説明

干渉計およびそれを備えた分光器

【課題】コリメータレンズ15の焦点距離との関係で、光源11が点光源と見なせない場合でも、軸外光束を考慮して大きな光学部品を用いることなく、平行光の光束径を小さくして、干渉計2を小型化する。
【解決手段】干渉計2は、光源11と、コリメータレンズ15と、干渉部13とを備えている。コリメータレンズ15は、光源11の光出射面11aの1点から出射される光束を平行光に変換する。干渉部13は、コリメータレンズ15を介して入射する光を、BS16の分離合成面で2光束に分離し、各光束を移動鏡17および固定鏡18で反射させた後、上記分離合成面で合成して干渉させる。光源11の光出射面11aには、半球レンズ14が密着して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイケルソン型の干渉計と、その干渉計を備えた分光器とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイケルソン型の干渉計を用いたフーリエ変換分光分析装置(以下、分光器と称する)では、光源からの光をコリメータレンズにて平行光に変換した後、ビームスプリッタ(以下、BSとも称する)で2光束に分離し、各光束をそれぞれ移動鏡および反射鏡で反射させて光路を折り返し、再度BSに入射させて合成し、干渉させる。移動鏡の位置が変化すると、移動鏡で反射される光束と固定鏡で反射される光束とで光路差が生じ、入射光のうちで特定波長の光が干渉する。したがって、移動鏡の位置を変化させながら、干渉光の強度変化を光検出器で検出し、光検出器からの出力信号をフーリエ変換することにより、各波長ごとの強度を検知することができ、これによって入射光の分光分析を行うことができる。
【0003】
ところで、従来、干渉計に用いられる光源は、コリメータレンズの焦点距離との関係で十分小さく、実質的に点光源と見なせるものが多かった。この場合、光路長の変動は、BSにて分離される2光束の光路に置かれた反射鏡(固定鏡、移動鏡)による光路長の変動だけを考えればよく、分光の後処理が簡単になる。
【0004】
このような点光源を用いた構成で、装置全体の小型化を図る技術がこれまで提案されている。例えば、特許文献1では、コリメータ光学系を、負の焦点距離を持つ第1のレンズ群と、正の焦点距離を持つ第2のレンズ群とで構成している。このように、コリメータ光学系をいわゆるテレフォトタイプで構成することにより、点光源からレンズ最終面までの距離が焦点距離よりも短くなり、これによって装置全体のコンパクト化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−304103号公報(請求項1、段落〔0010〕、〔0030〕、図6等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年では、分光器の小型化が益々要求されており、用いられる干渉計の小型化がさらに必要となってきている。干渉計を小型化するためには、コリメータレンズを介して得られる平行光の光束径を小さくすることで、光学部品を小さくして光学系の大きさ(体積)を減らすのが効果的である。
【0007】
このとき、平行光の光束径を小さくするために、例えば焦点距離の短いコリメータレンズを用いると、コリメータレンズに対して相対的に光源の大きさが大きくなり、光源を点光源と見なすことができなくなるため、軸外光束を考慮することが必要となる。つまり、点光源とは見なせない光源を用いた干渉計では、どのようなコリメータレンズを用いても、軸上光束に対して軸外光束が傾くため、その傾きによっては大きなBSが必要となり、干渉計が大型化する。なお、軸上光束とは、光源の光出射面におけるコリメータレンズの光軸と交わる点(軸上の1点)から出射されてコリメータレンズで平行光に変換された光束を指す。また、軸外光束とは、光源の光出射面における光軸外の1点から出射されてコリメータレンズで平行光に変換された光束を指す。
【0008】
一方、コリメータレンズの焦点距離が長いと、上記光源をほぼ点光源と見なすことができるので、軸外光束を考慮する必要がなくなるが、コリメータレンズから出射される平行光の光束径が大きくなるとともに、光源とコリメータレンズとの距離が大きくなるため、この場合も干渉計が大型化する。
【0009】
なお、特許文献1の構成では、コリメータ光学系の焦点距離が長く、コリメータ光学系から出射される平行光の光束径が大きくなるとともに、光源とコリメータ光学系との距離がかなり大きく(実施例では56.8mm、表4参照)、装置の小型化が十分に図られているとは言えない。
【0010】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、コリメータレンズの焦点距離との関係で、光源が点光源と見なせない場合でも、軸外光束を考慮して大きな光学部品(例えばビームスプリッタ)を用いることなく、コリメータレンズから出射される平行光の光束径を小さくして、全体を小型化することができる干渉計と、その干渉計を備えた分光器とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の干渉計は、光出射面を有する光源と、前記光源の前記光出射面の1点から出射される光束を平行光に変換するコリメータレンズと、前記コリメータレンズを介して入射する光を、ビームスプリッタの分離合成面で2光束に分離し、各光束を移動鏡および固定鏡で反射させた後、前記分離合成面で合成して干渉させる干渉部とを備えた干渉計であって、前記光源の前記光出射面に密着して配置される半球レンズをさらに備えていることを特徴としている。
【0012】
光源から出射される光束は、コリメータレンズにて平行光に変換された後、干渉部のビームスプリッタに入射し、ビームスプリッタの分離合成面で2光束に分離される。分離された2光束は、移動鏡および固定鏡でそれぞれ反射された後、上記の分離合成面に再度入射して合成され、干渉光となる。
