通孔は、前記積層造形法により前記造形品内に製造される方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、この方法は、さらに、
a)粉末層を提供する工程と、
b)前記粉末層の事前選択された領域で前記粉末を結合させることにより、前記造形品の層を転写する工程と
を有するものである。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、前記粉末は、金属と、セラミックと、ポリマーと、複合材料とからなる群から選択される少なくとも1つを含有するものである。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、少なくとも1つの前記小直径流体流通孔は、約0.02cm〜約0.25cm範囲の直径を有するものである。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
前記造形品内に配置された少なくとも1つの前記小直径流体流通孔を伴う前記造形品の表現を含む電子ファイルを作成する工程を有するものである。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、この方法は、さらに、
a)アルゴリズムを提供する工程と、
b)コンピュータで前記アルゴリズムを実行する工程であって、
i)少なくとも1つの前記小直径流体流通孔を設計する工程と、
ii)前記造形品内に少なくとも1つの前記小直径流体流通孔の位置を選択する工程と、
iii)前記造形品の表面の少なくとも一部について、複数の前記小直径流体流通孔用にアレイ密度を選択する工程と、
iv)少なくとも1つの前記小直径流体流通孔の電子表現を、前記造形品の電子表現に組み込む工程と、
v)層ごとに前記造形品を転写する工程
のうち少なくとも1つを行うため、コンピュータで前記アルゴリズムを実行する工程と
を有するものである。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
a)前記造形品の表現を含む第1電子ファイルを作成する工程であって、少なくとも1つの前記流体流通孔が前記造形品の前記表現において不在である工程と、
b)少なくとも1つの前記不在の小直径流体流通孔の表現を含む第2電子ファイルを作成する工程と、
c)前記第1電子ファイルを前記第2電子ファイルと組み合わせて、前記造形品内に配置された少なくとも1つの前記不在の小直径流体流通孔を伴う前記造形品の表現を含む第3の電子ファイルを作成する工程と
を有するものである。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記造形品はEPSビーズ金型のコンポーネントである。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、この方法は、さらに、
a)前記造形品を使用して型を製造する工程と、
b)消失模型鋳造法で前記型を使用する工程と
を有するものである。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、前記造形品は、射出成形金型と、真空成形ツールと、熱伝導装置と、流体調整装置からなる群から選択される少なくとも1つのコンポーネントである。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
EPSビーズ成形工程と、射出成形法と、真空成形法と、熱伝導装置と、流体調整装置からなる群から選択される少なくとも1つにおいて、前記造形品を使用する工程を有するものである。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
少なくとも1つの前記小直径流体流通孔を、当該小直径流体流通孔が終端する表面に対し、実質的に法線方向でない方向に配向する工程をさらに有する方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、前記造形品は複数の小直径流体流通孔を有し、また使用時において開口部の方向を有するマルチピース金型のコンポーネントであり、前記配向する工程は、前記開口部の方向と平行に配向された中心線を有するよう、少なくとも1つの前記複数の小直径流体流通孔を配向する工程を含むものである。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
前記造形品を溶浸材で溶浸する工程を有するものである。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記溶浸材は金属である。
【請求項16】
請求項15記載の方法において、前記溶浸材は青銅である。
【請求項17】
請求項1記載の方法において、前記積層造形法は3次元転写法である。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、この方法は、さらに、
a)金属粉末を含有する粉末層を提供する工程と、
b)前記粉末層上に結合剤を溶着して当該粉末層の事前選択された領域内の前記金属粉末を結合させることにより、前記造形品の層を転写する工程と
を含むものである。
【請求項19】
請求項1記載の方法において、前記結合剤は、ポリマーおよび炭水化物の少なくとも一方を含有するものである。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、前記金属粉末はステンレス鋼粉末を含有するものである。
【請求項21】
請求項17記載の方法において、この方法は、さらに、前記造形品を溶浸材で溶浸する工程を有するものである。
【請求項22】
請求項21記載の方法において、前記溶浸材は金属を含有するものである。
【請求項23】
請求項1記載の方法において、前記積層造形法は粉末焼結積層造形法である。
【請求項24】
請求項23記載の方法において、この方法は、さらに、
a)金属粉末および結合剤を含有する粉末層を提供する工程と、
b)レーザービームで前記粉末層をスキャンして、当該粉末層の事前選択された領域内で前記結合剤が前記金属粉末を結合させることにより、前記造形品の層を転写する工程と
を含むものである。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、前記金属粉末はステンレス鋼粉末である。
【請求項26】
請求項23記載の方法において、この方法は、さらに、
前記造形品を溶浸材で溶浸する工程を有するものである。
【請求項27】
請求項26記載の方法において、前記溶浸材は金属を含有する。
【請求項28】
請求項1記載の方法により製造される造形品。
【請求項29】
請求項2記載の方法により製造される造形品。
【請求項30】
請求項3記載の方法により製造される造形品。
【請求項31】
請求項4記載の方法により製造される造形品。
【請求項32】
請求項8記載の方法により製造される造形品。
【請求項33】
請求項10記載の方法により製造される造形品。
【請求項34】
請求項12記載の方法により製造される造形品。
【請求項35】
請求項13記載の方法により製造される造形品。
【請求項36】
請求項14記載の方法により製造される造形品。
【図1】
【公表番号】特表2007−528810(P2007−528810A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526254(P2006−526254)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/029229
【国際公開番号】WO2005/025785
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(505251967)エクス ワン コーポレーション (3)
【出願人】(506085099)ジェネラル モーターズ コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/029229
【国際公開番号】WO2005/025785
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(505251967)エクス ワン コーポレーション (3)
【出願人】(506085099)ジェネラル モーターズ コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】
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