説明

工作機械、加工方法、プログラム及びNCデータ生成装置

【課題】断面非円形状のワークと工具との相対移動により、少なくともワークの断面を含む一平面内においてワークと工具との相対的位置及び相対的角度を変化させつつ、加工を行い、ワークに対する工具の傾きの角速度を一定にし、切削送り速度を一定に保つ。
【解決手段】ワーク50上の所定の経路に沿って加工する際、所定の経路上にて工具8による加工が開始される点Psから加工が終了する点Peまでの、ワーク50と工具8との相対的角度変化の総和θseを算出すると共に、所定の経路に沿った加工に要する時間を、工具経路へ等分に配分し、工具8が工具径路上の各時間的等分点を通過する際に、工具8とワーク50との相対角度が、相対的角度変化の総和θseを加工に要する時間と同等に等分した角度分ずつ連続的に変化するように加工を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面非円形状のワークと工具との相対移動により、少なくともワークの断面を含む一平面内においてワークと工具との相対的位置及び相対的角度を変化させつつ、加工を行う工作機械、加工方法、プログラム及びNCデータ生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、部品加工及び金属加工などの分野においては、特許文献1に示すように、X軸,Y軸,Z軸の互いに直交する3つの直動軸と、3つの直動軸から選定された2つの直動軸の軸周り方向に回転する2つの回転軸とを有し、直動軸と回転軸とを同時に制御可能な5軸制御工作機械が用いられている。このような5軸制御工作機械は、マシニングセンタに2つの回転軸が付加された5軸制御マシニングセンタと、NC旋盤にミーリング加工が可能な主軸が旋回可能に取り付けられた5軸制御複合加工機とに大別され、いずれの装置においても、1台で旋削加工とミーリング加工とを行うことができる。更に、5軸制御工作機械は、例えば、航空機のジェットエンジンのファンブレードやタービンブレード(以下、ブレードという。)などの断面非円形状で複雑な形状を有するものであっても、ワークに対して工具を傾けて工具の工具姿勢を変えることで加工を行うことができる。
【0003】
上述したような5軸制御工作機械の加工プログラムは、5軸制御工作機械の動きが複雑であることから、一般的に、コンピュータ支援製造装置(以下、CAM装置ともいう。)によって生成される。このようなCAM装置は、5軸制御工作機械の直動軸と回転軸とを同時に駆動させて加工を行う同時5軸加工時に、工具の工具姿勢の変化とともに工具長補正をかけて、工具先端が指令された経路に沿って指令された速度で動くように制御する工具先端点制御機能を有する。そして、このような工具先端点制御で同時5軸加工時に駆動指令する場合には、工具の工具姿勢が重要となる。
【0004】
例えば、ブレードなどの複雑な形状を加工する場合には、工具が加工点以外のワークや5軸制御工作機械の構成部材と干渉することを回避するために、工具の工具姿勢を連続的に変えなければならない。更に、例えば、ボールエンドミル等の工具で加工する場合には、工具の軸線(以下、工具軸という。)がワークの表面の法線と一致していると、工具の最先端部では切削速度が上がらずに良好な加工が行えない。このために、ボールエンドミル等の工具で加工する場合には、表面性状の向上を図るために、工具をワークの表面の法線に対して傾ける必要がある。このように、同時5軸加工時に工具先端点制御で指令する場合には、工具の工具姿勢の制御が重要となり、工具の工具姿勢の設定方法が重要となる。
【0005】
例えば、DPテクノロジー社のCAMソフトウェア「ESPRIT」には、5軸制御工作機械における工具の工具姿勢の設定方法として、4つの方法が設けられている。1つ目の設定方法は、工具の工具軸をワークの表面の法線と一致させて、工具をワークの表面に面直に設ける、若しくは、工具の工具軸をワークの表面の法線に対して固定角度傾けて設ける「面直」方法である。2つ目の設定方法は、工具の工具軸を、指定した点と工具先端とを結ぶ線と一致させて、工具を指定した点に向けて設ける「点通過」方法である。3つ目の設定方法は、工具の工具軸を加工面の形状に関わらず固定角度に設ける「固定ベクトル」方法である。4つ目の設定方法は、工具の工具軸を、指定した曲線と工具先端とを最短で結ぶ線と一致させて設ける「プロフィール」方法である。
【0006】
しかしながら、上記4つの設定方法を用いて工具の工具姿勢を設定しても、断面非円形状のブレードを加工する場合には、下記問題が発生するおそれがある。例えば、「面直」方法を用いて工具の工具姿勢を設定する場合には、工具をワークの表面に対して面直に設けるために、断面非円形状のブレードにおいて工具の工具姿勢が急速に変動する領域が発生し、このような領域において、工具を他の領域よりも数倍の速度(又は、加速度)で駆動させなくてはならない。このため、工具を駆動させる5軸制御工作機械の駆動部の駆動能力によっては、工具をそのような駆動速度で駆動させることができず、他の領域よりも切削送り速度が落ちてしまい、切削送り速度を一定に保つことができないおそれがある。
【0007】
具体的に、図16に示すように、断面楕円状のブレード100の場合には、工具110の工具先端が移動する工具経路のうち、長軸120方向の第1の領域100a(図16中のQからQの領域)と第2の領域100b(図16中のQからQの領域)とにおいて、他の領域100cよりも工具110の工具姿勢が急速に変動する。すなわち、図17(A)〜図17(C)、図17(E)〜図17(G)に示すように、5軸制御工作機械の駆動部は、他の領域100cにおいて、ブレード100をC方向に回転駆動させるとともに、工具110を送り方向Fに駆動させて、工具110を指令された切削送り速度でブレード100の表面に対して面直に設けることができる。
