説明

巡訪ルート探索システム、プログラム

【課題】諸条件に応じて巡訪の対象となるスポット及びその巡訪順を選択し、ユーザにとって価値の高い巡訪ルートを提案することができる柔軟性を備えたシステムを実現する。
【解決手段】各スポット毎に記述され、ユーザの属性条件及び巡訪の際の外部条件に応じた当該スポットの価値スコアを含むスポットデータを格納しているスポットデータベース101と、巡訪ルート探索要求を受け付ける要求受付手段102と、巡訪ルート探索要求を受け付けたことに基づき、巡訪ルートに包含すべきスポット及びその巡訪順を選定して巡訪ルート候補を生成する候補生成手段103と、ユーザの属性条件及び外部条件を知得する評価条件知得手段104と、スポットデータベース101を参照し、属性条件及び外部条件をキーとして巡訪ルート候補に包含される個々のスポットについての価値スコアを抽出して、当該巡訪ルート候補の総体価値スコアを算定する価値評価手段105と、総体価値スコアが高い巡訪ルート候補に関する情報を返信する候補提示手段106とを具備するシステムを構築した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザにとって価値の高い巡訪ルートを探索して提示するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数の観光スポットを巡るパックツアーの情報を、インターネット等を介してユーザに提示するシステムが既知である(下記特許文献1を参照)。ユーザは、予めシステムのデータベースに登録されているパックツアーコースの中から、自身の嗜好や予算等に応じたツアーコースを検索して申込を行うことができる。
【特許文献1】特開2003−196307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記例の如きシステムが提示するツアーコースは、旅行代理店のプランナー等によって立案されたお仕着せのものに過ぎない。つまり、何れの観光スポットをどのような順序で巡るのかが固定されてしまっており、多様なユーザのニーズに必ずしも対応できない。ツアーコースに対する評価は、ユーザの嗜好や旅行の主目的、ユーザの出身ないし在住地等によって異なることは言うまでもないが、そのツアーコースに包含される観光スポットを訪れた時の季節、天候、日付や時刻等によっても少なからず変動する。であるから、単純に著名な観光スポットをツアーコースに織り込むだけではユーザベネフィットを高めることができない。結局のところ、多様なニーズに応えられるようにするには、データベースに登録しておくツアーコースの件数を顕著に増やすより他にないが、無数のツアーコースを人手によって立案することは明らかに現実的でない。
【0004】
以上に鑑みてなされた本発明は、諸条件に応じて巡訪の対象となるスポット及びその巡訪順を選択し、ユーザにとって価値の高い巡訪ルートを提案することができる柔軟性を備えたシステムを実現しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するべく、図1に示すように、巡訪の対象となり得る各スポット毎に記述され、ユーザの属性条件及び/または巡訪の際の外部条件に応じた当該スポットの価値を規定する価値スコアを含むスポットデータを格納しているスポットデータベース101と、ユーザが使用する情報端末より発信される巡訪ルート探索要求を受け付ける要求受付手段102と、前記巡訪ルート探索要求を受け付けたことに基づき、前記スポットデータベース101にスポットデータが格納されているスポットの中から巡訪ルートに包含すべきスポット及びその巡訪の順序を選定して巡訪ルート候補を生成する候補生成手段103と、前記巡訪ルート探索要求をもたらしたユーザの属性条件及び/またはこのユーザが前記巡訪ルート候補に包含されるスポットを巡訪する際の外部条件を知得する評価条件知得手段104と、前記スポットデータベース101を参照し、前記評価条件知得手段104で知得した属性条件及び/または外部条件をキーとして前記巡訪ルート候補に包含される個々のスポットについての価値スコアを抽出して、それら価値スコアを加味した上で当該巡訪ルート候補の総体的な価値を示す総体価値スコアを算定する価値評価手段105と、前記価値評価手段105で算定した総体価値スコアが高い巡訪ルート候補に関する情報をユーザが使用する情報端末に向けて返信する候補提示手段106とを具備してなる巡訪ルート探索システムを構築した。
【0006】
ここで、スポットとは、ユーザが訪れる施設、場所等を包括する概念である。寺社仏閣や旧跡、名勝等の観光名所、美術館、博物館や公園、競技場等の公共施設、商品販売や役務提供を行う各種店舗ないし店舗群(商店街)等はおしなべてスポットに該当する。ユーザの属性条件とは、ユーザ自身の個性に関する条件一般を言い、例えば、ユーザの年齢、性別、出身若しくは在住地、国籍、使用言語、家族構成、趣味、嗜好、性格等またはユーザを類型化したタイプ分けがこれに該当する。また、巡訪に際してのユーザの要望、巡訪の主目的等も、属性条件に該当する。外部条件とは、ユーザ自身の個性とは無関係な条件を言い、例えば、ユーザが各スポットを訪れる時期ないし季節、日付(月、日若しくは曜日)、時刻ないし時間帯、その時の天候等が該当する。属性条件、外部条件は、何れも巡訪ルート(に包含される各スポット)のユーザベネフィットを左右し得る。スポットについての価値スコアは、実際にそのスポットを訪れたことのある者にインタビューしたりアンケート調査を行ったりして決定し、スポットデータベース101に登録しておく。価値スコアは、属性条件、外部条件に関連付けて格納される。
【0007】
本システムでは、複数のスポット及びその巡訪順を選定して巡訪ルート候補を生成し、スポットデータベース101に格納されているスポットデータを参照して総体価値スコアを算定することで当該巡訪ルート候補の価値評価を行う。そして、上記の処理を繰り返し、可能な限りの巡訪ルート候補を総当たりで評価する。しかる後、総体価値スコアの高い、言い換えるならばユーザにとっての価値が高い一または複数の巡訪ルート候補を選び出し、その情報をユーザに提示する。このようなものであれば、巡訪ルートに包含するべきスポット及びその巡訪順を柔軟に選択でき、ユーザにとって価値の高い巡訪ルートを提案することが可能となる。
