説明

床用断熱材

【課題】断熱板に水が浸入したとしても、早く水を抜くことが可能な床用断熱材を提供する。
【解決手段】この床用断熱材10は、床構造を構成する枠体間に装着されて、床用面材の下方に配置されるものであり、板状に成形された、柔軟性を有しかつ自己保形性を有する断熱板11と、前記断熱板11に貼着した不織布12とを有している。前記断熱板11は、グラスウールで構成しており、前記グラスウールの密度は、24〜96kg/mであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床構造を構成する枠体間に装着されて、床用面材の下方に配置される床用断熱材に関し、更に詳しくは、断熱板と、この断熱板の片面に貼着された不織布とを有する床用断熱材に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物の建設においては、省エネルギー及び居住の快適性の観点から、断熱施工が行われており、建物の床、壁、天井、屋根下地部に断熱材が敷設されている。例えば、住宅等の床下の断熱施工においては、土台、大引き、根太等の床構造を構成する枠体の間に、断熱材を配置し、その上に床用面材(床板、床下地板)などを敷設している。
【0003】
このような床用断熱材として、下記特許文献1には、床下の大引又は根太の間に配置される床下用断熱材において、大引又は根太の間に適合する幅を有する板状の断熱材本体と、この断熱材本体の片面に貼着された透水性シートとを備え、前記透水性シートは、前記断熱材本体の両側面を覆って更に両側方に延出される長さの耳部を有するものが開示されている。なお、透水性シートは、断熱材本体の片面及び両側面に貼着されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、パネル状に成形された柔軟性を有しかつ自己保形性を有する断熱板と、断熱板の上面を覆うシートであって幅方向の両端が断熱板の幅方向両端よりも外方に突出した防湿シートと、断熱板の下面及び側面を覆うシートであって幅方向の両端部が上記防湿シートの幅方向の両端部に接着される通気性を有するシートとからなり、両シートの幅方向の両端部の接着部分で断熱板上面の幅方向両端に突出するフランジが形成された断熱材が開示されている。
【0005】
更に、下記特許文献3には、無機質繊維マットの一面に50〜100μmの厚さの合成樹脂フィルムで形成した被覆材を接着し、この被覆材の両端に形成する取付部を前記マットの両端より突出させるように設け、被覆材を下側にして両側の取付部をマットの側面に添わせて床根太の上面に固定してなる床断熱構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平2−13616号公報
【特許文献2】特開昭57−119058号公報
【特許文献3】実開昭55−132250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1,2の断熱材では、断熱板(断熱材本体)の下面及び両側面を覆うシートが、断熱板の両側面にも接着されている。このため、建物の枠体の内法寸法に比べて断熱板の幅が大きすぎる場合に、断熱板のいずれかの側面をカットして、ちょうどよい大きさに修正することができなかった。
【0008】
また、上記特許文献3に記載の断熱材では、被覆材が無機質繊維マットの一面に接着されていて、側面には接着されていないが、建物の枠体の内法寸法に比べて断熱板の幅が大きすぎる場合に、被覆材の側部を断熱板から少し剥がして、その部分で断熱板をカットする必要があり、作業が面倒であるという問題点があった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、断熱材の幅が、床構造を構成する枠体の内法寸法よりも大きすぎる場合に、現場で手軽にカットして施工できるようにした床用断熱材を提供することにある。
【0010】
また、本発明の目的は、断熱板に水が浸入したとしても、早く水を抜くことが可能な床用断熱材を提供することにある。また、枠体間に密着した状態で挿入することが可能な床用断熱材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の床用断熱材は、床構造を構成する枠体間に装着されて、床用面材の下方に配置される床用断熱材において、板状に成形された、柔軟性を有しかつ自己保形性を有する断熱板と、前記断熱板に貼着した不織布とを有していることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、断熱板に不織布を貼着したので、断熱板に水が浸入したとしても、不織布を通して水を落下させることができる。
