説明

廃水および汚泥水の浄化処理剤

本発明は、廃水や汚泥水中の浮遊懸濁物質が比較的高濃度であっても、廃水や汚泥水のpHに関係なく浮遊懸濁物質や重金属等を十分に凝集(沈殿)・分離させることが可能で、分離水の放流時にpH調整が不要で、凝集沈殿物の含水率が低く、凝集沈殿物が水に溶解し難く、特に凝集重金属がほとんど再溶出しない廃水および汚泥水の浄化処理剤を提供する。本発明は、有機酸、結晶性アルミノケイ酸塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、およびナトリウム塩を含んでなる廃水および汚泥水の浄化処理剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は廃水および汚泥水の浄化処理剤に関する。本発明は特に、鍍金廃水、各種工場廃水、各種工事現場からの廃水、および下水、海、湖、沼および河川等の浚渫汚泥水等に含まれる浮遊懸濁物質を凝集・分離すると同時に重金属類や溶存汚濁物質を吸着・固定し、分離するための浄化処理剤に関する。
【背景技術】
汚濁廃水の浄化処理剤としては、従来から無機系および有機系の各種凝集剤が使用されてきた。無機系凝集剤としては、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、アルミン酸ナトリウム(NaAlO)等のアルミニウム化合物、硫酸鉄(FeSO・7HO)、塩化鉄(FeCl・6HO)などの鉄化合物あるいは生石灰、消石灰などが用いられている。また、有機系凝集剤としては、ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウムなどが用いられている。
上述のような従来の無機系および有機系の凝集剤は、いずれも廃水中の浮遊懸濁物質(SS)の凝集分離を主目的としているが、50,000ppm程度のSSを除去できる程度であり、充分な凝集効果を有しているとはいえない。また、従来の凝集剤はpH依存性があり、処理剤により適正なpHが異なり、処理に際してpH調整が必要な場合がある。例えば、2価または3価の鉄塩が凝集剤として使用される場合の最適pHは6〜8程度である。さらにポリアクリルアミド系は、pHにより曇点があり、温度にも曇点(60℃)がある。また、硫酸アルミニウムの場合は、凝集剤として有効に作用するにはアルカリ分が必要であり、pH4〜5では重合水酸化アルミニウムイオンが生成される。しかも、添加量が多すぎると廃水中で負に帯電しているSSのコロイド粒子の表面電荷が逆転してしまい分散する。つまり、硫酸アルミニウムによる凝集作用は負電荷のコロイド粒子を吸着して正荷電で中和するものであるが、過剰に吸着するとSSのコロイド粒子が正荷電を帯びて反発して分散してしまい、凝集効果を発揮できない。
さらに、従来の無機系凝集剤の場合、廃水中のSSを凝集処理した後、分離水を放流する際にpH調整を必要とする場合がある。例えば、硫酸アルミニウムは水中のアルカリ分を消費することから、水のpHを低下させる。無機系凝集剤の中でも、ポリ塩化アルミニウム(PAC)は水のpHをあまり変化させない優れたものであり、水に溶解して使用される。しかしながら、SSを吸着架橋するので、凝集分離した汚泥の含水率が高く、処理後、脱水した汚泥をさらに水切りすることが必要となる。
さらに、上述のような、従来の無機系または有機系の凝集剤でSSを凝集分離し、これを脱水し、固形化した汚泥は、水に溶解し易く、また重金属が固定されておらず再溶出するなどの問題点が多くあった。
そこで、アルミナ・けい酸塩、硫酸カルシウム、アクリルアマイド系凝集剤やアルギン酸系凝集剤等の有機系凝集剤、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、および炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよびドロマイトの群から選ばれる少なくとも1種の物質が配合されてなる汚濁排水の浄化処理剤が提案されている(例えば、特許第2774096号明細書)。しかしながら、かかる浄化処理剤を使用しても、重金属、特にクロム、亜鉛を十分には除去できなかった。
