説明

広角レンズ、撮像装置、広角レンズの製造方法

【課題】大画角でありながら高い結像性能を有する広角レンズを提供する。
【解決手段】開口絞りより物体側の前群Gfと、該開口絞りより像側の後群Grとを有し、前記前群は負の屈折力を有する部分群Gaを有し、当該部分群Gaは、最も物体側から順に、少なくとも3枚の負レンズを有し、当該少なくとも3枚の負レンズのうち少なくとも1枚は非球面負メニスカスレンズであり、前記非球面負メニスカスレンズは、レンズ中心部から周辺部に向かうにつれて負の屈折力が小さくなる形状を有し、前記部分群Gaよりも像側に、正レンズと負レンズと正レンズとの接合よりなる接合レンズを有し、所定の条件を満足することを特徴とする広角レンズ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影光学系に最適な広角レンズ、撮像装置、および広角レンズの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラに使用されるレトロフォーカス型広角レンズ(以後、本明細書中では単に「広角レンズ」と記す。)が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−159732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の広角レンズは、さらに大画角化を実現しようとすると、高い結像性能を維持することが難しいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、開口絞りより物体側の前群と、該開口絞りより像側の後群とを有し、前記前群は負の屈折力を有する部分群を有し、当該部分群は、最も物体側から順に、少なくとも3枚の負レンズを有し、当該少なくとも3枚の負レンズのうち少なくとも1枚は非球面負メニスカスレンズであり、前記非球面負メニスカスレンズは、レンズ中心部から周辺部に向かうにつれて負の屈折力が小さくなる形状を有し、前記部分群よりも像側に、正レンズと負レンズと正レンズとの接合よりなる接合レンズを有し、以下の条件を満足することを特徴とする広角レンズを提供する。
0.30 < |Rasp| / hasp < 0.90
−1.00 < (Rr+Rf) / (Rr−Rf) < 0.00
ただし、Raspは前記形状を有する前記非球面負メニスカスレンズの非球面の近軸曲率半径、haspは前記形状を有する前記非球面負メニスカスレンズの有効径の1/2(最大有効半径)、Rrは前記接合レンズ中の前記負レンズの像側レンズ面の曲率半径、Rfは前記接合レンズ中の前記負レンズの物体側レンズ面の曲率半径をそれぞれ示す。
【0006】
また、本発明は、前記広角レンズを備えたことを特徴とする撮像装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、開口絞りより物体側の前群と、該開口絞りより像側の後群とを有する広角レンズの製造方法であって、前記前群の物体側の部分群に、レンズ中心部から周辺部に向かうにつれて負の屈折力が小さくなる形状を有する非球面負メニスカスレンズを含む、少なくとも3枚の負レンズを配置し、前記部分群よりも像側に、正レンズと負レンズと正レンズとの接合よりなる接合レンズを配置し、前記広角レンズが以下の条件を満足するようにしたことを特徴とする広角レンズの製造方法を提供する。
0.30 < |Rasp| / hasp < 0.90
−1.00 < (Rr+Rf) / (Rr−Rf) < 0.00
ただし、Raspは前記形状を有する前記非球面負メニスカスレンズの非球面の近軸曲率半径、haspは前記形状を有する前記非球面負メニスカスレンズの有効径の1/2(最大有効半径)、Rrは前記接合レンズ中の前記負レンズの像側レンズ面の曲率半径、Rfは前記接合レンズ中の前記負レンズの物体側レンズ面の曲率半径をそれぞれ示す。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、大画角でありながら高い結像性能を有する広角レンズと、これを有する撮像装置と、広角レンズの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施例に係る広角レンズの無限遠合焦状態におけるレンズ構成を示す断面図である。
【図2】第1実施例に係る広角レンズの無限遠合焦状態における諸収差を示す図である。
【図3】第2実施例に係る広角レンズの無限遠合焦状態におけるレンズ構成を示す断面図である。
【図4】第2実施例に係る広角レンズの無限遠合焦状態における諸収差を示す図である。
【図5】第3実施例に係る広角レンズの無限遠合焦状態におけるレンズ構成を示す断面図である。
【図6】第3実施例に係る広角レンズの無限遠合焦状態における諸収差を示す図である。
【図7】第1実施例に係る広角レンズを備えた撮像装置(カメラ)の構成を示す図である。
【図8】実施の形態に係る広角レンズの製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る広角レンズについて説明する。なお、以下の実施形態は、発明の理解を容易にするためのものに過ぎず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において当業者により実施可能な付加・置換等を施すことを排除することは意図していない。
【0011】
本実施形態に係る広角レンズは、開口絞りより物体側の前群と、開口絞りより像側の後群とを有し、前群は負の屈折力を有する部分群を有し、当該部分群は、最も物体側から順に、少なくとも3枚の負レンズを有し、当該少なくとも3枚の負レンズのうち少なくとも1枚は非球面負メニスカスレンズから構成され、当該非球面負メニスカスレンズは、レンズ中心部から周辺部に向かうにつれて負の屈折力が小さくなる形状を有し、前記部分群よりも像側に、正レンズと負レンズと正レンズとの接合よりなる接合レンズを有し、以下の条件式(1)、(2)を満足する。
(1) 0.30 < |Rasp| / hasp < 0.90
(2)−1.00 < (Rr+Rf) / (Rr−Rf) < 0.00
ただし、Raspは前記形状を有する非球面負メニスカスレンズの非球面の近軸曲率半径、haspは前記形状を有する非球面負メニスカスレンズの有効径の1/2(最大有効半径)、Rrは接合レンズ中の負レンズの像側レンズ面の曲率半径、Rfは接合レンズ中の負レンズの物体側レンズ面の曲率半径をそれぞれ示す。
【0012】
このような構成により、本広角レンズは、大画角化と小型化を達成するとともに、高い結像性能を得ることができる。
【0013】
また、本広角レンズは、前群中の部分群に、非球面量の非常に大きな非球面負メニスカスレンズを少なくとも1枚有し、この非球面負メニスカスレンズによって諸収差の補正を行うことで、大画角化と小型化を達成するとともに、諸収差の補正、特に非点収差、像面湾曲、コマ収差、歪曲収差の補正を良好に行うことができる。なお、「非球面量」とは、非球面の球面からの変位量を示す。
【0014】
条件式(1)は、レンズ中心部から周辺部に向かうにつれて負の屈折力が小さくなる形状を有する非球面負メニスカスレンズの非球面量の大小に関する条件式である。条件式(1)を満足することにより、小型で大画角を有しつつ高い結像性能を有する広角レンズを達成することができる。レンズ中心部から周辺部に向かうにつれて負の屈折力が小さくなる形状を有する非球面負メニスカスレンズの非球面の近軸曲率半径(|Rasp|)を、当該非球面負メニスカスレンズの有効径の1/2の値(hasp)で割った値が1.00を下回る場合、球面では半球を超えることとなるが、非球面レンズの場合、この値が小さいほど、非球面量が大きくなることを示す。したがって、この値を規定することは、小型で大画角を有する広角レンズを実現するために重要である。
