説明

少量の粒子の分配

少量の粒子を分配するための装置であり、底部分にふるいを備えるホッパ(20)であり、使用時にふるいを通して分配されるべき粉末を入れる粉末収容領域をふるい上方に構成しているホッパ(20)と、ホッパのための支持体(25)であり、使用時に分配された粉末を受け入れることになっている容器の上方にホッパを保持できるようにホッパの一部を保持する支持体(25)と、衝撃エネルギをホッパに与え、ホッパが衝撃エネルギを受けたときにふるいを通して粉末を分配させる少なくとも1つのアクチュエータ(30)と、支持体に対するホッパの制御された垂直方向運動を許すようになっている要素とを含む装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少量の粒子を分配する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WO−A−01/33176が、少量の粒子、特に粉末形態の少量の薬剤を分配する装置および方法を開示している。この装置は、底面の薄膜に複数の孔を設け、ふるい状要素とした漏斗状のホッパを含み、このふるい状要素を通してホッパ内にある粉末が落下できる。好ましい方法としては、ホッパを水平方向に軽く叩くことでこのような運動を生じさせ、それによって、薄膜を通して粉末を制御しながら分配する。軽く叩くこと(軽叩打)は、衝撃エネルギをホッパに与える電気機械式アクチュエータによって達成される。この軽叩打で、ふるい状要素を通して重量測定天秤上に少数の粒子を落下させる。このアクチュエータは、水平方向に向いたソレノイドであり、一端でホッパを支持し、反対端でソレノイドを取り付けたロッドを介してホッパの側面を軽く叩く。軽叩打作用は、アクチュエータの作用に垂直成分を与え、ホッパに垂直方向の運動を与えることで行ってもよい。
【0003】
図1は、WO−A−01/33176に記載されているような精密粉末計量供給システムの分配ヘッドを概略的に示している。
【0004】
図1を参照して、このシステムは、粉末分配ヘッドからなり、このヘッドは、粉末物質、たとえば、粉末吸入器を経て患者の肺に投与する薬剤または患者が摂食することのできるゼラチン・カプセルに充填されるべき薬剤のためのホッパ1を含む。ホッパ1は、最上部に開いた大径端2を備えたほぼ円錐台形のものである。小径端3はプレート4で塞いであり、このプレートには、複数の孔5が形成してあってふるいとしている。粉末7がホッパ1内に置かれると、まず、若干の粉末7が孔5を通って落下するが、普通は、その後、粉末7が孔5に詰まるために粉末の流れが止まる。孔5を通る粉末7の流れは、粉末の特性に一致するように孔の寸法を適切に選択することによって制御可能であり、再現可能である。代表的には、孔は、100ミクロンから2000ミクロンまでの範囲にある。
【0005】
精密分配のためにこの装置を使用するためには、粉末7用の受け器8をプレート4の下に置き、次いで、位置6のところでホッパ1の側壁9を軽く叩く。この軽叩打は、たとえば、ソレノイドのような電気機械式軽叩打アクチュエータの端から制御速度で移動する質量の衝撃から生じるものであってもよい。こうして生じたホッパ1および粉末7の運動で、粉末7が衝撃に続く短い期間でプレート4の孔5を通して流れ、その後、粉末の流れが止まる。こうして、1軽叩打毎に個別量の粉末7が制御された状態で受け器8に分配される。
【0006】
所望総量の粉末7を正確に分配するためには、複数回の軽叩打を行って各受け器8を充填し、受け器8に分配された粉末7の総重量をリアルタイムで測定し、それにより、必要な量が分配され次第直ちに軽叩打作用を止めることができる。軽叩打の率は制御コンピュータによって制御される。所望に応じて、軽叩打以外の、分配ヘッドに対する機械的な作用を制御しながら使用して粉末を分配してもよい。
【0007】
通常、電気機械式軽叩打アクチュエータを支えているロッドにホッパをクランプ止めし、ホッパが確実にロッドに対して動けないようにすることが開示されているが、ホッパをクランプ止めせず、単にロッドにある孔内に着座させるだけで垂直方向または回転方向またはこれら両方の方向に摂動できるようにした別の配置も開示されている。アクチュエータが水平方向力を与え、この水平方向力が、おそらくはホッパ側壁のテーパによってホッパ側壁のところで部分的に垂直方向力に変換され、たとえば、ホッパが着座しているロッドの孔の平面が正確に水平でない場合の構成要素における非対称性に起因して回転が生じると考えられると記述されている。垂直方向運動が粉末粒子を流動化し、粉末粒子の分配をより容易にするのに役立つと共に、回転運動が、粒子が圧縮されるかまたは相互に固着されることを助長する可能性のあることが開示されている。
