説明

建柱用垂直補助具

【課題】 本発明は、反復利用が可能であるとともに、外灯や電柱などを垂直に且つ高精度で立設できる建柱用垂直補助具を提供することにある。
【解決手段】
掘削穴Hの穴底に立てた柱4の外周部を囲むほぼリング状をなす柱支持部材1と、柱支持部材1のリングに沿って間隔をあけた少なくとも三箇所以上に取り付けられる複数の脚材2とを備えており、柱支持部材1は、リングを分割形成し且つ各々が着脱自在な複数の柱支持部材構成部品1a,1bからなっており、脚材2は、長さ調節自在に形成してあるとともに、柱支持部材1を柱4の立設方向所定位置で地面Gから支持するように、各脚材2が柱支持部材1の下方外側に向けて開脚して取り付けてあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外灯や電柱等の建柱作業の際に使用する建柱用垂直補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外灯や電柱等を現場に立設するとき、地盤に設けた掘削穴に、柱を立てた状態に作業者が手で支えながらポール(柱)の下端部を落とし込んで穴底に置き、さらに、上記の掘削穴に生コンを流し込んでポールの下端部を埋設するとともに、できるだけ垂直に支持するものであった。そのときに、ポールの立設を補助した上で垂直を保つ手法として、従来は、ポールの外周部に複数の木材を縄や番線で括り付けてポールを垂直に立設させるものであったが、近年、施工の効率化を図るために、特開2008−285828号公報に開示されるものがあった。これは、掘削穴に落とし込んだポールの下端部の周面に、脚材をほぼ水平な格子状に組む態様をなす建柱用垂直補助具を取り付け、さらに、各脚材の延伸方向の両端を掘削穴の穴内周側面に対し、所謂つっかい棒のように押し当ててポールを垂直に立設した状態で補助し、最終的に、ポールの下端部を落とし込んだ掘削穴の中に、上記の建柱用垂直補助具を取り付けたままで生コンを流し込んで養生するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−285828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特開2008−285828号公報に開示される建柱用垂直補助具にあっては、コンクリートの養生のときに、ポールの下端部と一緒に地中に埋設されることから、現場に立設されるすべてのポール毎に一つずつ必要となってコストが嵩む上、掘削穴の穴内周側面を使ってポールを支持するものであったから、ポールに対する取り付けに際しても手間がかかり、建柱作業の効率を著しく損ねてしまう問題点があった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、反復利用が可能であるとともに、外灯や電柱などを垂直に且つ高精度で立設できる建柱用垂直補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のうち請求項1記載の発明は、掘削穴の穴底に立てた柱の外周部を囲むほぼリング状をなす柱支持部材と、柱支持部材のリングに沿って間隔をあけた少なくとも三箇所以上に取り付けられる複数の脚材とを備えており、柱支持部材は、リングを分割形成し且つ各々が着脱自在な複数の柱支持部材構成部品からなっており、脚材は、長さ調節自在に形成してあるとともに、柱支持部材を柱の立設方向所定位置で地面から支持するように、各脚材が柱支持部材の下方外側に向けて開脚して取り付けてあることを特徴とする。
ここでリング状とは、柱の外周を囲む連続的な形状であればよく、円形、矩形、多角形などが含まれる。
【0006】
本発明の請求項2記載の発明では、柱支持部材は、リングに沿って間隔をあけた少なくとも三箇所以上に押圧部を有しており、各押圧部は、リングの内周側に出没自在に形成してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のうち請求項1記載の発明によれば、柱外周部に分割形成された複数の柱支持部材構成部品を囲むように取り付けることで、柱支持部材が各脚材の支持により柱の立設方向の所定位置に位置して柱の立設を補助することから、建柱作業を容易且つ迅速に行える。また、本発明による建柱用垂直補助具は、地上で柱の垂直支持を補助することから、コンクリートの養生が完了した段階で柱支持部材を複数の柱支持部材構成部品に分割して柱から簡単に外すことができ、また、繰り返し使用することで、地中に埋設される垂直補助具に比べてコストが抑えられる。
