説明

廃棄物の熱分解ガス化方法及び装置

【課題】 高カロリーでクリーンな熱分解ガスと、固定炭素化された熱分解残渣を回収できるようにする。
【解決手段】 廃棄物9を一次熱分解炉20へ供給し、低酸素雰囲気で塩化ビニル等の塩素含有プラスチックの熱分解温度以上で且つアルミニウムの溶融温度以下の熱分解温度まで加熱して、水分と塩化水素等の腐食性を有する成分とタール成分を含んだ低カロリーの一次熱分解ガス21と、一次熱分解残渣22を分離回収する。次に、選別装置23にて、一次熱分解残渣22より有価金属24と不燃物25を分離する。次いで、二次熱分解炉26にて、有価金属24と不燃物25が分離された後の一次熱分解残渣22を、低酸素雰囲気でより高温の熱分解温度条件に加熱して熱分解させて、水分と塩化水素等の腐食性を有する成分とタール成分を含まない二次熱分解ガス27と固定炭素主体の二次熱分解残渣28をそれぞれ回収させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ごみ等の廃棄物を低酸素雰囲気で加熱することにより熱分解して熱分解ガスと熱分解残渣に分離させて回収するための廃棄物の熱分解ガス化方法及び装置に関するもので、詳しくは、高カロリーでクリーンな熱分解ガスと、固定炭素主体の熱分解残渣を回収できるようにするための廃棄物の熱分解ガス化方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
都市ごみ等の廃棄物の処理システムのうち、廃棄物を焼却炉で燃焼するようにした燃焼方式に代るものとして、近年では、廃棄物を低酸素雰囲気で加熱することにより熱分解させて、可燃性の熱分解ガスと、熱分解残渣としての炭化物(チャー)及び灰分を発生させ、該熱分解ガスと熱分解残渣を溶融炉へ導き、少ない空気量(たとえば、空気比1.3程度)で高温にして燃焼させて、溶融スラグとして取り出すようにした熱分解ガス化溶融システムや、上記と同様の廃棄物の熱分解処理により熱分解ガスと熱分解残渣とを発生させた後、熱分解残渣は金属や不燃物を選別除去して炭化物として回収し、該回収された炭化物としての熱分解残渣を各種施設の石炭焚きボイラ等で燃料として利用することによりサーマルリサイクルを図るようにする廃棄物炭化システムが開発され、実用化されてきている。更に、上記熱分解ガス化溶融システムや廃棄物炭化システムにて、廃棄物の熱分解により発生させる可燃性の熱分解ガスの一部を、上記廃棄物の熱分解用の熱源とする加熱ガスを発生させるための燃料として利用することも提案されてきている。
【0003】
上記のように廃棄物を熱分解ガスと熱分解残渣に熱分解させるために用いる装置としては、図4にその一例の概要を示す如き外熱キルン式の廃棄物熱分解ガス化装置がある。
【0004】
すなわち、上記外熱キルン式の廃棄物熱分解ガス化装置は、図4に示す如く、一端の入口2側に供給管2aを一体に接続し且つ他端の出口3側に排出管3aを一体に接続した内筒4と、その外側に同心状に配置した外筒5との間に加熱流路6を形成してなる二重筒構造とした熱分解キルン炉1を、一端の入口2側よりも他端の出口3側が僅かに低くなるように傾斜させて横置きに配置して回転駆動できるようにしてある。該熱分解キルン炉1の上記入口2には、給じん機7を設けて投入ホッパ8から廃棄物9を内筒4内へ供給できるようにしてある。一方、上記熱分解キルン炉1の出口3には、廃棄物9の熱分解で発生した熱分解ガス10と熱分解残渣11に分離する分離室12が設けてある。これにより、上記熱分解キルン炉1を低速で回転させた状態において、投入ホッパ8内の廃棄物9を給じん機7によって内筒4内へ徐々に供給しつつ、内筒4と外筒5との間に形成された加熱流路6内に高温の加熱ガス(熱風)13を流通させることにより、内筒4内を低酸素雰囲気に保持した状態にて、該内筒4内を入口2側から出口3側へ順次移送される廃棄物9を、外熱により内筒4の鉄皮を介し間接加熱して乾燥、熱分解させるようにしてある。この廃棄物9の熱分解により発生する熱分解ガス10と熱分解残渣11は、上記分離室12で分離させた後、熱分解ガス10は上記分離室12の頂部より熱分解ガスライン14を通して回収するようにしてある。一方、上記熱分解残渣11は上記分離室12の底部に接続された熱分解残渣ライン15を通して回収するようにしてある。
【0005】
上記廃棄物熱分解ガス化装置にて分離室12の下端より熱分解残渣ライン15へ回収される熱分解残渣11は、その後、前述の熱分解ガス化溶融システムのように溶融炉(図示せず)へ導いて熱分解ガス10と共に燃焼させる場合、又は、前述の廃棄物炭化システムのように該熱分解残渣11より炭化物を回収して燃料化する場合のいずれの場合においても、図示しない選別装置へ送って、該熱分解残渣11中に含まれているアルミニウムや鉄等の有価金属の分離回収を図ると共にガレキ等の不燃物を分離除去する必要がある。