【0013】
このようなマイケルソン型の干渉計において、光源の光出射面には、半球レンズが密着して配置されている。この構成では、光源が光出射面を持ち、コリメータレンズの焦点距離との関係で点光源と見なせない場合でも、光源の光出射面の1点から出射された光束の広がり角は、半球レンズの屈折率の分だけ小さくなり、コリメータレンズにて平行光に変換された後の光束径が、半球レンズを配置しない場合に比べて小さくなる。
【0014】
しかも、半球レンズを配置することにより、軸外光束の傾きによって有効光束径が広がる度合いよりも、平行光の光束径を小さくすることによって有効光束径が狭まる度合いのほうが大きくなるような光学設計を実現することができる。なお、有効光束径とは、ビームスプリッタの分離合成面に固定鏡(または移動鏡)を介して入射する直前の全光束の光束径(最大値)を指す。これにより、点光源とは見なせない光源を用いた場合でも、軸外光束を考慮して大きな光学部品(例えばビームスプリッタ)を用いることなく、平行光の光束径を小さくして、干渉計を小型化することが可能となる。
【0015】
本発明の干渉計は、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。すなわち、
NA・f+(r/f)・L>(NA/n)・f+(r/F)・L ・・・(1)
ただし、
NA:光源側の開口数
f :コリメータレンズの焦点距離(mm)
F :コリメータレンズと半球レンズとを含むコリメータ光学系の焦点距離
(mm)
r :光源の光出射面の半径(mm)
L :コリメータレンズの光軸上およびその延長線上における、コリメータ
レンズの光出射面からビームスプリッタの分離合成面までの距離と、
分離合成面から固定鏡までの距離の2倍との和(mm)
n :半球レンズの構成材料の設計波長での屈折率
である。
【0016】
条件式(1)は、軸外光束の傾きによって有効光束径が広がる度合いよりも、平行光の光束径を小さくすることによって有効光束径が狭まる度合いを大きくするための条件を規定している。条件式(1)を満足することにより、半球レンズを用いない場合よりも有効光束径が小さくなるので、小型のビームスプリッタを用いて、干渉計を確実に小型化することができる。
【0017】
本発明の干渉計は、以下の条件式(2)をさらに満足することが望ましい。すなわち、
350<F・νd<600 ・・・(2)
ただし、
νd:半球レンズの構成材料のアッベ数
である。
【0018】
Fとνdとの積が350mm以下の場合、半球レンズによる軸外光束の色収差が大きくなるため、本発明の干渉計を例えば分光器に適用したときに、分光器の測定精度が低下する。一方、Fとνdとの積が600mm以上の場合、半球レンズの材料として高価な材料を選択しなければならず、分光器を小型化できてもコスト上昇となる。
【0019】
したがって、条件式(2)を満足することにより、軸外光束の色収差を抑えて、分光器の測定精度を確保しながら、半球レンズの材料の選択の自由度を確保して、装置のコスト上昇を抑えることができる。
【0020】
本発明の干渉計において、前記光源の前記光出射面は、発光面で発光された光束を取り込んで導光する導光部材の光束射出側の端面で構成されていてもよい。
【0021】
発光面で発光された光束を導光部材で導光する構成とすることで、導光部材よりも後段の光学系に対する、光源(特に発光面)で発生する熱の影響を低減することができるともに、光源(特に発光面)の配置の自由度を増大させることができる。
【0022】
本発明の分光器は、上述した本発明の干渉計と、前記干渉計から出力される干渉光の検知信号に基づいて、波長ごとの光の強度を示すスペクトルを生成するスペクトル生成部とを備えていることが望ましい。
【0023】
分光器が上記した小型の干渉計を備え、干渉計からの出力信号に基づいてスペクトルを生成し、分光分析を行う構成とすることにより、小型の分光器を実現することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、マイケルソン型の干渉計において、光源の光出射面に半球レンズを密着して配置することにより、コリメータレンズの焦点距離との関係で、光源が点光源と見なせない場合でも、軸外光束を考慮して大きな光学部品を用いることなく、平行光の光束径を小さくする光学設計を実現することができ、これによって干渉計を小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の一形態に係る分光器の概略の構成を模式的に示す説明図である。
【図2】(a)は、上記分光器に用いたれる干渉計において、半球レンズを配置しない場合の、光源からBSの分離合成面までの光路を模式的に示す説明図であり、(b)は、半球レンズを配置した場合の、光源からBSの分離合成面までの光路を模式的に示す説明図である。
【図3】上記光源の他の構成例を示す説明図である。
【図4】(a)は、上記干渉計における固定鏡側の光路を示す説明図であり、(b)は、上記干渉計における移動鏡側の光路を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0027】
(干渉計および分光器について)
図1は、本実施形態の分光器の概略の構成を模式的に示す説明図である。分光器1は、フーリエ変換分光分析装置(FTIR;Fourier Transform Infrared Spectroscopy )であり、干渉計2と、演算部3と、出力部4とを有している。
【0028】
演算部3は、干渉計2から出力される信号(干渉光の検知信号)をA/D変換およびフーリエ変換することにより、各波長(波数(=1/波長))の光の強度を示すスペクトルを生成するスペクトル生成部である。出力部4は、演算部3にて生成されたスペクトルを出力(例えば表示)する。
