説明

廃水の凝集処理方法

【課題】廃水処理において無機凝集剤の使用量を削減し良好な水質を得ることが出来る廃水処理方法を提供する。
【解決手段】廃水に無機凝集剤(A)及び水溶性弱カチオン重合体(B)を同時に又は任意の順序で添加した後、次いで、高分子凝集剤(C)を添加して凝集フロックを生成させ、固液分離する廃水の凝集処理方法であって、水溶性弱カチオン重合体(B)が、カチオン性モノマー単位としてジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート塩化メチル4級塩、ノニオン性モノマー単位としてアクリルアミドを必須成分とし、これらの合計含有量が90重量%以上であり且つカチオン性モノマー単位の含有量が5〜30重量%であり、しかも、固有粘度が1〜18dl/gの重合体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃水の凝集処理方法に関し、詳しくは、無機凝集剤、水溶性弱カチオン重合体及び高分子凝集剤を使用して各種廃水を浄化する廃水の凝集処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車製造工場、製鐵所、紙パルプ製造業、クリーニング、砂利産業、その他の化学工場等で発生する廃水の凝集処理としては、一般的に、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等アルミ系ないし鉄系の無機凝集剤を添加した後に更に高分子凝集剤を添加して凝集フロックを生成させ、次いで、凝集沈殿又は凝集浮上法で処理する方法が採用されている。そして、浄化された処理水は、河川や下水に放流されるのが一般的である。
【0003】
ところで、放流水質の規制強化に伴い、処理装置の改良や廃水処理方法の改善により、水質の向上が図られており、無機凝集剤添加量の増加が不可欠となっている。ところが、無機凝集剤の使用量を増加させると、薬品コストの増加、発生汚泥量の増加並びに発生汚泥処理コストが増大することになる。また、無機凝集剤の力だけでは、廃水中の低分子COD成分の充分な除去が難しいため、放流される処理水の水質に不安を残す。そして、この不安を解消すべく後段に高度処理を行う場合では、当該高度処理工程に対する負荷が高くなってしまう。
【0004】
上記のような状況下で処理水の水質を維持・向上しつつ、無機凝集剤使用量の低減を目的にカチオン性凝集剤の一種である有機凝結剤の適用が進められている。有機凝結剤は、分子内に多数のカチオン基を有する高分子電解質であるので、無機凝集剤と同様に被処理水中の懸濁物質の荷電を中和する目的で使用される。しかも、有機凝結剤は、無機凝集剤よりもカチオンの電荷密度が高いために、その凝結作用は無機凝集剤よりはるかに大きいという特徴を持っている。また、有機凝結剤は懸濁物質を中和するだけでなく、負に帯電しているリグニンスルホン酸、フミン酸等の溶解物質と反応して不溶性塩を形成する作用があり色度及びCODの減少効果も期待される。
【0005】
現在使用されている有機凝結剤の代表的なものとしては、アルキルアミン・エピクロルヒドリン縮合物、アルキレンジクロライドとポリアルキレンポリアミンの縮合物、ジシアンジアミド・ホルマリン縮合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体等低分子量、強カチオン密度の水溶性ポリマーが挙げられる。更に、新規な有機凝結剤として色々な重合体及び廃水処理方法が提案されている。
【0006】
例えば、固有粘度0.002〜0.5dl/gのアルキルアミン−エピクロロヒドリン縮合物、固有粘度0.01〜0.5dl/gのポリジメチルジアリルアンモニウムハライド及び固有粘度0.05〜1.0dl/gのポリジメチルアミノアルキル(メタ)アクリレートの内、何れかの荷電調整剤を添加した後に高分子凝集剤を使用して凝集処理する脱墨排水の処理方法(特許文献1)、無機凝集剤とポリメタアクリル酸エステル系のカチオン高分子凝集剤及びアニオン系高分子凝集剤を使用する処理方法(特許文献2)が提案されている。
【0007】
しかしながら、上記の従来技術は、カチオン密度の高い水溶性ポリマーを使用する点で共通しており、効果を発揮することもあるが、種々の廃水に対し、無機凝集剤の使用量を削減し、良好な処理水質を安定的に得るには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−118660号公報
【特許文献2】特開2004−249182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、廃水の凝集処理において使用される有機凝集剤に関しては、(1)無機凝集剤の使用量をより削減できること、(2)良好な凝集フロックを形成し、固液分離性に優れること、(3)良好な処理水質(COD、油分、SS等)が得られること、(4)実装置における適正な反応条件の設定が容易で、安定していること、(5)処理コストがより低く出来ること等が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、廃水の凝集分離処理において、無機凝集剤の使用量を削減し、処理コストを削減すると共に、良好な水質を得ることが出来る廃水処理技術を提供することにある。
