説明

差動装置

【課題】ドライブピニオンからケースの中心側に飛ばされた潤滑油のピニオンギヤへの供給量を増加できる差動装置を提供する。
【解決手段】回転可能なケース2に収容される一対のサイドギヤ5および3個のピニオンギヤ9と、ケース2に形成されてリングギヤ3の回転に伴い旋回するとともにピニオンギヤ9を回転可能に支持する支持部10と、支持部10同士の間に形成されるとともにケース2の内外を連通してケース2の外部からケース2の内部に潤滑油を供給可能にする開口部11とを備えた差動装置1において、ピニオンギヤ9は、歯車部19の底面21と、歯車部19の回転軸と同軸で底面21から突出する支持軸22とを有し、支持部10は、ピニオンギヤ9の底面21を面接触により回転可能に支持する底受け面23と、ピニオンギヤ9の支持軸22を回転可能に支持するとともにケース2の内外を連通する支持孔24とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの車両に用いられる差動装置に関し、特に、ピニオンギヤへの潤滑油の供給量を増加できるようにした差動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、内燃機関(以下、単にエンジンと呼ぶ)の出力を駆動車輪に伝達する動力伝達系の一部として差動装置が搭載されている。この差動装置は、変速機から左右の駆動車輪に動力を伝達するとともに、これら駆動車輪の回転速度に偏差が生じた場合には、ピニオンギヤが回転することによって一対のサイドギヤを相対回転させて左右の駆動車輪の差動回転を許容するものである。
【0003】
ところで、この種の差動装置では、一般に、ピニオンギヤの軸心に形成された貫通孔にピニオンシャフトを挿入して、1本のピニオンシャフトにより2個のピニオンギヤを支持することにより、ピニオンギヤの倒れ込みを防止するようにしている。しかしながら、このようにピニオンシャフトによりピニオンギヤを支持する構成にあっては、ピニオンギヤに貫通孔を形成しなければならずピニオンギヤの強度を考慮するとピニオンギヤの小型化は困難であり、ひいては差動装置の小型化も困難になるといった問題があった。
【0004】
これを解決するために、例えば、各ピニオンギヤを側方から支持する支持突起をケースの内部に形成し、この支持突起によりピニオンギヤの倒れ込みを防止することによりピニオンシャフトを省略するようにした差動装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この差動装置100は、図11および図12に示すように、回転可能なケース101と、ケース101のフランジ102に固定されるハイポイドギヤからなるリングギヤ103と、リングギヤ103に噛合するハイポイドピニオンからなるドライブピニオン104と、ケース101に収容されてケース101とは独立して回転可能な一対のかさ歯車からなるサイドギヤ105と、サイドギヤ105と一体回転するドライブシャフト106と、サイドギヤ105に噛合する一対のかさ歯車からなるピニオンギヤ107と、ケース101に設けられるとともにピニオンギヤ107の底面107aを回転可能に支持する一対の支持部108と、支持部108からケース101の内部側に突出するとともにピニオンギヤ107を側方から回転可能に支持する支持突起109と、支持部108同士の間に形成されるとともにケース101の内外の空間を連通する開口部110とを備えている。支持突起109は、ピニオンギヤ107をケース101の周方向に挟む位置に隣接して形成されている。支持突起109は、開口部110に露出している。
【0006】
この差動装置100によれば、ピニオンギヤ107の倒れを防止するために支持突起109を設けることで歯車部を貫通するピニオンシャフトを省略することが可能になるので、ピニオンギヤ107にピニオンシャフトを挿入するための貫通孔を設ける必要がない。このため、ピニオンギヤ107の小型化を図ることができるので、差動装置100を小型化できるようになる。
【0007】
ところで、この種の差動装置100のピニオンギヤ107への潤滑油の供給経路について、従来、潤滑油の供給量が最も多いと考えられていた経路は、リングギヤ103の回転によりリングギヤ103の上部まで掻き揚げられた潤滑油が、開口部110の上方から流れ落ちて開口部110を通過してピニオンギヤ107に至るという経路であった。これに対し、本願発明者が鋭意研究を重ねた結果、リングギヤ103で掻き揚げられた潤滑油が、リングギヤ103に噛合するドライブピニオン104によりケース101の中心側に飛ばされて(図11および図12中、白抜き矢印で示す。)、開口部110を通過してピニオンギヤ107に側方から供給される経路の方が供給量の多いことが判明した。