説明

平板構造のための帯電防止処理済人造石の製造方法

【課題】帯電防止特性を有する平板構造のための人造石、その使用、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】イオン性液体またはイオン性液体中の金属塩の溶液を帯電防止成分として含有する、平板構造のための人造石。イオン性液体が、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、ピラゾリウム、ピラゾリニウム、イミダゾリニウムのうち少なくとも1つの陽イオンを含む。金属塩は、有機、無機のアルカリ金属塩の少なくとも1つである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に、平板構造は、製造される製品の製造、加工および使用の際に高い表面電荷が蓄積し得る電気絶縁体である。
【0002】
本発明の目的において、平板構造として形成された人造石とは、例えばタイルおよび/または他の床、壁、台もしくは天井被覆物の形態で固形のシート様被覆物を基材上に生成するのに適した表面となる少なくとも1つの(視認できる)面を有するあらゆる製品を包含する。
【背景技術】
【0003】
静電気は望ましくない効果と深刻かつ危険な状況とをもたらし、その範囲としては例えば塵埃の誘引、衛生上問題となる不純物の付着、アーク放電の結果としての電子部品の破壊、生理的に不快な電気ショック、可燃性液体を撹拌、注入、運搬または貯蔵する容器またはパイプ内における該液体の発火から、粉塵が充填された大型容器からの移し替えの際などの粉塵爆発にまで及ぶ。裏地材及び被覆材の表面上への、静電気による望ましくない塵埃の蓄積は、機械的ストレスの作用の下、より急速なスクラッチをもたらし、そのため消費者製品の耐用年数を縮め得る。
【0004】
そのため、これらの材料上の静電気を防止する、または危険でない水準にまで減少させることに大きな関心が持たれている。
【0005】
電荷の除去を可能にし、静電気を最小限に抑えるために一般的に用いられる方法は、帯電防止剤、すなわち非イオン性またはイオン性界面活性化合物、特にアンモニウム塩およびアルカリ金属塩の形態の被覆剤の使用であり、これらは基本的に外部および内部帯電防止剤の形態で用いられる。
【0006】
外部帯電防止剤は水溶液またはアルコール溶液として噴霧、塗装または浸漬により被覆材の表面に塗布され、次いで風乾される。残留する帯電防止膜は事実上全ての表面において効果的であるが、再び摩擦または液体によって極めて容易に、望ましくない形で除去される。
【0007】
被覆材の可塑性ポリマー基材(plastic polymer base)の内部から外部へ移動し続ける帯電防止分子を有する内部帯電防止剤とは対照的に、外部帯電防止剤は貯蔵効果(depot effect)が無いために長期間の作用を示さない。このため、内部帯電防止剤を使用し、可能な限り、それを純粋な形態または濃縮製剤の形態で被覆材に対して添加することが優先されている。通常、被覆材への機械的練り込みの後、内部帯電防止剤は均一に分布し、ゆえにそれらは、得られた層全体で作用を示し、外気に対する接触面で単に存在するというだけではない
【0008】
実験により裏付けられた今日の理解によると、帯電防止剤は、固有の非親和性(incompatibility)の結果、連続的に被覆材の表面に移動し、そこで蓄積するか、損失を補充する。それらは基材と低い相互作用しか示さないことが多い。すなわち、その相互作用は分離しないために十分な大きさであるが、表面上への移動を回避するほど強くはない。疎水性部分は被覆材内に残留し、親水性部分は例えば大気中に存在する水と結合して、数十または数百ボルトであって数千ボルトの危険な水準ではない場合においても大気中へと電荷を除去することができる導電層を形成する。これは比較的長期間にわたり有効な量の帯電防止剤が表面に存在することを確実にする。
【0009】
しかし、前記移動速度(拡散速度)はこの考え方において重要な要素である:仮にそれが大きすぎる場合、低エネルギーで、水分と結合する能力を失い、その結果帯電防止効果が大きく減少し、望ましくない油膜を表面上に生成する構造(例えば結晶構造)が形成され、関連する美的なおよび加工上の多くの不都合が発生し、前記有効性も危機に瀕する。
【0010】
仮に移動速度が低すぎる場合、実用的な時間内において効果が達成されないか、または不十分な効果しか達成されない。
【0011】
この理由から、速く移動する帯電防止剤と遅く移動する帯電防止剤との組み合わせが、十分に速い初期効果と、また何週間および何ヶ月も続く長期効果とを達成するために既に用いられている。
【0012】
帯電防止処理を施していない典型的な被覆材は1014〜1011オームの範囲の表面抵抗を有し、そのため15000ボルトまでの電圧を蓄積し得る。効果的な帯電防止剤は、従って裏地材及び被覆材の表面抵抗を1010オーム以下にまで減少させることができる。
【0013】
さらに、帯電防止剤は高分子裏地材及び被覆材の物理的および技術的特性、例えば表面流動、基材湿潤性、基材接着(substrate adhesion)、密封力(sealing power)および熱安定性に影響し得るということも考慮する必要がある。従って、これらの影響を最小限にするため、帯電防止剤は低濃度でも有効である必要がある。今日使用される帯電防止剤の場合、用いられる典型的な量は0.01〜3重量%である。
【0014】
金属塩は公知の有効な帯電防止剤である。しかし、これらは裏地材及び被覆材中で均一な分布を達成するために使用前に溶解される必要があるという不利益を有する。慣用される溶剤はアルコール類、エーテル類、エステル類、ポリエーテル類、環状エーテル類、環状エステル類、アミド類、環状アミド類、芳香族化合物または有機溶媒一般である。しかし、溶解度が極めて低い場合があり、そのため十分に有効な使用濃度を達成するために多量の溶媒を用いる必要がある。
【0015】
これらの帯電防止製剤が透明または少なくとも無着色の裏地材及び被覆材において用いられる場合、最終製品の光学的特性に悪影響を与え得る。
【0016】
反応性多成分系、例えば反応性ポリウレタン被覆材の製造においては、帯電防止製剤の溶媒または他の構成成分中に存在する任意の反応基が反応に望ましくない形で関与し、それによって最終製品の、特に物理的特性を変化させる場合がある。実際、そのため金属塩は好ましくは製剤の成分のうちの1つに溶解される;ポリウレタン類の場合、これは一般的にはアルコール成分、すなわちジオール類またはポリオール類であり、それが次いでイソシアネート成分と反応させられ、高分子マトリクスが形成される。可能なポリオール類は多岐にわたるため、それに応じて多くの数の溶液が提供される必要がある。従ってこれらの帯電防止剤/金属塩は、全ての製剤の構成成分である溶剤、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールまたは他の反応性有機溶剤中に溶解されることが多い。この際不都合なのは、最終製品の物理的特性が可能な限り変化しないようにするため、ポリウレタン製剤中の反応性成分としてだけではなく追加的にまたは単独で帯電防止製剤中の溶剤としても用いられるこれらの製剤構成成分全体の割合が、典型的には帯電防止製剤を添加しない場合よりもポリウレタン製剤中で高くなってはいけないという点である。
【0017】
普遍的に用いることができ、多くの金属塩に対して高い溶媒能を有する、金属塩のための溶剤を提供するための試みが既に行われている。さらに、それらは反応性成分に対して概して不活性であるか、さもなくば製剤の構成成分であるか、または最終製品の物理的特性に悪影響を及ぼさないものである必要がある。新規溶剤はさらに金属塩に対し改善された溶媒特性を有する必要があり、得られた溶媒および金属塩からなる溶液は被覆材においてより良好な帯電防止特性を有する必要がある。
【0018】
この目的において、多くの金属塩に対し、上述のジオール類およびポリオール類ならびに慣用される有機溶剤よりも良好な溶剤となる特定のイオン性液体が利用される。導電性を改善し、有効な帯電防止製剤を製造するためには、被覆材中に有効な含有量の金属塩を導入するのに必要とされる溶剤の量がWO2008/006422におけるよりも有意に少ない必要がある。この文献はイオン性液体を金属塩のための溶媒として、極めて高導電性の塩含有量を設定するためにこのような混合物にさらに添加することができる有機溶剤または分散剤とともに、用いることを規定している。これらは、印刷インクおよび/または印刷ワニス等の低粘度系にのみ用いられる。厚膜コーティングにも使用することができ、高分子マトリクスが高い割合の微粒子研磨固体(例えば研磨大理石)を有し、異なる要求を有する他の分野の使用においても用いられる帯電防止系は、この文献には開示されていない。
【0019】
電導床は標的化された様式で静電気を除去し得る必要がある;このため一般に特有のシステム構成が用いられ、その主要な構成要素は下塗りの他に、高導電性の表面コーティングおよび電荷を伝導することができる上塗りである。電荷が伝導するために必要な能力は、基本的に炭素繊維の使用によって達成される。最後に、前記導電性表面コーティングがさらに地面に接続している必要がある。
【0020】
いわゆるESD床(ESD floors)は可能な限り静電気を回避し、規定の様式でそれを除去するように設計されている。これらの機能は従来の電極測定だけでなく、身体電圧発生および人/靴/床/地面系による身体からの電荷の除去能力、ならびに個人あたりの電荷減衰時間によっても確認される。このようなESD床は前記導電系のように構築されるが、さらに少なくとも1つの薄膜表面導電性シーリング層(sealing layer)とともに提供される。また、さらに表面導電性上塗りを使用することも可能であり、この場合表面導電性は導電性フィラーおよび顔料の使用により産生される。しかし、このような系は極めて高額である。また、これら被覆剤の層厚許容範囲は一般に極めて限定的であり、使用される第四級アンモニウム化合物は十分に有効ではない。
【0021】
電導床およびESD床の両者に対して、各種のバインダー系が高分子マトリクスとして用いられる。最も一般的なのはアミン硬化エポキシ樹脂、芳香族および脂肪族ポリウレタン系、遊離基架橋(free-radically crosslinking)メタクリレート(PMMA床)およびビニルエステル類である。所望のESD特性を達成するためには高い施工経費が必要となり、一般には高額の上塗りを塗布する必要がある。
【0022】
DE 10 2006 015775も帯電防止製剤を記載しているが、これは厚床コーティング(thick-layer floor coatings)の形態のため、軟質床コーティング(flexible floor coating)を形成する厚コーティング(thick coat)として、厳しい要求に合う特に強靱な床に対しては適さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
従来技術の上述の不都合を踏まえ、本発明は,帯電防止特性を有する平板構造のための人造石(例えば人造大理石)を提供することを1つの目的とする。これは、さらなるシーリング材料を用いることなく;不都合であることが知られる層厚感受性(layer thickness sensitivity)を伴うことなく、特に無理なく安価な原料を用いた経済的に有利な条件の下で達成される必要がある。
【0024】
また、床、壁または台のタイルまたは厚板への使用のために美的性質の要求が関係することから、可能な限り最終製品の色の選択に悪影響を及ぼさない物質を介して静電気が除去されることが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0025】
この目的は、イオン性液体および/または塩イオン性液体中の金属塩の溶液を帯電防止成分として含む、平板構造のための人造石により達成される。
【0026】
驚くべき事に、前記目的はこの系によって完全に達成することができ、また、特に、ケース毎に選択される層厚に応じた導電値のばらつきを完全に回避することができることが見出された。さらに、他の方法において層厚の増加とともに起こる導電ホール(conductivity hole)(デッドスポット(dead spot))の割合の増加は、起こらない。本発明の人造石は、このように、他の方法において不都合となる層厚感受性を回避することを可能にする。さらに、予期されなかったことには、平板構造のために提案された前記人造石は同時に電荷を除去する能力に対する、および単一平板構造のESDシステムに対する、要求を満たし得る。このように、比較的安価な様式で、もはや有意に帯電することのない平板構造のための人造石を製造することが可能であり、また、それぞれの用途によって本発明の帯電防止成分をさらなる導電性成分と組み合わせ、材料の性能を標的化された様式で設定することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明により備えられた平板構造の表面抵抗は1010オーム未満にまで低下する。本発明の平板構造のための帯電防止処理された人造石は、帯電防止剤および/または金属塩(導電性塩)、特にアルカリ金属塩、のための溶剤(相溶化剤(compatibiliser))としてのイオン性液体を、極めて高い導電性塩含有量を設定するためにこれらの混合物に添加し得るさらなる溶剤または分散剤とともに使用することに基づくものである。
