説明

少なくとも1つのプリント・パターンを有する電子カードの製造方法

【課題】 基礎的なセキュリティパターンと個人データを有するカードの製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のカード(カード本体中に埋設された電子ユニットと、前記カード本体の第1表面にプリントされた第1パターン(基礎的なセキュリティパターン)とを有する)の製造方法は、(A)複数のカード本体を、複数の電子ユニットを組み込むシートの形態で形成するステップと、(B)複数の第1パターンを、前記シートの第1表面に、印刷装置でプリント(前記印刷装置のインクが前記第1表面に堆積され第1パターンを形成し)するステップと、(C)前記カード本体に接着する少なくとも部分的に透明なコーティング層を、前記第1パターン上に配置するステップとを有する。更に、(D)複数の第2パターンを、前記シートの第2表面に、印刷装置でプリントする(前記印刷装置のインクが前記第2表面に堆積され第2パターン(個人データ)を形成する)ステップと、(E)少なくとも部分的に透明なコーティング層を、前記第2パターン上に配置するステップとを更に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カードの製造方法に関する。電子カードは、少なくとも1個の電子ユニットを有し、あらゆる形状をしている。特に本発明は、少なくとも1個のプリントされたパターンが少なくとも部分的に透明なコーティング層(特にオーバーレイ)で保護されている電子カードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明においては、製造されたカードは、その平坦な両面にプリントされたパターンを有する。各プリントされたパターンは、少なくも部分的に透明なオーバーレイで保護されている。
【0003】
本発明の方法は、様々な厚さで且つ様々な寸法のあらゆる種類の電子カードに適用可能である。しかし本発明は、特に薄い(例えば0.8mm)電子カード(例、銀行のキャシュ・カード)の製造に適用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第WO2004/074000号公報
【0005】
本発明は、高品質のプリントされたパターンを有するカードに関する。例えば偽造が困難なセキュリティインプレッションを有する銀行カード、IDカードに関する。
【0006】
カードの製造方法は、特許文献1で公知である。同文献においては、データの書き込みは、カードの様々な層が組み立てられた後、レーザビームで行われる。この為に、レーザで書き込み可能な特殊な層がカード内に導入される。テキスト或いはパターンを書き込む方法は、限られたものであり、比較的長時間を必要とする。その理由は、レーザビームで書き込むには、レーザビームを所望のパターンにマッチしたラインに追従させなければならないからである。本発明は、個人化されたカードの書き込みに用いられる。しかし、様々な色でパターンを形成したり、或いはカードの表面全体をカバーするのには用いることができない。更に、この技術は、カード内に、特殊なレーザに感受性のある層を組み込むことが必要である。かくして、レーザ書き込み技術は、本発明の範囲に入るものではなく、本発明は、硬い層の上に、インクを堆積してプリントする技術、或いはカードを形成するシート表面に関する。
【0007】
図1に、カードの両面にインクでプリントされたパターンを形成する電子カードの従来の製造方法を説明する。従来の製造方法は、以下の主要な3点で本発明とは異なっている。
第1の点:複数の電子モジュール4を有するインレイ2が形成される。電子モジュール4は、基板6を有する。基板6は様々な電子素子8,9,10を搭載する。電子モジュールは、あらゆる種類のものでもよく、基版無しに互いに接続される電子素子で形成されうる。
第2の点:不透明な中間層12,13が形成され、その上に、それぞれ第1パターン14,第2パターン15がプリントされる。高品質なプリントを得るために、中間層は白色が好ましい。更にこれ等の中間層を、第1と第2のパターンをプリントする間、安定状態に保持するために、十分な厚さ(例、100μm以上)のPVC層を選択できる。高精細のプリントを有するカードを得るために、特にIDカードを得るために、120−150μmの厚さの中間層が選択される。
第3の点:2枚の透明オーバレイ16,17が、プリントされたパターンとインレイ2の上に配置され、中間層12,13と透明オーバレイ16,17が、ラミネーティング・ステーション(垂直矢印方向に積層する装置)に配置されて、様々な層を組み立てる。かくして、複数のプリントされた電子カードを規定するプレートを形成する。個々のカードが、プレートに最終的に切り込みを入れることにより得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
透明オーバレイ16,17の厚さは、50−100μmで、好ましくは60−80μmである。
【0009】
ISO標準による0.76−0.84mm厚の銀行カードの場合には、中間層と外側の保護層との全厚は、例えば360μm(0.36mm)である。これは、120μmの厚さの中間層と60μmの厚さの外側層を選択した場合である。かくして、ISO標準内の厚さのカードを得るためには、電子ユニットを有するインレイは、480μm以下の厚さ、即ち400−480μmの間の厚さを保持しなければならない。
【0010】
インレイ2の高さが制限されているために、インレイ2に組み込まれる電子素子の高さも制限される。電子カードが、少なくとも1個の電子素子(その高さは約300μm)を組み込んだ場合には、インレイ2を形成する材料の厚さは、電子素子の上下で薄くなければならない。かくして、このような状態で、適正な平坦な表面を有し加熱状態で均一の挙動を示すようなインレイ2を得ることは困難である。かくして、上記の従来の方法において、ラミネーティング・ステップの間、中間層は、電子素子上にある領域で局部的な変形を容易に受けやすい。インレイ2は、しばしば表面の波打ち状態になるという事実により、ラミネーションの間、できる限りこの波打ちを減らす為に、比較的大きな熱エネルギーの供給を必要とする。熱の影響下でインレイの波打ちと変形を補償すると、中間層の変形が発生することになる。この中間層は、積層された層内に有るために、柔らかくなり容易に変形し或いは若干広がる。この中間層は、インレイよりもより多くの熱エネルギーを受け、又インレイよりも厚さが薄いので、中間層は最大の変形を受けることになる。これ等の中間層12,13はプリントされたパターンを搭載しているために、パターンは、最終ラミネーティングステップの間、損傷を受けやすくなる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
局部的変形は、特に電子素子が配置される領域において、熱の存在下でインレイ2を形成する材料の様々な挙動により生成され、インレイの表面状態に影響を及ぼす。これは、これ等の領域の材料が薄く、電子素子がインレイの表面近くにある場合である。ラミネーティングステップの間(このステップの間、熱エネルギーが様々な層の組み立てに供給される)、この領域(電子素子が配置され電子素子の存在に起因するバンプがある)の材料の挙動が、軟化した中間層において、局部的に材料の小さな変移を起こし、これが中間層上のプリントされたパターンを目立たせることになる。最後に、電子素子が硬くなると、中間層が電子素子から短い距離に配置されたときと同様、ラミネーションの間、容易に中間層を目立たせてしまう。
【0012】
上記した従来の製造方法により、電子ユニット又は電子モジュールを組み込んだインレイは、平坦な表面で圧力をかけて形成することができ、かくして電子ユニット又は電子モジュールを、カードの製造の間曲がるのを阻止することができる。当業者は、電子カードカードの製造方法において、特に上記のことを考慮しなければならない。特に、電子ユニット又は電子モジュールが大きく、様々な電子素子の間の電気接続が必要な場合上記のことを考慮しなければならない。かくして、インレイ2即ち中央シートは、カードの製造の間、曲がることもなく反り返ることもない。
【0013】
次に当業者は、上記の従来方法は、カードの両側に高品質のプリンティングを得る適当な方法であると見なしている。不透明な中間層が、平坦な表面と均質なプリンティング・サポートを規定する。高精細のプリントされたパターンを得るため、この中間層を用いることが必要である。特にシリンダ状の印刷機特にオフセットタイプの印刷機を使用する場合はそうである。印刷支持部材は、シリンダの円筒状表面にピンと張られるので、電子素子を組み込んだインレイを形成しながら、且つプラスティック材料(例えばPVCシート)で全体を形成した均一な層の上に高品質のプリントを実行できる。次にこれ等の層は、ラミネーティングステーションで組み立てられる。このラミネーティングステーションでは、層が組み立てられるべき平坦な表面の間に押されて配置される。