すなわち、リングギヤ103とドライブピニオン104との噛合部では、リングギヤ103とドライブピニオン104との歯面同士の接近と滑りによりリングギヤ103の中心側へのポンプ効果が生じ、潤滑油がケース101の中心側に飛ばされるものと推測された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−256083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のような差動装置100の構成にあっては、ピニオンギヤ107を支持するためにケース101の内部側に突出する支持突起109を備えるとともに支持突起109はピニオンギヤ107のケース101の周方向に隣接して設けられているので、支持突起109が開口部110に露出してしまい、ドライブピニオン104から側方に飛ばされて開口部110からケース101の内部に入り込もうとする潤滑油が遮られてしまう。これにより、支持突起109が存在しない場合に比べて、ピニオンギヤ107に供給される潤滑油量が減少してしまうという問題があった。供給される潤滑油が少ない状態で差動装置100を長時間稼働させると、場合によってはピニオンギヤ107が摺接する支持部108および支持突起109との間で焼き付きを起こす虞があるという問題があった。
【0010】
これを解決するために、ピニオンギヤ107に潤滑油を供給するポンプなどの潤滑油供給手段を採用することも考えられるが、部品点数が増加してそのための設置スペースが必要になり車両の重量もコストも増加してしまうので好ましくない。
【0011】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、ドライブピニオンからケースの中心側に飛ばされた潤滑油のピニオンギヤへの供給量を増加できる差動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る差動装置は、上記目的達成のため、(1)回転可能なケースと、前記ケースに同軸で固定されるとともに少なくとも一部が潤滑油に浸漬し回転により前記潤滑油を掻き揚げるハイポイドギヤからなるリングギヤと、前記リングギヤに噛合するハイポイドピニオンからなるドライブピニオンと、前記ケースに収容されるとともに前記リングギヤと同軸で前記ケースに回転可能に支持されるかさ歯車からなる第1のサイドギヤと、前記第1のサイドギヤに連結されて一体回転する第1のドライブシャフトと、前記ケースに収容されるとともに前記第1のサイドギヤに同軸で対向して前記ケースに回転可能に支持されるかさ歯車からなる第2のサイドギヤと、前記第2のサイドギヤに連結されて一体回転する第2のドライブシャフトと、前記ケースに収容されるとともに前記第1のサイドギヤおよび前記第2のサイドギヤに噛合する歯車部を有するかさ歯車からなる2個以上のピニオンギヤと、前記ケースに形成されて前記リングギヤの回転に伴い旋回するとともに前記ピニオンギヤを回転可能に支持する支持部と、前記支持部同士の間に形成されるとともに前記ケースの内外を連通して前記ケースの外部から前記ケースの内部に前記潤滑油を供給可能にする開口部とを備えた差動装置において、前記ピニオンギヤは、前記歯車部の底面と、前記歯車部の回転軸と同軸で前記底面の中央から突出する支持軸とを有し、前記支持部は、前記ピニオンギヤの前記底面を面接触により回転可能に支持する底受け面と、前記ピニオンギヤの前記支持軸を回転可能に支持するとともに前記ケースの内外を連通する支持孔とを有することを特徴とする。
【0013】
この構成により、ピニオンギヤの支持軸が支持部の支持孔に嵌合して回転可能に支持されることによってピニオンギヤが自立しているので、従来のようなピニオンギヤを周囲から支持する支持突起は不要になり、ドライブピニオンからケースの中心側に飛ばされた潤滑油は、支持突起に遮られることなく開口部からケースの内部に入り込み、ピニオンギヤに供給される。これにより、ドライブピニオンから飛ばされた潤滑油のピニオンギヤへの供給量を増加することができる。さらに、ピニオンギヤに供給された潤滑油は、ピニオンギヤと第1のサイドギヤおよび第2のサイドギヤとの噛合部での摩擦を低減するとともに、ケースの回転による遠心力でピニオンギヤの底面および支持軸まで達し、底面および支持軸と支持部との摩擦を低減する。
【0014】
また、支持孔はケースの内外を連通しているので、潤滑油は支持孔に貯留することなくケースの回転による遠心力でケースの外部に排出される。このため、支持孔が有底である場合のように支持孔に潤滑油とともに金属粉などの塵が溜まってしまうことはなく、支持孔に貯留した塵によりピニオンギヤの回転抵抗が増大されてしまうことを防止できる。
【0015】
上記(1)に記載の差動装置においては、(2)前記底受け面は、前記ケースの回転軸から前記底受け面までの距離よりも小さい曲率半径の湾曲した凹形状であることが好ましい。この構成により、ケースが回転した時に底受け面上の潤滑油は遠心力により底受け面の外周側から中心側に案内されるようになる。これにより、底受け面の周囲から底受け面を通過して支持孔からケースの外部に流通する潤滑油の流量を増加できるとともに、ケースの高速回転時には特に増量の効果が高くなり、ピニオンギヤの焼き付き防止への信頼性を向上することができる。
【0016】
