説明

屋外用機器のタンパースイッチ駆動構造

【課題】取付面が凸状態で、シャフト(作動部材)をケースの端面からさらに奥に押し込むような場合に、タンパースイッチに大きな力が加わり、破壊してしまうおそれがある。取付面が凹状の場合、シャフトがケース内部に充分に押し込まれず、タンパースイッチが反転しないおそれがある。シャフトがケース底面の穴からそのまま外部に突き出ているので、防水性は保たれない。
【解決手段】タンパースイッチの作動部材として、強さの異なる2種類のバネを用いた2重スライド構造のものを採用し作動部材のタンパースイッチ側と中央部にフランジを設けた。作動部材のタンパースイッチに接触する端面側が、必要以上にタンパースイッチ側に移動しないようにするため、機器本体側に設けたストッパー部に中央部のフランジが当たり、止まるような構造とし、中央部のフランジとストッパー部との間にパッキンの役目をするスポンジ材を介在させ、防水性を持たせた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
屋外に設置された機器のカバーが開放されたとき、または、機器本体が取付対象物から外されたときに作動するタンパースイッチの駆動構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防犯用機器等では、故意にカバーが開放されたとき、または、壁面に設置された機器が壁から外されたときに、その異常を検出する目的で、機器内にタンパースイッチを装備させている。
【0003】
ひとつのタンパースイッチで、カバーが開放されたこと、または機器本体が壁から外されたことを検出することができるようなものが考え出されていた。例えば、カバーに設けたタンパースイッチの可動部に先端が当接し、他端はケースの底面を突抜けて裏面に露出するように配置されたシャフトを、ケース内に摺動自在に保持したものがある。(例えば特許文献1参照。)
【特許文献1】実開昭63−96730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のタンパースイッチの駆動構造では、スイッチの有効ストロークが短く、またシャフト(作動部材)にストッパーがないため、取付面が凸状態で、シャフトをケースの端面からさらに奥に押し込むような場合に、タンパースイッチに大きな力が加わり、破壊してしまうおそれがある。逆に、取付面が凹状の場合、シャフトがケース内部に充分に押し込まれず、タンパースイッチが反転しないおそれがある。また、シャフトがケース底面の穴からそのまま外部に突き出ているので、防水性は保たれない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、タンパースイッチの作動部材として、強さの異なる2種類のバネを用いた2重スライド構造のものを採用した。
作動部材のタンパースイッチ側と中央部にフランジを設け、作動部材のタンパースイッチに接触する端面側が、必要以上にタンパースイッチ側に移動しないようにするため、機器本体側に設けたストッパー部に中央部のフランジが当たり、止まるような構造とした。
中央部のフランジとストッパー部との間にパッキンの役目をするスポンジ材を介在させ、防水性を持たせた。
作動部材の他端(機器本体から外に突出する部分)には、クッション機能を設け、有効ストローク長に伸縮性を持たす構成とした。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、タンパースイッチを作動させるための有効ストローク長や、タンパースイッチの始動位置を設定することができ、機器取付面に凹凸があっても適切な状態で設置することができる。
中央部のフランジとストッパー部との間にスポンジ材を介在させたので、確実な防水をおこなうことができる。
スペーサーを付属させ、そのスペーサーをタンパースイッチ側のフランジと本体間に装着するだけで、機器本体が壁から外されたことを検出する機能だけを停止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1〜図6は、本発明の屋外用機器のタンパースイッチの駆動構造を説明するための説明図である。図はすべて断面図であり、各状態別に構成部品の相対的位置関係を示している。図中の1はタンパースイッチ、2は作動部材、3はカバー、4は本体、5は取付面である。6は内部バネ、7は外部バネ、8は内部ストッパー、9は外部ストッパー、10はスポンジである。11はスイッチ接触フランジ、12は中央フランジ、13は取付面接触部である。
作動部材2とスイッチ接触フランジ11、中央フランジ12は一体化されており、取付面接触部13は外部バネ7を介して、作動部材2に伸縮自在な状態で接続されている。
【0008】
図1は、カバー3が閉じられ、本体4が取付面5に固定される前の状態を示した図である。作動部材2、スイッチ接触フランジ11、取付面接触部13は一体となり内部バネ6により外側に押され、スイッチ接触フランジ11と内部ストッパー8が当たった状態で固定される。この状態では、タンパースイッチ1は、押されておらず、本体4が取付面5から外された状態(OFFの状態)となっている。
【0009】
図2は、カバー3が閉じられ本体4が取付面5に固定される途中の状態を示している。外部バネ7は、内部バネ6よりも強いものにしてある。このため、取付面5に押された取付面接触部13は、外部バネ7をたわますことなく作動部材2とスイッチ接触フランジ11と一体となってタンパースイッチ1側へ移動する。途中でタンパースイッチ1がスイッチ接触フランジ11に押され、ON状態に切り替わる。
【0010】
図3は、スポンジ10が中央フランジ12に押され圧縮され、中央フランジ12が、外部ストッパー9に当った状態を示している。さらに取付面5に押された取付面接触部13は外部バネ7をたわませて本体内部側に移動する。スポンジ10は本体内部にあり、露出していないようにし、中央フランジ12により物理的に保護されている。スポンジ10の材質としては、独立気泡で、且つ残留圧縮歪の小さいシリコーンスポンジが適している。