【0029】
干渉計2は、マイケルソン型の干渉計で構成されており、光源11と、コリメータ光学系12と、干渉部13とを備えている。
【0030】
光源11は、一定の面積を有する光出射面11aから光を出射するものである。本実施形態では、光源11は、例えば近赤外光(波長900〜2300nm)を出射する。コリメータ光学系12は、半球レンズ14と、コリメータレンズ15とを有して構成されている。半球レンズ14は、例えば透明なガラスで構成されており、光源11の光出射面11aに平面側を密着して配置されている。
【0031】
コリメータレンズ15は、正の光学パワーを持ち、光源11の光出射面11aの1点から出射される光束を平行光に変換する。コリメータレンズ15は、例えば非球面単レンズで構成されているが、色収差を少なくした複数レンズからなるコリメータで構成されてもよいし、回転楕円鏡を用いたコリメータで構成されてもよい。本実施形態では、コリメータ光学系12の焦点距離は例えば10mm以下と短く、これによって干渉計2の小型化を図っている。
【0032】
干渉部13は、BS16と、移動鏡17と、固定鏡18と、補償板19と、光検出器20とを有している。なお、BS16と光検出器20との間の光路中に集光光学系が配置されていてもよい。また、移動鏡17と固定鏡18の位置関係は、逆であってもよい。
【0033】
BS16は、コリメータレンズ15から出射される光束を透過および反射により2光束に分離して、それぞれを移動鏡17および固定鏡18に導く一方、移動鏡17および固定鏡18にて反射された各光束を合成して干渉させる、平板型のビームスプリッタで構成されている。BS16の透過反射面は、入射光を2光束に分離するとともに、入射する2光束を合成するための分離合成面となっている。補償板19は、BS16の厚み分の光路長、および光がBS16を透過する際の屈折による光路シフトを補正するための基板(例えばガラス基板)である。
【0034】
移動鏡17および固定鏡18は、BS16で分離された各光束を反射させる反射鏡であり、移動鏡17は図示しない駆動機構によって並進駆動され、固定鏡18は固定されている。光検出器20は、BS16から出射される干渉光を受光して検出し、演算部3に出力する。
【0035】
なお、上記の駆動機構による移動鏡17の並進駆動は、平行板ばねの共振によって行ってもよいし、VCM(ボイスコイルモータ)や静電アクチュエータを用いて行ってもよい。また、定常状態(静止状態)が移動ストロークの中点付近にある別の駆動方法(レールによる平行移動など)を用いてもよい。さらに、4本のばねを用いて移動鏡17を共振させてもよい。
【0036】
上記の構成において、光源11から出射される光束は、半球レンズ14を介してコリメータレンズ15に入射し、コリメータレンズ15にて平行光に変換された後、干渉部13に入射する。干渉部13では、コリメータレンズ15からの入射光が、BS16の分離合成面で透過および反射によって2光束に分離される。分離された一方の光束は補償板19を介して移動鏡17に入射してそこで反射され、他方の光束は固定鏡18で反射され、それぞれ元の光路を逆戻りしてBS16の分離合成面に再度入射し、そこで重ね合わせられる。
【0037】
BS16で合成された光は、干渉光として試料(図示せず)に照射される。このとき、駆動機構によって移動鏡17を連続的に移動させながら試料に光が照射されるが、BS16から各反射鏡(移動鏡17、固定鏡18)までの光路長の差が波長の整数倍のときは、BS16で重ね合わされた光の強度は最大となる。一方、移動鏡17の移動によって2つの光路長に差が生じている場合には、BS16で重ね合わされた光の強度に変化が生じる。試料を透過した光は、光検出器20に入射し、そこで時間的インターフェログラムとして検出される。
【0038】
干渉計2の光検出器20から出力される信号は、演算部3にてA/D変換およびフーリエ変換され、スペクトルとして出力部4で出力される。したがって、このスペクトルに基づき、試料の特性(材料、構造、成分量など)を知ることができる。
【0039】
(半球レンズの配置による作用効果について)
本実施形態では、光源11の光出射面11aに半球レンズ14を密着して配置していることにより、干渉計2ひいては分光器1の小型化を図っている。以下、この点について説明する。
【0040】
図2(a)は、半球レンズを配置しない場合の、光源11からBS16の分離合成面(2回目入射)までの光路を模式的に示しており、図2(b)は、半球レンズ14を配置した場合の、光源11からBS16の分離合成面(2回目入射)までの光路を模式的に示している。
【0041】
なお、ここでは、干渉計2の小型化を図るべく、焦点距離の短いコリメータレンズ15を用いているために、光出射面11aを持つ光源11が実質的に点光源と見なせないものとして説明する。また、以下での説明の便宜上、半球レンズを配置しない場合において、光源11の光出射面11a上の1点から出射される光束の広がり角をθ1(°)とし、この光束がコリメータレンズ15で平行光に変換された後の光束径をφ1(mm)とする。同様に、半球レンズ14を配置した場合において、光源11の光出射面11a上の1点から出射される光束の広がり角をθ2(°)とし、この光束がコリメータレンズ15で平行光に変換された後の光束径をφ2(mm)とする。
【0042】
光源11の光出射面11aに半球レンズ14を密着して配置することにより、光束の広がり角θ2は、半球レンズ14の屈折率の分だけ、半球レンズを配置しない場合の光束の広がり角θ1よりも小さくなったように見える。また、半球レンズ14から空気中に出る光束は、半球面によってほとんど屈折することがないため(屈折してもわずかであるため)、ほぼ小さな広がり角のままコリメータレンズ15に入射する。したがって、コリメータレンズ15から出射される平行光の光束径φ2は、半球レンズを配置しない場合の平行光の光束径φ1に比べて小さくなる。
