説明

廃タイヤリサイクルシステム

本発明は廃タイヤリサイクルシステムを開示する。本発明は投入された廃タイヤをキャリアガスとして循環させて使用し、直接加熱方式によって分解させる熱分解炉と、この熱分解炉で発生される高熱の蒸気を冷却凝縮させてオイルを捕集するオイル捕集手段と、熱分解炉とオイル捕集手段を経由して再び熱分解炉に循環されるキャリアガス循環ラインとを含む廃タイヤリサイクルシステムにおいて、前記キャリアガス循環ラインの一端に連結されて、バルブの断続によって選択的にキャリアガスを供給するもので、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、アンモニウム系の成分を少なくとも一つまたは一つ以上混合してなるキャリアガスを充填した充填要素を備えたキャリアガス供給装置をさらに含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は産業廃棄物である廃タイヤをキャリアガスを利用した加熱方式によって熱分解させて各種エネルギー源を分離抽出してリサイクルできるようにした廃タイヤリサイクルシステムに関し、さらに詳しくは、初期駆動の時、外部から多様なガスからなるキャリアガスを供給するようにして作動運営の便宜性を改善させることができる廃タイヤリサイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、車の普及が加速化されることによって、タイヤの需要が増加しており、それによる廃タイヤの量も増加している。
【0003】
周知のように、廃タイヤは主に合成高分子化合物であり、発熱量は約34MJ/kgで、石炭の基準熱量29MJ/kgより高い。また、タイヤ切れの平均組成は鉄芯とナイロンなどの織物を除く時SBR重合体(スチレンブタジエン共重合体)43.5wt%、カーボンブラック32.6wt%、オイル21.7wt%、硫黄と酸化亜鉛等の添加剤が2.2wt%である。
【0004】
このような、廃タイヤを燃焼させる場合、硫酸化物、未燃炭化水素、煤煙などの環境汚染物質の発生が高くて環境部では燃料としての使用を禁止している実情である。
【0005】
これによって燃焼以外に廃タイヤを使用することのできる方案が研究されており、歩道ブロック・再生タイヤ・再生ゴム・人工漁礁・各種構造物の緩衝材などリサイクル製品が製品化されている実情であるが、その適用範囲が制限的で、リサイクルのための製品成形工程で廃棄物及び公害が発生するとともに、これら製品を廃棄する時、廃棄物による環境汚染の問題が残っている。
【0006】
一方、前記廃タイヤをリサイクルしないで燃料化のための工法が試みされているが、このような廃タイヤの燃料化には廃タイヤを熱分解するための熱分解炉が使用され、この時の前記熱分解炉の加熱方式によって直接加熱式と間接加熱式に大別される。
【0007】
ここで、前記直接加熱式の熱分解炉は、廃タイヤに熱を加える時に発生される花火と加熱炉内の空気の中に含まれた酸素と化学反応が発生されることで爆発の危険性があり、また直接加熱式で生成されたオイルには水分と遊離炭素が含有されていることによって前記抽出されたオイルの質が低下する問題点もあった。
【0008】
また、前記間接加熱式は前記説明した直接加熱式に比べて、爆発の危険性はないが、熱效率が低くて副産物で得られるオイルの大部分を燃料として使用しなければならないため、廃タイヤリサイクルシステムの経済性が低い短所があり、副産物で得られるカーボンの処理に困難があった。
【0009】
前述した問題点を解決するために、本出願人は大韓民国特許登録第10−0628890号を通じて廃タイヤのリサイクルシステムを先願において提案して登録された。
【0010】
本出願人が先出願した廃タイヤリサイクルシステムは、投入された廃タイヤをキャリアガスとして二酸化炭素(CO2)または窒素(N2)を用いて直接加熱によって熱分解炉で熱分解する熱分解手段と;前記熱分解炉で熱分解して分離された分解残物を粉碎してカーボンと鉄芯で分離するカーボン処理手段と;前記熱分解炉で熱分解して分離された排気ガスを冷却凝縮させてオイル成分を分離するオイル捕集手段と;前記カーボン処理手段によって分離されたカーボンを焼却して発生される高温の排気ガスを利用して高圧の蒸気を生産した後蒸気タービンと吸収式冷凍機を稼動させて電気と冷水を生産するカーボン処理手段と;前記カーボン処理手段で使われて排出される排気ガスを洗浄して無公害の気体を放流させ、その中CO2またはN2の一部を分離して回収する排気ガス処理手段とを含む構成である。
