少量マイクロアレイ処理用の機器、方法、およびシステム
少量マイクロアレイ処理用の機器(10)、方法およびシステムを開示する。本マイクロアレイ機器(10)は好適には、電磁気信号、蛍光により試料内に1個以上の選択された捕捉反応物を含む複数の反応物サイト(30)を有する反応物表面(20)を含んでいる。反応物表面(20)上における試料の混合および/または分布は、試料が重力の影響により反応物表面(20)上を流れて、試料の一部が第一エッジ(22)に沿ってビードに溜まるまで反応物表面(20)を軸(14)の回りに傾ける操作により実現される。反応物表面(20)は、分析物試料が反応物表面(20)上を流れて、第二エッジ(24)に溜まるように、再び傾けられる。反応物表面(20)は好適には、試料が反応物表面(20)に保持されるように、試料に対し十分な毛管力を発生させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少量マイクロアレイ処理用の機器、方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロアレイは、遺伝子塩基配列決定、遺伝子発現の監視、遺伝子マッピング、細菌識別、創薬、組み合わせ化学等、各種の処理に利用することができる。これらの用途の多くは、高価および/または入手困難な分析物試料および/または試薬を要する。処理用に少量の分析物試料を希釈して量を増やすと問題が生じる恐れがある。例えば、少量の分析物試料を希釈して量を増やした結果、検出が困難または過度に長い処理時間を要するまでに濃度が薄くなる。
【0003】
従って、マイクロアレイが望ましい理由は、そのようなアレイを利用すれば分析物試料が少量でも済むためである。マイクロアレイを用いる処理には例えば、分析物試料の微小な液滴(例えば10〜20マイクロリットル)をマイクロアレイに堆積させ、続いてマイクロアレイ面上に分析物試料を拡散させてカバースリップで覆う操作が含まれる。カバースリップは、カバースリップとマイクロアレイ面との隙間に押圧重量および毛管力を与えて、分析物試料をマイクロアレイ面上に拡散させる。しかし通常は、その同じ毛管力によってマイクロアレイ面上における分析物試料の混合または均一に拡散されることが阻害される。すなわち、マイクロアレイ面上における分析物分子の拡散を逆に制約する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクロアレイ面上で分析物試料を拡散または混合する問題に対処する一つの方法に、ポンピング機構の利用が含まれる。しかし、この方法自体にも不都合な点がある。例えば、ポンピングに十分なボリュームを得るために、分析物試料の量を、分析物試料を追加するか、または所定量の分析物試料を希釈することにより増やす必要がある。また、ポンピング機構は処理システムを益々複雑にする。更に、ポンプを使用するいくつかのシステムにおいて、マイクロアレイ面上で分析物の分子を十分に拡散しようとして攪拌機(塗料ミキサーに類似)を用いてマイクロアレイ上の分析物試料を更に攪拌する。
【0005】
対象分子を拡散させるためにポンプを使用するシステムにおける別の潜在的不具合は、ポンピングおよび/または攪拌が行なわれる間、分析物試料を保持しておくために、通常はマイクロアレイ面を密封チャンバ内に格納しておく必要がある点である。その結果、マイクロアレイ機器は通常、必要とされる密封チャンバを提供可能な筐体に合わせて設計されなければならない。その筐体が更にマイクロアレイのコストおよび複雑度を増大させる。
【0006】
マイクロアレイの筐体に用いる密封チャンバの更に別の潜在的不具合は、例えば壁の接合部やその他の隅等、チャンバ内において液体の表面張力により結果的に液体が滞留する液体滞留界面が形成される点である。滞留した液体は、マイクロアレイの表面全体にわたって拡散することできない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少量のマイクロアレイを処理する機器、方法、およびシステムを提供する。本マイクロアレイ機器は好適には、反応物表面上に複数の反応物サイトを含んでいる。反応物サイトは、1個以上の選択された分析物を捕捉すべく動作する反応物を含む、当該分析物は次いで、マイクロアレイ機器に入射された励起エネルギーに応答して各分析物により発される蛍光等の電磁気信号に基づいて検出可能である。
【0008】
反応物表面上における分析物試料の混合および/または分布は、反応物表面を傾けて分析物試料が反応物表面から溢れされることで実現される。その際、分析物試料の一部が反応物表面の第一エッジに沿ってビードに溜まるように傾けられる。反応物表面は次いで、分析物試料の一部が反応物表面から溢れて第二エッジに溜まるように、異なる方向へ傾けられる。反応物表面は好適には、分析物試料が反応物表面に保持されるように分析物試料に対して十分な毛管力を発生する。傾け操作およびその結果生じる流れは、反応物表面上に分析物試料を所望のように混合および/または分布させるために必要な回数だけ実行することができる。
【0009】
本発明の原理に従い、分析物試料が反応物表面に露出している間、傾け操作が実行される。本発明に関わる用語として、分析物試料が「露出」しているとは、反応物表面の傾け操作に応答して分析物試料の一部が自由に流れて、反応物表面のエッジに沿って露出すなわち覆われていないビードに溜まる場合をいう。対照的に、例えば反応物表面上の分析物試料と接触するカバースリップを配置すれば、分析物試料の流れがカバースリップにより制約されるため、露出した分析物試料は得られない。本発明を特徴づける別の方法において、側壁、カバーまたはその他反応物表面の上方に伸びる構造がない場合、露出した分析物試料は傾け操作される間反応物表面に保持される。更に、露出した分析物試料は(分析物試料がアレイの表面以外にカバースリップおよび/または側壁と接触する公知の機器とは異なり)、反応物表面だけに接触していてよい。
【0010】
本発明の利点の一つは例えば、反応物表面上に少量の分析物試料を適切に分布および/または混合できることである。ここでの「少量」の分析物試料という用語は、反応物表面1平方センチメートル当たりの分析物試料が10マイクロリットル以下であることを意味する。本明細書において「少量」という用語は好適には、反応物表面1平方センチメートル当たりの分析物試料が平均5マイクロリットル以下であることを意味する。
【0011】
本発明の別の利点は例えば、非乱流液体流を用いて反応物表面上の分析物試料を分布および/または混合させて、処理中における分析物試料または試薬の劣化を低減または防止することである。
【0012】
本発明の別の利点として例えば、マイクロアレイ機器に付随するいかなる外部ポンプ機器の必要がなく、ポンプ機器とマイクロアレイ機器が配置されたチャンバとの間が液体連通している必要がなく、マイクロアレイ機器上に密封された反応チャンバを設ける必要がなく、反応物表面と筐体間の液体滞留界面を減少または除去することができる。
【0013】
本発明における用語「分析物」とは、天然または合成の、注目する試料から検出または測定される、あるいは分離される分子、化合物、組成または錯体を意味する。分析物として、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂肪酸、核酸、炭水化物、ホルモン類、ステロイド、脂質、ビタミン、バクテリア、ウイルス、医薬品および代謝物質が挙げられるが、これに限定されない。
【0014】
本発明における用語「反応物サイト」とは、天然または合成のあらゆる化学分子、化合物、組成または錯体上を含む表面上の区別された場所を意味し、補酵素等の基板に分析物を単独で結合する、または当該基板への結合を支援する分子または化合物とともに分析物を結合する能力を有するものである。本発明の反応物サイトにおける反応物は、化学または生化学測定、検出、分離等に有用である。反応物の例として、アミノ酸、核酸(オリゴヌクレオチドおよびcDNAを含む)、炭水化物、およびタンパク質(酵素や抗体等)が挙げられるがこれに限定されない。
【0015】
本発明は一態様において、反応物を分析物に接触させる方法であって、反応物表面を含むマイクロアレイ機器を提供し、反応物表面上に分散した複数の反応物サイトを反応物表面が有し、当該複数の反応物サイトが互いに区別されていて、反応物表面が、各々対向して位置する第一エッジおよび第二エッジを含むようにするステップと、一定量の液体および分析物を反応物表面に堆積させるステップと、反応物表面を回転軸の回りに第一の方向へ傾けて、重力の影響により液体の一部が反応物表面の第一エッジの方へ移るようにするステップと、反応物表面を回転軸の回りに第二の方向へ傾けて、重力の影響により液体の一部が第一エッジから第二エッジへ向かって移るようにするステップとを含む方法を提供する。傾け操作ステップの間、液体が反応物表面上に残留する。
【0016】
本発明は別の態様において、反応物を分析物に接触させる方法であって、マイクロアレイ機器に親水性反応物表面を提供し、反応物表面上に分散した複数の反応物サイトを反応物表面が有し、当該複数の反応物サイトが互いに区別されていて、反応物表面が各々対向して位置する第一エッジおよび第二エッジを含むようにするステップを含む方法を提供する。本方法は更に、一定量の液体および分析物を反応物表面に堆積させるステップと、反応物表面上の分析物および液体が露出している間に反応物表面を回転軸の回りに第一の方向へ傾けて、反応物表面が第一の方向へ傾いた後で、重力の影響により液体の一部が反応物表面の第一エッジの方へ移動し、反応物表面の第一エッジの近傍の反応物表面の上方にビードを形成するステップと、傾け中、反応物表面上の分析物および液体が露出している間に反応物表面を回転軸の回りに第二の方向へ傾けて、反応物表面を第二の方向へ傾けた後で、重力の影響により液体の一部が第一エッジから第二エッジへ向かって移動し、反応物表面の第二エッジの近傍の反応物表面の上方にビードを形成するステップとを含む。傾け操作ステップの間、液体が反応物表面上に残留する。
【0017】
本発明は別の態様において、基板と、当該基板上にマイクロレプリケーションされた親水性構造化反応物表面と、反応物表面上に分散した複数の反応物サイトとを含み、当該複数の反応物サイトが互いに区別されている、少量液体処理用のマイクロアレイ機器を提供する。
【0018】
本発明は別の態様において、キャリアと、当該キャリアの表面に配置された複数の別個の反応物表面とを含み、各々の反応物表面がマイクロレプリケーションされた親水性構造化反応物表面であって反応物表面上に分散する複数の反応物サイトを含み、当該複数の反応物サイトが互いに区別されている、少量液体処理用の装置を提供する。
【0019】
本発明は別の態様において、キャリアと、行および列の両方向に9ミリメートル(mm)間隔を置いた8×12アレイ内で当該キャリアの表面に配置された複数の別個の反応物表面を含み、各々の反応物表面が親水性構造化反応物表面であって反応物表面上に分散する複数の反応物サイトを含み、当該複数の反応物サイトが互いに区別されている、少量液体処理用の装置を提供する。
【0020】
本発明は別の態様において、少量マイクロアレイ機器処理用のシステムを提供し、当該システムは処理チャンバと、当該処理チャンバ内の温度を制御すべく当該処理チャンバ内で動作可能な温度調節装置と、当該処理チャンバ内の回転装置とを含み、当該回転装置が当該処理チャンバ内に位置するマイクロアレイ機器を傾けるように動作可能である。
【0021】
本発明のこれらおよび他の特徴や利点について、本発明の実施形態を参照しつつ以下に詳述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、少量マイクロアレイ処理用の機器、方法、およびシステムを提供する。分析物試料は多くの場合、本発明のマイクロアレイ機器の反応物表面に堆積される液体の状態である。分析物試料は例えば、キャリア液体(キャリア液体は一種以上の異なる組成を含んでいてよい)に一種以上の分析物を含んでいてよい。反応物表面上における分析物試料およびその分析物の分布は、重力の影響により液体分析物試料がほぼ一様に空所がないように反応物表面全体にわたって流れるように、反応物表面を傾ける操作により実現される。反応物表面上における分析物試料の流れはまた、マイクロアレイ機器の反応物表面上における試料液体内で分析物または分析物を混合する際に有用である。
【0023】
分析物試料の表面張力および毛管力は、反応物表面が傾けられている間、分析物試料を反応物表面上に保持するよう機能する。反応物表面上における液体滞留の釣合いをとる際に、反応物表面が傾けられるにつれて液体分析物試料が反応物表面を横断的に移動し、結果的に反応物表面全体を濡らすことが好適である。
【0024】
一般に、固体表面が液体による濡れやすさは、水平に配置された表面に液体が堆積され、その上で安定した後に固体表面となす接触角度により特徴付けられる。これを「静的平衡接触角度」と呼ぶ場合があり、本明細書では単に「接触角度」と呼ぶ。米国特許第6,372,954B1号明細書(ジョンストン(Johnston)他)および国際公開第99/09923号パンフレット(ジョンストン(Johnston)他)に記述されているように、接触角度とは、表面上に堆積した液体のビード面と当該表面の接点における接線と、当該表面の平面とがなす角度である。接線が当該表面の平面と直交する液体のビードの接触角度は90度である。通常、接触角度が90度以下である場合、固体表面が液体により濡れているとみなされる。水または水溶液の液滴との接触角度が90度未満である表面は一般に「親水性」であると言われる。
【0025】
本明細書における用語「親水性」とは、材料の表面特徴を示す目的でのみ用いられる。すなわち、当該材料が水溶液で濡らされることだけを示し、水溶液を吸収または吸着するか否かを示すものではない。従って、材料の層が水溶液を浸透させる/させないにかかわらず、当該材料は親水性であると呼ばれる。このように、本発明の反応物表面として使用する親水性フィルムは、ポリ(ビニルアルコール)等、本質的に親水性である樹脂材料から作られたフィルムで形成されていてよい。
【0026】
表面上での接触角度がほぼ0度である液体分析物試料は、表面を完全に濡らすとみなされる。しかし、ポリオレフィンは通常、本質的に疎水性であり、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィンフィルムと水との接触角度は通常90度より大きい。本発明の反応物表面に堆積される分析物試料の多く水性である。このように、そのようなフィルムを本発明の反応物表面として用いる場合、接触角度が90度以下となるように表面を親水性とし、反応物表面を濡れやすくして液体輸送特性を向上させるべく、例えば表面処理、表面コーティングの適用、または選択された薬剤の注入当による改良を要する場合がある。
【0027】
任意の適切な公知の方法を用いて、本発明の液体制御フィルム上に親水性表面を実現することができる。表面処理は、界面活性剤の局部適用、プラズマ処理、フィルム面上への親水性部分のグラフティング、ゾル−ゲル・コーティング、コロナまたはフレーム処理等を用いて行なうことができる。あるいは、フィルム押出時に内部添加物として界面活性剤またはその他の適切な薬剤を樹脂と混合してもよい。しかし、界面活性剤コーティングの局所適用に依存するのではなく、反応物表面が作られるポリマー組成に界面活性剤を注入する方が好適である。
