廃タイヤからの炭素質材料の再生方法及び廃タイヤ由来の生成物
本発明は、(a)清浄化されたゴムタイヤを長さ2インチ未満の細片に細断し、(b)その細片を第1嫌気性環境内の熱プロセッサの反応チャンバで熱分解してチャーを生成し、(c)揮発性有機物を反応チャンバから抜き取り、(d)反応チャンバからチャーを取り出し、(e)チャーを第2嫌気性環境内で冷却し、(f)チャーから金属及び織物成分を除去して熱分解カーボンブラックを得て、(g)熱分解カーボンブラックを、メッシュサイズ325以下の粒子にミル粉砕及びサイズ調節し、(h)熱分解カーボンブラックをリサイクルゴム生成の重合プロセスにおいて利用する工程を含むプロセスによって生成されるリサイクルゴムに関する。また、このプロセスによって回収される高品質の熱分解カーボンブラックに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物リサイクルの分野、特には屑ゴム材料(例えば、廃ゴムタイヤ)から有用な炭素質材料を再生するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
増え続ける廃タイヤは、地球規模での主要環境ハザードである。工業化社会は、男女及び子供1人あたり年間、驚くべき速度で使用済みタイヤを蓄積し続けている。
【0003】
カナダゴム協会(Rubber Association of Canada)によると、カナダでは年間、2980万本の廃タイヤが発生している(3710万本の乗用車用タイヤ当量に等しい)。これらの廃タイヤは、交換用タイヤ市場及び廃車車両の両方から発生する。
【0004】
米国では、米国ゴム工業会(Rubber Manufacturers Association)が、2005年に2億9900万本の廃タイヤが発生したと推定している。このうち推定で4200万本のタイヤが埋立地に埋め立てられ、全米で蓄積されている廃タイヤは全部で1億8800万本である(米国環境保護庁は、蓄積量を2億6500万本と推定している)。
【0005】
一般に、埋め立てへの利用は減っている一方、タイヤのリサイクルは増加している。現在、カナダ国内では約70%の廃タイヤが加工されていて、残りの30%が蓄積または輸出されている。しかしながら、この割合は州によって大きく異なり得る。例えば、オンタリオ州で1年に発生する全ての廃タイヤの約半分が、米国/カナダ国境を越えて運ばれ、米国内で燃料として焼却されていると推定される。ケベック州では毎年、廃タイヤの30〜40%が、州の全域にわたって存在する民間集積場に運ばれる。
【0006】
更に、安全で耐久性の高いタイヤのための厳しい製品規格は、廃タイヤの破砕を困難かつ高コストにしている。
【0007】
一般に、約65重量%のゴム、10重量%の繊維及び12.5重量%のスチールから構成されるタイヤは、2種類の形態、すなわち加工した状態及びタイヤのままでのリサイクルが可能である。全タイヤのリサイクルには、古タイヤをそのままで別の目的(例えば、造園用縁取り材、遊具、防舷材、高速道路のガードレール)に使用することが含まれる。他方で、加工済みタイヤのリサイクルでは、まずタイヤをより小さなタイヤ片にすることを必要とする。これは、常温または極低温での切断、細断または粉砕によって達成することができる。
【0008】
タイヤ接地面または側面からのゴム小片のパンチングまたは打ち抜きを利用して、水桶等の品物を作ることができる。この技法は典型的には、道路走行用ではないタイヤ(土木または採鉱用機器、農業用トラクタに使用のもの等)に施される。
【0009】
廃タイヤゴムを細断及び粉砕するプロセス及び細断サイズは、その目的とする最終用途に左右される。考えられる用途には、細片の、高速道路盛土、擁壁及び橋台用の軽量盛土材並びに道路の凍結深度を制限するための断熱材としての使用が含まれる。
【0010】
クラムラバーは、常温または極低温粉砕プロセスによって製造される。常温加工は、室温で行われる。極低温加工では、液体窒素または別の物質若しくは方法を使用してゴムチップまたは粒子を凍結させ、それから更に細分化する。粒径は、4分の1インチ〜成型物の製造に一般に使用される微粉にわたる。より大きいサイズのクラムラバーの用途には、遊び場、馬場、歩道、ジョギング路用の安全緩衝面が含まれる。
【0011】
熱、圧力及びバインダの使用により、クラムラバーを様々な製品に成型し得る。例には、スケートリンク、屋根の割れ目で使用するゴムマット及び畜舎で使用するゴムマットレスが含まれる。
【0012】
技術的にはリサイクルの形態とは言えないものの、タイヤからのエネルギーの産生は、使用済みタイヤの処分方法の大きな割合を占めている。この用途において、廃タイヤは、セメントキルン、パルプ及び製紙工場、産業用及びユーティリティボイラにおける燃料としての石炭代替物として使用される。これは特に米国での事例であり、米国では廃タイヤ燃料(tire−derived fuel:TDF)は、2005年において約1億5500万本の廃タイヤ、つまり発生した全ての廃タイヤの約52%を占めた。
【0013】
タイヤリサイクル市場は、リサイクルゴム製品は、バージンゴム製の製品の品質に達しないことが多い割に製造がより高コストとなることが多いという課題を抱えている。例えば、ゴムアスファルトは普通のアスファルトより高価であるのに、それより優れている証拠があるわけではなく、実際、多くの輸送技術者がそのメリットに懐疑的である。ゴムアスファルト道路を再舗装する際、最上層を剥離、加熱及び再使用することはできない。熱によってゴムが焼けて毒性物質が放出されるからである。加えて、ゴムアスファルトは石油を25%余分に消費する。
【0014】
同様に、ゴムの脱硫については膨大な研究がなされ、それによってリサイクルされたタイヤは、成型または打ち抜きゴム材(マット、桶、バケツ等)の製造に使用される。しかしながら、最終的な再生材料は、バージンゴムとは若干異なる化学的性質を有し、またより堅く柔軟性が低い。その結果、リサイクル材は、現在のタイヤ製造業者の厳しい要求を満たさない上、ホース等の可撓性製品の製造にも使用することができない。これらの用途はカナダのゴム市場の85%を占めることから、脱硫ゴムの潜在的供給は需要を上回りがちである。加えて、古タイヤ、特にはスチールベルトのついた最新型のラジアルタイヤを脱硫ゴムに加工するコストは、バージンゴム製造のコストを超える。この品質/コスト問題の結果、多くのゴムリサイクル事業が高い利益をあげてやっていくことができず、もっと悪い場合は政府による支援がないとやっていけない。
【0015】
一方、TDFへの利用も増加しつつあるが、これに対しては年々、反対の声が大きくなっている。まず、一般市民及び市民社会団体からの大気汚染への懸念のせいである。セメントキルンまたは焼却炉における焼却によって、高濃度のNOx、ダイオキシン、PAH、フラン、PCB及び粒子状の重金属(煤塵)が発生するのである。更に、このような作業に必要とされるハイテク焼却炉は極めて高額である。長期にわたる経済的安定性を確保するためには、廃タイヤを大量かつ一定供給する都市化が激しい地域が必要とされる。一般市民のTDFに対する強い反発の最近の例は、タイヤ及びその他の材料をオンタリオ州Bathのセメントキルンで焼却するLafarge Canada社の計画に対する市民による上訴を支持するという、オンタリ州の合議法廷による最近の裁定である。この上訴では、潜在的な大気汚染、水質汚染及び人間への健康被害への懸念が言及された。
【0016】
熱分解(pyrolysis)系とは、酸素不在下(またはほぼ不在)での廃棄物の熱処理のことである。車両用タイヤの熱分解から発生する主成分は以下の通りである。
(a)主として水素、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素及び様々なその他のガスを含有するガス流。清浄化後のガスは、エネルギー含有量はほぼ同じだがより高い熱含有量の天然ガスに極めて似ている。
(b)No.6燃料オイルに似た単純及び複雑炭化水素を含有するオイル流の液体分。
(c)ほぼ純粋な炭素及び廃タイヤに元々存在していた若干の不活性材料(例えば、スチール、酸化亜鉛)から成るチャー。
【0017】
伝統的な熱分解プロセスでは、タイヤを実質的に嫌気条件下で加熱するため、タイヤ材料はガス及び灰へと完全には変化しない。典型的な自動車用タイヤは、約4リットルのオイル、約230gの繊維、1キロ以上のカーボンブラック及び各約1キロのスチール及びメタンを含有する。
【0018】
しかしながら、熱分解技術を商業化しようとする従来技術の試みにも関わらず、採算の合うやり方では依然として成し遂げられていない。過去10年間にわたって、多くの熱分解プロジェクトが提案され、特許を付与され或いは計画されてきたが、いずれも商業的に成功していない。
これらのプロセスの多くは真に連続的なものではなく、少なくとも一部の態様または工程において、バッチ処理技法に限定されている。このため、採算が合うように十分に規模を拡大することができない。その他のプロセスは、リサイクルを可能にする十分な高品質の最終生成物を製造するために過剰なエネルギー入力を必要とするため、経済的ではない。特に、バッチタイプのタイヤ熱分解による生成物の市場性には限界がある。その最終生成物の品質が未使用材料と比較して低いからである。例えば、従来技術の熱分解カーボンブラック(CBp)は、典型的には、不純物の含有量が多すぎて新しいタイヤに使用することができない。更に、バッチ式の熱分解技法の場合、最終生成物の品質が回毎に変化し得る。このため、得られるCBpは、安定した品質のカーボンブラック生成物を必要とする自動車、ゴム及びその他の業界で競合することができない。この結果、現行の熱分解プロセスから得られるCBpの多くが、燃料産業における高品位炭として、また工業用ホース、マット、屋根ふき材及び成型品に使用される。
【0019】
従って、これらの従来のリサイクリングプロセスのいずれもが、増加の一途をたどる量の廃タイヤによってもたらされる環境問題に効果的に対処するのに必要な広く認められたレベルではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許第3462160号
【特許文献2】米国特許第5037628号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、廃ゴムタイヤをリサイクルして留出物であるオイル及びガス、スチール並びに一貫して高品質のCBpを生成するため、環境に優しく、採算がとれ、実質的に連続的なプロセスが開示する。このプロセスで回収されたオイルは、No.6燃料オイルの規格内にあると確認されている。本発明の熱分解プロセスによって発生するタイプのスチールは、No.1またはNo.2ヘビーメルティングスチール(heavy melting steel:HMS)として分類される。CBpの品質は、未使用のPrime N−600またはN−700シリーズのカーボンブラックに匹敵する特性であると確認されている。
【0022】
本発明の更なる態様において、連続プロセスによって生成されるリサイクルゴムについて記載し、このプロセスは、
(a)清浄化されたゴムタイヤを長さ2インチ未満、好ましくは長さ1.5インチ未満の細片に細断し、
(b)この細片を第1嫌気性環境内の熱プロセッサの反応チャンバで熱分解してチャーを生成し、
(c)揮発性有機物を反応チャンバから抜き取り、
(d)反応チャンバからチャーを取り出し、
(e)このチャーを第2嫌気性環境内で冷却し、
(f)このチャーから金属及び織物成分を除去してCBpを得て、
(g)このようにして得られたCBpを、メッシュサイズ325以下の粒子にミル粉砕及びサイズ調節し、
(h)前工程からのCBpをリサイクルゴムを生成するための重合プロセスにおいて利用する工程を含む。
【0023】
本発明の別の態様において、反応チャンバ内の温度は約450〜550℃、好ましくは約500℃である。より具体的には、温度プロファイルが存在し、温度は、それぞれ少なくとも30分にわたって4つのゾーンに維持される。好ましくは、温度プロファイルは、4つの異なるゾーンにあり、少なくとも30分にわたる500、550、550、550℃である。
【0024】
本発明の更に別の態様において、このリサイクルゴムプロセスは更に、工程(g)の後であり工程(h)の前に、CBpをメッシュサイズ60〜100のペレットにペレット化する工程を含む。
【0025】
本発明の更に別の態様において、上記のプロセスのリサイクルゴム生成物は、2500〜3100psiの最小引張強度を有する。
【0026】
本発明の別の態様において、ゴムタイヤのための連続リサイクリングプロセスから高品質CBpが生成され、このプロセスは、
(a)清浄化されたゴムタイヤを長さ2インチ未満の細片に細断し、
(b)この細片を第1嫌気性環境内の熱プロセッサの反応チャンバで熱分解してチャーを生成し、
(c)揮発性有機物を反応チャンバから抜き取り、
(d)反応チャンバからチャーを取り出し、
(e)このチャーを第2嫌気性環境内で冷却し、
(f)このチャーから金属及び織物成分を除去してCBpを得て、
(g)このようにして得られたCBpを、メッシュサイズ325以下の粒子にミル粉砕及びサイズ調節する工程を含む。
【0027】
本発明の別の態様において、このプロセスは、工程(b)の前に、異物及び残留物質を除去するための清浄化サブプロセスを含む。
【0028】
本発明の別の態様において、前段落のプロセスは更に、工程(g)の後に、CBpをメッシュサイズ60〜100のペレットにペレット化する工程を含む。
【0029】
本発明の更に別の態様において、熱分解ゴムから、
(a)9〜15%の灰分、
(b)透過率80〜90%のトルエン着色度(425mu)、
(c)30〜45mg/gmのヨウ素吸着度、
(d)最高65cc/100gmのn−ジブチルフタレート吸収係数
を有するCBpが生成される。
【0030】
本発明の別の態様において、廃タイヤから炭素質材料を再生する方法が提供され、この方法は、
(a)ゴムタイヤを長さ2インチ未満の細片に細断し、
(b)この細片を第1嫌気性環境内の熱プロセッサの反応チャンバで熱分解してチャーを生成し、
(c)揮発性有機物を反応チャンバから抜き取り、
(d)反応チャンバからチャーを取り出し、
(e)このチャーを第2嫌気性環境内で冷却し、
(f)このチャーから金属及び織物成分を除去して熱分解カーボンブラックを得て、
(g)このようにして得られた熱分解カーボンブラックを、メッシュサイズ325以下の粒子にミル粉砕及びサイズ調節し、
(h)前工程からの熱分解カーボンブラックをリサイクルゴムを生成するための重合プロセスにおいて利用する工程を含む。
【0031】
本発明のプロセスは、連続供給、閉ループ、制御雰囲気熱分解プロセスである。このプロセスでは特殊な弁を使用して一貫した製造環境を維持し、また市場が必要とする、一貫したストラクチャの高品質CBpを含めた指定の最終用途生成物を一貫して生成することができる。このプロセスは、1年340日、24時間7日間にわたってノンストップで実行可能であり、運転期間を通じて特性及びサイズにおいて実質的に同じ最終生成物が生成される。
