説明

建物の施工方法および建物

【課題】建築用パネル同士の接合部において優れた防水性を発揮することが可能な建物の施工方法と、この建物の施工方法によって建築される建物を提供することを目的とする。
【解決手段】表面に防水材11が設けられる一方の建築用パネル10と、表面に防水材13が設けられる他方の建築用パネル12とを接合して住宅等の建物1を施工する際に、一方の建築用パネル10の表面のうち、この一方の建築用パネル10に対して他方の建築用パネル12が接合される部分を露出させ、露出した一方の建築用パネル10の表面に他方の建築用パネル12を接合し、これら一方および他方の建築用パネル10,12同士の接合部で、一方の建築用パネル10の防水材11と他方の建築用パネル12の防水材13とを重ね合わせる。これにより、一方および他方の建築用パネル同士を確実に接合でき、該接合部を、少なくとも二重に防水できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に防水材が設けられる一方の建築用パネルと、表面に防水材が設けられる他方の建築用パネルとを接合して住宅等の建物を施工する建物の施工方法と、この建物の施工方法によって建築される建物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅等の建物の構築についてはその工業化が進み、例えば壁や床、屋根といった構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらの建築用パネルを組み立てることにより住宅を構築するパネル工法が一部に採用されている。
また、このようなパネル工法において、建物の構造壁となる壁パネルの外面側に、予め防水シート等の防水材や外装材を壁パネルの外面側を覆うようにして設けておき、このような防水材付き、外装材付きの壁パネルを現場へ搬送することで、現場での作業を省略し、施工効率を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−158228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような防水材を建築用パネルに止着する際は釘等の止着材が用いられるが、止着材の打ち込みによって防水材に孔が開いてしまい、雨水等の防水材の裏側への浸入を防ぎにくくなる。このため、特にパネル同士の接合部における防水性の向上が強く望まれていた。
また、住宅等の建物において、壁パネルや屋根パネル等の建築用パネル同士を接合して建築される部分は、例えば、外壁の平らな部分、建物のコーナ部やバルコニーが設けられる部分、庇や下屋が設けられる部分など、様々な箇所がある。そこで、外壁の平らな部分を形成する建築用パネル同士の接合部や、建物のコーナ部やバルコニーが設けられる部分、また庇や下屋が設けられる部分などのように、建築用パネル同士を互いに交差させて接合する接合部にも適用できるような防水技術の開発が望まれていた。
【0005】
本発明の課題は、建築用パネルを用いて住宅等の建物を施工するに際し、建築用パネル同士の接合部において優れた防水性を発揮することが可能な建物の施工方法と、この建物の施工方法によって建築される建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図16に示すように、表面に防水材11(21,31,41,51,61,71)が設けられる一方の建築用パネル10(20,30,40,50,60,70)と、表面に防水材13(23,33,43,53,63,73)が設けられる他方の建築用パネル12(22,32,42,52,62,72)とを接合して住宅等の建物1を施工する建物1の施工方法において、
前記一方の建築用パネル10(20,30,40,50,60,70)の表面のうち、前記一方の建築用パネル10(20,30,40,50,60,70)に対して他方の建築用パネル12(22,32,42,52,62,72)が接合される部分を露出させ、
露出した一方の建築用パネル10(20,30,40,50,60,70)の表面に他方の建築用パネル12(22,32,42,52,62,72)を接合し、
これら一方の建築用パネル10(20,30,40,50,60,70)と他方の建築用パネル12(22,32,42,52,62,72)との接合部で、前記一方の建築用パネル10(20,30,40,50,60,70)の防水材11(21,31,41,51,61,71)と他方の建築用パネル12(22,32,42,52,62,72)の防水材13(23,33,43,53,63,73)とを重ね合わせることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、前記一方の建築用パネル10(20,30,40,50,60,70)の表面のうち、前記一方の建築用パネル10(20,30,40,50,60,70)に対して他方の建築用パネル12(22,32,42,52,62,72)が接合される部分を露出させてから、露出した一方の建築用パネル10(20,30,40,50,60,70)の表面に他方の建築用パネル12(22,32,42,52,62,72)を接合するので、これら一方の建築用パネル10(20,30,40,50,60,70)と他方の建築用パネル12(22,32,42,52,62,72)とを確実に接合できる。また、その後、これら一方の建築用パネル10(20,30,40,50,60,70)と他方の建築用パネル12(22,32,42,52,62,72)との接合部で、前記一方の建築用パネル10(20,30,40,50,60,70)の防水材11(21,31,41,51,61,71)と他方の建築用パネル12(22,32,42,52,62,72)の防水材13(23,33,43,53,63,73)とを重ね合わせるので、該接合部を、少なくとも二重に防水できる。これによって、前記一方の建築用パネル10(20,30,40,50,60,70)と他方の建築用パネル12(22,32,42,52,62,72)との接合部において優れた防水性を発揮できる。
また、このような方法で、前記一方の建築用パネル10(20,30,40,50,60,70)と他方の建築用パネル12(22,32,42,52,62,72)との接合部を防水できるので、住宅等の建物の様々な箇所に適用することができ、前記建築用パネル10(12,20,22,30,32,40,42,50,52,60,62,70,72)を用いて住宅等の建物1を施工する際に好適である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図1〜図3に示すように、請求項1に記載の建物1の施工方法において、
前記一方の建築用パネル10(20,30)および他方の建築用パネル12(22,32)は、住宅等の建物1の外壁を形成する建築用壁パネルであり、
前記一方の建築用壁パネル10(20,30)の表面に設けられる防水材11(21,31)は、端部が前記一方の建築用壁パネル10(20,30)の端部よりも、該一方の建築用壁パネル10(20,30)に接合される他方の建築用壁パネル12(22,32)側にはみ出す防水シートであり、
前記他方の建築用壁パネル12(22,32)の表面に設けられる防水材13(23,33)は、端部が前記他方の建築用壁パネル12(22,32)の端部よりも、該他方の建築用壁パネル12(22,32)に接合される一方の建築用壁パネル10(20,30)側にはみ出す防水シートであり、
前記一方の建築用壁パネル10(20,30)の防水シート11(21,31)をめくって、前記一方の建築用壁パネル10(20,30)の表面のうち、該一方の建築用壁パネル10(20,30)に対して他方の建築用壁パネル12(22,32)が接合される部分と、その付近とを露出させ、
前記他方の建築用壁パネル12(22,32)の防水シート13(23,33)をめくって、前記他方の建築用壁パネル12(22,32)の表面のうち、該他方の建築用壁パネル12(22,32)に対して一方の建築用壁パネル10(20,30)が接合される部分と、その付近とを露出させ、
前記一方の建築用壁パネル10(20,30)に対して他方の建築用壁パネル12(22,32)を接合し、
その後、これら一方の建築用壁パネル10(20,30)と他方の建築用壁パネル12(22,32)との接合部で、前記一方の建築用壁パネル10(20,30)の防水シート11(21,31)と他方の建築用壁パネル12(22,32)の防水シート13(23,33)とを重ね合わせることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、前記一方の建築用壁パネル10(20,30)の防水シート11(21,31)をめくって、前記一方の建築用壁パネル10(20,30)の表面を露出させるとともに、前記他方の建築用壁パネル12(22,32)の防水シート13(23,33)をめくって、前記他方の建築用壁パネル12(22,32)の表面を露出させてから、前記一方の建築用壁パネル10(20,30)に対して他方の建築用壁パネル12(22,32)を接合するので、これら一方の建築用壁パネル10(20,30)と他方の建築用壁パネル12(22,32)とを確実に接合できる。また、その後、これら一方の建築用壁パネル10(20,30)と他方の建築用壁パネル12(22,32)との接合部で、前記一方の建築用壁パネル10(20,30)の防水シート11(21,31)と他方の建築用壁パネル12(22,32)の防水シート13(23,33)とを重ね合わせるので、該接合部を、少なくとも二重に防水できる。これによって、前記一方の建築用壁パネル10(20,30)と他方の建築用壁パネル12(22,32)との接合部において優れた防水性を発揮できる。
また、このような方法で、前記一方の建築用壁パネル10(20,30)と他方の建築用壁パネル12(22,32)との接合部を防水できるので、これら一方の建築用壁パネル10(20,30)と他方の建築用壁パネル12(22,32)とを上下や左右に隣接配置して形成される外壁の平らな部分や、前記一方の建築用壁パネル10(20)と他方の建築用壁パネル12(22)とを直交するようにして配置接合してなる建物の出隅部(例えば出隅部C1)や入隅部(例えば入隅部C2)にも確実に適用することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば図2(a),(b)に示すように、請求項2に記載の建物1の施工方法において、
前記一方および他方の建築用壁パネル20,22の防水シート21,23をめくる作業よりも前に、前記一方および他方の建築用壁パネル20,22に対し、それぞれ、前記防水シート21,23を介して、互いの端部間に隙間Sが形成可能となるように外装材20a,22aを取り付けておき、
前記一方の建築用壁パネル20に対して他方の建築用壁パネル22を接合し、前記隙間Sを利用して前記一方の防水シート21と他方の防水シート23とを重ね合わせた後、前記一方の建築用壁パネル20の外装材20aの端部と他方の建築用壁パネル22の外装材22aの端部との間に、前記隙間Sを被覆するとともに一方の外装材20aの端部と他方の外装材22aの端部とを連結する現場貼り外装材(図示せず)を設けることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、前記一方および他方の建築用壁パネル20,22に対し、それぞれ、互いの端部間に隙間Sが形成可能となるように外装材20a,22aを取り付けるので、この隙間Sを利用して前記防水シート21,23同士を確実に重ね合わせることができる。
すなわち、前記一方および他方の建築用壁パネル20,22に対して外装材20a,22aを取り付けた場合であっても、前記一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22との接合部を、少なくとも二重に防水できるので、該接合部において優れた防水性を発揮できる。
また、前記一方の建築用壁パネル20に対して他方の建築用壁パネル22を接合し、前記隙間Sを利用して前記一方の防水シート21と他方の防水シート23とを重ね合わせた後、前記一方の建築用壁パネル20の外装材20aの端部と他方の建築用壁パネル22の外装材22aの端部との間に前記現場貼り外装材を設けるので、この現場貼り外装材によって、前記防水シート21,23同士を重ね合わせた部分をさらに被覆できる。これによって、前記一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22との接合部において、より優れた防水性を発揮できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図4〜図10に示すように、請求項1に記載の建物1の施工方法において、
前記一方の建築用パネル40(50)は、住宅等の建物1の外壁を形成する建築用壁パネルであり、
前記他方の建築用パネル42(52)は、前記建築用壁パネル40(50)の表面から張り出すようにして該建築用壁パネル40(50)に接合される建築用屋根パネルであり、
前記建築用壁パネル40(50)の表面に設けられる防水材41(51)は、前記建築用壁パネル40(50)の表面のうち、前記建築用屋根パネル42(52)が接合される部分を除く部分に貼り付けられる防水シートであり、
前記建築用屋根パネル42(52)の表面に設けられる防水材43(53)は、前記建築用壁パネル40(50)の表面側にはみ出し、かつ該はみ出し部分43a(53a)の上部43b(53b)が前記建築用屋根パネル42(52)の上面よりも上方に位置するようにして、前記建築用屋根パネル42(52)の基端部の側端に貼り付けられる耐水シートであり、
前記建築用壁パネル40(50)の防水シート41(51)のうち、前記建築用屋根パネル42(52)の耐水シート43(53)がはみ出し部分43a(53a)の上部43b(53b)に対応する位置を切り込むことによって(例えば、切り込み41a,51a)、前記耐水シート43(53)のはみ出し部分43a(53a)の上部43b(53b)に対応する位置の前記建築用壁パネル40(50)の表面を露出させ、
前記建築用壁パネル40(50)に対して建築用屋根パネル42(52)を接合し、
