説明

帯域選択アンテナ

本発明は、携帯型製品に適用されるアンテナの特性を、スイッチ選択を通じて可変し、利得損失がなくても、求める帯域を選択できるようにした帯域選択アンテナに関するものであって、このためにアンテナ放射体に複数の接地選択スイッチを適用し、これを選別操作することによって、選択的放射体の適用ではなく、スイッチ動作による電気的特性変化のみで利得を維持しながら、求める帯域を選択できる効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型製品に適用されるアンテナの特性を、スイッチ選択を通じて可変し、利得損失がなくても、求める帯域を選択できるようにした帯域選択アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯用通信装置の爆発的増加と次世代通信市場を先占するための通信方式における研究によって多様な種類の周波数を用いる通信方式等が混在している。このような通信方式等は、類似な変調方式を使用しながらも、地域によって相違する周波数を使用していて、改善された形態の通信技術を適用するために複数の周波数を通じて単一サービスを提供する等、通信用携帯端末機が同時に支援しなければならない周波数帯域が次第に増加している。
【0003】
また、他の地域へ移動する場合、該地域で提供する通信サービスにローミングできる環境が整えているため、多様な地域で混在している通信周波数に対応できる、より効果的アンテナの必要性が高まっている。
【0004】
このように、複数帯域を支援するための多重帯域アンテナの場合、基本的なアンテナの構造設計を通じて、低周波帯域と高周波帯域等のように、比較的に帯域差の大きい複数帯域を支援するようにしている。
【0005】
しかし、例えば850MHz周波数を用いる汎欧州デジタル移動電話方式(GSM=Global System for Mobile Communications)サービスと900MHz周波数を用いるGSMサービスを同時に支援しようとする場合、これを多重帯域アンテナに設計することはよほど難しく、このような類似帯域と一緒にもっと高い周波数帯域(例えば、1.8GHz帯域の広帯域符号分割多重アクセス(WCDMA=Wideband Code Division Multiple Access)や、それ以上のデジタルセルラーシステム(DCS=Digital Cellular System)帯域)も支援しようとする場合、これを満すアンテナを携帯用装置に内蔵することができて、実効性のある利得を提供するように設計することはとても難しい。
【0006】
それによって、携帯用装置に内蔵することのできる平面型アンテナが隣接する帯域を支援するようにするために、アンテナの特性を変更する方式で帯域選択ができるようにする技術等が提案されたが、図1に例えたようにアンテナの物理的形態を選択的に可変することによって、アンテナの特性を変更し、使用帯域を選択する方式と、図2に例えたようにアンテナの特性を調節することのできるマッチング部を適用した後、マッチング部の素子特性を調節することによって、帯域をシフトさせる方式とが代表的である。
【0007】
まず、図1は、平面型アンテナ(1)の一部に連結された伝送ラインと各々大きさが相違する延長ライン等(3、4)を、スイッチ(2)を通じて選択カップリングさせるようにすることによって、帯域を選択する構造を示したものである。
【0008】
このような構造は、実質的にアンテナで動作するようになる延長ライン等を選択帯域によって構成しなければならないため、このような構成に必要な空間が大きくなって、配置が難しく、選択できる波長が制限的であり、小型化する携帯型アンテナに適用しにくい。
【0009】
図2は、一般的に帯域シフトのための簡単な方式であって、アンテナの給電部と通信部との間にマッチング部を具備し、前記マッチング部を構成する素子の特性を変更する方式で動作するようになる。
【0010】
しかし、前記マッチング部によって補償される波長の長さは、実質的な放射が不可能な部分であるため、シフトされるほど利得が低くなり、実際製品に適用できる程度のアクティブ状態利得を得ることが難しい。
【0011】
これは、図3を通じて確認できるが、アンテナの物理的設計による共振特性は、マッチングユニットを通じてアンテナの使用帯域をシフトすることによって次第に悪化され、求める利得を得ることが難しくなることがわかる。
【0012】