上記(1)または(2)に記載の差動装置においては、(3)前記底受け面に形成されるとともに、前記底受け面の外周縁部と内周縁部とを結んで、前記ピニオンギヤの前記底面と前記底受け面との間の前記潤滑油を前記支持孔に案内する溝からなる底受け面潤滑油路を備えることが好ましい。この構成により、底受け面潤滑油路がピニオンギヤの底面と底受け面との間の潤滑油を支持孔に案内するので、ケースの回転時に底受け面を通過する潤滑油の流量を増加できるとともに、ケースの高速回転時には特に増量の効果が高くなり、ピニオンギヤの焼き付き防止への信頼性を向上することができる。
【0017】
上記(1)から(3)に記載の差動装置においては、(4)前記支持孔に形成されるとともに、前記支持孔の前記ケースの内部側の周縁部と前記ケースの外部側の周縁部とを結んで、前記ピニオンギヤの前記支持軸と前記支持孔との間の前記潤滑油を前記ケースの外部に案内する溝からなる支持孔潤滑油路を備えることが好ましい。この構成により、支持孔潤滑油路が支持軸と支持孔との間の潤滑油を支持孔の外部に案内するので、ケースの回転時に支持孔を通過する潤滑油の流量を増加できるとともに、ケースの高速回転時には特に増量の効果が高くなり、ピニオンギヤの焼き付き防止への信頼性を向上することができる。
【0018】
上記(1)から(4)に記載の差動装置においては、(5)前記底受け面の周囲部と前記底受け面の外周縁部とを結んで、前記周囲部の前記潤滑油を前記底受け面に案内する溝からなる周囲部潤滑油路を備えることが好ましい。この構成により、周囲部潤滑油路が周囲部の潤滑油を底受け面に案内するので、ケースの回転時に底受け面に供給される潤滑油の流量を増加することができるとともに、ケースの高速回転時には特に増量の効果が高くなり、ピニオンギヤの焼き付き防止への信頼性を向上することができる。
【0019】
上記(1)から(5)に記載の差動装置においては、(6)前記底受け面潤滑油路と前記支持孔潤滑油路との少なくとも一方は螺旋状であることが好ましい。この構成により、底受け面潤滑油路および支持孔潤滑油路がピニオンギヤの回転方向に直交する場合に比べて、ピニオンギヤの底面および支持軸とケースの支持部との間のピニオンギヤの回転方向への抵抗を小さくすることができる。これにより、ピニオンギヤの回転を円滑にできるとともに、底面および支持軸と支持部との摺接部位の摩耗を抑制することができる。
【0020】
上記(1)から(5)に記載の差動装置においては、(7)前記底受け面潤滑油路と前記支持孔潤滑油路と前記周囲部潤滑油路との少なくとも1つは直線状であることが好ましい。この構成により、底受け面潤滑油路と支持孔潤滑油路と周囲部潤滑油路とが曲線状である場合に比べて、底受け面潤滑油路と支持孔潤滑油路と周囲部潤滑油路との形成作業を容易にすることができ、部品コストを低減することができる。
【0021】
上記(1)から(7)に記載の差動装置においては、(8)前記ピニオンギヤは、前記第1のサイドギヤおよび前記第2のサイドギヤの回転軸を中心に120度ごとに3個設けられることが好ましい。この構成により、第1のサイドギヤおよび第2のサイドギヤの回転軸を挟んでピニオンギヤと開口部とが対向するようになるので、ドライブピニオンからケースの中心側に飛ばされた潤滑油は、開口部からケースの内部に入り込むとその反対側に位置するピニオンギヤに直接供給されるようになる。これにより、ピニオンギヤに供給される潤滑油の流量を増加することができ、ピニオンギヤの焼き付き防止への信頼性を向上することができる。
【0022】
ここで、ピニオンギヤが第1のサイドギヤおよび第2のサイドギヤの回転軸を中心に180度ごとに2個設けられている場合は、ドライブピニオンから飛ばされた潤滑油は、開口部からケースの内部に入り込んでもその反対側の開口部からケースの外部に飛び出してしまうことがあり、この場合はピニオンギヤへの潤滑油の供給量を増加するのが困難である。そこで、本発明では、ピニオンギヤを第1のサイドギヤおよび第2のサイドギヤの回転軸を中心に120度ごとに3個設けることにより、ドライブピニオンから飛ばされて開口部より入り込んだ潤滑油が他の開口部から飛び出すことなくピニオンギヤに直接供給されるようにしている。
【0023】
上記(1)から(7)に記載の差動装置においては、(9)前記ピニオンギヤは、前記第1のサイドギヤおよび前記第2のサイドギヤの回転軸を中心に180度ごとに2個設けられることが好ましい。この構成により、ピニオンギヤを3個設ける場合に比べて部品点数を少なくすることができるので、部品コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ピニオンギヤの支持軸が支持部の支持孔に嵌合することによってピニオンギヤが自立していることから、従来のようなピニオンギヤを周囲から支持する支持突起は不要になり、ドライブピニオンからケースの中心側に飛ばされた潤滑油が支持突起に遮られることはなくなるので、ドライブピニオンから飛ばされた潤滑油のピニオンギヤへの供給量を増加できる差動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る差動装置を示す概略の横断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る差動装置を示す図1のII−II線で切断した概略の縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