【0013】
前記断熱板の一つの好ましい態様として、前記断熱板をグラスウールで構成することが好ましい。繊維系断熱材のグラスウールは伸縮性を有しているので、枠体間に密着した状態で挿入することができる。
【0014】
また、前記グラスウールの好ましい態様として、グラスウールの密度を24〜96kg/mとすることが好ましい。グラスウールの密度を24〜96kg/mとすることによって、柔軟性と自己保持性を有することができる。
【0015】
前記断熱板の一つの好ましい態様として、前記断熱板をロックウールで構成することが好ましい。繊維系断熱材のロックウールは伸縮性を有しているので、枠体間に密着した状態で挿入することができる。
【0016】
また、前記ロックウールの好ましい態様として、ロックウールの密度を20〜100kg/mとすることが好ましい。ロックウールの密度を20〜100kg/mとすることによって、柔軟性と自己保持性を有することができる。
【0017】
また、前記断熱板の一つの好ましい態様として、前記断熱板をポリエステルウール、又は、セルロースマットの有機繊維系断熱材で構成することが好ましい。繊維系断熱材は伸縮性を有しているので、枠体間に密着した状態で挿入することができる。
【0018】
また、前記断熱板の一つの好ましい態様として、前記断熱板を羊毛で構成することが好ましい。繊維系断熱材の羊毛は伸縮性を有しているので、枠体間に密着した状態で挿入することができる。
【0019】
また、前記不織布の一つの態様として、前記不織布をポリエステル樹脂、又は、ポリオレフィン樹脂の有機繊維で構成することが、引裂強度、耐屈曲性、経済性などの観点から好ましい。
【0020】
また、前記不織布の一つの好ましい態様として、前記有機繊維を用いた不織布に、ガラス繊維を含有させることが好ましい。有機繊維を用いた不織布に、ガラス繊維を含有させることによって、施工時に断熱板からの垂れ下がりを少なくして、枠体内に挿入しやすくすることができる。
【0021】
また、前記ガラス繊維を含有させた有機繊維系の一つの態様として、不織布において、ガラス繊維を10〜60質量%含有し、有機繊維を90〜40質量%含有することが好ましい。ガラス繊維を10〜60質量%含有し、有機繊維を90〜40質量%含有する不織布を床用断熱材に用いることによって、施工時に断熱板からの垂れ下がりを少なくして、枠体内に挿入しやすくすることができる。なお、無機繊維の含有量が10質量%未満では、不織布の垂れ下がりを防止する効果が乏しくなり、無機繊維の含有量が60質量%を超えると、柔軟性が乏しくなり、施工時に繊維が折れて破断しやすくなる。
【0022】
また、前記不織布の一つの好ましい態様として、不織布を、セルロース、又は、パルプの天然繊維で構成することができる。
【0023】
また、前記不織布の一つの好ましい態様として、不織布を、ガラス繊維維で構成することができる。
【0024】
また、前記不織布の一つの好ましい態様として、不織布の目付け量を、10〜80g/mとすることができる。これによれば、不織布として、断熱板を支持するのに必要十分な強度を付与することができる。目付け量が10g/m未満では、不織布の引裂強度などの機械的物性が劣るため、不織布が破れやすくなったり、床構造部分への施工時の留め付け強度が不足して、施工時の作業性が悪くなったり、不織布の経年劣化の耐久性が不足して、不織布が破れたりして断熱材が脱落するおそれがある。また、断熱板への接着の際に、接着剤がしみ出して、製品同士や製品を梱包する包装材料へ接着するおそれがある。
【0025】
一方、目付け量が80g/mを超えると、不織布の厚みや密度が高くなり、施工時に断熱板内に雨水等が含浸されたときの水抜け性が悪くなる。更に、不織布は、枠体と床用面材(床板又は床下地板など)との間に配置されるので、不織布が厚くなると、枠体上で突き合わされる床用面材同士の間で不陸が発生することがある。また、床用面材と枠体とを接着剤で固着する場合には、それらの間に介在する不織布が厚いと、接着剤の含浸性が悪くなるので、接着性が悪くなる可能性もある。
【0026】
また、前記貼着の一つの好ましい態様として、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、又は、ポリオレフィン樹脂のホットメルト系接着剤を用いて接着することができる。これにより、接着に要する時間を短くすることができる。