【0014】
かくして、当業者は、均質なプラスチックシート(厚さが100−150μmの間)を高品質のプリンティング特にオフセットプリンティング用のサポートとして、使用する傾向にある。これ等のシートは、シリンダ印刷装置では適正に挙動する事が分かっている。かくして、当業者は、電子素子を組み込んだインレイを形成することと、均質でフレキシブルなサポート上にプリントすることを分けて行う。次にこれ等の層を、平坦化技術を用いて組み立て、カードの両側に見ることのできるプリントされたパターンを有する電子カードを得る。印刷支持部材として使用された中間層は、印刷支持部材が印刷装置で安定し、後続のラミネーティングステップでこの中間層を拡げることを制限するようなある種の厚さを有するのが好ましい。
【0015】
かくして上記したように、この従来方法は第一の欠点がある。即ち、インレイ2の厚さが限られているために、組み込まれる電子素子の高さを制限してしまい、中間層が、最終カードを形成するために使用されるホットプレス内を通過する時に、プリントされた中間層が変形してしまう。
【0016】
従来の方法の他の欠点を次に述べる。複数の層(厚さが500μm以下のインレイと、厚さが100μm以下の2つの中間層と、厚さが60−80μmの2つの透明なアウトレイとからなる)をラミネートすることは、比較的高価なラミネーティングステーションを必要とする。更にインレイ2の表面の波打ちし、インレイ2を構成する材料が内部ストレスを有する場合には、様々な層をラミネーティングするには、カード製造方法の精密な制御が必要である。特にこの方法で関連するパラメータ、即ちラミネーティングサイクルの圧力、温度、長さを調整することが必要である。多くのノウハウが、高品質のカードを製造するのに必要なために、ラミネーティングステップは、このような技術のスペシャリストが行うのが好ましい。局部的な欠陥無しに高精細のプリントされたパターンを有するカードを得ることが非常に困難であるという事実に加えて、これ等のカードを製造することは、特に高品質のカードを製造することは、専門家が行わなければならない。かくして、カードの最終仕上げにおけるフレキシビリティは、これは電子素子を組み込んだインレイの製造とプラスチックシートの印刷装置でプリントされた中間層の製造から予測できるが、実際には使用することができない。従って、カードの発行者或いはカードのユーザーは、どこかでこのカードをプリントし、最終的に組み立てを実行することはできない。
【0017】
本発明の目的は、上記の従来技術の様々な欠点を解決する電子カードの製造方法を提供することである。本発明の方法は、高品質にプリントされたパターンを有する電子カード特に高精細のパターンの効率的な製造方法を提供する事である。
【0018】
本発明の他の目的は、高精細のセキュリティパターンと、低精細の個人用パターン(personalised pattern)を有するカードの製造方法を提供することである。本発明の方法により、個人用パターンは、容易にプリントでき、別の場所で最終仕上げをすることができ、少なくとも部分的透明なコーティングを追加することにより、個人用パターンの保護を確実にできる。
【0019】
本発明は、カードの製造方法に関する。前記カードは、カード本体中に埋設された電子ユニットと、前記カード本体の第1表面にプリントされた第1パターンとを有する。
本発明のードの製造方法は、
(A) 複数のカード本体を厚いシートの形態で形成するステップと、
前記厚いシートは、複数の電子ユニットを組み込み、
(B) 複数の第1パターンを、前記厚いシートの第1表面に、印刷装置でプリントするステップと、
前記印刷装置のインクが前記第1表面に堆積され第1パターンを形成し、
(C)少なくとも部分的に透明なコーティング層を、前記第1パターン上に配置するステップと、
前記透明なコーティング層は、前記カード本体に接着する
を有する。
【0020】
本発明の一実施例によれば、
(D) 複数の第2パターンを、前記厚いシートの第2表面に、印刷装置でプリントするステップと、
前記印刷装置のインクが前記第2表面に堆積され第2パターンを形成し、
(E) 少なくとも部分的に透明なコーティング層を、前記第2パターン上に配置するステップと、
前記透明なコーティング層は、前記カード本体に接着する
を更に有する。
この場合第1と第2のコーティング層、特に2枚ののプラスティックフィルムが、第1と第2のパターンがプリントされた後、同時に付加される。このコーティング層は、ラッカー或いは透明なインクで形成される。この透明なインクは、インクサポートから移送され堆積されたものである。後者の場合、ラッカー又は透明なインクは、この表面がプリントされた後、直接堆積される。
【0021】
本発明の一実施例によれば、前記厚いシートは、電子ユニットが組み込まれる複数のカード本体を形成し、前記厚いシートは、前記カードの最終厚さの2/3以上の厚さを有し、前記2つのコーティング層は、2つのアウトレイにより形成される。
本発明の一実施例によれば、
前記カードは、0.76−0.84mmのISOで規定する厚さを有し、前記プリントされた厚いシートの厚さは、0.60mm以上である。
【0022】
本発明の方法によれば、印刷装置は、厚いシートの第1表面上に複数の第1パターンをプリントするのに用いられ、印刷支持部材として使用される複数個のシリンダから構成される。かくして複数の電子ユニット又は電子モジュールを組み込んだ厚いシートが連続してプリンティングステップの間、シリンダの表面上に配置される。かくして厚いシートは、印刷装置で湾曲したり曲げられたりするが、これは従来これは当業者は避けなければならない現象である。特に印刷装置は、オフセット印刷装置或いは高精細のプリントを行う類似の装置である。
【0023】
厚いシートの表面上に複数個の連続したプリントを提供することも可能である。例えば、まず第一に、高精細のパターン(特に基礎的なセキュリティパターンを形成する)を厚いシートの第1表面に形成する。この基礎的なセキュリティパターンは、高価で複雑な手段を用いずに再生することは困難である。次に、第2プリント(低精細であるが必ずしもその必要はない)を、その後クライアントのステーションで、第1プリントの上に直接或いは第1プリントの上に配置された少なくとも部分的に透明な薄い中間層の上に形成する。この第2プリントが個人データを規定する。
【0024】
第1パターンの後に行われる第2プリントは、厚いシートからカード本体を切り離すステップの後に、即ち切り離された各カード本体上の厚いシート上に行ってもよい。後者の場合、コーティング層は、個々のカード本体のプリントされたパターンに追加される。これにより、カード毎に最終仕上げされる。
【0025】
一般的に本発明の方法においては、或いはプレート又はシートからの一連のカード(電子素子をプレートに組み込んでいるか否かを問わず)の製造方法においては、各カードを個別にプリントし、その後カードのプリント部分をある厚さのプラスティック製のオーバーレイでカバーする方法が提供できる。これは次のようにして行われる。各カード本体(これは第1プリントされたパターンを含むか否かを問わず)を、プレートから切り離される。この際、最終カードの寸法よりも大きな寸法(形状)で切り離す。次に特定のプリントを各カード本体にプリントし、40−80μmの厚さのオーバーレイをその上部に付加する。これは薄いレジン層の有無を問わない。カード本体のより大きなフォーマットに適合できるよう、小さな圧力でカード毎に組み立てる。最後にカードの最終形状で、最初の形状の内側で切り離す。これにより、本発明の製造方法の第2のフェーズにおいて、カードの個々の製造が可能となり、カード本体とラミネートされたオーバーレイを有し、均一のカットでクリーンなカードエッジを形成し、かくして高品質のカードを得る。
【0026】
本発明は、カードの製造方法に関する。前記カードは、カード本体中に埋設された電子ユニットと、前記カード本体の第1表面にプリントされた第1パターンとを有する。本発明のカードの製造方法は、
(A) 複数のカード本体を、厚いシートの形態で形成するステップと、
前記厚いシートは、複数の電子ユニットを組み込み、
(B) 複数の第1パターンを、前記厚いシートの第1表面に、印刷装置でプリントするステップと、
前記印刷装置のインクが前記第1表面に堆積され、前記第1パターンは、別々のカード本体上に形成され、
(C) 複数の第2パターンを、1つ或いは複数の部分的に透明なコーティング・フィルムの表面にプリントするステップと、
(D) 1つ或いは複数のコーティング・フィルムを前記厚いシートの第1表面に配置するステップと、
