説明

広帯域コンテンツ配信の方法および装置

ネットワークを介した一つあるいはそれ以上のサービスレベルを含むトランスポート多重を生成し伝送する方法および装置。一実施例において、サービスのレベルは、高品位(HD)コンテンツあるいは番組を含み、伝送された多重は、ケーブルネットワーク内の複数のダウンストリームRF搬送波を介して、同時に配信される。複数のHD番組を複数の搬送波を介して(すなわち、“広帯域”構成で)多重化し配信するための中継局構成が開示されている。一つあるいはそれ以上の数の同調器を有するCPEも、開示されており、このCPEは、多重化されたHDコンテンツを多くのRF搬送波から受信し、それをデマルチプレクシングし、ユーザ側でのデコードと視聴を可能とするように構成されている。複数のHD源番組を多重で用いる利点は、より大容量の構成入力と利用可能な搬送波に関する“プール”を設けることにより、拡張された統計的多重が実現できる点にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2004年12月15日出願の米国特許出願番号11/013,671、発明の名称“Method and Apparatus for Wideband Distribution of Content”に対して優先権を主張するものであり、その全体を参照によりここに援用する。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、一般的に、デジタルコンテンツ配信の分野に関するものである。一つの事例的な側面として、本発明は、標準品位(SD)及び高品位(HD)テレビ番組などの一つあるいはそれ以上の数のサービスレベルを含む、広帯域トランスポートストリームの生成、伝送、受信およびデコードを行う方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
従来のケーブルテレビネットワークでは、加入者宅内への伝送のための利用可能なスペクトル(“ダウンストリーム・スペクトル”)は、所定の周波数帯域(例えば、米国では6MHz)を有し、54MHzから860MHzなどの下限周波数と上限周波数との間のスペクトルスロットを占有するRFチャネルに分割されている。6MHzの帯域幅を持つチャネルは、例えば、シングルチャネルのアナログテレビ番組又は、(ブロードキャストあるいはオンデマンド形式の)多重番組のデジタルテレビストリーム、あるいは、DOCSISのダウンストリームトランスポートストリームを、加入者宅内に搬送するために用いられる。
【0004】
ケーブル信号は、直交振幅変調(QAM)手順を用いて伝送されるため、HFCシステムで用いられる典型的な変調率(QAM−256,QAM−64)に対する利用可能なペイロードのビット伝送速度は、概ね、例えば、(QAM−256では)38Mbpsとなる。MPEG−2のオーディオ・ビデオ圧縮方法を用いた従来のケーブルネットワークでは、一つの6MHzのチャネルの利用可能な帯域幅(38Mbps)によって、約10から12の標準品位のテレビ番組からなるグループを収容することができる。このテレビ番組のグループは、通常、番組多重化装置を用いることにより、ケーブル中継局において生成される。図1は、このような中継局において通常用いられる多重化段の機能ブロック図を示したものである。この構成では、予め決められた数のMPEG−2形式の番組は、量子化段への入力となる一連の入力100を含んでいる。この量子化段がそのように呼ばれる理由は、この段が、各ストリームのビット伝送速度をリアルタイムに変更できるからである。これらのビット伝送速度に変更が加えられた番組は、多重化段104でともに多重化され、多重化段は、シングルチャネル搬送波上での変調に好適な目標ビット伝送速度で出力トランスポートストリーム106を生成する。また、多重化段は、フィードバック経路108を介して、量子化段に対して実質的にリアルタイムのフィードバックを行う。
【0005】
高品位サービス
最近は、高品位テレビ(HDTV)が、テレビ番組を伝送し視聴するための、益々一般的な方式となってきている。より多くの家庭とその他の施設が、高品位テレビ(HDTV)を購入し始めている。この傾向に対応するため、ケーブルテレビ事業者は、ケーブルテレビ加入者に対して、高品位テレビ番組の提供を開始しており、また、最近は、高品位テレビ番組の“オンデマンド(OD)”サービスの提供も開始している。
【0006】
エンタテイメントに耐える水準のHD番組の伝送には、SD番組の帯域幅の概ね4倍から6倍の帯域幅が必要となる。例えば、地上波HDTV信号は、映像に関しては19.2Mbpsのビット伝送速度を用いて送信されるが、このビット伝送速度は、ケーブルネットワークを介したエンタテイメントに耐える水準のHD番組の伝送に用いられる通常の3Mbpsから4Mbpsよりも実質的に速いものである。最新のビデオ圧縮技術を用いたとしても、ケーブルテレビ事業者は、MPEG−2メインプロファイル・ハイレベル(MP@HL)HD番組を伝送するためには、さらに、12Mbpsから15Mbpsの速度向上が必要となる。
【0007】
HD番組の伝送では、ネットワーク帯域を極めて広い範囲で利用することになるため、ネットワーク事業者は、効率的なビット伝送速度によるHD番組多重を実現するために、上記の制限を緩和するための改良された方法を模索している。
【0008】
HD信号の統計的多重化
統計的多重化は、複数の番組を、単一のトランスポートストリームに効率的に収容するために用いられる技術である。この技術は、通常、ビデオコンテンツの圧縮容易性にもとづいて、一つの番組を伝送するために必要な瞬間的な帯域幅に関して、時間軸上で揺らぎを与えるという原理にもとづいている。これにより、複数の番組に必要となる帯域幅のピーク値に対する要求値をずらすことにより、効率的な帯域幅で多重番組の伝送を多重化することが可能となる。従来の統計的多重化の方法では、多重化する番組数(すなわち、“プール容量”)が多くなればなるほど、帯域を効率的に用いる機会がより増えるということが知られている。
【0009】
しかし、従来の技術を用いて、ケーブルネットワークを介してHD番組を伝送する場合には、統計的多重化の適用は限定的なものとなる。この主たる理由は、HD番組では比較的早いビット伝送速度となるため、6MHzのケーブルチャネルに対応した通常のトランスポートストリームでは、2から3のHD番組数しか搬送できないということにある。この状況は、他のHDあるいはSD番組との多重化において、HD番組を統計的多重化する有効性を制限してしまう。
【0010】
従って、多数のHD番組を含むトランスポート多重の生成と伝送を可能とし、以って、ネットワークを介して伝送する番組を効率的にグループ化する機会を増やす技術が、帯域幅に制約を受けてしまうという問題を解決する上で有用なものとなる。このようなトランスポート多重は、通常、単一のRFチャネルで送信可能なビット伝送速度よりも速いビット伝送速度を有している。従って、“帯域多重”という用語は、このような種類の多重を称するために用いることとする。
【0011】
バッジ(Budge)他による“Statistical multiplexing”と題する1998年1月13日発行の米国特許第5,708,664号は、予め決められた総ビット伝送速度が割り当てられた複数のチャネルを介して、複数のデジタル信号を送信する送信機を開示している。この送信機は、各々に一つのチャネルが対応付けられた複数のエンコーダと、エンコードされたデジタル信号を受信し、エンコードされた信号をデータストリームとして送信し、エンコードされた信号に対して割当てるビット伝送速度の分配を調整する多重化装置と、各チャネルの目標とする品質と実際の品質とを表す指標を提供し、各チャネルの目標とする品質と実際の品質との違いに応じて、少なくともいくつかのチャネルにおける実際の品質と目標の品質との間の差を均一化するように、多重化装置に対してビット伝送速度の分配の調整を繰り返して行わせるための処理装置とを含んでいる。“統計的多重グループ”にエンコーダをグループ化し、これらのエンコーダに対するビット伝送速度に関する要求にリアルタイムで応えることにより、そのグループに対する映像品質が最大となるようにビット伝送速度を割り当てることが可能となる。統計的多重グループでの様々な映像源について、目標の品質を達成するためには、ビット伝送速度に対する各要求は、コード化の難しさによって異なる。従って、その映像のエンコードに際しほとんど難しさを経ない統計的多重グループ内のチャネルは、より大きな難しさをもつチャネルに対して、ビット数を解放することが可能である。その効果は、映像品質を平滑化し、実質的にその品質を向上させるものとなる。
【0012】
ピンダー(Pinder)他による“Adaptive rate control for insertion of data into arbitrary bit rate data stream”と題する2001年4月17日発行の米国特許第6,219,358号は、MPEGテーブルパケットなどのデータを、送信ビットストリーム中に挿入するための伝送速度を、パケットハンドラによって変化させる装置を開示している。パケットハンドラは、ケーブルテレビシステムの中継局の変調器内に置かれ、制御論理とパケットルータとを含んでいる。送信データの実際の挿入伝送速度は、データ挿入についてビットストリームが利用できる容量と、データの挿入伝送速度の望ましい値に依存している。挿入のために利用可能な容量が、望ましい伝送速度に等しいかそれを上回る場合には、実際の挿入伝送速度は、望ましい伝送速度に等しい値となる。挿入のために利用可能な容量が、望ましい伝送速度を下回る場合には、実施の挿入伝送速度は、望ましい伝送速度よりも低い値となる。この先行発明は、挿入のために利用可能な容量を動的に決定し、実際の挿入伝送速度を調整するものである。
【0013】
クラウス(Krause)他による“Compressed−Video Reencoder System For Modifying The Compression Ratio Of Digitally Encoded Video Programs”と題する2001年12月27日公開の米国特許公開第20010055336号は、圧縮されたビデオ番組の圧縮率を変化させるための、圧縮されたビデオのデコード/エンコードシステムを開示している。複合再エンコーダシステムは、ヘッダ転送のための技術を実装し、共通の動き補償装置がデコードとエンコードとを同時に実行する構成を用いて、圧縮されたビデオデータをデコード/エンコードするため要素を強固に結合して実装している。再エンコーダシステムは、ケーブルテレビでの配信や他のビデオ配信システムでの利用に好適な、圧縮されたビデオデータストリームの多重を生成するための統計的マルチプレクサに導入されている。
【0014】
イタワキ(Itawaki)他による“Statistical multiplex system,statistical multiplex controller and method of statistical multiplex”と題する2002年7月4日公開の米国特許公開第20020085584号は、映像品質を向上させるために、見かけ上のビット伝送速度を番組データと付属データに割当てる、統計的多重システムおよび統計的多重コントローラならびに統計的多重方法を開示している。統計的多重システムには、複数の番組データをエンコードする複数の画像エンコーダと、付属データをエンコードするための情報エンコーダと、それらからの出力を多重化する多重化装置と、各画像エンコーダと情報エンコーダを制御する統計的多重コントローラとが備えられている。統計的多重コントローラは、ビット伝送速度を、最初に情報エンコーダに割当て、その残りのビット伝送速度を、各画像エンコーダに割り当てるように、設定されている。