【0011】
このような構成の廃タイヤリサイクルシステムは、キャリアガスを使用する直接加熱方式の熱分解炉を使用することによって、熱分解炉の爆発を防止しながら水分と遊離炭素が含有されない純度の高いオイルを抽出することが可能になる。
【0012】
しかし、本出願人が先出願した廃タイヤリサイクルシステムは、直接加熱式によって熱分解をするが、キャリアガスとして二酸化炭素(CO2)または窒素(N2)を使用することによってキャリアガスを供給及び排出させるための別途の付加装置を必要とするとともに、これら二酸化炭素(CO2)または窒素(N2)ガスを随時に補充して供給させるための別途の設備を揃えなければならないので初期設備の投資に対する費用の負担が加重されるとともに、これら二酸化炭素(CO2)または窒素(N2)ガスを供給するための装置及び設備の設置による空間の確保が必要となる問題点があった。
【0013】
特に、前記本出願人によって先願された二酸化炭素(CO2)または窒素(N2)からなるキャリアガスは、システムの最初駆動の時、熱分解炉の内部に廃タイヤを投入する時、空気(酸素)が流入されることによって酸素が含まれるが、このような酸素は抽出オイルの品質を低下させる要因になるため、キャリアガスを持続的に供給して酸素を排気させる過程を要する。このような酸素排気過程は、相当量のキャリアガスを長期間にかけて消耗させなければならないため、経済性が大きく低下するとともに、システムを正常に可動させるまでの所要時間が長くなって稼動效率の低下する問題点があった。
【0014】
このような問題点を解決するために、本出願人は大韓民国特許出願第10−2008−93763号を通じて改善された廃タイヤリサイクルシステムを出願した。
【0015】
本出願人が先出願した廃タイヤリサイクルシステムは、投入された廃タイヤをキャリアガスとして循環させて使用し、直接加熱方式によって分解させる熱分解炉及びこの熱分解炉で発生される高熱の蒸気を冷却凝縮させてオイルを捕集するオイル捕集手段を含む廃タイヤリサイクルシステムにおいて、前記熱分解炉とオイル捕集手段を経由して再び熱分解炉に循環されるキャリアガス循環ラインを含み、前記キャリアガス循環ラインに連結して設置され、前記熱分解炉の内部の温度とキャリアガス循環ラインの内部の圧力を測定する感知要素を備え、前記熱分解炉で生成された非凝縮性ガスを捕集して貯蔵し、これを選択的に熱分解炉側に供給してキャリアガスとして使用するようにするキャリアガス循環供給装置を含む。
【0016】
このように構成される従来の廃タイヤリサイクルシステムは、廃タイヤの燃焼過程で発生される非凝縮性ガスをキャリアガスとして活用することによって別途にキャリアガスを供給する必要がないので、経済的な運営が可能である。
【0017】
しかし、本出願人によって先出願された廃タイヤリサイクルシステムは、最初駆動の時には非凝縮性ガスが生成される前であるので、他システムで生成された非凝縮性ガスを別途に輸送して供給させなければならないため、不便で且つ非效率である問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】大韓民国特許登録第10−0628890号
