説明

少なくとも一の求電子性モノマーと特定の顔料を含有する染色用組成物

【課題】暗色の毛髪において、繊維を薄色化又は脱色する必要がなく、またシャンプーに対して良好な堅牢性を示し、目に見える程の着色をケラチン物質に付与するための、新規の組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、適切な染色用媒体に、少なくとも一の求電子性モノマーと、少なくとも一の有機部分を有する少なくとも一の顔料を含有せしめてなる染色用組成物に関する。本発明の組成物により、暗色のケラチン物質において、目に見える程の非常に色度のある着色を得ることができる。特に、暗色のケラチン繊維のケースにおいては、かなり目に見える程の色度のある着色が、ケラチン繊維を薄色化又は脱色する必要なく、従ってケラチン繊維を物理的に劣化させることなく得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、少なくとも一の求電子性モノマーと、少なくとも一の特定の顔料を含有する、ケラチン物質、特にケラチン繊維、例えば毛髪を染色するための組成物に関する。
【0002】
ケラチン繊維の染色の分野において、直接染料又は一時的に着色させるための顔料を使用するか、又は永続的に着色させるための染料先駆物質を使用する種々の技術により、ケラチン繊維を染色することが既に知られている。
一時的な着色又は直接的な着色は、直接染料を含有する染色用組成物を用いて、ケラチン繊維を染色することからなる。これらの染料は、ケラチン繊維に対する親和性を有する着色した又は着色する分子である。それらは、所望の着色を得るのに必要な期間ケラチン繊維に適用され、ついですすがれる。
【0003】
使用される従来の染料は、特にニトロベンゼン、アントラキノン、ニトロピリジン、アゾ、キサンテン、アクリジン、アジン、又はトリアリールメタン型の染料、又は天然染料である。
これらの染料のいくつかは、薄色化条件下で使用可能で、暗色の毛髪に目に見える程の着色を得ることができる。
【0004】
また、酸化染色により、ケラチン繊維を永続的に染色することも知られている。この染色技術は、酸化ベース及びカップラー等の染色先駆物質を含有する組成物を、ケラチン繊維に適用することからなる。酸化剤の作用下、これらの先駆物質は、毛髪において一又は複数の色種を形成する。
酸化ベース及びカップラーに係る多様な分子により、多種の色調を得ることができ、そこから得られる着色は、永続的で強く、外的要因、特に光、悪天候、洗浄、発汗及び摩擦に対して耐性がある。
【0005】
暗色の毛髪を可視化するために、これら2つの染色技術には、先に又は同時に、ケラチン繊維を脱色する必要がある。酸化剤、例えば過酸化水素又は過酸塩を用いて実施されるこの脱色工程は、ケラチン繊維をあまり劣化させることはないということはなく、それらの美容特性を損なわせる。そして、毛髪は粗く、もつれをほぐすことがより困難になり、さらに脆性化する傾向を有するようになる。
【0006】
他の染色方法は、顔料を使用することからなる。実際、ケラチン繊維の表面に顔料を使用することにより、表面の顔料が繊維の本来の色調を覆うため、一般的に、暗色の毛髪に目に見える程の着色を得ることができる。ケラチン繊維を染色するために顔料を使用することは、例えば仏国特許出願第2741530号に記載されており、少なくとも一の酸性官能基を有する皮膜形成ポリマー粒子の少なくとも一の分散液と、該分散液の連続相に分散した少なくとも一の顔料を含有する組成物を、ケラチン繊維を染色するために使用することが推奨される。
この染色方法により得られる着色は、シャンプーに対する堅牢性が低いという欠点を有する。
【0007】
さらに、求電子性モノマーを含有する組成物を使用して毛髪を処理するための組成物が、仏国特許出願第2833489号において知られている。このような組成物により、完全に被覆されて脂性感のない毛髪を得ることができる。
【0008】
本発明の目的は、繊維を薄色化又は脱色する必要がなく、シャンプーに対して良好な堅牢性を示し、暗色の毛髪において、目に見える程、またかなりの色度がある着色を得ることができる、ケラチン物質、特にケラチン繊維、例えば毛髪を染色するための、新規の組成物を提供することにある。
この目的は本発明により達成され、その主題は、適切な染色用媒体に、少なくとも一の求電子性モノマー、及び少なくとも一の有機部分を有する少なくとも一の顔料を含有せしめてなる染色用組成物にある。
【0009】
本発明の組成物により、暗色のケラチン物質において、目に見える程の、かなりの色度がある着色を得ることができる。特に、暗色のケラチン繊維のケースにおいては、かなり目に見える程の色度のある着色が、ケラチン繊維を薄色化又は脱色する必要なく、従ってケラチン繊維を物理的に劣化させることなく得ることができる。
さらに、この着色は、毛髪が受けるであろう種々の攻撃要因、例えばシャンプー、摩擦、光、悪天候、汗及び永続的な再成形施術に対して、良好な耐性を示す。これらの特性は、シャンプーに対する着色耐性に関して特に顕著である。
本発明の組成物に使用可能な様々な顔料を付与することで、多様で強く、美しい色調であり、また色度のある着色を得ることができる。
【0010】
また本発明の主題は、ケラチン物質に本発明の組成物を適用することを含む、ケラチン物質の染色方法、及びケラチン物質、特に毛髪等のケラチン繊維を染色するための、本発明の組成物の使用にある。
本発明の他の主題は、有機部分を有する顔料と求電子性モノマーを収容するキットに関する。
【0011】
本発明において、少なくとも一の有機部分を有する顔料は、20℃で0.01%未満、好ましくは0.0001%未満の水溶解度を示し、350〜700nmの吸光度、好ましくは最大の吸光度を示す。
本発明で有用な顔料は、色素ペースト又はパウダーの形態であってよい。
【0012】
本発明において、少なくとも一の有機部分を有する顔料は、完全に有機であってもよく、また有機部分と他の部分、例えば無機部分を有していてもよい顔料である。
一実施態様において、少なくとも一の有機部分を有する顔料は有機顔料である。「有機顔料」なる用語は、有機顔料の章において、ウルマン百科事典に定義されているものに相当する任意の顔料を意味することを意図している。有機顔料は、特にニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、及びフタロシアニン化合物、金属錯体型の化合物、及びイソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン(perinone)、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン、及びキノフタロン化合物から選択され得る。
有機顔料(類)は、例えばカルミン、カーボンブラック、アニリンブラック、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、参照符号CI 42090、69800、69825、73000、74100、74160で色表(Color Index)に体系化されている青色顔料、参照符号CI 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000、47005で色表に体系化されている黄色顔料、参照符号CI 61565、61570、74260で色表に体系化されている緑色顔料、参照符号CI 11725、15510、45370、71105で色表に体系化されているオレンジ色顔料、参照符号CI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915、75470で色表に体系化されている赤色顔料、及び仏国特許第2679771号に記載されているインドール又はフェノール誘導体の酸化重合により得られる顔料から選択されてもよい。
【0013】
少なくとも一の有機部分を有する顔料は:
− ジュネ・コスメニル(JAUNE COSMENYL)IOG:ピグメント・イエロー3(CI 11710)
− ジュネ・コスメニルG:ピグメント・イエロー1(CI 11680)
− オレンジ・コスメニルGR:ピグメント・オレンジ43(CI 71105)
− ルージュ・コスメニルR'':ピグメント・レッド4(CI 12085)
− カルミン・コスメニルFB:ピグメント・レッド5(CI 12490)
− バイオレット・コスメニルRL:ピグメント・バイオレット23(CI 51319)
− ブルー・コスメニルA2R:ピグメント・ブルー15.1(CI 74160)
− バート・コスメニルGG:ピグメント・グリーン7(CI 74260)
− ノワール・コスメニルR:ピグメント・ブラック7(CI 77266)
の名称で、ヘキスト社(Hoechst)から販売されている製品等の、有機顔料の色素ペーストであってよい。
【0014】
少なくとも一の有機部分を有する顔料は、欧州特許第1184426号に記載されているような合成顔料の形態であってよい。この合成顔料は、特に無機核、核に有機顔料を付着させる少なくとも一のバインダー、及び核を少なくとも部分的に被覆する少なくとも一の有機顔料を含む粒子からなるものであってよい。このような顔料は、例えば欧州特許出願第1184426号に記載されている。
【0015】
少なくとも一の有機部分を有する顔料は、有機顔料が無機基質上に吸着しているものからなるレーキであってよい。無機基質は、例えば:アルミナ、シリカ、ホウケイ酸ナトリウムカルシウム又はホウケイ酸アルミニウムカルシウム、及びアルミニウムである。有機染料として、コチニールカルミンを挙げることができる。
レーキ類の例としては、次の名称:
D&C Red 21(CI 45380)、D&C Orange 5(CI 45370)、D&C Red 27(CI 45410)、D&C Orange 10(CI 45425)、D&C Red 3(CI 45430)、D&C Red 7(CI 15850:1)、D&C Red 4(CI 15510)、D&C Red 33(CI 17200)、D&C Yellow 5(CI 19140)、D&C Yellow 6(CI 15985)、D&C Green(CI 61570)、D&C Yellow 10(CI 77002)、D&C Green 3(CI 42053)、D&C Blue 1(CI 42090)で公知の製品を挙げることができる。
【0016】
少なくとも一の有機顔料を有する顔料としては、上述した種類の有機顔料で被覆されたチタンで被覆されたマイカ型の真珠光沢顔料を挙げることができる。
特定の実施態様において、顔料は有色顔料である。「有色顔料」なる用語は、白色顔料以外の顔料を意味することを意図している。
【0017】
本発明で有用な顔料の大きさは、一般的に10nm〜200μm、好ましくは20nm〜80μm、より好ましくは30nm〜50μmである。
有機部分を有する顔料(類)は、組成物の全重量に対して、一般的に0.05〜50%、好ましくは0.1〜35%の量で、本発明の組成物に存在している。
【0018】
モノマー
本発明の組成物に存在する求電子性モノマー(類)は、以下のものから選択され得る。
・Sayyah, J. Polymer Research, 2000, p97に記載の、ベンジリデンマロノニトリル誘導体(A)、2-(4-クロロベンジリデン)マロノニトリル(A1)、2-シアノ-3-フェニルアクリル酸エチル(B)、2-シアノ-3-(4-クロロフェニル)アクリル酸エチル(B1)
【化1】