【0032】
このため、本発明の目的は、従来技術における上記の欠点の少なくとも1つを取り除くまたは軽減し、また従来技術に対しての上述の利点の少なくとも1つ以上を提供することである。
【0033】
本発明のその他の利点、特色及び特徴、関連する要素及び構造体の操作方法及び機能並びにプロセスの工程の組み合わせ及び経済性は、以下の詳細な説明、付随する請求項を考慮し、添付の図面を参照することでより明らかとなる。図面については以下で簡単に説明する。
【0034】
本発明のプロセス及び最終生成物の特徴であると考えられるストラクチャ、構成、使用及び操作方法に関する新規な特色は、本発明の更なる目的及び利点と共に、以下の図面からより深く理解することができる。図面では、これより本発明の好ましいプロセスを例として図示する。しかしながら、この図面が図示及び説明だけを目的とし、本発明の限度の定義として意図されるものでない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】全体で本発明のプロセスの例を示す異なるセクションのフロー図
【図2】全体で本発明のプロセスの例を示す異なるセクションのフロー図
【図3】全体で本発明のプロセスの例を示す異なるセクションのフロー図
【図4】全体で本発明のプロセスの例を示す異なるセクションのフロー図
【図5】図1の2つの縦に積み重ねられたフラップ弁の詳細説明図
【図6A】図1のプロセスに先行する清浄化工程の異なるセクションを示すフロー図
【図6B】図1のプロセスに先行する清浄化工程の異なるセクションを示すフロー図
【図6C】図1のプロセスに先行する清浄化工程の異なるセクションを示すフロー図
【図6D】図1のプロセスに先行する清浄化工程の異なるセクションを示すフロー図
【図7A】図1のプロセスにおいて使用する代表的な、か焼炉(calciner)の説明図
【図7B】図7Aの詳細部分Aの詳細説明図
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に説明するのは、高品質の留出物ガス、オイル、スチール及びCBpを現在の市場において価値と用途を有する最終生成物として一貫して生成するための、使用済みゴムタイヤの熱分解を伴う連続リサイクリングプロセスである。熱分解は、この明細書及び付随する請求項において、酸素の不在下(またはほぼ不在)での物質の熱による分解を意味すると意図される。特に、開示のプロセスから、微細で、異物を含有せず、一貫して高品質の熱分解カーボンブラック(CBp)が再現性をもって得られる。この高品質CBpは、様々な用途に使用することができる(成型及び押出成形ゴム、発泡体、スポンジ、ワイヤ被覆材、ケーブル、屋根ふき材等)。特定のタイヤ用途(インナーライナー、カーカス、側壁等)で、本発明のプロセスで生成されたCBpをバージンカーボンブラックとブレンドして利用することも可能である。
【0037】
タイヤの前処理:
図1の工程の準備段階として、また細断に先立って、リサイクル対象であるタイヤを徹底的に清浄化することによって、タイヤに付着した異物(粗粒子、土、粘土、埃等)を除去する。全ての異物の除去が、生成されるCBpの再現性及び品質の確保に重要であることが判明している。残留粗粒子は、カーボンブラック生成物における灰分を増やすだけでなく、この粗粒子を望ましい粒径に粉砕するのに必要なより骨の折れるミル粉砕により、プロセスにかかるエネルギー及びコストも上昇させてしまう。
【0038】
タイヤ洗浄に使用する水は好ましくはリサイクルされる。驚くべきことに、この水が(この時点で、タイヤから除去された粗粒子及び埃を含有している)、洗浄サイクル毎に少しずつ酸性になることが判明している。これは問題である。装置の金属面(細断機のブレード等)の腐食及び点食が引き起こされるからである。従って、水を連続的に再使用し、なおかつ廃水が酸性であることによって引き起こされるコストのかかる腐食問題を排除するためには、水を濾過して固形汚染物質を除去するだけでなく、中和してから洗浄サイクルに再導入しなくてはならない。
【0039】
清浄化されたタイヤは、更なる清浄化工程を提供するためだけでなくブレードの摩耗及び破損を軽減するためにも、水の存在下で細断される。タイヤは、2インチ(対角線)以下、好ましくは1.5インチ以下、より好ましくは約1.5インチのゴム片に切断される。細断機(図示せず)の選別スクリーンで、1.5インチ以下の細片を通過させ、それより大きい細片を、更に細断するために細断機に戻す。スクリーンを通過した細片は慣用のコンベヤベルト上に分配され、そこで強制乾燥熱風によって乾燥させられて全ての水分が除去される。一旦乾燥させたら、細片を貯蔵サイロ内に貯蔵する。
【0040】
図6A〜Dに、上記の利点の一部を得るため行われる清浄化工程の好ましい実施形態が図示されている。まず、全タイヤを受け取り、秤210で重量を測定してから、タイヤをダンプカー214でコンベヤ216上に降ろす。次に、全タイヤはダイバータ218を通じて分配され、ここで一部のタイヤはいずれ使う時のために屋外貯蔵庫に置かれ、使用対象のタイヤは、1次送りコンベヤ220及び1次細断機222に振り分けられる。1次細断機222は全タイヤを比較的大きなタイヤ片に細断する。典型的には、細片の潤滑化のために、霧状の水を1次細断機222に付け加える。
【0041】
次に、細断されたタイヤ片は振動式ディスチャージャ224に進み、ここでスプリンクラ226が細片に洗浄水を噴霧して埃及び粗粒子を洗い落とす。洗浄水は回収され、ポンプ228を介して1次沈殿槽230にポンプ輸送され、溢れた水は、同じくpH調節のための中和槽として使用される2次沈殿槽232に流れ込む。上記の潤滑化用水及び洗浄水が酸性になることが判明しているため、再循環水はpHを調節してから再使用される。一部の水は、以下で説明するように、貯蔵場所に循環させられる。
【0042】
ここでタイヤ細片の経路に戻り、図6Cに示すように、タイヤ細片は2次細断機234に送られ、ここで好ましくは対角線で長さ1.5インチのタイヤ片に細断される。次に、これらのより小さい細片は二段ディスク式分級機236を通過し、この分級機が細片を分類し、サイズが1.5インチ以下の細片をチップ貯蔵庫238に送る。より大きいサイズの細片は振動スクリーン240に進み、ディスク式分級機236で正しく分類されなかった1.5インチ以下のサイズの細片は貯蔵庫238に送られ、より大きなサイズの細片は第3細断機242に進み続ける。次に、細片は図示されるように振動スクリーン240に戻され、プロセスをこの地点から繰り返すことによってチップサイズの一貫性を確保し、また最大数の稼働日を得る。任意で、集塵制御システムも設置することによって、周囲領域における埃及び汚染レベルを必要に応じて制御し得る。また、細片を好ましくは1%未満の水分レベルにまで乾燥させる。
【0043】
図6Dはチップ貯蔵庫238を示し、ここでチップは多数の区画に貯蔵される。好ましくは、各区画は、上述したようなpH調節後に再循環させられた水を使用するスプリンクラシステム244を含む。
【0044】
次に、細片は、例えばフロントローディング方式の車両246によってホッパ248に移動させられる。このホッパから、細片は、以下に記載されるような本発明の連続した完全なプロセスに送られる。
【0045】
プロセス:
図1〜4に、使用済みゴムタイヤ細片をリサイクルするための本発明の連続した完全なプロセスが開示されている。
【0046】
貯蔵サイロから、ゴム細片は、例えば振動フィーダ2、ベルトスケール5を備えたベルトコンベヤ4、ホッパ6及びスクリューフィーダ3から成る搬送・分散アセンブリに送られる。この搬送・分散アセンブリの目的は、計量済みの細片を2つの連続的に配置された高速空気フラップ弁7、7’(更なる詳細については図5を参照)の一方に連続的に輸送することである。フラップ弁は、回転式熱プロセッサまたは、か焼炉(calciner)8の反応チャンバ8cの開口部上に順番に設置されている。適切なタイプの回転式か焼炉8は、米国イリノイ州WarrenvilleのAlstom Power社から入手可能なガス燃焼式のBartlett−Snow Rotary Calciner(直径72インチ)(図7Aに図示)である。適切なフラップ弁7、7’は、米国イリノイ州WarrenvilleのAlstom Power社から入手可能である。細片はスクリューフィーダ3から、電子制御された既定の頻度で開閉する(好ましくは、約6回の投下/分)上部フラップ弁7のフラップ7a上に重力送りされる。フラップ7aが開くと、タイヤ細片は重力によって下部フラップ弁7’の閉じたフラップ7b上に落下し、上部弁7は速やかにその閉鎖位置に戻る。その後、第2弁7’のフラップ7bが開き、細片は供給シュート1を通って下へと回転式か焼炉8の開口部に送られる。
【0047】
高速空気フラップ弁7、7’は、スクリューフィーダ3の開放空気環境(含酸素)と、か焼炉8の不活性雰囲気(無酸素)反応チャンバ8cとの間の大気のインターロックとして機能する。か焼炉8内への不要な酸素導入を制限するために、窒素等の不活性ガスを2つのフラップ弁7、7’の間に導入することによって、両弁空洞部に正の窒素圧を作り出す。
窒素は、2つの目的にとって有益である。(i)不活性雰囲気を作り出すことによって、燃焼及び考えられ得る爆発を回避する。(ii)試験結果に基づいた正しい量の窒素は理想的には、か焼炉の内部容積の0.007体積/分以上である。
不十分な量の窒素は、チャーの品質に影響する。窒素の目的は、か焼炉が不活性雰囲気中にあることを確保し、また分解して炭素となり、チャー上に再堆積する可能性のある熱分解ガスの可能性を低下させることである。更に、か焼炉8を、分解されてチャー上に再堆積する可能性のある熱分解ガスの滞留が軽減されるように、負の水柱3/4〜1・1/4インチに維持することが好ましく、これは下流側のファンによって制御される。フラップ7a、7bを上記の順序で開けると、正の窒素圧勾配によって大気中の酸素のか焼炉8への進入が防止される。これは窒素ガスが、フラップ弁7、7’から、圧力がより低い大気側に押し出されるからである。酸素のか焼炉8内への進入の可能性を更に低下させるために、フラップ7a、7bの開閉を(重力制御ではなく)電子制御することによって常時、フラップ7a、7bの少なくとも一方の効率的かつタイミングの良い閉鎖を確保する。
【0048】
熱分解が起きる熱プロセッサ(すなわち、回転式か焼炉)8は、とりわけ供給端8a及び排出端8bを有する内部回転シリンダと、供給端と排出端との間に配置された反応チャンバ8cとを備える。螺旋フライトが、好ましくは、か焼炉8の供給端8aの内径上に位置し、また反応チャンバ8c全体にわたって延びている。このため、か焼炉8がその縦軸を中心として回転するにつれて、螺旋フライトが、弁7、7’によって投下されたゴム細片を滑らかに伸ばし、この細片を反応チャンバ8cの加熱ゾーン側に前進させる。反応チャンバ8c内の第2フライトは、固形材料を、か焼炉8の長さに沿って排出端8bまで移動させる。
【0049】
固形材料のより前方への輸送を更に支援するために、か焼炉8は好ましくは、供給端8aが排出端8bより若干高くなるように水平から若干ずらして位置決めされる。傾斜させることで重力を利用して、固形材料のか焼炉8内での前進を更に支援する。
【0050】
回転式か焼炉8は、好ましくは反応チャンバ8c内に4つの加熱ゾーン(各ゾーンは約450〜650℃の利用しやすい温度)を形成するために間接的に加熱される。温度プロファイルは、必要とされる最終生成物のタイプに応じて生成される。好ましくは、加熱ゾーン1、2、3、4は、それぞれ500℃、550℃、550℃、550℃に加熱される。好ましくは、プロファイルは、約450〜550℃の範囲の最高熱分解温度を有し(好ましくは約500℃)、30分以上である。
【0051】
か焼炉8内で起きる熱分解反応は酸素に敏感である。大量の酸素が反応チャンバ8cに侵入すると、安全性(すなわち、爆発のリスク)及び品質の両方の問題が生じる。従って、連続的なリサイクル作業を開始するに先立って、か焼炉8に窒素ガス(またはその他の不活性ガス)を充填しなくてはならない。フラップ弁7、7’において正の窒素圧も有することに加えて、気密シール9を、回転している反応チャンバ8cと、回転しているシリンダを取り囲む固定フレームワーク8dとの間の境界面に取り付けることによって、大気中の酸素がこれらの境界面を通り抜けて、か焼炉8内に流れ込むのを防止しなくてはならない。気密ベローズタイプのシールが好ましくはこの目的に使用される。これらのシールは、か焼炉8の反応チャンバ8c内で正の窒素圧を維持するように設計される。適切な形態のベローズシールは、O.J.Adamsに1969年8月19日に発行された特許文献1に開示されている。
【0052】
熱分解プロセスの過程において、ゴム細片は450℃を超える温度、好ましくは約500〜550℃にまで加熱される。このようにして引き起こされたゴムの嫌気性分解によって揮発性有機物が生成され、この揮発性有機物は、揮発性有機ガスとして反応チャンバ8cを満たす。従って、か焼炉8内の圧力を好ましくは大気圧より若干低く維持することによって、反応チャンバ8cの過剰加圧を防止する。熱分解ガスは、か焼炉8の排出端8bから排出パイプ11を通して抜かれる。排出パイプの反対側の圧力は、か焼炉8内の圧力より低い。このため、反応チャンバ8c内のガスは、この圧力差によって排出パイプ11を通って吸い出される。
【0053】
熱分解プロセスにおいて十分な品質のチャーを生成するためには、生成されたチャーの揮発性物質含有量がゼロまたはわずかなものとなるようにすることが好ましいことが判明している。末端部である、か焼炉8のブリーチングセクションを、500℃以上の温度に維持することによって、冷却装置への排出前にガスが再度チャー上に凝縮するのを回避する。図7bは、図7aの代表的な、か焼炉の排出端を示す。この末端部は好ましくは連続スリーブ700を有し、この領域は、温度を少なくとも500℃に維持するために断熱材720で断熱され、またヒートトレースされている。また、代表的なベローズシールアセンブリ740及びシリンダディッシュ端760も図示されている。当業者なら、図7a及び7bのか焼炉が代表例を示す目的のためのものにすぎず、本発明を限定するものとは見なされないことを理解する。一般に、チャー上でどんなガスの再凝縮(すなわち、500℃未満)が起きても、揮発性物質含有量が許容限度より高いチャーが生成される。
【0054】
