説明

平版印刷版の包装体及び包装装置

【課題】 包装された状態で、外部からの光の侵入を遮断することができる平版印刷版の包装体及び包装装置包装方法を得る。
【解決手段】 内装紙29の耳部30の側面30Cを谷折りしたときに形成される一対の谷折り目Sが互いに交わるように該側面30Cを折曲げ、この谷折り目Sの交点Qを、内装紙29の耳部30の上面30Aの折り返し線Lよりも上側となるようにしている。これにより、内装紙29の耳部30の谷折り部(谷折り目Sの内側の領域)と内装紙29の耳部30の上面30A及び下面30Bとで、遮蔽壁が作られる。つまり、内装紙29の耳部30の側面30Cから侵入した光は、この遮蔽壁によってPS版束12の端面12Aへの通路を遮断し、PS版束12の端面12Aが感光されることを防止することができる。また、該遮蔽壁によって、外気の侵入も防止されるため、結露の問題も生じない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平版印刷版の包装体及び包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平版印刷版は、アルミニウム板、スチール板等の支持体などに、例えば砂目立て、陽極酸化、化成処理などの表面処理を単独又は適宜組み合わせて施し、次いで感光性組成物(この感光性組成物の中には感熱性組成物を含む)を塗布したものである。
【0003】
このような平版印刷版は製品素材である帯状のウェブをスリッタ装置により長手方向に沿って切断すると共に、カッタ装置により短手方向に沿って切断し、予め定められた製品サイズに加工される。
【0004】
このように製品サイズに加工された平版印刷版は、図15(A)〜(C)に示すように、一定の枚数毎に積み重ねられた束130とされ、遮光性及び防湿性を有する内装紙131により包装される(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、図16(A)、(B)に示すように、内装紙131の両端部に位置する耳部132の側面132CとPS版束130の端面130Aとが重なった状態で略平行になるため、内装紙131の耳部132の側面132Cから光(矢印参照)が侵入してしまうと、耳部132の側面132CとPS版束130の端面130Aとの間で生じる隙間等を通じて平版印刷版の束130の端面130Aが感光してしまう。
【特許文献1】特開2002−234272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、包装された状態で、外部からの光の侵入を遮断することができる平版印刷版の包装体及び包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、所定の長さに加工された平版印刷版の束を筒状に胴巻した包装紙の両端部の側面を谷折りして包装紙の両端部の上面及び下面を重ね合わせ前記平版印刷版の上側へ折り返して接合された平版印刷版の包装体であって、前記谷折りのときに形成される一対の谷折り目が互いに交わる交点が、前記包装紙の両端部の上面の折り返し線よりも上側に位置することを特徴とする。
【0008】
包装紙の端部の側面を谷折りしたときに形成される一対の谷折り目が、互いに平行となるように(平版印刷版の束の高さ方向エッジの辺に対して直角となるように)該側面を折曲げた場合、包装紙の両端部の側面と平版印刷版の端面(包装紙の両端部側に位置する平版印刷版の端面)とが略平行となる。
【0009】
このため、この状態で、包装紙の両端部の上面及び下面を重ね合わせ平版印刷版の上側へ折り返して接合した場合、包装紙の両端部の側面から侵入した光は、包装紙の両端部の側面と平版印刷版の端面との間に生じる隙間を通じて、平版印刷版の端面へ案内され、平版印刷版の端面が感光してしまうという恐れが生じる。また、隙間を通じて外気が侵入し、結露を起こす恐れも生じる。
【0010】
したがって、請求項1に記載の発明では、包装紙の端部の側面を谷折りしたときに形成される一対の谷折り目が互いに交わるように該側面を折曲げ、この谷折り目の交点を、包装紙の両端部の上面の折り返し線よりも上側となるようにしている。
【0011】
これにより、平版印刷版の端面に対して包装紙の端部の側面は傾斜した状態(起立した状態で)となる。このため、包装紙の端部の谷折り部(谷折り目の内側の領域)と包装紙の端部の上面及び下面とで、遮蔽壁が作られる。
【0012】