従って、利得を減らさずに適用が簡便で体積も小さくて、求める帯域を選択できるようにする携帯用通信端末機内蔵用アンテナに対する要求が急増していて、また基本的に多重帯域を支援する小型アンテナとして、このような高利得帯域選択ができるアンテナが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2002−261533号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10−2007−0071589号公報
【特許文献3】韓国公開特許第10−2001−0095044号公報
【特許文献4】国際公開第2003/094290号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明は、アンテナ放射体に複数の接地選択スイッチを適用し、これを選別操作することによって、選択的放射体の適用ではなく、スイッチ動作による電気的特性変化のみで利得を維持しながら、求める帯域を選択できるようにした帯域選択アンテナを提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明は、多重帯域に対応するように設計された平面逆Fアンテナの複数領域と接地とを選択的に連結するスイッチを一つ以上同時操作することによって、複数の基本設計帯域等の中で一部帯域を固定させ、一部帯域のみを他の帯域を選択するようにして、複数帯域サービスが要る場合にも柔軟に対応できるようにした帯域選択アンテナを提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明は、平面逆Fアンテナの電気的特性を、可変するスイッチをアンテナの上部、下部、側面、あるいはキャリアの内部などのような多様な位置に適用できるようにして、設計の自由度を高めた帯域選択アンテナを提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、実際の使用によるハンドイフェクト、ヘッドイフェクト、サイドイフェクトなどのようなディストーションを効果的に補償できるようにした帯域選択アンテナを提供することを目的とする。
【0018】
また、本発明は、平面逆Fアンテナはもちろんのこと、二重平面逆Fアンテナのような変形された平面型アンテナにおいても適用できるようにして、カップリング特性による多重帯域支援と帯域幅拡大のような、既存アンテナの長所を受容しながらも、求める帯域を効果的に選択できるようにした帯域選択アンテナを提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明は、平面逆Fアンテナはもちろんのこと、モノポールアンテナにおいても適用して、求める帯域を効果的に選択できるようにした帯域選択アンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記の目的を達成するために、本発明の実施例による帯域選択アンテナは、低周波帯域領域と高周波帯域領域とを含む複数の帯域に対応するためのパターンで構成された平面型アンテナ放射体と;前記アンテナ放射体と連結された給電線と;前記アンテナ放射体の複数領域と接地とを外部制御信号によって選択的に個別に連結する複数のスイッチ等と;前記スイッチ等を制御する制御部とを含み、前記制御部は、アンテナ動作周波数の全体帯域シフトやアンテナ動作周波数帯域の中の低周波帯域シフトのためには、該低周波帯域領域のアンテナ放射体に連結されたスイッチを動作させて、動作周波数帯域の中の高周波帯域シフトのためには、該高周波帯域領域のアンテナ放射体に連結されたスイッチを動作させるように構成される。
【0021】
前記スイッチが連結されたアンテナ放射体の複数領域は、前記給電線を基準として、前記アンテナパターンの開放点との距離関係によって共振が発生される領域等であることが好ましい。
【0022】
前記アンテナ放射体の一部領域と前記接地とが連結された一つ以上の基本接地部をさらに含めて構成されることができる。
【0023】
前記複数のスイッチには、個別的特性を有するLC素子が付加されて特性を改善でき、前記スイッチは組合せで動作できる。
【0024】
前記平面型アンテナ放射体は、前記給電線と電気的に離隔されて、カップリングアンテナで動作するアンテナ放射体をさらに含めて、二重逆Fアンテナ構成を有することもできる。
【0025】
前記スイッチは、前記アンテナ放射体と同一な平面に配置されるか、キャリアの側面又は下部に形成されることができる。
【0026】