【0015】
条件式(1)の上限値を上回る場合、非球面量が小さくなり、ひいては半球を超えない形状となり、非球面は非球面量がさらに小さくなる。その結果、本広角レンズの場合、収差補正に必要な非球面量に満たないことになり、諸収差の補正、特に像面湾曲、非点収差、コマ収差の補正が困難になる。
【0016】
なお、条件式(1)の上限値を0.80にすることにより諸収差の補正を良好に行うことができる。また、条件式(1)の上限値を0.73にすることにより諸収差の補正をより良好に行うことができる。また、条件式(1)の上限値を0.70にすることにより諸収差の補正をさらに良好に行うことができ、本発明の効果を最大限に発揮することができる。
【0017】
条件式(1)の下限値を下回る場合、非球面負メニスカスレンズの非球面量が著しく大きくなり、非球面の製造が困難となる。また、歪曲収差の曲がりが著しく大きくなる。なお、「曲がり」とは、像高の違いによる収差値の差を示す。
【0018】
なお、条件式(1)の下限値を0.35にすることにより、歪曲収差の曲がりを抑制することができるとともに、非球面の製造困難性を招来することもない。また、条件式(1)の下限値を0.40にすることにより、本発明の効果を発揮することができる。また、条件式(1)の下限値を0.50にすることにより、本発明の効果を最大限に発揮することができる。
【0019】
また、条件式(2)は、前群の正負正の接合レンズ中の負レンズの形状因子(qファクター)の適切な範囲を規定する条件である。条件式(2)を満足することにより、バックフォーカスを十分に確保しつつ、高い結像性能を有する広角レンズを達成することができる。
【0020】
負レンズの場合、形状因子が−1.00の値をとると、物体側レンズ面が平面の平凹レンズであり、形状因子が0.00の値をとると、物体側レンズ面と像側レンズ面の曲率半径の絶対値が等しい、すなわち等rの両凹形状の負レンズであることを示す。したがって、本広角レンズでは、接合レンズ中の負レンズは、その物体側レンズ面の曲率半径の絶対値が、像側レンズ面の曲率半径の絶対値より必ず大きい両凹形状の負レンズとなる。このような負レンズを有する接合レンズは、諸収差の補正、特にコマ収差、像面湾曲、倍率色収差の補正を良好に行う働きを有し、この負レンズにより、主点を像側に位置させることができる。その結果、接合レンズによるこれらの効果と、前群の部分群中の負レンズによる効果とにより、本広角レンズは、非常に大きいレトロ比を実現し、十分なバックフォーカスを確保している。ここで、「レトロ比」とは、バックフォーカスBFに対する全系の焦点距離F0の比率すなわちF0/BFを示す。
【0021】
条件式(2)の上限値を上回る場合、等rの両凹のレンズ形状を超えて接合レンズ中の負レンズは、像側レンズ面の曲率半径の絶対値よりも物体側レンズ面の曲率半径の絶対値が小さい両凹形状の負レンズとなるが、このような形状の負レンズでは、主点を像側に位置させることができなくなる。また、コマ収差、像面湾曲、倍率色収差の曲がり(像高ごとの値の差)が悪化するため、大画角化が達成できなくなる。
【0022】
なお、条件式(2)の上限値を−0.01にすることにより、コマ収差、像面湾曲、倍率色収差の補正を良好に行うことができる。また、条件式(2)の上限値を−0.05にすることによりこれらの収差の補正をより良好に行うことができる。また、条件式(2)の上限値を−0.11にすることによりこれらの収差の補正をさらに良好に行うことができる。また、条件式(2)の上限値を−0.15にすることにより、本発明の効果を最大限に発揮することができる。
【0023】
条件式(2)の下限値を下回る場合、接合レンズ中の負レンズは、物体側レンズ面が平面の平凹レンズとなり、さらに下回ると、物体側レンズ面は物体側に凸面を向けたメニスカス形状となる。物体側のレンズ面が凸面になると、接合レンズ中の負レンズの物体側の接合面の収差補正効果が不十分となり、諸収差の補正、特にコマ収差、倍率色収差、球面収差が悪化する。
【0024】
なお、条件式(2)の下限値を−0.90にすることによりコマ収差等の諸収差の補正を良好に行うことができる。また、条件式(2)の下限値を−0.80にすることによりコマ収差等の諸収差の補正をより良好に行うことができる。また、条件式(2)の下限値を−0.70にすることにより、コマ収差等の諸収差の補正をさらに良好に行うことができ、本発明の効果を最大限に発揮することができる。
【0025】
また、本広角レンズは、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3) 0.00 < Ff / F0 < 11.00
ただし、Ffは無限遠合焦時における前群の焦点距離、F0は無限遠合焦時における広角レンズの焦点距離をそれぞれ示す。
【0026】
条件式(3)は、前群の焦点距離の適切な範囲を規定する条件式である。条件式(3)を満足することにより、大画角で高い結像性能を有する広角レンズを達成することができる。
【0027】
本広角レンズでは、前群の屈折力が正の値をとり、前群に大きい屈折力を持たせている。前群に正の大きい屈折力を持たせることによって、前群だけで一定の屈折力を持つレトロフォーカス型広角レンズを構成することができる。
【0028】
条件式(3)の上限値を上回る場合、前群の屈折力が小さくなりレトロフォーカス屈折力配置が弱まるため、広角レンズの全長が大型化する。ここで無理に小型化すると、球面収差、コマ収差が悪化する。
【0029】
なお、条件式(3)の上限値を9.00にすることにより、小型化を達成するとともに、諸収差の補正を良好に行うことができる。また、条件式(3)の上限値を7.00にすることにより、諸収差の補正をより良好に行うことができる。また、条件式(3)の上限値を5.00にすることにより、諸収差の補正をさらに良好に行うことができ、本発明の効果を最大限に発揮することができる。
【0030】
条件式(3)の下限値を下回る場合、無限遠合焦時における前群の焦点距離が負の値をとるようになり最適な屈折力配置が崩れ、開口絞りの直前までの前群が負の屈折力を有することとなる。その結果、球面収差、コマ収差、特に上方コマ収差が悪化する。
【0031】
なお、条件式(3)の下限値を0.10にすることにより、諸収差の補正を良好に行うことができる。また、条件式(3)の下限値を0.20にすることにより、諸収差の補正をより良好に行うことができる。また、条件式(3)の下限値を0.50にすることにより、諸収差の補正をさらに良好に行うことができ、本発明の効果を最大限に発揮することができる。
【0032】
また、本広角レンズは、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
(4) −0.30 < F0 / Fb < 0.50
ただし、F0は無限遠合焦時における広角レンズの焦点距離、Fbは接合レンズの焦点距離をそれぞれ示す。
【0033】
条件式(4)は、前群中の接合レンズの屈折力について適切な範囲を規定している。条件式(4)を満足することにより、小型で大画角を有しつつも高い結像性能を有する広角レンズを達成することができる。
【0034】
