説明

帯電部材清掃部材、帯電装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置

【課題】帯電部材のクリーニング性を維持しつつ、帯電部材と接した状態で長期に保管した場合でも、帯電部材を汚染しにくく、濃度むら等の画質欠陥の発生を抑制する帯電部材清掃部材を提供する。
【解決手段】少なくとも1つのシリコン系オイルを含む領域と少なくとも1つのシリコン系オイルを含まない領域とを面方向に有する弾性層を備える帯電部材清掃部材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電部材清掃部材、帯電装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置においては、まず、無機または有機材料を含んで構成される光導電性感光体等の像保持体の表面に帯電部材を用いて電荷を形成し、画像信号を変調したレーザ光等で静電潜像を形成した後、帯電したトナーで前記静電潜像を現像して可視化したトナー像を形成する。そして、このトナー像を中間転写体を介して、あるいは直接、記録用紙等の記録材に静電的に転写し、トナー像を記録材に定着することにより所望の画像が得られる。
【0003】
近年、電子写真方式の画像形成装置では、被帯電体としての上記像保持体の表面を帯電させる帯電部材として、帯電ロールが多用されている。帯電ロールは、電圧が印加された状態で像保持体に接触し、像保持体との間の微少な間隙にて放電し像保持体の表面を帯電させる。上記帯電ロールは、像保持体をできるだけ均一に帯電させるために、抵抗、形状等が厳密に制御されている。
【0004】
帯電ロール等の帯電部材を用いた電子写真方式の画像形成装置においては、像保持体の表面に付着した転写残トナー、残トナーの添加剤、紙粉等の異物が、帯電ロールと像保持体とのニップ部分に進入することにより、その異物が帯電ロールの表面に付着して帯電ロールを汚染することがある。そこで、帯電ロールの清掃部材(クリーニング部材)として、例えば、特許文献1に示すようなクリーニングロールやクリーニングバッドが提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、帯電ロールの表面を傷つけずに汚れを除去するために、回転可能に支持されるシャフトと、前記シャフトの周りに設けられ、クリーニング性能の異なる混在部材と、を有して構成されているクリーニング装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−272594号公報
【特許文献2】特開2007−199414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、帯電部材のクリーニング性を維持しつつ、帯電部材と接した状態で長期に保管した場合でも、帯電部材を汚染しにくく、濃度むら等の画質欠陥の発生を抑制する帯電部材清掃部材、帯電装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の本発明によって達成される。すなわち、請求項1に係る発明は、少なくとも1つのシリコン系オイルを含む領域と少なくとも1つのシリコン系オイルを含まない領域とを面方向に有する弾性層を備える帯電部材清掃部材である。
【0009】
請求項2に係る発明は、芯材と、前記芯材の外周に形成された、少なくとも1つのシリコン系オイルを含む領域と少なくとも1つのシリコン系オイルを含まない領域とを周方向に有する円筒状の弾性層と、を備える帯電部材清掃部材である。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記シリコン系オイルを含まない領域が、ポリエステル系ポリウレタンを含んで構成される請求項1または2に記載の帯電部材清掃部材である。
【0011】
請求項4に係る発明は、帯電部材と、請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電部材清掃部材とを備え、動作していない状態では前記帯電部材が前記帯電部材清掃部材のシリコン系オイルを含まない領域と接するかまたは対向する帯電装置である。
【0012】
請求項5に係る発明は、像保持体と、請求項4に記載の帯電装置とを備えるプロセスカートリッジである。
【0013】
請求項6に係る発明は、像保持体と、請求項4に記載の帯電装置と、前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、を備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1によると、弾性層がシリコン系オイルを含む領域とシリコン系オイルを含まない領域とを面方向に有さない場合に比較して、帯電部材のクリーニング性を維持しつつ、帯電部材と接した状態で長期に保管した場合でも、帯電部材を汚染しにくく、濃度むら等の画質欠陥の発生を抑制する帯電部材清掃部材を提供する。
【0015】
本発明の請求項2によると、弾性層がシリコン系オイルを含む領域とシリコン系オイルを含まない領域とを周方向に有さない場合に比較して、帯電部材のクリーニング性を維持しつつ、帯電部材と接した状態で長期に保管した場合でも、帯電部材を汚染しにくく、濃度むら等の画質欠陥の発生を抑制する帯電部材清掃部材を提供する。
【0016】
本発明の請求項3によると、前記シリコン系オイルを含まない領域が、ポリエステル系ポリウレタンを含んで構成されない場合に比較して、帯電部材のクリーニング性を維持しつつ、帯電部材と接した状態で長期に保管した場合でも、帯電部材を汚染しにくく、濃度むら等の画質欠陥の発生を抑制する帯電部材清掃部材を提供する。
【0017】
本発明の請求項4によると、帯電部材清掃部材の弾性層がシリコン系オイルを含む領域とシリコン系オイルを含まない領域とを面方向に有さない場合に比較して、帯電部材のクリーニング性を維持しつつ、帯電部材と接した状態で長期に保管した場合でも、帯電部材を汚染しにくく、濃度むら等の画質欠陥の発生を抑制する帯電装置を提供する。
【0018】
本発明の請求項5によると、帯電部材清掃部材の弾性層がシリコン系オイルを含む領域とシリコン系オイルを含まない領域とを面方向に有さない場合に比較して、帯電部材のクリーニング性を維持しつつ、帯電部材と接した状態で長期に保管した場合でも、帯電部材を汚染しにくく、濃度むら等の画質欠陥の発生を抑制するプロセスカートリッジを提供する。
【0019】