【0015】
フランシスカ(Francesca)他による“Multi−channel broadband content distribution system”と題する2003年5月1日公開の米国特許公開第20030083054号は、コンテンツ配信システムでの帯域を管理するシステムを開示している。本システムは、コンテンツ配信システムのコンテンツ中継局に組み込まれる。本システムは、番組マルチプレクサと、マルチチャンネル変調モジュールと、チャンネルマルチプレクサと、デジタル/アナログコンバータと、周波数ブロックアップコンバータ(周波数逓昇変換器)とを含んでおり、全てが直列接続された構成となっている。各コンテンツ番組を表すパケットは、番組マルチプレクサに入力される。番組マルチプレクサは、パケットを多重化し、出力待ち行列を作る。番組マルチプレクサによってパケットを待ち行列に多重化する方法は、特定の設計や応用に依存したものとなる。出力待ち行列の中にあるパケットは、マルチチャンネル変調モジュールに送られる。マルチチャンネル変調モジュールは、パケットを受け取り、対応するRFチャネルを表す複数の変調器にパケットをルーティングする。複数の変調器は、各パケットを変調して、対応するRF信号を生成する。これらのRF信号は、チャネルマルチプレクサによって多重化され、マルチチャンネルRF信号が作られる。マルチチャンネルRF信号は、アナログ多チャンネル信号に変換するためのデジタル/アナログコンバータに送られる。周波数ブロックアップコンバータは、アナログ多チャンネル信号を受け取り、伝送のための高い周波数帯域に周波数変換する。周波数変換されたマルチチャンネルRFアナログ信号は、一つあるいはそれ以上の数の加入者宅内機器に媒体を介して伝送される。上述した構成にもかかわらず、本方法は、中継局において暗号化し、それに対応して加入者宅内機器(CPE)において暗号解読するという重要な処理を担う機構を提供していない。また、広帯域信号を受信可能とする(この種のシステムでの動作に不可欠な)CPE構成が提供されていない。
【0016】
以上説明したことから明らかなことは、従来技術のいずれもが、広帯域コンテンツ伝送を用いることを一般的に認識しているにもかかわらず、この考え方を適切に実装するための装置と方法になっていないことである。特に、これらの従来技術は、複数の搬送波に対して複数の多重化規則を適用することにより、これらの広帯域信号を効率的かつ効果的に伝送するために必要となる種類のトランスポート多重を生み出す方法について開示しておらず、さらに、レガシー装置に対するバックワード互換性に対する課題についても言及していない。
【0017】
番組と番組情報テーブルを柔軟に暗号化し多重化することを可能とし、レガシーな加入者宅内機器に対するバックワード互換性を保証するための、広帯域多重を生成し、伝送し、受信する、改良された装置および装置が必要となる。このような改良された装置および装置は、統計的多重に関してより大きな“プール容量”を提供することを可能とし、これにより、HD環境での統計的多重方法によって利用効率を向上させることが可能となる。
【0018】
発明の概要
本発明は、様々な実施例において、コンテンツの広帯域伝送のための方法および装置を提供することにより、以上で説明した課題に対する解決策を与えるものである。
【0019】
本発明の第一の側面では、高品位(HD)番組の効率的な伝送のためのコンテンツ配信システムが開示されている。一実施例において、システムは、複数のHD番組を受信する第一の装置と、第一の装置に対し相互に作用しあうように結合され、事業者が管理する複数のルールに従って複数のHD番組を処理するように構成されたサーバ装置と、処理された番組を複数のRFチャンネルを介して伝送し、該チャネルの少なくとも一部は連続していないことを特徴とする伝送装置とを含んでいる。各番組の構成部分は、複数のRFチャンネルを用いて伝送される。番組の処理は、さらに、(PIDあるいはSIデータなどの)非コンテンツデータを番組に挿入する処理を含んでおり、このデータは、受信機において番組を受信する際に有用なものとなる。
【0020】
本発明の第二の側面では、コンテンツベースのネットワークで用いられる改良された加入者宅内機器(CPE)が開示されている。一実施例において、CPEは、複数のRFチャンネルに設けられた複数の情報搬送波から実質的に同時に送信されたコンテンツを受信するように構成されており、CPEは、複数の通信事業者から同時に第一信号を受信可能な同調段と、複数の第一信号を復調する復調段と、復調された信号の少なくとも一部を暗号解読する暗号解読段と、暗号解読段に相互に作用しあうように結合された再構成装置であって、暗号解読され復調された信号を、伝送コンテンツとして再構成する再構成装置とを含んでいる。
【0021】
本発明の第三の側面では、従来の機器に対応した複数のCPEと、それらに対して相互に作用しあうように結合された複数の“広帯域”CPEとを有するケーブルネットワークを運用する方法が開示されている。一実施例において、本方法は、複数のコンテンツ要素を含む第一の番組を配信するステップと、ネットワークの複数の通信事業者を介してコンテンツ要素を送ることを含む配信ステップと、広帯域CPEが第一の番組を受信しデコードできるように、配信の一部として番組情報データを提供し、該番組情報は、レガシーCPEが第一の番組をデコードしないように構成されていることを特徴とするステップを含んでいる。
【0022】
本発明の第四の側面では、ケーブルネットワークに有用な改良された統計的多重化装置が開示されている。一実施例において、本装置は、複数の異なる番組に関連付けられたコンテンツデータパケットを、複数のN個の入力待ち行列の中から選択的に取り出す第一の処理と、取り出されたコンテンツデータパケットを、複数のM個のRFチャンネルに選択的に割り当てる第二の処理とを含み、複数の異なる番組の少なくとも一つに関連付けられたパケットは、M個のRFチャンネルの複数のチャネルを介して配信される。第一の変更例としては、第一および第二の処理を、“ラウンドロビン”アルゴリズムに従って制御するものがある。第二の変更例としては、第一の処理をラウンドロビンアルゴリズムで構成し、第二の処理を、“最大負荷”あるいは“最小負荷”アルゴリズムで構成するものがある。
【0023】
本発明の第五の側面では、改良されたコンテンツ配信システムが開示されている。本システムは、複数のコンテンツを受信する第一の装置と、第一の装置に対し相互に作用しあうように結合され、事業者が管理する複数のルールに従って複数のコンテンツを処理するように構成されたコンテンツサーバ装置と、処理されたコンテンツを複数のRFチャンネルを介して伝送し、該チャネルの少なくとも一部は連続していないことを特徴とする伝送装置とを含んでいる。なお、コンテンツに含まれる各番組の構成部分は、RFチャンネルの複数のチャンネルを用いて各々伝送される。
【0024】
本発明の第六の側面では、高品位(HD)映像を配信するための関連するケーブルシステムの帯域利用率を向上するための方法が開示されている。一実施例において、本ケーブルシステムは、複数のコンテンツを受信する装置と、事業者が管理する複数のルールに従って複数のコンテンツを処理するように構成されたコンテンツサーバ装置と、少なくともその一部が連続している複数のRFチャンネルを介して、処理されたコンテンツを伝送する伝送装置とを含んでいる。また、本方法は、複数のHD番組と、コンテンツの一部として複数のSD番組とを提供するステップと、コンテンツの一部として他の複数のデータ番組を提供するステップと、HD番組と、SD番組と、他のデータ番組とを複数のRFチャンネルを介して配信するステップとを含んでいる。
【0025】
本発明の第七の側面では、ケーブルネットワークで用いるための中継局コンテンツ配信システムが開示されている。一実施例において、本システムは、複数の入力コンテンツストリームを受信する少なくとも一つのインターフェースと、複数の入力コンテンツストリームを処理し、複数の出力コンテンツストリームを多重形式で生成するマルチプレクサと、複数の出力ストリームを暗号化する暗号段と、暗号化された出力ストリームを複数の搬送波上に変調する変調段と、ネットワーク内の複数の搬送波を介して伝送するためのRFチャンネルに変調信号を変換する周波数逓昇変換段とを含んでいる。
【0026】
本発明の第八の側面では、ケーブルネットワーク内のCPE運用方法が開示されている。一実施例において、ネットワークは、複数のレガシーCPEと、それらに対して相互に作用しあうように結合された複数の広帯域CPEとを含み、本方法は、複数のコンテンツ要素を含む少なくとも一つの第一の番組を受信するステップと、ネットワークの複数の搬送波を介してコンテンツ要素を受信することを含む受信動作と、広帯域CPEが少なくとも一つの第一の番組をデコードできるように、受信動作の一部として番組情報データを取り出すステップとを含み、該番組情報は、複数のレガシーCPEが、少なくとも一つの第一の番組をデコードしないように構成されている。
【0027】
本発明の第九の側面では、ケーブルネットワークサービスをサービスエリアに提供する方法が開示されている。一実施例において、サービスエリアは、そこにインストールされた複数の第一CPEを有し、第一のCPEは、ケーブルネットワークの第一の数のチャネルを介して少なくとも一つの番組を受信する。本方法は、(例えば、計画による、あるいはプログラムによる、もしくは適宜のCPE更新により)サービスエリアの第一の部分に対して第二のCPEを提供するステップであり、この第二のCPEは、ケーブルネットワークの第二の数のRFチャンネルを介して少なくとも一つの番組を同時に受信することを特徴とするステップと、第一の時間帯の間に、第一の数のチャンネルを介して、少なくとも一つの番組をサービスエリアに送信するステップと、サービスエリアの第二の部分に、第二のCPEを提供するステップと、その後に、第二の数のチャンネルを介して、少なくとも一つの番組をサービスエリアに送信するステップとを含む。レガシーCPEの利用者が、そのCPEの更新を強いられたり、サービスを享受できなくなることなく、ある時間帯においてその容量よりも少ない数のチャンネルを用いた新しい(更新された)広帯域CPEを運用することにより、レガシーCPEから新しい能力をそなえたものに時間とともに移行することが可能となる。
【実施例】
【0028】
発明の詳細な説明
図を参照して以下説明するが、図では同一の部分には同一の符号を用いている。
【0029】
ここで使用されているように、用語“オンデマンド”あるいは“OD”は、任意の解像度でのオーディオおよび/あるいはビデオ番組あるいはデータなどのコンテンツのリアルタイム配信、擬似リアルタイム配信(例えば、“トリック”モードでの配信)、もしくは非リアルタイム配信を、ユーザ、顧客もしくはその代理者によるなんらかの行為に基づいて可能とする任意のサービスを含むものを指している。この種のコンテンツは、例えば、サーバや他の装置に格納あるいは一時的に保存されるか、コンテンツ源から直接ストリーム配信される。
【0030】
ここで使用されているように、用語“複数システム事業者”および“MSO”は、ケーブル、衛星あるいは地上ネットワークの媒体を介して、番組とデータを含むサービスの配信に必要なインフラを所有する、ケーブル、衛星あるいは地上ネットワークプロバイダを指している。
【0031】