【0028】
図1は、本発明によるマイクロアレイ機器10の斜視図である。マイクロアレイ機器10は、2つの対向するエッジ22、24を有する反応物表面20を含む。反応物サイト30は、反応物表面20上に分布している。反応物サイト30が反応物表面20上に規則的な、秩序ある配列状に分布しているように描かれているが、反応物サイト30が反応物表面20上に任意の適当な仕方またはパターンで分布していてもよい点を理解されたい。例えば代替的に、反応物サイト30が反応物表面20上に不規則な仕方でランダムに分布していてよい。他の代替方式において、反応物サイト30は反応物表面20の異なる部分の上に異なるパターンまたは仕方で分布していてよい。
【0029】
マイクロアレイ機器10はまた、反応物表面20が配置された基板12も含んでいる。基板12は、任意の適当な形状をなしていてよい。例えば、基板12はガラス、ポリマー、シリコンまたはその他の適当な材料で形成されていてよい。反応物表面20が基板12の表面のほぼ全体を占めているように描かれているが、ある場合には反応物表面20が基板12より小さくても大きくてもよい。別の変型例において、反応物表面20および/または基板12が比較的平坦に描かれているが、凹型、円筒型等、他の任意の適当な形状に形成されていてよい点を理解されたい。
【0030】
図1にはまた、反応物表面20の対向するエッジ22、24の間を伸びる軸14も示す。以下により詳しく述べるように、反応物表面20の上で分析物試料を分布させるおよび/または混合するために、この軸の回りにマイクロアレイ機器10が傾けられる。
【0031】
図2は、図1のマイクロアレイ機器10の軸14に沿った(従って図2の視点から見た)の側面図である。マイクロアレイ機器10は基板12と、軸14の対向する面に配置された対向エッジ22、24を含んでいる。図2にはまた、マイクロアレイ機器10の反応物表面20に液体分析物試料40を堆積させるために用いる配送機器42も示す。配送機器42は、ピペットまたはその他の液体配送機器等、任意の方式であってよい。配送機器42は手動で操作しても、あるいは自動化された液体配送システムの一部であってもよい。
【0032】
分析物試料40は、ユーザーが反応物表面20上の反応物サイト30の反応物に露出させたいと望む1種以上の分析物を含む。分析物試料40を反応物表面20の中央部付近に堆積させることが望ましいが、分析物試料40を反応物表面20上のほぼ任意の場所に堆積させてもよく、後述するようにマイクロアレイ機器10を傾ける操作により反応物表面20上に分析物試料40を所望のように分布させることが可能な点を理解されたい。
【0033】
ある場合には、分析物試料40は、マイクロアレイ機器10が傾けなくても、または傾きがなくても、反応物表面20上を自然に流れたり、または分布する場合がある。別のケースでは、分析物試料40が反応物表面20上を流れるように反応物表面20に何らかの操作を行わない限り分析物試料40が反応物表面20全体にわたって分布することができない。
【0034】
別の変型例において、分析物試料40を段階的に堆積させてもよい点を理解されたい。例えば、ある状況で、1種以上の分析物をキャリア液体から別々に堆積させて、当該1種以上の分析物を反応物表面20に分布させてもよい。そのような状況において、当該1種以上の分析物の堆積は、分析物の特性、およびキャリア液体を堆積させる前か後のどちらに分析物を堆積させた方が好ましいかにより、キャリア液体の堆積前後のいずれに行なってもよい。
【0035】
図3は、図2のマイクロアレイ機器10を軸14の回りに第一の方向13へ回転させた後の図である。分析物試料40の少なくとも一部が、反応物表面20を傾けた結果、反応物表面20上に分布している。分析物試料40、または少なくともその一部が溜まり、反応物表面20のエッジ22に沿ってビード44を形成している。分析物試料40の毛管力および表面張力により、分析物試料40は、反応物表面20の向きを傾けて、かつ分析物試料40に重力が作用しているにもかかわらず、流出または漏出することなく反応物表面20上に保持されている。
【0036】
分析物試料40は、まだ反応物表面20全体にわたっては分布していない。例えば、処理のこの段階においては、エッジ24は液体に作用する重力によりエッジ22の方へ引っ張られて反応物表面20のエッジ24から離されるため、分析物試料40から基本的に離れている。
【0037】
分析物試料40の粘性その他の変数に応じて、マイクロアレイ機器10を回転させて、図3に示したよりも上回るかまたは下回る程度に第一エッジ22を重力に抗して下げることが必要な場合がある。例えば、粘性が低い分析物試料40は、粘性が高い分析物試料40と比較して少ない回転量で反応物表面22上を移動または分布することができる。更に、分析物試料40が流れて反応物表面20の第一エッジ22に沿ってビード44に溜まる時間を与えるように、反応物表面20が(例えば図3に示すように)傾いた向きにドウェル時間静止できることが望ましい。別の例では、回転範囲の一端でのドウェル時間は必要とされない。
【0038】
本発明と関係付けて記述した反応物表面上の液体の移動は、実際の重力または見かけの重力のいずれからの重力にせよ、重力の影響下にあることを理解されたい。見かけの重力は、本発明によるマイクロアレイ機器の反応物表面上に液体を分布させる際に、実際の重力が十分無い場合、または制御可能な擬似的重力の提供が求められる場合に、重力の代わりとすべく発生された回転力により与えることができる。見かけの重力は例えば、回動システム内で任意の向きに発生させることができる。対照的に、実際の重力は例えば、地球の質量により生じる重力に基づくものである。分析物試料に作用する重力は約1G以下であることが好適である。更に、本明細書に記述するように、反応物表面の傾け操作は、実際または見かけの重力の力ベクトルにほぼ直交する水平軸(または軸)の回りに行なわれるのが好適である。
【0039】
図4に、マイクロアレイ機器10を軸14の回りに第二の方向15へ回転した後の状態を示す。この方向では、反応物表面20は、結果的に分析物試料40の一部がエッジ22から遠ざかり、かつエッジ24へ向かって流れる方向を向いたエッジ24を含んでいる。反応物表面20は好適には、分析物試料の一部40が反応物表面20のエッジ24に沿ってビード44に溜まるまで図4に示す方向に保持される。
【0040】
反応物表面20上を分析物試料40が流れる結果、分析物試料40は通常、エッジ22からエッジ24まで反応物表面20のほぼ全体にわたり分布する。ここに、分析物試料40のビード44は反応物表面20のエッジ24に好適に配置されている。
【0041】
反応物表面20上に分析物試料40を分布させることだけが目的であるため、反応物表面20が図4に示す方向に保持できるだけで十分である。あるいは、図2に示すように分析物試料40が配置された反応物表面20を、分析物試料40が反応物表面20上のビードに溜まらない中間位置まで回転させてもよい。
【0042】
しかし、反応物表面20上の分析物試料40を更に混合させることが必要な場合、図3、4に示す方向の間で反応物表面20を回転し続けることが望ましい。例えば、処理の間、反応物表面20および付随する基板を方向13と15の間で揺することにより、分析物試料40の反応物表面20上における混合および分布を続けることが望ましい場合がある。反応物表面20が分析物試料40により濡れるにつれて、反応物表面20および付随する基板12の回転または傾き度合いを小さくすることが望ましい場合がある。更に、一つ以上の異なる方向における反応物表面20のドウェル時間を延長または短縮することが望ましい場合がある。他の変型例として、例えば、反応物表面の回転速度の変更を含んでいてよい。
【0043】
本発明に関わる他の変型例として、マイクロアレイ機器10および反応物表面20を回転させて所望の傾きを得るための回転軸の位置がある。図1〜4に示す実施形態において、軸14は第一エッジ22と第二エッジ24の間の反応物表面20の中心点付近にある平面内に位置している。軸14が位置する平面は例えば、一般に反応物表面20と平行または直交(反応物表面が平坦である前提)していてよい。しかし軸14の位置は、反応物表面20が軸の回りに回転させられた際に、反応物表面20全体にわたって液体の流れが得られるように変えてもよい。液体を流れさせるための動力として実際の重力が使われる場合、回転の結果、反応物表面20のエッジ22および24の間で高さの違いが生じる。例えば、軸14は反応物表面20が占める領域の外側に位置するかもしれない(下記図8参照)。
【0044】
軸14が基板12内に位置しているように描かれているが、例えば基板12の上下等、軸14を任意の好都合な場所に配置してよい。例えば、マイクロアレイ機器10を従来の揺動機器上に配置する場合、軸14は通常、基板12の下、すなわち反応物表面20から見て基板12の反対側に配置される。
【0045】
図5は、反応物表面20の一部および付随する基板12の拡大部分断面図である。反応物表面20は、反応物表面20上に配置された任意の分析物試料40の分布および/または保持を容易にする構造化表面であってよい。この点に関しては有用な1つの潜在的構造として、一連の整列されたチャネル50がある。当該実施形態のチャネル50の各々は一対の側壁52および谷状部54により形成されていて、チャネル50が反応物表面20内に形成されるようにする。隣接するチャネル50の側壁52は、図5に示すように会合してピーク56を形成することができる。
【0046】
いくつかの例において、反応物表面20のエッジに沿って分析物試料40のビード44が生ずるように、反応物表面20が少なくとも1回傾けられるまで、分析物試料が反応物表面20の幅全体(幅が軸14の方向に沿って測定されている前提)にわたって分布しない場合がある。分析物試料40の量により、反応物表面の幅全体にわたって分布することが制限される場合がある。例えば反応物表面20上のチャネル50(または他の構造)を充満させるには不十分な場合、ビード44内の反応物表面20のエッジに沿って溜まるまで待つが、その位置まで来れば、分析物試料40が反応物表面20の幅全体にわたって広がることができる。
【0047】
チャネル50が、エッジ22からエッジ24まで反応物表面20の長さにわたって連続的に伸びることが好適である。あるいは、チャネル50が対向するエッジ間で不連続な場合がある。チャネル50は、反応物表面20上で互いに平行であるように整列していることが更に好適であるが、チャネル50が必ずしも互いに平行でなくてもよい点を理解されたい。
【0048】
別の変型例において、構造化反応物表面20上に形成された構造は、任意の適当な形状をなしていてよい。例えば、図5に示すようにV型でないチャネルを使用することが有用なこともある。他の例において、反応物表面上で複数の方向にチャネルまたは液体経路の配列を規定するピラミッド形またはその他の構造のアレイを提供することが望ましい場合がある。代替的なチャネル付き構造の例が、米国特許第6,372,954B1号明細書、同第6,431,695B1号明細書、並びに国際公開第99/09923号パンフレット(全てジョンストン(Johnston)他)に見られる。
【0049】
構造化反応物表面は、マイクロレプリケーション、機械加工、スタンピング、エンボシング等、任意の適当な技術または技術群を用いて製造することができる。本発明にかかわる有用な構造化表面を形成する適切な技術の例が、米国特許第6,431,695号明細書(ジョンストン(Johnston)他)、同第6,372,954号明細書(ジョンストン(Johnston)他)、並びに国際公開第99/09923号パンフレット(ジョンストン(Johnston)他)、国際公開第99/65664号パンフレット(ベンツェン(Bentsen)他)に記述されている。
【0050】
本発明の構造化反応物表面は、マイクロレプリケーションされているのが好適だが、これは必須ではない。マイクロレプリケーションされた構造化反応物表面の利用が有利な点は、比較的複雑な処理技術を使用しなくても、製品間にバラツキがほとんど無く反応物表面を大量生産できることである。本発明における用語「マイクロレプリケーションされた」とは、製品間のバラツキが50マイクロメートル以下であるように構造化表面特徴が個別特徴忠実度を維持する製造工程を介した構造化表面の製造を意味する。マイクロレプリケーションされた構造化反応物表面は好適には、製品間のバラツキが25マイクロメートル以下であるように構造化表面特徴が個別特徴忠実度を維持するように製造される。
【0051】
本発明に従い、マイクロレプリケーションされた構造化反応物表面は、解像度が50マイクロメートル〜0.05マイクロメートルの間、より好適には、25マイクロメートル〜1マイクロメートルの間であるように維持された個別特徴忠実度を有するトポロジー(物体、場所またはその領域の表面特徴)を有する表面を含む。
【0052】
反応物表面20および基板12は図5に示すように、一体形の完全に統合された構造として提供できる点を理解されたい。あるいは、反応物表面および付随する構造は、基板から別々に形成して、そこへ取り付けてもよい。
【0053】
図6に、基板112に取り付けられた別々の構造128として形成された反応物表面120を含むマイクロアレイ機器110の構造を示す。反応物表面120は例えば、多孔性を示す別々のフィルムまたは膜から形成され、その上に配置された液体が吸収または吸着されて反応物表面上の液体を保持するようにしてもよい。適切な膜の例として、バイオロボティクス(Biorobotics)社が製造する商品名TASで販売されている、孔サイズが0.45ミクロンのナイロン微多孔膜が含まれる。
【0054】
層128および付随する反応物表面120の代替的構造として、織布、不織布等の繊維材料、固定ビードまたはその他の物体、エッチング・ガラス等の粗い表面等が含まれるが、これに限定されない。
【0055】
層128および付随する反応物表面120の代替的構造として、例えば米国特許第6,395,483B1号明細書(パティル(Patil)他)および国際公開第99/53319号パンフレット(ハルバーソン(Halverson)他)に記述されている波状表面が含まれる。それらの参照文献はまた、弾性材料、延伸ポリマーフィルム等の基板112の、各種の代替物についても述べている。
【0056】
本発明における用語「波紋」または「波状」とは、例えば図6A、6Bに見られるような回旋した波状の形状を意味する。本発明の目的のために、波状表面がパターンに関して不規則な波紋を含んでいることが好適である。「波紋」または「波状」は、印刷、エンボシング、鋳造、金型成形、レーザスクライビング、フォトリソグラフィ、エッチング、機械的擦過または刻み付け等の方法により生成されたチャネル、液溜めまたはマイクロウェル等の構造は含まない。
【0057】
このような波状表面は、基板112に取り付けられた1個以上のコーティングを含んでいてよい。通常、波紋が形成されるのは、上記参照文献で述べているように、例えば、延伸ポリマーフィルムを弛緩させたり、または弾性基板の弛緩を許すことにより基板112のサイズが減少した場合である。波状表面の利点には、反応物表面120のトポグラフィ表面積が射影表面積より大きい点が含まれる。ここでの用語「トポグラフィ表面積」とは、反応物表面120の実際の表面積を意味し、換言すれば反応物表面120の波状特徴全体の表面積の測定値である。「射影表面積」とは、反応物表面120を反応物表面120に対向する平面に射影することにより定義される面積の測定値を意味する。