つまり、包装紙の両端部の側面から侵入した光は、この遮蔽壁によって平版印刷版の端面への通路を遮断し、平版印刷版の端面が感光されることを防止することができる。また、該遮蔽壁によって、外気の侵入も防止されるため、結露の問題も生じない。
【0013】
請求項2に記載の発明は、所定の長さに加工された平版印刷版の束を筒状に胴巻した包装紙の両端部の側面を谷折りして包装紙の両端部の上面及び下面を重ね合わせ前記平版印刷版の上側へ折り返して接合させる、平版印刷版を包装する包装装置であって、前記谷折りのときに形成される一対の谷折り目が互いに交わる交点が、前記包装紙の両端部の上面の折り返し線よりも上側に位置するように包装することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上記構成としたので、包装紙の端部の側面を谷折りしたときに形成される一対の谷折り目が互いに交わるように該側面を折曲げ、一対の谷折り目の交点を、包装紙の両端部の上面の折り返し線よりも上側となるようにすることで、包装紙の端部の谷折り部(谷折り目の内側の領域)と包装紙の端部の上面及び下面とで、遮蔽壁が作られる。つまり、包装紙の両端部の側面から侵入した光は、この遮蔽壁によって平版印刷版の端面への通路を遮断し、平版印刷版の端面が感光されることを防止することができる。また、該遮蔽壁によって、外気の侵入も防止されるため、結露の問題も生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る平版印刷版の包装方法について図1を参照して説明する。
【0016】
図1には本発明の実施の形態に係る平版印刷版の包装方法が適用された自動包装装置10が示されている。この自動包装装置10は、所定の製品サイズに切断加工された感光性印刷版の束12(以下、「PS版束12」という)を遮光性及び防湿性を有する内装紙29によって自動的に包装するためのものである。なお、図1において、矢印Fは自動包装装置10におけるPS版束12の搬送方向を示し、また、矢印Gは前記搬送方向に直交する路幅方向を示している。
【0017】
PS版束12は、製品サイズ等に応じた枚数の感光性印刷版と2枚のボール紙とが積み重ねられ、これらを粘着性テープにより固定したものであり、ボール紙はPS版束12の最下部及び最上部にそれぞれ置かれて感光性印刷版を保護している。
【0018】
ここで、感光性印刷版及びボール紙はそれぞれ矩形状とされている。これにより、PS版束12は直方体状の外形形状となり、PS版束12に含まれる感光性印刷版の枚数に応じて厚さ方向の寸法が変化し、かつ感光性印刷版の製品サイズに応じて厚さ方向と直交する縦横方向の寸法が変化する。
【0019】
自動包装装置10には搬送方向における最も上流側にローラコンベア16が設けられている。このローラコンベア16は円柱状とされた複数本の搬送ローラ14を備えている。これらの搬送ローラ14は、搬送方向に沿って一定のピッチで配置され、その回転軸がそれぞれ装置フレーム(図示省略)により路幅方向と平行となるように支持されている。ローラコンベア16は、上流側からPS版束12が送られてくると、搬送ローラ14を回転させてPS版束12を一定速度で下流側へ搬送する。
【0020】
自動包装装置10には、ローラコンベア16の搬送方向下流側に5台のべルトコンベア18〜22、120が設けられている。べルトコンベア18は、円柱状とされた一対のローラ24,25及び、これらのローラ24,25の外周面上に張り渡されたループ状の搬送ベルト27を備えている。
【0021】
ここで、搬送方向上流側のローラ24は、駆動機構(図示省略)によりトルクが伝達されて回転する駆動ローラとされ、搬送方向下流側のローラ25は搬送ベルト27により伝達されるトルクによりローラ24に従動回転する従動ローラとされている。また、べルトコンベア19〜22、120はべルトコンベア18と同様の構造を有しており、それぞれ一対のローラ24,25及び搬送ベルト27を備えている。
【0022】
自動包装装置10は、ローラコンベア16とべルトコンベア18との隙間から内装紙29を供給するための内装紙供給機構31を備えている。内装紙供給機構31は、べルトコンベア18の下方に内装紙29がコイル状に巻き取られた内装紙ロール33を回転可能に支持している。
【0023】