【0008】
しかしながら、図17(C)〜図17(E)に示すように、5軸制御工作機械の駆動部は、第1の領域100aにおいて、工具110を指令された切削送り速度でブレード100の表面に対して面直に設けようとしても、工具110の工具姿勢が急速に変動するために、指令された切削送り速度で駆動させることができず、他の領域100cよりも切削送り速度が落ちてしまい、切削送り速度を一定に保つことができない。
【0009】
同様に、5軸制御工作機械の駆動部は、第2の領域100bにおいても、工具110の工具姿勢が急速に変動するために、指令された切削送り速度で駆動させることができず、他の領域100cよりも切削送り速度が落ちてしまい、切削送り速度を一定に保つことができない。
【0010】
更に、5軸制御工作機械の駆動部は、「面直」方法以外の上述した他の方法を用いて工具の工具姿勢を設定しても、同様に、工具を他の領域よりも数倍の速度(又は、加速度)で駆動させる領域が発生し、このような領域において、指令された切削送り速度よりも速度が落ちてしまい、切削送り速度を一定に保つことができないおそれがある。
【0011】
更に、ブレード100を加工する場合には、図16に示すように、工具経路上の加工を開始する始点Qsにおける工具110の工具姿勢と、ブレード100を360度回転させて加工を終了するときの終点Qeにおける工具110の工具姿勢とが一致していなければ、連続加工することができない。しかしながら、「面直」方法以外の他の方法では、始点Qsにおける工具110の工具姿勢と、ブレード100を360度回転させた終点Qeにおける工具110の工具姿勢とが異なるおそれがあり、ブレード100を連続加工することはできない。
【0012】
そこで、上述した4つの方法の他に、5軸制御工作機械の駆動部に駆動能力以上の負担が掛からないように、工具の工具姿勢の変化を均等にして、工具の工具姿勢の変化に伴う工具の傾きの角速度を一定にし、工具経路上の加工を開始する始点Qsから終了する終点Qeまでの切削送り速度を一定に保ち、更に、ワークを360度回転させても、始点Qsと終点Qeとで工具110の工具姿勢が同じになるような工具の工具姿勢の設定方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−289511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、このような状況を解決するためになされたものであり、断面非円形状のワークと工具との相対移動により、少なくともワークの断面を含む一平面内においてワークと工具との相対的位置及び相対的角度を変化させつつ、加工を行い、工具の工具姿勢の変化を均等にして、ワークに対する工具の傾きの角速度を一定にし、切削送り速度を一定に保ち、加工時間を短縮し、表面性状の向上を図る工作機械、加工方法、プログラム及びNCデータ生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するために本発明に係る工作機械は、断面非円形状のワークと工具との相対移動により、少なくともワークの断面を含む一平面内においてワークと工具との相対的位置及び相対的角度を変化させつつ、加工を行う。更に、本発明に係る工作機械は、ワーク上の所定の経路に沿って加工する際、所定の経路上にて工具による加工が開始される点から加工が終了する点までの、ワークと工具との相対的角度変化の総和を算出すると共に、所定の経路に沿った加工に要する時間を、工具経路へ等分に配分し、工具が工具径路上の各時間的等分点を通過する際に、工具とワークとの相対角度が、相対的角度変化の総和を加工に要する時間と同等に等分した角度分ずつ連続的に変化するように加工を行う。このような工作機械は、例えば、装着されたワークを回転駆動する装着部と、ワークの所定の領域を加工する工具と、装着部及び工具の動作を制御する制御部とを備え、制御部が、上記処理を行う。
【0016】
更に、本発明に係る加工方法は、断面非円形状のワークと工具との相対移動により、少なくともワークの断面を含む一平面内においてワークと工具との相対的位置及び相対的角度を変化させつつ、加工を行う。更に、本発明に係る加工方法は、ワーク上の所定の経路に沿って加工する際、所定の経路上にて工具による加工が開始される点から加工が終了する点までの、ワークと工具との相対的角度変化の総和を算出すると共に、所定の経路に沿った加工に要する時間を、工具経路へ等分に配分し、工具が工具径路上の各時間的等分点を通過する際に、工具とワークとの相対角度が、相対的角度変化の総和を加工に要する時間と同等に等分した角度分ずつ連続的に変化するように加工を行う。
【0017】
更に、本発明に係るプログラムは、断面非円形状のワークと工具との相対移動により、少なくともワークの断面を含む一平面内においてワークと工具との相対的位置及び相対的角度を変化させつつ、加工を行う工作機械の加工方法を、コンピュータに実行させる。更に、本発明に係るプログラムは、コンピュータに、ワーク上の所定の経路に沿って加工する際、所定の経路上にて工具による加工が開始される点から加工が終了する点までの、ワークと工具との相対的角度変化の総和を算出すると共に、所定の経路に沿った加工に要する時間を、工具経路へ等分に配分し、工具が工具径路上の各時間的等分点を通過する際に、工具とワークとの相対角度が、相対的角度変化の総和を加工に要する時間と同等に等分した角度分ずつ連続的に変化するように加工を行わせる。このようなプログラムは、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどの記録媒体や、ネットワークを介して拡布され、制御部にインストールされる。