【0058】
図7は、図5のマイクロアレイ機器110の斜視図であり、本発明の方法に従って反応物表面を傾けるいくつかの代替的方法を記述するために用いる。2本の回転軸114、118を図7に示し、これらの軸は好適には互いに直交している。しかし、軸114、116は必ずしも互いに直交していなくてもよい点を理解されたい。
【0059】
マイクロアレイ機器110の回転は、先に図3、4に関して説明した、反応表面20を軸14の回りに傾けるのと同様の仕方で、反応表面120を軸114の回りの反対向きの方向113および115へ傾ける操作により実行することができる。そのように傾けることで好適には、分析物試料が反応表面120上をエッジ122またはエッジ124の方へ流れる結果が生じる。好適には、流れが生じた結果、上述のように反応物表面の下側エッジに沿って、分析物試料の一部が溜まる。
【0060】
マイクロアレイ機器110の回転はまた、あるいは代替的に、先に図3、4に関して説明した、反応表面20を軸14の回りに傾けるのと同様の仕方で、反応表面120を軸118の回りに反対向きの方向117および119へ傾ける操作により実行することができる。そのように傾けることで好適には、分析物試料が結果的に反応表面120上をエッジ123またはエッジ125の方へ流れる。好適には、流れた結果、上述のように反応物表面の下側エッジに沿って分析物試料の一部が溜まる。
【0061】
異なる軸114、118の回りの回転順序は、分析物試料を反応物表面120上で所望のように分布および/または拡散させるべく選択することができる。例えば、最初に反応物表面120を軸114の回りに反対向きの方向113、115へ1回以上傾けてから、反応物表面120を軸118の回りに反対向きの方向117、119へ1回以上傾けるのが望ましい場合がある。
【0062】
別の変型例において、反応物表面120を軸114、118の回りに別の仕方で傾けることが好適である。例えば、最初に反応表面120を軸114の回りに方向113へ傾けて、分析物試料がエッジ122に沿って流れ、そこで溜まるようにしてよい。次のステップでは、反応表面120を軸118の回りに、例えば方向117および/または反対方向119へ傾けるようにしてよい。軸118回りのこの第二の傾け操作は、反応物表面120が方向115へ傾けられて水平位置に戻る前に実行しても、あるいは反応物表面120が分析物試料に作用している重力に関して水平または中立位置に保持されている間に実行してもよい。いくつかの事例では、反応物表面120を軸118の回りに方向117および119へ傾ける前に、反応物表面120を軸114の回りに方向113および115へ1回以上傾けることが望ましい場合がある。
【0063】
更に別の変型例において、反応表面120が軌道に沿って傾くように、反応物表面120を軸114および118の両方の回りに同時に傾けてもよい。そのような傾け操作は、同時の多軸傾け操作と記述する場合がある。いくつかの事例では、液体分析物試料のビードは、反応物表面120に沿って放射状に拡散することができる。
【0064】
図8に目を転じれば、本発明によるマイクロアレイ機器の他の代替案を示している。マイクロアレイ機器210と、図1に示すマイクロアレイ機器10の一つの相違点は、マイクロアレイ機器210は非長方形の反応物表面220を含んでいる点である。図8の反応物表面220は形状がほぼ円形であり、基本的に本発明によるマイクロアレイ機器の反応物表面が任意の選択された形状をとり得ることを示している。
【0065】
マイクロアレイ機器210はまた、回転軸線214に関して反応物表面220の対向する側に配置された2つの対向するエッジ222、224を含んでいる。図1のマイクロアレイ機器10との関連でわかるように、エッジ222、224は直線状ではない。むしろエッジ222、224は、各々領域221、223に配置された弧状をなしている。
【0066】
図8に示すように、回転軸214は反応物表面220が占める領域の外側に位置する。それにもかかわらず、軸214は対向するエッジ222、224を規定するのに有用である。更に、マイクロアレイ機器210を回転軸214の回りに回転させることでまた、対向するエッジ222、224の間を横断して液体が反応物表面220を流れるようにする。
【0067】
本発明のマイクロアレイ機器を用いるプロセスを実行する際に有用なシステムを図9に示す。本システムは、処理チャンバ360内に配置されたマイクロアレイ機器310を含む。マイクロアレイ機器310は処理チャンバ360内で傾けられて、上述の原理に従い分析物試料をマイクロアレイ機器310の反応物表面上に分布および/または拡散させることができる。更に、本システムはまた、温度調節装置362およびチャンバ360内でマイクロアレイ機器310を所望のように回転させることが可能な回転装置364を含む。
【0068】
温度調節装置362は、処理チャンバ360内で所望の温度を維持することが可能な冷房暖房の一方または両方の装置を含んでいてよい。温度調節装置360は例えば、処理チャンバ360内お空気(または他の気体)の温度を制御する装置を含んでいてよい。温度調節装置362は、例えば、マイクロアレイ機器(またはそれらが取り付けられているキャリア)が搭載された熱ブロック用いる熱伝導を通じて、処理チャンバ360内に配置されたマイクロアレイ機器または機器群の温度を制御する装置を含んでいてよい。
【0069】
回転装置の一例として例えば、カリフォルニア州サニーヴェール(Sunnyvale,CA)のロビンズ科学モデル(Robbins Scientific Model)400HI等のロッカー・プラットフォームであってよい。
【0070】
マイクロアレイ機器310上で分析物および反応物の処理を行なう間、有用である湿度および/または他の環境特性を維持すべくチャンバ360が密封されていることが望ましい場合がある。オプションの温度調節装置362は、当該処理が、マイクロアレイ機器310上で分析物および反応物を処理している間にチャンバ360の加熱または冷却を必要とする場合に有用である。
【0071】
本発明によるマイクロアレイ機器は単独で用いてもよいが、多くの例において、2個以上のマイクロアレイ機器を装置内で用いて、次いで当該装置を本発明によるマイクロアレイ機器の反応物表面に配置された分析物と反応物の間で所望の反応を得るために処理することが望ましい場合がある。2個のマイクロアレイ機器410aおよび410b(以下、集合的にマイクロアレイ機器410と表わす)を含む装置の実施形態を図10、11に示す。図に示す装置は一例に過ぎないことを理解されたい。
【0072】
図に示す実施形態において、例えばキャリア470に配置されたマイクロアレイ機器410を保護するためのガスケットもキャリア470に用意されている。最も外側のガスケット480を用いて、例えばマイクロアレイ機器410上で任意の分析物および反応物を熱処理する間にマイクロアレイ機器410の上に配置されたカバー482を支持することができる。カバー482の利用は、マイクロアレイ機器410上の反応物表面が収まっている体積内の湿度を維持する技術の一例である。別の例において、カバー482は不要な放射、汚染等、他の環境条件から保護することができる。ガスケット480および遮蔽物482は別々の物品として描かれているが、カバー482を除去すればキャリア470からガスケットも除去されるようにガスケット480はカバー482の一部であってもよい点が理解されよう。
【0073】
キャリア470との関連で示す別オプションの特徴として、キャリア470に配置されたマイクロアレイ機器410を撮像する際に使用できる内側ガスケット490がある。例えば、ガスケット490は不透明な材料で作られていてよく、マイクロアレイ機器410の撮像は、撮像している間に外光がマイクロアレイ機器410に入ったり当たったりしないように強化することができる。他の例において、ガスケット490はスペーサとして機能することにより、撮像装置とマイクロアレイ機器410の反応物表面との接触およびを防止することができる。
【0074】
マイクロアレイ機器410が、上にチャネルが形成された構造化反応物表面を含む装置において、別個のマイクロアレイ機器410各々のチャネルが互いに整列していることが好適である。換言すれば、全てのチャネルは、どのマイクロアレイ機器に配置されているかに関係なく、共通の軸に沿って整列していることが好適である。その結果、キャリア470を傾けた結果、各反応物表面上の全てのチャネルが実質的に同じ方向を向く。
【0075】
図12に、キャリア570上に複数のマイクロアレイ機器510を含む装置の更に別の実施形態を示す。キャリア570は、従来の96穴マイクロタイタープレート、例えば行および列方向の両方における隣接するマイクロアレイ機器間の中心間距離が9mm、と整合する間隔を置いた96個マイクロアレイ機器510を8行×12列のアレイ状に保持する。隣接するマイクロアレイ機器のエッジが、マイクロアレイ機器間で相互汚染が生じる可能性を減らすべく、十分間隔が空けられていることが好適である(例えば1mm以上)。このような構造の一つの利点は、装置が最小限の変更により従来の分析物分布および画像処理システムで利用可能な点である。
【0076】
図13は、図12の装置を線分13−13に沿って切った断面図である。キャリア570は好適には、マイクロアレイ機器510が配置された表面574に直交する高さであって、従来の設備を用いて当該装置の取扱いを容易にする従来のマイクロタイタープレートとほぼ同じの高さを有する側壁572を含んでいてよい。側壁572はまた、マイクロアレイ機器510の格納または処理を行なう間にカバー(図示せず)を好都合に支持することができる。キャリア表面574上にガスケットを用意してマイクロアレイ機器510同士の相互汚染の可能性を低減させることができるが、いかなるガスケットも好適には分析物試料および/または反応物表面とは接触しない点を理解されたい。あるいは、ガスケットはキャリア表面574上に被せられたカバーの上に配置されてもよい。
【0077】
複数のマイクロアレイ機器510を有するキャリア570を用いる方法は、全てのマイクロアレイ機器を、上述のような傾け操作方法を用いて同時に処理することができる。
【実施例】
【0078】
以下の実施例は、本発明の特徴、利点およびその他の詳細事項を示す目的でのみ選ばれている。しかし、これらの例がこの目的に沿うものでありながら、ここで用いた特定の成分および量、並びその他の条件および詳細事項は、過度に本発明の範囲を限定する仕方で解釈されてはならない。
【0079】
実施例1:波状表面を有するコーティング熱収縮フィルム
国際公開第99/53319号パンフレットに従い、アズラクトン/ジメチルアクリルアミド・コポリマーがコーティングされたポリエチレン熱収縮フィルムの試料を用意し、反応物表面に波状のしわを付けた。寸法が1.8×2.5cmであるマイクロアレイ機器をガラス顕微鏡スライドに接着した。マイクロアレイ機器が配置されたガラススライドを平坦かつ水平(0度)な表面に配置し、100マイクロリットルのDNAハイブリッド化バッファ(3X SSC、0.3%のSDS、1mg/mlのイーストtRNA、および1mg/mlのPoly A)をマイクロアレイ機器の中央に配置した。液体が放射状に拡がって、マイクロアレイ機器の外側エッジに到達するまで伝播する様子が観察された。試料は次いで、水平から約20度傾けられた。反応物表面上方の自由液体がフィルムの「低い」側に移動して、流出することなくフィルムのエッジにおいて線形ビードに溜まる様子が観察された。マイクロアレイ機器を反対方向に(かつ水平から20度ずらして)回転させることにより、液体が、線形ビードが形成された反対側に到達するまで、反応物表面上をカスケードする「シート」状(液体が殆ど指状に流れない)に伝播した。
【0080】
実施例2:多孔性繊維網を有するナイロン膜
断面が約2×2.5cmであるナイロン膜(孔サイズ0.45ミクロンのTAS膜、英国ケンブリッジのバイオロボティクス社(BioRobotics,Inc,Cambridge UK)製)を、両面粘着テープを用いてガラス顕微鏡スライドに接着して反応物表面を形成した。
【0081】
ガラススライドを平坦かつ水平な(0度)表面に配置し、その時点で緑色食品着色料を含む150マイクロリットルの水をフィルム中央部にピペット注入した。膜の上を溶液が放射状に拡がる様子が観察された。試料は、実施例1において記述したように緩やかに回転された。膜に吸着されなかった自由液体は、エッジから溢れ出ることなく膜のエッジに溜まる様子が観察された。試料は次いで垂直位置、すなわち水平位置から90度回転された。溶液は、そのような極端な角度でも膜に保持されていた。
【0082】
実施例3:V字チャネル構造を有するポリマーフィルム
米国特許第5,728,466号明細書に従い、表面に線形V字溝チャネルが隣接してエンボス加工されたマイクロレプリケーション構造化表面を有する親水性ポリプロピレン膜を用意した。エンボス加工されたポリマー表面は、底角(「V」字の根元)が約135度、高さが約100マイクロメートルである二等辺三角形の横断面を有する開V字溝を含んでいる。両面粘着テープを用いて、約2×2cmのフィルム断面をガラス顕微鏡スライドに接着した。
【0083】
次いでガラススライドを平坦かつ水辺な表面に配置し、その時点で(対照例を提供すべく)緑色食品着色料を含む75マイクロリットルの水をフィルム中央部にピペット注入した。液体がフィルムのエッジに到達するまで、V字溝チャネルに沿って拡がる様子が観察された。試料は約20度傾けられた。液体がチャネルに沿ってフィルムの「低い」側に移動し、溢れ出ることなくフィルムのエッジに溜まる様子が観察された。液体が溜まるにつれて、フィルムの外側エッジに到達するまで、V字溝の方向に直交して拡がった。フィルムを水平方向から20度回転させることにより、液体がフィルム領域の全表面の上を、反対側のエッジに到達するまで移動する。次いでフィルムを垂直位置(水平位置から90度)に回転した。その時点で液体はフィルムのエッジから溢れ出ることなくフィルムの底部エッジまで完全に移動した。
【0084】
実施例4:少量ハイブリッド化のデモンストレーション
この実施例は、本発明の方法を用いて反応物表面上へ分析物が一様に分布される様子をデモンストレーションするものである。実施例1に記述したように、コーティング熱収縮フィルム上にオリゴヌクレオチド・アレイを用意した。要約すれば、25基のオリゴヌクレオチド・シーケンスをコーティング熱収縮フィルム上に、マイクロアレイ表面全体にわたって均一に分布した特徴を生じるように設計されたパターンで配列した。当該パターンは、直径が約60マイクロメートルである特徴を350マイクロメートル間隔で9列16行に配置した4連グループを含む。4連グループの列と行の間隔は900マイクロメートルであった。転写接着剤を用いて、長方形アレイ(2.8cm×3.7cm)をガラス顕微鏡スライドに取り付けた。
【0085】