その後、これら建築用壁パネル40(50)と建築用屋根パネル42(52)との接合部で、前記耐水シート43(53)のはみ出し部分43a(53a)の上部43b(53b)を前記防水シート41(51)の切り込み41a(51a)から該防水シート41(51)の裏側に潜り込ませながら、前記耐水シート43(53)を前記建築用屋根パネル42(52)の基端部の側端に貼り付けるとともに、この耐水シート43(53)のはみ出し部分43a(53a)を前記防水シート41(51)の表面に貼り付けることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、前記防水シート41(51)が貼り付けられていない建築用壁パネル40(50)の表面に対して、前記建築用屋根パネル42(52)を接合するので、これら建築用壁パネル40(50)と建築用屋根パネル42(52)とを確実に接合できる。
その後、これら建築用壁パネル40(50)と建築用屋根パネル42(52)との接合部で、前記耐水シート43(53)のはみ出し部分43a(53a)の上部43b(53b)を前記防水シート41(51)の切り込み41a(51a)から該防水シート41(51)の裏側に潜り込ませながら、前記耐水シート43(53)を前記建築用屋根パネル42(52)の基端部の側端に貼り付けるとともに、この耐水シート43(53)のはみ出し部分43a(53a)を前記防水シート41(51)の表面に貼り付けるので、該接合部を、少なくとも二重に防水できる。これによって、前記建築用壁パネル40(50)と他方の建築用パネル42(52)との接合部において優れた防水性を発揮できる。
また、このような方法で、前記一方の建築用パネル40(50)と他方の建築用パネル42(52)との接合部を防水できるので、これら一方の建築用壁パネル40(50)に対して他方の建築用壁パネル42(52)を接合して形成される庇や下屋等が設けられる部分にも確実に適用することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図11〜図14に示すように、請求項1に記載の建物1の施工方法において、
前記一方の建築用パネル60は、住宅等の建物1の外壁を形成する建築用壁パネルであり、
前記他方の建築用パネル62は、前記一方の建築用壁パネル60の表面から突出するようにして該一方の建築用壁パネル60に接合されるとともに、上端部が前記一方の建築用壁パネル60の上端部よりも下方に位置する建築用壁パネルであり、
前記一方の建築用壁パネル60の表面に設けられる防水材61は防水シートであり、
前記他方の建築用壁パネル62の表面に設けられる防水材63は、防水シート63aと、前記一方の建築用壁パネル60の表面側にはみ出し、かつ該はみ出し部分63dの上部63eが前記他方の建築用壁パネル62の上面よりも上方に位置するようにして、前記他方の建築用壁パネル62の基端部の上端に取り付けられる止水プレート63bとであり、
前記一方の建築用壁パネル60の防水シート61のうち、前記一方の建築用壁パネル60に対して他方の建築用壁パネル62が接合される部分に対応する位置を切り込むとともに、該一方の防水シート61をめくって、前記他方の建築用壁パネル62が接合される部分を露出させ、前記他方の建築用壁パネル62の防水シート63aをめくって、前記他方の建築用壁パネル62の基端部の表面を露出させ、
さらに、前記一方の建築用壁パネル60の防水シート61のうち、前記止水プレート63bのはみ出し部分63dの上部63eに対応する位置を切り込むことによって、前記止水プレート63bのはみ出し部分63dの上部63eに対応する位置の前記一方の建築用壁パネル60の表面を露出させ、
前記一方の建築用壁パネル60に対して他方の建築用壁パネル62を接合し、
その後、これら一方の建築用壁パネル60と他方の建築用パネル62との接合部で、めくっておいた一方および他方の建築用壁パネル60,62の防水シート61,63aを戻しながら、これら一方の防水シート61と他方の防水シート63aとを重ね合わせ、
その後、これら一方の建築用壁パネル60と他方の建築用壁パネル62との接合部で、前記止水プレート63bのはみ出し部分63dの上部63eを前記防水シート61の切り込み(例えば第2切り込み61b)から該防水シート61の裏側に潜り込ませながら、前記止水プレート63bを前記他方の建築用壁パネル62の基端部の上端に取り付けることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、前記一方の建築用壁パネル60の防水シート61のうち、前記一方の建築用壁パネル60に対して他方の建築用壁パネル62が接合される部分に対応する位置を切り込むとともに、該一方の防水シート61をめくって、前記他方の建築用壁パネル62が接合される部分を露出させ、前記他方の建築用壁パネル62の防水シート63aをめくって、前記他方の建築用壁パネル62の基端部の表面を露出させてから、前記一方の建築用壁パネル60に対して他方の建築用壁パネル62を接合するので、これら一方の建築用壁パネル60と他方の建築用パネル62とを確実に接合できる。
その後、これら一方の建築用壁パネル60と他方の建築用パネル62との接合部で、めくっておいた一方および他方の建築用壁パネル60,62の防水シート61,63aを戻しながら、これら一方の防水シート61と他方の防水シート63aとを重ね合わせるので、該接合部を、少なくとも二重に防水できる。
さらに、これら一方の建築用壁パネル60と他方の建築用壁パネル62との接合部で、前記止水プレート63bのはみ出し部分63dの上部63eを前記防水シート61の切り込み(例えば第2切り込み61b)から該防水シート61の裏側に潜り込ませながら、前記止水プレート63bを前記他方の建築用壁パネル62の基端部の上端に取り付けるので、この他方の建築用壁パネル62の基端部の上端と前記一方の建築用壁パネル60の防水シート61との間を、少なくとも二重に防水できる。
これによって、前記一方の建築用壁パネル60と他方の建築用パネル62との接合部において優れた防水性を発揮できる。
また、このような方法で、前記一方の建築用パネル60と他方の建築用パネル62との接合部を防水できるので、これら一方の建築用壁パネル60に対して他方の建築用壁パネル62を接合して形成される手摺壁や袖壁等が設けられる部分にも確実に適用することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、例えば図15および図16に示すように、請求項1に記載の建物1の施工方法において、
前記一方の建築用パネル70は、住宅等の建物1の外壁を形成する建築用壁パネルであり、
前記他方の建築用パネル72は、前記一方の建築用壁パネル70の表面から突出するようにして該一方の建築用壁パネル70に接合されるとともに、下端部が前記一方の建築用壁パネル70の下端部よりも上方に位置する建築用壁パネルであり、
前記一方の建築用壁パネル70の表面に設けられる防水材71は防水シートであり、
前記他方の建築用壁パネル72の表面に設けられる防水材73は、防水シート73aと、前記一方の建築用壁パネル70の表面側にはみ出し、かつ該はみ出し部分73dの下部73eが前記他方の建築用壁パネル72の下面よりも下方に位置するようにして、前記他方の建築用壁パネル72の基端部の下端に取り付けられる止水プレート73bとであり、
前記一方の建築用壁パネル70の防水シート71をめくって、前記一方の建築用壁パネル70の表面のうち、該一方の建築用壁パネル70に対して他方の建築用壁パネル72が接合される部分を露出させるとともに、前記他方の建築用壁パネル72の防水シート73aをめくって、前記他方の建築用壁パネル72の基端部の表面を露出させ、
前記一方の建築用壁パネル70に対して他方の建築用壁パネル72を接合し、
その後、これら一方の建築用壁パネル70と他方の建築用壁パネル72との接合部で、前記止水プレート73bを、この止水プレート73bのはみ出し部分73dを前記一方の建築用壁パネル70の露出した表面に当接させるとともに、このはみ出し部分73dの下部73eを前記一方の建築用壁パネル70の防水シート71の表面に当接させながら、前記他方の建築用壁パネル72の基端部の下端に取り付け、
その後、前記一方の建築用壁パネル70と他方の建築用パネル72との接合部で、めくっておいた一方および他方の建築用壁パネル70,72の防水シート71,73aを戻しながら、これら一方の防水シート71と他方の防水シート73aとを重ね合わせ、これら一方および他方の防水シート71,73aを前記止水プレート73bに被せることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、前記一方の建築用壁パネル70の防水シート71をめくって、前記一方の建築用壁パネル70の表面のうち、該一方の建築用壁パネル70に対して他方の建築用壁パネル72が接合される部分を露出させるとともに、前記他方の建築用壁パネル72の防水シート73aをめくって、前記他方の建築用壁パネル72の基端部の表面を露出させてから、前記一方の建築用壁パネル70に対して他方の建築用壁パネル72を接合するので、これら一方の建築用壁パネル70と他方の建築用パネル72とを確実に接合できる。
その後、これら一方の建築用壁パネル70と他方の建築用壁パネル72との接合部で、前記止水プレート73bを、この止水プレート73bのはみ出し部分73dを前記一方の建築用壁パネル70の露出した表面に当接させるとともに、このはみ出し部分73dの下部73eを前記一方の建築用壁パネル70の防水シート71の表面に当接させながら、前記他方の建築用壁パネル72の基端部の下端に取り付けるので、この他方の建築用壁パネル72の基端部の下端と前記一方の建築用壁パネル70の防水シート71との間を、少なくとも二重に防水できる。
さらに、前記一方の建築用壁パネル70と他方の建築用パネル72との接合部で、めくっておいた一方および他方の建築用壁パネル70,72の防水シート71,73aを戻しながら、これら一方の防水シート71と他方の防水シート73aとを重ね合わせ、これら一方および他方の防水シート71,73aを前記止水プレート73bに被せるので、該接合部を、少なくとも二重に防水できる。
これによって、前記一方の建築用壁パネル70と他方の建築用パネル72との接合部において優れた防水性を発揮できる。
また、このような方法で、前記一方の建築用パネル70と他方の建築用パネル72との接合部を防水できるので、これら一方の建築用壁パネル70に対して他方の建築用壁パネル72を接合して形成される下がり壁や袖壁等が設けられる部分にも確実に適用することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、例えば図1,2,6,7,10,12,14,16に示すように、請求項1〜6のいずれか一項に記載の建物1の施工方法において、
前記一方の建築用パネル10(20,40,50,60,70)の防水材11(21,41,51,61,71)と他方の建築用パネル12(22,42,52,62,72)の防水材13(23,43,53,63,73)とを重ね合わせた後、これら一方の防水材11(21,41,51,61,71)と他方の防水材13(23,43,53,63,73)との境目を塞ぐようにしてジョイントテープ14(24,44,54,64,74)を貼着し、これら一方の防水材11(21,41,51,61,71)と他方の防水材13(23,43,53,63,73)とをジョイントすることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、前記一方の建築用パネル10(20,40,50,60,70)の防水材11(21,41,51,61,71)と他方の建築用パネル12(22,42,52,62,72)の防水材13(23,43,53,63,73)とを重ね合わせた後、これら一方の防水材11(21,41,51,61,71)と他方の防水材13(23,43,53,63,73)との境目を塞ぐようにしてジョイントテープ14(24,44,54,64,74)を貼着し、これら一方の防水材11(21,41,51,61,71)と他方の防水材13(23,43,53,63,73)とをジョイントするので、これら一方の防水材11(21,41,51,61,71)と他方の防水材13(23,43,53,63,73)との境目において優れた防水性を発揮できる。
また、前記ジョイントテープ14(24,44,54,64,74)が貼着される部分であれば、このジョイントテープ14(24,44,54,64,74)を貼着する前に、前記一方の防水材11(21,41,51,61,71)と他方の防水材13(23,43,53,63,73)とを釘等の止着材で止着したとしても、この止着材による孔を前記ジョイントテープ14(24,44,54,64,74)で塞ぐことができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、建物1であって、例えば図1〜図16に示すように、請求項1〜7のいずれか一項に記載の建物1の施工方法によって建築されることを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1〜7のいずれか一項に記載の建物1の施工方法で、前記一方の建築用パネル10(20,30,40,50,60,70)と他方の建築用パネル12(22,32,42,52,62,72)との接合部を防水できるので、建物1の様々な箇所に適用することができ、適用された建物1の様々な箇所で優れた防水性を発揮することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、表面に防水材が設けられる一方の建築用パネルの表面のうち、この一方の建築用パネルに対して、表面に防水材が設けられる他方の建築用パネルが接合される部分を露出させてから、露出した一方の建築用パネルの表面に他方の建築用パネルを接合するので、これら一方の建築用パネルと他方の建築用パネルとを確実に接合できる。また、その後、これら一方の建築用パネルと他方の建築用パネルとの接合部で、一方の建築用パネルの防水材と他方の建築用パネルの防水材とを重ね合わせるので、該接合部を、少なくとも二重に防水できる。これによって、一方の建築用パネルと他方の建築用パネルとの接合部において優れた防水性を発揮できる。
また、このような方法で、一方の建築用パネルと他方の建築用パネルとの接合部を防水できるので、住宅等の建物の様々な箇所に適用することができ、建築用パネルを用いて住宅等の建物を施工する際に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施の形態に係る建物の施工方法を説明する斜視図である。
【図2】第2の実施の形態に係る建物の施工方法を説明する斜視図である。
【図3】第3の実施の形態に係る建物の施工方法を説明する斜視図である。
【図4】第4の実施の形態に係る建物の施工方法を説明する斜視図であり、施工手順の一つを示すものである。