【0006】
そのため、廃棄物9に含まれているアルミニウムは、熱分解キルン炉1内で溶融を生じさせることなく熱分解残渣11中に回収できるようにすることが望まれる。そこで、上記廃棄物熱分解ガス化装置では、上記熱分解キルン炉1内にて廃棄物9を熱分解させるときの熱分解温度を、分離室12より回収される熱分解ガス10の温度を指標として検出し、該検出される熱分解温度が、バイオマスやプラスチック類の熱分解が進むとともにアルミニウムの溶融が生じないような所要の温度条件、たとえば、350〜450℃程度となるように、上記熱分解キルン炉1の加熱流路6へ供給する加熱ガス13の温度や供給量(流量)を適宜調整する等して、上記熱分解温度の温度制御を行うようにしている。なお、上記廃棄物熱分解ガス化装置では、上述したように内筒4内を低酸素雰囲気に保持した状態で外熱により廃棄物9の熱分解処理を行わせるようにしてあるため、この熱分解処理の際、廃棄物9に含まれているアルミニウムや鉄等の有価金属は、ほとんど酸化されず、又、付着物も熱分解されるため、付加価値の高い資源として回収できることが知られている。
【0007】
更に、上記廃棄物熱分解ガス化装置では、熱分解キルン炉1での廃棄物9の加熱を、内筒4の鉄皮を介した間接加熱により行わせるようにしてあるため、該内筒4の鉄皮の強度や腐食等の観点からすると、上記廃棄物9の熱分解温度を極端に高めることは難しく、このことからも、廃棄物9の熱分解温度としては450℃程度を上限とする温度条件が一般的に採用されている。
【0008】
ところで、上記図4に示した廃棄物熱分解ガス化装置では、熱分解キルン炉1内で発生するすべてのガスを、分離室12の頂部より熱分解ガス10として回収するようにしてあるため、該回収される熱分解ガス10は、上記熱分解キルン炉1内へ入口2側より供給された廃棄物9が乾燥される過程で放出する水分(水蒸気)を多く含んだ低カロリーガスとなってしまう。特に、この傾向は、水分量が多い廃棄物9の処理時に顕著となっていた。
【0009】
そこで、図5に示す如く、図4に示した廃棄物熱分解ガス化装置と同様の構成において、熱分解キルン炉1の入口2部に、供給管2aと連通するガス取出ボックス16を設けて、熱分解キルン炉1における入口2側寄りの領域(前段部)1aで発生するガスを、上記ガス取出ボックス16の頂部からガス取出ライン17を通して回収できるようにする構成とすることが提案されている。図5において図4に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
【0010】
図5に示す如き構成としてある廃棄物熱分解ガス化装置によれば、熱分解キルン炉1内に供給した廃棄物9を外熱により間接加熱して乾燥、熱分解させる際、該熱分解キルン炉1における入口2側寄りの領域1aで発生する廃棄物9の乾燥過程で放出される水分を多く含む熱分解ガスは、低カロリーガス18として上記ガス取出ボックス16の頂部からガス取出ライン17へ回収することができる。これにより、上記熱分解キルン炉1における出口3側寄りの領域(後段部)1bでは、水分が少ない高カロリーな熱分解ガスが発生することから、該熱分解ガスを高カロリーガス19として分離室12の頂部から熱分解ガスライン14へ回収できて、該高カロリーガス19を、高温を必要とする部分の熱源として広く使用できるとされている(たとえば、特許文献1参照)。
【0011】
又、木材チップ類を原料として炭化物を製造するための手法の1つとしては、内筒と外筒とからなる2重筒構造を有する回転炉を横置き配置して回転駆動可能に備えてなる連続炭化装置を用いる連続炭化方法が従来提案されている。これは、先ず、上記回転炉の内筒の一端部内側へ供給される木材チップからなる原料が、該内筒内を通して他端部まで移送される間に、回転炉の他端側に設けてある燃焼器からの火炎により着火させて、原料を自然状態で燃焼が継続される燃焼物とさせる。次いで、この原料の燃焼物を、内外筒間の空間にて、空気の供給を遮断した状態で他端側から一端側まで移送することにより、徐々に鎮火させながら約800℃で炭化を進行させ、しかる後、該内外筒間の空間の一端部より外部へ炭化物を連続的に取り出すことができるようにしてある(たとえば、特許文献2参照)。
【0012】
【特許文献1】特開平10−132238号公報
【特許文献2】特開2005−350329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、上記従来の廃棄物熱分解ガス化装置では、上述したように、アルミニウムの溶融温度や内筒4の鉄皮の強度、腐食等を考慮して、廃棄物9の熱分解温度を350〜450℃程度とする温度制御が一般的に行われていたため、廃棄物9の熱分解を完全に行うことはできない。