内装紙供給機構31には、ローラコンベア16とべルトコンベア18との間に配置されるフィードローラ35及びピンチローラ37が設けられると共に、フィードローラ35及びピンチローラ37のニップ部に内装紙ロール33から延出した内装紙29を案内する複数のガイドローラ39が設けられている。
【0024】
内装紙供給機構31のフィードローラ35の上方には、図2(A)、(B)に示されるように、板ばね状の押えガイド板110の先端部が片持ち状態で支持されている。押えガイド板110は、フィードローラ35及びピンチローラ37から送り出された内装紙29をベルトコンベア18の上面に沿って搬送方向下流側へ延出するように案内する。
【0025】
押えガイド板110の下流側には、ベルトコンベア18のベルト間に櫛状の持上げガイド板112が配置されている。櫛状の持上げガイド板112は、それぞれベルトコンベア18のローラ24,25と平行軸的に設けられた支軸部112Aを中心として揺動可能に支持されている。櫛状の持上げガイド板112は支軸部112Aを中心として時計方向へ付勢され、先端側がべルトコンベア18より上方へ位置している。また持上げガイド板112の下流側には、べルトコンベア18の上方に紙押え部材114が片持ち状態で支持されている。
【0026】
内装紙供給機構31は、ローラコンベア16によりPS版束12が所定の位置に搬送されると、フィードローラ35を回転させる。これにより、内装紙29の先端部が押えガイド板110により案内されてべルトコンベア18の搬送方向下流側へ延出し、PS版束12は、ローラコンベア16によりべルトコンベア18上へ搬送される際に、内装紙29と合流し内装紙29を介してべルトコンベア18上に載せられる。
【0027】
内装紙供給機構31は、べルトコンベア18の搬送速度と等しい速度で内装紙ロール33から内装紙29を繰り出す。このとき、図2(A)に示されるように持上げガイド板112は内装紙29の先端部を上方へ持上げた後に、内装紙29を介してPS版束12へ当接すると、図2(B)に示されるようにPS版束12の重量によりべルトコンベア18の下方へ押し下げられる。また紙押え部材114は、図2(B)に示されるように持上げガイド板112により持上げられ下流側へ搬送される内装紙29の先端部をPS版束12の上面側へ折り曲げる。
【0028】
内装紙供給機構31がPS版束12の外形形状に対応する長さの内装紙29を繰り出すと、フィードローラ35の下流側に配置されたカッタ(図示省略)により内装紙29を切断する。ここで、内装紙29は、搬送方向及び厚さ方向に沿った外周長に所定の重ね代を加えた長さに切断され、PS版束12は、内装紙29の上面における路幅方向の中央部上に載置され、べルトコンベア18により内装紙29と共に下流側のべルトコンベア19上に搬送される。
【0029】
自動包装装置10には、内装紙供給機構31のフィードローラ35の上方に糊噴射装置41が設けられている。糊噴射装置41は、内装紙供給機構31により内装紙29が切断される直前に流動性を有する糊を噴射し、内装紙29の上面後端部に糊を滴下する。
【0030】
べルトコンベア18の下流側に配置されたべルトコンベア19は、搬送方向における長さがPS版束12の長さより僅かに大きく設定されている。このべルトコンベア19は、図3(A)〜(C)示されるように、リフト機構43により上下方向へ移動可能に支持されている。リフト機構43は、べルトコンベア19によるPS版束12の搬送時には、図3(A)に示されるようにべルトコンベア19を上流側及び下流側のべルトコンベア18,20と同じ高さに保持している。
【0031】
べルトコンベア19は、PS版束12を搬送方向における中央位置まで搬送すると、一旦停止する。このとき、PS版束12の下面とべルトコンベア19との間に敷かれた内装紙29は幅方向の両端部をそれぞれ延出させる。
【0032】
リフト機構43は、PS版束12を載せたべルトコンベア19が一旦停止すると、図3(B)に示されるように、べルトコンベア19をべルトコンベア18,20と同じ高さとなる搬送位置から下降させる。これにより、内装紙29の上流側端部はべルトコンベア19が下降すると共にべルトコンベア18により上方へ折り曲げられる。
【0033】
べルトコンベア19の上方には、一対の押えレバー45,46及び糊付板48が配置されている。ここで、一対の押えレバー45,46はそれぞれ偏心カム機構(図示省略)と連結されており、この偏心カム機構が作動することにより下降動作及び揺動動作を同時に行う。また糊付板48はピストン機構(図示省略)に連結され、このピストン機構によりべルトコンベア19の上面における路幅方向の中央部の上方へ支持されており、ピストン機構が作動することにより上下方向へ往復動する。
