説明

帯電装置

【課題】コロナ放電によって被帯電体を帯電する帯電装置において、被帯電体との間に帯電用の電圧が印加される帯電部材を覆う部材、例えばシールドケースを効率よく清掃し、帯電性能を良好な状態に維持する。
【解決手段】 電極ワイヤ33(帯電部材)を覆うシールドケース34の内側に、該電極ワイヤの軸線方向に移動する清掃ユニット50を設ける。清掃ユニットは、電極ワイヤに沿って往復駆動される支持体36を備え、この支持体にシールドケースの内面と接触する摺擦部材41を取り付ける。この支持体の移動にともなってシールドケースの内側が摺擦部材によって清掃される。さらに支持体36には、剥離した付着物を回収する付着物収容部42と、剥離した付着物が被帯電体1上に落下しないように受ける付着物受け部43とを設ける。付着物収容部内には、回収された付着物の飛散を抑制する飛散抑制部材54が取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被帯電体とこれと対向して配置された電極との間で生じるコロナ放電によって被帯電体を帯電させる帯電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コロナ放電による帯電装置は、例えば電子写真方式の画像形成装置において、静電電位の差によって潜像が形成される像保持体を所定の電位に帯電するために用いられる。このような目的で用いられる帯電装置では、張架されたワイヤ等の帯電部材と被帯電体である像保持体等との間に強い電界が生じ、コロナ放電が発生するためにトナーや紙粉等の電荷を有する粒子が帯電部材に付着することがある。また、オゾンや窒素酸化物等の放電生成物が帯電部材に付着することがある。このような付着物があると、帯電特性が低下することがあり、帯電部材から付着物を除去する必要が生じる。
【0003】
例えば特許文献1及び特許文献2に、帯電部材から付着物を除去するための清掃部材を備えた帯電装置が記載されている。
これらの帯電装置は、被帯電体の表面と平行に張架されたワイヤとこれを囲むように設けられたシールドケースとを有し、シールドケース内でワイヤの軸線方向に移動する清掃部材を備えている。この清掃部材は帯電部材であるワイヤに圧接され、移動して摺擦されることによってワイヤに付着した異物を除去するものである。
【0004】
一方、シールドケースにもトナーや放電生成物が付着する。帯電部材と被帯電体との間で発生する放電光は、シールドケースの内側で反射され被帯電体の帯電特性に影響を及ぼしているため、シールドケースの内側に付着物があると被帯電体に帯電むらが生じることがある。シールドケースの内側に付着物がない状態では放電光は均一に反射するため、被帯電体は反射光の影響によらず一様に帯電するが、シールドケース内側に異物が付着した状態では、反射した放電光が均一ではなくなり、帯電むらが発生するものである。これは、形成される画像の品質を低下させる原因の一つとなっている。
【0005】
このような帯電むらを解消するために、特許文献3及び特許文献4には、シールドケースの内側を清掃する構成を備えた帯電装置が記載されている。これらの帯電装置では、帯電部材の軸線方向に移動する保持部材が帯電部材に摺擦される清掃部材とシールドケースの内面に摺擦される清掃部材とを備えている。シールドケースの内面に摺擦される清掃部材は、回転して周面がシールドケースに摺擦される円筒状の部材又はパッド状の部材が用いられている。
【特許文献1】特開2003−345111号公報
【特許文献2】特開2006−126659号公報
【特許文献3】特開平1−287682号公報
【特許文献4】特開平4−50971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようにシールドケースの内面に摺擦される清掃部材を備えた帯電装置では、帯電部材にコロナ放電を生じる電圧が印加されていないときに清掃部材が帯電部材の軸線方向に移動し、シールドケースの内面に付着したトナーや放電生成物を剥離して除去する。しかし、シールドケースの内面から剥離された付着物は、清掃部材の移動にともなう気流等によって舞い上がり、飛散することがある。このように飛散したトナーや放電生成物は再びシールドケースに付着すると清掃の効率が悪くなる。また、シールドケースの内面から剥離された付着物が被帯電体上に落下して、被帯電体の表面を汚すこともある。