本広角レンズは、接合レンズ中の負レンズに大きい屈折力を持たせることによって、接合レンズの正の屈折力を小さくし、又は接合レンズに負の屈折力を持たせているため、小型化と大画角化を実現することができる。
【0035】
条件式(4)の上限値を上回る場合、接合レンズ中の負レンズの屈折力は小さくなり、接合レンズ全体での正の屈折力が大きくなる。その結果、レトロ比が小さくなり、バックフォーカスの確保が困難になる。また、倍率色収差が悪化する。
【0036】
なお、条件式(4)の上限値を0.40にすることにより倍率色収差の補正を良好に行うことができる。また、条件式(4)の上限値を0.30にすることにより倍率色収差の補正をより良好に行うことができる。また、条件式(4)の上限値を0.25にすることにより倍率色収差の補正をさらに良好に行うことができ、本発明の効果を最大限に発揮することができる。
【0037】
条件式(4)の下限値を下回る場合、接合レンズ中の負レンズの屈折力が著しく大きくなるため接合レンズの負の屈折力が大きくなり、像面湾曲、歪曲収差、倍率色収差の曲がりが悪化する。
【0038】
なお、条件式(4)の下限値を−0.20にすることにより諸収差の補正、特に像面湾曲、歪曲収差、倍率色収差の補正を良好に行うことができる。また、条件式(4)の下限値を−0.10にすることにより諸収差の補正、特に像面湾曲、歪曲収差、倍率色収差の補正の補正をより良好に行うことができる。また、条件式(4)の下限値を−0.15にすることにより諸収差の補正、特に像面湾曲、歪曲収差、倍率色収差の補正の補正をさらに良好に行うことができ、本発明の効果を最大限に発揮することができる。
【0039】
また、本広角レンズは、部分群が前記非球面負メニスカスレンズとは別に非球面レンズを有することが望ましい。このような構成により、軸外収差の補正、特に歪曲収差、像面湾曲、コマ収差の補正を良好に行うことができる。
【0040】
また、本広角レンズでは、前記非球面レンズは、レンズ中心部よりも周辺部において負の屈折力が大きいことが望ましい。このような非球面レンズと、前述の非球面負メニスカスレンズ(レンズ中心部から周辺部に向かうにつれて負の屈折力が小さくなる非球面負メニスカスレンズ)は逆の非球面効果を有するため、これらを組み合わせることで、本広角レンズは、大画角を有しつつも像面湾曲、非点収差、コマ収差の補正を良好に行うことができる。なお、レンズ中心部よりも負の屈折力が大きくなるのは最周辺部であることがより望ましい。
【0041】
また、本広角レンズは、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
(5) 0.01 < (−Fa) / BF < 0.80
ただし、Faは部分群の焦点距離、BFは広角レンズの最も像側のレンズ面の頂点から近軸像面までの距離(バックフォーカス)をそれぞれ示す。
【0042】
条件式(5)は、本広角レンズの部分群の焦点距離(屈折力)について適切な範囲を規定する条件式である。条件式(5)を満足することにより、バックフォーカスを確保しつつ、小型で高い結像性能を有する広角レンズを達成することができる。
【0043】
条件式(5)の上限値を上回る場合、部分群の焦点距離が長くなり、部分群の屈折力が小さくなる。この場合、レトロ比が小さくなり、バックフォーカスの確保が困難になる。また、前群の大型化、ひいては広角レンズの大型化を招来する。ここで無理な小型化やバックフォーカスの確保を行うと、コマ収差等の軸外収差が悪化する。
【0044】
なお、条件式(5)の上限値を0.70にすることにより本発明の効果を確実にすることができる。また、条件式(5)の上限値を0.50にすることにより本発明の効果をより確実にすることができる。また、条件式(5)の上限値を0.40にすることにより本発明の効果を最大限に発揮することができる。
【0045】
条件式(5)の下限値を下回る場合、部分群の焦点距離が短くなり、部分群の屈折力が大きくなる。部分群の屈折力が著しく大きくなると、歪曲収差、像面湾曲、コマ収差が悪化する。
【0046】
なお、条件式(5)の下限値を0.10にすることにより諸収差の補正を良好に行うことができる。また、条件式(5)の下限値を0.15にすることにより諸収差の補正をより良好に行うことができる。また、条件式(5)の下限値を0.20にすることにより諸収差の補正をさらに良好に行うことができ、本発明の効果を最大限に発揮することができる。
【0047】
また、本広角レンズは、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
(6) 4.00 < Fr / F0 < 50.00
ただし、Frは無限遠合焦時における後群の焦点距離、F0は無限遠合焦時における広角レンズの焦点距離をそれぞれ示す。
【0048】
条件式(6)は、後群の焦点距離(屈折力)について適切な範囲を規定する条件式である。条件式(6)を満足することにより、高い結像性能を有する広角レンズを達成することができる。
【0049】
条件式(6)の上限値を上回る場合、後群の屈折力が小さくなり、歪曲収差、コマ収差が悪化する。
【0050】
なお、条件式(6)の上限値を40.00にすることにより諸収差の補正を良好に行うことができる。また、条件式(6)の上限値を35.00にすることにより諸収差の補正をより良好に行うことができる。また、条件式(6)の上限値を30.00にすることにより諸収差の補正をさらに良好に行うことができ、本発明の効果を最大限に発揮することができる。
【0051】
条件式(6)の下限値を下回る場合、後群の屈折力が著しく大きくなり、球面収差、コマ収差が悪化する。
【0052】
なお、条件式(6)の下限値を4.50にすることにより諸収差の補正を良好に行うことができる。また、条件式(6)の下限値を5.10にすることにより諸収差の補正をより良好に行うことができる。また、条件式(6)の下限値を6.00にすることにより諸収差の補正をさらに良好に行うことができ、本発明の効果を最大限に発揮することができる。
【0053】
また、本広角レンズは、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
(7) 0.05 < Nn − ((Np1+Np2)/2) < 0.30
ただし、Nnは接合レンズ中の負レンズのd線に対する屈折率、Np1は接合レンズ中の物体側正レンズのd線に対する屈折率、Np2は接合レンズ中の像側正レンズのd線に対する屈折率をそれぞれ示す。
【0054】
条件式(7)は、接合レンズ中の2枚の正レンズの平均屈折率と、接合レンズ中の負レンズの屈折率との差について適切な範囲を規定する条件式である。条件式(7)を満足することにより、高い結像性能を有する広角レンズを達成することができる。
【0055】
条件式(7)の上限値を上回る場合、接合レンズ中の2枚の正レンズの平均屈折率と、負レンズの屈折率の差が大きくなり、ペッツバール和が最適な値とならず、像面湾曲、非点収差が悪化する。
【0056】
なお、条件式(7)の上限値を0.25にすることにより諸収差の補正を良好に行うことができる。また、条件式(7)の上限値を0.20にすることにより諸収差の補正をより良好に行うことができる。また、条件式(7)の上限値を0.19にすることにより諸収差の補正をさらに良好に行うことができ、本発明の効果を最大限に発揮することができる。
【0057】
条件式(7)の下限値を下回る場合、接合レンズ中の2枚の正レンズの平均屈折率と、負レンズの屈折率の差が小さくなり、像面湾曲、コマ収差、球面収差が悪化する。
【0058】