【0008】
上記の公知分配ヘッドは、次々と行われる機械的な作用または軽叩打毎にほぼ一致した量の粉末を分配するその能力についての有効性をあてにしている。これは、任意所与の孔をまたいで架橋した粉末を壊すたび毎にほぼ同量の薬剤粉末が孔を通して放出されるためである。代表的な用途では、粉末は20〜100ミクロンの直径を持つ粒子からなるものであり得るし、孔は300または400ミクロンの直径のものであり得る。
【0009】
この公知システムは、大多数の物質については非常に良く作動するが、凝集する傾向のある物質を装入するときにはいくつかの欠点を有する。時には、患者の身体内での薬剤の溶解、吸収を助けたり、または、他の目的のために薬剤物質を非常に小さい粒径に粉砕したりすることがある。小粒子が直径2、3ミクロン程度である場合、普通、粉末はこの技術分野では『微粉末化されている』と言われる。これらの物質は、しばしば、取り扱い時に大きくて緩い凝集体となる傾向を持つ。これらの凝集体は、粉状の雪から作った雪玉というよりもむしろ緩く集まった個々の粒子から形成されたより大きな粒子集合体の形を採る。これらの粒子集合体は、多くの異なった寸法となる可能性がある。普通は、直径数十ミクロンから直径2または3ミリメートルまでであり、それよりも大きくなりさえする。
【0010】
いうまでもなく、凝集する傾向を持つ粉末の場合、孔がその直径よりも大きい直径を持つ凝集した粒子集合体で塞がれる可能性がある。もっと小さい粒子が若干放出されるかも知れないが、その量は非常に少ないであろうし、その結果、分配プロセスがかなり長くなる可能性があり、或る状況では、分配ヘッドによる分配プロセスが達成できなくなる可能性がある。
【0011】
凝集体が始終一貫した寸法となっていないので、より大きい孔を有する分配ヘッドを使用することによってこれを改善する試みがなされたが、成功はほんの少しに限られていた。これの結果は、任意所与の軽叩打または機械的な作用によって分配ヘッドから放出された薬剤の量がかなり変動するということである。凝集体がもっと大きくなれば、流れが再び制限される。凝集体が局所的にもっと小さければ、多すぎる量の粉末が放出され、目標値以上に分配する可能性があり、プロセスの制御がもっと難しくなる。
【0012】
孔内で或る程度まで垂直方向または回転方向または両方の方向に自由に動ける非クランプ止めのホッパを提供するというWO−A−01/33176の開示内容では、分配中に粉末に制御された、繰り返し達成可能な効果を与えて粉末粒子の凝集を確実に回避するということはない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、少なくとも部分的に、分配ヘッドを使用して少量の粒子を分配する公知の装置および方法のこれらの問題を克服することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、本発明は、少量の粒子を分配する装置であって、底部分にふるいを備えるホッパであり、使用時にふるいを通して分配されるべき粉末を入れる粉末収容領域をふるい上方に構成しているホッパと、ホッパのための支持体であり、使用時に分配された粉末を受け入れることになっている容器の上方にホッパを保持できるようにホッパの一部を保持する支持体と、ホッパに衝撃エネルギを与えて、ホッパが衝撃エネルギを受けたときにふるいを通して粉末を分配させる少なくとも1つのアクチュエータと、支持体に対するホッパの制御された垂直方向運動を許すようになっている要素とを含む装置を提供する。
【0015】
1つの好ましい態様では、この要素は、ホッパを支持体にクランプ止めするためのクランプを含み、このクランプは、クランプ止め配置のまま、ホッパを或る特定の距離にわたって垂直方向に移動させるように構成してある。
【0016】
本装置は、さらに、ホッパをクランプ止め配置の第1位置へ片寄せるための、ホッパと支持体との間に設けた片寄せデバイスを含んでいてもよい。ホッパは、この片寄せデバイスの片寄せ力(bias)に抗してクランプ止め配置の第2位置に向かって移動できる。