【0008】
なお、現実には、金銭的制約、時間的制約等により採用できないような巡訪ルート候補も存在することとなる。従って、巡訪ルート候補の採用の可否を判断して、採用不可能な候補は棄却することが望ましい。図2に示すように、巡訪の対象となり得る各スポット毎に記述され、当該スポットを巡訪するにあたって必要となる金銭的コスト、時間的コスト等の制約要素と、ユーザの属性条件及び/または巡訪の際の外部条件に応じた当該スポットの価値を規定する価値スコアとを含むスポットデータを格納しているスポットデータベース101と、ユーザが使用する情報端末より発信される巡訪ルート探索要求を受け付ける要求受付手段102と、前記巡訪ルート探索要求を受け付けたことに基づき、前記スポットデータベース101にスポットデータが格納されているスポットの中から巡訪ルートに包含すべきスポット及びその巡訪の順序を選定して巡訪ルート候補を生成する候補生成手段103と、巡訪ルート全体で費やすことの許されるコスト等を制約する制約条件を知得する制約条件知得手段107と、前記スポットデータベース101を参照し、前記巡訪ルート候補に包含される個々のスポットについての制約要素を抽出して、それら制約要素を加味した上で当該巡訪ルート候補が前記制約条件知得手段107で知得した制約条件を満足するか否かを判断する可否判断手段108と、前記巡訪ルート探索要求をもたらしたユーザの属性条件及び/またはこのユーザが前記巡訪ルート候補に包含されるスポットを巡訪する際の外部条件を知得する評価条件知得手段104と、前記スポットデータベース101を参照し、前記評価条件知得手段104で知得した属性条件及び/または外部条件をキーとして前記巡訪ルート候補に包含される個々のスポットについての価値スコアを抽出して、それら価値スコアを加味した上で当該巡訪ルート候補の総体的な価値を示す総体価値スコアを算定する価値評価手段105と、前記可否判断手段108で前記制約条件を満足すると判断され、かつ、前記価値評価手段105で算定した総体価値スコアが高い巡訪ルート候補に関する情報をユーザが使用する情報端末に向けて返信する候補提示手段106とを具備してなる巡訪ルート探索システムを構築すれば、巡訪ルート候補の採用の可否を判断して採用不可能な候補を棄却することができる。
【0009】
ここで、制約条件とは、巡訪ルート候補の採用の可否の判断基準となる条件を言い、例えば、巡訪ルート全体で費やすことの許される金銭的コスト、時間的コストや、巡訪ルートの起点または終点に関する条件、巡訪の開始時刻または終了時刻に関する条件等が該当する。
【0010】
さらに、巡訪ルート候補の採用の可否を判断するには、巡訪ルート候補に包含されるスポットのみならず、各スポット間を結ぶ経路についても検討を加える必要がある。金銭的コスト、時間的コスト等はスポットにおいてのみ費やされるのではなく、そのスポット間を移動する際にも費やされる(例えば、公共交通機関の利用運賃として、また移動時間として)。特に、スポット間の移動時間は、スポットの巡訪順によって著しく変化する。図3に示すように、前記巡訪ルート候補に包含される各スポット間の経路における金銭的コスト、時間的コスト等の制約要素を含む経路データを取得する経路データ取得手段109109をも具備し、前記可否判断手段108が、前記経路データに含まれているスポット間の経路における制約要素をも加味した上で前記巡訪ルート候補が前記制約条件を満足するか否かを判断するものとすれば、より適切に巡訪ルート候補の採用の可否を判断できる。
【0011】
加えて、前記巡訪ルート候補に包含される各スポット間の経路の道程または移動手段等に関する情報を含む経路データを取得する経路データ取得手段109をさらに具備し、前記候補提示手段106が、前記経路データ取得手段109で取得した経路の道程または移動手段等に関する情報をもユーザが使用する情報端末に向けて返信するものとすれば、高度な利便性をユーザに提供できるシステムとなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、諸条件に応じてスポット及びその巡訪順を柔軟に選択しユーザにとって価値の高い巡訪ルートを提案することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態の巡訪ルート探索システムは、個々のユーザにとって価値の高い巡訪ルートを探索して提示するためのシステムであり、一または複数のサーバコンピュータ1を主体として構築される。図4に示すように、サーバコンピュータ1は、ユーザが使用する情報端末2と電気通信回線3を介して通信可能に接続している。ユーザが使用する情報端末2の例として、既存のパーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話端末、車載情報端末(カーナビゲーション端末、特に、移動体通信を用いたテレマティックサービスを利用可能なもの)、その他を挙げることができる。電気通信回線3の詳細構成は特に限定されないが、通常、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、携帯電話網、PHS(Personal Handyphone System)網等またはその組み合わせである。
【0014】
サーバコンピュータ1は、例えば、図5に示すように、プロセッサa、メインメモリb、補助記憶デバイスc、通信インタフェースd等のハードウェア資源を有し、これらがコントローラ(システムコントローラ、I/Oコントローラ等)eにより制御されて連携動作するものである。補助記憶デバイスcは、ハードディスクドライブ、光学ディスクドライブ、フラッシュメモリ等に代表される。通信インタフェースdは、電気通信回線3を介した情報通信を行うためのデバイスであり、NIC(Network Interface Card)、無線トランシーバ、モデム等がこれに該当する。
【0015】
