説明

延伸ブロー成形方法およびその装置

【課題】 簡便な構造で大掛かりな改造を必要とせずに既存の設備に対しても適用することができ、薄肉化されたボトルや多層ボトルの芯ずれに有効な延伸ブロー成形方法およびその装置を提供すること。
【解決手段】 有底筒状のプリフォーム20を縦方向に延伸する延伸ロッド21による縦延伸位置の途中に突出し延伸ロッド21とで挟圧するとともに、縦延伸方向と逆方向にばね14で付勢される押えロッド12をプリフォームの成形用底金型11に設ける。これにより、縦延伸の途中に待機させたばね14などで付勢した押えロッド12と延伸ロッド21とでプリフォーム20の底中心部を挟んで縦延伸することで、押えロッド12の動作を制御する必要もなく、簡単な構造で芯ずれを防止することができ、既存設備へも成形用底金型11に設けるだけで容易に適用することができる。また、押えロッド12を縦延伸の途中に待機させることで、成形用底金型11からの突出量Sも少なく、延伸ブロー成形完了後の成形品の取り出しの邪魔になることもない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、延伸ブロー成形方法およびその装置に関し、有底筒状のプリフォームの延伸の際に芯ずれを防止して成形できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来からボトル状容器の一般的な製造は、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂等を用いて有底筒状のプリフォームを射出成形し、得られたプリフォームを加熱昇温後、延伸ロッドで縦方向に延伸し、高圧エアーを吹き込んで周方向に延伸する二軸延伸ブロー成形法で行われている。
【0003】
このような飲料用のボトル状容器などの延伸ブロー成形では、プリフォームを延伸ロッドで延伸する際に芯ずれを生じることがあり、このため延伸状態が不均一になり、肉厚分布にむらが発生する。
【0004】
そこで、延伸ロッドによる延伸の際の芯ずれを防止する方法が種々提案されており、例えば特許文献1、2には、延伸ロッドと対向する位置に受けロッドを設けてプリフォームの底部を延伸ロッドと受けロッドで挟んだ状態で、受けロッドをスライド機構を介して後退を制御しながら延伸ロッドによる延伸ブロー成形を行う方法が提案されている。
【0005】
また、特許文献3には、底金型の中央に制御コアを設け、プリフォームの底部まで上昇させ、延伸ロッドによる延伸を途中まで行い、その後は制御コアで支えながらブローエアのみにより成形する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平05−024099号公報
【特許文献2】特開平10−071641号公報
【特許文献3】特開2002−067131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、いずれのブロー成形法でもプリフォームの底部を支持する受けロッドを成形用底金型に設け、延伸ロッドによる縦延伸と同期させて移動するよう制御することで、延伸に伴う芯ずれを防止するようにしており、金型の構造が複雑になるとともに、制御のための大掛かりの設備が必要となるという問題がある。
【0008】
また、既存の延伸ブロー成形装置に適用しようとすると、大掛かりな改造が必要となるとともに、相当のコストがかかるという問題もある。
【0009】
この発明は上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたもので、簡便な構造で大掛かりな改造を必要とせずに既存の設備に対しても適用することができ、薄肉化されたボトルや多層ボトルの芯ずれに有効な延伸ブロー成形方法およびその装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためこの発明の請求項1記載の延伸ブロー成形方法は、有底筒状のプリフォームを延伸ロッドで縦延伸し、その途中に待機させた縦延伸方向と逆方向に付勢した押えロッドと当該延伸ロッドとで前記プリフォームの底中心部を挟持して縦延伸するようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
また、この発明の請求項2記載の延伸ブロー成形方法は、請求項1記載の構成に加え、前記押えロッドを成形用底金型から突出させるとともに、前記縦延伸の途中の前記押えロッドの待機位置を、前記成形用底金型の後退ストロークより短い突出位置とするようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