好ましくは、片寄せデバイスは圧縮ばねを含む。
圧縮ばねは、クランプの2つの部分の間に配置することができ、ホッパを下方へ押圧する。
【0017】
別の実施形態において、要素は、ホッパ用のホルダ上方に離れて位置する止め部材を含み、ホルダが垂直方向に移動できる高さを制限する。
本装置は、さらに、止め部材の高さを調節するための高さ調整機構を含み得る。
【0018】
別の好ましい態様においては、支持体は、ホッパを受け入れる孔を有する環状部分を含み、この環状部分の上面は、ホッパの制御された回転運動を付加的に生じさせる段付きラチェット構造を有し、この段付きラチェット構造上にホッパ用のホルダが載る。
【0019】
好ましくは、段付きラチェット構造は、環状部分の上面まわりに周方向に延びる一連の当接用傾斜段部を含む。
好ましくは、これらの段部は半径方向に向いたエッジによって分離している。
好ましくは、ホルダは、ラチェット面に載る複数の下向きに延びる部材を備えている。
【0020】
本発明は、また、少量の粒子を分配する方法であって、底部分にふるいを備えたホッパに、ふるいを通して分配されるべき粉末を入れ、分配された粉末を受け入れることになっている容器の上方にホッパを保持するようにホッパの一部を支持体で保持することによってホッパを支持し、そして支持体に対するホッパの制御された垂直方向運動を許すようになっている要素を設け、そして少なくとも1つのアクチュエータによってホッパに衝撃エネルギを与え、ホッパが衝撃エネルギを受けたときにふるいを通して粉末を分配させると共に、支持体に対するホッパの制御された垂直方向運動を許すことからなる方法も提供する。
【0021】
1つの好ましい態様において、要素は、ホッパを支持体にクランプ止めするためのクランプを含み、このクランプは、クランプ止め配置のまま、ホッパを或る特定の距離にわたって垂直方向に移動させるように構成してある。
【0022】
好ましくは、ホッパをクランプ止め配置の第1位置に片寄せするための片寄せデバイスがホッパと支持体との間に配置してあり、ホッパは、この片寄せデバイスの片寄せ力に抗してクランプ止め配置の第2位置に向かって移動できる。
好ましくは、片寄せデバイスは圧縮ばねを含む。
圧縮ばねはホッパを下方へ押圧できる。
【0023】
別の実施形態では、要素は、ホッパ用のホルダ上方に離れて位置する止め部材を含み、ホルダが垂直方向に移動できる高さを定めている。
好ましくは、止め部材の高さは調節可能である。
【0024】
別の好ましい態様において、要素は、支持体に対するホッパの制御された回転運動を付加的に生じさせるようになっている。
【0025】
好ましくは、支持体は、ホッパを受け入れる孔を有する環状部分を含み、この環状部分の上面は、ホッパの回転運動を生じさせる段付きのラチェット構造を有し、この段付きラチェット構造上にホッパ用のホルダが載る。
【0026】
好ましくは、この段付きラチェット構造は、環状部分の上面まわりに周方向に延びる一連の当接用傾斜段部を含む。
好ましくは、これらの段部は半径方向に向いたエッジによって分離している。
好ましくは、ホルダは、ラチェット面に載る複数の下向きに延びる部材を備えている。
好ましくは、ホッパの回転運動は、ホッパの傾斜角度および傾斜方向のうち少なくとも一方に変化を生じさせる。
【0027】
したがって、本発明は、ホッパ内の粉末が、粉末分配中のホッパの制御された垂直方向運動、および場合によっては付加的な回転運動、およびおそらくは傾斜の結果として解凝集作用を受け、これが、任意の凝集体を物理的に破壊することによって、または、それ以上いかなる凝集体をも生じるのを防ぐことによって、または、これら両方の作用によって、ホッパ内の粒子凝集を減らす傾向を持つ解凝集の結果として、より均質な粒径の分布を生じさせる傾向を与えるという利点を持つ。これは、また、特に目標分配重量を超える過剰分配の発生を減らして、目標重量の粉末のより正確な分配を可能にする傾向を持ち、そしてまた、継続的な同じ目標重量の投与量を得るためにより均一な分配時間を与える傾向を持つ。
【0028】
本発明は、粉末がホッパ内にある間に分配直前に機械的に粉末を処理することによって、ホッパを制御しながら垂直方向に、そして、場合によっては付加的に回転方向に動かすことによって、および/または、孔内でホッパを傾けることによって、凝集問題が確実かつ反復性を持って軽減、または、実質的に除去され得るという本発明者等の発見に基づいている。
