説明

常圧プラズマ装置

【課題】プラズマ発生を極大化でき、プラズマ密度を制御できる常圧プラズマ装置を提供する。
【解決手段】常圧プラズマ装置は、反応ガスを注入するための注入口11が形成されたハウジング10と、ハウジング10の内部に複数層で備えられる高電圧電極110と、高電圧電極110を覆う誘電体120と、高電圧を発生させて高電圧電極110に印加する高電圧発生部と、誘電体120の両側に隣接するように配置される接地電極130、及び反応によって生成されるプラズマの密度を制御する制御部で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常圧プラズマ装置に関するものであり、より詳しくは、高電圧電極を複数層で備えプラズマ反応を順次且つ連鎖的に誘導することによりプラズマ発生を極大化でき、また、高電圧電極の各層に高電圧を選択的に印加することによりプラズマ密度を制御できる常圧プラズマ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体またはLCDの製造には、常圧でプラズマを発生させエッチング、アッシング又はストリップ等の基板処理工程が要求される。
【0003】
しかし、従来の常圧プラズマ装置は必要な電極の数が多いという短所があった。さらに、被処理物である基板の面積が大面積の場合は、プラズマ処理のためのプラズマヘッドの電極の大きさもまた大きくならざるを得ないが、複数の電極を構成しなければならない従来のプラズマヘッドにおいては、複数個の大型電極を結合する構成を具現することが容易ではない関係により、大面積の対象物を処理できるプラズマヘッドを具現することが困難だった。
【0004】
また、本技術分野の通常の知識を有する者には、大気圧下で発生させたプラズマの密度はウエハ又は基板に対するアッシング、エッチング又はストリップ工程を行うには十分ではないため、大気圧下で具現されるプラズマ発生装置を利用してアッシング、エッチング又はストリップ工程を行うことは不可能だと認識されている。
【0005】
特に、従来の常圧プラズマ装置は、プラズマヘッドによってプラズマの密度が定められ、これを制御できないという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の問題点を解決するためのものであり、本発明の目的は、高電圧電極を複数層で備えプラズマ反応を順次且つ連鎖的に誘導することによりプラズマ発生を極大化でき、また、高電圧電極の各層に高電圧を選択的に印加することによりプラズマ密度を制御できる常圧プラズマ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上のような技術的課題を解決するために、本発明による常圧プラズマ装置は反応ガスを注入するための注入口が形成されたハウジング;前記ハウジングの内部に複数層で備えられる高電圧電極;前記高電圧電極を覆う誘電体;高電圧を発生させて前記高電圧電極に印加する高電圧発生部;前記誘電体の両側に隣接するように配置される接地電極;及び反応によって生成されるプラズマの密度を制御する制御部;を含む。
【0008】
また、前記制御部は、複数層で備えられる前記高電圧電極の各層に高電圧が選択的に印加されるように制御することが好ましい。
【0009】
また、前記高電圧電極は、各層に複数列で備えられることが好ましい。
また、前記制御部は、複数列で備えられる前記高電圧電極の各列に高電圧が選択的に印加されるように制御することが好ましい。
【0010】
また、反応によって生成されるプラズマの密度を測定して制御部に伝達するセンシング部が更に備えられることが好ましい。
【0011】
また、前記各誘電体には前記高電圧電極が複数個挿入されることが好ましい。
【0012】
また、前記接地電極は前記誘電体の両側に垂直に設けられることが好ましい。
【0013】
また、前記接地電極は、前記誘電体の最上層上部または最下層下部に水平に延長される延長部がさらに形成されることが好ましい。
【0014】
また、前記誘電体は、円形断面を有し、所定長さを有する棒形態であることが好ましい。
【0015】
また、前記誘電体は、前記高電圧電極が挿入されるための挿入ホールが形成されることが好ましい。
【0016】