【特許文献2】大韓民国特許出願第10−2008−93763号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従って、本発明の目的は、外部から多様な成分のキャリアガスを供給できるようにして、システムの最初駆動の便宜性を保障し、また廃タイヤの燃焼過程で発生する非凝縮性ガスをキャリアガスとして使用している途中、キャリアガスの供給が不安定である場合、代替して供給できるようにしてシステムの運営上の信頼性を向上させることができる廃タイヤリサイクルシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明によって、投入された廃タイヤをキャリアガスとして循環させて使用し、直接加熱方式によって分解させる熱分解炉と、この熱分解炉で発生される高熱の蒸気を冷却凝縮させてオイルを捕集するオイル捕集手段と、熱分解炉とオイル捕集手段を経由して再び熱分解炉に循環されるキャリアガス循環ラインとを含む廃タイヤリサイクルシステムにおいて、前記キャリアガス循環ラインの一端に連結されて、バルブの断続によって選択的にキャリアガスを供給するもので、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、アンモニウム系の成分を少なくとも一つまたは一つ以上混合してなるキャリアガスを充填した充填要素を備えたキャリアガス供給装置をさらに含むことを特徴とする。
【0021】
本発明の好ましい一特徴として、前記キャリアガス循環ラインと配管で連結され、内部にキャリアガスが充填されたキャリアガスタンクと;前記キャリアガス循環ラインに存在する酸素を検出する酸素検出器と;前記酸素検出器に連結され、感知情報が印加されて選択的に作動されるもので、前記キャリアガス循環ライン上に設置されてキャリアガス循環ライン内に存在する酸素を燃焼させて除去する酸素燃焼器と;を含む。
【0022】
本発明の好ましいまた他の特徴として、前記キャリアガス循環ラインに連結して設置され、前記熱分解炉の内部の温度とキャリアガス循環ラインの内部の圧力を測定する感知要素を備え、前記熱分解炉で生成された非凝縮性ガスを捕集して貯蔵し、これを選択的に熱分解炉側に供給してキャリアガスとして使用するようにするキャリアガス循環供給装置をさらに含む。
【0023】
本発明の好ましいまた他の特徴として、前記キャリアガス循環供給装置は前記キャリアガス供給装置に連結されて、選択的にキャリアガスが供給されてキャリアガス循環ラインに供給するように配管される。
【0024】
本発明の好ましいまた他の特徴として、前記キャリアガス循環供給装置は、感知要素として前記キャリアガス循環ラインの内部圧力を測定する圧力測定器及び前記熱分解炉の内部の温度を測定する温度測定器を備える。
【0025】
本発明の好ましいまた他の特徴として、前記キャリアガス循環供給装置は、前記キャリアガス循環ラインに連結されて、選択的に非凝縮性ガスが供給されて貯蔵する非凝縮性ガス貯蔵タンクと;前記非凝縮性ガス貯蔵タンクと前記キャリアガス循環ラインを連結する管路に設置されて、選択的に前記キャリアガス循環ライン内の非凝縮性ガスを非凝縮性ガス貯蔵タンクに供給したり、または反対に貯蔵された非凝縮性ガスをキャリアガス循環ラインに供給するための断続弁と;を含む。
【0026】
本発明の好ましいまた他の特徴として前記キャリアガス循環供給装置は、前記キャリアガス循環ライン内の圧力が100mmAq以上で、前記熱分解炉内の分解温度が200℃以上の場合前記キャリアガス循環ライン内に流動中の非凝縮性ガスを非凝縮性ガス貯蔵タンクに貯蔵する。
【0027】
本発明の好ましいまた他の特徴として、前記キャリアガス循環ラインにはガスに含まれた酸素を燃焼させるように電源供給によって選択的に発熱する電熱線を備えた酸素燃焼器が設置される。
【0028】
本発明の特徴及び長所は添付図面に基づいた以下の詳細な説明によってさらに明確になる。説明するにおいて、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常で辞書的な意味に解釈されてはならなく、発明者が自分の発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に基づいて本発明の技術思想に適合する意味や概念に解釈すべきである。
【発明の効果】
【0029】
本発明を通じて、システムの最初駆動の時、多様な成分のキャリアガスを供給できるようにして、起動の時の作業上の便宜性を向上させることができるという長所がある。
【0030】