本発明の請求項6によると、帯電部材清掃部材の弾性層がシリコン系オイルを含む領域とシリコン系オイルを含まない領域とを面方向に有さない場合に比較して、帯電部材のクリーニング性を維持しつつ、帯電部材と接した状態で長期に保管した場合でも、帯電部材を汚染しにくく、濃度むら等の画質欠陥の発生を抑制する画像形成装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る帯電部材清掃部材であるクリーニングロールの一例を示す、ロールの軸に垂直方向の概略断面構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る帯電部材清掃部材であるクリーニングロールの他の例を示す、ロールの軸に垂直方向の概略断面構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る帯電部材清掃部材であるクリーニングパッドの一例を示す、パッドの清掃面の正面から見た概略構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る帯電部材清掃部材を用いた帯電装置の一例の概略構成を示す側面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る帯電部材清掃部材を用いた帯電装置の一例の概略構成を示す正面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る帯電部材清掃部材を用いた帯電装置の他の例の概略構成を示す側面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画像形成装置の他の例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0022】
帯電ロール等の帯電部材を用いた電子写真方式の画像形成装置において、通常、帯電ロールの清掃部材としてクリーニングロールやクリーニングバッドにより、付着異物等の除去が行われる。清掃部材としては異物除去のし易さ等から、発泡タイプを用いることが主流となっており、材料としてはクリーニング維持性等の観点より、永久歪みが小さいウレタンを用いることが主流となっている。ウレタンの原料であるポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等が知られているが、ポリエステルポリオールを原料とするポリエステル系ポリウレタンは加水分解を起こしやすいため、高湿下での保管性等の観点より、ポリエーテルポリオールを原料とするポリエーテル系ポリオールを用いたポリウレタンが用いられることが多い。
【0023】
ポリエーテル系ポリウレタンを清掃部材として用いた場合には、長期保管にて、ポリウレタンに通常使用されているシリコン系オイル等のシリコン系整泡剤が帯電ロールを汚染することによる濃度むら等の画質欠陥が発生することがある。一方、ポリエステル系ポリウレタンにはそのようなシリコン系整泡剤は通常用いられないため、上記画質欠陥が発生しにくい。
【0024】
本発明者らは、帯電部材の清掃部材として、シリコン系オイルを含む領域とシリコン系オイルを含まない領域とを面方向に有する弾性層を備えるものを用いることにより、帯電部材のクリーニング性を維持しつつ、帯電ロールと接した状態で長期に保管した場合でも、帯電ロールを汚染しにくく、濃度むら等の画質欠陥の発生が抑制されることを見出した。
【0025】
<帯電部材清掃部材>
本発明の実施形態に係る帯電部材清掃部材は、少なくとも1つのシリコン系オイルを含む領域と少なくとも1つのシリコン系オイルを含まない領域とを面方向に有する弾性層を備える。帯電部材清掃部材の構成としては、帯電ロール等の帯電部材の清掃機能を有した上で、この要件を満たしていれば特に制限されるものではなく、画質として現れるような帯電ロール表面への傷、汚染等をなるべく生じないような構成になっていることが好ましい。このような帯電部材清掃部材としては、パッド形状のものでもよいし、ロール形状のものでもよい。ここでは、主にロール形状を例として説明するが、これに制限されるものではない。
【0026】
図1は、本実施形態に係る帯電部材清掃部材であるクリーニングロールの一例を示す、ロールの軸に垂直方向の概略断面構成図である。帯電部材清掃部材であるクリーニングロール10は、芯材12と、芯材12の外周に形成された弾性層18を備える。弾性層18は、シリコン系オイルを含むシリコン系オイル含有領域14とシリコン系オイルを含まないシリコン系オイル非含有領域16とを面方向(ロールの場合は周方向とも呼ぶ)に有する。
【0027】
図1のクリーニングロール10が画像形成装置に装着されて動作していない状態では、クリーニングロール10のシリコン系オイル非含有領域16が帯電部材と接するように制御される。これにより、帯電部材のクリーニング性を維持しつつ、帯電ロールと接した状態で長期に保管した場合でも、帯電ロールを汚染しにくく、濃度むら等の画質欠陥の発生が抑制され、高画質、長寿命の画質が得られる。また、シリコン系オイルを含むシリコン系オイル含有領域14を有することにより、帯電部材のクリーニング時に帯電部材と帯電部材清掃部材の弾性層18との摺擦力が小さくなるために、弾性層の作製時に発生する研磨粉等の異物が帯電部材へ移動して色点等の画質欠陥が発生する現象が抑制される。シリコン系オイル非含有領域16の形状としては、クリーニングロール10が動作していない状態でシリコン系オイル非含有領域16が帯電部材と接触し、シリコン系オイル含有領域14と帯電部材とが接触しないようにすればよく、図1の形状に限られるものではない。
【0028】
図2は、本実施形態に係る帯電部材清掃部材であるクリーニングロールの他の例を示す、ロールの軸に垂直方向の概略断面構成図である。帯電部材清掃部材であるクリーニングロール10は、芯材12と、芯材12の外周に形成された弾性層18を備える。弾性層18は、シリコン系オイルを含むシリコン系オイル含有領域14とシリコン系オイルを含まないシリコン系オイル非含有領域17である切り欠き部とを面方向(周方向)に有する。
【0029】
図2のクリーニングロール10が画像形成装置に装着されて動作していない状態では、クリーニングロール10のシリコン系オイル非含有領域17が帯電部材と対向するように制御される。切り欠き部の形状としては、クリーニングロール10が動作していない状態でシリコン系オイル非含有領域17である切り欠き部が帯電部材と対向し、シリコン系オイル含有領域14と帯電部材とが接触しないようにすればよく、図2の形状に限られるものではない。
【0030】
図3は、本実施形態に係る帯電部材清掃部材であるクリーニングパッドの一例を示す、パッドの清掃面の正面から見た概略構成図である。帯電部材清掃部材であるクリーニングパッド11は、弾性層18を備える。弾性層18は、シリコン系オイルを含むシリコン系オイル含有領域14とシリコン系オイルを含まないシリコン系オイル非含有領域16とを面方向に有する。
【0031】
図3のクリーニングパッド11が画像形成装置に装着されて動作していない状態では、クリーニングパッド11のシリコン系オイル非含有領域16が帯電部材と接するように制御される。シリコン系オイル非含有領域16の形状としては、クリーニングパッド11が動作していない状態でシリコン系オイル非含有領域16が帯電部材と接触し、シリコン系オイル含有領域14と帯電部材とが接触しないようにすればよく、図3の形状に限られるものではない。
【0032】
ここで、本明細書において「シリコン系オイル」とは、ジメチルシロキサン構造を有するものである。そのような構造を有する化合物としては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シリコーンオイル等が挙げられる。このようなシリコン系オイルは、例えば、ポリウレタン等の製造時にシリコン系整泡剤として用いられるものである。
