説明

帯電装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置

【課題】帯電装置の磨耗を抑えながら、帯電装置に付着したトナーやトナーの外添剤を除去する機構を備えた帯電装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置を提供する。
【解決手段】所定方向に移動しながら帯電を受ける被帯電体に対して当接することにより該被帯電体に電荷を付与する帯電装置において、上記被帯電体と当接し、該被帯電体の移動に対して従動回転しながら該被帯電体に電荷を付与する帯電部材と、上記帯電部材と当接し、該帯電部材の回転に対して従動回転して該帯電部材に付着した付着物を取り除くクリーニング部材と、上記クリーニング部材の従動回転を一時的に抑制する制動部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被帯電体に電荷を付与する帯電装置、記録媒体上に画像を形成するためのプロセスカートリッジおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタやコピー機を中心とする画像形成装置が広く普及しており、このような画像形成装置を構成する様々な要素に関する技術も広く普及している。画像形成装置の中でも電子写真方式を採用している画像形成装置では、感光体ドラムをはじめとする感光体
を帯電装置を用いて帯電させ、帯電した感光体上に周囲の電位とは電位が異なる静電潜像を形成することによって印刷したいパターンの形成が行われることが多く、このようにして形成された静電潜像は、トナーで現像された後、最終的に記録媒体上に転写される。
【0003】
帯電装置は、感光体を帯電させるという重要な働きをする装置であり、感光体に直接接触して感光体を帯電させる接触帯電方式の帯電装置と、感光体とは接触せずに感光体近傍でコロナ放電などにより感光体を帯電させる非接触帯電方式の帯電装置との2種類の帯電装置に大別される。非接触帯電方式の帯電装置では、放電によって副次的に、オゾンや窒素酸化物といった、環境に好ましくない影響を与える物質が生成されることがあるため、最近では、接触帯電方式を採用する帯電装置が増えている。
【0004】
接触帯電方式の帯電装置には、帯電ロールをはじめとする、感光体と直接接触して感光体を帯電させる帯電部材が備えられている。感光体の帯電が行われる際には、感光体上のトナーやトナーの外添剤がこの帯電部材に付着することが多く、こうした付着物により帯電部材の表面の抵抗(表面抵抗)にばらつきが生じて帯電性能が不安定化することがある。このため、接触帯電方式の帯電装置においては、帯電部材表面をクリーニングする機構を備えることが必要となる。クリーニング方式としては、ゴム製のブレードやパッドを帯電部材表面に圧接して付着物を掻き落とす方式が考えられるが、常時圧接したままだと帯電部材が磨耗する恐れがあるため、間欠的に圧接を行うことで帯電部材への影響を抑えながら帯電部材表面をクリーニングする方式を採用した帯電装置が知られている。しかし、このような間欠的なクリーニング方式では、クリーニングが行われてから次のクリーニングが行われるまでの間に汚れが急増して帯電性能が不安定化することがある。そこで、回転する帯電ロールに対し当接した状態で従動回転するロールによって、常時帯電部材表面をクリーニングする方式が提案されている(例えば、特許分文献1,特許分文献2参照)。
【特許文献1】特開平2−272594号公報
【特許文献2】特開平8−62948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、帯電部材表面に付着したトナーやトナーの外添剤の粒子は、高温度・高湿度になるにつれて帯電部材表面に固着したまま離れにくくなるため、上記の特許文献に記載されたクリーニング方式では、高温度・高湿度の状況下で、固着したトナーやトナーの外添剤の粒子を掻き落とすことなくロールが回転するようになり、クリーニング性が不充分となる。この結果、付着物により帯電装置の帯電性能が不安定化し、形成画像において画質の低下が発生する。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、帯電装置の磨耗を抑えながら、帯電装置に固着したトナーやトナーの外添剤を除去する機構を備えた帯電装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の帯電装置は、
所定方向に移動しながら帯電を受ける被帯電体に対して当接することにより該被帯電体に電荷を付与する帯電装置において、
上記被帯電体と当接し、該被帯電体の移動に対して従動回転しながら該被帯電体に電荷を付与する帯電部材と、
上記帯電部材と当接し、該帯電部材の回転に対して従動回転して該帯電部材に付着した付着物を取り除くクリーニング部材と、
上記クリーニング部材の従動回転を一時的に抑制する制動部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
帯電部材と被帯電体とが当接することにより被帯電体から帯電部材に異物が移行し、異物がそのまま帯電部材の表面に固着して帯電部材表面から離れにくくなることがある。このような状況では、クリーニング部材が帯電部材の回転に対して従動回転しているだけではクリーニング性が不充分となる。一方、クリーニング部材が常時停止した状態のまま帯電部材と当接し続けると帯電部材に対する摺擦力が大きすぎ、帯電部材の磨耗が発生する。
【0009】
本発明の帯電装置では、クリーニング部材の回転を抑制することにより帯電部材に対する摺擦力が生じてクリーニング性が向上され、この回転の抑制は一時的であるため、帯電部材の磨耗が回避される。
【0010】
また、本発明の帯電装置において、「上記クリーニング部材は、発泡ウレタンの弾性層を表面に有するものである」という形態は好ましい形態である。