なお、条件式(7)の下限値を0.08にすることにより諸収差の補正を良好に行うことができる。また、条件式(7)の下限値を0.10にすることにより諸収差の補正をより良好に行うことができる。また、条件式(7)の下限値を0.12にすることにより諸収差の補正をさらに良好に行うことができ、本発明の効果を最大限に発揮することができる。
【0059】
また、本広角レンズは、部分群が負レンズのみからなることが望ましい。このような構成により、前玉径を小径化することができる。また、歪曲収差の曲がりを抑制することができる。
【0060】
以下、本実施形態に係る広角レンズの各数値実施例について添付図面に基づいて説明する。
【0061】
(第1実施例)
図1は、第1実施例に係る広角レンズのレンズ構成を示す断面図である。
【0062】
第1実施例に係る広角レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する前群Gfと、開口絞りSと、正の屈折力を有する後群Grとから構成されている。
【0063】
前群Gfは負の屈折力を有する部分群Gaを有し、部分群Gaは、最も物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズLf1と、物体側に凸面を向け像側のレンズ面に非球面量が大きい非球面を設けた負メニスカスレンズLf2(Lasp)と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズLf3と、物体側に凸面を向け像側の面に非球面を設けた負メニスカスレンズLf4とから構成されている。負メニスカスレンズLf4は、ガラスレンズと樹脂との複合よりなる複合型非球面レンズで構成される。
【0064】
前群Gfは、部分群Gaよりも像側に、物体側から順に、両凸形状の正レンズLf5と両凹形状の負レンズLf6と両凸形状の正レンズLf7との接合よりなる接合正レンズGbを有し、さらに接合正レンズGbより像側に、物体側から順に、両凸形状の正レンズLf8と両凹形状の負レンズLf9との接合よりなる接合負レンズと、両凸形状の正レンズLf10とを有している。
【0065】
後群Grは、物体側から順に、両凸形状の正レンズLr1と両凹形状の負レンズLr2との接合よりなる接合負レンズと、両凸形状の正レンズLr3と、両凹形状の負レンズLr4と両凸形状の正レンズLr5との接合よりなる接合負レンズと、両凸形状の正レンズLr6と像側に凸面を向けた負メニスカスレンズLr7との接合よりなる接合負レンズとから構成されている。
【0066】
以下の表1に第1実施例に係る広角レンズの諸元値を示す。
【0067】
表中の(面データ)において、面番号は物体側から数えたレンズ面の番号、rはレンズ面の曲率半径、dはレンズ面間隔、ndはd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、νdはd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、物面は物体面、(絞り)は開口絞りS、像面は像面Iをそれぞれ示している。なお、空気の屈折率をnd=1.000000と記載している。また、曲率半径r欄の「∞」は平面を示している。また、レンズ面が非球面である場合には面番号に*印を付して曲率半径の欄には近軸曲率半径を示している。
【0068】
(非球面データ)には、(面データ)に示した非球面について、その形状を次式で表した場合の非球面係数を示す。
X(y)=(y/r)/[1+[1−κ(y/r)]1/2]
+A3×|y|+A4×y+A6×y+A8×y+A10×y10
+A12×y12+A14×y14+A16×y16+A18×y18
【0069】
ここで、光軸に垂直な方向の高さをy、高さyにおける光軸方向の変位量(サグ量)をX(y)、基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)をr、円錐係数をκ、n次の非球面係数をAnとする。なお、「E-n」は「×10-n」を示し、例えば「1.234E-05」は「1.234×10-5」を示す。
【0070】
(各種データ)において、F0は焦点距離、FNOはFナンバー、ωは半画角(単位:°)、Yは像高、TLはレンズ系の全長、BFはバックフォーカス、haspはレンズ中心部から周辺部に向かうにつれて負の屈折力が小さくなる形状を有する非球面負メニスカスレンズ(Lasp)の有効径の1/2をそれぞれ表している。
【0071】
(レンズ群データ)は、各レンズ群の始面番号と、各レンズ群の焦点距離をそれぞれ示す。
【0072】
(条件式対応値)は、各条件式の対応値をそれぞれ示す。
【0073】
なお、以下の全ての諸元値において、掲載されている焦点距離f、曲率半径r、面間隔dその他の長さ等は、特記の無い場合一般に「mm」が使われるが、光学系は比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これらに限られるものではない。また、単位は「mm」に限定されること無く他の適当な単位を用いることもできる。さらに、これらの記号は、以降の他の実施例においても同様とし説明を省略する。
【0074】
(表1)第1実施例
(面データ)
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1) 55.7193 6.0000 1.816000 46.63
2) 35.5890 8.0000 1.000000
3) 38.4103 5.0000 1.744429 49.52
4)* 16.3041 15.2654 1.000000
5) 46.4851 4.0000 1.497820 82.56
6) 26.2269 7.1871 1.000000
7) 243.1206 3.2000 1.816000 46.63
8) 38.0000 0.3000 1.553890 38.09
9)* 47.2922 10.2085 1.000000
10) 89.3594 5.0000 1.620040 36.24
11) -56.6985 2.0000 1.772500 49.61
12) 20.1399 16.2376 1.620040 36.30
13) -44.0814 0.1000 1.000000
14) 182.3038 7.7000 1.516800 64.12
15) -18.4419 1.0000 1.755000 52.29
16) 850.8298 0.1000 1.000000
17) 31.8462 6.0000 1.517420 52.32
18) -28.2936 1.0000 1.000000
19>(絞り) ∞ 1.5000 1.000000
20) 747.4754 5.8000 1.516800 64.12
21) -16.2847 1.0000 1.772500 49.61
22) 133.1446 4.9671 1.000000
23) 79.0725 5.0000 1.516800 64.12
24) -31.8944 0.1000 1.000000
25) -375.6194 1.0000 1.834810 42.72
26) 26.0116 7.5000 1.497820 82.52
27) -36.6478 0.1000 1.000000
28) 4349.6200 9.0000 1.497820 82.52
29) -17.5712 1.0000 1.772500 49.61
30) -54.0317 53.0362 1.000000
像面 ∞