プロセッサaに実行させるべき種々のプログラムは補助記憶デバイスcに格納されており、プログラムの実行の際には補助記憶デバイスcからメインメモリbに読み込まれ、プロセッサaによって解読される。サーバコンピュータ1には、既知のOS(Operating System)プログラムやこれに付随する各種デバイスドライバプログラムがインストールされている。OSプログラム、デバイスドライバプログラムは、他のプログラムによる上記ハードウェア資源の利用を仲介する。
【0016】
しかして、サーバコンピュータ1には、ユーザによる巡訪ルート探索要求を受け付け、当該ユーザにとって価値の高い巡訪ルートの候補を選び出してユーザに提示するアプリケーションプログラムがインストールされる。サーバコンピュータ1は、これらプログラムに従って上記ハードウェア資源を作動し、少なくとも、図6に示すスポットデータベース101、要求受付手段102、候補生成手段103、経路データ取得手段109、制約条件知得手段107、可否判断手段108、評価条件知得手段104、価値評価手段105、候補提示手段106としての機能を発揮する。
【0017】
各部の機能を述べる。スポットデータベース101は、巡訪の対象となり得る個々のスポットに関するスポットデータを格納している。スポットデータベース101は、メインメモリbないし補助記憶デバイスcの所要の記憶領域を用いて構成される。スポットデータベース101に格納されるスポットデータを、図7及び図8に例示する。スポットデータは、各スポット毎に記述されており、そのスポット(または、スポットデータ)を識別するスポット識別子、スポットの名称、スポットの位置情報(座標)及びそのスポットについての制約要素(図7に示す)、並びに、そのスポットの価値を規定する価値スコア(図8に示す)、等の情報を含む。制約要素は、典型的には、当該スポットを巡訪する際に費やされる金銭的コスト(拝観料、入場料、商店や飲食店等にあっては平均的な予算、他)、時間的コスト(そのスポットを訪れたときの概略所要時間)である。価値スコアは、ユーザの属性条件及び/または巡訪の際の外部条件に応じた当該スポットの価値を定量的に示すパラメータであり、属性条件、外部条件に関連付けてスポットデータベース101に格納される。
【0018】
属性条件、外部条件及び価値スコアについて補足する。属性条件は、ユーザ自身の個性に関する条件であって、例えば、ユーザの年齢、性別、出身若しくは在住地、国籍、使用言語、家族構成、趣味、嗜好、性格等が該当する。但し、ユーザを幾つかのタイプに類型化し、各ユーザが何れのタイプに属するのかを以て属性条件としてもよい。本実施形態では、システムの稼働に先んじて複数人にアンケート調査を行い、アンケートの回答結果をクラスタ分析することを通じてユーザの類型化を図っている。このアンケートには、回答者の属性(年齢、性別、在住地、等々)についての設問と、スポットに対する価値評価についての設問(回答者が訪れたことのあるスポット、そのスポットを訪れたときの外部条件、そのときの評価)を設ける。そして、それらの設問に対する回答が類似している回答者同士を同じクラスタにまとめる統計分析を行い、生成した複数のクラスタをそれぞれ別個のタイプと認定する。同じタイプに属するユーザは、スポットに対する評価が似通ってくる、つまり似たような価値感覚を有している者同士であると言える。また、その過程で、ユーザが何れのタイプに属するのかを分類するための基準(または、条件)も策定される。即ち、各タイプに属する者の属性の特徴が判明することから、あるユーザの属性のパラメータに基づいてこのユーザが何れのタイプに属するのかを判定することが可能となる。
【0019】
加えて、巡訪に際してのユーザの要望、巡訪の主目的等(言い換えるならば、ユーザがどのようなベネフィットを重視するのか、例えば、景観か、ショッピングか、食事か、学術的好奇心の満足か)も、属性条件となり得る。
【0020】
外部条件は、ユーザ自身の個性とは無関係な条件であって、例えば、スポットを訪れる時期ないし季節、日付(月、日若しくは曜日)、時刻ないし時間帯、その時の天候等が該当する。スポットが屋外施設である場合、その価値は季節や天候に大きく左右されるが、屋内施設である場合には必ずしも時期や天候に左右されない。加えて、スポットを訪れるのに適した時間帯というのも厳然として存在する。名勝スポットであれば、昼間時に訪れることで景観を最大限に堪能することができる。飲食店であれば、食事時に訪れるのが好ましい。また、大半の施設や店舗は深夜には閉門、閉店してしまうため、これらスポットの深夜における価値はほぼ0に等しい。
【0021】
価値スコアは、上記の属性条件、外部条件に関連付けて与えられる。これは、各スポットのユーザにとっての価値が属性条件、外部条件に応じて高下することを意味している。図8に示す例では、ユーザ自身の個性(ここでは、ユーザの属するタイプ)毎に、巡訪の時期毎に、巡訪の時刻毎に、並びに天候毎に価値スコアが与えられている。さらに、図示例では、巡訪の主目的(例えば、景観か、ショッピングか、食事か、学術的好奇心の満足か)に応じた個別の価値スコアが与えられている。原則として、スポットについての価値スコアは、実際にそのスポットを訪れたことのある者にインタビューしたりアンケート調査を行ったりして決定される。なお、後述するように、本システムを利用したユーザ(本システムが提示した巡訪ルートに沿ってスポットを巡訪したユーザ)がスポットに対して採点した価値スコアのフィードバックを受け付けて、スポットデータベースに格納している価値スコアを更新することができる。
【0022】