一方、本発明の他の実施例による帯域選択アンテナは、接地および給電線が構成された 基板上に形成される帯域選択可能な平面アンテナであって、一つ以上の帯域に対応するためのパターンで構成された平面型アンテナ放射体と;前記アンテナ放射体を前記基板から離隔させて支持するキャリアと;前記アンテナ放射体と前記基板上の給電線を連結する給電部と;前記アンテナ放射体の複数領域と前記基板上に形成された接地を外部制御信号によって選択的に個別に連結する複数のスイッチ部と;前記複数のスイッチ部の動作を制御する制御部とを含み、前記制御部は、ハンドイフェクト、ヘッドイフェクト、又はサイドイフェクトによる帯域変化情報を受信して、既設定された対応組合せで前記スイッチ部を動作させるように構成される。
【0027】
前記スイッチ部は、前記キャリアの上部、側面、下部、内部、前記基板の中の少なくとも一部分に配置されることができて、前記アンテナ放射体と連結される場合、前記アンテナ放射体と接地との間に位置されて、雑音とディストーションを補償するLC素子部をさらに含むことを特徴とする。
【0028】
前記スイッチ部は、HEMT素子、ピンダイオード、FETの中の一つで構成されることができて、小型化が可能である。
【0029】
前記アンテナ放射体は、前記給電部と電気的に隔離されたカップリング放射体をさらに含むことができる。
【0030】
本発明の実施例による帯域選択アンテナは、一つ以上の帯域に対応するためのモノポールアンテナ放射体と;前記モノポールアンテナ放射体の下部に構成された給電部と;前記モノポールアンテナ放射体の複数領域と接地とを外部制御信号によって選択的に個別に連結する複数のスイッチ等とを含めて構成される。
【発明の効果】
【0031】
本発明の実施例による帯域選択アンテナは、アンテナ放射体に複数の接地選択スイッチを適用し、これを選別操作することによって、選択的放射体の適用ではなく、スイッチ動作による電気的特性の変化のみで利得を維持しながら、求める帯域を選択できる効果がある。
【0032】
本発明の実施例による帯域選択アンテナは、多重帯域に対応するように設計された平面逆Fアンテナの複数領域と接地とを選択的に連結するスイッチを一つ以上組合せて操作することによって複数の基本設計帯域等の中で一部帯域を固定させ、一部帯域のみが他の帯域を選択するようにして、複数帯域サービスが必要な場合にも、柔軟に対応できる効果がある。例えば、850MHz帯域と1.8GHz帯域で使用していた端末機を900MHz帯域と1.8GHz帯域で使用することもできるようになる。
【0033】
本発明の実施例による帯域選択アンテナは、平面逆Fアンテナの電気的特性を、可変するスイッチをアンテナの上部、下部、側面、キャリアの内部、基板などのように多様な位置に適用できるようにして設計の自由度を高める効果がある。
【0034】
本発明の実施例による帯域選択アンテナは、実際の使用によるハンドイフェクト、ヘッドイフェクト、サイドイフェクトなどのようなディストーションをスイッチ組合せによる帯域選択を通じて、効果的に補償できる効果がある。
【0035】
本発明の実施例による帯域選択アンテナは、二重平面逆Fアンテナのような変形された平面型アンテナにおいても適用できるようにし、カップリング特性による安定的多重帯域支援のような既存アンテナの長所を受容しながらも、求める帯域選択ができるようにして、適用対象が広範囲である効果がある。
【0036】
本発明の実施例による帯域選択アンテナは、平面逆Fアンテナはもちろんのこと、モノポールアンテナにおいても適用し、求める帯域を効果的に選択できるようにする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】従来帯域選択アンテナ構成の例である。
【図2】従来帯域シフトアンテナ構成の例である。
【図3】マッチングユニット調節を通じた帯域シフトに関する例である。
【図4】一般的な平面逆Fアンテナ(PIFA)構成を示した例である。
【図5】本発明の実施例に適用するための平面逆Fアンテナ構成の例である。
【図6】本発明の実施例による構成を示した概念図である。
【図7】本発明の実施例によるアンテナ構成例である。
【図8】本発明の実施例によるアンテナ構成例である。
【図9】複数連結端子を具備したスイッチの例である。
【図10】本発明の実施例によるスイッチ部構成例である。
【図11】本発明の他の実施例による構成例である。
【図12】本発明のまた他の実施例による構成概念図である。
【図13】本発明の実施例による二重帯域同時シフトの例である。
【図14】本発明の実施例による二重帯域の中の高周波帯域選択シフトの例である。
【図15】本発明の実施例による二重帯域の中の低周波帯域選択シフトの例である。
【図16】本発明の実施例によるハンドイフェクト補償例である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
前述のような本発明の実施例による多層アンテナを、図面を通じて詳細に説明する。