【0007】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、帯電部材の周辺を囲むように設けられた部材、例えばシールドケースの内面を効率よく清掃するとともに、清掃により除去した付着物の飛散及び被帯電体への付着を抑制することができる帯電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 被帯電体の表面と所定の間隔をおいて一方向に長く連続する形状を有し、該被帯電体との間に帯電用の電圧が印加される帯電部材と、 前記帯電部材を軸線方向に沿って、被帯電体に対する後方及び側方を覆うように設けられた覆い部材と、 前記帯電部材の軸線方向に移動して帯電装置内部の付着物を除去する清掃ユニットとを有し、 前記清掃ユニットは、前記帯電部材に沿って往復するように駆動される支持体と、 該支持体に支持され、前記覆い部材の内側と接触して付着物を剥がす摺擦部材と、 前記支持体上の、走行方向における前記摺擦部材の前方側及び後方側の少なくとも一方に形成され、凹状となって前記摺擦部材によって剥離された付着物を収容する付着物収容部と、を有する帯電装置を提供する。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の帯電装置において、 前記支持体に支持され、前記覆い部材の前記帯電部材の側方にある部分から前記被帯電体側に落下する付着物を受ける付着物受け部を有するものとする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の帯電装置において、 前記付着物収容部内には、多孔質材料又は繊維を集積した材料からなり、収容された付着物を小孔内又は繊維間に取り込んで飛散を抑制する飛散抑制部材が取り付けられているものとする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1又から請求項3までのいずれかに記載の帯電装置において、 前記覆い部材の内面に設けられ、移動する前記摺擦部材と接触して、該摺擦部材に付着している付着物を該摺擦部材から掻き落とす掻き取り部材を有するものとする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の帯電装置において、 前記帯電部材に沿った位置で該帯電部材の軸線方向に対して一の方向に流れる空気を導入する空気導入路を有し、 前記掻き取り部材は、空気の流れの下流に設けられているものとする。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項1又から請求項5までのいずれかに記載の帯電装置において、 前記摺擦部材は、研磨材の微粉末を含有する合成樹脂の発泡材、又は研磨材の微粉末を含有する繊維を集積したパッドからなるものであるものとする。
【発明の効果】
【0014】
上記のような構成を備えることにより、請求項1に係る発明の帯電装置では、清掃ユニットに備えられた支持体が帯電部材に沿って該帯電部材の軸線方向に移動するときに、摺擦部材が覆い部材の内側に付着したトナー、放電生成物等の異物を剥離するとともに、剥離した異物を該支持体上に設けられた付着物収容部に回収し、飛散したり被帯電体上へ落下するのを抑制することができる。
【0015】
請求項2に係る発明の帯電装置では、覆い部材の内面から剥離された異物が覆い部材の
内面に沿って落下し、被帯電体と対向する端縁から被帯電体側に落下するの付着物受け部に収容することができ、被帯電体への付着を防止することができる。
【0016】
請求項3に係る発明の帯電装置では、覆い部材から剥離されて付着物収容部に回収された異物は、多孔質材料の多数の小孔内又は繊維を集積した材料の繊維間に取り込まれ、飛散が抑止されて被帯電体への落下が抑制される。
【0017】
請求項4に係る発明の帯電装置では、摺擦部材によって覆い部材から剥離された異物のうち、付着物収容部に収容されないで摺擦部材に付着している異物を掻き落として取り除き、該摺擦部材の清掃性能を維持することができる。また、覆い部材の清掃を行う一連の動作にともなって該摺擦部材に付着残留している異物の除去を行うことができる。
【0018】
請求項5に係る発明の帯電装置では、摺擦部材に付着した異物の除去を空気流の下流部で行うことにより、上記摺擦部材から除去された異物が覆い部材の内側や被帯電体周辺に飛散することを防止することができる。また、摺擦部材に残っている異物の除去を覆い部材の清掃を終えた後に行うことで、次回の清掃開始時には上記摺擦部材を清掃性能が回復した状態とすることができる。