る差動装置のリングギヤを外した状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る差動装置のピニオンギヤおよび支持部を示す縦断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る差動装置の支持部をケースの中心側から見た状態を示す概略図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る差動装置の支持部の底受け面潤滑油路が1本の螺旋状である例をケースの中心側から見た状態を示す概略図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る差動装置の支持部の底受け面潤滑油路が直線状である例をケースの中心側から見た状態を示す概略図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る差動装置の支持部の底受け面潤滑油路が曲線状である例をケースの中心側から見た状態を示す概略図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る差動装置のケースが分割可能な例を示す概略の縦断面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る差動装置のピニオンギヤが2個の例を示す概略の横断面図である。
【図11】従来の差動装置を示す概略の横断面図である。
【図12】従来の差動装置のリングギヤを外した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の差動装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。本実施の形態では、本発明の差動装置を自動車に適用した例を示している。
【0027】
まず、本実施の形態に係る差動装置1の構成について説明する。
図1から図3に示すように、差動装置1は、回転可能なケース2と、ケース2に固定されるハイポイドギヤからなるリングギヤ3と、リングギヤ3に噛合するハイポイドピニオンからなるドライブピニオン4と、ケース2に収容されるかさ歯車からなる第1のサイドギヤ5と、第1のサイドギヤ5に連結される第1のドライブシャフト6と、ケース2に収容されるかさ歯車からなる第2のサイドギヤ7と、第2のサイドギヤ7に連結される第2のドライブシャフト8と、3個のピニオンギヤ9と、3個の支持部10と、支持部10同士の間に形成されるとともにケース2の内外を連通する開口部11とを備えている。
また、この差動装置1は動力伝達装置のハウジング29に収容されている。
【0028】
ケース2は、略円筒形状で、円筒の中心軸を回転軸Cとして中心に回転可能になっている。ケース2は、第1の円筒部12と、第2の円筒部13と、第1の円筒部12の外周側に形成されるフランジ部14と、第1の円筒部12および第2の円筒部13を連結する連結部15とを備えて、一体形成されている。
【0029】
連結部15は、ケース2の周方向に120度ごとに3箇所設けられているとともに、第1の円筒部12と第2の円筒部13とを回転軸Cと同軸上に位置するように連結している。連結部15は、ケース2の回転に伴って回転軸Cを中心に旋回するようになっている。
【0030】
第1の円筒部12と、連結部15と、第2の円筒部13とに囲まれる空間は、収容空間16としている。また、連結部15には貫通孔17が形成されている。貫通孔17には、キャップ18が圧入により固定されている。キャップ18には、後述する支持部10が形成されている。すなわち、ケース2の回転軸Cを挟んで、ピニオンギヤ9と開口部11とが対向するようになっている。
【0031】
フランジ部14の第2の円筒部13側には、回転軸Cを回転中心とするリングギヤ3がねじ止めにより固定されている。リングギヤ3は、下部の一部がハウジング29の底部に貯留した潤滑油35に浸漬するように設置されている。リングギヤ3は、回転により潤滑油35を掻き揚げるようになっている。ドライブピニオン4は、図示しない変速機を介して図示しないエンジンなどの駆動源に連結されている。
【0032】
第1の円筒部12には、第1のドライブシャフト6が回転可能に支持されている。第2の円筒部13には、第2のドライブシャフト8が回転可能に支持されている。第1のドライブシャフト6および第2のドライブシャフト8は、回転軸Cを回転中心としている。
【0033】
ケース2の収容空間16には、第1のサイドギヤ5と、第2のサイドギヤ7と、ピニオンギヤ9とが収容されている。第1のサイドギヤ5には、スプライン穴5aが形成されている。第1のドライブシャフト6の先端部には、図示しないスプライン軸が形成されている。第1のドライブシャフト6のスプライン軸が第1のサイドギヤ5のスプライン穴5aに嵌合することにより、第1のサイドギヤ5は第1のドライブシャフト6とともにケース2に対して回転軸Cを中心にして一体回転可能に支持される。
【0034】