【0033】
また、「シリコン系オイル非含有領域」とは、弾性層18についてX線光電子分光分析(XPS分析)によって測定したSi2p中のシリコン濃度が0.5atm%未満である領域のことをいう。また、「シリコン系オイル含有領域」とは、X線光電子分光分析(XPS分析)によって測定したSi2p中のシリコン濃度が0.5atm%以上である領域のことをいう。シリコン濃度は、具体的には、弾性層18を3mm角で芯材に平行かつ等間隔に3箇所切り出して、光電子分光装置JPS−9010MX(日本電子株式会社製)により、Si2p中のシリコン成分の全元素に対する比の値に基いて決定する。
【0034】
なお、弾性層18において、少なくとも1つのシリコン系オイル含有領域14と、少なくとも1つのシリコン系オイル非含有領域16とを弾性層18の面方向に沿って有すればよく、その構成には特に制限はない。1つのシリコン系オイル非含有領域16の清掃面の面積が弾性層18の清掃面全体の面積の5%以上50%以下の範囲であることが好ましく、5%以上30%以下の範囲であることがより好ましい。1つのシリコン系オイル非含有領域16の清掃面の面積が5%未満であると、停止時の帯電ロールとのニップ部にシリコン系オイル含有領域が入り込む場合があり、50%を超えると、帯電部材のクリーニング時に帯電部材と帯電部材清掃部材の弾性層18との摺擦力が小さくなるために、弾性層の作製時に発生する研磨粉等の異物が帯電部材へ移動して色点等の画質欠陥が発生する場合がある。また、シリコン系オイル非含有領域16の清掃面の面積の合計が弾性層18の清掃面全体の面積の5%以上50%以下の範囲であることが好ましく、7%以上30%以下の範囲であることがより好ましい。合計のシリコン系オイル非含有領域16の清掃面の面積が5%未満であると、停止時の帯電ロールとのニップ部にシリコン系オイル含有領域が入り込む場合があり、50%を超えると、帯電部材のクリーニング時に帯電部材と帯電部材清掃部材の弾性層18との摺擦力が小さくなるために、弾性層の作製時に発生する研磨粉等の異物が帯電部材へ移動して色点等の画質欠陥が発生する場合がある。
【0035】
また、本明細書において、「動作していない状態」とは、例えば、本実施形態に係る帯電部材清掃部材を含む帯電装置を画像形成装置に装着した後に画像形成を行っていない状態の他に、本実施形態に係る帯電部材清掃部材を含む帯電装置を製造時または製造後に保管、輸送している状態等のことをいう。
【0036】
ロール形状のクリーニングロール10の芯材12に用いる材質としては、快削鋼、ステンレス鋼等の金属、ポリアセタール(POM)等の樹脂等が挙げられる。摺動性等の用途に応じて、芯材12の材質および表面処理方法等を適宜選択するのが好ましい。特に金属の場合、防錆等の観点からメッキ処理するのが好ましい。また、樹脂等で導電性を有さない材質の場合、メッキ処理等の一般的な処理により加工して導電化処理を行ってもよいし、そのまま使用してもよい。
【0037】
芯材12上の弾性層18の構成としては1層でも2層以上の積層構成でも構わない。弾性層18は、発泡体を含んで構成されてもよいし、ソリッド層と発泡層との2層の構成でも構わない。弾性層18を帯電部材のクリーニングが可能な構成にすることにより、クリーニングロールとしての機能が得られる。
【0038】
弾性層18を構成する材料としては、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、またはポリプロピレン等の発泡性の樹脂、またはシリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、塩素化ポリイソプレンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水素添加ポリブタジエンゴム、ブチルゴム等のゴム材料を1種類または2種類以上を混合してなる材料を用いてもよい。これらには必要に応じて、発泡助剤、整泡剤、触媒、硬化剤、可塑剤、加硫促進剤等の助剤を加えてもよい。
【0039】
擦れによる帯電部材の表面をなるべく傷を付けないために、また、長期にわたり千切れや破損等がなるべく生じないようにするために引き裂き、引っ張り等に強い、発泡ポリウレタンを用いることが好ましい。ポリウレタンとしては、特に制限するものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールなどのポリオールと、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどのイソシアネートとの反応により得られるものが挙げられる。また、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパンなどの鎖延長剤が混合されていてもよい。水やアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ化合物などの発泡剤を用いて発泡させてもよい。さらに必要に応じて発泡助剤、整泡剤、触媒などの助剤を加えてもよい。
【0040】
整泡剤としては、上記シリコン系オイル等のシリコン系整泡剤が挙げられる。
【0041】
通常、製造時にシリコン系オイル等のシリコン系整泡剤が用いられるポリエーテル系ポリウレタンは、長期保管した場合の安定性に優れる等の点から、シリコン系オイル含有領域14の弾性層18として用いることが好ましい。また、長期保管した場合の安定性にはやや劣るが、通常、製造時にシリコン系オイル等のシリコン系整泡剤が用いられないポリエステル系ポリウレタンを、シリコン系オイル非含有領域16の弾性層18として用いることが好ましい。
【0042】
帯電部材清掃部材の製造方法としては、シリコン系オイルを含む材料と、シリコン系オイルを含まない材料とを用いて弾性層18を作製すればよく、特に制限はない。例えば、弾性層18の少なくとも面方向の一部にシリコン系オイルを含まない材料を用いて作製すればよい。これらの製造方法としては、例えば、インジェクション成形時に複数の注入経路を設け、夫々の注入経路より、シリコン系オイルを含む材料とシリコン系オイルを含まない材料とを別々に流し込むことで作製すればよい。また、押出し成形においても同様の考え方で作製すればよい。これらの成形方法では夫々の材料界面が不均一になる可能性もあるが、本実施形態の目的から外れるところではない。
【0043】
<帯電部材および帯電装置>
図4は、本実施形態に係る帯電部材清掃部材を用いた帯電装置の一例の概略構成を示した側面図である。また、図5は、本実施形態に係る帯電装置の一例の概略構成を示した正面図である。図4の帯電装置1は、画像形成装置に備えられる像保持体の表面を帯電させる帯電部材であって、軸中心に回転する円筒状の帯電部材である帯電ロール20と、帯電ロール20に接触して帯電ロール20の表面を清掃するための帯電部材清掃部材であるクリーニングロール10と、を備える。帯電ロール20は、導電性芯材22と、導電性芯材22の外周に形成された帯電層24とを備える。クリーニングロール10は、芯材12と、芯材12の外周に形成された円筒状の弾性層18とを備え、弾性層18は、シリコン系オイルを含むシリコン系オイル含有領域14とシリコン系オイルを含まないシリコン系オイル非含有領域16とを面方向(周方向)に有する。