【発明の開示】
(発明が解決しようとする技術的課題)
本発明は、廃水や汚泥水中の浮遊懸濁物質が比較的高濃度であっても、廃水や汚泥水のpHに関係なく浮遊懸濁物質や重金属、特に、クロム、亜鉛等を十分に凝集(沈殿)・分離させることが可能で、分離水の放流時にpH調整が不要で、凝集沈殿物の含水率が低く、凝集沈殿物が水に溶解し難く、特に凝集重金属がほとんど再溶出しない廃水および汚泥水の浄化処理剤を提供することを目的とする。
(その解決方法)
本発明は、有機酸、結晶性アルミノケイ酸塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、およびナトリウム塩を含んでなる廃水および汚泥水の浄化処理剤に関する。
(従来技術より有効な効果)
本発明の廃水および汚泥水の浄化処理剤は、廃水や汚泥水中の浮遊懸濁物質が比較的高濃度であっても、廃水や汚泥水のpHに関係なく浮遊懸濁物質や重金属等を十分に凝集(沈殿)・分離させることが可能である。
また本発明の浄化処理剤を使用すると、分離水の放流時にpH調整が不要である。
また本発明の浄化処理剤を使用すると、凝集沈殿物は含水率が低く、かつ水に溶解し難く、特に凝集重金属はほとんど再溶出しない。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の廃水および汚泥水の浄化処理剤は構成成分として有機酸、結晶性アルミノケイ酸塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、およびナトリウム塩を含んでなる。本発明においてはこれらの成分を組み合わせて含有させることによって、はじめて上記目的を達成できる。上記成分のうちいずれかの成分が含有されないと、得られる浄化処理剤のpH依存性が高くなる;廃水や汚泥水中の浮遊懸濁物質が比較的高濃度であるとき、浮遊懸濁物質や重金属等を十分に凝集(沈殿)・分離させることができない;分離水の放流時にpH調整を要する;凝集沈殿物の含水率が高くなる;凝集沈殿物が水に溶解し易くなる;凝集重金属が再溶出する;等の問題が生じる。特に、有機酸が含有されないと、重金属、特にクロム、亜鉛を十分には除去できない。
本明細書中、本発明の浄化処理剤によって分離・除去され得る重金属はクロム、亜鉛、鉄、マンガン、アルミニウム、特にクロム、亜鉛である。
本発明において使用される有機酸は、水に溶解して酸性を呈する低分子量有機化合物であり、浄化処理後の分離水が自然界に放流されることを考慮すると、天然に存在する低分子量の天然有機酸を使用することが好ましい。有機酸の分子量は1000以下、好ましくは10〜1000、より好ましくは50〜300、特に100〜200が好ましい。そのような好ましい天然有機酸として、例えば、リンゴ酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸等が挙げられる。上記天然有機酸の中でも、分子中、カルボキシル基を2個以上、特に2個有し、かつヒドロキシル基を1個以上、特に1個有する天然有機酸がより好ましく使用される。そのようなより好ましい天然有機酸として、リンゴ酸、酒石酸等が挙げられ、最も好ましくはリンゴ酸である。
有機酸の含有量は本発明の効果が得られる限り特に制限されるものではなく、通常は浄化処理剤全量に対して0.5〜5重量%、好ましくは1〜3重量%である。有機酸は2種類以上使用されてよく、その場合、それらの総含有量が上記範囲内であればよい。