ここで使用されているように、用語“ネットワーク”および“ベアラ・ネットワーク”は、次のものに限定されることはないが、光同軸ハイブリッド方式(HFC)ネットワーク、衛星ネットワーク、テルコ・ネットワークおよび(MAN、WAN、LAN、WLAN、PAN、インターネットおよびイントラネットを含む)データネットワークを含む任意の種類の通信あるいはデータネットワークを指している。これらのネットワークあるいはその一部は、一つあるいはそれ以上の数の任意のトポロジー(例えば、リング、バス、スター、ループなど)、伝送媒体(例えば、有線RFケーブル、RF無線、ミリ波、光など)および/あるいは、通信又はネットワークプロトコル(例えば、SONET、DOCSIS、IEEE規格802.3、802.11、802.15、802.16(WiMAX)、ATM、X.25、フレームリレー、3GPP、3GPP2、WAP、SIP、UDP、FTP、RTP/RTCP、H.323など)を利用している。
【0032】
ここで使用されているように、用語“QAM”は、一般的に、同軸ケーブルあるいは他のネットワークを介して信号を送信するために利用する変調手順を指すものである。この変調手順は、特定のケーブルあるいは他の(例えば、衛星の)ネットワークの仕様に依存して、任意のコンステレーションレベル(例えば、QAM−16,QAM−64,QAM−256など)を利用している。また、用語“QAM”は、この手順に従って変調された物理的なチャネルを指すこともある。
【0033】
ここで使用されているように、用語“中継局”は、一般的に、クライアント装置を用いるMSO加入者に番組を配信する事業者(例えば、MSOあるいはマルチメディアに特化した事業者)によって管理されたネットワークで構成されたシステムを指すものである。この番組は、特に、空中線経由のTVチャンネル、有料TVチャンネル、双方向TVチャンネルおよびインターネットを含む、文字通り任意の情報源/情報受信機を含んでいる。DSTBは、文字通り、任意の構成を有しているが、市販されている装置であってもよく、この場合は、顧客が、MSOが扱うDSTBを購入したり購入しないことが強制されないことを意味している。従って、MSOネットワークは、複数のベンダから提供されるクライアント装置を有するものであってよく、その場合、これらのクライアント装置は、様々なハードウェア機能を持つものとなる。多数の地域別の中継局が、同一あるいは異なる都市に配備される。
【0034】
ここで使用されているように、用語“コンテンツ”は、クライアント装置を動作させ、視聴者に対してクライアント装置上で所望の視聴覚効果をもたらすために用いられる、オーディオ、ビデオ、画像ファイル(非圧縮あるいは圧縮形式ファイル)、アイコン、ソフトウェア、テキストファイルおよびスクリプト、データ、バイナリファイルおよび他のコンピュータで利用可能なデータを指すものである。
【0035】
ここで使用されているように、用語“クライアント装置”および用語“加入者装置”には、次のものに限定されるものではないが、デスクトップ、ラップトップあるいは他の形態のパソコン(PC)およびマイクロコンピュータ、モトローラ社製DCT2XXX/5XXXやサイエンティフィック・アトランタ・エクスプローラ社製2XXX/3XXX/4XXX/8XXXシリーズのデジタル装置などのセットトップボックス、アップル社製のNewton(登録商標)や“Palm(登録商標)”シリーズ端末、個人用携帯情報端末(PDA)、ハンドヘルドコンピュータ、モトローラ社製のAccompli端末などの個人通信端末、J2ME搭載装置、(“スマートフォン”を含む)携帯電話、無線ノード、あるいは、文字通り、ネットワークとデータを交換する機能を有する他の装置が含まれる。
【0036】
同様に、用語“加入者宅内機器(CPE)”と“ホスト装置”は、加入者あるいは利用者宅内の中に置かれ、ネットワークに接続された、任意の種類の電子装置を指すものである。用語“ホスト装置”は、一般的には、衛星、ケーブルあるいは地上ネットワークを介してデジタルテレビコンテンツにアクセスする、端末装置を指すものである。ホスト装置は、機能的には、デジタルテレビ(DTV)装置と統合されている。用語“加入者宅内機器(CPE)”には、セットトップボックス、テレビ、デジタルビデオレコーダ(DVR)、ゲートウェイ格納装置(ファーネス(Furnace))およびITVパソコンなどの電子装置が含まれている。
【0037】
ここで使用されているように、用語“アプリケーション”は、一般的には、所定の機能あるいは主題を実装した実行可能なソフトウェアのユニットを指すものである。アプリケーションの主題は、(オンデマンドコンテンツ管理、電子商取引処理、仲介処理、ホームエンターテイメント、計算など)多くの原理と機能にまたがる多様なものであり、一つのアプリケーションには、一つ以上の主題が含まれている。実行可能なソフトウェアのユニットは、通常、予め決められた環境で実行される。例えば、このユニットは、JavaTV環境で実行される、ダウンロード可能なJava Xletを含むものがある。
【0038】
ここで使用されているように、用語“コンピュータプログラム”は、機能を果たす任意の手順あるいは人間又は機械によって認識可能な処理ステップを含むものを指している。このようなプログラムは、例えば、C/C++、Fortran、COBOL、PASCAL、アセンブリ言語、記述言語(例えば、HTML、SGML、XML、VoXML)を始めとして、共通オブジェクト・リクエスト・ブローカ・アーキテクチャ(CORBA)、Java(登録商標)(J2ME、Java Beansなどを含む)などのオブジェクト指向環境など、実質的に任意のプログラム言語又は環境で解釈されるものである。
【0039】
ソフトウェアに関連して使われる用語“コンポーネント”は、一般的に、関連する機能性の組合せにもとづく、実行可能なソフトウェアのユニットあるいはその一部を指すものである。例えば、部品は、Java(登録商標)あるいはC++の、単一のクラスである。同様に、用語“モジュール”は、一般的には、緩やかに結合されているが機能的に関連しあう部品の組を指すものである。
【0040】
ここで使用されているように、用語“サーバ”は、任意のコンピュータで構成されたコンポーネント、システムあるいは具体的な形態を問わないエンティティーを指すものであり、データ、ファイル、アプリケーション、コンテンツを提供するように、あるいは、コンピュータネットワーク上の一つあるいはそれ以上の数のほかの装置あるいはエンティティーに対してその他のサービスを提供するように構成されているものである。
【0041】
ここで使用されているように、用語“レガシー”は、コンポーネント、システム、プロセスあるいは方法の最新版、改定版、あるいは修正版よりも古いコンポーネント、システム、プロセスあるいは方法を指すものである。
【0042】
概論
本発明は、番組と番組情報テーブルの効率的で柔軟性に富んだ多重化を可能とする、広帯域多重を生成、伝送および受信する装置および方法を開示するものである。また、この装置と方法は、レガシーな加入者宅内機器(CPE)に対して後方互換性を与えることができるという利点があり、レガシーCPEが“レガシー”コンテンツを受信しデコードできるようにし、同時に、同一ネットワーク内の本発明による広帯域CPEが、レガシーコンテンツと、広帯域搬送波を介して配信されるコンテンツ(例えば、HD番組)の両者を受信しデコードできるようになっている。
【0043】
(HFCケーブルネットワークに対応した)本発明の一実施例において、中継局とCPEの構成要素は、特に、既存の伝送インフラを利用して、多重化された広帯域のコンテンツとレガシーのコンテンツの両方を伝送し受信するように構成されている。
【0044】
中継局では、トランスポートストリームの処理は、一つあるいはそれ以上の数の共通“多重”へ入力される複数の入力ストリーム(多重番組トランスポートストリームあるいはMPTS)を介して取得されたコンテンツの統計的多重化を含んでいる。さらに、これらの多重は、複数の異なる物理搬送波を介して分離あるいは分割され、ネットワークを介して伝送(および、変調、暗号化ならびにRF周波数逓昇変換)される。また、システム情報(SI)テーブルを、伝送信号に含むように、中継局で生成される。オプションとして、変調器で実行される任意のパケットID(PID)の再マッピングは、統計的多重プール全体を通して一貫したものに設定される。
【0045】
CPEの受信には、全ての物理搬送波からCPEが同時に信号を受信することを可能とする、同調器(あるいは、単一の広帯域同調器)を含んでいる。搬送波は復調され、チャネルごとの暗号解読と基本的なデマルチプレクシング(再結合)が行われる。さらに、ストリームがトランスポート・デマルチプレクサに送られ、そこで、統計的多重に含まれる全てのストリームのデマルチプレクシングが行われる。
【0046】
本発明の有利な点は、既存の中継局インフラを用いて、すなわち、既存の伝送速度調整器と多重化装置に対するソフトウェア修正によって実装できることにある。同様に、CPEに最小限の修正(一つあるいはそれ以上の数の広帯域チューナの付加とソフトウェア修正を含むもの)を加えることにより、本発明を実装することができる。
【0047】
本発明を実装することによって得られる顕著な利点は、中継局でのHDの統計的多重処理で利用可能な“プール”容量を増加あるいは拡張できることにある。特に、可変伝送速度をもつ、より多くの数のコンテンツストリームを、多重に収容することが可能であり、この多重は、複数の異なる搬送波を介して配信することができ、これにより、統計的多重化処理をより効率的に行うことが可能となる。
【0048】
実施例の説明
本発明の装置および方法の実施例を以下詳細に説明する。これらの実施例は、前述した、複数システム事業者(MSO)と、デジタルネットワーク機能と、複数のクライアント装置/CPEを有する光同軸ハイブリッド方式(HFC)ケーブル構成に関するものであるが、本発明の一般的な原理および利点は、より広帯域な番組あるいはコンテンツの効率的な割当が必要となるような他の種類のネットワークと構成に拡張することが可能である。従って、以下の説明は、単に例証であるにすぎない。
【0049】
本発明は、顧客(すなわち家庭の)エンドユーザ環境へサービスを提供するネットワークに関して一般的に説明するが、他の種類の環境、例えば、商用利用/企業利用および政府/軍事応用の環境に容易に適合させることが可能である。この他にも多くの応用が可能である。
【0050】
また、以下の説明は、基本的に、2つのサービスレベル(すなわち、SDおよびHD)に関するものであるが、ここで開示する方法および装置は、他の数および種類のサービスレベルに拡張することが可能である。例えば、より高いレベルの映像の解像度が将来採用されることを見越して、3つのサービスレベル(SD、HDおよびUHD)の間で帯域の高度な割当を実現することも可能である。他のオプションとして、複数のレベルあるいは伝送速度を、前述のサービスレベルの一つに設け、SDレベルが、SD1、SD2、…SDnを含み、同様に、HDレベルが、HD1、HD2、…HDnを含み、これらのサブレベルの各々に異なるデータ伝送速度および/あるいは他の特性を備えさせることも可能である。2004年6月29日同時係属出願および共同出願の米国特許出願番号10/881,979の発明の名称“ネットワーク帯域割当のための方法および装置”記載の方法および装置を、その全体を参照によりここで援用するが、その関連部分についても、本発明とあわせて用いることができる。
【0051】
さらに、以下の説明は、基本的に、6MHzRFチャンネルにもとづいているが、本発明は、8MHzチャンネルなどの、文字通り任意の周波数/帯域に適用可能である。さらに、上記で引用したように、本発明は、従来のケーブルシステムの周波数(すなわち、1GHz以下)に限定されるものではなく、実際には、いわゆるウルトラワイドバンドシステムを含み、これに限定されることのない、中心周波数あるいは帯域が1GHzを上回る周波数で動作するシステムで用いることも可能である。