第2のサイドギヤ7には、スプライン穴7aが形成されている。第2のドライブシャフト8の先端部には、図示しないスプライン軸が形成されている。第2のドライブシャフト8のスプライン軸が第2のサイドギヤ7のスプライン穴7aに嵌合することにより、第2のサイドギヤ7は第2のドライブシャフト8とともにケース2に対して回転軸Cを中心にして一体回転可能に支持される。これら第1のサイドギヤ5と第2のサイドギヤ7とは、歯車面を対向して設置されている。
【0035】
ピニオンギヤ9は、ケース2に収容されるかさ歯車からなり、第1のサイドギヤ5および第2のサイドギヤ7の間に設けられるとともに、これら第1のサイドギヤ5および第2のサイドギヤ7に噛合している。ピニオンギヤ9は、各連結部15に設けられており、第1のサイドギヤ5および第2のサイドギヤ7の回転軸を中心に120度ごとに設けられるようになっている。
【0036】
図1および図4に示すように、ピニオンギヤ9は、歯車部19と底部20とを有する。ピニオンギヤ9の底部20は、歯車部19の底面21と、歯車部19の回転軸と同軸で底面21から突出する支持軸22とを備えている。これら歯車部19と底部20とは一体形成されている。底面21は、湾曲した凸形状になっている。
【0037】
ピニオンギヤ9は、ケース2の回転に伴って回転軸Cを中心に公転するようになっている。ケース2が回転した際に、第1のドライブシャフト6と第2のドライブシャフト8との間に回転数の差が無ければ、ピニオンギヤ9は自転することなく回転軸Cを中心に公転のみするようになっている。また、ケース2が回転した際に、第1のドライブシャフト6と第2のドライブシャフト8との間に回転数の差が有れば、ピニオンギヤ9は第1のサイドギヤ5および第2のサイドギヤ7の回転数の差に応じて自転および回転軸Cを中心に公転するようになっている。
【0038】
支持部10は、キャップ18に形成されるとともに、ピニオンギヤ9の底部20の底面21を面接触により回転可能に支持する底受け面23と、ピニオンギヤ9の底部20の支持軸22を回転可能に支持するとともにケース2の内外を連通する支持孔24とを有している。支持部10は、ピニオンギヤ9の底部20を回転可能に支持するようになっている。
【0039】
底受け面23は、湾曲した凹形状になっている。この湾曲の曲率半径は、ケース2の回転軸Cから底受け面23までの距離よりも小さい値としている。すなわち、底受け面23は、内周側よりも外周側の方がケース2の回転軸Cからの距離が短い凹形状になっている。
【0040】
図5に示すように、支持部10の底受け面23には、2本の底受け面潤滑油路25が形成されている。底受け面潤滑油路25は、底受け面23の外周縁部23aと内周縁部23bとを結ぶ溝からなるとともに、ピニオンギヤ9の底面21と底受け面23との間の潤滑油を支持孔24に案内するようになっている。底受け面潤滑油路25は、底受け面23の外周縁部23aのケース2の周方向(図5中、矢印で示す。)の端部から底受け面23の内周縁部23bのケース2の周方向の反対側の端部に、ケース2の中心側から見て右回転方向の螺旋状となるように形成されている。
【0041】
図4および図5に示すように、支持部10の支持孔24には、2本の支持孔潤滑油路26が形成されている。支持孔潤滑油路26は、支持孔24のケース2の内部側の周縁部24aとケース2の外部側の周縁部24bとを結ぶ溝からなるとともに、ピニオンギヤ9の支持軸22と支持孔24との間の潤滑油をケース2の外部に案内するようになっている。支持孔潤滑油路26は、底受け面潤滑油路25の支持孔24側の端部に連続するとともに、支持孔24の軸方向に沿って直線状に形成されている。
【0042】
支持部10の底受け面23の周囲の連結部15の内側には、2本の周囲部潤滑油路28が形成されている。周囲部潤滑油路28は、周囲部27と底受け面23の外周縁部23aとを結ぶ溝からなるとともに、周囲部27の潤滑油を底受け面23に案内するようになっている。周囲部潤滑油路28は、底受け面潤滑油路25の外周縁部23a側の端部に連続するとともに、ケース2の周方向に沿って底受け面23側から拡幅した形状になっている。また、周囲部潤滑油路28の溝底とケース2の回転軸Cとの距離は、底受け面23側が長く、底受け面23から離れるほど短くなっている。
【0043】
図1から図3に示すように、開口部11は、3個の連結部15の間の3箇所に形成されている。開口部11は、差動装置1の組立時や分解時に、第1のサイドギヤ5および第2のサイドギヤ7を通過させて収容空間16に出し入れ可能な大きさとなっている。
【0044】
次に、差動装置1の作用について以下に説明する。ここでは主に潤滑油35の流れについて説明する。
図1に示すように、自動車の走行時には、エンジンの駆動力がドライブピニオン4に伝達され、ドライブピニオン4が矢印40の方向に回転する。ドライブピニオン4の回転により、リングギヤ3が矢印41の方向に回転し、これに伴いケース2が回転する。この時、リングギヤ3がハウジング29に貯留した潤滑油35を掻き揚げる。
【0045】