【0018】
更に、本発明に係るNCデータ生成装置は、断面非円形状のワークと工具との相対移動により、少なくともワークの断面を含む一平面内においてワークと工具との相対的位置及び相対的角度を変化させつつ、加工を行う工作機械を制御するためのNCデータを生成する。更に、本発明に係るNCデータ生成装置は、ワーク上の所定の経路に沿って加工する際、所定の経路上にて工具による加工が開始される点から加工が終了する点までの、ワークと工具との相対的角度変化の総和を算出すると共に、所定の経路に沿った加工に要する時間を、工具経路へ等分に配分し、工具が工具径路上の各時間的等分点を通過する際に、工具とワークとの相対角度が、相対的角度変化の総和を加工に要する時間と同等に等分した角度分ずつ連続的に変化するように加工を行わせるNCデータを生成する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の工作機械によれば、断面非円形状のワーク上の所定の経路に沿って加工する際、所定の経路上にて工具による加工が開始される点から加工が終了する点までの、ワークと工具との相対的角度変化の総和を算出すると共に、所定の経路に沿った加工に要する時間を、工具経路へ等分に配分し、工具が工具径路上の各時間的等分点を通過する際に、工具とワークとの相対角度が、相対的角度変化の総和を加工に要する時間と同等に等分した角度分ずつ連続的に変化するように加工を行うことで、工具の工具姿勢の変化を均等にして、ワークに対して工具の傾きの角速度を一定にすることができる。したがって、本発明の工作機械によれば、従来のように断面非円形状のワーク上の所定の経路に沿って加工する際に、工具の工具姿勢が急速に変動する領域が発生し、このような領域において、切削送り速度が落ちてしまうことがなく、切削送り速度を一定に保つことができる。よって、本発明の工作機械によれば、従来よりも、加工時間を短縮し、表面性状の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用した工作機械の斜視図である。
【図2】本発明を適用した工作機械のブロック図である。
【図3】「ツールアングル」方法を用いて工具の工具姿勢を設定する手順を示すフローチャートである。
【図4】「ツールアングル」方法を用いて工具の工具姿勢を設定したときの始点における工具の工具軸の工具姿勢を示す断面図である。
【図5】「ツールアングル」方法を用いて工具の工具姿勢を設定したときの第1の等分点における工具の工具軸の工具姿勢を示す断面図である。
【図6】「ツールアングル」方法を用いて工具の工具姿勢を設定したときの第2の等分点における工具の工具軸の工具姿勢を示す断面図である。
【図7】「ツールアングル」方法を用いて工具の工具姿勢を設定したときの第3の等分点における工具の工具軸の工具姿勢を示す断面図である。
【図8】「ツールアングル」方法を用いて工具の工具姿勢を設定したときの第4の等分点における工具の工具軸の工具姿勢を示す断面図である。
【図9】「ツールアングル」方法を用いて工具の工具姿勢を設定したときの第5の等分点における工具の工具軸の工具姿勢を示す断面図である。
【図10】「ツールアングル」方法を用いて工具の工具姿勢を設定したときの第6の等分点における工具の工具軸の工具姿勢を示す断面図である。
【図11】「ツールアングル」方法を用いて工具の工具姿勢を設定したときの第7の等分点における工具の工具軸の工具姿勢を示す断面図である。
【図12】「ツールアングル」方法を用いて工具の工具姿勢を設定したときの第8の等分点における工具の工具軸の工具姿勢を示す断面図である。
【図13】「ツールアングル」方法を用いて工具の工具姿勢を設定したときの第9の等分点における工具の工具軸の工具姿勢を示す断面図である。
【図14】「ツールアングル」方法を用いて工具の工具姿勢を設定したときの第10の等分点における工具の工具軸の工具姿勢を示す断面図である。
【図15】「ツールアングル」方法を用いて工具の工具姿勢を設定するときの工具の工具軸の工具姿勢の変形例を示す断面図である。
【図16】「面直」方法を用いて工具の工具姿勢を設定したときの始点における工具の工具軸の工具姿勢を示す断面図である。
【図17】「面直」方法を用いて工具の工具姿勢を設定したときの始点から終点までの工具の工具軸の工具姿勢を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を適用した工作機械について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を適用した工作機械を、NC旋盤にミーリング加工が可能な主軸が旋回可能に取り付けられ、同時5軸加工が可能な複合加工機を例に説明する。また、本実施の形態でいう前後,左右とは、機械正面から見たときの前後、左右を意味する。
【0022】
図1に示すように、本発明を適用した複合加工機1は、図1に示す機械正面から見て、ベッド2と、ベッド2上に配設された第1主軸台3と、第1主軸台3と同軸をなし、ベッド2上にZ軸(左右)方向に移動可能に配設された第2主軸台4と、ベッド2上の第1及び第2主軸台3,4の間にX軸(上下)及びZ軸方向に移動可能に配設された刃物台5と、ベッド2上にX軸,Y軸(前後)及びZ軸方向に移動可能に配設された第3主軸6と、当該複合加工機1の全体を制御する制御部20とを備えている。