【0019】
請求項6に係る発明の帯電装置では、覆い部材の内面に強く付着している異物があっても、研磨材によって削り取るように剥離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本願に係る発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本願に係る発明の一実施形態である帯電装置を備える画像形成装置の概略構成図である。
この画像形成装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する4つの画像形成ユニット10a、10b、10c、10dを備えており、これらの画像形成ユニット10のそれぞれと対向するように無端ベルト状の中間転写体11が支持され、周面が周回移動するものとなっている。この周面の移動方向における画像形成ユニットと対向する位置の下流側には、二次転写を行うための転写ロール12が中間転写体11と対向するように配置されており、この二次転写部にはシートトレイ13から搬送路14を経て記録シートが送り込まれる。記録シートの搬送経路における二次転写部の下流側には、トナー像を加熱・加圧して記録シート上にトナー像を圧着する定着装置15が設けられ、さらに下流側には、トナー像が定着された記録シートを収容する排紙トレイ16が設けられている。
【0021】
上記画像形成ユニット10a、10b、10c、10dのそれぞれは、表面に静電潜像が形成される感光体ドラム1を有しており、各感光体ドラム1の周囲に、該感光体ドラム1の表面をほぼ一様に帯電する帯電装置2と、感光体ドラム上に形成された潜像にトナーを選択的に転移させてトナー像を形成する現像装置3と、感光体ドラム1上のトナー像を中間転写体11上に一次転写する転写装置4と、転写後の感光体ドラム1に残留したトナーを回収するクリーニング装置5とを備えている。そして、一様に帯電された感光体ドラム1のそれぞれに、画像信号に基づく像光を照射して静電潜像を書き込む像露光装置6が設けられている。
【0022】
上記帯電装置2は、被帯電体である感光体ドラム1の周面と所定の間隔で張架された電極ワイヤ33を備えるものであり、この電極ワイヤ33と感光体ドラム1との間に電圧を印加し、コロナ放電を生じさせて感光体ドラム1の表面を帯電するものである。この帯電装置の詳細については後述する。
【0023】
上記像露光装置6は、画像信号に基づいて点滅するレーザー光を発生し、これをポリゴンミラーによってそれぞれの感光体ドラム1の主走査方向(軸線方向)に走査するものである。これによりそれぞれの感光体ドラム1の表面に各色の画像に相当する静電潜像が形成される。
【0024】
現像装置3には現像剤としてトナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤が使用されており、感光体ドラム1と対向する現像ロールに磁気的に吸着されて搬送される。そして、現像ロール上で規制ブレードにより適切な厚さの層とされ、感光体ドラム1との対向位置へと供給される。現像ロールにはトナーを感光体ドラム1上の静電潜像に転移させるために現像バイアス電圧が印加されている。
【0025】
感光体ドラム1は、金属からなる円筒状部材の周面に有機成分の光導電層を形成したものであり、金属部分が電気的に接地されている。また、バイアス電圧が印加されるものであってもよい。
【0026】
上記画像形成ユニット10a、10b、10c、10dと対向するように配置される中間転写体11は、厚さが10〜300μm程度の樹脂フイルムからなるものであり、ポリイミドフィルム等が用いられる。また、トナー像を感光体ドラム1から中間転写体11へ静電的に転写するときに画像の乱れが生じないように、上記樹脂フィルムにはカーボンブラック等の導電性材料の粉体を混入し、体積抵抗率を1010Ωcm程度に調整している。
【0027】
上記中間転写体11の内側には、駆動ロール17と、対向ロール18と、支持ロール19とが配置され、中間転写体11はこれらに張架されて図中に示す矢印Aの方向に周回移動するものとなっている。
【0028】
上記転写ロール12は、上記対向ロール18と対向する位置に設けられ、中間転写体11を介して対向ロール18に押圧されている。この転写ロール12は、金属の芯材に導電性のゴム材で外周部を被覆してロール状としたものであり、対向ロール18との間に転写用のバイアス電圧が印加されるものである。