【0029】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明のいくつかの例示した実施形態を説明する。
図1は、粉末を受け器に分配するための公知の粉末分配装置のホッパを通る、片側面から見た概略断面図である。
図2は、受け器に粉末を分配するための本発明による粉末分配装置のホッパおよび軽叩打デバイスを通る、片側面から見た概略断面図である。
図3は、図2のホッパの、片側面から見た拡大概略断面図であり、本発明の第1実施形態によるホッパ用のクランプ止め配置を示す図である。
図4は、図2のホッパの、片側面から見た拡大概略断面図であり、本発明の第2実施形態によるホッパ用のクランプ止め配置を示す図である。
図5は、本発明の第3実施形態による粉末分配装置に組み込んだ、ホッパを支持するためのアームの概略平面図である。
図6は、図5のアームの概略側面図である。
図7は、本発明の第3実施形態による粉末分配装置に組み込んだホッパを支持しているときの図5のアームの概略側面図である。
図8は、図7のアームの概略平面図であり、ホッパ用のリングに設けた支持爪と、アームの支持リングの上面にある複数の傾斜面との接触点を示す図である。
図9は、受け器に粉末を分配するための、本発明のさらに別の実施形態によるホッパおよび軽叩打デバイスを通る、片側面から見た概略断面図である。
【0030】
図2は、受け器に粉末を分配するための、本発明による粉末分配装置のホッパおよび軽叩打デバイスを示している。この実施形態においては、円錐台形のホッパ20は、その小径の下端22のところに設けた、複数のふるい分け孔を有する水平方向に向いたプレートの形をしたふるい(図示せず)と、このふるいを通して分配されるべきばら粉末、たとえば、薬剤を受け取るための大径の上端23とを有する。ホッパ20は、片持ちアーム25で支持されており、この片持ちアームは、ホッパ20の側壁26に取り付けるか、または、それに衝接している。片持ちアーム25内には長手方向に向いた空所27が設けてあり、この空所27内には、電気機械式アクチュエータを構成するソレノイド30の長手方向に向いたソレノイド・コイル28が配置してある。コイル28は片持ちアーム25にしっかりと取り付けてある。ソレノイド30のアーマチュア31は、コイル28内に延びる突起部分33を有する長手方向に延びた本体を含む。つる巻きばね34がアーマチュア31を片寄せてコイル28内に部分的に位置させるように設けてある。突起部分33は、ばね34の片寄せ作用の結果として得られる静止位置において、空所27のそれぞれの端面37から隔たって位置する端壁35を有する。
【0031】
電流パルスがコイル28に投入されると、アーマチュア31が空所27の端面37に向かって加速され、端壁35と衝突する。衝撃運動量は、片持ちアーム25によって、ホッパ20およびその中のばら粉末へ伝えられ、使用時にホッパ20のふるいの下方に置かれた受け器(図示せず)内に個別の量の粉末を落下させる。その後、電流パルスが止まると、ばね34がアーマチュア31を静止位置へ戻す。
【0032】
この配置の場合、ホッパ20を片持ちアーム25に沿って軽く叩くことが可能である。したがって、粉末の分配が、引き続く粉末分配作用に対応する引き続く軽叩打工程により生じる。
【0033】
ホッパ20およびその中のばら粉末に加える衝撃を発生させるのにソレノイド30を使用することで、ソレノイド30のコイル28を駆動する電圧を制御することによって衝撃の大きさを変えることができる。パルス幅、すなわち、コイル28をオンにしている期間を変えることによっても同じ効果を得ることができる。
【0034】
ふるい21上方でのホッパ20内のばら粉末の凝集問題は、本発明によれば、ホッパ20の制御された垂直方向運動および場合によっては付加的な回転運動を生じさせ、また、場合により、ホッパ20の軸線を垂直線に対して或る角度に傾斜させるように、ホッパ20用の支持体を設けることによって克服される。これらの構造は、凝集体の形成を阻止したり、または、形成されてしまった凝集体を破壊したり、または、これら両方を行う際の助けとなり得る。ホッパ支持構造の多数の異なった実施形態を以下に説明する。
【0035】