メチリデンマロナート誘導体、例えば:
・Hopff, Makromoleculare Chemie, 1961, p95, De Keyser, J. Pharm. Sci, 1991, p67,及びKlemarczyk, Polymer, 1998, p173による、2-メチレンマロン酸ジエチル(C)
【化2】

・Breton, Biomaterials, 1998, p271、及びCouvreur, Pharmaceutical Research, 1994,p1270による、2-エトキシカルボニルメチレンオキシカルボニルアクリル酸エチル(D)
【化3】

イタコナート及びイタコンイミド誘導体、例えば:
・Bachrach, European Polymer Journal, 1976, p563によるイタコン酸ジメチル(E)
【化4】

・Wanatabe, J. Polymer Science:Part A:Polymer chemistry, 1994, p2073による、N-ブチルイタコンイミド(F)、N-(4-トリル)イタコンイミド(G)、N-(2-エチルフェニル)イタコンイミド(H)、N-(2,6-ジエチルフェニル)イタコンイミド(I)
【化5】

R=Bu(F)、4-トリル(G)、2-エチルフェニル(H)、2,6-ジエチルフェニル(I)
Gipstein, J. Org. Chem. 1980, p1486による、α-(メチルスルホニル)アクリル酸メチル(K)、α-(メチルスルホニル)アクリル酸エチル(L)、α-(tert-ブチルスルホニル)アクリル酸メチル(M)、tert-ブチル-α-(メチルスルホニル)アクリラート(N)、及びtert-ブチル-α-(tert-ブチルスルホニル)アクリラート(O)誘導体、及びShearer, 米国特許第2748050号による、1,1-ビス(メチルスルホニル)エチレン(P)、1-アセチル-1-メチルスルホニルエチレン(Q)、α-(メチルスルホニル)ビニルスルホン酸メチル(R)、及びα-メチルスルホニルアクリロニトリル(S)誘導体
【化6】

Boor, J. Polymer Science, 1971, p249による、メチルビニルスルホナート(T)及びフェニルビニルスルホナート(U)
【化7】

Kanga, Polymer preprints(ACS, Division of Polymer Chemistry), 1987, p322による、フェニルビニルスルホキシド誘導体(V)
【化8】

Bonner, Polymer Bulletin, 1992, p517による、3-メチル-N-(フェニルスルホニル)-1-アザ-1,3-ブタジエン誘導体(W)
【化9】