【0023】
図1に示すように、第1及び第2主軸台3,4には、それぞれ互いに対向する第1及び第2主軸10,11が回転自在に挿着されている。第1及び第2主軸10,11は、それぞれ前面にワークを把握するチャック10a,11aが設けられており、駆動モータ10b,11bでZ軸の軸周り方向のC方向に回転駆動されることにより、装着されたワークを回転駆動する。更に、第2主軸台4は、例えば、ベッド2上にZ軸と平行に配置されたガイドレールによりZ軸方向に移動可能に支持され、螺合されたボールねじが駆動モータ11cで回転駆動されることによりZ軸方向に駆動される。
【0024】
刃物台5は、外周部に所定間隔をあけて多数本の旋削加工用の工具7が装着され、所要の工具7を所定の加工位置に回転割り出しして位置決めし、加工位置にクランプするタレット5aを有する。タレット5aは、駆動モータ5bでZ軸の軸周り方向のC方向に回転駆動される。更に、刃物台5は、支持部材12によって、X軸及びZ軸方向に駆動される。
【0025】
支持部材12は、ベッド2上にZ軸方向に移動可能に支持されたZ軸搬送部材12aと、Z軸搬送部材12aにX軸方向に移動可能に支持されたX軸搬送部材12bとを有する。例えば、Z軸搬送部材12aは、ベッド2上にZ軸と平行に配置されたガイドレールによりZ軸方向に移動可能に支持され、螺合されたボールねじが駆動モータ12cで回転駆動されることによりZ軸方向に駆動される。X軸搬送部材12bは、Z軸搬送部材12aにX軸と平行に配置されたガイドレールによりX軸方向に移動可能に支持され、螺合されたボールねじが駆動モータ12dで回転駆動されることによりX軸方向に駆動される。
【0026】
第3主軸6は、ミーリング加工用の工具8が軸線をY軸と直交するように取り付けられ、駆動モータ6aで回転駆動される。更に、第3の主軸6は、主軸支持機構13によって、X軸,Y軸及びZ軸方向に駆動されるとともに、Y軸の軸周り方向のB方向に旋回駆動され、これにより所謂B軸加工を行う。
【0027】
主軸支持機構13は、ベッド2上に固定されたコラム14と、コラム14にZ軸方向に移動可能に支持されたサドル15と、サドル15にX軸方向に移動可能に支持されたクロススライド16と、クロススライド16にY軸方向に移動可能に支持され、第3主軸6をY軸の軸周り方向のB方向に旋回可能に支持するラム17とを有する。
【0028】
例えば、サドル15は、コラム14にZ軸と平行に配置されたガイドレールによりZ軸方向に移動可能に支持され、螺合されたボールねじが駆動モータ15aで回転駆動されることによりZ軸方向に駆動される。クロススライド16は、サドル15にX軸と平行に配置されたガイドレールによりX軸方向に移動可能に支持され、螺合されたボールねじが駆動モータ16aで回転駆動されることによりX軸方向に駆動される。ラム17は、クロススライド16にY軸と平行に配置されたガイドレールによりY軸方向に移動可能に支持され、螺合されたボールねじが駆動モータ17aで回転駆動されることによりY軸方向に駆動されるとともに、第3主軸6に設けられたウォームギア等の動力伝達部材が駆動モータ17bで回転駆動されることにより、第3の主軸6をY軸の軸周り方向のB方向に旋回駆動する。
【0029】
図2に示すように、制御部20は、第1主軸10の駆動モータ10b、第2主軸11の駆動モータ11b、第2主軸台4の駆動モータ11c、タレット5aの駆動モータ5b、Z軸搬送部材12aの駆動モータ12c、X軸搬送部材12bの駆動モータ12d、第3主軸6の駆動モータ6a、サドル15の駆動モータ15a、クロススライド16の駆動モータ16a、ラム17の駆動モータ17a,17b(以下、まとめて駆動部30ともいう。)の駆動を制御し、複合加工機1の全体の動作を制御する。
【0030】
具体的に、制御部20は、CPU21、ROM22、RAM23等で構成されたコンピュータからなり、全体の動作を制御する制御プログラムが格納されたROM22から一時的に制御プログラムをRAM23に読み込み、CPU21で制御プログラムに従って所定の演算処理を行い、複合加工機1の全体の動作を制御する。
【0031】
更に、制御部20は、NCデータを生成し、CAM装置として機能するNCデータ生成部24と、NCデータ生成部24によって生成されたNCデータに基づいて駆動部30を駆動するための制御信号を生成する制御信号生成部25とを有している。
【0032】
制御部20のNCデータ生成部24は、コンピュータ支援設計装置(以下、CAD装置ともいう。)として機能し、複合加工機1とは別体の外部装置40から形状データと加工条件データとが入力されると、形状データと加工条件データとに基づいて、ワーク上の加工領域における、工具の移動経路、該工具経路に沿って工具先端が移動する切削送り速度、工具が該工具経路に沿って該切削送り速度で移動する際の工具姿勢などの内容を含むNCデータを生成する。
【0033】
NCデータ生成部24に入力される形状データは、外部装置40で生成されたものであり、例えば、加工後のワークの最終的な形状、寸法及び仕上面精度、ワークの素材材質、加工前のワークの素材形状などのデータである。更に、NCデータ生成部24に入力される加工条件データは、例えば、工具の種類(型式,材質など)、工具径、素材材質に応じて工具種類ごとに設定された切削速度、回転当りの切削量、取り代などのデータである。なお、制御部20は、加工条件データを予め記憶しておくハードディスク等で構成される加工条件データ記憶部を更に有するようにしてもよい。
【0034】