【0044】
図5に示すように、帯電装置1において、帯電ロール20は、像保持体である感光体26に対して導電性芯材22の両端部に設置したコイルバネ28などの弾性部材により感光体26の表面に押し付けられ、感光体26に従動する。一方、クリーニングロール10は、帯電ロール20の導電性芯材22とクリーニングロール10の芯材12との軸受けの距離でベアリング30で保持され、クリーニングロール10は、予め定めたニップ量で帯電ロール20に従動する。なお、帯電ロール20およびクリーニングロール10はそれぞれ感光体26、帯電ロール20に従動させてもよいし、別個に駆動させてもよい。
【0045】
図4のように、クリーニングロール10が画像形成装置に装着されて動作していない状態では、クリーニングロール10のシリコン系オイル非含有領域16が帯電ロール20と接するように制御される。クリーニングロール10がシリコン系オイル非含有領域16として図2のような切り欠き部を有する場合には、クリーニングロール10が画像形成装置に装着されて動作していない状態では、クリーニングロール10の切り欠き部が帯電ロール20と対向するように制御される。
【0046】
図6は、本実施形態に係る帯電部材清掃部材を用いた帯電装置の他の例の概略構成を示した側面図である。図6の帯電装置1は、画像形成装置に備えられる像保持体の表面を帯電させる帯電部材であって、軸中心に回転する円筒状の帯電部材である帯電ロール20と、帯電ロール20に接触して帯電ロール20の表面を清掃するための帯電部材清掃部材であるクリーニングパッド11と、を備える。クリーニングロール10は、板状の弾性層18を備える。
【0047】
図6のように、クリーニングパッド11が画像形成装置に装着されて動作していない状態では、クリーニングパッド11のシリコン系オイル非含有領域16が帯電ロール20と接するように制御される。
【0048】
以下、帯電部材である帯電ロールの説明をするが、被帯電体としての像保持体を帯電するように予め定めた帯電性能を有するものであれば、以下の構成に限定されるものではない。
【0049】
帯電ロール20は少なくとも、導電性芯材22と、弾性層もしくは弾性層の代わりに樹脂層を含む帯電層24とから構成される。弾性層は単層構成からなるものであってよく、いくつもの機能を持った複数の異なる層からなる積層構成であってもよい。さらには、弾性層の上に表面処理を行ってもよい。
【0050】
導電性芯材22に用いられる材質としては、快削鋼、ステンレス鋼等の金属等が挙げられ、摺動性等の用途に応じて材質および表面処理方法等を適時選択するのが好ましい。防錆等の観点からメッキ処理するのが好ましい。導電性を有さない材質の場合、メッキ処理等の一般的な処理により加工して導電化処理を行ってもよいし、そのまま使用してもよい。
【0051】
予め定めた帯電性能を得るために弾性層は導電性弾性層とするが、この導電性弾性層は、例えば、弾性を有するゴム等の弾性材、導電性弾性層の抵抗を調整するカーボンブラックやイオン導電剤等の導電材、必要に応じて軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、シリカおよび炭酸カルシウム等の充填剤等、通常ゴムに添加される材料を加えてもよい。導電性弾性層は、通常ゴムに添加される材料を添加した混合物を、導電性の支持シャフトの周面に被覆することにより形成される。抵抗値の調整を目的とした導電剤として、マトリックス材に配合されるカーボンブラックやイオン導電剤のような、電子およびイオンのうち少なくとも1つを電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等を用いてもよい。また、上記弾性材は発泡体であってもかまわない。
【0052】
導電性弾性層を構成する弾性材としては、例えばゴム材中に導電剤を分散させることによって形成される。ゴム材としては、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、天然ゴム等、およびこれらのブレンドゴム等が挙げられる。中でも、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムおよびこれらのブレンドゴムが好ましく用いられる。これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
【0053】
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末が挙げられる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等が挙げられる。
【0054】
これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その添加量は特に制限はないが、上記電子導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、1質量部以上60質量部以下の範囲であることが好ましく、一方、上記イオン導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが好ましい。
【0055】
帯電ロール20の表面は、トナー等の異物による汚染の防止のためなどに表面層を形成させてもよい。表面層の材料としては、樹脂、ゴム等の何れを用いてもよく、特に限定するものではない。樹脂、ゴムとしては、ポリエステル、ポリイミド、共重合ナイロン、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、メラミン樹脂、フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0056】
このうち外添剤汚れ等の観点から、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、共重合ナイロンが好ましく用いられる。共重合ナイロンは、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロンのうちのいずれか1種または複数種を重合単位として含むものであって、この共重合体に含まれる他の重合単位としては、6ナイロン、66ナイロン等が挙げられる。ここで、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロン等の重合単位が共重合体中に含まれる割合は、重量比で合わせて10%以上であるのが好ましい。上記重合単位が10%以上の場合は、調液性および表面層塗布時における成膜性に優れるとともに、特に繰り返し使用時における表面層の磨耗や表面層への異物付着が少なく、ロールの耐久性が優れ、環境による特性の変化も少なくなる傾向にある。
