説明

少なくとも1つの(オリゴ)アミノ酸基によって官能性をもたせたポリアミノ酸およびこれらの適用、特に医療適用

本発明は、活性成分(類)(PA)のベクター化のために使用することができる新規の生体分解性のポリアミノ酸に基づいた材料に関する。本発明は、前記ポリアミノ酸に基づいた新規の薬学的、美容用、ダイエット用、または植物衛生用の組成物にも関する。本発明の目的は、作用物質のベクター化のために使用することができる、前記領域の全ての必要とされる規格:生体適合性、生分解性、多くの作用物質と容易に会合させる能力、またはこれらを可溶化する能力、およびインビボで前記作用物質を放出する能力を満たすことができる新規の重合体原材料に関する。これは、本発明において、主にアスパラギン酸単位および/またはグルタミン酸単位を含むポリアミノ酸であって、そのうちのいくつかは、少なくとも1つのグラフトを有し、前記グラフトの少なくとも1つは、アミド結合によってアスパラギン酸またはグルタミン酸の単位に結合されていること、および前記グラフトの少なくとも一つは、Leu、および/またはIleu、および/またはVal、および/またはにPheに基づいた少なくとも1つのオリゴアミノ酸を含む。前記アミド官能基は、加水分解に関して、同様の従来製品よりも良好な安定性を確実にする。都合のよいことに、前記重合体は、作用物質ベクター化粒子に容易にかつ経済的に導入することができ、前記粒子は、安定な水性コロイド懸濁を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分(AP)のベクター化(vectorization)のために特に有用である生物分解可能なポリアミノ酸に基づいた新規材料に関する。
【0002】
本発明は、さらに、これらのポリアミノ酸に基づいた新規の薬学的、美容用、ダイエット用、または植物衛生用の組成物に関する。これらの組成物は、APのベクター化すること、および好ましくは、エマルジョン、ミセル、粒子、ゲル、移植片、またはフィルムの形をとることができるタイプのものであることができる。
【背景技術】
【0003】
考えられるAPは、有利には、経口、非経口的、鼻腔、膣、眼、皮下、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、脳内、または頬の経路などによって動物または人体に投与することができる生物学的に活性な化合物である。
【0004】
本発明がとりわけ関連するAPは、限定されることは含意しないが、タンパク質、糖タンパク質、ペプチド、多糖体、リポ多糖、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、および有機分子である。しかし、本発明は、美顔用製品に、または除草剤、殺虫剤、殺菌剤などの植物衛生用品に関することもできる。
【0005】
有効成分、特に医薬の有効成分のベクター化の分野において、多くの場合:
・これらがその作用点に達するまで、これらを分解(加水分解、部位で沈澱、酵素消化、その他)から保護すること、
・および/または、定義された期間にわたって治療レベルを維持するために、これらの放出速度を制御すること、
・および/または、これらを(保護して)作用点に運搬すること、
が必要である。
【0006】
数種類の重合体は、これらの目的について研究されており、いくつかは、商業的に利用することさえできる。言及されるであろう例は、ポリ乳酸、ポリ乳酸グリコール、ポリオキシエチレン-オキシプロピレン、ポリアミノ酸、または多糖体タイプの重合体である。これらの重合体は、たとえば、塊状移植材料(mass implant)、微小粒子、ナノ粒子、小胞、ミセル、またはゲル類の製造のための出発原料を構成する。これらの重合体は、このようなシステムの製造に適していなければならないという事実とは別に、これらは、また、生体適合性で、無毒で、非免疫原性で、経済的でなければならないし、これらは、本体から容易に着脱可能で、および/または生物分解可能でなければならない。この最後の点において、生物体における生分解が無毒の産物を生成することがさらに必須である。
【0007】
APベクター化系の生産のための出発原料として使用される重合体に関しての従来技術を例示するために、種々の特許、特許出願、または科学論文が以下に参照してある。特許US-B-4652441は、ホルモンLH-RJIをカプセル化するポリ乳酸マイクロカプセルを記載する。これらのマイクロカプセルは、水中油中水型乳剤を調製することによって製造され、
ホルモン、後者を固定するための物質(ゼラチン)、ポリ乳酸の油性層、および水性外層(ポリビニルアルコール)を含む水性内層を含む。APは、皮下注射後に2週以上の期間にわたって放出させることができる。
【0008】
特許US-B-6153193は、アドリアマイシンなどの抗癌薬のベクター化のために、両親媒性のポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン・ミセルに基づいた組成物を記載している。
【0009】
Akiyoshi et al.(J. Controlled Release 1998, 54, 3 13-320)は、コレステロールのグラフト化によって疎水性になり、かつ水中でナノ粒子を形成するプルランを記載している。これらのナノ粒子は、可逆的にインスリンと複合体を形成することができ、安定なコロイド懸濁液を形成する。