ハイブリッド化は、実施例1で述べた方法に従い、相補的25塩基のターゲットシーケンスを用いて一定範囲の量について実行された。相補的シーケンスに、蛍光色素(Cy5、アマーシャム・ファルマシア・バイオテック(Amersham Pharmacia Biotech)によりラベル付けした。ハイブリッド化は、ハイブリッド化バッファ(3X SSC、0.3%のSDS、1mg/mlのイーストtRNA、および1mg/mlのPoly A)内で5〜150マイクロリットルの間で変動している量について、50℃で18時間にわたり1000ピコモルの相補的ターゲットを用いて実行した。ターゲット溶液の蒸発を防止すべく、アレイはパラフィルムで密封された加湿ペトリ皿に封入された。ペトリ皿内部の加湿は、水で飽和した紙タオルの小片を用いて実現した。
【0086】
封入されたアレイを、毎分約1サイクルで循環するロッカー・プラットフォーム(カリフォルニア州サニーベール(Sunnyvale,CA)のロビンス・サイエンティフィック・モデル(Robbins Scientfic Model)400HI、ロッカー・プラットフォーム1040−21−0)を備えたハイブリッド化オーブン内に入れた。約18時間にわたり揺動した後でアレイが除去され、各々42℃で1.1X SSC、0.03%SDSおよび0.06%SSCで10分間洗浄された。アレイは、635ナノメートルのチャネル(カリフォルニア州フォスターシティー(Foster City,CA)のアクソン・インスツルメンツ(Axon Instruments)を用いるマイクロアレイスキャナを用いて撮像された。画像は、画像処理ソフトウェア(カリフォルニア州フォスターシティー(Foster City,CA)のアクソン・インスツルメンツ(Axon Instruments)のジーンピックス(GenePix)を用いて、マイクロアレイ面上の蛍光ハイブリッド化信号強度の均一性について調べた。下表は、その結果を要約したものである。
【0087】
【表1】
【0088】
実施例5:アッセイのダイナミックレンジおよび感度のデモンストレーション
実施例4に記述したように表面全体にわたりオリゴヌクレオチド特徴が一様に分布しているアレイを用意した。アレイは、実施例4に記述した条件下で、1、10、100、1000および10,000ピコモルのターゲット・オリゴヌクレオチド濃度において、100マイクロリットルの相補的蛍光ターゲット(1平方センチメートル当たり9.7の量を与える)を用いてハイブリッド化した。各濃度における蛍光強度(F635〜B635)を、ジーンピックス(GenePix)ソフトウェア(カリフォルニア州フォスターシティー(Foster City、CA)のアクソン・インスツルメンツ(Axon Instruments)製)を用いて定量化された。この実験から得られたデータを図14のグラフに示す。
【0089】
上述の特定の実施形態は、本発明の実装を解説したものである。本発明は、本明細書に特に記述していない任意の要素または項目が無くても適宜実施可能である。全ての特許、特許出願および刊行物の完全な開示内容を、本明細書にその個々の全文を引用している。
【0090】
本発明の範囲が逸脱することなく、本発明の各種の変更および代替案が当業者には明らかになろう。また、本発明が本明細書に記述した実施形態の例に限定されず、請求項により規定される限定内容およびこれら限定内容のあらゆる等価物の支配下にあることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明による1個のマイクロアレイ機器の斜視図である。
【図2】軸14に沿って描かれ、マイクロアレイ機器の反応物表面状に液体を堆積させる様子を示す、図1のマイクロアレイ機器の側面図である。
【図3】図2のマイクロアレイ機器を軸14の回りに第一の方向へ傾けた状態で示す。
【図4】図2のマイクロアレイ機器を軸14の回りに第二の方向へ傾けた状態で示す。
【図5】本発明によるマイクロアレイ機器上の反応物表面用の構造の一例を示す、図1のマイクロアレイ機器の拡大部分断面図である。
【図6】本発明によるマイクロアレイ機器の別の実施形態の側面図である。
【図6A】弛緩後のチタン・コーティングされた基板の反応物表面のSEMである。
【図6B】弛緩後の金コーティングされた基板の反応物表面のSEMである。
【図7】図6のマイクロアレイ機器の斜視図である。
【図8】本発明による非長方形マイクロアレイ機器の平面図である。
【図9】本発明による一システムの模式図である。
【図10】2個のマイクロアレイ機器を組み込んだ本発明による1個の装置の平面図である。
【図11】図10の装置の部分断面側面図である。
【図12】96個のマイクロアレイ機器を含んでいる本発明による装置の平面図である。
【図13】図12の線13−13に沿って切られた、図12の装置の断面図である。
【図14】実施例5との関係において記述された、対象オリゴヌクレオチド濃度の関数としての蛍光強度のグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、少量マイクロアレイ処理用の機器、方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロアレイは、遺伝子塩基配列決定、遺伝子発現の監視、遺伝子マッピング、細菌識別、創薬、組み合わせ化学等、各種の処理に利用することができる。これらの用途の多くは、高価および/または入手困難な分析物試料および/または試薬を要する。処理用に少量の分析物試料を希釈して量を増やすと問題が生じる恐れがある。例えば、少量の分析物試料を希釈して量を増やした結果、検出が困難または過度に長い処理時間を要するまでに濃度が薄くなる。
【0003】
従って、マイクロアレイが望ましい理由は、そのようなアレイを利用すれば分析物試料が少量でも済むためである。マイクロアレイを用いる処理には例えば、分析物試料の微小な液滴(例えば10〜20マイクロリットル)をマイクロアレイに堆積させ、続いてマイクロアレイ面上に分析物試料を拡散させてカバースリップで覆う操作が含まれる。カバースリップは、カバースリップとマイクロアレイ面との隙間に押圧重量および毛管力を与えて、分析物試料をマイクロアレイ面上に拡散させる。しかし通常は、その同じ毛管力によってマイクロアレイ面上における分析物試料の混合または均一に拡散されることが阻害される。すなわち、マイクロアレイ面上における分析物分子の拡散を逆に制約する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクロアレイ面上で分析物試料を拡散または混合する問題に対処する一つの方法に、ポンピング機構の利用が含まれる。しかし、この方法自体にも不都合な点がある。例えば、ポンピングに十分なボリュームを得るために、分析物試料の量を、分析物試料を追加するか、または所定量の分析物試料を希釈することにより増やす必要がある。また、ポンピング機構は処理システムを益々複雑にする。更に、ポンプを使用するいくつかのシステムにおいて、マイクロアレイ面上で分析物の分子を十分に拡散しようとして攪拌機(塗料ミキサーに類似)を用いてマイクロアレイ上の分析物試料を更に攪拌する。
【0005】
対象分子を拡散させるためにポンプを使用するシステムにおける別の潜在的不具合は、ポンピングおよび/または攪拌が行なわれる間、分析物試料を保持しておくために、通常はマイクロアレイ面を密封チャンバ内に格納しておく必要がある点である。その結果、マイクロアレイ機器は通常、必要とされる密封チャンバを提供可能な筐体に合わせて設計されなければならない。その筐体が更にマイクロアレイのコストおよび複雑度を増大させる。
【0006】
マイクロアレイの筐体に用いる密封チャンバの更に別の潜在的不具合は、例えば壁の接合部やその他の隅等、チャンバ内において液体の表面張力により結果的に液体が滞留する液体滞留界面が形成される点である。滞留した液体は、マイクロアレイの表面全体にわたって拡散することできない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少量のマイクロアレイを処理する機器、方法、およびシステムを提供する。本マイクロアレイ機器は好適には、反応物表面上に複数の反応物サイトを含んでいる。反応物サイトは、1個以上の選択された分析物を捕捉すべく動作する反応物を含む、当該分析物は次いで、マイクロアレイ機器に入射された励起エネルギーに応答して各分析物により発される蛍光等の電磁気信号に基づいて検出可能である。
【0008】
反応物表面上における分析物試料の混合および/または分布は、反応物表面を傾けて分析物試料が反応物表面から溢れされることで実現される。その際、分析物試料の一部が反応物表面の第一エッジに沿ってビードに溜まるように傾けられる。反応物表面は次いで、分析物試料の一部が反応物表面から溢れて第二エッジに溜まるように、異なる方向へ傾けられる。反応物表面は好適には、分析物試料が反応物表面に保持されるように分析物試料に対して十分な毛管力を発生する。傾け操作およびその結果生じる流れは、反応物表面上に分析物試料を所望のように混合および/または分布させるために必要な回数だけ実行することができる。
【0009】
本発明の原理に従い、分析物試料が反応物表面に露出している間、傾け操作が実行される。本発明に関わる用語として、分析物試料が「露出」しているとは、反応物表面の傾け操作に応答して分析物試料の一部が自由に流れて、反応物表面のエッジに沿って露出すなわち覆われていないビードに溜まる場合をいう。対照的に、例えば反応物表面上の分析物試料と接触するカバースリップを配置すれば、分析物試料の流れがカバースリップにより制約されるため、露出した分析物試料は得られない。本発明を特徴づける別の方法において、側壁、カバーまたはその他反応物表面の上方に伸びる構造がない場合、露出した分析物試料は傾け操作される間反応物表面に保持される。更に、露出した分析物試料は(分析物試料がアレイの表面以外にカバースリップおよび/または側壁と接触する公知の機器とは異なり)、反応物表面だけに接触していてよい。
【0010】
本発明の利点の一つは例えば、反応物表面上に少量の分析物試料を適切に分布および/または混合できることである。ここでの「少量」の分析物試料という用語は、反応物表面1平方センチメートル当たりの分析物試料が10マイクロリットル以下であることを意味する。本明細書において「少量」という用語は好適には、反応物表面1平方センチメートル当たりの分析物試料が平均5マイクロリットル以下であることを意味する。
【0011】
本発明の別の利点は例えば、非乱流液体流を用いて反応物表面上の分析物試料を分布および/または混合させて、処理中における分析物試料または試薬の劣化を低減または防止することである。
【0012】
本発明の別の利点として例えば、マイクロアレイ機器に付随するいかなる外部ポンプ機器の必要がなく、ポンプ機器とマイクロアレイ機器が配置されたチャンバとの間が液体連通している必要がなく、マイクロアレイ機器上に密封された反応チャンバを設ける必要がなく、反応物表面と筐体間の液体滞留界面を減少または除去することができる。
【0013】
本発明における用語「分析物」とは、天然または合成の、注目する試料から検出または測定される、あるいは分離される分子、化合物、組成または錯体を意味する。分析物として、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂肪酸、核酸、炭水化物、ホルモン類、ステロイド、脂質、ビタミン、バクテリア、ウイルス、医薬品および代謝物質が挙げられるが、これに限定されない。
【0014】
本発明における用語「反応物サイト」とは、天然または合成のあらゆる化学分子、化合物、組成または錯体上を含む表面上の区別された場所を意味し、補酵素等の基板に分析物を単独で結合する、または当該基板への結合を支援する分子または化合物とともに分析物を結合する能力を有するものである。本発明の反応物サイトにおける反応物は、化学または生化学測定、検出、分離等に有用である。反応物の例として、アミノ酸、核酸(オリゴヌクレオチドおよびcDNAを含む)、炭水化物、およびタンパク質(酵素や抗体等)が挙げられるがこれに限定されない。
【0015】
本発明は一態様において、反応物を分析物に接触させる方法であって、反応物表面を含むマイクロアレイ機器を提供し、反応物表面上に分散した複数の反応物サイトを反応物表面が有し、当該複数の反応物サイトが互いに区別されていて、反応物表面が、各々対向して位置する第一エッジおよび第二エッジを含むようにするステップと、一定量の液体および分析物を反応物表面に堆積させるステップと、反応物表面を回転軸の回りに第一の方向へ傾けて、重力の影響により液体の一部が反応物表面の第一エッジの方へ移るようにするステップと、反応物表面を回転軸の回りに第二の方向へ傾けて、重力の影響により液体の一部が第一エッジから第二エッジへ向かって移るようにするステップとを含む方法を提供する。傾け操作ステップの間、液体が反応物表面上に残留する。
【0016】
本発明は別の態様において、反応物を分析物に接触させる方法であって、マイクロアレイ機器に親水性反応物表面を提供し、反応物表面上に分散した複数の反応物サイトを反応物表面が有し、当該複数の反応物サイトが互いに区別されていて、反応物表面が各々対向して位置する第一エッジおよび第二エッジを含むようにするステップを含む方法を提供する。本方法は更に、一定量の液体および分析物を反応物表面に堆積させるステップと、反応物表面上の分析物および液体が露出している間に反応物表面を回転軸の回りに第一の方向へ傾けて、反応物表面が第一の方向へ傾いた後で、重力の影響により液体の一部が反応物表面の第一エッジの方へ移動し、反応物表面の第一エッジの近傍の反応物表面の上方にビードを形成するステップと、傾け中、反応物表面上の分析物および液体が露出している間に反応物表面を回転軸の回りに第二の方向へ傾けて、反応物表面を第二の方向へ傾けた後で、重力の影響により液体の一部が第一エッジから第二エッジへ向かって移動し、反応物表面の第二エッジの近傍の反応物表面の上方にビードを形成するステップとを含む。傾け操作ステップの間、液体が反応物表面上に残留する。
【0017】
本発明は別の態様において、基板と、当該基板上にマイクロレプリケーションされた親水性構造化反応物表面と、反応物表面上に分散した複数の反応物サイトとを含み、当該複数の反応物サイトが互いに区別されている、少量液体処理用のマイクロアレイ機器を提供する。
【0018】
本発明は別の態様において、キャリアと、当該キャリアの表面に配置された複数の別個の反応物表面とを含み、各々の反応物表面がマイクロレプリケーションされた親水性構造化反応物表面であって反応物表面上に分散する複数の反応物サイトを含み、当該複数の反応物サイトが互いに区別されている、少量液体処理用の装置を提供する。
【0019】
本発明は別の態様において、キャリアと、行および列の両方向に9ミリメートル(mm)間隔を置いた8×12アレイ内で当該キャリアの表面に配置された複数の別個の反応物表面を含み、各々の反応物表面が親水性構造化反応物表面であって反応物表面上に分散する複数の反応物サイトを含み、当該複数の反応物サイトが互いに区別されている、少量液体処理用の装置を提供する。
【0020】
本発明は別の態様において、少量マイクロアレイ機器処理用のシステムを提供し、当該システムは処理チャンバと、当該処理チャンバ内の温度を制御すべく当該処理チャンバ内で動作可能な温度調節装置と、当該処理チャンバ内の回転装置とを含み、当該回転装置が当該処理チャンバ内に位置するマイクロアレイ機器を傾けるように動作可能である。
【0021】