【0014】
すなわち、一般に、紙、繊維、草木等のバイオマスの熱分解は200〜400℃程度で進行する。又、プラスチック類のうち、塩素含有プラスチックである塩化ビニル等は300℃台から脱塩素化を中心とする熱分解が進行する。しかし、450℃程度という温度条件の下であっても完全には熱分解されないプラスチック類がある。そのために、上記したように350〜450℃程度の熱分解温度となるよう制御されている従来の廃棄物熱分解ガス化装置では、回収される熱分解残渣11中に完全には熱分解されていないプラスチック類が揮発分として残り、該熱分解残渣11における固定炭素と揮発分との割合、すなわち、燃料比(固定炭素/揮発分)はおよそ1.0程度となっていた。
【0015】
したがって、上記従来の廃棄物熱分解ガス化装置より回収される熱分解残渣11には、アルミニウムや鉄等の有価金属、及び、ガレキ等の不燃物を除去した後の該熱分解残渣11の重量に対して約1/2重量もの揮発分が残存している。そのために、廃棄物9から所要の燃焼炉(燃焼器)で燃料として燃焼させることが可能な可燃性ガスを生成させることによって該廃棄物9のサーマルリサイクルを図ることを目的とする場合には、上記のような熱分解残渣11に残存している揮発分をすべて可燃性ガスとして回収できるようにして、廃棄物9から生成させる可燃性ガスの収量を向上させることが望まれる。
【0016】
又、廃棄物9から可燃性ガスを生成させて廃棄物9のサーマルリサイクルを図る場合、上記従来の廃棄物熱分解ガス化装置では、回収される熱分解ガス10に、熱分解キルン炉1内にて廃棄物9が乾燥される過程で放出される水分が多量に混入するため、該熱分解ガス10を高カロリーなガスとすることができない。又、上記熱分解ガス10には、塩化ビニル等の塩素含有プラスチックの熱分解によって発生する塩化水素等の腐食性を有する成分が含まれている。したがって、上記熱分解ガス10を燃料としての用途は限定され、燃焼させることが可能な燃焼炉(燃焼器)も制限されてしまう。更には、上記従来の廃棄物熱分解ガス化装置より回収される熱分解ガス10にはタール成分が含まれているため、該熱分解ガス10を通す熱分解ガスライン14には、熱分解ガス10の温度低下を防いで上記タール成分がライン内へ付着する虞を防止するための対策として、ヒータ等の所要の保温装置(加熱装置)を装備しなければならず、このため、上記熱分解ガスライン14の長さも自ずから制限されることから、上記熱分解ガス10を燃料としての用途は限定され、供給可能な燃焼炉も制限されてしまう。
【0017】
更に、上記したように、従来の廃棄物熱分解ガス化装置より回収される熱分解残渣11は、固定炭素とほぼ同重量の揮発分を含有している。この揮発分は、上記熱分解残渣11を燃料として燃焼させる際には、着火性を向上させたり、燃焼性を良好なものとすることができて有利に作用するが、該熱分解残渣11を燃料として外部の石炭焚きボイラ等へ供給する場合のように、熱分解残渣11を輸送したり、貯蔵する際には不安定性をもたらす要因となる。更に、上記熱分解残渣11を炭化物として調湿機能やガス吸着機能を有する建材ボード等に用いるための材料としたり、賦活処理して活性炭を製造する場合には、揮発分は少ないほうが好ましい。
【0018】
特許文献1には、図5に示した如く、廃棄物熱分解ガス化装置の熱分解キルン炉1内における入口2側寄りの領域1aで発生する廃棄物9の乾燥過程で放出される水分を多く含む熱分解ガスを、低カロリーガス18として熱分解キルン炉1の入口2部に設けたガス取出ボックス16よりガス取出ライン17へ回収し、上記熱分解キルン炉1における出口側寄りの領域1bで発生する水分が少ない高カロリーな熱分解ガスを、高カロリーガス19として分離室12の頂部から熱分解ガスライン14へ回収することは示されている。しかし、塩化ビニル等の塩素含有プラスチックを含んだ廃棄物9からであっても塩化水素等の腐食性成分を含まない可燃性ガスを回収できるようにしたり、廃棄物9からタール成分を含まない可燃性ガスを回収できるようにする考え、更には、固定炭素主体の熱分解残渣を回収できるようにする考えについてはなんら示されていない。
【0019】