【0010】
特許US-B-4351337は、有効成分の徐放のための移植材料または微小粒子の形態で使用することができる、ロイシンおよびグルタミン酸に基づいた両親媒性のコポリアミノ酸を記載している。後者は、重合体の分解速度に依存して非常に長期間にわたって放出することができる。
【0011】
特許US-B-4888398は、ポリアミノ酸鎖に沿ってランダムに位置するアルコキシカルボニルメチルタイプのペンダント基と共に、ポリグルタミン酸またはポリアスパラギン酸、および選択的にポリロイシンに基づいた重合体を記載している。これらのポリアミノ酸は、側鎖、たとえばメトキシカルボニルメチル基でグラフトされており、徐放性のAPを含む生物分解可能な移植材料の形態で使用することができる。
【0012】
特許US-B-5904936は、安定なコロイド懸濁液を形成し、かつ生物学的に活性なタンパク質とこれらを変性させることのなく自発的に結合することができるポリロイシンポリグルタミン酸ブロック重合体から得られるナノ粒子を記載している。次いで、後者を長期にわたって制御された方法で生体内に放出することができる。
【0013】
特許US-B-5449513は、ポリオキシエチレン・ブロックおよびポリアミノ酸ブロック、例えばポリ(ベータ-ベンジル-L-アスパラギン酸)を含む両親媒性ブロック共重合体を記載している。ポリオキシエチレン-ポリベンジルアスパラギン酸重合体は、アドリアマイシンまたはインドメタシンなどの疎水性の活性分子をカプセル化することができるミセルを形成する。
【0014】
特許出願WO-A-99/61512は、疎水基(ポリリジンまたはオルニチンに結合されたパルミチン酸)および親水基(ポリオキシエチレン)によって官能性をもたせたポリリジンおよびポリオルニチンを記載している。コレステロールの存在下において、これらの重合体はたとえばポリオキシエチレンおよびパルミトイル鎖でグラフトされたポリリジンは、ドキソルビシンまたはDNAをカプセル化することができる小胞を形成する。ポリリジンに基づいたこれらの重合体は、生理的培地中で陽イオン性である。
【0015】
特許出願WO-A-02/28251は、出願人の名であり、有効成分(AP)のための生体適合性のベクター化粒子(VP)の懸濁液に関する。これらのVPは、親水性の中性のポリアミノ酸のポリ(AANI)/疎水性の中性のポリアミノ酸のポリ(AANO)のジブロック共重合体に基づいている。未溶解の状態のコロイド懸濁液では、これらのポリ(AANI)/ポリ(AANO)粒子は、少なくとも1つのAPで結合して、特にインビボで、持続性のおよび/または遅延性の方法でこれを放出することができる。これらの新規のVPは、安定な水性懸濁液を自発的に、かつ界面活性物質または有機溶剤を用いることなく形成する。親水性の中性のポリアミノ酸のポリ(AANI)/疎水性の中性のポリアミノ酸のポリ(AANO)ジブロック共重合体は、たとえばポリ(Glu-O-アルキル)/ポリ(Leu)のヒドロキシエチルアミンによるアミノ分解に由来するポリ(Gln-N-ヒドロキシエチル)/ポリ(Leu)であることができる。
【0016】
これらの共重合体は、生理的培地中で中性である。
【0017】
特許出願WOAOO/30618は、出願人の名であり、ポリ(グルタミン酸ナトリウム)/ポリ(メチル、エチル、ヘキサデシル、またはドデシル・グルタミン酸)ブロック、または安定なコロイド懸濁液を形成すること、および自発的にこれらを変性させることのなく生物学的に活性なタンパク質と会合することができるランダム重合体を記載している。次いで、後者を長期にわたって制御された方法で生体内に放出することができる。これらの両親媒性のコポリアミノ酸は、疎水性のアルキル側鎖の存在下で修飾される。これらのアルキル基は、エステル基を経て重合体に共有結合でグラフトされている。これらの重合体は、生理的培地中で陰イオン性である。
【0018】
これらは、企図された適用に応じて、少なくとも2点の改善が可能である:
→水性媒体中のエステル基の相対安定度、
→および、疎水性のアルキルグラフトの前駆体として、ヘキサノールなどの特定の非天然のアルコールの使用。後者の側面では、これらの残留するアルコールの重荷を負った重合体の濃度が大きくなる場合に、特に毒性に関する問題がある。
【0019】
文献に記載されており、オリゴアミノ酸によって官能性をもたせた分枝ポリアミノ酸に関する技術水準に関しては、以下の研究に留意されたい:
特許WO-A-87/03891は、マロン酸またはコハク酸タイプの二酸基を有するポリグルタミン酸またはポリアスパラギン酸であって、オリゴペプチドの特徴の回転結合(rotating linkage)(「スペーサ」)を経てポリアミノ酸鎖に結合されるものを記載している。二酸基の存在により、カルシウムカチオンを固定し、または環状酸無水物を形成することが可能になり、有効成分と反応することができる。これらの重合体は、特にインビボでの有効成分の徐放のための移植材料の形態で使用することができる。同様の意図で、Hoes et al. [J. Controlled Release 1 (1985) 301-315 & 2 (1985) 205-213]は、抗癌性化合物(アドリアマイシン)がインビボで容易に分解するグリシン-グリシン-ロイシン回転結合(「スペーサ」)を経て重合体にグラフトされているポリグルタミン酸を記載している。