また、前記接地電極には円形断面を有する前記誘電体と同一な曲率を有する半円形態の溝部が形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、高電圧電極を複数層に備えて順次、連鎖的にプラズマ反応を誘導するため、プラズマ発生をより活性化できるという効果を奏する。
【0018】
特に、高電圧電極の各層に高電圧を選択的に印加することにより、プラズマ密度を制御できる効果も奏する。
【0019】
また、棒形態の高電圧電極を複数列で備えることにより、基板の大面積化に効果的に対応できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による第1実施例の側面図を表したものである。
【図2】本発明による第1実施例の正面図を表したものである。
【図3】本発明による第1実施例の平面図を表したものである。
【図4】本発明によるリアクターの各機の他の実施例の要部を表したものである。
【図5】本発明によるリアクターの各機の他の実施例の要部を表したものである。
【図6】本発明によるリアクターの各機の他の実施例の要部を表したものである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照に本発明による実施例の構成及び作用を説明する。
【0022】
図1〜図3を参照すると、本発明による第1実施例1は、プラズマ反応のためにN2、O2、Ar、He、SF6、CH4、NH4、NF4等の反応ガスを注入する注入口11と排気口12、ガスバッファ20及びガス供給プレート30が形成されたハウジング10が備えられる。前記排気口12はプラズマを利用して基板Sを処理する過程で発生する揮発性酸化物や不純物または陽電荷で充填された粒子等を外部に排出する構成要素であり、前記ガスバッファ20はガス注入口11から供給された反応ガスを貯蔵/伝達する構成要素であり、ガス供給プレート30にはガス供給ホール31が形成され前記ガスバッファ20から伝達されたガスを拡散させて供給する。
【0023】
また、前記ハウジング10には反応ガスが供給された状態で高電圧を印加しプラズマ反応を起こし、発生したプラズマを被処理物である基板Sに印加するリアクター100が備えられるが、前記リアクター100は高電圧電極110と誘電体120と高電圧発生部140と接地電極130を含む。
【0024】
本実施例で、前記高電圧電極110は円形断面を有する棒形態に形成され、特に複数層及び複数列に形成されることが分かる。よって、高電圧電極110の長さ及び列の配列を調節することにより、基板の面積に対応できる。
【0025】
また、前記高電圧電極110は誘電体120に挿入されており、前記高電圧電極110に高電圧を印加する高電圧発生部140が備えられ、接地電極130は前記誘電体120及び高電圧電極110の両側に垂直に設けられている。
【0026】
また、前記高電圧発生部140から印加される高電圧を高電圧電極110の各層に高電圧が選択的に印加されるように制御する制御部150が備えられ、プラズマ密度を測定するセンシング部(未図示)がさらに備えられる。
【0027】
図1を参照して第1実施例1の作動形態を説明する。先ず、注入口11により反応ガスが注入されると、ガスバッファ20とガス供給プレート30を経ながら十分な拡散が行われる。こうして拡散された反応ガスは、リアクター100に供給され、この状態で高電圧電極110に高電圧を印加すると、プラズマ反応が起こりプラズマが発生する。こうして発生したプラズマは、ハウジング10の下面に形成されたプラズマ排出口40により基板Sに伝達されて所定の処理をすることになる。
【0028】
特に、反応ガスは最上層部に位置する第1高電圧電極111を通りながら1次的にプラズマ反応を起こし、次に中間部に位置する第2高電圧電極112を通りながら2次的にプラズマ反応を起こし、次いで最下層部に位置した第3高電圧電極113を通りながら3次的にプラズマ反応を起こすことができる。よって、プラズマ反応が順次且つ連鎖的に起こるため、プラズマ発生が極大化されるのである。
【0029】
また、前記制御部150により第1高電圧電極111〜第3高電圧電極113全てに高電圧を印加することもでき、また選択的に1層または2層の高電圧電極だけに高電圧を印加できるように制御することもできる。このような制御によってプラズマ密度を制御できる。
【0030】
また、本実施例には発生されたプラズマの密度を測定するセンシング部がさらに備えられるため、前記センシング部の検出結果が制御部にフィードバックされ効果的にプラズマ密度が制御できる。