特許文献2には、木材チップからなる原料の燃焼を開始させた後、空気を遮断して約800℃の高温状態で炭化を進行させることにより炭化物を製造する手法が示されており、かかる手法によれば、原料から固定炭素主体となる炭化物の製造が可能になると考えられるが、原料として用いるのは木材チップ類であり、且つ可燃性ガスを回収する考えはまったく示されていない。このため、廃棄物を熱分解した後、可燃性を有する熱分解ガスと固定炭素主体の熱分解残渣とを分離回収して廃棄物の有用物化を図ることについてはなんら示唆されるものではない。しかも、特許文献2に示された手法では、原料を一旦、自然状態で燃焼が継続される燃焼物とさせるようにして、その後、空気の供給を遮断するようにしてあり、又、上記原料を1つの炉内で約800℃まで昇温させるようにしてある。したがって、上記特許文献2に示された手法は、廃棄物中に含まれる金属をほとんど酸化させない状態で回収できるようにしたり、廃棄物中のアルミニウムを溶融させないで回収できるようにする廃棄物の熱分解ガス化処理に適用できるものではない。
【0020】
そこで、本発明は、都市ごみ等の廃棄物を低酸素雰囲気で加熱することにより熱分解し、高カロリーでクリーンな熱分解ガスと、固定炭素主体の熱分解残渣を回収できるようにする廃棄物の熱分解ガス化方法及び装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、上記課題を解決するために、廃棄物を低酸素雰囲気条件の下で塩素含有プラスチックが熱分解され且つアルミニウム合金の溶融が生じない温度範囲まで加熱して熱分解し、該熱分解により生じる熱分解ガスと熱分解残渣とを分離回収し、更に、上記熱分解残渣を、低酸素雰囲気条件の下でより高温の熱分解温度にて加熱することにより更に熱分解して、発生する熱分解ガスと熱分解残渣とを分離させてそれぞれ回収する廃棄物の熱分解ガス化方法、及び、廃棄物を低酸素雰囲気条件の下で塩素含有プラスチックが熱分解され且つアルミニウム合金の溶融が生じない温度範囲に加熱して熱分解して発生する熱分解ガスと熱分解残渣とを分離して回収できるようにしてある熱分解炉と、該熱分解炉より回収される熱分解残渣を、低酸素雰囲気条件の下でより高温の熱分解温度に加熱することにより更に熱分解し、発生する熱分解ガスと熱分解残渣とを分離して回収できるようにしてある高温の熱分解炉とを備えてなる構成を有する廃棄物の熱分解ガス化装置とする。
【0022】
又、廃棄物を低酸素雰囲気条件の下で350〜450℃に加熱して熱分解し、該熱分解により生じる熱分解ガスと熱分解残渣とを分離回収し、更に、上記熱分解残渣を、低酸素雰囲気条件の下で該熱分解残渣中に含まれる揮発分がガス化する高温の熱分解温度にて加熱することにより更に熱分解して、発生する熱分解ガスと熱分解残渣とを分離させてそれぞれ回収する廃棄物の熱分解ガス化方法、及び、廃棄物を低酸素雰囲気条件の下で350〜450℃に加熱して熱分解し、発生する熱分解ガスと熱分解残渣とを分離して回収できるようにしてある熱分解炉と、該熱分解炉より回収される熱分解残渣を、低酸素雰囲気条件の下で該熱分解残渣中に含まれる揮発分がガス化する高温の熱分解温度に加熱することにより更に熱分解し、発生する熱分解ガスと熱分解残渣とを分離して回収できるようにしてある高温の熱分解炉とを備えてなる構成を有する廃棄物の熱分解ガス化装置とする。
【0023】
上記各構成において、廃棄物の熱分解残渣を回収した後、該熱分解残渣中に含まれている有価金属と不燃物を分離し、しかる後、高温の熱分解温度に加熱して熱分解を行わせるようにする。
【0024】
上述の各構成において廃棄物を熱分解する熱分解炉の上流側に、廃棄物を乾燥させるための乾燥機を設けるようにした構成とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1)廃棄物を低酸素雰囲気条件の下で塩素含有プラスチックが熱分解され且つアルミニウム合金の溶融が生じない温度範囲まで加熱して熱分解し、該熱分解により生じる熱分解ガスと熱分解残渣とを分離回収し、更に、上記熱分解残渣を、低酸素雰囲気条件の下でより高温の熱分解温度に加熱することにより更に熱分解して、発生する熱分解ガスと熱分解残渣とを分離させてそれぞれ回収する廃棄物の熱分解ガス化方法及び装置、より具体的には、廃棄物を低酸素雰囲気条件の下で350〜450℃に加熱して熱分解し、該熱分解により生じる熱分解ガスと熱分解残渣とを分離回収し、更に、上記熱分解残渣を、低酸素雰囲気条件の下で該熱分解残渣中に含まれる揮発分がガス化する高温の熱分解温度に加熱することにより更に熱分解して、発生する熱分解ガスと熱分解残渣とを分離させてそれぞれ回収する廃棄物の熱分解ガス化方法及び装置としてあるので、廃棄物を熱分解させる際に発生する熱分解ガス中に、上記廃棄物が乾燥する際に放出される水分、塩化水素等の腐食性を有する成分を回収できる。したがって、上記水分、塩化水素等の腐食性を有する成分を含んだ熱分解ガスが分離された後の廃棄物の熱分解残渣を更に高温の熱分解温度で熱分解することにより、ガス成分は低分子量化しタール成分の含有もなくなるため、高カロリーでクリーンな可燃性ガスである熱分解ガスと、固定炭素主体の熱分解残渣とを生成させることができる。