【0057】
上記高分子材料(樹脂)は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、当該高分子材料の数平均分子量は、1,000以上100,000以下の範囲であることが好ましく、10,000以上50,000以下の範囲であることがより好ましい。
【0058】
また上記表面層には導電性材料を含有させ、抵抗値を調整してもよい。該導電性材料としては、粒径が3μm以下であるものが好ましい。
【0059】
また、抵抗値の調整を目的とした導電剤として、マトリックス材に配合されるカーボンブラックや導電性金属酸化物粒子、あるいはイオン導電剤のような、電子およびイオンのうち少なくとも1つを電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等を用いてもよい。
【0060】
導電剤のカーボンブラックとして、具体的には、デグサ社製の「スペシャルブラック350」、同「スペシャルブラック100」、同「スペシャルブラック250」、同「スペシャルブラック5」、同「スペシャルブラック4」、同「スペシャルブラック4A」、同「スペシャルブラック550」、同「スペシャルブラック6」、同「カラーブラックFW200」、同「カラーブラックFW2」、同「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH1000」、キャボット社製「MONARCH1300」、キャボット社製「MONARCH1400」、同「MOGUL−L」、同「REGAL400R」等が挙げられる。
【0061】
上記カーボンブラックはpH4.0以下であり、一般的なカーボンブラックに比べ、表面に存在する酸素含有官能基の効果により、樹脂組成物中への分散性がよく、前記pH4.0以下のカーボンブラックを配合することにより、帯電均一性が向上し、さらに抵抗値の変動が小さくなる傾向にある。
【0062】
上記抵抗値を調整するための導電性粒子である導電性金属酸化物粒子は、酸化錫、アンチモンがドープされた酸化錫、酸化亜鉛、アナターゼ型酸化チタン、ITO等の導電性を有した粒子で、電子を電荷キャリアとする導電剤であれば何れを用いてもよく、特に限定されるものではない。これらは、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。また、本実施形態の効果を阻害しない限り、何れの粒径であってもよいが、抵抗値調整および強度等の点より、好ましくは酸化錫、アンチモンドープがされた酸化錫、アナターゼ型酸化チタンであり、より好ましくは酸化錫、アンチモンドープがされた酸化錫である。
【0063】
このような導電性材料によって抵抗制御を行うことにより、表面層の抵抗値は環境条件によって変化せず、安定な特性が得られる。
【0064】
さらに、上記表面層には、フッ素系あるいはシリコーン系の樹脂を用い、特に、フッ素変性アクリレートポリマを含んで構成されることが好ましい。また、表面層の中に微粒子を添加してもよい。これにより、表面層が疎水性となって帯電ロールへの異物の付着が防止されるように作用する。また、アルミナやシリカのような絶縁性の粒子を添加して、帯電ロールの表面に凹凸を付与し、感光体ドラムとの摺擦時の負担を小さくして帯電ロールと像保持体との相互の耐磨耗性を向上させてもよい。
【0065】
帯電ロール20の外径としては、8mm以上16mm以下が好ましい。画像形成装置の小型化の観点からφ14mm以下が好ましく、φ8mm以下では帯電ロール周面1ヶ所当たりの外添剤に接触する回数が増え、また放電回数が増えるので、長期安定性に対して不利となる場合がある。また、外径の測定方法としては市販のノギスやレーザ方式外径測定装置を用いて測定すればよい。
【0066】
帯電ロール20のマイクロ硬度は、45°以上60°以下が好ましい。60°より硬くなると、帯電部材清掃部材を取り付けた場合でも像保持体とのニップ安定性が確保されにくくなるために画質濃度むらが発生する場合がある。45°より柔らかくなると、帯電部材清掃部材がない場合でも像保持体とのニップ安定性が確保される。しかし、低硬度化にするためには可塑剤添加量を増量する方法、シリコーンゴムのような低硬度の材料を使用する方法等が考えられる。前者の場合、可塑剤がブリードし、画質劣化等の問題を引き起こしてしまう場合があり、後者の場合、大幅なコストアップになる場合がある。
【0067】
また、帯電ロール20のマイクロ硬度は高分子計器株式会社製MD−1型硬度計にて測定した値を用いればよい。
【0068】
<プロセスカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、像保持体と、像保持体の表面を帯電させる帯電部材と、上記帯電部材清掃部材とを備える。本実施形態のプロセスカートリッジは、必要に応じて、帯電した像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、転写後の像保持体表面を清掃する像保持体清掃手段とからなる群より選択される少なくとも一種を備えていてもよい。
【0069】
本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジの一例の概略構成を図7に示し、その構成について説明する。プロセスカートリッジ3は、静電潜像が形成される像保持体としての感光体(電子写真感光体)26と、感光体26の表面を接触帯電する帯電部材としての円筒状の帯電ロール20と、帯電ロール20に接触して帯電ロール20の表面を清掃する帯電部材清掃部材としてのクリーニングロール10と、感光体26の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像手段としての現像ロール52と、感光体26の表面に接触して、転写後に感光体26に残ったトナーなどを清掃する像保持体清掃手段としてのクリーニングブレード56とが一体に支持されており、画像形成装置に着脱自在である。画像形成装置に装着されたときには感光体26の周囲に、帯電ロール20、レーザ光あるいは原稿の反射光などにより感光体26の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段としての露光装置58、現像ロール52、感光体26表面のトナー像を被転写体である記録用紙62に転写処理する転写手段としての転写ロール54、クリーニングブレード56がこの順序で配置されるようになっている。前述のように、クリーニングロール10の弾性層は、シリコン系オイルを含むシリコン系オイル含有領域とシリコン系オイルを含まないシリコン系オイル非含有領域とを面方向(周方向)に有する。なお、図7では、他の電子写真プロセスにおいて通常必要な機能ユニットは、その記載を省略してある。
【0070】
本実施形態に係るプロセスカートリッジ3の動作について説明する。
【0071】