【0031】
図4は、本発明によるリアクターの第2実施例200を表したものである。第1実施例のリアクター100と対比すると、複数層221、222、223で備えられる誘電体220のそれぞれに複数個の高電圧電極210が挿入されていることが分かる。その他、説明していない構成は、第1実施例と同一なため省略する。
【0032】
図5は、本発明によるリアクターの第3実施例300を表したものである。第1実施例のリアクター100と対比すると、接地電極330に円形断面を有する誘電体320と同一な曲率を有する半円形態の溝部331が形成されていることが分かる。その他、説明していない構成は、第1実施例と同一なため省略する。
【0033】
図6は、本発明によるリアクターの第4実施例400を表したものである。第1実施例のリアクター100は誘電体120及び高電圧電極110が3層で構成されるのに対し、第4実施例は4層410、420で構成されることが分かる。この場合、プラズマ反応がより活性化されてプラズマ密度が高く形成される。よって、工程条件によって高電圧電極は2層以上に選択できる。
【0034】
また、前記接地電極430は、誘電体420の最上層421上部及び最下層424下部に水平に延長される延長部431、432がさらに形成されることが分かる。上部に形成された延長部431には反応ガスが通過するホールh1が形成され、下部に形成された延長部432にはプラズマが通過するホールh2が形成される。
【符号の説明】
【0035】
1:第1実施例
11:注入口
12:排出口
20:ガスバッファ
30:ガス供給プレート
40:プラズマ排出ホール
100:リアクター
110:高電圧電極
120:誘電体
130:接地電極
140:高電圧発生部
150:制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応ガスを注入するための注入口が形成されたハウジング;
前記ハウジングの内部に複数層で備えられる高電圧電極;
前記高電圧電極を覆う誘電体;
高電圧を発生させて前記高電圧電極に印加する高電圧発生部;
前記誘電体の両側に隣接するように配置される接地電極;及び
反応によって生成されるプラズマの密度を制御する制御部;を含むことを特徴とする常圧プラズマ装置。
【請求項2】
前記制御部は、複数層で備えられる前記高電圧電極の各層に高電圧が選択的に印加されるように制御することを特徴とする請求項1に記載の常圧プラズマ装置。
【請求項3】
前記高電圧電極は、各層に複数列で備えられることを特徴とする請求項1に記載の常圧プラズマ装置。
【請求項4】
前記制御部は、複数列で備えられる前記高電圧電極の各列に高電圧が選択的に印加されるように制御することを特徴とする請求項3に記載の常圧プラズマ装置。
【請求項5】
反応によって生成されるプラズマの密度を測定して制御部に伝達するセンシング部が更に備えられることを特徴とする請求項1に記載の常圧プラズマ装置。
【請求項6】
前記各誘電体には、前記高電圧電極が複数個挿入されることを特徴とする請求項1に記載の常圧プラズマ装置。
【請求項7】
前記接地電極は、前記誘電体の両側に垂直に設けられることを特徴とする請求項1に記載の常圧プラズマ装置。
【請求項8】
前記接地電極は、前記誘電体の最上層上部または最下層下部に水平に延長される延長部がさらに形成されることを特徴とする請求項7に記載の常圧プラズマ装置。
【請求項9】
前記誘電体は、円形断面を有し、所定長さを有する棒形態であることを特徴とする請求項1に記載の常圧プラズマ装置。
【請求項10】
前記誘電体は、前記高電圧電極が挿入されるための挿入ホールが形成されることを特徴とする請求項9に記載の常圧プラズマ装置。
【請求項11】
前記接地電極には円形断面を有する前記誘電体と同一な曲率を有する半円形態の溝部が形成されることを特徴とする請求項9に記載の常圧プラズマ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−178325(P2012−178325A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104514(P2011−104514)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(511112537)エムエーケイ カンパニー、リミテッド (1)
【Fターム(参考)】