前記各第2パターンは、別々のカード本体上方に配置され、
前記厚いシートからカード本体を切り離すステップの後、前記複数のフィルムは、前記複数のカード本体上にあり、
その結果、前記フィルムのプリントされた表面は、前記厚いシートの側又は前記フィルムの一部のプリントされた表面の上に配置され、
前記複数のフィルムの内の一つのフィルムは、それぞれのカード本体の側に配置され、
前記第1パターンは、前記フィルムを通して少なくとも部分的に見ることが可能であり、
(E) 前記厚いシートを前記フィルムと組み立てる、或いは前記フィルム又は前記カード本体を前記フィルムの一部又は前記複数のフィルムの一つのフィルムと組み立てるステップ
を有する。
【0027】
上記した本発明の利点を維持しながら本発明の方法は、更なる改善点を有する。この本発明の方法によれば、複数のプリント特に一般的なベーシックプリントを形成する高精細のセキュリティパターンを形成し、その上に個別のサポート上に第2のプリントされたパターンを配置する。例えば、銀行カードやIDカードの場合では、個人用パターン(個人情報)である。この改善方法により、個人用パターンと高精細のセキュリティパターンを、裸眼では見ることができない程度に重ね合わせることができる。
【0028】
「個人用パターン」即ち「個人データ」は、その性質が、例えば会社向け、個人向け、動物向け或いは他の対象向けに依存して変わるあらゆるプリントを意味する。この個人用プリントは、数字、写真、ロゴ、ブランド等である。
【0029】
個々のカードを切り離すステップは、ステップ(D)の前、又はステップ(E)の後に行われる。ステップ(D)と(E)は、フィルムが組み立てプレス装置によりカード本体と接触している場合には、同時に行うことができる。かくして、プレートをカードの最終切り離しまで、或いは各カード本体をそれぞれ透明なオーバーレイと組み立てることにより1個ずつカードを最終仕上げするまで、プレートで行われる。複数のプリントされたパターンを同一フィルム上と各カード本体(既に切り離された)を有する印刷ステーションも本発明の範囲にはいる。このカード本体はフィルムの反対側に個別に追加される。これは、そのカード本体用に意図したものである。その後、ホットプレスを用いて、フィルムの前記部分を個々のカード本体と組み立て、その後フィルムの一部のみを切り離す。作業は、写真フィルムのようなストリップ形状のフィルムを用いて連続して行われる。例えば、各カード本体の最終形状は、各カード本体で切り離され、これは最終カードのそれよりもより大きな寸法を有する。
【0030】
本発明の変形例によれば、前記(B)ステップの後、(B1)前記第1のプリントされた表面を、保護フィルム又はラッカーでカバーするステップを更に有する。これにより、前記ステップ(D)の前に、前記第1パターンを保護する。
【0031】
本発明の変形例によれば、前記保護フィルム又はラッカーは、除去可能な方法で、前記厚いシートの第1プリント表面上に配置され、前記ステップ(D)の前に除去される。ここで、少なくとも部分的に透明なフィルムが、前記の第1のプリントされた表面上に配置される。この特徴により、第1のプリントされたパターンがある時点まで保護される。ある時点とは、少なくとも部分的に透明なフィルム(第2パターンのプリントを含む)が厚いシートの第一のプリントされた表面上に配置される時である。この厚いシートは、かくして、プリントされたパターンに損傷を与えるリスク無しに、プリント後、保存可能或いは移送可能となる。これは、特に第1のプリントされたパターンが高精細のセキュリティプリントを規定する場合には、重要である。
【0032】
本発明の変形例によれば、厚いシートの第1表面をカバーする保護フィルム又はラッカーが、厚いシートに適正に接着し、少なくとも部分的に透明なフィルムと厚いシートとの間に接着インターフェースを、ステップ(E)の間、形成する。この利点は、他の実施例でも得られる。保護フィルム又はラッカーがカードの一部を形成する。また、これらは、少なくとも部分的に透明である。
【0033】
本発明の特定のアプリケーションや市場、特にIDカードの市場においては、本発明のステップ(B)と(D)は、異なる製造場所(国)で行ってもよい。かくして、例えば厚いシート上の第1のプリントされたパターンが、一般的なセキュリティプリントを規定する。このセキュリティプリントは、高価な印刷装置を必要とし、プリント技術の良好な制御を必要とする。透明なフィルム上の第2のプリントされたパターンが、個人用プリントを規定する。この個人用プリントは、精細度は低くてもよく、安い印刷手段を用いて様々な場所(国)でプリントでき、ノウハウもあまり必要としない。
【0034】
好ましくは、本発明の改善された方法により、少なくとも部分的に透明なオーバーレイが、厚いシートでラミネートされ、両面に印刷されるが、これはステップ(A)で用いられるエネルギー量に比較し少ないエネルギー量で行うことができる。これにより、厚いシートの変形を制限し、更に第1のプリントされたパターンの検知可能な変形を阻止する。プリントされたシートの安定性が大きくなると、従来技術のように加熱工程を含む製造プロセスでも、シートの変形はほとんど無い。これにより、積層されたプレートがホットプレスに配置された時に、熱が中間プレートに到達する。
【0035】
最初に述べた本発明の方法におけるのと同様に、意外なことに。当業者は高精細のプリントされたパターンを有する電子カードの製造方法は、好ましい実施例で、次の製造方法は、思い浮かばない。第1パターンを印刷する印刷装置は、印刷支持部材として使用される複数個のシリンダから構成され、前記厚いシートは、複数の電子ユニットを組み込み、前記厚いシートは、印刷ステップの間、前記シリンダの表面上に連続して配置され、前記印刷装置で、複数回の曲げられる。
様々なテストを行ったが、意外なことに、電子ユニット又は電子モジュールが比較的フレキシブルな厚いシートに埋設されており、この種の印刷装置を通過するが、電子ユニット又は電子モジュールに損傷を受けることはない。電子素子(電子ユニット又は電子モジュール)が大きい場合には。電子素子にはフレキシビリティを与え、弾性的に変形できるようにするのがよい。電子素子の間の電気接続即ち接続リンクに注意を払う必要がある。特にフレキシブルなサポートとスライドする電気接点が好ましい。
【0036】
第1パターンを印刷する印刷装置は、高精細印刷用のオフセット印刷機である。
【0037】
本発明の変形例によれば、
(F)複数の第3のパターンを、印刷装置で、前記厚いシートの第2表面にプリントするステップと、
(G) 少なくとも部分的に透明なコーティング層を、前記第3のプリントされたパターンに配置するステップと、
前記第3のプリントされたパターンは、厚いシートで形成されたカード本体に固着する。好ましくは、第1と第2フィルムが、同一ステップの間、付加され組み立てられる。これは、様々なプリントが行われた後行われる。
【0038】
本発明の変形例によれば、
前記厚いシートは、前記カードの最終厚さの2/3以上の厚さを有する。特に紙幣の場合は、前記プリントされた厚いシートの厚さは、0.60mm以上である。
【0039】
一般的に、薄いレジン層を、厚いシートの第1と第2のプリント表面上に配置することもできる。或いはこれ等の2つの表面の両方或いは一方に添加された少なくとも部分的に透明なフィルムのプリントされた表面上に配置することもできる。この薄いレジン層は、フィルムと厚いシートとの間の接着インターフェイスを形成するよう選択される。一般的に、この薄いレジン層は、プリントされたパターン上に配置される。しかし変形例として、この薄いレジン層を最初にサポートの表面上に配置し、その後レジンにプリントすることもできる。後者は幾分難しい。特に、組み立てステップ(特にラミネーションのステップ)の間、熱エネルギーがこの薄いレジン層に伝達されるため、インクが若干拡散するのを回避することが困難であるからである。
【0040】
本発明の方法は幾つかの利点がある。第一に、本発明のインレイは、従来のものよりもより厚い電子ユニットを組み込むことができる。これにより、透明なコーティング層により保護された高品質のプリントされたパターンを具備したカードを製造できる。本発明の厚いシートにより利点がある場合を2つに分けて考える。第一の場合は、より厚いカード本体は、従来の方法のそれよりもより高い電子素子を組み込むことができる。第二の場合には、ある電子ユニット又は電子モジュールに関し、電子素子(電子ユニット又は電子モジュール)の上部表面と底部表面をカバーする材料の量は、従来の方法の場合よりも多くなる。かくして、電子素子の上下の層を形成する材料の厚さは、より大きくなり、これにより、完全に平坦な表面が高品質の印刷用に容易に得ることができる。プリントされたシートの平坦さは、プリントされたパターンの完全な再生を得るために重要である。
【0041】