このようにして得られた熱分解ガスは、排出パイプ11によってオイルクエンチ塔10に送られ、重質ガスはオイルとして凝縮され、軽質ガスは抽出され、この軽質ガスは吸引ライン13を通ってオイルクエンチ塔10の最上端10aから抜き取られ、そこからライン17を通ってガスブロワ12によってセパレータ14に押し出される(図2を参照)。セパレータ14は別の抽出段階として機能し、軽質ガス分を、オイルに凝縮してから貯蔵することができる残留重質ガスから分離する。軽質ガス分はセパレータ14の最上部14aからライン25を通って貯蔵タンク16に抜き取られる。軽質ガス分を、ブロワ18によって貯蔵タンク16から供給ライン27を通してタンク車、列車、船またはいずれ使用する時までの別の保持容器に抜き取ることができる。このガスをスクラブして、例えば、回転式か焼炉8の加熱に使用するバーナ(図示せず)のための燃料としてリサイクルしてもよい。
【0055】
なお、試験結果は、このプロセスで得られた全てのオイルがNo.6オイルとしての特性を示し、従って軽質及び重質オイルには分離しないことを示している。オイルは好ましくは混合されて貯蔵される。2つの連続した凝縮器を使用してオイルを凝縮及び回収し、保持タンクに貯蔵し、次にフィルタを通してから出荷用貯蔵タンクにポンプ輸送する。好ましくは、ガス凝縮段階に先立ってホットサイクロンを組み込むことによって微粒子を叩き落として、凝縮システム内のパイプ及びその他の要素の閉塞を防止する。次に、凝縮できないガスはスクラビングプロセスを経て、ここでは苛性溶液を使用して全ての酸性成分をストリップする。スクラビング後のガスを貯蔵して、か焼炉と、CBpペレットの乾燥に使用する乾燥装置とを動作させる。
【0056】
プロセスそれ自体に戻ると、セパレータ14の下方端14bにおいて凝縮されたオイル分はライン29を通ってセパレータを出て次にライン35に流れ込む。ライン35はオイルを今度は貯蔵タンク26aに送る。或いは、オイルはライン37に送られ、ライン37は任意でオイルを貯蔵タンク26bに送る。ライン29、35、37には全て、相互接続されたライン29、35、37を流れるオイル流を選択的に制御するための慣用の制御弁31が取り付けられている。
【0057】
オイルクエンチ塔10において凝縮されたオイルは、塔10の下方端10bで回収され、そこを出て制御弁19を通って、逆方向の枝管43a、43bを有する2方向接合ライン43のT接合部で終端する供給ライン39に流れ込む。各枝管43a、43bには好ましくは制御弁19a、19bがそれぞれ1つ、供給ライン39とのT接合部の両側に取り付けられている。下流で、各枝管43a、43bは、それぞれオイルフィルタ20a、20bに続く。オイルは各オイルフィルタ20a、20bから下流へとそれぞれの供給ライン20c、20dへと流れ込み、供給ライン20c、20dは、供給ライン20c、20dにそれぞれ取り付けられた制御弁21a、21bによって更に制御される。供給ライン20c、20dは、制御弁21a、21bの下流のライン35とのT接合部で合流する。ライン35に進入したオイルはその後、オイルを冷却する水冷オイル冷却プレート/フレーム22に送られてから、貯蔵タンク26aまたは26bに貯蔵される。冷却プレート/フレーム22中の水は、循環ポンプ23が取り付けられたパイプループ45を通って循環する。パイプループ45は中央冷却水システム24を通り抜け、中央冷却水システムは、冷却プレート/フレーム22から出てきた温水を冷却し、冷水をパイプループ45にパイプ輸送で戻す。
【0058】
貯蔵タンク26a、26bに回収されたオイルを、タンクからライン47に放出することができる。慣用の制御弁28の使用によって、オイルを、貯蔵タンク26a、26bからライン49に流し、そこからポンプ30aによってタンク車、列車または船へとポンプ輸送することも、或いはライン15に流し、そこから更なる分別のためにポンプ30bでポンプ輸送してオイルクエンチ塔10に戻すこともできる。
【0059】
図1に示すように、熱分解中に生成された熱い固形生成物(すなわち、チャー)は、重力によって、か焼炉8から排出され、排出ブリーチング(図示せず)の開放空間を通ってブリーチングの底部にある別の2つの高速空気フラップ弁53、53’の1つ目の弁上に落下する。フラップ弁53、53’は実質的に、回転式か焼炉8の供給端8aに位置決めされた2重のフラップ弁7、7’と同じものであり、その間にもフラップ弁53、53’内に正の窒素圧を作り出すためのガス注入口が取り付けられている。この段階での窒素の使用は、酸素の回転式か焼炉8内への進入を防止するためだけでなく、熱いチャーの酸化を防止するためにも重要である。とりわけ、チャーの酸化は、CBp最終生成物の品質を低下させ得る。従って、熱いチャーは2重のフラップ弁53、53’を通過した後、窒素を充填した回転式冷却装置32の供給端32a内に送られる。この冷却装置は好ましくは内径上にチャーを回転式冷却装置32内を排出端32bにまで輸送するためのフライティングを有する。適切な回転式冷却装置32は、米国イリノイ州WarrenvilleのAlstom Power社から入手可能なBartlett−Snow Rotary Cooler(直径36インチ)である。この回転式冷却装置32内の温度は好ましくは、回転するシリンダの外面を水で間接的に冷却することによって低く維持される。冷却用の水は、循環ポンプ33によってパイプループ51を通って連続的に循環させられ、また中央冷却水システム24によって冷却される。
【0060】
チャーは、回転式冷却装置32の排出端32bを十分に低い温度、好ましくは約200℃で後にすることから、ここからは、空気と大きく反応する(すなわち、酸化する)ことなく空気に曝露させることができる。驚くべきことに、チャーがこの段階で特に集塊せず、従来技術(例えば、1991年8月6日にJohn Faderに発行された特許文献2)においてこれまで記載されていたような脱集塊工程を必要としないことが判明している。
これは、本明細書において発明者が説明した厳格な嫌気性操作条件下で生成されたチャー中のオイル含有量が低いこと及び約450〜550℃、好ましくは約500℃の熱分解温度によって説明することができる。チャーは好ましくは回転式冷却装置32から密閉スクリューコンベヤ55内へと排出され、次に2つの磁気セパレータ34、36を通過する。磁気セパレータ34はスチール38をチャーから除去し、通常、磁気セパレータ34より強力な磁気セパレータ36は、第1磁気セパレータ34が取りこぼした希土類金属及びその他の磁性物を除去する。チャーは、密閉コンベヤベルト57によって第1磁気セパレータ34と第2磁気セパレータ36との間を輸送される。チャーから抽出されたスチール38は好ましくは、コンベヤ61a、61bによってそれぞれ中央回収場所に輸送され、ここで熱分解プロセスによって発生した天然ガスを使用して、新たな金属生成物の製造にすぐに使用できるようにまたは更に加工するために、スチール38(加圧成形済み)は加熱、100ポンドのブリケットに加圧成形及び溶解され得る。
【0061】
この時点でスチール38及びその他の磁性成分を含有しないチャーは好ましくは、密閉コンベヤベルト63によって第2磁気セパレータ36から好ましくはメッシュサイズ100の振動スクリーン40(図3を参照のこと)に輸送され、元の廃タイヤ片の成分として残っている織物繊維または紐41が分離される。これらの織物残片は、コンベヤベルト65によって振動スクリーン40から取り除かれ、続いて廃棄されるまたは場合によってはリサイクルされる。
【0062】
振動スクリーン40をコンベヤ67上へと通過するのに十分な微細度の固形材料は以降、「粗(crude)」CBpと称される。コンベヤ67は粗CBpを慣用の回転弁42に輸送し、回転弁42はCBp粉末を密閉コンベヤ44上に放出する。適切な密閉コンベヤは、例えば、カナダ、オンタリオ州Port Hope、299Ward StreetのUnitrack Corp社が販売のチップトラックエレベータである。CBp粉末は、密閉コンベヤ44によって、汚染防止用にビンベントフィルタ/トップマウントファン48が取り付けられた振動ビンディスチャージャ46に輸送される。速度制御電子フィーダ50は、粗CBpを振動ビンディスチャージャ46からミルフィードビン52へと密閉シュート69を介して放出する。粗CBpは重力によってミルフィードビン52から出て、密閉シュート81を通って閉鎖ホッパ54へと、次に密閉コンベヤベルト56へと進み、ここでシュート72を下にパルベライザ58へと放出されて粒径が下げられる。パルベライザ58は好ましくは、Palla(登録商標) Vibrating Millである。閉鎖ホッパ54内で発生した大気粉塵は、導管73から、325メッシュが取り付けられかつ導管75を介してバッグフィルタ62に接続された機械式空気分級機60に引き込まれる。44μm以下の大気粉塵は機械式空気分級機60から導管77に抜けて、サージビン64に輸送される。このサージビン64には、レベル指示器66及びベントフィルタ/トップマウントファン68が取り付けられている。
【0063】
パルベライザ58内のCBpは、このパルベライザ58に導管79によって接続されたブロワ59によって押し出される。微細なCBpは、このようにしてパルベライザ58から密閉コンベヤ83へと吹き飛ばされ、コンベヤはCBpを機械式空気分級機60に送る。ここでもまた、メッシュサイズ325以下の粒子は、導管77を通してサージビン64に送られる。閉鎖搬送システム70を使用して、微細なCBpはサージビン64から、同じくレベル指示器74及びトップマウントファンを備えたビンベントフィルタ76が取り付けられたサージビン72に輸送される(図4を参照)。CBpは、サージビン72を出ると、電子的に速度制御されたフィーダ78を通過し、このフィーダ78は既定の量のCBp粉末を、流量を3000ポンド/時間に制限するためのインパクトフローメータ82を取り付けた密閉コンベヤ80に送る。ピンミキサアグロメレータ84は、微細なCBpを受け取り、バインダ溶液(タンク86から供給)及び/または水と混合することによってCBpのペレット化がおこなわれる。好ましくは、ペレット化は、水及びバインダ溶液を使用して行われる。アグロメレータ84には送気ライン88が接続され、空気は、遮断弁90及びレギュレータ92によって制御されている。
【0064】
バインダ溶液タンク86(容量最高8000ガロン)には、撹拌機94と、弁98によって制御されかつ5ミクロンのストレーナ100が取り付けられた送水パイプ96が取り付けられている。タンク86の最上部には、溢れを防止するためのレベル指示器102もある。パイプ103を通るタンク86からのバインダ溶液の流れは、循環ポンプ104によって制御される。制御弁106a、106bは、開閉に応じて、溶液流をタンク86に戻すこともアグロメレータ84に送ることもできる。水は、ピンミキサアグロメレータ84内へと直接、送水ライン108を通して導入することができる。この送水ラインにも5ミクロンのストレーナ110が取り付けられ、また遮断弁112及び制御弁114によって制御されている。
【0065】
CBpはアグロメレータ84から、好ましくはメッシュサイズ60〜100のペレットとして出て、密閉コンベヤベルト116によって、理想的には熱分解プロセスによって発生し回収されたガスを燃料とした乾燥装置118に輸送される。好ましくは間接回転式乾燥装置によって水分1%未満にまで乾燥させられたペレットは、乾燥装置118を出ると重力によって密閉シュート119を下に密閉コンベヤ120へと落下し、このコンベヤ120によって100メッシュスクリーンセパレータ122に送られる。寸法不足のペレット(すなわち、<149μmのペレット)は、慣用の回転弁124を通過し、ブロワ126がペレットを導管127に押し出し、導管127がペレットを再集塊化のためにサージビン72に戻す。大きすぎるペレット(すなわち、≧149μmのペレット)は、密閉コンベヤ129によって、バタフライ弁130が取り付けられた振動ビン128に輸送され、袋詰めの準備が整う。溢れたペレットは、ビンベントフィルタ134及びレベル指示器136が取り付けられたサージビン132で回収される。回転弁138によってペレットはサージビン132から密閉コンベヤ140へと出て、袋詰めの準備が整う。
【0066】
カーボンブラック(CBp)の特性及び定義:
CBpは、通常のキュア炉Nシリーズのバージンカーボンブラックと同じではない。タイヤの組成を分析したところ、かなりの量の無機化合物が含まれていることが示されていて、これらの化合物の殆どが熱分解後もチャーと共に残ることから、CBpの灰分が15重量%にもなる場合がある一方、バージンカーボンブラックの典型的な灰分は1%未満である。少量の熱分解炭素の表面堆積物が形成されて、CBp上に吸着される場合もある。しかしながら、か焼炉上の断熱材量、窒素量及び、か焼炉システムの圧力を維持することによって、この炭素堆積を抑制することができる。
【0067】
タイヤにおいてN100、N200、N300、N600及びN700シリーズのバージンカーボンブラックを使用することは珍しくはない。このため、回収されたCBpはカーボンブラックの混合物を有することになる。しかしながら、CBpの変化した特性が、プラスチック及びゴム産業における一部の特定の用途にとってプラスとなる場合もある。
【0068】
カーボンブラックは、ゴム化合物において使用される有力な強化用充填材であり、ゴムの性質における改善は、カーボンブラックの物理的及び化学的特性に左右される。最も重要な基本的物理的及び化学的性質は、凝集サイズ及び形状(ストラクチャ)、粒径、界面活性及び多孔性である。これらの性質は本質的に幅広く、この性質の幅広さがゴム性能に影響する。その他の基本的なものではない性質には、物理的形態及び残留物が含まれる。カーボンブラックの物理的形態(ビーズ/ペレットまたは粉末)は、カーボンブラックの取り扱い及び混合特性ひいてはゴムの性質に影響し得る。極限分散度も、混合手順及び使用する機器に左右される。
【0069】
ストラクチャ/凝集体サイズ:
カーボンブラックは、1次粒子としては存在しない。1次粒子は融着して凝集体を形成し、この凝集体は多数の粒子を含み得る。凝集体の形状及び分岐度は、ストラクチャと称される。最終的には、カーボンブラックのストラクチャレベルが、幾つかの重要なゴムの性質へのその影響を決定する。カーボンブラックストラクチャが大きくなると、弾性、硬さ、導電性も上昇し、カーボンブラックの分散性が改善されるが、化合物の粘度も上昇してしまう。
【0070】
粒径は、ゴムの性質に大きな影響を及ぼす基本的な性質である。粒子が微細だと強化性、耐摩耗性が向上し、引張強度が改善される。しかしながら、より微細な粒子を分散させるためには、より長い混合時間とより多くのエネルギーが必要となる。典型的な粒径は、ファーナスブラックの場合、約8〜100ナノメートルである。表面積は、業界において、カーボンブラックの微細度の指標として使用される。
【0071】
界面活性または界面化学は、カーボンブラック製造プロセス及び熱履歴に左右される。直接測定することは困難であるが、界面活性は、ゴムの性質(耐摩耗性、引張強度、ヒステリシス、弾性等)へのその影響を通じて表される。界面活性が硬化特性に与える影響は、使用する硬化系に大きく依存する。