【図5】図4に示す建築用屋根パネルに貼り付けられる耐水シートの実施の形態を示す斜視図である。
【図6】第4の実施の形態に係る建物の施工方法を説明する斜視図であり、施工手順の一つを示すものである。
【図7】第4の実施の形態に係る建物の施工方法を説明する斜視図であり、施工手順の一つを示すものである。
【図8】第5の実施の形態に係る建物の施工方法を説明する斜視図であり、施工手順の一つを示すものである。
【図9】図8に示す建築用屋根パネルに貼り付けられる耐水シートの実施の形態を示す斜視図である。
【図10】第5の実施の形態に係る建物の施工方法を説明する斜視図であり、施工手順の一つを示すものである。
【図11】第6の実施の形態に係る建物の施工方法を説明する斜視図であり、施工手順の一つを示すものである。
【図12】第6の実施の形態に係る建物の施工方法を説明する斜視図であり、施工手順の一つを示すものである。
【図13】図12に示す他方の建築用壁パネルの基端部の上端に取り付けられる止水プレートの実施の形態を示す斜視図である。
【図14】第6の実施の形態に係る建物の施工方法を説明する斜視図であり、施工手順の一つを示すものである。
【図15】第7の実施の形態に係る建物の施工方法を説明する斜視図であり、施工手順の一つを示すものである。
【図16】第7の実施の形態に係る建物の施工方法を説明する斜視図であり、施工手順の一つを示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の建物の施工方法について、第1〜第7の実施の形態まで説明する。
なお、第2の実施の形態以降の各実施の形態では、便宜上、既述した実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
【0025】
本発明の実施の形態の建物の施工方法によって建築される住宅等の建物1は、壁や床、屋根といった建物の構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらの建築用パネルを組み立てて構築するパネル工法で構築されるものである。また、その他、壁式工法の木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の建物にも適用することができる。
ここで、建築用パネルとは、縦横の框材が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助桟材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面もしくは片面に、面材が貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。
また、その内部中空な部分には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填されるものである。
【0026】
また、一方の建築用パネルと他方の建築用パネルとを接合する際は、これら一方の建築用パネルと他方の建築用パネルとが当接する面に接着剤を塗布して、これら一方の建築用パネルと他方の建築用パネルとを接着したり、一方の建築用パネルから他方の建築用パネルに向かって釘等の止着材を打ち込んだり、他方の建築用パネルから一方の建築用パネルに向かって釘等の止着材を打ち込んだりする方法が採られる。
【0027】
さらに、建築用壁パネルにおいては、屋外に面して配置される面材の外側面に、雨水等の浸入を防止する防水シート等の防水材(後述する)が貼り付けられる。また、建築用屋根パネルにおいては、該建築用屋根パネルの上面側に貼設された面材の上面にルーフィング等の防水材が貼り付けられる。
【0028】
なお、建築用壁パネルの外側面に貼り付けられる防水シートとしては、例えば、商品名「タイベック(デュポン社製)」等を採用できる。このような防水シートによれば、防水シートの屋内側からの湿気を屋外側へ放散して壁体構造の内部に結露が生じさせないようにしながら、屋外からの雨水等の浸入を防止でき、壁体構造を保護できる。
【0029】
また、建築用パネル同士の接続部分には、上述の防水シートとは異なる防水材が設けられる場合がある。例えば、建築用壁パネルと、この建築用壁パネルの表面から張り出すようにして該建築用壁パネルに接合される建築用屋根パネルとの取り合い部分には耐水シート(後述する)が貼り付けられたり、外壁を形成する建築用壁パネルと、バルコニーの手摺壁を形成する建築用壁パネルとの取り合い部分には止水プレート(後述する)が取り付けられたりする。
【0030】
以上のような、表面に防水材が設けられる一方の建築用パネルと、表面に防水材が設けられる他方の建築用パネルとを接合して住宅等の建物1を施工する際は、一方の建築用パネルの表面のうち、一方の建築用パネルに対して他方の建築用パネルが接合される部分を露出させ、露出した一方の建築用パネルの表面に他方の建築用パネルを接合し、これら一方の建築用パネルと他方の建築用パネルとの接合部で、一方の建築用パネルの防水材と他方の建築用パネルの防水材とを重ね合わせるようにして行われる。
【0031】
なお、建物1は、以下に説明する各実施の形態の建物1の施工方法を採用して建築されており、建物1の様々な箇所(例えば、外壁や下屋付近、手摺壁付近、下がり壁付近)において前記一方の建築用パネルと他方の建築用パネルとの接合部を防水できるので、建物1の施工方法が適用された建物1の様々な箇所で優れた防水性を発揮することが可能となっている。
また、建物1は、以下に説明する各実施の形態の建物1の施工方法を採用して建築されているとしたが、これに限られるものではなく、以下に説明する各実施の形態の少なくとも一つの建物1の施工方法を採用して建築されるものとしてもよい。
【0032】
(第1の実施の形態)
図1は本実施の形態に係る建物の施工方法を説明する斜視図である。
図1には、本実施の形態の建物1の施工方法によって建築される住宅等の建物1の外壁が示されている。
本実施の形態の施工方法によって建築される建物1の外壁は、この外壁の平らな部分を、一方の建築用壁パネル10と他方の建築用壁パネル12とを幅方向に沿って左右に並設接合し、出隅部C1を、一方の建築用壁パネル10と他方の建築用壁パネル12とを直交して配置するとともに互いの端部を接合し、入隅部C2を、一方の建築用壁パネル10と他方の建築用壁パネル12とを直交して配置するとともに互いの端部を接合することによって形成されている。
【0033】
また、これら一方および他方の建築用壁パネル10,12の外側面には、予め、それぞれ防水シート11,13が貼り付けられている。
なお、前記一方の建築用壁パネル10の外側面に貼り付けられる防水シート11は、側端部が、前記一方の建築用壁パネル10の側端部よりも、該一方の建築用壁パネル10に接合される他方の建築用壁パネル12側にはみ出すようにして、前記一方の建築用壁パネル10の外側面に貼り付けられている。
また、前記他方の建築用壁パネル12の外側面に貼り付けられる防水シート13は、側端部が、前記他方の建築用壁パネル12の側端部よりも、該他方の建築用壁パネル12に接合される一方の建築用壁パネル10側にはみ出すようにして、前記他方の建築用壁パネル12の外側面に貼り付けられている。
つまり、これら防水シート11,13の幅寸法は、前記建築用壁パネル10,12の幅寸法よりも長尺に設定されている。
【0034】
建物1の外壁を建築する方法として、まず、上述の外壁の平らな部分を施工する方法について説明する。
【0035】
まず、予め、前記一方の建築用壁パネル10に貼り付けられた防水シート11をめくって、前記一方の建築用壁パネル10の表面のうち、該一方の建築用壁パネル10に対して他方の建築用壁パネル12が接合される部分と、その付近とを露出させておく。
すなわち、図1(a)に示すように、前記一方の建築用壁パネル10の側端面と、この一方の建築用壁パネル10の側端部付近の外側面を露出させておくようにする。
【0036】
露出させる際は、前記防水シート11をめくり、その端部を、粘着テープ15等によって該防水シート11の中央側に留めておくのが好ましい。つまり、予め、工場等で防水シート11を前記一方の建築用壁パネル10の外側面に貼り付けた後、この防水シート11をめくって留め付けた状態で輸送できるので、現場での施工効率を向上させることができる。
【0037】
また、前記他方の建築用壁パネル12に貼り付けられた防水シート13も、前記防水シート11と同様に、予めめくって、粘着テープ15等で留め付けておくようにする。そして、前記他方の建築用壁パネル12の側端面と、この他方の建築用壁パネル12の側端部付近の外側面を露出させておく。
【0038】
続いて、このような状態の前記一方の建築用壁パネル10と他方の建築用壁パネル12の露出させておいた側端面同士を当接させ、さらに、露出させておいた側端部付近の外側面から、斜めに交差するように釘等の止着材Nを打ち込むことによって、前記一方の建築用壁パネル10と他方の建築用壁パネル12とを接合する。
【0039】
なお、これら一方の建築用壁パネル10の側端面と他方の建築用壁パネル12の側端面との間には、これら一方の建築用壁パネル10と他方の建築用壁パネル12とを当接させる前に接着剤が塗布されており、止着材Nによる接合とともに、接着剤による接合も行われるようになっている。
【0040】
その後、前記粘着テープ15をはがして、前記防水シート11,13を前記一方および他方の建築用壁パネル10,12の外側面の中央側からはがしておく。
そして、図1(b)に示すように、前記一方の建築用壁パネル10と他方の建築用壁パネル12との接合部で、前記一方の建築用壁パネル10の防水シート11と他方の建築用壁パネル12の防水シート13とを重ね合わせる。
【0041】
なお、必要に応じて、これら重ね合わせた一方の防水シート11と他方の防水シート13との境目を塞ぐようにしてジョイントテープ14を貼着し、これら一方の防水シート11と他方の防水シート13とをジョイントする。
【0042】
次に、出隅部C1を施工する方法について説明する。
出隅部C1を形成する一方および他方の建築用壁パネル10,12の構成は、前記外壁の平らな部分を形成する一方および他方の建築用壁パネル10,12と同様である。
また、施工も、これら一方および他方の建築用壁パネル10,12の表面に貼り付けられた防水シート11,13をめくって、前記一方および他方の建築用壁パネル10,12の側端面と、これら一方および他方の建築用壁パネル10,12の側端部付近の外側面を露出させておく手順まで同様であるため、以下、説明を省略する。
【0043】
そして、前記防水シート11,13をめくっておいた後、図1(a)に示すように、前記一方の建築用壁パネル10の側端部の内側面と、前記他方の建築用壁パネル12の側端面とを当接させ、さらに、前記他方の建築用壁パネル12の露出させておいた側端部付近の外側面から、斜めに前記一方の建築用壁パネル10に向かって釘等の止着材Nを打ち込むことによって、前記一方の建築用壁パネル10と他方の建築用壁パネル12とを接合する。
【0044】
なお、これら一方の建築用壁パネル10の側端面と他方の建築用壁パネル12の側端面との間に接着剤を塗布し、止着材Nによる接合とともに、接着剤による接合も行う点も同様であるため、以下、説明を省略する。
【0045】
前記一方の建築用壁パネル10と他方の建築用壁パネル12とを接合した後、前記一方および他方の防水シート11,13を留め付けておいた粘着テープ15をはがして、前記防水シート11,13を前記一方および他方の建築用壁パネル10,12の外側面の中央側からはがしておく。
そして、図1(b)に示すように、前記一方の建築用壁パネル10と他方の建築用壁パネル12との接合部で、前記一方の建築用壁パネル10の防水シート11と他方の建築用壁パネル12の防水シート13とを重ね合わせる。
【0046】
また、これら重ね合わせた一方の防水シート11と他方の防水シート13との境目を塞ぐようにしてジョイントテープ14を貼着し、これら一方の防水シート11と他方の防水シート13とをジョイントする。
【0047】
次に、入隅部C2を施工する方法について説明する。
入隅部C2を形成する一方および他方の建築用壁パネル10,12の構成は、前記外壁の平らな部分および出隅部C1を形成する一方および他方の建築用壁パネル10,12と同様である。
【0048】
そして、防水シート11,13をめくっておいた後は、図1(a)に示すように、一方の建築用壁パネル10の側端面と、他方の建築用壁パネル12の側端部の内側面とを当接させ、さらに、前記一方の建築用壁パネル10の露出させておいた側端部付近の外側面から、斜めに前記他方の建築用壁パネル12に向かって釘等の止着材Nを打ち込むことによって、前記一方の建築用壁パネル10と他方の建築用壁パネル12とを接合する。
【0049】
その後、前記一方の建築用壁パネル10と他方の建築用壁パネル12との接合部で、前記一方の建築用壁パネル10の防水シート11と他方の建築用壁パネル12の防水シート13とを重ね合わせる。
また、これら重ね合わせた一方の防水シート11と他方の防水シート13との境目を塞ぐようにしてジョイントテープ14を貼着し、これら一方の防水シート11と他方の防水シート13とをジョイントする。
【0050】
以上のような建物1の施工方法を採用することによって、建物1の外壁、すなわち、平らな部分と出隅部C1と入隅部C2とを形成できる。
【0051】
本実施の形態によれば、前記一方の建築用壁パネル10の防水シート11をめくって、前記一方の建築用壁パネル10の表面を露出させるとともに、前記他方の建築用壁パネル12の防水シート13をめくって、前記他方の建築用壁パネル12の表面を露出させてから、前記一方の建築用壁パネル10に対して他方の建築用壁パネル12を接合するので、これら一方の建築用壁パネル10と他方の建築用壁パネル12とを確実に接合できる。また、その後、これら一方の建築用壁パネル10と他方の建築用壁パネル12との接合部で、前記一方の建築用壁パネル10の防水シート11と他方の建築用壁パネル12の防水シート13とを重ね合わせるので、該接合部を、少なくとも二重に防水できる。これによって、前記一方の建築用壁パネル10と他方の建築用壁パネル12との接合部において優れた防水性を発揮できる。
また、このような方法で、前記一方の建築用壁パネル10と他方の建築用壁パネル12との接合部を防水できるので、これら一方の建築用壁パネル10と他方の建築用壁パネル12とを左右に隣接配置して形成される外壁の平らな部分や、前記一方の建築用壁パネル10と他方の建築用壁パネル12とを直交するようにして配置、接合してなる建物の出隅部C1や入隅部C2にも確実に適用することができる。