更に、NCデータ生成部24は、工具の工具姿勢を設定する場合、工具が加工点以外のワークや複合加工機1の構成部材と干渉することを回避させるように設定する。更に、NCデータ生成部24は、工具の工具軸をワークの表面の法線と一致させて、工具をワークの表面に面直に設ける、若しくは、工具の工具軸をワークの表面の法線に対して固定角度傾けて設ける「面直」方法、工具の工具軸を、指定した点と工具先端とを結ぶ線と一致させて、工具を指定した点に向けて設ける「点通過」方法、工具の工具軸を加工面の形状に関わらず固定角度に設ける「固定ベクトル」方法、工具の工具軸を、指定した曲線と工具先端とを最短で結ぶ線と一致させるように設ける「プロフィール」方法を用いて、工具の工具姿勢を設定する。
【0035】
更に、NCデータ生成部24は、上記4つの設定方法を用いて工具の工具姿勢を設定することに加え、後述する「ツールアングル」方法を用いて、工具の工具姿勢を設定する。
【0036】
制御部20の制御信号生成部25は、NCデータ生成部24によって上記5つの設定方法のいずれかを用いて設定された工具の工具姿勢を含むNCデータに基づいて、複合加工機1の駆動部30を駆動させる制御信号を生成し、生成した制御信号を複合加工機1の駆動部30に出力する。
【0037】
なお、制御部20のNCデータ生成部24における各処理は、制御部20を構成するコンピュータのROM22やハードディスク等にインストールされたプログラムによって実行される。かかるプログラムは、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどの記録媒体や、外部の情報処理装置からネットワークを介して拡布され、制御部20のROM22やハードディスク等にインストールすることができる。
【0038】
以上のような構成を有する複合加工機1は、上述したように、NCデータ生成部24において、外部装置40から制御部20に入力された形状データと加工条件データとに基づいて、NCデータを生成し、生成したNCデータを制御信号生成部25に出力する。次いで、複合加工機1は、制御信号生成部25において、NCデータ生成部24から入力されたNCデータに基づいて、駆動部30を駆動させる制御信号を生成し、生成した制御信号を駆動部30に出力して、駆動部30を駆動させる。そして、複合加工機1は、例えば、第1主軸10のチャック10a又は第2主軸11のチャック11aの何れか一方又は両方に装着され、Z軸の軸周り方向のC方向に回転駆動されたワークを、タレット5aに装着された旋削加工用の工具7をX軸及び/又はZ軸に駆動させて旋削加工することができるとともに、第3主軸6に取り付けられたミーリング加工用の工具8をX軸、Y軸、Z軸に駆動させるとともにY軸の軸周り方向のB方向に回転駆動させてミーリング加工することができる。
【0039】
次いで、制御部20のNCデータ生成部24が、「ツールアングル」方法を用いて工具の工具姿勢を設定する方法について、図3のフローチャートを参照して説明する。この「ツールアングル」方法は、例えば、図4に示すように、断面楕円状のワーク50を360度回転させて、ブレードを加工するような場合に用いられる。よって、ここでは、第1主軸10のチャック10aに装着された断面楕円状のワーク50が、Z軸の軸周り方向のC方向に360度回転駆動されて、第3主軸6に取り付けられたミーリング加工用の工具8によってミーリング加工される場合を例に説明する。
【0040】
図3に示すように、ステップS1において、NCデータ生成部24は、ワーク50の外周上に設けられた工具経路上にて、工具8により加工を開始する始点Psから加工を終了する終点Peまでの、ワーク50と工具8との相対的角度変化の総和θseを算出する。具体的に、この相対的角度変化の総和θseは、始点Psにおけるワーク50の表面の法線Nsに対する工具8の工具軸8bの角度(以下、始点角度ともいう。)に対して、終点Peにおけるワーク50の表面の法線Neに対する工具8の工具軸8bの角度(以下、終点角度ともいう。)が、送り方向Fに対して相対的に変化した角度である。すなわち、ここでは、図4に示すように、始点角度は0度であり、終点角度は0度であるが、工具8がワーク50の外周を360度回転しているので、相対的角度変化の総和θseは360度となる。
【0041】
次いで、ステップS2において、NCデータ生成部24は、始点Psから終点Peまでの工具経路に沿った加工に要する時間を、工具経路へ等分に配分する。すなわち、NCデータ生成部24は、始点Psから終点Peまでの距離を、任意の数で時間的に等分し、一の時間的等分点から次の時間的等分点までの加工に要する時間が等しくなるように、時間的等分点を設定する。ここでは、図4に示すように、20等分し、時間的等分点(Ps、P〜P19,Pe)を設定した。
【0042】
次いで、ステップS3において、NCデータ生成部24は、相対的角度変化の総和θseを、加工に要する時間と同等に等分する。すなわち、ここでは、相対的角度変化の総和θseは360度であるので、これを20等分して、各時間的等分点に18度ずつ均等に配分する。
【0043】
次いで、ステップS4において、NCデータ生成部24は、ワーク50を図4中の矢印C方向に回転駆動させるとともに、工具8を図4中に示すような送り方向Fに駆動させ、工具8を指令された切削送り速度で駆動させて、工具8の工具先端8aを工具経路に沿って時間的等分点Ps、P、P、・・・P18、P19、Peの順に通過させる。このとき、NCデータ生成部24は、工具8の工具軸8bを、一の時間的等分点から次の時間的等分点までの間に、配分された角度分ずつ連続的に変化させる。
【0044】