【0052】
また、ここで“RF搬送波”で指すものは、同軸ケーブルシステムに限定されるものではない。本発明の様々な方式は、例えば、衛星システムなどの、無線環境に容易に適用可能である。
【0053】
本発明の方法と装置は、インターネットプロトコル(IP)を用いたネットワークに関して説明してきたが、ここで提示した内容は、他のトランスポート層プロトコルを用いたネットワークに対しても同様に適用可能である。
【0054】
以上では、基本的に、下り方向の“ブロードキャスト”の考え方にもとづいて説明してきたが、所定の番組が、ブロードキャストで送られるものであるか、オンデマンド(OD)によって供給されるものであるか、あるいは、“ユーザからの引き込み”サービスなどの他のものによるかに関わらず、本発明の様々な特徴はいずれにも適用できる。
【0055】
図2は、本発明で有用となるネットワークと中継局の基本構成の一実施例を示すものである。図2に示すように、中継局の基本構成200は、課金モジュール202と、加入者管理システム(SMS)と、CPE構成管理モジュール204と、ケーブルモデム終端システム(CMTS)およびOOBシステム207、さらに、相互にデータ通信しあう様々なコンポーネントが接続されたLAN208、210を含む、典型的な中継局のコンポーネントとサービスを含んでいる。図では、バー型あるいはバス型のLAN構成を示しているが、前述した(例えば、リング、スターなどの)他の任意の数の構成を、本発明に合わせて用いることも可能である。また、図2に示した中継局の構成は、上位レベルで概念的に描いた基本構成であり、各MSOは、カスタム設計された基本構成を用いて実装された複数の中継局を有するものでもよい。
【0056】
図2の基本構成200は、さらに、HFCネットワーク201に接続され、ネットワークを介して伝送するデータを前処理するマルチプレクサ/暗号装置/変調装置(MEM)12を含んでいる。この詳細を、図2Aから図2Cに示す。本実施例では、配信サーバ203はLAN210に接続され、一つあるいはそれ以上の数のファイルサーバ220を介して、MEM212とネットワーク201にアクセスできるようになっている。VODサーバ(不図示)が、LAN210に同様に接続されているが、この他の(例えば、802.3z規格のギガビットイーサネット装置などの基幹スイッチング装置に接続されたVODサーバなどの)構成を用いることも可能である。
【0057】
前述したように、情報は複数のチャンネルを介して搬送される。従って、中継局は、様々な源から搬送されるチャネルに関する情報を取得するように構成する必要がある。通常、中継局200からCPE206に送達される(“ダウンストリーム”)チャンネルは、中継局においてともに多重化され、近隣のハブ(不図示)に送られる。
【0058】
(例えば、オーディオ、ビデオなどの)コンテンツは、以下に示すように、所定のサービスグループに属する各ダウンストリーム(帯域内)チャネルで提供される。中継局との間で通信を行うために、CPE206は、帯域外(OBB)あるいはDOCSISチャネルとそれに対応したプロトコルを用いる。OCAP仕様は、ダウンストリームとアップストリームの両方に関するネットワークプロトコルを提供するものである。
【0059】
他の実施例では、ネットワークインフラは、一つあるいはそれ以上の数のオンデマンドファイル機能あるいはカルーセル(Carousel)状に閲覧する機能を含んでいる。特に、本発明では、従来の映像(例えば、MPEG)データが、帯域割当機構を介して割当てられて配信されるだけでなく、対話型のアプリケーションや他の種類のアプリケーションデータも割当てられて配信される。例えば、オンデマンド(OD)映画を注文する既存の方法によるものではなく、アプリケーションは、データ、画像、リンク、オーディオファイル、ビデオファイルなどを、オンデマンドで要求する。これらの各データ種類は、単一のファイルで構成されているか、あるいは単一あるいは複数のデータのカルーセル(Carousel)の形で統合されたものであり、各カルーセル(Carousel)は、潜在的に異なるデータ伝送速度を有している。ODサービス要求を受け取ると、割当てアルゴリズムは、要求元への配信のために、QAM資源上でのこれらセッションの配置を最適化する。従って、ODダウンストリームサービスは、第三の独立したサービスレベル(すなわち、SD、HDに加えられるODのレベル)であると見なすことができる。あるいは、既存のサービスレベルの内部に一つあるいはそれ以上の数のサブレベルが設けられ、すなわち、SDがSD−ODを含み、HDがHD−ODを含むものであると見なすことができる。
【0060】
上述のシステムコンポーネントと通信方法には、他にも多くの組合せが可能であり、本発明に合わせて用いることができるが、これらは、当業者であれば十分認識することができるものである。
【0061】
図2Aは、本発明による、MEM装置212の第一の実施例を示す図である。図2Aに示すように、例えば、12個の個別のHDコンテンツ番組を含む、複数(例えば、12個)の異なるHDストリームあるいは源231、あるいは、複数の番組を含むトランスポートストリームを含んでいる。従って、用語“番組”は、ここでは、一つあるいはそれ以上の数のコンテンツからなる番組を指すものとして用いることとする。各ストリームは、ケーブルネットワークを介した中継局からCPEへの伝送において、所定のデータ圧縮率(例えば、12Mbps)を用いる。図2Aに示したものは、論理的に表現したもののみを含んでおり、すなわち、多くのHD源231は、同一の物理的な接続、個別の物理的な接続、あるいはそれらの任意の組合せへの入力となる。
【0062】
従来の技術は、ネットワークの各RFチャンネルの帯域の最大値には制限があるため、単一のQAM搬送波を用いると、3つの番組までしか多重化して伝送することができなかった。本発明の実施例によれば、これら12個のコンテンツ番組は、“広帯域マルチプレクサ”232(図2A参照)に入力される。このマルチプレクサ要素232は、入力されたパケットを(必要に応じて)量子化し、各々が4つの変調/暗号化ユニット240のバンク234の一つへの入力となる4つの出力237へ伝送する機能を実行する。なお、図2Aでは、暗号化と変調の機能は、一つの統合ユニット240として示されているが、暗号化と変調の機能の実装は、要求に応じて、独立して実行するか、合わせて実行することも可能である。例えば、図2Bでは、4つの独立した変調ユニット250と暗号化ユニット252が用いられている。
【0063】
さらに、4つの(例えば、QAM)変調器240のベースバンド出力は、ブロックアップコンバータ(周波数逓昇変換器)236に入力され、そこで、ベースバンド信号の周波数を(中間周波数(IF)あるいは“直接変換”方式のいずれかにより)逓昇変換し、出力238を生成する。この出力から、各QAM変調信号が、ケーブルネットワーク201を解して伝送される適切なRFチャンネルに割り当てられる。RF周波数逓昇変換装置は、従来技術では公知のものであり、ここでは詳細に説明しない。
【0064】
上述の変調/暗号化ユニット240と同様に、必要に応じて、個々の周波数逓昇変換装置256を用いて、周波数逓昇変換236を行う(図2C参照)。さらに、周波数逓昇変換装置は、必要に応じて、変調および/あるいは暗号化ユニット240と組み合わせて構成することも可能である。
【0065】
広帯域多重化機能232は、2つあるいはそれ以上の数の段によって、あるいは、必要に応じて様々に集約された手順を用いて実行することが可能であることがわかる。例えば、図2Aに示すように、12個の源は、例えば、4個つづの源をまとめた3つのグループで構成し、3つのグループの各々に、“ローカル”あるいは初段の広帯域多重化機能を設け、さらに、各グループの3つの多重化出力を第二段の広帯域マルチプレクサを用いて多重化する。多重化の初段と第二段を制御する統計処理および制御処理は、求められる結果に応じて、(従来技術で公知となっているプロセス間通信機構によって)論理的に結合されているか、独立して構成されている。結合された多重化段は、例えば、ダウンストリーム要求やアップストリーム条件に応じて、利用可能なRFチャンネルを介した、HD番組の“高度な”配信のために用いられる。
【0066】
MEM装置212は、任意の数の物理的な形態とすることが可能であるが、例えば、従来技術で公知となっている種類のより大きなネットワーク装置内の複数の分離したモジュールあるいはカードの一つ、あるいは、ケーブルモデム終端システム(CMTS)を含んでいる。また、MEM212は、独立したファームウェア、あるいは、前述したような他のハードウェア/ソフトウェアコンポーネントと組み合わせたファームウェアを含んでいる。さらに、MEM212は、中継局あるいは他の場所に置かれたスタンドアロン装置であってもよい。この他にも様々な構成を用いることができる。また、MEM212は、要求に応じて、(衛星送受信機やエンコーダ/デコーダなどの)他のコンポーネントや形状のものと組み合わせて構成することも可能である。
【0067】
MEM212内のハードウェアは、IPルータや他のパケットネットワーク装置、ネットワーク管理および監視システム、ローカルPCなどの他のネットワーク装置とともに用いられる、例えば、デジタルプロセッサ、格納装置ならびに複数のデータインターフェースを含んでいる。MEM212内で用いられる他のコンポーネントとしては、増幅器、基板実装された電子コンポーネント、メディアプロセッサおよび他の特別のSoCあるいはASIC装置がある。様々な処理レイアとプロトコル(例えば、802.3、DOCSIS MAC、OOBチャンネル、DHCP、SNMP、H.323/RTP/RTCP、VoIP、SIPなど)も、必要に応じて提供される。これらの付加されるコンポーネントと機能は、ケーブルネットワークと組込みシステムの分野では、従来技術として公知のものであり、ここでは詳細に説明しない。
【0068】
一実施例において、MEM212は、狭帯域応用に用いられる既存の(“レガシー”な)伝送速度調整装置と一般的に類似した統計的多重化機能を持っている。ソフトウェアを修正することにより、既存のマルチプレクサによって生成された多重番組トランスポートストリームの一部を、伝送速度調整装置から、複数の物理的出力237に出力することも可能である。図2Aに示すように、これらの出力237は、暗号化を行った後に周波数逓昇変換装置に送るQAM変調器に送られる。
【0069】
N:M広帯域多重化
広帯域トランスポートストリームは、図1に示した種類の従来のストリーム多重化とは異なり、一般的に、多入力多出力の多重化が必要となる。図3は、この機能を実現するマルチプレクサ232の機能ブロック図の一例を示すものである。本図は、複数のコンテンツ番組あるいはストリーム300を、量子化ユニット302に入力する構成を示している。以下の説明では、入力番組あるいはストリーム300を、“N”で表す。入力多重300を含むN個の番組は、例えば、一つあるいはそれ以上の数の物理的入力から与えられる。従って、図示した構成は、論理的な関係を表したものである。量子化ユニット302には、多重化段306によってフィードバック310が与えられているが、このフィードバックには、出力される各トランスポート多重で利用可能な瞬間の帯域幅に関する情報が含まれている。なお、図3に示した実施例では、量子化ユニット302と多重化/暗号化機能306を分離した構成とその論理的な配置は、単なる例証である。これらの2つの機能は、単一の機能として組み合わせたり、および/あるいは、同一のハードウェアへの統合することも可能であり、さらに、異なる論理段に振り分けることも可能である。
【0070】
