説明

建材用パネル

【課題】 接着剤を介して表面材と充填材のコア材とをより確実に結合できるようになる建材用パネルを提供すること。
【解決手段】建材用パネルである玄関ドアは、表面材10,11で囲まれた内部空間に充填材40を充填したものとなっており、充填材40は、幅方向が表面材10,11と直角又は略直角となっているコア材41と、コア材41で形成された収納空間43に配設された収納材42とからなる。収納材42は、無機系材料を発泡させた軟質の発泡材であり、この収納材42と表面材10,11との間に隙間44が存在し、コア材41の幅方向の両端部は収納材42から突出し、これらの端部は、表面材10,11に塗布ざれた接着剤31で表面材10,11と結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面材の内部に設けられる内部空間の少なくとも一部にコア材等からなる充填材が充填される建材用パネルに係り、例えば、玄関ドアや室内ドア、さらには間仕切りパネル、外壁用パネル、シャッター装置のシャッターカーテン用パネル等として利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
建材用パネルとなっているドア用パネルには、2枚の表面材で囲まれる内部空間の少なくとも一部にコア材等からなる充填材を充填することにより形成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図7及び図8は、このように形成される従来の玄関ドアを示し、鋼板製の2枚の表面材51,52で囲まれる内部空間S2に充填される充填材53は、表面材51,52と直角又は略直角をなす方向が幅方向となったペーパー製のコア材54と、ハニカム構造等となっているこのコア材54で形成される収納空間に充填配設された収納材55とからなる。この収納材55は、有機材料であるフェノール樹脂を発泡させた発泡材となっており、これにより、生産された玄関ドアの断熱性と遮音性が確保されるようになっている。
【0004】
玄関ドアを生産するときには、表面材51,52と対面するコア材54の幅方向両端部において表面材51,52と充填材53とを接着するために、図7で示すように、表面材51,52の内面に接着剤56を塗布し、又は表面材51,52と対面する充填材53の外面に接着剤を塗布し、この後、図8に示すように、充填材53を挟んで表面材51と52をコア材54の幅方向に押圧し、接着剤56で表面材51,52と充填材53を結合する。
【特許文献1】特開平11−173022(段落番号0023〜0024、図2、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この従来の玄関ドアによると、充填材53の収納材55はフェノール樹脂を発泡させたものであるため、この収納材55は硬質である。このため、充填材53を挟んで表面材51と52をコア材54の幅方向に押圧させても、図8で示されているとおり、充填材53の強度を確保するための芯材となっているコア材54は、僅かに接着剤56と接続するだけであって、このコア材54が接着剤56を介して表面材51,52と充分に結合しないおそれがある。
【0006】
このようにコア材54が接着剤56を介して表面材51,52と充分に結合しないおそれは、収納材55が、図7の2点鎖線55’で示されているように、コア材54の幅方向の端部から盛り上がるように膨出している場合に顕著に生じ、たとえコア材54と表面材51,52が接着剤56で結合されても、膨出している収納材55’によって表面材51,52が外側へ湾曲変形するおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、接着剤を介して表面材と充填材のコア材とをより確実に結合できるようになる建材用パネルを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る建材用パネルは、表面材で囲まれた内部空間の少なくとも一部に充填材が充填され、この充填材が、前記表面材と直角又は略直角をなす方向が幅方向となったコア材と、このコア材で形成される収納空間に配設された収納材とを含んで構成され、前記表面材と対面する前記コア材の幅方向両端部のうちの少なくとも一方の端部にて前記表面材と前記充填材とが接着される建材用パネルにおいて、少なくとも前記収納材における前記少なくとも一方の端部の側の部分が軟質となっていることを特徴するものである。