上記したように、電子素子をカバーする材料が薄いと、電子素子はカード本体の表面で波状態を形成する。このことは、カード本体を規定するシートが、電子素子を挟んだ少なくとも二枚のプラスチックシートを押圧することにより形成される場合に、特に当てはまる。電子素子が柔らかいプラスチックシートを貫通すると、それを覆う材料は変形して、電子素子は、プラスチックシート内に収納即ち埋設される。これにより内部引っ張り力或いは内部ストレスが、層を形成する材料中に発生する。カード本体を形成するシートを圧縮機から取り除くと、小さなバンプが電子素子を配置し場所に現れることがある。この現象は、特に電子素子をカバーする材料が薄い場合である。
【0042】
かくして本発明の方法は、電子素子をカバーする材料の厚さを増やし、厚いシート用により良好な平面状態を形成する。これにより、良好なレベルの平坦さを示し、良好なプリント支持部材を形成する。更にこの厚いシートは、少なくとも部分的に透明なアウトレイで、最終組み立てステップの間より安定状態を維持する。この主な利点は、更に本発明の方法による他の利点により強化される。即ち、プリントステップの後の組み立てステップは、カード本体を形成する厚いシートを比較的薄いアウトレイと組み立てる事だけである。かくしてこの組立は、比較的短時間の間低温度で、即ち限られた量のエネルギーを供給するだけで、ラミネーションにより達成できる。
【発明の効果】
【0043】
アウトレイは、プレスの表面により安定化され、中央層のみが厚いシートで形成され、最終ラミネーションステップに必要とされるエネルギーが少ないために、検知可能な変形を受けることはない。この後者の利点は、従来の方法(この従来の方法は、印刷支持部材として使用される二枚の中間シートの存在によりより、多くの量のエネルギーを必要とする)に比較すると極めて重要である。かくして、より厚い電子素子を組み込んだシートの上に直接プリントできるということは、2枚の別個にプリントされた中間層を省くことができ、プリントされたパターンの質が、最終組み立てステップ(このステップでこれ等のプリントされたパターンが透明なアウトレイにより保護される)の間、変わることがないことを意味する。
【0044】
本発明の他の重要な利点は、両方の裏面(back-to-back)にプリントを有するカードの製造に関する。第1パターンと第2パターンが、厚いシートの両側にプリントされるので、これ等2枚のパターンの相対位置の確保が容易となる。更に最終組み立てステップの間、この位置は安定している。これは、従来の方法ではあり得なかったことである。従来の方法においては、2つのパタ−ンがそれぞれ2枚のインレイにプリントされ、最終組み立ての間、正確な相対的位置を必要とし、そしてこの相対的位置は、最終組み立てステップの間変わることがある。但しこれは、中間シートがインレイと透明なアウトレイの間に配置される為に容易に静かに動く場合である。
【0045】
本発明の別の利点を以下に説明する。プラスティック層が適正にラミネートされるために、当業者は、マット表面即ちマイクロレリーフを具備する層を選択できる。かくして従来の方法においては、プリントが、一般的にこのようなマットプラスチックシート上で行われる。この表面状態は、プリントされたパターンに対し可能な高精細を制限してしまう。かくして本発明によれば、第1パターンは厚いシート上にプリントされ、この厚いシートはより平坦な表面を有する。この厚いシートは少なくとも最終ステップ、即ち平坦な表面を有するプレスステップでのみ形成すればよい。本発明の方法により得られた厚いシートは、かくして完全に平滑且つ平坦である。このことは非常に細かく小さな文字又はパターンをプリントできる事を意味する。即ち高精細のプリントが可能となる。
【0046】
本発明は非常に大きな利点がある。その理由は、電子素子を組み込んだ厚い層が、最初に形成されるからである。上記したように、この厚い層は、平坦且つ均一な表面を有する。更にこの厚い層は、従来の内部層に比較し、内部の残留引っ張り力が最小のために安定している。かくしてこの厚い層は、カード製造業者或いは印刷業者により高精細なプリント用に非常に良好なサポートを構成する。かくして電子素子を組み込んだ厚いシートが得られ、特に両面に高品質のパターンを有する厚いシートが得られる。このパターンは、特に少なくとも1個のセキュリティパターンを有する。最終仕上げされたカードを得るために、厚いプリントされたシートに不足しているものは、透明な保護コーティングである。透明なフィルムは、比較的簡単且つ安価な装置で、プリントでき、その後、厚いシートと特に小さなエネルギーで以て容易に組み立てることができる。これによりプリントされたパターンは、この最終組立の間損傷を受けることはない。かくして、透明なアウトレイ上にプリントし、このアウトレイを厚いシートと組み立てることは、単純且つ安価な装置を用いて且つ素人でも容易に行うことができる。このステップは、クライアントに別の場所でクライアントの有する装置で達成できる。
【0047】
総括すると、プリント後最終ラミネーション或いはボンディングの間、1個の中央の厚いシートのみを有することは、シートのうしろ(局部的に変形することもなく省エネルギーで以て覆うことができる)とシートをその間に挟んだ二枚の薄いアウトレイとを有するという事実は、高品質のプリントを有するカードの製造を保障し、前記のラミネーション或いは最終ボンディングの間、損傷を受ける可能性が少ない。このことは、効率と歩留まりが上昇し、透明なアウトレイ上のプリントとその中央の厚いシートへの組立は、厚いシートを形成し、高品質のプリントをシートのこの表面上に形成した製造業者、製造場所とは異なる別の場所で行うことができる。
【0048】
本発明は、更に、本発明のよるカードの製造方法においての中間製品或いは半最終組み立て製品に関する。この中間製品は、複数の電子ユニットを組み込み、複数のカード本体を規定するシートにより形成される。このシートの第1表面は、複数のプリントされた第1パターンを有する。
【0049】
本発明の変形例においては、前記の複数の第1パターンは、保護コーティング層、特にプラスティックフィルム、レジン層、ラッカーで、カバーされる。ラッカーは、例えば透明なフィルムの助けを借りて堆積される一種の透明なインクである。
【0050】
第一の場合、保護コーティング層が、一時的に厚いシート上に配置される。かくして保護コーティング層は、シートに固着せず、それ故に除去することができる。
【0051】
第二の場合、保護コーティングは、前記シートにしっかりと固着する。かくして、中間製品から形成されたカード用の少なくとも部分的な透明な層を形成する。
【0052】
本発明の変形例の場合、第1パターンが、高精細のセキュリティパターン、特に裸眼では見ることのできないプリント要素或いはキャラクターを規定する。
【0053】
本発明は、更に、本発明の方法を実行する中間で得られたプレートに関する。このプレートは、厚いシート又は層を含み、カード本体のそれぞれを規定する層を規定する。厚いシート又は層は、複数の電子ユニットを組み込む。このシートは、第1表面上に、複数のプリントされた第1パターンを有する。このプレートは、更に第一の少なくとも部分的に透明なフィルムを、前記厚いシートの第1表面上に有し、その内側層にプリントされた複数の第2パターンを有する。各カード本体は、第1パターンと第2パターンに関連している。この第1パターンと第2パターンは、カードの同一レベルに配置される。
【0054】
本発明の変形例においては、前記複数の第1パターンと複数の第2パターンは互いに薄く、少なくとも部分的に透明な層により分離される。この薄い透明な層が、接着インターフェースを構成する。
【0055】
本発明の変形例においては、第1パターンが、高精細のセキュリティパターンを規定し、第2パターンが、一部個人データを規定する。
【0056】
他の変形例においては、プレートは、第2表面の一方の側に少なくとも1個の複数のプリントされたパターンを有する。このプリントされたパターンは、部分的に透明なコーティングにより保護される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】従来の方法により製造した、表面と裏面にプリントされたパターンを有するカードの断面図。
【図2】本発明の方法により製造したカードの第一実施例の断面図。
【図3】複数の電子ユニットを組み込んだ厚いシートの断面図。
【図4】本発明の方法により製造したカードの第二実施例の断面図。
【図5】本発明の方法により厚いシートをプリントするのに用いられるオフセット印刷機の側面図。
【図6】図5のオフセット印刷機の部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図2に示す本発明の方法の第一実施例の特徴点は次の通りである。複数の電子モジュール4を組み込んだ即ち埋設した厚いシート20を最初に形成する。この厚いシート20が、複数のカード本体を規定し、それぞれが電子モジュール4を有する。