(非球面データ)
第4面
κ= 0.2107
A3= 0.00
A4= 5.35500E-07
A6= 2.01830E-08
A8= -5.31700E-11
A10= 6.83930E-14
A12= 0.000
A14= -0.47143E-19
A16= -0.22240E-22
A18= -0.55629E-25

第9面
κ= -13.9080
A3= 0.81216E-05
A4= 2.85450E-05
A6= -2.74190E-08
A8= -1.66860E-11
A10= 2.75060E-13
A12= 0.14148E-14
A14= -0.93816E-17
A16= 0.16488E-19
A18= 0.00

(各種データ)
F0 = 17.11
FNO = 4.08
ω = 63.03°
Y = 33.00
TL = 188.30
BF = 53.036
hasp= 23.45

(レンズ群データ)
群 始面 焦点距離
Gf 1 16.350
Gr 20 355.951

(条件式対応値)
(1): |Rasp|/hasp = 0.695
(2): (Rr+Rf)/(Rr−Rf)= −0.475
(3): Ff/F0 = 0.956
(4): F0/Fb = 0.189
(5): (−Fa)/BF = 0.254
(6): Fr/F0 =20.816
(7): Nn−((Np1+Np2)/2)=0.153
【0075】
図2は、第1実施例に係る広角レンズの無限遠合焦時の諸収差図を示す。
【0076】
各収差図において、FNOはFナンバー、ωは半画角(単位:度)、dはd線(波長λ=587.6nm)、およびgはg線(波長λ=435.8nm)をそれぞれ示す。また非点収差において、実線はサジタル像面、点線はメリジオナル像面を示す。コマ収差における実線はメリジオナルコマ収差を示す。なお、以下に示す他の実施例の収差図においても、本実施例と同様の符号を用い以後の説明を省略する。
【0077】
各諸収差図より、第1実施例に係る広角レンズは諸収差が良好に補正され優れた結像性能を有していることがわかる。
【0078】
(第2実施例)
図3は、第2実施例に係る広角レンズのレンズ構成を示す断面図である。
【0079】
第2実施例に係る広角レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する前群Gfと、開口絞りSと、正の屈折力を有する後群Grから構成されている。
【0080】
前群Gfは負の屈折力を有する部分群Gaを有し、部分群Gaは、最も物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズLf1と、物体側に凸面を向け像側の面に非球面量が大きい非球面を設けた負メニスカスレンズLf2(Lasp)と、物体側に凸面を向け像側の面に非球面を設けた負メニスカスレンズLf3とから構成されている。負メニスカスレンズLf3は、ガラスレンズと樹脂との複合よりなる複合型非球面レンズで構成されている。
【0081】
また、前群Gfは、部分群Gaよりも像側に、物体側から順に、両凸形状の正レンズLf4と両凹形状の負レンズLf5と両凸形状の正レンズLf6との接合よりなる接合正レンズGbを有し、さらに接合正レンズGbよりも像側に、物体側から順に、両凸形状の正レンズLf7と両凹形状の負レンズLf8との接合よりなる接合負レンズと、両凸形状の正レンズLf9とを有している。
【0082】
後群Grは、物体側から順に、両凸形状の正レンズLr1と両凹形状の負レンズLr2との接合よりなる接合負レンズと、両凸形状の正レンズLr3と、両凹形状の負レンズLr4と両凸形状の正レンズLr5との接合よりなる接合負レンズと、両凸形状の正レンズLr6と像側に凸面を向けた負メニスカスレンズLr7との接合よりなる接合正レンズとから構成されている。
【0083】
以下の表2に第2実施例に係る広角レンズの諸元値を示す。
【0084】
(表2)第2実施例
(面データ)
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1) 42.3831 4.0000 1.816000 46.63
2) 23.2938 6.3000 1.000000
3) 27.5491 3.5000 1.729030 54.04
4)* 9.7702 14.2885 1.000000
5) 273.4999 2.0000 1.755000 52.29
6) 40.0000 0.5000 1.553890 38.09
7)* 55.6948 6.1625 1.000000
8) 49.1830 7.0000 1.672700 32.11
9) -16.1713 1.5000 1.816000 46.63
10) 9.7963 10.7268 1.620040 36.30
11) -36.6819 0.1000 1.000000
12) 533.9192 5.0000 1.516800 64.12
13) -10.9681 1.0000 1.755000 52.29
14) 233.8827 0.1000 1.000000
15) 26.0608 4.0000 1.517420 52.32
16) -15.6077 1.0000 1.000000
17>(絞り) ∞ 1.0000 1.000000
18) 103.7491 3.8000 1.516800 64.12
19) -11.1953 1.0000 1.772500 49.61
20) 171.1107 3.5000 1.000000
21) 204.9527 3.0000 1.516800 64.12
22) -20.2930 0.1000 1.000000
23) -82.6214 1.0000 1.834810 42.72
24) 22.2173 5.5000 1.497820 82.52
25) -24.2790 0.1000 1.000000
26) 84.6349 7.5000 1.497820 82.52
27) -15.1083 1.0000 1.772500 49.61
28) -38.2138 38.0998 1.000000
像面 ∞