(2)上記高カロリーでクリーンな可燃性ガスである熱分解ガスは広範な燃焼炉(燃焼器)で燃焼させることが可能になることから、発電用燃料、上記二次熱分解炉26の加熱燃料、溶融炉加熱燃料、外部利用等、多用途に使用可能とすることができる。
(3)上記固定炭素主体となる熱分解残渣は、燃料として外部の石炭焚きボイラ等へ供給する場合のように、輸送したり、貯蔵する際の安定性を高めることができる。更に、燃料としてばかりではなく、調湿機能やガス吸着機能を有する建材ボード等に用いるための材料としたり、賦活処理して活性炭を製造するための材料等、多用途に使用可能なものとすることができる。
(4)廃棄物の熱分解残渣を回収した後、該熱分解残渣中に含まれている有価金属と不燃物を分離し、しかる後、高温の熱分解温度に加熱して熱分解を行わせるようにすることにより、廃棄物中に含まれているアルミニウムや鉄等の有価金属を、ほとんど酸化されない状態で付加価値の高い資源として回収できる。更に、アルミニウムは溶融させることなく回収できる。
(5)廃棄物を熱分解する熱分解炉の上流側に、廃棄物を乾燥させるための乾燥機を設けるようにした構成とすることにより、廃棄物を熱分解する際の熱分解効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0027】
図1は本発明の廃棄物の熱分解ガス化方法及び装置の実施の一形態を示すもので、廃棄物9を一次熱分解炉20へ供給し、低酸素雰囲気に保持しながら、塩化ビニル等の塩素含有プラスチックの熱分解温度以上で且つアルミニウムの溶融温度以下となる所要の熱分解温度条件、たとえば、350〜450℃程度の温度範囲に加熱して熱分解させ、この熱分解により発生する熱分解ガス(以下、一次熱分解ガスと云う)21と熱分解残渣(以下、一次熱分解残渣と云う)22とを分離して回収する。次に、上記一次熱分解炉20より回収される一次熱分解残渣22を、選別装置23に供給して、該一次熱分解残渣22よりアルミニウムや鉄等の有価金属24を分離して回収すると共に、ガレキ等の不燃物25を分離除去するようにする。次いで、上記選別装置23にて有価金属24と不燃物25が分離された後の上記一次熱分解残渣22を、高温の熱分解炉としての二次熱分解炉26に供給し、該二次熱分解炉26にて、上記選別装置23を経た一次熱分解残渣22を、低酸素雰囲気に保持しながらより高温の熱分解温度条件、たとえば、750℃まで加熱して熱分解させて、この熱分解により発生する熱分解ガス(以下、二次熱分解ガスと云う)27と熱分解残渣(以下、二次熱分解残渣と云う)28とを分離して回収するようにする。
【0028】
詳述すると、上記一次熱分解炉20は、たとえば、図4に示した廃棄物熱分解ガス化装置と同様の構成として、熱分解キルン炉1を低速で回転させた状態において、投入ホッパ8内の廃棄物9を給じん機7により内筒4内へ供給し、低酸素雰囲気に保持される内筒4内を入口2側から出口3側へ移送される廃棄物9を、内筒4と外筒5との間に形成された加熱流路6を流通させる高温の加熱ガス13を熱源として内筒4の鉄皮を介し間接加熱して順次乾燥、熱分解させるようにしてある。この熱分解により発生する可燃性の熱分解ガスと熱分解残渣は、それぞれ一次熱分解ガス21と一次熱分解残渣22として分離室12で互いに分離させた後、上記一次熱分解ガス21は上記分離室12の頂部より熱分解ガスライン14を通して回収するようにしてある。一方、上記一次熱分解残渣22は上記分離室12の底部に接続してある熱分解残渣ライン15へ回収するようにしてある。
【0029】
上記熱分解残渣ライン15の下流側には、上記選別装置23の入口側を接続する。なお、選別装置23は、上記一次熱分解炉20より回収される一次熱分解残渣22より、該一次熱分解残渣22中に含まれているアルミニウムや鉄等の有価金属24、及び、ガレキ等の不燃物25を分離できれば、いかなる形式のものを用いるようにしてもよい。又、上記有価金属24や不燃物25と、炭化物である一次熱分解残渣22との分離性をより高めることができるようにするために、上記一次熱分解残渣22の炭化物としての粒子を細かく粉砕する機能を備えるようにしてもよい。
【0030】
