説明

帯電装置及び画像形成装置

【課題】被帯電体の表面の劣化状態に応じて被帯電体の表面への電荷の供給量を増加させない場合に比べ、被帯電体を帯電させるために要する電流の利用効率が向上する、帯電装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体ドラム12の表面に電荷を供給することにより感光体ドラム12を帯電させるスコロトロン帯電器14と、感光体ドラム12の表面の劣化状態が進行するに従って感光体ドラム12の表面への電荷の供給量を増加させるようにスコロトロン帯電器14を制御するCPU42と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、感光体を負に帯電させるスコロトロンチャージャと、スコロトロンチャージャにより感光体に流れる帯電電流を検出する帯電電流検出手段と、帯電電流検出手段により検出された帯電電流の対電圧変分値を予め設定した基準値と比較して補正量を演算する比較演算手段と、比較演算手段が演算した補正量に応じて、スロコトロンチャージャのグリッド電圧を変えることにより、帯電電流を制御する帯電電流制御手段と、を備えた画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−163565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、被帯電体の表面の劣化状態に応じて被帯電体の表面への電荷の供給量を増加させない場合に比べ、被帯電体を帯電させるために要する電流の利用効率が向上する、帯電装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の帯電装置は、被帯電体の表面に電荷を供給することにより前記被帯電体を帯電させる帯電手段と、前記被帯電体の表面の劣化状態が進行するに従って前記表面への電荷の供給量を増加させるように前記帯電手段を制御する制御手段と、を含んで構成されている。
【0006】
また、請求項2に記載の帯電装置は、請求項1に記載の発明において、前記帯電手段が、前記被帯電体の表面に対して放電することにより電荷を供給する放電電極、及び前記放電電極と前記被帯電体との間に配置され、前記被帯電体の表面を予め定められた電位に保持する保持電極を有するものである。
【0007】
また、請求項3に記載の帯電装置は、請求項2に記載の発明において、前記制御手段が、前記表面と前記保持電極との電位差が初期状態から継続して維持されるように前記放電電極から前記被帯電体の表面への電荷の供給量を制御するものである。
【0008】
また、請求項4に記載の帯電装置は、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の発明において、前記被帯電体の表面の劣化状態を推定する推定手段を更に含み、前記制御手段が、前記推定手段により推定された劣化状態が進行するに従って前記被帯電体の表面への電荷の供給量を増加させるように前記帯電手段を制御するものである。
【0009】
一方、上記目的を達成するために、請求項5に記載の画像形成装置は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の帯電装置と、入力された画像信号に応じた光を照射する照射手段と、前記被帯電体として機能すると共に、表面に感光体を備え、前記照射手段によって照射された光により前記表面に形成された静電画像を保持する像保持体と、を含んで構成されている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1及び請求項5に係る発明によれば、被帯電体の表面の劣化状態に応じて被帯電体の表面への電荷の供給量を増加させない場合に比べ、被帯電体を帯電させるために要する電流の利用効率が向上する、という効果が得られる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、被帯電体の表面の劣化状態に応じて被帯電体の表面への電荷の供給量を増加させない場合に比べ、放電電極及び保持電極の性能の低下が抑制される、という効果が得られる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、被帯電体の表面の劣化状態に応じて被帯電体の表面への電荷の供給量を増加させない場合に比べ、保持電極の電圧制御が簡素化される、という効果が得られる。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、推定手段を有さない場合に比べ、簡素な構成で被帯電体を帯電させるために要する電流の利用効率を向上させる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の構成を模式的に示した概略構成図である。
【図2】実施形態に係る帯電装置の構成を模式的に示した概略構成図である。