【0039】
図4は、一般的な平面逆Fアンテナの構造を示したものであって、図示のように、接地面(13)の上部に離隔されて、平面形態のアンテナ放射体(10)が位置し、前記アンテナ放射体(10)の一側に前記接地面(13)と前記アンテナ放射体(10)を電気的に短絡させる接地板(11)が構成され、前記アンテナ放射体(10)とまるでF文字の真ん中部分のように連結される給電部(12)が位置される。
【0040】
このような平面逆Fアンテナの共振周波数は、前記アンテナ放射体(10)の長さ(L)と幅(W)および前記アンテナ放射体(10)と接地面(13)との間の高さ(h)によって決定される。前記接地板(11)の幅(S)もまた影響を及ぼすが、その影響はあまり大きくない。
【0041】
このように固定される値等は、その変化のための制御が難しく、図1のように物理的大きさが大きくなるため、このような値等ではない、制御できる対象を探さないと帯域選択のためのアンテナを設計できない。
【0042】
前記平面逆Fアンテナで前記給電部(12)は、アンテナの電界分布の基準になって、接地板(11)の位置によって電界分布が異なるようになるため、前記接地板(11)の位置によって前記逆Fアンテナの共振点が変更されることができる。
【0043】
即ち、基本的に逆Fアンテナは伝送線の形態を有するため、等価伝送線モデルを適用して、その電流分布を把握することになるが、給電部を基準として接地板(11)によって短絡された部分に短絡負荷が存在し、開放された部分には開放負荷が存在する。
【0044】
従って、前記アンテナ放射体(10)から前記給電部(12)を基準として接地板(11)が連結された位置までの距離(s1)と、給電部(12)を基準として反対側の放射体(10)の先端までの距離(s2)を調節することになると、前記給電部(12)を通じて提供される給電電流によって、前記接地板(11)が連結されたアンテナ放射体(10)から前記反対側のアンテナ放射体(10)側へ、即ち、短絡地点から開放地点へ電流が流れるようになって、短絡地点では電流が最大になり、開放地点では最小になると、λ/4共振が発生するようになる。
【0045】
結局、求める共振のためには、適切なs1とs2の距離の設定が必要になる。
【0046】
一般的に逆Fアンテナを設計する時、接地板(11)の位置と給電部(12)の位置は共振のために固定され、その他の変形可能な要因等を調節して、求める性能を具現するように設計される。
【0047】
しかし、本実施例ではこのような接地板(11)の位置を可変させることによって、放射体の特性(長さ、幅、給電線の基準距離など)が共に可変されるようにし、共振点を変更できるようにすることによって、既存に期待できなかった多様な効果等をアンテナの大きさの大幅的増加がなくても、具現できるようにする。
【0048】
図5は、多重帯域に対応するように設計された平面逆Fアンテナ構成を示したものであって、図示したように接地面(61)が形成された基板(60)上に配置されたキャリア(20)の上部に低周波帯域(31)と高周波帯域(32)を同時に対応するためのパターンで構成されたアンテナ放射体(30)と前記アンテナ放射体(30)の基準領域と基板(60)上の給電線を連結する給電部(40)を構成する。
【0049】
また、前記アンテナ放射体(30)を短絡させるために、接地面(61)と前記アンテナ放射体(30)を連結する接地部(50)がさらに構成される。
【0050】
これで、前記接地部(50)と給電部(40)およびアンテナ放射体(30)の構成によって前記給電部(40)に給電電流が提供されると低周波帯域と高周波帯域における放射が起きるようになって、逆に低周波帯域と高周波帯域から受信される信号によって前記給電部(40)に受信電流が発生するようになる。
【0051】
図6は、図5のような多重帯域平面逆Fアンテナを変形して多様な効果を提供する帯域選択機能を付加した本発明の一実施例の概念的構成を示したものである。
【0052】
図示のように、アンテナ放射体(30)の複数領域に個別的に該領域を接地と連結させるスイッチ(61〜64)が構成されたことがわかる。
【0053】
図示された場合、基本的接地部(50)を維持しているが、該接地部(50)もスイッチによって動作される形態に代替することができ、このような基本的接地部(50)を複数で構成することもできる。
【0054】
前記スイッチ等は、個別的に外部制御信号によって動作され、選択的に該アンテナ放射体(30)の所定領域を接地させるようになる。
このような場合、前記新しい接地構成によって給電部(40)を基準として定義されるアンテナ放射体(30)の接地(短絡)領域と開放領域が変化するようになって、このようなアンテナ放射体(30)の電界分布変化によって、前記逆Fアンテナの使用帯域が可変されるようになる。