【0011】
発泡ウレタンは多孔質の発泡体であり、このような発泡ウレタンを含有する弾性層を備えることにより、クリーニングの際には、発泡ウレタン表面の空隙(セル)を画定する縁(エッジ)によって帯電部材表面の粒子状の異物は機械的に掻き取られ、掻き取られた粒子状の異物は、空隙内に入り込んでその空隙内で凝集し凝固体状の異物となってクリーニング部材から放出される。こうした凝固体状の異物は、粒子状の異物よりも帯電部材表面への吸着力が小さく除去しやすいため、このように粒子状の異物を凝固体化することでクリーニング性が向上する。また、ウレタンは、帯電部材との間で滑りを起こしにくく効率的なクリーニングが可能となる材料であり、また帯電部材と当接する際の反発力も小さいので、帯電部材表面に擦れによるキズをつけにくい材料であり、クリーニング部材の弾性層の材料として好ましい性質を備えている。
【0012】
また、本発明の帯電装置において、「上記クリーニング部材は、弾性層を表面に有する、上記帯電部材に対して該弾性層の厚みの5分の1以上半分以下のくいこみ量で当接するものである」という形態も好ましい形態である。
【0013】
くいこみ量が小さすぎると、帯電部材に対してクリーニング部材が従動回転せずに空すべりを起こすようになり、このような状態では充分なクリーニング性が発揮されない。一方、くいこみ量が大きすぎると、帯電部材に対してクリーニング部材が当接する力が強すぎ、帯電部材の磨耗が生じて帯電部材の帯電性能が低下する。従って、適当な大きさのくいこみ量が望ましいことになる。上記の、弾性層の厚みの5分の1以上かつ弾性層の厚みの半分以下という範囲に属するくいこみ量であれば、帯電部材が磨耗することなく高いクリーニング性が発揮される。
【0014】
また、本発明の帯電装置において、「上記帯電部材を、直接的あるいは間接的に押圧することで上記帯電部材を上記被帯電体に所定当接力で当接させる押圧部を備え、
上記クリーニング部材は、上記所定当接力以下の力で厚みが半分に縮む弾性層を表面に有する、上記帯電部材に対して該弾性層の厚みの半分以下のくいこみ量で当接するものである」という形態も好ましい形態である。
【0015】
一般に、帯電部材に対するクリーニング部材のくいこみ量が同じ帯電器でも、クリーニング部材の弾性層の材質が異なれば、帯電部材とクリーニング部材とが当接しているときの荷重は異なる。帯電部材とクリーニング部材とが当接しているときの当接力が、帯電部材と感光体とが当接しているときの当接力を越えると、帯電部材にとって、クリーニング部材との当接力が感光体との当接力をしのぎ、帯電部材が感光体に対して従動回転しなくなる。この結果、帯電部材が充分な帯電性能を発揮しないという問題が生じる。このため、帯電部材とクリーニング部材との間の当接力を調整して、帯電部材と感光体との間の当接力を下回るようにする必要がある。経時変化や外部環境の変化などにより、帯電部材とクリーニング部材との間の当接力は変化することがあり、帯電部材とクリーニング部材との間の当接力が、確実に帯電部材と感光体との間の当接力を下回るようにすることが望ましい。
【0016】
上記の形態によれば、帯電部材に対するクリーニング部材のくいこみ量が、帯電部材の磨耗の回避が可能なくいこみ量のうち最大値である、弾性層の厚みの半分となるときであっても、そのときの帯電部材とクリーニング部材との間の当接力が、帯電部材と感光体との間の当接力を下回るため、帯電部材の磨耗が抑制されるとともに、帯電部材が充分な帯電性能を発揮することが確実なものとなる。
【0017】
上記目的を達成するための本発明のプロセスカートリッジは、
回転する像担持体;
上記像担持体と当接し、該像担持体の回転に対して従動回転しながら該像担持体に電荷を付与する帯電部材と、上記帯電部材と当接したまま該帯電部材の回転に対して従動回転して該帯電部材に付着した付着物を取り除くクリーニング部材と、上記クリーニング部材の従動回転を一時的に抑制する制動部とを有する帯電装置;
電荷が付与された上記像担持体に対し、露光により該像担持体に静電潜像を形成してトナーで現像してトナー像を形成するトナー像形成部;および
上記像担持体上に残留したトナーを、上記像担持体から除去するクリーニング部;
とを備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明のプロセスカートリッジは、上述した帯電装置を備えているため、帯電部材の磨耗を回避しながら、像担持体表面に固着した、トナーやトナーの外添剤が除去される。
【0019】
上記目的を達成するための本発明の画像形成装置は、
回転する像担持体を帯電し露光により該像担持体に静電潜像を形成してトナーで現像し最終的に記録媒体上にトナー像を転写および定着することにより該記録媒体上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置において、
上記像担持体と当接し、該像担持体の移動に対して従動回転しながら該像担持体に電荷を付与する帯電部材と、
上記帯電部材と当接し、該帯電部材の回転に対して従動回転して該帯電部材に付着した付着物を取り除くクリーニング部材と、
上記クリーニング部材の従動回転を一時的に抑制する制動部とを備えたことを特徴とする。
【0020】
本発明の画像形成装置は、上述した帯電装置を備えているため、帯電部材の磨耗を回避しながら、像担持体表面に固着した、トナーやトナーの外添剤が除去される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、帯電装置の磨耗を抑えながら、帯電装置に固着したトナーやトナーの外添剤を除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0023】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態を示す全体構成図である。
【0024】