アクリラート及びアクリルアミド誘導体、例えば:
・Kobayashi, Journal of Polymer Science, Part A:Polymer Chemistry, 2005, p2754.による、N-プロピル-N-(3-トリイソプロポキシシリルプロピル)アクリルアミド(X)、及びN-プロピル-N-(3-トリエトキシシリルプロピル)アクリルアミド(Y)
【化10】

・Rozenberg, International Journal of Plastics Technology, 2003, p17による、2-ヒドロキシエチルアクリラート(Z)及び2-ヒドロキシエチルメタクリラート(AA)
【化11】

・Schmitt, Macromolecules, 2001, p2115による、N-ブチルアクリラート(AB)
・Ishizone, Macromolecules, 1999, p955による、tert-ブチルアクリラート(AC)
【化12】

【0019】
本発明で有用な求電子性モノマーは、環状又は直鎖状であってもよい。環状である場合、電子吸引基は好ましくは環外であり、すなわちモノマーの環状構造の不可欠部分ではない。
特定の実施態様において、これらのモノマーは、少なくとも二の電子吸引基を有する。
少なくとも二の電子吸引基を有するモノマーの例としては、次の式(A):
【化13】

[上式中:
・R1及びR2は互いに独立して、ほとんど又は全く電子吸引効果を有さない(ほとんど又は全く誘導吸引効果を有さない)基、例えば:
−水素原子、
−好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の炭素原子を有し、場合によっては一又は複数の窒素、酸素又は硫黄原子を有していてよく、場合によっては-OR、-COOR、-COR、-SH、-SR、-OH、及びハロゲン原子から選択される一又は複数の基で置換されていてもよい、飽和又は不飽和で、直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素ベース基、
−変性又は未変性のポリオルガノシロキサン残基、
−ポリオキシアルキレン基、
を示し、
・R3及びR4は互いに独立して、電子吸引基(又は誘導吸引効果を有する基)を示し、好ましくは-N(R)3+、-S(R)2+、-SH2+、-NH3+、-NO、-SOR、-C≡N、-COOH、-COOR、-COSR、-CONH、-CONHR、-F、-Cl、-Br、-I、-OR、-COR、-SH、-SR、及び-OH基、直鎖状又は分枝状のアルケニル基、直鎖状又は分枝状のアルキニル基、モノ-又はポリフルオロ(C-C)アルキル基、アリール基、例えばフェニル、又はアリールオキシ基、例えばフェノキシから選択され、
・Rは、ラジカル重合、重縮合、又は環開裂により得ることのできるポリマー残基、又はハロゲン原子、-OH、-SR'、-SH、-COR'、-COOR'、-OR'から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく、場合によっては一又は複数の窒素、酸素又は硫黄原子を有していてよく、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の炭素原子を有する飽和又は不飽和で、直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素ベース基を示し、ここでR'はC-C10アルキル基を示す]
のモノマーを挙げることができる。
【0020】
「電子吸引基又は誘導吸引効果を有する基(−1)」なる用語は、炭素よりも電気陰性である任意の基を意味することを意図している。研究PR Wells Progs. Phys. Org. Chem., Vol. 6, 111(1968)を参照として挙げることができる。
「ほとんど又は全く電子吸引効果を有さない基」なる表現は、その電気陰性度が炭素以下である任意の基を意味することを意図している。
【0021】
アルケニル又はアルキニル基は、好ましくは2〜20の炭素原子、より好ましくは2〜10の炭素原子を有する。
好ましくは1〜20の炭素原子を有する、飽和又は不飽和で直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素ベース基としては、特に直鎖状又は分枝状のアルキル、アルケニル、又はアルキニル基、例えばメチル、エチル、n-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ブテニル、又はブチニル;シクロアルキル基又は芳香族基を挙げることができる。
【0022】
置換された炭化水素ベース基としては、例えばヒドロキシアルキル又はポリハロアルキル基を挙げることができる。
【0023】
未変性のポリオルガノシロキサンの例としては、特にポリアルキルシロキサン類、例えばポリジメチルシロキサン類、ポリアリールシロキサン類、例えばポリフェニルシロキサン類、及びポリアリールアルキルシロキサン類、例えばポリメチルフェニルシロキサン類を挙げることができる。
変性したポリオルガノシロキサン類としては、特に、ポリオキシアルキレン及び/又はシロキシ及び/又はシラノール及び/又はアミン及び/又はイミン及び/又はフルオロアルキル基を有するポリジメチルシロキサン類を挙げることができる。
【0024】
ポリオキシアルキレン基としては、特にポリオキシエチレン基及びポリオキシプロピレン基で、好ましくは1〜200のオキシアルキレン化単位を有するものを挙げることができる。
モノ-又はポリフルオロアルキル基としては、特に例えば-(CH)n-(CF)m-CF、又は-(CH)n-(CF)m-CHFで、n=1〜20及びm=1〜20である基を挙げることができる。
【0025】
置換基R1ないしR4は、化粧品活性を有する基で置換されていてもよい。特に使用される化粧品活性は、着色、酸化防止、UV-遮蔽及びコンディショニング機能を有する基から得られる。
着色機能を有する基の例としては、特にアゾ、キノン、メチン、シアノメチン、及びトリアリールメタン基を挙げることができる。
酸化防止機能を有する基の例としては、特にブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)又はビタミンE型の基を挙げることができる。
UV-遮蔽機能を有する基の例としては、特にベンゾフェノン、シンナマート、ベンゾアート、ベンジリデンショウノウ、及びジベンゾイルメタン型の基を挙げることができる。
コンディショニング機能を有する基の例としては、特にカチオン性で脂肪エステル型の基を挙げることができる。
【0026】
上述したモノマーとして、好ましくは次の式(B):
【化14】

[上式中、
XはNH、S又はOを示し、
R1及びR2は上述した同様の意味を有し、好ましくはR1及びR2は水素原子を表し、
R'3は水素原子又は式(A)で記載されたRを表す]
のシアノアクリラートファミリーのモノマー及びその誘導体が付与される。
好ましくは、XはOを示す。
【0027】
式(B)の化合物として:
a)ポリフルオロアルキル-2-シアノアクリラート類のファミリーに属するもの、例えば:
次の式:
【化15】

の2-シアノ-2-プロペン酸-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエステル、又は次の式:
【化16】