入力番組の総数“N”を、どのように“M”個の出力にマッピングするかを定義する様々なルール(すなわち、N:M多重化手順)が、本発明に適合する形で実装されている。例えば、一実施例において、特定の入力番組あるいはストリーム310に属するパケットは、瞬間の帯域幅の利用可能性などの一つあるいはそれ以上の数のパラメータに関する実装ルール(例えば、“ラウンドロビン”あるいは他の従来技術で公知となっている手順)に応じて、M個の出力の任意のものに現れることが可能である。さらに、“最大負荷”あるいは“最小負荷”のような種類の方式を利用することも可能である。例えば、前述で引用した、2004年6月29日出願の米国特許出願番号10/881,979を参照のこと。
【0071】
特に、統計的多重化の内部の様々な処理には、多数の異なる多重化ルールを適用することが可能である。一実施例において、第一の決定は、どのパケットを、“N”個の入力番組(パケット)待ち行列から取り出すかに関するものである。第一のルールは、多くのパケットを含むこれらの待ち行列の中から、優先して取り出すパケットを決めるアルゴリズムに関するものである。一方、ラウンドロビンの考え方で、待ち行列からパケットを取り出す方法もある。さらに、他の実施例としては、これらのパケットを、どのパケットが、それらに対応した番組待ち行列に最も早く到着していたかを評価し、その結果を判断して、最も早く到着したパケットに対して帯域を割り当てることにより、待ち行列から取り出し転送することも可能である。
【0072】
また、第二の決定は、例として示した統計的マルチプレクサ内で実行され、入力(番組)待ち行列から取り出したパケットを、“M”個の利用可能な出力搬送波の中のどれに割り当てるかを決定するものである。また、この決定は、例えば、ラウンドロビン、最小負荷あるいは最大負荷を含む、任意の数のアルゴリズムに従って実行することが可能である。
【0073】
従って、ここで示す実施例の広帯域マルチプレクサ232内で用いられる統計的多重化エンジンは、要求された統計処理結果を得るために、多数の関連し合う処理、あるいは独立した処理を用いることが可能である。
【0074】
他の実施例において、入力番組からのパケットは、M個の出力のより小さい部分集合(例えば、一つあるいは二つのみの出力)に現れるように制約を加えることが可能である。このような制約を加える利点の一つは、いくつかの番組を、レガシー(すなわち、狭帯域)CPEと本発明の広帯域CPEの両者によって同時にデコード可能な、トランスポートストリームを生成することにある。
【0075】
また、このように一つあるいはそれ以上の数の制約を加える方法の利点は、将来の広帯域CPEの利用あるいは更新の際に、運用性と互換性を維持することに寄与できることである。例えば、単一あるいは複数の同調器(以下で詳細を説明する)を介して、4つのQAMチャネルを同時に受信可能な機能を備えた広帯域CPEは、将来導入される8チャンネル広帯域信号に対する“制約付き”多重化手順によって送信される番組が、8つのチャンネルの中から4チャンネルあるいはそれより少ないチャンネルを占有するように制約を加えられた場合には、これらの番組を受信することが可能となる。
【0076】
また、この方法は、新しい広帯域CPEがサービス地域に順次導入されてゆく際の、移行方法を提供するものである。特に、上述したような例では、8チャンネルCPEが該当サービス地域に配備開始された後、しばらくの間は、ダウンストリーム多重を4チャンネル広帯域手順に限定することが可能であり、これにより、現行の4チャンネルCPEを、最終的に、新たな8チャンネルCPEに置き換えることができる。この方法は、4チャンネルCPEの利用者が、8チャンネル番組配信環境で取り残されてしまう状況を防ぐことができる。
【0077】
さらに、本発明は、マルチモード運用を考慮したものである。すなわち、番組やシステムの運用性、保守性などの変更に対応できるように、ルールを(動的に)変更できる機能を備えた中継局MEM112とCPE206を提供するものである。例えば、8チャンネルCPEが8チャンネルダウンストリーム多重を受信している場所では、CPEは、その全チャンネルの中から一つが喪失した状況(例えば、対応するチャンネルのQAM変調器の故障した場合など)に応じて、4チャンネル動作に選択的に切り替え可能とする。この切り替えは、影響を受けるCPEと中継局が通信状態にある場合には、事前にプログラミングしたパターンあるいはルールに従って行なうことや、例えば、“制約”アルゴリズムにもとづいて動的に行うことが可能であり、それ以外の場合には、同時に同一のアルゴリズムを適用することにより切り替えが可能である。
【0078】
同様に、ルールにもとづいて入力/出力間のマッピングを行うことは、チャンネル条件が変化したことにより、番組伝送が続いている時間帯に、一つあるいはそれ以上の数の搬送波で利用可能な帯域幅を変更する場合にも有用である。
【0079】
PIDの再マッピング、再配置およびテーブル生成
N:M広帯域マルチプレクサ306を実装するルールに応じて、M個の各々の出力を、個別に、様々なブロードキャストおよびケーブルテレビ伝送規格に適合させたり、非適合とさせることができる。一実施例において、MEM212でのパケットID(PID)再マッピングとテーブル生成の処理段によって、システム運用者が、番組固有の情報(PSI)テーブル(例えば、PATおよびPMT)、システム情報(SI)テーブルおよび、PID再マッピングなどの他の特徴の生成を制御し、どのテーブルをどのQAM搬送波上で送信するかなどを決定することにより、規格適合のレベルを設定することを可能としている。本発明の一実施例では、PID再マッピング/テーブル生成機能は、図3の量子化ユニット302内の(すなわち、多重化処理の前の)ソフトウェア処理によって実装されていて、これにより、PSIと他の任意のSIテーブルを、一度だけ作成すればよいものとなる。単一のSIあるいはPSIテーブルに属するパケットは、量子化ユニット302の出力に様々な入力に現れる。
【0080】
本発明の、中継局多重化装置212の一実施例において、マルチプレクサ306によって生成されたM個の出力の各々は、完全にMPEG準拠のストリームを含んでいる。他の実施例においては、M個の出力ストリームを組み合わせて、MPEG準拠のトランスポートストリームを形成するが、個々の出力ストリームはMPEG準拠ではないものであってもよい。さらに他の方法は、本開示を知るところとなった当業者であれば、容易に認識できるものである。
【0081】
CPEと同調の一例
図4および図4Aは、本発明による、改良された広帯域CPE206の第一の実施例を示したものである。図4の簡略化されたブロック図に示すように装置206は、一般的に、OpenCable規格準拠の組込みシステムを含んでおり、このシステムは、図2のHFCネットワーク201とのインターフェースとしのRFフロントエンド402(以下の説明にて図4Aで示す、同調器、復調器/暗号解読器およびデマルチプレクサを含む)と、デジタルプロセッサ404と、格納装置406と、テレビや個人電子装置やコンピュータやWiFiあるいは他のネットワークハブ/ルータなどの他のエンドユーザ装置とのインターフェースとなる複数のインターフェース408(例えば、ビデオ/オーディオインターフェース、IEEE−1394“Firewire”、USB、シリアル/パラレルポートなど)を有している。装置の中には(図4では簡単化のために不図示としてあるが)他にもコンポーネントが用いられており、それらは、処理レイヤ(DOCSIS MAC、DAVIC OOBチャンネル、MPEGなど)とメディアプロセッサや他の特定のSoCやASIC装置などである。これらの付加的なコンポーネントと機能については、同様に、ケーブル及び組込みシステムの分野では、当業者にとっては従来技術の中で公知となっており、ここでは詳細に説明しない。
【0082】
また、図4の装置206には、OCAP1.0規格準拠のアプリケーションとJava(登録商標)で構築したミドルウェアが搭載されていて、実質的に、その上で動作する装置とアプリケーションの動作を管理する。本発明の広帯域の同調およびデマルチクレクシング機能を実現するために、多様な装置とソフトウェア構造を用いることが可能であり、図4に示した装置は単なる例証となっていることは、当業者であれば当然であると認識されるものである。例えば、他のミドルウェア(例えば、MHP、MHEGあるいはACAP)を、実施例で示したOCAPミドルウェアに代えて用いることも可能である。
【0083】
図4Aは、図4のCPE206のRFフロントエンド402の一実施例を示すものである。フロントエンド402は、広帯域同調器420(例えば、ブロードロジック・ネットワーク・テクノロジー(Broadlogic Network Technologies)社製のWBR装置などの単一の広帯域同調器、あるいは、広帯域同調器の機能を効率的に集約した複数の同調器を含むもの)と、一つあるいはそれ以上の数のQAM復調器および暗号解読器422(中継局装置について上述したように、単一の装置あるいは統合した装置として実装されているもの)、さらに、トランスポートストリーム・デマルチプレクサ(および、ジッタ補償器)424を含んでいる。また、デマルチプレクサ424の(論理的な)出力にも、例えば、従来技術として公知の種類のMPEG2デコーダなどのデコーダ段426が、設けられている。
【0084】
よく知られているように、認証済みのPE206の暗号解読段は、適切な鍵ストリームを用いることにより、対象とする番組の暗号解読を行なう。本実施例では、暗号解読機能が、復調器422に組み込まれている。従って、広帯域コンテンツ番組のパケットは、モジュール422内の複数の暗号解読エンジンによって暗号解読され、その後、デコードのために、デマルチプレクシングされる。しかし、復調器422の後に暗号解読段を設けて、デマルチプレクシングとジッタ補償424を行なうような、他の構成を用いることも可能である。
【0085】
前述したように、広帯域CPE206の本実施例は、広帯域多重化環境とレガシーな利用環境の両方で動作することが望ましい。レガシーなCPEを用いて所望の番組を受信するためには、CPEは、適切なRFチャンネルを受信するように同調し、受信した信号を復調し、復調された信号を必要に応じて暗号解読し、復調され暗号解読された多重信号をデマルチプレクシングして、最後に、適切な番組をデコードできることが必須となる。番組を受信するために、どのRFチャンネルに同調させるかに関する情報は、通常は、番組情報テーブルで定義されており、これらのテーブルは、同一のトランスポートストリームあるいは、CPEに送られる隣接した他のパケットストリームを用いて、繰り返し送信される。
【0086】
例えば、OpenCable(登録商標)規格を実装したCPEでは、このような所望の番組チャンネルから実際の詳細な同調周波数への変換は、例えば、PATあるいはPMTなどの、プログラム特有情報(PSI)内に含まれている特別な記述子を用いて行なわれる。一つの変形としては、PMT内で、相互参照あるいはマッピングを定義するものがある。他の実施例としては、イベント情報テーブル(EIT)内に格納された情報を用いて、所望の番組と、詳細な同調周波数との間の関連付けを行なうものがある。他の方法を用いても同様の結果が得られる。
【0087】