【0028】
少なくとも1つのイオン性液体と任意選択により少なくとも1つの金属塩とを含有する前記帯電防止製剤は、一般に、高分子マトリクスの硬化前に他の構成成分とともに、しかし必ずしも同時にではなく、添加される。熱可塑系においては、前記帯電防止製剤および前記研磨固体は再溶融後にも導入することができる。
【0029】
本発明は従って、少なくとも1つのイオン性液体と任意選択により少なくとも1つの金属塩とを含有する前記帯電防止製剤を、高分子マトリクスの硬化前に他の構成成分とともに混練するか、または熱可塑性ポリマーにおいては溶融により組み込む方法を提供する。
【0030】
帯電防止製剤の組み込みは当業者が精通している方法により、他の添加剤および副原料の高分子複合組成物への組み込みと同様な方法で行われる。
【0031】
平板構造のための本発明の帯電防止処理された人造石は、最大40重量%まで、好ましくは25重量%までの、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリレート、メタクリレート、および/またはビニルエステルを含有する高分子マトリクスを含む。さらに、前記ポリマーは植物成分、特にトウモロコシ澱粉、大豆澱粉等の多糖類および脂肪の添加物も含有してよい。
【0032】
層厚床コーティングとは異なり、本発明は少なくとも60重量%、好ましくは70重量%超の研磨固体を含有する人造石の構成マトリクスを提供する。残りは高分子マトリクス、帯電防止製剤、ならびに顔料、染料、および脱泡剤(deaerators)等のさらなる添加剤および副原料から構成される。
【0033】
特許請求の範囲に記載される人造石は、定義された化合物の帯電防止成分を含有する特定の製剤に限定されない。しかし、帯電防止成分は、人造石中に、該人造石の製剤の全質量に対して0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%の範囲の量で混合することが推奨される。
【0034】
本発明により使用される帯電防止成分は、イオン性液体のみからなるか、そうでなければイオン性液体と金属塩との混合物である。イオン性液体と金属塩との混合物の場合、平板構造のための製剤の全質量に対し0.01〜30重量部のイオン性液体および/または0.1〜30重量部の金属塩が用いられ、該金属塩は常に少なくとも1つのイオン性液体との組み合わせにおいて用いられる。異なる金属塩の混合物および各種イオン性液体の混合物の両者を用いることが可能である。
【0035】
帯電防止製剤の全混合物中の金属塩の割合は、好ましくは0.1〜50重量%、特に好ましくは0.5〜20重量%、極めて特に好ましくは1〜10重量%の範囲である。
【0036】
研磨固体としては、本発明によると、固体の、天然のまたは合成により産生された、適当な場合は一般に微視的に不均一な、鉱物、研磨された岩石、岩石片、ガラス、または例えばシリカ含有藻類等の生物の残渣、さらには合成により産生された岩石あるいは固形プラスチック組成物を用いることが可能である。研磨固体は前記各種成分の任意の混合物中においても用いることができる。
【0037】
本発明の帯電防止成分は内部帯電防止剤として作用し、ポリマーのマトリクスおよび研磨固体から表面に移動することができ、そのため帯電防止作用が維持される。
【0038】
本明細書で使用される「固体」という語は広範に用いられ、天然の金属合金、火山ガラス、ばら砂(loose sand)または石炭とも関連する。
【0039】
岩石、および従ってそれに由来する研磨された岩石は、まず第一に大理石、石英、または花崗岩等の鉱物を含む。これらは、まず第一に長石、石英、マイカ、角閃石またはかんらん石等のケイ酸塩であるが、方解石またはドロマイト等の炭酸塩も岩石の主要な構成成分である。これらの主要成分(全質量の10重量%超を構成する鉱物成分)以外に、ほとんどの岩石は、二次成分(10〜1重量%を構成する成分)または副成分(1重量%未満の量しか存在しない成分)も含有する。副成分が岩石の名前となることが多い。
【0040】
天然の岩石はその形成方法(起源)により3つの種類:火成岩(magmatic rock)(マグマタイト(magmatites))、変成岩(メタモルファイト(metamorphites))、および堆積岩(セディメンタイト(sedimentites))に分けられる。
【0041】
岩石の例としては、エイコンドライト、アダカイト、アリューライト(aleurite)、アルカリ花崗岩、角閃岩、アナテクサイト、安山岩、硬石こう岩(anhydrite rock)、無煙炭、アプライト、砂質岩、アリゾナイト(arizonite)、アルコース、眼球片麻岩、玄武岩、ベイサナイト、ボーキサイト、ベントナイト、軽石、ビオライト(biolites)、葉状炭(foliated coal)、青色粘板岩(blue slate)、豆状鉱石、褐炭、角礫岩、有色砂岩、縞状鉱石、チャーノッカイト、チャート、チリ硝石、緑泥頁岩(chlorite shale)、コンドライト、シポリノ(cipollino)、屋根用スレート、石英安山岩、輝緑岩、ダイアミクタイト、珪藻岩、閃緑岩、粗粒玄武岩、ドロマイト、ダナイト、隕鉄、鉄魚卵岩(iron oolite)、エクロジャイト、エンダーバイト、ピソライト、エセックサイト、蒸発岩、扇状地礫岩、ファクセライム(faxe lime)、繊維状石炭(fibrous coal)、珪長岩、珪岩(rock quartzite)、脂肪炭、耐火石材(firestone)、ケーク溶岩(cake lava)、長炎炭、スポッテッドシェール(spotted shale)、フリント(flint)、フリッシュ、フォイダイト(foidite)、フォイア岩(foyaite)、フルーツシェール(fruit shale)、閃電岩、斑れい岩、シーフシェール(sheaf shale)、ガス長炎炭(gas flame coal)、ガス用炭、セッコウ、シャイニーコール(shiny coal)(硬質炭(hard coal))、シャイニーコール(shiny coal)(褐炭)、藍閃石シェール(glaucophane shale)、雲母シェール(mica shale)、片麻岩、花崗岩、花崗斑岩、花崗閃緑岩、文象斑岩、グラニュライト、グラプトライトシェール(graptholite shale)、硬砂岩、グリッフェルシェール(griffel shale)、緑色頁岩(green shale)、ハリタイト(halitite)、硬褐炭(hard brown coal)、斜方輝石かんらん岩、ハワイアイト、角閃石岩、ホルンフェルス、角岩、ヒューモライト(humolite)、イグニンブライト、イタコルマイト、カリウム塩、石灰質砂岩、石灰岩、石灰ケイ酸塩岩(lime-silicate rock)、焼結石灰(sintered lime)、石灰質凝灰岩、カルシオライト(calciolite)、燭炭、カオリン、カーボナタイト、カルスト大理石(karst marble)、破砕岩、コネルコール(kennel coal)、コンダライト(khondalite)、珪藻土(diatomacous earth)、珪藻土(kieselguhr)、黒色碧玉(black jasper)、焼結シリカ、キンバーラト、クッション溶岩(cushion lava)、クリングシュタイン(klingstein)、骨成角礫岩(bone breccia)、ノジュラーシェール(nodular shale)、石炭、石炭鉄鉱石(coal ironstone)、炭素質石灰(carbonaceous lime)、コケイドオレ(cockade ore)、礫岩、コンタクトシェール(contact shale)、コーラルオレ(coral ore)、白亜、クッカーサイト(kuckersite)、ランプロアイト、ランプロファイア(lamprophyr)、火山礫、ラピスラズリ、ラルビカイト(larvikite)、溶岩、ラタイト、粘土、れんが粘土、白榴岩、レールゾライト、亜炭、リンバージャイト(limburgite)、石英粗面岩、リプトビオライト(liptobiolite)、ルーズロック(loose rock)、黄土、泥岩、リダイト(lydite)、リーンコール(lean coal)、マフィタイト(mafitite)、アミグダリン岩(amygdaline rock)、マンガン団塊、大理石、マッシブライム(massive lime)、マットコール(matt coal)、海泡石、黒ひん岩またはアミグダリン岩(amygdaline rock)、メリリタイト(melilitite)、泥灰土、マールシェール(marl shale)、泥灰岩、隕石、ミグマタイト、微閃緑岩(microdiorite)、微斑れい岩(microgabbro)、微花崗岩(microgranite)、ミネット(脈石)、ミネット(鉱石)、モルダバイト、モンゾニ岩、MORB、ミュジアライト(mugearite)、マイロナイト、霞石玄武岩、霞岩、霞石閃長岩、黒曜石、OIB、オイルシェール、縞大理石、魚卵岩、蛇灰岩、オフィオライト、オファイト、オプカ(opuka)、パラサイト、硬ピッチ、パンテレライト、ペグマタイト、パーライト、ペロブスカイト、フォノライト、千枚岩、ピクライト、ラグストーン(ragstone)、斑岩、プラシナイト、シュードタキライト、輝岩、ケイ岩(quarzite)、クォーツォライト(quarzolite)、石英斑岩、放散虫岩、ラパキウィ(rapakiwi)、沼鉄鉱、流紋岩、コケイドオレ(cockade ore)、ローゲンシュタイン(rogenstein)、砂岩、珪灰石、粘板岩、スラグ、黒色泥質岩(black pelite)、蛇紋岩、泥岩、スカルン、風化玄武岩、菱鉄鉱、スピクライト(spiculite)、スピライト、硬質炭(hard coal)、岩塩、石質隕石、スーバイト(suevite)、閃長岩、タルク−二硬石シェール(talc-disthene shale)、テクタイト、テフライト、ソレアイト、トーナライト、粘土質頁岩、粘土岩、粗面岩、トラバーチン、トロニエム岩、石筍、凝灰岩、ユナカイト、白色頁岩(white shale)、ウスタイトが挙げられる。
【0042】
これらの主に天然の岩石以外に、本発明による、合成的に産生された岩石、または、例えば粉砕された形態のガラス、磁器およびセラミックのを併用し、平板構造を製造することも可能である。
【0043】
多くの固体かつ任意選択で衝撃硬さのある(impact-hard)プラスチックまたは耐衝撃性のあるプラスチックを有するものの多くを、細かく砕いた形態で単独でもしくは岩石と混合して用いることができ;および/または合成岩石を加工して本発明による平板構造を生じさせることができる。
【0044】
天然型の岩石、合成岩石、ガラス、磁器および/またはセラミック、ならびに固形プラスチックも、単独で、および/または互いの混合物として用いることができる。
【0045】
さらに、フィラーおよび/または顔料等の添加物および副原料であって好ましくは導電性を有するものが含まれ得る。ここでの候補は、特に、ポリアクリロニトリル(PAN)、ピッチおよびレーヨン(登録商標)に基づく繊維等の炭素繊維、グラファイト、カーボンブラック、金属酸化物ならびに金属合金酸化物である。導電性を付与する成分で被覆されたフィラーおよび顔料も同様に好適である。この場合においても、各ケースにおいて任意選択により導電的に被覆されたグラファイト、被覆されたカーボンブラック、および被覆された金属酸化物または被覆された金属合金酸化物が特に好適である。
【0046】
人造石の形成に用いられ、適当な場合に人造石接着剤、漆喰、注入モルタルまたはタイル接着剤にも用いられる研磨固体は、0.001mm〜20mm、好ましくは0.01mm〜5mmの範囲の粒径を有する。
【0047】
研磨固体を高分子マトリクス内に含有する完全に硬化した人造石は、帯電防止特性に悪影響を及ぼすことなく美的に望ましい表面構造を達成するために、所望により、当業者に公知の方法を用いて粉砕および/または研磨される。
【0048】
帯電防止処理を施した本発明の人造石は、1010オーム以下の、従って帯電除去処理されていないポリマーからなる厚膜床コーティングの表面抵抗よりも有意に低い表面比抵抗を有する。
【0049】
本発明は更に、接着剤および基材への接着に利用される漆喰も提供する;これらは本発明の帯電防止製剤と同様の方法で処理してよい。しかし、これらの成分はさらに研磨固体を含有することができる。
【0050】
イオン性液体は一般に低温(<100℃)で融解する塩であり、非分子性のイオン性を有する新たな種類の液体に相当する。高融点、高粘度かつ極めて腐食性の媒質である古典的な塩融解物とは対照的に、イオン性液体は低温で液体であり、比較的低い粘度を有する(K.R. Seddon J. Chem. Technol. Biotechnol. 1997, 68, 351-356)。