結晶性アルミノケイ酸塩は一般式;xAlySiOで表される3次元網目構造を有し、かつその空隙で重金属イオンを捕捉可能な限り特に制限されず、本発明においてはいわゆるゼオライトが好ましく使用される。ゼオライトは、3次元網目構造をもつテクトアルミノケイ酸塩である。詳しくは、ゼオライトの化学構造はケイ素(Si)とその回りに存在する4個の酸素(O)とが結合してなるケイ素四面体と、この四面体のケイ素にかわってアルミニウムが置換したアルミニウム四面体(4配位アルミニウム)とを主な構成要素としており、これらの四面体どうしが4つの頂点を共有するように連結されてなっている。そのような構造の空隙中には、加熱や脱気により容易に脱水する弱く保持された水を含んでいてもよし、または重金属イオンの捕捉時に容易に交換されるアルカリ金属イオン等を既に保持していてもよい。ゼオライトが有する重金属イオンの捕捉作用は、4配位アルミニウムの位置にAlとOの電気的アンバランスに基づく永久的負電荷が発生することに起因するものと考えられる。ゼオライトは上記のような構造および作用を有する限り、その産地および製法は特に制限されず、天然産の天然ゼオライト、触媒などに使う高純度の合成ゼオライト、または石炭灰などの廃棄物から得られる人工ゼオライトのいずれであってもよい。
結晶性アルミノケイ酸塩の含有量は浄化処理剤全量に対して10〜25重量%、好ましくは10〜20重量%である。ゼオライトは2種類以上使用されてよく、その場合、それらの総含有量が上記範囲内であればよい。
アルミニウム塩は硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、および塩化アルミニウムからなる群から選択される1種類またはそれ以上の化合物である。好ましくは硫酸アルミニウムと硫酸アルミニウムカリウムとが組み合わせて使用される。硫酸アルミニウムカリウムは一般式;KAl(SOで表され、一般にミョウバン、カリミョウバン、カリウムミョウバンなどと呼ばれるものである。
アルミニウム塩の含有量は浄化処理剤全量に対して20〜40重量%、好ましくは30〜40重量%である。アルミニウム塩を2種類以上使用する場合、それらの総含有量が上記範囲内であればよい。
マグネシウム塩は例えば、炭酸マグネシウムである。好ましくは炭酸マグネシウムはドロマイトによって供給される。ドロマイトは主成分として炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムを含有するため、ドロマイトを用いることによって、炭酸マグネシウムと後述のカルシウム塩としての炭酸カルシウムとを同時に供給できる。
マグネシウム塩の含有量は浄化処理剤全量に対して0.1〜3重量%、好ましくは0.3〜1.5重量%、特に0.5〜0.8重量%である。マグネシウム塩を2種類以上使用する場合、それらの総含有量が上記範囲内であればよい。
カルシウム塩は硫酸カルシウム、炭酸カルシウムからなる群から選択される1種類またはそれ以上の化合物である。好ましくは硫酸カルシウムと炭酸カルシウムとを組み合わせて使用する。硫酸カルシウムと炭酸カルシウムとを組み合わせて使用する場合、さらに好ましくは硫酸カルシウムは単独で供給され、炭酸カルシウムはドロマイトによって炭酸マグネシウムとともに供給される。
カルシウム塩の含有量は浄化処理剤全量に対して15〜35重量%、好ましくは20〜35重量%である。カルシウム塩を2種類以上使用する場合、それらの総含有量が上記範囲内であればよい。
ナトリウム塩は例えば、炭酸ナトリウムである。炭酸ナトリウムとして市販のソーダ灰(デンス;旭硝子(株)社製)が入手可能である。
ナトリウム塩の含有量は浄化処理剤全量に対して10〜30重量%、好ましくは15〜20重量%である。ナトリウム塩を2種類以上使用する場合、それらの総含有量が上記範囲内であればよい。
本発明の浄化処理剤はさらに、ポリマーを含有することが好ましい。ポリマーを含有させることによってフロックを大きくする。ポリマーとしては水溶性のものが使用され、水溶液中、アニオン性官能基を有するアニオン性ポリマー、カチオン性官能基を有するカチオン性ポリマー、およびイオン性官能基を有さないノニオン性ポリマーに分類され得る。