の2-シアノ-2-プロペン酸-2,2,2-トリフルオロエチルエステル;
b)次の式:
【化17】

[上式中、R'3はC-C10アルキル又は(C-C)アルコキシ(C-C10)アルキル基を表す]
のアルキル又はアルコキシアルキル-2-シアノアクリラート類;
のモノマーを挙げることができる。
【0028】
特に、2-シアノアクリル酸エチル、2-シアノアクリル酸メチル、n-プロピル-2-シアノアクリラート、2-シアノアクリル酸イソプロピル、tert-ブチル-2-シアノアクリラート、n-ブチル-2-シアノアクリラート、2-シアノアクリル酸イソブチル、3-メトキシブチルシアノアクリラート、n-デシルシアノアクリラート、2-シアノアクリル酸ヘキシル、2-エトキシエチル-2-シアノアクリラート、2-メトキシエチル-2-シアノアクリラート、2-オクチル-2-シアノアクリラート、2-プロポキシエチル-2-シアノアクリラート、n-オクチル-2-シアノアクリラート、及びシアノアクリル酸イソアミルを挙げることができる。
【0029】
本発明において、好ましくはモノマーb)が使用される。好ましい実施態様において、シアノアクリラートモノマー(類)は、C-C10シアノアクリル酸アルキルから選択される。
特に好ましいモノマーは、式Fのシアノアクリル酸オクチル及びその混合物である。
【化18】