【0034】
図3(B)に示されるように、リフト機構43によりべルトコンベア19が搬送位置から下降すると、先ず、下流側の押えレバー45がPS版束12の側端面12Bから上方へ延出した内装紙29の下流側端部を上流側へ折り曲げ、この内装紙29の下流側端部をPS版束12の上面に密着させる。次いで、上流側の押えレバー46がPS版束12の側端面12Bから上方へ延出した内装紙29の上流側端部を下流側へ折り曲げ、この内装紙29の上流側端部を内装紙29の下流側端部を介してPS版束12の上面に密着させる。
【0035】
一対の押えレバー45,46が内装紙29の両端部をPS版束12の上面に密着させると、図3(C)に示されるように、糊付板48が下降して内装紙29の下流側端部を内装紙29の上流側端部に加圧する。このとき、内装紙29の下流側端部に滴下された糊はべルトコンベア19の上面における路幅方向の中央部の上方へ位置する。
【0036】
従って、内装紙29は、内装紙29の上流側端部と下流側端部とが糊により糊付けされて路幅方向両端部がそれぞれ開口した筒状となる。糊付板48は、糊が固化して糊付けが確実になるまで内装紙29をPS版束12の上面へ押圧した後に、ピストン機構により上昇して図3(A)に示される待機位置に復帰する。
【0037】
糊付板48が待機位置に復帰すると、べルトコンベア19は、リフト機構43により搬送位置に復帰し、PS版束12の搬送を再開してPS版束12を下流側のべルトコンベア20上へ搬送し、べルトコンベア20はPS版束12を更に下流側の折曲げ装置119へへ搬送する。
【0038】
折曲げ装置119にはべルトコンベア120が備えられており、PS版束12を該べルトコンベア120上へ搬送するとき(或いは、後述する、内装紙29がタッカ122によって折曲げられた後)は、図4に示すように、搬送されるPS版束12の搬送の邪魔にならないように、該タッカ122はベルトコンベア120から退避する。
【0039】
また、折曲げ装置119には、ベルトコンベア120に対向して、PS版束12の端面12Aから路幅方向外側へはみ出た内装紙29の耳部30の上面30Aを受ける受け板(図示省略)が配設されており、PS版束12は、該受け板とベルトコンベア120の間を搬送される。
【0040】
ベルトコンベア120の両側部には、一対の円柱状の支持部124がそれぞれ配置されており、支持部124の上面にはシャフト126が立設している。このシャフト126には図示しないステッピングモータが接続されており、該ステッピングモータの駆動により、シャフト126が回転可能となる。
【0041】
また、シャフト126には、へら状のタッカ122が固定されており、ステッピングモータの駆動により、図4〜6に示すように、ベルトコンベア120と平行にベルトコンベア120の上方を該タッカ122が所定角度揺動する。タッカ122は、PS版束12の高さよりも薄肉となっており、内装紙29の耳部30の側面30C中央に当接可能としている。
【0042】
タッカ122の先端部には、平面視にて略四角形状を成す板状の当接板122Aが設けられており、シャフト126に固定された固定部122Bよりも幅広となっている。また、隣り合うタッカ122において、当接板122Aの互いに対向する面は、固定部122Bへ行くにしたがって、当接板122Aが幅狭となるように形成されており、当接板122Aの先端部が鋭利になっている。これにより、当接板122Aが内装紙29の耳部30の側面30Cの所定の位置に確実に当接するようにしている。
【0043】
図7に示すように、内装紙29の耳部30の側面30Cには、タッカ122の当接板122Aの先端部が、PS版束12の高さ方向のエッジの辺12Cに対して、θ2(θ1(約45度)〜θ3(約75度)の範囲が好適であり、ここでは、θ2=約60度とする)傾いた状態で当接(仮想線Pは当接板122Aの先端部の移動軌跡である)する。
【0044】
そして、耳部30の側面30Cは、受け板とベルトコンベア120を受け台として、図6及び図7に示すように、PS版束12の高さ方向のエッジの辺12Cに対して、θ2傾いた状態で谷折りの谷折り目Sが形成される(なお、図7では、実際には、高さ方向のエッジの辺12Cは点で示されることとなるが、説明の便宜上、線で表している)。このとき、この谷折り目Sは、図8(A)に示すように、その上下において互いに点Qで交わる。