図3を参照して、ここには、全体的に40で示すホッパ支持構造の第1実施形態が示してあり、これによって、ホッパ20が片持ちアーム25上に装着される。このホッパ支持構造40は、ホッパ20の外壁48まわりに取り付けた周囲リング46と係合する端部44を有するクランプ部材42を含む。端部44はリング46の上面52を下向きに押圧する。端部44は、ホッパ20の周縁まわりに完全に延びていてもよいし、部分的に延びていてもよい。クランプ部材42は、下方へ貫通する中央孔56と、上面58と、下面60とを有する本体部54も有する。クランプ部材42の反対側の端部45は、支点部50のところで片持ちアーム25の上面62に衝合している。ねじボルト64が孔56を貫いて下方に延びており、このねじボルトの端は、片持ちアーム25に設けたねじ孔66に入っている。つる巻圧縮ばね68が、ボルト64のヘッド70とクランプ部材42の上面58との間でボルト64まわりに配置してある。したがって、つる巻圧縮ばね68は、端部44とリング46の係合によってホッパ20上へ制御された下向きの片寄せ力を加える。ねじボルト64を回して調節を行い、ホッパ20上への下向き片寄せ力を変えることができる。ボルト64は軸線方向漸増位置を持っているとよい。そうすれば、ボルト64の垂直方向位置およびそれによる片寄せ力の程度およびホッパ20が垂直方向に移動できる全距離を徐々に増分させながら変えることができる。たとえば、0.25mm漸増分で総距離2mmとすることができる。これにより、ホッパ20にかかる片寄せ力、そしてまた、ホッパ20が片持ちアーム25において垂直方向に動くことができる最大距離に対して割り出し制御を行うことができる。
【0036】
図4を参照して、ここには、片持ちアーム25上にホッパ20を装着するための、全体的に80で示すホッパ支持構造を含む本発明の第2実施形態が示してある。このホッパ支持構造80は、ホッパ20の外壁88まわりに取り付けた周囲リング86を押圧できる端部84を有するクランプ部材82を含む。端部84は、リング86の周囲まわりに延びており、リング86の上面92を下方へ押圧できる。クランプ部材82は、下向きに貫通する中央孔96、上面98および下面100を有する本体部94も有する。クランプ部材82の第2の反対側の端102は、下方へ延びる支点部104を有し、この支点部104は片持ちアーム25の上面106を押圧する。ねじボルト108が孔96を通って下方へ延びており、その端が片持ちアーム25にあるねじ孔110内に入っている。ボルト110のヘッド114はクランプ部材82の上面98と係合している。そして、片持ちアーム25の上面106とクランプ部材82の下面98との間でボルト110まわりにつる巻圧縮ばね112が配置してある。それによって、つる巻圧縮ばね112は、クランプ部材82へ制御された上向きの片寄せ力を加える。ねじボルト110を回して調節することで、クランプ部材82の、支点部104まわりの傾斜角度、それ故、クランプ部材82の端部84の垂直方向位置を変えることができる。ボルト110は軸線方向漸増位置を持っていてもよい。そうすれば、ボルト110の垂直方向位置、それ故、クランプ部材82の端部84の垂直方向位置を漸増状態で変えることができる。図4に示すように、使用時に、ホッパは非クランプ止め位置に配置される。この位置では、端部84は周囲リング86から隔たって上方にある。したがって、端部84は、衝撃を受けたときにホッパがジャンプすることができる高さ範囲を定める止め部材として作用する。それによって、支持体に対するホッパのいかなる運動の垂直成分も制御、制限される。
【0037】
図3および図4の各実施形態の場合、ホッパ20が図3、4に矢印で示すように軽叩打作用を受けたとき、この軽叩打作用は、ホッパ20がアクチュエータから衝撃エネルギを受けた結果として、水平方向ばかりか垂直方向にもホッパ20を移動させる。図3の実施形態の場合、衝撃で生じた上向きの垂直方向変位量は、つる巻きばねによって付与される片寄せ力の量によって制御される。両方の実施形態で、最大垂直方向変位はボルトの長手方向位置によって制御される。次いでこれが、クランプ部材の端部の垂直方向位置を制御する。
【0038】
図5〜8を参照して、ここには本発明のさらに別の実施形態が示してある。この実施形態では、特に図5、6に示すように、片持ちアーム125は、その自由端126に、ホッパ129を可動状態で受け入れる中央孔128を有する環状部分127を備えている。環状部分127の上面130は、周方向に延び一連の当接用傾斜段部131を有する。これらの段部131は、半径方向に向いたエッジ132によって分離している。各段部131の上面132は水平に対して傾斜しており、すべての段部131が同じ方向に傾斜している。したがって、環状部分127の上面130は円周方向ラチェット面130となっている。各ラチェット段部エッジの段高さは、0.2から1mmであってよい。