【0072】
多孔性は、製造プロセス中に制御可能なカーボンブラックの基本的な性質である。多孔性は表面積の測定値に影響し、外面的な値より総表面積は大きくなる。多孔性を上昇させると、凝集体の密度が低下する。そのため、ゴム配合業者は、化合物の比重を維持しながら炭素添加量を上昇させることができる。これは、一定の添加量あたりの化合物の弾性及び導電性における上昇につながる。
【0073】
カーボンブラックの物理的形態は、カーボンブラックの取り扱い及び混合特性に影響する。ゴムカーボンブラックの最も一般的な形態はビーズ(ペレット)である。
【0074】
熱分解カーボンブラック(CBp)生成物:
開示されたリサイクリングプロセスを利用して、発明者は、使用済みゴムタイヤの熱分解によって、市場が要求する一貫して高い品質レベルを満たすCBpを生成できることを実証した。これは、本発明によって生成されるCBpが、ASTM(American Society for Testing and Materials)規格試験に準拠した明確に定義された限度内の一貫した組成を有することを示唆している。これを目的として、発明者は広範囲に及ぶ調査を行い、ゴム用の充填材として使用した場合に許容範囲の強化レベルを示すCBpが得られる操作条件を特定した。発明者による発見は、CBpのモルホロジ及び特性が部分的に、プロセス温度及び滞留時間を変化させることによって制御できることを示した。温度及びその他のパラメータ(反応チャンバ及び冷却装置内のガスの圧力及び不活性度等)の厳格な制御を可能にする本明細書で開示のプロセスを利用して、CBp生成を、オイル及びガス生成とCBpにおける関連する硫黄含有量とのバランスを一貫してとることによって最適化することができる。
【0075】
本発明のこれらの態様を、以下の実施例を参照することによってより深く理解することができる。実施例は本発明の例に過ぎない。
実施例1:
清浄化された2インチ(対角線)のゴムタイヤ細片を、4つの異なる温度:450℃、500℃、600℃及び700℃の嫌気性環境で熱分解した。表1は、これらの様々な熱分解温度でのプロセスの物質収支を示す。より高温で行われる熱分解がオイル生成に有利に働き、より低い操作温度がチャー生成に有利に働くことが見て取れる。
【0076】
【表1】
【0077】
表2は、4つの実験熱分解温度で発生したオイル及びチャーの総発熱量及び硫黄含有量を示す。結果は、オイルの硫黄含有量が高い熱分解温度で高くなり、反対にチャーの硫黄含有量は熱分解温度が低くなると上昇することを示す。
【0078】
【表2】
【0079】
チャーの表面積の温度の関数としての分析も興味深かった。表3は、調査した4つの温度でのチャーのBET(Brunaer、Emmett、Teller)表面積を示す。表から見て取れるように、データは、チャーの表面積が、熱分解温度の上昇に伴って上昇することを示唆している。
【0080】
【表3】
【0081】
嫌気条件におけるゴムの熱分解によってガス状生成物が発生し、これらのガスの放出率も、熱分解温度と相関関係にあることが判明した。表4〜7は、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン及びその他の炭化水素(HC)ガスのそれぞれ450℃、500℃、600℃及び700℃の熱分解温度での発生率を示す。表4は、450℃でガス発生量が上昇し、熱分解プロセスから約110分でピークに達し、約125分で安定することを示す。
【0082】
【表4】
【0083】
500℃で、ガス発生率は大きく上昇し、450℃の場合のほぼ半分の時間、すなわち熱分解プロセスから約50分でピークに達する。ガス放出は、約100分で安定するとわかる(表5)。
【0084】
【表5】
【0085】
熱分解温度が600℃まで上昇するにつれて、表6は、ガス発生ピークが早くなり(40分)、約140分で安定することを示す。
【0086】
【表6】
【0087】
最後に、表7は、ゴム細片を700℃で熱分解した場合のガスの発生に関して集めたデータを示す。ガスの生成が約38分でピークに達し、約140分で安定することが見て取れる。
【0088】
【表7】
【0089】
要約すると、この調査は、熱分解温度が、生成されるオイル、チャー及びガスの量及び品質にどのように影響するかを理解することが極めて重要であることを示す。判明したことを以下のように要約することができる。
・タイヤの完全な熱分解のためには、操作温度が約450℃を下回るべきではない。
・高い熱分解温度ではオイル収率が上昇するが、その結果、CBp収率が低下する。
・低い熱分解温度ではチャー生成量が上昇するが、その結果、オイル収率が低下する。
・ガス発生率は、熱分解温度の上昇に伴って上昇する。
・低い熱分解温度で生成された場合、CBp生成物の硫黄含有量は高い。
・熱分解温度が高いと、オイルの硫黄含有量が高い。
・熱分解温度が高いと、より広い表面積を有するCBpが生成される。
【0090】
実施例2:
1〜1/2インチ以下の使用済みゴムタイヤ細片を、450℃で不活性窒素雰囲気において熱分解した。冷却期間に続いて、チャーを回収し、スチールを磁石を使用して除去した。粗CBpをミル粉砕して325メッシュの篩に通した。ミル粉砕されたCBp(かさ密度25lb/ft3)を1%Norlig G(カルシウムリグノスルホネートバインダ)と混合し、次にアグロメレータを使用してペレット化した。生成物を続いて温度120℃で乾燥させ、生成物を2.0x150ミクロン(10x100メッシュ)で篩過した。生成されたペレットのかさ密度は、約35lb/ft3であった。
【0091】
実施例2a:
ペレット化されたCBpを続いて2種類の天然ゴム配合物において試験した(ASTM D3192)。ゴム化合物Aは、慣用のN−762を使用して調製され、ゴム化合物BはCBpを使用して調製された。結果を表8、9、10に示す。
【0092】
【表8】
【0093】
【表9】
【0094】
【表10】
【0095】
実施例2b:
スチレンブタジエンゴム(SBR)の有用性及び信頼性は、このコポリマーを世界で最も重要で広く使用されるゴムにした。以下の結果は、高ストラクチャカーボンブラックN339とのブレンド物におけるCBpの強化特性を示す。慣用のN762との同じブレンド物も比較する(表11〜13)。
【0096】
【表11】
【0097】
【表12】
【0098】
【表13】
【0099】
実施例3:
1〜1/2インチ以下の使用済みゴムタイヤ細片を、500℃で不活性窒素雰囲気において熱分解した。冷却期間に続いて、チャーを回収し、スチールを磁石を使用して除去した。粗CBpをミル粉砕して325メッシュの篩に通した。ミル粉砕されたCBp(かさ密度25lb/ft3)を1%Norlig G(カルシウムリグノスルホネートバインダ)と混合し、次にアグロメレータを使用してペレット化した。生成物を続いて温度120℃で乾燥させ、生成物を2.0x150ミクロン(10x100メッシュ)で篩過した。生成されたペレットのかさ密度は、約35lb/ft3であった。
【0100】
実施例3a:
CBpを、ASTM3192に準拠して天然ゴム配合物において使用することによって試験した。結果を表14〜16に示す。
【0101】
【表14】
【0102】
【表15】
【0103】
【表16】
【0104】
実施例1、2、3で説明されるような記載の熱分解条件及び追従制御操作条件に基づいて、発明者は、約450〜500℃、好ましくは約500℃でのゴムタイヤ細片の熱分解によって、ハイグレードで市場性のあるCBp生成物を生成できることを発見した。生成されたCBpの性質には、トルエン着色透過率90%が含まれる。CBpのその他の特性を表17にまとめ、またスチール非含有でありかつペレット化に先立って325メッシュ未満にミル粉砕したサンプルについて測定を行った。
【0105】
【表17】
【0106】
本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、改変及び変更を、本発明のその他の実施形態の設計及び製造に加え得る。本発明は付随する請求項によってのみ限定される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物リサイクルの分野、特には屑ゴム材料(例えば、廃ゴムタイヤ)から有用な炭素質材料を再生するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
増え続ける廃タイヤは、地球規模での主要環境ハザードである。工業化社会は、男女及び子供1人あたり年間、驚くべき速度で使用済みタイヤを蓄積し続けている。
【0003】
カナダゴム協会(Rubber Association of Canada)によると、カナダでは年間、2980万本の廃タイヤが発生している(3710万本の乗用車用タイヤ当量に等しい)。これらの廃タイヤは、交換用タイヤ市場及び廃車車両の両方から発生する。
【0004】
米国では、米国ゴム工業会(Rubber Manufacturers Association)が、2005年に2億9900万本の廃タイヤが発生したと推定している。このうち推定で4200万本のタイヤが埋立地に埋め立てられ、全米で蓄積されている廃タイヤは全部で1億8800万本である(米国環境保護庁は、蓄積量を2億6500万本と推定している)。
【0005】
一般に、埋め立てへの利用は減っている一方、タイヤのリサイクルは増加している。現在、カナダ国内では約70%の廃タイヤが加工されていて、残りの30%が蓄積または輸出されている。しかしながら、この割合は州によって大きく異なり得る。例えば、オンタリオ州で1年に発生する全ての廃タイヤの約半分が、米国/カナダ国境を越えて運ばれ、米国内で燃料として焼却されていると推定される。ケベック州では毎年、廃タイヤの30〜40%が、州の全域にわたって存在する民間集積場に運ばれる。
【0006】
更に、安全で耐久性の高いタイヤのための厳しい製品規格は、廃タイヤの破砕を困難かつ高コストにしている。
【0007】
一般に、約65重量%のゴム、10重量%の繊維及び12.5重量%のスチールから構成されるタイヤは、2種類の形態、すなわち加工した状態及びタイヤのままでのリサイクルが可能である。全タイヤのリサイクルには、古タイヤをそのままで別の目的(例えば、造園用縁取り材、遊具、防舷材、高速道路のガードレール)に使用することが含まれる。他方で、加工済みタイヤのリサイクルでは、まずタイヤをより小さなタイヤ片にすることを必要とする。これは、常温または極低温での切断、細断または粉砕によって達成することができる。
【0008】
タイヤ接地面または側面からのゴム小片のパンチングまたは打ち抜きを利用して、水桶等の品物を作ることができる。この技法は典型的には、道路走行用ではないタイヤ(土木または採鉱用機器、農業用トラクタに使用のもの等)に施される。
【0009】
廃タイヤゴムを細断及び粉砕するプロセス及び細断サイズは、その目的とする最終用途に左右される。考えられる用途には、細片の、高速道路盛土、擁壁及び橋台用の軽量盛土材並びに道路の凍結深度を制限するための断熱材としての使用が含まれる。
【0010】
クラムラバーは、常温または極低温粉砕プロセスによって製造される。常温加工は、室温で行われる。極低温加工では、液体窒素または別の物質若しくは方法を使用してゴムチップまたは粒子を凍結させ、それから更に細分化する。粒径は、4分の1インチ〜成型物の製造に一般に使用される微粉にわたる。より大きいサイズのクラムラバーの用途には、遊び場、馬場、歩道、ジョギング路用の安全緩衝面が含まれる。
【0011】
熱、圧力及びバインダの使用により、クラムラバーを様々な製品に成型し得る。例には、スケートリンク、屋根の割れ目で使用するゴムマット及び畜舎で使用するゴムマットレスが含まれる。
【0012】
技術的にはリサイクルの形態とは言えないものの、タイヤからのエネルギーの産生は、使用済みタイヤの処分方法の大きな割合を占めている。この用途において、廃タイヤは、セメントキルン、パルプ及び製紙工場、産業用及びユーティリティボイラにおける燃料としての石炭代替物として使用される。これは特に米国での事例であり、米国では廃タイヤ燃料(tire−derived fuel:TDF)は、2005年において約1億5500万本の廃タイヤ、つまり発生した全ての廃タイヤの約52%を占めた。
【0013】
タイヤリサイクル市場は、リサイクルゴム製品は、バージンゴム製の製品の品質に達しないことが多い割に製造がより高コストとなることが多いという課題を抱えている。例えば、ゴムアスファルトは普通のアスファルトより高価であるのに、それより優れている証拠があるわけではなく、実際、多くの輸送技術者がそのメリットに懐疑的である。ゴムアスファルト道路を再舗装する際、最上層を剥離、加熱及び再使用することはできない。熱によってゴムが焼けて毒性物質が放出されるからである。加えて、ゴムアスファルトは石油を25%余分に消費する。
【0014】
同様に、ゴムの脱硫については膨大な研究がなされ、それによってリサイクルされたタイヤは、成型または打ち抜きゴム材(マット、桶、バケツ等)の製造に使用される。しかしながら、最終的な再生材料は、バージンゴムとは若干異なる化学的性質を有し、またより堅く柔軟性が低い。その結果、リサイクル材は、現在のタイヤ製造業者の厳しい要求を満たさない上、ホース等の可撓性製品の製造にも使用することができない。これらの用途はカナダのゴム市場の85%を占めることから、脱硫ゴムの潜在的供給は需要を上回りがちである。加えて、古タイヤ、特にはスチールベルトのついた最新型のラジアルタイヤを脱硫ゴムに加工するコストは、バージンゴム製造のコストを超える。この品質/コスト問題の結果、多くのゴムリサイクル事業が高い利益をあげてやっていくことができず、もっと悪い場合は政府による支援がないとやっていけない。
【0015】
一方、TDFへの利用も増加しつつあるが、これに対しては年々、反対の声が大きくなっている。まず、一般市民及び市民社会団体からの大気汚染への懸念のせいである。セメントキルンまたは焼却炉における焼却によって、高濃度のNOx、ダイオキシン、PAH、フラン、PCB及び粒子状の重金属(煤塵)が発生するのである。更に、このような作業に必要とされるハイテク焼却炉は極めて高額である。長期にわたる経済的安定性を確保するためには、廃タイヤを大量かつ一定供給する都市化が激しい地域が必要とされる。一般市民のTDFに対する強い反発の最近の例は、タイヤ及びその他の材料をオンタリオ州Bathのセメントキルンで焼却するLafarge Canada社の計画に対する市民による上訴を支持するという、オンタリ州の合議法廷による最近の裁定である。この上訴では、潜在的な大気汚染、水質汚染及び人間への健康被害への懸念が言及された。
【0016】
熱分解(pyrolysis)系とは、酸素不在下(またはほぼ不在)での廃棄物の熱処理のことである。車両用タイヤの熱分解から発生する主成分は以下の通りである。