具体的に、図5に示すように、NCデータ生成部24は、始点Psから第1の時間的等分点Pまでの間に、工具8の工具軸8bを、送り方向Fに連続的に傾け、第1の時間的等分点Pにおいて、始点角度から送り方向Fに18度(θ)傾ける。次いで、図6に示すように、NCデータ生成部24は、第1の時間的等分点Pから第2の時間的等分点Pまでの間に、工具8の工具軸8bを、送り方向Fに連続的に傾け、第2の時間的等分点Pにおいて、第1の時間的等分点Pにおける傾き(θ)よりも送り方向Fに18度傾け、始点角度から送り方向Fに36度(θ)傾ける。
【0045】
次いで、図7に示すように、NCデータ生成部24は、第2の時間的等分点Pから第3の時間的等分点Pまでの間に、工具8の工具軸8bを、送り方向Fに連続的に傾け、第3の時間的等分点Pにおいて、第2の時間的等分点Pにおける傾き(θ)よりも送り方向Fに18度傾け、始点角度から送り方向Fに54度(θ)傾ける。次いで、図8に示すように、NCデータ生成部24は、第3の時間的等分点Pから第4の時間的等分点Pまでの間に、工具8の工具軸8bを、送り方向Fに連続的に傾け、第4の時間的等分点Pにおいて、第3の時間的等分点Pにおける傾き(θ)よりも送り方向Fに18度傾け、始点角度から送り方向Fに72度(θ)傾ける。
【0046】
次いで、図9に示すように、NCデータ生成部24は、第4の時間的等分点Pから第5の時間的等分点Pまでの間に、工具8の工具軸8bを、送り方向Fに連続的に傾け、第5の時間的等分点Pにおいて、第4の時間的等分点Pにおける傾き(θ)よりも送り方向Fに18度傾け、始点角度から送り方向Fに90度(θ)傾ける。次いで、図10に示すように、NCデータ生成部24は、第5の時間的等分点Pから第6の時間的等分点Pまでの間に、工具8の工具軸8bを、送り方向Fに連続的に傾け、第6の等分点Pにおいて、第5の等分点Pにおける傾き(θ)よりも送り方向Fに18度傾け、始点角度から送り方向Fに108度(θ)傾ける。
【0047】
次いで、図11に示すように、NCデータ生成部24は、第6の時間的等分点Pから第7の時間的等分点Pまでの間に、工具8の工具軸8bを、送り方向Fに連続的に傾け、第7の時間的等分点Pにおいて、第6の時間的等分点Pにおける傾き(θ)よりも送り方向Fに18度傾け、始点角度から送り方向Fに126度(θ)傾ける。次いで、図12に示すように、NCデータ生成部24は、第7の時間的等分点Pから第8の時間的等分点Pまでの間に、工具8の工具軸8bを、送り方向Fに連続的に傾け、第8の時間的等分点Pにおいて、第7の時間的等分点Pにおける傾き(θ)よりも送り方向Fに18度傾け、始点角度から送り方向Fに144度(θ)傾ける。
【0048】
次いで、図13に示すように、NCデータ生成部24は、第8の時間的等分点Pから第9の時間的等分点Pまでの間に、工具8の工具軸8bを、送り方向Fに連続的に傾け、第9の時間的等分点Pにおいて、第8の時間的等分点Pにおける傾き(θ)よりも送り方向Fに18度傾け、始点角度から送り方向Fに162度(θ)傾ける。次いで、図14に示すように、NCデータ生成部24は、第9の時間的等分点Pから第10の時間的等分点P10までの間に、工具8の工具軸8bを、送り方向Fに連続的に傾け、第10の時間的等分点P10において、第9の時間的等分点Pにおける傾き(θ)よりも送り方向Fに18度傾け、始点角度から送り方向Fに180度(θ10)傾ける。
【0049】
次いで、NCデータ生成部24は、ステップS5において、第1の時間的等分点Pから第10の時間的等分点P10と同様に、第11の時間的等分点P11から終点Peにおいて、工具8の工具軸8bを、送り方向Fに連続的に傾け、最前の等分点における傾きよりも送り方向Fに18度ずつ傾けていき、図4に示すように、20番目の時間的等分点となる終点Peにおいて、始点Psにおける工具の傾きよりも360度傾けるようにする。
【0050】
以上のように、NCデータ生成部24は、「ツールアングル」方法を用いて工具8の工具姿勢を設定することで、断面楕円状のワーク50を360度回転させてブレードを加工する場合であっても、工具8の工具姿勢の変化を均等にして、工具8の工具姿勢の変化に伴う工具8の傾きの角速度を一定にすることができる。したがって、NCデータ生成部24は、従来のように断面楕円状のワーク上の所定の経路に沿って加工する際に、工具の工具姿勢が急速に変動する領域が発生し、このような領域において、切削送り速度が落ちてしまうことがなく、工具経路上の加工を開始する始点Psから終了する終点Peまで切削送り速度を一定に保つことができる。よって、本発明を適用した複合加工機1は、従来よりも、加工時間を短縮し、表面性状の向上を図ることができる。
【0051】
更に、NCデータ生成部24は、ワーク50を360度回転させても、始点Psと終点Peとで工具8が同じ工具姿勢となるように設けることができる。したがって、本発明を適用した複合加工機1は、ブレードを連続加工することができる。
【0052】
なお、NCデータ生成部24は、始点Ps,第5,第10,第15の時間的等分点P,P10,P15及び終点Peのように、工具8の工具軸8bとワーク50の表面の法線とが一致する場合、表面性状の向上を図るために、工具8を送り方向Fと直交するZ軸方向に所定の角度傾けるように設けてもよい。
【0053】
更に、NCデータ生成部24は、時間的等分点間において、平均して、工具の工具姿勢の変化が均等で、工具8の傾きの角速度が一定となるものであれば、時間的等分点間内において、工具の工具姿勢の変化が不均等で、工具8の傾きの角速度が変動するようなものでもよい。このような場合であっても、時間的等分点間において、平均して、工具の工具姿勢の変化が均等で、工具8の傾きの角速度が一定であるので、切削送り速度を一定に保つことができ、加工時間を短縮し、表面性状の向上を図ることができる。