この画像形成装置1000は、電子写真方式を採用したモノクロの片面出力プリンタである。この画像形成装置1000には、電子写真方式用の積層型の感光体であって、図の矢印B方向に回転する感光体3、感光体3に接触しながら感光体を帯電する接触型の帯電器20、感光体3に向けてレーザ光を発し、感光体3上に、周囲より電位の高くなった静電潜像を形成する露光部7、静電潜像にモノクロ(ブラック)のトナーを付着させて現像することでトナー像を形成する現像器8、形成されたトナー像に対して、搬送されてくる用紙を押圧し、バイアス電圧の印加を受けて感光体3から用紙上にトナー像の転写を行う転写ロール9、用紙上のトナー像に対し熱および圧力を加えることでトナー像の用紙への定着を行う定着器10、上記の各部の制御を行うCPU4、感光体3に接触し、トナー像の転写後に感光体3に付着したまま残留したトナーやトナーの外添剤をクリーニングするクリーニングブレード31が備えられている。ここで、帯電器20が、本発明にいう帯電装置の一例に相当する。また、上記の現像器8、帯電器20、感光体3、クリーニングブレード31は、一体化されてプロセスカートリッジを形成しており、画像形成装置1000にこのプロセスカートリッジが組み込まれることにより、このプロセスカートリッジの構成要素である各部が画像形成装置1000に備えられることとなる。このプロセスカートリッジが、本発明にいうプロセスカートリッジの一例に相当する。
【0025】
現像器8には、現像剤を表面に担持して図の矢印A方向に回転する現像スリーブ81、現像スリーブ81上に担持された現像剤を削り落として現像スリーブ81上の現像剤の層厚を調整する、2枚の層厚調整板82a,82b、現像剤が溜められた容器83、容器83内の現像剤を攪拌する2つの攪拌部84a,84bが設けられている。
【0026】
また、帯電器20には、感光体3と接触しながら従動回転して感光体3を帯電させる帯電部材22と、帯電部材22の表面上に付着した、トナーやトナーの外添剤などの付着物を除去するクリーニング部材21が備えられている。帯電部材22とクリーニング部材21とは、高圧電圧を発生する電源25と接続されて等電位となっており、この電源25で発生した高圧電圧によって感光体の帯電が行われる。また、クリーニング部材21の近傍には、図の両矢印C方向に移動してクリーニング部材21と当接・離間するストッパ24が設けられている。ストッパ24がクリーニング部材21から離間している状態では、クリーニング部材21は帯電部材22の回転に合わせて従動回転し、ストッパ24がクリーニング部材21と当接している状態では、クリーニング部材21は従動回転を停止しその状態で、回転する帯電部材22と接触する。このようなストッパ24の両矢印C方向の移動は、CPU4の制御を受けた駆動部5の駆動によって行われる。ここで、ストッパ24と駆動部5を合わせたものが、本発明にいう制動部の一例に相当する。
【0027】
図1に戻り、図1に示す画像形成装置1000における画像形成の動作について説明する。
【0028】
この画像形成装置1000には、ブラックのトナーが蓄えられた不図示のトナーカートリッジが備えられており、このトナーカートリッジにより現像器8にトナーの補給が行われる。また、トナー像が転写されるために用いられる用紙は、トレイ1の中に蓄えられ、ユーザから画像形成が指示されると、トレイ1から搬送されて、転写ロール9においてトナー像の転写が行われ、図の上方向に向かって搬送されていく。図1においては、この時の用紙搬送路が、上向きの矢印で示す経路として示されており、用紙はこの用紙搬送路を通って定着器10においてトナー像の定着が行われた後、図の右方向の矢印で示すように、右方向に排出される。
【0029】
次に、図1に示す帯電器20について図2、図3を用いて説明する。
【0030】
図2は、図1に示す帯電器20の一部を表した図である。
【0031】
図1の帯電器20に備えられた帯電部材22は、細長い円柱状をしており、図2では、この円柱の一方の端の部分が、帯電器20の他の構成要素とともに表されている。
【0032】
帯電器20は、上述の帯電部材22およびクリーニング部材21、これら帯電部材22とクリーニング部材21を支持するベアリング23、ベアリング23に端が固定され、ベアリング23を図の下方向に押すスプリング23a、上述のストッパ20および駆動部5(図2では不図示)から構成されている。
【0033】
ベアリング23は、導電性の材料で構成されており、帯電部材22とクリーニング部材21を支持する役割に加えて、電源25から高圧電圧の印加を受けて帯電部材22とクリーニング部材21とを同極性に帯電させる役割も担っている。
【0034】
スプリング23aは、ベアリング23を図の下方向に押すことによって帯電器20全体を感光体3に押し付ける役割を担っている。このようなスプリング23aの働きにより、帯電部材22と感光体3とが圧接することになる。図1に示す画像形成装置1000では、帯電部材22と感光体3とが圧接する際の荷重は800gとなるようにスプリング23aの弾性力が調節されている。
【0035】
帯電部材22は、帯電部材22のコアとなり、ベアリング23と接続されている円筒状の導電性シャフト22aと、導電性シャフト22aの円筒の両端付近を除いて導電性シャフト22aの周面を覆っている帯電層22bとで構成されている。導電性シャフト22aは、ステンレス鋼の一種であるSUS303を主成分とする導電性の部材であり、ベアリング23に支持されながら、図1の感光体3の回転とともに従動回転することができる。
【0036】
帯電層22bは、導電性発泡弾性層、抵抗層、表面層の3つの層から構成されており、