【0020】
もう一つの状況において、ポリリジンに基づいた分枝ポリアミノ酸は、免疫学におけるこれらの評価のために(Hudecz et al., Polymeric Materials in Medication, Plenum Press, New York, 1985, pages 265-289)、または物理的な研究のために(Mezo et al., J. Controlled Release 2000, 63, 81-95)合成された。これらの重合体は、ポリリジン骨格を有し、それぞれのリジン単位は、親水性のオリゴペプチドに接続されている。
【0021】
前記文書は、重合体に結合されない有効成分を会合し、および/またはをベクター化するためのこれらの重合体の使用を教示していない。
【0022】
従って、要求に対する答えは、医薬の有効成分のベクター化のために開発されており、提唱された従来技術にも非常に多くの技術的な解法が存在するものの、全体として達成するのが困難であり、不満足なままである。より詳細には、有効成分と可逆的に会合することができるベクター化粒子の安定なコロイド性の水性懸濁液を形成することができる(オリゴ)アミノ酸でグラフトされたポリアミノ酸についての考えは、これまで記載されていなかった。
【発明の開示】
【0023】
この状況において、本発明の必須な目的のうちの1つは、動物生理的pH(たとえば、約7.4において)で陰イオン性であり、かつポリグルタミン酸およびポリアスパラギン酸に基づいた重合体の新規ファミリーであって、前記重合体は、特に安定性および非毒性に関して特許出願WO-A-00/30618に記載されている重合体と比較して改善を示す重合体を提供することである。
【0024】
もう一つの本発明の必須な目的によれば、これらの重合体は、APのベクター化のために使用することができるはずであり、至適におよび特に以下の明細書シートの全ての詳細を満たすことができるはずである:
○:□容易に、および経済的に、安定な水性コロイド懸濁液を形成する能力、
□多数の有効成分を容易に会合する能力、
□および、インビボでこれらの有効成分を放出する能力、
○生体適合性、
○生分解性、
○加水分解に対する安定度。
【0025】
この、およびその他の目的は、本発明によって達成され、最初に、および最も重要には、アスパラギン酸単位および/またはグルタミン酸単位を含むポリアミノ酸であって、そのいくつかは、少なくとも1つのグラフトを有し:
・これらのグラフトのうちの少なくとも1つは、アミド結合を介してアスパラギン酸単位またはグルタミン酸単位に結合されていることと、
・これらのグラフトのうちの少なくともいくつかは、無水物に環化される(cyclizable)少なくとも1つのカルボン酸の二酸を有するグラフトを除く1つまたは複数の(オリゴ)アミノ酸を含むことと、
・(オリゴ)アミノ酸の「アミノ酸」単位(群)は、α位にアルキルまたはアリール基を有するものから、および好ましくはアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンおよびフェニルアラニンに属するものから選択されることと、
を特徴とするポリアミノ酸に関する。
【0026】
特定の生物分解可能および陰イオン性のポリAspおよび/またはポリGluポリアミノ酸を、少なくとも1つの(オリゴ)アミノ酸単位を含み、かつアミド結合を経てポリAspおよび/またはポリGlu骨格に結合されているグラフトと組み合わせるという考えを有したことは出願人の名誉である。
【0027】
これらの新規の(共)重合体は、特にタンパク質のベクター化に適していることが判明した。
【0028】
本発明の1つの好ましい態様において、それぞれのグラフトは、アミド結合を経てアスパラギン酸またはグルタミン酸の単位に結合される。
【0029】
「ポリアミノ酸」の語は、2〜20の「アミノ酸」単位を含むポリアミノ酸および20以上の「アミノ酸」単位を含むポリアミノ酸の両方に適用される。
【0030】
好ましくは、グラフトの全てまたは一部のオリゴアミノ酸または(オリゴ)アミノ酸は、相互に同一の「アミノ酸」単位からなる(それぞれなる)。
【0031】
本発明の1つの好ましい特徴によれば、グラフトあたりの「アミノ酸」単位の数は、1〜6で変化する。
【0032】
本発明によれば、グラフトの成分の「アミノ酸」単位は、互いに同一であるか、または異なることができることは自明である。
【0033】
類似の製品と比較して、これらの重合体は、1つまたは複数の有効成分との会合および/または封入において驚くべき性質を有する。さらにまた、これらは、酵素の存在下において、無毒の異化産物/代謝産物(アミノ酸)に容易に分解される。
【0034】
本発明に関して、および本開示を通じて、1つまたは複数の有効成分とポリアミノ酸との間の関係を認定するために使用される「会合」および「会合する」の語は、特に、有効成分が、特に弱い結合、たとえばイオン結により、および/または疎水性の接触によりポリアミノ酸に結合され、および/またはポリアミノ酸(類)によって被包されることを意味する。
【0035】