【0052】
また、前記一方の建築用パネル10の防水材11と他方の建築用パネル12の防水材13とを重ね合わせた後、これら一方の防水材11と他方の防水材13との境目を塞ぐようにしてジョイントテープ14を貼着し、これら一方の防水材11と他方の防水材13とをジョイントするので、これら一方の防水材11と他方の防水材13との境目において優れた防水性を発揮できる。
また、前記ジョイントテープ14が貼着される部分であれば、このジョイントテープ14を貼着する前に、前記一方の防水材11と他方の防水材13とを釘等の止着材で止着したとしても、この止着材による孔を前記ジョイントテープ14で塞ぐことができる。
【0053】
(第2の実施の形態)
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。
図2は、本実施の形態に係る建物の施工方法を説明する斜視図である。
図2には、本実施の形態の建物1の施工方法によって建築される住宅等の建物1の外壁が示されている。
本実施の形態の施工方法によって建築される建物1の外壁は、この外壁の平らな部分を、一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22とを幅方向に沿って左右に並設接合し、出隅部C1を、一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22とを直交して配置するとともに互いの端部を接合し、入隅部C2を、一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22とを直交して配置するとともに互いの端部を接合することによって形成されている。
【0054】
また、これら一方および他方の建築用壁パネル20,22の外側面には、予め、それぞれ防水シート21,23が貼り付けられている。
なお、前記一方の建築用壁パネル20の外側面に貼り付けられる防水シート21は、側端部が、前記一方の建築用壁パネル20の側端部よりも、該一方の建築用壁パネル20に接合される他方の建築用壁パネル22側にはみ出すようにして、前記一方の建築用壁パネル20の外側面に貼り付けられている。
また、前記他方の建築用壁パネル22の外側面に貼り付けられる防水シート23は、側端部が、前記他方の建築用壁パネル22の側端部よりも、該他方の建築用壁パネル22に接合される一方の建築用壁パネル20側にはみ出すようにして、前記他方の建築用壁パネル22の外側面に貼り付けられている。
つまり、これら防水シート21,23の幅寸法は、前記建築用壁パネル20,22の幅寸法よりも長尺に設定されている。
【0055】
さらに、前記一方の建築用壁パネル20の外側面には、予め、前記防水シート21を介して外装材20aが取り付けられており、前記他方の建築用壁パネル22の外側面には、予め、前記防水シート23を介して外装材22aが取り付けられている。
これら外装材20a,22aは、後述する一方および他方の建築用壁パネル20,22の防水シート21,23をめくる作業よりも前に、前記一方および他方の建築用壁パネル20,22に対し、それぞれ前記防水シート21,23を介して取り付けられる。
【0056】
なお、これら外装材20a,22aは、該一方の外装材20aの側端部と他方の外装材22aの側端部との間に、前記防水シート21,23同士を重ね合わせるための隙間Sが形成可能となるように前記一方および他方の建築用壁パネル20,22にそれぞれ取り付けられている。
【0057】
すなわち、前記外装材20aは、側端部が、前記一方の建築用壁パネル20の側端部よりも該一方の建築用壁パネル20の中央側に位置するようにして前記一方の建築用壁パネル20に取り付けられており、前記外装材22aは、側端部が、前記他方の建築用壁パネル22の側端部よりも該他方の建築用壁パネル22の中央側に位置するようにして前記他方の建築用壁パネル22に取り付けられている。
したがって、前記一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22とを接合した際に、一方の外装材20aの側端部と他方の外装材22aの側端部との間に隙間Sができるようになっている。
【0058】
また、これら外装材20a,22aは、前記防水シート21,23の表面に取り付け固定される胴縁26を介して前記一方および他方の建築用壁パネル10,20の表面に取り付けられている。
この胴縁26は、前記一方および他方の建築用壁パネル10,20上下方向に沿って長尺に形成されるとともに、これら一方および他方の建築用壁パネル10,20の幅方向に所定の間隔をあけて複数並設されており、前記外装材20a,22aは、これら複数の胴縁26間に架設されている。
【0059】
なお、図示はしないが、前記一方の建築用壁パネル20の外装材20aの側端部と他方の建築用壁パネル22の外装材22aの側端部との間には、これら一方の外装材20aの側端部と他方の外装材22aの側端部とを連結する現場貼り外装材(図示せず)が設けられるようになっている。
また、このような外装材20a,22aおよび現場貼り外装材としては、例えば軽量気泡コンクリート等の無機質系の材料からなり、屋外側の表面において化粧目地等が施されるものが用いられている。
【0060】
建物1の外壁を建築する方法として、まず、上述の外壁の平らな部分を施工する方法について説明する。
【0061】
まず、予め、前記一方の建築用壁パネル20に貼り付けられた防水シート21をめくって、前記一方の建築用壁パネル20の表面のうち、該一方の建築用壁パネル20に対して他方の建築用壁パネル22が接合される部分と、その付近とを露出させておく。
すなわち、図2(a)に示すように、前記一方の建築用壁パネル20の側端面と、この一方の建築用壁パネル20の側端部付近の外側面を露出させておくようにする。
【0062】
露出させる際は、前記防水シート21を、前記一方の建築用壁パネル20に取り付けられた外装材20aの側端部を回転の中心とするようにしてめくり上げ、その端部を、粘着テープ25によって前記外装材20aの表面に留め付ける。
なお、防水シート21の端部を留め付けておく位置に外装材20aが配置されていなければ、粘着テープ25等によって前記防水シート21の中央側に留めておく。
【0063】
また、前記他方の建築用壁パネル22に貼り付けられた防水シート23も、前記防水シート21と同様に、予めめくって、粘着テープ25等で留め付けておくようにする。そして、前記他方の建築用壁パネル22の側端面と、この他方の建築用壁パネル22の側端部付近の外側面を露出させておく。
露出させる際は、前記防水シート23の端部を、適宜、前記外装材22aの表面か、前記防水シート23の中央側に留めておく。
【0064】
続いて、このような状態の前記一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22の露出させておいた側端面同士を当接させ、さらに、露出させておいた側端部付近の外側面から、斜めに交差するように釘等の止着材Nを打ち込むことによって、前記一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22とを接合する。
【0065】
なお、これら一方の建築用壁パネル20の側端面と他方の建築用壁パネル22の側端面との間には、これら一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22とを当接させる前に接着剤が塗布されており、止着材Nによる接合とともに、接着剤による接合も行われるようになっている。
【0066】
その後、前記粘着テープ25をはがして、前記防水シート21,23を前記一方および他方の建築用壁パネル20,22から剥がしておく。
そして、図2(b)に示すように、前記一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22との接合部で、前記一方の建築用壁パネル20の防水シート21と他方の建築用壁パネル22の防水シート23とを重ね合わせる。
【0067】
なお、必要に応じて、これら重ね合わせた一方の防水シート21と他方の防水シート23との境目を塞ぐようにしてジョイントテープ24を貼着し、これら一方の防水シート21と他方の防水シート23とをジョイントする。
【0068】
そして、このように前記一方の建築用壁パネル20の防水シート21と他方の建築用壁パネル22の防水シート23とを重ね合わせた後、前記隙間Sに、前記一方の外装材20aの側端部と他方の外装材22aの側端部とを連結する現場貼り外装材を設ける。
なお、外壁の平らな部分における現場貼り外装材は平板状のものである。
【0069】
次に、出隅部C1を施工する方法について説明する。
出隅部C1を形成する一方および他方の建築用壁パネル20,22の構成は、前記外壁の平らな部分を形成する一方および他方の建築用壁パネル20,22と同様である。また、施工も、これら一方および他方の建築用壁パネル20,22の表面に貼り付けられた防水シート21,23をめくって、前記一方および他方の建築用壁パネル20,22の側端面と、これら一方および他方の建築用壁パネル20,22の側端部付近の外側面を露出させておく手順まで同様であるため、以下、説明を省略する。
【0070】
そして、これら防水シート21,23をめくっておいた後、図2(a)に示すように、前記一方の建築用壁パネル20の側端部の内側面と、前記他方の建築用壁パネル22の側端面とを当接させ、さらに、前記他方の建築用壁パネル22の露出させておいた側端部付近の外側面から、斜めに前記一方の建築用壁パネル20に向かって釘等の止着材Nを打ち込むことによって、前記一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22とを接合する。
【0071】
なお、これら一方の建築用壁パネル20の側端面と他方の建築用壁パネル22の側端面との間に接着剤を塗布し、止着材Nによる接合とともに、接着剤による接合も行う点も同様であるため、以下、説明を省略する。
【0072】
前記一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22とを接合した後、前記一方および他方の防水シート21,23を留め付けておいた粘着テープ25をはがして、前記防水シート21,23を前記一方および他方の建築用壁パネル20,22の外側面の中央側からはがしておく。
そして、図2(b)に示すように、前記一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22との接合部で、前記隙間Sを利用して、前記一方の建築用壁パネル20の防水シート21と他方の建築用壁パネル22の防水シート23とを重ね合わせる。
【0073】
また、これら重ね合わせた一方の防水シート21と他方の防水シート23との境目を塞ぐようにしてジョイントテープ24を貼着し、これら一方の防水シート21と他方の防水シート23とをジョイントする。
【0074】
その後、前記一方の建築用壁パネル20の防水シート21と他方の建築用壁パネル22の防水シート23とを重ね合わせた後、前記隙間Sに、前記一方の外装材20aの側端部と他方の外装材22aの側端部とを連結する現場貼り外装材を設ける。
なお、出隅部C1における現場貼り外装材は、断面L字型に形成されるとともに、外角を形成する2面を表面とし、内角を形成する2面を裏面とするコーナ用外装材である。
【0075】
次に、入隅部C2を施工する方法について説明する。
入隅部C2を形成する一方および他方の建築用壁パネル20,22の構成は、前記外壁の平らな部分および出隅部C1を形成する一方および他方の建築用壁パネル20,22と同様である。
【0076】
そして、防水シート21,23をめくっておいた後は、図2(a)に示すように、一方の建築用壁パネル20の側端面と、他方の建築用壁パネル22の側端部の内側面とを当接させ、さらに、前記一方の建築用壁パネル20の露出させておいた側端部付近の外側面から、斜めに前記他方の建築用壁パネル22に向かって釘等の止着材Nを打ち込むことによって、前記一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22とを接合する。
【0077】
その後、前記一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22との接合部で、隙間Sを利用して、前記一方の建築用壁パネル20の防水シート21と他方の建築用壁パネル22の防水シート23とを重ね合わせる。
【0078】
また、これら重ね合わせた一方の防水シート21と他方の防水シート23との境目を塞ぐようにしてジョイントテープ24を貼着し、これら一方の防水シート21と他方の防水シート23とをジョイントする。
【0079】
そして、前記一方の建築用壁パネル20の防水シート21と他方の建築用壁パネル22の防水シート23とを重ね合わせた後、前記隙間Sに、前記一方の外装材20aの側端部と他方の外装材22aの側端部とを連結する現場貼り外装材を設ける。
なお、入隅部C2における現場貼り外装材は、断面L字型に形成されるとともに、内角を形成する2面を表面とし、外角を形成する2面を裏面とするコーナ用外装材である。
【0080】
以上のような建物1の施工方法を採用することによって、建物1の外壁、すなわち、平らな部分と出隅部C1と入隅部C2とを形成できる。
【0081】
本実施の形態によれば、前記一方の建築用壁パネル20の防水シート21をめくって、前記一方の建築用壁パネル20の表面を露出させるとともに、前記他方の建築用壁パネル22の防水シート23をめくって、前記他方の建築用壁パネル22の表面を露出させてから、前記一方の建築用壁パネル20に対して他方の建築用壁パネル22を接合するので、これら一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22とを確実に接合できる。また、その後、これら一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22との接合部で、前記一方の建築用壁パネル20の防水シート21と他方の建築用壁パネル22の防水シート23とを重ね合わせるので、該接合部を、少なくとも二重に防水できる。これによって、前記一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22との接合部において優れた防水性を発揮できる。