【0011】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく凝結機構について鋭意検討した結果、次のような意外な知見を得た。すなわち、従来技術における有機凝結剤の作用はその強カチオン性による荷電中和作用を主体にしたものであった。ところが、特定の弱カチオン性のポリマーは、荷電中和の他に吸着作用を持つため、無機凝集剤と併用することによる相乗効果により優れた凝結作用を有する。従って、水溶性弱カチオン重合体の使用により、無機凝集剤の使用量を大幅に削減できると共に、良好な処理水質(COD、濁度、SS等)が安定して得られる。
【0012】
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は、廃水に無機凝集剤(A)及び水溶性弱カチオン重合体(B)を同時に又は任意の順序で添加した後、次いで、高分子凝集剤(C)を添加して凝集フロックを生成させ、固液分離する廃水の凝集処理方法であって、水溶性弱カチオン重合体(B)が、カチオン性モノマー単位としてジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート塩化メチル4級塩、ノニオン性モノマー単位としてアクリルアミドを必須成分とし、これらの合計含有量が90重量%以上であり且つカチオン性モノマー単位の含有量が5〜30重量%であり、しかも、固有粘度が1〜18dl/gの重合体であることを特徴とする廃水の凝集処理方法に存する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の処理方法によれば、無機凝集剤の使用量を削減し、良好な凝集フロックを形成して固液分離性に優れ、良好な水質の処理水を得ることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明で対象となる廃水としては、製紙工業、染色工業、自動車工業、金属加工工業、製鉄工業、食品工業、砂利採取、半導体及びクリーニング業より発生する廃水等が例示される。中でも製紙工業より発生する排水の凝集処理に特に効果的である。
【0016】
本発明で使用する無機凝集剤(A)としては、一般的に市販されてアルミ系ないし鉄系の無機凝集剤が挙げられる。具体的には、アルミ系無機凝集剤としては、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化アルミが例示できる。また、鉄系無機凝集剤としては、塩化第二鉄、ポリ硫酸鉄等が例示できる。
【0017】
本発明で使用する水溶性弱カチオン重合体(B)は、カチオン性モノマー単位としてジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート塩化メチル4級塩、ノニオン性モノマー単位としてアクリルアミドを必須成分とし、これらの合計含有量が90重量%以上であり且つカチオン性モノマー単位の含有量が5〜30重量%であり、しかも、固有粘度が1〜18dl/gの重合体である。
【0018】
上記モノマー単位を必須成分として含めば、他のカチオン性モノマー単位、例えば、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類の中和塩ないし四級塩、或いは他のノニオン性モノマー単位、例えば、メタアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等を1種または2種以上を更に使用することも出来る。
【0019】
本発明において前記のカチオン性モノマー単位の含有量は重要であり、この含有量が5重量%未満の場合は無機凝集剤使用量の削減効果が不十分であり、30重量%超過の場合は凝集力が弱くなり処理水の水質が低下する。
【0020】
水溶性弱カチオン重合体(B)の重合方法は、沈殿重合、塊状重合、分散重合、水溶液重合等が挙げられる。一例として水溶液重合法による製造方法について以下に述べる。
【0021】
先ず、所定量のジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート塩化メチル4級塩と、アクリルアミドと、イオン交換水とを計量し、所定の温度に調節した後、密閉可能な断熱容器に仕込む。次いで、窒素ガスで溶存酸素を置換し、重合開始剤、連載移動剤等の薬品を添加する。重合開始剤としては、公知の一般的なアゾ開始剤、レドックス系開始剤等を使用することが出来る。
【0022】
重合の進行に伴い重合温度が上昇するが、温度がピークに達した後、1時間熟成し、反応容器より重合ゲルを取り出す。ミートチョッパー等により重合ゲルを細断し、送風乾燥機で80℃の温度で乾燥する。乾燥ポリマーを粉砕機で0.5〜1mm程度の粒径になるよう粉砕し水溶性弱カチオン系重合体を得る。
【0023】
水溶性弱カチオン重合体(B)の固有粘度は、1〜18dl/gであるが、好ましくは3〜15dl/g、更に好ましくは5.0〜12.0dl/gである。固有粘度が1.0dl/g未満の場合は、凝集力が弱くなり処理水の水質が低下する。また、18.0dl/g超過の場合は、反応性が悪くなり、凝集フロックは粗大のなるものの、凝集フロックの沈降性が悪化し、処理水の水質も低下する。上記の固有粘度は、1N硝酸ナトリウム水溶液中、温度30℃で測定した値である。