【0027】
また、前記貼着の一つの好ましい態様として、クロロプレンゴム、又は、スチレン−ブタジエンゴムのゴム系接着剤を用いて接着することができる。
【0028】
また、前記貼着の一つの好ましい態様として、アクリル樹脂、又は、ポリビニルアルコールの水溶性接着剤を用いて接着することができる。
【0029】
また、前記貼着の一つの好ましい態様として、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、又は、ポリビニルアルコールのエマルジョン系接着剤を用いて接着することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、不織布が、断熱板の少なくとも一方の側辺から5mm以上離れて、断熱板の片面に貼着されているので、断熱板の幅が、床構造を構成する枠体の内法寸法よりも大きすぎる場合、不織布が貼着されていない側方部分で、断熱板を手軽にカットして、枠体の内法寸法に適合させることができる。このため、施工作業が容易となり、作業性を良好にすることができる。
【0031】
本発明によれば、断熱板に不織布を貼着したので、断熱板に水が浸入したとしても、早く水を抜くことができる。また、断熱板に伸縮性を備えることにより、枠体間に密着した状態で挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による床用断熱材の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】同断熱材の平面図である。
【図3】同断熱材の施工方法を示し、(A)は同断熱材を枠体間の上方に支持した状態を示す説明図、(B)は同断熱材を枠体間に挿入した状態を示す説明図である。
【図4】同断熱材を床構造の枠体間に挿入設置している状態を示す説明図である。
【図5】本発明による床用断熱材の第2の実施形態を示す斜視図である。
【図6】同断熱材の平面図である。
【図7】本発明による床用断熱材の第3の実施形態を示す斜視図である。
【図8】同断熱材の平面図である。
【図9】接着剤層の形成方法の他の例を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の床用断熱材について、図面を参照して説明する。図1〜4には、本発明による床用断熱材の第1実施形態が示されている。
【0034】
図1に示すように、この床用断熱材10は、板状に成形された、柔軟性を有しかつ自己保形性を有する断熱板11と、この断熱板11の片面(図1においては下面)に貼着された不織布12とを有している。不織布12は、断熱板11の幅方向両側に延出され、この延出部は、図3(B)に示すように、断熱板11の両側面を覆い、更にフランジ状に延出して耳部12aを構成できる長さとされている。なお、この耳部12aの長さは、好ましくは20mm以上、より好ましくは50mm以上となるように調整される。耳部12aの長さが20mm未満では、不織布の両側を耳部として枠体上に乗せたとき、耳部を枠体上に固定するための長さを十分にとれない可能性がある。更にこの耳部12aの長さは、枠体20の幅の1/2以下となるように調整されることが、隣接する断熱材の耳部どうしが重なり合うことがなく、その上に設置される床用面材の不陸が発生することを防止できることから好ましい。耳部12aの長さが枠体20の幅の1/2を超えると、隣接する断熱材の耳部どうしが重なり合って、その上に設置される床用面材の不陸が発生する可能性がある。
【0035】
断熱板11としては、繊維系断熱材、ポリスチレン樹脂やポリウレタン樹脂などの発泡プラスチック系断熱材などが使用できるが、伸縮性があって枠体間に密着した状態で挿入しやすいことから、繊維系断熱材が好ましい。繊維系断熱材としては、例えば、グラスウールやロックウール等の無機繊維系断熱材、ポリエステルウール(PETウール)やセルロースマットなどの有機繊維系断熱材、羊毛等の天然繊維系断熱材などが挙げられ、材料コストや難燃性等の点から、特に無機繊維系断熱材が好ましく使用できる。
【0036】
例えばグラスウールを用いた断熱材の場合、柔軟性を有しかつ自己保形性を有するようにするためには、密度24〜96kg/mとすることが好ましい。また、ロックウールの場合は、密度20〜100kg/mとすることが好ましい。
【0037】