要求受付手段102は、ユーザよりもたらされる巡訪ルート探索要求を受け付ける。巡訪ルート探索要求は、ユーザが使用する情報端末2より所定の通信プロトコルに則って発信される。サーバコンピュータ1は、この巡訪ルート探索要求を電気通信回線3を介して受信する。巡訪ルート探索要求には、属性条件や、後述する制約条件の要素となる情報が含まれる。本実施形態では、巡訪ルート探索要求に、巡訪ルート全体で許容される金銭的コスト、時間的コスト、ユーザが巡訪する時期若しくは日付、巡訪の主目的(ユーザが重視するベネフィット)、巡訪ルートの起点に関する条件、巡訪の開始時刻に関する条件、巡訪ルートの終点に関する条件、巡訪の終了時刻(終点へ到着する目標時刻)に関する条件、ユーザ自身の個性に関する情報(年齢、性別、在住地等のパラメータ。但し、ユーザのタイプを直接に明示する情報であることを妨げない)、等のうち一部または全部が含まれるものとしている。これらの情報は、基本的にはユーザの手によって情報端末2に入力される。但し、巡訪ルート探索要求に含まれる情報がおしなべてユーザの手によって情報端末2に入力されるとは限られない。具体例を挙げて述べると、情報端末2がGPS(Global Positioning System)機能を備えているような場合、GPSによって得られるユーザの現在位置を示す座標を巡訪ルート探索要求に含めることができる。そして、このユーザの現在位置の座標を、巡訪ルートの起点に関する条件と見なすことができる。つまり、巡訪ルートの探索(または、後述する巡訪ルート候補の生成)において、ユーザの現在位置に最も近いスポットを巡訪ルートの起点に選定する、あるいは、ユーザの現在位置から所定距離内にある一または複数のスポットの何れかを巡訪ルートの起点に選定することが可能である。
【0023】
候補生成手段103は、巡訪ルート探索要求を受け付けたことに基づき、何れのスポットをどの順序で巡訪するのかを規定する巡訪ルートの候補を生成する。候補構成手段では、スポットデータベース101にスポットデータが格納されているスポットの中から、巡訪ルートに包含すべきスポット及びその巡訪の順序を選定する。具体的には、プロセッサaが、プログラムに従い、スポット識別子の順列を生成する。因みに、処理時間(言い換えるならば、試行の対象となる巡訪ルート候補のバリエーションの数)の低減を図るべく、巡訪ルート候補に包含されるスポットの数を所定数以下に制限することが好ましい。
【0024】
経路データ取得手段109は、候補生成手段103で生成された巡訪ルート候補に包含される各スポット間の経路に関する経路データを取得する。経路データは、経路データベース110に格納されている。経路データベース110は、本システムを構築するサーバコンピュータ1のメインメモリb若しくはハードディスクドライブcの所要の記憶領域を利用して構成されてもよく、サーバコンピュータ1と電気通信回線3を介して通信可能に接続している外部のコンピュータ(図示せず)上に構成されてもよい。経路データベース110に格納される経路データを、図9に例示する。経路データは、一のスポットを出発地、他のスポットを目的地とする往路毎に記述され、さらに、ある往路について複数の道程または移動手段が存在する場合にはその道程または移動手段毎に記述される。経路データは、その経路についての制約要素、並びに、経路の道程または移動手段等に関する具体情報を含んでなり、出発地及び目的地のそれぞれのスポットを識別するスポット識別子に関連付けて格納される。制約要素は、典型的には、スポット間を移動する際に費やされる金銭的コスト(公共交通機関の運賃、有料道路料金、他)、時間的コスト(移動の所要時間)である。また、経路の道程または移動手段等に関する具体情報の例としては、どの方角にどのくらいの距離移動するのか、どの系統のバスに乗るのか、どの鉄道線を利用するのか、最寄りのバス停留所若しくは駅の名称、等を挙げることができる。経路データ取得手段109は、巡訪ルート候補に包含される各スポット間の経路に関する経路データを、経路データベース110より取得する。具体的には、プロセッサaが、プログラムに従い、巡訪ルート候補即ちスポット識別子の順列において連続する対をなすスポット識別子をキーとして経路データベース110を検索し、該当する経路データを全て抽出する。
【0025】
制約条件知得手段107は、巡訪ルート候補の採用の可否の判断基準となる制約条件を知得する。制約条件は、例えば、巡訪ルート全体で費やすことの許される金銭的コスト、時間的コストや、巡訪ルートの起点または終点に関する条件、巡訪の開始時刻または終了時刻に関する条件等である。通常、制約条件の要素となる情報は、ユーザよりもたらされる巡訪ルート探索要求に含まれている。従って、制約条件知得手段107は、先に受信した巡訪ルート探索要求を参照してこれらの情報を知得する。
【0026】
可否判断手段108は、候補生成手段103で生成された巡訪ルート候補が、制約条件知得手段107で知得された制約条件を満足するか否かを判断することを通じて、当該巡訪ルート候補の採用の可否を判断する。より詳しくは、起点及び/または終点となるスポットが条件を満たしているか、巡訪ルート候補全体で費やされるコストが条件を満たしているか、巡訪の開始時刻及び/または終了時刻が条件を満たしているか、等を、スポットデータ及び経路データを基に判断する。巡訪ルート候補の起点/終点に関する判断では、プロセッサaが、プログラムに従い、巡訪ルート候補に含まれるスポット識別子のうちの最初のスポット識別子、最後のスポット識別子をキーとしてスポットデータベース101を検索し、それらスポットの位置情報を抽出、参照して、与えられる条件を満たしているか否かを判断する。巡訪ルート候補全体で費やされるコストに関する判断では、プロセッサaが、プログラムに従い、巡訪ルート候補に含まれるスポット識別子をキーとしてスポットデータベース101を検索し、それらスポットの制約要素即ちスポットで費やされる金銭的、時間的コストを抽出する。並びに、経路データ取得手段109で取得した経路データを参照して、各スポット間の経路の制約要素即ち経路で費やされる金銭的、時間的コストを抽出する。しかる後、各スポットで費やされるコスト、並びに各スポット間の経路で費やされるコストを合算して、これが許容されるコストの範囲に収まっているか否かを判断する。さらに、巡訪の開始時刻/終了時刻に関する判断では、プロセッサaが、プログラムに従い、各スポットで費やされる時間的コスト、各スポット間の経路で費やされる時間的コストを基に、各スポットにおける推定到着時刻、推定出発時刻を算出する。しかる後、起点となるスポットへの推定到着時刻/終点となるスポットへの推定到着時刻が、与えられる巡訪の開始時刻/終了時刻の条件を満たしているか否かを判断する。上記の何れかを満たさない巡訪ルート候補は、採用不可能な候補として棄却する。なお、巡訪ルート候補に包含される各スポット間の経路に複数の道程または移動手段が存在しているのであれば、そのそれぞれを用いた場合について制約条件を満足するか否かの判断を試行する。