アニオン性ポリマーは処理されるべき廃水および汚泥水(以下、「廃水等」という)のpHが特に3〜14、好ましくは7〜14のときに有効である。その具体例として、例えば、ポリアクリルアミド系等が挙げられる。ポリアクリルアミド系の市販品は、アコフロックシリーズ(三井サイテック(株)社製)、センカフロックシリーズ(センカ(株)社製)、アロンシボロックシリーズ(東亜合成(株)社製)およびスミフロックシリーズ(住友精密化学(株)社製)から入手可能である。
カチオン性ポリマーは廃水等のpHが1〜7のときに特に有効である。その具体例として、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系、特殊変性ポリアクリルアミド系、ポリアミン系等が挙げられる。ポリ(メタ)アクリル酸エステル系、特殊変性ポリアクリルアミド系、およびポリアミン系の市販品は、上記したポリアクリルアミド系の市販品と同様のシリーズから入手可能である。
ノニオン性ポリマーは廃水等のpHが3〜10のときに特に有効である。その具体例として、例えば、ポリアクリルアミド系等が挙げられる。ポリアクリルアミド系の市販品は、上記したポリアクリルアミド系の市販品と同様のシリーズから入手可能である。
ポリマーの含有量は特に制限されず、通常、浄化処理剤全量の2〜5重量%が好適である。
本発明の浄化処理剤は、上記のような各成分を、混合機で混合する事により調製することができる。例えばロッキングミキサー、セメントミキサー等々の紛体混合機に所定量の上記各成分を色素玉(大、中、小ビーズ)と共に投入し、撹拌混合する。次いで、混合物における上部、中部、下部を各1kgづつ取り出し、色素玉(ビーズ)の均一分散により、各成分の均一化を確認した上で、振い等を用いて、混合物から、色素玉(ビーズ)を除去すればよい。
廃水等の浄化処理に際しては、本発明の浄化処理剤を廃水中に投入して、乱流撹拌するだけでよい。これによって、廃水中の浮遊懸濁物質(汚濁物質)を凝集させつつ、重金属を処理剤に吸着させ、結果として浮遊懸濁物質および重金属を沈殿・分離させ得る。詳しくは、撹拌開始1〜2分で汚濁物質は凝集して凝集物が析出し、重金属およびその他の有害物質はほとんどが処理剤に吸着されて該凝集物の中に取り込まれる。撹拌を止めると、生成した凝集物(凝固汚泥)は直ちに沈降分離し始める。上澄水と凝固汚泥とは完全に分離し、その界面も鮮明となる。重金属およびその他の有害物質などは沈降分離した凝固汚泥の内部に取り込まれたり、その表面に吸着、固定されている。沈降分離した凝固汚泥は、安定性が極めて高く、再度撹拌しても崩壊又は溶解する事がなく、むしろ汚泥密度は増大する傾向がある。又、経時変化もなく、安定性が高い。又、沈降分離した凝固汚泥は酸化物を主体とし、しかも粒状化しているので、極めて脱水性に優れた汚泥構成となる。
本発明の浄化処理剤の添加量は、廃水等の汚濁濃度や廃水等に含まれる水性塗料のような有機物質の種類や濃度(特に、SS濃度)にもよるが、通常、50PPM〜1000PPM、特に50PPM〜700PPM(1m当たり50gから700g)の範囲内で、目的とする廃水等の浄化処理を達成する事ができる。
上記のような本発明の浄化処理剤は各種の汚濁廃水処理法において使用できる。本発明の浄化処理剤を使用可能な汚濁廃水処理法として、例えば、物理学的処理法、物理化学的処理法、化学的処理法、および生物学的処理法がある。物理学的処理法としては、例えば、スクリーン法、沈殿法、浮上分離法、濾過法などが挙げられる。物理化学的処理法としては、例えば、凝集沈殿法、加圧浮上法、活性炭吸着法、イオン交換法、逆浸透法、電気透析法などの各種高度処理法が挙げられる。化学的処理法としては、例えば、pH調整法、中和法、酸化法、還元法などが挙げられる。生物学処理法としては、例えば、活性汚泥法、生物膜法、ラグーン法などの好気性処理法や嫌気性処理法が挙げられる。又これらの処理法を複数組み合わせて処理する場合にも、本発明の浄化処理剤を使用できる。例えば、浮遊懸濁物質の多い廃水処理には凝集沈殿法、懸濁性廃水にはイオン交換法、脱窒素を目的として嫌気・好気活性汚泥法、コロイド粒子の除去には限外濾過法、又芳香族化合物の除去には活性炭吸着法などに、本発明の浄化処理剤を適用することが特に有効である。更には、上記のような廃水処理に伴い発生する汚泥の処理にも本発明の浄化処理剤を使用する事ができる。