【0009】
この建材用パネルでは、少なくとも収納材における前記少なくとも一方の端部の側の部分が軟質となっているため、充填材を挟んで表面材をコア材の幅方向に押圧し、これらの表面材と充填材とを接着剤で結合する際に、収納材は圧縮変形することになる。このため、接着剤で接着されるべきコア材の幅方向両端部のうちの少なくとも一方の端部は、この端部と対面する表面材と当接するとともに、この端部は接着剤を介して表面材とより確実に結合することになる。
【0010】
以上のように、充填材を挟んで表面材をコア材の幅方向に押圧することによりこれらの表面材と充填材とを接着剤で結合するに際して、収納材を圧縮変形させるようにするためには、収納材を表面材や接着剤でへこみ変形する程度の軟質とすればよいが、収納材を軟質とするより具体的な一例は、コア材の幅方向の圧縮強度よりも収納材の圧縮強度を小さくすることである。
【0011】
これによると、充填材を挟んで表面材をコア材の幅方向に押圧することによって表面材とコア材の幅方向の端部とを当接させると、この当接がなされるまで収納材は接着剤と表面材とで一層確実に圧縮変形することになる。これにより、接着剤を介して表面材とコア材とを一層確実に結合できるようになる。
【0012】
なお、以上のように軟質となった収納材は、この収納材が配設されるべき前記収納空間の全部に設けてもよく、すなわち、収納空間のうちの前記少なくとも一方の端部の側の部分と残りの部分とに軟質の収納材を配設してもよく、あるいは、収納空間のうちの前記少なくとも一方の端部の側の部分だけに軟質の収納材を配設し、残りの部分には硬質の収納材を配設してもよく、また、軟質の収納材を収納空間のうちの前記少なくとも一方の端部の側の部分だけに配設し、残りの部分には何も配設しなくてもよい。
【0013】
また、本発明に係る建材用パネルは、表面材で囲まれた内部空間の少なくとも一部に充填材が充填され、この充填材が、前記表面材と直角又は略直角をなす方向が幅方向となったコア材と、このコア材で形成される収納空間に配設された収納材とを含んで構成され、前記表面材と対面する前記コア材の幅方向両端部のうちの少なくとも一方の端部にて前記表面材と前記充填材とが接着される建材用パネルにおいて、前記少なくとも一方の端部の側における前記表面材と前記収納材との間に隙間が存在することを特徴とするものである。
【0014】
この建材用パネルによると、表面材と対面するコア材の幅方向両端部のうちの少なくとも一方の端部の側において、表面材と収納材との間に隙間が存在するため、収納材の影響を受けることなく、コア材のこの端部と表面材とが当接し、これらの端部と表面材とが接着剤を介してより確実に結合する。
【0015】
この発明に係る建材用パネルにおける収納材は、軟質でもよく、硬質でもよい。
【0016】
また、以上のように表面材と対面するコア材の幅方向両端部のうちの少なくとも一方の端部の側において、表面材と収納材との間に隙間が存在するようにするためには、表面材と接着される前の充填材の収納空間における収納材を、前記少なくとも一方の端部の側において、この側のコア材の幅方向の端部から後退した位置とさせて収納空間に配設すればよい。
【0017】
以上の各発明に係る建材用パネルにおいて、充填材を少なくとも一部に充填する内部空間を形成するための前記表面材の枚数は、2枚でもよく、3枚以上でもよく、また、1枚の表面材の折り曲げ等によって上記内部空間が形成されてもよい。
【0018】
さらに、この内部空間は、表面材だけで形成されてもよく、表面材と他の部材との組み合わせ、例えば、表面材と力骨や枠材(中桟を含む)等との組み合わせで形成されてもよい。
【0019】
また、表面材と、この表面材と対面するコア材の幅方向両端部のうちの少なくとも一方の端部とを接着するための接着剤は、表面材に塗布してもよく、充填材に塗布してもよく、これらの両方に塗布してもよく、さらには、表面材と充填材との間に接着剤が両面に塗布された接着シートを介入し、この接着シートの接着剤を介して表面材とコア材の端部とを結合するようにしてもよい。
【0020】