また、このような方法で、前記一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22との接合部を防水できるので、これら一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22とを左右に隣接配置して形成される外壁の平らな部分や、前記一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22とを直交するようにして配置するとともに互いの端部を接合してなる建物の出隅部C1や入隅部C2にも確実に適用することができる。
【0082】
また、前記一方および他方の建築用壁パネル20,22に対し、それぞれ、互いの端部間に隙間Sが形成可能となるように外装材20a,22aを取り付けるので、この隙間Sを利用して前記防水シート21,23同士を確実に重ね合わせることができる。
すなわち、前記一方および他方の建築用壁パネル20,22に対して外装材20a,22aを取り付けた場合であっても、前記一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22との接合部を、少なくとも二重に防水できるので、該接合部において優れた防水性を発揮できる。
また、前記一方の建築用壁パネル20に対して他方の建築用壁パネル22を接合し、前記隙間Sを利用して前記一方の防水シート21と他方の防水シート23とを重ね合わせた後、前記一方の建築用壁パネル20の外装材20aの端部と他方の建築用壁パネル22の外装材22aの端部との間に前記現場貼り外装材を設けるので、この現場貼り外装材によって、前記防水シート21,23同士を重ね合わせた部分をさらに被覆できる。これによって、前記一方の建築用壁パネル20と他方の建築用壁パネル22との接合部において、より優れた防水性を発揮できる。
【0083】
(第3の実施の形態)
次に、図面を参照して本発明の第3の実施の形態について説明する。
図3は、本実施の形態に係る建物の施工方法を説明する斜視図である。
図3には、本実施の形態の建物1の施工方法によって建築される住宅等の建物1の外壁が示されている。
本実施の形態の施工方法によって建築される建物1の外壁は、一方の建築用壁パネル30と他方の建築用壁パネル32とを、建物1の上下階方向に、建物1の上階の床を介して隣接配置することによって形成されている。
なお、前記上階の床は、建築用床パネル34によって構成されている。
また、前記一方の建築用壁パネル30を上階側に配置し、前記他方の建築用壁パネル30を下階側に配置する。
【0084】
また、これら一方および他方の建築用壁パネル30,32の外側面には、予め、それぞれ防水シート31,33が貼り付けられている。
なお、前記一方の建築用壁パネル30の外側面に貼り付けられる防水シート31は、下端部が、前記一方の建築用壁パネル30の下端部よりも、該一方の建築用壁パネル30に接合される他方の建築用壁パネル32側にはみ出すようにして、前記一方の建築用壁パネル30の外側面に貼り付けられている。
また、前記他方の建築用壁パネル32の外側面に貼り付けられる防水シート33は、上端部が、前記他方の建築用壁パネル32の上端部よりも、該他方の建築用壁パネル32に接合される一方の建築用壁パネル30側にはみ出すようにして、前記他方の建築用壁パネル32の外側面に貼り付けられている。
つまり、これら防水シート31,33の上下方向の長さ寸法は、前記建築用壁パネル30,32の上下方向の長さ寸法よりも長尺に設定されている。
【0085】
続いて、建物1の上下階にわたる外壁の平らな部分を施工する方法について説明する。
【0086】
まず、予め、前記一方の建築用壁パネル30に貼り付けられた防水シート31をめくって、前記一方の建築用壁パネル30の表面のうち、該一方の建築用壁パネル30に対して他方の建築用壁パネル32が接合される部分と、その付近とを露出させておく。
【0087】
すなわち、図3に示すように、前記一方の建築用壁パネル30の下端面と、この一方の建築用壁パネル30の下端部付近の外側面を露出させておくようにする。
露出させる際は、前記防水シート31をめくり、その端部を、図示しない粘着テープ等によって該防水シート31の中央側に留めておくようにしてもよい。
【0088】
また、前記他方の建築用壁パネル32に貼り付けられた防水シート33も、前記防水シート31と同様に、予めめくっておく。そして、この他方の建築用壁パネル32の側端面と、この他方の建築用壁パネル32の側端部付近の外側面を露出させておく。
【0089】
続いて、図示しない下階の床の上に、前記他方の建築用壁パネル32を立設する。
このように立設された他方の建築用壁パネル32の上面に、前記建築用床パネル34を載置する。この建築用床パネル34を載置する際は、この建築用床パネル34の側端面に沿って設けられる胴差し34aも前記他方の建築用壁パネル32の上面に載置する。
そして、これら建築用床パネル34と胴差し34aとの上面に、前記一方の建築用壁パネル30を立設させる。
【0090】
その後、前記一方の建築用壁パネル30を構成する下側の框材と、前記他方の建築用壁パネル32を構成する上側の框材と、これら框材間に位置する前記建築用床パネル34と胴差し34aとの当接面とを上下方向に貫通する貫通孔(図示せず)に連結ボルト(図示せず)を挿通し、この連結ボルトの上下端にナットを締結することによって、前記一方の建築用壁パネル30と他方の建築用壁パネル32とを、前記建築用床パネル34および胴差し34aを介して連結する。
【0091】
なお、前記一方の建築用壁パネル30の下端面と、前記建築用床パネル34および胴差し34aとの間、他方の建築用壁パネル32の上端面と、前記建築用床パネル34および胴差し34aの間には、それぞれ接着剤が塗布されており、前記連結ボルトによる接合とともに、接着剤による接合も行われるようになっている。
【0092】
その後、前記一方の建築用壁パネル30と他方の建築用壁パネル32との接合部で、前記一方の建築用壁パネル30の防水シート31と他方の建築用壁パネル32の防水シート33とを重ね合わせる。
【0093】
なお、必要に応じて、これら重ね合わせた一方の防水シート31と他方の防水シート33との境目を塞ぐようにしてジョイントテープ(図示せず)を貼着し、これら一方の防水シート31と他方の防水シート33とをジョイントしてもよい。
【0094】
なお、前記一方の建築用壁パネル30および他方の建築用壁パネル32には、前記防水シート31,33を介して外装材(図示せず)を取り付けておくようにしてもよい。
その際は、前記一方の建築用壁パネル30側の外装材の下端部と、前期他方の建築用壁パネル32側の外装材の上端部との間に隙間が形成可能となるように、これら外装材同士を、前記一方および他方の建築用壁パネル30,32にそれぞれ取り付ける。
【0095】
そして、この隙間を利用して、前記防水シート31,33同士を重ね合わせるようにする。また、前記一方の建築用壁パネル30側の外装材の下端部と、前期他方の建築用壁パネル32側の外装材の上端部との間には、前記隙間を被覆する現場貼り外装材を取り付けるようにする。
【0096】
本実施の形態によれば、前記一方の建築用壁パネル30の防水シート31をめくって、前記一方の建築用壁パネル30の表面を露出させるとともに、前記他方の建築用壁パネル32の防水シート33をめくって、前記他方の建築用壁パネル32の表面を露出させてから、前記一方の建築用壁パネル30に対して他方の建築用壁パネル32を接合するので、これら一方の建築用壁パネル30と他方の建築用壁パネル32とを確実に接合でき、その後、これら一方の建築用壁パネル30と他方の建築用壁パネル32との接合部で、前記一方の建築用壁パネル30の防水シート31と他方の建築用壁パネル32の防水シート33とを重ね合わせるので、該接合部を、少なくとも二重に防水できる。これによって、前記一方の建築用壁パネル30と他方の建築用壁パネル32との接合部において優れた防水性を発揮できる。
また、このような方法で、前記一方の建築用壁パネル30と他方の建築用壁パネル32との接合部を防水できるので、これら一方の建築用壁パネル30と他方の建築用壁パネル32とを上下に隣接配置して形成される外壁の平らな部分にも確実に適用することができる。
【0097】
なお、上述の第1〜第3の実施の形態では、表面に外装材を取り付けずに建築用パネル同士を接合する場合や、表面に外装材を取り付けて建築用パネル同士を接合する場合について説明をしたが、従来は、必ずしも統一された施工方法が採用されていたとは言えず、各現場や各施工業者によって施工方法が異なる場合があった。
しかしながら、以上のように、表面に防水材が設けられる一方の建築用パネルと、表面に防水材が設けられる他方の建築用パネルとを接合して住宅等の建物1を施工する際は、一方の建築用パネルの表面のうち、一方の建築用パネルに対して他方の建築用パネルが接合される部分を露出させ、露出した一方の建築用パネルの表面に他方の建築用パネルを接合し、これら一方の建築用パネルと他方の建築用パネルとの接合部で、一方の建築用パネルの防水材と他方の建築用パネルの防水材とを重ね合わせるようにして行うこととしたので、各現場や各施工業者によって施工方法が異なる場合などをなくし、建物の施工方法を統一することが可能となる。
【0098】
(第4の実施の形態)
次に、図面を参照して本発明の第4の実施の形態について説明する。
図4は本実施の形態に係る建物の施工方法を説明する斜視図である。
図4には、本実施の形態の建物1の施工方法によって建築される住宅等の建物1の下屋付近が示されている。
ここで、下屋とは、母屋に差しかけて造った小屋根や、母屋に付属する小さな家や小屋を指しており、本実施の形態においては、住宅等の建物1の外壁の表面から張り出すようにして該外壁の表面に接合される屋根の部分を指し、本実施の形態の下屋は、建物1の建物本体(すなわち、母屋)の屋根(図示せず)よりも下方に配置されるものである。
【0099】
このような建物1の下屋は、住宅等の建物1の外壁を形成する建築用壁パネル40の表面から張り出すようにして該建築用壁パネル40に建築用屋根パネル42を接合することによって形成されている。
【0100】
より詳細には、前記建築用壁パネル40は、図4に示すように建物1の下階の外壁であり、この建築用壁パネル40は、図示しない下階の床の上に立設されており、上面には、上階の床を構成する建築用床パネル46および胴差し46aが載置されている。また、これら建築用床パネル46および胴差し46aの上面には、上階の外壁である建築用壁パネル45が立設されている。
【0101】
そして、前記建築用屋根パネル42は、この建築用屋根パネル42の長さ方向一端が上方に位置するとともに、長さ方向他端が下方に位置するように傾斜しており、この建築用屋根パネル42の外壁への当接面の下端部側が、前記建築用壁パネル40の表面に位置し、上端部側が前記建築用壁パネル45の表面に位置するように設けられており、図示しない釘等の止着材および接着剤によって接合固定されている。
また、この建築用屋根パネル42は、傾斜方向下端に、角度調整材を取り付けることによって垂直面を備えている。
【0102】
また、前記建築用壁パネル40の外側面には、予め、上端部が、前記建築用壁パネル40の上端部よりも、該建築用壁パネル40に載置される建築用床パネル46側にはみ出す防水シート41が貼り付けられている。つまり、この防水シート41の上下方向の長さ寸法は、前記建築用壁パネル40の上下方向の長さ寸法よりも長尺に設定されている。
【0103】
なお、この防水シート41は、前記建築用壁パネル40の外側面のうち、前記建築用屋根パネル42が接合される部分を除く部分に貼り付けられている。すなわち、図4に示すように、前記建築用屋根パネル42の傾斜角度に沿って、かつ該建築用屋根パネル42の前記建築用壁パネル40との当接面に対応した切欠部41bが、前記防水シート41に形成された状態となっている。
【0104】
一方、前記建築用屋根パネル42の下方には、この建築用屋根パネル42を支持するとともに、前記下階の建築用壁パネル40に直交するようにして接合される建築用壁パネル47が設けられている。
この屋根下方の建築用壁パネル47の上端面には、前記建築用屋根パネル42を所定角度に支持するための角度調整材47aが取り付けられており、この角度調整材47aの上に前記建築用屋根パネル42が設けられている。
なお、この角度調整材47aの傾斜角度と、前記切欠部41bの上縁および下縁の角度は略等しくなるように設定されている。
【0105】
また、前記建築用屋根パネル42の表面に設けられる防水材は、図5および図6に示すように、前記建築用壁パネル40側にはみ出し、かつ該はみ出し部分43aの上部43bが前記建築用屋根パネル42の上面よりも上方に位置するようにして、前記建築用屋根パネル42の基端部の側端に貼り付けられる耐水シート43である。
なお、この耐水シート43は、裏面に粘着剤を塗布して使用したり、予め粘着剤が塗布され、離型紙でカバーされた状態のものが用いられる。
【0106】
次に、建物1の下屋付近を施工する方法について説明する。
まず、予め、前記切欠部41bが形成された防水シート41を、前記建築用壁パネル40の外側面に貼り付けておく。そして、この防水シート41のうち、前記建築用屋根パネル42の耐水シート43のはみ出し部分43aの上部43bに対応する位置を切り込むことによって、前記耐水シート43のはみ出し部分43aの上部43bに対応する位置の前記建築用壁パネル40の表面を露出させる。
【0107】
すなわち、前記防水シート41のうち、前記切欠部41bの上縁の長さ方向下端に位置する部分を、該切欠部41bの上縁の長さ方向に沿って、切断器具を用いて切り込むことによって切り込み41aを形成する。
また、この切り込み41aは、前記耐水シート43のはみ出し部43aの上部43bを差し込むことができるような長さ切り込むことによって形成されている。
そして、このように切り込み41aを形成することによって、この切り込み41aの上方に位置する防水シート41をめくれば、建築用壁パネル40の表面を露出できるようになっている。
【0108】
続いて、前記建築用屋根パネル42を支持する建築用壁パネル47を、前記建築用壁パネル40に対して直交するようにして接合する。また、この屋根下方の建築用壁パネル47の上端部に前記角度調整材47aを取り付ける。
そして、前記建築用屋根パネル42を、前記屋根下方の建築用壁パネル47上に設置するとともに、前記切欠部41bを介して、下階の外壁を構成する建築用壁パネル40と、上階の床を構成する建築用床パネル46の側端面に沿って設けられた胴差し46aと、上階の外壁を構成する建築用壁パネル45とに接合する。