【0043】
また、光源11の光出射面11aの光軸外の1点から出射される光束が半球レンズ14によってわずかに屈折されるときの屈折方向は、コリメータレンズ15の光軸に対する軸外光束の傾きが大きくなる方向であるが、半球レンズ14を配置することにより、軸外光束の傾きによって有効光束径が広がる度合いよりも、光束径φ2を小さくすることによって有効光束径が狭まる度合いが大きくなるような光学設計を実現することができる。なお、有効光束径とは、BS16の分離合成面に固定鏡18(または移動鏡17)を介して入射する直前の全光束の光束径(最大値)を指し、図2(a)ではφAに相当し、図2(b)ではφBに相当する。
【0044】
例えば、光源11の大きさ(後述するrの2倍に相当)が、コリメータ光学系12の焦点距離(後述するFに相当)に対して3%程度であり、コリメータレンズ15の光出射面からBS16の分離合成面(2回目入射)までの光路長(後述するLに相当)が、コリメータ光学系12の焦点距離に対して400%程度であるとき、軸外光束の角度(傾き)によって有効光束径が広がる度合いよりも、半球レンズ14によって光束径が小さくなって有効光束径が小さくなる度合いのほうが大きくなる。これにより、点光源とは見なせない光源11を用いた場合でも、軸外光束を考慮して大きな光学部品(例えばBS16)を用いることなく、平行光の光束径φ2を小さくして、干渉計2を小型化することが可能となる。そして、このような小型の干渉計2を分光器1が備えることで、小型の分光器1を実現することができる。
【0045】
また、干渉計2を小型化する代わりに、広がり角の大きい光束を出射する光源11を使用することも可能となる。明るい光源は、光束の広がり角が大きいものが多いので、光源11として、光束の広がり角が大きい、明るい光源を使用することにより、分光器1の分光性能をさらに向上させることができる。
【0046】
(条件式について)
次に、上記光学設計を実現するための条件式について説明する。
【0047】
本実施形態の干渉計2は、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。すなわち、
NA・f+(r/f)・L>(NA/n)・f+(r/F)・L ・・・(1)
ただし、
NA:光源側(物体側)の開口数
f :コリメータレンズの焦点距離(mm)
F :コリメータ光学系の焦点距離(mm)
r :光源の光出射面の半径(mm)
L :コリメータレンズの光軸上およびその延長線上における、コリメータ
レンズの光出射面からBSの分離合成面までの距離と、分離合成面から
固定鏡までの距離の2倍との和(mm)
n :半球レンズの構成材料の設計波長での屈折率
である。
【0048】
半球レンズ14を光源11の光出射面11aに密着させたときに、コリメータレンズ15から出射される平行光の光束径が小さくなる度合いは、光源11(光出射面11a)の大きさ、距離L、半球レンズ14を配置したときの焦点距離Fなどに関係する。また、干渉部13では、BS16で光束を2つに分けて再び合成するが、軸外光束が角度を持っていると、この再合成される面(分離合成面)での有効光束径が光学系の部品の大きさに最も影響する。したがって、コリメータレンズ15の光出射面からBS16で2光束が再合成される面までの距離Lが長いと、軸外光束が角度を持っているときに、有効光束径が大きくなり、BS16を大型化せざるを得なくなる。また、光源11の大きさとコリメータ光学系12の焦点距離Fとの関係で、焦点距離Fに対して光源11が大きくなると、軸外光束の角度がより大きくなるため、やはり有効光束径が大きくなってしまう。
【0049】
条件式(1)は、軸外光束の傾きによって有効光束径が広がる度合いよりも、平行光の光束径を小さくすることによって有効光束径が狭まる度合いを大きくするための条件を規定している。
【0050】
すなわち、光源11から出射される光の広がり角≒NAであるので、コリメータレンズ15にて平行光に変換された軸上光束の光束径は、fとNAとの積でほぼ近似できる。また、軸外光束の角度正接は、r/Fである。BS16における有効光束径は、コリメータレンズ15の光出射面から出射された光が、BS16の分離合成面を介して固定鏡18(または移動鏡17)に入射し、そこで反射されて再度BS16の分離合成面に到達するまでの距離Lを使って、(r/F)・Lと書ける。ただし、これは軸上光束の光束径がゼロのときである。
【0051】
軸上光束の光束径の大きさを考えた場合の分離合成面における有効光束径は、NA・f+(r/F)・Lと書ける。半球レンズを用いない場合、F=fであるので、上記有効光束径は、
NA・f+(r/f)・L ・・・(1a)
となる。
【0052】
一方、半球レンズ14を用いた場合、光源11から出射される光の広がり角≒NA/nであるので、上記有効光束径は、
(NA/n)・f+(r/F)・L ・・・(1b)
と書ける。
【0053】
これらの2つの式を比較して、式(1b)の値が式(1a)の値よりも小さければ、有効光束径が小さいと言える。すなわち、条件式(1)を満足することにより、小型のBS16を用いて干渉計2を確実に小型化することができる。
【0054】
また、本実施形態の干渉計2は、以下の条件式(2)をさらに満足することが望ましい。すなわち、
350<F・νd<600 ・・・(2)
ただし、
νd:半球レンズの構成材料のアッベ数
である。
【0055】
なお、アッベ数νdは、一般的に、ガラス材料の特性(分散)を評価する指標として知られており、
νd=(nd−1)/(nF−nC)
で表される。ただし、ndはd線(587.56nm)に対する屈折率、nFはF線(486.1nm)に対する屈折率、nCはC線(656.3nm)に対する屈折率を示す。