【0059】
厚いシート20は、当業者に公知の技術を用いて形成できる。特に厚いシート20は、積層した或いは互いに結合した複数の層で形成できる。本発明の変形例においては、少なくとも1つの中央の層が開口を有する。この開口が、少なくとも電子素子8,10を収納する。他の変形例においては、電子モジュール4は、プレス装置内に入れられる。そこで、プラスティック層が最初に十分軟化され、その後、電子モジュール4がこれ等の層を貫通してそれ自身のハウジングを形成するようプレスされる。厚いシート20は、他の変形例では、液体レジンを注ぐ或いは注入することにより得られる。
【0060】
好ましくは、厚いシート20の表面21,22は、不透明特に白色である。しかしこれ等の表面のある部分は、他の色或いは透明でもよく、その内側のレベルにおいては、あらゆる種類の表示、ロゴ、ホログラムを見えるようにしてもよい。これ等透明な領域への部分的なプリントは、特にセキュリティ用のものである。
【0061】
厚いシート(層、レイヤとも称する)20が形成されると、その表面21,22は非常に外見上平滑で平坦である。厚いシート20の厚さは、図1に示す従来のインレイのそれよりも大きいために、厚いシート20の内側に配置された電子モジュール4の存在は、表面21,22の状態にあまり影響を及ぼさない。但し当業者が厚いシート20を形成する技術をマスターした場合であるが。電子素子8,10の上下に厚いシート20を形成する材料の厚さは、図1のインレイ2のそれよりも遥かに厚い。従来技術のインレイ2の表面の波打ちは、厚いシート20が同一技術により本発明により形成された後は現れない。
【0062】
本発明の方法によれば、上記の変形例においては、第1パターン14と第2パターン15が、それぞれ厚いシート20の表面21,22に直接印刷される。こうする為に、厚いシート20は、印刷装置内に導入される。好ましくは、印刷装置は、極めて高品質のパターンを印刷できる高精細プリント装置で、特に裸眼には見えずらい文字又はサインを印刷するものである。厚いシート20上の第1パターン14と第2パターン15をプリントするプリント装置を図5,6に示す。
【0063】
第1パターン14と第2パターン15が、厚いシート20の両側に印刷されると、これ等のプリントされたパターンは、本発明の変形例では、少なくとも部分的に透明なオーバレイ(フィルム)16,17で保護される。これ等の透明オーバレイ16,17は、厚いシート20の両側或いは一方に、プレス(例えばシリンダ又はベルトによる平坦な圧力表面或いは連続する圧力表面でプレスする)装置によるラミネーション或いはボンディングにより、それ等に追加される或いは組み込まれる。この組み立てステップでは、ほとんど熱エネルギーを必要としない。その結果、厚いシート20の安定性を容易に確保できる。即ち表面21,22の変形を阻止できる。かくして本発明の範囲内において、プリントされたパターンは、層を組み立てる最終ステップで、損傷を受ける可能性が少ない。最後に、カードを上記により得られたプレートから、図2に示す点線の垂直ラインに沿った切り込みに沿って、切り離される。
【0064】
銀行カードの形成の場合、即ちISOの厚さが0.76mm−0.84mmのカードの形成においては、厚いシート20の厚さは、600−720μm(0.60mm−0.72mm)の間であり、各透明オーバレイ16,17の厚さは、60−80μmの間である。一般的に本発明によれば、厚いシート20の厚さは、形成されたカードの最終厚さの2/3以上である。上記の実施例においては、厚いシート20の厚さは、600μm(0.6mm)以上である。
【0065】
厚いシート20が、ラミネートプレスで加熱しながら形成されて、コンパクトな層を形成すると、この厚いシート20を形成するステップに必要なエネルギー量は、透明オーバレイ16,17をラミネートするのに必要なエネルギー量よりも遥かに多い。この透明オーバレイ16,17は、厚いシート20の厚さに比較して薄いからである。
【0066】
特に変形例として、薄いレジン層を、厚いシート20の表面21,22、或いは透明オーバレイ16,17の内側表面に付加する。適宜な方法を選択すると、この薄いレジン層は、接着層となり、これは特に第1パターン14,第2パターン15を形成するインクの存在下で、積層された層の接着力を増加させる。かくして厚いシート20と透明オーバレイ16,17の組立(例、接着)をより強固にする。
【0067】
一般的に、透明なフィルムを厚い層に組み立てる(例、接着する)こと、或いはコーティング層を各プリントされたパターンに付加する(例、接着)ことは、フィルム或いはコーティング層を、対応するカード本体(即ち厚いシート)に適切に接着するのを確実にするよう行われる。かくして、使用するインク又は材料の選択は重要である。上記したように、接着インターフェイス(薄いレジン層或いはラッカーにより形成されるが)の存在により、透明なアウトレイと厚い中央シートの強固且つ長寿命の組立体を形成できる。
【0068】
用語「厚い層」即ち「厚いシート」は、この「厚い層」即ち「厚いシート」は、同一材料或いは異なる材料の複数のサブレイヤーから形成されるものではないことを意味するものではない。かくして、厚いシート20は、様々な材料と様々なサブレイヤーで形成される。重要な点は、厚い層即ち厚いシート20が、少なくとも一つの表面上に複数のパターンをプリントできるような支持部材を形成する点である。
【0069】
図3は、本発明により形成された厚いシートの変形例を示す。同図において、第一ステップにおいて、インレイ24は、ラミネーティング・ステーションで、プラスティック層26,27で形成される。プラスティック層26,27の間に、複数の電子ユニット28が挟まれる。電子ユニット28は、特にコイル即ちアンテナ30に接続された集積回路29を有する通信ユニットである。プラスティック層26,27を軟化し圧縮して、電子ユニット28をインレイ24内にできるだけ埋め込む。プラスティック層26,27が、集積回路29とアンテナ30の領域で大きく変形すると、即ちこれ等の二つの要素が、二つの層を突き抜けることにより材料が移動すると、幾分かの波打ちが、これ等の電子素子が配置された領域で、インレイ24の表面に現れる。
【0070】
本発明の他の変形例において、他の電子ユニット或いは電子モジュールが、インレイ24内に組み込まれる。これ等は当業者に公知の方法で形成される。少なくとも一つの電子素子が、インレイ24の少なくとも一つの表面と面一となる。
【0071】
本発明による平坦で均一な表面を有する厚い層を得るために、即ち極めて高品質の印刷支持部材を得るために、二つの好ましくは不透明の白色の層32,33が、インレイ24の両側に配置される。この組み立て品をラミネーティングステーションに配置し、複数の層を積層した構造体(白色の層32,33とインレイ24とからなる構造体)である厚いシート36を形成する。厚いシート36を形成する第二ステップにおいて、パターンが層32,33の表面にその後プリントされない場合には、十分なエネルギーを供給して、インレイ24内の残留内部引っ張り力(即ちストレスの応力)を低減し、層32,33を若干変形させて、必要によっては、インレイ24の表面上に現れる波打ちをなくす。
【0072】
厚いシート36を形成するこの変形例は、様々な利点がある。インレイ24は、低コストで、必ずしもこの段階で平坦な表面を有することなく形成してもよい。インレイ24は、様々な材料で非均質な表面を有することもある。特にその表面と面一の少なくとも1個の電子素子を有することができる。特にインレイ24は、高いコントラスト比と高品質のプリントに適さない透明或いは半透明の材料で形成してもよい。ある変形例においては、インレイ24は、粘性のある液状レジンにより最初に添加されたレジンで形成して、電子ユニット28をコーティングする或いは埋め込み、内部残留引っ張り力或いはストレスのないコンパクトな層を形成する。
【0073】
層32,33をインレイ24に付加して、ラミネーティングステーションで組み立てることにより、平坦かつ平滑な表面を有する厚いシート36を形成する。かくして、厚いシート36の両側に、最終ステップにおいて、印刷装置で均質な挙動を示す均一なプリンティング表面を提供する。この最終ステップでは、アウトレイ38,39が、この厚いシート36の両側に付加されラミネーション或いはボンディングにより組み立てられる(図4)。一例として、インレイ24の厚さは、400−500μmであり、層32,33の厚さは、80−100μmである。上記の厚さは、厚いシート36が、600−720μmの厚さとなるよう、選択される。
【0074】