不織布12としては、例えばポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等の有機繊維や、セルロース、パルプ等の天然繊維や、ガラス繊維等の無機繊維などを、接着、溶着等の手段でシート状に成形したものが使用できるが、不織布の引裂強度、耐屈曲性、経済性などの観点から、特に有機繊維を利用したものが好ましく使用される。
【0038】
更に、施工時に断熱板11からの垂れ下がりを少なくして、枠体内に挿入しやすくなることから、有機繊維と無機繊維とを含有するものが好ましく使用される。この場合、無機繊維を10〜60質量%含有し、有機繊維を90〜40質量%含有するものが好ましく使用され、無機繊維を30〜50質量%含有し、有機繊維を70〜50質量%含有するものが更に好ましい。無機繊維の含有量が10質量%未満では、不織布の垂れ下がりを防止する効果が乏しくなり、無機繊維の含有量が60質量%を超えると、柔軟性が乏しくなり、施工時に繊維が折れて破断しやすくなる。
【0039】
断熱板11の幅は、枠体20の内法寸法に対し、0〜4mm大きくされていることが好ましい。これによって、断熱板11を枠体20の間にやや圧縮させて挿入でき、断熱板11を枠体20内周に隙間なく密接させて、断熱効果を高めることができる。
【0040】
不織布12の目付け量は、10〜80g/mが好ましく、20〜50g/mが更に好ましく、25〜30g/mが最も好ましい。目付け量が10g/m未満では、不織布の引裂強度などの機械的物性が劣るため、不織布が破れやすくなったり、床構造部分への施工時の留め付け強度が不足して、施工時の作業性が悪くなったり、不織布の経年劣化の耐久性が不足して、不織布が破れたりして断熱材が脱落するおそれがある。また、断熱板11への接着の際に、接着剤がしみ出して、製品同士や製品を梱包する包装材料へ接着するおそれがある。一方、目付け量が80g/mを超えると、不織布の厚みや密度が高くなり、施工時に断熱板11内に雨水等が含浸されたときの水抜け性が悪くなる。更に、不織布は、枠体と床用面材(床板又は床下地板など)との間に配置されるので、不織布が厚くなると、枠体上で突き合わされる床用面材同士の間で不陸が発生することがある。また、床用面材と枠体とを接着剤で固着する場合には、それらの間に介在する不織布が厚いと、接着剤の含浸性が悪くなるので、接着性が悪くなる可能性もある。
【0041】
本発明の1つの特徴は、不織布12が断熱板11の下面に貼着される際、断熱板11の少なくとも一方の側辺から5mm以上離れて貼着されていることにある。すなわち、この実施形態においては、図1、2に示すように、断熱板11の両側から距離aの部分には接着剤が塗布されておらず、それらの間の中央部のみに接着剤が塗布されて、接着層13が形成されている。なお、上記距離aは、5〜200mmであることがより好ましく、10〜50mmであることが更に好ましく、20〜50mmであることが最も好ましい。上記距離aが5mm未満では、後述するように、枠体間の内法寸法と断熱板11の幅とが合わない場合に、断熱板11をカットして調整できる範囲が狭くなったり、不職布のみを断熱板から剥がすときに、断熱板が繊維系断熱材の場合には、断熱板が層間剥離しやすくなったりする。上記距離aが200mmを超えると、断熱板11から不織布12が垂れ下がる長さが長くなり、不織布12の両側が枠体上に乗るように、断熱材10を枠体間に挿入する作業がしにくくなる。
【0042】
また、図1では、断熱板11の下面の上記距離a以外の領域の全体に接着剤が塗布されているが、図9に示すように、上記距離a以外の領域では、長手方向に沿ってストライプ状に走る接着剤層13が幅方向に沿って所定間隔で形成されていてもよい。
【0043】
上記接着剤としては、特に限定されないが、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂などのホットメルト系接着剤、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴムなどのゴム系接着剤、アクリル樹脂、ポリビニルアルコールなどの水溶性接着剤、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコールなどのエマルジョン系接着剤などが挙げられ、特に、接着に要する時間が短いことから、粘着系のホットメルト系接着剤が好ましく使用される。接着剤は、断熱板11の製造工程において、断熱材11の走行方向に沿って塗布し、そのラインの下流側で不織布12を断熱板11上に当接させて圧接することにより、不織布12を貼着することが好ましい。断熱板11の少なくとも一方の側辺から5mm以上離れて接着剤を塗布することにより、断熱板11の両側から接着剤がはみ出してラインを汚したりする問題も解決することができる。