これら3つの層は、導電性発泡弾性層、抵抗層、表面層の順に導電性シャフト22aの外面に重なっている。導電性発泡弾性層は、硬化剤・可塑剤・加硫促進剤といったゴム生成のための添加剤と、多孔質化させるための発泡剤と、導電剤であるカーボンブラックとが添加された、ウレタンゴムを主成分とする塗布液が、導電性シャフト2a表面に塗布されて、さらに発泡処理が施されることによって形成される層である。抵抗層は、帯電層22bの抵抗値を調整するための層であって、導電性高分子材料の一種であるポリアセチレンと、エラストマー材料の一種であるシリコンゴムと、抵抗値を調整するための導電剤であるカーボンブラック(デグサ社製「スペシャルブラック350」)とを組成分として有する層である。表面層は、トナーやトナーの外添剤により帯電部材22が汚れることを抑制するために設けられた層である。この表面層は、ウレタン樹脂を主成分としており、ウレタン樹脂の他にも、導電剤である酸化錫の粒子と、帯電部材22の表面を疎水性にして表面への異物の付着を抑制するためのフッ素系樹脂の粒子と、帯電部材22の表面に凹凸を付与し感光体3の回転に従動しやすくするシリカの粒子とを含有している。
【0037】
クリーニング部材21は、クリーニング部材21のコアとなりベアリング23と接続されている円筒状の導電性シャフト21aと、導電性シャフト21aがベアリング23と接続されている付近を除いて導電性シャフト22aの外面を覆っている弾性層21bとを有している。この弾性層21bが、帯電部材22の有する帯電層22bと圧接することで、帯電部材22の表面のクリーニングが行われる。
【0038】
導電性シャフト21aは、帯電部材22のコアとなっている前述の導電性シャフト22aと同じ材質で構成されており、外径6mmの円柱状のシャフトの一部を四角柱状に加工することによって得られる。図2では、この四角柱状に加工された部分が、切り欠き部21cとして示されており、この切り欠き部21cを除けば、導電性シャフト21aは、外径6mmの円筒状となっている。この切り欠き部21cは、図1に示すストッパ24がクリーニング部材21と当接する際にストッパ24の先端部分が接触する箇所である。ストッパ24がクリーニング部材21から離間してストッパ24の先端部分が切り欠き部21cと接触していない状態では、導電性シャフト21aは帯電部材22の回転とともに従動回転するが、ストッパ24の先端部分が切り欠き部21cと接触している状態では、導電性シャフト21aはストッパ24の存在により従動回転できずに静止する。このように導電性シャフト21aが静止するとクリーニング部材21そのものの回転が停止し、クリーニング部材21が静止した状態で、回転する帯電部材22と擦り合うことになる。
【0039】
次に、クリーニング部材21の有する弾性層21bについて詳しく説明する。
【0040】
弾性層21bは、エーテル系発泡ウレタン(INOAC社製「ERG−M」)を主成分としており、導電性シャフト21aを取り囲む、厚さ3mmの層である。この弾性層21bは、上記のエーテル系発泡ウレタンの塊から導電性シャフト21aの大きさに相当する部分を切り抜き、その切り抜いた部分に導電性シャフト21aをホットメルト接着剤(日進化学製「BR4301」)によって90℃の高温下で接着嵌合させて、勘合後、発泡ウレタンを円筒研磨機で上記の円筒状に加工することによって作成される。
【0041】
発泡ウレタンは多孔質の発泡体であり、帯電部材22に対してクリーニング部材21がクリーニングを行う際には、発泡ウレタン表面の空隙(セル)を画定する縁(エッジ)によって、帯電部材表面に付着したトナーやトナーの外添剤粒子の掻き取りが行なわれる。特にトナーの外添剤粒子は帯電部材表面への吸着力が大きく除去しにくいことが知られている。多孔質の発泡体である発泡ウレタンを採用することにより、掻き取られた外添剤粒子は、発泡ウレタン表面の空隙内に入り込んでその空隙内で凝集し外添剤の凝固体となってクリーニング部材から放出される。こうした外添剤の凝固体は、外添剤粒子よりも帯電部材表面への吸着力が小さく除去しやすいため、このように外添剤粒子を凝固体化することでクリーニング性が向上する。また、ウレタンは、帯電部材との間で滑りを起こしにくく効率的なクリーニングが可能となる材料であり、また帯電部材と当接する際の反発力も小さいので、帯電部材表面に擦れによるキズをつけにくい材料であり、クリーニング部材の弾性層の材料として好ましい性質を備えている。
【0042】
低温・低湿度下では、帯電部材22に対してクリーニング部材21が従動回転することにより、従動回転の際のクリーニング部材21の掻き取りで、帯電部材22に付着したトナーやトナーの外添剤の粒子が掻き取られて帯電部材22から除去される。
【0043】
しかし、高温・高湿下では、帯電部材22に付着したトナーやトナーの外添剤の粒子が帯電部材表面に固着し、帯電部材表面から離れにくくなる。このように固着したトナーやトナーの外添剤に対しては、クリーニング部材21の従動回転では、充分な外添剤粒子の掻き取りとならず、クリーニング性が不充分となる。そこで、図1に示す画像形成装置1000では、用紙200枚の出力を行うと、一旦画像形成を中断し、上述したように図1のストッパ20が図2の切り欠き部21cと接触してクリーニング部材21の回転を抑制するという制御が行われる。この結果、クリーニング部材21が回転を停止した状態で帯電部材22と擦り合うことになり大きな摺擦力が発生する。このときの大きな摺擦力により、帯電部材22に固着したトナーやトナーの外添剤の粒子が掻き取られて帯電部材22から除去される。クリーニング部材21が回転を停止した状態で常時帯電部材22と擦り合っていると帯電部材22の磨耗を引き起こすことがあるため、この画像形成装置1000では、このようにクリーニング部材21が帯電部材22と擦り合っている時間を1分間に制限している。このような制御により、帯電部材22に対する大きな摺擦力でクリーニング性が向上されるとともに、帯電部材22の磨耗が回避される。
【0044】
以下では、クリーニング部材21に対して帯電部材22が当接する際のクリーニング部材21のくいこみ量について説明する。
【0045】