【図3】実施形態に係る画像形成装置の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図4】感光体ドラムの膜厚が19μmのとき、及び感光体ドラムの膜厚が32μmのときにストロコロン帯電器に供給される電流値と感光体ドラムの表面電位との関係の一例を示すグラフである。
【図5】実施形態に係る帯電制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施形態に係る画像形成装置における放電ワイヤから感光体ドラムに流れ込む電流値と感光体ドラムの膜厚との関係の一例を示すグラフである。
【図7】感光体ドラムが初期状態のときと劣化状態のときのストロコロン帯電器及び感光体ドラムに関する物理量の変化例を示す図であり、(A)は、従来の画像形成装置におけるストロコロン帯電器に供給される電流の大きさ、グリッドワイヤの電圧、及び感光体ドラムの表面電位を示し、(B)は、本発明の画像形成装置における放電ワイヤから感光体ドラムに流れ込む電流の大きさ、グリッドワイヤの電圧、及び感光体ドラムの表面電位を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には本実施形態に係る画像形成装置10が示されている。同図に示すように、画像形成装置10は、感光体ドラム12と、感光体ドラム12の表面を帯電させるスコロトロン帯電器14と、画像を示す画像信号に応じた光を感光体ドラム12の表面に照射することにより当該表面に潜像を形成する露光器18と、感光体ドラム12の表面の静電潜像を現像してトナー像を形成する現像器20と、形成されたトナー像を用紙Pの表面に転写する転写器22と、感光体ドラム12の表面の残存トナー等を除去するクリーニング器24と、感光体ドラム12の表面の残存電位を除去する光除電器26と、用紙Pの表面に転写されたトナー画像を熱及び/又は圧力等により定着する定着器28と、を備えている。
【0016】
感光体ドラム12は、電荷輸送層と電荷発生層からなる感光膜12Aと、感光膜12Aを支持するアルミニウム等で構成された基材12Bと、を備えている。感光体ドラム12の上方には、コロナ放電方式(非接触帯電方式)のスコロトロン帯電器14が配置されている。
【0017】
スコロトロン帯電器14は、感光体ドラム12側が開口したアルミニウム製のシールドケース30、両端部がシールドケース30に電気的に絶縁された状態で取り付けられ、電荷を発生して感光体ドラム12の表面に対して放電することにより電荷を供給する放電ワイヤ32、放電ワイヤ32と感光体ドラム12との間に配置されると共に、シールドケース30に電気的に絶縁された状態で取り付けられ、感光体ドラム12の表面を予め定められた電位に保持する複数本のグリッドワイヤ34、及び後述する抵抗器49(図2参照。)を含んで構成されている。
【0018】
露光器18としては、半導体レーザ及び走査装置の組み合わせや、光学系からなるレーザ出力装置、LEDヘッド、あるいは、ハロゲンランプなどの公知の露光手段が採用される。露光像の領域、即ちトナー像を形成する感光体ドラム12の表面の位置を、所望に応じて変化させるためには、レーザ出力装置又はLEDヘッドを使用することが好ましく、ここではレーザ出力装置を採用している。
【0019】
現像器20としては、感光体ドラム12の表面に均一なトナー像を形成する機能を有する限り、1成分系、2成分系を問わず、従来公知の現像装置が採用される。ここでは、現像器20に、スチレン系樹脂を含むトナーとキャリアとからなる2成分現像剤が使用され、トナーはプラス(+)極性に帯電している。
【0020】
転写器22としては、例えば、電圧を印加した導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を用いて、感光体ドラム12と用紙Pとの間に電界を作り、荷電されたトナーを転写する手段など、従来公知の手段が採用される。
【0021】
トナー像の用紙Pへの定着は、定着器28として公知の接触型熱定着装置を用いて行う。具体的には、例えば、芯金上にゴム弾性層を有し、必要に応じて定着部材表面層を具備した加熱ローラと、芯金上にゴム弾性層を有し、必要に応じて定着部材表面層を具備した加圧ローラとからなる定着部材を具備する熱ローラ定着装置や、定着部材として、このようなローラとローラとの組み合わせを、ローラとベルトとの組み合わせや、ベルトとベルトとの組み合わせに代えた定着装置を採用してもよい。ここでは、定着器28として、加熱ローラと加圧ローラとからなる熱ローラ定着装置を採用している。
【0022】
クリーニング器24としては、例えば、感光体ドラム12の周面(表面)に摺接するブレード25を備えたものが採用され、光除電器26としては、例えば、タングステンランプ、LEDなどが挙げられ、光除電器26に用いる光質としては、例えば、タングステンランプ等の白色光、LED光等の赤色光などが挙げられる。ここでは、波長660nmのLEDを光源として採用している。
【0023】