リングギヤ3により掻き揚げられた潤滑油35は、ケース2の上方に到達する。ケース2の上方に達した潤滑油35の一部は、特にエンジンの停止時や低速回転時には矢印42のように重力で流れ落ち、上側に開口した開口部11を通過して直下のピニオンギヤ9に供給される。さらに、リングギヤ3が回転して、掻き揚げられた潤滑油35の一部は矢印43のように遠心力でリングギヤ3の外周側に飛ばされる。
【0046】
そして、リングギヤ3とドライブピニオン4との噛合部まで到達した潤滑油35は、リングギヤ3とドライブピニオン4との歯面同士のポンプ効果によりケース2の中心側に飛ばされる(図1および図3中、白抜き矢印で示す。)。そして、ケース2の回転軸Cを挟んで開口部11とピニオンギヤ9とが対向しているので、リングギヤ3とドライブピニオン4との噛み合い部分から飛ばされた潤滑油35はケース2の開口部11から何にも遮られずにケース2の内部に入り込み、通過した開口部11に向き合うピニオンギヤ9に直接供給される。
【0047】
上方あるいは側方からピニオンギヤ9に供給された潤滑油35は、第1のサイドギヤ5および第2のサイドギヤ7との噛合部の摩擦を軽減する。さらに、潤滑油35は、ケース2の回転の遠心力によりピニオンギヤ9の歯車部19の表面から底部20の表面に流れ、底部20の底面21と支持部10の底受け面23との間に入り込む。
【0048】
ここで、底受け面23の周囲に形成された周囲部潤滑油路28には、ケース2の内部の潤滑油35が入り込んでいる。そして、周囲部潤滑油路28の溝底とケース2の回転軸Cとの距離は、底受け面23側が長く、底受け面23から離れるほど短くなっているので、周囲部潤滑油路28に入り込んだ潤滑油35はケース2の回転の遠心力で底受け面23に案内される。このため、ピニオンギヤ9に付着した潤滑油35と底受け面23の周囲の潤滑油35とが、ケース2の回転の遠心力により底面21と底受け面23との間に入り込むようになる。
【0049】
そして、底受け面23では、湾曲の曲率半径はケース2の回転軸Cから底受け面23までの距離よりも小さい値となっているので、底面21と底受け面23との間の潤滑油35はケース2の回転の遠心力により支持孔24に向かって流れる。これにより、潤滑油35は支持軸22と支持孔24との間に入り込む。ここで、底受け面23に形成された底受け面潤滑油路25は、底受け面23の外周縁部23aから内周縁部23bまでを結ぶ溝であるので、底受け面潤滑油路25によっても潤滑油35が支持孔24に流通される。
【0050】
支持孔24はケース2の内外を連通しているので、支持軸22と支持孔24との間の潤滑油35はケース2の回転の遠心力によりケース2の外部に向かって流れる。ここで、支持孔24に形成された支持孔潤滑油路26は、支持孔24のケース2の内部側の周縁部24aとケース2の外部側の周縁部24bとを結ぶ溝であるので、支持孔潤滑油路26によっても潤滑油35がケース2の外部に向かって流通される。
【0051】
以上のように、本実施の形態に係る差動装置1によれば、ピニオンギヤ9の底部20の支持軸22が支持部10の支持孔24に嵌合することによってピニオンギヤ9が自立しているので、従来のようなピニオンギヤ9を周囲から支持する支持突起は不要になり、ドライブピニオン4から飛ばされた潤滑油35は支持突起に遮られることなく開口部11からケース2の内部に入り込み、ケース2の回転による遠心力でピニオンギヤ9の底部20に達するようになる。このため、ドライブピニオン4からケース2の中心側に飛ばされた潤滑油35のピニオンギヤ9への供給量を増加することができるので、ピニオンギヤ9の焼き付き防止への信頼性を向上することができる。
【0052】
また、ピニオンギヤ9は、ケース2の回転軸Cを中心に120度ごとに3個設けられているので、ドライブピニオン4からケース2の中心側に飛ばされた潤滑油35は、開口部11からケース2の内部に入り込むとその反対側に位置するピニオンギヤ9に供給されるようになる。これにより、ピニオンギヤ9に供給される潤滑油35の流量を増加することができる。
【0053】
また、支持孔24はケース2の内外を連通しているので、潤滑油35は支持孔24に貯留することなくケース2の回転による遠心力でケース2の外部に排出される。このため、支持孔24が有底である場合のように支持孔24に潤滑油35とともに金属粉などの塵が溜まってしまうことはなく、このような塵の貯留によりピニオンギヤ9の回転抵抗を増大させてしまうことを防止できる。
【0054】
さらに、周囲部潤滑油路28と底受け面潤滑油路25と支持孔潤滑油路26とが設けられているので、ピニオンギヤ9の底部20と支持部10との間の摺接部位に供給される潤滑油35の流量を増加することができ、ケース2の高速回転時には特に増量の効果が高くなる。これにより、ピニオンギヤ9の焼き付き防止への信頼性を向上することができる。
【0055】
また、底受け面潤滑油路25はケース2の中心側から見て螺旋状に形成されているので、底受け面潤滑油路25がピニオンギヤ9の回転方向に直交する形状である場合に比べて、ピニオンギヤ9の底面21と底受け面23との間のピニオンギヤ9の回転方向への抵抗を小さくすることができる。これにより、ピニオンギヤ9の回転を円滑にできるとともに、ピニオンギヤ9および支持部10の摺接部位の摩耗を抑制することができる。