【0051】
本発明の目的において、イオン性液体は以下に列挙する一般式(I)、(II)、または(III):
[A][Y]n− (I)
(式中、nは1、2、3または4であり、[A]は第四級アンモニウム陽イオン、オキソニウム陽イオン、スルホニウム陽イオンまたはホスホニウム陽イオンであり、[Y]n−は1価、2価、3価または4価の陰イオンである);または、
一般式(II)の混合塩
[A[A[Y]2− (IIa);
[A[A[A[Y]3− (IIb);または
[A[A[A[A[Y]4− (IIc)
(式中、[A、[A、[A、および[A]は[A]に対して述べられた群から独立に選択され、[Y]n−は式(I)に対して示された意味を有する);または、
一般式(III)の混合塩
[A[A[A[M[Y]4− (IIIa);
[A[A[M[M[Y]4− (IIIb);
[A[M[M[M[Y]4− (IIIc);
[A[A[M[Y]3− (IIId);
[A[M[M[Y]3− (IIIe);
[A[M[Y]2− (IIIf);
[A[A[M2+[Y]4− (IIIg);
[A[M[M2+[Y]4− (IIIh);
[A[M3+[Y]4− (IIIi);または
[A[M2+[Y]3− (IIIj)
(式中、[A+、[A、および[Aは[A]に対して述べられた群から独立に選択され、[Y]n−は式(I)に対して示された意味を有し、[M、[M、および[Mは1価の金属陽イオンであり、[M2+は2価の金属陽イオンであり、[M3+は3価の金属陽イオンである);
の塩、あるいは、式(I)〜(III)全ての混合物である。
【0052】
イオン性液体は、例えばハロゲン化物、カルボン酸塩、リン酸塩、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、ジシアナミド、硫酸、アルキルサルフェート、スルホン酸塩、アルキルスルホネート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェートまたはビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド等の陰イオンを、例えば置換アンモニウム、ホスホニウム、ピリジニウムまたはイミダゾリウム陽イオン等との組み合わせにおいて含有する。上述の陰イオンおよび陽イオンは、多数の可能な陰イオンおよび陽イオンの中から選択された少数のものに相当し、従って完全なものではなく、いかなる制限も意味しない。
【0053】
本発明により用いられるイオン性液体は、好ましくは少なくとも1つの第4級窒素および/もしくはリン化合物ならびに/または硫黄化合物と、少なくとも1つの陰イオンとからなり、これらの融点は約+250℃未満、好ましくは約+150℃未満、特に約+100℃未満である。本発明により用いられるイオン性液体またはその混合物は特に好ましくは室温で液体である。
【0054】
本発明の目的のために好ましく用いられるイオン性液体は、例えば、一般式:
(IV)
=CR (V)
(VI)
=CR (VII)
(VIII)
[式中、R、R、R、およびRは同一であるかまたは異なっており、それぞれ:水素;二重結合を有していてよい炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;二重結合を有していてよい炭素数5〜40の脂環式炭化水素基;炭素数6〜40の芳香族炭化水素基;炭素数7〜40のアルキルアリール基;1または複数個のヘテロ原子(酸素、NH、NR’(ここでR’は二重結合を有していてよい炭素数1〜30のアルキル基、特に−CH))により分断された、二重結合を有していてよい炭素数2〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;−O−C(O)−、−(O)C−O−、−NH−C(O)−、−(O)C−NH、−(CH)N−C(O)−、−(O)C−N(CH)−、−S(O)−O−、−O−S(O)−、−S(O)−NH−、−NH−S(O)−、−S(O)−N(CH)−、−N(CH)−S(O)−からなる群より選択される1または複数個の官能基により分断された、二重結合を有していてよい炭素数2〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;OH、OR’、NH、N(H)R’、N(R’)(ここでR’は二重結合を有していてよい炭素数1〜30のアルキル基)により末端官能化され、二重結合を有していてよい炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖の脂肪族または脂環式炭化水素基;または−(R−O)−R
(式中、
は炭素数2〜4の直鎖または分岐鎖炭化水素基であり、
nは1〜100、好ましくは2〜60であり、
は水素;二重結合を有していてよい炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;二重結合を有していてよい炭素数5〜40の脂環式炭化水素基;炭素数6〜40の芳香族炭化水素基;炭素数7〜40のアルキルアリール基;または基−C(O)−R(式中、Rは二重結合を有していてよい炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;二重結合を有していてよい炭素数5〜40の脂環式炭化水素基;炭素数6〜40の芳香族炭化水素基;炭素数7〜40のアルキルアリール基である)である)
のブロックまたはランダムポリエーテルである]
のうち少なくとも1つの陽イオンを含み得る。
【0055】
好ましいのは、一般式R (IV)[式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは基(CHCHRO)−H(ここでnは1〜200であり、RはHまたはCHである)であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基または基(CHCHRO)−H(ここでnは1〜200であり、RはHまたはCHである)であり、Aは1価の陰イオンである]により特徴付けられ、第4級アルカノールアミンエステル(alkanolamine ester quats)とも称される、アルコキシル化脂肪酸の第4級塩である。
【0056】
これらの化合物のうち、好ましいのは式
(IX) R4−m[((CH−Q−R
[式中:
各基Rは独立に炭素数1〜6のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基またはベンジル基、好ましくはメチル基であり;基Rはそれぞれ互いに独立に水素、炭素数11〜22の直鎖または分岐鎖アルキル基、炭素数11〜22の直鎖または分岐鎖アルケニル基であるが、少なくとも1個の基Rは水素ではなく;
基Qは式−O−C O)−、−C(O)O、−NR−C(O)−、−C(O)−NR−、−0−C(O)−O、−CHR−O−C(O)−、または−CH(OCOR)−CH−O−C(O)−(ここで、Rは水素、メチル、エチル、プロピルまたはブチルであり、Rは水素またはメチルである)の群より独立に選択され、Qは好ましくは−0−C(O)−または−NH−C(O)−であり;mは1〜4、好ましくは2または3であり;nは1〜4、好ましくは2であり;Xは可塑剤に対し適合性のある陰イオン、例えば塩素、臭素、メチルサルフェート、エチルサルフェート、硫酸または硝酸、好ましくは塩素またはメチルサルフェートである]の物質である。前記第4級アンモニウム化合物は、1からmまでにわたる個数の水素以外の異なる基Rを有する化合物の混合物であり得る。このような混合物は好ましくは平均で1.2〜2.5個の水素以外の基Rを含む。水素以外の基Rの割合は好ましくは1.4〜2.0、より好ましくは1.6〜1.9である。
【0057】
好ましい第4級アンモニウム化合物は:
(X) R[CHCHROH−][CHCHROC(O)R
(XI) R[CHCHROC(O)R
(XII) R[CHCHROH−][CHCHNHC(O)R
[式中、R、RおよびXは上記で式(IX)に対して定義されたものと同様の意味を有するが、ただしRは水素ではない]
の種類の化合物である。断片−C(O)Rは好ましくは脂肪酸アシル基である。用いることができる脂肪酸アシル基はトリグリセリド類の天然源、好ましくは獣脂、植物油、部分的に水素化された獣脂、および部分的に水素化された植物油に由来するものである。用いることができるトリグリセリド類の供給源は大豆油、獣脂、部分的に水素化された獣脂、パーム油、パーム核油、菜種油、ラード、ココナッツ、アブラナ、サフラワー油、トウモロコシ、米およびトール油ならびにこれらの成分の混合物である。
【0058】
当業者は脂肪酸含有化合物の組成にある程度収穫ごとの、または植物油の多数の供給源に応じた、自然なばらつきがあることを理解している。R基は通常、飽和および不飽和脂肪族脂肪酸の直鎖および分岐状炭素鎖の混合物である。
【0059】
このような混合物中の不飽和基Rの割合は、好ましくは少なくとも10%、特に好ましくは少なくとも25%、極めて特に好ましくは40%〜70%である。このような混合物中の多価不飽和基Rの割合は10%未満、好ましくは5%未満、特に好ましくは3%未満である。必要に応じ、部分水素化を行って飽和性を高め、それにより最終製品の安定性(例えば臭気、色等)を改善することができる。不飽和成分の含有量は、ヨウ素価で表した場合、5〜150の範囲、好ましくは5〜50の範囲である必要がある。不飽和基Rにおける二重結合のシスおよびトランス異性体の比率は、好ましくは1:1超、特に好ましくは4:1〜50:1の範囲内である。
【0060】
式(IX)の化合物の好ましい例として:N,N−ジ(タローイルオキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド;N,N−ジ(カノールイルオキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド;N,N−ジ(タローイルオキシエチル)−N−メチル,N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムメチルサルフェート;N,N−ジ(カノールイルオキシエチル)−N−メチル,N−(2−ヒドロキシエチル)−アンモニウムメチルサルフェート;N,N−ジ(タローイルアミドエチル)−N−メチル,N−(2−ヒドロキシエチル)−アンモニウムメチルサルフェート;N,N−ジ(2−タローイルオキシ−2−オキソ−エチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド;N,N−ジ(2−カノールイルオキシ−2−オキソ−エチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド;N,N−ジ(2−タローイルオキシエチルカルボニルオキシエチル)−N,N−ジメチル−アンモニウムクロライド;N,N−ジ(2−カノールイルオキシエチルカルボニルオキシエチル)−N,N−ジメチル−アンモニウムクロライド;N(2−タローイルオキシ−2−エチル)−N−(2−タローイルオキシ−2−オキソ−エチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド;N(2−カノールイルオキシ−2−エチル)−N(2−カノールイルオキシ−2−オキソ−エチル)−N,N−ジ−メチルアンモニウムクロライド;N,N,N−トリ(タローイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウムクロライド;N,N,N−トリ(カノールイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウムクロライド;1,2−ジタローイルオキシ−3−N,N,N−トリメチルアンモニオプロピルクロライド;および1,2−ジカノールイルオキシ−3−N,N,N−トリメチルアンモニオプロピルクロライドが挙げられる。
【0061】
より好ましい第4級アンモニウム塩は、ジタロージメチルアンモニウムクロライド、ジタロージメチル−アンモニウムメチルサルフェート、ジメチルアンモニウムクロライドおよびジ(水和タロー)ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドおよびジベヘニルジメチルアンモニウムクロライドである。
【0062】
さらなる可能な陽イオンは、飽和または不飽和の環式化合物または芳香族化合物の、それぞれが少なくとも1つの3価窒素原子を4〜10員環、好ましくは5または6員環の任意選択により置換されてよい複素環中に有するものに由来するイオンである。このような陽イオンは簡略化された形で(すなわち、分子内の二重結合の正確な位置および数の表示無しに)、下記の一般式(XIII)、(XIV)および(XV)により記載することができ、式中、複素環は複数のヘテロ原子を有していてもよい。