好ましくは、本発明によるポリアミノ酸は、グルタミン酸もしくはアスパラギン酸の繰り返し単位を含むオリゴマーまたはホモポリマー、またはこれらの2つのタイプの「アミノ酸」単位の混合物を含む共重合体である。これらの重合体における問題の単位は、D、LまたはD/L配置を有するアミノ酸であり、グルタミン酸またはグルタミン酸単位の場合には、これらのαまたはβ位を介して、およびアスパラギン酸またはアスパラギン酸単位の場合には、これらのαまたはγ位をかいして結合される。
【0036】
主なポリアミノ酸鎖に好ましい「アミノ酸」単位は、L配置およびα型の結合を有するものである。
【0037】
より好ましくは、本発明によるポリアミノ酸は、下記の一般式(I)を有する:
【化3】

式中;
□R1は、H、直鎖C2〜C10アルキルもしくは分岐のC3〜C10アルキル、ベンジル、または末端「アミノ酸」単位であり;
□R2は、H、直鎖C2〜C10アシル基もしくは分岐のC3〜C10アシル基、またはピログルタミン酸であり;
□R3は、Hまたは好ましくは以下を含む群から選択される陽イオン性の実体であり:
-有利には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウムを含むサブグループから選択される金属陽イオン、
-有利には、以下を含むサブグループから選択される有機カチオン:
・アミンに基づいた陽イオン、
・オリゴアミンに基づいた陽イオン、
・ポリアミン(ポリエチレンイミンが特に好ましい)に基づいた陽イオン、
・および、有利には、リジンまたはアルギニンに基づいた陽イオンを含むクラスから選択されるアミノ酸に基づいた陽イオン、
-並びに、有利には、ポリリジンおよびオリゴ・リジンを含むサブグループから選択される陽イオン性のポリアミノ酸;
□n基Bは、互いに独立して、それぞれ以下の式の一価のラジカルであり:
【化4】

式中:
-R4は、メチル(アラニン)、イソプロピル(バリン)、イソブチル(ロイシン)、sec-ブチル(イソロイシン)、またはベンジル(フェニルアラニン)であり;
-およびR5は、OH、NH2、C1〜C5アルコキシ基、およびベンジルオキシから選択され;
□Aは、独立して-CH2-(アスパラギン酸単位)または-CH2-CH2-(グルタミン酸単位)であり;
□n/(n+m)は、モル濃度グラフト率として定義され、0.5〜100mol%で変化し;
□n+mは、3〜1000、および好ましくは30〜300の間で変化し;
□およびlは、1〜6で変化する。
【0038】
有利には、グラフト鎖(β)の長さは、一方ではlの値により、また他方ではアルキル単位R4の選択により決定され、企図された適用に従って重合体の親水性/親油性バランスを調節することができる。
【0039】
本発明の第1の態様において、ポリアミノ酸は、α-L-グルタミン酸またはα-L-グルタミン酸ホモポリマーである。
【0040】
本発明の第2の態様において、ポリアミノ酸は、α-L-アスパラギン酸またはα-L-アスパラギン酸ホモポリマーである。
【0041】
本発明の第3の態様において、ポリアミノ酸は、α-L-アスパラギン酸/α-L-グルタミン酸またはα-L-アスパラギン酸/α-L-グルタミン酸の共重合体である。
【0042】
有利には、主なポリアミノ酸鎖のアスパラギン酸および/またはグルタミン酸単位の分布は、生じる重合体がランダムもしくはブロック・タイプの、またはマルチブロック・タイプのようなものである。
【0043】
もう一つの方法の定義では、本発明によるポリアミノ酸は、5000〜40,000グラム/モルの間、および好ましくは2000〜100,000g/molの間の分子量を有する。
【0044】
さらなる選択として、本発明によるポリアミノ酸の(オリゴ)アミノ酸単位のモル濃度グラフト率は、2〜70%の間、および好ましくは5〜40%の間であるべきである。
【0045】
意外なことに、本発明のポリアミノ酸は、グラフト率に従っていくつかの方法で使用することができる。本発明に関連する種々の形態の有効成分のカプセル化のための重合体を成形する方法は、当業者に既知である。さらなる詳細は、たとえば以下の示した特に関連する参照を調べることによって得ることができる:
"Microspheres, Microcapsules and Liposomes; vol. 1. Preparation and chemical applications", Ed. R. Arshady, Citus Books 1999. ISBN: 0-9532187-1-6.
"Sustained-Release Injectable Products", Ed. J. Senior and M. Radomsky, Interpharm Press 2000. ISBN: 1-57491-101-5.
"Colloidal Drug Delivery Systems", Ed. J. Kreuter, Marcel Dekker, Inc. 1994. ISBN: 0-8247-9214-9.
"Handbook of Pharmaceutical Controlled Release Technology", Ed. D.L. Wise, Marcel Dekker, Inc. 2000. ISBN: 0-8247-0369-3.