また、廃タイヤの燃焼過程で発生される非凝縮性ガスをキャリアガスとして使用するシステムで、非凝縮性ガスの生成が円滑でなかったり、生成された非凝縮性ガスの品質が顕著に低下する場合、メタン・エタン・プロパン・ブタン・ペンタン・ヘキサン・アンモニアなどからなるキャリアガスを連続に供給するようにして、システム運営の安全性と信頼性を向上させることができて、産業上有用な效果が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】従来技術による廃タイヤリサイクルシステムの概略的な構成を示す模式図である。
【図2】本発明による廃タイヤリサイクルシステムの概略的な構成を示す模式図である。
【図3】図2の他の実施形態を示す模式図である。
【図4】図3の廃タイヤリサイクルシステムを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
上述した本発明の目的、特徴及び長所は以下の詳細な説明を通じてより明確になる。
【0033】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて説明すれば次の通りである。
【0034】
まず、図面において同一構成要素または部品は同じ符号で示している。本発明を説明するにおいて係わる公知の機能或いは構成に対する具体的な説明は本発明の要旨を明確にするために省略する。
【0035】
図2は本発明による廃タイヤリサイクルシステムの概略構成を示す模式図である。
【0036】
まず、本発明の主要要素に対する符号を説明すれば次の通りである。
【0037】
符号1は、二酸化炭素(CO)や窒素(N)などのようなガスをキャリアガスとして使用して直接加熱によって熱分解する要素である熱分解炉1で、このような熱分解炉1は上部一側に廃タイヤが投入される投入口が設けられ、その一側には熱分解によって発生される高熱の蒸気が循環される排出口及び初期稼動の時空気が排出される空気排出口が設けられ、下部には熱分解された分解残物が吐出される吐出口が設けられる。
【0038】
符号2は、前記熱分解炉1の吐出口の下方に設けられ熱分解残物を粉砕させる粉砕機であり、符号3は、粉砕されたカーボン及び鉄芯を分離するチェーンコンベヤーであり、符号4は、前記チェーンコンベヤー3で分離されたカーボン及び鉄芯をそれぞれ貯蔵するカーボン貯蔵槽4及び鉄芯貯蔵槽5である。
【0039】
符号6は、前記熱分解炉1の排出口を通じて排出される高熱の蒸気を冷却凝縮させるコンデンサーであり、符号7は、冷却凝縮される過程で分離されたオイルを捕集するオイルタンクであり、符号8は、冷却凝縮過程で捕集されないで、キャリアガスとともに気体のように動くオイル成分を捕集するサイクロンである。
【0040】
また、符号9は、前記サイクロン8でも捕集されないオイル成分(オイルミスト)を曝気式で液状オイルと直接接触させて回収(捕集)する第三分離タンクを指称したものである。
【0041】
符号10は、前記カーボン貯蔵槽4に保管されたカーボンが移送されて自体発熱によって焼却される炭素焼却炉であり、符号11は、前記炭素焼却炉10で発生された高温の排気ガスが供給されて冷却したキャリアガスを高温で加熱した後高温のキャリアガスを前記熱分解炉1で供給する第一熱交換器であり、符号12は、前記第一熱交換器11を通った排気ガスを利用して高圧スチームに作るための第二熱交換器であり、符号13は、高圧スチームを利用して電気を生産するための蒸気タービンである。
【0042】
符号14は、前記蒸気タービン13で使用されて排出される低圧のスチーム(約5Kg/cm)が供給されて冷水を生産して凝縮する冷凍機であり、符号15は、凝縮水をポンピングして前記第二熱交換器12で循環させる高圧ポンプを指称したものである。
【0043】
符号16は、前記第二熱交換器12で排出される排気ガスを洗浄する洗浄塔であり、符号18は送風機である。
【0044】
一方、図3は図2の他の実施形態を示す模式図であり、図4は図3の廃タイヤリサイクルシステムを示す構成図で、図に示すように、本実施形態は前述した図2の実施形態に廃タイヤの燃焼過程で自然に生成される非凝縮性ガスを捕集して、これをキャリアガスとして循環させて供給するようにしたキャリアガス循環供給装置20がさらに設置される。
【0045】