なお、この建築用屋根パネル42を外壁に接合する作業と、上述の防水シート41に切り込み41aを形成する作業とは、どちらを先に行ってもよく、順序不同である。
【0109】
続いて、前記耐水シート43を加工する。まず、図5(a)に示すように、この耐水シート43の上端部から下方に向かって該耐水シート43をカットして第1カット部43cを形成するとともに、この耐水シート43の側端部から、前記第1カット部43cの延長線との交点まで該耐水シート43をカットして第2カット部43dを形成する。
【0110】
また、前記第1カット部43cの下端部から前記第2カット部43dまでの部分は谷折りされる第1折曲部43eとされており、前記第1カット部43cの下端部から耐水シート43の側端部までの部分は、前記第2カット部43dに平行するようにして延在し、山折りされる第2折曲部43fとされている。
【0111】
さらに、前記第1カット部43cと、第1折曲部43eと、第2カット部43dとで囲まれた範囲外の略L型の部分は、前記建築用壁パネル40の表面側にはみ出すはみ出し部43aとされており、その上部43bは前記建築用屋根パネル42の基端部の側端付近の上面よりも上方に位置する。
なお、前記第1カット部43cおよび第2カット部43dを形成する作業は、予め工場等で行っておいてもよいし、現場で行ってもよいものとする。
続いて、現場で、図5(b)に示すように、前記第1折曲部43eを谷折りし、前記第2折曲部43fを山折りする。
【0112】
続いて、図6に示すように、前記耐水シート43のはみ出し部43aの上部43bを、前記切り込み41aから差し込み、前記防水シート41の裏側に潜り込ませながら、前記耐水シート43を、前記建築用屋根パネル42の基端部の側端に貼り付けるとともに、この耐水シート43のはみ出し部43aを、前記防水シート41の表面に貼り付ける。
【0113】
なお、前記耐水シート43を、前記建築用屋根パネル42の基端部の側端に貼り付ける際は、前記第1折曲部43eが、前記建築用屋根パネル42の傾斜方向下端の垂直面と、前記建築用壁パネル40との取り合い部分に沿うように、かつ、前記第2折曲部43fが、前記建築用屋根パネル42の傾斜方向下端の垂直面と、この建築用屋根パネル42の上面との取り合い部分に沿うようにして貼り付ける。
【0114】
続いて、前記切り込み41aの下端部を覆うようにして、かつ前記耐水シート43のはみ出し部43aの上部43bの側端部と、前記防水シート41との境目を塞ぐようにしてジョイントテープ44を貼着し、これら防水シート41と耐水シート43のはみ出し部43aの上部43bとをジョイントする。
【0115】
その後、前記建築用壁パネル40,45と胴差し46a建物1の外壁面と、前記建築用屋根パネル42との取り合い部分に、該建築用屋根パネル42の傾斜方向に沿って屋根防水部材48を取り付ける。
【0116】
この屋根防水部材48は断面略L字型に形成されており、その上端縁を、前記下階の建築用壁パネル40の防水シート41の下端部と、前記上階の建築用壁パネル45の防水シート45aの下端部との裏側に潜り込ませるようにして取り付ける。また、この屋根防水部材48の下端部が、前記ジョイントテープ44の近傍に位置するように取り付ける。
【0117】
本実施の形態によれば、前記防水シート41が貼り付けられていない建築用壁パネル40の表面に対して、前記建築用屋根パネル42を接合するので、これら建築用壁パネル40と建築用屋根パネル42とを確実に接合できる。
その後、これら建築用壁パネル40と建築用屋根パネル42との接合部で、前記耐水シート43のはみ出し部分43aの上部43bを前記防水シート41の切り込み41aから該防水シート41の裏側に潜り込ませながら、前記耐水シート43を前記建築用屋根パネル42の基端部の側端に貼り付けるとともに、この耐水シート43のはみ出し部分43aを前記防水シート41の表面に貼り付けるので、該接合部を、少なくとも二重に防水できる。これによって、前記建築用壁パネル40と他方の建築用パネル42との接合部において優れた防水性を発揮できる。
また、このような方法で、前記一方の建築用パネル40と他方の建築用パネル42との接合部を防水できるので、これら一方の建築用壁パネル40に対して他方の建築用壁パネル42を接合して形成される庇や下屋等が設けられる部分にも確実に適用することができる。
【0118】
(第5の実施の形態)
次に、図面を参照して本発明の第5の実施の形態について説明する。
図8は本実施の形態に係る建物の施工方法を説明する斜視図である。
図8には、本実施の形態の建物1の施工方法によって建築される住宅等の建物1の下屋付近が示されている。
本実施の形態の下屋は、住宅等の建物1の外壁を形成する建築用壁パネル50の表面から張り出すようにして該建築用壁パネル50に建築用屋根パネル52を接合することによって形成されている。
【0119】
より詳細には、前記建築用壁パネル50は、図8に示すように建物1の上階の外壁であり、この建築用壁パネル50は、上階の床を構成する建築用床パネル56および胴差し56aの上に立設されている。また、これら建築用床パネル56および胴差し56aは、図示しない下階の床上に立設される建築用壁パネル55の上面に載置されている。
【0120】
そして、前記建築用屋根パネル52は、この建築用屋根パネル52の長さ方向に沿う一側端が上方に位置するとともに、他側端が下方に位置するように傾斜し、前記長さ方向に沿う一側端が前記建築用壁パネル50の表面に接合される。
なお、建築用壁パネル50と建築用屋根パネル52との接合は、図示しない釘等の止着材および接着剤によって行われる。
また、前記建築用壁パネル50と建築用屋根パネル52との間には、この建築用屋根パネル52を傾斜させるための角度調整材52aが介在している。
【0121】
また、前記建築用壁パネル50の外側面には、予め、下端部が、前記建築用壁パネル50の下端部よりも前記建築用床パネル56側にはみ出す防水シート51が貼り付けられている。つまり、この防水シート51の上下方向の長さ寸法は、前記建築用壁パネル50の上下方向の長さ寸法よりも長尺に設定されている。
【0122】
なお、この防水シート51は、前記建築用壁パネル50の外側面のうち、前記建築用屋根パネル52が接合される部分を除く部分に貼り付けられている。
すなわち、図8に示すように、前記建築用屋根パネル52の基端部に沿って、かつ該建築用屋根パネル52の前記建築用壁パネル50との当接面に対応した切欠部51bが、前記防水シート51に形成された状態となっている。
【0123】
一方、前記建築用屋根パネル52の下方には、この建築用屋根パネル52を支持するとともに、前記下階の建築用壁パネル55に直交するようにして接合される建築用壁パネル57が設けられている。
【0124】
この屋根下方の建築用壁パネル57の上端面には、前記建築用屋根パネル52を所定角度に支持するための角度調整体57aが取り付けられており、この角度調整体57aの上に前記建築用屋根パネル52が設けられている。
つまり、この角度調整体57aは、前記建築用壁パネル50および胴差し56aに直交するようにして設けられており、この角度調整体57aの前記建築用壁パネル50側端部から、外方に向かって下り勾配となるように形成されている。
【0125】
また、前記建築用屋根パネル52の表面に設けられる防水材は、図9および図10に示すように、前記建築用壁パネル50側にはみ出し、かつ該はみ出し部分53aの上部53bが前記建築用屋根パネル52の上面よりも上方に位置するようにして、前記建築用屋根パネル52の基端部の側端に貼り付けられる耐水シート53である。
なお、この耐水シート53は、裏面に粘着剤を塗布して使用したり、予め粘着剤が塗布され、離型紙でカバーされた状態のものが用いられる。
【0126】
次に、建物1の下屋付近を施工する方法について説明する。
まず、予め、前記切欠部51bが形成された防水シート51を、前記建築用壁パネル50の外側面に貼り付けておく。そして、この防水シート51のうち、前記建築用屋根パネル52の耐水シート53のはみ出し部分53aの上部53bに対応する位置を切り込むことによって、前記耐水シート53のはみ出し部分53aの上部53bに対応する位置の前記建築用壁パネル50の表面を露出させる。
【0127】
すなわち、前記防水シート51のうち、前記切欠部51bの上縁の長さ方向一端に位置する部分を、該切欠部51bの上縁の長さ方向に沿って、切断器具を用いて切り込むことによって切り込み51aを形成する。
また、この切り込み51aは、前記耐水シート53のはみ出し部53aの上部53bを差し込むことができるような長さ切り込むことによって形成されている。
そして、このように切り込み51aを形成することによって、この切り込み51aの上方に位置する防水シート51をめくれば、建築用壁パネル50の表面を露出できるようになっている。
【0128】
続いて、前記建築用屋根パネル52を支持する建築用壁パネル57を、下階の外壁を構成する建築用壁パネル55に対して直交するようにして接合する。また、この屋根下方の建築用壁パネル57の上端部に前記角度調整体57aを取り付ける。
【0129】
そして、前記建築用屋根パネル52を、前記屋根下方の建築用壁パネル57上に設置するとともに、前記切欠部51bを介して、上階の外壁を構成する建築用壁パネル50に接合する。
なお、この建築用屋根パネル52を外壁に接合する作業と、上述の防水シート51に切り込み51aを形成する作業とは、どちらを先に行ってもよく、順序不同である。
【0130】
続いて、前記耐水シート53を加工する。まず、図9(a)に示すように、この耐水シート53の上端部から下方に向かって該耐水シート53をカットして第1カット部53cを形成するとともに、この耐水シート53の側端部から、前記第1カット部53cの延長線との交点まで該耐水シート53をカットして第2カット部53dを形成する。
【0131】
また、前記第1カット部53cの下端部から前記第2カット部53dまでの部分は谷折りされる第1折曲部53eとされており、
前記第1カット部53cの下端部から、耐水シート53の側端部の第2カット部53d近傍までの部分は、前記建築用屋根パネル52の上面と側端面とに沿って山折りされる第2折曲部53fとされており、
前記第1カット部の下端部から、耐水シート53の上端部までの部分は、前記建築用屋根パネル52の上面と前記建築用壁パネル50の外側面とに沿って谷折りされる第3折曲部53gとされている。
【0132】
さらに、前記第1カット部53cと、第1折曲部53eと、第2カット部53dとで囲まれた範囲外の略L型の部分は、前記建築用壁パネル50の表面側にはみ出すはみ出し部53aとされており、その上部53bは前記建築用屋根パネル52の基端部の側端付近の上面よりも上方に位置する。
なお、前記第1カット部53cおよび第2カット部53dを形成する作業は、予め工場等で行っておいてもよいし、現場で行ってもよいものとする。
続いて、現場で、図9(b)に示すように、前記第1折曲部53eを谷折りし、前記第2折曲部53fを山折りし、前記第3折曲部53gを谷折りする。
【0133】
続いて、図10に示すように、前記耐水シート53のはみ出し部53aの上部53bを、前記切り込み51aから差し込み、前記防水シート51の裏側に潜り込ませながら、前記耐水シート53を、前記建築用屋根パネル52の基端部の側端に貼り付けるとともに、この耐水シート53のはみ出し部53aを、前記防水シート51の表面に貼り付ける。
【0134】
なお、前記耐水シート53を、前記建築用屋根パネル52の基端部の側端に貼り付ける際は、前記第1折曲部53eが、前記建築用屋根パネル52の側端面と、前記建築用かねパネル50との取り合い部分に沿うように、かつ、前記第2折曲部53fが、前記建築用屋根パネル52の側端面と、この建築用屋根パネル52の上面との取り合い部分に沿うように、かつ、前記第3折曲部53gが、前記建築用屋根パネル52の上面と、前記建築用壁パネル50との取り合い部分に沿うようにして貼り付ける。
【0135】
続いて、前記切り込み51aの端部を覆うようにして、かつ前記耐水シート53のはみ出し部53aの上部53bの側端部と、前記防水シート51との境目を塞ぐようにしてジョイントテープ54を貼着し、これら防水シート51と耐水シート53のはみ出し部53aの上部53bとをジョイントする。
【0136】
その後、前記建築用壁パネル50と、前記建築用屋根パネル52との取り合い部分に、該建築用屋根パネル52の基端部に沿って、図示しない屋根防水部材を取り付ける。
【0137】
この屋根防水部材は断面略くの字型に形成されており、その上端縁を、前記切欠部51bの上縁から前記防水シート51の裏側に潜り込ませるようにして取り付ける。また、この屋根防水部材の一端部が、前記ジョイントテープ54の近傍に位置するように取り付ける。
【0138】
本実施の形態によれば、前記防水シート51が貼り付けられていない建築用壁パネル50の表面に対して、前記建築用屋根パネル52を接合するので、これら建築用壁パネル50と建築用屋根パネル52とを確実に接合できる。
その後、これら建築用壁パネル50と建築用屋根パネル52との接合部で、前記耐水シート53のはみ出し部分53aの上部53bを前記防水シート51の切り込み51aから該防水シート51の裏側に潜り込ませながら、前記耐水シート53を前記建築用屋根パネル52の基端部の側端に貼り付けるとともに、この耐水シート53のはみ出し部分53aを前記防水シート51の表面に貼り付けるので、該接合部を、少なくとも二重に防水できる。これによって、前記建築用壁パネル50と他方の建築用パネル52との接合部において優れた防水性を発揮できる。
また、このような方法で、前記一方の建築用パネル50と他方の建築用パネル52との接合部を防水できるので、これら一方の建築用壁パネル50に対して他方の建築用壁パネル52を接合して形成される庇や下屋等が設けられる部分にも確実に適用することができる。
【0139】
なお、上述の第4および第5の実施の形態では、建築用屋根パネルを建物1の外壁を形成する建築用壁パネルに接合する際の向きや角度が異なる場合について説明をしたが、従来は、必ずしも統一された施工方法が採用されていたとは言えず、各現場や各施工業者によって施工方法が異なる場合があった。
しかしながら、以上のように、表面に防水材が設けられる建築用壁パネルと、表面に防水材が設けられる建築用屋根パネルとを接合して住宅等の建物1を施工する際は、建築用壁パネルの表面のうち、建築用壁パネルに対して建築用屋根パネルが接合される部分を露出させ、露出した建築用壁パネルの表面に建築用屋根パネルを接合し、これら建築用壁パネルと建築用屋根パネルとの接合部で、建築用壁パネルの防水材と建築用屋根パネルの防水材とを重ね合わせるようにして行うこととしたので、各現場や各施工業者によって施工方法が異なる場合などをなくし、建物の施工方法を統一することが可能となる。