(a)主として水素、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素及び様々なその他のガスを含有するガス流。清浄化後のガスは、エネルギー含有量はほぼ同じだがより高い熱含有量の天然ガスに極めて似ている。
(b)No.6燃料オイルに似た単純及び複雑炭化水素を含有するオイル流の液体分。
(c)ほぼ純粋な炭素及び廃タイヤに元々存在していた若干の不活性材料(例えば、スチール、酸化亜鉛)から成るチャー。
【0017】
伝統的な熱分解プロセスでは、タイヤを実質的に嫌気条件下で加熱するため、タイヤ材料はガス及び灰へと完全には変化しない。典型的な自動車用タイヤは、約4リットルのオイル、約230gの繊維、1キロ以上のカーボンブラック及び各約1キロのスチール及びメタンを含有する。
【0018】
しかしながら、熱分解技術を商業化しようとする従来技術の試みにも関わらず、採算の合うやり方では依然として成し遂げられていない。過去10年間にわたって、多くの熱分解プロジェクトが提案され、特許を付与され或いは計画されてきたが、いずれも商業的に成功していない。
これらのプロセスの多くは真に連続的なものではなく、少なくとも一部の態様または工程において、バッチ処理技法に限定されている。このため、採算が合うように十分に規模を拡大することができない。その他のプロセスは、リサイクルを可能にする十分な高品質の最終生成物を製造するために過剰なエネルギー入力を必要とするため、経済的ではない。特に、バッチタイプのタイヤ熱分解による生成物の市場性には限界がある。その最終生成物の品質が未使用材料と比較して低いからである。例えば、従来技術の熱分解カーボンブラック(CBp)は、典型的には、不純物の含有量が多すぎて新しいタイヤに使用することができない。更に、バッチ式の熱分解技法の場合、最終生成物の品質が回毎に変化し得る。このため、得られるCBpは、安定した品質のカーボンブラック生成物を必要とする自動車、ゴム及びその他の業界で競合することができない。この結果、現行の熱分解プロセスから得られるCBpの多くが、燃料産業における高品位炭として、また工業用ホース、マット、屋根ふき材及び成型品に使用される。
【0019】
従って、これらの従来のリサイクリングプロセスのいずれもが、増加の一途をたどる量の廃タイヤによってもたらされる環境問題に効果的に対処するのに必要な広く認められたレベルではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許第3462160号
【特許文献2】米国特許第5037628号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、廃ゴムタイヤをリサイクルして留出物であるオイル及びガス、スチール並びに一貫して高品質のCBpを生成するため、環境に優しく、採算がとれ、実質的に連続的なプロセスが開示する。このプロセスで回収されたオイルは、No.6燃料オイルの規格内にあると確認されている。本発明の熱分解プロセスによって発生するタイプのスチールは、No.1またはNo.2ヘビーメルティングスチール(heavy melting steel:HMS)として分類される。CBpの品質は、未使用のPrime N−600またはN−700シリーズのカーボンブラックに匹敵する特性であると確認されている。
【0022】
本発明の更なる態様において、連続プロセスによって生成されるリサイクルゴムについて記載し、このプロセスは、
(a)清浄化されたゴムタイヤを長さ2インチ未満、好ましくは長さ1.5インチ未満の細片に細断し、
(b)この細片を第1嫌気性環境内の熱プロセッサの反応チャンバで熱分解してチャーを生成し、
(c)揮発性有機物を反応チャンバから抜き取り、
(d)反応チャンバからチャーを取り出し、
(e)このチャーを第2嫌気性環境内で冷却し、
(f)このチャーから金属及び織物成分を除去してCBpを得て、
(g)このようにして得られたCBpを、メッシュサイズ325以下の粒子にミル粉砕及びサイズ調節し、
(h)前工程からのCBpをリサイクルゴムを生成するための重合プロセスにおいて利用する工程を含む。
【0023】
本発明の別の態様において、反応チャンバ内の温度は約450〜550℃、好ましくは約500℃である。より具体的には、温度プロファイルが存在し、温度は、それぞれ少なくとも30分にわたって4つのゾーンに維持される。好ましくは、温度プロファイルは、4つの異なるゾーンにあり、少なくとも30分にわたる500、550、550、550℃である。
【0024】
本発明の更に別の態様において、このリサイクルゴムプロセスは更に、工程(g)の後であり工程(h)の前に、CBpをメッシュサイズ60〜100のペレットにペレット化する工程を含む。
【0025】
本発明の更に別の態様において、上記のプロセスのリサイクルゴム生成物は、2500〜3100psiの最小引張強度を有する。
【0026】
本発明の別の態様において、ゴムタイヤのための連続リサイクリングプロセスから高品質CBpが生成され、このプロセスは、
(a)清浄化されたゴムタイヤを長さ2インチ未満の細片に細断し、
(b)この細片を第1嫌気性環境内の熱プロセッサの反応チャンバで熱分解してチャーを生成し、
(c)揮発性有機物を反応チャンバから抜き取り、
(d)反応チャンバからチャーを取り出し、
(e)このチャーを第2嫌気性環境内で冷却し、
(f)このチャーから金属及び織物成分を除去してCBpを得て、
(g)このようにして得られたCBpを、メッシュサイズ325以下の粒子にミル粉砕及びサイズ調節する工程を含む。
【0027】
本発明の別の態様において、このプロセスは、工程(b)の前に、異物及び残留物質を除去するための清浄化サブプロセスを含む。
【0028】
本発明の別の態様において、前段落のプロセスは更に、工程(g)の後に、CBpをメッシュサイズ60〜100のペレットにペレット化する工程を含む。
【0029】
本発明の更に別の態様において、熱分解ゴムから、
(a)9〜15%の灰分、
(b)透過率80〜90%のトルエン着色度(425mu)、
(c)30〜45mg/gmのヨウ素吸着度、
(d)最高65cc/100gmのn−ジブチルフタレート吸収係数
を有するCBpが生成される。
【0030】
本発明の別の態様において、廃タイヤから炭素質材料を再生する方法が提供され、この方法は、
(a)ゴムタイヤを長さ2インチ未満の細片に細断し、
(b)この細片を第1嫌気性環境内の熱プロセッサの反応チャンバで熱分解してチャーを生成し、
(c)揮発性有機物を反応チャンバから抜き取り、
(d)反応チャンバからチャーを取り出し、
(e)このチャーを第2嫌気性環境内で冷却し、
(f)このチャーから金属及び織物成分を除去して熱分解カーボンブラックを得て、
(g)このようにして得られた熱分解カーボンブラックを、メッシュサイズ325以下の粒子にミル粉砕及びサイズ調節し、
(h)前工程からの熱分解カーボンブラックをリサイクルゴムを生成するための重合プロセスにおいて利用する工程を含む。
【0031】
本発明のプロセスは、連続供給、閉ループ、制御雰囲気熱分解プロセスである。このプロセスでは特殊な弁を使用して一貫した製造環境を維持し、また市場が必要とする、一貫したストラクチャの高品質CBpを含めた指定の最終用途生成物を一貫して生成することができる。このプロセスは、1年340日、24時間7日間にわたってノンストップで実行可能であり、運転期間を通じて特性及びサイズにおいて実質的に同じ最終生成物が生成される。
【0032】
このため、本発明の目的は、従来技術における上記の欠点の少なくとも1つを取り除くまたは軽減し、また従来技術に対しての上述の利点の少なくとも1つ以上を提供することである。
【0033】
本発明のその他の利点、特色及び特徴、関連する要素及び構造体の操作方法及び機能並びにプロセスの工程の組み合わせ及び経済性は、以下の詳細な説明、付随する請求項を考慮し、添付の図面を参照することでより明らかとなる。図面については以下で簡単に説明する。
【0034】
本発明のプロセス及び最終生成物の特徴であると考えられるストラクチャ、構成、使用及び操作方法に関する新規な特色は、本発明の更なる目的及び利点と共に、以下の図面からより深く理解することができる。図面では、これより本発明の好ましいプロセスを例として図示する。しかしながら、この図面が図示及び説明だけを目的とし、本発明の限度の定義として意図されるものでない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】全体で本発明のプロセスの例を示す異なるセクションのフロー図
【図2】全体で本発明のプロセスの例を示す異なるセクションのフロー図
【図3】全体で本発明のプロセスの例を示す異なるセクションのフロー図
【図4】全体で本発明のプロセスの例を示す異なるセクションのフロー図
【図5】図1の2つの縦に積み重ねられたフラップ弁の詳細説明図
【図6A】図1のプロセスに先行する清浄化工程の異なるセクションを示すフロー図
【図6B】図1のプロセスに先行する清浄化工程の異なるセクションを示すフロー図
【図6C】図1のプロセスに先行する清浄化工程の異なるセクションを示すフロー図
【図6D】図1のプロセスに先行する清浄化工程の異なるセクションを示すフロー図
【図7A】図1のプロセスにおいて使用する代表的な、か焼炉(calciner)の説明図
【図7B】図7Aの詳細部分Aの詳細説明図
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に説明するのは、高品質の留出物ガス、オイル、スチール及びCBpを現在の市場において価値と用途を有する最終生成物として一貫して生成するための、使用済みゴムタイヤの熱分解を伴う連続リサイクリングプロセスである。熱分解は、この明細書及び付随する請求項において、酸素の不在下(またはほぼ不在)での物質の熱による分解を意味すると意図される。特に、開示のプロセスから、微細で、異物を含有せず、一貫して高品質の熱分解カーボンブラック(CBp)が再現性をもって得られる。この高品質CBpは、様々な用途に使用することができる(成型及び押出成形ゴム、発泡体、スポンジ、ワイヤ被覆材、ケーブル、屋根ふき材等)。特定のタイヤ用途(インナーライナー、カーカス、側壁等)で、本発明のプロセスで生成されたCBpをバージンカーボンブラックとブレンドして利用することも可能である。
【0037】
タイヤの前処理:
図1の工程の準備段階として、また細断に先立って、リサイクル対象であるタイヤを徹底的に清浄化することによって、タイヤに付着した異物(粗粒子、土、粘土、埃等)を除去する。全ての異物の除去が、生成されるCBpの再現性及び品質の確保に重要であることが判明している。残留粗粒子は、カーボンブラック生成物における灰分を増やすだけでなく、この粗粒子を望ましい粒径に粉砕するのに必要なより骨の折れるミル粉砕により、プロセスにかかるエネルギー及びコストも上昇させてしまう。
【0038】
タイヤ洗浄に使用する水は好ましくはリサイクルされる。驚くべきことに、この水が(この時点で、タイヤから除去された粗粒子及び埃を含有している)、洗浄サイクル毎に少しずつ酸性になることが判明している。これは問題である。装置の金属面(細断機のブレード等)の腐食及び点食が引き起こされるからである。従って、水を連続的に再使用し、なおかつ廃水が酸性であることによって引き起こされるコストのかかる腐食問題を排除するためには、水を濾過して固形汚染物質を除去するだけでなく、中和してから洗浄サイクルに再導入しなくてはならない。
【0039】
清浄化されたタイヤは、更なる清浄化工程を提供するためだけでなくブレードの摩耗及び破損を軽減するためにも、水の存在下で細断される。タイヤは、2インチ(対角線)以下、好ましくは1.5インチ以下、より好ましくは約1.5インチのゴム片に切断される。細断機(図示せず)の選別スクリーンで、1.5インチ以下の細片を通過させ、それより大きい細片を、更に細断するために細断機に戻す。スクリーンを通過した細片は慣用のコンベヤベルト上に分配され、そこで強制乾燥熱風によって乾燥させられて全ての水分が除去される。一旦乾燥させたら、細片を貯蔵サイロ内に貯蔵する。
【0040】
図6A〜Dに、上記の利点の一部を得るため行われる清浄化工程の好ましい実施形態が図示されている。まず、全タイヤを受け取り、秤210で重量を測定してから、タイヤをダンプカー214でコンベヤ216上に降ろす。次に、全タイヤはダイバータ218を通じて分配され、ここで一部のタイヤはいずれ使う時のために屋外貯蔵庫に置かれ、使用対象のタイヤは、1次送りコンベヤ220及び1次細断機222に振り分けられる。1次細断機222は全タイヤを比較的大きなタイヤ片に細断する。典型的には、細片の潤滑化のために、霧状の水を1次細断機222に付け加える。
【0041】
次に、細断されたタイヤ片は振動式ディスチャージャ224に進み、ここでスプリンクラ226が細片に洗浄水を噴霧して埃及び粗粒子を洗い落とす。洗浄水は回収され、ポンプ228を介して1次沈殿槽230にポンプ輸送され、溢れた水は、同じくpH調節のための中和槽として使用される2次沈殿槽232に流れ込む。上記の潤滑化用水及び洗浄水が酸性になることが判明しているため、再循環水はpHを調節してから再使用される。一部の水は、以下で説明するように、貯蔵場所に循環させられる。
【0042】
ここでタイヤ細片の経路に戻り、図6Cに示すように、タイヤ細片は2次細断機234に送られ、ここで好ましくは対角線で長さ1.5インチのタイヤ片に細断される。次に、これらのより小さい細片は二段ディスク式分級機236を通過し、この分級機が細片を分類し、サイズが1.5インチ以下の細片をチップ貯蔵庫238に送る。より大きいサイズの細片は振動スクリーン240に進み、ディスク式分級機236で正しく分類されなかった1.5インチ以下のサイズの細片は貯蔵庫238に送られ、より大きなサイズの細片は第3細断機242に進み続ける。次に、細片は図示されるように振動スクリーン240に戻され、プロセスをこの地点から繰り返すことによってチップサイズの一貫性を確保し、また最大数の稼働日を得る。任意で、集塵制御システムも設置することによって、周囲領域における埃及び汚染レベルを必要に応じて制御し得る。また、細片を好ましくは1%未満の水分レベルにまで乾燥させる。
【0043】
図6Dはチップ貯蔵庫238を示し、ここでチップは多数の区画に貯蔵される。好ましくは、各区画は、上述したようなpH調節後に再循環させられた水を使用するスプリンクラシステム244を含む。
【0044】
次に、細片は、例えばフロントローディング方式の車両246によってホッパ248に移動させられる。このホッパから、細片は、以下に記載されるような本発明の連続した完全なプロセスに送られる。
【0045】
プロセス:
図1〜4に、使用済みゴムタイヤ細片をリサイクルするための本発明の連続した完全なプロセスが開示されている。
【0046】