本実施形態におけるキャリアガス循環供給装置20は、廃タイヤの燃焼過程で自然に生成されるガス成分をキャリアガスとして使用することによって、経済性及び抽出オイルの収率性を向上させる
【0046】
以下では、図3及び図4の非凝縮性ガスをキャリアガスとして循環させて使用するシステムを基準に各要素の動作を説明する。
【0047】
熱分解炉1は、後述するキャリアガス循環供給装置20を通じて非凝縮性ガスが供給されてキャリアガスとして使用し、廃タイヤを直接加熱によって熱分解する要素で、廃タイヤが投入される投入口及び熱分解された残物が排出される吐出口また熱分解による高熱蒸気の排出される排出口が設けられる。このような熱分解炉1はキャリアガスの注入によってその内部の空気が外部に排出され、空気の排出が完了された状態で循環排出口が開放されて廃タイヤの燃焼過程で生成された非凝縮性ガスが循環される。この時、前記非凝縮性ガスの循環経路は図面におけるclに当たる。即ち、熱分解炉1に投入された廃タイヤの燃焼過程で生成された加熱蒸気はコンデンサー6、サイクロン8、第三分離タンク9を経由して送風機18及び第一熱交換器11を経由して熱分解炉1に循環される。
【0048】
熱分解残物処理手段は、一対のローラーからなり、これらの間に投入された残物を粉砕する粉砕機2及び粉砕されたカーボン及び鉄芯をコンベヤーの移動中に分離されるようにするチェーンコンベヤー3、またチェーンコンベヤー3で分離されたカーボン及び鉄芯をそれぞれ貯蔵するカーボン貯蔵槽4及び鉄芯貯蔵槽5で構成される。
【0049】
オイル捕集手段は、熱分解炉1で発生される高熱蒸気でオイルを分離して抽出する要素で、高熱蒸気を冷却凝縮させるコンデンサー6と、このコンデンサー6の冷却凝縮によって1次分離されたオイルを貯蔵するオイルタンク7と、気体状態のオイル成分を強力な渦で2次捕集し、これを前記オイルタンク7に移送させるサイクロン8と、このサイクロン8で回収されないオイル成分を曝気式で液状オイルと直接接触させて回収捕集する第三分離タンク9とで構成される。
【0050】
カーボン処理手段は、カーボン貯蔵槽4で供給されるカーボンを焼却して高温の排気ガスを生産する炭素焼却炉10と、排気ガスを高温加熱する第一熱交換器11及び第二熱交換器12と、第二熱交換器で生産された高圧スチームが供給されて電気を生産する蒸気タービン13と、低圧のスチームが供給されて凝縮水を生成する吸収式冷凍機14と、凝縮水を第二熱交換器12で循環させる高圧ポンプ15とで構成される。
【0051】
キャリアガス循環供給装置20はキャリアガス循環ラインclに連結して設置される。ここで、前記キャリアガス循環ラインclは熱分解炉1とオイル捕集手段を経由して再び熱分解炉1に循環される経路を指称する。このようなキャリアガス循環ラインclに設置されるキャリアガス循環供給装置20は、前記熱分解炉1の内部の温度と前記キャリアガス循環ラインclの内部の圧力を測定する感知要素を備え、前記熱分解炉1で生産された非凝縮性ガスを捕集して貯蔵した後これを選択的に熱分解炉1側に循環供給する作用をする。
【0052】
一方、前記キャリアガス循環供給装置20は、感知要素として、前記キャリアガス循環ラインclの内部圧力を測定する圧力測定器21と、前記熱分解炉1の内部温度を測定する温度測定器23とを含む構成であり、この時の前記圧力測定器21と温度測定器23は公知の機械式または電子式センサーによって具現されることができるので詳細な説明は省略する。
【0053】
また、前記キャリアガス循環供給装置20は、前記キャリアガス循環ラインclに連結されて選択的に非凝縮性ガスが供給されて貯蔵する非凝縮性ガス貯蔵タンク27と、前記非凝縮性ガス貯蔵タンク27と前記キャリアガス循環ラインclを連結する管路に設置されて、選択的に非凝縮性ガスを前記非凝縮性ガス貯蔵タンク27に供給して貯蔵したり、または前記非凝縮性ガス貯蔵タンク27に貯蔵された非凝縮性ガスを前記キャリアガス循環ラインclで移送させて前記熱分解炉1側に供給されることができる断続弁25、29を含む構成である。
【0054】