図2には、本実施形態に係るスコロトロン帯電器14を有する帯電装置40が示されている。同図に示すように、帯電装置40は、スコロトロン帯電器14の他に、画像形成装置10全体の動作を司るCPU42及び高圧電源装置45を含んで構成されている。高圧電源装置45は、出力端が放電ワイヤ32に、一方の入力端が駆動用電源44に、他方の入力端がアースに各々接続され、駆動用電源44からの直流電力を高圧電力に変換して出力するDC−DCコンバータからなり、放電ワイヤ32に一定の電圧を印加するコロナ電源46、及び出力端がグリッドワイヤ34に、一方の入力端が駆動用電源44に、他方の入力端がアースに各々接続され、駆動用電源44からの直流電力を高圧電力に変換して出力するDC−DCコンバータからなり、グリッドワイヤ34に一定の電圧を印加するグリッド電源48を含んで構成されている。また、抵抗器49は、一端が感光体ドラム12の基材12Bに、他端がアースに各々接続されており、感光膜12Aを流れる帯電電流をアナログ電圧信号に変換してCPU42へ出力する。
【0024】
図3は、本実施形態に係る画像形成装置10の電気系の要部構成を示すブロック図である。同図に示すように、画像形成装置10は、CPU42、ROM(Read Only Memory)50、RAM(Random Access Memory)52、NVM(Non Volatile Memory)54、UI(ユーザ・インタフェース)パネル56、及び外部インタフェース58を含んで構成されている。
【0025】
ROM50は、画像形成装置10の作動を制御する制御プログラム、後述する帯電制御処理プログラムや各種パラメータ等を予め記憶する記憶手段として機能するものである。RAM52は、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるものである。NVM54は、装置の電源スイッチが切られても保持しなければならない各種情報を記憶するものである。UIパネル56は、ディスプレイ上に透過型のタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成され、各種情報がディスプレイの表示面に表示されると共に、ユーザがタッチパネルに触れることにより所望の情報や指示が入力される。外部インタフェース58は、パーソナル・コンピュータ等の外部機器に接続され、外部機器から用紙Pに形成する画像を示す画像情報等の各種情報を受信すると共に、外部機器へ各種情報を送信するためのものである。
【0026】
CPU42、ROM50、RAM52、NVM54、UIパネル56及び外部インタフェース58は、システムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU42は、ROM50、RAM52、NVM54へのアクセスと、UIパネル56への各種情報の表示と、UIパネル56に対するユーザの操作指示内容の把握と、外部機器からの外部インタフェース58を介した各種情報の受信と、外部機器への外部インタフェース58を介した各種情報の送信と、を各々行う。
【0027】
また、画像形成装置10は、ゼログラフィ方式にて用紙Pに対して画像形成を行う画像形成エンジン部60を含んで構成されている。画像形成エンジン部60は、感光体ドラム12、露光器18、現像器20、転写器22、クリーニング器24、光除電器26、定着器28、CPU42を除いた帯電装置40、及び用紙Pは搬送する搬送装置(図示省略)を駆動させるためのモータ(図示省略)、及び感光体ドラム12を回転駆動させるためのモータ(図示省略)を含んで構成されている。画像形成エンジン部60もまた、システムバスBUSに接続されている。従って、CPU42は、画像形成エンジン部60の作動の制御を行う。
【0028】
次に、本実施形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。
【0029】
先ず、画像形成装置10の画像形成プロセスを簡単に説明する。図1の矢印方向に回転する感光体ドラム12は、電圧が印加されたスコロトロン帯電器14によって、その表面が一様に帯電される。帯電された感光体ドラム12は露光器18により静電潜像が書き込まれる。感光体ドラム12の表面に書き込まれた静電潜像は、現像器20によりトナー像に現像される。
【0030】
そして、トナー像は転写器22により、図示しない給紙箱から搬送されてくる用紙Pに転写される。転写されたトナー像は定着器28により用紙Pに定着され、その後、用紙Pは装置外に排出される。また、トナー像が用紙Pに転写された後、感光体ドラム12の表面に残留していたトナーはクリーニング器24のブレード25により除去され、次いで光除電器26により除電されて、次の画像形成プロセスに備える。
【0031】