[上式中:
R'=-(CH)-CH
-CH(CH)-(CH)-CH
-CH-CH(C)-(CH)-CH
-(CH)-CH(CH)-CH
-(CH)-CH(C)-CH]
【0030】
本発明で使用されるモノマーは、支持体、例えばポリマー、オリゴマー又はデンドリマーに共有結合していてよい。ポリマー又はオリゴマーは、直鎖状、分枝状、櫛型又はブロック等であってもよい。ポリマー性、オリゴマー性又はデンドリマー性構造体における本発明のモノマーの分配性は、ブロックの形態の内部又は末端位置において、ランダムであってよい。
【0031】
本発明の組成物において、シアノアクリラートモノマーの量は、組成物の全重量に対して0.1〜80重量%、好ましくは1〜50重量%である。
【0032】
本発明において、求電子性モノマーは、求核剤の存在下、アニオン性経路を介して重合可能なモノマーである。「アニオン性重合」なる用語は、研究「上級有機化学(Advanced Organic Chemistry)」、第3版、Jerry March, 151-161頁に記載されているメカニズムを意味することを意図している。
アニオン性重合を開始可能な求核剤は、中性のpHで、水に含まれる水酸化物イオン等の、求核剤と接触してカルバニオンを生成可能な、それ自体公知のシステムである。「カルバニオン」なる用語は、「上級有機化学」、第3版、Jerry March, 141頁に記載されている化学種を意味することを意図している。
【0033】
求核剤は、本発明の組成物とは無関係に適用することができる。また求核剤は使用時に本発明の組成物に添加することもできる。
求核剤は、求核官能基を有する分子化合物、オリゴマー、デンドリマー、又はポリマーである。暗黙に限定するものではないが、挙げることのできる求核官能基は、官能基:R、NH、Ph、R、PhNH、ピリジン、ArS、R-C、RS、SH、RO、RNH、ArO、N、OH、ArNH、NH、I、Br、Cl、RCOO、SCN、ROH、RSH、NCO、CN、NO、ClO、及びHOを含み、Phはフェニル基を表し;Arはアリール基を表し、RはC-C10アルキル基を表す。
【0034】
本発明の求電子性モノマーは、当該技術に記載されている公知の方法に従い合成することができる。特に、シアノアクリラートモノマーは、米国特許第3527224号、米国特許第3591767号、米国特許第3667472号、米国特許第3995641号、米国特許第4035334号、及び米国特許第4650826号の教示に従い合成することができる。
【0035】
本発明の組成物に使用される適切な染色用媒体は、好ましくは無水及び非-吸湿性媒体である。「無水媒体」なる用語は、1%未満の水分を含有する媒体を意味することを意図している。
この実施態様において、本発明の組成物の染色用媒体は、好ましくは:
・芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール;
・脂肪アルコール;
・変性又は未変性のポリオール類、例えばグリセロール、グリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、又はブチルジグリコール;
・揮発性又は非揮発性のシリコーン類、例えばシクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、ポリジメチルシロキサンで、未変性、又はフェニル及び/又はシロキシ及び/又はシラノール及び/又はアミン及び/又はイミン及び/又はフルオロアルキル及び/又はカルボキシル及び/又はベタイン及び/又は第4級アンモニウム等の官能基で変性しているもの;
・鉱物性、有機又は植物性油;
・オキシエチレン化又は非エトキシエチレン化されたロウ、パラフィン、アルカン類、特にCないしC10アルカン類;
・脂肪酸、脂肪アミド類、脂肪エステル、特に脂肪アルコールベンゾアート又はサリチラート;
から選択される。
好ましい実施態様において、媒体は、シリコーン、例えばポリジメチルシロキサン類及び変性したポリジメチルシロキサン類からなる。
【0036】
好ましくは、有機化合物は、25℃の温度、105Pa(760mmHg)下で、液体である化合物から選択される。
本発明の組成物の染色用媒体は、エマルションの形態であってもよく、及び/又はカプセル化されていてもよく、求電子性モノマーは使用時まで無水媒体に保持されている。染色用媒体がエマルションである場合、このエマルションは、例えば水、C-C脂肪族アルコール又はそれらの混合物からなり得る分散した又は連続した相、及びモノマーを含有する無水有機相からなる。カプセル又はマイクロカプセルのケースにおいて、カプセルは、無水媒体にモノマーを含有していてよく、また上述した無水媒体、水、C-C脂肪族アルコール、又はそれらの混合物に分散させてもよい。
【0037】
また、重合開始剤、特にアニオン性及び/又はラジカル重合開始剤は、経時的な組成物の安定性を増加させるため、本発明の組成物に導入されてもよい。暗黙に限定されるものではないが、次の重合開始剤:二酸化硫黄、一酸化窒素、有機酸、例えばスルホン酸又はリン酸、酢酸、ラクトン、三フッ化ホウ素、ヒドロキノンとその誘導体、例えばヒドロキノンモノエチルエーテル又はtert-ブチルヒドロキノン、ベンゾキノンとその誘導体、例えばジュロキノン、カテコールとその誘導体、例えばt-ブチルカテコール及びメトキシカテコール、アニソールとその誘導体、例えばメトキシアニソール又はヒドロキシアニソール、ピロガロールとその誘導体、p-メトキシフェノール、ヒドロキシブチルトルエン、硫酸アルキル、亜硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、アルキルスルホキシド、硫化アルキル、メルカプタン類、及びその混合物を挙げることができる。アルキル基は、好ましくは1〜6の炭素原子を有する基を示す。
本発明の組成物における開始剤の濃度は、10ppmと10重量%、好ましくは50ppmと5重量%との間であってよい。
【0038】
さらに本発明の組成物は、求電子性モノマーにおいて何の反応性も示さず、組成物の粘度を増加可能な一又は複数のポリマーを含有してよい。粘度の増加により、求電子性モノマーの重合速度を低減させることができる。このため、非網羅的方式にて、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)又は米国特許第6224622号に記載されているシアノアクリラートをベースにしたコポリマーを、本発明の組成物に添加することができる。
【0039】
本発明の組成物は、フィラーをさらに含有してよい。暗黙に限定されるものではないが、これには、ラメラ状又は非ラメラ状、鉱物性又は合成、無色又は白色の粒子が含まれる。それらは、組成物の全重量に対して0〜48重量%、好ましくは0.01〜30重量%、より好ましくは0.02重量%〜20重量%の割合で存在してよい。特に、タルク、ステアリン酸亜鉛、マイカ、カオリン、ポリアミドパウダー(ナイロン(登録商標))(アトケム社(Atochem)のオルガソール(Orgasol))、ポリエチレンパウダー、テトラフルオロエチレンポリマーのパウダー(テフロンB)、デンプン、窒化ホウ素、ポリマー性マイクロスフェア、例えば塩化ポリビニリデン/アクリロニトリルから作製されるもの、例えばエクスパンセル(Expancel)(ノーベル・インダストリー社(Nobel Industrie))、又はアクリル酸コポリマーから作製されるもの(ダウ・コーニング社(Dow Corning)のポリトラップ(Polytrap)B)、及びシリコーン樹脂のマイクロビーズ(例えばトーシバ(Toshiba)のトスパール(Tospearls)O)、エラストマー性オルガノポリシロキサン類を挙げることができる。
【0040】
また本発明の組成物は、一又は複数の従来からの顔料をさらに含有していてよい。それは、金属のパウダー又は粒子、例えばアルミニウム、亜鉛、銅等のパウダー又は粒子をさらに含有していてよい。
【0041】
さらに組成物は、標準的に使用される化粧品用活性剤をさらに含有していてよい。暗黙に限定されるものではないが、還元剤、酸化剤、脂肪物質、シリコーン類、増粘剤、柔軟剤、消泡剤、保湿剤、エモリエント、塩基性化剤、エラストマー、可塑剤、サンスクリーン剤、直接又は酸化染料、粘土類、コロイド状ミネラル、香料、解膠剤、防腐剤、アニオン性、カチオン性、両性、双性イオン性又は非イオン性界面活性剤、固定又は非固定ポリマー、コンディショニングポリマー、タンパク質、ビタミン等を挙げることができる。
【0042】
これらの組成物は、種々の形態、例えばローション、スプレー又はムースであってよく、また、シャンプーもしくはコンディショナーの形態で適用されてもよい。
スプレーのケースにおいて、本発明の組成物は噴霧剤を含有していてよい。噴霧剤は、エアゾール組成物の調製に通常使用されている圧縮又は液化ガスからなる。好ましくは、空気、二酸化炭素、圧縮窒素、又は可溶性ガス、例えばジメチルエーテル、非ハロゲン化炭化水素、又はハロゲン化(特にフッ化)炭化水素、及びそれらの混合物が使用される。
【0043】
本発明の方法において、本発明の組成物は、求核剤の存在下、ケラチン物質、特に毛髪等のケラチン繊維に適用される。
本発明の方法の特定の実施態様において、求電子性モノマーの重合を開始可能な求核剤は、ケラチン繊維に予め適用することもできる。求核剤は、純粋物、溶液、又はエマルションの形態で使用されてもよく、さらにはカプセル化されていてもよい。また、ケラチン繊維への適用直前の使用時に、無水組成物に添加してもよい。
好ましくは、この求核剤は水である。この水は、例えばケラチン繊維の前保湿により提供されてもよい。さらに、適用前に、組成物に直接添加されてもよい。
特定の実施態様においては、水溶液を用いて予め繊維を保湿させることにより、重合反応速度を調整することができ、そのpHは塩基、酸、又は酸/塩基の混合物を使用して調節される。酸及び/又は塩基は、無機又は有機であってよい。
【0044】
変形例において、本発明の方法では、いくつかの工程が実施され:第1工程は、顔料(類)を含有する組成物を繊維に適用することからなり、第2工程は、求電子性モノマーを含有する組成物を適用することからなり、求核剤は、顔料を含有する組成物、又は別の組成物に存在している。
この変形例において、顔料(類)を含有する組成物は、好ましくは顔料の水溶液であり、繊維を保湿させ、求電子性モノマーの適用時に重合を開始させることができる。
【0045】
本発明の方法において、好ましい実施態様は、同じ組成物を使用して求電子性モノマーと顔料を適用するか、又は最初に顔料、ついで求電子的モノマーを適用することからなる。
本発明の方法は、付加的な中間又は最終工程、例えば化粧品の適用、すすぎ工程又は乾燥工程を含んでよい。乾燥は、フード、ヘアドライヤー及び/又はストレート用トングを用いて実施することができる。特に、本発明の組成物の適用に続き、すすぎをしてもよい。
【0046】
化学的性質、機械的強度、厚み、外観、感触に関し、付着物の特定の性質が達成されるような累重層を得るために、本発明の組成物を複数回適用することができる。
とりわけ、インシトゥーで形成されるポリマーの付着物を改善するために、繊維は、全ての種類のポリマーで前処理されてもよい。
また、アニオン性重合速度を調整するため、繊維の求核性を、ケラチン繊維の化学的転換により増加させることができる。例えば、本発明の組成物を適用する前に、ケラチンを部分的に形成するジスルフィド架橋をチオール類に還元することが挙げられる。非網羅的方式において、ケラチンを部分的に形成するジスルフィド架橋を還元する薬剤としては、次の化合物:無水チオ硫酸ナトリウム、パウダー状のメタ重亜硫酸ナトリウム、チオ尿素、亜硫酸アンモニウム、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオ乳酸アンモニウム、モノチオグリコール酸グリセリル、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリセロール、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、ジチオグリコール酸ジアンモニウム、チオグリコール酸ストロンチウム、チオグリコール酸カルシウム、ホルモスルホキシル酸亜鉛、チオグリコール酸イソオクチル、dl-システイン、モノエタノールアミンチオグリコラートを挙げることができる。
【0047】
毛髪処理、例えば直接又は酸化染色に先行して、本発明の組成物が適用されてもよい。