弾性層21bは、本来は、上述したように円筒状となっているが、クリーニング部材21が帯電器20に組み込まれる際には、帯電部材22と圧接するよう組み込まれるため、帯電部材22と圧接する部分がつぶれた形状となる。
【0046】
図3は、図2に示す帯電器において、帯電部材に圧接するクリーニング部材の形状を表した断面図である。
【0047】
図3に示すように、クリーニング部材21に備えられた弾性層21bは、帯電部材22と圧接する部分がつぶれている。ここで、仮想的に、クリーニング部材21が、点線で示すようにつぶれることなくそのまま帯電部材22にめり込んだと考えたときに、そのめり込みの程度は、クリーニング部材21の断面である円の中心Oと、帯電部材22の断面である円の中心O’とを結ぶ線分(図の一点鎖線)上で評価した、図のめり込みの深さNによって表される。このめり込みの深さNによって、弾性層21bのつぶれの程度、すなわちクリーニング部材21が帯電部材22にどの程度押し付けられているかを表すことができる。以下では、この仮想的なめり込みの深さNを、帯電部材22に対するクリーニング部材21のくいこみ量と呼ぶ。
【0048】
図2に外観図を示す帯電器20では、くいこみ量が1.2mmである。
【0049】
くいこみ量が小さすぎると、帯電部材に対してクリーニング部材が従動回転せずに空すべりを起こすようになり、このような状態では充分なクリーニング性が発揮されない。一方、くいこみ量が大きすぎると、帯電部材に対してクリーニング部材が当接する力が強すぎ、帯電部材の磨耗が生じて帯電部材の帯電性能が低下する。従って、適当な大きさのくいこみ量が望ましいことになる。後述するように、くいこみ量Nと弾性層の(つぶれる前の)厚みTとの間に、
T/5≦N≦T/2・・・(1)
で記述される関係式が成立するときに、帯電部材表面が磨耗することなく高いクリーニング性が発揮される。図2に外観図を示す帯電器20では、上述したように、くいこみ量がN=1.2mであり、弾性層の(つぶれる前の)厚みはT=3.0mmであるから、上記の(1)式を満たした状態となっている。
【0050】
一般に、帯電部材に対するクリーニング部材のくいこみ量が同じ帯電器でも、クリーニング部材の弾性層の材質が異なれば、帯電部材とクリーニング部材とが当接しているときの荷重は異なる。帯電部材とクリーニング部材とが当接しているときの当接力が、帯電部材と感光体とが当接しているときの当接力を越えると、帯電部材にとって、クリーニング部材との当接力が感光体との当接力をしのぎ、帯電部材が感光体に対して従動回転しなくなる。この結果、帯電部材が充分な帯電性能を発揮しないという問題が生じる。このため、帯電部材とクリーニング部材との間の当接力を調整して、帯電部材と感光体との間の当接力を下回るようにする必要がある。経時変化や外部環境の変化などにより、帯電部材とクリーニング部材との間の当接力は変化することがあり、帯電部材とクリーニング部材との間の当接力が、確実に帯電部材と感光体との間の当接力を下回るようにすることが望ましい。そこで、図2に示す帯電器20では、帯電部材22に対するクリーニング部材21のくいこみ量が、帯電部材22の磨耗の回避が可能なくいこみ量のうち最大値である、弾性層21bの厚みの半分となるとき(すなわちN=T/2のとき)であっても、そのときの帯電部材22とクリーニング部材21との間の当接力が、帯電部材22と感光体3との間の当接力を下回るような硬度の材質で弾性層21bが構成されている。このため、帯電部材22の磨耗が抑制されるとともに、帯電部材22が充分な帯電性能を発揮することが確実なものとなる。具体的には、図2に外観図を示す帯電器20では、帯電部材22と感光体3との間の荷重は800gであり、クリーニング部材21の弾性層21bにおいて用いられている上述のエーテル系発泡ウレタン(INOAC社製「ERG−M」)は、N=T/2=1.5mmとなるときの荷重が600gである。従って、この帯電器20では、N=T/2となるときの荷重が、帯電部材22と感光体3との間の荷重より小さいという状態が実現されている。
【0051】
以下では、上記のような構成を備えることにより、画像形成を行った際に高いクリーニング性が発揮されることを、実際の出力テストによって検証する。この出力テストでは、温度28℃、湿度85%という高温・高湿下で出力枚数1万枚の出力を行い、さらに温度10℃、湿度15%という低温・低湿下で出力枚数10枚の出力を行って形成画像の画質評価を行う。このような出力テストを、以下の実施例1〜実施例8および比較例1、比較例2の構成の画像形成装置によって行う。
(実施例1)上述した画像形成装置1000(くいこみ量;N=1.2mm,N=T/2となるときの荷重;600g,弾性層の材質;エーテル系発泡ウレタン(INOAC社製「ERG−M」))を用いて行う。
(実施例2)くいこみ量がN=1.5mmである点を除けば、画像形成装置1000と同様の構成を持つ画像形成装置を用いて行う。
(実施例3)くいこみ量がN=0.6mmである点を除けば、画像形成装置1000と同様の構成を持つ画像形成装置を用いて行う。
(実施例4)くいこみ量がN=0.3mmである点を除けば、画像形成装置1000と同様の構成を持つ画像形成装置を用いて行う。
(実施例5)くいこみ量がN=1.8mmである点を除けば、画像形成装置1000と同様の構成を持つ画像形成装置を用いて行う。
(実施例6)弾性層の材質として、画像形成装置1000で用いられたエーテル系発泡ウレタンよりも硬度の高いエーテル系発泡ウレタン(INOAC社製「ERG−H」)が用いられ、N=T/2となるときの荷重が750gとなっている点を除けば、画像形成装置1000と同様の構成を持つ画像形成装置を用いて行う。
(実施例7)弾性層の材質として、実施例6の画像形成装置で用いられたエーテル系発泡ウレタンよりもさらに硬度の高いエーテル系発泡ウレタン(INOAC社製「HR−90」)が用いられ、N=T/2となるときの荷重が850gとなっている点を除けば、画像形成装置1000と同様の構成を持つ画像形成装置を用いて行う。