【0029】
上記画像形成装置は次のように動作する。
画像形成動作を開始する信号が入力されることにより、中間転写体11に対向して設けられた4つの画像形成ユニット10a、10b、10c、10dで、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、黒のトナー像が形成される。トナー像の形成は次のような工程により行われる。
感光体ドラム1がそれぞれ帯電装置2によりほぼ一様に帯電され、像露光装置6から画像信号に応じてオンオフされるレーザー光が照射される。これにより光照射された位置の電荷が減衰し、感光体ドラム1上に静電電位の差による潜像が形成される。各感光体ドラム1上の静電潜像は、現像装置3との対向位置においてトナーの転移によって現像され、トナー像が感光体ドラム1上に形成される。
【0030】
形成された各色トナー像は、転写装置4により中間転写体11上へ重ね合わせて転写される。これにより、中間転写体11上に複数色のトナー像が重ね合わされたカラー画像が形成される。中間転写体11上に形成された複数色のトナー像は、中間転写体11の周回移動により転写ロール12と対向する二次転写部に搬送される。
【0031】
一方、シートトレイ13からは記録シートが引き出され、搬送路14を転写部に向けて搬送される。そして、中間転写体11上のトナー像が搬送されてくるタイミングに合わせて、記録シートが二次転写部に送り込まれてトナー像が静電的に転写される。記録シートに転写されたトナー像は、定着装置15において軟化され記録シート上に圧着された後、排紙トレイ16に送り出される。
【0032】
次に、上記帯電装置2の詳細について説明する。
この帯電装置2は、図2に示すように、感光体ドラム1の周面に対する所定の位置に固定支持された前方側の端部材31と後方側の端部材32とを有し、これらの間に帯電部材として機能する電極ワイヤ33が張架されている。そして、この電極ワイヤ33が感光体ドラム1の無端状周面の幅方向に張架されて対向し、周面と所定の間隔を維持するように配置されている。また、覆い部材として双方の端部材31,32に両端が支持されたシールドケース34が設けられている。このシールドケース34は、図3に示すように電極ワイヤ33に沿って側方部と上方部とを囲み、感光体ドラムの周面と対向する部分が開放されている。
シールドケース34内には、電極ワイヤ33の軸線方向に往復移動が可能に支持された清掃ユニット50が設けられており、電極ワイヤ33及びシールでケース34の内面に付着したトナーや放電生成物等の異物を除去するものとなっている。
なお、この帯電装置2では帯電部材として電極ワイヤ33を用いているが、ワイヤに限定されるものではなく、金属の細長い板状部材や棒状の部材を用いることもできる。
【0033】
上記前方側の端部材31には、電極ワイヤ33の周辺部に空気を導入するための給気口31aが設けられており、後方側の端部材32には排気口32aが設けられている。これらの給気口31a、排気口32a及びシールドケース34により空気導入路が形成され、図2中の矢印で示すように前方側の端部材31からシールドケース34内の電極ワイヤ33に沿った領域に空気流が形成される。そして、後方側の端部材32に設けられた排気口32aから排出されるものとなっている。このような給気及び排気は、この画像形成装置の操作盤が設けられた前方側から吸気ファンによって外部の空気を取り入れ、前方部のダクト、帯電装置2及び後方部のダクトを介して排気ファンによって機外に排出するものとなっている。
【0034】
図3は、この帯電装置2の断面図であって、感光体ドラム1の周面の幅方向に張架された電極ワイヤ33の軸線と直角方向の断面を示すものである。また、図4から図7までは、この帯電装置で用いられる清掃ユニット50の断面図であり、いずれも電極ワイヤ33の軸線と平行な断面を示すものである。すなわち図4及び図5は、図3中のA1−A1線及びA2−A2線における断面を示すものであり、図6及び図7は、図3中に示すB1−B1線及びB2−B2線における断面図である。
【0035】