ここで、RおよびRは上述の意味を有し、
Rは水素;二重結合を有していてよい炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;二重結合を有していてよい炭素数5〜40の脂環式炭化水素基;炭素数6〜40の芳香族炭化水素基;または炭素数7〜40のアルキルアリール基であり、
Xは酸素原子、硫黄原子または置換窒素原子(X=O、S、NR)である。
【0063】
上述の種類の環状窒素化合物の例としては、ピロリジン、ジヒドロピロール、ピロール、イミダゾリン、オキサゾリン、オキサゾール、チアゾリン、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、インドール、カルバゾール、ピペリジン、ピリジン、異性体ピコリンおよびルチジン、キノリン、およびイソキノリンが挙げられる。一般式(XIII)、(XIV)および(XV)の環状窒素化合物は非置換(R=H)の、または基Rにより一置換または多置換されたものであってよく、Rによる多置換の場合、個々の基Rは異なっていて良い。
【0064】
さらなる可能な陽イオンは、飽和非環式、飽和または不飽和の環式化合物または芳香族化合物の、それぞれが複数の3価窒素原子を4〜10員環、好ましくは5または6員環の複素環中に有するものに由来するイオンである。これらの化合物は炭素原子および/または窒素原子上で置換されていてよい。これらは任意選択により置換ベンゼン環および/またはシクロヘキサン環と融合し、多環構造を形成してもよい。このような化合物の例として、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、N−メチルイミダゾール、ジヒドロピラゾール、ピラゾリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、2,3−、2,5−、および2,6−ジメチルピラジン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、フェナジン、ならびにピペラジンが挙げられる。イミダゾールならびにそのアルキルおよびフェニル誘導体に由来する陽イオンがイオン性液体の構成成分として特に有用であることが見出されている。
【0065】
さらなる可能な陽イオンは2個の窒素原子を有するイオンであり、一般式(XVI):