さらに、以上の各発明に係る建材用パネルにおいて、表面材と対面するコア材の幅方向両端部で表面材とコア材とを接着剤で結合してもよく、表面材と対面するコア材の幅方向両端部の一方の端部で表面材とコア材とを接着剤で結合してもよい。前者によると、コア材の幅方向両端部について表面材とコア材との接着がなされるため、生産される建材用パネルの全体強度を大きくできる。
【0021】
さらに、収納材を配設するための前記収納空間は、前記コア材をハニカム構造とすることにより形成してもよく、あるいは、紙のように薄板状となっているコア材を湾曲させながら蛇行させることにより形成してもよく、その形状、構造は任意である。
【0022】
また、以上の各発明に係る建材用パネルにおいて、表面材で囲まれる前記内部空間の少なくとも一部に充填される前記充填材は、この内部空間の全部に充填してもよく、内部空間の一部だけに充填してもよい。
【0023】
これらのうちの後者とする場合には、内部空間のうちの充填材が充填されない部分には何も充填しなくてもよく、前記充填材とは異なる種類の充填材を充填してもよい。
【0024】
そして、さらにこれらのうちの後者とする場合の一例として、前記充填材を第1充填材とし、前記内部空間には、この第1充填材のほかに第2充填材も充填し、この第2充填材の圧縮強度よりも前記コア材の前記幅方向の圧縮強度を大きくし、これにより、第1充填材を建材用パネルの補強部材とすることである。
【0025】
この例によると、第2充填材を、例えば、グラスウールとすることにより、建材用パネルの断熱性及び遮音性が第2充填材で確保され、第1充填材の前記収納材も断熱性と遮音性を有している場合には、建材用パネルの断熱性と遮音性は第1充填材と第2充填材で確保されることになる。また、第1充填材におけるコア材の幅方向の圧縮強度は第2充填材よりも大きいため、この方向である建材用パネルの厚さ方向の強度を第1充填材によって得ることができ、これにより、第1充填材を建材用パネルの骨材として活用することができ、建材用パネルの厚さ方向内側への表面材の湾曲変形などを第1充填材で防止して、この表面材の平坦精度を確保できることになる。
【0026】
前記収納材の材料の一例は、無機系材料を発泡させた不燃性発泡材である。
【0027】
これによると、収納材は、不燃性と断熱性と遮音性を有することになり、本発明に係る建材用パネルを、構造物の防火性又は耐火性が求められる箇所に配置して使用できるようになる。
【0028】
なお、ここでいう構造物とは、建物を含み、また、地下街、自動車、電車車両、船舶等をも含む。
【0029】
また、収納材を無機系材料を発泡させた不燃性発泡材とするとともに、この収納材を前述したように軟質とするためには、水酸化アルミニウムを主要材料とするものを発泡させることにより実現できる。ここでいう無機系材料とは、全く有機材料を含まないの意味ではなく、軟質の不燃性発泡材を得られる限りにおいて、多少の有機材料が含まれていてもよい。
【0030】
以上説明した本発明は、任意な建材用パネルに適用でき、その一例は玄関ドアであり、他の例は室内ドアであり、これらの他に本発明は、間仕切りパネル、外壁パネル、シャッター装置のシャッターカーテン用パネル等にも適用できる。また、これらは建物に設置されるものでもよく、上述したように、地下街、自動車、電車車両、船舶等の建物以外の構造物に設置されるものでもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によると、接着剤を介して表面材と充填材のコア材とをより確実に結合できるという効果を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る建材用パネルは玄関用ドアであり、図1は、この玄関ドア1の一部を破断した正面図で、図2は、玄関ドア1だけを示す図1のS2−S2線断面図である。図1に示すように、玄関ドア1は、建物の壁2に設けた三方枠3によって形成されている出入口用開口部4に配置され、三方枠3の図1中右側の縦枠3Aと玄関ドア1とに跨設結合されたヒンジ5を中心に玄関ドア1は開閉自在となっている。
【0033】
玄関ドア1の外形は、上下方向に延びる左右2本の金属製の縦力骨6,7と、左右方向に延び、これらの力骨6,7に結合された上下2本の金属製の横力骨8,9とで正面四角形に形成され、これらの力骨6〜9に、図2で示されているように、鋼板による2枚の表面材10,11が結合されている。これらの表面材10,11と力骨6〜9と囲まれた内部空間S1には、第1充填材20と第2充填材30とが充填されている。