【0055】
一方、この時、前記逆Fアンテナの選択帯域における十分な利得と特性を得るために、前記スイッチ(61〜64)が連結されるアンテナ放射体(30)の連結領域は、アンテナ給電部(40)の位置とアンテナ放射体(30)のパターン形態によって、求める共振点を得られる位置、即ち、予め見た適切なs1とs2との距離になるようにできる位置で決定されることが好ましい(スイッチを複数で選択できるため、複数スイッチ選択の時、選択されるs1とs2によって共振するように構成されると、所定スイッチ連結部は、共振のための位置ではなくてもよい。)。
【0056】
一方、前記スイッチ(61〜64)は、基本的にこれらの中の一つのみが動作して特定アンテナ放射体(30)地点を接地と連結するようになるが、必要によっては、これらを組合せて使用することもあることに注意する。
【0057】
図7および図8は、選択的アンテナ放射体接地連結のためのスイッチ等の配置方式を示した例であって、図7はスイッチ等(71〜75)をキャリア(20)の上部、即ち、アンテナ放射体(30)と同一平面に構成した場合を示したものである。
【0058】
基本的に、前記スイッチ等(71〜75)は、電気的電位連結のためのものであって、放射体連結のためではないため、給電部(40)を通じて提供される給電電流によってアンテナが動作する場合に流れる短絡電流に耐えることのできるレベルのスイッチであるならば、任意的に選択して使用することができる。
【0059】
図示された例では、高電子移動度トランジスター(HEMT=High Electron Mobility Transistor)や電界効果トランジスター(FET=Field−Effect Transistor)を用いたスイッチ、ピンダイオードなどの小型でありながら制御可能な多様なスイッチ等を適用できて、このようなスイッチ等はとても小さい大きさで適用されることがあるため、これを適用することによってアンテナの体積はほとんど増加されない。図示された構成で制御のための信号ラインは省略したことに注意する。
【0060】
図8は、スイッチ等(80)を基板(60)の上部でありながら、前記キャリア(20)の下部に形成した場合を示したものである。これを通じて、前記スイッチ等(80)を適用することによる体積増加を無視できるようになる。
【0061】
図示された構成では、スイッチが放射体(30)の下部に位置される基板(60)の上部面に構成される場合を示したものであるが、前記スイッチが前記基板(60)の後面に構成され、前記アンテナ放射体(30)とのライン連結は、基板(60)上に連結パッドとビアホールを構成することによって実質的な接地領域減少を最小化することができ、アンテナ放射体(30)の放射効率に影響が及ばないようにすることができる。
【0062】
また、図示された構成を通じて予想できるが、前記スイッチ等(80)を前記キャリア(20)の下部ではなく、アンテナの領域から離れた領域の基板上に形成することもできて、こういったスイッチ等の体積はとても小さいため、実質的な基板損失は最小化することができて、配置便宜性を高めることができる。
【0063】
その他に、前記キャリア(20)の側面や内部にもスイッチを構成できるなど、実質的なスイッチ構成位置における制限はほとんどない。
【0064】
図9は、簡単な統合スイッチ(90)の例であって、図示のように接地と選択的に連結できる連結ユニットを構成して、これらの中の一つを選択するようにするスイッチを適用できて、構成体積を減らすことができて、既存に使用されていたSPmT(Single Pole multi Throw)を活用することもできるため、構成費用が低く、制御速度および特性のいいスイッチを開発するための費用を下げることができる。
【0065】
しかし、このような商用スイッチの場合、個別選択のみができるため、既存商用スイッチを改良して、mPmT(Multi Pole Multi Throw)形態の制御ができるように構成する場合、各スイッチ等の組合せ制御も可能になり、制限された短絡部分の変化をより多様に活用できるようになる。
【0066】
図10は、スイッチの他の構成を示したものであって、図示されたスイッチ部(100)は、基本的に制御信号によって動作されるスイッチ(110)と前記スイッチ(110)によって接地と連結されるアンテナ放射体が設定する帯域特性に合わせて各種の雑音を除去するためのチョーク(choke)機能および特性改善のためのLC回路を構成したLC部(120)を含めて構成される。
【0067】