図4で説明した改良した方法において、これは本発明の基本的な方法と同様であるが、複数の第1パターン14を厚いシート36の第1表面21上にプリントして、高精細のプリンティングを得る。次に、複数の第3パターン40を少なくとも部分的に透明なアウトレイ38の上にプリントする。このアウトレイ38は、例えば80−100μmの厚さを有する。図4に示す変形例においては、第2パターン15を厚いシート36の第2表面22の上にプリントする。第4パターン41を少なくとも部分的に透明な第2のアウトレイ39の上にプリントする。ある変形例においては、第2パターン15のみを厚いシート36の第2表面22の側に形成する。他の変形例においては、アウトレイ39の上にプリントされた第4パターン41のみが第2表面22の側に提供される。好ましくは、アウトレイ39の厚さは、アウトレイ38のそれとほぼ等しい。
【0075】
前述したパターンのセットがプリントされた後、アウトレイ(フィルム)38,39は、厚いシート36に組み立てられ(接着され)る。この組立時の方向は、複数のパターン40、必要によっては、複数の第4パターン41が、対応するフィルム即ちアウトレイ38、39の内側表面にくるよう(即ち、パターン40,41が厚いシート36に接着するよう)配置される。その結果、アウトレイ38,39が、プリントされたパターンの保護コーティング層を形成する。この最終組立は、少量のエネルギーで或いは加熱せずに、ラミネーション・ステップ或いはボンディング・ステップにより形成される。かくして第1と第2のプリントされたパターンが、ほぼ同一レベルで配置され、これにより見た目が良くなり、更に二つのパターンのコントラストが改善される。
【0076】
本発明の一実施例においては、第1パターン14と第2パターン15が、厚いシート36の表面の上に形成された後、プリントされた表面は、保護フィルム、レジン層、ラッカーで保護され、プリントされたパターンを少なくとも一時的に保護する。これは、パターンが厚いシート36にプリントされた後、できるだけ速やかに行う。
【0077】
第一変形例においては、保護フィルム或いはラッカーは、除去可能な方法で、形成され、図4に示す最終組み立てステップの前に除去する。それ故にこれ等は、厚いシート36を適宜のステーションでプリントする時と、アウトレイ38,39の組み立てステップとの間の一時的な保護機能を果たすものである。アウトレイ38,39の少なくとも1つは、複数のプリントされたパターンを有する。
【0078】
第二の変形例においては、厚いシート36の表面に付加された保護フィルム或いはラッカーは、付加状況を確実に維持し、最終のカード層を形成する。この場合、この保護フィルム或いはラッカーを形成する材料は、厚いシート36とアウトレイ38,39との間の接着インターフェイスを形成するよう、選択される。上記した基本的な方法におけるのと同様に、各変形例においては、薄いレジン層を、厚いシート36とアウトレイ38,39の間に堆積して、アウトレイの接着性を向上させることもできる。最終カードの第一と第二の重ね合わせたパターンの間の接着インターフェイスは、ある場合には、これはプリントされたパターンを形成するインクがある場合であるが、アウトレイの中央の厚い層への接着力を大幅に増す。ある場合には、厚いシート或いはアウトレイの何れかに十分に接着しない場合もある。
【0079】
アウトレイ38,39が厚いシート36に付加される。或いは複数の個々のフィルム或いはアウトレイ(それぞれが一つの表面上にプリントされたパターンを有する)が、それぞれ厚いシートにより形成された複数のカード本体に付加される。両方の場合、この操作は、プレート上のカードの最終切り離しステップを実行する前に行われる。本発明の変形例においては、カード本体を厚いシートから切り離し、その後複数のアウトレイ(それぞれ一つの表面上にプリントされたパターンを有する)をそれぞれカード本体に付加してもよい。これにより、本発明のカードの製造方法により、カード内に組み込むことが可能となる。後者の場合、最終のカード外形は、再び切り取られて滑らかなエッジを形成する。この最終形状は、切り取られたカード本体の最初の形状の内側にあるのが好ましい。
【0080】
かくして厚いシート36は、本発明のカードの製造における中間生成物或いは半最終製品を形成する。厚いシート36の形成には、カードの製造業者に特有のノウハウを必要とする。前述したように、厚い層(その厚さはカードの最終厚さの2/3以上である)の形成は、適宜の方法により、好ましくは平坦且つ平滑な表面を形成し、これにより優れた印刷支持部材を形成できることを意味する。かくして、少なくとも1個のパターンが、印刷装置で、厚いシート36の第1表面にプリントされて、これにより高精細のプリンティングを実行する。こうするために本発明は、厚いシート36を直接印刷装置に導入することを提案している。本発明の変形例によれば、厚いシート36は、オフセット型の印刷装置或いはシリンダ状に形成された印刷装置に導入される。
【0081】
次に、本発明の改造された方法においては、少なくとも部分的に透明なアウトレイ38(第二のプリントされたパターンをその内側表面に有する)が、厚いシート36の第1表面に付加される。厚いシート36に第一のパターンがプリントされる。この厚いシート36は、アウトレイ38と組み立てられ、かくして得られたプレートからカードを切り離す。より工夫した変形例においては、図4に示すように、第3パターンが厚いシート36の第2表面にプリントされ、第4のパターンが第2フィルムの内側表面にプリントされる。この第2フィルムが第3のパターンをカバーする。様々な変形例が考えられるが、例えば、プリントされたパターンを1個有する裏面を具備するカードを提供することもできる。特にカードの裏面上のパターンが、汎用の性質を有し、大量のプレートから形成されたカードに共通のものである場合には、プリントは、厚いシート36の第2表面22上に行うのが好ましい。
【0082】
第2表面22上のプリントは、ある変形例においては、ある色の均一のバックグランドのみを形成する。第3のパターンのみがカードの裏面に形成され、これらが、厚いシートの第2表面にプリントされる場合には、アウトレイを形成する必要性は、必ずしも無いが、ラッカー又は透明なインクのみを、透明な転写フィルムを用いて、堆積することもできる。この透明なインクのラッカーが、第3のプリントされたパターン用の保護コーティングを形成する。特にボンディングにより組み立てるために、ラミネーティングプレス装置に最後に導入されるが、厚いシート(この厚いシートの第1表面に透明なフィルムが付加されている)を用いて、厚いシートの裏面に以前に付加されたラッカー又は透明な保護インクの表面状態を改善する。かくして、この最終組み立てステップにより、アウトレイを付加することなく、カードの裏面上に平滑で輝いた表面を得ることができる。しかし、熱が最終組み立てに加えられる場合には、対称の多層構造体を提供するのが、好ましい。
【0083】
改善された製造方法で得られたプレートが、本発明の主題であり、これは、プレートから切り離されるカードと同様である。
【0084】
電子ユニットを組み込み、その少なくとも一方の表面にフィルム或いはラッカーによる保護の有無に関わらず、複数の第1パターンを有する厚いシート36の形態で中間製品又は半最終製品を製造することは、IDカード、運転免許証、或いは他の個人データを含む他の公式文書を製造するのに大きな利点がある。この個人データは、一般にIDカード、運転免許証、或いは他の公式文書を分配する州政府により保護されている。個人データの機密性と保護のために、ある州は、海外のカード製造業者に個人データを送ることを望まない。しかし、電子ユニットを組み込みセキュリティの理由から再生が困難な高精細のパターンを有するカードの製造は、自分の国(地域)で常に実行できるとは限らないので、本発明はこの種の問題に対する良好な解決方法を提供する。
【0085】
本発明によりカードは、2つの別個のステップで製造できる。
第1ステップにおいて、厚いシート(電子ユニットを有し高品質の平坦な表面を有する)を製造し、少なくとも1つの複数の第2タイプのパターンを、前記厚いシートの1つの表面に印刷する。これ等のセキュリティパターンをプリントすることは、比較的複雑且つ高価な手段とノウハウを必要とする。かくして特殊なノウハウと複雑且つ高価な製造手段を必要とするこの操作は、この中間製品を製造することのできる数少ない業者が、どこかで行うことができる。
第2ステップにおいて、変数(暗号)又は個人データは、クライアントが、特にある州においては州内のクライアントが印刷することができる。この個人化されたパターンは、必ずしも高精細である必要はなく、かくして従来の印刷機(あまり複雑でも高価でもない)で行うことができる。透明なプラスティックフィルム上に印刷し、このプラスティックフィルムを、その後厚いシートでラミネートする。この第2フェーズにおいては、クライアントは、カードをプレート上に製造し、カード製造ステーションにより、カード毎に最終仕上げする。このような場合、クライアントは、本発明により中間製品においてプリントされ且つ予め切り離されたカード本体を得ることになる。