この帯電装置2の清掃ユニット50は、電極ワイヤ33の軸線方向に沿って移動する支持体36と、この支持体36に支持されて電極ワイヤ33に感光体ドラム1側から接触する第1のパッド37と、背面側から接触する第2のパッド38と、支持体36に嵌め合わされて該支持体36の移動方向における前後に相対的に移動し、第1のパッド37を電極ワイヤ33に対して接触又は離隔するように動作させる移動部材39とを備えている。また、上記支持体36の外側には、上記シールドケース34の内面に接触する摺擦部材41と、支持体36上の上記摺擦部材41が取り付けられた位置の前後に設けられ、凹状となって付着物を収容する付着物収容部42と、支持体の前後の縁に沿って設けられ、付着物の飛散を防止する凸状部46と、上記シールドケース34の感光体ドラム1と対向する端縁に沿って設けられ、シールドケース34と支持体36との間から感光体ドラム1上に落下する付着物を受ける付着物受け部43とを備えている。
そして、シールドケースの内側には移動する上記摺擦部材41と接触する掻き取り部材45が設けられている。
【0036】
上記支持体36には、対向する感光体ドラム1とシールドケース34との間からこのシールドケース34に囲まれた領域の外側に延びた駆動伝達部36aが設けられている。そして、この駆動伝達部36aに電極ワイヤ33の軸線方向の貫通孔が設けられ、内周面に螺旋状の溝が形成されている。この貫通孔にはスクリュー部材35が螺合されて貫通し、両端が前方側の端部材31及び後方側の端部材32によって支持され、回転駆動されるものとなっている。
一方、支持体36には、シールドケース34に設けられたスリットの縁に係止される突起部36bが設けられ、この突起部36bと駆動伝達部36aとによって支持体36がシールドケース34に対して所定の位置に支持され、スクリュー部材35の回転駆動によって電極ワイヤ33の軸線方向に駆動されるものとなっている。
【0037】
上記第1のパッド37は、回転可能に設けられた支持軸40に取り付けられ、支持軸40が所定の角度の範囲内で回転することによって、電極ワイヤ33に押し付けられる位置と電極ワイヤ33から離隔した位置との間で移動するものとなっている。そして、上記支持軸40は、移動部材39が支持体36に対して前方側に突き出した状態又は後方側に突き出した状態との間で相対的に移動することにより所定の角度の範囲で回転する。上記移動部材39は、支持体36の移動にともなって突き出している部分が前方側の端部材31又は後方側の端部材32に突き当たり、前方側に突き出した状態から後方側に突き出した状態又はその逆の移動が生じるものとなっている。このような動作によって支持体36が前方側から後方側へ移動するときには、第1のパッド37が感光体ドラム1側から電極ワイヤ33に押し付けられ、逆方向に移動するときには電極ワイヤ33から離隔される。
【0038】
上記第2のパッド38は、上記支持体36に対して位置が固定されており、第1のパッド37が電極ワイヤ33に接触していないときには、この第2のパッド38も電極ワイヤ33からわずかに離れた位置でこの電極ワイヤ33と対向するように支持されている。そして、第1のパッド37が押し付けられて電極ワイヤ33が変位することによって第2のパッド38にも押し付けられるものとなっている。
【0039】
上記摺擦部材41は、シールドケース34の内側に接触するように上記支持体36の外側に接着されており、上記支持体36が移動することでシールドケース34の内面に摺擦され、異物を除去するものである。
【0040】
この摺擦部材41は、例えば、ホワイトアルミナのような高い硬度を持つ研磨材の微粉末を含有する合成樹脂の発泡材又は不織布からなる研磨パッド等を採用することができ、シールドケース34の内面に均一な接触圧で当接されるように弾性的に変形する素材が望ましい。このような摺擦部材41は、シールドケース34の材質に合わせて研磨材を選択することができ、シールドケース34の内面を損傷することなく、付着した異物を剥離できるものが望ましい。また、研磨材を含有した不織布をウレタンなどの合成樹脂に積層して支持体36に接着したものなど、比較的安価な素材を使用することで、交換部品のコストを抑えることもできる。
【0041】
上記付着物収容部42は、上記支持体36上において上記摺擦部材41に隣接した部分を凹状にすることによって形成されている。この付着物収容部42は、上記摺擦部材41を挟んで上記支持体36の走行方向における前方側及び後方側の双方に設けられており、支持体36の往復移動にともなって摺擦部材41がシールドケース34の内面から剥離した付着物を収容するものである。
【0042】
上記付着物収容部42の内部には、凹状となった部分の全域に飛散抑制部材44が取り付けられており、シールドケース34の内側から剥離した付着物が該付着物収容部52から飛散するのを防止している。