【0056】
コリメータ光学系12の焦点距離Fが短いほど、軸外光束の角度が大きくなる。このとき、光源11に密着させる半球レンズ14の材料に大きな分散があると、色収差により、軸外光束の角度が波長によって異なってしまい、分光器1の測定精度が悪くなってしまう。なお、コリメータ光学系12の焦点距離Fによって色収差の大きさは変動する。
【0057】
つまり、Fとνdとの積が350mm以下の場合、半球レンズ14による軸外光束の色収差が大きくなり、波長によって軸外光束の角度が異なってしまうため、分光器1として計測に用いるのに十分な精度を確保することができなくなり(測定誤差が2nm程度を大きく超えてしまい)、好ましくない。一方、Fとνdとの積が600mm以上の場合、半球レンズ14の材料を選ぶ自由度が減り、高価な材料を選択しなければならず、分光器1を小型化できてもコスト上昇となるため、望ましくない。
【0058】
したがって、条件式(2)を満足することにより、軸外光束の色収差を抑えて、分光器1の測定精度を確保しながら、半球レンズ14の材料の選択の自由度を確保して、装置のコスト上昇を抑えることができる。
【0059】
(光源の他の構成例について)
図3は、上記した光源11の他の構成例を示している。光源11は、例えばレーザ光源からなる光源21と、光ファイバ22(導光部材)とを有して構成されていてもよい。この構成では、光源21の発光面21aで発光された光束は、光ファイバ22に取り込まれて導光され、光ファイバ22の光束射出側の端面22aから射出される。したがって、この構成では、光源11の光出射面11aは、光ファイバ22の光束射出側の端面22aで構成されていることになり、光源21(発光面21a)を1次光源とすると、光出射面11a(端面22a)は2次光源を構成することになる。
【0060】
このように、発光面21aで発光された光束を光ファイバ22で導光する構成とすることにより、光源21(発光面21a)をコリメータレンズ15以降の光学系から離して配置することができる。これにより、光源21(発光面21a)で発生する熱が光学系の各構成部品に与える影響を低減できるとともに、光源21(発光面21a)の配置の自由度を増大させることができる。
【0061】
(実施例について)
次に、上述した半球レンズ14を含む干渉計2の実施例について説明する。実施例1は、図1の光学系に対応した数値実施例であり、そのコンストラクションデータは以下の通りである。なお、説明の理解をしやすくするために、固定鏡18側の光路と移動鏡17側の光路とで、コンストラクションデータを分けて記載する。図4(a)は、干渉計2における固定鏡18側の光路およびその光路上に位置する光学部材を示しており、図4(b)は、移動鏡17側の光路およびその光路上に位置する光学部材を示している。
【0062】
以下のコンストラクションデータにおいて、Si(i=0、1、2、・・・)は物体側から数えてi番目の面を指す。具体的には、固定鏡18側の光路では、S0は光源11の光出射面11a(半球レンズ14の平面)、S1は半球レンズ14の半球面、S2およびS3はコリメータレンズ15の光入射面および光出射面、S4は仮想絞り面(STO)、S5はBS16の透過面、S6はBS16の反射透過面、S7はS6と同じ面、S8はS5と同じ面、S9は補償板19のBS16側の面、S10は補償板19のBS16とは反対側の面、S11は固定鏡18の反射面、S12はS10と同じ面、S13はS9と同じ面、S14はS8と同じ面、S15はS6と同じ面、S16はS9と同じ面、S17はS10と同じ面、S18は仮想干渉面、S19は光検出器20の受光面で、S18と同じ面をそれぞれ指す。なお、S9およびS10は、偏芯データを得るためのダミー面である。
【0063】
一方、移動鏡17側の光路では、S0は光源11の光出射面11a(半球レンズ14の平面)、S1は半球レンズ14の半球面、S2およびS3はコリメータレンズ15の光入射面および光出射面、S4は仮想絞り面(STO)、S5はBS16の透過面、S6はBS16の反射透過面、S7はS6と同じ面、S8はS5と同じ面、S9は補償板19のBS16側の面、S10は補償板19のBS16とは反対側の面、S11は移動鏡17の反射面、S12はS10と同じ面、S13はS9と同じ面、S14はS8と同じ面、S15はS6と同じ面、S16はS9と同じ面、S17はS10と同じ面、S18は仮想干渉面、S19は光検出器20の受光面で、S18と同じ面をそれぞれ指す。なお、S7およびS8は、偏芯データを得るためのダミー面である。
【0064】
また、RMDは面の特性を指し、反射面(REFL)または屈折面を指す。なお、RMDの欄においては、反射面のみを表記し、表記がない場合は屈折面を指す。また、屈折率の記載がないところは空気であることを指す。曲率半径および軸上面間隔の単位はmmである。
【0065】
ASPは、以下の光軸対称な式で表される非球面のデータを指す。光軸対称な式は、光源11から光検出器20に向かう光束の中心光線が進行する軸を光軸としたとき、その光軸方向をZ軸、メリディオナル断面内でZ軸に垂直な方向をY軸、サジタル断面内でZ軸に垂直な方向をX軸として、面頂点からの距離を以下のように表したものである。
z=(c・h)/[1+{1−(1+k)・c・h1/2
+A・h+B・h+C・h+D・h10
ここで、zは面のローカルなZ軸方向の面頂点からの位置、cは近軸の曲率で曲率半径の逆数(1/mm)、kは円錐定数、hはZ軸からの高さ(h=x+y)、Aは4次の非球面係数、Bは6次の非球面係数、Cは8次の非球面係数、Dは10次の非球面係数である。なお、非球面データにおいて、E−n=×10−nを指す。
【0066】