また、ポリアミノ酸は、約3〜30%(選択した(オリゴ)アミノ酸に応じて可変)の比較的低いグラフト率によって、これらがpH7.4(たとえば、リン酸緩衝液で)で水に分散して、重合体濃度およびグラフト率に従ってコロイド溶液または懸濁液またはゲルを与えるという点で、極めて貴重である。さらにまた、ポリアミノ酸(微粒子または非粒子性の形態のもの)は、タンパク質、ペプチド、または小分子などの有効成分を容易に被包し、または会合することができる。好ましい成形操作は、出願人の名において特許出願WO-A-00/30618に記載されており、これは、水に重合体を分散させて、APの存在下において溶液をインキュベートすることからなる。この本発明によるポリアミノ酸からなるベクター化粒子のコロイド溶液をその後に0.2μmのフィルターで濾過し、次いで患者に直接注射することができる。
【0046】
30%のグラフト率を越えて、選択した(オリゴ)ペプチドに応じて、特許出願WO-A-00/30618に従ったこの粒状形態は、特に適例において想定され得る。次いで、重合体は、APを会合し、または被包することができる微小粒子を形成することができる。この状況において、微小粒子は、適切な有機溶剤中のAPおよび重合体を同時に可溶化し、次いで水中に混合物を沈殿させることができる。水中に再分散後、粒子をその後に濾過によって回収し、次いで経口経路によって(ゼラチンカプセルの形態で、圧縮されたおよび/または被覆形態で、または他には、油に分散する形態で)、または非経口的経路によって投与するために使用することができる。
【0047】
50%を上回るグラフト率では、小量のイオン化可能なカルボキシレート基および重合体が沈殿するために、水相中の重合体の再分散は、困難になる。この場合、重合体は、N-メチルピロリドンなどの生体適合性の溶媒またはMygliol(登録商標)などの適切な油に可溶化し、次いで筋肉内または皮下の経路によるか、または腫瘍内に注射することができる。溶媒または油の拡散により、注射部位に重合体の沈澱を生じさせ、したがって沈澱物を形成する。次いで、これらの沈澱物は、拡散によって、および/または浸食によって、および/または加水分解もしくは酵素分解によって、重合体の徐放を保証する。
【0048】
本発明によるポリアミノ酸の微小粒状形態が好ましいという事実とは無関係に、中性または電離型の本発明の重合体を、さらに一般的に、それ自体で、または液体、固体、もしくはゲルの組成物中で、および水性または有機媒体中で使用することができる。
【0049】
ポリアミノ酸に基づく重合体は、pHおよび組成物に応じて、中性(COOH形態)またはイオン化された(COO-陰イオン)カルボキシル基を含むことが、よく理解されるはずである。このために、水相中における溶解度は、重合体(疎水性の単位によってグラフトされないもの)中の遊離のCOOHの比率およびpHの直接の作用である。水溶液において、対カチオンは、ナトリウム、カルシウム、もしくはマグネシウムなどの金属カチオン、またはトリエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、もしくはポリアミン様のポリエチレンイミンなどの有機カチオンであることができる。
【0050】
本発明の重合体は、たとえば周知の方法によって得られる。ポリアミノ酸は、従来の共役反応によって直接(オリゴ)アミノ酸を重合体にグラフトさせることによって得ることができる。
【0051】
たとえば、ホモポリグルタミン酸もしくはホモポリアスパラギン酸のポリアミノ酸、またはブロック、マルチブロック、もしくはランダムなグルタミン酸/アスパラギン酸共重合体を従来法によって調製する。
【0052】
α型のポリアミノ酸を得るための最も一般的な技術は、アミノ酸N-カルボキシ無水物(NCA)の重合に基づいており、これは、たとえば論文"Biopolymers" 1976, 15, 1869,に、およびH.R. Kricheldorfによる表題"Alpha-amino acid N-carboxy anhydride and related heterocycles", Springer Verlag (1987)の研究に記載されている。NCA誘導体は、好ましくAhNCA-O-Me、NCA-O-Et、またはNCA-O-Bz誘導体(Me=メチル、Et=エチル、およびBz=ベンジル)である。次いで、重合体を適切な条件下で加水分解し、その酸性型の重合体を与える。これらの方法は、出願人の名において特許FR-A-2801226に示された明細書に基づく。本発明に従って使用することができる多くの重合体、たとえば可変性の分子量のポリ(α-L-アスパラギン酸)、ポリ(α-L-グルタミン酸)、ポリ(α-D-グルタミン酸)、およびポリ(γ-L-グルタミン酸)タイプは、商業的に入手可能である。α-βタイプのポリアスパラギン酸重合体は、アスパラギン酸の縮合(ポリスクシンイミドを得る)に続く、塩基性加水分解によって得られる(Tomida et al., Polymer 1997, 38, 4733-36参照)。
【0053】
重合体の酸の基と(オリゴ)アミンのカップリングは、カップリング剤としてカルボジイミド、および選択的に4-ジメチルアミノピリジンなどの触媒の存在下において、ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、またはメチルスルホキシド(DMSO)などの適切な溶媒中でポリアミノ酸を反応させることによって容易に遂行される。カルボジイミドは、たとえばジシクロヘキシルカルボジイミドまたはジイソプロピルカルボジイミドである。グラフト率は、成分および反応物の化学量論によって、または反応時間によって化学的に制御される。(オリゴ)アミノ酸は、従来法(たとえば、表題"Principles of Peptide Synthesis" by Bodanszky, Springer-Verlag 1984を参照)に従って経時的な合成によって得ることができ、または商業的に入手可能である。
【0054】
もう一つのその特徴によれば、本発明は、上記記載の通り、少なくとも1つのポリアミノ酸を含む薬学的、美容用、ダイエット用、または植物衛生用の組成物、および選択的に、治療的な、美容用、ダイエット用、または植物衛生用の有効成分であり得る少なくとも1つの有効成分に関する。
【0055】
さらにもう一つのその特徴によれば、本発明は、特にアスパラギン酸単位および/またはグルタミン酸単位を含む少なくとも1つのポリアミノ酸を含む薬学的、美容用、ダイエット用、または植物衛生用の組成物であって、そのいくつかは、少なくとも1つのグラフトを有し:
・これらのグラフトの少なくとも1つは、アミド結合を介してアスパラギン酸またはグルタミン酸の単位に結合されており、
・これらのグラフトのうちの少なくとも1つは、1つまたは複数の(オリゴ)アミノ酸を含み、
・および、無水物に環化される少なくとも1つのカルボン酸の二酸を有するグラフトが、除外されており、
これは、1つまたは複数の共有結合性の化学結合以外の1つまたは複数の結合によってポリアミノ酸と結合された少なくとも1つの有効成分を含むことを特徴とする組成物に関する。
【0056】
好ましくは、有効成分は、タンパク質、糖タンパク質、タンパク質は、1つまたは複数のポリアルキレングリコール鎖に結合された(好ましくは、ポリエチレングリコール(PEG)鎖:「ペグ化された(PEGylated)タンパク質」、多糖体、リポ糖類、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、またはペプチドである。
【0057】
さらにより好ましくは、有効成分は、小さな疎水性、親水性、または両親媒性の有機分子である。
【0058】
この組成物は、ナノ粒子、微小粒子、エマルジョン、ゲル類、ミセル、移植組織、粉末、またはフィルムの形態であることができる。
【0059】
その特に好ましい形態のうちの1つにおいて、組成物は、有効成分を積載しているかどうかにかかわらず、ナノ粒子および/または微小粒子の安定なコロイド懸濁液、および/または水相中のポリアミノ酸のミセルである。
【0060】
本発明による組成物が薬学的組成物である場合、経口、非経口的、鼻腔、膣、眼、皮下、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、脳内、または、頬の経路によって投与されることができる。
【0061】
皮下もしくは筋肉内経路によって、または腫瘍に注入することができる生体適合性の溶媒中の溶液の形態の組成物も想定することができる。
【0062】
もう一つの変種において、本発明による組成物は、注射部位で沈澱物を形成することができるような方法で処方される。
【0063】
本発明は、本発明に従ったポリアミノ酸およびAPを含み、かつ
・特に経口、鼻腔、膣、眼、皮下、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、または脳内の経路による投与のための薬物であって、特にこれらの薬物の有効成分は、タンパク質、糖タンパク質、1つまたは複数のポリアルキレングリコール鎖に結合されたタンパク質{たとえば、ポリエチレングリコール(PEG)鎖であって、この場合、「ペグ化された(PEGylated)タンパク質」の用語が使用される}、ペプチド、多糖体、リポ糖類、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および小さな疎水性、親水性、もしくは両親媒性の有機分子であることができる薬物;
・および/または栄養素;
・および/または化粧品もしくは植物衛生用製品:
の調製のために使用することができる組成物に関する。
【0064】
この調製は、本質的に、上記記載の通り、本発明に従った少なくとも1つのポリアミノ酸、および/または上記記載されている組成物を使用することからなることを特徴とする。
【0065】
1つまたは複数のAPを本発明によるグラフトされたポリアミノ酸と会合させる技術は、特許出願WO-AOO/30618に特に記載されている。これらは、少なくとも1つの有効成分を、VPを含む液体媒体に組み込み、1つまたは複数の有効成分(AP)を積み込み、または会合したVPのコロイド懸濁液を得ることにある。VPによってトラップされたAPを生じるこの組み込みは、以下の通りに遂行することができる:
・水溶液にAPを導入し、次いでコロイド懸濁液の形態で、または単離されたVPの形態(凍結乾燥または沈殿)のいずれかでVPを添加することにより、
・または、溶液で、または純粋もしくは予備処方された状態で、VPのコロイド懸濁液に、APを添加し、選択的に、水などの適切な溶媒中に乾燥したVPを分散させることによって使用の直前に調製することにより。
【0066】
本発明は、さらに、本質的に、経口、非経口的、鼻腔、膣、眼、皮下、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、脳内、または、頬の経路によって、本開示に説明したように組成物を投与することからなる治療的な治療方法に関する。
【0067】
本発明は、さらに、本質的に、生体適合性の溶媒中の溶液の形態で、上記の通りに組成物を使用し、次いで皮下もしくは筋肉内の経路によって、または腫瘍内に、好ましくはこれが注射部位で沈澱物を形成するというような方法で、これを注入することからなる治療的な治療方法に関する。
【0068】
以下は、これらがナノ粒子または微小粒子の形態であるかどうかにかかわらず、本発明によるポリアミノ酸と会合することができるAPの例として述べられるであろう:
1 インスリン、インターフェロン、成長ホルモン、インターロイキン、エリスロポエチン、またはサイトカインなどのタンパク質;
1 ロイプロリドまたはシクロスポリンなどのペプチド;
1 アントラサイクリン、タキソイド(taxoid)、またはカンプトセシン・ファミリーに属するものなどの小分子;
1 および、これらの混合物。
【0069】
本発明は、(オリゴ)アミノ酸基でグラフトされたポリアミノ酸の合成、APベクター化システム(安定な水性コロイド懸濁液)へのこれらの転換、およびこのような系がAP(小有機分子、タンパク質、その他)と会合して薬学的組成物を形成する能力の証明を記載する以下の実施例から、より理解され、その利点および変形が明らかになるであろう。
【実施例】
【0070】
実施例1:重合体P1の調製
トリロイシン・アミドグラフトでグラフトされたポリグルタミン酸の合成
1/ グラフト(Leu)3NH2の構造:RNCAS73237-77-1
【化5】

SIGMAによって市場に出された。
【0071】
2/ 重合体の合成:
4gのα-L-ポリグルタミン酸(標準的なポリオキシエチレンを基準として、約12,000グラム/モルと同等の分子量を有し、特許出願FR-A-2801226に記載されたように、グルタミン酸メチルのN-カルボキシ無水物誘導体:NCAGluOMeからなる単量体の重合に続く、加水分解よって得られる)を80℃で2時間加熱することによって77mlのジメチルホルムアミド(DMF)に可溶化する。一旦重合体が可溶化されたら、温度を25℃に下げることができ、予め2mlのDMFに可溶化した0.99gのグラフト(Leu)3NH2、予め1mlのDMFに可溶化した0.068gの4-ジメチルアミノピリジン、および予め0.5mlのDMLFに可溶化した0.43gのジイソプロピルカルボジイミドを連続して添加する。25℃で8時間撹拌後に、反応媒体を15%の塩化ナトリウムおよび塩酸(pH2)を含む280mlの水に入れる。次いで、沈殿する重合体を濾過によって回収し、0.1N塩酸によって、およびクロロホルムによって洗浄する。その後に、重合体を40℃において乾燥器減圧下で乾燥し、約80%の収率を得る。プロトンNMRによって推定されるグラフト率は、約8%である。
【0072】
実施例2:重合体P2〜P5の調製
重合体P2〜P5は、グラフト率および(オリゴ)アミノ酸の性質が多様なことを除いては、重合体P1に使用したものと同じ条件下で調製した。
【0073】
グラフト(Val)3NH2および(Phe)2NH2は、BACHEMによってHCl形態で市場に出されている。これらは、トリエチルアミンで脱プロトン化後に使用する。
【0074】
グラフト(Leu)NH2は、ALDRICHによって市場に出されている。
【0075】
合成した重合体の特徴は、下記の表に整理してある。
【0076】
表1
【表1】

*Leu:L-ロイシン、Val:Lバリン、Phe:Lフェニルアラニン
**Mn:数平均分子量
全ての例において、重合体は、約20mg/mlの濃度でpH7.4で水に分散可能であり、透明である。光散乱によるこれらの重合体の解析では、グラフト率および濃度に応じてこれらが20〜200nmの物を形成することを示す。
【0077】
実施例3:重合体P1、P3、およびP4での染料の吸着
本発明の目的のうちの1つによれば、重合体は、水中で使用することができ、有効成分を(コロイド性または非コロイド性の懸濁液の形態で)会合し、または封入することができる。本出願については、以下の実験において、重合体P1、P3、およびP4が標準的な染料を会合し、または被包することができることが証明される。
【0078】
研究は、以下の方法で行われる:重合体をpH7(リン酸緩衝液)の水溶液に可溶化し、5mgのOrange OTと呼ばれる染料を(Rn Cas:2646-17-5)添加する。溶液を超音波浴に1時間放置して会合させる。次いで、溶液を遠心して、会合していない染料を除去し、希釈後の光学濃度(OD)を染料のλmax(495nm)で測定する。ポリグルタミン酸の単独での実験を参照として供給する。
【0079】
表2
【表2】

この実験は、これらの重合体が水不溶性染料と会合することができることを示す。
【0080】
実施例4:インスリンの吸着
1ミリリットルにつき10mgの重合体P2および200IUのインスリン(7.4mg)を含むpH7.4の水溶液を調製する。溶液を室温で2時間インキュベートし、遊離のインスリンを限外濾過によって会合したインスリンから分離する(100kDaの閾値、18℃において10,000G下で15分)。次いで、濾液から回収した遊離のインスリンをHPLC(高速液体クロマトグラフィ)によって定量的に決定し、会合したインスリンの量を推論する。会合したインスリンの量は、110IUである。比較として、参照ポリグルタミン酸と会合したインスリンの量は、ゼロである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスパラギン酸単位および/またはグルタミン酸単位を含むポリアミノ酸であって、そのいくつかは、少なくとも1つのグラフトを有し:
・これらのグラフトのうちの少なくとも1つは、アミド結合を介してアスパラギン酸単位またはグルタミン酸単位に結合されていることと、
・これらのグラフトのうちの少なくともいくつかは、無水物に環化される(cyclizable)少なくとも1つのカルボン酸の二酸を有するグラフトを除く1つまたは複数の(オリゴ)アミノ酸を含むことと、
・(オリゴ)アミノ酸の「アミノ酸」単位(群)は、α位にアルキルまたはアリール基を有するものから、および好ましくはアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンおよびフェニルアラニンに属するものから選択されることと、
を特徴とするポリアミノ酸。
【請求項2】
オリゴアミノ酸または(オリゴ)アミノ酸が、相互に一致する「アミノ酸」単位からなる(それぞれなる)ということを特徴とする、請求項1に記載のポリアミノ酸。
【請求項3】
下記の一般式(I)によって特徴づけられる、請求項1または2記載のポリアミノ酸:
【化1】

式中;
□R1は、H、直鎖C2〜C10アルキルもしくは分岐のC3〜C10アルキル、ベンジル、または末端「アミノ酸」単位であり;
□R2は、H、直鎖C2〜C10アシル基もしくは分岐のC3〜C10アシル基、またはピログルタミン酸であり;
□R3は、Hまたは好ましくは以下を含む群から選択される陽イオン性の実体であり:
-有利には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウムを含むサブグループから選択される金属陽イオン、
-有利には、以下を含むサブグループから選択される有機陽イオン:
・アミンに基づいた陽イオン、
・オリゴアミンに基づいた陽イオン、
・ポリアミン(ポリエチレンイミンが特に好ましい)に基づいた陽イオン、
・および、有利には、リジンまたはアルギニンに基づいた陽イオンを含むクラスから選択されるアミノ酸に基づいた陽イオン、
-並びに、有利には、ポリリジンおよびオリゴ・リジンを含むサブグループから選択される陽イオン性のポリアミノ酸;
□n基Bは、互いに独立して、それぞれ以下の式の一価のラジカルであり:
【化2】

式中:
-R4は、メチル(アラニン)、イソプロピル(バリン)、イソブチル(ロイシン)、sec-ブチル(イソロイシン)、またはベンジル(フェニルアラニン)であり;
-およびR5は、OH、NH2、C1〜C5アルコキシ基、およびベンジルオキシから選択され;
□Aは、独立して-CH2-(アスパラギン酸単位)または-CH2-CH2-(グルタミン酸単位)であり;
□n/(n+m)は、モル濃度グラフト率として定義され、0.5〜100mol%で変化し;
□n+mは、3〜1000、および好ましくは30〜300の間で変化し;
□およびlは、1〜6で変化する。
【請求項4】