【0056】
また、ピニオンギヤ9の歯車部19と支持軸22とが一体形成されているので、従来のような歯車部19を貫通するピニオンシャフトを用いる必要が無い。これにより、歯車部19にピニオンシャフトを挿入するための貫通孔を設ける必要が無いので、ピニオンギヤ9の小型化を図ることができる。さらに、ピニオンギヤ9の小型化により、開口部11を大型化できるので、開口部11を通過する潤滑油35の量を増加することができる。
【0057】
ここで、上述した本実施の形態の差動装置1においては、底受け面潤滑油路25は螺旋状で2本設けられているが、本発明に係る差動装置においては、2本に限られず1本であってもよい。この場合、例えば図6に示すように、底受け面23の外周縁部23aのケース2の周方向の一端部から底受け面23の内周縁部23bのケース2の周方向の同じ側の一端部に、ケース2の中心側から見て右回転方向に支持孔24の周りを一周した螺旋状に形成することができる。
【0058】
また、図6中、想像線で示すように、底受け面23の外周縁部23aのケース2の周方向の他端部から上述の底受け面潤滑油路25に合流するように、ケース2の中心側から見て右回転方向の螺旋状の分岐潤滑油路25aを更に備えるようにしてもよい。あるいは、底受け面潤滑油路25はケース2の中心側から見て右回転方向の螺旋状にも限られず、左回転方向の螺旋状であってもよい。
【0059】
また、上述した本実施の形態の差動装置1においては、底受け面潤滑油路25は螺旋状としているが、本発明に係る差動装置においては、螺旋状に限られず例えば直線状や曲線状であってもよい。この場合、底受け面潤滑油路25は、例えば図7に示すように、底受け面23の内周縁部23bから底受け面23の外周縁部23aに放射状に配置された直線状とすることができる。これによれば、キャップ18の形成時の作業工程を簡易化することができるので、部品コストを低減することができる。あるいは、底受け面潤滑油路25は、例えば図8に示すように、底受け面23の外周縁部23aから2つに分岐して底受け面23の内周縁部23bに達する曲線状としてもよい。
【0060】
また、上述した本実施の形態の差動装置1においては、支持孔潤滑油路26は直線状としているが、本発明に係る差動装置においては、直線状に限られず、例えば螺旋状や曲線状であってもよい。さらには、周囲部潤滑油路28は底受け面23から拡幅された形状としているが、本発明に係る差動装置においては、拡幅された形状に限られず、例えば直線状や螺旋状や曲線状であってもよい。
【0061】
さらに、上述した本実施の形態の差動装置1においては、周囲部潤滑油路28と底受け面潤滑油路25と支持孔潤滑油路26とを備えているが、本発明に係る差動装置においては、周囲部潤滑油路28と底受け面潤滑油路25と支持孔潤滑油路26との全てを備えることに限られず、例えば周囲部潤滑油路28と底受け面潤滑油路25と支持孔潤滑油路26との中の1つか2つのみ備えるようにしてもよく、あるいは全く備えていなくてもよい。
【0062】
また、上述した本実施の形態の差動装置1においては、ケース2は一体形成されたものとしているが、本発明に係る差動装置においては、一体形成されたものに限られず、例えば分割可能なものとしてもよい。この場合、例えば図9に示すように、ケース2を第1の円筒部側半体30と第2の円筒部側半体31とに分割可能なものにすることができる。
【0063】
ここで、第1の円筒部側半体30は、第1の円筒部12と、フランジ部14と、連結部15と、連結部15の第2の円筒部13側に形成された固定リング部32とを備えている。第2の円筒部側半体31は、第2の円筒部13と、第2の円筒部13の第1の円筒部12側に形成された固定フランジ部33とを備えている。そして、固定リング部32と固定フランジ部33とは、ボルト34により固定されるようになっている。固定リング部32および固定フランジ部33の固定により、第1の円筒部側半体30と第2の円筒部側半体31とが一体化されて、ケース2を形成するようになっている。このケース2によれば、第1のサイドギヤ5および第2のサイドギヤ7のケース2の収容空間16への出し入れを容易にすることができるようになる。
【0064】
また、上述した本実施の形態の差動装置1においては、ピニオンギヤ9を3個設けているが、本発明に係る差動装置においては、3個に限られず、例えば2個や4個としてもよい。2個の場合、例えば図10に示すように、ピニオンギヤ9は、ケース2の回転軸Cを中心に180度ごとに設けるようにする。これによれば、部品点数を少なくすることができるので、部品コストを低減することができる。
【0065】
また、上述した本実施の形態の差動装置1においては、ピニオンギヤ9の歯車部19と支持軸22とを一体形成しているが、本発明に係る差動装置においては、一体形成に限られず、例えば歯車部19に軸孔を形成して、その軸孔に別部材からなる支持軸を圧入して一体化するようにしてもよい。
【0066】
以上説明したように、本発明に係る差動装置は、ドライブピニオンからケースの中心側に飛ばされた潤滑油のピニオンギヤへの供給量を増加する場合に好適な差動装置全般に有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 差動装置