貯蔵サイロから、ゴム細片は、例えば振動フィーダ2、ベルトスケール5を備えたベルトコンベヤ4、ホッパ6及びスクリューフィーダ3から成る搬送・分散アセンブリに送られる。この搬送・分散アセンブリの目的は、計量済みの細片を2つの連続的に配置された高速空気フラップ弁7、7’(更なる詳細については図5を参照)の一方に連続的に輸送することである。フラップ弁は、回転式熱プロセッサまたは、か焼炉(calciner)8の反応チャンバ8cの開口部上に順番に設置されている。適切なタイプの回転式か焼炉8は、米国イリノイ州WarrenvilleのAlstom Power社から入手可能なガス燃焼式のBartlett−Snow Rotary Calciner(直径72インチ)(図7Aに図示)である。適切なフラップ弁7、7’は、米国イリノイ州WarrenvilleのAlstom Power社から入手可能である。細片はスクリューフィーダ3から、電子制御された既定の頻度で開閉する(好ましくは、約6回の投下/分)上部フラップ弁7のフラップ7a上に重力送りされる。フラップ7aが開くと、タイヤ細片は重力によって下部フラップ弁7’の閉じたフラップ7b上に落下し、上部弁7は速やかにその閉鎖位置に戻る。その後、第2弁7’のフラップ7bが開き、細片は供給シュート1を通って下へと回転式か焼炉8の開口部に送られる。
【0047】
高速空気フラップ弁7、7’は、スクリューフィーダ3の開放空気環境(含酸素)と、か焼炉8の不活性雰囲気(無酸素)反応チャンバ8cとの間の大気のインターロックとして機能する。か焼炉8内への不要な酸素導入を制限するために、窒素等の不活性ガスを2つのフラップ弁7、7’の間に導入することによって、両弁空洞部に正の窒素圧を作り出す。
窒素は、2つの目的にとって有益である。(i)不活性雰囲気を作り出すことによって、燃焼及び考えられ得る爆発を回避する。(ii)試験結果に基づいた正しい量の窒素は理想的には、か焼炉の内部容積の0.007体積/分以上である。
不十分な量の窒素は、チャーの品質に影響する。窒素の目的は、か焼炉が不活性雰囲気中にあることを確保し、また分解して炭素となり、チャー上に再堆積する可能性のある熱分解ガスの可能性を低下させることである。更に、か焼炉8を、分解されてチャー上に再堆積する可能性のある熱分解ガスの滞留が軽減されるように、負の水柱3/4〜1・1/4インチに維持することが好ましく、これは下流側のファンによって制御される。フラップ7a、7bを上記の順序で開けると、正の窒素圧勾配によって大気中の酸素のか焼炉8への進入が防止される。これは窒素ガスが、フラップ弁7、7’から、圧力がより低い大気側に押し出されるからである。酸素のか焼炉8内への進入の可能性を更に低下させるために、フラップ7a、7bの開閉を(重力制御ではなく)電子制御することによって常時、フラップ7a、7bの少なくとも一方の効率的かつタイミングの良い閉鎖を確保する。
【0048】
熱分解が起きる熱プロセッサ(すなわち、回転式か焼炉)8は、とりわけ供給端8a及び排出端8bを有する内部回転シリンダと、供給端と排出端との間に配置された反応チャンバ8cとを備える。螺旋フライトが、好ましくは、か焼炉8の供給端8aの内径上に位置し、また反応チャンバ8c全体にわたって延びている。このため、か焼炉8がその縦軸を中心として回転するにつれて、螺旋フライトが、弁7、7’によって投下されたゴム細片を滑らかに伸ばし、この細片を反応チャンバ8cの加熱ゾーン側に前進させる。反応チャンバ8c内の第2フライトは、固形材料を、か焼炉8の長さに沿って排出端8bまで移動させる。
【0049】
固形材料のより前方への輸送を更に支援するために、か焼炉8は好ましくは、供給端8aが排出端8bより若干高くなるように水平から若干ずらして位置決めされる。傾斜させることで重力を利用して、固形材料のか焼炉8内での前進を更に支援する。
【0050】
回転式か焼炉8は、好ましくは反応チャンバ8c内に4つの加熱ゾーン(各ゾーンは約450〜650℃の利用しやすい温度)を形成するために間接的に加熱される。温度プロファイルは、必要とされる最終生成物のタイプに応じて生成される。好ましくは、加熱ゾーン1、2、3、4は、それぞれ500℃、550℃、550℃、550℃に加熱される。好ましくは、プロファイルは、約450〜550℃の範囲の最高熱分解温度を有し(好ましくは約500℃)、30分以上である。
【0051】
か焼炉8内で起きる熱分解反応は酸素に敏感である。大量の酸素が反応チャンバ8cに侵入すると、安全性(すなわち、爆発のリスク)及び品質の両方の問題が生じる。従って、連続的なリサイクル作業を開始するに先立って、か焼炉8に窒素ガス(またはその他の不活性ガス)を充填しなくてはならない。フラップ弁7、7’において正の窒素圧も有することに加えて、気密シール9を、回転している反応チャンバ8cと、回転しているシリンダを取り囲む固定フレームワーク8dとの間の境界面に取り付けることによって、大気中の酸素がこれらの境界面を通り抜けて、か焼炉8内に流れ込むのを防止しなくてはならない。気密ベローズタイプのシールが好ましくはこの目的に使用される。これらのシールは、か焼炉8の反応チャンバ8c内で正の窒素圧を維持するように設計される。適切な形態のベローズシールは、O.J.Adamsに1969年8月19日に発行された特許文献1に開示されている。
【0052】
熱分解プロセスの過程において、ゴム細片は450℃を超える温度、好ましくは約500〜550℃にまで加熱される。このようにして引き起こされたゴムの嫌気性分解によって揮発性有機物が生成され、この揮発性有機物は、揮発性有機ガスとして反応チャンバ8cを満たす。従って、か焼炉8内の圧力を好ましくは大気圧より若干低く維持することによって、反応チャンバ8cの過剰加圧を防止する。熱分解ガスは、か焼炉8の排出端8bから排出パイプ11を通して抜かれる。排出パイプの反対側の圧力は、か焼炉8内の圧力より低い。このため、反応チャンバ8c内のガスは、この圧力差によって排出パイプ11を通って吸い出される。
【0053】
熱分解プロセスにおいて十分な品質のチャーを生成するためには、生成されたチャーの揮発性物質含有量がゼロまたはわずかなものとなるようにすることが好ましいことが判明している。末端部である、か焼炉8のブリーチングセクションを、500℃以上の温度に維持することによって、冷却装置への排出前にガスが再度チャー上に凝縮するのを回避する。図7bは、図7aの代表的な、か焼炉の排出端を示す。この末端部は好ましくは連続スリーブ700を有し、この領域は、温度を少なくとも500℃に維持するために断熱材720で断熱され、またヒートトレースされている。また、代表的なベローズシールアセンブリ740及びシリンダディッシュ端760も図示されている。当業者なら、図7a及び7bのか焼炉が代表例を示す目的のためのものにすぎず、本発明を限定するものとは見なされないことを理解する。一般に、チャー上でどんなガスの再凝縮(すなわち、500℃未満)が起きても、揮発性物質含有量が許容限度より高いチャーが生成される。
【0054】
このようにして得られた熱分解ガスは、排出パイプ11によってオイルクエンチ塔10に送られ、重質ガスはオイルとして凝縮され、軽質ガスは抽出され、この軽質ガスは吸引ライン13を通ってオイルクエンチ塔10の最上端10aから抜き取られ、そこからライン17を通ってガスブロワ12によってセパレータ14に押し出される(図2を参照)。セパレータ14は別の抽出段階として機能し、軽質ガス分を、オイルに凝縮してから貯蔵することができる残留重質ガスから分離する。軽質ガス分はセパレータ14の最上部14aからライン25を通って貯蔵タンク16に抜き取られる。軽質ガス分を、ブロワ18によって貯蔵タンク16から供給ライン27を通してタンク車、列車、船またはいずれ使用する時までの別の保持容器に抜き取ることができる。このガスをスクラブして、例えば、回転式か焼炉8の加熱に使用するバーナ(図示せず)のための燃料としてリサイクルしてもよい。
【0055】
なお、試験結果は、このプロセスで得られた全てのオイルがNo.6オイルとしての特性を示し、従って軽質及び重質オイルには分離しないことを示している。オイルは好ましくは混合されて貯蔵される。2つの連続した凝縮器を使用してオイルを凝縮及び回収し、保持タンクに貯蔵し、次にフィルタを通してから出荷用貯蔵タンクにポンプ輸送する。好ましくは、ガス凝縮段階に先立ってホットサイクロンを組み込むことによって微粒子を叩き落として、凝縮システム内のパイプ及びその他の要素の閉塞を防止する。次に、凝縮できないガスはスクラビングプロセスを経て、ここでは苛性溶液を使用して全ての酸性成分をストリップする。スクラビング後のガスを貯蔵して、か焼炉と、CBpペレットの乾燥に使用する乾燥装置とを動作させる。
【0056】
プロセスそれ自体に戻ると、セパレータ14の下方端14bにおいて凝縮されたオイル分はライン29を通ってセパレータを出て次にライン35に流れ込む。ライン35はオイルを今度は貯蔵タンク26aに送る。或いは、オイルはライン37に送られ、ライン37は任意でオイルを貯蔵タンク26bに送る。ライン29、35、37には全て、相互接続されたライン29、35、37を流れるオイル流を選択的に制御するための慣用の制御弁31が取り付けられている。
【0057】
オイルクエンチ塔10において凝縮されたオイルは、塔10の下方端10bで回収され、そこを出て制御弁19を通って、逆方向の枝管43a、43bを有する2方向接合ライン43のT接合部で終端する供給ライン39に流れ込む。各枝管43a、43bには好ましくは制御弁19a、19bがそれぞれ1つ、供給ライン39とのT接合部の両側に取り付けられている。下流で、各枝管43a、43bは、それぞれオイルフィルタ20a、20bに続く。オイルは各オイルフィルタ20a、20bから下流へとそれぞれの供給ライン20c、20dへと流れ込み、供給ライン20c、20dは、供給ライン20c、20dにそれぞれ取り付けられた制御弁21a、21bによって更に制御される。供給ライン20c、20dは、制御弁21a、21bの下流のライン35とのT接合部で合流する。ライン35に進入したオイルはその後、オイルを冷却する水冷オイル冷却プレート/フレーム22に送られてから、貯蔵タンク26aまたは26bに貯蔵される。冷却プレート/フレーム22中の水は、循環ポンプ23が取り付けられたパイプループ45を通って循環する。パイプループ45は中央冷却水システム24を通り抜け、中央冷却水システムは、冷却プレート/フレーム22から出てきた温水を冷却し、冷水をパイプループ45にパイプ輸送で戻す。
【0058】
貯蔵タンク26a、26bに回収されたオイルを、タンクからライン47に放出することができる。慣用の制御弁28の使用によって、オイルを、貯蔵タンク26a、26bからライン49に流し、そこからポンプ30aによってタンク車、列車または船へとポンプ輸送することも、或いはライン15に流し、そこから更なる分別のためにポンプ30bでポンプ輸送してオイルクエンチ塔10に戻すこともできる。
【0059】
図1に示すように、熱分解中に生成された熱い固形生成物(すなわち、チャー)は、重力によって、か焼炉8から排出され、排出ブリーチング(図示せず)の開放空間を通ってブリーチングの底部にある別の2つの高速空気フラップ弁53、53’の1つ目の弁上に落下する。フラップ弁53、53’は実質的に、回転式か焼炉8の供給端8aに位置決めされた2重のフラップ弁7、7’と同じものであり、その間にもフラップ弁53、53’内に正の窒素圧を作り出すためのガス注入口が取り付けられている。この段階での窒素の使用は、酸素の回転式か焼炉8内への進入を防止するためだけでなく、熱いチャーの酸化を防止するためにも重要である。とりわけ、チャーの酸化は、CBp最終生成物の品質を低下させ得る。従って、熱いチャーは2重のフラップ弁53、53’を通過した後、窒素を充填した回転式冷却装置32の供給端32a内に送られる。この冷却装置は好ましくは内径上にチャーを回転式冷却装置32内を排出端32bにまで輸送するためのフライティングを有する。適切な回転式冷却装置32は、米国イリノイ州WarrenvilleのAlstom Power社から入手可能なBartlett−Snow Rotary Cooler(直径36インチ)である。この回転式冷却装置32内の温度は好ましくは、回転するシリンダの外面を水で間接的に冷却することによって低く維持される。冷却用の水は、循環ポンプ33によってパイプループ51を通って連続的に循環させられ、また中央冷却水システム24によって冷却される。
【0060】
チャーは、回転式冷却装置32の排出端32bを十分に低い温度、好ましくは約200℃で後にすることから、ここからは、空気と大きく反応する(すなわち、酸化する)ことなく空気に曝露させることができる。驚くべきことに、チャーがこの段階で特に集塊せず、従来技術(例えば、1991年8月6日にJohn Faderに発行された特許文献2)においてこれまで記載されていたような脱集塊工程を必要としないことが判明している。
これは、本明細書において発明者が説明した厳格な嫌気性操作条件下で生成されたチャー中のオイル含有量が低いこと及び約450〜550℃、好ましくは約500℃の熱分解温度によって説明することができる。チャーは好ましくは回転式冷却装置32から密閉スクリューコンベヤ55内へと排出され、次に2つの磁気セパレータ34、36を通過する。磁気セパレータ34はスチール38をチャーから除去し、通常、磁気セパレータ34より強力な磁気セパレータ36は、第1磁気セパレータ34が取りこぼした希土類金属及びその他の磁性物を除去する。チャーは、密閉コンベヤベルト57によって第1磁気セパレータ34と第2磁気セパレータ36との間を輸送される。チャーから抽出されたスチール38は好ましくは、コンベヤ61a、61bによってそれぞれ中央回収場所に輸送され、ここで熱分解プロセスによって発生した天然ガスを使用して、新たな金属生成物の製造にすぐに使用できるようにまたは更に加工するために、スチール38(加圧成形済み)は加熱、100ポンドのブリケットに加圧成形及び溶解され得る。
【0061】
この時点でスチール38及びその他の磁性成分を含有しないチャーは好ましくは、密閉コンベヤベルト63によって第2磁気セパレータ36から好ましくはメッシュサイズ100の振動スクリーン40(図3を参照のこと)に輸送され、元の廃タイヤ片の成分として残っている織物繊維または紐41が分離される。これらの織物残片は、コンベヤベルト65によって振動スクリーン40から取り除かれ、続いて廃棄されるまたは場合によってはリサイクルされる。
【0062】