【0024】
本発明における水溶性弱カチオン重合体(B)には、粘性の低下や反応性の向上のために固体酸を添加することが出来る。固体酸としては、スルファミン酸、酸性亜硫酸ソーダ等が一般的に使用される。
【0025】
本発明で使用する高分子凝集剤(C)は、特に制限されず、無機凝集剤(A)及び水溶性弱カチオン重合体(B)を添加した廃水に対し、最適な種類を選択すればよい。例えばアニオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤などを使用することが出来る。
【0026】
アニオン性高分子凝集剤としては、例えば、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミドの部分加水分解物、アクリルアミドとアクリル酸ソーダの共重合物、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸の重合物またはアクリルアミド等との共重合物等が挙げられる。ノニオン性高分子凝集剤としては、例えば、アクリルアミドの重合物または他のノニオン性モノマーとの共重合物等が挙げられる。高分子凝集剤(C)の固有粘度は、特に制限されないが、通常15dl/g以上である。
【0027】
本発明においては、廃水に無機凝集剤(A)及び水溶性弱カチオン重合体(B)を同時に又は任意の順序で添加した後、次いで、高分子凝集剤(C)を添加する。具体的には、2槽設置し、各薬剤をそれぞれ別々の槽に添加して機械攪拌する方法、同一の槽に添加位置をずらして添加して機械攪拌する方法、片方の薬剤を廃水ラインに添加し、混合槽に導いて他方の薬剤を添加して機械攪拌する方法、各薬剤を廃水ラインに添加した後更に位置をずらして添加してライン混合する方法などが考えられる。これらの中では、2槽設置しそれぞれ別々の槽に添加して機械攪拌する方法が好ましい。また、ライン混合の場合は十分な乱流状態であることが必要であり、不十分な場合にはラインミキサー等の設置も有効である。
【0028】
各薬剤の添加量は、廃水の種類、SS、濁度等の水質により変動する。無機凝集剤(A)の添加量は、通常50〜600ppm、水溶性弱カチオン重合体(B)の添加量は、通常0.5〜10mg/lであり、高分子凝集剤(C)の添加量は、0.1〜10ppmである。また、無機凝集剤(A)及び水溶性弱カチオン重合体(B)を同時に又は任意の順序で添加した後、次いで、高分子凝集剤(C)を添加する際の間隔(攪拌混合時間)は例えば30秒〜3分程度である。凝集生成したフロックの固液分離は、常法に従って行うことが出来る。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例および比較例によって更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の諸例において採用した各測定方法は次の通りである。
【0030】
(1)高分子凝集剤の固有粘度:
固有粘度は、1N硝酸ナトリウム水溶液中、温度30℃の条件で、ウベローデ希釈型毛細管粘度計を使用し、定法に基づき測定した(高分子学会編、「新版高分子辞典」、朝倉書店,p.107)。
【0031】
(2)フロック径:
凝集フロックのフロック径は、目視により全体の平均を測定した。
【0032】
(3)沈降時間:
高分子凝集剤の所定量を添加し、所定時間攪拌混合した後に攪拌を停止する。そして、生成した凝集フロックが500mlのビーカーの底に沈降する迄の時間を測定した。
【0033】
(4)上澄液濁度(SS):
濁度は、JIS K 0101に基づき測定した。
【0034】
(5)上澄液COD:
CODは、JIS K 0101に基づき測定した。
【0035】
なお、SS及びCODは、フロック粒径、沈降時間を測定した後、2分間静置し、表面から3cmの深さより処理水を採取して測定した。
【0036】
実施例1〜10:
廃水としてN製紙工場の総合廃水を採取して使用した。廃水の性状はpH=7.5、SS=320mg/l、COD=390mg/lであった。
【0037】
先ず、500mlのビーカーに廃水を500ml採取し、無機凝集剤としてPACを添加し、150rpmの回転数で1分間攪拌、混合した。無機凝集剤は水で10倍に希釈して使用した。
【0038】
次いで、表1に示す水溶性弱カチオン重合体を表2に示す条件で添加し、150rpmの回転数で1分間攪拌、混合した。水溶性弱カチオン重合体は0.1〜0.3重量%の水溶液として使用した。
【0039】
次いで、表1に示す高分子凝集剤を表2に示す条件で添加し、100rpmの回転数で2分間攪拌し、凝集フロックを形成させた。高分子凝集剤は0.1〜0.3重量%の水溶液として使用した。凝集性能試験の結果を表2に示す。
【0040】
比較例1〜7:
表1に示す水溶性重合体を使用し又は使用せずに表2に示す条件で薬物を添加し、上記と同様の試験条件で凝集性能試験を実施した。結果を表2に示す。
【0041】
実施例11〜14:
廃水としてF製紙会社の総合廃水を採取して使用した。廃水の性状はpH=6.8、SS=256mg/l、濁度=450NTU、COD=96mg/lであった。
【0042】