前記LC部(120)は、スイッチごとに相違する値や構成を有することができて、これを通じてスイッチ連結によるノイズやディストーションを遮断し、特性を改善することができる。
【0068】
図11は、逆Fアンテナの変形である二重逆Fアンテナに本発明のスイッチ連結構成を適用した場合を示したものである。このような二重逆Fアンテナは、基本逆Fアンテナ(150)に隣接して類似な構成を有するが、給電部のないアンテナ(155)を配置してカップリング効果を活用することによって、多重帯域特性を得ることができ、その帯域幅を大きく拡張することができる。
【0069】
このような二重逆Fアンテナのような変形されたアンテナも基本的に給電部(151)が連結されたアンテナ(150)の接地部位置と隣接アンテナの構成によって多様な帯域変化ができるため、図示したように給電部(151)が連結されたアンテナ(150)の放射体部分に複数のスイッチ(161〜163)を連結してアンテナ特性を多様に変化させることができる。
【0070】
図示された場合には、基本アンテナ(150)部分のみにスイッチ等を連結したが、隣接したカップリングアンテナ(155)にもスイッチ等を連結して帯域変化を誘導することができる。
【0071】
図12は、モノポールアンテナに本発明のスイッチ連結構成を適用した場合を示したものであって、図示したように給電部(171)を有するモノポールアンテナ(170)もアンテナ放射体部分に接地と選択的に連結されるスイッチ等(181、182)を連結する場合、これらを選択することによって求める帯域へのシフトができるようになる。
【0072】
このような原理は、予め説明した逆Fアンテナと類似な電界分布の変形によるものであって、スイッチ適用による接地連結によってモノポールアンテナ自体の有する電界分布が変形することによって共振点が異なった違った形態のアンテナ構造になるようにする。
【0073】
予め説明した多様な例等から、スイッチ等は外部制御信号によって動作するようになるが、こういった制御信号を提供する制御部は、前記アンテナ等が適用される携帯用通信端末機の主制御器になることができ、前記アンテナ帯域選択のための専用制御器になることもでき、既設定された信号によって単純対応するロジックでも構成されることができる。
【0074】
これから、前記説明したアンテナ等の例のように構成が難しくなく、スイッチ等の付加による体積の増加もほとんどなく、スイッチ構成の設計の自由度が高くて適用が容易である本発明の実施例等のアンテナを用いて活用できる帯域選択方式の例等を、シミュレーション波形を通じて確認する。
【0075】
図13は、図7と類似に構成した平面逆Fアンテナを用いて帯域を選択してみた結果を示したものであって、低周波帯域のためのアンテナ放射体パターン部分に適用されたスイッチと高周波帯域のためのアンテナ放射体パターン部分に適用されたスイッチを用いて利得の減少なく二つの帯域を同時に移動させた結果を示したものである。
【0076】
図示された例では、低周波帯域に構成されたスイッチ一つをオン・オフすることによる結果を示したものであって、必要によっては、複数スイッチ等を操作することもできる。
【0077】
図示されたように右側のグラフ(青色)は、スイッチを動作させなかった場合の基本的な接地部による帯域特性を示したものであって、GSM900(900MHz)とパーソナル通信サービス(PCS=Personal Communications Service)(1.9GHz)帯域を支援することがわかる。
【0078】
このような場合、スイッチを動作させると、左側にシフトされたグラフ(赤色)のようにGSM850(850MHz)、DCS1800(1.8GHz)帯域に適合するように帯域が選択されたことがわかり、このような帯域選択による利得の減少が発生しなかったことがわかる。
【0079】
図14は、他の形態の平面逆Fアンテナを用いて低周波領域と高周波領域における二重帯域特性を有するアンテナの帯域を選択する場合を示したものであって、青色グラフの状態からスイッチ操作(例えば、高周波帯域パターンに連結されたスイッチ操作)を通じて赤色グラフ状態へ帯域が移動したものである。
【0080】
図示されたように、単純に全ての帯域を同一にシフトさせることではなく、低周波帯域はそのまま維持するようにして、高周波帯域のみをもっと高い帯域へシフトしたことを確認できる。このような帯域選択は、多様な高周波帯域等(DCS、PCS、WCDMAなど)を包括することができて、多様なアプリケーションを適用できる。
【0081】
逆に、図15は、高周波帯域はそのまま維持するようにして、低周波帯域のみを選択的にシフトした場合を示したものである。例えば、低周波帯域パターンに連結されたスイッチ操作を通じて利得の減少なく、選択的シフトが可能となる。