[式中、
、R、R10、R11、R12は同一であるかまたは異なっており、それぞれ:水素;二重結合を有していてよい炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;二重結合を有していてよい炭素数5〜40の脂環式炭化水素基;炭素数6〜40の芳香族炭化水素基;炭素数7〜40のアルキルアリール基;1または複数個のヘテロ原子(酸素、NH、NR’(ここでR’は二重結合を有していてよい炭素数1〜30のアルキル基))により分断された、二重結合を有していてよい炭素数2〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;−O−C(O)−、−(O)C−O−、−NH−C(O)−、−(O)C−NH、−(CH)N−C(O)−、−(O)C−N(CH)−、−S(O)−O−、−O−S(O)−、−S(O)−NH−、−NH−S(O)−、−S(O)−N(CH)−、−N(CH)−S(O)−からなる群より選択される1または複数個の官能基により分断された、二重結合を有していてよい炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;OH、OR’、NH、N(H)R’、N(R’)(ここでR’は二重結合を有していてよい炭素数1〜30のアルキル基)により末端官能化された、二重結合を有していてよい炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖の脂肪族または脂環式炭化水素基;または、−(R−O)−R
(式中、
は炭素数2〜4の炭化水素基であり、
nは1〜100であり、
は水素;二重結合を有していてよい炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;二重結合を有していてよい炭素数5〜40の脂環式炭化水素基;炭素数6〜40の芳香族炭化水素基;炭素数7〜40のアルキルアリール基;または基−C(O)−R(式中、Rは二重結合を有していてよい炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;二重結合を有していてよい炭素数5〜40の脂環式炭化水素基;炭素数6〜40の芳香族炭化水素基;炭素数7〜40のアルキルアリール基である)である)
のブロックまたはランダムポリエーテルである]
で表される。
【0066】
極めて具体的に好ましいイミダゾリウムイオン(XVI)は1−メチルイミダゾリウム、1−エチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)イミダゾリウム、1−(1−オクチル)イミダゾリウム、1−(1−ドデシル)イミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)イミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)イミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−(1ブチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−ブチル−イミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1オクチル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3ブチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−オクチルイミダゾリウム、1−(1テトラデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3エチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−オクチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3オクチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−2,3ジメチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、3−ブチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3エチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−ブチルイミダゾリウム、および1,4,5−トリメチル−3−オクチルイミダゾリウムである。
【0067】
さらに可能な陽イオンとして、特に、二量化、三量化または重合により上述の陽イオンから形成され、ジカチオン、トリカチオンまたはポリカチオンを生成するイオンが挙げられる。これらには、ポリマー骨格、例えばシロキサン類、ポリエーテル類、ポリエステル類、ポリアミド類またはポリアクリレート類、特に分岐および多分岐ポリマーに基づく骨格を有するジカチオン、トリカチオンおよびポリカチオンも包含される。
【0068】
可能なイオン性液体として前記陽イオン[A]がピリジニウムイオン(XVIIa)のものも挙げられる:

[式中、
・基R〜Rのうち1つはメチル、エチルまたは塩素であり、それ以外の基R〜Rはそれぞれ水素であり;
・Rはジメチルアミノであり、それ以外の基R、R、RおよびRはそれぞれ水素であり;
・全ての基R〜Rは水素であり;
・Rはカルボキシまたはカルボキシアミドであってそれ以外の基R、R、RおよびRはそれぞれ水素であり;または
・RおよびR、またはRおよびRは1,4−ブタ−1,3−ジエニレンであってそれ以外の基R、R、RおよびRはそれぞれ水素であり;
特に、式中、
・全ての基R〜Rは水素であり;または
・基R〜Rのうち1つはメチルまたはエチルであり、それ以外の基R〜Rはそれぞれ水素である]。
【0069】
特に非常に好ましいピリジニウムイオン(XVIIa)として挙げられるのは、1−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム、1−(1−ブチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ドデシル)ピリジニウム、1−(1テトラデシル)ピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)ピリジニウム、1,2−ジメチルピリジニウム、1−エチル−2−メチルピリジニウム、1−(1ブチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1ヘキサデシル)−2−−メチルピリジニウム、1−メチル−2−エチルピリジニウム、1,2−ジエチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−−エチルピリジニウム、1−(1ヘキシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2エチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−エチルピリジニウム、1,2−ジメチル−5−エチルピリジニウム、1,5−ジエチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウムおよび1−(1−オクチル)−2−メチル3−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、ならびに1−(1−ヘキサデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウムである。
【0070】
さらに可能なイオン性液体として前記陽イオン[A]がピリダジニウムイオン(XVIIb)のものも挙げられる:

[式中、
・R〜Rはそれぞれ水素であり;または
・基R〜Rのうち1つはメチルまたはエチルであり、それ以外の基R〜Rはそれぞれ水素である]。
【0071】
さらに、特に非常に好ましいイオン性液体として前記陽イオン[A]がピリミジニウムイオン(XVIIc)のものが挙げられる:

[式中、
・Rは水素、メチルまたはエチルであり、R〜Rはそれぞれ互いに独立に水素またはメチルであり;または
・Rは水素、メチルまたはエチルであり、基RおよびRはそれぞれメチルであり、Rは水素である]。
【0072】
さらに可能なイオン性液体として前記陽イオン[A]がピラジニウムイオン(XVIId)のものも挙げられる:

[式中、
・Rは水素、メチルまたはエチルであり、R〜Rはそれぞれ互いに独立に水素またはメチルであり;または
・Rは水素、メチルまたはエチルであり、RおよびRはそれぞれメチルであり、Rは水素であり;
・R〜Rはそれぞれメチルであり;または
・R〜Rはそれぞれメチルまたは水素である]。
【0073】
さらに利用可能なイオン性液体として前記陽イオン[A]がピラゾリウムイオン(XVIIf)、(XVIIg)または(XVIIg’)のものが挙げられる:

[式中、
・Rは水素、メチルまたはエチルであり、R〜Rはそれぞれ互いに独立に水素またはメチルである]。
【0074】
さらに可能なイオン性液体として前記陽イオン[A]がピラゾリウムイオン(XVIIh)のものが挙げられる:

[式中、
・R〜Rはそれぞれ互いに独立に水素またはメチルである]。
【0075】
さらに可能なイオン性液体として前記陽イオン[A]が1−ピラゾリニウムイオン(XVIIi)のものが挙げられる:

[式中、
・R〜Rはそれぞれ互いに独立に水素またはメチルである]。
【0076】
さらに可能なイオン性液体として前記陽イオン[A]が2−ピラゾリニウムイオン(XVIIj)のものが挙げられる:

[式中、
・Rは水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、R〜Rはそれぞれ互いに独立に水素またはメチルである]。
【0077】
他の可能なイオン性液体として前記陽イオン[A]が3−ピラゾリニウムイオン(XVIIk)または(XVIIk’)のものが挙げられる:

[式中、
・RおよびRはそれぞれ互いに独立に水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、R〜Rはそれぞれ互いに独立に水素またはメチルである]。
【0078】
さらに可能なイオン性液体として前記陽イオン[A]がイミダゾリニウムイオン(XVIIl)のものが挙げられる:

[式中、
・RはHまたはメチルであり、RおよびRはそれぞれ互いに独立に水素、メチルもしくはエチルまたは炭素数14〜22、好ましくは16〜18の直鎖飽和もしくは不飽和アシル基であり、R〜Rはそれぞれ互いに独立に水素、またはOH基を有していてよい炭素数1〜4の直鎖飽和アルキル基、好ましくはメチルまたは脂肪酸基であり;特に好ましくはRおよびRは脂肪酸アシル基であり、またはRもしくはRおよびRは脂肪酸アシル基である]。式(XVIIm)に相当する物質が特に重要である。前記文献では誤りを含む式(式XVIIm’またはXVIIlと類似したもの)もこれらに導入されている場合がある。
【0079】
さらに可能なイオン性液体として前記陽イオン[A]がイミダゾリニウムイオン(XVIIm)または(XVIIm’)のものが挙げられる:

[式中、
・RはHまたはメチルであり、RおよびRはそれぞれ互いに独立に水素、メチルもしくはエチルまたは炭素数14〜22、好ましくは16〜18の直鎖飽和もしくは不飽和アシル基であり、R〜Rはそれぞれ互いに独立に水素、またはOH基を有していてよい炭素数1〜4の直鎖飽和アルキル基、好ましくはメチルまたは脂肪酸基であり;特に好ましくはRおよびRは脂肪酸アシル基であり、またはRもしくはRおよびRは脂肪酸アシル基である]。式(XIIIm)に相当する物質が特に重要である。前記文献では誤りを含む式(式XIIIm’またはXIIIlと類似したもの)もこれらに導入されている場合がある。
【0080】
さらに可能なイオン性液体として前記陽イオン[A]がイミダゾリニウムイオン(XVIIn)または(XVIIn’)のものが挙げられる:

[式中、
・R〜Rはそれぞれ互いに独立に水素、メチルまたはエチルであり、R〜Rはそれぞれ互いに独立に水素またはメチルである]。
【0081】
さらに可能なイオン性液体として前記陽イオン[A]がチアゾリウムイオン(XVIIo)もしくは(XVIIo’)またはオキサゾリウムイオン(XVIIp)のものが挙げられる:

[式中、
・Rは水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、RおよびRはそれぞれ互いに独立に水素またはメチルである]。
【0082】
他の可能なイオン性液体として前記陽イオン[A]が1,2,4−トリアゾリウムイオン(XVIIq)、(XVIIq’)または(XVIIq’’)のものが挙げられる:

[式中、
・RおよびRはそれぞれ互いに独立に水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、Rは水素、メチルまたはフェニルである]。
【0083】
さらに可能なイオン性液体として前記陽イオン[A]が1,2,3−トリアゾリウムイオン(XVIIr)、(XVIIr’)または(XVIIr’’)のものが挙げられる:

[式中、
・Rは水素、メチルまたはエチルであり、RおよびRはそれぞれ互いに独立に水素もしくはメチルであり、またはRおよびRはともに1,4−ブタ−1,3−ジエニレンである]。
【0084】
さらに可能なイオン性液体として前記陽イオン[A]がピロリジニウムイオン(XVIIs)のものが挙げられる:

[式中、
・Rは水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、R〜Rはそれぞれ互いに独立に水素またはメチルである]。
【0085】
さらに可能なイオン性液体として前記陽イオン[A]がイミダゾリジニウムイオン(XVIIt)のものが挙げられる:

[式中、
・RおよびRはそれぞれ互いに独立に水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、RおよびR、ならびにさらにR〜Rはそれぞれ互いに独立に水素またはメチルである]。
【0086】
他の可能なイオン性液体として前記陽イオン[A]がアンモニウムイオン(IV)のものが挙げられる:

[式中、
・R〜Rはそれぞれ互いに独立に炭素数1〜18のアルキルであり;または、
・R〜Rはそれぞれ互いに独立に水素もしくは炭素数1〜18のアルキルであり、Rは2−ヒドロキシエチルであり;または、
・RおよびRはともに1,5−ペンチレンもしくは3−オキサ−1,5−ペンチレンであり、Rは炭素数1〜18のアルキル、2−ヒドロキシエチルもしくは2−シアノエチルである]。
【0087】
特に好ましいアンモニウムイオン(IV)として、メチルトリ(1−ブチル)アンモニウム、2−ヒドロキシエチルアンモニウム、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウム、N,N−ジメチルピペリジニウムおよびN,N−ジメチルモルホリニウムを挙げてもよい。
【0088】
さらに可能なイオン性液体として前記陽イオン[A]がグアニジニウムイオン(IVv)のものが挙げられる。

[式中、
・R〜Rはそれぞれメチルであり;
・R〜Rはそれぞれ互いに独立に炭素数1〜18のアルキルであり;または
・R〜Rはそれぞれ互いに独立に水素または炭素数1〜18のアルキルまたは2−ヒドロキシエチルである]。
【0089】
特に非常に好ましいグアニジニウムイオン(IVv)として、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサメチルグアニジニウムを挙げてもよい。
【0090】
他の可能なイオン性液体として前記陽イオン[A]がエタノールアミンの誘導体、例えばコリニウム(cholinium)イオン(XVIIw)、またはジエタノールアミン(XVIIw’)もしくはトリエタノールアミン(XVIIw’’)のものが挙げられる:

[式中、
・RおよびRはそれぞれ互いに独立にメチル、エチル、1−ブチルまたは1−オクチルであり、Rは水素、メチル、エチル、アセチル、−SOOHまたは−PO(OH)であり;
・Rはメチル、エチル、1−ブチルまたは1−オクチルであり、Rは−CH−CH−OR−基であり、RおよびRはそれぞれ互いに独立に水素、メチル、エチル、アセチル、−SOOHまたは−PO(OH)であり;または、
・Rは−CH−CH−OR−基であり、Rは−CH−CH−OR−基であり、R〜Rはそれぞれ互いに独立に水素、メチル、エチル、アセチル、−SOOHまたは−PO(OH)であり;
・Rはメチル、エチル、1−ブチル、1−オクチル、アセチル、−SOOHまたは−PO(OH)であり、R〜Rはそれぞれ互いに独立に水素、メチル、エチル、アセチル、−SOOH、−PO(OH)または−(C2nO)であって、ここでn=1〜5およびm=1〜100である]。
【0091】
R、RおよびRが炭素数1〜4のアルキル基、特に好ましくはメチル基であり、Rおよび/またはRが炭素数8〜22、好ましくは炭素数12〜18の飽和または不飽和の脂肪酸またはアシル基である化合物も好ましい。該アシルまたは脂肪酸エステルの混合物が(特に、例えば天然の割合で)存在することも可能である。
【0092】
式(XVIIw’’)の場合、特に非常に好ましいのは、R、RおよびRがそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、特にメチル基であり、Rが脂肪酸基であり、RおよびRがそれぞれ脂肪酸基または水素であるものである。
【0093】
さらに可能なイオン性液体として前記陽イオン[A]がホスホニウムイオン(VI)のものが挙げられ、式中:・R〜Rはそれぞれ互いに独立に炭素数1〜18のアルキル、特にブチル、イソブチル、1−ヘキシルまたは1−オクチルである。
【0094】
上述の陽イオンのうち、好ましいのは、ピリジニウムイオン(XVIIa)、イミダゾリウムイオン(XVI)およびアンモニウムイオン(IV)、特に、1−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム、1−(1−ブチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ドデシル)ピリジニウム、1−(1テトラデシル)ピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)ピリジニウム、1,2−ジメチルピリジニウム、1−エチル−2−メチルピリジニウム、1−(1ブチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1ヘキサデシル)−2−メチルピリジニウム、1−メチル−2−エチルピリジニウム、1,2−ジエチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1ヘキシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−エチルピリジニウム、1,2ジメチル−5−エチルピリジニウム、1,5−ジエチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1テトラデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2メチル−3−エチルピリジニウム、1−メチルイミダゾリウム、1−エチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)イミダゾリウム、1−(1−オクチル)−イミダゾリウム、1−(1−ドデシル)イミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−イミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)イミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−3メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1オクチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1ヘキサデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−2,3−ジメチルイミダゾリウムおよび1−(1−オクチル)−2,3ジメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、3−ブチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−エチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−ブチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−オクチルイミダゾリウム、ならびに2−ヒドロキシエチルアンモニウムである。
【0095】
式(IIIa)〜(IIIj)中の金属陽イオン[M、[M、[M、[M2+および[M3+は一般に周期表の1、2、6、7、8、9、10、11、12および13族の金属陽イオンである。適した金属陽イオンの例として、Li、Na、K、Cs、Mg2+、Ca2+、Ba2+、Cr2+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Ag、Zn2+およびAl3+が挙げられる。
【0096】
本発明により用いられるイオン性液体は、上述の陽イオンの少なくとも1つを、それぞれのケースで少なくとも1つの陰イオンと組み合わせたものを含む。可能な陰イオンは、主として、前記陽イオンとの組み合わせにおいてイオン性液体を生ずる全ての陰イオンである。
【0097】
前記イオン性液体の陰イオン[Y]n−は、例えば、
・式:F、Cl、Br、I、BF、PF、AlCl、AlCl、AlCl10、AlBr、FeCl、BCl、SbF、AsF、ZnCl、SnCl、CuCl、CFSO、(CFSO、CFCO、CClCO、CN、SCN、OCN、NO、NO、N(CN)のハロゲン化物およびハロゲン含有化合物の群;
・一般式:SO2−、HSO、SO2’’、HSO、ROSO、RSOの硫酸塩、亜硫酸塩およびスルホン酸塩の群;
・一般式:PO3−、HPO2−、HPO4−、RPO2−、HRPO、RPOのリン酸塩の群、
・一般式:RHPO、RPO、RPOのホスホン酸塩およびホスフィン酸塩の群;
・一般式PO3−、HPO2−、HPO、RPO2−、RHPO、RPOの亜リン酸塩の群;
・一般式:RPO、RHPO、RPO、RHPOのホスホナイトおよびホスフィナイトの群;
・一般式:RCOOのカルボン酸塩の群;
・一般式:BO3−、HBO2−、HBO、RBO、RHBO、RBO2−、B(OR)(OR)(OR)(OR、B(HSO、B(RSOのホウ酸塩の群;
・一般式:RBO2−、RBOのボロン酸塩の群;
・一般式:HCO、CO2−、RCOの炭酸塩及び炭酸エステルの群;
・一般式:SiO4−、HSiO3−、HSiO2−、HSiO、RSiO3−、RSiO2−、RSiO、HRSiO2−、HSiO−、HRSiOのケイ酸塩およびケイ酸エステルの群;
・一般式:RSiO3−、RSiO2−、RSiO、RSiO、RSiO、RSiO2−のアルキルシランおよびアリールシラン塩の群;
・一般式:

のカルボキシミド、ビス(スルホニル)イミドおよびスルホニルイミドの群;
・一般式:

のメチドの群;
・一般式:Rのアルコキシドおよびアリールオキシドの群;
・一般式[MHalS−(式中、Mは金属であり、Halはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、rおよびtは正の整数であって錯体の化学量論を表し、sは正の整数であって該錯体の電荷を表す)のハロメタレート(halometalates)の群;
・一般式:
2−、HS、[S2−、[HS、[RS](式中、vは2〜10の正の整数である)
の硫化物、硫化水素、多硫化物、多硫化水素、およびチオレートの群;
・Fe(CN)3−、Fe(CN)4−、MnO、Fe(CO)等の複合金属イオンの群;
から選択される。
【0098】
ここで、R、R、RおよびRはそれぞれ互いに独立に、
・水素;
・炭素数1〜30のアルキル、およびそのアリール−、ヘテロアリール−、シクロアルキル−、ハロゲン−、ヒドロキシ−、アミノ−、カルボキシ−、ホルミル−、−O−、−CO−、−CO−O−または−CO−N<置換誘導体、例えばメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘンイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、フェニルメチル(ベンジル)、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、シクロペンチルメチル、2−シクロペンチルエチル、3−シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、メトキシ、エトキシ、ホルミル、アセチル、またはC2(q−a)+(1−b)2a+b(式中、q<30、0≦a≦qおよびb=0または1(例えばCF、C、CHCH−C(q−2)2(q−2)+1、C13、C17、C1021、C1225);
・炭素数3〜12のシクロアルキル、およびそのアリール−、ヘテロアリール−、シクロアルキル−、ハロゲン−、ヒドロキシ−、アミノ−、カルボキシ−、ホルミル−、−O−、−CO−、または−CO−O−置換誘導体、例えばシクロペンチル、2−メチル−1−シクロペンチル、3−メチル−1−シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチル−1−シクロヘキシル、3−メチル−1−シクロヘキシル、4−メチル−1−シクロヘキシル、またはC2(q−a)−(1−b)2a−b(式中、q≦30、0≦a≦qおよびb=0または1);
・炭素数2〜30のアルケニル、およびそのアリール−、ヘテロアリール−、シクロアルキル−、ハロゲン−、ヒドロキシ−、アミノ−、カルボキシ−、ホルミル−、−O−、−CO−、または−CO−O−置換誘導体、例えば2−プロペニル、3−ブテニル、シス−2−ブテニル、トランス−2−ブテニル、またはC2(q−a)−(1−b)2a−b(式中、q≦30、0≦a≦qおよびb=0または1);
・炭素数3〜12のシクロアルケニル、およびそのアリール−、ヘテロアリール−、シクロアルキル−、ハロゲン−、ヒドロキシ−、アミノ−、カルボキシ−、ホルミル−、−O−、−CO−、または−CO−O−置換誘導体、例えば3−シクロペンテニル、2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、2,5−シクロヘキサジエニル、またはC2(q−a)−3(1−b)2a−3b(式中、q≦30、0≦a≦qおよびb=0または1);
・炭素数2〜30のアリールまたはヘテロアリール、およびそのアルキル−、アリール−、ヘテロアリール−、シクロアルキル−、ハロゲン−、ヒドロキシ−、アミノ−、カルボキシ−、ホルミル−、−O−、−CO−、または−CO−O−置換誘導体、例えばフェニル、2−メチルフェニル(2−トリル)、3−メチルフェニル(3−トリル)、4−メチルフェニル、2−エチルフェニル、3−エチルフェニル、4−エチルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、4−フェニルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、またはC(5−a)(式中、0≦a≦5);であるか、あるいは、
・2個の基が:官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環に置換されていてよく;また、1もしくは複数個の酸素および/もしくは硫黄原子、ならびに/または1もしくは複数個の置換もしくは非置換イミノ基に分断されていてもよい;不飽和、飽和または芳香環を形成する。
【0099】
可能な陰イオンの例として、塩化物;臭化物;ヨウ化物;チオシアン酸塩;ヘキサフルオロホスフェート;トリフルオロメタンスルホネート;メタンスルホネート;ギ酸塩;酢酸塩;グリコール酸塩;乳酸塩;シュウ酸塩;クエン酸塩;リンゴ酸塩;マレイン酸塩;酒石酸塩;マンデル酸塩;硝酸塩;亜硝酸塩;トリフルオロ酢酸塩;硫酸塩;硫酸水素塩;メチルサルフェート;エチルサルフェート;1−プロピルサルフェート、1−ブチルサルフェート、1−ヘキシルサルフェート;1−オクチルサルフェート;リン酸塩;リン酸二水素塩;リン酸水素塩;炭素数1〜4のジアルキルホスフェート;プロピオン酸塩;テトラクロロアルミン酸塩;AlCl;クロロ亜鉛酸塩;クロロ鉄酸塩;ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド;ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(メチルスルホニル)イミド;ビス(p−トルエン−スルホニル)イミド;トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド;ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)メチド;p−トルエンスルホネート;テトラカルボニルコバルト酸塩;ジメチレングリコールモノメチルエーテルサルフェート;オレイン酸塩;ステアリン酸塩;アクリル酸塩;メタクリル酸塩;マレイン酸塩;クエン酸水素塩;ビニルホスホン酸塩;ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸塩;ビス[サリチラト(2−)]ボレート、ビス[オキサラト(2−)]ボレート、ビス[1,2−ベンゼンジオラト(2−)−O,O’]ボレート、テトラシアノボレート、テトラフルオロボレート等のホウ酸塩;ジシアナミド;トリス(ペンタフルオロエチル)−トリフルオロホスフェート;トリス(ヘプタフルオロプロピル)−トリフルオロホスフェート、カテコールホスフェート(C)P(O)Oおよびクロロコバルテート(chlorocobaltate)等の環状アリールホスフェートが挙げられる。
【0100】
好ましい陰イオンは、ハロゲン化物、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)アミドおよびビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミド、例えばビス(トリフルオロメチリルスルホニル)イミド、アルキルトシレートおよびアリールトシレート、パーフルオロアルキルトシレート、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキルサルフェートおよびアリールサルフェート、ポリエーテルサルフェートおよびポリエーテルスルホネート、パーフルオロアルキルサルフェート、スルホン酸、アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート、パーフルオロ化アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート、アルキルカルボキシレートおよびアリールカルボキシレート、パーフルオロアルキルカルボキシレート、過塩素酸塩、テトラクロロアルミン酸、サッカリネート(saccharinate)、さらには、ジシアナミド、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、テトラフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ポリエーテルホスフェートならびにリン酸塩からなる群より選択されるが、これらは何ら完全性を主張するものではない。
【0101】
特に非常に好ましい陰イオンは:
塩化物、臭化物、硫酸水素塩(hydrogensulphate)、テトラクロロアルミン酸塩、チオシアン酸塩、メチルサルフェート、エチルサルフェート、メタンスルホネート、ギ酸塩、酢酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、p−トルエンスルホネート、テトラフルオロボレートおよびヘキサフルオロホスフェートである。
【0102】
本発明のさらに好ましい態様において、1,3−ジアルキルイミダゾリウム、1,2,3−トリアルキルイミダゾリウム、1,3−ジアルキルイミダゾリニウムまたは1,2,3−トリアルキルイミダゾリニウム陽イオンと;ハロゲン化物、ビス(トリフルオロメチリルスルホニル)イミド、パーフルオロアルキルトシレート、アルキルサルフェートおよびアルキルスルホネート、パーフルオロ化アルキルスルホネートおよびアルキルサルフェート、パーフルオロアルキルカルボキシレート、過塩素酸塩、ジシアナミド、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、テトラフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、酢酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩からなる群より選択される陰イオンと;の組み合わせを含有するイオン性液体またはその混合物が使用される。
【0103】
さらに、TEGO(登録商標)IL T16ES、TEGO(登録商標)IL K5MS、TEGO(登録商標)IL DS、またはTEGO(登録商標)IL 2MS(Evonik Goldschmidt GmBHの製品)等の市販の非環式第4級アンモニウムの単塩を使用することも可能である。
【0104】
本開示の目的に対し特に好ましいイオン性液体は:
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム2−(2−メトキシエトキシ)エチルサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、テトラブチルアンモニウムベンゾエート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、3−メチル−1−プロピルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、メチルトリオクチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムブロミド、1−ブチルピリジニウムブロミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、4−メチル−N−ブチルピリジニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトラオクチルホスホニウムブロミド、テトラペンチルアンモニウムブロミド、トリブチルヘキサデシルホスホニウムブロミド、1−アリル−3メチルイミダゾリウムクロリド、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムクロリド、1−ブチル2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムクロリド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−エチル−3メチルイミダゾリウムクロリド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムクロリド、メチルイミダゾリウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラヘプチルアンモニウムクロリド、テトラオクチルアンモニウムクロリド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムクロリド、ブチルアンモニウム α−シアノ−4−ヒドロシンナメート、ジエチルアンモニウム α−シアノ−4−ヒドロシンナメート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムデカノエート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムジシアナミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムジシアナミド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムエチルサルフェート、1−エチル−3メチルイミダゾリウムエチルサルフェート、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−(3,3,...−トリデカフルオロオクチル)イミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−メチル−3−(3,3,...−トリデカフルオロオクチル)イミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1ブチル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、トリヘキシルテトラデシル−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム硫酸水素塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム硫酸水素塩、メチルイミダゾリウム硫酸水素塩、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウム硫酸水素塩、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムヨウ化物、テトラヘキシルアンモニウムヨウ化物、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、テトラブチルアンモニウムメタンスルホネート、テトラブチルホスホニウムメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1,3−ジメチルイミダゾリウムメチルサルフェート、メチルトリブチルアンモニウムメチルサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムニトレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムニトレート、テトラブチルアンモニウムノナフルオロブタンスルホネート、テトラブチルアンモニウムヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムオクチルサルフェート、4−(3−ブチル−1−イミダゾリオ)ブタン−1−スルホネート、3−(トリフェニルホスホニオ)プロパン−1−スルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−4−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラヘキシルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、テトラペンチルアンモニウムチオシアネート、トリオクチルメチルアンモニウムチオサリチレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート、テトラブチルホスホニウムトシレート、トリイソブチルメチルホスホニウムトシレート、3−(トリフェニルホスホニオ)プロパン−1−スルホン酸トシレート、テトラエチルアンモニウムトリフルオロアセテート、4−(3−ブチル−1−イミダゾリオ)ブタン−1−スルホン酸トリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラエチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ヒドロキシエチル−3メチルイミダゾリウム2−(2−メトキシエトキシ)エチルサルフェート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−ヒドロキシエチル−3メチルイミダゾリウムクロリド、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムデカノエート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウム硫酸水素塩、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムヨウ化物、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムエチルサルフェート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムニトレート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムホスフェート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムオクチルサルフェート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムサリチレート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムチオサリチレート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムトシレート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムラクテート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムグリコレート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムシトレート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムオキサレート、1−ヒドロキシエチル−3−メチルイミダゾリウムタルトレート、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムアセテート、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムトリフルオロアセテート、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムブロミド、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムクロリド、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムデカノエート、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムジシアナミド、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウム硫酸水素塩、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムヨウ化物、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムメタンスルホネート、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムメチルサルフェート、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムエチルサルフェート、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムニトレート、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムホスフェート、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムオクチルサルフェート、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムテトラクロロアルミネート、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムチオシアネート、ビス(ヒドロキシルエチル)ジメチルアンモニウムサリチレート、ビス(ヒドロキシルエチル)ジメチルアンモニウムチオサリチレート、ビス(ヒドロキシルエチル)ジメチルアンモニウムトシレート、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムラクテート、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムグリコレート、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムシトレート、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムオキサレート、ビス(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムタルトレートである。
【0105】
一般に、イオン性液体のアルカリ金属塩に対する混合割合が1:10〜10:1の範囲内である混合物を使用すると、表面抵抗において有意な減少が得られる。このような混合物においては、前記アルカリ金属塩は0.1〜75重量%の割合、好ましくは0.5〜50重量%の割合、特に好ましくは5〜30重量%の割合で存在する必要がある。
【0106】
本発明により平板構造のための人造石において付随して用いられる塩は、本分野で通常用いられる単純または複合化合物であり、例として、特に陰イオン:ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)アミドまたはビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミド、例えばビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、アルキルトシレートおよびアリールトシレート、パーフルオロアルキルトシレート、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキルサルフェートおよびアリールサルフェート、ポリエーテルサルフェートおよびポリエーテルスルホネート、パーフルオロアルキルサルフェート、スルホン酸、アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート、パーフルオロ化アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート、アルキルカルボキシレートおよびアリールカルボキシレート、パーフルオロアルキルカルボキシレート、過塩素酸塩、テトラクロロアルミネート、サッカリネート;好ましくは化合物:チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、ジシアナミド、テトラフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、リン酸およびポリエーテルホスフェートの陰イオン;のアルカリ金属塩が挙げられる。
【0107】
好ましい混合物としては、特に、アルカリ金属塩としてNaSCNまたはNaN(CN)およびKPF;ならびにイミダゾリニウムまたはイミダゾリウム塩、好ましくは1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート;ならびにイオン性液体として1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルサルフェート/NaN(CN)または1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート/NaN(CN);を含有するものが挙げられる。
【0108】
本発明は、特許請求の範囲に記載の平板構造のための人造石の構成マトリクスが、25重量%以下の少なくとも1つのポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリレート、メタクリレートおよび/またはビニルエステルならびに反応性シラン、例えばメタクリルシランを含有する高分子マトリクスを含む変型物を提供する。厚床コーティングとは対照的に、本発明は、人造石の構成マトリクスが少なくとも60重量%の研磨固体、例えば大理石、石英または花崗岩を含有するが、例えばガラスまたは磁器または固形プラスチックも含有することを提供する。さらに、導電性を好ましくは有するフィラーおよび/または顔料が存在する。可能性としては、特に、ポリアクリロニトリル(PAN)、ピッチおよびレーヨン(登録商標)に基づく炭素繊維等の炭素繊維、グラファイト、カーボンブラック、金属酸化物ならびに金属合金酸があり得る。導電性を付与する成分で被覆されたフィラーおよび顔料も同様に好適である。この場合においても、グラファイト、カーボンブラック、および金属酸化物または金属合金酸化物が特に好適である。
【0109】
研磨固体を高分子マトリクス内に含有する完全に硬化した人造石は、適当な場合、帯電防止特性に悪影響を及ぼすことなく美的に望ましい表面構造を達成するために、当業者に公知の方法を用いて粉砕および/または研磨され得ることを特徴とする。
【0110】
帯電防止処理を施す必要のある人造(原)石は、1011オーム以上の、従ってポリマーからなる厚床コーティングの抵抗よりも有意に高い比抵抗(specific resistance)を有することを特徴とする。
【0111】
前記人造石が床タイルとして、または厚板、例えばテーブルスラブ(table slab)の形態で用いられる場合、特許請求の範囲に記載の平板構造は特に好ましくは0.2〜5cmの範囲の厚さを有し得る。用途により、新規な人造石の層厚は0.2cmの下限値と、100cmまで、好ましくは0.5〜10cm、特に好ましくは0.6〜5.0cmの上限値とを有することができる。
【0112】
床タイルそのもの以外に、本発明は、建築化学セクター、特に、電子および電気産業の組み立て工場および商業建物における使用も包含する。さらに、特許請求の範囲に記載される人造石は、建物のための平板構造に対して好適であり、極めて一般的には静電気による危険と関連し、したがって特別な防爆を必要とする用途にも好適である。
【0113】
全体として、平板構造のために記載された人造石は、当該人造石がもはや何ら有意な静電気を得ることがなく、特に、中に存在する添加剤とさらなる導電性成分との適切な組み合わせによって各使用に対して正確に適合させ得る、という点において特徴付けられる。特有の構成成分により、この人造石は安価に製造することができ、従来薄層表面コーティングのみが適切と思われていた用途においても用いることができる。
【0114】
本発明はさらに、平板構造において用いられる研磨固体に加えてイオン性液体および任意選択により金属塩からなる帯電防止作用を有する組成物を任意選択により含有してよい、人造石接着剤、漆喰または注入モルタルも提供する。
【0115】
人造石、および任意選択により人造石接着剤、漆喰または注入モルタルに用いられる研磨固体は、0.001mm〜20mm、好ましくは0.01〜5mmの範囲の粒径を有する。
【0116】
次の実施例は本発明の利点を例証するものである。
【0117】
本発明によるさらなる態様を特許請求の範囲に見出すことができ、その開示内容は参照により本記載に完全に組み入れられたものとする。
【実施例】
【0118】
実験部分:
本実施例は単に例示を目的としたものであり、本発明の主題をいかなる意味にも制限するものではない。百分率または部は、特に他に断りがない限り重量基準である。
【0119】
実施例:
本発明の式1および2において、次の組成の帯電防止添加剤が使用される:
【0120】
イオン性液体、導電性塩(および有機溶媒)の混合物をマグネチックスターラーの補助により生成した。帯電防止剤1の場合、イオン性液体として成分エチルビス(ポリエトキシエタノール)タローアルキルアンモニウムエチルサルフェート(Tego(登録商標)IL T16ES)を、導電性塩としての等モル量のチオシアン酸カルシウムと混合した。帯電防止剤2の場合、イオン性液体としての1,3−ジメチルイミダゾリウムメチルサルフェートと、導電性塩としてのリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドとを含有する等モル混合物を使用した。イオン性液体と金属塩との混合物は、等モル比相当の個別のそれら成分よりも強い帯電防止作用を有し得る。これらの場合、相乗効果、および対応して相乗作用を起こす混合物が存在する。
【0121】
帯電防止製剤は前記混合物に熱硬化の前に添加されるか、または混練とともにポリマー混合物に溶融後に添加される。
【0122】
製剤1:
78重量%の研磨大理石
15重量%のポリエステル樹脂(98部のポリエステル樹脂および2部のメト(アクリル)オキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO)からなる)
5重量%の顔料
2重量%の帯電防止添加剤
【0123】
ポリエステル樹脂の硬化の前に、全ての成分を混練機中で混合し、混練して均一な組成物を形成する。次いで、該組成物を注ぎ出し、適切な場合は(キャスティング)モールドを使用して、一定の面積に広げ、適切な場合表面を滑らかにする。
【0124】
硬化後、平板構造を切断し、タイルまたはスラブフォームとすることができる。
【0125】
帯電防止添加剤を添加せずに製造した試料と比較して、導電性が有意に増加し、または表面抵抗が有意に減少した。
【0126】
製剤2:
77重量%の研磨花崗岩
15重量%のポリエステル樹脂(98部のポリエステル樹脂および2部のMEMOからなる)
5重量%の顔料
3重量%の帯電防止添加剤
【0127】
ポリエステル樹脂の硬化の前に、全ての成分を混練機中で混合し、混練して均一な組成物を形成する。次いで、該組成物を注ぎ出し、適切な場合は(キャスティング)モールドを使用して、一定の面積に広げ、適切な場合表面を滑らかにする。
【0128】
硬化後、平板構造を切断し、タイルまたはスラブフォームとすることができる。
【0129】
帯電防止添加剤を添加せずに製造した試料と比較して、導電性が有意に増加し、または表面抵抗が有意に減少した。
【0130】
比較製剤:
80重量%の研磨花崗岩
15重量%のポリエステル樹脂(98部のポリエステル樹脂および2部のMEMOからなる)
5重量%の顔料
【0131】
ポリエステル樹脂の硬化の前に、全ての成分を混練機中で混合し、混練して均一な組成物を形成する。次いで、該組成物を注ぎ出し、適切な場合は(キャスティング)モールドを使用して、一定の面積に広げ、適切な場合表面を滑らかにする。
【0132】
硬化後、平板構造を切断し、タイルまたはスラブフォームとすることができる。
【0133】
帯電防止添加剤を添加して製造した試料と比較して、導電性が有意に低く、または表面抵抗が有意に高かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのイオン性液体またはイオン性液体中の金属塩の溶液を含む帯電防止製剤を含有する、平板構造のための人造石。
【請求項2】
前記イオン性液体が一般式(IV)(V)(VI)(VII)または(VIII):
(IV)
=CR (V)
(VI)
=CR (VII)
(VIII)
[式中、
、R、R、およびRは同一であるかまたは異なっており、それぞれ:水素;二重結合を有していてよい炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;二重結合を有していてよい炭素数5〜40の脂環式炭化水素基;炭素数6〜40の芳香族炭化水素基;炭素数7〜40のアルキルアリール基;1または複数個のヘテロ原子(酸素、NH、NR’(ここでR’は二重結合を有していてよい炭素数1〜30のアルキル基、特に−CH))により分断された、二重結合を有していてよい炭素数2〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;−O−C(O)−、−(O)C−O−、−NH−C(O)−、−(O)C−NH、−(CH)N−C(O)−、−(O)C−N(CH)−、−S(O)−O−、−O−S(O)−、−S(O)−NH−、−NH−S(O)−、−S(O)−N(CH)−、−N(CH)−S(O)−からなる群より選択される1または複数個の官能基により分断された、二重結合を有していてよい炭素数2〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;OH、OR’、NH、N(H)R’、N(R’)(ここでR’は二重結合を有していてよい炭素数1〜30のアルキル基)により末端官能化され、二重結合を有していてよい炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖の脂肪族または脂環式炭化水素基;または−(R−O)−R(式中、Rは、炭素数2〜4の直鎖または分岐鎖炭化水素基であり、nは、1〜100であり、Rは、水素;二重結合を有していてよい炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;二重結合を有していてよい炭素数5〜40の脂環式炭化水素基;炭素数6〜40の芳香族炭化水素基;炭素数7〜40のアルキルアリール基;または基−C(O)−R(式中、Rは二重結合を有していてよい炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;二重結合を有していてよい炭素数5〜40の脂環式炭化水素基;炭素数6〜40の芳香族炭化水素基;炭素数7〜40のアルキルアリール基である)である)のブロックまたはランダムポリエーテルである]
のうち少なくとも1つの陽イオンを含む、請求項1記載の平板構造のための人造石。
【請求項3】
前記イオン性液体が一般式(XIII)、(XIV)および(XV):