まず、感光体26表面に接触された帯電ロール20に対して電圧を高圧電源(図示せず)から給電することによって、感光体26の表面を一様に高電位に帯電する。このとき感光体26および帯電ロール20は図7の矢印方向にそれぞれ回転する。帯電後、感光体26表面に露光装置58により画像情報に応じた画像光(露光)60が照射されると、照射された部分は電位が低下する。画像光60は画像の黒/白などに応じた光量の分布であるため、画像光60の照射によって感光体26表面に記録画像に対応する電位分布、すなわち静電潜像が形成される。静電潜像が形成された部分が、現像ロール52を通過すると、その電位の高低に応じてトナーが付着し、静電潜像を可視化したトナー像が形成される。トナー像が形成された部分に、所定のタイミングでレジストロール(図示せず)により記録用紙62が搬送され、感光体26表面のトナー像と重なる。このトナー像が、転写ロール54によって記録用紙62に転写された後、記録用紙62は、感光体26から分離される。分離された記録用紙62は搬送経路を通って搬送され、定着手段としての定着ユニット(図示せず)によって、加熱加圧定着された後、機外へ排出される。
【0072】
プロセスカートリッジ3に設けられた帯電ロール20にはクリーニングロール10が設置され、高圧電源からベアリング30に電圧が印加され、クリーニングロール10が帯電ロール20と電気的に同極性を有することで、異物をクリーニングロール10および帯電ロール20表面にほとんど蓄積させることなく移行し、クリーニングブレード56で回収させるため、帯電部材に付着したトナーなどの異物を長期にわたり、安定的に除去する。このため、長期にわたり帯電ロール20に汚れがほとんど蓄積することなく、安定した帯電性能が維持される。
【0073】
感光体26は、少なくとも静電潜像(静電荷像)が形成される機能を有する。電子写真感光体は、円筒状の導電性の基体外周面に必要に応じて下引き層と、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とがこの順序で形成されたものである。電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は逆であってもよい。これらは、電荷発生物質と電荷輸送物質とを別個の層(電荷発生層、電荷輸送層)に含有させて積層した積層型感光体であるが、電荷発生物質と電荷輸送物質との双方を同一の層に含む単層型感光体であってもよく、好ましくは積層型感光体である。また、下引き層と感光層との間に中間層を有していてもよい。また、感光層の上に保護層を有してもよい。また、有機感光体に限らずアモルファスシリコン感光膜など他の種類の感光層を使用してもよい。
【0074】
露光装置58としては、特に制限はなく、例えば、感光体26表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光などの光源を、所望の像様に露光できるレーザ光学系、LEDアレイなどの光学系機器などが挙げられる。
【0075】
現像手段は、感光体26上に形成された静電潜像を静電荷像現像用トナーを含む一成分現像剤あるいは二成分現像剤により現像してトナー像を形成する機能を有する。そのような現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよく、トナー層が感光体26に接触する方式のものでも、接触しない方式のものでもよい。例えば、図8のように静電荷像現像用トナーを現像ロール52を用いて感光体26に付着させる機能を有する現像器、あるいはブラシなどを用いてトナーを感光体26に付着させる機能を有する現像器など、公知の現像器などが挙げられる。
【0076】
転写手段としては、紙などに直接転写する方式のものでも、中間転写体を介して転写する方式のものでもよい。例えば、図7に示すような記録用紙62を介して直接接触して転写する導電性または半導電性のロールなどを用いた転写ロール54および転写ロール押圧装置(図示せず)を用いればよい。また、記録用紙62の裏側(感光体と反対側)からトナーとは逆極性の電荷を記録用紙62に与え、静電気力によりトナー像を記録用紙62に転写するものを用いてもよい。転写ロール54は、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)などにより、任意に設定すればよい。また、低コスト化のため、転写ロール54として単層の発泡ロールなどが好適に用いられる。
【0077】
定着手段としての定着ユニットとしては、記録用紙62に転写されたトナー像を加熱、加圧あるいは加熱加圧により定着するものであれば特に制限はない。
【0078】
トナー像を転写する被転写体である記録用紙62としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタなどに使用される普通紙、OHPシートなどが挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、転写材の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂などでコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙などが好適に使用される。
【0079】
<画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電させる帯電部材と、上記帯電部材清掃部材と、像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段とを備える。本実施形態の画像形成装置は、必要に応じて、像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、転写後の像保持体表面を清掃する像保持体清掃手段とからなる群より選択される少なくとも一種を備えていてもよい。また、本実施形態に係る画像形成装置は、上記プロセスカートリッジを使用するものであってもよい。
【0080】
本実施形態に係る画像形成装置の一例の概略構成を図8に示し、その構成について説明する。画像形成装置5は、静電潜像が形成される像保持体としての感光体26と、感光体26の表面を接触帯電する帯電部材としての円筒状の帯電ロール20と、帯電ロール20に接触して帯電ロール20の表面を清掃する帯電部材清掃部材としてのクリーニングロール10と、レーザ光あるいは原稿の反射光などにより感光体26の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段としての露光装置58と、感光体26の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像手段としての現像ロール52と、感光体26表面のトナー像を被転写体である記録用紙62に転写処理する転写手段としての転写ロール54と、感光体26の表面に接触して、転写後に感光体26に残ったトナーなどを清掃する像保持体清掃手段としてのクリーニングブレード56とを備える。画像形成装置5において、感光体26の周囲に、帯電ロール20、露光装置58、現像ロール52、転写ロール54、クリーニングブレード56がこの順序で配置されている。前述のように、クリーニングロール10の弾性層は、シリコン系オイルを含むシリコン系オイル含有領域とシリコン系オイルを含まないシリコン系オイル非含有領域とを面方向(周方向)に有する。なお、図8では、他の電子写真プロセスにおいて通常必要な機能ユニットは、その記載を省略してある。画像形成装置5の各構成、画像形成時の動作は図7のプロセスカートリッジ3と同様である。