【0082】
このように、本発明の実施例によるアンテナは、制御部を通じてスイッチの単一あるいは組合せ操作を通じて利得の減少のない帯域選択ができるようにしながら、多重帯域アンテナに適用する場合、多重帯域全てや、これら帯域の中の選択された帯域のみを他の帯域に選択できるようになる。
【0083】
例えば、850MHz帯域GSMと1.8GHz帯域DCSを使用する地域から900MHz帯域GSMと1.8GHz帯域DCSを使用する地域へ移動する場合のように、特定帯域の周波数のみを選別的に可変する必要があるとしても、本発明の実施例を適用したアンテナは、これを効果的(利得の減少なく)に支援できるようになる。
【0084】
もちろん、このような例は、断片的例に過ぎず、求める多様な低周波帯域と高周波帯域等における選択が可能である。また、必要な選択帯域において低周波帯域シフトが要る場合、低周波部分のスイッチのみを用いるか、高周波帯域シフトが要る場合、高周波部分のスイッチのみを用いることができるなど、使用帯域によってスイッチ選択方式は自由に決定できる。
【0085】
特に、本実施例によるアンテナは、多様な通信方式等が混在してサービスされているヨーロッパや中国などのような地域で、全ての通信条件を充たすことのできる携帯通信端末機内蔵型アンテナとして効果的に使用できる。
【0086】
図16は、本発明の実施例を通じて提供されるスイッチ操作を通じて提供できる追加的機能に関するものであって、最近その改善方式について興味の高いハンドイフェクトやヘッドイフェクトなどのサイドイフェクトにおける補償を提供できるようにしたものであって、図示された場合は、携帯端末機を手に持った場合に発生するハンドイフェクトを補償する内容を示したものである。
【0087】
図示された構成では、緑色グラフが正常状態を示して、青色グラフがハンドイフェクトによって低周波帯域がシフトされた場合を示したものである。
【0088】
このような低周波帯域シフトによって実質的な該帯域利得は大きく下がる場合、最近脚光を浴びている高速通信サービスを利用する時、深刻な品質低下が発生するようになる。
【0089】
実質的にこのような帯域シフトにおける検出に関しては、多様な方式が登場しているが、これを解決するためには、マッチング調節のような消極的方式と限定され、低周波ディストーションを補償すると、高周波帯域が補償によってディストーションされ、全体的利得が低くなるなどの問題が発生する。
【0090】
本実施例では、このように問題になるハンドイフェクトを、既に知られている方式で検出すると、制御部を通じてこのようなイフェクトによる帯域ディストーションを補償するための帯域選択信号を既設定されたスイッチ(等)に提供することによって、これを図示された赤色グラフのように補償できる。
【0091】
図示されたように既存の緑色グラフと同一な帯域と復元されて、高周波帯域は既存帯域をそのまま維持する。このような補償によって、高周波帯域利得はむしろ増加したことがわかる。
【0092】
このようなハンドイフェクトにおける正確な補償に関するアルゴリズムは、多様に存在する既存方式等が携帯用通信端末機の主制御器や専用制御器等に適用できて、前記アンテナスイッチを制御する制御部が補償のための信号によって既設定されたスイッチを選別、あるいは組合せで動作させることによって、簡単にハンドイフェクトやヘッドイフェクトなどの各種サイドイフェクトを補償できるようになる。
【0093】
以上、本発明による好ましい実施例について図示し、説明した。しかし、本発明は前述の実施例に限定することなく、特許請求の範囲に添付する本発明の要旨を外れることなく該発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば誰でも多様な変形実施ができる。
【符号の説明】
【0094】
20 キャリア
30 アンテナ放射体
31 低周波帯域パターン
32 高周波帯域パターン
40 給電部
50 接地部
60 基板
61 接地面
90 統合スイッチ
100 スイッチ部
110 スイッチ
120 LC部
150 基本逆Fアンテナ
151 給電部
155 カップリングアンテナ
170 モノポールアンテナ
171 給電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低周波帯域領域と高周波帯域領域とを含む複数の帯域に対応するためのパターンで構成された平面型アンテナ放射体と;
前記アンテナ放射体と連結された給電線と;
前記アンテナ放射体の複数領域と接地とを外部制御信号によって選択的に個別に連結する複数のスイッチ等と;