【0027】
評価条件知得手段104は、巡訪ルート候補のユーザにとっての価値を評価するために用いられる属性条件、外部条件を取得する。既に述べているように、属性条件、外部条件は、巡訪ルートのユーザベネフィットを左右する要因となる。属性条件、外部条件の要素となる情報の少なくとも一部は、ユーザよりもたらされる巡訪ルート探索要求に含まれている。例示すると、ユーザ自身の個性に関する情報、巡訪の主目的、ユーザが巡訪する時期若しくは日付等は巡訪ルート探索要求に含まれている。制約条件知得手段107は、先に受信した巡訪ルート探索要求を参照してこれらの情報を知得する。また、本実施形態では、ユーザが何れのタイプに属するかを制約情報の一として用いている。ユーザのタイプは、巡訪ルート探索要求に含まれているユーザ自身の属性(年齢、性別、在住地等)のパラメータを参照して判定する。属性のパラメータに基づくタイプ判定の基準(または、条件)は、本システムの稼働に先んじて予め策定され、サーバコンピュータ1上で起動するアプリケーションプログラム中に、若しくはアプリケーションプログラムが参照するデータファイル中に記述されている。一方、属性条件、外部条件の要素となる情報の中には、巡訪ルート探索要求に含まれていないものもある。ユーザが各スポットを訪れる時刻ないし時間帯は、巡訪ルート候補に包含されるスポットやその巡訪順、スポット間の経路に依存するため、巡訪ルート探索要求には含まれ得ない。ユーザが各スポットを訪れる時の天候もまた、ユーザによって入力されない。ユーザが各スポットを訪れる時刻ないし時間帯は、スポットデータ、経路データに記述されている時間的コスト及び巡訪の開始時刻の情報を参照して算出することになる。即ち、プロセッサaが、プログラムに従い、各スポットで費やされる時間的コスト、各スポット間の経路で費やされる時間的コストを基に、各スポットにおける推定到着時刻(または、推定出発時刻)を算出し、これを以て各スポットを訪れる時刻ないし時間帯の条件とする。ユーザが各スポットを訪れる時の天候は、例えば、電気通信回線3を介して天気予報の情報提供サービスを実施している外部のコンピュータ(図示せず)より受信して知得する。
【0028】
価値評価手段105は、候補生成手段103で生成された巡訪ルート候補の総体価値スコアを算定することを通じて、当該巡訪ルート候補のユーザにとっての価値を評価する。総体価値スコアは、巡訪ルート候補の総体的な価値を定量的に示すパラメータである。本実施形態では、巡訪ルート候補に包含される全てのスポットの価値スコアを加味して算出する。各スポットの価値スコアは、スポットデータベース101に格納されているスポットデータを参照して決定する。具体的には、プロセッサaが、プログラムに従い、対象となるスポットを識別する(巡訪ルート候補に包含される)スポット識別子、評価条件知得手段104で知得した属性条件、外部条件の要素となる情報をキーとしてスポットデータベース101を検索し、それら条件の下での価値スコアを抽出する。本実施形態では、ユーザ自身の個性のタイプ、巡訪の時期、巡訪の時刻、天候並びにユーザの巡訪の主目的の各条件に応じた価値スコアのパラメータを抽出して、これを個々のスポットについての価値スコアとする。巡訪ルート候補に包含される各スポットについての価値スコアを決定してしかる後、全てのスポットの価値スコアを総和すれば、巡訪ルート候補の総体価値スコアが得られる。なお、巡訪ルート候補に包含される各スポット間の経路に複数の道程または移動手段が存在しているのであれば、そのそれぞれを用いた場合について総体価値スコアの算定を試行する。これは、スポット間の移動に際し、何れの道程または移動手段を用いるのかによってユーザが各スポットを訪れる時刻(推定到着時刻)が変動する可能性がある、つまりは各スポットの価値スコアの決定の前提となる外部条件が変化する可能性があることによる。
【0029】
候補提示手段106は、可否判断手段108で制約条件を満足すると判断され、かつ、価値評価手段105で算定された総体価値スコアが高い巡訪ルート候補に関する情報をユーザの使用する情報端末2に向けて返信する。本システムでは、複数のスポット及びその巡訪順を選定して巡訪ルート候補を生成し、その巡訪ルート候補が制約条件を満足するか否かを判断するとともに、総体価値スコアを算定して当該巡訪ルート候補の価値を評価する。そして、上記の処理を、総当たりで考えられる限りの巡訪ルート候補に対して行う。しかる後、制約条件を満足する巡訪ルート候補の中から、他と比較して総体価値スコアの高い一または複数の巡訪ルート候補を選び出して、その情報をユーザに提示する。具体的には、プロセッサaが、プログラムに従い、巡訪ルート探索要求を送信してきた情報端末2に向け、所定の通信プロトコルに則り巡訪ルート候補に関する情報を返信する。ユーザの使用する情報端末2に向けて返信する情報には、例えば、巡訪ルート候補に包含される各スポットに関する情報(スポットの名称、スポットにおいて必要となるコスト等)、各スポット間の経路に関する情報(経路の道程または移動手段等に関する具体情報、経路において必要となるコスト等)が含まれる。これらの情報は、スポットデータベース101、経路データベース110に格納されているものである。
【0030】
以降、サーバコンピュータ1がアプリケーションプログラムに従い実施する処理の手順を、図10を参照して述べる。サーバコンピュータ1は、ユーザが使用する情報端末2より電気通信回線3を介してもたらされる巡訪ルート探索要求を待ち受けている。巡訪ルート探索要求を受け付けたとき、サーバコンピュータ1は、ユーザにとって価値の高い巡訪ルートの探索を実行する。実際には、まず、ユーザ自身の属性(年齢、性別、在住地等)のパラメータの入力を受け付け(ステップS1)、これらを参照してユーザが何れのタイプに属するのかを判別する(ステップS2)。次いで、ユーザの属性以外の諸条件のパラメータの入力を受け付ける(ステップS3)。巡訪ルート探索要求を受け付けたサーバコンピュータ1は、巡訪の対象となるスポット及びその巡訪順を選定して巡訪ルート候補を生成し(ステップS4)、制約条件を知得した上で(ステップS5)その巡訪ルート候補が制約条件を満足するか否かを判断する(ステップS6)。