具体的には、物理学的処理法であるスクリーン法による処理に先立ち、本発明の処理剤を用いる事で、スクリーンの洗浄の回数を低減できる。又、活性炭の寿命が延び、取り換えの回数が低減される。又、pH調整法による廃水処理の場合には、本発明の処理剤により処理する事で、懸濁物質が除去され、かつアルミナ両性イオンの作用で、薬剤の使用量を低減できる。又、イオン交換法の場合には、本発明の処理剤は、ゼオライトのイオン交換能とアルミナ両性イオン交換能による天然無機イオン交換樹脂として作用する。更に、中和法・酸化法・還元法においても、本発明の処理剤による処理を併用すれば、より効果的である。又、脱窒素を目的とする嫌気・好気活性汚泥法においても、アンモニア窒素がアシオサン窒素になったものであれば、本発明の処理剤により窒素を沈殿汚泥と共に除去することができる。更に、芳香族化合物の除去に際しても、エマルジョン化すれば、本発明の処理剤により芳香族化合物を除去することが可能である。
上記のような、本発明に係る廃水及び汚泥水の浄化処理剤の処理対象となる廃水としては、例えば、石炭を乾留してコークスを製造する際に副生するシアンを含むコークス製造廃水、電気メッキ処理の過程で使用するシアン化合物やクロム化合物など含有するメッキ工場廃水、魚網の防汚剤に使用するトリブチル錫を含有する魚網工場廃水、触媒用水銀として使用するメチル水銀を含有する有機合成工場廃水、洗浄剤としてテトラクロロエチレン、トリクロロエチレンなどの塩素化合物を使用する半導体工場廃水、クリーニング工場からの廃水など、重金属およびその他の有害物質を含む各種廃水が挙げられる。又、本発明の浄化処理剤は、なめし剤に使用するクロムなどの有機物質を含む有機性のなめし革製造工場からの廃水、繊維工場からの有機性または無機性の廃水などの処理にも用いることができる。さらには、塗装工場から排出される、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などの合成樹脂、界面活性剤、アセトン、メチルエチルケントなどのケント類、キシロール、トルエン、プロピレングリコールなどの多価アルコール類、エステル系化合物、アミル系化合物などを含有する廃水の処理にも用いる事ができる。
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、木発明は実施例に限定されるものではない。
(浄化処理剤A1の製造)
以下の原料(300kg)および直径1mmの塩化ビニル樹脂製ビーズ(500ml)をロッキングミキサーに投入し、2時間かけて均一に混合した。篩を用いて混合物からビーズを除去し、浄化処理剤A1を得た。
浄化処理剤A1の原料
ドロマイト(PT.PRIMAPACKIMIA REJEKI社製) 4.5重量部
ゼオライト(PT.PRIMAPACKIMIA REJEKI社製)18.7重量部
硫酸アルミニウム 21.0重量部
硫酸アルミニウムカリウム 14.5重量部
硫酸カルシウム 16.7重量部
炭酸ナトリウム 18.8重量部
リンゴ酸 1.0重量部
ポリマー(アコフロックA95、三井サイテック(株)社製) 2.0重量部
(浄化処理剤A2の製造)
リンゴ酸を使用しなかったこと以外、浄化処理剤A1の製造方法と同様にして、浄化処理剤A2を得た。
【実施例1】
水性塗料が含有された塗装廃水500mlをビーカーに入れ、これに浄化処理剤A1を1000ppm添加し、撹拌棒で1分間乱流撹拌した。その後、ビーカーを3分間静置すると、汚濁物質が沈降・分離し、上澄液は透明になった。この上澄液を1μmメッシュの濾布(分析用)で濾過して沈降した汚泥を分離した。分離した上澄液と原水について水質を測定した。結果を以下の表に示す。

【実施例2】
塗装廃水の代わりに工場廃水を用いたこと以外、実施例1と同様にして、廃水の処理および分離水の水質測定を行った。結果を以下の表に示す。
(比較例1)