本発明のモノマーは、化粧品的に許容可能な条件下、ケラチン繊維において重合可能なモノマーから、好ましくは選択される。特にモノマーの重合は、好ましくは80℃以下、より好ましくは10〜80℃、さらに好ましくは20〜80℃の温度で実施され、フード下での乾燥、ブロー乾燥、又は平らな加熱用アイロン又はカール用トングの使用による仕上げからの適用を防止しない。
【0048】
また本発明の主題は、顔料を含有する第1の組成物と、求電子性モノマー(類)を含有する第2の組成物、場合によっては求核剤を含有する第3の組成物を含む、染色用キットにある。この実施態様において、顔料(類)を含有する組成物は水性組成物であり、モノマー(類)を含有する組成物は無水組成物である。
第1の変形例において、キットは、顔料(類)とシアノアクリラートモノマー(類)を含有する第1の無水組成物と、求核剤を含有する第2の組成物を含む。
以下の非限定的実施例により、その範囲を制限することなく、本発明を例証することができる。
【実施例】
【0049】
次の化合物を使用し、試行を実施した:
モノマー:ケメンス社(Chemence)から販売されているRITE LOK CON895として公知の、1%のリン酸で安定化された2-オクチル-2-シアノアクリラート。
顔料1:ワックハー社(Wackherr)から販売されている、リトールレッドBのカルシウム塩、CI 15850、D&C Red 7
顔料2:クラリアント社(Clariant)からホスタパーム(Hostaperm)・グリーンGG01の名称で販売されている、フタロシアニン・グリーン、ピグメント・グリーン7、CI 74260
染色用媒体:
ダウ・コーニング社からDC 1501 フルイド(Fluid)の名称で販売されている、50%のアルファ、オメガ-ジヒドロキシポリジメチルシロキサン/シクロペンタジメチルシロキサンの混合物(14.7/85.3)、
ダウ・コーニング社からDC 245 フルイドの名称で販売されている、50%のシクロペンタジメチルシロキサン。
【0050】
実施例1:
水性組成物を、10%の顔料1を用いて調製する。0.5gのこの水溶液を、清浄で乾燥したナチュラルな白髪の束1gに適用する。
続いて、毛髪の束をフード下で乾燥させる。
毛髪の束を0.5gの水で保湿させる。ついで、上述した染色用媒体に、10重量%のシアノアクリラートモノマーを含有せしめてなる組成物0.5gを、毛髪の束に適用する。
適用15分後、ヘアドライヤーを用いて、毛髪の束を2分間乾燥させる。
得られた毛髪の束は赤色に着色され、得られた色調は少なくとも6回のシャンプー施術後でも持続している。
【0051】
実施例2
上述した染色用媒体に10%の顔料2を含有せしめてなる組成物を調製する。モノマーが10重量%の最終濃度になるように、シアノアクリラートモノマーをこの組成物に添加する。0.5gの水で保湿され、4に等しいトーン強度を有し、清浄で乾燥したナチュラルな毛髪の束に、0.5gのこの組成物を適用する。
適用15分後、ヘアドライヤーを用いて、毛髪の束を2分間乾燥させる。
得られた毛髪の束は緑色に強く着色され、得られた色調は少なくとも6回のシャンプー施術後でも持続している。
【0052】
実施例3:赤色レーキ
次の組成物を調製する:
DC 1501 フルイド 40g
DC 245 フルイド 39.2g
ワックハー社から販売されている、リトールレッドBのカルシ
ウム塩、CI 15850、D&C Red 7 10g
アベシア社(Avecia)からオクタケア(Octacare)DSP OL 3
00の名称で販売されているポリヒドロキシステアリン酸分散
液 0.8g
ケメンス社のシアノアクリル酸メチルヘプチル 10g
0.5gの組成物を、清浄で湿った毛髪の束1gに適用する。15分後、ヘアドライヤーを用いて、毛髪の束を2分間乾燥させる。
毛髪の束は着色され、得られた着色はシャンプーに対する堅牢性がある。
【0053】
実施例4:赤色レーキ+酢酸
次の組成物Aを調製する:
ケメンス社のシアノアクリル酸メチルヘプチル 97.5g
氷酢酸 2.5g
次の組成物Bを調製する:
DC 1501 フルイド 40g
DC 245 フルイド 39.2g
ワックハー社から販売されている、リトールレッドBのカルシ
ウム塩、CI 15850、D&C Red 7 10g
アベシア社からオクタケアDSP OL 300の名称で販売さ
れているポリヒドロキシステアリン酸分散液 0.8g
組成物A 10g
0.5gの組成物Cを、清浄で湿った毛髪の束1gに適用する。15分後、ヘアドライヤーを用いて、毛髪の束を2分間乾燥させる。
毛髪の束は着色され、得られた着色はシャンプーに対する堅牢性がある。
【0054】
実施例5:フタロシアニン
次の組成物を調製する:
DC 1501 フルイド 40g
DC 245 フルイド 39.2g
クラリアント社からホスタパーム・グリーンGG01の名称で
販売されている、フタロシアニン・グリーン、ピグメント・グリ
ーン7、CI 74260 10g
アベシア社からオクタケアDSP OL 300の名称で販売さ
れているポリヒドロキシステアリン酸分散液 0.8g
ケメンス社のシアノアクリル酸メチルヘプチル 10g
0.5gの組成物を、清浄で湿った毛髪の束1gに適用する。15分後、ヘアドライヤーを用いて、毛髪の束を2分間乾燥させる。
毛髪の束は着色され、得られた着色はシャンプーに対する堅牢性がある。
【0055】
実施例6:有機顔料を含有する真珠光沢顔料
次の組成物を調製する:
DC 1501 フルイド 40g
DC 245 フルイド 40g
エンゲルハルト社(Engelhard)社からセリニ・レッド(Cellini
Red)の名称で販売されている、カルシウムリトールレッドBレ
ーキで被覆された、酸化チタンで被覆された真珠光沢剤マイカ 10g
ケメンス社のシアノアクリル酸メチルヘプチル 10g
0.5gの組成物を、清浄で湿った毛髪の束1gに適用する。15分後、ヘアドライヤーを用いて、毛髪の束を2分間乾燥させる。
毛髪の束は着色され、得られた着色はシャンプーに対する堅牢性がある。
【0056】
実施例7:合成顔料
次の組成物を調製する:
DC 1501 フルイド 40g
DC 245 フルイド 39.2g
トダ工業(Toda Kogyo)からCS-R100Yの名称で販売され
ている、シリカにおけるハイブリッド合成顔料キナクリドンレ
ッド 10g
アベシア社からオクタケアDSP OL 300の名称で販売さ
れているポリヒドロキシステアリン酸分散液 0.8g
ケメンス社のシアノアクリル酸メチルヘプチル 10g
0.5gの組成物を、清浄で湿った毛髪の束1gに適用する。15分後、ヘアドライヤーを用いて、毛髪の束を2分間乾燥させる。
毛髪の束は着色され、得られた着色はシャンプーに対する堅牢性がある。
【0057】
実施例8:メラニン
次の組成物を調製する:
DC 1501 フルイド 40g
DC 245 フルイド 40g
シグマ社(Sigma)参照名M2649で販売されているメラニン 10g
ケメンス社のシアノアクリル酸メチルヘプチル 10g
0.5gの組成物を、清浄で湿った毛髪の束1gに適用する。15分後、ヘアドライヤーを用いて、毛髪の束を2分間乾燥させる。
毛髪の束は着色され、得られた着色はシャンプーに対する堅牢性がある。
【0058】
実施例9:フタロシアニン及びシアノアクリル酸エトキシエチルモノマー
次の組成物Kを調製する:
DC 1501 フルイド 40g
DC 245 フルイド 34.2g
クラリアント社からホスタパーム・グリーンGG01の名称で
販売されている、フタロシアニン・グリーン、ピグメント・グリ
ーン7、CI 74260 10g
アベシア社からオクタケアDSP OL 300の名称で販売さ
れているポリヒドロキシステアリン酸分散液 0.8g
氷酢酸 5g
トング・シェン社(Tong Shen)のシアノアクリル酸エトキシエチ
ルEO460 10g
0.5gの組成物を、清浄で湿った毛髪の束1gに適用する。15分後、ヘアドライヤーを用いて、毛髪の束を2分間乾燥させる。
毛髪の束は着色され、得られた着色はシャンプーに対する堅牢性がある。
【0059】
実施例10:フタロシアニン及びシアノアクリル酸ブチルモノマー
次の組成物Cを調製する:
トング・シェン社のシアノアクリル酸ブチルB60 90g
氷酢酸 10g
次の組成物Dを調製する:
DC 1501 フルイド 40g
DC 245 フルイド 39.2g
クラリアント社からホスタパーム・グリーンGG01の名称で
販売されている、フタロシアニン・グリーン、ピグメント・グリ
ーン7、CI 74260 10g
アベシア社からオクタケアDSP OL 300の名称で販売さ
れているポリヒドロキシステアリン酸分散液 0.8g
組成物C 10g
1.5gの組成物Dを、清浄で湿った毛髪の束1gに適用する。15分後、ヘアドライヤーを用いて、毛髪の束を2分間乾燥させる。
毛髪の束は着色され、得られた着色はシャンプーに対する堅牢性がある。
【0060】
実施例11:フタロシアニン及びシアノアクリル酸エチルヘキシルモノマー
次の組成物を調製する:
DC 1501 フルイド 40g
DC 245 フルイド 39.2g
クラリアント社からホスタパーム・グリーンGG01の名称で
販売されている、フタロシアニン・グリーン、ピグメント・グリ
ーン7、CI 74260 10g
アベシア社からオクタケアDSP OL 300の名称で販売さ
れているポリヒドロキシステアリン酸分散液 0.8g
トング・シェン社のシアノアクリル酸エチルヘキシルO-60 10g
1.5gの組成物を、清浄で湿った毛髪の束1gに適用する。15分後、ヘアドライヤーを用いて、毛髪の束を2分間乾燥させる。
毛髪の束は着色され、得られた着色はシャンプーに対する堅牢性がある。
【0061】
実施例12:フタロシアニン、及びシアノアクリル酸メチルヘプチルモノマーとシアノアクリル酸エチルヘキシルモノマーの混合物
次の組成物を調製する:
DC 1501 フルイド 40g
DC 245 フルイド 39.2g
クラリアント社からホスタパーム・グリーンGG01の名称で
販売されている、フタロシアニン・グリーン、ピグメント・グリ
ーン7、CI 74260 10g
アベシア社からオクタケアDSP OL 300の名称で販売さ
れているポリヒドロキシステアリン酸分散液 0.8g
ケメンス社のシアノアクリル酸メチルヘプチル 9g
トング・シェン社のシアノアクリル酸エチルヘキシル 1g
1.5gの組成物を、清浄で湿った毛髪の束1gに適用する。15分後、ヘアドライヤーを用いて、毛髪の束を2分間乾燥させる。
毛髪の束は着色され、得られた着色はシャンプーに対する堅牢性がある。
【0062】
実施例13:フタロシアニン、及びシアノアクリル酸メチルヘプチルモノマーとシアノアクリル酸ブチルモノマーの混合物
次の組成物を調製する:
DC 1501 フルイド 40g
DC 245 フルイド 39.2g
クラリアント社からホスタパーム・グリーンGG01の名称で
販売されている、フタロシアニン・グリーン、ピグメント・グリ
ーン7、CI 74260 10g
アベシア社からオクタケアDSP OL 300の名称で販売さ
れているポリヒドロキシステアリン酸分散液 0.8g
ケメンス社のシアノアクリル酸メチルヘプチル 7g
トング・シェン社のシアノアクリル酸ブチルB60 3g
1.5gの組成物を、清浄で湿った毛髪の束1gに適用する。15分後、ヘアドライヤーを用いて、毛髪の束を2分間乾燥させる。
毛髪の束は着色され、得られた着色はシャンプーに対する堅牢性がある。
【0063】
実施例14:カーボンブラック
次の組成物を調製する:
DC 1501 フルイド 40g
DC 245 フルイド 39.2g
LCW社から販売されているカーボンブラック、ユニピュア
(Unipure)ブラックLC902 10g
アベシア社からオクタケアDSP OL 300の名称で販売さ
れているポリヒドロキシステアリン酸分散液 0.8g
ケメンス社のシアノアクリル酸メチルヘプチル 10g
0.5gの組成物を、清浄で湿った毛髪の束1gに適用する。15分後、ヘアドライヤーを用いて、毛髪の束を2分間乾燥させる。
毛髪の束は着色され、得られた着色はシャンプーに対する堅牢性がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
適切な染色用媒体に、少なくとも一の有機部分を有する少なくとも一の顔料と少なくとも一の求電子性モノマーを含有せしめてなる染色用組成物。
【請求項2】
求電子性モノマーが次の式(A):
【化1】