本発明のこれらおよび他の特徴や利点について、本発明の実施形態を参照しつつ以下に詳述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、少量マイクロアレイ処理用の機器、方法、およびシステムを提供する。分析物試料は多くの場合、本発明のマイクロアレイ機器の反応物表面に堆積される液体の状態である。分析物試料は例えば、キャリア液体(キャリア液体は一種以上の異なる組成を含んでいてよい)に一種以上の分析物を含んでいてよい。反応物表面上における分析物試料およびその分析物の分布は、重力の影響により液体分析物試料がほぼ一様に空所がないように反応物表面全体にわたって流れるように、反応物表面を傾ける操作により実現される。反応物表面上における分析物試料の流れはまた、マイクロアレイ機器の反応物表面上における試料液体内で分析物または分析物を混合する際に有用である。
【0023】
分析物試料の表面張力および毛管力は、反応物表面が傾けられている間、分析物試料を反応物表面上に保持するよう機能する。反応物表面上における液体滞留の釣合いをとる際に、反応物表面が傾けられるにつれて液体分析物試料が反応物表面を横断的に移動し、結果的に反応物表面全体を濡らすことが好適である。
【0024】
一般に、固体表面が液体による濡れやすさは、水平に配置された表面に液体が堆積され、その上で安定した後に固体表面となす接触角度により特徴付けられる。これを「静的平衡接触角度」と呼ぶ場合があり、本明細書では単に「接触角度」と呼ぶ。米国特許第6,372,954B1号明細書(ジョンストン(Johnston)他)および国際公開第99/09923号パンフレット(ジョンストン(Johnston)他)に記述されているように、接触角度とは、表面上に堆積した液体のビード面と当該表面の接点における接線と、当該表面の平面とがなす角度である。接線が当該表面の平面と直交する液体のビードの接触角度は90度である。通常、接触角度が90度以下である場合、固体表面が液体により濡れているとみなされる。水または水溶液の液滴との接触角度が90度未満である表面は一般に「親水性」であると言われる。
【0025】
本明細書における用語「親水性」とは、材料の表面特徴を示す目的でのみ用いられる。すなわち、当該材料が水溶液で濡らされることだけを示し、水溶液を吸収または吸着するか否かを示すものではない。従って、材料の層が水溶液を浸透させる/させないにかかわらず、当該材料は親水性であると呼ばれる。このように、本発明の反応物表面として使用する親水性フィルムは、ポリ(ビニルアルコール)等、本質的に親水性である樹脂材料から作られたフィルムで形成されていてよい。
【0026】
表面上での接触角度がほぼ0度である液体分析物試料は、表面を完全に濡らすとみなされる。しかし、ポリオレフィンは通常、本質的に疎水性であり、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィンフィルムと水との接触角度は通常90度より大きい。本発明の反応物表面に堆積される分析物試料の多く水性である。このように、そのようなフィルムを本発明の反応物表面として用いる場合、接触角度が90度以下となるように表面を親水性とし、反応物表面を濡れやすくして液体輸送特性を向上させるべく、例えば表面処理、表面コーティングの適用、または選択された薬剤の注入当による改良を要する場合がある。
【0027】
任意の適切な公知の方法を用いて、本発明の液体制御フィルム上に親水性表面を実現することができる。表面処理は、界面活性剤の局部適用、プラズマ処理、フィルム面上への親水性部分のグラフティング、ゾル−ゲル・コーティング、コロナまたはフレーム処理等を用いて行なうことができる。あるいは、フィルム押出時に内部添加物として界面活性剤またはその他の適切な薬剤を樹脂と混合してもよい。しかし、界面活性剤コーティングの局所適用に依存するのではなく、反応物表面が作られるポリマー組成に界面活性剤を注入する方が好適である。
【0028】
図1は、本発明によるマイクロアレイ機器10の斜視図である。マイクロアレイ機器10は、2つの対向するエッジ22、24を有する反応物表面20を含む。反応物サイト30は、反応物表面20上に分布している。反応物サイト30が反応物表面20上に規則的な、秩序ある配列状に分布しているように描かれているが、反応物サイト30が反応物表面20上に任意の適当な仕方またはパターンで分布していてもよい点を理解されたい。例えば代替的に、反応物サイト30が反応物表面20上に不規則な仕方でランダムに分布していてよい。他の代替方式において、反応物サイト30は反応物表面20の異なる部分の上に異なるパターンまたは仕方で分布していてよい。
【0029】
マイクロアレイ機器10はまた、反応物表面20が配置された基板12も含んでいる。基板12は、任意の適当な形状をなしていてよい。例えば、基板12はガラス、ポリマー、シリコンまたはその他の適当な材料で形成されていてよい。反応物表面20が基板12の表面のほぼ全体を占めているように描かれているが、ある場合には反応物表面20が基板12より小さくても大きくてもよい。別の変型例において、反応物表面20および/または基板12が比較的平坦に描かれているが、凹型、円筒型等、他の任意の適当な形状に形成されていてよい点を理解されたい。
【0030】
図1にはまた、反応物表面20の対向するエッジ22、24の間を伸びる軸14も示す。以下により詳しく述べるように、反応物表面20の上で分析物試料を分布させるおよび/または混合するために、この軸の回りにマイクロアレイ機器10が傾けられる。
【0031】
図2は、図1のマイクロアレイ機器10の軸14に沿った(従って図2の視点から見た)の側面図である。マイクロアレイ機器10は基板12と、軸14の対向する面に配置された対向エッジ22、24を含んでいる。図2にはまた、マイクロアレイ機器10の反応物表面20に液体分析物試料40を堆積させるために用いる配送機器42も示す。配送機器42は、ピペットまたはその他の液体配送機器等、任意の方式であってよい。配送機器42は手動で操作しても、あるいは自動化された液体配送システムの一部であってもよい。
【0032】
分析物試料40は、ユーザーが反応物表面20上の反応物サイト30の反応物に露出させたいと望む1種以上の分析物を含む。分析物試料40を反応物表面20の中央部付近に堆積させることが望ましいが、分析物試料40を反応物表面20上のほぼ任意の場所に堆積させてもよく、後述するようにマイクロアレイ機器10を傾ける操作により反応物表面20上に分析物試料40を所望のように分布させることが可能な点を理解されたい。
【0033】
ある場合には、分析物試料40は、マイクロアレイ機器10が傾けなくても、または傾きがなくても、反応物表面20上を自然に流れたり、または分布する場合がある。別のケースでは、分析物試料40が反応物表面20上を流れるように反応物表面20に何らかの操作を行わない限り分析物試料40が反応物表面20全体にわたって分布することができない。
【0034】
別の変型例において、分析物試料40を段階的に堆積させてもよい点を理解されたい。例えば、ある状況で、1種以上の分析物をキャリア液体から別々に堆積させて、当該1種以上の分析物を反応物表面20に分布させてもよい。そのような状況において、当該1種以上の分析物の堆積は、分析物の特性、およびキャリア液体を堆積させる前か後のどちらに分析物を堆積させた方が好ましいかにより、キャリア液体の堆積前後のいずれに行なってもよい。
【0035】
図3は、図2のマイクロアレイ機器10を軸14の回りに第一の方向13へ回転させた後の図である。分析物試料40の少なくとも一部が、反応物表面20を傾けた結果、反応物表面20上に分布している。分析物試料40、または少なくともその一部が溜まり、反応物表面20のエッジ22に沿ってビード44を形成している。分析物試料40の毛管力および表面張力により、分析物試料40は、反応物表面20の向きを傾けて、かつ分析物試料40に重力が作用しているにもかかわらず、流出または漏出することなく反応物表面20上に保持されている。
【0036】
分析物試料40は、まだ反応物表面20全体にわたっては分布していない。例えば、処理のこの段階においては、エッジ24は液体に作用する重力によりエッジ22の方へ引っ張られて反応物表面20のエッジ24から離されるため、分析物試料40から基本的に離れている。
【0037】
分析物試料40の粘性その他の変数に応じて、マイクロアレイ機器10を回転させて、図3に示したよりも上回るかまたは下回る程度に第一エッジ22を重力に抗して下げることが必要な場合がある。例えば、粘性が低い分析物試料40は、粘性が高い分析物試料40と比較して少ない回転量で反応物表面22上を移動または分布することができる。更に、分析物試料40が流れて反応物表面20の第一エッジ22に沿ってビード44に溜まる時間を与えるように、反応物表面20が(例えば図3に示すように)傾いた向きにドウェル時間静止できることが望ましい。別の例では、回転範囲の一端でのドウェル時間は必要とされない。
【0038】
本発明と関係付けて記述した反応物表面上の液体の移動は、実際の重力または見かけの重力のいずれからの重力にせよ、重力の影響下にあることを理解されたい。見かけの重力は、本発明によるマイクロアレイ機器の反応物表面上に液体を分布させる際に、実際の重力が十分無い場合、または制御可能な擬似的重力の提供が求められる場合に、重力の代わりとすべく発生された回転力により与えることができる。見かけの重力は例えば、回動システム内で任意の向きに発生させることができる。対照的に、実際の重力は例えば、地球の質量により生じる重力に基づくものである。分析物試料に作用する重力は約1G以下であることが好適である。更に、本明細書に記述するように、反応物表面の傾け操作は、実際または見かけの重力の力ベクトルにほぼ直交する水平軸(または軸)の回りに行なわれるのが好適である。
【0039】
図4に、マイクロアレイ機器10を軸14の回りに第二の方向15へ回転した後の状態を示す。この方向では、反応物表面20は、結果的に分析物試料40の一部がエッジ22から遠ざかり、かつエッジ24へ向かって流れる方向を向いたエッジ24を含んでいる。反応物表面20は好適には、分析物試料の一部40が反応物表面20のエッジ24に沿ってビード44に溜まるまで図4に示す方向に保持される。
【0040】
反応物表面20上を分析物試料40が流れる結果、分析物試料40は通常、エッジ22からエッジ24まで反応物表面20のほぼ全体にわたり分布する。ここに、分析物試料40のビード44は反応物表面20のエッジ24に好適に配置されている。
【0041】
反応物表面20上に分析物試料40を分布させることだけが目的であるため、反応物表面20が図4に示す方向に保持できるだけで十分である。あるいは、図2に示すように分析物試料40が配置された反応物表面20を、分析物試料40が反応物表面20上のビードに溜まらない中間位置まで回転させてもよい。
【0042】
しかし、反応物表面20上の分析物試料40を更に混合させることが必要な場合、図3、4に示す方向の間で反応物表面20を回転し続けることが望ましい。例えば、処理の間、反応物表面20および付随する基板を方向13と15の間で揺することにより、分析物試料40の反応物表面20上における混合および分布を続けることが望ましい場合がある。反応物表面20が分析物試料40により濡れるにつれて、反応物表面20および付随する基板12の回転または傾き度合いを小さくすることが望ましい場合がある。更に、一つ以上の異なる方向における反応物表面20のドウェル時間を延長または短縮することが望ましい場合がある。他の変型例として、例えば、反応物表面の回転速度の変更を含んでいてよい。
【0043】
本発明に関わる他の変型例として、マイクロアレイ機器10および反応物表面20を回転させて所望の傾きを得るための回転軸の位置がある。図1〜4に示す実施形態において、軸14は第一エッジ22と第二エッジ24の間の反応物表面20の中心点付近にある平面内に位置している。軸14が位置する平面は例えば、一般に反応物表面20と平行または直交(反応物表面が平坦である前提)していてよい。しかし軸14の位置は、反応物表面20が軸の回りに回転させられた際に、反応物表面20全体にわたって液体の流れが得られるように変えてもよい。液体を流れさせるための動力として実際の重力が使われる場合、回転の結果、反応物表面20のエッジ22および24の間で高さの違いが生じる。例えば、軸14は反応物表面20が占める領域の外側に位置するかもしれない(下記図8参照)。
【0044】
軸14が基板12内に位置しているように描かれているが、例えば基板12の上下等、軸14を任意の好都合な場所に配置してよい。例えば、マイクロアレイ機器10を従来の揺動機器上に配置する場合、軸14は通常、基板12の下、すなわち反応物表面20から見て基板12の反対側に配置される。
【0045】
図5は、反応物表面20の一部および付随する基板12の拡大部分断面図である。反応物表面20は、反応物表面20上に配置された任意の分析物試料40の分布および/または保持を容易にする構造化表面であってよい。この点に関しては有用な1つの潜在的構造として、一連の整列されたチャネル50がある。当該実施形態のチャネル50の各々は一対の側壁52および谷状部54により形成されていて、チャネル50が反応物表面20内に形成されるようにする。隣接するチャネル50の側壁52は、図5に示すように会合してピーク56を形成することができる。
【0046】
いくつかの例において、反応物表面20のエッジに沿って分析物試料40のビード44が生ずるように、反応物表面20が少なくとも1回傾けられるまで、分析物試料が反応物表面20の幅全体(幅が軸14の方向に沿って測定されている前提)にわたって分布しない場合がある。分析物試料40の量により、反応物表面の幅全体にわたって分布することが制限される場合がある。例えば反応物表面20上のチャネル50(または他の構造)を充満させるには不十分な場合、ビード44内の反応物表面20のエッジに沿って溜まるまで待つが、その位置まで来れば、分析物試料40が反応物表面20の幅全体にわたって広がることができる。
【0047】
チャネル50が、エッジ22からエッジ24まで反応物表面20の長さにわたって連続的に伸びることが好適である。あるいは、チャネル50が対向するエッジ間で不連続な場合がある。チャネル50は、反応物表面20上で互いに平行であるように整列していることが更に好適であるが、チャネル50が必ずしも互いに平行でなくてもよい点を理解されたい。
【0048】
別の変型例において、構造化反応物表面20上に形成された構造は、任意の適当な形状をなしていてよい。例えば、図5に示すようにV型でないチャネルを使用することが有用なこともある。他の例において、反応物表面上で複数の方向にチャネルまたは液体経路の配列を規定するピラミッド形またはその他の構造のアレイを提供することが望ましい場合がある。代替的なチャネル付き構造の例が、米国特許第6,372,954B1号明細書、同第6,431,695B1号明細書、並びに国際公開第99/09923号パンフレット(全てジョンストン(Johnston)他)に見られる。
【0049】
構造化反応物表面は、マイクロレプリケーション、機械加工、スタンピング、エンボシング等、任意の適当な技術または技術群を用いて製造することができる。本発明にかかわる有用な構造化表面を形成する適切な技術の例が、米国特許第6,431,695号明細書(ジョンストン(Johnston)他)、同第6,372,954号明細書(ジョンストン(Johnston)他)、並びに国際公開第99/09923号パンフレット(ジョンストン(Johnston)他)、国際公開第99/65664号パンフレット(ベンツェン(Bentsen)他)に記述されている。