【0086】
前述したように、透明なフィルムを厚いシートに付加し組み立て、その後一連のカードを切り離す。しかし、厚いシートから複数のカード本体を切り離した後、透明なフィルムを切り離したカード毎に付加し組み立てることもできる。この後者の方法は、利点はあまり無く、最終カード特にカードのエッジにおける品質の問題が発生する。この為本発明においては好ましい解決方法は、少なくとも部分的に透明なプリントされたフィルムで厚いシートを組み立て、その後得られたプレートからカードを切り離す。
【0087】
電子ユニットをプログラムすることは、様々な方法、段階で実行できる。ある種のデータは電子ユニットの製造段階で導入され、他のデータは厚いシートの製造後にプログラムすることもできる。この他のデータは、プリントされた厚いシートを受け取った後に、クライアント、州政府により導入することもできる。特に州政府は、IDカード、運転免許証、更には銀行のカードに関心がある。透明なフィルム上に印刷されたパターンは、電子ユニット内に配置されたメモリ量に依存し、プリントされたパターンを生成するのに読み出される。各電子モジュールは、独自の数或いは個人コードを含む。透明なフィルム上にプリントされた個人パターンは、対応する電子ユニットの独自の番号又は個人コードに対し少なくとも変化されたデータのアイテムである。その後透明なフィルムを厚いシートに付加する。その結果第一の個人パターンが対応する電子ユニットの反対側に配置される。これ等のステップの管理と様々なデータの入力は、当業者に公知のコンピュータ手段で実現できる。
【0088】
少なくとも部分的に透明なアウトレイ38,39を厚いシート36でラミネートするが、この際供給されるエネルギーは、厚いシート36を形成するのに使用されるエネルギーの量よりも少ない。
【0089】
この最終組み立ては、大したノウハウも無しに一回のプレスで実行できる。アウトレイ38,39は、厚いシート36より薄い。厚いシート36は、安定しており、最終組み立てステップで変形することはない。アウトレイ38,39は、圧力装置の表面により安定化される。前述したように、接着インターフェイス(薄いレジン層の形態であるが)を提供するために、ラッカー更に又は透明なインクが、厚いシートとアウトレイの材料への接着特性から選択される。かくしてクライアントは、高精細のプリントされたパターンで、高品質の最終カードを形成でき、これにより再生が困難な信頼性のある公式のカード製作が可能となる。
【0090】
図5、6を参照して、厚いシート20,36の少なくとも一方の表面に、パターンをプリントするための変形例で用いられるオフセット型の高精細の印刷装置を説明する。この印刷装置は、当業者に公知であるために詳細な説明は割愛する。この説明は、この印刷装置内の厚いシート20,36のパスを示す。この印刷装置は、複数の印刷ユニット52を有する。この印刷ユニット52は、各印刷ユニット52用の厚いシート20,36の様々なベースの色をプリントする。各印刷ユニットは、複数の印刷用ローラ54を有する。厚いシート用のサポートとして使用されるシリンダ56は、印刷ユニット52に関連する。厚いシート20,36は、連続して3個のシリンダ56の上に広げられる。このシリンダ56は、エンドインクローラ58と同期してシートを駆動する。この二つの隣接するシリンダ56の間に、回転装置60が配置される。この回転装置60は、様々な印刷ユニットの間でシートを移送する。把持手段62,64が、それぞれシリンダ56と回転装置60の上に配置される。把持手段62,64は、厚いシート20,36を引っ張って、それらを、シリンダ56と回転装置60と共に回転駆動する。厚いシート20,36は、このオフセット印刷機の間で複数回曲げられる。シリンダ56上では、シートは凸状に曲げられ、一方シートは、転写ゾーン66の上では凹状の曲げられる。厚いシート20,36は、印刷ステーションで一時的に曲げられるような機械的ストレスを受ける。これ等の印刷装置には、シンプルで均質のシートが提供される。本発明の印刷装置を使用することにより、高精細のプリンティングを提供できる。特にセキュリティパターンを様々な電子ユニットを組み込んだ厚いシート上に直接印刷できる。
【0091】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。例えば、カード本体中に埋め込むことのできる点から、電子ユニットも電子モジュールも同意である。
【符号の説明】
【0092】
2 インレイ
4 電子モジュール
6 基板
8,9,10 電子素子
12,13 中間層
14 第1パターン
15 第2パターン
16,17 透明オーバレイ
20 厚いシート
21,22 表面
21 第1表面
22 第2表面
24 インレイ
26,27 プラスティック層
28 電子ユニット
29 集積回路
30 アンテナ
32,33 層
36 厚いシート
38,39 アウトレイ
40 パターン
41 第4パターン
52 印刷ユニット
54 印刷用ローラ
56 シリンダ
60 回転装置
62,64 把持手段
66 転写ゾーン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードの製造方法において、
前記カードは、カード本体中に埋設された電子ユニットと、前記カード本体の第1表面にプリントされた第1パターンとを有し、
(A) 複数のカード本体をシートの形態で形成するステップと、
前記シートは、複数の電子ユニットを組み込み、
(B) 複数の第1パターンを、前記シートの第1表面に、印刷装置でプリントするステップと、
前記印刷装置のインクが前記第1表面に堆積され、前記第1パターンを形成し、
(C)コーティング層を、前記第1パターン上に配置するステップと、
前記コーティング層は、少なくとも部分的に透明であり、前記カード本体に接着する
を有する
ことを特徴とするカードの製造方法。
【請求項2】
(D) 複数の第2パターンを、前記シートの第2表面に、印刷装置でプリントするステップと、
前記印刷装置のインクが、前記第2表面に堆積され、前記第2パターンを形成し、
(E) コーティング層を、前記第2パターン上に配置するステップと、
前記コーティング層は、少なくとも部分的に透明であり、前記カード本体に接着する
を更に有する
ことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記シートは、電子ユニットが組み込まれる複数のカード本体を形成し、
前記シートは、前記カードの最終厚さの2/3以上の厚さを有し、
前記2つのコーティング層は、2つのアウトレイで、形成される
ことを特徴とする請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
前記カードは、0.76−0.84mmのISOで規定する厚さを有し、
前記プリントされたシートの厚さは、0.60mm以上である
ことを特徴とする請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
前記コーティング層は、前記シートと共にラミネートされ、
ラミネートする際、加熱しない
ことを特徴とする請求項2−4記載の製造方法。
【請求項6】
前記印刷装置は、印刷支持部材として使用される複数個のシリンダから構成され、
前記シートは、複数の電子ユニットを組み込み、
前記シートは、印刷ステップの間、前記シリンダの表面上に連続して配置され、前記印刷装置で、複数回曲げられる
ことを特徴とする請求項1−5記載の製造方法。
【請求項7】
前記印刷装置は、高精細印刷用のオフセット印刷機である
ことを特徴とする請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
前記第1パターンは、セキュリティプリントを規定し、裸眼には見えないプリント・パターンを含む
ことを特徴とする請求項6又は7記載の製造方法。
【請求項9】
カードの製造方法において、
前記カードは、カード本体中に埋設された電子ユニットと、前記カード本体の第1表面にプリントされた第1パターンとを有し、
(A) 複数のカード本体を、シートの形態で形成するステップと、
前記シートは、複数の電子ユニットを組み込み、
(B) 複数の第1パターンを、前記シートの第1表面に、印刷装置でプリントするステップと、
前記印刷装置のインクが、前記第1表面に堆積され、
前記第1パターンは、別々のカード本体上に形成され、
(C) 複数の第2パターンを、1つ或いは複数のコーティング・フィルムの表面にプリントするステップと、
前記コーティング・フィルムは、少なくとも部分的に透明なフィルムであり、