振動スクリーン40をコンベヤ67上へと通過するのに十分な微細度の固形材料は以降、「粗(crude)」CBpと称される。コンベヤ67は粗CBpを慣用の回転弁42に輸送し、回転弁42はCBp粉末を密閉コンベヤ44上に放出する。適切な密閉コンベヤは、例えば、カナダ、オンタリオ州Port Hope、299Ward StreetのUnitrack Corp社が販売のチップトラックエレベータである。CBp粉末は、密閉コンベヤ44によって、汚染防止用にビンベントフィルタ/トップマウントファン48が取り付けられた振動ビンディスチャージャ46に輸送される。速度制御電子フィーダ50は、粗CBpを振動ビンディスチャージャ46からミルフィードビン52へと密閉シュート69を介して放出する。粗CBpは重力によってミルフィードビン52から出て、密閉シュート81を通って閉鎖ホッパ54へと、次に密閉コンベヤベルト56へと進み、ここでシュート72を下にパルベライザ58へと放出されて粒径が下げられる。パルベライザ58は好ましくは、Palla(登録商標) Vibrating Millである。閉鎖ホッパ54内で発生した大気粉塵は、導管73から、325メッシュが取り付けられかつ導管75を介してバッグフィルタ62に接続された機械式空気分級機60に引き込まれる。44μm以下の大気粉塵は機械式空気分級機60から導管77に抜けて、サージビン64に輸送される。このサージビン64には、レベル指示器66及びベントフィルタ/トップマウントファン68が取り付けられている。
【0063】
パルベライザ58内のCBpは、このパルベライザ58に導管79によって接続されたブロワ59によって押し出される。微細なCBpは、このようにしてパルベライザ58から密閉コンベヤ83へと吹き飛ばされ、コンベヤはCBpを機械式空気分級機60に送る。ここでもまた、メッシュサイズ325以下の粒子は、導管77を通してサージビン64に送られる。閉鎖搬送システム70を使用して、微細なCBpはサージビン64から、同じくレベル指示器74及びトップマウントファンを備えたビンベントフィルタ76が取り付けられたサージビン72に輸送される(図4を参照)。CBpは、サージビン72を出ると、電子的に速度制御されたフィーダ78を通過し、このフィーダ78は既定の量のCBp粉末を、流量を3000ポンド/時間に制限するためのインパクトフローメータ82を取り付けた密閉コンベヤ80に送る。ピンミキサアグロメレータ84は、微細なCBpを受け取り、バインダ溶液(タンク86から供給)及び/または水と混合することによってCBpのペレット化がおこなわれる。好ましくは、ペレット化は、水及びバインダ溶液を使用して行われる。アグロメレータ84には送気ライン88が接続され、空気は、遮断弁90及びレギュレータ92によって制御されている。
【0064】
バインダ溶液タンク86(容量最高8000ガロン)には、撹拌機94と、弁98によって制御されかつ5ミクロンのストレーナ100が取り付けられた送水パイプ96が取り付けられている。タンク86の最上部には、溢れを防止するためのレベル指示器102もある。パイプ103を通るタンク86からのバインダ溶液の流れは、循環ポンプ104によって制御される。制御弁106a、106bは、開閉に応じて、溶液流をタンク86に戻すこともアグロメレータ84に送ることもできる。水は、ピンミキサアグロメレータ84内へと直接、送水ライン108を通して導入することができる。この送水ラインにも5ミクロンのストレーナ110が取り付けられ、また遮断弁112及び制御弁114によって制御されている。
【0065】
CBpはアグロメレータ84から、好ましくはメッシュサイズ60〜100のペレットとして出て、密閉コンベヤベルト116によって、理想的には熱分解プロセスによって発生し回収されたガスを燃料とした乾燥装置118に輸送される。好ましくは間接回転式乾燥装置によって水分1%未満にまで乾燥させられたペレットは、乾燥装置118を出ると重力によって密閉シュート119を下に密閉コンベヤ120へと落下し、このコンベヤ120によって100メッシュスクリーンセパレータ122に送られる。寸法不足のペレット(すなわち、<149μmのペレット)は、慣用の回転弁124を通過し、ブロワ126がペレットを導管127に押し出し、導管127がペレットを再集塊化のためにサージビン72に戻す。大きすぎるペレット(すなわち、≧149μmのペレット)は、密閉コンベヤ129によって、バタフライ弁130が取り付けられた振動ビン128に輸送され、袋詰めの準備が整う。溢れたペレットは、ビンベントフィルタ134及びレベル指示器136が取り付けられたサージビン132で回収される。回転弁138によってペレットはサージビン132から密閉コンベヤ140へと出て、袋詰めの準備が整う。
【0066】
カーボンブラック(CBp)の特性及び定義:
CBpは、通常のキュア炉Nシリーズのバージンカーボンブラックと同じではない。タイヤの組成を分析したところ、かなりの量の無機化合物が含まれていることが示されていて、これらの化合物の殆どが熱分解後もチャーと共に残ることから、CBpの灰分が15重量%にもなる場合がある一方、バージンカーボンブラックの典型的な灰分は1%未満である。少量の熱分解炭素の表面堆積物が形成されて、CBp上に吸着される場合もある。しかしながら、か焼炉上の断熱材量、窒素量及び、か焼炉システムの圧力を維持することによって、この炭素堆積を抑制することができる。
【0067】
タイヤにおいてN100、N200、N300、N600及びN700シリーズのバージンカーボンブラックを使用することは珍しくはない。このため、回収されたCBpはカーボンブラックの混合物を有することになる。しかしながら、CBpの変化した特性が、プラスチック及びゴム産業における一部の特定の用途にとってプラスとなる場合もある。
【0068】
カーボンブラックは、ゴム化合物において使用される有力な強化用充填材であり、ゴムの性質における改善は、カーボンブラックの物理的及び化学的特性に左右される。最も重要な基本的物理的及び化学的性質は、凝集サイズ及び形状(ストラクチャ)、粒径、界面活性及び多孔性である。これらの性質は本質的に幅広く、この性質の幅広さがゴム性能に影響する。その他の基本的なものではない性質には、物理的形態及び残留物が含まれる。カーボンブラックの物理的形態(ビーズ/ペレットまたは粉末)は、カーボンブラックの取り扱い及び混合特性ひいてはゴムの性質に影響し得る。極限分散度も、混合手順及び使用する機器に左右される。
【0069】
ストラクチャ/凝集体サイズ:
カーボンブラックは、1次粒子としては存在しない。1次粒子は融着して凝集体を形成し、この凝集体は多数の粒子を含み得る。凝集体の形状及び分岐度は、ストラクチャと称される。最終的には、カーボンブラックのストラクチャレベルが、幾つかの重要なゴムの性質へのその影響を決定する。カーボンブラックストラクチャが大きくなると、弾性、硬さ、導電性も上昇し、カーボンブラックの分散性が改善されるが、化合物の粘度も上昇してしまう。
【0070】
粒径は、ゴムの性質に大きな影響を及ぼす基本的な性質である。粒子が微細だと強化性、耐摩耗性が向上し、引張強度が改善される。しかしながら、より微細な粒子を分散させるためには、より長い混合時間とより多くのエネルギーが必要となる。典型的な粒径は、ファーナスブラックの場合、約8〜100ナノメートルである。表面積は、業界において、カーボンブラックの微細度の指標として使用される。
【0071】
界面活性または界面化学は、カーボンブラック製造プロセス及び熱履歴に左右される。直接測定することは困難であるが、界面活性は、ゴムの性質(耐摩耗性、引張強度、ヒステリシス、弾性等)へのその影響を通じて表される。界面活性が硬化特性に与える影響は、使用する硬化系に大きく依存する。
【0072】
多孔性は、製造プロセス中に制御可能なカーボンブラックの基本的な性質である。多孔性は表面積の測定値に影響し、外面的な値より総表面積は大きくなる。多孔性を上昇させると、凝集体の密度が低下する。そのため、ゴム配合業者は、化合物の比重を維持しながら炭素添加量を上昇させることができる。これは、一定の添加量あたりの化合物の弾性及び導電性における上昇につながる。
【0073】
カーボンブラックの物理的形態は、カーボンブラックの取り扱い及び混合特性に影響する。ゴムカーボンブラックの最も一般的な形態はビーズ(ペレット)である。
【0074】
熱分解カーボンブラック(CBp)生成物:
開示されたリサイクリングプロセスを利用して、発明者は、使用済みゴムタイヤの熱分解によって、市場が要求する一貫して高い品質レベルを満たすCBpを生成できることを実証した。これは、本発明によって生成されるCBpが、ASTM(American Society for Testing and Materials)規格試験に準拠した明確に定義された限度内の一貫した組成を有することを示唆している。これを目的として、発明者は広範囲に及ぶ調査を行い、ゴム用の充填材として使用した場合に許容範囲の強化レベルを示すCBpが得られる操作条件を特定した。発明者による発見は、CBpのモルホロジ及び特性が部分的に、プロセス温度及び滞留時間を変化させることによって制御できることを示した。温度及びその他のパラメータ(反応チャンバ及び冷却装置内のガスの圧力及び不活性度等)の厳格な制御を可能にする本明細書で開示のプロセスを利用して、CBp生成を、オイル及びガス生成とCBpにおける関連する硫黄含有量とのバランスを一貫してとることによって最適化することができる。
【0075】
本発明のこれらの態様を、以下の実施例を参照することによってより深く理解することができる。実施例は本発明の例に過ぎない。
実施例1:
清浄化された2インチ(対角線)のゴムタイヤ細片を、4つの異なる温度:450℃、500℃、600℃及び700℃の嫌気性環境で熱分解した。表1は、これらの様々な熱分解温度でのプロセスの物質収支を示す。より高温で行われる熱分解がオイル生成に有利に働き、より低い操作温度がチャー生成に有利に働くことが見て取れる。
【0076】
【表1】
【0077】
表2は、4つの実験熱分解温度で発生したオイル及びチャーの総発熱量及び硫黄含有量を示す。結果は、オイルの硫黄含有量が高い熱分解温度で高くなり、反対にチャーの硫黄含有量は熱分解温度が低くなると上昇することを示す。
【0078】
【表2】
【0079】
チャーの表面積の温度の関数としての分析も興味深かった。表3は、調査した4つの温度でのチャーのBET(Brunaer、Emmett、Teller)表面積を示す。表から見て取れるように、データは、チャーの表面積が、熱分解温度の上昇に伴って上昇することを示唆している。
【0080】
【表3】
【0081】
嫌気条件におけるゴムの熱分解によってガス状生成物が発生し、これらのガスの放出率も、熱分解温度と相関関係にあることが判明した。表4〜7は、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン及びその他の炭化水素(HC)ガスのそれぞれ450℃、500℃、600℃及び700℃の熱分解温度での発生率を示す。表4は、450℃でガス発生量が上昇し、熱分解プロセスから約110分でピークに達し、約125分で安定することを示す。
【0082】
【表4】
【0083】
500℃で、ガス発生率は大きく上昇し、450℃の場合のほぼ半分の時間、すなわち熱分解プロセスから約50分でピークに達する。ガス放出は、約100分で安定するとわかる(表5)。
【0084】
【表5】
【0085】
熱分解温度が600℃まで上昇するにつれて、表6は、ガス発生ピークが早くなり(40分)、約140分で安定することを示す。
【0086】
【表6】
【0087】
最後に、表7は、ゴム細片を700℃で熱分解した場合のガスの発生に関して集めたデータを示す。ガスの生成が約38分でピークに達し、約140分で安定することが見て取れる。
【0088】
【表7】
【0089】
要約すると、この調査は、熱分解温度が、生成されるオイル、チャー及びガスの量及び品質にどのように影響するかを理解することが極めて重要であることを示す。判明したことを以下のように要約することができる。
・タイヤの完全な熱分解のためには、操作温度が約450℃を下回るべきではない。
・高い熱分解温度ではオイル収率が上昇するが、その結果、CBp収率が低下する。
・低い熱分解温度ではチャー生成量が上昇するが、その結果、オイル収率が低下する。
・ガス発生率は、熱分解温度の上昇に伴って上昇する。
・低い熱分解温度で生成された場合、CBp生成物の硫黄含有量は高い。
・熱分解温度が高いと、オイルの硫黄含有量が高い。
・熱分解温度が高いと、より広い表面積を有するCBpが生成される。
【0090】
実施例2:
1〜1/2インチ以下の使用済みゴムタイヤ細片を、450℃で不活性窒素雰囲気において熱分解した。冷却期間に続いて、チャーを回収し、スチールを磁石を使用して除去した。粗CBpをミル粉砕して325メッシュの篩に通した。ミル粉砕されたCBp(かさ密度25lb/ft3)を1%Norlig G(カルシウムリグノスルホネートバインダ)と混合し、次にアグロメレータを使用してペレット化した。生成物を続いて温度120℃で乾燥させ、生成物を2.0x150ミクロン(10x100メッシュ)で篩過した。生成されたペレットのかさ密度は、約35lb/ft3であった。
【0091】
実施例2a:
ペレット化されたCBpを続いて2種類の天然ゴム配合物において試験した(ASTM D3192)。ゴム化合物Aは、慣用のN−762を使用して調製され、ゴム化合物BはCBpを使用して調製された。結果を表8、9、10に示す。
【0092】
【表8】
【0093】
【表9】
【0094】
【表10】
【0095】
実施例2b:
スチレンブタジエンゴム(SBR)の有用性及び信頼性は、このコポリマーを世界で最も重要で広く使用されるゴムにした。以下の結果は、高ストラクチャカーボンブラックN339とのブレンド物におけるCBpの強化特性を示す。慣用のN762との同じブレンド物も比較する(表11〜13)。
【0096】
【表11】
【0097】
【表12】
【0098】
【表13】
【0099】
実施例3:
1〜1/2インチ以下の使用済みゴムタイヤ細片を、500℃で不活性窒素雰囲気において熱分解した。冷却期間に続いて、チャーを回収し、スチールを磁石を使用して除去した。粗CBpをミル粉砕して325メッシュの篩に通した。ミル粉砕されたCBp(かさ密度25lb/ft3)を1%Norlig G(カルシウムリグノスルホネートバインダ)と混合し、次にアグロメレータを使用してペレット化した。生成物を続いて温度120℃で乾燥させ、生成物を2.0x150ミクロン(10x100メッシュ)で篩過した。生成されたペレットのかさ密度は、約35lb/ft3であった。
【0100】
実施例3a:
CBpを、ASTM3192に準拠して天然ゴム配合物において使用することによって試験した。結果を表14〜16に示す。
【0101】
【表14】
【0102】
【表15】
【0103】
【表16】
【0104】
実施例1、2、3で説明されるような記載の熱分解条件及び追従制御操作条件に基づいて、発明者は、約450〜500℃、好ましくは約500℃でのゴムタイヤ細片の熱分解によって、ハイグレードで市場性のあるCBp生成物を生成できることを発見した。生成されたCBpの性質には、トルエン着色透過率90%が含まれる。CBpのその他の特性を表17にまとめ、またスチール非含有でありかつペレット化に先立って325メッシュ未満にミル粉砕したサンプルについて測定を行った。