また、XDEはX方向の平行偏芯、YDEはY方向の平行偏芯、ZDEはZ方向の平行偏芯の各量(mm)をそれぞれ指し、ADEはX軸周りの回転、BDEはY軸周りの回転、CDEはZ軸周りの回転の角度(°)をそれぞれ指す。GLB GiはSi面を基準とするグローバル偏芯(表記がなければローカルな偏芯)であることを指す。回転中心の座標は、入射光束の中央位置を原点としたときの位置である。なお、BS16は、X軸周りに回転するものとする。
【0067】
また、図4(a)(b)において、最初の光線は、左から右に向かって進行し(+Z軸方向)、反射面があれば光線は右から左に向かって進むものとする(計算の便宜上、角度が付いていても同じように考える)。そして、軸上面間隔および屈折率は、光線が左から右に進むときにはプラスとし、右から左に進むときにはマイナスとする。光線が右から左に進むとき、再び反射面があれば光線は左から右に進み、軸上面間隔および屈折率はプラスとなる。
【0068】
波長900nmにおけるBK7_SCHOTTの屈折率は1.508997である。また、実施例1では、光源11からの光は、BS16に対して入射角30°で入射しているものとする。
【0069】
<実施例1>
[固定鏡側光路]
曲率半径 軸上面間隔 RMD 屈折率(900nm)

S0 INFINITY 1.00000 1.508997
(光源)

S1 -1.000000 6.38957
(半球レンズ半球面)

S2 93.21306 3.32461 1.508997
(コリメータレンズ光入射面)
ASP: 非球面データ
K: 0.00000
A:-2.65511E-03 B: 2.06250E-04 C:-2.32303E-05 D: 0.000000E+00

S3 -4.99769 17.85702
(コリメータレンズ光出射面)
ASP: 非球面データ
K: 0.00000
A:-4.43198E-04 B: 4.36195E-05 C:-1.95884E-06 D:-0.170634E-06

S4 INFINITY 0.00000
(STO)

S5 INFINITY 0.00000 1.508997
(BS透過面)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE:-1.154701 GLB G4
ADE:30.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S6 INFINITY 0.00000 反射面 -1.508997
(BS反射透過面)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G4
ADE:30.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S7 INFINITY -1.00000 -1.508997
(S6と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G6
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S8 INFINITY 1.10000
(S5と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G5
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S9: INFINITY -1.00000 ダミー
(補償板)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.10000 GLB G6
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S10: INFINITY -8.00000 ダミー
(補償板)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 1.00000 GLB G9
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S11: INFINITY 8.00000 反射面
(固定鏡)
XDE: 0.00000 YDE:-8.66025 ZDE:-5.00000 GLB G4
ADE:60.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S12: INFINITY 1.00000 AIR
(S10と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G10
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S13: INFINITY 0.10000
(S9と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G9
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S14: INFINITY 1.00000 1.508997
(S8と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G8
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S15: INFINITY 0.10000 AIR
(S6と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G6
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S16: INFINITY 1.00000 1.508997
(S9と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G9