【0045】
そして、搬送されるPS版束12の搬送の邪魔にならないように、タッカ122がベルトコンベア120から退避した後、PS版束12は更に下流側のべルトコンベア21上へ搬送される。
【0046】
なお、ここでは、タッカ122をPS版束12の高さよりも薄肉とし、内装紙29の耳部30の側面30C中央に当接可能としたが、タッカ122を上下2枚で構成し、各タッカー122を耳部30の側面30C及び上面30Aと耳部30の側面30C及び下面30Bにそれぞれ当接させて、耳部30を側面30Cを折曲げても良い。
【0047】
一方、べルトコンベア21の上流側端部の上方には、一対のエアノズル50が配置されている。この一対のエアノズル50は、べルトコンベア21上を搬送されるPS版束12の路幅方向における両端部にそれぞれ対応するように配置されており、エアタンク、コンプレッサ等からなる高圧エアー源(図示省略)に接続され、べルトコンベア21上を搬送されるPS版束12を収納した内装紙29に高圧エアを吹き付ける。このとき、エアノズル50からの高圧エアは、内装紙29の耳部30に吹き付けられる。これにより、内装紙29の耳部30がべルトコンベア21の方向へ押されて耳部30のカール及び跳ね上がりが防止される。
【0048】
また、べルトコンベア21上には、エアノズル50の下流側に一対の上流側ガイド板52が配置され、この一対の上流側ガイド板の下流側には、一対の下流側ガイド板54が配置されている。ここで、一対の上流側ガイド板52及び一対の下流側ガイド板54は、それぞれべルトコンベア21上に設けられた支持フレーム(図示省略)により支持され、路幅方向へ位置調整可能とされている。
【0049】
上流側ガイド板52は、図9に示されるように略平行四辺形の平板状とされており、その厚さ方向が路幅方向と一致すると共に、その長手方向が搬送方向と一致するように支持されている。上流側ガイド板52の下端側には、搬送方向上流側の端部にべルトコンベア21の上面に対して傾斜した傾斜ガイド面56が設けられ、この傾斜ガイド面56の下流側にべルトコンベア21の上面と平行とされた平行ガイド面58が設けられている。上流側ガイド板52の傾斜ガイド面56は搬送方向に向かってべルトコンベア21との間隔が徐々に狭くなるように傾斜しており、平行ガイド面58はべルトコンベア21との間に微小幅の隙間を形成している。
【0050】
上流側ガイド板52の上端側には、図9に示されるように搬送方向下流側の端部に搬送方向へ向かって徐々にべルトコンベア21へ近づくよう傾斜した傾斜面60が設けられている。ここで、一対の上流側ガイド板52は、それぞれ路幅方向へはべルトコンベア21上を搬送されるPS版束12の端面12Aを基準として位置調整され、PS版束12の端面12Aに対して僅かに外側の位置に固定される。また、上流側ガイド板52の下流側端部は、搬送方向へは下流側ガイド板54の上流側端部と部分的に重なり、また路幅方向へは下流側ガイド板54の上流側端部の内側となるように配置されている。
【0051】
べルトコンベア21上を搬送される内装紙29は、エアノズル50からの高圧エアによってべルトコンベア21の方向へ押されている耳部30を上流側ガイド板52とべルトコンベア21との間に挿入する。耳部30が上流側ガイド板52の傾斜ガイド面56とべルトコンベア21との間に挿入された状態で、内装紙29がべルトコンベア21により下流側に搬送されると共に、傾斜ガイド面56により筒状の耳部30がべルトコンベア21の方向へ押される。これにより、耳部30の上面30A側が下面30B側へ近づき、傾斜ガイド面56の終端部付近では耳部30の上面30A側が下面30B側へ密着する。
【0052】
さらに、内装紙29がべルトコンベア21により下流側へ搬送されると、耳部30が平行ガイド面58とべルトコンベア21との間に挿入される。これにより、図10に示すように、上面30A側と下面30B側とが互いに密着した耳部30は、平行ガイド面58によりべルトコンベア21上へ押し付けられた状態に維持される。
【0053】
一方、下流側ガイド板54には、図10に示されるように、平板状の側板部62が設けられている。この側板部62は搬送方向へ細長く形成されており、長手方向が搬送方向と一致すると共に厚さ方向が路幅方向と一致するように支持されている。側板部62の上端部には、上流側に搬送方向へ向かってべルトコンベア21から離れるように傾斜した立上ガイド面64が設けられている。
【0054】