【0081】
図9には、タンデム方式のフルカラーの画像形成装置5を示している。この画像形成装置5の内部には、感光体(感光体ドラム)26や帯電ロール20や現像器等が、イエロー(64Y)、マゼンタ(64M)、シアン(64C)、および黒(64K)の各色毎にカートリッジの状態として揃えられている。この感光体26は、例えば、表面に感光体層が被覆された直径が約25mmの導電性円筒体からなるものが用いられ、図示しないモータにより、約150mm/secのプロセススピードで回転駆動される。
【0082】
感光体26の表面は、感光体26の横に配置された帯電ロール20によって予め定めた電位に帯電された後、露光装置58から出射されるレーザビーム等によって画像露光が施され、画像情報に応じた静電潜像が形成される。
【0083】
この感光体26上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器66Y、66M、66C、66Kによって現像され、予め定めた色のトナー像となる。
【0084】
例えば、フルカラーの画像を形成する場合、各色の感光体26の表面には、帯電、露光、現像の各工程が、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応して行なわれ、各色の感光体26の表面には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が形成される。
【0085】
感光体26上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、感光体26の外周に用紙搬送ベルト68上を搬送される記録用紙62へ転写される。さらに、感光体26上からトナー像が転写された記録用紙62は、定着装置70へと搬送され、この定着装置70によって加熱および加圧されてトナー像が記録用紙62上に定着される。その後、片面プリントの場合には、トナー像が定着された記録用紙62は、排出ロール72によって画像形成装置5の上部に設けられた排出トレイ74上にそのまま排出される。
【0086】
−方、両面プリントの場合には、定着装置70により第一面(表面)にトナー像が定着された記録用紙62を、排出ロール72によって排出トレイ74上にそのまま排出せずに、排出ロール72によって記録用紙62の後端部を狭持した状態で、排出ロール72を逆転させるとともに、記録用紙62の搬送径路を両面用の用紙搬送路76に切り替え、この両面用の用紙搬送路76に配設された搬送ロール78によって、記録用紙62の表裏を反転した状態で、再度、用紙搬送ベルト68上へ搬送して、記録用紙62の第二面(裏面)に感光体26上からトナー像を転写する。そして、記録用紙62の第二面(裏面)のトナー像を定着装置70によって定着させ、記録用紙62を排出トレイ74上に排出する。
【0087】
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体26の表面は、感光体26が1回転する毎に、感光体26の斜め上方に配置されたクリーニングブレード56によって、残留トナーや紙粉などが除去され、次の画像形成工程に備えるようになっている。
【0088】
図9に示すように、感光体26の横には、感光体26と接触するように帯電ロール20が配置されている。この帯電ロール20は、回転可能に支持されている。帯電ロール20の感光体26と反対側には、帯電ロール20のクリーニングロール10が接触している。このクリーニングロール10は、前述のように、弾性層がシリコン系オイルを含むシリコン系オイル含有領域とシリコン系オイルを含まないシリコン系オイル非含有領域とを面方向(周方向)に有するものであり、回転可能に支持されている。
【0089】
帯電ロール10は導電性芯材の両端へ予め定めた荷重Fをかけて感光体26へ押付け、帯電層の周面に沿って弾性変形してニップ部を形成している。さらに、クリーニングロール10は芯材の両端へ予め定めた荷重F’をかけて帯電ロール20へ押付け、弾性層が帯電ロール20の周面に沿って弾性変形してニップ部を形成することで、帯電ロール20の撓みを抑えて、帯電ロール20と感光体26の軸方向のニップ均一性を保っている。
【実施例】
【0090】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0091】
<実施例1>
(クリーニングロールの作製)
材料としてポリエーテルポリオールからなり、シリコン系整泡剤を含む発泡ウレタンシート((株)イノアックコーポレーション社製、EPM70、ポリエーテル系ポリウレタン)を予め定めた大きさへ加工後、シートに穴を開け、その穴へ接着剤を塗布した外径φ6mmの芯材を挿入し、加熱により接着を行った。冷却後、周方向の一部(芯材軸を中心にして約60度の角度)を扇形状に切落とし、切落とした部分に材料としてポリエステルポリオールからなり、シリコン系整泡剤を用いずに作製された扇形状の発泡ウレタンシート((株)イノアックコーポレーション社製、RSM55、ポリエステル系ポリウレタン)を張付け、加熱により接着を行った。冷却後、研磨によりクリーニングロール(図1のような形状で、シリコン系オイル含有領域(清掃面の面積が全体の約83%)とシリコン系オイル非含有領域(清掃面の面積が全体の約17%)とを面方向に有する)を作製した。このクリーニングロールの外径はφ10mm、肉厚は2mm、長さは320mmになるように作製した。
【0092】
(帯電ロールの作製)
[弾性層の形成]
下記混合物をオープンロールで混練りし、SUS416からなる直径6mmの導電性芯材表面に、厚さ3mmとなるように円筒状に被覆し、内径18.0mmの円筒型の金型に入れ、170℃で30分間加硫させ、金型から取り出した後、研磨して、円筒状の導電性弾性層を得た。
ゴム材(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、Gechron3106:日本ゼオン社製) 100質量部
導電剤(カーボンブラック、アサヒサーマル:旭カーボン社製) 25質量部
導電剤(ケッチェンブラックEC:ライオン社製) 8質量部
イオン導電剤(過塩素酸リチウム) 1質量部
加硫剤(硫黄、200メッシュ:鶴見化学工業社製) 1質量部
加硫促進剤(ノクセラーDM:大内新興化学工業社製) 2.0質量部
加硫促進剤(ノクセラーTT:大内新興化学工業社製) 0.5質量部
【0093】
[表面層の形成]
下記混合物をビーズミルにて分散し得られた分散液を、メタノールで希釈し、前記導電性弾性層の表面に浸漬塗布した後、140℃で15分間加熱乾燥し、厚さ4μmの表面層を形成し、帯電ロールを得た。
高分子材料(共重合ナイロン、アラミンCM8000:東レ社製) 100質量部