さらに、この発明の請求項3記載の延伸ブロー成形方法は、請求項1または2記載の構成に加え、前記プリフォームを中間部で層構成が異なるとともに、当該層構成が異なる部分の縦延伸が開始される近傍の位置から当該プリフォームの前記押えロッドによる挟圧を開始するようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
また、この発明の請求項4記載の延伸ブロー成形装置は、有底筒状のプリフォームを縦方向に延伸する延伸ロッドによる縦延伸位置の途中に突出し前記延伸ロッドとで挟圧するとともに、縦延伸方向と逆方向に付勢される押えロッドを前記プリフォームの成形用底金型に設けたことを特徴とするものである。
【0014】
さらに、この発明の請求項5記載の延伸ブロー成形装置は、請求項4記載の構成に加え、前記押えロッドを、外部から制御せずにスプリングまたは加圧流体により常時付勢する構成としたことを特徴とするものである。
【0015】
また、この発明の請求項6記載の延伸ブロー成形装置は、請求項4または5記載の構成に加え、前記押えロッドの縦延伸の途中位置を、成形用底金型の後退ストロークより短い突出量の位置として構成したことを特徴とするものである。
【0016】
さらに、この発明の請求項7記載の延伸ブロー成形装置は、請求項4〜6のいずれかに記載の構成に加え、前記延伸ロッドと前記押えロッドとの挟圧による成形完了後の前記押えロッドの付勢による復帰を遅延させる遅延機構を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明の請求項1記載の延伸ブロー成形方法によれば、有底筒状のプリフォームを延伸ロッドで縦延伸し、その途中に待機させた縦延伸方向と逆方向に付勢した押えロッドと当該延伸ロッドとで前記プリフォームの底中心部を挟持して縦延伸するようにしたので、縦延伸の途中から待機状態のばねなどで付勢した押えロッドでプリフォームの底中心部を延伸ロッドで挟んで縦延伸することで、押えロッドの動作を制御する必要もなく、簡単な構造で芯ずれを防止することができ、全長を短くできるので、既存設備への適用も容易に行うことができる。
【0018】
また、この発明の請求項2記載の延伸ブロー成形方法によれば、前記押えロッドを成形用底金型から突出させるとともに、前記縦延伸の途中の前記押えロッドの待機位置を、前記成形用底金型の後退ストロークより短い突出位置とするようにしたので、成形用底金型を後退させて成形品を取り出す場合にも押えロッドが全く邪魔にならず、円滑に取り出すことができる。
【0019】
さらに、この発明の請求項3記載の延伸ブロー成形方法によれば、前記プリフォームを中間部で層構成が異なるとともに、当該層構成が異なる部分の縦延伸が開始される近傍の位置から当該プリフォームの前記押えロッドによる挟圧を開始するようにしたので、中間部で層構成が異なるプリフォームを縦延伸する場合でも芯ずれが生じ易い層構成の異なる部分の縦延伸が始まる近傍から押えロッドで挟圧を開始することで、芯ずれを有効に防止した成形品を得ることができる。
【0020】
また、この発明の請求項4記載の延伸ブロー成形装置によれば、有底筒状のプリフォームを縦方向に延伸する延伸ロッドによる縦延伸位置の途中に突出し前記延伸ロッドとで挟圧するとともに、縦延伸方向と逆方向に付勢される押えロッドを前記プリフォームの成形用底金型に設けたので、縦延伸の途中に待機させたばねなどで付勢した押えロッドと延伸ロッドとでプリフォームの底中心部を挟んで縦延伸することで、押えロッドの動作を制御する必要もなく、簡単な構造で芯ずれを防止することができ、全長を短くできるので、既存設備へも成形用底金型に設けるだけで容易に適用することができる。
【0021】
さらに、この発明の請求項5記載の延伸ブロー成形装置によれば、前記押えロッドを、外部から制御せずにスプリングまたは加圧流体により常時付勢する構成としたので、芯ずれを防止するのに必要な付勢力を簡単に確保することができ、構造が簡素化でき、既存設備に簡単に適用できる。
【0022】
また、この発明の請求項6記載の延伸ブロー成形装置によれば、前記押えロッドの縦延伸の途中位置を、成形用底金型の後退ストロークより短い突出量の位置として構成したので、成形品の取り出しの際、成形用底金型を後退させるだけで、押えロッドと成形品の干渉が防止でき、簡単に取り出すことができる。
【0023】