【0039】
図7、8に目を転じて、ホッパ129はその傾斜した外面133に環状リング部材134を備えている。この環状リング部材134は、ホッパ129およびリング部材134の重心よりも上方の垂直方向高さのところでホッパ129に取り付けてあり、ホッパ129から周方向外向きに延びている。リング部材134は、複数の下向きに延びる爪部材135を備えている。各爪部材135の下端136は環状部分127のラチェット面130に載っている。爪部材135の数および互いの角度関係は、段部131の寸法および角度関係に関連して、ホッパ129の任意の回転位置において、爪部材135が、ラチェット面130のそれぞれの段部131に載るときに異なった垂直方向部位と係合するように選ぶ。これにより、片持ちアーム25が衝撃を受けたときに片持ちアーム25の水平運動に応答してホッパ129が垂直軸線まわりに回転できる。図示の実施形態では、3つの爪部材135が互いに120度の相互角度で設けてあり、そして、段部131の角度配置は、各爪部材135がそのそれぞれの段部131上にそれぞれの段高さで載るように選ぶ。爪部材135の数および爪部材135、段部131の向きは本発明の範囲内で変えることができる。クランプ部材136、つる巻圧縮ばね138およびボルト140は、図3の実施形態と同様の構造を持つように設ける。クランプ部材136の端部142は、ばね138の片寄せ力の下にリング部材134の上面144を下向きに押圧する。この片寄せ力はボルト140で調節できる。この構造により、リング部材134、それ故、ホッパ129が、以下により詳しく説明するように、ばね138の片寄せ力に抗して制御された要領で垂直方向に移動できる。これは、ホッパのいかなる運動の垂直方向成分の制限を定めるように作用する。
【0040】
片持ちアーム125がアクチュエータから衝撃エネルギを受けたとき、これがホッパ129に水平方向衝撃を与えるばかりか、ホッパ129を垂直方向にジャンプさせることにもなる。ホッパ129がアクチュエータから水平方向に衝撃エネルギを受けたとき、アクチュエータから離れているホッパ129、爪部材135間の結合部は、充填されたホッパの重心から垂直方向上方にある支点として作用する傾向がある。これにより、ホッパがその支点まわりに上方へ回転し、ホッパの反対側が垂直方向上方へ動くことができる。この垂直方向運動は、同様に垂直軸線まわりの少なくとも小さい回転運動と関連する傾向がある。ホッパ129が回転すると、爪部材135は、ラチェット面130まわり周方向に角度割り出し要領で漸進的に移動しようとする。ラチェット面130を設けることで、ホッパ129を持続的に傾けるだけでなく、ホッパ129の回転も生じさせ、特に或る爪部材135がラチェット面130の或る段部131の高さに急激に落下したときに、たとえ回転運動量がほんの少しの場合でも結果的に傾斜角度および傾斜方向の両方に変動を生じさせる。1割り出し回転運動あたり最大回転角度は、各段部131の角度範囲によって制御される。1割り出し回転運動あたりの最大垂直方向運動は、各段部エッジ132の垂直方向高さによって制御される。
【0041】
図9は、図2の粉末分配装置の変形例を示している。この変形例では、電気機械式アクチュエータ150は、図2におけると同様に水平方向というよりはむしろ垂直方向に向いている。したがって、電気機械式アクチュエータ150は、片持ちアーム25、それ故、ホッパ20に垂直方向の衝撃エネルギを与える。
【0042】
本発明の実施形態の各々において、ホッパの傾斜と場合により関連した、ホッパの制御された垂直方向運動および場合によっては付加的な回転運動は、ホッパ内の粉末粒子を解凝集するのを助け、次いでこれが、ホッパからの均一かつ正確な粉末分配を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】粉末を受け器に分配するための公知の粉末分配装置のホッパを通る、片側面から見た概略断面図である。
【図2】受け器に粉末を分配するための本発明による粉末分配装置のホッパおよび軽叩打デバイスを通る、片側面から見た概略断面図である。