また、下流側ガイド板54には、立上ガイド面64に対して下流側に側板部62の上端から内側へ屈曲された頂板部66が設けられている。この頂板部66は平板状とされ、べルトコンベア21の上面と平行となるように形成されている。また、頂板部66には、上流側の端部に搬送方向へ向かって内側へ傾斜した折込ガイド面68が設けられている。ここで、べルトコンベア21の上面から頂板部66の下面までの距離はPS版束12の厚さと略等しくなっている。
【0055】
上流側ガイド板52により折り曲げられた内装紙29の耳部30は、その搬送方向側の先端部が上流側ガイド板52の下流側端部に達すると、下流側ガイド板54の立上ガイド面64上へ乗り上げる。この状態で、内装紙29がべルトコンベア21により下流側へ搬送されると、耳部30は、内装紙29が下流側へ移動すると共に立上ガイド面64に沿って上方へ持ち上げられる。
【0056】
そして、耳部30の上面30A側と下面30B側とが重なった状態でPS版束12の上方へ延出する。この耳部30の、PS版束12の上方への折り曲げ動作は、搬送方向において上流側ガイド板52の下流側端部と重なった立上ガイド面64の上流側端部付近で行われる。
【0057】
この立上ガイド面64により上方へ折り曲げられた内装紙29の耳部30は、その搬送方向側の先端部が頂板部66の上流側端部に位置する折込ガイド面68と接する。この状態から内装紙29が下流側へ搬送されると共に、図11に示されるように折込ガイド面68は耳部30の先端部を内側へ折り曲げる。
【0058】
PS版束12の両端部は、内側へ折り曲げられた耳部30の先端部と共に頂板部66の下側に挿入される。ここで、べルトコンベア21の上面から頂板部66の下面までの距離がPS版束12の厚さと略等しくされていることから、ローラ24,25間に張り渡された搬送ベルト27と頂板部66とは内装紙29の耳部30を挟み込み、内装紙29が下流側へ移動すると共に耳部30を内装紙29の上面へ密着させる(図12参照)。この結果、べルトコンベア21により下流側ガイド板54の下流側まで搬送されたPS版束12は内装紙29により包装された状態となる。
【0059】
下流側ガイド板54はPS版束12の端面12Aに対して僅かに外側の位置にあり、かつPS版束12の端面12Aと平行に延在することから、側板部62により、筒状の耳部30は、図12に示すように、PS版束12の端面12Aから約10mm離れた位置で、耳部30の上面30A側と下面30B側とが互いに密着して、耳部30が折り曲げられる。
【0060】
ここで、図8(A)、(B)及び図12に示すように、内装紙29の耳部30の側面30Cに形成された谷折りの上下の谷折り目Sが互いに交わった点Qにおいて、耳部30の上面30A側と下面30B側とが互いに密着する。そして、この点Qは耳部30の上面30A側の折り返し線Lよりも上側となるようにしている。
【0061】
一方、べルトコンベア21の下流側のべルトコンベア22の上方には、図1に示されるように一対のテープ貼付機構70が配置されている。テープ貼付機構70はべルトコンベア22の上方に設けられた支持フレーム(図示省略)により支持されており、該支持フレームによって路幅方向へ位置調整可能となっている。そして、圧着ローラ84がべルトコンベア22上を搬送される内装紙29の耳部30に対応する位置となるように路幅方向へ位置調整される。
【0062】
また、テープ貼付機構70には、粘着性テープ72を巻き取ったテープリール74が装填されるテープ供給部76が設けられており、互いに平行とされた一対のローラフレーム80を備えている。この一対のローラフレーム80間には、上流側端部及び下流側端部にアイドルローラ82及び圧着ローラ84がそれぞれ配置されると共に、アイドルローラ82と圧着ローラ84との中間部に中間ローラ85が配置されている。これらのローラ82,84は、それぞれ路幅方向と平行とされた支軸部(図示省略)を中心として回転可能に支持されている。
【0063】
一方のローラフレーム80の外側には、モータユニット86が配置されると共に、圧着ローラ84の支軸部と同軸的に連結されたアイドルローラ82が回転可能に支持されている。モータユニット86には駆動プーリ92が同軸的に連結されており、駆動プーリ92及び従動プーリ90にはループ状のベルト94が巻き掛けられている。
【0064】