【0050】
本発明の構造化反応物表面は、マイクロレプリケーションされているのが好適だが、これは必須ではない。マイクロレプリケーションされた構造化反応物表面の利用が有利な点は、比較的複雑な処理技術を使用しなくても、製品間にバラツキがほとんど無く反応物表面を大量生産できることである。本発明における用語「マイクロレプリケーションされた」とは、製品間のバラツキが50マイクロメートル以下であるように構造化表面特徴が個別特徴忠実度を維持する製造工程を介した構造化表面の製造を意味する。マイクロレプリケーションされた構造化反応物表面は好適には、製品間のバラツキが25マイクロメートル以下であるように構造化表面特徴が個別特徴忠実度を維持するように製造される。
【0051】
本発明に従い、マイクロレプリケーションされた構造化反応物表面は、解像度が50マイクロメートル〜0.05マイクロメートルの間、より好適には、25マイクロメートル〜1マイクロメートルの間であるように維持された個別特徴忠実度を有するトポロジー(物体、場所またはその領域の表面特徴)を有する表面を含む。
【0052】
反応物表面20および基板12は図5に示すように、一体形の完全に統合された構造として提供できる点を理解されたい。あるいは、反応物表面および付随する構造は、基板から別々に形成して、そこへ取り付けてもよい。
【0053】
図6に、基板112に取り付けられた別々の構造128として形成された反応物表面120を含むマイクロアレイ機器110の構造を示す。反応物表面120は例えば、多孔性を示す別々のフィルムまたは膜から形成され、その上に配置された液体が吸収または吸着されて反応物表面上の液体を保持するようにしてもよい。適切な膜の例として、バイオロボティクス(Biorobotics)社が製造する商品名TASで販売されている、孔サイズが0.45ミクロンのナイロン微多孔膜が含まれる。
【0054】
層128および付随する反応物表面120の代替的構造として、織布、不織布等の繊維材料、固定ビードまたはその他の物体、エッチング・ガラス等の粗い表面等が含まれるが、これに限定されない。
【0055】
層128および付随する反応物表面120の代替的構造として、例えば米国特許第6,395,483B1号明細書(パティル(Patil)他)および国際公開第99/53319号パンフレット(ハルバーソン(Halverson)他)に記述されている波状表面が含まれる。それらの参照文献はまた、弾性材料、延伸ポリマーフィルム等の基板112の、各種の代替物についても述べている。
【0056】
本発明における用語「波紋」または「波状」とは、例えば図6A、6Bに見られるような回旋した波状の形状を意味する。本発明の目的のために、波状表面がパターンに関して不規則な波紋を含んでいることが好適である。「波紋」または「波状」は、印刷、エンボシング、鋳造、金型成形、レーザスクライビング、フォトリソグラフィ、エッチング、機械的擦過または刻み付け等の方法により生成されたチャネル、液溜めまたはマイクロウェル等の構造は含まない。
【0057】
このような波状表面は、基板112に取り付けられた1個以上のコーティングを含んでいてよい。通常、波紋が形成されるのは、上記参照文献で述べているように、例えば、延伸ポリマーフィルムを弛緩させたり、または弾性基板の弛緩を許すことにより基板112のサイズが減少した場合である。波状表面の利点には、反応物表面120のトポグラフィ表面積が射影表面積より大きい点が含まれる。ここでの用語「トポグラフィ表面積」とは、反応物表面120の実際の表面積を意味し、換言すれば反応物表面120の波状特徴全体の表面積の測定値である。「射影表面積」とは、反応物表面120を反応物表面120に対向する平面に射影することにより定義される面積の測定値を意味する。
【0058】
図7は、図5のマイクロアレイ機器110の斜視図であり、本発明の方法に従って反応物表面を傾けるいくつかの代替的方法を記述するために用いる。2本の回転軸114、118を図7に示し、これらの軸は好適には互いに直交している。しかし、軸114、116は必ずしも互いに直交していなくてもよい点を理解されたい。
【0059】
マイクロアレイ機器110の回転は、先に図3、4に関して説明した、反応表面20を軸14の回りに傾けるのと同様の仕方で、反応表面120を軸114の回りの反対向きの方向113および115へ傾ける操作により実行することができる。そのように傾けることで好適には、分析物試料が反応表面120上をエッジ122またはエッジ124の方へ流れる結果が生じる。好適には、流れが生じた結果、上述のように反応物表面の下側エッジに沿って、分析物試料の一部が溜まる。
【0060】
マイクロアレイ機器110の回転はまた、あるいは代替的に、先に図3、4に関して説明した、反応表面20を軸14の回りに傾けるのと同様の仕方で、反応表面120を軸118の回りに反対向きの方向117および119へ傾ける操作により実行することができる。そのように傾けることで好適には、分析物試料が結果的に反応表面120上をエッジ123またはエッジ125の方へ流れる。好適には、流れた結果、上述のように反応物表面の下側エッジに沿って分析物試料の一部が溜まる。
【0061】
異なる軸114、118の回りの回転順序は、分析物試料を反応物表面120上で所望のように分布および/または拡散させるべく選択することができる。例えば、最初に反応物表面120を軸114の回りに反対向きの方向113、115へ1回以上傾けてから、反応物表面120を軸118の回りに反対向きの方向117、119へ1回以上傾けるのが望ましい場合がある。
【0062】
別の変型例において、反応物表面120を軸114、118の回りに別の仕方で傾けることが好適である。例えば、最初に反応表面120を軸114の回りに方向113へ傾けて、分析物試料がエッジ122に沿って流れ、そこで溜まるようにしてよい。次のステップでは、反応表面120を軸118の回りに、例えば方向117および/または反対方向119へ傾けるようにしてよい。軸118回りのこの第二の傾け操作は、反応物表面120が方向115へ傾けられて水平位置に戻る前に実行しても、あるいは反応物表面120が分析物試料に作用している重力に関して水平または中立位置に保持されている間に実行してもよい。いくつかの事例では、反応物表面120を軸118の回りに方向117および119へ傾ける前に、反応物表面120を軸114の回りに方向113および115へ1回以上傾けることが望ましい場合がある。
【0063】
更に別の変型例において、反応表面120が軌道に沿って傾くように、反応物表面120を軸114および118の両方の回りに同時に傾けてもよい。そのような傾け操作は、同時の多軸傾け操作と記述する場合がある。いくつかの事例では、液体分析物試料のビードは、反応物表面120に沿って放射状に拡散することができる。
【0064】
図8に目を転じれば、本発明によるマイクロアレイ機器の他の代替案を示している。マイクロアレイ機器210と、図1に示すマイクロアレイ機器10の一つの相違点は、マイクロアレイ機器210は非長方形の反応物表面220を含んでいる点である。図8の反応物表面220は形状がほぼ円形であり、基本的に本発明によるマイクロアレイ機器の反応物表面が任意の選択された形状をとり得ることを示している。
【0065】
マイクロアレイ機器210はまた、回転軸線214に関して反応物表面220の対向する側に配置された2つの対向するエッジ222、224を含んでいる。図1のマイクロアレイ機器10との関連でわかるように、エッジ222、224は直線状ではない。むしろエッジ222、224は、各々領域221、223に配置された弧状をなしている。
【0066】
図8に示すように、回転軸214は反応物表面220が占める領域の外側に位置する。それにもかかわらず、軸214は対向するエッジ222、224を規定するのに有用である。更に、マイクロアレイ機器210を回転軸214の回りに回転させることでまた、対向するエッジ222、224の間を横断して液体が反応物表面220を流れるようにする。
【0067】
本発明のマイクロアレイ機器を用いるプロセスを実行する際に有用なシステムを図9に示す。本システムは、処理チャンバ360内に配置されたマイクロアレイ機器310を含む。マイクロアレイ機器310は処理チャンバ360内で傾けられて、上述の原理に従い分析物試料をマイクロアレイ機器310の反応物表面上に分布および/または拡散させることができる。更に、本システムはまた、温度調節装置362およびチャンバ360内でマイクロアレイ機器310を所望のように回転させることが可能な回転装置364を含む。
【0068】
温度調節装置362は、処理チャンバ360内で所望の温度を維持することが可能な冷房暖房の一方または両方の装置を含んでいてよい。温度調節装置360は例えば、処理チャンバ360内お空気(または他の気体)の温度を制御する装置を含んでいてよい。温度調節装置362は、例えば、マイクロアレイ機器(またはそれらが取り付けられているキャリア)が搭載された熱ブロック用いる熱伝導を通じて、処理チャンバ360内に配置されたマイクロアレイ機器または機器群の温度を制御する装置を含んでいてよい。
【0069】
回転装置の一例として例えば、カリフォルニア州サニーヴェール(Sunnyvale,CA)のロビンズ科学モデル(Robbins Scientific Model)400HI等のロッカー・プラットフォームであってよい。
【0070】
マイクロアレイ機器310上で分析物および反応物の処理を行なう間、有用である湿度および/または他の環境特性を維持すべくチャンバ360が密封されていることが望ましい場合がある。オプションの温度調節装置362は、当該処理が、マイクロアレイ機器310上で分析物および反応物を処理している間にチャンバ360の加熱または冷却を必要とする場合に有用である。
【0071】
本発明によるマイクロアレイ機器は単独で用いてもよいが、多くの例において、2個以上のマイクロアレイ機器を装置内で用いて、次いで当該装置を本発明によるマイクロアレイ機器の反応物表面に配置された分析物と反応物の間で所望の反応を得るために処理することが望ましい場合がある。2個のマイクロアレイ機器410aおよび410b(以下、集合的にマイクロアレイ機器410と表わす)を含む装置の実施形態を図10、11に示す。図に示す装置は一例に過ぎないことを理解されたい。
【0072】
図に示す実施形態において、例えばキャリア470に配置されたマイクロアレイ機器410を保護するためのガスケットもキャリア470に用意されている。最も外側のガスケット480を用いて、例えばマイクロアレイ機器410上で任意の分析物および反応物を熱処理する間にマイクロアレイ機器410の上に配置されたカバー482を支持することができる。カバー482の利用は、マイクロアレイ機器410上の反応物表面が収まっている体積内の湿度を維持する技術の一例である。別の例において、カバー482は不要な放射、汚染等、他の環境条件から保護することができる。ガスケット480および遮蔽物482は別々の物品として描かれているが、カバー482を除去すればキャリア470からガスケットも除去されるようにガスケット480はカバー482の一部であってもよい点が理解されよう。
【0073】
キャリア470との関連で示す別オプションの特徴として、キャリア470に配置されたマイクロアレイ機器410を撮像する際に使用できる内側ガスケット490がある。例えば、ガスケット490は不透明な材料で作られていてよく、マイクロアレイ機器410の撮像は、撮像している間に外光がマイクロアレイ機器410に入ったり当たったりしないように強化することができる。他の例において、ガスケット490はスペーサとして機能することにより、撮像装置とマイクロアレイ機器410の反応物表面との接触およびを防止することができる。
【0074】
マイクロアレイ機器410が、上にチャネルが形成された構造化反応物表面を含む装置において、別個のマイクロアレイ機器410各々のチャネルが互いに整列していることが好適である。換言すれば、全てのチャネルは、どのマイクロアレイ機器に配置されているかに関係なく、共通の軸に沿って整列していることが好適である。その結果、キャリア470を傾けた結果、各反応物表面上の全てのチャネルが実質的に同じ方向を向く。
【0075】
図12に、キャリア570上に複数のマイクロアレイ機器510を含む装置の更に別の実施形態を示す。キャリア570は、従来の96穴マイクロタイタープレート、例えば行および列方向の両方における隣接するマイクロアレイ機器間の中心間距離が9mm、と整合する間隔を置いた96個マイクロアレイ機器510を8行×12列のアレイ状に保持する。隣接するマイクロアレイ機器のエッジが、マイクロアレイ機器間で相互汚染が生じる可能性を減らすべく、十分間隔が空けられていることが好適である(例えば1mm以上)。このような構造の一つの利点は、装置が最小限の変更により従来の分析物分布および画像処理システムで利用可能な点である。
【0076】
図13は、図12の装置を線分13−13に沿って切った断面図である。キャリア570は好適には、マイクロアレイ機器510が配置された表面574に直交する高さであって、従来の設備を用いて当該装置の取扱いを容易にする従来のマイクロタイタープレートとほぼ同じの高さを有する側壁572を含んでいてよい。側壁572はまた、マイクロアレイ機器510の格納または処理を行なう間にカバー(図示せず)を好都合に支持することができる。キャリア表面574上にガスケットを用意してマイクロアレイ機器510同士の相互汚染の可能性を低減させることができるが、いかなるガスケットも好適には分析物試料および/または反応物表面とは接触しない点を理解されたい。あるいは、ガスケットはキャリア表面574上に被せられたカバーの上に配置されてもよい。
【0077】
複数のマイクロアレイ機器510を有するキャリア570を用いる方法は、全てのマイクロアレイ機器を、上述のような傾け操作方法を用いて同時に処理することができる。
【実施例】
【0078】
以下の実施例は、本発明の特徴、利点およびその他の詳細事項を示す目的でのみ選ばれている。しかし、これらの例がこの目的に沿うものでありながら、ここで用いた特定の成分および量、並びその他の条件および詳細事項は、過度に本発明の範囲を限定する仕方で解釈されてはならない。
【0079】
実施例1:波状表面を有するコーティング熱収縮フィルム
国際公開第99/53319号パンフレットに従い、アズラクトン/ジメチルアクリルアミド・コポリマーがコーティングされたポリエチレン熱収縮フィルムの試料を用意し、反応物表面に波状のしわを付けた。寸法が1.8×2.5cmであるマイクロアレイ機器をガラス顕微鏡スライドに接着した。マイクロアレイ機器が配置されたガラススライドを平坦かつ水平(0度)な表面に配置し、100マイクロリットルのDNAハイブリッド化バッファ(3X SSC、0.3%のSDS、1mg/mlのイーストtRNA、および1mg/mlのPoly A)をマイクロアレイ機器の中央に配置した。液体が放射状に拡がって、マイクロアレイ機器の外側エッジに到達するまで伝播する様子が観察された。試料は次いで、水平から約20度傾けられた。反応物表面上方の自由液体がフィルムの「低い」側に移動して、流出することなくフィルムのエッジにおいて線形ビードに溜まる様子が観察された。マイクロアレイ機器を反対方向に(かつ水平から20度ずらして)回転させることにより、液体が、線形ビードが形成された反対側に到達するまで、反応物表面上をカスケードする「シート」状(液体が殆ど指状に流れない)に伝播した。