【0044】
図3,4には、上記床用断熱材10の施工方法が示されている。すなわち、図3(A)に示すように、床構造を構成する枠体20の間に、床用断熱材10を配置して、床用断熱材10を上方から枠体20間に挿入する。このとき、断熱板11の両側から延出された不織布12は、枠体20上に載置されるようにし、断熱板11を枠体20間に挿入したときに、同図(B)に示すように、上記不織布12の延出された両側部分が、断熱板11の両側面を覆い、かつ、フランジ状に延びる耳部12aが枠体20の上面に当接するように配置される。
【0045】
なお、上記枠体20の間としては、例えば土台と大引との間、大引どうしの間、土台及び大引の上に載せられる根太どうしの間などが挙げられる。
【0046】
そして、本発明においては、上記枠体20の内法寸法よりも断熱板11の幅が大きすぎて、断熱板11を挿入できない、あるいは無理に挿入すると湾曲してしまう場合などに、断熱板11のいずれか一方の側部又は両側をカットして、枠体11に適合できるという効果がもたらされる。すなわち、前述したように、断熱板11の両側から距離aの部分には接着剤が塗布されていないので、不織布12を断熱板11から引き剥がすことなく、断熱板11の側部を手軽にカットすることができる。
【0047】
こうして設置された床用断熱材10は、不織布12の耳部12aを枠体20上に、釘、ネジ、接着剤等で固定することにより、枠体20間に保持することができる。そして、施工時に断熱板11に雨水が浸入したとしても、不織布12が透水性を有するので、不織布12を通して水を落下させて抜くことができる。また、断熱板が繊維系断熱材の場合には、繊維系断熱材の内部を雨水が通過するので、発泡系樹脂断熱材よりも早く水を抜くことができる。
【0048】
図5,6には、本発明による床用断熱材の第2の実施形態が示されている。この床用断熱材10aは、接着層13の配置が前記実施形態と異なっている。
【0049】
すなわち、この床用断熱材10aでは、断熱板11の一方の側辺から距離a離れ、他方の側辺から距離b離れた部分に、接着層13が形成されている。上記距離aは、前述したように、5〜200mmが好ましい。また、距離bは、0mmでもよいが、前述したように、断熱板11に接着剤を塗布する際に、接着剤が断熱材11からはみ出さないようにするため、5〜10mmとすることが好ましい。
【0050】
この床用断熱材10aでは、断熱板11の一側のみに大きな幅の未接着部分が設けられているので、断熱材10aを枠体20間に挿入するとき、不織布12の垂れ下がりの少ない、距離bを設けて接着した側辺を作業者から離れた方向にし、距離aを設けて接着した側辺を作業者に近い方向にして保持することにより、作業者の手が届かない遠方の側辺では、不織布12の垂れ下がりが小さいので、不織布12を枠体20上に乗せやすく、作業者の手が届く手前の側辺では、不織布12が垂れ下がっても手で引っ張り上げることができるので、枠体20上に乗せることができる。したがって、枠体20間に断熱板11を挿入する作業をしやすくすることができる。なお、断熱板11の一側のみに幅の広い距離aの未接着部分が設けられている場合でも、枠体20の内法寸法に適合するためのカットは、断熱板11の一側部のみで行えばよいので、本発明の目的を達成することができる。
【0051】
図7,8には、本発明による床用断熱材の第3の実施形態が示されている。この床用断熱材10bは、接着層13の配置が前記各実施形態と更に異なっている。
【0052】
すなわち、この床用断熱材10bでは、断熱板11の下面の、断熱板11の一方の側辺から距離a以上離れた部分に接着層13が形成されると共に、不織布12の、断熱板11の他方の側辺から延出される部分が、断熱板11の同側面に接着層13aを介して貼着されている。その結果、断熱板11の他方の側辺では、不織布12の耳部12aが、断熱板11の側面に貼着されてフランジ状に延出されている。
【0053】
この床用断熱材10bでは、断熱材10bを枠体20間に挿入するとき、不織布12が断熱板11の側面まで貼着された方の側辺を作業者から離れた方向にし、距離aを設けて接着した側辺を作業者に近い方向にして保持することにより、作業者の手が届かない遠方の側辺では、不織布12がほとんど垂れ下がらないので、不織布12の耳部12aを枠体20上に乗せやすく、作業者の手が届く手前の側辺では、不織布12が垂れ下がっても手で引っ張り上げることができるので、枠体20上に乗せることができる。したがって、枠体20間に断熱板11を挿入する作業をより容易にすることができる。