【0054】
更に、「ツールアングル」方法については、始点角度及び終点角度が0度の場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、始点Ps及び終点Peにおいて、表面性状の向上を図るために、図15に示すように、始点角度及び終点角度を、すなわち、始点Ps及び終点Peにおけるワーク50の表面の法線Ns、Neに対する工具8の工具軸8bの角度を、送り方向Fに所定の角度(θs)傾けるようにしてもよい。
【0055】
この場合、ステップS3において、NCデータ生成部24は、始点Psから第1の時間的等分点Pまでの間に、工具8の工具軸8bを、送り方向Fに連続的に傾け、第1の時間的等分点Pにおいて、始点角度θsから送り方向Fに18度傾ける。次いで、NCデータ生成部24は、第1の時間的等分点Pから第2の時間的等分点Pまでの間に、工具8の工具軸8bを、送り方向Fに連続的に傾け、第2の時間的等分点Pにおいて、第1の時間的等分点Pよりも送り方向Fに18度傾け、始点角度θsから送り方向Fに36度傾ける。同様に、NCデータ生成部24は、第3の時間的等分点Pから終点Peにおいて、工具8の工具軸8bを、送り方向Fに連続的に傾け、最前の時間的等分点における傾きよりも送り方向Fに18度ずつ傾けていき、20番目の時間的等分点となる終点Peにおいて、始点Psにおける工具の傾きよりも360度傾け、終点角度θsとなるように設けるようにする。
【0056】
なお、NCデータ生成部24は、始点角度及び終点角度を角度(θs)傾けた場合においても、何れかの時間的等分点において、工具8の工具軸8bとワーク50の表面の法線方向とが一致する場合、表面性状の向上を図るために、工具8の工具軸8bを送り方向Fと直交するZ軸方向に対して所定の角度傾けるようにしてもよい。
【0057】
更に、NCデータ生成部24は、始点Psから終点Peまでの距離を20等分し、18度ずつ配分することに限定されるものではなく、加工する際に使用する工具8の加工許容角度内となるものであれば、いかなる数に等分し、配分するように設けてもよい。
【0058】
更に、「ツールアングル」方法は、断面楕円状のワーク50を加工する場合に用いられることに限定されるものではなく、例えば、外周の一部に楕円曲面を有する断面非円形状のワーク50の楕円曲面を加工する場合においても用いることができる。このような場合、NCデータ生成部24は、楕円曲面の一端を始点Psとし、他端を終点Peとして、上述したような「ツールアングル」方法を用いて工具の工具姿勢を設定することで、工具8の傾きの角速度を一定にすることができ、切削送り速度を一定に保つことができる。
【0059】
更に、「ツールアングル」方法は、例えば、外周の一部又は全周に亘って楕円曲面を有するワーク50の楕円曲面上に突起等の障害部があり、この障害部において工具8が加工許容角度外となるワーク50の楕円曲面を加工する場合においても、下記に示すようにすることで、用いることができる。このような場合、NCデータ生成部24は、楕円曲面の一端を始点Psとし、障害部の始点Ps側の一端を終点Peとして、上述したような「ツールアングル」方法を用いて工具の工具姿勢を設定し、更に、障害部の他端を新たな始点Psとし、楕円曲面の他端を新たな終点Peとし、上述したような「ツールアングル」方法を用いて工具の工具姿勢を設定することで、障害部以外の領域において、工具8の傾きの角速度を一定にすることができ、切削送り速度を一定に保つことができる。更に、始点Psと終点Peとの間と、新たな始点Psと新たな終点Peとの間とで、等分する数や配分する角度が異なるようにしてもよい。
【0060】
更に、複合加工機1は、NCデータ生成部24を制御部20に組み込んだ構成としているが、NCデータ生成部24を、複合加工機1とは別途独立したコンピュータに組み込むようにしてもよい。この場合、別途独立したコンピュータは、CAM装置として機能し、NCデータを生成するNCデータ生成装置となる。更に、この場合、別途独立したコンピュータのNCデータ生成部24における各処理は、別途独立したコンピュータのROMやハードディスク等にインストールされたプログラムによって実行される。かかるプログラムは、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどの記録媒体や、外部の情報処理装置からネットワークを介して拡布され、別途独立したコンピュータのROMやハードディスク等にインストールすることができる。
【0061】
そして、別途独立したコンピュータのNCデータ生成部24は、別途独立したコンピュータにCAD装置として機能する外部装置40から形状データと加工条件データとが入力されると、制御部20に組み込まれているときと同様にして、NCデータを生成し、生成したNCデータを、複合加工機1の制御部20に出力する。そして、複合加工機1の制御部20の制御信号生成部25は、入力されたNCデータに基づいて、複合加工機1の駆動部30を駆動させる制御信号を生成し、生成した制御信号を複合加工機1の駆動部30に出力する。このようにして、複合加工機1は、「ツールアングル」方法を用いて工具の工具姿勢を設定し、断面楕円状のワーク50をブレード状にミーリング加工するようにしてもよい。
【0062】