ところで、感光体ドラム12の感光膜12Aの膜厚は、感光体ドラム12の使用量(サイクル数)の増加に従って磨耗して徐々に減少する。そのため、従来、感光体ドラム12の感光膜12Aの膜厚が経時磨耗しても、初期状態(感光体ドラム12の使用開始時)から感光体ドラム12の表面電位が継続して予め定められた電位(感光体ドラム12に静電潜像が良好に形成されるものとして定められた最低電位)以上に維持されるように、ストロコロン帯電器14に供給する電流値として、感光体ドラム12の寿命が近くなったときに要する電流値を感光体ドラム12の使用開始時から固定して採用していた。
【0032】
例えば、従来技術では、感光体ドラム12の表面電位として700V以上の電位が必要とされる場合、一例として図4に示すように、感光体ドラム12の寿命が近くなったとき(感光膜12Aの膜厚が19μmのとき)にはストロコロン帯電器14に650μAの電流を供給しなければ感光体ドラム12の表面電位を700Vにすることができないため、感光体ドラム12の使用開始時には650μAもの電流を供給しなくても感光体ドラム12の表面電位を700Vにすることができるにも拘らず、ストロコロン帯電器14に650μAの電流を供給していた。つまり、放電に必要な最適電流以上の過剰な電流をストロコロン帯電器14に供給していた。
【0033】
そこで、本実施形態に係る画像形成装置10では、感光体ドラム12を帯電させるために要する電流の利用効率を向上させるための帯電制御処理が実行される。
【0034】
次に、図5を参照して、帯電制御処理を画像形成時に実行する際の画像形成装置10の作用を説明する。なお、図5は、画像形成エンジン部60が画像形成処理を実行している際に画像形成装置10のCPU42により予め定められた時間毎(例えば、1秒ごと)に実行される帯電制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはROM50の予め定められた領域に予め記憶されている。
【0035】
同図のステップ100では、感光体ドラム12の劣化状態、すなわち、感光膜12Aの膜厚が予め定められた膜厚に達したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ102へ移行する一方、否定判定となった場合にはステップ102の処理を実行せずに本帯電制御処理プログラムを終了する。
【0036】
なお、本実施形態に係る画像形成装置10では、上記ステップ100の処理として、感光体ドラム12の累積回転数(画像形成装置10の使用を開始してから現時点までの回数)が予め定められた回転数(本実施形態では、1万回転、10万回転、100万回転、500万回転)に達したか否かを判定することにより感光体ドラム12の劣化状態を推定しているが、これに限らず、例えば、感光体ドラム12の感光膜12Aの膜厚を直接的に検出するセンサを用いることにより感光体ドラム12の劣化状態を推定してもよいし、画像形成装置10の総稼動時間に基づいて感光体ドラム12の劣化状態を推定してもよい。このように、感光体ドラム12の劣化状態の進行と比例関係にある物理量を測定することにより感光体ドラム12の劣化状態を推定すればよい。
【0037】
ステップ102では、感光体ドラム12の表面とグリッドワイヤ34との電位差が初期状態(感光体ドラム12の使用開始時)から継続して維持されるように、かつ、上記ステップ100で推定した感光体ドラム12の劣化状態に応じた供給量で感光体ドラム12の表面へ電荷が供給されるようにコロナ電源46の出力値を調節し、本帯電制御処理プログラムを終了する。
【0038】
なお、本実施形態に係る画像形成装置10では、上記予め定められた回転数と、感光体ドラム12の累積回転数が上記予め定められた回転数に達したときに設定するコロナ電源46の出力値と、を関連付けたテーブルをROM50に予め記憶しておき、当該テーブルに従ってコロナ電源46の出力値を導出し、当該出力値になるようにコロナ電源46の出力値を調節しているが、これに限らず、感光体ドラム12の累積回転数を入力とし、コロナ電源46の出力値を解とする演算式を予め用意しておき、当該演算式を用いて感光体ドラム12の累積回転数が上記予め定められた回転数に達したときのコロナ電源46の出力値を算出してもよい。
【0039】
また、本実施形態に係る画像形成装置10では、感光体ドラム12の累積回転数が上記予め定められた回転数に達したときに設定するコロナ電源46の出力値として、放電ワイヤ32から放電しても、感光体ドラム12の表面電位が初期状態と変わらずに、かつ感光体ドラム12の表面とグリッドワイヤ34との電位差が初期状態と変わらないようにするものとして画像形成装置10の実機による実験や画像形成装置10の設計仕様に基づくコンピュータ・シミュレーション等によって予め得られた値を適用している。
【0040】
このように、本実施形態に係る画像形成装置10では、帯電制御処理を実行することにより、一例として図6に示すように、感光体ドラム12の膜厚の減少に対応して感光体ドラム12の表面に流れ込む電流値を増加させ、感光体ドラム12の表面電位を初期状態から変わらないようにしている。
【0041】