2 ケース
3 リングギヤ
4 ドライブピニオン
5 第1のサイドギヤ
6 第1のドライブシャフト
7 第2のサイドギヤ
8 第2のドライブシャフト
9 ピニオンギヤ
10 支持部
11 開口部
19 歯車部
21 底面
22 支持軸
23 底受け面
23a 底受け面の外周縁部
23b 底受け面の内周縁部
24 支持孔
24a 支持孔の内部側の周縁部
24b 支持孔の外部側の周縁部
25 底受け面潤滑油路
26 支持孔潤滑油路
27 周囲部
28 周囲部潤滑油路
35 潤滑油
C ケースの回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なケースと、前記ケースに同軸で固定されるとともに少なくとも一部が潤滑油に浸漬し回転により前記潤滑油を掻き揚げるハイポイドギヤからなるリングギヤと、前記リングギヤに噛合するハイポイドピニオンからなるドライブピニオンと、前記ケースに収容されるとともに前記リングギヤと同軸で前記ケースに回転可能に支持されるかさ歯車からなる第1のサイドギヤと、前記第1のサイドギヤに連結されて一体回転する第1のドライブシャフトと、前記ケースに収容されるとともに前記第1のサイドギヤに同軸で対向して前記ケースに回転可能に支持されるかさ歯車からなる第2のサイドギヤと、前記第2のサイドギヤに連結されて一体回転する第2のドライブシャフトと、前記ケースに収容されるとともに前記第1のサイドギヤおよび前記第2のサイドギヤに噛合する歯車部を有するかさ歯車からなる2個以上のピニオンギヤと、前記ケースに形成されて前記リングギヤの回転に伴い旋回するとともに前記ピニオンギヤを回転可能に支持する支持部と、前記支持部同士の間に形成されるとともに前記ケースの内外を連通して前記ケースの外部から前記ケースの内部に前記潤滑油を供給可能にする開口部とを備えた差動装置において、
前記ピニオンギヤは、前記歯車部の底面と、前記歯車部の回転軸と同軸で前記底面の中央から突出する支持軸とを有し、
前記支持部は、前記ピニオンギヤの前記底面を面接触により回転可能に支持する底受け面と、前記ピニオンギヤの前記支持軸を回転可能に支持するとともに前記ケースの内外を連通する支持孔とを有することを特徴とする差動装置。
【請求項2】
前記底受け面は、前記ケースの回転軸から前記底受け面までの距離よりも小さい曲率半径の湾曲した凹形状であることを特徴とする請求項1に記載の差動装置。
【請求項3】
前記底受け面に形成されるとともに、前記底受け面の外周縁部と内周縁部とを結んで、前記ピニオンギヤの前記底面と前記底受け面との間の前記潤滑油を前記支持孔に案内する溝からなる底受け面潤滑油路を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の差動装置。
【請求項4】
前記支持孔に形成されるとともに、前記支持孔の前記ケースの内部側の周縁部と前記ケースの外部側の周縁部とを結んで、前記ピニオンギヤの前記支持軸と前記支持孔との間の前記潤滑油を前記ケースの外部に案内する溝からなる支持孔潤滑油路を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1の請求項に記載の差動装置。
【請求項5】
前記底受け面の周囲部と前記底受け面の外周縁部とを結んで、前記周囲部の前記潤滑油を前記底受け面に案内する溝からなる周囲部潤滑油路を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1の請求項に記載の差動装置。
【請求項6】
前記底受け面潤滑油路と前記支持孔潤滑油路との少なくとも一方は螺旋状であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1の請求項に記載の差動装置。
【請求項7】
前記底受け面潤滑油路と前記支持孔潤滑油路と前記周囲部潤滑油路との少なくとも1つは直線状であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1の請求項に記載の差動装置。
【請求項8】
前記ピニオンギヤは、前記第1のサイドギヤおよび前記第2のサイドギヤの回転軸を中心に120度ごとに3個設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1の請求項に記載の差動装置。
【請求項9】
前記ピニオンギヤは、前記第1のサイドギヤおよび前記第2のサイドギヤの回転軸を中心に180度ごとに2個設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1の請求項に記載の差動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−149692(P2012−149692A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7971(P2011−7971)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】