(実施例8)弾性層の材質として、画像形成装置1000で用いられたエーテル系発泡ウレタンの代わりにメラニン(INOAC社製「バソテクト」)が用いられ、N=T/2となるときの荷重が950gとなっている点を除けば、画像形成装置1000と同様の構成を持つ画像形成装置を用いて行う。
(比較例1)クリーニング部材が、200枚の出力毎に回転停止する代わりに、帯電器に対して常時従動回転する点を除けば、画像形成装置1000と同様の構成を持つ画像形成装置を用いて行う。
(比較例2)クリーニング部材が、200枚の出力毎に回転停止する代わりに、全く回転しない点を除けば、画像形成装置1000と同様の構成を持つ画像形成装置を用いて行う。
【0052】
図4は、上述した実施例1〜実施例8および比較例1、比較例2の画像形成装置の特性と、出力テストにおける画質の評価結果とを表した図である。
【0053】
まず、クリーニング部材が200枚の出力毎に回転停止する実施例1と、このような回転状態の変化を伴わない比較例1および比較例2とを比較する。実施例1では画像においてスジの発生が見られなかった(画質評価○)のに対し、クリーニング部材が帯電器に対して常時従動回転する比較例1、およびクリーニング部材が全く回転しない比較例2では濃いスジ状のムラが発生しており(画質評価×)、画質の劣化が生じている。このようなスジの発生は、帯電器の帯電性能が低下したために画像形成に障害が出るときの特徴的な現象であり、帯電器の表面上にトナーやトナーの外添剤が固着していることや、帯電器に磨耗が生じていることを表している。比較例1の画質評価の結果から、クリーニング部材が帯電器に対して常時従動回転する制御では帯電器に対して充分なクリーニングが行われないということがわかり、一方、比較例2の画質評価の結果から、クリーニング部材が帯電器に対して常時静止する制御では帯電器に磨耗が生じて画像形成に障害が出ることがわかる。そして、実施例1の画質評価の結果から、クリーニング部材の回転を一時的に抑制することにより帯電部材に対する大きな摺擦力でクリーニング性が向上されるとともに、帯電部材の磨耗が回避されるということが結論できる。
【0054】
次にクリーニング部材のくいこみ量(N)が互いに異なる実施例1〜実施例5の間で比較を行ってみると、実施例1〜実施例3では、形成画像にスジの発生が見られないが、くいこみ量が最小となっている実施例4、くいこみ量が最大となっている実施例5では、合格レベルと言える画質水準に達してはいるが、形成画像に軽度のスジが見られる(画質評価△)。この結果は、くいこみ量が小さすぎるとクリーニング性が低下し、逆にくいこみ量が大きすぎると帯電器に磨耗が生じやすくなるということを表している。従って、実施例2のくいこみ量N=0.6mm以上かつ実施例3のくいこみ量N=1.5mm以下の範囲、すなわち
0.6≦N≦1.5・・・(2)
と表される範囲に属するくいこみ量が、画像形成の上では望ましいことになる。実施例1〜実施例8および比較例1、比較例2の間では弾性層の(つぶれる前の)厚みTはいずれも共通の値であるT=3mmであり、弾性層のつぶれの程度を表すくいこみ量Nと弾性層の(つぶれる前の)厚みTとの比(N/T)、(すなわち弾性層のつぶれの割合)で、式(2)のくいこみ量の範囲を考えると、
1/5≦N/T≦1/2・・・(3)
というくいこみ量の範囲が得られる。この式(3)は、上述した式(1)と等価であり、弾性層のつぶれの程度を表すくいこみ量Nと弾性層の(つぶれる前の)厚みTとの比(N/T)がこの範囲内にあるときに、帯電器の磨耗を抑制しながら充分なクリーニングが行われるということがわかる。
【0055】
次に、N=T/2となるときの荷重(ウレタンの硬度)が互いに異なる実施例1,実施例6,および実施例7の間で比較を行ってみると、実施例1および実施例6では、形成画像にスジの発生が見られないが、N=T/2となるときの荷重が実施例1および実施例6における荷重よりも大きい(ウレタンの硬度が高い)実施例7では、形成画像に軽度のスジが見られる。これら実施例1、実施例6および実施例7では、いずれもくいこみ量はN=1.2mmで共通であり、上記の(3)式(あるいは(2)式)を満たしている。しかし、帯電部材とクリーニング部材とがこのくいこみ量で当接しているときの荷重は、N=T/2となるのに必要な荷重が大きいほど(ウレタンの硬度が高いほど)大きくなる。上述したように、帯電部材とクリーニング部材との間の荷重が、帯電部材と感光体との間の荷重である800gを越えると帯電部材が感光体に対して従動回転しなくなり、この結果、帯電部材が充分な帯電性能を発揮せず形成画像にスジが発生する。図で表された実施例7の画質評価の結果は、この事実を反映しており、N=T/2となるのに必要な荷重が850gである実施例7では、N=1.2mmで当接しているときの荷重が800gを上回っていることが推察される。実施例1および実施例6のようにN=T/2となるときの帯電部材とクリーニング部材との間の荷重が、帯電部材と感光体との間の荷重以下となっていれば、上記の(3)式を満たすことで帯電器の磨耗を抑制しながら充分なクリーニングが行われるとともに、帯電部材が充分な帯電性能を発揮するということがわかる。
【0056】
次に、クリーニング部材の弾性層の材質が互いに異なる実施例1と実施例8との間で比較を行ってみると、ウレタンが用いられている実施例1では、形成画像にスジの発生が見られないが、ウレタンの代わりにメラニンが用いられている実施例8では、形成画像に軽度のスジが見られる。このことは、メラニンに比べてウレタンの方が帯電部材との間で滑りを起こしにくく、効率的なクリーニングが行われることと、帯電部材と圧接する際の反発力も小さいので帯電部材表面に擦れによるキズをつけにくいということとを反映している。また、ウレタンに比べてメラニンの方が硬度が大きく、このため、前述の実施例7と同様に、実施例8では、帯電部材とクリーニング部材との間の荷重が、帯電部材と感光体との間の荷重を上回っている可能性が高く、このことも上記の画質評価の結果に反映されているものと予想される。