【0008】
本発明のうち請求項2記載の発明によれば、出没自在な各押圧部により、柱支持部材で囲む柱の外周部を各々押圧することで、各押圧部の出没の度合いを個々に調整して立設した柱を精度よく垂直状態で保つことができる。さらに、押圧部が柱支持部材のリングに沿って間隔をあけた三箇所以上の箇所に配置されることで、断面形状や径の異なる様々な柱に対応して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施による建柱用垂直補助具の使用状態を示す一部を簡略化した斜視図である。
【図2】(a)は、本実施による建柱用垂直補助具の使用前の状態を示す平面図であり、(b)は、外灯ポールに取り付けた状態を示す一部を断面した平面図である。
【図3】本実施による建柱用垂直補助具の使用状態を示す一部を縦断面した側面図である。
【図4】本実施による建柱用垂直補助具の他の使用状態を示す一部を縦断面した側面図である。
【図5】本発明による建柱用垂直補助具の他の実施形態を示す一部を簡略化した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面に基づいて本実施による建柱用垂直補助具の実施の形態を説明する。
本実施による建柱用垂直補助具は、図1のように、分割形成されたほぼリング状をなす柱支持部材1と、柱支持部材1に120°間隔で且つ各々が水平軸回りに回動自在に取り付けられる3本の脚材2とにより構成してある。そして、柱支持部材1のリングの内周に掘削穴Hの穴底に載置した外灯ポール(柱)を囲み、各脚材2により柱支持部材1を外灯ポール4の立設方向に沿った所定高さ(本実施のものでは1〜1.5m程度)に位置させ、掘削穴Hに生コンを流し込んで養生する間、外灯ポール4の垂直を補助している。
尚、柱支持部材1による外灯ポール4を補助する位置の高さについては、外灯ポール4の長さや重量などで適宜変更される。
【0011】
柱支持部材1が、図2(a)のように、平面視して半円弧状をなす二つの柱支持部材構成部品1a,1bが連結して全体がほぼリング状をなすものであり、一方および他方の柱支持部材構成部品1a,1bの両側の当接端部には挿通孔5が有するフランジ6が設けてあり、互いのフランジ6同士を当接して挿通孔5を一致させて蝶ネジ7で螺合することで、一方と他方の柱支持部材構成部品1a,1bを着脱自在に連結できるようになっている。また、一方および他方の各柱支持部材構成部品1a,1bには、円弧に沿って90°間隔に各々二つ、計四つの押圧部8が設けてある。そして、押圧部8は、柱支持部材1の内周側と外周側とに出没自在なネジ部9と、ネジ部9における柱支持部材1内周側の端部に設けられる先端が扁平な押し部10と、同じく、ネジ部9における柱支持部材1外周側の端部に設けられるハンドルグリップ部11とからなっており、使用者が上記のハンドルグリップ部11を握って一方側に回したときに、ネジ部9がネジ込まれて柱支持部材1の内周側に押し部10が次第に入り込んでいくことで、押し部10が外灯ポール4の外周壁面を押圧する。さらに、柱支持部材1における四箇所の各押圧部8の出没度合を各々調整することで、外灯ポール4が垂直になるように微調整することができ、外灯ポール4を精度よく垂直状態とすることができる。
【0012】
脚材2は、柱支持部材1を構成する一方の柱支持部材構成部品1aに一本、他方の柱支持部材構成部品1bに二本の計三本が各々軸部16に水平軸回りで軸支してあり、一方と他方の柱支持部材構成部品1a,1bを連結したときに、三本の脚材2が120°間隔で配置される。また、脚材2は、パイプ状の周壁に調整孔(図示省略)が設けてある三本の脚材構成部品2a,2b,2cを互いのパイプ孔に挿通してスライド自在に形成したものである。このうち、両側の脚材構成部品2a,2cの調整孔には、各々蝶ネジ12が挿通してあり、この蝶ネジ12を螺合すると、蝶ネジ12の先端が中間に配置する脚材構成部品2bの外周部を押圧してスライド不能となることで、脚材2の長さを任意に調整できるようになる。また、脚材2の下端部には尖り部13が設けてあるとともに、その近傍には足を乗せることのできるステップ14が取り付けてあり、使用者がステップ14を踏んで荷重を加えることにより、尖り部13が地面Gに差し込まれることで、本実施による建柱用垂直補助具を安定して設置できる。