【0105】
【表17】
【0106】
本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、改変及び変更を、本発明のその他の実施形態の設計及び製造に加え得る。本発明は付随する請求項によってのみ限定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リサイクルゴムであって、
(a)清浄化されたゴムタイヤを長さ2インチ未満の細片に細断し、
(b)その細片を第1嫌気性環境内の熱プロセッサの反応チャンバで熱分解してチャーを生成し、
(c)その反応チャンバから揮発性有機物を抜き取り、
(d)反応チャンバからチャーを取り出し、
(e)そのチャーを第2嫌気性環境内で冷却し、
(f)チャーから金属及び織物成分を除去して熱分解カーボンブラックを得て、
(g)その熱分解カーボンブラックを、メッシュサイズ325以下の粒子にミル粉砕及びサイズ調節し、
(h)熱分解カーボンブラックをリサイクルゴムを生成するための重合プロセスにおいて利用する
工程を含むプロセスによって生成される
ことを特徴とするリサイクルゴム。
【請求項2】
プロセスが連続的である
請求項1に記載のリサイクルゴム。
【請求項3】
反応チャンバ内の温度が450〜550℃である
請求項2に記載のリサイクルゴム。
【請求項4】
反応チャンバ内の温度が少なくとも500℃である
請求項1ないし3のいずれかに記載のリサイクルゴム。
【請求項5】
工程(g)の後かつ工程(h)の前に、熱分解カーボンブラックをメッシュサイズ60〜100のペレットにペレット化する工程を含む
請求項1ないし4のいずれかに記載のリサイクルゴム。
【請求項6】
細片が長さ1.5インチ未満である
請求項1ないし5のいずれかに記載のリサイクルゴム。
【請求項7】
工程(b)の前に、細片を潤滑化及び清浄化することを含む
請求項1ないし6のいずれかに記載のリサイクルゴム。
【請求項8】
最小引張強度2500〜3100psiを有する
請求項1ないし7のいずれかに記載のリサイクルゴム。
【請求項9】
熱分解カーボンブラックであって、
(a)清浄化されたゴムタイヤを長さ2インチ未満の細片に細断し、
(b)その細片を第1嫌気性環境内の熱プロセッサの反応チャンバで熱分解してチャーを生成し、
(c)その反応チャンバから揮発性有機物を抜き取り、
(d)反応チャンバからチャーを取り出し、
(e)そのチャーを第2嫌気性環境内で冷却し、
(f)チャーから金属及び織物成分を除去して熱分解カーボンブラックを得て、
(g)熱分解カーボンブラックを、メッシュサイズ325以下の粒子にミル粉砕及びサイズ調節する
工程を含み、ゴムタイヤのためのリサイクリングプロセスから生成される
ことを特徴とする熱分解カーボンブラック。
【請求項10】
プロセスが連続的である
請求項9に記載の熱分解カーボンブラック。
【請求項11】
反応チャンバ内の温度が450〜550℃である
請求項10に記載の熱分解カーボンブラック。
【請求項12】
反応チャンバ内の温度が少なくとも500℃である
請求項9ないし11のいずれかに記載の熱分解カーボンブラック。
【請求項13】
工程(g)の後に、熱分解カーボンブラックをメッシュサイズ60〜100のペレットにペレット化する工程を含む
請求項9ないし12のいずれかに記載の熱分解カーボンブラック。
【請求項14】
細片が長さ1.5インチ未満である
請求項9に記載の熱分解カーボンブラック。
【請求項15】
工程(b)の前に、細片を潤滑化及び清浄化することを含む
請求項9ないし14のいずれかに記載の熱分解カーボンブラック。
【請求項16】
(a)9〜15%の灰分、
(b)透過率80〜90%のトルエン着色度(425mu)、
(c)30〜45mg/gmのヨウ素吸着度、
(d)最高65cc/100gmのn−ジブチルフタレート吸収係数を有する
請求項9ないし15のいずれかに記載の熱分解カーボンブラック。
【請求項17】
熱分解ゴムから生成される熱分解カーボンブラックであって、
(a)9〜15%の灰分、
(b)透過率80〜90%のトルエン着色度(425mu)、
(c)30〜45mg/gmのヨウ素吸着度、
(d)最高65cc/100gmのn−ジブチルフタレート吸収係数を有する
ことを特徴とする熱分解カーボンブラック。
【請求項18】
ゴムの生成に使用可能であり、最小引張強度2500〜3100psiを有するゴムが生成される
請求項17に記載の熱分解カーボンブラック。
【請求項19】
ゴムがスチレン−ブタジエンコポリマーゴムであり、最小引張強度が2500psiである
請求項17に記載の熱分解カーボンブラック。
【請求項20】
ゴムが天然ゴムであり、最小引張強度が3100psiである
請求項17に記載の熱分解カーボンブラック。
【請求項21】
廃タイヤから炭素質材料を再生する方法であって、
(a)ゴムタイヤを長さ2インチ未満の細片に細断し、
(b)その細片を第1嫌気性環境内の熱プロセッサの反応チャンバで熱分解してチャーを生成し、
(c)その反応チャンバから揮発性有機物を抜き取り、
(d)反応チャンバからチャーを取り出し、
(e)そのチャーを第2嫌気性環境内で冷却し、
(f)チャーから金属及び織物成分を除去して熱分解カーボンブラックを得て、
(g)熱分解カーボンブラックを、メッシュサイズ325以下の粒子にミル粉砕及びサイズ調節し、
(h)熱分解カーボンブラックをリサイクルゴムを生成するための重合プロセスにおいて利用する
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
プロセスが連続的である
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
反応チャンバ内の温度が450〜550℃である
請求項21に記載の方法。
【請求項24】
反応チャンバ内の温度が500℃である
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
工程(g)の後かつ工程(h)の前に、熱分解カーボンブラックをメッシュサイズ60〜100のペレットにペレット化する工程を含む
請求項21ないし24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
細片が長さ1.5インチ未満である
請求項21ないし25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
工程(b)の前に、細片を潤滑化及び清浄化することを含む
請求項21ないし26のいずれかに記載の方法。
【請求項1】
リサイクルゴムであって、
(a)清浄化されたゴムタイヤを長さ2インチ未満の細片に細断し、
(b)その細片を第1嫌気性環境内の熱プロセッサの反応チャンバで熱分解してチャーを生成し、
(c)その反応チャンバから揮発性有機物を抜き取り、
(d)反応チャンバからチャーを取り出し、
(e)そのチャーを第2嫌気性環境内で冷却し、
(f)チャーから金属及び織物成分を除去して熱分解カーボンブラックを得て、
(g)その熱分解カーボンブラックを、メッシュサイズ325以下の粒子にミル粉砕及びサイズ調節し、
(h)熱分解カーボンブラックをリサイクルゴムを生成するための重合プロセスにおいて利用する
工程を含むプロセスによって生成される
ことを特徴とするリサイクルゴム。
【請求項2】
プロセスが連続的である
請求項1に記載のリサイクルゴム。
【請求項3】
反応チャンバ内の温度が450〜550℃である
請求項2に記載のリサイクルゴム。
【請求項4】
反応チャンバ内の温度が少なくとも500℃である
請求項1ないし3のいずれかに記載のリサイクルゴム。
【請求項5】
工程(g)の後かつ工程(h)の前に、熱分解カーボンブラックをメッシュサイズ60〜100のペレットにペレット化する工程を含む
請求項1ないし4のいずれかに記載のリサイクルゴム。
【請求項6】
細片が長さ1.5インチ未満である
請求項1ないし5のいずれかに記載のリサイクルゴム。
【請求項7】
工程(b)の前に、細片を潤滑化及び清浄化することを含む
請求項1ないし6のいずれかに記載のリサイクルゴム。
【請求項8】
最小引張強度2500〜3100psiを有する
請求項1ないし7のいずれかに記載のリサイクルゴム。
【請求項9】
熱分解カーボンブラックであって、
(a)清浄化されたゴムタイヤを長さ2インチ未満の細片に細断し、
(b)その細片を第1嫌気性環境内の熱プロセッサの反応チャンバで熱分解してチャーを生成し、
(c)その反応チャンバから揮発性有機物を抜き取り、
(d)反応チャンバからチャーを取り出し、
(e)そのチャーを第2嫌気性環境内で冷却し、
(f)チャーから金属及び織物成分を除去して熱分解カーボンブラックを得て、
(g)熱分解カーボンブラックを、メッシュサイズ325以下の粒子にミル粉砕及びサイズ調節する
工程を含み、ゴムタイヤのためのリサイクリングプロセスから生成される
ことを特徴とする熱分解カーボンブラック。
【請求項10】
プロセスが連続的である
請求項9に記載の熱分解カーボンブラック。
【請求項11】
反応チャンバ内の温度が450〜550℃である
請求項10に記載の熱分解カーボンブラック。
【請求項12】
反応チャンバ内の温度が少なくとも500℃である
請求項9ないし11のいずれかに記載の熱分解カーボンブラック。
【請求項13】
工程(g)の後に、熱分解カーボンブラックをメッシュサイズ60〜100のペレットにペレット化する工程を含む
請求項9ないし12のいずれかに記載の熱分解カーボンブラック。
【請求項14】
細片が長さ1.5インチ未満である
請求項9に記載の熱分解カーボンブラック。
【請求項15】
工程(b)の前に、細片を潤滑化及び清浄化することを含む
請求項9ないし14のいずれかに記載の熱分解カーボンブラック。
【請求項16】
(a)9〜15%の灰分、
(b)透過率80〜90%のトルエン着色度(425mu)、
(c)30〜45mg/gmのヨウ素吸着度、
(d)最高65cc/100gmのn−ジブチルフタレート吸収係数を有する
請求項9ないし15のいずれかに記載の熱分解カーボンブラック。
【請求項17】
熱分解ゴムから生成される熱分解カーボンブラックであって、
(a)9〜15%の灰分、
(b)透過率80〜90%のトルエン着色度(425mu)、
(c)30〜45mg/gmのヨウ素吸着度、
(d)最高65cc/100gmのn−ジブチルフタレート吸収係数を有する
ことを特徴とする熱分解カーボンブラック。
【請求項18】
ゴムの生成に使用可能であり、最小引張強度2500〜3100psiを有するゴムが生成される
請求項17に記載の熱分解カーボンブラック。
【請求項19】
ゴムがスチレン−ブタジエンコポリマーゴムであり、最小引張強度が2500psiである
請求項17に記載の熱分解カーボンブラック。
【請求項20】
ゴムが天然ゴムであり、最小引張強度が3100psiである
請求項17に記載の熱分解カーボンブラック。
【請求項21】
廃タイヤから炭素質材料を再生する方法であって、
(a)ゴムタイヤを長さ2インチ未満の細片に細断し、
(b)その細片を第1嫌気性環境内の熱プロセッサの反応チャンバで熱分解してチャーを生成し、
(c)その反応チャンバから揮発性有機物を抜き取り、
(d)反応チャンバからチャーを取り出し、
(e)そのチャーを第2嫌気性環境内で冷却し、
(f)チャーから金属及び織物成分を除去して熱分解カーボンブラックを得て、
(g)熱分解カーボンブラックを、メッシュサイズ325以下の粒子にミル粉砕及びサイズ調節し、
(h)熱分解カーボンブラックをリサイクルゴムを生成するための重合プロセスにおいて利用する
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
プロセスが連続的である
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
反応チャンバ内の温度が450〜550℃である
請求項21に記載の方法。
【請求項24】
反応チャンバ内の温度が500℃である
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
工程(g)の後かつ工程(h)の前に、熱分解カーボンブラックをメッシュサイズ60〜100のペレットにペレット化する工程を含む
請求項21ないし24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
細片が長さ1.5インチ未満である
請求項21ないし25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
工程(b)の前に、細片を潤滑化及び清浄化することを含む
請求項21ないし26のいずれかに記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【公表番号】特表2012−521443(P2012−521443A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501087(P2012−501087)
【出願日】平成22年3月22日(2010.3.22)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000385
【国際公開番号】WO2010/108258
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(511214831)リッペ リソース リカバリー コーポレイション (1)
【氏名又は名称原語表記】RIPP RESOURCE RECOVERY CORPORATION
【住所又は居所原語表記】c/o 17 McLeod Street,Ottawa,Ontario K2P 0Z4 CANADA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月22日(2010.3.22)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000385
【国際公開番号】WO2010/108258
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(511214831)リッペ リソース リカバリー コーポレイション (1)
【氏名又は名称原語表記】RIPP RESOURCE RECOVERY CORPORATION
【住所又は居所原語表記】c/o 17 McLeod Street,Ottawa,Ontario K2P 0Z4 CANADA
【Fターム(参考)】
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