【0057】
以上の図4に示す出力テストの画質評価の解析結果をまとめると、クリーニング部材の制御方式として、従動回転と回転停止とを交互に繰り返す制御を採用することにより、帯電器の磨耗を抑制しながら充分なクリーニングが行われるということが結論できるとともに、このようなクリーニング部材の制御において、帯電部材に対するクリーニング部材のくいこみ量が弾性層の(つぶれる前の)厚みの半分となるときの帯電部材とクリーニング部材との間の荷重が、帯電部材と感光体との間の荷重以下となるような硬度の発泡ウレタンを用いてクリーニング部材の弾性層を構成し、帯電部材に対するクリーニング部材のくいこみ量が(3)式を満たす状態で画像形成を行うことが、画質向上の観点から好ましいということが結論できる。
【0058】
以上の説明において、帯電部材22の導電性シャフト22a,およびクリーニング部材21の導電性シャフト21aは、いずれもステンレス鋼を主成分とする部材であったが、ステンレス鋼以外にも、こうした導電性シャフトの材質としては、各種の快削鋼等が使用可能であり、摺動性などの用途に応じて材質を選択すればよい。また、導電性を有さない材料を主成分として採用する場合は、メッキ処理などの表面処理により加工することで導電化が可能となる。
【0059】
また、帯電部材の帯電層を構成する導電性発泡弾性層については、導電性発泡弾性層形成に用いられる塗布液は、弾性材の原材料となるゴム、導電性発泡弾性層の抵抗を調整するカーボンブラック等の導電材、及び発泡剤に、必要に応じて硬化剤、可塑剤、加硫促進剤といった、ゴム生成の際に用いられる添加物が加わった混合物であればよく、また、混合物の発泡処理は導電性支持体2a表面に塗布される前でも、塗布された後であってもよい。また、導電性シャフト表面に、こうした導電性発泡弾性層を設けずに、抵抗層を直接形成する形態も可能である。また、このような導電性発泡弾性層に用いられるゴムの種類としては、ウレタンゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコンゴム等が挙げられ、これらのうちの1種類または2種類以上を混合して用いることができる。ここで、導電性発泡弾性層に用いられるゴムは、その抵抗値がカーボンブラック等の導電材により調整されている。必要に応じて軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、充填剤(シリカや炭酸カルシウム等)といった、ゴム生成の際に用いられる添加物が加えられていてもよい。
【0060】
また、帯電部材の帯電層を構成する抵抗層の材料としては、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子材料と、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、フッソゴム、スチレンーブタジエンゴム、ブタジエンゴム等のエラストマー材料と、カーボンブラックや導電性金属酸化物粒子、あるいはイオン導電剤といった導電剤とが混合されて構成された材料であれば、採用可能である。ここで用いられる導電剤のカーボンブラックとしては、具体的には、デグサ社製の「スペシャルブラック350」、同「スペシャルブラック100」、同「スペシャルブラック250」、同「スペシャルブラック5」、同「スペシャルブラック4」、同「スペシャルブラック4A」、同「スペシャルブラック550」、同「スペシャルブラック6」、同「カラーブラックFW200」、同「カラーブラックFW2」、同「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH1000」、キャボット社製「MONARCH1300」、キャボット社製「MONARCH1400」、同「MOGUL−L」、同「REGAL400R」等が挙げられる。これらのカーボンブラックはpH4.0以下であり、一般的なカーボンブラックに比べ、表面に存在する酸素含有官能基の効果により、樹脂組成物中への分散性がよく、導電効果が高いため、上記pH4.0以下のカーボンブラックを配合することにより、帯電均一性をよくすることができ、さらに抵抗値の変動を小さくすることができる。また、導電性金属酸化物粒子としては、酸化錫、アンチモンがドープされた酸化錫、酸化亜鉛、アナターゼ型酸化チタン、ITO等の導電性を有した粒子で、電子を電荷キャリアとする導電剤であれば何れも用いることができ、特に限定されるものではない。これらは、単独で用いられてもよく、また2種類以上が併用されてもよい。また、本発明を阻害しない限り、何れの粒径であってもよいが、抵抗値調整およびゴムの強度の点より、好ましくは酸化錫、アンチモンがドープされた酸化錫、アナターゼ型酸化チタンであり、更に、酸化錫、アンチモンドープがされた酸化錫が好ましい。
【0061】
また、帯電部材の帯電層を構成する表面層の材料としては、樹脂、ゴム等が採用可能であり、何れを用いてもよい。こうした樹脂としては、ウレタン樹脂、ポリエステル、フェノール、アクリル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、セルロース、共重合ナイロン等が挙げられる。このうちの共重合ナイロンは、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、の内のいずれか1種または複数種を重合単位として含むものであって、この共重合体に含まれる他の重合単位としては、6ナイロン、66ナイロン等が挙げられる。ここで、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロンよりなる重合単位が共重合体中に含まれる割合は、重量比で合わせて10%以上であるのが好ましい。