上記二次熱分解炉26は、たとえば、耐火材を内張りした円筒型のキルン本体29を軸線を水平線よりもわずかに傾斜させるように横置き配置して回転駆動できるように備える。上記キルン本体29の入口側には、受入ホッパ30の下端に取り付けたプッシャーの如き供給装置31を接続すると共に、図示しないバーナを備える。一方、上記キルン炉本体29の出口側には、分離室32を設けて、ロータリーキルン形式の炉を構成し、上記受入ホッパ30が、上記選別装置23の出口側に熱分解残渣移送ライン33を介して接続してある。以上の構成としてある二次熱分解炉26では、上記選別装置23を経て上記受入ホッパ30へ供給される一次熱分解残渣22を、上記供給装置31によりキルン本体29内へ順次供給し、該キルン本体29内への空気供給を制限した状態にて、バーナにより上記一次熱分解残渣22の一部に着火させて該一次熱分解残渣22を部分燃焼させることで、キルン本体29内を低酸素雰囲気に保持しながら750℃まで昇温させて、上記一次熱分解残渣22の更なる熱分解を行わせることができるようにしてある。
【0031】
上記キルン本体29内における一次熱分解残渣22の熱分解により生じる二次熱分解ガス27と二次熱分解残渣28は、上記分離室32へ導いて互いに分離させた後、上記二次熱分解ガス27は分離室32の頂部に接続した二次熱分解ガス回収ライン34を通して回収し、一方、上記二次熱分解残渣28は、上記分離室32の底部に接続した二次熱分解残渣回収ライン35を通して回収するようにしてある。
【0032】
その他、図4に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
【0033】
以上の構成としてあることにより、上記一次熱分解炉20では、図4に示した従来の廃棄物熱分解ガス化装置と同様にして廃棄物9の乾燥、熱分解処理、すなわち、バイオマスと、塩化ビニル等の塩素含有プラスチックを含む比較的低温域で熱分解されるプラスチック類の熱分解が行われるため、該一次熱分解炉20より熱分解ガスライン14へ回収される一次熱分解ガス21は、上記廃棄物9が乾燥する際に放出される水分を含むと共に、塩化水素等の腐食性を有する成分を含み、更に、タール成分を含んだ低カロリーの可燃性ガスとなる。又、上記一次熱分解炉20より回収される一次熱分解残渣22は、上記した一次熱分解炉20における350〜450℃に設定された熱分解温度条件では熱分解しきれないプラスチック類が揮発分として残留するため、燃料比1.0程度の炭化物となる。
【0034】
上記選別装置23では、上記一次熱分解炉20より回収される一次熱分解残渣22よりアルミニウムや鉄等の有価金属24と不燃物25を分離するが、上記一次熱分解炉20では、廃棄物9を低酸素雰囲気にて、350〜450℃に加熱するのみであるためアルミニウムや鉄は、ほとんど酸化されない状態で回収される。しかも、アルミニウムは溶融されることなく回収される。
【0035】
上記選別装置23にて有価金属24及び不燃物25の分離が行われた一次熱分解残渣22を、二次熱分解炉26へ供給して、低酸素雰囲気に保持したまま750℃まで昇温させると、該750℃という温度条件ではプラスチック類はほぼ完全に熱分解されることから、上記一次熱分解残渣22中に残存していた揮発分はほぼ完全にガス化される。このために、上記二次熱分解炉26より固体として回収される二次熱分解残渣28は、揮発分がほとんどない固定炭素主体のものとなる。
【0036】
一方、上記二次熱分解炉26において上記一次熱分解残渣22中に残存していた揮発分が750℃という高温条件の下でガス化されるときには、同時に炭素鎖等が切断されて低分子化されて、水素、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の常温でも気体となる可燃性ガス、すなわち、常温で凝縮するようなタール成分のほとんどない可燃性ガスが生成されるようになる。しかも、上記一次熱分解残渣22は、一次熱分解炉20にて上記したような温度条件の下で廃棄物9の乾燥、熱分解処理を既に受けたものであることから、該一次熱分解残渣22には、水分は含まれておらず、又、塩化ビニル等の塩素含有プラスチックも含まれていないため、二次熱分解炉26で一次熱分解残渣22を熱分解処理しても、水分が放出されたり、塩化水素等の腐食性を有する成分が生成される虞はない。したがって、上記二次熱分解炉26より回収される二次熱分解ガス27は、水分がほとんど含まれず且つ有害ガス成分の少ない高カロリーでクリーンな可燃性ガスとなる。
【0037】
このように、本発明の廃棄物の熱分解ガス化方法及び装置によれば、廃棄物9を一次熱分解炉20と二次熱分解炉26で順次熱分解させた後、二次熱分解ガス回収ライン34を通して高カロリーでクリーンな可燃性ガスである二次熱分解ガス27を、又、二次熱分解残渣回収ライン35を通して固定炭素主体の二次熱分解残渣28をそれぞれ回収することができる。
【0038】
上記二次熱分解残渣28は、固定炭素主体とされていて揮発分がほとんどないために、燃料として外部の石炭焚きボイラ等へ供給する場合のように、輸送したり、貯蔵する際の安定性を高めることができる。更には、燃料としてばかりではなく、調湿機能やガス吸着機能を有する建材ボード等に用いるための材料としたり、賦活処理して活性炭を製造するための材料等、多用途に使用可能なものとすることができる。
