説明

建物の外壁用発電システム

【課題】簡便で設置スペース、設置コストの少ない、太陽電池を用いた建物の外壁用発電システムを提供する。
【解決手段】フィルム形太陽電池2を建物外壁面に貼着し、該フィルム形太陽電池2を充放電コントローラ4を介し蓄電池6及び近接する負荷9に接続する。これによって、フィルム形太陽電池を壁面に貼着するため、強風に強く、耐震性もある、設置スペース、設置コストの少ない、発電システムとできる。さらに、近接する領域のペリメータ用空調にも利用することが容易であり、省エネルギー、地球温暖化対策の面からも貢献できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽電池を用いた建物の外壁用発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
外壁に太陽光電池を設置する時は強固な取付け架台の上にパネル上の多結晶シリコンや単結晶シリコンの太陽電池を設置している。また、太陽電池からの排熱のためにパネル裏面に空間を設けている。さらに発電効率を上げるために、パネルに角度をつけているのが一般的であり、意匠的にも見苦しさを防ぐための工夫が強いられており、利用できる建物が限られており、一般に普及するに至っていない。また、太陽電池を電源とするペリメータ用空調機は普及していない。
【0003】
この一方で、太陽電池パネルを建物の屋根や外壁に取付け架台なしに設置する開示も見られる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−308364号公報(図1、要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽電池の設置は、省エネルギー、地球温暖化対策の面からも推奨されているが、建物の外壁への配置は、強風・耐震対策などのために強固な取付け架台をなくすことは規模が大きくなればなるほどかなり困難であった。一方で、窓際および外壁側の室内空間部分であるペリメータゾーンは、日射や外気温度など外部の熱変化の影響が大きいため、通常その部分を他と区分してファンコイルユニットなどで冷暖房を行っている。これは、ペリメータゾーンの内側のインテリアゾーンとは異なり、かなりばらつきと変化の多い特性をもっており、ペリメータ用空調は、インテリア空調とは別にした、個々の温度変化に迅速に対応した空調が望まれる。
【0005】
そこで、本発明の課題は、簡便で設置スペース、設置コストが少なく、ペリメータ用空調にも対応できる建物の外壁用発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、フィルム形太陽電池を建物外壁面に貼着し、該フィルム形太陽電池を充放電コントローラを介し蓄電池及び近接する負荷に接続する建物の外壁用発電システムとする。これによって、フィルム形太陽電池を壁面に貼着するため、強風に強く、耐震性もある、設置コストの少ない、発電システムとできる。従来の太陽電池パネルの取付け架台が不要になり、特別の設置スペースも不要とできる。さらに、近接する領域のペリメータ用空調にも利用することが容易であり、省エネルギー、地球温暖化対策の面からも貢献できる。
【0007】
また、前記負荷にペリメータ用空調機を含む建物の外壁用発電システムとすれば、ペリメータゾーンの独立安定した空調が可能となる。
【0008】
また、前記ペリメータ用空調機が、前記負荷の一部とされる温度センサと無線制御部によりコントロールされる建物の外壁用発電システムとすれば、ペリメータゾーンの安定した空調管理が可能となる。
【0009】
また、前記充放電コントローラと前記負荷との間に商用電源への切替手段を設けた建物の外壁用発電システムとすれば、蓄電池を備えた自立型の発電システムを補い、信頼性の高いシステムとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フィルム形太陽電池を建物外壁面に貼着し、該フィルム形太陽電池を充放電コントローラを介し蓄電池及び近接する負荷に接続する建物の外壁用発電システムとしたことによって、フィルム形太陽電池を壁面に貼着するため、強風に強く、耐震性もある、設置コストの少ない、発電システムとできる。従来の太陽電池パネルの取付け架台が不要になり、特別の設置スペースも不要とできる。さらに、近接する領域のペリメータ用空調にも利用することが容易であり、省エネルギー、地球温暖化対策の面からも貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明の実施の形態を図示例を伴い説明する。
【0012】
図1は、本発明による一実施の形態としての太陽電池による自立型の建物の外壁用発電システムの構成図を示し、太陽電池による自立型の発電システム1は、フィルム形太陽電池2,2,2と、これらのフィルム形太陽電池2,2,2をまとめて電気的に接続する接続箱3と、この接続箱3は、充放電コントローラ4を介し、蓄電池6(ここでは、サイクル用鉛蓄電池)及び負荷9に接続される。負荷9には、図示のようなペリメータ用空調機7、これに繋がれた、温度センサ5、無線アンテナを含む無線制御部8が例示されている。接続箱3は、設けることが望ましいが、充放電コントローラ4との接続により、設置を省略することも可能である。
【0013】