【0034】
図1で示すとおり、これらの充填材20と30は玄関ドア1の左右方向(玄関ドア1の幅方向)に並設され、図示例では、玄関ドア1の左右方向の2箇所に第1充填材20が配置され、これらの第1充填材20の間と、それぞれの第1充填材20の左右外側とに第2充填材30が配設されている。本実施形態では、第2充填材30はグラスウールである。
【0035】
第1充填材20は、図2で示されているように、幅方向が表面材10,11と直角又は略直角の方向となっているコア材21と、図1に示すようにハニカム構造となっているこのコア材21によって形成された収納空間23に充填配設されている収納材22とからなる。コア材21は、水酸化アルミニウムを塗布及び/又は含浸させたペーパーからなり、収納材22は、無機系材料を発泡させた発泡材(商品名「エスプラード」、旭ファイバーグラス株式会社製)であり、具体的には、この無機系材料は、52質量%のりん酸金属塩硬化物と、40質量%の水酸化アルミニウムと、8質量%のウレタン樹脂硬化物とからなる。
【0036】
このような無機系材料を発泡させた収納材22は、不燃性の性質を有するとともに、軟質の性質を有し、この収納材22についてのコア材21の幅方向の圧縮強度は、コア材21自体の幅方向の圧縮強度よりも小さい。また、第2充填材30についてのコア材21の幅方向の圧縮強度も、コア材21自体の幅方向の圧縮強度よりも小さい。
【0037】
玄関ドア1を生産するときには、図3で示すように、第1充填材20と対面する表面材10,11の内面に接着剤31を塗布し、又は表面材10,11と対面する第1充填材20の外面に接着剤31を塗布し、第1充填材20、第2充填材30、さらには前記力骨6〜9を2枚の表面材10、11の間に配置した後、図4に示すように、第1充填材20等を挟んで表面材10と11をコア材21の幅方向に押圧するとともに、表面材10,11の外側から加熱し、これにより、熱硬化性の接着剤31で表面材10,11と第1充填材20を結合する。
【0038】
このように第1充填材20等を挟んで表面材10と11をコア材21の幅方向に押圧したとき、収納材22は軟質であるため、この収納材22は表面材10,11からの押圧力を受ける接着剤31で圧縮変形する。また、収納材22のこの圧縮変形は、収納材22についてのコア材21の幅方向の圧縮強度が、コア材21自体の幅方向の圧縮強度よりも小さいことから、表面材10、11とコア材21の幅方向両端部とが当接することによってコア材21のために表面材10,11の押圧をそれ以上できなくなる状態まで続くことになる。
【0039】
また、このように収納材22が圧縮変形することは、図3の2点鎖線22’で示されているように、収納材22がコア材21の幅方向の端部から盛り上がるように膨出している場合でも、生ずる。
【0040】
以上のように本実施形態に係る第1充填材20の収納材22は軟質であるため、第1充填材20等を挟んで表面材10,11をコア材21の幅方向に押圧したときに、収納材22はへこみ変形することになり、このため、コア材21の幅方向両端部は、図4で示されているとおり、接着剤31を貫通して表面材10,11に当接し、このため、接着剤31には、表面材10,11とコア材21との接触部分において、表面張力による断面三角形又は断面略三角形の隆起部31Aができる。
【0041】
このため、本実施形態によると、表面材10,11とコア材21とを接着剤31を介して従来よりも確実に結合できるようになり、これらの結合強度を大きくできる。
【0042】
また、表面材10,11に接着される前の収納材22が図3の2点鎖線22’で示すように、たとえコア材21の幅方向の端部から盛り上がるように膨出している場合でも、収納材22は軟質であるため、収納材22がへこみ変形することにより、接着剤31で表面材10,11と第1充填材20とが結合された後で表面材10,11が外側へ湾曲変形することはなく、生産された玄関ドア1の表面材10,11についての平坦精度を確保できる。
【0043】