一方、本発明では、前記キャリアガス循環ラインclに設置されてその内部圧力を測定する圧力測定器21が設定値である100mmAq以上でありながら、前記熱分解炉1の内部温度を測定する温度測定器23が設定値である200℃以上に測定される場合、前記熱分解炉1で非凝縮性ガスを生成したことと判断して断続弁25、29の中の図3における符号25の断続弁を開通させて前記キャリアガス循環ラインclと非凝縮性ガス貯蔵タンク27を連結させ、その一側のコンプレッサー(符号省略)を稼動させて前記キャリアガス循環ラインclの内部に流動中の非凝縮性ガスを前記非凝縮性ガス貯蔵タンク27に供給して貯蔵されることができる。反対に、前記圧力測定器21と温度測定器23が設定値より低い場合には、符号25に当たる断続弁をオフさせ、符号29にあたる断続弁を開放させて前記非凝縮性ガス貯蔵タンク27内に貯蔵された非凝縮性ガスがキャリアガス循環ラインclに移送されるようにして、前記熱分解炉1に供給されるようにする。
【0055】
このような構成は本出願人によって先願された廃タイヤリサイクルシステムの構成と大同小異である。
【0056】
本発明は、図2に示すように、システムの最初起動の時に、メタン・エタン・プロパン・ブタン・ペンタン・ヘキサン・アンモニア系の成分を少なくとも一つまたは一つ以上混合したガスからなるキャリアガスをキャリアガス循環ラインclに供給するキャリアガス供給装置50を構成したり、または図3及び図4に示すように、非凝縮性ガスをキャリアガスとして使用するシステムにおいて、非凝縮性ガスを安定的に生産できない場合に、キャリアガスの補助供給源として利用されるキャリアガス供給装置50の提供をその技術的特徴とする。
【0057】
即ち、本発明のキャリアガス供給装置50は、キャリアガスが循環されるキャリアガス循環ラインclと配管で連結され、内部にはキャリアガスが充電されたキャリアガスタンク51と、前記キャリアガス循環ラインclに存在する酸素を検出する酸素検出器52と、前記酸素検出器52に連結されて、感知情報が印加され、印加された感知情報に基づいて選択的にキャリアガス循環ラインclの内部の酸素を燃焼によって除去させる酸素燃焼器30とで構成される。
【0058】
ここで、前記キャリアガス供給装置50は、図2に示すように、前記キャリアガス循環ラインclに直接配管で連結されてキャリアガスを供給するシステムに適用されたり、または図3及び図4に示すように、廃タイヤの燃焼過程で発生した非凝縮性ガスをキャリアガスとして循環させて使用するようにしたキャリアガス供給装置50が備えられたシステムに適用されることができる。
【0059】
図2に示すように、前記キャリアガス供給装置50がキャリアガス循環ラインclに直接配管されてキャリアガスを供給する場合、前記キャリアガス循環供給装置20とキャリアガス循環ラインclを連結する配管は、バルブの断続によって遮断されるように構成されることができる。このようなバルブの断続による構成は公知の技術によって多様に実施し得るので詳細な説明は省略する。
【0060】
また、図3及び図4に示すように、キャリアガス供給装置50がキャリアガス循環ラインclに直接配管されないで、キャリアガス循環供給装置50に連結される場合には、前記キャリアガス循環供給装置20を構成する要素の中で非凝縮性ガスを貯蔵する非凝縮性ガス貯蔵タンク27内に残存する非凝縮性ガスが排気処理された状態で、前記キャリアガス供給装置50で供給するキャリアガスが流動されて、キャリアガス循環ラインclに供給されるように構成されることが好ましく、これも公知の多様な技術によって容易に実施し得るので詳細な説明は省略する。
【0061】
以下、キャリアガス循環ラインclに直接またはキャリアガス循環供給装置20に連結されるキャリアガス供給装置50の構成を詳しく説明すると以下の通りである。
【0062】
キャリアガスタンク51は、メタン・エタン・プロパン・ブタン・ペンタン・ヘキサン・アンモニア系の成分を少なくとも一つまたは一つ以上混合してなるガスが充電されている。
【0063】
このようなキャリアガスタンク51は、外部からメタン・エタン・プロパン・ブタン・ペンタン・ヘキサン・アンモニア系のガスを注入するように構成されたり、またはタンク自体を交換するように構成されることができ、また前記キャリアガス循環ラインclから容易に分離または連結できるように配管されることが好ましい。