先ず、500mlのビーカーに廃水を500ml採取し、表1に示す水溶性弱カチオン重合体を表3に示す条件で添加し、150rpmの回転数で1分間攪拌、混合した。水溶性弱カチオン重合体は0.1〜0.3重量%の水溶液として使用した。
【0043】
次いで、無機凝集剤としてバンドを添加し、150rpmの回転数で1分間攪拌、混合した。無機凝集剤は水で10倍に希釈して使用した。
【0044】
次いで、表1に示す高分子凝集剤を表3に示す条件で添加し、100rpmの回転数で2分間攪拌し、凝集フロックを形成させた。高分子凝集剤は0.1〜0.3重量%の水溶液として使用した。凝集性能試験の結果を表3に示す。
【0045】
比較例8〜11;
表1に示す水溶性重合体を使用し又は使用せずに表3に示す条件で薬物を添加し、上記と同様の試験条件で凝集性能試験を実施した。結果を表3に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【0049】
表2から次のことが分かる。
【0050】
実施例1〜は、良好な凝集性能を示し、処理水の濁度が良好である。特に、水溶性弱カチオン重合体(B)の固有粘度が好ましい範囲である時実施例1〜8は、実施例9(固有粘度が低い)及び実施例10(固有粘度が高い)に比し、凝集フロックの沈降性および処理水の濁度の点でも優れる。
【0051】
比較例1は、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート塩化メチル4級塩(DME)の組成が本願発明で規定する範囲より低い共重合体(B1)を使用した例であるが、フロックが小さく、沈降性、処理水の濁度ともに劣る。比較例2は、DMEの組成が本願発明で規定する範囲より高い共重合体(B2)を使用した例であるが、比較例1と同様に、フロックが小さく、沈降性が劣り、処理水の濁度が劣る。比較例3は、水溶性弱カチオン重合体としてジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物を使用した例であるが、実施例に比し、フロックが小さく、沈降性が劣り、処理水の濁度が大幅に劣る。比較例4は、無機凝集剤及び水溶性弱カチオン重合体を添加した後、高分子凝集剤は添加しなかった例であるが、フロックが非常に小さく、沈降性、処理水の濁度とも非常に劣る。比較例5及び6は、水溶性弱カチオン重合体を使用せず、無機凝集剤と高分子凝集剤を使用した例であるが、PAC50mg/lではPACの添加量不足で凝集性が悪く、150mg/lの添加量で実施例と同程度に凝集したが、処理水濁度が実施例に比較して劣る。比較例7は、無機凝集剤を使用せず、水溶性弱カチオン重合体と高分子凝集剤を使用した例であるが、フロックが小さく、沈降速度及び処理水の濁度とも実施例より劣る。
【0052】
表3から次のことが分かる。
【0053】
実施例11〜14は、良好な凝集性能を示し、処理水の濁度およびCODが良好である。
【0054】
比較例8は、DMEの組成が本願発明で規定する範囲より低い共重合体(B1)を使用した例であるが、フロック粒径と沈降性は若干劣る程度であるものの、処理水の濁度とCODが大幅に劣る。比較例9は、DMEの組成が本願発明で規定する範囲より高い共重合体(B2)を使用した例であるが、比較例8と同様に、フロック粒径と沈降性は同程度であるものの、処理水の濁度とCODが劣る。比較例10は、水溶性カチオン重合体としてジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物を使用した例であるが、フロックが小さく、沈降性が劣り、処理水の濁度とCODも劣る。比較例11は、水溶性弱カチオン重合体を使用せず、無機凝集剤と高分子凝集剤を使用した例であるが、無機凝集剤の使用量を実施例11〜14の3倍にすることにより、フロックの大きさは実施例と同程度となるものの、沈降性、処理水の濁度およびCODとも実施例より劣る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃水に無機凝集剤(A)及び水溶性弱カチオン重合体(B)を同時に又は任意の順序で添加した後、次いで、高分子凝集剤(C)を添加して凝集フロックを生成させ、固液分離する廃水の凝集処理方法であって、水溶性弱カチオン重合体(B)が、カチオン性モノマー単位としてジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート塩化メチル4級塩、ノニオン性モノマー単位としてアクリルアミドを必須成分とし、これらの合計含有量が90重量%以上であり且つカチオン性モノマー単位の含有量が5〜30重量%であり、しかも、固有粘度が1〜18dl/gの重合体であることを特徴とする廃水の凝集処理方法。
【請求項2】
水溶性弱カチオン重合体(B)の固有粘度が3〜15dl/gである請求項1記載の廃水の凝集処理方法。
【請求項3】
廃水が製紙廃水である請求項1又は2に記載の廃水の凝集処理方法。

【公開番号】特開2011−139997(P2011−139997A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2341(P2010−2341)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(301057923)ダイヤニトリックス株式会社 (127)
【Fターム(参考)】