飛散抑制部材44は、合成樹脂の発泡材や繊維を集積した材料等、付着物収容部42に収容された異物を発泡材の小孔内に収容したり、集積された繊維の間に絡めて保持することができる部材が用いられる。
【0043】
上記付着物収容部42に沿って支持体36の前後の縁に設けられた凸状部46は、シールドケース34の内面に向かって近接する位置まで突き出した壁状となっている。これにより、摺擦部材41が剥離した付着物を上記付着物収容部42から前後に飛散させないように囲うものとなっている。
【0044】
上記摺擦部材41、付着物収容部42及び凸状部46は、図3、図5及び図7に示すように、上記支持体36の一方の側面から上面及び反対側の側面まで、シールドケース34の内面と対向する範囲のほぼ全域に設けられている。これにより、シールドケース34の内面の全域を清掃し、剥離した付着物の飛散を防止するものとなっている。そして、支持体36の被帯電体1と対向する端部には、図3に示すようにシールドケース34の端縁34aと被帯電体1との間に差し入れるように付着物受け部43が設けられている。
【0045】
上記付着物受け部43は、上記支持体36に支持されて上記シールドケース34の側方部と支持体36との間及びこの部分に設けられた付着物収容部42から異物が被帯電体1上に落下するのを受けるように収容し、被帯電体1の表面に異物が付着するのを防止するものである。シールドケース34の側方部と支持体36との間及びこの部分に設けられた付着物収容部42から落下する異物は、摺擦部材41によって剥離された後、付着物収容部42に収容されずに落下する異物、付着物収容部42内で飛散抑制部材44に保持されずに落下する異物を含むものである。
【0046】
上記掻き取り部材45は、上記シールドケース34の内面から突き出すように設けられ、支持体36の移動方向と直角方向に連続し、移動する上記摺擦部材41の全域と接触するものとなっている。この掻き取り部材45が設けられる位置は、帯電部材33の軸線方向に流れる空気の下流側で支持体36が端部材32に近接又は接触して停止したときの摺擦部材41の位置よりやや上流側となっている。これにより支持体36が空気流の下流側つまり画像形成装置の後方側の端部材32に接近したときに、掻き取り部材45が上記摺擦部材41と接触することで該摺擦部材41に付着している異物を掻き落とし、付着物収容部42に収容するものである。
なお、本実施例では、掻き取り部材45を帯電部材33の軸線方向に流れる空気の下流側の1箇所に設けているが、シールドケース34の内側に複数設置することもできる。
【0047】
上記のような清掃ユニット50の駆動は、例えば画像形成装置の電源投入時、画像形成動作の開始前、終了時等に行われるように設定することができる。また、所定の枚数の画像形成を行う毎に清掃ユニット50を駆動するように設定することもできる。
【0048】
そして、給排気装置による空気流は、少なくとも上記清掃ユニット50が駆動されるときには生成されるように制御するのが望ましい。また、感光体ドラム1の周面を帯電するときにも空気流を生成し、清掃ユニット50は空気流の下流側で待機し、放電生成物を速やかに排除するのがよい。上記実施例では、給排気装置によって前方側の端部材31から空気が導入され、電極ワイヤ33に沿って空気流を形成して、後方側の端部材32から空気を排出するものであったが、後方側から導入して前方側に排出するものであってもよい。
【0049】
以上に説明した帯電装置2は、電子写真式の画像形成装置において、像光を照射する前の感光体ドラムをほぼ一様に帯電するものとして用いられるものである。しかし、本願発明に係る帯電装置は、上記のような用途の帯電装置に限定されものではなく、電子写真式や静電記録方式の画像形成装置において、像保持体上のトナー像を転写するためのコロナ放電装置や像保持体上のトナーの帯電又は除電に用いられるものであってもよい。また、感光体ドラム等の静電潜像が形成される像保持体以外の部材、例えば中間転写体等を帯電するものであってもよい。さらに、画像形成装置以外の装置に用いられるものであって、帯電部材の清掃が必要となる装置について本発明を適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本願に係る発明の一実施形態である帯電装置を備える画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本願に係る発明の一実施形態である帯電装置の概略構成図である。