【0140】
(第6の実施の形態)
次に、図面を参照して本発明の第6の実施の形態について説明する。
図14は本実施の形態に係る建物の施工方法を説明する斜視図である。
図14には、本実施の形態の建物1の施工方法によって建築される住宅等の建物1の手摺壁付近が示されている。
ここで、手摺壁とは、建物1の外壁から張り出すようにして設けられるバルコニー等を構成する手摺の壁を指しており、本実施の形態においては、住宅等の建物1の外壁を形成する一方の建築用壁パネル60に対して、上端部が前記一方の建築用壁パネル60の上端部よりも下方に位置する建築用壁パネル62を、前記一方の建築用壁パネル60の外側面から突出するようにして接合することによって形成されている。
【0141】
より詳細には、前記建築用壁パネル60は、図11に示すように建物1の上階の外壁であり、この建築用壁パネル60は、上階の床を構成する建築用床パネル66および胴差し66aの上に立設されている。また、これら建築用床パネル66および胴差し66aは、図示しない下階の床上に立設される建築用壁パネル65の上面に載置されている。
【0142】
そして、前記建築用壁パネル62は、側端面が前記建築用壁パネル60の外側面に当接されており、これら建築用壁パネル62と建築用壁パネル60との接合は、図示しない釘等の止着材および接着剤によって行われる。
【0143】
また、この手摺壁を形成する建築用壁パネル62は、前記建築用床パネル66および胴差し66aから突出して設けられるバルコニー床用の建築用床パネル67および胴差し67aの上面に立設されている。
【0144】
さらに、これら建築用床パネル66および胴差し66aの下面には、下がり壁を形成する建築用壁パネル68が設けられている。この下がり壁68は、前記下階の外壁を構成する建築用壁パネル65の外側面から突出するようにして接合されており、前記建築用床パネル66,66前記手摺壁を形成する建築用壁パネル62と連続性を持っているように見せることができる。
【0145】
なお、前記手摺壁を形成する建築用壁パネル62には、図12に示すように、この建築用壁パネル62の上面に、図示しない手摺笠木等を取り付けるための下地となる下地材62aが設けられている。
【0146】
また、図11に示すように、前記建築用壁パネル60の外側面には、予め、下端部が、前記建築用壁パネル60の下端部よりも前記建築用床パネル66側にはみ出す防水シート61が貼り付けられている。
つまり、この防水シート61の上下方向の長さ寸法は、前記建築用壁パネル60の上下方向の長さ寸法よりも長尺に設定されている。
【0147】
また、この防水シート61は、この防水シート61の下端部から上方に向かって該防水シート61を切り込むことによって第1切り込み61aが形成されるとともに、この防水シート61の第1切り込み61aの上端部において、防水シート61を、この第1切り込み61aと直交して水平に切り込むことによって第2切り込み61bが形成された状態となっている。
【0148】
また、これら第1切り込み61aおよび第2切り込み61bは、第1切り込み61aから防水シート61を両側にめくって、前記手摺壁を形成する建築用壁パネル62の側端面を当接させる前記建築用壁パネル60の外側面を露出させるために形成される。
【0149】
さらに、前記第2切り込み61bの両端部には、防水シート61を、この両端部から上方に向かって切り込むことによって第3切り込み61cおよび第4切り込み61dが形成されている。
これら第2〜第4切り込み61b,61c,61dは、後述する止水プレート63bの一部を差し込むために必要な加工である。
【0150】
一方、前記建築用壁パネル62の表面に設けられる防水材は、図12および図13に示すように、防水シート63aと、前記一方の建築用壁パネル60の表面側にはみ出し、かつ該はみ出し部分63dの上部63eが前記他方の建築用壁パネル62の上面よりも上方に位置するようにして、前記他方の建築用壁パネル62の基端部の上端に取り付けられる止水プレート63bとである。
【0151】
この止水プレート63bは、前記手摺壁を形成する建築用壁パネル62の基端部の上端を被覆するようにして設けられる断面略コ字型の被覆部63cと、この被覆部63cの端部に設けられるとともに、前記一方の建築用壁パネル60の表面側にはみ出す前記はみ出し部63dとを備えており、このはみ出し部63dの上部63eは、前記他方の建築用壁パネル62の上面よりも上方に位置し、前記第2〜第4切り込み61b,61c,61dから、前記防水シート61の裏側に差し込まれる。
なお、この止水プレート63bは、例えば、裏面に粘着剤を塗布して使用される。
また、本実施の形態の止水プレート63bは金属製のものを用いるが、これに限られるものではなく、樹脂製のものでもよい。
【0152】
次に、建物1の手摺壁付近を施工する方法について説明する。
まず、予め、前記防水シート61を、前記建築用壁パネル60の外側面に貼り付けておく。そして、この防水シート61を適宜切り込むことによって、前記第1切り込み61aと、第2切り込み61bと、第3切り込み61cと、第4切り込み61dとを形成する。
【0153】
そして、前記第1切り込み61aから防水シート61を両側にめくって、前記手摺壁を形成する建築用壁パネル62が接合される部分を露出させておく。この時、前記手摺壁を形成する建築用壁パネル62の表面に設けられた防水シート63aの前記建築用壁パネル60側端部をめくって、この手摺壁を形成する建築用壁パネル62の基端部の表面を露出させておく。
【0154】
また、前記防水シート61に、前記第2〜第4切り込み61b,61c,61dを形成することによって、これら第2〜第4切り込み61b,61c,61dで囲まれた部分の防水シート61をめくれば、建築用壁パネル60の表面を露出できるようになっている。
【0155】
続いて、図12に示すように、前記バルコニー床用の建築用床パネル67および胴差し67aを、前記上階の床を構成する建築用床パネル66および胴差し66aに接合してバルコニー床を形成する。
また、このバルコニー床の下部に、前記下がり壁を形成する建築用壁パネル68を、前記下階の外壁を構成する建築用壁パネル65の外側面から突出するようにして接合する。
【0156】
続いて、図12に示すように、前記手摺壁を形成する建築用壁パネル62を、前記バルコニー床用の建築用床パネル67および胴差し67aの上面に立設するとともに、前記建築用壁パネル60の露出した外側面に当接し、該建築用壁パネル60と直交するようにして接合する。
【0157】
続いて、前記建築用壁パネル60と、手摺壁を形成する建築用壁パネル62との接合部で、めくっておいた双方の建築用壁パネル60,62の防水シート61,63aを戻しながら、これら防水シート61,63aとを重ね合わせて、前記建築用壁パネル60と、手摺壁を形成する建築用壁パネル62との接合部を二重に防水する。
【0158】
そして、これら重ね合わされた防水シート61と、防水シート63aとの境目を塞ぐようにしてジョイントテープ64を貼着し、これら防水シート61と防水シート63aとをジョイントする。
【0159】
その後、図13および図14に示すように、前記建築用壁パネル60と、手摺壁を形成する建築用壁パネル62との接合部で、前記止水プレート63bのはみ出し部分63dの上部63eを前記防水シート61の第2〜第4切り込み61b,61c,61dから該防水シート61の裏側に潜り込ませながら、前記止水プレート63bを前記他方の建築用壁パネル62の基端部の上端に取り付ける。
【0160】
そして、これら重ね合わされた防水シート61と、止水プレート63bとの境目を塞ぐようにして、かつ前記第3切り込み61cおよび第4切り込み61dに沿ってジョイントテープ64を貼着し、これら第3切り込み61cおよび第4切り込み61dによって切り離された防水シート61同士と、前記防水シート61と防水シート63aとをジョイントする。
【0161】
本実施の形態によれば、前記一方の建築用壁パネル60の防水シート61のうち、前記一方の建築用壁パネル60に対して他方の建築用壁パネル62が接合される部分に対応する位置を切り込むとともに、該一方の防水シート61をめくって、前記他方の建築用壁パネル62が接合される部分を露出させ、前記他方の建築用壁パネル62の防水シート63aをめくって、前記他方の建築用壁パネル62の基端部の表面を露出させてから、前記一方の建築用壁パネル60に対して他方の建築用壁パネル62を接合するので、これら一方の建築用壁パネル60と他方の建築用パネル62とを確実に接合できる。
その後、これら一方の建築用壁パネル60と他方の建築用パネル62との接合部で、めくっておいた一方および他方の建築用壁パネル60,62の防水シート61,63aを戻しながら、これら一方の防水シート61と他方の防水シート63aとを重ね合わせるので、該接合部を、少なくとも二重に防水できる。
さらに、これら一方の建築用壁パネル60と他方の建築用壁パネル62との接合部で、前記止水プレート63bのはみ出し部分63dの上部63eを前記防水シート61の切り込み(例えば第2切り込み61b)から該防水シート61の裏側に潜り込ませながら、前記止水プレート63bを前記他方の建築用壁パネル62の基端部の上端に取り付けるので、この他方の建築用壁パネル62の基端部の上端と前記一方の建築用壁パネル60の防水シート61との間を、少なくとも二重に防水できる。
これによって、前記一方の建築用壁パネル60と他方の建築用パネル62との接合部において優れた防水性を発揮できる。
また、このような方法で、前記一方の建築用パネル60と他方の建築用パネル62との接合部を防水できるので、これら一方の建築用壁パネル60に対して他方の建築用壁パネル62を接合して形成される手摺壁や袖壁等が設けられる部分にも確実に適用することができる。
【0162】
(第7の実施の形態)
次に、図面を参照して本発明の第7の実施の形態について説明する。
図16は本実施の形態に係る建物の施工方法を説明する斜視図である。
図16には、本実施の形態の建物1の施工方法によって建築される住宅等の建物1の下がり壁付近が示されている。
ここで、下がり壁とは、天井面から下方に突き出した壁を指しており、本実施の形態においては、住宅等の建物1の外壁を形成する一方の建築用壁パネル70に対して、下端部が前記一方の建築用壁パネル70の下端部よりも上方に位置する建築用壁パネル72を、前記一方の建築用壁パネル70の外側面から突出するようにして接合するとともに、図示しないバルコニー床の下面に、該バルコニー床の下面から下方に突出するようにして接合ことによって形成されている。
また、前記下がり壁を形成する建築用壁パネル72と建築用壁パネル70との接合は、図示しない釘等の止着材および接着剤によって行われる。
なお、図示はしないが、前記バルコニー床の上面には、この下がり壁を形成する建築用壁パネル72と連続性を持っているように見せることが可能な手摺壁が立設されている。
【0163】
また、図15に示すように、前記外壁を形成する建築用壁パネル70の外側面には、予め、上端部が、この建築用壁パネル70の上端部よりも上方にはみ出す防水シート71が貼り付けられている。
つまり、この防水シート71の上下方向の長さ寸法は、前記建築用壁パネル70の上下方向の長さ寸法よりも長尺に設定されている。
【0164】
また、この防水シート71は、この防水シート71の上端部から下方に向かって該防水シート71を切り込むことによって第1切り込み71aが形成されるとともに、この防水シート71の第1切り込み71aの下端部において、防水シート71を、この第1切り込み71aと直交して水平に切り込むことによって第2切り込み71bが形成された状態となっている。
【0165】
また、これら第1切り込み71aおよび第2切り込み71bは、第1切り込み71aから防水シート71を両側にめくって、前記下がり壁を形成する建築用壁パネル72の側端面を当接させる前記建築用壁パネル70の外側面を露出させるために形成される。
また、前記第2切り込み71bは、後述する止水プレート73bの一部を設けるためにも必要な加工である。
【0166】
一方、前記建築用壁パネル72の表面に設けられる防水材は、図16に示すように、防水シート73aと、前記一方の建築用壁パネル70の表面側にはみ出し、かつ該はみ出し部分73dの下部73eが前記建築用壁パネル72の下面よりも下方に位置するようにして、前記建築用壁パネル72の基端部の下端に取り付けられる止水プレート73bとである。
【0167】
この止水プレート73bは、前記下がり壁を形成する建築用壁パネル72の基端部の下端を被覆するようにして設けられる断面略コ字型の被覆部73cと、この被覆部73cの端部に設けられるとともに、前記一方の建築用壁パネル70の表面側にはみ出す前記はみ出し部73dとを備えており、このはみ出し部73dの下部73eは、前記下がり壁を形成する建築用壁パネル72の下面よりも下方に位置し、前記第2切り込み71bから外部へと露出し、前記防水シート71の表面に当接される。
なお、この止水プレート73bは、例えば、裏面に粘着剤を塗布して使用される。
また、本実施の形態の止水プレート73bは金属製のものを用いるが、これに限られるものではなく、樹脂製のものでもよい。
【0168】
次に、建物1の下がり壁付近を施工する方法について説明する。
まず、予め、前記防水シート71を、前記建築用壁パネル70の外側面に貼り付けておく。そして、この防水シート71を適宜切り込むことによって、前記第1切り込み71aと、第2切り込み71bとを形成する。
そして、前記第1切り込み71aから防水シート71を両側にめくって、前記下がり壁を形成する建築用壁パネル72が接合される部分を露出させておく。この時、前記下がり壁を形成する建築用壁パネル72の表面に設けられた防水シート73aの前記建築用壁パネル70側端部をめくって、この下がり壁を形成する建築用壁パネル72の基端部の表面を露出させておく。
【0169】
続いて、図16に示すように、前記外壁を構成する建築用壁パネル70に対して、前記下がり壁を形成する建築用壁パネル72を、前記建築用壁パネル70の外側面から突出するようにして接合する。
【0170】
続いて、前記外壁を構成する建築用壁パネル70と、前記下がり壁を形成する建築用壁パネル72との接合部で、前記止水プレート73bを、この止水プレート73bのはみ出し部分73dを、前記建築用壁パネル70の露出した表面に当接させるとともに、このはみ出し部分73dの下部73eを前記建築用壁パネル70の防水シート71の表面に当接させながら、前記他方の建築用壁パネル72の基端部の下端に取り付ける。