制約条件を満足しない場合、当該巡訪ルート候補は採用不可能であるとして棄却する。巡訪ルート候補が制約条件を満足するものである場合には、属性条件、外部条件を知得した上で(ステップS7)その巡訪ルート候補の総体的な価値を示す総体価値スコアを算定する(ステップS8)。しかして、総体価値スコアを算定した巡訪ルート候補に関する情報、並びに総体価値スコアを、メインメモリb若しくは補助記憶デバイスcに一時的に記憶しておく(ステップS9)。考えられる全ての巡訪ルート候補に対する試行(制約条件を満足するか否かの判断、総体価値スコアの算定)が終了していなければ(ステップS10)、ステップS4に戻って新たな巡訪ルート候補を生成し、さらなる試行を実施する。考えられる全ての巡訪ルート候補に対する試行が終了していれば、メインメモリb若しくは補助記憶デバイスcに一時的に記憶している巡訪ルート候補の中から総体価値スコアの高い上位の巡訪ルート候補を選び出し(ステップS11)、その巡訪ルート候補に関する情報を情報端末2に向けて返信する(ステップS12)。
【0031】
因みに、本システムを利用したユーザ即ち本システムが提示した巡訪ルートに沿ってスポットを巡訪したユーザが、各スポットに対してどの程度の満足感を得たか、言い換えるならばユーザが各スポットについて採点した価値スコアを、システムにフィードバックできるようにしてもよい。ユーザが採点した価値スコアは、情報端末2を介して入力され、フィードバックデータとしてサーバコンピュータ1にもたらされる。フィードバックデータには、例えば、ユーザが巡訪したスポットを識別する情報(特に、スポット識別子)、ユーザ自身の個性に関する情報(年齢、性別、在住地等のパラメータ、またはユーザのタイプを直接に明示する情報)、ユーザがそのスポットを巡訪したときの外部条件、並びに、目的(景観、ショッピング、食事、学術的好奇心等)毎の満足度を採点した価値スコアのパラメータが含まれる。サーバコンピュータ1は、ユーザの使用する情報端末2より電気通信回線3を介してもたらされるフィードバックデータを受信して受け付け、これを基にスポットデータベース101に格納しているスポットデータを更新する。具体的には、プロセッサ1aが、プログラムに従い、図8に示している各スポットの価値スコアのうち、フィードバックデータに含まれる情報と合致する属性条件、制約条件の下での価値スコアを更新する。通常、スポットデータベース101に格納している価値スコアは、複数人によって採点されたスコアの平均点である。従って、新規のフィードバックデータを受け付けた際には、さらに採点者が1人増えたものとして平均点を再計算し、その結果を最新の価値スコアとしてスポットデータベース101に格納する。スポットデータベース101の更新により、巡訪ルートの探索結果の確度を随時改善できるようになる。
【0032】
さらに、情報端末2にGPS機能が備わっている場合に、そのGPS機能を応用することもできる。情報端末2では、GPSを利用して、ユーザが何時にどの場所にいたのか、どの場所に何時間滞在していたのか、等の情報を取得、蓄積しておくことができる。そして、蓄積している情報をサーバコンピュータ1に適宜のタイミングでアップロードさせることで、ユーザが何れのスポットに何時到着したか、何れのスポットにどれくらいの時間滞在していたのか、等をサーバコンピュータ1が収集することが可能となる。このとき、サーバコンピュータ1では、情報端末2よりアップロードされる情報を基に、スポットデータベース101に格納している情報、例えば各スポットで費やされる時間的コストのパラメータを更新することができる。また、上記のフィードバックデータをユーザが情報端末2を介して入力する際に、外部条件の一部即ちユーザがスポットに到着した時刻等の情報を手入力する煩雑さから解放される。
【0033】
本実施形態によれば、巡訪の対象となり得る各スポット毎に記述され、ユーザの属性条件及び/または巡訪の際の外部条件に応じた当該スポットの価値を規定する価値スコアを含むスポットデータを格納しているスポットデータベース101と、ユーザが使用する情報端末2より発信される巡訪ルート探索要求を受け付ける要求受付手段102と、前記巡訪ルート探索要求を受け付けたことに基づき、前記スポットデータベース101にスポットデータが格納されているスポットの中から巡訪ルートに包含すべきスポット及びその巡訪の順序を選定して巡訪ルート候補を生成する候補生成手段103と、前記巡訪ルート探索要求をもたらしたユーザの属性条件及び/またはこのユーザが前記巡訪ルート候補に包含されるスポットを巡訪する際の外部条件を知得する評価条件知得手段104と、前記スポットデータベース101を参照し、前記評価条件知得手段104で知得した属性条件及び/または外部条件をキーとして前記巡訪ルート候補に包含される個々のスポットについての価値スコアを抽出して、それら価値スコアを加味した上で当該巡訪ルート候補の総体的な価値を示す総体価値スコアを算定する価値評価手段105と、前記価値評価手段105で算定した総体価値スコアが高い巡訪ルート候補に関する情報をユーザが使用する情報端末2に向けて返信する候補提示手段106とを具備してなる巡訪ルート探索システムを構築したため、巡訪ルートに包含するべきスポット及びその巡訪順を柔軟に選択でき、ユーザにとって価値の高い巡訪ルートを提案することが可能となる。
【0034】