【符号の説明】
【0054】
10、10a、10b:床用断熱材
11:断熱板
12:不織布
12a:耳部
13:接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床構造を構成する枠体間に装着されて、床用面材の下方に配置される床用断熱材において、
板状に成形された、柔軟性を有しかつ自己保形性を有する断熱板と、
前記断熱板に貼着した不織布とを有していることを特徴とする床用断熱材。
【請求項2】
前記断熱板を、グラスウールで構成したことを特徴とする請求項1に記載の床用断熱材。
【請求項3】
前記グラスウールの密度は、24〜96kg/mであることを特徴とする請求項2に記載の床用断熱材。
【請求項4】
前記断熱板を、ロックウールで構成したことを特徴とする請求項1に記載の床用断熱材。
【請求項5】
前記ロックウールの密度は、20〜100kg/mであることを特徴とする請求項4に記載の床用断熱材。
【請求項6】
前記断熱板を、ポリエステルウール、又は、セルロースマットの有機繊維系断熱材で構成したことを特徴とする請求項1に記載の床用断熱材。
【請求項7】
前記断熱板を、羊毛で構成したことを特徴とする請求項1に記載の床用断熱材。
【請求項8】
前記不織布を、ポリエステル樹脂、又は、ポリオレフィン樹脂の有機繊維で構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の床用断熱材。
【請求項9】
前記不織布には、ガラス繊維を含有することを特徴とする請求項8に記載の床用断熱材。
【請求項10】
前記不織布は、前記ガラス繊維を10〜60質量%含有し、前記有機繊維を90〜40質量%含有することを特徴とする請求項9に記載の床用断熱材。
【請求項11】
前記不織布を、セルロース、又は、パルプの天然繊維で構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の床用断熱材。
【請求項12】
前記不織布を、ガラス繊維維で構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の床用断熱材。
【請求項13】
前記不織布の目付け量は、10〜80g/mであることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の床用断熱材。
【請求項14】
前記貼着に、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、又は、ポリオレフィン樹脂のホットメルト系接着剤を用いたことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の床用断熱材。
【請求項15】
前記貼着に、クロロプレンゴム、又は、スチレン−ブタジエンゴムのゴム系接着剤を用いたことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の床用断熱材。
【請求項16】
前記貼着に、アクリル樹脂、又は、ポリビニルアルコールの水溶性接着剤を用いたことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の床用断熱材。
【請求項17】
前記貼着に、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、又は、ポリビニルアルコールのエマルジョン系接着剤を用いたことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の床用断熱材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−247083(P2011−247083A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150314(P2011−150314)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【分割の表示】特願2007−35005(P2007−35005)の分割
【原出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000116792)旭ファイバーグラス株式会社 (101)
【Fターム(参考)】