[上式中:
・R1及びR2が互いに独立して、ほとんど又は全く電子吸引効果を有さない基を示し、
・R3及びR4が互いに独立して、電子吸引基を示す]
のモノマー又はモノマー類である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(A)のモノマーが、R1及びR2が独立して、水素原子;好ましくは1〜20の炭素原子を有し、場合によっては一又は複数の窒素、酸素又は硫黄原子を有していてよく、場合によっては-OR、-COOR、-COR、-SH、-SR、-OH、及びハロゲン原子から選択される一又は複数の基で置換されていてもよい、飽和又は不飽和で、直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素ベース基;変性又は未変性のポリオルガノシロキサン残基;ポリオキシアルキレン基を表し、Rが、ポリマー残基、又はハロゲン原子、-OH、-SR'、-SH、-COR'、-COOR'、-OR'から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく、場合によっては一又は複数の窒素、酸素又は硫黄原子を有していてよく、1〜20の炭素原子を有する飽和又は不飽和で、直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素ベース基を示し、ここでR'がC-C10アルキル基である、ものである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
式(A)のモノマーが、R3及びR4が独立して、-N(R)3+、-S(R)2+、-SH2+、-NH3+、-NO、-SOR、-C≡N、-COOH、-COOR、-COSR、-CONHR、-CONH、-F、-Cl、-Br、-I、-OR、-COR、-SH、-SR、及び-OH基、直鎖状又は分枝状のアルケニル基、直鎖状又は分枝状のアルキニル基、モノ-又はポリフルオロ(C-C)アルキル基、アリール基、又はアリールオキシ基から選択され、Rが、ポリマー残基、又はハロゲン原子、-OH、-SR'、-SH、-COR'、-COOR'、-OR'から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく、場合によっては一又は複数の窒素、酸素又は硫黄原子を有していてよい、1〜20の炭素原子を有する飽和又は不飽和で、直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素ベース基を示し、ここでR'がC-C10アルキル基である、ものである、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
モノマーが、次の式:
【化2】