前記スイッチ等を制御する制御部とを含み、
前記制御部は、アンテナ動作周波数全体帯域シフトや、アンテナ動作周波数帯域の中の低周波帯域シフトのためには、該低周波帯域領域のアンテナ放射体に連結されたスイッチを動作させ、動作周波数帯域の中の高周波帯域シフトのためには、該高周波帯域領域のアンテナ放射体に連結されたスイッチを動作させる
ことを特徴とする帯域選択アンテナ。
【請求項2】
前記アンテナ放射体の一部領域と前記接地とが連結された一つ以上の基本接地部をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の帯域選択アンテナ。
【請求項3】
前記複数のスイッチには個別的特性を有するLC素子が付加される
ことを特徴とする請求項1に記載の帯域選択アンテナ。
【請求項4】
前記平面型アンテナ放射体は前記給電線と電気的に離隔されてカップリングアンテナで動作するアンテナ放射体をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の帯域選択アンテナ。
【請求項5】
前記スイッチは既設定された組合せによって動作される
ことを特徴とする請求項1に記載の帯域選択アンテナ。
【請求項6】
前記スイッチは前記アンテナ放射体と同一平面に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の帯域選択アンテナ。
【請求項7】
前記スイッチは前記アンテナ放射体と接地面とを離隔させるキャリアの側面に形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の帯域選択アンテナ。
【請求項8】
前記スイッチは前記アンテナ放射体と接地面とを離隔させるキャリアの下部、あるいは、その内部に形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の帯域選択アンテナ。
【請求項9】
接地および給電線が構成された基板上に形成される帯域選択可能な平面アンテナであって、
一つ以上の帯域に対応するためのパターンで構成された平面型アンテナ放射体と;
前記アンテナ放射体を前記基板から離隔させて支持するキャリアと;
前記アンテナ放射体と前記基板上との給電線を連結する給電部と;
前記アンテナ放射体の複数領域と前記基板上に形成された接地とを外部制御信号によって選択的に個別連結する複数のスイッチ部と;
前記複数のスイッチ部の動作を制御する制御部とを含み、
前記制御部は、ハンドイフェクト、ヘッドイフェクト、又はサイドイフェクトによる帯域変化情報を受信して既設定された対応組合せで前記スイッチ部を動作させる
ことを特徴とする帯域選択アンテナ。
【請求項10】
前記アンテナ放射体の一部領域と前記接地とが連結された一つ以上の基本接地部をさらに含む
ことを特徴とする請求項9に記載の帯域選択アンテナ。
【請求項11】
前記スイッチ部は、前記キャリアの上部、側面、下部、内部、前記基板の中の少なくとも一部分に配置される
ことを特徴とする請求項9に記載の帯域選択アンテナ。
【請求項12】
前記スイッチ部は、前記アンテナ放射体と接地との間に位置されて雑音とディストーションを補償するLC素子部をさらに含む
ことを特徴とする請求項9に記載の帯域アンテナ。
【請求項13】
前記LC素子部の特性はスイッチ部ごとに相違する
ことを特徴とする請求項12に記載の帯域選択アンテナ。
【請求項14】
前記制御部は、前記スイッチ部を既設定された組合せによって動作させる
ことを特徴とする請求項9に記載の帯域選択アンテナ。
【請求項15】
前記スイッチ部は、HEMT素子、FET素子、ピンダイオードの中の少なくとも一つで構成される
ことを特徴とする請求項9に記載の帯域選択アンテナ。
【請求項16】
前記アンテナ放射体は、前記給電部と電気的に隔離されたカップリング放射体をさらに含む
ことを特徴とする請求項9に記載の帯域選択アンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−518937(P2012−518937A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550996(P2011−550996)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006958
【国際公開番号】WO2010/095803
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(508204582)ネオパルス カンパニーリミテッド (3)
【Fターム(参考)】