(非球面データ)
第4面
κ= 0.1747
A3= 0.00
A4= -5.40210E-06
A6= 3.09140E-08
A8= -1.36590E-10
A10= -3.34770E-13
A12= -0.37424E-15
A14= -0.19508E-18
A16= -0.17694E-19
A18= -0.21704E-22

第7面
κ= -13.1668
A3= 0.00
A4= 2.72000E-05
A6= -5.96150E-08
A8= -2.51320E-11
A10= 4.73940E-13
A12= 0.20073E-14
A14= -0.18435E-16
A16= 0.60550E-20
A18= 0.37962E-21

(各種データ)
F0= 10.3
FNO= 4.17
ω= 64.84°
Y= 21.6
TL= 132.78
BF= 38.10
hasp= 16.06

(レンズ群データ)
群 始面 焦点距離
Gf 1 17.872
Gr 18 69.147

(条件式対応値)
(1): |Rasp|/hasp = 0. 608
(2): (Rr+Rf)/(Rr−Rf)=−0.246
(3): Ff/F0 = 1.735
(4): F0/Fb = 0.0404
(5): (−Fa)/BF = 0.301
(6): Fr/F0 = 6.714
(7): Nn−((Np1+Np2)/2)= 0.168
【0085】
図4は、第2実施例に係る広角レンズの無限遠合焦時の諸収差図を示す。
【0086】
各諸収差図より、第2実施例に係る広角レンズは諸収差が良好に補正され優れた結像性能を有していることがわかる。
【0087】
(第3実施例)
図5は、第3実施例に係る広角レンズのレンズ構成を示す断面図である。
【0088】
第3実施例に係る広角レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する前群Gfと、開口絞りSと、正の屈折力を有する後群Grとから構成されている。
【0089】
前群Gfは負の屈折力を有する部分群Gaを有し、部分群Gaは、最も物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズLf1と、物体側に凸面を向け像側の面に非球面量が大きい非球面を設けた負メニスカスレンズLf2(Lasp)と、物体側に凸面を向け像側の面に非球面を設けた負メニスカスレンズLf3とから構成されている。負メニスカスレンズLf3は、ガラスと樹脂との複合よりなる複合型非球面レンズで構成されている。
【0090】
また、前群Gfは、部分群Gaよりも像側に、物体側から順に、両凸形状の正レンズLf4と両凹形状の負レンズLf5と両凸形状の正レンズLf6との接合よりなる接合負レンズGbを有し、さらに接合負レンズGbよりも像側に、物体側から順に、両凸形状の正レンズLf7と両凹形状の負レンズLf8との接合よりなる接合負レンズと、両凸形状の正レンズLf9とを有している。
【0091】
後群Grは、物体側から順に、両凸形状の正レンズLr1と両凹形状の負レンズLr2との接合よりなる接合負レンズと、両凸形状の正レンズLr3と、両凹形状の負レンズLr4と両凸形状の正レンズLr5との接合よりなる接合負レンズと、両凸形状の正レンズLr6と像側に凸面を向けた負メニスカスレンズLr7との接合よりなる接合正レンズとから構成されている。
【0092】
以下の表3に第3実施例に係る広角レンズの諸元値を示す。
【0093】
(表3)第3実施例
(面データ)
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1) 45.0887 4.0000 1.816000 46.63
2) 25.2008 6.3000 1.000000
3) 29.6192 3.5000 1.729030 54.04
4)* 9.8560 15.8448 1.000000
5) 236.1722 2.0000 1.497820 82.56
6) 40.0000 0.5000 1.553890 38.09
7)* 60.5981 6.1625 1.000000
8) 86.9847 8.0000 1.717360 29.52
9) -19.2982 1.5000 1.816000 46.63
10) 9.6120 10.7268 1.620040 36.30
11) -41.2930 0.8000 1.000000
12) 283.9959 2.5000 1.516800 64.12
13) -10.5331 1.0000 1.755000 52.29
14) 256.1395 0.1000 1.000000
15) 26.8460 4.4394 1.517420 52.32
16) -14.9478 0.5000 1.000000
17>(絞り) ∞ 1.5000 1.000000
18) 102.3075 2.5000 1.516800 64.12
19) -11.1953 0.8000 1.772500 49.61
20) 155.7889 3.5000 1.000000
21) 324.2212 3.0000 1.516800 64.12
22) -19.9279 0.1000 1.000000
23) -80.8508 1.0000 1.834810 42.72
24) 22.9204 5.5000 1.497820 82.52
25) -23.3970 0.1000 1.000000
26) 103.6067 7.5000 1.497820 82.52
27) -15.1862 1.0000 1.772500 49.61
28) -38.2138 38.0981 1.000000
像面 ∞