【0080】
実施例2:多孔性繊維網を有するナイロン膜
断面が約2×2.5cmであるナイロン膜(孔サイズ0.45ミクロンのTAS膜、英国ケンブリッジのバイオロボティクス社(BioRobotics,Inc,Cambridge UK)製)を、両面粘着テープを用いてガラス顕微鏡スライドに接着して反応物表面を形成した。
【0081】
ガラススライドを平坦かつ水平な(0度)表面に配置し、その時点で緑色食品着色料を含む150マイクロリットルの水をフィルム中央部にピペット注入した。膜の上を溶液が放射状に拡がる様子が観察された。試料は、実施例1において記述したように緩やかに回転された。膜に吸着されなかった自由液体は、エッジから溢れ出ることなく膜のエッジに溜まる様子が観察された。試料は次いで垂直位置、すなわち水平位置から90度回転された。溶液は、そのような極端な角度でも膜に保持されていた。
【0082】
実施例3:V字チャネル構造を有するポリマーフィルム
米国特許第5,728,466号明細書に従い、表面に線形V字溝チャネルが隣接してエンボス加工されたマイクロレプリケーション構造化表面を有する親水性ポリプロピレン膜を用意した。エンボス加工されたポリマー表面は、底角(「V」字の根元)が約135度、高さが約100マイクロメートルである二等辺三角形の横断面を有する開V字溝を含んでいる。両面粘着テープを用いて、約2×2cmのフィルム断面をガラス顕微鏡スライドに接着した。
【0083】
次いでガラススライドを平坦かつ水辺な表面に配置し、その時点で(対照例を提供すべく)緑色食品着色料を含む75マイクロリットルの水をフィルム中央部にピペット注入した。液体がフィルムのエッジに到達するまで、V字溝チャネルに沿って拡がる様子が観察された。試料は約20度傾けられた。液体がチャネルに沿ってフィルムの「低い」側に移動し、溢れ出ることなくフィルムのエッジに溜まる様子が観察された。液体が溜まるにつれて、フィルムの外側エッジに到達するまで、V字溝の方向に直交して拡がった。フィルムを水平方向から20度回転させることにより、液体がフィルム領域の全表面の上を、反対側のエッジに到達するまで移動する。次いでフィルムを垂直位置(水平位置から90度)に回転した。その時点で液体はフィルムのエッジから溢れ出ることなくフィルムの底部エッジまで完全に移動した。
【0084】
実施例4:少量ハイブリッド化のデモンストレーション
この実施例は、本発明の方法を用いて反応物表面上へ分析物が一様に分布される様子をデモンストレーションするものである。実施例1に記述したように、コーティング熱収縮フィルム上にオリゴヌクレオチド・アレイを用意した。要約すれば、25基のオリゴヌクレオチド・シーケンスをコーティング熱収縮フィルム上に、マイクロアレイ表面全体にわたって均一に分布した特徴を生じるように設計されたパターンで配列した。当該パターンは、直径が約60マイクロメートルである特徴を350マイクロメートル間隔で9列16行に配置した4連グループを含む。4連グループの列と行の間隔は900マイクロメートルであった。転写接着剤を用いて、長方形アレイ(2.8cm×3.7cm)をガラス顕微鏡スライドに取り付けた。
【0085】
ハイブリッド化は、実施例1で述べた方法に従い、相補的25塩基のターゲットシーケンスを用いて一定範囲の量について実行された。相補的シーケンスに、蛍光色素(Cy5、アマーシャム・ファルマシア・バイオテック(Amersham Pharmacia Biotech)によりラベル付けした。ハイブリッド化は、ハイブリッド化バッファ(3X SSC、0.3%のSDS、1mg/mlのイーストtRNA、および1mg/mlのPoly A)内で5〜150マイクロリットルの間で変動している量について、50℃で18時間にわたり1000ピコモルの相補的ターゲットを用いて実行した。ターゲット溶液の蒸発を防止すべく、アレイはパラフィルムで密封された加湿ペトリ皿に封入された。ペトリ皿内部の加湿は、水で飽和した紙タオルの小片を用いて実現した。
【0086】
封入されたアレイを、毎分約1サイクルで循環するロッカー・プラットフォーム(カリフォルニア州サニーベール(Sunnyvale,CA)のロビンス・サイエンティフィック・モデル(Robbins Scientfic Model)400HI、ロッカー・プラットフォーム1040−21−0)を備えたハイブリッド化オーブン内に入れた。約18時間にわたり揺動した後でアレイが除去され、各々42℃で1.1X SSC、0.03%SDSおよび0.06%SSCで10分間洗浄された。アレイは、635ナノメートルのチャネル(カリフォルニア州フォスターシティー(Foster City,CA)のアクソン・インスツルメンツ(Axon Instruments)を用いるマイクロアレイスキャナを用いて撮像された。画像は、画像処理ソフトウェア(カリフォルニア州フォスターシティー(Foster City,CA)のアクソン・インスツルメンツ(Axon Instruments)のジーンピックス(GenePix)を用いて、マイクロアレイ面上の蛍光ハイブリッド化信号強度の均一性について調べた。下表は、その結果を要約したものである。
【0087】
【表1】
【0088】
実施例5:アッセイのダイナミックレンジおよび感度のデモンストレーション
実施例4に記述したように表面全体にわたりオリゴヌクレオチド特徴が一様に分布しているアレイを用意した。アレイは、実施例4に記述した条件下で、1、10、100、1000および10,000ピコモルのターゲット・オリゴヌクレオチド濃度において、100マイクロリットルの相補的蛍光ターゲット(1平方センチメートル当たり9.7の量を与える)を用いてハイブリッド化した。各濃度における蛍光強度(F635〜B635)を、ジーンピックス(GenePix)ソフトウェア(カリフォルニア州フォスターシティー(Foster City、CA)のアクソン・インスツルメンツ(Axon Instruments)製)を用いて定量化された。この実験から得られたデータを図14のグラフに示す。
【0089】
上述の特定の実施形態は、本発明の実装を解説したものである。本発明は、本明細書に特に記述していない任意の要素または項目が無くても適宜実施可能である。全ての特許、特許出願および刊行物の完全な開示内容を、本明細書にその個々の全文を引用している。
【0090】
本発明の範囲が逸脱することなく、本発明の各種の変更および代替案が当業者には明らかになろう。また、本発明が本明細書に記述した実施形態の例に限定されず、請求項により規定される限定内容およびこれら限定内容のあらゆる等価物の支配下にあることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明による1個のマイクロアレイ機器の斜視図である。
【図2】軸14に沿って描かれ、マイクロアレイ機器の反応物表面状に液体を堆積させる様子を示す、図1のマイクロアレイ機器の側面図である。
【図3】図2のマイクロアレイ機器を軸14の回りに第一の方向へ傾けた状態で示す。
【図4】図2のマイクロアレイ機器を軸14の回りに第二の方向へ傾けた状態で示す。
【図5】本発明によるマイクロアレイ機器上の反応物表面用の構造の一例を示す、図1のマイクロアレイ機器の拡大部分断面図である。
【図6】本発明によるマイクロアレイ機器の別の実施形態の側面図である。
【図6A】弛緩後のチタン・コーティングされた基板の反応物表面のSEMである。
【図6B】弛緩後の金コーティングされた基板の反応物表面のSEMである。
【図7】図6のマイクロアレイ機器の斜視図である。
【図8】本発明による非長方形マイクロアレイ機器の平面図である。
【図9】本発明による一システムの模式図である。
【図10】2個のマイクロアレイ機器を組み込んだ本発明による1個の装置の平面図である。
【図11】図10の装置の部分断面側面図である。
【図12】96個のマイクロアレイ機器を含んでいる本発明による装置の平面図である。
【図13】図12の線13−13に沿って切られた、図12の装置の断面図である。
【図14】実施例5との関係において記述された、対象オリゴヌクレオチド濃度の関数としての蛍光強度のグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応物を分析物に接触させる方法であって、
反応物表面を含むマイクロアレイ機器を提供し、前記反応物表面上に分散した複数の反応物サイトを前記反応物表面が有し、前記複数の反応物サイトが互いに区別されていて、前記反応物表面が各々対向して位置する第一エッジおよび第二エッジを含むようにするステップと、
一定量の液体および分析物を前記反応物表面に堆積させるステップと、
前記反応物表面を回転軸の回りに第一の方向へ傾けて、重力の影響により前記液体の一部が前記反応物表面の第一エッジの方へ移るようにするステップと、
前記反応物表面を前記回転軸の回りに第二の方向へ傾けて、重力の影響により前記液体の一部が前記第一エッジから前記第二エッジへ向かって移るようにするステップとを含み、
前記傾け操作ステップの間、前記液体が前記反応物表面上に残留する方法。
【請求項2】
前記傾け操作ステップが、前記反応物表面上の分析物および液体が露出している間に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応物表面の前記第一の方向への傾け操作ステップにより前記液体の一部が、前記反応物表面が前記第一の方向へ傾けられた後で前記反応物表面の前記第一エッジの近傍かつ前記反応物表面の上方にビードを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記反応物表面の前記第二の方向への傾け操作ステップにより前記液体の一部が、前記反応物表面が前記第二の方向へ傾けられた後で前記反応物表面の前記第二エッジの近傍かつ前記反応物表面の上方にビードを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第一の方向への傾け操作ステップが少なくとも2回実行され、前記第二の方向への傾け操作ステップが少なくとも2回実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記傾け操作ステップが、前記反応物表面を水平方向から20度以上傾けるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記反応物表面が親水性である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記反応物表面が、マイクロレプリケーションされた構造化反応物表面を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記反応物表面が、前記第一エッジと第二エッジとの間を伸びる軸に合わせて整列している複数のチャネルを含むマイクロレプリケーションされた構造化表面を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記反応物表面が、前記第一エッジから第二エッジへ伸びる複数のチャネルを含むマイクロレプリケーションされた構造化表面を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記マイクロアレイ機器が基板を含み、前記反応物表面が少なくとも部分的に前記基板に接着されたコーティングを含み、更に前記コーティングがトポグラフィ表面領域および射影表面領域を含み、前記トポグラフィ表面領域が前記射影表面領域より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記反応物表面が波状表面を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記反応物表面が複数の繊維を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記反応物表面が多孔膜を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記回転軸が、前記反応物表面における前記第一エッジと第二エッジとの間の中心点近傍の平面内に配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記液体および前記分析物がその上に堆積される際に、前記反応物表面がほぼ水平に方向付けられている、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記分析物が前記液体内に配置され、更に、前記液体の堆積および前記分析物の堆積が同時に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記液体および前記分析物が別個に堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記液体および前記分析物が異なる時点で堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
反応物を分析物に接触させる方法であって、
親水性反応物表面を含むマイクロアレイ機器に提供し、前記反応物表面上に分散した複数の反応物サイトを前記反応物表面が有し、前記複数の反応物サイトが互いに区別されていて、前記反応物表面が各々対向して位置する第一エッジおよび第二エッジを含むようにするステップと、
一定量の液体および分析物を前記反応物表面に堆積させるステップと、
前記反応物表面上の前記分析物および前記液体が露出している間に、前記反応物表面を回転軸の回りに第一の方向へ傾けて、前記反応物表面が前記第一の方向へ傾いた後で、重力の影響により前記液体の一部が前記反応物表面の第一エッジの方へ移動し、前記反応物表面の前記第一エッジの近傍かつ前記反応物表面の上方にビードを形成するステップと、
前記傾け操作ステップの間、前記反応物表面上の前記分析物および前記液体が露出している間に、前記反応物表面を回転軸の回りに第二の方向へ傾けて、前記反応物表面が第二の方向へ傾いた後で、重力の影響により前記液体の一部が前記第一エッジから前記第二エッジへ向かって移動し、前記反応物表面の前記第二エッジの近傍かつ前記反応物表面の上方にビードを形成するステップとを含み、
前記傾け操作ステップの間、前記液体が前記反応物表面上に残留する方法。
【請求項21】
少量液体処理用のマイクロアレイ機器であって、
基板と、
前記基板上にマイクロレプリケーションされた親水性構造化反応物表面と、
前記反応物表面上に分散した複数の反応物サイトとを含み、前記複数の反応物サイトが互いに区別されている機器。
【請求項22】
前記反応物表面が、前記反応物表面の第一エッジと前記反応物表面の第二エッジの間を伸びる軸に合わせて整列している複数のチャネルを含む、請求項21に記載の機器。
【請求項23】
前記反応物表面が、前記反応物表面の第一エッジから前記反応物表面の第二エッジまで伸びる複数のチャネルを含む、請求項21に記載の機器。
【請求項24】
少量液体処理用の装置であって、
キャリアと、
前記キャリアの表面に配置された複数の別個の反応物表面とを含み、各々の反応物表面がマイクロレプリケーションされた親水性構造化反応物表面および前記反応物表面上に分散する複数の反応物サイトを含み、前記複数の反応物サイトが互いに区別されている装置。