[上式中、
XはNH、S又はOを示し、
R'は水素原子又はRから選択され、
R、R1及びRは請求項3に記載されたものである]
のシアノアクリラートモノマーである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
求電子性モノマーが、R1及びR2が水素原子を表すものである、請求項2ないし5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
シアノアクリラートモノマーが、次の式:
【化3】

[上式中、R'3がC-C10アルキル又は(C-C)アルコキシ(C-C10)アルキル基を表し、R1及びR2が上述したものである]
に相当する、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
R'3が、6〜10の炭素原子を有するアルキル基である、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
R1及びR2が水素原子を表す、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
求電子性モノマーが、次の式:
【化4】

[上式中:
R'=-(CH)-CH
-CH(CH)-(CH)-CH
-CH-CH(C)-(CH)-CH
-(CH)-CH(CH)-CH
-(CH)-CH(C)-CH]
のシアノアクリル酸アルキルである、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
求電子性モノマーの量が、組成物の全重量に対して0.1〜80重量%である、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
顔料が色素ペースト又はパウダーの形態である、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも一の有機部分を有する顔料が有機顔料である、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
有機顔料が、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、及びフタロシアニン型の顔料、金属錯体型の顔料、及びイソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン、及びキノフタロン型の顔料から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも一の有機部分を有する顔料が、無機核、核に有機顔料を付着させる少なくとも一のバインダー、及び核を少なくとも部分的に被覆する少なくとも一の有機顔料を含む粒子からなる合成顔料である、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
少なくとも一の有機部分を有する顔料が、チタン及び有機顔料で被覆されたマイカから選択される真珠光沢顔料又は真珠光沢顔料類である、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
少なくとも一の有機部分を有する顔料が、有機顔料が吸着した無機基質からなるレーキ又はレーキ類である、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも一の有機部分を有する顔料が、組成物の全重量に対して0.05〜50%の濃度で存在している、請求項1ないし17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
顔料の大きさが10nm〜200μmである、請求項1ないし18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
染色用媒体が無水である、請求項1ないし19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
染色用媒体が、芳香族アルコール、脂肪アルコール、変性又は未変性のポリオール、揮発性又は非揮発性のシリコーン類、鉱物性、有機又は植物性油、オキシエチレン化又は非オキシエチレン化されたロウ、パラフィン、アルカン類、脂肪酸、脂肪アミド及び脂肪エステルから選択される、請求項1ないし20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
求核剤をさらに含有している、請求項1ないし21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
求核剤が水である、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
請求項1ないし23のいずれか1項に記載の組成物を、求核剤の存在下、ケラチン物質に適用することを特徴とする、ケラチン物質の染色方法。
【請求項25】
請求項22又は23に記載の組成物を適用する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
顔料を含有する組成物を繊維に適用することからなる第1工程、及び求電子性モノマーを含有する組成物を適用することからなる第2工程を含み、求核剤が、顔料を含有する組成物、又は別の組成物に存在している、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
顔料を含有する組成物が顔料の水性組成物であり、及び求電子性モノマーを含有する組成物が無水である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ケラチン繊維を染色するための、請求項24ないし27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも一の顔料を含有する第1の組成物、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の求電子性モノマーを含有する第2の組成物、及び求核剤を含有する第3の組成物を含む染色用キット。
【請求項30】
顔料と求電子性モノマーを含有する組成物が、同じ無水組成物に存在している、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
ケラチン物質を染色するための、請求項1ないし23のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項32】
ケラチン繊維を染色するための、請求項31に記載の使用。

【公開番号】特開2006−131630(P2006−131630A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−298737(P2005−298737)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】