また、収納材22は無機系材料を発泡させたものであるため不燃性を有し、したがって、収納材を有機材料であるフェノール樹脂の発泡材としていた従来と異なり、火災時に収納材22が燃えるおそれはない。そして、収納材22と共に第1充填材20を構成しているコア材21は、前述したとおり、水酸化アルミニウムを塗布及び/又は含浸させたペーパーであるため、コア材21も不燃性の性質を有し、このため、第1充填材20全体を不燃とすることができる。
【0044】
なお、第1充填材20が、玄関ドア1と異なり、防火性又は耐火性が要求されない室内ドア等に用いられる場合には、コア材21を単なるペーパーコア材とし、水酸化アルミニウムを塗布及び/又は含浸させなくてもよい。
【0045】
さらに、本実施形態によると、収納材22は多孔質の発泡材となっているため、第2充填材30であるグラスウールと同じく、収納材22は断熱性と遮音性とを有し、このため、第1充填材20と第2充填材30が前記内部空間S1の全体又は略全体に充填された玄関ドア1は、全体又は略全体に亘って断熱性と遮音性とを備えるものとなる。
【0046】
また、コア材21自体の幅方向の圧縮強度は、第2充填材30についてのコア材21の幅方向の圧縮強度(第2充填材30についての玄関ドア1の厚さ方向の圧縮強度)よりも大きいため、このコア材21が構成部材となっている第1充填材20を玄関ドア1の補強部材として用いることができ、第1充填材20によって玄関ドア1の厚さ方向内側への強度を確保できる。
【0047】
そして、コア材21が構成部材となっている第1充填材20は、グラスウールである第2充填材30よりも高価であるが、第1充填材20は前記内部空間S1の全部に充填されず、内部空間S1の一部だけに充填され、残りの部分には第2充填材30が充填されているため、全体として充填材に関する玄関ドア1のコストを低減できる。
【0048】
図5及び図6は、別実施形態に係る第1充填材40を用いて玄関ドアを生産する場合を示す。この実施形態の第1充填材40は、前記実施形態の第1充填材と同じく、幅方向が表面材10,11と直角又は略直角の方向となっているコア材41と、ハニカム構造となっているこのコア材41によって形成された収納空間43に配設されている収納材42とからなるが、この収納材42は、収納空間43におけるコア材41の幅方向両方の端部41Aまで充填配設されておらず、これらの端部41Aから後退した位置までしか収納空間43に配設されていない。
【0049】
言い換えると、コア材41の幅方向両方の端部41Aは、収納材42から突出している。
【0050】
コア材41は、前記実施形態と同じく、水酸化アルミニウムを塗布及び/又は含浸させたペーパーからなる(第1充填材40が、防火性又は耐火性が要求されない室内ドア等の建材用パネルに用いられる場合には、コア材41を単なるペーパーコア材とし、水酸化アルミニウムを塗布及び/又は含浸させなくてもよい。)が、収納材42は、前記実施形態と同じく、52質量%のりん酸金属塩硬化物と、40質量%の水酸化アルミニウムと、8質量%のウレタン樹脂硬化物とからなる無機系材料を発泡させた発泡材でもよく、あるいは、従来と同じく有機材料のフェノール樹脂を発泡させた発泡材でもよい。
【0051】
この実施形態でも、玄関ドアを生産するときには、図5で示すように、第1充填材40と対面する表面材10,11の内面に接着剤31を塗布し、又は表面材10,11と対面する第1充填材40の外面(第1充填材40におけるコア材41に幅方向両方の端部41A)に接着剤31を塗布し、第1充填材40等を表面材10、11の間に配置した後、図6に示すように、第1充填材40等を挟んで表面材10と11をコア材41の幅方向に押圧するとともに、表面材10,11の外側から加熱し、これにより、熱硬化性の接着剤31で表面材10,11と第1充填材40を結合する。
【0052】
このように生産される玄関ドアにおいては、表面材10,11と収納材42との間に図6で示す隙間44が存在する。そして、コア材41の幅方向両方の端部41Aは接着剤31を貫通して表面材10,11に当接している。このため、前記実施形態と同じく、接着剤31には、表面材10,11とコア材41との接触部分において、表面張力による断面三角形又は断面略三角形の隆起部31Aができている。
【0053】
このため、この実施形態によっても、表面材10,11とコア材41とを接着剤31を介して従来よりも確実に結合できるようになり、これらの結合強度を大きくできる。
【0054】