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S17: INFINITY 8.00000
(S10と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G10
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S18: INFINITY 0.00000
(仮想干渉面)
XDE: 0.00000 YDE: 8.66025 ZDE: 5.00000 GLB G4
ADE:60.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S19 INFINITY 0.00000
(仮想干渉面)
【0070】
[移動鏡側光路]
曲率半径 軸上面間隔 RMD 屈折率(900nm)

S0 INFINITY 1.00000 1.508997
(光源)

S1 -1.000000 6.38957
(半球レンズ半球面)

S2 93.21306 3.32461 1.508997
(コリメータレンズ光入射面)
ASP: 非球面データ
K: 0.00000
A:-2.65511E-03 B: 2.06250E-04 C:-2.32303E-05 D: 0.000000E+00

S3 -4.99769 17.85702
(コリメータレンズ光出射面)
ASP: 非球面データ
K: 0.00000
A:-4.43198E-04 B: 4.36195E-05 C:-1.95884E-06 D:-0.170634E-06

S4 INFINITY 0.00000
(STO)

S5 INFINITY 0.00000 1.508997
(BS透過面)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE:-1.15470 GLB G4
ADE:30.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S6 INFINITY 0.00000 1.508997
(BS反射透過面)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G4
ADE:30.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S7: INFINITY 1.00000 ダミー
(S6と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G6
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S8: INFINITY 1.10000 ダミー
(S5と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G5
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S9: INFINITY 1.00000 1.508997
(補償板)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.10000 GLB G6
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S10: INFINITY 8.00000
(補償板)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 1.00000 GLB G9
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S11: INFINITY -8.00000 反射面
(移動鏡)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE:10.00000 GLB G4
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S12: INFINITY -1.00000 -1.508997
(S10と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G10
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S13: INFINITY -0.10000
(S9と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G9
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S14: INFINITY -1.00000
(S8と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G8
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S15: INFINITY 0.10000 反射面
(S6と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G6
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S16: INFINITY 1.00000 1.508997
(S9と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G9
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S17: INFINITY 8.00000
(S10と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G10