【図3】図2のホッパの、片側面から見た拡大概略断面図であり、本発明の第1実施形態によるホッパ用のクランプ止め配置を示す図である。
【図4】図2のホッパの、片側面から見た拡大概略断面図であり、本発明の第2実施形態によるホッパ用のクランプ止め配置を示す図である。ここでは、クランプはホッパの垂直方向運動の限度を定める止め部材を構成している。
【図5】本発明の第3実施形態による粉末分配装置に組み込んだ、 ホッパを支持するためのアームの概略平面図である。
【図6】図5のアームの概略側面図である。
【図7】本発明の第3実施形態による粉末分配装置に組み込んだホッパを支持しているときの図5のアームの概略側面図である。
【図8】図7のアームの概略平面図であり、ホッパ用のリングに設けた支持爪と、アームの支持リングの上面にある複数の傾斜面との接触点を示す図である。
【図9】受け器に粉末を分配するための、本発明のさらに別の実施形態によるホッパおよび軽叩打デバイスを通る、片側面から見た概略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少量の粒子を分配するための装置であって、底部分にふるいを備えるホッパであり、使用時にふるいを通して分配される粉末を入れる粉末収容領域をふるい上方に構成しているホッパと、ホッパのための支持体であり、使用時に分配された粉末を受け入れることになっている容器の上方にホッパを保持できるようにホッパの一部を保持する支持体と、衝撃エネルギをホッパに与え、ホッパが衝撃エネルギを受けたときにふるいを通して粉末を分配させる少なくとも1つのアクチュエータと、支持体に対するホッパの制御された垂直方向運動ができるようになっている要素とを含む上記装置。
【請求項2】
要素がホッパを支持体にクランプ止めするためのクランプを含み、このクランプは、クランプ止め配置のまま、ホッパを或る特定の距離にわたって垂直方向に移動させるように構成してある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
さらに、ホッパをクランプ止め配置の第1位置に片寄せするためにホッパと支持体との間に配置した片寄せデバイスを含み、ホッパがこの片寄せデバイスの片寄せ力に抗してクランプ止め配置の第2位置に向かって移動できる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
片寄せデバイスが圧縮ばねを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
圧縮ばねがクランプの2つの部分の間に配置してあって、ホッパを下方へ押圧する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
要素がホッパ用のホルダ上方に離れて位置する止め部材を含み、ホルダが垂直方向に移動できる高さを定めている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
さらに、止め部材の高さを調節するための高さ調節機構を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
支持体がホッパを受け入れる孔を有する環状部分を含み、この環状部分の上面が付加的にホッパを回転運動させるようになっている段付きラチェット構造と、この段付きラチェット構造上に載るホッパ用のホルダとを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
段付きラチェット構造が環状部分の上面まわりに周方向に延びる一連の当接用傾斜段部を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
段部が半径方向に向いたエッジによって分離している、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
ホルダがラチェット面に載る複数の下向きに延びる部材を備えている、請求項8〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