上記重合単位が10%以上の場合は、調液性および表面層塗布時における成膜性に優れるとともに、特に繰り返し使用時における樹脂層の磨耗や樹脂層への異物付着が少なく、ロールの耐久性が優れ、また同時に吸湿性が低く、環境による特性の変化も少なくなる。また、表面層に含有させる導電剤としては、粒径が3μm以下で体積抵抗率が10Ωcm以下であるものが望ましい。例えば、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、CeO、ZrO、In等の金属酸化物あるいはそれらの合金からなる粒子、あるいはBaSOやTiOのような粒子の表面にこれらの金属酸化物を被覆したもの、あるいはカーボンブラック等を用いることができる。このような導電材料によって抵抗制御を行うことにより、表面層の抵抗値は環境条件によって変化せず、安定な特性が得られる。また、表面を疎水性にする材料としては、フッ素系あるいはシリコン系の樹脂或いは粒子が挙げられ、帯電部材22の表面に凹凸を付与する材料としては、アルミナやシリカのような絶縁性の粒子を用いることが可能である。以上の、導電剤、表面を疎水性にする材料、表面に凹凸を付与する材料は、表面層に含有させることが好ましいが、必要不可欠なわけではない。また、表面層と抵抗層との間には、接着性を高めるためにカップリング剤が塗布されることで構成された接着層を設ける形態も可能である。また、以上説明してきたような組成の表面層は設けず、抵抗調節層の表面に対しカップリング剤等による化学処理、UV照射、熱処理等を施して、抵抗調節層内部とは性質の異なるようになった抵抗調節層の表面を表面層として採用する形態も可能である。
【0062】
また、クリーニング部材の弾性層の材料としては、上述したポリウレタン以外にも、ポリエチレン、ポリアミドまたはポリプロピレン等の樹脂が採用されてもよい。また、弾性層はソリッド状の形態を有していてもよいが、帯電部材に対するクリーニング効果を向上させるためには、多孔質の3次元構造を有する発泡体であることが好ましい。発泡体としてはセル数20〜80の発泡体が採用可能であり、この範囲内のセル数であれば、セルの中に外添剤などの不純物を取り込みやすい。セル数が多すぎるとセル径が小さい為に外添剤の取り込み性が低下し、逆にセル数が低すぎるとセル径が大きくなりすぎ取り込んだ外添剤を帯電部材へ移行させる適度な大きさまで固めることが困難となる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態を示す全体構成図である。
【図2】図1に示す帯電器20の一部を表した図である。
【図3】図2に示す帯電器において、帯電部材に圧接するクリーニング部材の形状を表した断面図である。
【図4】上述した実施例1〜実施例8および比較例1、比較例2の画像形成装置の特性と、出力テストにおける画質の評価結果とを表した図である。
【符号の説明】
【0064】
1000 画像形成装置
1 トレイ
20 帯電器
21 クリーニング部材
21a 導電性シャフト
21b 弾性層
21c 切り欠き部
22 帯電部材
22a 導電性シャフト
22b 帯電層
23 ベアリング
23a スプリング
24 ストッパ
25 電源
3 感光体
31 クリーニングブレード
4 CPU
5 駆動部
7 露光部
8 現像器
81 現像スリーブ
82a,82b 層厚調整板
83 容器
84a,84b 攪拌部
9 転写ロール
10 定着器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に移動しながら帯電を受ける被帯電体に対して当接することにより該被帯電体に電荷を付与する帯電装置において、
前記被帯電体と当接し、該被帯電体の移動に対して従動回転しながら該被帯電体に電荷を付与する帯電部材と、
前記帯電部材と当接し、該帯電部材の回転に対して従動回転して該帯電部材に付着した付着物を取り除くクリーニング部材と、
前記クリーニング部材の従動回転を一時的に抑制する制動部とを備えたことを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
回転する像担持体;
前記像担持体と当接し、該像担持体の回転に対して従動回転しながら該像担持体に電荷を付与する帯電部材と、前記帯電部材と当接したまま該帯電部材の回転に対して従動回転して該帯電部材に付着した付着物を取り除くクリーニング部材と、前記クリーニング部材の従動回転を一時的に抑制する制動部とを有する帯電装置;
電荷が付与された前記像担持体に対し、露光により該像担持体に静電潜像を形成してトナーで現像してトナー像を形成するトナー像形成部;および
前記像担持体上に残留したトナーを、前記像担持体から除去するクリーニング部;
とを備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項3】
回転する像担持体を帯電し露光により該像担持体に静電潜像を形成してトナーで現像し最終的に記録媒体上にトナー像を転写および定着することにより該記録媒体上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置において、
前記像担持体と当接し、該像担持体の移動に対して従動回転しながら該像担持体に電荷を付与する帯電部材と、
前記帯電部材と当接し、該帯電部材の回転に対して従動回転して該帯電部材に付着した付着物を取り除くクリーニング部材と、
前記クリーニング部材の従動回転を一時的に抑制する制動部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−187716(P2007−187716A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−3456(P2006−3456)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】