[式中、
およびRは上述の意味を有し、
Rは水素;二重結合を有していてよい炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;二重結合を有していてよい炭素数5〜40の脂環式炭化水素基;炭素数6〜40の芳香族炭化水素基;または炭素数7〜40のアルキルアリール基であり、
Xは酸素原子、硫黄原子または置換窒素原子(X=O、S、NR)である]
のうち少なくとも1つの陽イオンを含み、前記複素環が複数のヘテロ原子を有していてもよい、請求項1および2の少なくとも1項に記載の平板構造のための人造石。
【請求項4】
前記イオン性液体が一般式(XVI)
[式中、
、R、R10、R11、R12は同一であるかまたは異なっており、それぞれ:水素;二重結合を有していてよい炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;二重結合を有していてよい炭素数5〜40の脂環式炭化水素基;炭素数6〜40の芳香族炭化水素基;炭素数7〜40のアルキルアリール基;1または複数個のヘテロ原子(酸素、NH、NR’(ここでR’は二重結合を有していてよい炭素数1〜30のアルキル基))により分断された、二重結合を有していてよい炭素数2〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;−O−C(O)−、−(O)C−O−、−NH−C(O)−、−(O)C−NH、−(CH)N−C(O)−、−(O)C−N(CH)−、−S(O)−O−、−O−S(O)−、−S(O)−NH−、−NH−S(O)−、−S(O)−N(CH)−、−N(CH)−S(O)−からなる群より選択される1または複数個の官能基により分断された、二重結合を有していてよい炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;OH、OR’、NH、N(H)R’、N(R’)(ここでR’は二重結合を有していてよい炭素数1〜30のアルキル基)により末端官能化された、二重結合を有していてよい炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖の脂肪族または脂環式炭化水素基;または、−(R−O)−R(式中、Rは炭素数2〜4の炭化水素基であり、nは1〜100であり、Rは水素;二重結合を有していてよい炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;二重結合を有していてよい炭素数5〜40の脂環式炭化水素基;炭素数6〜40の芳香族炭化水素基;炭素数7〜40のアルキルアリール基;または基−C(O)−R(式中、Rは二重結合を有していてよい炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基;二重結合を有していてよい炭素数5〜40の脂環式炭化水素基;炭素数6〜40の芳香族炭化水素基;または炭素数7〜40のアルキルアリール基である)である)のブロックまたはランダムポリエーテルである]
のうち少なくとも1つの陽イオンを含む、請求項1記載の平板構造のための人造石。
【請求項5】
前記イオン性液体が、ハロゲン化物、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)アミドおよびビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメチリルスルホニル)イミド、アルキルトシレートおよびアリールトシレート、パーフルオロアルキルトシレート、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキルサルフェートおよびアリールサルフェート、ポリエーテルサルフェートおよび/またはポリエーテルスルホネート、パーフルオロアルキルサルフェート、スルホン酸、アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート、パーフルオロ化アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート、アルキルカルボキシレートおよびアリールカルボキシレート、パーフルオロアルキルカルボキシレート、過塩素酸塩、テトラクロロアルミネート、サッカリネート、化合物ジシアナミド、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、テトラフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ポリエーテルホスフェートおよび/またはリン酸塩の陰イオンからなる群より選択される少なくとも1つの陰イオンを含む、請求項1〜4の少なくとも1項に記載の平板構造のための人造石。
【請求項6】
前記イオン性液体が、1,3−ジアルキルイミダゾリウム、1,2,3−トリアルキルイミダゾリウム、1,3−ジアルキルイミダゾリニウムまたは1,2,3−トリアルキルイミダゾリニウム陽イオンからなる群より選択される少なくとも1つの陽イオンと、ハロゲン化物、ビス(トリフルオロメチリルスルホニル)イミド、パーフルオロアルキルトシレート、アルキルサルフェートおよびアルキルスルホネート、パーフルオロ化アルキルスルホネートおよびアルキルサルフェート、パーフルオロアルキルカルボキシレート、過塩素酸塩、ジシアナミド、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、テトラフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ならびに/または非環式第4級アンモニウム塩からなる群より選択される少なくとも1つの陰イオンとを含む、請求項1〜5の少なくとも1項に記載の平板構造のための人造石。
【請求項7】
前記イオン性液体が、前記陽イオンの可溶性を改善する化合物または錯化剤、特にクラウンエーテルもしくはそのクリプタンドおよび/またはEDTA、の形態の少なくとも1つの添加剤を含む、請求項1〜6の少なくとも1項に記載の平板構造のための人造石。
【請求項8】
陰イオン:ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)アミドおよびビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、アルキルトシレートおよびアリールトシレート、パーフルオロアルキルトシレート、硝酸、硫酸、硫酸水素、アルキルサルフェートおよびアリールサルフェート、ポリエーテルサルフェートおよびポリエーテルスルホネート、パーフルオロアルキルサルフェート、スルホン酸、アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート、パーフルオロ化アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート、アルキルカルボキシレートおよびアリールカルボキシレート、パーフルオロアルキルカルボキシレート、過塩素酸塩、テトラクロロアルミネート、サッカリネート、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、ジシアナミド、テトラフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、リン酸塩および/またはポリエーテルホスフェートのアルカリ金属塩からなる群より選択される少なくとも1つの金属塩が前記イオン性液体中に溶解している、請求項1〜7の少なくとも1項に記載の平板構造のための人造石。
【請求項9】
前記高分子マトリクスが少なくとも1つのポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリレート、メタクリレートおよび/またはビニルエステルを含有する、請求項1〜8の少なくとも1項に記載の平板構造のための人造石。
【請求項10】
前記人造石が構成成分として研磨固体を含有する、請求項1〜9の少なくとも1項に記載の平板構造のための人造石。
【請求項11】
前記研磨固体が、単独でまたは互いの任意の混合物中で使用される、鉱物、岩石片、ガラスもしくは生物の残渣、または合成により産生された岩石、あるいは粉砕された形態のガラス、磁器およびセラミック、またはプラスチックからなる、固体の、天然のまたは合成により産生された、任意選択により微視的に不均一な組成物を含有する、請求項10記載の、平板構造のための人造石。
【請求項12】
前記高分子マトリクスがフィラーおよび/もしくは顔料、導電性材料、炭素繊維、グラファイト、カーボンブラック、金属(合金)酸化物、ならびに/または導電性材料および/もしくは顔料で被覆されたフィラーを含有する、請求項1〜11のうちいずれかに記載の平板構造のための人造石。
【請求項13】
前記帯電防止成分が0.01〜30重量%の範囲の量で存在する、請求項1〜12のうちいずれかに記載の平板構造のための人造石。
【請求項14】
10cmまでの厚さを有する、請求項1〜13のうちいずれかに記載の平板構造のための人造石。
【請求項15】
表面比抵抗が1010オーム未満である、請求項1〜14のうちいずれかに記載の平板構造のための人造石。
【請求項16】
建築化学セクター、特に、電子および電気産業の組み立て工場および商業建物における、および静電気の結果として危険が生じ得る建物および用途における、請求項1〜15のうちいずれかに記載の平板構造のための人造石の使用。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の人造石を表面タイルとして有する、テーブルスラブ。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれかに記載の人造石を有するテーブルスラブ。
【請求項19】
請求項17または18のいずれかに記載の人造石を有するキッチンワーク用スラブ。
【請求項20】
少なくとも1つのイオン性液体および任意選択により少なくとも1つの金属塩を含有する前記帯電防止成分が、高分子マトリクスの硬化の前に前記研磨固体とともに混練されるか、または熱可塑性ポリマーの場合は溶融によって組み込まれる、請求項1〜15の少なくとも1項に記載の人造石を製造するための方法。
【請求項21】
少なくとも1つのイオン性液体または/およびイオン性液体中の金属塩の溶液、ならびに任意選択により研磨固体を用いて製造される、帯電防止処理された人造石接着剤、漆喰、注入モルタルまたはタイル接着剤。

【公開番号】特開2010−180403(P2010−180403A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−22658(P2010−22658)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】