本発明の実施例のCPE206は、広帯域同調について、上述した同調機構と類似の機構を用いている。全てのテーブル形式を実質的にレガシーシステムに対しても適合するという要求を設けることにより、図4Aに示した一実施例を適用して同調手順が構成できるという利点がある。所定のコンテンツ番組は、複数のRF搬送波を同時に復調することを要求する場合には、それは広帯域番組であることを示すものとなる。他のテーブル内容には、番組が使う複数のチャンネルの数(M)が設定されている。CPE206が、この数をデコードした段階で、CPEは、当該番組の広帯域変調に用いられるQAMチャンネル周波数を、テーブル中のさらに他の内容の中から検索ことが可能となる。この情報処理の一つの変形としては、全てのM個のチャンネルを連続するように選択して、開始(あるいは終了)点を表すシンタックスと、連続したチャンネル(例えば、“[開始点]から始るM個の連続したチャンネル”あるいは“[終了点]を表す点まで連続したM個のチャンネル”)の数に対応したフィールドとを利用するものがある。この後者の方法は、テーブルビット数のダウンストリーム伝送の効率を向上させる効果がある。
【0088】
本発明による、番組同調ロジックの一実施例を、図5に示す。CPE206が、特定の番組に同調すると、その同調した番組が、広帯域番組であるかどうかを、まず最初に判定する(ステップ502)。もし番組が、広帯域番組でない場合は(例えば、上述したテーブル内容および/あるいは他の記載内容から判断して)、処理を従来の同調ステップ(ステップ504)に進める。もし、番組が、広帯域番組であると判断された場合には、CPEは、広帯域番組がそのデコード能力の範囲内にあると判断する(ステップ506)。もし番組をデコードできない場合には、ユーザにフィードバックし(例えば、“デコード不能”メッセージをユーザの表示装置に表示し)、および/あるいは(アップストリームOOBチャンネルを介するなどして)内容を伝送する(ステップ508)。もし番組がデコード可能である場合には、番組の同調チャンネル情報を取り出し解析する(ステップ510)。さらに、ステップ512において、追加処理を行なうが、これらの追加処理は、デコードされたコンテンツをさらにデコードし表示するために必要な様々な処理であるが、当業者にとっては従来技術として公知のものである。
【0089】
パケットジッタ、遅延および再順序付け
同一の番組あるいは同一のコンテンツストリームに属するパケットは、多様な物理的な搬送波(すなわち、ATM VPI/VCIに類似の複数の物理的チャンネルを介して確立された論理的チャンネル)を経由してCPE206に到達することができ、その結果、これらのパケットは、CPEでは、順序が入れ替わったり、順序が入り乱れた状態で受信されることとなる。本発明の一実施例では、CPE206に、パケットの再順序付け機能を設けている。この再順序付け機能の一つの変形としては、連続性カウンタ(CC)フィールドを、パケットのMPEGヘッダ部のビットのヘッダに設けるものがある。この方法の利点は、既存のプロトコル構成をそのまま利用し、パケットオーバーヘッドや他の機構を付加しなくて済むという点にある。しかし、本発明のパケット再順序付け処理は、MPEGのCCフィールド構成に、本質的に依存したものではない。すなわち、他にも多くのトランスポートプロトコルによって、ヘッダフィールドにパケットカウンタを設けて、このようなパケット再順序付けを行なうことが可能となる。さらに、以下に説明するジッタ補償(例えば、ジッタバッファ)や、特に、遅く到着したパケットの潜伏時間を上限を設定する同様の方法の利用など、パケット管理のための他の機構を、再順序付けと併せて用いることが可能である。
【0090】
一般的に、広帯域多重のM個のチャンネルの各々に用いられる変調パラメータは、同一ではない。これにより、CPE206に対しては、パケットは、中継局側のマルチプレクサへの入力から、CPE側のデマルチプレクサ424の出力までの間で、遅延にばらつきが生じるという問題が発生する。いくつかのアプリケーションでは、コンテンツ番組内でのこのような時間軸上のジッタを除去するため、CPEを実装する必要がある。搬送波に用いられるコンステレーションなどの変数に依存して、終端間のパケットの遅延は異なる。ジッタ除去操作は、パケットに組み込まれ、ジッタの程度(例えば、システムあるいはSIクロックあるいは他の時間要素に関連したパラメータ)を表すタイムスタンプを調べるなどの、いくつかの異なる方法を用いて行なうことが可能である。本発明のジッタ補償器424は、ジッタ補償器(および/あるいは、関連する変調器/復調器自身)が動的に補償されるように、取り出された時間情報に関連した、広帯域多重内の各QAM搬送波の変調特性を解析する方法を利用している。適切なタイミング情報を取り出し、任意のジッタを補償する受信端(例えば、CPE206)でのタイミング調整機能は、デジタル形式のオーディオ/ビデオ番組に関するリアルタイム性に対する要求仕様を満足するものとなる。
【0091】
エッジQAMでの実装
ある種のアプリケーションでは、ケーブルシステム事業者は、いわゆる“ギガビット・イーサネット(登録商標)”(GBE)あるいは同様のデータインフラとプロトコルを用いて、基幹ネットワーク(すなわち、中継局とネットワークハブとの間)でオーディオ/ビデオコンテンツを伝送している。従って、デジタルテレビ信号がQAMチャンネルに変調される地点には、ハブが用いられる。この機能を担う構成装置は、一般的に“エッジQAM”装置と呼ばれるものである。エッジQAM装置では、所定のコンテンツ番組に属するパケットは、入力(例えば、ギガビット・イーサネット(登録商標))インターフェースから選択され、所望の出力ポートに伝送される。
【0092】
従って、本発明の他の実施例においては、図2のケーブルシステム中継局200に実装されたHD統計的多重の、QAM変調などの構成要素が、エッジQAMに実装され、あるいは、必要とされる機能性(例えば、多重化、変調および暗号化)の全てが、エッジ装置に実装されている。図6は、システム600の一実施例を示すものであり、ここでは、中継局602が、例えば、光ファイバーネットワーク604を介して、光受信機606に接続され、最終的にエッジQAM608に接続されている。光ネットワークは、例えば、高密度波長分割多重(DWDM)、OFDM、あるいはこれらと同種の方式を含んでいる。光受信機は、光“トランスポートストリーム”をデマルチプレックシングし、例えば、GBEインターフェースあるいは非同期シリアル・インターフェース(ASI)を介して、このデータをエッジQAM装置608に提供する。エッジQAM装置608は、ネットワークのケーブル(RF)部の様々な搬送波610に、信号を変調する。
【0093】
中継局602とエッジQAM608の間には、文字通り任意の種類の媒体(あるいは、実質的に複数の種類の、シリアルあるいはパラレル構成された媒体)を配置することができる。さらに、複数の同種あるいは異種のエッジ装置を用いることも可能である。例えば、全てのハブに、同一の構成をもつエッジQAMを用いたり、あるいは、第一の構成をもつものを配信ハブに用い、他の構成をもつものを他のハブに用いることが可能である。さらに、全体のネットワークは、ハイブリッド化した構成や、異種のものを組み合せた非均質な構成で実装することが可能である。例えば、所定のサービス地域のある部分は、図2Aに示した構成と類似のものとし、他の部分は、図6(図6A参照)に示した構成と類似のものとすることが可能である。
【0094】
さらに、前述のGBEシステムで説明したものは、単に例証にすぎない。例えば、非同期転送モード(ATM)バックボーンや他の種類のネットワーク/プロトコルを利用して、ネットワークの様々な構成要素間を接続する媒体を構成することが可能である。
【0095】
また、本発明の方法は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアの任意の構成あるいは組み合せを用いて実現することが可能であり、様々な物理的あるいは論理的な構成要素の中に組み込むことが可能である。例えば、上述したHD広帯域多重機能は、ネットワーク(例えば、前述したMEM212)内に置かれた、中継局、ノードあるいはハブなどの単一の装置で実行される一つあるいはそれ以上の数のコンピュータプログラムの形で実現することが可能である。一方、このコンピュータプログラムは、同一の場所あるいは異なる場所に配置された様々なハードウェア環境に配備された、一つあるいはそれ以上の数のコンポーネントを有するものであってよい。他の例としては、機能の一部は、その上で実行可能なコードを含む、専用あるいは特定用途向けICとして実装することも可能である。本発明を実施する構成としては、この他にも多様な構成があり、それらは、本開示を知る当業者であれば、容易に理解可能なものである。
【0096】
広帯域時差配信
本発明の広帯域装置および方法は、HD解像度の増加や、擬似VOD(NVOD)を含む他の利点をもたらす用途にも用いることが可能である。特に、一実施例として、所定の高品位ビデオ(例えば、HD)番組のタイムシフトコピーを、広帯域多重で伝送するような、番組の“時差配信”がある。時差配信とは、同一の番組の同一の複写物に対して、それらの開始時間に時差を設けて、互いに多重化し、トランスポートストリームを作る処理である。視聴者が、トランスポートストリームに同調させると、次の時差で送られた番組の複写物の受信が開始されると同時に、視聴者は、番組の開始から視聴を始めることができる。これにより、長い時間を待たされることなく(例えば、次に予定されている、映画の一巻の2時間枠などの繰り返しを待つことなく)、VODに類似した機能性が得られる。例えば、120分物の映画の24本の複写物の場合、各複写物に概ね1.2Mbpsの帯域幅を割当てると、ケーブルネットワークの一つのQAMチャンネルで5分づつずらして開始させることができる。視聴者がこの多重状態に同調させると、視聴者は、番組の複写物の開始から5分以上経過しない状態で、視聴を始めることができる。
【0097】
上述したように、番組の各タイムシフト版は、異なる配信を含んでいる。従って、MSOは、ユーザに対して、VODに類似した機能を提供することができ、この場合、潜伏時間(すなわち、NVODが、実際のVODと実際にどれだけ“近い”ものとなっているかを示す指標であり、上記の例では、その値は5分であったもの)は、時間遅延と広帯域多重の数値によって定まるものとなる。
【0098】
上述した潜伏時間と、多重化された同一の番組の複写物の数の間には、トレードオフの関係がある。例えば、上記の例で示した時差配信ストリームは、番組を12の複写物に分けると、それらの開始時間は10分の時差とすることも可能である。従って、サービス提供者は、再度アクセス可能となる番組の所定の部分に関する待ち時間あるいは潜伏時間が短くなるサービスを、視聴者に対して提供しようとする際には、番組のより多くの複写物を多重化する必要が生じる。
【0099】
時差配信の方法を、通常、12Mbpsから18Mbpsの圧縮率の(HD番組などの)高品位番組に適用しようとすると、高々3つの複写物しか時差配信できない。しかし、本発明の広帯域多重を用いると、より多くの複写物を収容するために利用可能な帯域幅をさらに増やせるため、視聴者に強いる待ち時間や潜伏時間を短縮できる。例として、4つのQAMチャネルからなる広帯域多重の場合、各々120分間のHD番組を12個の複写物に分け、各々を12Mbpsで伝送するものと仮定すると、結果として待ち時間は10分以下となる。
【0100】
従って、本発明による広帯域多重を利用することにより、単一の多重で多重化されたHD番組を時差配信する制限を克服でき、システム運用者に対しては、最小のユーザ待ち時間で高品位の擬似VODを時差配信するサービスを供給できる能力を提供できるという利点がもたらされる。
【0101】
また、本発明の広帯域同調を用いることにより、従来技術(狭帯域)のシステムにあるような単一の物理的チャンネルからの“同調外れ”を回避するという利点が得られ、これにより、時差配信をより効果的なものとすることができる。特に、ユーザは、所定の時差をもつように調整された時間枠で広帯域多重にアクセスするだけで、時差配信される番組の複写物にアクセスでき、これにより、別のマルチキャスト/時差配信チャンネルに同調させる必要がなくなる。