さらに、この発明の請求項7記載の延伸ブロー成形装置によれば、前記延伸ロッドと前記押えロッドとの挟圧による成形完了後の前記押えロッドの付勢による復帰を遅延させる遅延機構を設けたので、成形完了後、押えロッドが前方に付勢されても成形品に大きな力が加わることがなく、成形品に損傷を与えることもなく、容易に成形品を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の延伸ブロー成形装置の一実施の形態にかかる概略断面図および付勢手段部分の説明図である。
【図2】この発明の延伸ブロー成形装置の他の一実施の形態にかかる付勢手段部分の説明図である。
【図3】この発明の延伸ブロー成形装置のさらに他の一実施の形態にかかり、(a),(b)はそれぞれ加圧エア式の付勢手段の説明図である。
【図4】この発明の延伸ブロー成形方法およびその装置での成形対象の一例の説明図である。
【図5】この発明の延伸ブロー成形方法の一実施の形態にかかる前半の工程説明図である。
【図6】この発明の延伸ブロー成形方法の一実施の形態にかかる後半の工程説明図である。
【図7】この発明の延伸ブロー成形方法およびその装置の一実施の形態にかかり、押えロッドによる延伸ロッドのストロークに対する有効範囲の実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明を実施するための形態について図面に基づき詳細に説明する。
まず、この発明の延伸ブロー成形装置の一実施の形態について図1により説明する。
この延伸ブロー成形装置10では、通常の2軸延伸ブロー成形装置としての機構に加え、成形用底金型11に押えロッド12が設けられ、成形用底金型11の底部から金型内にスライド可能に突き出し、縦延伸の途中位置に押えロッド12の先端が位置するようにしてある。この押えロッド12は、常時付勢手段13を備えて外部から制御することなく金型内で縦延伸方向と逆方向(図示例では、上方)に付勢され、例えば、ばね14で付勢してある。
【0026】
この延伸ブロー成形装置10では、成形用底金型11の下方に上下の端板15a、15bで塞がれた円筒状のホルダー15が取り付けられ、押えロッド12がホルダー15に装着され、ホルダー15にガイドされてスライド可能に支持されている。そして、ホルダー15の下端板15bと押えロッド12の基端側段差部12aとの間にばね14が装着されて常時付勢されるとともに、押えロッド12の先端側段差部12bを上端板15aに当てることで突出位置が規制される。
【0027】
このような押えロッド12とばね14による常時付勢手段13では、押えロッド12が押し込まれると、そのストロークに応じて図1(b)に示すように、付勢力が増大することになるが、例えば図2に示すように、押えロッド12の基端側段差部12aに加えて2段目12cを設けてばね14に加えてばね14aをストロークの途中から付勢力が押えロッド12に加わるようにすることで、ストロークに応じた常時付勢力を2段階に変更することができる。
【0028】
なお、押えロッド12の付勢手段13としては、図3(a)および同図(b)にそれぞれ示すように、エアシリンダ16を設けて押えロッドにピストンロッド16aを連結 (あるいは、ピストンロッド16aを押えロッド12と兼用) し、基端側シリンダ室16bにエア供給手段17としてエアタンク17aと配管17bおよび安全弁17cを接続して密閉状態としてある。そして、エアタンク17aにはレギュレータ17dを介して加圧エアを供給できるようになっており、通常は、エア供給手段17を密閉された状態とすることで、外部からの制御を行うことなく、ピストンロッド16aを付勢する。
【0029】
延伸ロッドと押えロッドによりプリフォーム底部を挟圧しながら縦延伸すると、基端側シリンダ室が圧縮され、初期の加圧状態から所定圧まで上昇すると安全弁が開き、以降、縦延伸が終了して安全弁が閉じるまで所定圧で押えロッドを付勢する。
【0030】
なお、ばねや加圧エアによる押えロッドに加える付勢力は、プリフォームの底部の延伸ブロー成形に支障のないできるだけ大きな挟圧力を付与することが有効であり、例えば押えロッドを10mm押込んだ位置でのバネの反発力を15〜45Nの範囲とすることで、芯ずれを有効に防止することができる。
【0031】
また、このエア供給手段16には、延伸ブロー成形完了後、成形用底金型11を型開きのため後退させると、ピストンロッド16aがエアによる常時付勢力で突出することになることから、突出を遅らせる遅延機構18として先端側シリンダ室16cに絞り弁18aを設けてマフラー18bを介して排気できるようにしたり、先端側シリンダ室16cにも基端側シリンダ室16bと同一圧力のエアを供給する配管18cを設けることで、ピストンロッド16aの断面積分の付勢力のみが発生するようにしてピストンロッド16aの突出を遅らせるようにしても良い。