【0039】
又、上記二次熱分解ガス27は、高カロリーでクリーンな可燃性ガスであるため、広範な燃焼炉(燃焼器)で燃焼させることができるようになることから、発電用燃料、上記二次熱分解炉26の加熱燃料、溶融炉加熱燃料、外部利用等、多用途に使用可能とすることができる。更に、上記二次熱分解ガス27は、高温の二次熱分解炉から高温状態で回収されるため、該二次熱分解ガス27を上記一次熱分解炉20より回収される低カロリーで且つタール成分を含む一次熱分解ガス21と混合させて回収するようにすれば、該一次熱分解ガス21の高カロリー化を図ると共に、温度保持を行うことが可能になる。更に又、たとえば、上記一次熱分解ガス21を流通させるライン内にタール成分の付着が生じたときに、該ライン内に上記高温の二次熱分解ガス27を流すようにすれば、該ライン内に付着したタール成分の除去を行わせることが可能になる。
【0040】
次に、図2は本発明の実施の他の形態として、図1の実施の形態の応用例を示すもので、廃棄物9として、金属や不燃物を含まないか又は金属や不燃物が予め除去されている廃棄物9の熱分解ガス化処理に適用する場合を示すもので、以下のような構成としてある。
【0041】
すなわち、図2に示すものは、図1に示したと同様の構成において、一次熱分解炉20と二次熱分解炉26との間に有価金属と不燃物を除去するための選別装置23を設けてなる構成に変えて、該選別装置23を省略して、一次熱分解炉20の分離室12の下端に一端部(上流側端部)を接続した熱分解残渣ライン15の下流側端部を、二次熱分解炉26の受入ホッパ30に接続して、上記一次熱分解炉20における350〜450℃の熱分解温度で廃棄物9の熱分解処理を行わせることにより生成する一次熱分解残渣22を、直接二次熱分解炉26へ供給して、750℃の熱分解温度での熱分解処理を行わせるようにしたものである。
【0042】
その他の構成は図1に示したものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0043】
上記構成としてあるので、本実施の形態によっても、廃棄物9を一次熱分解炉20にて、上記熱分解温度条件の下で熱分解処理することにより、上記廃棄物9が乾燥する際に放出される水分と、塩化水素等の腐食性を有する成分と、タール成分を含んだ低カロリーの可燃性ガスである一次熱分解ガス21と一次熱分解残渣22に熱分解し、その後、上記一次熱分解ガス21と分離させた一次熱分解残渣22を、二次熱分解炉26に供給して更に高温で熱分解処理することにより、固定炭素主体の二次熱分解残渣28と、高カロリーでクリーンな可燃性ガスである二次熱分解ガス27を回収することができる。よって、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0044】
更に、上記金属や不燃物を含まないか又は金属や不燃物が予め除去されている廃棄物9として、近年、可燃性の廃棄物の処理方法の一つとして注目されてきているRDF(廃棄物固形燃料)を用いるようにすれば、該RDFに塩化ビニル等の塩素含有プラスチックが含まれているとしても、高カロリーでクリーンな可燃性ガスとしての二次熱分解ガス27と、固定炭素主体の二次熱分解残渣28を回収できるため、上記RDFを原料として広範な燃焼炉(燃焼器)で使用可能なクリーンなガス燃料及び固形燃料を製造する手法として有効である。
【0045】
次いで、図3は本発明の実施の更に他の形態を示すもので、図1に示したと同様の構成において、一次熱分解炉20の上流側に乾燥機36を設けるようにして、廃棄物9を該乾燥機36にて乾燥処理することにより予め水分量を削減させてから上記一次熱分解炉20へ供給できるようにしたものである。
【0046】
その他の構成は図1に示したものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0047】
本実施の形態によれば、一次熱分解炉20にて熱分解処理を行う際に廃棄物9の乾燥を行う必要がなくなるため、上記一次熱分解炉20における熱分解効率を向上させることが可能になる。
【0048】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、一次熱分解炉20は、廃棄物9を、低酸素雰囲気条件の下で、塩素含有プラスチックが熱分解され且つアルミニウム合金の溶融が生じない温度範囲、具体的には、350〜450℃まで加熱して熱分解させることができれば、外熱キルン式以外のいかなる形式の熱分解炉を用いるようにしてもよい。
【0049】