(非球面データ)
第4面
κ= 0.1762
A3= 0.00
A4= -6.35770E-06
A6= 4.44690E-08
A8= -7.73560E-11
A10= -1.74660E-13
A12= -0.21396E-17
A14= 0.62903E-18
A16= -0.15122E-19
A18= -0.21704E-22

第7面
κ= -10.5548
A3= 0.00
A4= 2.43610E-05
A6= -4.61180E-08
A8= 3.69100E-11
A10= 6.01950E-13
A12= 0.19444E-14
A14= -0.23879E-16
A16= -0.22081E-19
A18= 0.48172E-21

(各種データ)
F0= 10.3
FNO= 4.08
ω= 64.85°
Y= 21.6
TL= 132.47
BF= 38.10
hasp= 16.57

(レンズ群データ)
群 始面 焦点距離
Gf 1 16.756
Gr 18 72.338

(条件式対応値)
(1): |Rasp|/hasp = 0. 595
(2): (Rr+Rf)/(Rr−Rf)= −0.335
(3): Ff/F0 = 1.627
(4): F0/Fb = −0.00212
(5): (−Fa)/BF = 0.352
(6): Fr/F0 = 7.023
(7): Nn−((Np1+Np2)/2)= 0.147
【0094】
図6は、第3実施例に係る広角レンズの無限遠合焦時の諸収差図を示す。
【0095】
各諸収差図より、第3実施例に係る広角レンズは諸収差が良好に補正されていることがわかる。
【0096】
以上の各実施例によれば、包括角2ω=129.7°を超え、さらにF4程度の口径を有し、小型で前玉径が小さく、球面収差、像面湾曲、非点収差、コマ収差が良好に補正された高性能の広角レンズが実現できる。
【0097】
なお、以下の内容は、本願の広角レンズの光学性能を損なわない範囲で適宜採用することが可能である。
【0098】
本願の広角レンズの数値実施例として2群構成のものを示したが、本願はこれに限られず、その他の群構成(例えば、3群等)の広角レンズを構成することもできる。具体的には、本願の広角レンズの最も物体側や最も像面側にレンズ又はレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、レンズ群とは、空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0099】
また、本願の広角レンズは、無限遠物点から近距離物点への合焦を行うために、レンズ群の一部、1つのレンズ群全体、又は複数のレンズ群を合焦レンズ群として光軸方向へ移動させる構成としてもよい。また、かかる合焦レンズ群は、オートフォーカスに適用することも可能であり、オートフォーカス用のモータ、例えば超音波モータ等による駆動にも適している。
【0100】
また、本願の広角レンズにおいて、いずれかのレンズ群全体又はその一部を、防振レンズ群として光軸に垂直な成分を含むように移動させ、又は光軸を含む面内方向へ回転移動(揺動)させることで、手ブレによって生じる像ブレを補正する構成とすることもできる。特に、本願の広角レンズでは後群の少なくとも一部を防振レンズ群とすることが好ましい。
【0101】
また、本願の広角レンズを構成するレンズのレンズ面は、球面又は平面としてもよく、或いは非球面としてもよい。レンズ面が球面又は平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、レンズ加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を防ぐことができるため好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないため好ましい。レンズ面が非球面の場合、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に成型したガラスモールド非球面、又はガラス表面に設けた樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれでもよい。また、レンズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)或いはプラスチックレンズとしてもよい。
【0102】
また、本願の広角レンズにおいて開口絞りは前群と後群の間に配置されることが好ましいが、開口絞りとして部材を設けずにレンズ枠でその役割を代用する構成としてもよい。
【0103】
また、本願の広角レンズを構成するレンズのレンズ面に、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜が施してもよい。これにより、フレアやゴーストを軽減し、高コントラストの高い光学性能を達成することができる。
【0104】
次に、本願の広角レンズを備えた撮像装置について図面を参照しつつ説明する。図7は、第1実施例に係る広角レンズを備えた撮像装置(カメラ)の構成を示す図である。
【0105】
本カメラ1は、図7に示すように撮影レンズ2として上記第1実施例に係る広角レンズを備えたデジタル一眼レフカメラである。
【0106】
本カメラ1において、不図示の物体(被写体)からの光は、撮影レンズ2で集光されて、クイックリターンミラー3を介して焦点板4に結像される。そして焦点板4に結像されたこの光は、ペンタプリズム5中で複数回反射されて接眼レンズ6へ導かれる。これにより撮影者は、被写体像を接眼レンズ6を介して正立像として観察することができる。
【0107】
また、撮影者によって不図示のレリーズボタンが押されると、クイックリターンミラー3が光路外へ退避し、撮影レンズ2で集光された不図示の被写体からの光は撮像素子7上に被写体像を形成する。これにより被写体からの光は、当該撮像素子7により撮像され、被写体画像として不図示のメモリに記録される。このようにして、撮影者は本カメラ1による被写体の撮影を行うことができる。
【0108】
ここで、本カメラ1に撮影レンズ2として搭載した上記第1実施例に係る広角レンズは、上記第1実施例において説明したように、その特徴的なレンズ構成によって、像面湾曲、非点収差、コマ収差が少なく、大画角を有する広角レンズを実現している。これにより本カメラ1は、像面湾曲、非点収差、コマ収差が少なく、大画角を有し広角撮影可能な薄型撮像装置を実現することができる。
【0109】
なお、上記実施例では第1実施例に係る広角レンズを撮影レンズ2として搭載してカメラ1を構成した例を示したが、上記第1実施例以外の実施例に係る広角レンズを搭載しても上記カメラ1と同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0110】
以下、本願の広角レンズの製造方法の概略を図8に基づいて説明する。図8は、本願の広角レンズの製造方法を示す図である。
【0111】
本願の広角レンズの製造方法は、開口絞りより物体側の前群と、該開口絞りより像側の後群とを有する広角レンズの製造方法であって、図8に示す各ステップS1〜S3を含むものである。