(D) 前記1つ或いは複数のフィルムを、前記シートの第1表面に配置するステップと、
前記各第2パターンは、別々のカード本体上方に配置され、
前記シートからカード本体を切り離すステップの後、前記複数のフィルムは、前記複数のカード本体上にあり、
その結果、前記フィルムのプリントされた表面は、前記シートの側、又は前記フィルムの一部のプリントされた表面の上に配置され、
前記複数のフィルムの内の一つのフィルムは、それぞれのカード本体の側に配置され、
前記第1パターンは、前記フィルムを通して、少なくとも一部見ることが可能であり、
(E) 前記シートを前記フィルムと組み立てる、或いは前記カード本体を前記フィルムの一部又は前記複数のフィルムの一つのフィルムと組み立てるステップ
を有する
ことを特徴とするカードの製造方法。
【請求項10】
前記(B)ステップの後、
(B1) 前記第1のプリントされた表面を、保護フィルム又はラッカーで、カバーするステップ
を更に有し、
これにより、前記ステップ(D)の前に、前記第1パターンを保護する
ことを特徴とする請求項9記載の製造方法。
【請求項11】
前記保護フィルム又はラッカーは、除去可能な方法で、前記シートの第1プリント表面上に配置され、前記ステップ(D)の前に除去される
ことを特徴とする請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
レジン層が、前記シートの第1プリントの表面上、又は前記フィルムのプリントされた表面上のいずれかに配置され、
前記レジン層は、前記フィルムと前記シートの間の接着インターフェースを形成する
ことを特徴とする請求項10記載の製造方法。
【請求項13】
前記保護フィルム又はラッカーが、前記カードの層を形成し、前記フィルムと前記シートの間の接着インターフェースを形成する
ことを特徴とする請求項9又は11記載の製造方法。
【請求項14】
前記(B)と(D)ステップは、異なる場所で行われる
ことを特徴とする請求項9−13のいずれかに記載の製造方法。
【請求項15】
前記第1パターンが、基礎的なセキュリティプリントを規定し、
前記第2パターンが、個人のセキュリティプリントを規定する
ことを特徴とする請求項9−14のいずれかに記載の製造方法。
【請求項16】
前記個人のセキュリティプリントは、前記基礎的なセキュリティプリントよりも精細度が低い
ことを特徴とする請求項15記載の製造方法。
【請求項17】
前記基礎的なセキュリティプリントは、高精細プリントであり、裸眼には見えないプリント要素を含む
ことを特徴とする請求項15又は16記載の製造方法。
【請求項18】
前記フィルムは、前記シート又は個々のカード本体と共にラミネートされ、
ラミネートする際、加熱しない
ことを特徴とする請求項9−14のいずれかに記載の製造方法。
【請求項19】
前記印刷装置は、印刷支持部材として使用される複数個のシリンダから構成され、
前記シートは、複数の電子ユニットを組み込み、
前記シートは、印刷ステップの間、前記シリンダの表面上に連続して配置され、前記印刷装置で、複数回の曲げられる
ことを特徴とする請求項9−18のいずれかに記載の製造方法。
【請求項20】
前記印刷装置は、高精細印刷用のオフセット印刷機である
ことを特徴とする請求項19記載の製造方法。
【請求項21】
(F) 複数の第3のパターンを、印刷装置で、前記シートの第2表面にプリントするステップと、
(G) 少なくとも部分的に透明なコーティング層を、前記第3のプリントされたパターン上に配置するステップと、
前記第3のプリントされたパターンは、前記カード本体に固着し、
前記第3のパターンは、別々のカード本体上方に配置される
を有する
ことを特徴とする請求項9−20のいずれかに記載の製造方法。
【請求項22】
(H) 複数の第3のパターンを、少なくとも部分的に透明なフィルム上にプリントするステップと、
(I) 前記フィルムを、前記シートの第2表面に付加するステップと、
前記フィルムのプリントされた面は、前記シートの側に配置され、
前記第3のパターンは、別々のカード本体上方に配置される
有する
ことを特徴とする請求項9−20のいずれかに記載の製造方法。
【請求項23】
(J) 複数の第3のパターンを、印刷装置で、前記シートの第2表面にプリントするステップと、
(K) 複数の第4のパターンを、少なくとも部分的に透明なフィルムにプリントするステップと、
(L) 前記フィルムを、前記シートの第2表面に付加するステップと、
と、
を有し、
前記第2フィルムのプリントされた面は、前記シートの側に配置され、
前記第3と第4のパターンは、別々のカード本体上方に配置される
有する
ことを特徴とする請求項9−20のいずれかに記載の製造方法。
【請求項24】
前記シートは、電子ユニットが組み込まれる複数のカード本体を形成し、
前記シートは、前記カードの最終厚さの2/3以上の厚さを有し、
ことを特徴とする請求項21−23のいずれかに記載の製造方法。
【請求項25】
前記カードは、0.76−0.84mmのISOで規定する厚さを有し、
前記カードは、少なくとも部分的に透明なアウトレイを含み、
前記プリントされたシートの厚さは、0.60mm以上である
ことを特徴とする請求項24記載の製造方法。
【請求項26】
電子カードの製造過程で製造される中間製品において、
前記中間製品は、シートで形成され、
前記シートは、複数の電子ユニットを埋設し、複数のカード本体を規定し、
前記シートは、第1表面の側に、インクでプリントされた複数の第1パターンを有し、
前記第1パターンは、別のカード本体に関連する
ことを特徴とする電子カードの製造過程で製造される中間製品。
【請求項27】
前記複数の第1パターンは、保護コーティング層、プラスティックフィルム、レジン層、ラッカーからなるグループの1つで、カバーされる
ことを特徴とする請求項27記載の中間物質。
【請求項28】
前記保護コーティング層は、除去可能な方法で、前記シートの第1表面上に配置される
ことを特徴とする請求項26−29のいずれかに記載の中間物質。
【請求項29】
前記保護コーティング層は、前記シートに固着し、前記中間製品から形成されたカードの層を形成する
ことを特徴とする請求項27記載の中間物質。
【請求項30】
前記第1パターンが、基礎的なセキュリティパターンを規定する
ことを特徴とする請求項26−29のいずれかに記載の中間物質。
【請求項31】
前記シートは、その第2表面の側に、複数のプリントされた第2パターンを有し、
前記第2プリントされたパターンは、別々のカード本体に形成される
ことを特徴とする請求項26−29のいずれかに記載の中間物質。
【請求項32】
複数の電子ユニットを埋設したシート又は層を有する複数のカードを構成するプレートにおいて、
前記シート又は層は、それぞれ複数のカード本体を規定し、その第1表面に、インクでプリントされた複数の第1パターンを有し、
前記プレートは、前記シート又は層の第1表面上に配置された少なくとも部分的に透明なフィルムを有し、その内側表面上にプリントされた複数の第2パターンを有し、
前記第1と第2のパターンは、前記カードと同一レベルに配置される
ことを特徴とする複数のカードを形成するプレート。
【請求項33】
前記複数の第1パターンと第2パターンとは、薄い少なくとも部分的な透明の層で互いに分離され、
前記層が、接着インターフェースを構成する
ことを特徴とする請求項33記載のプレート。
【請求項34】
前記第1パターンが、高精細のベーシックなセキュリティパターンを規定し、
前記第2パターンが、少なくとも一部は、個人のデータを規定する
ことを特徴とする請求項32又は33記載のプレート。
【請求項35】
前記第1パターンは、オフセット型の印刷装置でプリントされる
ことを特徴とする請求項32−34のいずれかに記載のプレート。
【請求項36】
前記プレートは、その第2表面の側に、複数の第3プリントされたパターンを有し、
前記第3のプリントされたパターンは、少なくとも部分的に透明なコーティング層で保護される
ことを特徴とする請求項32−35のいずれかに記載のプレート。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−532504(P2010−532504A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548687(P2009−548687)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051447
【国際公開番号】WO2008/101807
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(509220080)ナグラアイディー エス.エイ. (3)
【Fターム(参考)】