更に、本発明を適用した工作機械は、複合加工機に限定されるものではなく、マシニングセンタに2つの回転軸が付加された5軸制御マシニングセンタであってもよい。例えば、5軸制御マシニングセンタは、立型のマシニングセンタをベースとし、互いに直交する、X軸,Y軸,Z軸に駆動可能でZ軸方向に向けてミーリング加工用の工具を取り付けた主軸と、ワークが装着されるテーブルとを備え、このテーブルが、Y軸の軸周り方向のB軸方向に旋回駆動可能で、Z軸の軸周り方向のC軸方向に回転駆動可能なものでもあってもよい。このような5軸制御マシニングセンタでは、ワークが装着されるテーブルを、Y軸の軸周り方向のB軸方向に90度旋回させ、ワークをC軸方向に回転駆動させることで、複合加工機1と同様に、「ツールアングル」方法を用いて工具の工具姿勢を設定し、断面楕円状のワーク50を回転させながら主軸に取り付けられたエンドミル等の工具でブレード状にミーリング加工することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 複合加工機、2 ベッド、3 第1主軸台、4 第2主軸台、5 刃物台、5a タレット、5b 駆動モータ、6 第3主軸、6a 駆動モータ、7 旋削加工用の工具、8 ミーリング加工用の工具、8a 工具先端、8b 工具軸、10 第1主軸、11 第2主軸、10a チャック、10b 駆動モータ、11a チャック、11b 駆動モータ、11c 駆動モータ、12 支持部材、12a Z軸搬送部材、12b X軸搬送部材、12c 駆動モータ、12d 駆動モータ、13 主軸支持機構、14 コラム、15 サドル、15a 駆動モータ、16 クロススライド、16a 駆動モータ、17 ラム、17a 駆動モータ、17b 駆動モータ、20 制御部、21 CPU、22 ROM、23 RAM、24 NCデータ生成部、25 制御信号生成部、30 駆動部、40 外部装置、50 ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面非円形状のワークと工具との相対移動により、少なくとも上記ワークの断面を含む一平面内において上記ワークと工具との相対的位置及び相対的角度を変化させつつ、加工を行う工作機械において、
上記ワーク上の所定の経路に沿って加工する際、上記所定の経路上にて上記工具による加工が開始される点から加工が終了する点までの、上記ワークと工具との相対的角度変化の総和を算出すると共に、上記所定の経路に沿った加工に要する時間を、工具経路へ等分に配分し、上記工具が上記工具径路上の各時間的等分点を通過する際に、上記工具と上記ワークとの相対角度が、上記相対的角度変化の総和を上記加工に要する時間と同等に等分した角度分ずつ連続的に変化するように加工を行うことを特徴とする工作機械。
【請求項2】
断面非円形状のワークと工具との相対移動により、少なくとも上記ワークの断面を含む一平面内において上記ワークと工具との相対的位置及び相対的角度を変化させつつ、加工を行う工作機械の加工方法において、
上記ワーク上の所定の経路に沿って加工する際、上記所定の経路上にて上記工具による加工が開始される点から加工が終了する点までの、上記ワークと工具との相対的角度変化の総和を算出すると共に、上記所定の経路に沿った加工に要する時間を、工具経路へ等分に配分し、上記工具が上記工具径路上の各時間的等分点を通過する際に、上記工具と上記ワークとの相対角度が、上記相対的角度変化の総和を上記加工に要する時間と同等に等分した角度分ずつ連続的に変化するように加工を行うことを特徴とする加工方法。
【請求項3】
断面非円形状のワークと工具との相対移動により、少なくとも上記ワークの断面を含む一平面内において上記ワークと工具との相対的位置及び相対的角度を変化させつつ、加工を行う工作機械の加工方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムにおいて、
上記コンピュータに、
上記ワーク上の所定の経路に沿って加工する際、上記所定の経路上にて上記工具による加工が開始される点から加工が終了する点までの、上記ワークと工具との相対的角度変化の総和を算出すると共に、上記所定の経路に沿った加工に要する時間を、工具経路へ等分に配分し、上記工具が上記工具径路上の各時間的等分点を通過する際に、上記工具と上記ワークとの相対角度が、上記相対的角度変化の総和を上記加工に要する時間と同等に等分した角度分ずつ連続的に変化するように加工を行わせるためのプログラム。
【請求項4】
断面非円形状のワークと工具との相対移動により、少なくとも上記ワークの断面を含む一平面内において上記ワークと工具との相対的位置及び相対的角度を変化させつつ、加工を行う工作機械を制御するためのNCデータを生成するNCデータ生成装置において、
上記ワーク上の所定の経路に沿って加工する際、上記所定の経路上にて上記工具による加工が開始される点から加工が終了する点までの、上記ワークと工具との相対的角度変化の総和を算出すると共に、上記所定の経路に沿った加工に要する時間を、工具経路へ等分に配分し、上記工具が上記工具径路上の各時間的等分点を通過する際に、上記工具と上記ワークとの相対角度が、上記相対的角度変化の総和を上記加工に要する時間と同等に等分した角度分ずつ連続的に変化するように加工を行わせるNCデータを生成するNCデータ生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−152883(P2012−152883A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16818(P2011−16818)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000146847)株式会社森精機製作所 (204)
【Fターム(参考)】