導電剤(アンチモンドープ酸化スズ、SN−100P:石原産業社製)30質量部
溶剤(メタノール) 500質量部
溶剤(ブタノール) 240質量部
【0094】
<実施例2>
厚さ1mm、長さ320mm×幅50mmのAl基板表面に実施例1で用いたシリコン系整泡剤を含む発泡ウレタンシート((株)イノアックコーポレーション社製、EPM70、ポリエーテル系ポリウレタン)を厚さ3mm、長さ320mm×幅35mmの大きさに整形したものを接着し、さらにAl基板表面の残りの部分に実施例1で使用したシリコン系整泡剤を用いずに作製された発泡ウレタンシート((株)イノアックコーポレーション社製、RSM55、ポリエステル系ポリウレタン)厚さ3mm、長さ320mm×幅15mmに整形したものを接着し、クリーニングパッド(図3のような形状で、シリコン系オイル含有領域(清掃面の面積が全体の約70%)とシリコン系オイル非含有領域(清掃面の面積が全体の約30%)とを面方向に有する)を作製した。このクリーニングパッドの肉厚は3mm(Al基板の厚さを除く)、長さは320mm×幅50mmになるように作製した。
【0095】
<比較例1>
(クリーニングロールの作製)
クリーニングロールとして、ポリエーテルポリオールからなり、シリコン系整泡剤を含む発泡ウレタンシート((株)イノアックコーポレーション社製、EPM70)を所定の大きさへ加工後、シートに穴を開け、その穴へ接着剤を塗布した外径φ6mmの芯材を挿入し、加熱により接着を行った。冷却後、研磨によりクリーニングロールを作製した。このクリーニングロールの外径はφ10mm、肉厚は2mm、長さは320mmになるように作製した。
【0096】
<比較例2>
(クリーニングロールの作製)
ポリエステルポリオールよりなり、シリコン系整泡剤を含まない発泡ウレタンシートであるRSM55に変更した以外は比較例1と同様にクリーニングロールを作製した。
【0097】
<評価>
(長期保管後の画質欠陥評価:新品)
帯電ロールのクリーニングロールを取り付けられるように改造したカラー複写機DocuCentre Color400CP(富士ゼロックス社製)に、実施例1,2、比較例1,2で作製したクリーニングロールまたはクリーニングパッドおよび帯電ロールをそれぞれ装着した。クリーニングロールまたはクリーニングパッドおよび帯電ロールを装着したプロセスカートリッジを40℃/95RH%環境下に1ヶ月放置後、DocuCentre Color400CPにてハーフトーン画質評価を行い、長期保管後の画質欠陥を以下の基準で判定した。
【0098】
(クリーニング性評価:長期保管後)
画質欠陥の評価を行った後、A4紙10,000枚の印字テストを行い、その後、ハーフトーン画質にて帯電ロールのクリーニングむらによる濃度むらがないかを以下の基準で判定した。
【0099】
(クリーニング性評価:新品)
上記とは別個のクリーニングロールまたはクリーニングパッドおよび帯電ロールを装着したプロセスカートリッジにより、A4紙10,000枚の印字テストを行った。画質評価は、10,000枚後にハーフトーン画像中での帯電ロールのクリーニングむらによる濃度むらがないかを以下の基準で判定した。
【0100】
(長期保管後の画質欠陥評価:印字テスト品)
また、ハーフトーン画質評価後にプロセスカートリッジをDocuCentre Color400CPより取り出し、30℃/75RH%環境下に2週間放置後に再度ハーフトーン画質評価を行い、濃度むらが発生しないかを以下の基準で判定した。
【0101】
上記評価において、実施例1,2での長期保管後の画質欠陥評価を実施する際は、クリーニングロールまたはクリーニングパッドが帯電ロールと接する箇所をポリエステル系ポリウレタンにより構成された層(RSM55)になるように調整した。
【0102】
(画質欠陥・クリーニング性 判断基準)
○:画質上の濃度むら未発生
×:画質上の濃度むらが軽微であるが発生
××:画質上濃度むらが発生
【0103】
実施例1,2、比較例1,2の評価結果を表1に示す。
【0104】
【表1】

【0105】
本結果より、ポリエステルポリオールを用いたウレタンの加水分解によるクリーニング性の劣化を防止しつつ、ポリエーテルポリオールを用いたウレタンに含まれるシリコーン整泡剤の帯電ロールへの汚染を防止することができた。このように、実施例のクリーニングロールまたはクリーニングパッドを有するプロセスカートリッジを用いることにより、帯電ロールのクリーニング性を維持しつつ、帯電ロールと接した状態で長期に保管した場合でも、帯電ロールを汚染しにくく、濃度むら等の画質欠陥の発生が抑制された。
【符号の説明】
【0106】
1 帯電装置、3 プロセスカートリッジ、5 画像形成装置、10 クリーニングロール、11 クリーニングパッド、12 芯材、14 シリコン系オイル含有領域、16 シリコン系オイル非含有領域、18 弾性層、20 帯電ロール、22 導電性芯材、24 帯電層、26 感光体、28 コイルバネ、30 ベアリング、52 現像ロール、54 転写ロール、56 クリーニングブレード、58 露光装置、60 画像光(露光)、62 記録用紙、64Y,64M,64C,64K カートリッジ、66Y,66M,66C,66K 現像器、68 用紙搬送ベルト、70 定着装置、72 排出ロール、74 排出トレイ、76 用紙搬送路、78 搬送ロール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのシリコン系オイルを含む領域と少なくとも1つのシリコン系オイルを含まない領域とを面方向に有する弾性層を備えることを特徴とする帯電部材清掃部材。
【請求項2】
芯材と、
前記芯材の外周に形成された、少なくとも1つのシリコン系オイルを含む領域と少なくとも1つのシリコン系オイルを含まない領域とを周方向に有する円筒状の弾性層と、
を備えることを特徴とする帯電部材清掃部材。
【請求項3】
前記シリコン系オイルを含まない領域が、ポリエステル系ポリウレタンを含んで構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の帯電部材清掃部材。
【請求項4】
帯電部材と、請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電部材清掃部材とを備え、動作していない状態では前記帯電部材が前記帯電部材清掃部材のシリコン系オイルを含まない領域と接するかまたは対向することを特徴とする帯電装置。
【請求項5】
像保持体と、請求項4に記載の帯電装置とを備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
像保持体と、請求項4に記載の帯電装置と、前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−118050(P2011−118050A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273681(P2009−273681)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】