【0032】
これらの遅延機構18を設けることで、成形品の取り出しの際に押えロッド12が邪魔にならず取り出すことができる。また、型開きの途中で成形品にかかる外力が低減されて傷付きを防止できる。
【0033】
このような延伸ブロー成形装置10では、押えロッド12を延伸ブロー成形の縦延伸の開始から延伸ロッドと押えロッド12でプリフォームの底中心部を挟むようにして縦延伸を行うのではなく、図5、6にその成形工程を示すように、押えロッド12を縦延伸の途中に待機させた状態として、その後、成形用胴部金型19にセットしたプリフォーム20に挿入した延伸ロッド21と押えロッド12によってプリフォーム20の底中心部を挟むようにして縦延伸が行われる。
【0034】
この押えロッド12のストロークS、すなわち押えロッド12の成形用底金型11からの突出量は、成形用底金型11の成形品22の取り出しのための後退ストロークS1より小さくすることが好ましく(図6(c)参照)、こうすることで成形品22を取り出す場合に押えロッド12の先端が成形品22と干渉しないようにすることができる。
【0035】
このような押えロッドを設ける場合の押えロッド有効範囲について、次のような試験を行い、その結果を図7に無次元化して示した。この試験では、図4に示した多層プリフォームを用いて、内容量500mLの炭酸飲料用のボトルを成形するため、従来の延伸ブロー成形装置の底金型に、本願の押えロッドを適用し、押えロッドの有効範囲(押えロッドのストロークS/延伸ロッドのストロークS2)を0%、27%、32%、36%。45%にそれぞれ変え、各条件につき30本ずつ成形し、その結果、延伸ロッドの痕跡が、ボトルの底中心から完全に外れたものを不良と判定した。
【0036】
なお、押えロッドのストロークSは、押えロッド12の突出量に相当し、延伸ロッド21のストロークS2は、プリフォーム20の底部内側に接触した位置から縦延伸を完了する位置(成形用底金型の表面)までの距離に相当する。
【0037】
この試験から、押えロッド有効範囲S/S2を20〜60%の範囲にすることで、プリフォーム20を縦延伸する場合の芯ずれを防止する効果があり、特に、押えロッド有効範囲S/S2を27%以上とすることで、成形品の不良率を20%未満にすることができ、さらに好ましくは、S/S2を32%以上とすることで、成形品の不良率を0%にすることができる。
【0038】
また、プリフォーム20として、図4に示すように、軸方向中間部で層構造が異なる多層構造としたものを延伸ブロー成形する場合には、プリフォーム20の開口部側20aが縦延伸され、層構造が異なるプリフォーム20の底部側20bの縦延伸が開始される近傍(プリフォーム20の底部側20bの縦延伸開始前または、開始時、あるいは開始後)からプリフォーム20の底中心部を延伸ロッド21と待機させてある押えロッド12とで挟圧して縦延伸を継続することで、芯ずれを有効に防止することができる。
【0039】
次ぎに、このように構成した延伸ブロー成形装置10の動作とともに、延伸ブロー成形方法について、図5、6により説明する。なお、図5,6では、多層構造のプリフォームの層構造が異なる境界のみを実線で示してある。
【0040】
この延伸ブロー成形方法による成形対象は薄肉のボトル状容器であり、予め図4に示したように、プリフォーム20の開口部側20aと底部側20bとで中間部から層構造が異なり、開口部側20aのみに、例えばバリア層を介挿することで、ガスバリア性を向上するようにしたものである。
【0041】
このようなプリフォーム20は延伸ブロー成形装置10の成形用胴部金型19にセットされ、成形用底金型11には、押えロッド12がセットされて所定の待機位置に先端部が位置するようにしてある(図5(a)参照)。
【0042】
この後、延伸ロッド21がプリフォーム20の開口部から挿入され、内側底部に当てるようにして延伸ロッド21による縦延伸が開始されるとともに、加圧エアの吹き込みによるブローが行われる(図5(b)、(c)参照)。
【0043】
そして、プリフォーム20の開口部側20aが縦延伸されて底部側20bの縦延伸が開始される状態になると、縦延伸の途中に待機している押えロッド12の先端部にプリフォーム20の底中心部が当たり延伸ロッド21と押えロッド12で挟むようになり、常時付勢機構13のばね14による付勢力が加わって挟圧支持状態となる(図6(a)参照)。
【0044】
こうして延伸ロッド21と押えロッド12によるプリフォーム20の底中心部を挟圧支持した状態で縦延伸が継続されると、押えロッド12がばね14に抗して押し戻されながら縦延伸および加圧エアによるブロー成形が完了し、芯ずれのない成形品22を成形することができる(図6(b)参照)。
