説明

床暖房パネル

【課題】床暖房パネルのパネル材を下地板に固定するための釘を、誤ってパネル材の薄肉部へ打ち込むことを防止できるようにする。
【解決手段】熱媒体を通すチユーブを敷設するための床暖房パネルである。パネル材15における一方の面16に、チューブ2を敷設するための敷設溝3が形成される。他方の面17における溝3の底部に相当する位置に、その位置が溝底部であることを表示する表示部18が設けられている。表示部18は、他方の面17に形成された凹部によって形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は床暖房パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
床暖房パネルは、建物の床部分に設置されるものであるが、たとえば特許文献1に記載されているように、熱媒体としての温水を通す管を敷設するための敷設溝が表面に形成されているのが一般的である。
【0003】
このような床暖房パネルとして、たとえば図3に示すように、発泡樹脂製のパネル材1の表面に、温水を通す管としての樹脂製のチューブ2を敷設するための敷設溝3を形成したものが提案されている。敷設溝3は、チューブ2を湾曲させて敷設するときの案内となる湾曲部3Aを有する。図4に示すように、この床暖房パネルを居室4の床部に敷設する場合には、暖房効率の観点から、居室4の中央部5のみに図3のチューブ2を敷設し、中央部5を囲む壁際部6には図3のチューブ2を敷設しないことが行われている。
【0004】
図5において、7は居室4の下地板、8は壁である。下地板7の上にパネル材1が設置され、その上にフローリング材9が設置される。フローリング材9は中央部5のみならず壁際部6にも設置される。このとき、フローリング材9を設置するための基準面を形成するために、中央部5のほかに壁際部6にもパネル材1が設置される。ただし、誤って壁際部6にチューブ2を敷設しないように、壁際部6では、パネル材1を裏返しに設置して、その上面に敷設溝3が現れないように施工する。
【0005】
パネル材1は、釘10などによって下地板7に固定される。このとき、中央部5では、チューブ2を敷設すべき敷設溝3の位置を避けて釘10の打ち込みが行われる。これは、敷設溝3に釘10を打つと、その釘10がチューブ2の敷設時に邪魔になるおそれがあるとともに、敷設溝3の部分では、パネル材1の肉厚が溝底部のみとなって薄く、このため釘10が利かなくなるおそれがあることを理由とする。
【特許文献1】特開2006−292332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、壁際部6では、上述のようにパネル材1を裏返しに設置して、その上面に敷設溝3が現れないように施工しているため、上側から眺めただけでは、敷設溝3がどこに位置しているのかが分かりにくい。
【0007】
このため、誤って敷設溝3が形成されている部分に釘10を打ってしまうことがあり、その場合は上述のようにパネル材1の肉厚が薄いために釘が利きにくくなるという問題点がある。しかも、上述のように上側から眺めただけでは敷設溝3がどこに位置しているのかが分かりにくいため、打ち込んだ釘10が薄肉の敷設溝3の部分に打ち込まれたのか、あるいは十分な肉厚を有する部分に打ち込まれたのかを判別することが困難である。
【0008】
そこで本発明は、床暖房パネルのパネル材を下地板に固定するための釘を、誤ってパネル材の薄肉部へ打ち込むことを防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明の、熱媒体を通す管を敷設するための床暖房パネルは、一方の面に前記管を敷設するための敷設溝が形成され、他方の面における前記溝の底部に相当する位置に、その位置が溝底部であることを表示する手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、溝底部であることを表示する手段が、他方の面に形成された凹部であることが好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、床暖房パネルにおける熱媒体を通す管を敷設する敷設溝が形成された一方の面とは反対側の他方の面に、溝底部の位置を表示する手段を設けたため、この床暖房パネルを裏返したうえで釘うちにより下地材に固定するときに、溝が形成されている薄肉部分への釘うちを防止することができ、したがってパネルにおける敷設溝が形成されていない厚肉の部分に間違いなく釘打ちを行うことができて、このパネルを確実に下地材に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の実施の形態の床暖房パネルを構成するパネル材15の斜視図である。16はパネル材における一方の面であるが、この面16には、図3に示したものと同様の敷設溝3が形成されている。
【0013】
一方の面16とは反対側の他方の面17には、一方の面16における敷設溝3が形成されている部分に対応する位置すなわち敷設溝3の溝底に対応する位置に、溝底であることを表示するために手段としての表示部18が形成されている。この表示部18は、図1の例では、敷設溝3の位置に設けられた凹部によって形成されている。この凹部にて形成された表示部18は、作業者によって認識されるものであれば足りるため、敷設溝3に比べて浅く形成されている。また平面視の形状も、敷設溝3のようにチューブ2を案内するための図3に示す湾曲部3Aを設ける必要がないため、敷設溝3に比べて単純化されたものとされている。
【0014】
図2は、パネル材15の設置状況を示す。すなわちパネル材15は、中央部5では敷設溝3を上向きとして設置され、壁際部6では表示部18を上向きとして設置されている。そして、中央部5では敷設溝3を避けた位置で釘打ちされることにより下地板7に固定され、壁際部6では表示部18を避けた位置で釘打ちされることにより下地板7に固定されている。敷設溝3には、チューブ2が敷設されている。
【0015】
これによって、中央部5のみならず、壁際部6においても、敷設溝3が形成されている薄肉部分への釘うちを防止することができる。このため、パネル材15における敷設溝3が形成されていない厚肉の部分に間違いなく釘打ちを行うことができて、パネル材15を確実に下地板7に固定することができる。
【0016】
パネル材15は発泡樹脂やその他の樹脂によって形成されていることが好適であり、その場合は、発泡成形時において同時に敷設溝3と表示部18とを成形することができるなどの利点がある。
【0017】
表示部18は、敷設溝3の溝底部を表示できるものであれば足り、凹部は、上記のように連続したもののほかに、たとえば点線状や破線状などの不連続なものでも差支えない。また、上記した凹部に代えて、着色部などの他の態様によって実現したものであっても差支えない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態の床暖房パネルを構成するパネル材の斜視図である。
【図2】図1のパネル材の設置状況を示す図である。
【図3】従来の床暖房パネルを構成するパネル材の斜視図である。
【図4】居室における床暖房パネルの設置方法を示す平面図である。
【図5】図3のパネル材の設置状況を示す図である。
【符号の説明】
【0019】
2 チューブ
3 敷設溝
7 下地板
15 パネル材
16 一方の面
17 他方の面
18 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒体を通す管を敷設するための床暖房パネルであって、一方の面に前記管を敷設するための敷設溝が形成され、他方の面における前記溝の底部に相当する位置に、その位置が溝底部であることを表示する手段が設けられていることを特徴とする床暖房パネル。
【請求項2】
溝底部であることを表示する手段が、他方の面に形成された凹部であることを特徴とする請求項1記載の床暖房パネル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−151463(P2008−151463A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341991(P2006−341991)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(505408228)新和テック株式会社 (6)
【出願人】(000191397)新和産業株式会社 (56)
【Fターム(参考)】