【0013】
上記のように、本実施による建柱用垂直補助具を形成すると、図3のように、掘削穴Hの穴底に立てた状態で置いた外灯ポール4の外周面に対し、一方の柱支持部材構成部品1aと他方の柱支持部材構成部品1bとを連結して柱支持部材1で外灯ポール4の外周を囲み、各々の脚材2を軸部16で水平軸回しに回動して柱支持部材1から開脚させて下端を地面に置き、さらに、図2(b)もあわせて参照すれば、四つの押圧部8の各々のハンドルグリップ部11を適宜回して全ての押し部10を外灯ポール4の外周部に当接させることで、掘削穴Hに生コンを流し込む前に外灯ポール4の立設を補助することができる。さらに、外灯ポール4の外周部にレベル(図示省略)を沿わせて垂直を確認しながら、四つの押圧部8の各々のハンドルグリップ部11を回して押し部10の出没の度合を調節することで、外灯ポール4を垂直な状態に精度よく立てることができる。そして、上記の状態で掘削穴Hに生コンを流し込んで養生することにより、外灯ポール4が垂直に立設される。
【0014】
図4は、本実施による建柱用垂直補助具を、歩道(地面)Gに外灯ポール4を立設するときに使用した一例を示すものである。このような状況では、本実施による建柱用垂直補助具の三本ある脚材2のうち、歩道(地面)Gに載せる側の脚材2を短くして車道(地面)Gと歩道(地面)Gの段差に対応させている。また、図5に示す建柱用垂直補助具には、三本の脚材2を取り巻くようにネット15が取り付けてあり、本実施による建柱用垂直補助具を外灯ポール4に取り付ける際、各脚材2が所定の角度以上開かないように補助するものである。
【0015】
本発明による建柱用垂直補助具は、例えば、上記実施形態では押圧部8をネジ式に形成してあるが、柱支持部材1で囲んだ状態にある外灯ポール4の外周部に向けて押し部10をラチェット式に段階的に出没するものや、あるいは、ダンパーなどで押し部10を出没するものなど、押し部10の出没の度合を段階的に調節できるとともに、調節位置で固定できる手段であればよい。また、押圧部8の数についても上記実施形態のものでは、外灯ポール4の断面形状が円形、矩形、あるいは多角形と様々なものに対応できるように、柱支持部材1の四箇所に有するものについて記載したが、断面ほぼ円形のもののみに対応するように柱支持部材1の三箇所に有するものであってもよいし、一般的な外灯ポール4よりも径の太いもの(例えば、電柱など)であれば、柱支持部材1の四箇所以上にあってもよい。
【符号の説明】
【0016】
1 柱支持部材
1a 一方の柱支持部材構成部品(柱支持部材構成部品)
1b 他方の柱支持部材構成部品(柱支持部材構成部品)
2 脚材
3 押圧部
4 外灯ポール(柱)
G 歩道、車道(地面)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削穴の穴底に立てた柱の外周部を囲むほぼリング状をなす柱支持部材と、柱支持部材のリングに沿って間隔をあけた少なくとも三箇所以上に取り付けられる複数の脚材とを備えており、柱支持部材は、リングを分割形成し且つ各々が着脱自在な複数の柱支持部材構成部品からなっており、脚材は、長さ調節自在に形成してあるとともに、柱支持部材を柱の立設方向所定位置で地面から支持するように、各脚材が柱支持部材の下方外側に向けて開脚して取り付けてあることを特徴とする建柱用垂直補助具。
【請求項2】
柱支持部材は、リングに沿って間隔をあけた少なくとも三箇所以上に押圧部を有しており、各押圧部は、リングの内周側に出没自在に形成してあることを特徴とする請求項1記載の建柱用垂直補助具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−226132(P2011−226132A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96249(P2010−96249)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000222015)株式会社ユアテック (26)
【出願人】(592112558)日本安全産業株式会社 (18)
【Fターム(参考)】