【0102】
ビジネス形態
本発明の他の特徴として、前述した“広帯域”中継局、エッジおよびCPE機能を用いることにより、様々なビジネス形態を実現することが可能となる。すでに説明したように、ユーザに対して、新たなCPEへの更新を強制したり、サービスが受けられない状況におかれることを強いることがないように管理する方法で、特定のサービス地域あるいは利用者の部分集合を、新たな(広帯域)CPEに移行させることが可能である。
【0103】
しかし、さらに進んだビジネスモデルとしては、例えば、更新されたCPEや広帯域PCEを、“特約”機能として利用者/加入者に(有料、プロモーションあるいは無料の如何に関わらず)提供することも考えられる。すでに説明したように、広帯域受信機に、2つあるいはそれ以上の数の動作モード(例えば、8QAM、4QAM、2QAMなど)を備えさせて、これらのモード間の切替えを基本的には継ぎ目のないものとすれば、加入者にとって、装置故障、保守あるいはモード変更の間に、変化する番組の条件に応じた信頼性と連続性とをより強化した形で提供される。例えば、従来技術での単一のQAMをもつCPEでは、単一のQAMが欠落すると、(少なくとも一時的には)ストリームサービス中のHDコンテンツあるいはその他のコンテンツが失われることになる。これに対し、8QAMの広帯域システムで単一のQAMが欠落した場合には、中継局のマルチプレクサのQAMプール容量が減ることとなり、これにより、強制的にモード移行が行なわれる(例えば、欠落したQAMが4QAMに含まれない場合には、4QAMにモード移行する)。このモード移行は、モードを移行させる時期と移行先のモードをCPEに通知するための、単純な帯域内通信あるいはOOBダウンストリーム通信等を介して、継ぎ目なく行なうことができる。また、中継局とCPEは、“QAMパッケージ”あるいは予め決められた特定のQAMの組とともに構成することが可能であり、これにより、中継局は、QAMパッケージ番号をCPEに伝送するだけでよくなる。これに代えて、所定の動作条件のもとで、例えば保守などの状況では、プログラムを使って、QAMパッケージをモード移行させることも可能である。
【0104】
ユーザあるいは加入者は、広帯域CPEを導入(あるいは、既設のレガシーなCPEを交換)することに対して、金銭的あるいは他の奨励的な還付を受けることが可能である。これは、所定のサービス地域における広帯域CPEの普及率が高ければ高いほど、MSOあるいはプロバイダ事業者にとっては、HD番組に関する統計的多重化の効率が高くなるという利点が得られるからである。一例として、図2に示した広帯域統計的マルチプレクサ(MEM212)が、レガシーな(狭帯域)CPEのみを含む既設CPEと通信を行なう限定された状況を考える。MEMは、単一QAMを用いて、各CPEとの間の通信を行なうため、広帯域MEM212を導入する利点は結果として阻害されてしまう。しかし、他の制限(すなわち、配備する全てのCPEを広帯域CPEとする場合)の元では、上述した多重化の方式の全ての利点を享受することができる。従って、MSOに金銭的な還元を行なって、できるだけ多くの広帯域CPEを配備させ、これを実現する一つの可能な方法として、加入者に対して、奨励金の支払いや割引き、その他の奨励的な還元を行ない、契約をとりまとめることが現実的なものとなる。
【0105】
本発明のいくつかの特徴について、その方法を、指定された順序で実行するステップの形で説明してきたが、これらの説明は、本発明の様々な方法の一部を例証しているにすぎず、特定のアプリケーションの必要に応じて修正することが可能である。いくつかのステップは、特定の状況では、不必要なものであったり、オプションであったりする。さらに、いくつかのステップあるいは機能性を、開示された実施例に付け加えることが可能であり、あるいは、二つあるいはそれ以上の数のステップの実行順序は、入れ替えることも可能である。このような変更の全ては、ここで開示され請求された本発明に包含されているものである。
【0106】
以上の詳細な記述では、本発明の特徴を様々な実施例に適用した形で説明してきたが、図示した装置あるいは処理の形態および詳細については、当業者によって、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、様々な省略、置換えならびに変更が可能である。前述の説明は、現状で考えられうる、本発明実施の最良の形態である。この説明は、限定的なものではなく、本発明の一般的な原理を例証したものに過ぎない。本発明の範囲を、特許請求の範囲で定義する。
【図面の簡単な説明】
【0107】
本発明の上記の特徴と利点、さらにその他の特徴と利点について、以下の図面とともに、例示的な実施例の以下の詳細な説明によって説明するが、図面においては、同一あるいは同様のシステム部位および/あるいは方法のステップについては、同一の符号を用いている。
【図1】量子化ステップを有し、速度調整を行うように構成された多入力単一出力マルチプレクサの従来例を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明で有用なHFCケーブルネットワークアーキテクチャの一実施例を示す機能ブロック図である。
【図2a】図2のネットワークのマルチプレクサと復調および暗号化モジュール(MEM)の一実施例を示す機能ブロック図であり、複数の(例えば、12個の)HD番組が複数のQAM搬送波の上で多重化され変調されている図である。
【図2b】図2のネットワークのマルチプレクサと復調および暗号化モジュール(MEM)の第二の実施例を示す機能ブロック図であり、分離した復調器と暗号器が用いられている図である。
【図2c】図2のネットワークのマルチプレクサと復調および暗号化モジュール(MEM)の一実施例を示す機能ブロック図であり、分離したアップコンバータ(周波数逓昇変換器)が用いられている図である。
【図3】本発明による広帯域マルチプレクサの一実施例を示す機能ブロック図であり、量子化、多重化および暗号化の機能を示した図である。
【図4】本発明のCPEの一実施例を示す機能ブロック図であり、その内部の構成要素を示した図である。
【図4a】図4のCPEの機能ブロック図であり、広帯域信号の受信、信号の処理およびHDでコーダへの伝送の部分を示した図である。
【図5】本発明の一実施例による、コンテンツのダウンロードで用いられるコンピュータに実装された処理の一例のフローチャートである。
【図6】本発明によるネットワークアーキテクチャの他の例の機能ブロック図であり、光ネットワークとエッジQAMを利用した図である。
【図6a】本発明によるネットワークアーキテクチャのさらに他の例の機能ブロック図であり、広帯域中継局MEMと、分離した光ネットワークとエッジQAMとを利用した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルテレビネットワークを介した複数の高品位(HD)番組の効率的な伝送のためのコンテンツ配信システムであって、
前記複数のHD番組を受信する第一の装置と、
第一の装置に対し相互に作用しあうように結合され、事業者が管理する複数のルールに従って前記複数のHD番組を処理するように構成されたサーバ装置であって、前記処理は、前記HD番組の各々の少なくとも一部を少なくとも一つの統計的手法にもとづき多重化する処理を含むことを特徴とするサーバ装置と、
前記処理されたHD番組を複数のRFチャンネルを介して伝送するように構成された伝送装置であって、前記伝送装置は複数の変調器を含むことを特徴とする伝送装置とを含むコンテンツ配信システムであって、
前記統計的多重化は、少なくとも一部は、前記複数のHD番組の利用と、前記複数のRFチャンネルを介した前記HD番組の各々の前記伝送にもとづいて、より効率的に行われることを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、前記複数の変調器の数は、前記複数のRFチャンネルの数と同一であることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1記載のシステムにおいて、前記統計的手法にもとづく多重化は、少なくとも一部が、
複数のN個の入力待ち行列の中から、前記HD番組の複数の異なるものに対応したコンテンツデータパケットを選択的に取り出す第一の処理と、
前記取り出されたコンテンツデータパケットを、前記複数のRFチャンネルに選択的に割り当てる第二の処理を含み、前記異なる複数のHD番組の少なくとも一つに対応するパケットは、前記RFチャンネルの複数のものを介して配信されることを特徴とする統計的多重化装置を用いて行われることを特徴とするシステム。
【請求項4】
複数のRFチャンネルに設けられた複数の情報搬送波から実質的に同時に送信されたコンテンツを受信するCPEであって、
前記複数の搬送波から同時に複数の第一信号を受信可能な同調段と、
前記複数の第一信号を復調する復調段と、
前記復調された信号の少なくとも一部を暗号解読する暗号解読段と、
前記暗号解読段に相互に作用しあうように結合された再構成装置であって、前記装置は、前記暗号解読され復調された信号を、前記送信コンテンツとして再構成することを特徴とする装置とを含むことを特徴とするCPE。
【請求項5】
請求項4記載のCPEにおいて、コンテンツ再構成装置は、順序付けられた複数のパケットを提供することを特徴とするCPE。
【請求項6】
請求項5記載のCPEにおいて、前記順序は、一つあるいはそれ以上の数のMPEGストリームに対応した連続性カウンタにもとづいて決定されることを特徴とするCPE。
【請求項7】
請求項4記載のCPEにおいて、前記復調され暗号解読された信号の少なくとも一部は、MPEGパケットを含み、前記コンテンツ再構成装置は、前記MPEGパケットの少なくとも一部のタイミング補正を提供することを特徴とするCPE。
【請求項8】
請求項7記載のCPEにおいて、前記タイミング補正は、少なくとも一部は、前記搬送波の各々の変調手順に関連した情報にもとづいて行われることを特徴とするCPE。
【請求項9】
請求項4記載のCPEにおいて、前記暗号解読は、搬送波ごとに独立した暗号解読器を実質的に用いて行われることを特徴とするCPE。
【請求項10】
請求項4記載のCPEにおいて、前記複数のRFチャンネルの少なくとも一部は、実質的に互いに不連続となっていることを特徴とするCPE。
【請求項11】
第一のCPEが配備されたサービス地域にケーブルネットワークサービスを提供する方法であって、前記第一のCPEは、前記ケーブルネットワークの第一の数のチャンネルを介して、少なくとも一つの番組を受信するように構成されていることを特徴とし、
前記サービス地域の第一の部分に第二のCPEを提供するステップであり、前記第二のCPEは、前記ケーブルネットワークの第二の数のRFチャンネルを介して、少なくとも一つの番組を同時に受信するように構成されていることを特徴とするステップと、
前記サービス地域に、前記第一の数のチャンネルを介して少なくとも一つの番組を、第一の時間帯に送信するステップと、
前記サービス地域の第二の部分に、第二のCPEを提供するステップと、