【0112】
ステップS1:
ステップS1は、前群の物体側の部分群に、レンズ中心部から周辺部に向かうにつれて負の屈折力が小さくなる形状を有する非球面負メニスカスレンズを含む、少なくとも3枚の負レンズを含む光学部材を配置する。
【0113】
ステップS2:
ステップS2は、部分群よりも像側に、正レンズと負レンズと正レンズとの接合よりなる接合レンズを含む光学部材を配置する。
【0114】
ステップS3:
ステップS3は、広角レンズが、以下の条件式(1)、(2)を満足するように前群、開口絞り、後群を含む光学部材を円筒状の鏡筒内に物体側から配置する。
(1) 0.30 < |Rasp| / hasp < 0.90
(2)−1.00 < (Rr+Rf) / (Rr−Rf) < 0.00
ただし、Raspはレンズ中心部から周辺部に向かうにつれて負の屈折力が小さくなる形状を有する非球面負メニスカスレンズの非球面の近軸曲率半径、haspはレンズ中心部から周辺部に向かうにつれて負の屈折力が小さくなる形状を有する非球面負メニスカスレンズの有効径の1/2(最大有効半径)、Rrは接合レンズ中の負レンズの像側レンズ面の曲率半径、Rfは接合レンズ中の負レンズの物体側レンズ面の曲率半径をそれぞれ示す。
【0115】
かかる本願の広角レンズの製造方法によれば、大画角を有し良好な光学性能を備えた広角レンズを製造することができる。
【0116】
なお、上記各実施例は本発明の一具体例を示しているものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0117】
Gf: 前群
Gr: 後群
Ga: 部分群
Gb: 接合レンズ
S: 開口絞り
I: 像面
1: カメラ
2: 撮影レンズ
3: クイックリターンミラー
4: 焦点板
5: ペンタプリズム
6: 接眼レンズ
7: 撮像素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口絞りより物体側の前群と、該開口絞りより像側の後群とを有し、
前記前群は負の屈折力を有する部分群を有し、当該部分群は、最も物体側から順に、少なくとも3枚の負レンズを有し、当該少なくとも3枚の負レンズのうち少なくとも1枚は非球面負メニスカスレンズであり、
前記非球面負メニスカスレンズは、レンズ中心部から周辺部に向かうにつれて負の屈折力が小さくなる形状を有し、
前記部分群よりも像側に、正レンズと負レンズと正レンズとの接合よりなる接合レンズを有し、
以下の条件を満足することを特徴とする広角レンズ。
0.30 < |Rasp| / hasp < 0.90
−1.00 < (Rr+Rf) / (Rr−Rf) < 0.00
ただし、
Rasp:前記形状を有する前記非球面負メニスカスレンズの非球面の近軸曲率半径
hasp:前記形状を有する前記非球面負メニスカスレンズの有効径の1/2(最大有効半径)
Rr:前記接合レンズ中の前記負レンズの像側レンズ面の曲率半径
Rf:前記接合レンズ中の前記負レンズの物体側レンズ面の曲率半径
【請求項2】
以下の条件を満足することを特徴とする請求項1に記載の広角レンズ。
0.00 < Ff / F0 < 11.00
ただし、
Ff:無限遠合焦時における前記前群の焦点距離
F0:無限遠合焦時における前記広角レンズの焦点距離
【請求項3】
以下の条件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の広角レンズ。
−0.30 < F0 / Fb < 0.50
ただし、
F0:無限遠合焦時における前記広角レンズの焦点距離
Fb:前記接合レンズの焦点距離
【請求項4】
前記部分群は、前記非球面負メニスカスレンズとは別に非球面レンズを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の広角レンズ。
【請求項5】
前記非球面レンズは、レンズ中心部よりも周辺部において負の屈折力が大きいことを特徴とする請求項4に記載の広角レンズ。
【請求項6】
以下の条件を満足することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の広角レンズ。
0.01 < (−Fa) / BF < 0.80
ただし、
Fa:前記部分群の焦点距離
BF:前記広角レンズの最も像側のレンズ面の頂点から近軸像面までの距離
【請求項7】
以下の条件を満足することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の広角レンズ。
4.00 < Fr / F0 < 50.00
ただし、
Fr:無限遠合焦時における前記後群の焦点距離
F0:無限遠合焦時における前記広角レンズの焦点距離
【請求項8】
以下の条件を満足することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の広角レンズ。
0.05 < Nn − ((Np1+Np2)/2) < 0.30
ただし、
Nn:前記接合レンズ中の負レンズのd線に対する屈折率
Np1:前記接合レンズ中の物体側正レンズのd線に対する屈折率
Np2:前記接合レンズ中の像側正レンズのd線に対する屈折率
【請求項9】
前記部分群は、負レンズのみからなることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の広角レンズ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の広角レンズを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
開口絞りより物体側の前群と、該開口絞りより像側の後群とを有する広角レンズの製造方法であって、
前記前群の物体側の部分群に、レンズ中心部から周辺部に向かうにつれて負の屈折力が小さくなる形状を有する非球面負メニスカスレンズを含む、少なくとも3枚の負レンズを配置し、
前記部分群よりも像側に、正レンズと負レンズと正レンズとの接合よりなる接合レンズを配置し、
前記広角レンズが以下の条件を満足するようにしたことを特徴とする広角レンズの製造方法。
0.30 < |Rasp| / hasp < 0.90
−1.00 < (Rr+Rf) / (Rr−Rf) < 0.00
ただし、
Rasp:前記形状を有する前記非球面負メニスカスレンズの非球面の近軸曲率半径
hasp:前記形状を有する前記非球面負メニスカスレンズの有効径の1/2(最大有効半径)
Rr:前記接合レンズ中の前記負レンズの像側レンズ面の曲率半径
Rf:前記接合レンズ中の前記負レンズの物体側レンズ面の曲率半径

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−102863(P2011−102863A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257359(P2009−257359)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】