また、この実施形態によると、収納材42は、軟質でもよく、硬質でもよいたため、収納材42の材料は限定されない。このため、収納材42を構成部材とする第1充填材40の製造を容易とし、そのコストを安価とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、内部空間の少なくとも一部にコア材等からなる充填材が充填される、例えば、玄関ドアや室内ドア、さらには間仕切りパネル、外壁用パネル、シャッター装置のシャッターカーテン用パネル等として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る建材用パネルとなっている玄関ドアの一部を破断した正面図である。
【図2】図2は、玄関ドアだけを示す図1のS2−S2線断面図である。
【図3】図3は、玄関ドアにおける表面材と充填材との接着前を示す要部拡大断面図である。
【図4】図4は、図3の表面材と充填材との接着後を示す要部拡大断面図である。
【図5】図5は、別実施形態に係る充填材を用いて玄関ドアを製造する場合を示す図3と同様の図である。
【図6】図6は、図5の実施形態の場合を示す図4と同様の図である。
【図7】図7は、従来の玄関ドアにおける表面材と充填材との接着前を示す要部拡大断面図である。
【図8】図8は、図7の表面材と充填材との接着後を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 建材用パネルである玄関ドア
10,11 表面材
20,40 第1充填材
21,41 コア材
41A コア材の幅方向の端部
22,42 収納材
23,43 収納空間
30 第2充填材
31 接着剤
44 隙間
S1 内部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面材で囲まれた内部空間の少なくとも一部に充填材が充填され、この充填材が、前記表面材と直角又は略直角をなす方向が幅方向となったコア材と、このコア材で形成される収納空間に配設された収納材とを含んで構成され、前記表面材と対面する前記コア材の幅方向の両方の端部のうちの少なくとも一方の端部にて前記表面材と前記充填材とが接着される建材用パネルにおいて、前記少なくとも一方の端部の側における前記表面材と前記収納材との間に隙間が存在していて、前記少なくとも一方の端部の側における前記コア材の端部が前記収納材から突出していることを特徴とする建材用パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の建材用パネルにおいて、前記コア材の幅方向の両方の端部の側における前記表面材と前記収納材との間に隙間が存在し、前記コア材の幅方向の両方の端部が前記収納材から突出していることを特徴とする建材用パネル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の建材用パネルにおいて、前記充填材は第1充填材であり、前記内部空間には第2充填材も充填され、この第2充填材の圧縮強度よりも前記コア材の前記幅方向の圧縮強度は大きく、前記第1充填材が補強部材となって用いられていることを特徴とする建材用パネル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の建材用パネルにおいて、前記収納材は無機系材料からなる不燃性発泡材となっていることを特徴とする建材用パネル。
【請求項5】
請求項4に記載の建材用パネルは防火性又は耐火性が求められる構造物の箇所に配置されることを特徴する建材用パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−247399(P2007−247399A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139944(P2007−139944)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【分割の表示】特願2002−226870(P2002−226870)の分割
【原出願日】平成14年8月5日(2002.8.5)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【Fターム(参考)】