その後、前記サービス地域に、前記第二の数のチャンネルを介して、少なくとも一つの番組を送信するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、前記第一のCPEはレガシーCPEを含み、前記第一の数は1を含み、前記第二のCPEは広帯域CPEを含み、前記第二の数は1よりも大きな数を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11記載の方法において、前記第一のCPEは広帯域CPEを含み、前記第一の数は1よりも大きな数を含み、前記第二のCPEは広帯域CPEを含み、前記第二の数は、前記第一の数よりも大きな数を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、前記サービス地域に、前記第一の数のチャンネルを介して少なくとも一つの番組を、第一の時間帯に送信する前記動作は、広帯域多重を、前記第二の数のチャンネルの部分集合に制限することを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記部分集合は、前記第一の数のチャンネルよりも少ないか等しいものであることを特徴とする方法。
【請求項16】
複数のレガシーCPEと複数の広帯域CPEとを相互に作用しあうように結合して有するケーブルネットワークを運用する方法であって、
複数のコンテンツ要素を含む、少なくとも一つの第一の番組を配信するステップであって、前記配信の動作は、前記ネットワークの複数の搬送波を介して前記コンテンツ要素を送信することを含むことを特徴とするステップと、
前記広帯域CPEが、前記少なくとも一つの第一の番組を受信しデコードできるように、前記配信の一部として番組情報を提供するステップであって、前記レガシーCPEが前記第一の番組をデコードしないように前記番組情報が構成されていることを特徴とするステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法は、さらに、レガシー形式で送信される少なくとも一つの第二の番組が、前記レガシーCPEと前記広帯域CPEの両者によって受信されデコードされるように、番組情報データを提供するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、前記第一の番組は、暗号化されたストリームを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17記載の方法において、前記番組情報データは、複数の物理的な搬送波を有するように定義されたバーチャルなサービスを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
高品位(HD)番組の効率的な伝送のためのコンテンツ配信システムであって、
複数のHD番組を受信する第一の装置と、
前記第一の装置に対し相互に作用しあうように結合され、事業者が管理する複数のルールに従って前記複数のHD番組を処理するように構成されたサーバ装置と、
前記処理された番組を複数のRFチャンネルを介して伝送し、前記チャネルの少なくとも一部は連続していないことを特徴とする伝送装置とを含むことを特徴とするシステムにおいて、
前記番組の少なくとも一つの少なくとも一部は、前記複数のRFチャンネルの各々を用いて伝送され、
前記複数の番組の前記処理は、非コンテンツデータを前記番組に挿入することを含み、前記非コンテンツデータは、受信機において前記番組を受信する際に有用となることを特徴とするシステム。
【請求項21】
ケーブルネットワークで有用となる統計的多重化装置であって、
複数のN個の入力待ち行列の中から、複数の異なる番組に対応したコンテンツデータパケットを選択的に取り出す第一の処理と、
前記取り出されたコンテンツデータパケットを、M個のRFチャンネルに選択的に割り当てる第二の処理を含み、
前記複数の異なる番組の少なくとも一つに対応するパケットは、前記M個のRFチャンネルの複数のものを介して配信されることを特徴とする統計的多重化装置。
【請求項22】
コンテンツ配信システムであって、
複数のコンテンツを受信する第一の装置と、
第一の装置に対し相互に作用しあうように結合され、事業者が管理する複数のルールに従って前記複数のコンテンツを処理するように構成されたコンテンツサーバ装置と、
前記処理されたコンテンツを複数のRFチャンネルを介して伝送するように構成された伝送装置であって、前記チャネルの少なくとも一部は不連続となっていることを特徴とする伝送装置とを含むコンテンツ配信システムにおいて、
前記コンテンツに含まれる番組の少なくとも一部は、前記RFチャンネルの複数のものを用いて各々伝送されることを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項23】
複数のコンテンツを受信する第一の装置と、
第一の装置に対し相互に作用しあうように結合され、事業者が管理する複数のルールに従って前記複数のコンテンツを処理するように構成されたコンテンツサーバ装置と、
前記処理されたコンテンツを複数のRFチャンネルを介して伝送するように構成された伝送装置であって、前記チャネルの少なくとも一部は不連続となっていることを特徴とする伝送装置とを含むコンテンツ配信システムにおける、高品位(HD)ビデオの配信のために関連するケーブルシステムの帯域幅の利用を改善するための方法であって、
前記コンテンツの一部として、複数のHD番組を提供するステップと、
前記コンテンツの一部として、複数の標準品質(SD)番組を提供するステップと、
前記コンテンツの一部として、複数の他のデータ番組を提供するステップと、
前記HD、SDおよび他のデータ番組を、前記複数のRFチャンネル上で多重化するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
ケーブルネットワークで利用するための中継局コンテンツ配信システムであって、
複数の入力コンテンツストリームを受信するための少なくとも一つのインターフェースと、
前記複数の入力コンテンツストリームを処理し、多重化形式で複数の出力ストリームを生成するマルチプレクサと、
前記複数の出力ストリームを暗号化する暗号化段と、
前記暗号化された出力ストリームを複数の搬送波に変調する変調段と、
前記変調された信号を、前記ネットワークを介して配信するためのRFチャンネルに変換する周波数逓昇段とを含むことを特徴とする中継局コンテンツ配信システム。
【請求項25】
複数のレガシーCPEと複数の広帯域CPEとを相互に作用しあうように結合されて有するケーブルネットワーク内のCPEを運用する方法であって、
複数のコンテンツ要素を含む少なくとも一つの第一の番組を受信するステップであって、前記受信の動作は、前記ネットワークの複数の搬送波を介して、前記コンテンツ要素を受信することを含むことを特徴とするステップと、
前記広帯域CPEが、前記少なくとも一つの第一の番組を受信しデコードできるように、前記受信の一部として番組情報を取り出すステップであって、前記レガシーCPEが前記少なくとも一つの第一の番組をデコードしないように前記番組情報が構成されていることを特徴とするステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項25記載の方法において、番組情報を取り出す前記動作は、
前記データを取り出すために、前記広帯域CPEに配備されたオブジェクト指向コンピュータプログラムを用いるステップと、
前記取り出されたデータに少なくとも一部がもとづいて、前記少なくとも一つの第一の番組をデコードするステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項25記載の方法は、さらに、レガシー形式で送信された少なくとも一つの第二の番組が、前記レガシーCPEと前記広帯域CPEの両者によってデコードできるように、番組情報データを取り出すステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項26記載の方法において、前記第一の番組は、暗号化されたストリームを含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項27記載の方法において、前記番組情報データは、複数の物理的な搬送波を有するように定義されたバーチャルなサービスを提供することを特徴とする方法。
【請求項30】
レガシーCPEを相互に作用しあうように結合されて有するケーブルネットワーク内で動作する広帯域CPEであって、
複数の第一のコンテンツ要素を含む少なくとも一つの第一の番組と、複数の第二のコンテンツ要素を含む少なくとも一つの第二の番組とを受信するRF同調装置であって、前記同調装置は、前記ネットワークの複数の搬送波を介して、前記第一および第二のコンテンツ要素を受信することを特徴とするRF同調装置と、
前記広帯域CPEが、前記少なくとも一つの第一の番組と前記少なくとも一つの第二の番組の両者をデコードできるように、前記受信の動作の一部として、番組情報データを受信するデータ処理装置とを含むことを特徴とする広帯域CPEにおいて、
前記レガシーCPEが前記少なくとも一つの第一の番組をデコードしないように前記番組情報が構成されていることを特徴とする広帯域CPE。
【請求項31】
請求項30記載のCPEにおいて、前記RF同調装置は、前記複数の搬送波の全体の周波数帯域より少ない周波数帯域で受信する複数の同調器を含むことを特徴とするCPE。
【請求項32】
請求項30記載のCPEにおいて、前記RF同調装置は、前記複数の搬送波の全体の周波数帯域と少なくとも同じ大きさの周波数帯域で受信する、実質的に単一の同調器を含むことを特徴とするCPE。
【請求項33】
請求項30記載のCPEにおいて、前記CPEは、少なくとも第一および第二のモードで動作するように構成され、前記第一のモードは、第一の数の搬送波を介してコンテンツ要素を受信することを含み、前記第二のモードは、第二の数の搬送波を介してコンテンツ要素を受信することを含み、前記第一および第二の数は互いに異なることを特徴とするCPE。
【請求項34】
ケーブルネットワークを介して擬似VODサービスを提供する方法であって、
複数の搬送波を介して広帯域多重を提供するステップであって、前記広帯域多重は、少なくとも一つの番組のタイムシフトした複数の複製物を搬送することを特徴とするステップと、
ユーザのCPEにおいて、前記広帯域多重を受信するステップと、
前記複製物の少なくとも一つに選択的にアクセスするステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項34記載の方法において、複数の搬送波を介して広帯域多重を提供する前記動作は、狭帯域多重で搬送することが可能な、前記タイムシフトした複製物として更に追加したものを、前記多重の時間内で搬送することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【図4a】
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【図5】
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【図6】
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【図6a】
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【公表番号】特表2008−524928(P2008−524928A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546880(P2007−546880)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/045340
【国際公開番号】WO2006/065948
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(507020059)タイム ワーナー ケーブル、インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】