【0064】
酸素検出器52は、キャリアガス循環ラインclに設置されて、流動中のキャリアガスの中に含まれた酸素の濃度を測定するもので、キャリアガスの中に酸素が混入されている場合、これを感知して後述する酸素燃焼器30に感知情報を印加する。このような酸素検出器52は、感知の信頼性を向上できるように、前記キャリアガス循環ラインclに等間隔を置いて設置されることができる。
【0065】
酸素燃焼器30は、前記キャリアガス循環ラインclに設置されて、キャリアガスの中の酸素を燃焼によって除去させる機器である。このような酸素燃焼器30は、前記酸素検出器52から酸素感知情報が印加されると、外部から電源が供給されて発熱する電熱線を備え、この電熱線を利用してキャリアガスの中の酸素を燃焼する。一方、本発明で前記酸素燃焼器30は電熱線を備えた例を一実施形態に説明したが、電熱線に限定しないで燃焼によって前記キャリアガス循環ラインclの中の酸素を燃消させることができる構造的特徴を有すれば公知の多様な技術によって変形実施されても構わない。
【0066】
前記のように構成される本発明の廃タイヤリサイクルシステムの作用を説明すれば以下の通りである。
【0067】
メタン・エタン・プロパン・ブタン・ペンタン・ヘキサン系の成分からなる炭化水素ガスは窒素や二酸化炭素に比べて熱容量が大きいので、同じ量の気体を送風機によって送る時炭化水素ガス(メタン・エタン・プロパン・ブタン・ペンタン・ヘキサン系)はより多い熱を移送することができる。従って、熱分解炉にある廃タイヤをさらに早く分解させることができて、同じ容量の熱分解炉で窒素や二酸化炭素を用いる時と比べてさらに多い量の廃タイヤを処理することができる。
【0068】
以下の表1は炭化水素ガス(メタン・エタン・プロパン・ブタン・ペンタン・ヘキサン系)と窒素ガス及び二酸化炭素の移送熱量を示す。
【表1】

【0069】
前記表1によれば、ブタン系ガスをキャリアガスとして用いると、窒素を用いる場合より分解速度が約2.5倍早くなるので、同じ大きさの反応炉で約2.5倍の廃タイヤを処理することができて、結果的にシステムの物理的増設がなくても処理用量を増大させることができる。
【0070】
一方、キャリアガス循環ラインclの中に酸素が存在した状態で、廃タイヤの温度が250℃以上になると、最初に酸素が廃タイヤのゴムと反応して遊離炭素Cと水が生成されて、製品であるオイルに混合されることで品質が低下され、同時に、収率も大幅に減少される。一方、炭化水素ガスをキャリアガスとして用いると、廃タイヤの温度が250℃まで上昇する前に高温の第一熱交換器内でシステム内に存在する酸素を炭化水素ガスと反応して取り除くことができる。
【0071】
本発明は記載された実施形態に限定されるのではなく、適用部位を変更して使用することが可能であり、本発明の思想及び範囲を逸脱しないで、多様に修正及び変形できることは当該技術分野において通常の知識を有する者にとって自明である。従って、こういう変形例または修正例は本発明の特許請求の範囲に属するとすべきである。
【符号の説明】
【0072】
1:熱分解炉
2:粉砕機
3:チェーンコンベア
4:カーボン貯蔵槽
5:鉄芯貯蔵槽
6:コンデンサー
7:オイルタンク
8:サイクロン
9:第三分離タンク
10:炭素焼却炉
11:第一熱交換器
12:第二熱交換器
13:蒸気タービン
14:吸収式冷凍機
15:高圧ポンプ
16:洗浄塔
17:ガス分離装置
18:ガス循環送風機
20:キャリアガス循環供給装置
50:キャリアガス供給装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された廃タイヤをキャリアガスとして循環させて使用し、直接加熱方式によって分解させる熱分解炉と、この熱分解炉で発生される高熱の蒸気を冷却凝縮させてオイルを捕集するオイル捕集手段と、熱分解炉とオイル捕集手段を経由して再び熱分解炉に循環されるキャリアガス循環ラインとを含む廃タイヤリサイクルシステムにおいて、