【図3】図2に示す帯電装置の断面図である。
【図4】図2に示す帯電装置が備える清掃ユニットの断面図であって、図3中に示すA1−A1線における断面図ある。
【図5】図2に示す帯電装置が備える清掃ユニットの断面図であって、図3中に示すA2−A2線における断面図ある。
【図6】図2に示す帯電装置が備える清掃ユニットの断面図であって、図3中に示すB1−B1線における断面図ある。
【図7】図1に示す帯電装置が備える清掃ユニットの断面図であって、図3中に示すB2−B2線における断面図ある。
【符号の説明】
【0051】
1:感光体ドラム(像保持体)、 2:帯電装置、 3:現像装置、 4:転写装置、 5:クリーニング装置、 6:像露光装置、
10:画像形成ユニット、 11:中間転写体、 12:転写ロール、 13:シートトレイ、 14:搬送路、 15:定着装置、 16:排紙トレイ、 17:駆動ロール、 18:対向ロール、 19:支持ロール、
31:前方側の端部材、 31a:給気口、 32:後方側の端部材、 32a:排気口、 33:電極ワイヤ(帯電部材)、 34:シールドケース(覆い部材)、 35:スクリュー部材、 36:支持体、 36a:駆動伝達部、 36b:突起部、 37:第1のパッド(清掃部材)、 38:第2のパッド(清掃部材)、 39:移動部材、 40:支持軸、 41:摺擦部材、 42:付着物収容部、 43:付着物受け部、 44:飛散抑制部材、 45:掻き取り部材、 46:凸状部、
50:清掃ユニット、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被帯電体の表面と所定の間隔をおいて一方向に長く連続する形状を有し、該被帯電体との間に帯電用の電圧が印加される帯電部材と、
前記帯電部材を軸線方向に沿って、被帯電体に対する後方及び側方を覆うように設けられた覆い部材と、
前記帯電部材の軸線方向に移動して帯電装置内部の付着物を除去する清掃ユニットとを有し、
前記清掃ユニットは、前記帯電部材に沿って往復するように駆動される支持体と、
該支持体に支持され、前記覆い部材の内側と接触して付着物を剥がす摺擦部材と、
前記支持体上の、走行方向における前記摺擦部材の前方側及び後方側の少なくとも一方に形成され、凹状となって前記摺擦部材によって剥離された付着物を収容する付着物収容部と、を有することを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
前記支持体に支持され、前記覆い部材の前記帯電部材の側方にある部分から前記被帯電体側に落下する付着物を受ける付着物受け部を有することを特徴とする請求項1に記載の帯電装置。
【請求項3】
前記付着物収容部内には、多孔質材料又は繊維を集積した材料からなり、収容された付着物を小孔内又は繊維間に取り込んで飛散を抑制する飛散抑制部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の帯電装置。
【請求項4】
前記覆い部材の内面に設けられ、移動する前記摺擦部材と接触して、該摺擦部材に付着している付着物を該摺擦部材から掻き落とす掻き取り部材を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の帯電装置。
【請求項5】
前記帯電部材に沿った位置で該帯電部材の軸線方向に対して一の方向に流れる空気を導入する空気導入路を有し、
前記掻き取り部材は、空気の流れの下流に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の帯電装置。
【請求項6】
前記摺擦部材は、研磨材の微粉末を含有する合成樹脂の発泡材、又は研磨材の微粉末を含有する繊維を集積したパッドからなるものであることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の帯電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−116100(P2009−116100A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289905(P2007−289905)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】