巡訪の対象となり得る各スポット毎に記述され、当該スポットを巡訪するにあたって必要となる金銭的コスト、時間的コスト等の制約要素と、ユーザの属性条件及び/または巡訪の際の外部条件に応じた当該スポットの価値を規定する価値スコアとを含むスポットデータを格納しているスポットデータベース101と、ユーザが使用する情報端末2より発信される巡訪ルート探索要求を受け付ける要求受付手段102と、前記巡訪ルート探索要求を受け付けたことに基づき、前記スポットデータベース101にスポットデータが格納されているスポットの中から巡訪ルートに包含すべきスポット及びその巡訪の順序を選定して巡訪ルート候補を生成する候補生成手段103と、巡訪ルート全体で費やすことの許されるコスト等を制約する制約条件を知得する制約条件知得手段107と、前記スポットデータベース101を参照し、前記巡訪ルート候補に包含される個々のスポットについての制約要素を抽出して、それら制約要素を加味した上で当該巡訪ルート候補が前記制約条件知得手段107で知得した制約条件を満足するか否かを判断する可否判断手段108と、前記巡訪ルート探索要求をもたらしたユーザの属性条件及び/またはこのユーザが前記巡訪ルート候補に包含されるスポットを巡訪する際の外部条件を知得する評価条件知得手段104と、前記スポットデータベース101を参照し、前記評価条件知得手段104で知得した属性条件及び/または外部条件をキーとして前記巡訪ルート候補に包含される個々のスポットについての価値スコアを抽出して、それら価値スコアを加味した上で当該巡訪ルート候補の総体的な価値を示す総体価値スコアを算定する価値評価手段105と、前記可否判断手段108で前記制約条件を満足すると判断され、かつ、前記価値評価手段105で算定した総体価値スコアが高い巡訪ルート候補に関する情報をユーザが使用する情報端末2に向けて返信する候補提示手段106とを具備してなる巡訪ルート探索システムを構築したため、現実に発生する金銭的制約、時間的制約等により採用不可能な巡訪ルート候補を棄却することができる。
【0035】
さらに、前記巡訪ルート候補に包含される各スポット間の経路における金銭的コスト、時間的コスト等の制約要素を含む経路データを取得する経路データ取得手段109をも具備し、前記可否判断手段108が、前記経路データに含まれているスポット間の経路における制約要素をも加味した上で前記巡訪ルート候補が前記制約条件を満足するか否かを判断するものとしているため、スポット間の経路において必要となるコストを考慮に入れた上で適切に巡訪ルート候補の採用の可否を判断できる。
【0036】
加えて、前記巡訪ルート候補に包含される各スポット間の経路の道程または移動手段等に関する情報を含む経路データを取得する経路データ取得手段109をさらに具備し、前記候補提示手段106が、前記経路データ取得手段109で取得した経路の道程または移動手段等に関する具体情報を、前記巡訪ルート候補に関する情報の一部としてユーザが使用する情報端末2に向けて返信するものとしているため、高度な利便性をユーザに提供できるシステムとなる。
【0037】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。特に、巡訪ルート候補の総体価値スコアの算定に際し、当該巡訪ルート候補に包含される各スポットについての価値スコアのみならず、各スポット間を結ぶ経路についての価値スコアをも加味するようにしてもよい。例えば、経路データベース110に格納されている経路データに、経路についての価値スコアが付与されていれば、その経路データを参照して経路の価値スコアを総体価値スコアに織り込むことが可能となる。
【0038】
その他、各部の具体的構成や具体的な処理の手順等は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の構成説明図。
【図2】本発明の構成説明図。
【図3】本発明の構成説明図。
【図4】本発明の一実施形態のシステムの概要を示す図。
【図5】サーバコンピュータが有するハードウェア資源を示す図。
【図6】サーバコンピュータの機能ブロック図。
【図7】スポットデータ(の一部)を例示する図。
【図8】スポットデータ(の一部)を例示する図。
【図9】経路データを例示する図。
【図10】サーバコンピュータにおける処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0040】
1…(サーバ)コンピュータ
101…スポットデータベース
102…要求受付手段
103…候補生成手段
104…評価条件知得手段
105…価値評価手段
106…候補提示手段
107…制約条件知得手段
108…可否判断手段
2…(ユーザが使用する)情報端末
3…電気通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一または複数のコンピュータを用いて構築され、ユーザにとって価値の高い巡訪ルートを探索して提示するためのシステムであって、
巡訪の対象となり得る各スポット毎に記述され、ユーザの属性条件または巡訪の際の外部条件に応じた当該スポットの価値を規定する価値スコアを含むスポットデータを格納しているスポットデータベースと、
ユーザが使用する情報端末より発信される巡訪ルート探索要求を受け付ける要求受付手段と、
前記巡訪ルート探索要求を受け付けたことに基づき、前記スポットデータベースにスポットデータが格納されているスポットの中から巡訪ルートに包含すべきスポット及びその巡訪の順序を選定して巡訪ルート候補を生成する候補生成手段と、
前記巡訪ルート探索要求をもたらしたユーザの属性条件またはそのユーザが前記巡訪ルート候補に包含されるスポットを巡訪する際の外部条件を知得する評価条件知得手段と、
前記スポットデータベースを参照し、前記評価条件知得手段で知得した属性条件または外部条件をキーとして前記巡訪ルート候補に包含される個々のスポットについての価値スコアを抽出して、それら価値スコアを加味した上で当該巡訪ルート候補の総体的な価値を示す総体価値スコアを算定する価値評価手段と、
前記価値評価手段で算定した総体価値スコアが高い巡訪ルート候補に関する情報をユーザが使用する情報端末に向けて返信する候補提示手段と
を具備してなる巡訪ルート探索システム。
【請求項2】
一または複数のコンピュータを用いて構築され、ユーザにとって価値の高い巡訪ルートを探索して提示するためのシステムであって、
巡訪の対象となり得る各スポット毎に記述され、当該スポットを巡訪するにあたって必要となるコスト等の制約要素と、ユーザの属性条件または巡訪の際の外部条件に応じた当該スポットの価値を規定する価値スコアとを含むスポットデータを格納しているスポットデータベースと、
ユーザが使用する情報端末より発信される巡訪ルート探索要求を受け付ける要求受付手段と、
前記巡訪ルート探索要求を受け付けたことに基づき、前記スポットデータベースにスポットデータが格納されているスポットの中から巡訪ルートに包含すべきスポット及びその巡訪の順序を選定して巡訪ルート候補を生成する候補生成手段と、