これにより、圧着ローラ84は、駆動プーリ92、ベルト94及び従動プーリ90を介してモータユニット86と連結される。またテープ貼付機構70には、図1に示されるようにテープ供給部76と一対のローラフレーム80との間にガイドローラ96が設けられており、テープ供給部76のテープリール74から延出した粘着性テープ72をテープ貼付部78へ案内する。
【0065】
また、ローラフレーム80には、圧着ローラ84側の端部にピストン駆動装置等のアクチュエータ(図示省略)が連結されており、該アクチュエータの作動によって、テープ貼付部78を図13(A)に示される待機位置から図13(B)に示される貼付位置まで揺動させる。そして、粘着性テープ72の貼付けが完了すると、貼付位置にあるテープ貼付部78を待機位置に復帰させる。
【0066】
ここで、圧着ローラ84のローラ面84Aは、テープ貼付部78が待機位置にある場合、べルトコンベア22上のPS版束12を包装した内装紙29から離間し、またテープ貼付部78が貼付位置にあるとべルトコンベア22上のPS版束12を包装した内装紙29へ圧接する。
【0067】
内装紙29に圧接した圧着ローラ84は、ローラ面84Aにより粘着性テープ72を内装紙29の耳部30と内装紙29の上面とに亘る領域に押し付ける。このとき、ローラ面84Aの線速度がべルトコンベア22の搬送速度と等しくされているので、粘着性テープ72がローラ面84Aとの摩擦力によりべルトコンベア22の搬送速度と等しい速度で搬送方向下流側へ繰り出される。
【0068】
従って、PS版束12を包装した内装紙29がべルトコンベア22により下流側へ搬送されると共に、内装紙29の耳部30と内装紙29の上面とに亘る領域の下流側端部から粘着性テープ72が貼られ、ピストン駆動機構等のアクチュエータ(図示省略)により、下降した切断ブレード98によって、内装紙29の下流側端部上で粘着性テープ72が切断される。
【0069】
これにより、内装紙29の耳部30が粘着性テープ72により内装紙29の上面に貼り付けられ、粘着性テープ72が剥がされるまで内装紙29がPS版束12を包装した状態に維持される。
【0070】
以上説明した自動包装装置10に用いられる内装紙29としては、例えば、クラフト紙にアルミ箔を溶解したポリエステルで接着したもの(アルミクラフト紙)や、坪量100g/以下のクラフト紙に遮光剤及び防湿剤を塗布したものを用いる。
【0071】
次に、本実施の形態に係る平版印刷版の包装方法の作用について説明する。
【0072】
内装紙の耳部の側面を谷折りしたときに形成される一対の谷折り目が、互いに平行となるように該側面を折曲げた場合、内装紙の耳部の側面部とPS版束の端面とが略平行となる。
【0073】
このため、この状態で、図16(A)、(B)に示すように、内装紙131の耳部132の上面132A及び下面132Bを重ね合わせ内装紙131の上側へ折り返して粘着性テープ72で接合した場合、内装紙131の耳部132Aの側面部132Cから侵入した光が、耳部132Aの側面部132CとPS版束130の端面130Aとの間に生じる隙間を通じて、PS版束130の端面130Aへ案内されてしまう恐れが生じる。また、隙間を通じて外気が侵入し、結露を起こす恐れも生じる。
【0074】
したがって、本形態では、図8(A)、(B)及び図12に示すように、内装紙29の耳部30の側面30Cを谷折りしたときに形成される一対の谷折り目Sが互いに交わるように該側面30Cを折曲げ、この谷折り目Sの交点Qを、内装紙29の耳部30の上面30Aの折り返し線Lよりも上側となるようにしている。
【0075】
これにより、PS版束12の端面12Aに対して内装紙29の耳部30の側面30Cは傾斜した状態(起立した状態で)となる。このため、内装紙29の耳部30の谷折り部(谷折り目Sの内側の領域)と内装紙29の耳部30の上面30A及び下面30Bとで、遮蔽壁が作られる。つまり、内装紙29の耳部30の側面30Cから侵入した光は、この遮蔽壁によってPS版束12の端面12Aへの通路を遮断し、PS版束12の端面12Aが感光されることを防止することができる。また、該遮蔽壁によって、外気の侵入も防止されるため、結露の問題も生じない。
【0076】