前記キャリアガス循環ライン(c1)の一端に連結されて、バルブ(53)の断続によって選択的にキャリアガスを供給するもので、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、アンモニウム系の成分を少なくとも一つまたは一つ以上混合してなるキャリアガスを充填した充填要素を備えたキャリアガス供給装置をさらに含むことを特徴とする廃タイヤリサイクルシステム。
【請求項2】
前記キャリアガス供給装置(50)は、前記キャリアガス循環ライン(c1)と配管で連結され、内部にキャリアガスが充填されたキャリアガスタンク(51)と;
前記キャリアガス循環ライン(c1)に存在する酸素を検出する酸素検出器(52)と;
前記酸素検出器(52)に連結され、感知情報が印加されて選択的に作動されるもので、前記キャリアガス循環ライン(c1)上に設置されてキャリアガス循環ライン(c1)内に存在する酸素を燃焼させて除去する酸素燃焼器(30)と;を含むことを特徴とする請求項1に記載の廃タイヤリサイクルシステム。
【請求項3】
前記キャリアガス循環ライン(cl)に連結して設置され、前記熱分解炉(1)の内部の温度とキャリアガス循環ライン(cl)の内部の圧力を測定する感知要素を備え、
前記熱分解炉(1)で生成された非凝縮性ガスを捕集して貯蔵し、これを選択的に熱分解炉(1)側に供給してキャリアガスとして使用するようにするキャリアガス循環供給装置(20)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の廃タイヤリサイクルシステム。
【請求項4】
前記キャリアガス循環供給装置(20)は前記キャリアガス供給装置(50)に連結されて、選択的にキャリアガスが供給されてキャリアガス循環ライン(c1)に供給するように配管されることを特徴とする請求項3に記載の廃タイヤリサイクルシステム。
【請求項5】
前記キャリアガス循環供給装置(20)は、感知要素として前記キャリアガス循環ライン(cl)の内部圧力を測定する圧力測定器(21)及び前記熱分解炉(1)の内部の温度を測定する温度測定器(23)を備えることを特徴とする請求項3に記載の廃タイヤリサイクルシステム。
【請求項6】
前記キャリアガス循環供給装置(20)は、前記キャリアガス循環ライン(cl)に連結されて、選択的に非凝縮性ガスが供給されて貯蔵する非凝縮性ガス貯蔵タンク(27)と;前記非凝縮性ガス貯蔵タンク(27)と前記キャリアガス循環ライン(cl)を連結する管路に設置されて、選択的に前記キャリアガス循環ライン(cl)内の非凝縮性ガスを非凝縮性ガス貯蔵タンク(27)に供給したり、または反対に貯蔵された非凝縮性ガスをキャリアガス循環ライン(cl)に供給するための断続弁(25、29)と;を含むことを特徴とする請求項3に記載の廃タイヤリサイクルシステム。
【請求項7】
前記キャリアガス循環供給装置(20)は、前記キャリアガス循環ライン(cl)内の圧力が100mmAq以上で、前記熱分解炉(1)内の分解温度が200℃以上の場合前記キャリアガス循環ライン(cl)内に流動中の非凝縮性ガスを非凝縮性ガス貯蔵タンク(27)に貯蔵することを特徴とする請求項3に記載の廃タイヤリサイクルシステム。
【請求項8】
前記キャリアガス循環ライン(cl)にはガスに含まれた酸素を燃焼させるように電源供給によって選択的に発熱する電熱線を備えた酸素燃焼器(30)が設置されることを特徴とする請求項1に記載の廃タイヤリサイクルシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−505286(P2012−505286A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530927(P2011−530927)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/KR2009/004839
【国際公開番号】WO2010/041817
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(511072770)
【Fターム(参考)】