巡訪ルート全体で費やすことの許されるコスト等を制約する制約条件を知得する制約条件知得手段と、
前記スポットデータベースを参照し、前記巡訪ルート候補に包含される個々のスポットについての制約要素を抽出して、それら制約要素を加味した上で当該巡訪ルート候補が前記制約条件知得手段で知得した制約条件を満足するか否かを判断する可否判断手段と、
前記巡訪ルート探索要求をもたらしたユーザの属性条件またはそのユーザが前記巡訪ルート候補に包含されるスポットを巡訪する際の外部条件を知得する評価条件知得手段と、
前記スポットデータベースを参照し、前記評価条件知得手段で知得した属性条件または外部条件をキーとして前記巡訪ルート候補に包含される個々のスポットについての価値スコアを抽出して、それら価値スコアを加味した上で当該巡訪ルート候補の総体的な価値を示す総体価値スコアを算定する価値評価手段と、
前記可否判断手段で前記制約条件を満足すると判断され、かつ、前記価値評価手段で算定した総体価値スコアが高い巡訪ルート候補に関する情報をユーザが使用する情報端末に向けて返信する候補提示手段と
を具備してなる巡訪ルート探索システム。
【請求項3】
前記巡訪ルート候補に包含される各スポット間の経路におけるコスト等の制約要素を含む経路データを取得する経路データ取得手段をさらに具備し、
前記可否判断手段は、前記経路データに含まれているスポット間の経路における制約要素をも加味した上で前記巡訪ルート候補が前記制約条件を満足するか否かを判断する請求項2記載の巡訪ルート探索システム。
【請求項4】
前記巡訪ルート候補に包含される各スポット間の経路の道程または移動手段等に関する情報を含む経路データを取得する経路データ取得手段をさらに具備し、
前記候補提示手段は、前記経路データ取得手段で取得した経路の道程または移動手段等に関する情報をも、ユーザが使用する情報端末に向けて返信する請求項1、2または3記載の巡訪ルート探索システム。
【請求項5】
請求項1記載の巡訪ルート探索システムを構築するために用いられるものであって、コンピュータを、少なくとも、
巡訪の対象となり得る各スポット毎に記述され、ユーザの属性条件または巡訪の際の外部条件に応じた当該スポットの価値を規定する価値スコアを含むスポットデータを格納しているスポットデータベース、
ユーザが使用する情報端末より発信される巡訪ルート探索要求を受け付ける要求受付手段、
前記巡訪ルート探索要求を受け付けたことに基づき、前記スポットデータベースにスポットデータが格納されているスポットの中から巡訪ルートに包含すべきスポット及びその巡訪の順序を選定して巡訪ルート候補を生成する候補生成手段、
前記巡訪ルート探索要求をもたらしたユーザの属性条件またはそのユーザが前記巡訪ルート候補に包含されるスポットを巡訪する際の外部条件を知得する評価条件知得手段、
前記スポットデータベースを参照し、前記評価条件知得手段で知得した属性条件または外部条件をキーとして前記巡訪ルート候補に包含される個々のスポットについての価値スコアを抽出して、それら価値スコアを加味した上で当該巡訪ルート候補の総体的な価値を示す総体価値スコアを算定する価値評価手段、並びに、
前記価値評価手段で算定した総体価値スコアが高い巡訪ルート候補に関する情報をユーザが使用する情報端末に向けて返信する候補提示手段
として機能させるプログラム。
【請求項6】
請求項2記載の巡訪ルート探索システムを構築するために用いられるものであって、コンピュータを、少なくとも、
巡訪の対象となり得る各スポット毎に記述され、当該スポットを巡訪するにあたって必要となるコスト等の制約要素と、ユーザの属性条件または巡訪の際の外部条件に応じた当該スポットの価値を規定する価値スコアとを含むスポットデータを格納しているスポットデータベース、
ユーザが使用する情報端末より発信される巡訪ルート探索要求を受け付ける要求受付手段、
前記巡訪ルート探索要求を受け付けたことに基づき、前記スポットデータベースにスポットデータが格納されているスポットの中から巡訪ルートに包含すべきスポット及びその巡訪の順序を選定して巡訪ルート候補を生成する候補生成手段、
巡訪ルート全体で費やすことの許されるコスト等を制約する制約条件を知得する制約条件知得手段、
前記スポットデータベースを参照し、前記巡訪ルート候補に包含される個々のスポットについての制約要素を抽出して、それら制約要素を加味した上で当該巡訪ルート候補が前記制約条件知得手段で知得した制約条件を満足するか否かを判断する可否判断手段、
前記巡訪ルート探索要求をもたらしたユーザの属性条件またはこのユーザが前記巡訪ルート候補に包含されるスポットを巡訪する際の外部条件を知得する評価条件知得手段、
前記スポットデータベースを参照し、前記評価条件知得手段で知得した属性条件または外部条件をキーとして前記巡訪ルート候補に包含される個々のスポットについての価値スコアを抽出して、それら価値スコアを加味した上で当該巡訪ルート候補の総体的な価値を示す総体価値スコアを算定する価値評価手段、並びに、
前記可否判断手段で前記制約条件を満足すると判断され、かつ、前記価値評価手段で算定した総体価値スコアが高い巡訪ルート候補に関する情報をユーザが使用する情報端末に向けて返信する候補提示手段
として機能させるプログラム。
【請求項7】
さらに、コンピュータを、前記巡訪ルート候補に包含される各スポット間の経路におけるコスト等の制約要素を含む経路データを取得する経路データ取得手段としても機能させ、
前記可否判断手段は、前記経路データに含まれているスポット間の経路における制約要素をも加味した上で前記巡訪ルート候補が前記制約条件を満足するか否かを判断する請求項6記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−163670(P2006−163670A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−352318(P2004−352318)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(300081637)カゴヤ・ジャパン株式会社 (2)
【Fターム(参考)】