なお、本形態では、図7に示すように、折曲げ装置119によって、PS版束12の高さ方向のエッジの辺12Cに対して、内装紙29の耳部30の側面30Cをθ2傾いた状態で谷折りして、谷折り目Sを形成したが、包装終了時において、谷折りしたときに形成される一対の谷折り目Sが互いに交わる交点Qが、内装紙29の耳部30の上面30Aの折り返し線Lよりも上側となっていれば良いため、折曲げ装置119によって、必ずしも谷折り目Sを形成する必要はなく、上流側ガイド板52又は下流側ガイド板54による折曲げ課程において、互いに交わる谷折り目Sを形成するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施形態に係る包装装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る包装装置における押えガイド板、持上げガイド板及び紙押え部材による包装動作を説明するための側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る包装装置におけるリフト機構によるべルトコンベアの昇降動作並びに、押えレバー及び糊付板による内装紙の糊付動作を説明するための側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る包装装置のタッカがベルトコンベアから退避した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る包装装置のタッカによる内装紙の耳部の側面の折り曲げ動作を説明するための斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る包装装置のタッカによる内装紙の耳部の側面の折り曲げ動作を説明するための斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る包装装置のタッカによる内装紙の耳部の側面の折り曲げ角度を説明するための平面図である。
【図8】(A)、(B)は、本発明の実施形態に係る包装装置の内装紙の耳部の側面の折り曲げ状態を説明するための斜視図である。
【図9】本発明の実施形態に係る包装装置における上流側ガイド板による内装紙の耳部を下方へ折り曲げる動作を説明するための斜視図である。
【図10】本発明の実施形態に係る包装装置における下流側ガイド板による内装紙の耳部を上方へ折り曲げる動作を説明するための斜視図である。
【図11】本発明の実施形態に係る包装装置における下流側ガイド板による内装紙の耳部の先端部を内装紙の上面へ折り曲げる動作を説明するための斜視図である。
【図12】本発明の実施形態に係る包装装置による内装紙の耳部の折り曲げ状態を説明するための断面図である。
【図13】本発明の実施形態に係る包装装置におけるテープ貼付機構による内装紙へのテープ貼付動作を説明するための斜視図である。
【図14】(A)は、本発明の実施形態に係る包装装置による内装紙の耳部の折り曲げ状態を説明するための斜視図であり、(B)は断面図である。
【図15】(A)〜(C)は、平版印刷版の包装方法を説明するための工程図である。
【図16】(A)は、従来の包装方法を説明するための斜視図であり、(B)は断面図である。
【符号の説明】
【0078】
10 自動包装装置
12 PS版束(平版印刷版)
30C 側面
122 タッカ
S 谷折り目
Q 交点
L 折り返し線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の長さに加工された平版印刷版の束を筒状に胴巻した包装紙の両端部の側面を谷折りして包装紙の両端部の上面及び下面を重ね合わせ前記平版印刷版の上側へ折り返して接合された平版印刷版の包装体であって、
前記谷折りのときに形成される一対の谷折り目が互いに交わる交点が、前記包装紙の両端部の上面の折り返し線よりも上側に位置することを特徴とする平版印刷版の包装体。
【請求項2】
所定の長さに加工された平版印刷版の束を筒状に胴巻した包装紙の両端部の側面を谷折りして包装紙の両端部の上面及び下面を重ね合わせ前記平版印刷版の上側へ折り返して接合させる、平版印刷版を包装する包装装置であって、
前記谷折りのときに形成される一対の谷折り目が互いに交わる交点が、前記包装紙の両端部の上面の折り返し線よりも上側に位置するように包装することを特徴とする平版印刷版の包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−98629(P2007−98629A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−288459(P2005−288459)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】