(オリゴ)アミノ酸を構成する全てのアミノ酸が、L形であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミノ酸。
【請求項5】
α-L-グルタミン酸またはα-L-グルタミン酸のホモポリマーからなることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミノ酸。
【請求項6】
α-L-アスパラギン酸またはα-L-アスパラギン酸のホモポリマーからなることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミノ酸。
【請求項7】
α-L-アスパラギン酸/α-L-グルタミン酸またはα-L-アスパラギン酸/α-L-グルタミン酸の共重合体からなることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミノ酸。
【請求項8】
グラフトを有するアスパラギン酸および/またはグルタミン酸単位の分布は、生じる重合体がランダムであるか、またはブロック・タイプもしくはマルチブロック・タイプのもののいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミノ酸。
【請求項9】
その分子量が、2000〜100,000グラム/モルの間、および好ましくは5000〜40,000グラム/モルの間であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミノ酸。
【請求項10】
モル濃度グラフト率が、2〜70%の間、および好ましくは、5〜40%の間であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミノ酸。
【請求項11】
少なくとも1つの請求項1に記載のポリアミノ酸を含む薬学的、美容用、ダイエット用、または植物衛生用の組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの有効成分を含むことを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
請求項11に記載の薬学的、美容用、ダイエット用、または植物衛生用の組成物であって、特に、アスパラギン酸単位および/またはグルタミン酸単位を含む少なくとも1つのポリアミノ酸を含み、そのいくつかは、少なくとも1つのグラフトを有し:
・これらのグラフトの少なくとも1つは、アミド結合を介してアスパラギン酸またはグルタミン酸の単位に結合されており、
・これらのグラフトのうちの少なくとも1つは、1つまたは複数の(オリゴ)アミノ酸を含み、
・および、無水物に環化される少なくとも1つのカルボン酸の二酸を有するグラフトは、除外されており、
これは、1つまたは複数の共有結合性の化学結合以外の1つまたは複数の結合によってポリアミノ酸と結合された少なくとも1つの有効成分を含むことを特徴とする組成物。
【請求項14】
有効成分が、タンパク質、糖タンパク質、1つまたは複数のポリアルキレングリコール鎖に結合されたタンパク質{好ましくは、ポリエチレングリコール(PEG)鎖:「ペグ化された(PEGylated)タンパク質}、多糖体、リポ糖類、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、またはペプチドであることを特徴とする、請求項12または13に記載の組成物。
【請求項15】
有効成分が、小さな疎水性、親水性、または両親媒性の有機分子であることを特徴とする、請求項12または13に記載の組成物。
【請求項16】
経口、非経口的、鼻腔、膣、眼、皮下、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、脳内、または頬の経路によって投与することができることを特徴とする、請求項11、12、または13に記載の組成物。
【請求項17】
ゲル、エマルジョン、ミセル、ナノ粒子、微小粒子、粉末、またはフィルムの形態であることを特徴とする、請求項11、12、または13に記載の組成物。
【請求項18】
水相中のポリアミノ酸の、ナノ粒子および/または微小粒子のコロイド懸濁液および/またはミセルであることを特徴とする、請求項11、12または13に記載の組成物。
【請求項19】
生体適合性の溶媒中の溶液の形態であること、および皮下もしくは筋肉内経路によってまたは腫瘍内に注入することができることを特徴とする、請求項11、12、または13に記載の組成物。
【請求項20】
注射部位で沈澱物を形成することができることを特徴とする、請求項11、12、または13に記載の組成物。
【請求項21】
・特に経口、鼻腔、膣、眼、皮下、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、または脳内の経路による投与のための薬物であって、特にこれらの薬物の有効成分は、タンパク質、糖タンパク質、1つまたは複数のポリアルキレングリコール鎖に結合されたタンパク質{たとえば、ポリエチレングリコール(PEG)鎖であって、この場合、「ペグ化された(PEGylated)タンパク質」の用語が使用される}、ペプチド、多糖体、リポ糖類、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および小さな疎水性、親水性、もしくは両親媒性の有機分子であることができる薬物;
・および/または栄養素;
・および/または化粧品もしくは植物衛生用製品:
の調製のための方法であって、
本質的に、少なくとも1つの請求項1に記載のポリアミノ酸および/または請求項11、12、または13に記載の組成物を使用することからなることを特徴とする方法。

【公表番号】特表2006−510792(P2006−510792A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564269(P2004−564269)
【出願日】平成15年11月24日(2003.11.24)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003458
【国際公開番号】WO2004/060968
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(593125160)フラメル・テクノロジー (22)
【氏名又は名称原語表記】FLAMEL TECHNOLOGIES
【Fターム(参考)】