塗装廃水の代わりに工場廃水を用いたこと、および浄化処理剤A2を用いたこと以外、実施例1と同様にして、廃水の処理および分離水の水質測定を行った。結果を以下の表に示す。

【実施例3】
塗装廃水の代わりに染料が含有された工場廃水を用いたこと以外、実施例1と同様にして、廃水の処理および分離水の水質測定を行った。結果を以下の表に示す。

【実施例4】
塗装廃水の代わりに土木工事による廃水を用いたこと以外、実施例1と同様にして、廃水の処理および分離水の水質測定を行った。結果を以下の表に示す。

【実施例5】
塗装廃水の代わりに工場廃水を用いたこと以外、実施例1と同様にして、廃水の処理および分離水の水質測定を行った。結果を以下の表に示す。

【実施例6】
工場廃水500mlをビーカーに入れ、これに浄化処理剤B1を50ppm添加し、撹拌棒で1分間乱流撹拌した。その後、ビーカーを3分間静置すると、汚濁物質が沈降・分離し、上澄液は透明になった。この上澄液を1μmメッシュの濾布(分析用)で濾過して沈降した汚泥を分離した。分離した上澄液と原水について水質を測定した。結果を以下の表に示す。

【実施例7】
魚切ダムの水500mlをビーカーに入れ、これに浄化処理剤B1を100ppm添加し、撹拌棒で1分間乱流撹拌した。その後、ビーカーを3分間静置すると、汚濁物質が沈降・分離し、上澄液は透明になった。この上澄液を1μmメッシュの濾布(分析用)で濾過して沈降した汚泥を分離した。分離した上澄液と原水について水質を測定した。結果を以下の表に示す。

【実施例8】
実施例1で得られた凝集沈殿物を廃棄するに際し、後処理としての水切り処理は不要であった。
また実施例1で得られた凝集沈殿物を水500mlに混合し、混合物を1分間撹拌した後、濾過によって回収した。回収された凝集沈殿物の重量は水との混合前の重量とほとんど変わらなかった。
また実施例2で得られた凝集沈殿物を純水500mlに混合し、混合物を1分間撹拌した後、濾過した。濾液中の溶出クロム、亜鉛の含有量はいずれも検出限界値未満であった。
(測定方法)
測定方法を以下の表に示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機酸、結晶性アルミノケイ酸塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、およびナトリウム塩を含んでなる廃水および汚泥水の浄化処理剤。
【請求項2】
有機酸が分子量1000以下の天然有機酸である請求項1に記載の廃水および汚泥水の浄化処理剤。
【請求項3】
有機酸がリンゴ酸である請求項1に記載の廃水および汚泥水の浄化処理剤。
【請求項4】
結晶性アルミノケイ酸塩がゼオライトである請求項1に記載の廃水および汚泥水の浄化処理剤。
【請求項5】
アルミニウム塩が硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、および塩化アルミニウムからなる群から選択される1種類またはそれ以上の化合物である請求項1に記載の廃水および汚泥水の浄化処理剤。
【請求項6】
マグネシウム塩が炭酸マグネシウムであって、ドロマイトによって供給される請求項1に記載の廃水および汚泥水の浄化処理剤。
【請求項7】
カルシウム塩が硫酸カルシウムおよび/または炭酸カルシウムである請求項1に記載の廃水および汚泥水の浄化処理剤。
【請求項8】
ナトリウム塩が炭酸ナトリウムである請求項1に記載の廃水および汚泥水の浄化処理剤。

【国際公開番号】WO2004/045740
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【発行日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−553217(P2004−553217)
【国際出願番号】PCT/JP2003/014807
【国際出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【出願人】(303020129)株式会社ワイエスデー (3)
【Fターム(参考)】