また、一例として図7に示すように、従来であれば、感光体ドラム12の使用量の増加に対応してグリッドワイヤ34の電圧が大きくなっていたが、本実施形態に係る画像形成装置10では、感光体ドラム12の表面の劣化状態が進行するに従って、放電ワイヤ32から感光体ドラム12の表面に流れ込む電流の大きさ、すなわち、放電ワイヤ32からの感光体ドラム12の表面への電荷の供給量を増加させているので、感光体ドラム12の使用量が増加してもグリッドワイヤ34の電圧が初期状態から変わらない。従って、グリッドワイヤ34の電圧を固定することにより、グリッドワイヤ34の電圧制御が従来に比べて簡素化される。
【0042】
また、本実施形態に係る画像形成装置10では、従来のように放電ワイヤ32に対して放電に必要な最適電流以上の過剰な電流を供給することがない。従って、放電ワイヤ32から発生するオゾンが少なくなり、感光体ドラム12の表面に対する影響が軽減されるため、画質性能が一定に保持され、放電生成物に起因する放電ワイヤ32の放電能力の低下、及びグリッドワイヤ34の帯電電位制御能力の低下が抑制される。これにより、放電ワイヤ32から発生したオゾンを除去するフィルタや排気するためのファンが小型化されるので、画像形成装置10の大型化が抑制される。
【0043】
以上、本発明を上記実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の主旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えてもよく、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0044】
また、上記実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明を限定するものではなく、また、上記実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における状況に応じた組み合わせにより種々の発明が抽出される。上記実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出される。
【0045】
上記実施形態で説明した画像形成装置10の構成(図1〜図3参照。)の構成は一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更してもよいことは言うまでもない。
【0046】
また、上記実施形態で説明した帯電制御処理プログラムの処理の流れ(図5参照。)も一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
10 画像形成装置
12 感光体ドラム(被帯電体、像保持体)
14 スコロトロン帯電器(帯電手段)
18 露光器(照射手段)
32 放電ワイヤ(放電電極)
34 グリッドワイヤ(保持電極)
40 帯電装置
42 CPU(制御手段、推定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被帯電体の表面に電荷を供給することにより前記被帯電体を帯電させる帯電手段と、
前記被帯電体の表面の劣化状態が進行するに従って前記表面への電荷の供給量を増加させるように前記帯電手段を制御する制御手段と、
を含む帯電装置。
【請求項2】
前記帯電手段は、前記被帯電体の表面に対して放電することにより電荷を供給する放電電極、及び前記放電電極と前記被帯電体との間に配置され、前記被帯電体の表面を予め定められた電位に保持する保持電極を有する請求項1記載の帯電装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記表面と前記保持電極との電位差が初期状態から継続して維持されるように前記放電電極から前記被帯電体の表面への電荷の供給量を制御する請求項2記載の帯電装置。
【請求項4】
前記被帯電体の表面の劣化状態を推定する推定手段を更に含み、
前記制御手段は、前記推定手段により推定された劣化状態が進行するに従って前記被帯電体の表面への電荷の供給量を増加させるように前記帯電手段を制御する請求項1から請求項3の何れか1項に記載の帯電装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の帯電装置と、
入力された画像信号に応じた光を照射する照射手段と、
前記被帯電体として機能すると共に、表面に感光体を備え、前記照射手段によって照射された光により前記表面に形成された静電画像を保持する像保持体と、
を含む画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−181737(P2010−181737A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26467(P2009−26467)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】