【請求項25】
前記反応物表面の各々が、前記反応物表面の第一エッジと前記反応物表面の第二エッジの間を伸びる軸に合わせて整列している複数のチャネルを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記反応物表面の各々が、前記反応物表面の第一エッジと前記反応物表面の第二エッジの間を伸びる軸に合わせて整列している複数のチャネルを含み、更に、前記別個の反応物表面内の前記複数チャネルが互いに整列している、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記反応物表面の各々が、前記反応物表面の第一エッジから前記反応物表面の第二エッジまで伸びる複数のチャネルを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記反応物表面の各々が、前記反応物表面の第一エッジから前記反応物表面の第二エッジまで伸びる軸に合わせて整列している複数のチャネルを含み、更に、前記別個の反応物表面内の前記複数チャネルが互いに整列している、請求項24に記載の装置。
【請求項29】
少量液体処理用の装置であって、
キャリアと、
行および列の両方向に9ミリメートル間隔を置いた8×12アレイ内で前記キャリアの表面に配置された複数の別個の反応物表面を含み、各々の前記反応物表面が親水性構造化反応物表面および前記反応物表面上に分散する複数の反応物サイトを含み、前記複数の反応物サイトが互いに区別されている装置。
【請求項30】
前記複数の反応物表面が、96個の反応物表面を含む、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記反応物表面の各々が、前記反応物表面の前記第一エッジと前記反応物表面の第二エッジとの間を伸びる軸に合わせて整列している複数のチャネルを含むマイクロレプリケーションされた構造化表面を含む、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記反応物表面の各々が、前記反応物表面の第一エッジと前記反応物表面の第二エッジとの間を伸びる軸に合わせて整列している複数のチャネルを含むマイクロレプリケーションされた構造化表面を含み、更に、前記別個の反応物表面内の前記複数チャネルが互いに整列している、請求項29に記載の装置。
【請求項33】
前記反応物表面の各々が、前記反応物表面の第一エッジから前記反応物表面の第二エッジまで伸びる複数のチャネルを含むマイクロレプリケーションされた構造化表面を含む、請求項29に記載の装置。
【請求項34】
前記反応物表面の各々が、前記反応物表面の第一エッジから前記反応物表面の第二エッジまで伸びる軸に合わせて整列している複数のチャネルを含むマイクロレプリケーションされた構造化表面を含み、更に、前記別個の反応物表面内の前記複数チャネルが互いに整列している、請求項29に記載の装置。
【請求項35】
少量マイクロアレイ機器処理用のシステムであって、
処理チャンバと、
前記処理チャンバ内の温度を制御すべく前記処理チャンバ内で動作可能な温度調節装置と、
前記処理チャンバ内の回転装置とを含み、前記回転装置が前記処理チャンバ内に位置するマイクロアレイ機器を傾けるように動作可能であるシステム。
【請求項36】
前記回転装置がロッカー・プラットフォームを含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記回転装置に配置されたマイクロアレイ機器を更に含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項1】
反応物を分析物に接触させる方法であって、
反応物表面を含むマイクロアレイ機器を提供し、前記反応物表面上に分散した複数の反応物サイトを前記反応物表面が有し、前記複数の反応物サイトが互いに区別されていて、前記反応物表面が各々対向して位置する第一エッジおよび第二エッジを含むようにするステップと、
一定量の液体および分析物を前記反応物表面に堆積させるステップと、
前記反応物表面を回転軸の回りに第一の方向へ傾けて、重力の影響により前記液体の一部が前記反応物表面の第一エッジの方へ移るようにするステップと、
前記反応物表面を前記回転軸の回りに第二の方向へ傾けて、重力の影響により前記液体の一部が前記第一エッジから前記第二エッジへ向かって移るようにするステップとを含み、
前記傾け操作ステップの間、前記液体が前記反応物表面上に残留する方法。
【請求項2】
前記傾け操作ステップが、前記反応物表面上の分析物および液体が露出している間に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応物表面の前記第一の方向への傾け操作ステップにより前記液体の一部が、前記反応物表面が前記第一の方向へ傾けられた後で前記反応物表面の前記第一エッジの近傍かつ前記反応物表面の上方にビードを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記反応物表面の前記第二の方向への傾け操作ステップにより前記液体の一部が、前記反応物表面が前記第二の方向へ傾けられた後で前記反応物表面の前記第二エッジの近傍かつ前記反応物表面の上方にビードを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第一の方向への傾け操作ステップが少なくとも2回実行され、前記第二の方向への傾け操作ステップが少なくとも2回実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記傾け操作ステップが、前記反応物表面を水平方向から20度以上傾けるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記反応物表面が親水性である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記反応物表面が、マイクロレプリケーションされた構造化反応物表面を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記反応物表面が、前記第一エッジと第二エッジとの間を伸びる軸に合わせて整列している複数のチャネルを含むマイクロレプリケーションされた構造化表面を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記反応物表面が、前記第一エッジから第二エッジへ伸びる複数のチャネルを含むマイクロレプリケーションされた構造化表面を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記マイクロアレイ機器が基板を含み、前記反応物表面が少なくとも部分的に前記基板に接着されたコーティングを含み、更に前記コーティングがトポグラフィ表面領域および射影表面領域を含み、前記トポグラフィ表面領域が前記射影表面領域より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記反応物表面が波状表面を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記反応物表面が複数の繊維を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記反応物表面が多孔膜を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記回転軸が、前記反応物表面における前記第一エッジと第二エッジとの間の中心点近傍の平面内に配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記液体および前記分析物がその上に堆積される際に、前記反応物表面がほぼ水平に方向付けられている、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記分析物が前記液体内に配置され、更に、前記液体の堆積および前記分析物の堆積が同時に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記液体および前記分析物が別個に堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記液体および前記分析物が異なる時点で堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
反応物を分析物に接触させる方法であって、
親水性反応物表面を含むマイクロアレイ機器に提供し、前記反応物表面上に分散した複数の反応物サイトを前記反応物表面が有し、前記複数の反応物サイトが互いに区別されていて、前記反応物表面が各々対向して位置する第一エッジおよび第二エッジを含むようにするステップと、
一定量の液体および分析物を前記反応物表面に堆積させるステップと、
前記反応物表面上の前記分析物および前記液体が露出している間に、前記反応物表面を回転軸の回りに第一の方向へ傾けて、前記反応物表面が前記第一の方向へ傾いた後で、重力の影響により前記液体の一部が前記反応物表面の第一エッジの方へ移動し、前記反応物表面の前記第一エッジの近傍かつ前記反応物表面の上方にビードを形成するステップと、
前記傾け操作ステップの間、前記反応物表面上の前記分析物および前記液体が露出している間に、前記反応物表面を回転軸の回りに第二の方向へ傾けて、前記反応物表面が第二の方向へ傾いた後で、重力の影響により前記液体の一部が前記第一エッジから前記第二エッジへ向かって移動し、前記反応物表面の前記第二エッジの近傍かつ前記反応物表面の上方にビードを形成するステップとを含み、
前記傾け操作ステップの間、前記液体が前記反応物表面上に残留する方法。
【請求項21】
少量液体処理用のマイクロアレイ機器であって、
基板と、
前記基板上にマイクロレプリケーションされた親水性構造化反応物表面と、
前記反応物表面上に分散した複数の反応物サイトとを含み、前記複数の反応物サイトが互いに区別されている機器。
【請求項22】
前記反応物表面が、前記反応物表面の第一エッジと前記反応物表面の第二エッジの間を伸びる軸に合わせて整列している複数のチャネルを含む、請求項21に記載の機器。
【請求項23】
前記反応物表面が、前記反応物表面の第一エッジから前記反応物表面の第二エッジまで伸びる複数のチャネルを含む、請求項21に記載の機器。
【請求項24】
少量液体処理用の装置であって、
キャリアと、
前記キャリアの表面に配置された複数の別個の反応物表面とを含み、各々の反応物表面がマイクロレプリケーションされた親水性構造化反応物表面および前記反応物表面上に分散する複数の反応物サイトを含み、前記複数の反応物サイトが互いに区別されている装置。
【請求項25】
前記反応物表面の各々が、前記反応物表面の第一エッジと前記反応物表面の第二エッジの間を伸びる軸に合わせて整列している複数のチャネルを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記反応物表面の各々が、前記反応物表面の第一エッジと前記反応物表面の第二エッジの間を伸びる軸に合わせて整列している複数のチャネルを含み、更に、前記別個の反応物表面内の前記複数チャネルが互いに整列している、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記反応物表面の各々が、前記反応物表面の第一エッジから前記反応物表面の第二エッジまで伸びる複数のチャネルを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記反応物表面の各々が、前記反応物表面の第一エッジから前記反応物表面の第二エッジまで伸びる軸に合わせて整列している複数のチャネルを含み、更に、前記別個の反応物表面内の前記複数チャネルが互いに整列している、請求項24に記載の装置。
【請求項29】
少量液体処理用の装置であって、
キャリアと、
行および列の両方向に9ミリメートル間隔を置いた8×12アレイ内で前記キャリアの表面に配置された複数の別個の反応物表面を含み、各々の前記反応物表面が親水性構造化反応物表面および前記反応物表面上に分散する複数の反応物サイトを含み、前記複数の反応物サイトが互いに区別されている装置。
【請求項30】
前記複数の反応物表面が、96個の反応物表面を含む、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記反応物表面の各々が、前記反応物表面の前記第一エッジと前記反応物表面の第二エッジとの間を伸びる軸に合わせて整列している複数のチャネルを含むマイクロレプリケーションされた構造化表面を含む、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記反応物表面の各々が、前記反応物表面の第一エッジと前記反応物表面の第二エッジとの間を伸びる軸に合わせて整列している複数のチャネルを含むマイクロレプリケーションされた構造化表面を含み、更に、前記別個の反応物表面内の前記複数チャネルが互いに整列している、請求項29に記載の装置。
【請求項33】
前記反応物表面の各々が、前記反応物表面の第一エッジから前記反応物表面の第二エッジまで伸びる複数のチャネルを含むマイクロレプリケーションされた構造化表面を含む、請求項29に記載の装置。
【請求項34】
前記反応物表面の各々が、前記反応物表面の第一エッジから前記反応物表面の第二エッジまで伸びる軸に合わせて整列している複数のチャネルを含むマイクロレプリケーションされた構造化表面を含み、更に、前記別個の反応物表面内の前記複数チャネルが互いに整列している、請求項29に記載の装置。
【請求項35】
少量マイクロアレイ機器処理用のシステムであって、
処理チャンバと、
前記処理チャンバ内の温度を制御すべく前記処理チャンバ内で動作可能な温度調節装置と、
前記処理チャンバ内の回転装置とを含み、前記回転装置が前記処理チャンバ内に位置するマイクロアレイ機器を傾けるように動作可能であるシステム。
【請求項36】
前記回転装置がロッカー・プラットフォームを含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記回転装置に配置されたマイクロアレイ機器を更に含む、請求項35に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2006−502408(P2006−502408A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543240(P2004−543240)
【出願日】平成15年8月14日(2003.8.14)
【国際出願番号】PCT/US2003/025386
【国際公開番号】WO2004/034014
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年8月14日(2003.8.14)
【国際出願番号】PCT/US2003/025386
【国際公開番号】WO2004/034014
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
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