【0171】
その後、前記建築用壁パネル70と、前記下がり壁を形成する建築用壁パネル72との接合部で、めくっておいた双方の建築用壁パネル70,72の防水シート71,73aを戻しながら、これら双方の防水シート71,73a同士を重ね合わせ、これら双方の防水シート71,73aを前記止水プレート73bに被せる。
【0172】
そして、重ね合わされた防水シート71,73a同士の境目を塞ぐようにしてジョイントテープ74を貼着し、これら防水シート71と防水シート73aとをジョイントする。
さらに、重ね合わされた防水シート71と止水プレート73bとの境目と、前記第2切り込み71bの両側端を塞ぐようにして、かつ前記止水プレート73bのはみ出し部73dの下部73eの両側端部に沿ってジョイントテープ74を貼着し、前記防水シート71と止水プレート73bとをジョイントする。
【0173】
本実施の形態によれば、前記一方の建築用壁パネル70の防水シート71をめくって、前記一方の建築用壁パネル70の表面のうち、該一方の建築用壁パネル70に対して他方の建築用壁パネル72が接合される部分を露出させるとともに、前記他方の建築用壁パネル72の防水シート73aをめくって、前記他方の建築用壁パネル72の基端部の表面を露出させてから、前記一方の建築用壁パネル70に対して他方の建築用壁パネル72を接合するので、これら一方の建築用壁パネル70と他方の建築用パネル72とを確実に接合できる。
その後、これら一方の建築用壁パネル70と他方の建築用壁パネル72との接合部で、前記止水プレート73bを、この止水プレート73bのはみ出し部分73dを前記一方の建築用壁パネル70の露出した表面に当接させるとともに、このはみ出し部分73dの下部73eを前記一方の建築用壁パネル70の防水シート71の表面に当接させながら、前記他方の建築用壁パネル72の基端部の下端に取り付けるので、この他方の建築用壁パネル72の基端部の下端と前記一方の建築用壁パネル70の防水シート71との間を、少なくとも二重に防水できる。
さらに、前記一方の建築用壁パネル70と他方の建築用パネル72との接合部で、めくっておいた一方および他方の建築用壁パネル70,72の防水シート71,73aを戻しながら、これら一方の防水シート71と他方の防水シート73aとを重ね合わせ、これら一方および他方の防水シート71,73aを前記止水プレート73bに被せるので、該接合部を、少なくとも二重に防水できる。
これによって、前記一方の建築用壁パネル70と他方の建築用パネル72との接合部において優れた防水性を発揮できる。
また、このような方法で、前記一方の建築用パネル70と他方の建築用パネル72との接合部を防水できるので、これら一方の建築用壁パネル70に対して他方の建築用壁パネル72を接合して形成される下がり壁や袖壁等が設けられる部分にも確実に適用することができる。
【0174】
なお、上述の第6および第7の実施の形態では、手摺壁や下がり壁を形成するための建築用壁パネルを、建物1の外壁を形成する建築用壁パネルに対して直交して接合する場合について説明をしたが、従来は、必ずしも統一された施工方法が採用されていたとは言えず、各現場や各施工業者によって施工方法が異なる場合があった。
しかしながら、以上のように、表面に防水材が設けられる一方の建築用壁パネルと、表面に防水材が設けられる他方の建築用壁パネルとを接合して住宅等の建物1を施工する際は、一方の建築用壁パネルの表面のうち、この建築用壁パネルに対して他方の建築用壁パネルが接合される部分を露出させ、露出した一方の建築用壁パネルの表面に他方の建築用壁パネルを接合し、これら一方の建築用壁パネルと他方の建築用壁パネルとの接合部で、一方の建築用壁パネルの防水材と他方の建築用壁パネルの防水材とを重ね合わせるようにして行うこととしたので、各現場や各施工業者によって施工方法が異なる場合などをなくし、建物の施工方法を統一することが可能となる。
【符号の説明】
【0175】
1 建物
10 一方の建築用パネル(一方の建築用壁パネル)
11 防水材(防水シート)
12 他方の建築用パネル(他方の建築用壁パネル)
13 防水材(防水シート)
20 一方の建築用パネル(一方の建築用壁パネル)
20a 外装材
21 防水材(防水シート)
22 他方の建築用パネル(他方の建築用壁パネル)
22a 外装材
23 防水材(防水シート)
30 一方の建築用パネル(一方の建築用壁パネル)
31 防水材(防水シート)
32 他方の建築用パネル(他方の建築用壁パネル)
33 防水材(防水シート)
40 一方の建築用パネル(建築用壁パネル)
41 防水材(防水シート)
41a 切り込み
42 他方の建築用パネル(建築用屋根パネル)
43 防水材(耐水シート)
43a はみ出し部
43b 上部
50 一方の建築用パネル(建築用壁パネル)
51 防水材(防水シート)
51a 切り込み
52 他方の建築用パネル(建築用屋根パネル)
53 防水材(耐水シート)
53a はみ出し部
53b 上部
60 一方の建築用パネル(一方の建築用壁パネル)
61 防水材(防水シート)
62 他方の建築用パネル(他方の建築用壁パネル)
63 防水材
63a 防水シート
63b 止水プレート
63d はみ出し部
63e 上部
70 一方の建築用パネル(一方の建築用壁パネル)
71 防水材(防水シート)
72 他方の建築用パネル(他方の建築用壁パネル)
73 防水材
73a 防水シート
73b 止水プレート
73d はみ出し部
73e 下部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に防水材が設けられる一方の建築用パネルと、表面に防水材が設けられる他方の建築用パネルと接合して住宅等の建物を施工する建物の施工方法において、
前記一方の建築用パネルの表面のうち、前記一方の建築用パネルに対して他方の建築用パネルが接合される部分を露出させ、
露出した一方の建築用パネルの表面に他方の建築用パネルを接合し、
これら一方の建築用パネルと他方の建築用パネルとの接合部で、前記一方の建築用パネルの防水材と他方の建築用パネルの防水材とを重ね合わせることを特徴とする建物の施工方法。
【請求項2】
請求項1に記載の建物の施工方法において、
前記一方の建築用パネルおよび他方の建築用パネルは、住宅等の建物の外壁を形成する建築用壁パネルであり、
前記一方の建築用壁パネルの表面に設けられる防水材は、端部が前記一方の建築用壁パネルの端部よりも、該一方の建築用壁パネルに接合される他方の建築用壁パネル側にはみ出す防水シートであり、
前記他方の建築用壁パネルの表面に設けられる防水材は、端部が前記他方の建築用壁パネルの端部よりも、該他方の建築用壁パネルに接合される一方の建築用壁パネル側にはみ出す防水シートであり、
前記一方の建築用壁パネルの防水シートをめくって、前記一方の建築用壁パネルの表面のうち、該一方の建築用壁パネルに対して他方の建築用壁パネルが接合される部分と、その付近とを露出させ、
前記他方の建築用壁パネルの防水シートをめくって、前記他方の建築用壁パネルの表面のうち、該他方の建築用壁パネルに対して一方の建築用壁パネルが接合される部分と、その付近とを露出させ、
前記一方の建築用壁パネルに対して他方の建築用壁パネルを接合し、
その後、これら一方の建築用壁パネルと他方の建築用壁パネルとの接合部で、前記一方の建築用壁パネルの防水シートと他方の建築用壁パネルの防水シートとを重ね合わせることを特徴とする建物の施工方法。
【請求項3】
請求項2に記載の建物の施工方法において、
前記一方および他方の建築用壁パネルの防水シートをめくる作業よりも前に、前記一方および他方の建築用壁パネルに対し、それぞれ、前記防水シートを介して、互いの端部間に隙間が形成可能となるように外装材を取り付けておき、
前記一方の建築用壁パネルに対して他方の建築用壁パネルを接合し、前記隙間を利用して前記一方の防水シートと他方の防水シートとを重ね合わせた後、前記一方の建築用壁パネルの外装材の端部と他方の建築用壁パネルの外装材の端部との間に、前記隙間を被覆するとともに一方の外装材の端部と他方の外装材の端部とを連結する現場貼り外装材を設けることを特徴とする建物の施工方法。
【請求項4】
請求項1に記載の建物の施工方法において、
前記一方の建築用パネルは、住宅等の建物の外壁を形成する建築用壁パネルであり、
前記他方の建築用パネルは、前記建築用壁パネルの表面から張り出すようにして該建築用壁パネルに接合される建築用屋根パネルであり、
前記建築用壁パネルの表面に設けられる防水材は、前記建築用壁パネルの表面のうち、前記建築用屋根パネルが接合される部分を除く部分に貼り付けられる防水シートであり、
前記建築用屋根パネルの表面に設けられる防水材は、前記建築用壁パネルの表面側にはみ出し、かつ該はみ出し部分の上部が前記建築用屋根パネルの上面よりも上方に位置するようにして、前記建築用屋根パネルの基端部の側端に貼り付けられる耐水シートであり、
前記建築用壁パネルの防水シートのうち、前記建築用屋根パネルの耐水シートのはみ出し部分の上部に対応する位置を切り込むことによって、前記耐水シートのはみ出し部分の上部に対応する位置の前記建築用壁パネルの表面を露出させ、
前記建築用壁パネルに対して建築用屋根パネルを接合し、
その後、これら建築用壁パネルと建築用屋根パネルとの接合部で、前記耐水シートのはみ出し部分の上部を前記防水シートの切り込みから該防水シートの裏側に潜り込ませながら、前記耐水シートを前記建築用屋根パネルの基端部の側端に貼り付けるとともに、この耐水シートのはみ出し部分を前記防水シートの表面に貼り付けることを特徴とする建物の施工方法。
【請求項5】
請求項1に記載の建物の施工方法において、
前記一方の建築用パネルは、住宅等の建物の外壁を形成する建築用壁パネルであり、
前記他方の建築用パネルは、前記一方の建築用壁パネルの表面から突出するようにして該一方の建築用壁パネルに接合されるとともに、上端部が前記一方の建築用壁パネルの上端部よりも下方に位置する建築用壁パネルであり、
前記一方の建築用壁パネルの表面に設けられる防水材は防水シートであり、
前記他方の建築用壁パネルの表面に設けられる防水材は、防水シートと、前記一方の建築用壁パネルの表面側にはみ出し、かつ該はみ出し部分の上部が前記他方の建築用壁パネルの上面よりも上方に位置するようにして、前記他方の建築用壁パネルの基端部の上端に取り付けられる止水プレートとであり、
前記一方の建築用壁パネルの防水シートのうち、前記一方の建築用壁パネルに対して他方の建築用壁パネルが接合される部分に対応する位置を切り込むとともに、該一方の防水シートをめくって、前記他方の建築用壁パネルが接合される部分を露出させ、前記他方の建築用壁パネルの防水シートをめくって、前記他方の建築用壁パネルの基端部の表面を露出させ、
さらに、前記一方の建築用壁パネルの防水シートのうち、前記止水プレートのはみ出し部分の上部に対応する位置を切り込むことによって、前記止水プレートのはみ出し部分の上部に対応する位置の前記一方の建築用壁パネルの表面を露出させ、
前記一方の建築用壁パネルに対して他方の建築用壁パネルを接合し、
その後、これら一方の建築用壁パネルと他方の建築用パネルとの接合部で、めくっておいた一方および他方の建築用壁パネルの防水シートを戻しながら、これら一方の防水シートと他方の防水シートとを重ね合わせ、
その後、これら一方の建築用壁パネルと他方の建築用壁パネルとの接合部で、前記止水プレートのはみ出し部分の上部を前記防水プレートの切り込みから該防水シートの裏側に潜り込ませながら、前記止水プレートを前記他方の建築用壁パネルの基端部の上端に取り付けることを特徴とする建物の施工方法。
【請求項6】
請求項1に記載の建物の施工方法において、
前記一方の建築用パネルは、住宅等の建物の外壁を形成する建築用壁パネルであり、
前記他方の建築用パネルは、前記一方の建築用壁パネルの表面から突出するようにして該一方の建築用壁パネルに接合されるとともに、下端部が前記一方の建築用壁パネルの下端部よりも上方に位置する建築用壁パネルであり、
前記一方の建築用壁パネルの表面に設けられる防水材は防水シートであり、
前記他方の建築用壁パネルの表面に設けられる防水材は、防水シートと、前記一方の建築用壁パネルの表面側にはみ出し、かつ該はみ出し部分の下部が前記他方の建築用壁パネルの下面よりも下方に位置するようにして、前記他方の建築用壁パネルの基端部の下端に取り付けられる止水プレートとであり、
前記一方の建築用壁パネルの防水シートをめくって、前記一方の建築用壁パネルの表面のうち、該一方の建築用壁パネルに対して他方の建築用壁パネルが接合される部分を露出させるとともに、前記他方の建築用壁パネルの防水シートをめくって、前記他方の建築用壁パネルの基端部の表面を露出させ、
前記一方の建築用壁パネルに対して他方の建築用壁パネルを接合し、
その後、これら一方の建築用壁パネルと他方の建築用壁パネルとの接合部で、前記止水プレートを、この止水プレートのはみ出し部分を前記一方の建築用壁パネルの露出した表面に当接させるとともに、このはみ出し部分の下部を前記一方の建築用壁パネルの防水シートの表面に当接させながら、前記他方の建築用壁パネルの基端部の下端に取り付け、
その後、前記一方の建築用壁パネルと他方の建築用パネルとの接合部で、めくっておいた一方および他方の建築用壁パネルの防水シートを戻しながら、これら一方の防水シートと他方の防水シートとを重ね合わせ、これら一方および他方の防水シートを前記止水プレートに被せることを特徴とする建物の施工方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の建物の施工方法において、
前記一方の建築用パネルの防水材と他方の建築用パネルの防水材とを重ね合わせた後、これら一方の防水材と他方の防水材との境目を塞ぐようにしてジョイントテープを貼着し、これら一方の防水材と他方の防水材とをジョイントすることを特徴とする建物の施工方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の建物の施工方法によって建築されることを特徴とする建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−99226(P2011−99226A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253648(P2009−253648)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】