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S18: INFINITY 0.00000
(仮想干渉面)
XDE: 0.00000 YDE: 8.66025 ZDE: 5.00000 GLB G4
ADE:60.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S19 INFINITY 0.00000
(仮想干渉面)
【0071】
[スペック]
コリメータ光学系の焦点距離F 6.4160mm
物体側開口数NA 0.22000
設計波長 900.00000nm
光源の半径r 0.15mm
コリメータレンズの焦点距離f 9.4267mm
コリメータレンズの光出射面からBSの
分離合成面(2回目入射)までの距離L 37.85702mm
半球レンズ材料の屈折率n 1.508997
半球レンズ材料のアッベ数νd 64.12
NA・f+(r/f)・L 2.67626
(NA/n)・f+(r/F)・L 2.25940
F・νd 411.4mm
【0072】
実施例1では、光源11の光出射面11aに半球レンズ14を密着して配置することにより、上述した条件式(1)を満足する光学設計を実現できていると言える。したがって、実施例1によれば、光源11が点光源と見なせない場合でも、軸外光束を考慮して大きな光学部品を用いることなく、平行光の光束径を小さくして干渉計2を小型化することができる。また、実施例1は、条件式(2)も満足しており、軸外光束の色収差を抑えて、分光器1の測定精度を確保できると言える。
【0073】
また、実施例1では、焦点距離の短いコリメータレンズ15を用いているため、光源11とコリメータレンズ15との距離(軸上面間隔)を10mm程度にすることができる。つまり、光源とコリメータレンズとの距離を、特許文献1の構成よりも格段に短くすることができる。したがって、実施例1の構成によれば、特許文献1の構成に比べて、干渉計2の小型化を十分に図ることができると言える。
【0074】
(その他)
本実施形態(特に実施例1)では、光源11からの光がBS16に対して入射角30°で入射するように、BS16を傾けて配置しているが、例えば入射角が45°となるように、BS16を傾けて配置した場合であっても、上述した本実施形態の構成を適用することができ、これによって本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
本実施形態では、BS16の裏面(光源11とは反対側の面)に透過反射膜(分離合成面)を形成しているが、BS16の表面(光源11側の面)に透過反射膜を形成しても光学的には同じである。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の干渉計は、例えばフーリエ変換分光分析装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 分光器
2 干渉計
3 演算部(スペクトル生成部)
11 光源
11a 光出射面
12 コリメータ光学系
13 干渉部
14 半球レンズ
15 コリメータレンズ
16 BS(ビームスプリッタ)
17 移動鏡
18 固定鏡
21 光源
21a 発光面
22 光ファイバ(導光部材)
22a 端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光出射面を有する光源と、
前記光源の前記光出射面の1点から出射される光束を平行光に変換するコリメータレンズと、
前記コリメータレンズを介して入射する光を、ビームスプリッタの分離合成面で2光束に分離し、各光束を移動鏡および固定鏡で反射させた後、前記分離合成面で合成して干渉させる干渉部とを備えた干渉計であって、
前記光源の前記光出射面に密着して配置される半球レンズをさらに備えていることを特徴とする干渉計。
【請求項2】
以下の条件式(1)を満足することを特徴とする請求項1に記載の干渉計;
NA・f+(r/f)・L>(NA/n)・f+(r/F)・L ・・・(1)
ただし、
NA:光源側の開口数
f :コリメータレンズの焦点距離(mm)
F :コリメータレンズと半球レンズとを含むコリメータ光学系の焦点距離
(mm)
r :光源の光出射面の半径(mm)
L :コリメータレンズの光軸上およびその延長線上における、コリメータ
レンズの光出射面からビームスプリッタの分離合成面までの距離と、
分離合成面から固定鏡までの距離の2倍との和(mm)
n :半球レンズの構成材料の設計波長での屈折率
である。
【請求項3】
以下の条件式(2)をさらに満足することを特徴とする請求項2に記載の干渉計;
350<F・νd<600 ・・・(2)
ただし、
νd:半球レンズの構成材料のアッベ数
である。
【請求項4】
前記光源の前記光出射面は、発光面で発光された光束を取り込んで導光する導光部材の光束射出側の端面で構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の干渉計。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の干渉計と、
前記干渉計から出力される干渉光の検知信号に基づいて、波長ごとの光の強度を示すスペクトルを生成するスペクトル生成部とを備えていることを特徴とする分光器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−11472(P2013−11472A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143194(P2011−143194)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】