【0045】
一般的には、縦延伸終了と同時(または直前、直後)に、加圧エアはさらに高圧に切り換えられ、金型の形状がより正確に転写されるようにする。
【0046】
こうして延伸ブロー成形が完了した後、成形品22を取り出すため、型開きを行い、成形用底金型11を後退させると、押えロッド12の突出量(ストロークS)を成形用底金型11の後退ストロークS1より短くしてあるので、押えロッド12がばね14により前方に突き出すように復帰しても成形品22との間に隙間が形成され、成形品22を損傷することもなく、干渉することなく取り出すことができる。
【0047】
このような延伸ブロー成形方法によれば、ボトル状容器の軽量化や異なる樹脂を組み合わせた多層のボトル状容器であっても芯ずれを防止することができ、肉圧分布を均一にすることができるとともに、プリフォーム20の加熱温度のわずかなバラツキによる影響を回避することもできる。
【0048】
また、この延伸ブロー成形装置10では、成形用底金型11に押えロッド12を常時付勢手段13とともに設置するだけで良く、既存の成形装置にも簡単に適用して芯ずれを防止することができる。また、押えロッド12による付勢力を制御する必要がなく、大掛かりな設備となることもなく、既存設備に対する改造の範囲も最小限にできる。
【符号の説明】
【0049】
10 延伸ブロー成形装置
11 成形用底金型
12 押えロッド
12a 基端側段差部
12b 先端側段差部
12c 2段目の基端側段差部
13 常時付勢手段
14 ばね
14a 追加したばね
15 ホルダー
15a 上の端板
15b 下の端板
16 エアシリンダ
16a ピストンロッド
16b 基端側シリンダ室
16c 先端側シリンダ室
17 エア供給手段
17a エアタンク
17b 配管
17c 安全弁
17d レギュレータ
18 遅延機構
18a 絞り弁
18b マフラー
18c 配管
19 成形用胴部金型
20 プリフォーム
20a 開口部側の部分
20b 底部側の部分
21 延伸ロッド
22 成形品
S 押えロッドのストローク
S1 底部金型の後退ストローク
S2 延伸ロッドのストローク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状のプリフォームを延伸ロッドで縦延伸し、その途中に待機させた縦延伸方向と逆方向に付勢した押えロッドと当該延伸ロッドとで前記プリフォームの底中心部を挟持して縦延伸するようにしたことを特徴とする延伸ブロー成形方法。
【請求項2】
前記押えロッドを成形用底金型から突出させるとともに、前記縦延伸の途中の前記押えロッドの待機位置を、前記成形用底金型の後退ストロークより短い突出位置とするようにしたことを特徴とする請求項1記載の延伸ブロー成形方法。
【請求項3】
前記プリフォームを中間部で層構成が異なるとともに、当該層構成が異なる部分の縦延伸が開始される近傍の位置から当該プリフォームの前記押えロッドによる挟圧を開始するようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の延伸ブロー成形方法。
【請求項4】
有底筒状のプリフォームを縦方向に延伸する延伸ロッドによる縦延伸位置の途中に突出し前記延伸ロッドとで挟圧するとともに、縦延伸方向と逆方向に付勢される押えロッドを前記プリフォームの成形用底金型に設けたことを特徴とする延伸ブロー成形装置。
【請求項5】
前記押えロッドを、外部から制御せずにスプリングまたは加圧流体により常時付勢する構成としたことを特徴とする請求項4記載の延伸ブロー成形装置。
【請求項6】
前記押えロッドの縦延伸の途中位置を、成形用底金型の後退ストロークより短い突出量の位置として構成したことを特徴とする請求項4または5記載の延伸ブロー成形装置。
【請求項7】
前記延伸ロッドと前記押えロッドとの挟圧による成形完了後の前記押えロッドの付勢による復帰を遅延させる遅延機構を設けたことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の延伸ブロー成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−253749(P2010−253749A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104813(P2009−104813)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】