二次熱分解炉26における熱分解温度は、一次熱分解残渣22中の揮発分をガス化させることができるような高温条件であれば、750℃より多少変化させてもよい。
【0050】
二次熱分解炉26は、一次熱分解残渣22の部分燃焼熱を熱源として所要の熱分解温度まで加熱するものとして説明したが、加熱熱源としては電力や化石燃料、都市ガス等の外部燃料の燃焼熱、更には、二次熱分解炉26より回収される二次熱分解ガス27の燃焼熱を利用するようにしてもよい。更に、上記二次熱分解炉26はキルン式のものとして示したが、一次熱分解残渣22を低酸素雰囲気で所要温度まで加熱できれば、電気炉等のいかなる形式の熱分解炉を用いるようにしてもよい。
【0051】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の廃棄物の熱分解ガス化方法及び装置の実施の一形態を示す概要図である。
【図2】本発明の実施の他の形態を示す概要図である。
【図3】本発明の実施の更に他の形態を示す概要図である。
【図4】従来提案されている廃棄物熱分解ガス化装置の一例を示す概要図である。
【図5】従来提案されている廃棄物熱分解ガス化装置の他の例を示す概要図である。
【符号の説明】
【0053】
9 廃棄物
10 一次熱分解ガス(熱分解ガス)
11 一次熱分解残渣(熱分解残渣)
20 一次熱分解炉(熱分解炉)
23 選別装置
24 有価金属
25 不燃物
26 二次熱分解炉(高温の熱分解炉)
27 二次熱分解ガス(熱分解ガス)
28 二次熱分解残渣(熱分解残渣)
36 乾燥機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を低酸素雰囲気条件の下で塩素含有プラスチックが熱分解され且つアルミニウム合金の溶融が生じない温度範囲まで加熱して熱分解し、該熱分解により生じる熱分解ガスと熱分解残渣とを分離回収し、更に、上記熱分解残渣を、低酸素雰囲気条件の下でより高温の熱分解温度にて加熱することにより更に熱分解して、発生する熱分解ガスと熱分解残渣とを分離させてそれぞれ回収することを特徴とする廃棄物の熱分解ガス化方法。
【請求項2】
廃棄物を低酸素雰囲気条件の下で350〜450℃に加熱して熱分解し、該熱分解により生じる熱分解ガスと熱分解残渣とを分離回収し、更に、上記熱分解残渣を、低酸素雰囲気条件の下で該熱分解残渣中に含まれる揮発分がガス化する高温の熱分解温度にて加熱することにより更に熱分解して、発生する熱分解ガスと熱分解残渣とを分離させてそれぞれ回収することを特徴とする廃棄物の熱分解ガス化方法。
【請求項3】
廃棄物の熱分解残渣を回収した後、該熱分解残渣中に含まれている有価金属と不燃物を分離し、しかる後、高温の熱分解温度に加熱して熱分解を行わせるようにする請求項1又は2記載の廃棄物の熱分解ガス化方法。
【請求項4】
廃棄物を低酸素雰囲気条件の下で塩素含有プラスチックが熱分解され且つアルミニウム合金の溶融が生じない温度範囲に加熱して熱分解して発生する熱分解ガスと熱分解残渣とを分離して回収できるようにしてある熱分解炉と、該熱分解炉より回収される熱分解残渣を、低酸素雰囲気条件の下でより高温の熱分解温度に加熱することにより更に熱分解し、発生する熱分解ガスと熱分解残渣とを分離して回収できるようにしてある高温の熱分解炉とを備えてなる構成を有することを特徴とする廃棄物の熱分解ガス化装置。
【請求項5】
廃棄物を低酸素雰囲気条件の下で350〜450℃に加熱して熱分解し、発生する熱分解ガスと熱分解残渣とを分離して回収できるようにしてある熱分解炉と、該熱分解炉より回収される熱分解残渣を、低酸素雰囲気条件の下で該熱分解残渣中に含まれる揮発分がガス化する高温の熱分解温度に加熱することにより更に熱分解し、発生する熱分解ガスと熱分解残渣とを分離して回収できるようにしてある高温の熱分解炉とを備えてなる構成を有することを特徴とする廃棄物の熱分解ガス化装置。
【請求項6】
廃棄物を熱分解する熱分解炉と、該熱分解炉より回収される熱分解残渣を熱分解する高温の熱分解炉との間に、上記熱分解残渣中に含まれている有価金属と不燃物を分離する選別装置を設けるようにした請求項4又は5記載の廃棄物の熱分解ガス化装置。
【請求項7】
廃棄物を熱分解する熱分解炉の上流側に、廃棄物を乾燥させるための乾燥機を設けるようにした請求項4、5又は6記載の廃棄物の熱分解ガス化装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−238858(P2007−238858A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65923(P2006−65923)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】