少量の粒子を分配する方法であって、底部分にふるいを備えたホッパに、ふるいを通して分配される粉末入れ;ホッパが分配された粉末を受け取ることになっている容器上方に保持されるように支持体でホッパの一部を保持することによって、ホッパを支持し、支持体に対するホッパの制御された垂直方向運動ができるようになっている要素を設け;そして少なくとも1つのアクチュエータによって、ホッパに衝撃エネルギを与え、ホッパが衝撃エネルギを受けたときにふるいを通して粉末を分配させると共に、支持体に対するホッパの制御された垂直方向運動を可能にすることからなる方法。
【請求項13】
要素がホッパを支持体にクランプ止めするためのクランプを含み、このクランプは、クランプ止め配置のまま、ホッパを或る特定の距離にわたって垂直方向に移動させるように構成してある、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ホッパをクランプ止め配置の第1位置に片寄せするための片寄せデバイスが、ホッパと支持体との間に配置してあり、ホッパがこの片寄せデバイスの片寄せ力に抗してクランプ止め配置の第2位置に向かって移動できる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
片寄せデバイスが圧縮ばねを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
圧縮ばねがホッパを下方へ押圧する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
要素がホッパ用のホルダ上方に離れて位置する止め部材を含み、ホルダが垂直方向に移動できる高さを定めている、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
止め部材の高さが調節可能である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
要素が支持体に対するホッパの制御された回転運動を生じさせるようになっている、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
支持体はホッパを受け入れる孔を有する環状部分を含み、環状部分の上面がホッパを回転運動させるようになっている段付きラチェット構造と、この段付きラチェット構造上に載るホッパ用のホルダとを有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
段付きラチェット構造が環状部分の上面まわりに周方向に延びる一連の当接用傾斜段部を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
段部が半径方向に向いたエッジによって分離している、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ホルダがラチェット面に載る複数の下向きに延びる部材を備えている、請求項18〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
ホッパの回転運動がホッパの傾斜角度および傾斜方向のうち少なくとも一方に変化を生じさせる、請求項19〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
実質的に図3、図4、図5〜8または図9を参照して本明細書に述べた、少量の粒子を分配するための装置。
【請求項26】
実質的に図3、図4、図5〜8または図9を参照して本明細書に述べた、少量の粒子を分配するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−504179(P2008−504179A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518682(P2007−518682)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【国際出願番号】PCT/GB2005/002523
【国際公開番号】WO2006/003379
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(597014501)ファイザー・リミテッド (107)
【氏名又は名称原語表記】Pfizer Limited
【住所又は居所原語表記】Ramsgate Road, Sandwich, Kent, England
【Fターム(参考)】