【0011】
図4は、本体4が完全に取付面5に固定された状態を示している。中央フランジ12が外部ストッパー9に当った時にすでに作動部材2とスイッチ接触フランジ11の移動は止まっており、タンパースイッチ1が破損することはない。
【0012】
図5は、カバー3が閉じられ、本体4がポールに取付けられた状態を示している。
2点鎖線で示したポールにポール金具14を介して固定される。
本体4とポールとの間は、ポール金具14が存在するため、取付面接触部13は、本体4の表面位置まで押しこまれることはないが、外部バネ7を介して作動部材2に固定された取付面接触部13により、ストローク長に伸縮性を持たされており、図の状態でタンパースイッチ1はON状態となっている。
図中破線で示した位置のスイッチ接触フランジ11の位置が、タンパースイッチ1がONとなる限界位置を示している。
【0013】
図6は、スペーサー15を追加した状態を示しており、本体4が取付面5から外されたときに、タンパースイッチ1が作動しない(OFFとならない)ようにした状態を示した図である。
スペーサー15がスイッチ接触フランジ11と、内部ストッパー8との間に挟まれている。スイッチ接触フランジ11をタンパースイッチ1側に移動させると、内部バネ6の力により内部ストッパー側に戻そうとする力が加わり、ストッパー15はその間に挟まれた状態で固定される。
この状態は、カバー3が閉じられたときに、タンパースイッチ1とスイッチ接触フランジ11が接触し、タンパースイッチ1がONとなる位置であり、本体4が取付面5から外されても、スイッチ接触フランジ11は移動しないため、タンパースイッチがOFFとなることはない。
また、中央フランジ12がスポンジ10を圧縮した状態は維持されるので、防水性能は維持される。
【0014】
以上の通り、本発明によれば、ひとつのタンパースイッチで、カバーの開閉と、本体の取付面からの取り外しを検出することができ、防水性を確保しながら、必要に応じ、本体の取付面からの取り外しを検出する機能を停止させることのできる、屋外用機器のタンパースイッチ駆動構造が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の屋外用機器のタンパースイッチの駆動構造を説明するための説明図であり、カバー3が閉じられ、本体4が取付面5に固定される前の状態を示した図である。
【図2】本発明の屋外用機器のタンパースイッチの駆動構造を説明するための説明図であり、カバー3が閉じられ、本体4が取付面5に固定される途中の状態を示した図である。
【図3】本発明の屋外用機器のタンパースイッチの駆動構造を説明するための説明図であり、スポンジ10が中央フランジ12に押され圧縮され、中央フランジ12が、外部ストッパー7に当った状態を示した図である。
【図4】本発明の屋外用機器のタンパースイッチの駆動構造を説明するための説明図であり、本体4が完全に取付面5に固定された状態を示した図である。
【図5】本発明の屋外用機器のタンパースイッチの駆動構造を説明するための説明図であり、カバー3が閉じられ、本体4がポールに取付けられた状態を示した図である。
【図6】本発明の屋外用機器のタンパースイッチの駆動構造を説明するための説明図であり、スペーサー15を追加した状態を示しており、本体4が取付面5から外されたときに、タンパースイッチ1が作動しない(OFFとならない)ようにした状態を示した図である。
【符号の説明】
【0016】
1・・・タンパースイッチ
2・・・作動部材
3・・・カバー
4・・・本体
5・・・取付面
6・・・内部バネ
7・・・外部バネ
8・・・内部ストッパー
9・・・外部ストッパー
10・・・スポンジ
11・・・スイッチ接触フランジ
12・・・中央フランジ
13・・・取付面接触部
14・・・ポール金具
15・・・スペーサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に対して着脱自在に接続したカバーを有する屋外用機器のカバーにスイッチを設け、前記スイッチの可動部に先端が当接し、他端は本体の底面を突抜けて裏面に露出するよう配設されたスイッチ駆動部を、前記本体に摺動自在に保持したタンパースイッチの駆動構造であって、前記スイッチ駆動部は、作動部材2と、スイッチ接触フランジ11と中央フランジ12とを一体化し、取付面接触部13を外部バネ7を介して作動部材2に伸縮自在な状態で接続したものであり、外部バネ7よりも力の弱い内部バネ6によりスイッチ接触フランジ11が内部ストッパー8に密着する位置にて固定されるようにしたものであることを特徴とする屋外用機器のタンパースイッチ駆動構造。
【請求項2】
前記スイッチ接触フランジ11と内部ストッパー8との間に、追加部材であるスペーサー15を着脱可能な構造としたことを特徴とする請求項1に記載の屋外用機器のタンパースイッチ駆動構造。
【請求項3】
前記スイッチ駆動部の中央フランジ12とケース4の凹部との間にスポンジ材10を配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の屋外用機器のタンパースイッチ駆動構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−160908(P2010−160908A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−620(P2009−620)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000210403)竹中エンジニアリング株式会社 (20)
【Fターム(参考)】