充放電コントローラ4は、蓄電池6に接続箱3からの太陽電池の発電電力を蓄電し、蓄電池6からの電力を負荷9に対して供給する制御を行っている。
【0014】
この実施の形態は、充放電コントローラ4と負荷9の間にパワーコンディショナーを介し商用連系点を設け、商用電源に接続すれば、フィルム形太陽電池とともに、商用電源をも電源とした他の形態の発電システムにも変更できる。
【0015】
フィルム形太陽電池2は、図2に外観図を示すように、プラスチックフィルム22上に形成したフレキシブルな太陽電池で剛体の太陽電池より軽量である。
【0016】
この実施の形態では、図3に、フィルム形太陽電池2を貼着した建物の壁面80の断面図を示す。建物の壁面80は、プレキャストコンクリートパネル80bが、保持枠80aに保持されて構成される。フィルム形太陽電池2は、このプレキャストコンクリートパネル80b上に接着剤で貼着されている。
【0017】
この壁面80の内側には、フィルム形太陽電池2からの集合接続された端子が保持枠80aの一部或はプレキャストコンクリートパネル80bの穴を通して入り、壁面80の内側に設けられた、接続箱3、充放電コントローラ4を介し、蓄電池6及び負荷9に接続される。負荷9には、ペリメータ用空調機7、これに繋がれた、温度センサ5、無線アンテナを含む無線制御部8が含まれる(図3にはペリメータ用空調機7のみ図示している。)。
【0018】
図4には、建物81の壁面82に縦長にフィルム形太陽電池2を貼着した例を示す。図5には、建物83の壁面84に横長にフィルム形太陽電池2を貼着した例を示す。
【0019】
この実施の形態では、フィルム形太陽電池2で発電された電力は、接続箱3、充放電コントローラ4を介し、蓄電池6に蓄電され、充放電コントローラを介してペリメータ用空調機7を、温度センサ5、無線アンテナを含む無線制御部8によって、制御する。
【0020】
さらに他の実施の形態として、上記の実施の形態における充放電コントローラと負荷との間に商用電源への切替手段を設ければ、蓄電池を備えた自立型の発電システムを補い、信頼性の高いシステムとすることができる。負荷の商用電源への切替手段は、蓄電池の電圧を検出し、自動的に商用電源への切替を一定時間行うものであるのが望ましいが、押しボタンスイッチなどの手動切替手段であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
上記のように、本発明によるフィルム形太陽電池による建物の外壁用発電システムは、設置のスペースと手間と設置コストを節減でき、地球温暖化対策にも寄与するものとして産業上の利用可能性は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による一実施の形態としてのフィルム形太陽電池を用いた建物の外壁用発電システムの構成図である。
【図2】本発明で用いるフィルム形太陽電池のシートの一例の外観図である。
【図3】本発明による一実施の形態としてのフィルム形太陽電池を貼着した建物の壁面の断面図である。
【図4】本発明による一実施の形態としての、建物の壁面に縦長にフィルム形太陽電池を貼着した例を示す建物の立面図である。
【図5】本発明による一実施の形態としての、建物の壁面に横長にフィルム形太陽電池を貼着した例を示す建物の立面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 発電システム、2 フィルム形太陽電池、3 接続箱、4 充放電コントローラ、5 温度センサ、6 蓄電池、7 ペリメータ用空調機、8 無線アンテナを含む無線制御部、9 負荷、22 プラスチックフィルム、80 壁面、80a 保持枠、80b プレキャストコンクリートパネル、81,83 建物、82,84 壁面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム形太陽電池を建物外壁面に貼着し、該フィルム形太陽電池を充放電コントローラを介し蓄電池及び近接する負荷に接続することを特徴とする建物の外壁用発電システム。
【請求項2】
前記負荷にペリメータ用空調機を含むことを特徴とする請求項1に記載の建物の外壁用発電システム。
【請求項3】
前記ペリメータ用空調機が、前記負荷の一部とされる温度センサと無線制御部によりコントロールされることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物の外壁用発電システム。
【請求項4】
前記充放電コントローラと前記負荷との間に商用電源への切替手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の建物の外壁用発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−107240(P2007−107240A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−298217(P2005−298217)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【出願人】(000128083)株式会社エヌ・ティ・ティ・建築総合研究所 (42)
【出願人】(505382205)株式会社日総建 (1)
【Fターム(参考)】